JP7446704B2 - 包装材、包装容器、蓋体及びラベル - Google Patents

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本発明は、包装材、包装容器、蓋体及びラベルに関する。
近年、表面に製造年月日、賞味期限、製造会社名、製品名、シリアル番号などを明記する方法として、非接触であり、かつマーキング速度が速く、幅広い素材の表面形状にとらわれることなくマーキング可能であるレーザーマーキングが普及している。
レーザーマーキングは、素材自身に直接マーキングするため、溶剤を含む通常のインキを使わず済むことから、衛生面及び環境面において好ましいマーキング方法として最近注目を受けている。
上記のように、レーザーマーキングは衛生面に優れることから、食品、化粧品等の包装材でも利用されている。
しかし、汎用的なレーザーの波長に対してプラスチックフィルム等の樹脂は感度が低いため、フィルム製包装材にレーザーマーキングする場合、プラスチックフィルム上に酸化チタン等の金属酸化物を含む発色層を形成する手段が提案されている(例えば特許文献1)。
特開2016-137719号公報
レーザーマーキングによってフィルム製包装材にマーキングされる文字等の情報は黒色系の色味を有している。このため、フィルム製包装材において、マーキングされた文字等を判別しやすくするために、背景となる発色層の明度(L値)を高くすることが考えられる。
しかし、特許文献1のようなフィルム製包装材において発色層の明度(L値)を高くした場合、レーザーマーキングされた文字等の滲みが目立ち、マーキングした文字等に基づく管理及び検査等に支障をきたすケースが多発するという問題があった。
本発明は、上記技術的課題を解決するためになされたものであり、フィルム製包装材において、マーキングされた文字等の滲みが目立つことを抑制し得る包装材、並びに、前記包装材を用いた包装容器、蓋体及びラベルを提供することを目的とする。
本発明は、以下の[1]~[4]を提供するものである。
[1]プラスチックフィルム、地色層及びシーラント層が、この順に外層側から積層されている構成を備えた包装材であって、前記地色層は酸化チタン及びバインダー樹脂を含み、前記包装材を外層側から測定したCMYKカラーモデルに基づくK値が0.100以上0.175以下である、包装材。
[2]少なくとも一部に上記[1]に記載された包装材を有する包装容器。
[3]少なくとも一部が上記[1]に記載の包装材で形成されている蓋体。
[4]少なくとも一部が上記[1]に記載の包装材で形成されているラベル。
本発明によれば、フィルム製包装材において、マーキングされた文字等の滲みが目立つことを抑制し得る包装材、包装容器、蓋体及びラベルを提供することができる。
本発明の包装材の積層構成の一態様を示す概略断面図である。 本発明の包装材の積層構成の他の態様を示す概略断面図である。 本発明の包装容器のうちの電子レンジ用のパウチの一例を示す断面図である。 本発明の包装容器のうちの蓋付容器の一例を示す上面図である。 図4のIV-IV断面図である。 本発明の包装材の積層構成の他の例を示す概略断面図である。 本発明の包装容器のうちの電子レンジ用のパウチの他の例を示す概略平面図である。 図7のXI-XI断面図である。 層間接着力を測定するためにプラスチックフィルムとシーラント層とを引っ張る一対のつかみ具の間の間隔に対する引張応力の変化を示す図である。
以下、本発明の包装材、並びに前記包装材を用いた包装容器及び蓋体について、詳細に説明する。なお、本明細書中の「AA~BB」との数値範囲の表記は、「AA以上BB以下」であることを意味する。
[包装材]
本発明の包装材は、プラスチックフィルム、地色層及びシーラント層が、この順に外層側から積層されている構成を備えた包装材であって、前記地色層は酸化チタン及びバインダー樹脂を含み、前記包装材を外層側から測定したCMYKカラーモデルに基づくK値が0.100以上0.175以下であるものである。
<K値>
本発明の包装材は、包装材を外層側から測定したCMYKカラーモデルに基づくK値が0.100以上0.175以下であることを要する。
K値が0.100未満の場合、背景となる地色層に黒味が弱過ぎるため、レーザーマーキング時に滲みが生じた場合に、滲んだ箇所が目立つことを抑制できない。一方、K値が0.175を超える場合、背景となる地色層の黒味が強くなり過ぎるため、レーザーマーキングされた文字等と背景とのコントラストが低下することを抑制できない。
K値は0.120以上0.170以下であることが好ましく、0.130以上0.165以下であることがより好ましく、0.140以上0.160以下であることがさらに好ましい。
本明細書において、「K値」とはCMYKカラーモデルに基づくK値を意味する。また、CMYKのカラープロファイルは「Japan Color 2001 Coated」を用いるものとする。
K値は、後述する実施例に記載されているように、入射角5°で測定することが好ましい。また、包装材が全体として光透過性を有する場合、包装材の内層側に白色紙(ISO 13655で規定するホワイトバッキング)を配置した状態でK値を測定することが好ましい。
<L値>
本発明の包装材は、包装材を外層側から測定したCIE L表色系のL値が80以上90未満であることが好ましい。
値を80以上とすることにより、レーザーマーキングされた文字等と背景とのコントラストを良好にしやすくできる。また、L値を90未満とすることにより、レーザーマーキング時に滲みが生じた場合に、滲んだ箇所が目立つことをより抑制することができる。
値は82以上90未満であることがより好ましく、85以上89以下であることがさらに好ましい。
CIE L表色系のL値は、後述する実施例に記載されているように、入射角5°で測定することが好ましい。また、包装材が全体として光透過性を有する場合、包装材の内層側に白色紙(ISO 13655で規定するホワイトバッキング)を配置した状態でL値を測定することが好ましい。
<層間接着力>
本発明の包装材は、地色層と地色層に接する層との層間接着力が0.5N/15mm以上であることが好ましく、0.8N/15mm以上であることが好ましく、1.0N/15mm以上であることがより好ましく、1.3N/15mm以上であることがさらに好ましく、1.4N/15mm以上であることがよりさらに好ましい。
地色層と地色層に接する層との層間接着力は、後述する実施例に記載されているように、プラスチックフィルム及びシーラント層を長辺方向において15mm剥離させた矩形状の試験片を準備し、剥離されている部分のプラスチックフィルムを測定器の一方のつかみ具で把持し、剥離されている部分のシーラント層を測定器の他方の掴み具で把持し、2つの掴み具をそれぞれ逆方向に引っ張ることで測定できる。
当該測定方法によれば、包装材を構成する各層の層間接着力のうち、最も弱い層間接着力が測定されることになるが、最も弱い層間接着力が0.5N/15mm以上であれば、地色層と地色層に接する層との層間接着力も0.5N/15mm以上であるとみなすことができる。
また、上記測定方法の場合、任意の層が凝集破壊する場合がある。しかし、例えば、引張応力0.5N/15mmで包装材の接着剤層が凝集破壊した場合には、地色層と地色層に接する層との層間接着力は0.5N/15mm以上であるとみなすことができる。また、引張応力0.5N/15mmで地色層が凝集破壊した場合でも、地色層と地色層に接する層との層間接着力は0.5N/15mm以上であるとみなすことができる。
地色層と地色層に接する層との層間接着力を0.5N/15mm以上とすることにより、レーザーマーキング時に滲みが生じることを抑制できる。
レーザーマーキング時の滲みは、地色層と地色層に接する層との間に隙間が生じたり、地色層内に空隙が生じたりして、これらの隙間や空隙に、熱で黒化した樹脂や熱で自己発色した発色剤が進入することによって生じると考えられる。したがって、地色層と地色層に接する層との層間接着力を強くすることにより、滲みの起因となる隙間や空隙が生じることが抑制されるため、滲みが生じることを抑制できると考えられる。
地色層と地色層に接する層との層間接着力の上限は特に限定されないが4.0N/15mm程度である。なお、地色層と地色層に接する層との層間接着力を軽めに設定する場合には、該層間接着力の上限を2.2N/15mm程度としてもよい。
<積層構成>
図1及び図2は、本発明の包装材100の積層構成の実施の形態を示す概略断面図である。
図1及び図2の包装材1は、上が外層側(表面側)であり、下が内層側(裏面側)であり、プラスチックフィルム2、地色層3及びシーラント層4が、この順に外層側から積層されている。また、図2の包装材1は、地色層3が、第1の地色層3a及び第2の地色層3bの2層構成となっている。また、図2の包装材1は、地色層3とシーラント層4との間にガスバリア層5を有している。
なお、本発明の包装材1は、図1及び図2に示す態様に限定されるものではない。
以下、各層の構成について説明する。
本発明の包装材は、具体的には、外層側から順に以下のような積層構成を例示することができる。なお、「/」は各層の境界を意味する。
(1)プラスチックフィルム/地色層/シーラント層
(2)プラスチックフィルム/地色層/ガスバリア層/シーラント層
(3)プラスチックフィルム/地色層/中間基材層/シーラント層
(4)プラスチックフィルム/地色層/ガスバリア層/中間基材層/シーラント層
<プラスチックフィルム>
プラスチックフィルム2は、地色層3の外層側に位置する。
地色層3よりも外層側にプラスチックフィルム2が位置することにより、レーザーマーキングの際に地色層3内で発色した成分(例えば、熱で黒化した樹脂、熱で自己発色した発色剤)が地色層3の外層側から外部に放出されることを抑制し、地色層3に形成される文字、画像等の濃度を高くすることができる。
プラスチックフィルム2は、地色層3を外観から視認できるように、光透過性を有する材料で構成される。
具体的には、ポリエチレン(PE)系やポリプロピレン(PP)系等のポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS)樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、エチレン-ビニルエステル共重合体ケン化物、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂、各種ナイロン(Ny)等のポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂(PVDC)等が挙げられる。
プラスチックフィルムは、一軸延伸又は二軸延伸されたものであってもよい。また、上記のうちの2種以上の樹脂フィルムが積層された複合フィルムであってもよい。これらプラスチックフィルムは、インフレーション法、あるいは、溶融押し出しコーティング法で形成したものであってもよい。
プラスチックフィルムは、地色層との接着力を高めるために、コロナ放電処理、プラズマ処理等がなされていることが好ましい。
プラスチックフィルムは、融点が150℃以上であることが好ましく、200℃以上であることがより好ましく、250℃以上であることがさらに好ましい。
プラスフィックフィルムの融点を150℃以上とすることにより、熱(例えば、包装材を製造する過程における地色層形成インキを乾燥する際の熱)によってプラスチックフィルムが変形することを抑制し、プラスチックフィルムと地色層との層間接着力を高くしやすくできる。
プラスチックフィルムは、電子レンジでの加熱やレトルト処理の観点から、耐熱性に優れるものが好ましい。耐熱性に優れるプラスチックフィルムを構成する樹脂としては、ポリエステル系樹脂及びポリアミド系樹脂等が挙げられる。
耐熱性に優れるプラスチックフィルムの具体例としては、ポリエステルフィルムの単体、ナイロン等のポリアミドフィルムの単体、ポリエステルフィルム及びポリアミドフィルムの一種以上を含む複合フィルムが挙げられる。前記複合フィルムの例としては、PET/Ny/PET、外層側からPET/Nyの構成からなる共押出し延伸フィルムが挙げられる。また、前記複合フィルムとしては、ポリエステルフィルム及びポリアミドフィルムの一種以上と、エチレン-ビニルアルコール共重合体フィルム及びポリ塩化ビニリデンフィルムの一種以上とを組み合わせることも好ましい。
プラスチックフィルムの厚みは、特に限定されるものではなく、包装材の用途に応じて適宜設定することができるが、通常、5~50μm程度であることが好ましく、より好ましくは8~40μm、さらに好ましくは10~25μmである。
プラスチックフィルムは、JIS K7361-1:1997の全光線透過率が85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。また、プラスチックフィルムは、JISK7136:2000のヘイズが1.0%以下であることが好ましく、0.5%以下であることがより好ましく、0.3%以下であることがさらに好ましい。
全光線透過率及びヘイズを上記範囲とすることにより、地色層に形成される文字等の視認性を良好にしやすくできる。
プラスチックフィルムの両表面は、JIS B0601:1994に準じて測定されるカットオフ値0.8mmでの算術平均粗さRaが0.1μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.05μm以下である。
プラスチックフィルムの両表面のRaを前述した範囲とすることにより、地色層に形成される文字等の視認性を良好にしやすくできる。
<地色層>
地色層3は、プラスチックフィルム1とシーラント層4との間に位置する。
地色層3は、レーザーマーキング時の熱によってバインダー樹脂が黒化することにより、文字等の情報が記録される。また、地色層3が後述する発色剤を含む場合、発色剤自体が発色することにより、文字等の情報を記録することもできる。
地色層3は、酸化チタン及びバインダー樹脂を含む。
酸化チタンは、地色層3にレーザーマーキング適性を付与するとともに、地色層の背景のL値を高くして、レーザーマーキングにより記録された文字等と背景とのコントラストを際立たせ、記録された文字等を視認しやすくする役割を有する。
酸化チタンは、結晶構造により、アナターゼ型、ルチル型及びブルッカイト型に分けられ、これらの何れも使用できるが、光触媒活性により地色層が経時的に劣化することを抑制する観点からは、ルチル型及びブルッカイト型が好ましい。
酸化チタンの含有量は、地色層の全固形分の10~90質量%であることが好ましく、50~90質量%であることがより好ましく、70~85質量%であることがさらに好ましい。
酸化チタンの含有量を10質量%以上とすることにより、地色層の発色性を高めるとともに、地色層の隠蔽性を高め、さらには地色層のL値を高くして、レーザーマーキングされた画像等と背景とのコントラストを高めることができる。また、酸化チタンの含有量を90質量%以下とすることにより、地色層と地色層に接する層との層間接着力を高くしやすくできるとともに、地色層の塗膜強度(凝集力)の低下を抑制できる。
地色層が2以上の層から形成されている場合、各層の酸化チタンの含有量が上述した範囲であることが好ましい。
酸化チタンの平均粒子径は、1~20μmであることが好ましく、2~10μmであることがより好ましい。
地色層のバインダー樹脂は、硬化性樹脂組成物の硬化物、熱可塑性樹脂が挙げられる。曲げ加工等の加工時のクラックを抑制する観点から熱可塑性樹脂が好ましく、電子レンジでの加熱時やレトルト処理時の耐熱性の観点からは、硬化性樹脂組成物の硬化物が好ましい。
地色層が2層以上から形成される場合、地色層間の層間密着性を向上するため、各地色層は同一種のバインダー樹脂を含むことが好ましい。
地色層の熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン系樹脂や塩素化ポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン系樹脂、スチレン-ブタジエン共重合体、フッ化ビニリデン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アルキッド系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、キシレン系樹脂、マレイン酸樹脂、ニトロセルロースやエチルセルロース、アセチルブチルセルロース、エチルオキシエチルセルロース等の繊維素系樹脂、塩化ゴムや環化ゴム等のゴム系樹脂、石油系樹脂、ロジン、カゼイン等の天然樹脂等が挙げられる。
地色層の硬化性樹脂組成物の硬化物としては、熱硬化性樹脂組成物の硬化物、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物が挙げられる。
熱硬化性樹脂組成物は、少なくとも熱硬化性樹脂を含む組成物であり、加熱により、硬化する樹脂組成物である。熱硬化性樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂組成物には、これら硬化性樹脂に、必要に応じて硬化剤が添加される。ここで、地色層に接する層に含まれる成分と反応する硬化剤を選択すれば、地色層と地色層に接する層との層間接着力を高くできる点で好ましい。
電離放射線硬化性樹脂組成物は、電離放射線硬化性官能基を有する化合物(以下、「電離放射線硬化性化合物」ともいう)を含む組成物である。電離放射線硬化性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合基、及びエポキシ基、オキセタニル基等が挙げられる。電離放射線硬化性化合物としては、エチレン性不飽和結合基を有する化合物が好ましく、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する化合物がより好ましく、中でも、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する、多官能性(メタ)アクリレート系化合物が更に好ましい。多官能性(メタ)アクリレート系化合物としては、モノマー及びオリゴマーのいずれも用いることができる。
なお、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も使用可能である。
地色層のバインダー樹脂は、地色層と、地色層と接触する層(例えば、プラスチックフィルム、接着剤層、シーラント層)との密着性を良好にする観点から、ウレタン系樹脂を含むことが好ましい。
例えば、プラスチックフィルムがポリエステル又はポリアミドで形成されている場合、地色層のバインダー樹脂としてウレタン系樹脂を含むことにより、プラスチックフィルムと地色層との層間接着力を高くしやすくできる。
また、地色層に接して接着剤層を有する場合、(i)地色層のバインダー樹脂としてウレタン系樹脂を含み、かつ接着剤層がポリエステル系樹脂を含むこと、(ii)地色層に硬化剤を含み、該硬化剤が接着剤層に含まれる成分と反応すること、(iii)接着剤層に硬化剤を含み、該硬化剤が地色層に含まれる成分と反応すること、等により、地色層と接着剤層との層間接着力を高くしやすくできる。硬化剤としてはイソシアネート系硬化剤が挙げられ、イソシアネート硬化剤と反応する成分としては、水酸基やイソシアネート基を有する成分が挙げられる。
地色層のバインダー樹脂の含有量は、地色層を構成する全固形分の10~90質量%であることが好ましく、10~50質量%であることがより好ましく、15~30質量%であることがさらに好ましい。
地色層が2以上の層から形成されている場合、各層のバインダー樹脂の含有量が上述した範囲であることが好ましい。
地色層中には、レーザーマーキングによる発色性を高めるために、発色剤を含有してもよい。発色剤は、レーザーの照射により発熱し、それ自身が発色するか、周囲の樹脂を発色する(樹脂を炭化して黒色化する)役割を有する。
発色剤としては、ビスマス、アンチモン、銅、モリブテン、鉄、亜鉛、錫、金、銀、コバルト及びニッケル等の金属、並びに、これら金属を含む化合物からなる群より選択される1種以上を用いることができる。これらの中でも、ビスマス、アンチモン、銅及びモリブテンからなる金属、並びに、これら金属を含む化合物からなる群より選択される1種以上が好ましく、ビスマス系化合物及びアンチモン系化合物がより好ましい。
ビスマス系化合物としては、酸化ビスマス;硝酸ビスマス、オキシ硝酸ビスマス等の硝酸ビスマス;塩化ビスマス等のハロゲン化ビスマス;オキシ塩化ビスマス;硫酸ビスマス;酢酸ビスマス;クエン酸ビスマス;水酸化ビスマス;チタン酸ビスマス;次炭酸ビスマス等が挙げられる。これらの中でも、水酸化ビスマス、酸化ビスマス、次炭酸ビスマス及び硝酸ビスマスが好ましい。
アンチモン系化合物としては、酸化アンチモンが挙げられ、より具体的には、酸化錫に酸化アンチモンをドープしてなる、アンチモンドープ酸化スズが挙げられる。
発色剤の含有量は、地色層の全固形分の0.3~20質量%であることが好ましく、0.5~10質量%であることがより好ましく、0.7~5質量%であることがさらに好ましく、0.8~3質量%であることがよりさらに好ましい。
発色剤の含有量を0.3質量%以上とすることにより、地色層の発色性を高めやすくすることができる。また、発色剤の含有量を20質量%以下とすることにより、地色層と地色層に接する層との層間接着力を高くしやすくできるとともに、発色剤に起因してK値が高くなり過ぎることを抑制できる。
地色層が2以上の層から形成されている場合、前述した発色剤の含有量は、発色剤を含有する各層における含有量を意味するものとする。例えば、第1の地色層が発色剤を含有し、第2の地色層が発色剤を含有しない場合、第1の地色層及び第2の地色層の総固形分に対する発色剤の含有量を意味するのではなく、第1の地色層の固形分に対する発色剤の含有量を意味するものとする。
地色層中には、地色層の色味を調整するために着色剤を含有してもよい。
地色層に含まれる着色剤は、汎用の染料及び顔料(例えば、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー、酸化チタン、酸化亜鉛等の無機顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー等の有機顔料又は染料)を使用することができる。
地色層が2以上の層から形成されている場合、少なくとも何れかの地色層に着色剤を含有していれば良いが、色味を効率よく調整する観点からは、最も外層側の地色層に着色剤を含有することが好ましい。
地色層の着色剤の含有量は、地色層の全固形分の0.1~50質量%であることが好ましく、0.5~40質量%であることがより好ましく、0.7~20質量%であることがさらに好ましい。
なお、K値はカーボンブラック等の黒色系顔料の添加によっても調整し得るが、黒色系顔料を添加した場合、レーザーマーキング時に過度に熱が生じ、各種の不具合が生じる可能性があるため好ましくない。このため、地色層には黒色系顔料を実質的に含有しないことが好ましい。本明細書において、地色層が黒色系顔料を実質的に含有しないとは、黒色系顔料の含有量が地色層の全固形分の0.1質量%以下であることを意味し、好ましくは0.01質量%以下、より好ましくは0質量%である。
地色層3は2層以上から形成されていてもよい。例えば、地色層3は、図2に示すように、第1の地色層3aと、第2の地色層3bとを有していてもよい。
また、地色層3は、発色剤を含む第1の地色層3aと、第1の地色層よりも内層側に配置され、発色剤を実質的に含有しない第2の地色層3bとを有することが好ましい。地色層をかかる構成とすることにより、第1の地色層3aの発色性を高め、より高濃度の印字が可能となり、かつ、第2の地色層3bでL値及び隠蔽性を高めることができる。
本明細書において、第2の地色層が発色剤を実質的に含有しないとは、発色剤の含有量が第2の地色層の全固形分の0.1質量%以下であることを意味し、好ましくは0.01質量%以下、より好ましくは0質量%である。
地色層の厚みは、0.5~10.0μmであることが好ましく、0.7~7.0μmであることがより好ましく、1.0~5.0μmであることがさらに好ましい。
地色層の厚みを0.5μm以上とすることにより、地色層の発色性を高めやすくすることができる。また、地色層の厚みを10.0μm以下とすることにより、レーザーによって包装材が受けるダメージを軽減するとともに、包装材の厚みが厚くなり過ぎて加工性が低下することを抑制できる。
地色層が2以上の層から形成されている場合、各層の厚みが上述した範囲であることが好ましい。
<シーラント層>
シーラント層4は、内層側の面が被包装物と直接接触し、被包装物を保護する役割を担うものである。特に、包装材1で液状物の包装容器が形成される場合には、シーラント層4は液状物が浸透しないような材質であることが好ましい。また、パウチ化のためにシーラント層4の最内層がヒートシール性を有していることが好ましい。
シーラント層を構成する材料としては、例えば、低密度PE(LDPE)、直鎖状低密度PE(LLDPE)、中密度PE(MDPE)及び高密度PE(HDPE)等のポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂、プロピレン単独重合体、エチレン-プロピレンブロック共重合体、エチレン-プロピレンランダム共重合体等のポリオレフィン系樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上の樹脂を用いることができる。
シーラント層は、単層で構成されても、2層以上の多層で構成されてもよい。なお、シーラント層は、ヒートシールの際の収縮を抑制するために、前述した樹脂からなる無延伸のフィルム、又は、前述した樹脂を溶剤で希釈してなるインキを塗布、乾燥した塗膜であることが好ましい。
電子レンジでの加熱やレトルト処理の観点から、耐熱性を高めるために、シーラント層は耐熱性に優れる樹脂から構成することが好ましく、具体的には、プロピレン単独重合体、エチレン-プロピレンブロック共重合体、エチレン-プロピレンランダム共重合体等のプロピレン系樹脂及びHDPEが好ましい。
また、上記プロピレン系樹脂は、目的に応じて使い分けることが好ましい。具体的には、耐寒性能を重視する場合(例えば冷凍食品の包装材)にはエチレン-プロピレンブロック共重合体が好ましく、透明性を重視する場合にはエチレン-プロピレンランダム共重合体が好ましく、耐熱性重視の場合はプロピレン単独重合体が好ましい。また、自動蒸通機構を備えた容器の場合、高温時にシール強度が低下することによって蒸気抜けさせやすくできるという観点から、エチレン-プロピレンブロック共重合体が好ましい。
また、包装材で蓋付容器の蓋体が形成される場合に、シーラント層は、イージーピール性を有していることが好ましい。
イージーピール性とは、例えば、蓋付容器の蓋体の包装材のシーラント層が容器本体と接合される場合、蓋付容器を開封する際、蓋体を容器本体から剥離しやすいという特性を言う。
イージーピール性を有するシーラント層は、2種以上の樹脂を用いて、一の樹脂(容器本体との密着性が良好な樹脂)と他の樹脂(容器本体との密着性が良好ではなく、前記一の樹脂と非相溶な樹脂)とを混合することにより形成することができる。このような樹脂は容器の素材によって異なるため一概には言えないが、容器がPPから形成されている場合、一の樹脂(容器本体との密着性が良好な樹脂)であるPPと、他の樹脂(容器本体との密着性が良好ではなく、前記一の樹脂と非相溶な樹脂)であるPE、ポリブテン及びポリスチレンから選ばれる一種以上とを混合した樹脂からシーラント層を形成することにより、PP製の容器に対してイージーピール性を付与できる。
なお、シーラント層を多層構成として、シーラント層の容器本体と接合される側(包装材における最内層)のみにイージーピール性を付与してもよい。
シーラント層の厚みは、特に限定されるものではなく、包装材の用途及び被包装物の種類や性質等に応じて適宜設定されるが、通常、10~200μm程度であることが好ましい。また、パウチ(特にレトルトパウチ)の場合、シーラント層の厚みは、より好ましくは20~150μm、さらに好ましくは30~100μmである。また、蓋付容器の場合、シーラント層の厚みは、より好ましくは15~80μm、さらに好ましくは20~60μmである。
<絵柄層>
本発明の包装材は、絵柄層を有していてもよい。
絵柄層は、例えば、プラスチックフィルムと地色層との間に形成できる。あるいは、絵柄層は、包装材の厚み方向において地色層と同じ位置に、地色層と並列するように形成することができる。なお、プラスチックフィルムと地色層との間に絵柄層を形成する場合には、レーザーマーキングする箇所を避けて絵柄層を形成することが好ましい。
絵柄層は、地色層と区別できるものであればよく、例えば、着色剤及びバインダー樹脂を含む絵柄層形成インキから形成できる。
絵柄層の着色剤は、汎用の染料及び顔料(例えば、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー、酸化チタン、酸化亜鉛等の無機顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー等の有機顔料又は染料)を使用することができる。
絵柄層の厚みは特に限定されるものではなく、1.0~5.0μm程度であることが好ましく、より好ましくは1.0~3.0μmである。
<遮光層>
本発明の包装材は、遮光層を有していてもよい。
遮光層は、例えば、K値を上記範囲とすることを目的として、地色層とシーラント層との間に形成することができる。
遮光層は、例えば、暗色(黒色、濃灰色、紺色、濃紫色、茶褐色、臙脂色等)系の着色剤及びバインダー樹脂を含む遮光層形成インキから形成することができる。
遮光層の厚みは特に限定されるものではなく、1.0~5.0μm程度であることが好ましく、より好ましくは1.0~3.0μmである。
<ガスバリア層>
本発明の包装材は、ガスバリア層5を有していてもよい。ガスバリア層5は、例えば、地色層3とシーラント層4との間に形成することができる。
ガスバリア層は、被包装物と外部環境との間で、酸素や水蒸気等の透過を遮断する役割を担うものである。また、ガスバリア層は、さらに、可視光や紫外線等の透過を遮断する遮光性も付与するものであってもよい。ガスバリア層は、1層のみから構成されるものであっても、2層以上の複数層で構成されてもよい。ガスバリア層は後述する中間基材上に形成してもよい。
ガスバリア層としては、蒸着膜、塗布膜及び金属箔が挙げられる。なお、ガスバリア層を形成する表面は、該ガスバリア層の密着性向上の観点から、予め表面処理を施しておいてもよい。表面処理としては、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガスや窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理、酸化剤処理、アンカーコート剤の塗布等が挙げられる。
ガスバリア層は、K値を上述した範囲にしやすくする観点からは金属箔が好ましい。なお、本発明の包装材を電子レンジ用に用いる場合には、スパーク抑制の観点から、ガスバリア層は、蒸着膜又は塗布膜であることが好ましい。
〔蒸着膜〕
ガスバリア層の一例である蒸着膜は、例えば、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、スズ(Sn)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)等の無機物又はこれらの酸化物を原料として、真空蒸着やスパッタリング、イオンプレーティング等の物理蒸着(PVD)法、プラズマ化学気相成長や熱化学気相成長、光化学気相成長等の化学蒸着(CVD)法等により形成することができる。
包装材が電子レンジ用である場合には、被包装物の食品等を電子レンジのマイクロ波で十分に加熱できるようにする観点から、ケイ素酸化物やアルミニウム酸化物、マグネシウム酸化物等の無機酸化物を原料として用いることが好ましい。
蒸着膜の膜厚は、形成材料や要求されるガスバリア性能等によって異なるが、通常、5~200nm程度であることが好ましく、より好ましくは5~150nm、さらに好ましくは10~100nmである。ケイ素酸化物やアルミニウム酸化物等の無機酸化物の場合は、5~100nm程度であることが好ましく、より好ましくは5~50nm、さらに好ましくは10~30nmである。
〔ガスバリア性塗布膜〕
ガスバリア層の一例であるガスバリア性塗布膜としては、例えば、一般式R1 M(OR2m(式中、R1、R2は炭素数1~8の有機基、Mは金属原子である。nは0以上の整数、mは1以上の整数を表し、n+mはMの原子価である。)で表される少なくとも1種以上のアルコキシドと、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン-ビニルアルコール共重合体とを、ゾル-ゲル法触媒、酸、水及び有機溶剤の存在下で、ゾル-ゲル法により重縮合して得られた塗工液を塗布し、50~300℃で、0.05~60分間加熱処理することにより形成することができる。
塗布方法としては、例えば、グラビアロールコーター等のロールコート、スプレーコート、スピンコート、ディッピング、刷毛、バーコート、アプリケータ等の塗布手段により行うことができる。1回又は複数回の塗布で、塗布膜の乾燥膜厚が0.01~30μm程度となることが好ましく、より好ましくは0.05~20μm、さらに好ましくは0.1~10μmである。
ガスバリア性塗布膜は、ガスバリア性の向上の観点から、蒸着膜の表面に形成されることが好ましい。
ガスバリア層の一例である金属箔を構成する金属は、例えばアルミニウムが挙げられる。
アルミニウム箔等の金属箔の厚みは、1~50μmであることが好ましく、2~30μmであることがより好ましく、3~20μmであることがさらに好ましい。
<中間基材層>
中間基材層は、包装材1の強度の向上や加工適性の向上、包装材の風合いの変化を目的としたり、他の層を形成するための基材として用いたりするために、必要に応じて設けられる層である。中間基材層の構成材料としては、例えば、プラスチックフィルムや紙等が挙げられる。
プラスチックフィルムの場合は、地色層3の外層側に形成される上述したプラスチックフィルムと同様のものを用いることができる。
紙の場合は、包装材1に、賦形性や耐屈曲性、剛性等の特性を付与することもでき、例えば、高サイズ性の晒又は未晒のクラフト紙、純白ロール紙、板紙、種々の加工紙等を使用することができる。紙の坪量は、通常、50~600g/m2程度のものが好ましく、より好ましくは60~500g/m2、さらに好ましくは70~450g/m2である。包装材1が軟包装用途である場合は、150g/m2未満であることが好ましく、紙カップや液体紙容器等の紙容器用途の場合は、200g/m2以上であることが好ましい。
電子レンジでの加熱やレトルト処理を考慮して、包装材の耐熱性を高めるために、中間基材層は耐熱性に優れるものが好ましい。耐熱性に優れる中間基材層の具体例としては、紙、及び、耐熱性に優れるプラスチックフィルムとして例示した各種プラスチックフィルムが挙げられる。
<接着剤層>
包装材1においては、各構成層は、各層間の層間接着力の向上の観点から、接着剤層6を介して積層されていてもよい。接着剤層は、公知のドライラミネート用接着剤又はホットメルト用接着剤を用いた方法により形成することができ、層間接着力の観点からドライラミネート用接着剤が好ましい。
ドライラミネート用接着剤としては、例えば、ポリエーテル系接着剤、ポリ酢酸ビニル系接着剤、ポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレン共重合体系接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、尿素樹脂やメラミン樹脂等によるアミノ樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤(例えば、ポリオールとイソシアネート化合物との硬化物)、反応型(メタ)アクリル酸系接着剤、クロロプレンゴムやニトリルゴム、スチレン-ブタジエンゴム等によるゴム系接着剤、シリコーン系接着剤、アルカリ金属シリケートや低融点ガラス等による無機系接着剤等が挙げられる。
ホットメルト用接着剤としては、シーラント層で例示した樹脂と同様のものが挙げられる。
接着剤層をドライラミネート用接着剤で形成する場合、層間接着力を向上したい側の面に接着剤層を形成することが好ましい。具体的には、地色層とシーラント層との間に接着剤層を形成する場合において、地色層と接着剤層との層間接着力を向上した場合には、地色層側にドライラミネート用接着剤を塗布、乾燥して接着剤層を形成し、該接着剤層上にシーラント層をラミネートすることが好ましい。
<熱軟化性樹脂層>
包装材1は、図6に示すように、プラスチックフィルムとシーラント層との間の一部の領域に、熱軟化性樹脂層7を有していてもよい。
熱軟化性樹脂層7を、図6に示すように、包装材1の縁部近傍の一部に形成し、かつ、熱軟化性樹脂層を、室温以下の温度環境では所定の強度を有するが、高温の温度環境で所定の強度が低下する樹脂から構成することにより、電子レンジで加熱し、包装容器内の圧力が上昇した際に、シーラント層の一部が破壊するとともに、熱軟化性樹脂層の一部が界面剥離又は凝集破壊し、蒸気を逃がすことができる。詳しくは、自動蒸通機構の第二の実施形態において説明する。
熱軟化性樹脂、すなわち室温以下の温度環境では所定の強度を有するが、高温の温度環境で所定の強度が低下する樹脂としては、融点が60~110℃、好ましくは融点が60~90℃の樹脂が挙げられ、具体的には、エチレン-酢酸ビニル系共重合体樹脂、ポリアミド、硝化綿及びポリエチレンワックス等が挙げられ、ポリアミド、硝化綿及びポリエチレンワックスの混合樹脂が好ましい。ポリアミドと硝化綿とポリエチレンワックスを含有する樹脂としては、DICグラフィックス株式会社製のMWOPニス(軟化点:105℃)などを用いることができる。
熱軟化性樹脂層の厚みは1~5μmであることが好ましい。熱軟化性樹脂層の厚みを1μm以上とすることにより、電子レンジで加熱した際に、熱軟化性樹脂層及びシーラント層を破壊しやすくできる。また、熱軟化性樹脂層の厚みを5μm以下とすることにより、フィルム状の包装材をロール状に巻いたときに、一部に盛り上がりが生じ、その部分の包装材料が伸びることを抑制できる。
[包装容器]
本発明の包装容器は、少なくとも一部に、上述した本発明の包装材を有するものである。
包装容器の少なくとも一部が本発明の包装材で形成されることにより、レーザーマーキングされた文字等の滲みが目立つことを抑制し得る包装容器が得られる。
包装容器の少なくとも一部としては、例えば、図5の蓋付容器であれば、容器本体31の全部、容器本体31の一部、蓋体33の全部、蓋体33の一部が挙げられる。また、図示しないが、包装容器の少なくとも一部としては、容器本体等に貼るラベルの全部又は一部が挙げられる。
本発明の包装材は、包装容器のうちのレーザーマーキングしたい所望の部分に適用されればよく、包装容器の全体が本発明の包装材で形成されても、あるいはまた、一部のみに本発明の包装材が用いられてもよい。
包装容器の種類としては、パウチ、蓋付容器、カップ及びトレーが挙げられる。
また、包装容器の用途としては、食品容器及び化粧品容器が挙げられる。
また、包装容器に封入する内容物は、液体、固体及び気体の何れであってもよい。
パウチの具体的形状は、例えば、後述する図3の電子レンジ用のパウチの形状が挙げられる。なお、パウチはレトルト容器(高温、高圧での殺菌処理された容器)であってもよく、さらには、電子レンジ用の包装容器や、レトルト容器以外の容器であってもよい。
蓋付容器の具体的形状としては、収容部を有する容器本体と、前記収容部を封止するように前記容器本体に接合された蓋体とを備えた構成を有し、前記蓋体が前記包装材で形成されたものが挙げられる。
包装容器は、上述したように電子レンジ用として好適に用いることができる。また、包装容器は、レトルト容器としても用いることができる。もちろん、包装容器は、電子レンジ用のレトルト容器として用いることもできる。
パウチの具体的な層構成は、上述した(1)~(4)の何れかの積層構成が挙げられ、より具体的には、下記(A1)~(A2)の積層構成が挙げられる。
(A1)プラスチックフィルム/地色層/接着剤層/ガスバリア層/接着剤層/シーラント層
(A2)プラスチックフィルム/地色層/接着剤層/ガスバリア層/接着剤層/中間基材/シーラント層
上記(A1)及び(A2)において、プラスチックフィルムはポリエステルフィルムが好ましく、シーラント層は無延伸ポリプロピレン(CPP)及び低密度PE(LDPE)が好ましい。上記(A2)において、中間基材は延伸ナイロンが好ましい。上記(A1)及び(A2)において、パウチが電子レンジ以外の用途の場合は、ガスバリア層はアルミニウム箔が好ましい。また、上記(A1)及び(A2)において、パウチが電子レンジ用途の場合は、ガスバリア層は蒸着膜が好ましく、さらには、地色層とガスバリア層との間に遮光層を有することが好ましい。
(パウチ)
図3に、本発明の包装容器の一実施形態であるパウチの一例を示す。図3のパウチ10は電子レンジ用であり、胴部11と底部12とをヒートシールして形成されたスタンディング形式のパウチである。図3に示すように、胴部11は、互いに対向して配置された表主面シート13aと裏主面シート13bとからなる一対の主面シート13を含み、重ね合わせられた一対の主面シート13の側縁14近傍が互いにヒートシールされている。一対の主面シート13の下縁15間に、底部12を形成する底面シート16が配置されている。
そして、一対の主面シート13及び底面シート16によって囲まれる領域内に、内容物を収容する収容空間17が形成される。底面シート16は、収容空間17側に向かって凸状に曲げられ、その周縁近傍を、重なり合う主面シート13の下部とともにヒートシールされている。底面シート16が一対の主面シート13の下端の形状を保持することにより、パウチ10に自立性が付与され、スタンディング形式のパウチとすることができる。
図3のパウチ10は、表主面シート13aと裏主面シート13bの上縁18の間に開口19が形成されており、開口19から内容物を収容することができる。内容物を収容後、開口19が形成されている上縁18近傍をヒートシールすることにより包装容器を密封することができる。パウチ10から内容物を取り出す際は、ノッチ23から上縁18近傍を引き裂いて開封する。
このパウチ10の表主面シート13a、裏主面シート13b及び底面シート16を、包装材1により形成することができる。これらの全部又は一部のシートを、本発明の包装材1で形成することができる。図3においては、表主面シート13aの一部が地色層3を有している。
(自動蒸通機構)
容器が電子レンジ用の場合、内容物である食品等の加熱調理により発生する蒸気によってパウチ内の圧力が上昇した際に、収容空間内の蒸気を自動的に外部に逃がし、パウチの破裂を防止する自動蒸通機構を有することが好ましい。自動蒸通機構は、容器の周縁近傍に形成することが好ましい。
自動蒸通機構の第一の実施形態を図3により説明する。図3に示す電子レンジ用のパウチは、容器(パウチ)の上側寄りの側縁14近傍に、ヒートシールされていない第1未シール領域21を有している。第1未シール領域21は、側縁14に達して開口22を有している。また、第1未シール領域21は、収容空間17側に張り出している。また、収容空間17側に張り出した第1未シール領域21を囲むように、ヒートシール部25が収容空間17側に張り出し、張出部25aを形成している。より具体的には、第1未シール領域21と収容空間17とは隔離され、且つ、パウチを封止するためのヒートシール部25に連設されるように張出部25aが形成されている。
図3に示す電子レンジ用のパウチは、上記のような開口22、第1未シール領域21及び収容空間17側に張り出したヒートシール部(張出部25a)によって、自動蒸通機構20が形成されている。具体的には、加熱により容器内の圧力が上昇した際に、ヒートシール部25のうちの張出部25aの箇所が強い負荷を受け、張出領域25の箇所が先に剥離するため、収容空間17と第1未シール領域21とが連通し、外部に蒸気を逃がすことができる。
図3のタイプの自動蒸通機構のさらなる詳細は、特開2015-120550号公報、特開2016-74457号公報、特開2016-74458号公報に記載されている。
なお、図3に示す容器10においては、第1未シール領域21とは反対側の側縁14に第2未シール領域23が形成されている。第2未シール領域23は、複数のレトルト容器10を連続して形成した後に1つずつに切断する際に、第1未シール領域21の開口22形成の歩留まりを向上させる観点から形成されているものであり、必ずしも形成されていなくてもよい。
自動蒸通機構の第二の実施形態を図6~8により説明する。
図7に示す包装容器(パウチ)10は、図6に示す包装材(プラスチックフィルムとシーラント層との間であって、縁部近傍の一部に熱軟化性樹脂層を有する包装材)の縁部周辺をヒートシールしてパウチ化したものである。また、図8は、図7の包装容器10の縁部周辺のヒートシール部25のXI-XIでの断面図である。
図7に示すように、熱軟化性樹脂層7は、包装容器10のヒートシール部25の少なくとも一部の領域において、パウチを封止するためのヒートシール部25の内縁から外縁に亘って形成されていることが必要になる。こうした位置に設けられた熱軟化性樹脂層7は、電子レンジで加熱されて高温になることによってその強度が低下する。
図8に示すように、熱軟化性樹脂層7は、電子レンジで加熱等されて包装容器10内の空気の膨張や内容物に含まれる水蒸気によって内圧が上昇したとき、ヒートシール部25内縁近傍のシーラント層4の任意の個所「A」を起点として、シーラント層4の一部が破壊するとともに、熱軟化性樹脂層7の一部が界面剥離又は凝集破壊する(符号Bの破線は、シーラント層4が破壊する仮想線、及び、熱軟化性樹脂層7が界面剥離又は凝集破壊する仮想線を示す。)。その結果、当該破壊箇所から空気や水蒸気が抜け、包装容器10の内圧を低下させることができる。
なお、第二の実施形態の自動蒸通機構は、後述する蓋付容器に適用することも可能である。
自動蒸通機構の第二の実施形態を備えた容器を構成する包装材としては、シーラント層を構成する樹脂として崩壊しやすい樹脂を選択することが好ましい。具体的には、LDPEが好ましい。
(蓋付容器)
図4及び5に、本発明の蓋付容器の実施形態の一例を示す。図4は、上面図であり、図5は、図4のIV-IV断面図である。図4及び5に示す蓋付容器30は、収容部31が形成された容器本体32と、容器本体32の収容部31を封止するように容器本体32に接合された蓋体33とを備えている。図4においては、容器本体32の形状は、略矩形状であるが、特に限定されるものではない。また、容器本体32は、その成形方法も特に限定されるものではなく、例えば、射出成形により成形されたトレーや、深絞り成形によって形成された容器であってもよい。
また、容器本体32の材質は、蓋体33と接合されるものであることから、通常、PPやPET等の熱可塑性樹脂等であり、特に、電子レンジ用の蓋付容器である場合は、耐熱性等の観点からはPPが好適に用いられる。
この蓋付容器30の蓋体33が、本発明の包装材1により形成されていることが好ましい。
蓋体33は、容器本体32から剥離して蓋付容器30を開封しやすくする観点から、上記の包装材1のシーラント層4についての説明で述べたように、イージーピール性を有していることが好ましい。
蓋体33と容器本体32との接合は、具体的には、容器本体32のフランジ部34の接合ライン35でなされている。接合ライン35は、例えば、蓋体33とフランジ部34とのヒートシールにより形成されたものであっても、接着剤層等の別個の構成要素で形成されたものであってもよい。
蓋付容器30を電子レンジ用に用いる場合、容器本体32に収容されている内容物である食品等の加熱調理により発生する蒸気によって蓋付容器30内の圧力が上昇した際に、該蓋付容器30内の蒸気を自動的に外部に逃がし、該蓋付容器30の破裂を防止する自動蒸通機構(自動蒸通機構の第三の実施形態)を備えていることが好ましい。
例えば、フランジ部34が容器本体32の中央に向かって突出した突出部34aを有しており、この突出部34aに沿って、接合ライン35も容器の中央に向かって凸状に形成された突出ライン35aを有している。このような形態で接合ライン35が形成されていることにより、加熱による蓋付容器30内の圧力上昇に伴い、上記の接合ライン35のうち、突出ライン35aの箇所から剥離しやすくなり、容器本体32の収容部31と外部とを連通させることができ、蓋付容器30内の蒸気を外部に逃がすことができる。
なお、図4及び5に示す蓋付容器30においては、突出部34aが、フランジ部34の対向する長辺上に、それぞれ形成されているが、突出部34aは、必ずしも2個形成されていなくてもよい。
また、蓋付容器30を構成する蓋体33として、図6に示す包装材(プラスチックフィルムとシーラント層との間であって、縁部近傍の一部に熱軟化性樹脂層を有する包装材)を用いることにより、上述した自動蒸通機構の第二の実施形態で説明したのと同様の理由により、電子レンジで加熱した際に蒸気を逃がすことができる。
<蓋体>
本発明の蓋体は、少なくとも一部が上述した本発明の包装材で形成されているものである。
蓋体の少なくとも一部が本発明の包装材で形成されることにより、コントラストが良好で、かつ滲みが抑制されたレーザーマーキング可能な蓋体が得られる。
蓋体を構成する包装材の具体的な層構成は、上述した(1)~(4)の何れかの積層構成が挙げられ、より具体的には、下記(B1)の積層構成が挙げられる。
(B1)プラスチックフィルム/地色層/接着剤層/ガスバリア層/接着剤層/シーラント層
上記(B1)のプラスチックフィルムはポリエステルフィルムが好ましく、シーラント層はLDPE、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂が好ましい。上記(B1)において、蓋体が電子レンジ以外の用途の場合は、ガスバリア層はアルミニウム箔が好ましい。また、上記(B1)において、パウチが電子レンジ用途の場合は、ガスバリア層は蒸着膜が好ましく、さらには、地色層とガスバリア層との間に遮光層を有することが好ましい。
<ラベル>
本発明のラベルは、少なくとも一部が上述した本発明の包装材で形成されているものである。
ラベルの少なくとも一部が本発明の包装材で形成されることにより、コントラストが良好で、かつ滲みが抑制されたレーザーマーキング可能なラベルが得られる。
ラベルを構成する包装材の具体的な層構成は、上述した(1)~(4)の何れかの積層構成が挙げられ、より具体的には、下記(C1)の積層構成が挙げられる。
(C1)プラスチックフィルム/地色層/接着剤層/シーラント層
上記(C1)において、プラスチックフィルムはポリエステルフィルムであることが好ましく、シーラント層はエチレン-酢酸ビニル共重合体であることが好ましい。また、上記(C1)において、地色層とシーラント層との間に遮光層を有することが好ましい
[レーザーマーキング]
レーザーマーキングに用いるレーザー光線としては、YAG(イットリウム(Y)・アルミニウム(A)・ガーネット(G))レーザー光線(波長=1064nm)、YVO(イットリウム・バナデート)レーザー光線(波長=1064nm)、ファイバーレーザー(1064nm)、グリーンレーザー(532nm)、UVレーザー(355nm)が好ましい。これらのレーザーは、外側熱可塑性樹脂層を透過し、地色層を効率よく発色させることができる。
レーザーマーキングのパルス条件としては、例えば、YVOレーザー機(株式会社キーエンス製の商品名MD-V9600)にて平均出力0.8~5W、より好ましくは1.2~2W、Qスイッチ周波数10~30KHz、スキャンスピード300~4000mm/s、より好ましくは1500~4000mm/sのパルス条件が使用される。この条件下でレーザーマーキングすることにより、包装材に大きなダメージを与えることなく、高速印字が可能であり、かつ、明瞭な印字画像を得やすくできる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
1.包装材の作製
[実施例1]
厚み12μmの延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET、融点264℃)の一方の面にコロナ処理し、該処理面に、下記組成の第1の地色層用インキ(1)を塗布、乾燥して、厚み1.5μmの第1の地色層を形成した。次いで、第1の地色層上に、下記組成の第2の地色層用インキ(1)を塗布、乾燥して、厚み1.5μmの第2の地色層を形成し、積層体A1を得た。
一方、厚み70μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)の一方の面に、水酸基を含有するポリエステル系樹脂及びイソシアネート系硬化剤を含む接着剤層用インキを塗布、乾燥して、厚み2.0μmの接着剤層を形成し、該接着剤層に厚み7μmのアルミニウム箔をドライラミネートした。次いで、アルミニウム箔上に、水酸基を含有するポリエステル系樹脂及びイソシアネート系硬化剤を含む接着剤層用インキを塗布、乾燥して、厚み2.0μmの接着剤層を形成し、積層体B1を得た。
次いで、積層体A1の第2の地色層と積層体B1の接着剤層とが対向するようにしてドライラミネートして、外層側から、PET(プラスチックフィルム)/第1の地色層/第2の地色層/接着剤層/アルミニウム箔/接着剤層/CPP(シーラント層)の積層構成からなる、実施例1の包装材を得た。
[実施例2]
第1の地色層用インキ(1)を下記の第1の地色層用インキ(2)に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2の包装材を得た。
[比較例1]
第1の地色層用インキ(1)を下記の第1の地色層用インキ(3)に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例1の包装材を得た。
[比較例2]
厚み12μmの延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET、融点264℃)の一方の面にコロナ処理し、該処理面に、下記組成の第1の地色層用インキ(4)を塗布、乾燥して、厚み1.5μmの第1の地色層を形成した。次いで、第1の地色層上に、下記組成の第2の地色層用インキ(2)を塗布、乾燥して、厚み1.5μmの第2の地色層を形成した。
次いで、厚み60μmの低密度ポリエチレンフィルム(LDPE)の一方の面に、水酸基を含有するポリエステル系樹脂及びイソシアネート系硬化剤を含む接着剤層用インキを塗布、乾燥して、厚み2.0μmの接着剤層を形成し、該接着剤層と上記第2の地色層とが対向するようにしてドライラミネートして、外層側から、PET(プラスチックフィルム)/第1の地色層/第2の地色層/接着剤層/LDPE(シーラント層)の積層構成からなる、比較例2の包装材を得た。
各インキの組成を以下に示す。
<第1の地色層用インキ(1)>
・酸化チタン 40質量部
・水酸基を含有する熱可塑性ウレタン系樹脂 10質量部
・発色剤(ATO粒子) 0.5質量部
・イソシアネート系硬化剤 1質量部
・沈降防止剤等の添加剤 1質量部
・希釈溶剤 適量
<第2の地色層用インキ(1)>
・酸化チタン 40質量部
・水酸基を含有する熱可塑性ウレタン系樹脂 10質量部
・イソシアネート系硬化剤 1質量部
・沈降防止剤等の添加剤 1質量部
・希釈溶剤 適量
<第1の地色層用インキ(2)>
・酸化チタン 40質量部
・水酸基を含有する熱可塑性ウレタン系樹脂 10質量部
・発色剤(ATO粒子) 2.0質量部
・イソシアネート系硬化剤 1質量部
・沈降防止剤等の添加剤 1質量部
・希釈溶剤 適量
<第1の地色層用インキ(3)>
・酸化チタン 5質量部
・水酸基を含有する熱可塑性ウレタン系樹脂 10質量部
・発色剤(ATO粒子) 10質量部
・イソシアネート系硬化剤 1質量部
・沈降防止剤等の添加剤 1質量部
・希釈溶剤 適量
<第1の地色層用インキ(4)>
・酸化チタン 40質量部
・水酸基を含有する熱可塑性ウレタン系樹脂 10質量部
・発色剤(ATO粒子) 2.0質量部
・沈降防止剤等の添加剤 1質量部
・希釈溶剤 適量
<第2の地色層用インキ(2)>
・酸化チタン 40質量部
・水酸基を含有する熱可塑性ウレタン系樹脂 10質量部
・沈降防止剤等の添加剤 1質量部
・希釈溶剤 適量
2.測定、評価
2-1.K値、L
実施例及び比較例の包装材の内層側(シーラント層側)に白色紙(ISO 13655で規定するホワイトバッキング)を配置して、外層側(プラスチックフィルム側)から光を5度で入射し、該入射光の正反射光に基づいて、CMYKカラーモデルに基づくK値及びLab表色系のL値を測定した。測定装置は、分光光度計(エックスライト社製、商品名:X-Rite eXact)を用いた。また、CMYKのカラープロファイルは「Japan Color 2001 Coated」を用いた。結果を表1に示す。
2-2.層間接着力
包装材の層間接着力を測定した。測定器としては、A&D社製のテンシロン万能材料試験機RTC-1310を用いた。具体的には、包装材を切り出して、プラスチックフィルムとシーラント層とを長辺方向において15mm剥離させた矩形状の試験片を準備した。試験片の幅(短辺の長さ)は15mmとした。その後、既に剥離されている部分のプラスチックフィルムを測定器の一方のつかみ具で把持し、シーラント層を測定器の他方のつかみ具で把持した。そして、つかみ具をそれぞれ、プラスチックフィルムとシーラント層とがまだ積層されている部分の面方向に対して直交する方向において互いに逆向きに、50mm/分の速度で引っ張り、安定領域(図9参照)における引張応力の平均値を測定した。引っ張りを開始する際の、つかみ具間の間隔Sは30mmとし、引っ張りを終了する際の、つかみ具間の間隔Sは60mmとした。図9は、つかみ具間の間隔Sに対する引張応力の変化を示す図である。図9に示すように、間隔Sに対する引張応力の変化は、第1領域を経て、第1領域よりも変化率の小さい第2領域(安定領域)に入る。5個の試験片について、安定領域における引張応力の平均値を算出した。結果を表1に示す。また、剥離面を目視観察した状態を併せて表1に示す。
上述したように、該平均値が0.5N/15mm以上であれば、地色層と地色層に接する層との層間接着力が0.5N/15mm以上であるとみなすことができる。
2-3.コントラスト
実施例及び比較例の包装材について、下記条件下で、プラスチックフィルム側からYVOレーザー光を照射し、レーザーマーキングを行った。
<レーザー照射条件>
株式会社キーエンス製のYVOレーザー機(商品名MD-V9600)を用い、平均出力2.4W、Qスイッチ周波数10KHz、スキャンスピード2000mm/s
<<評価手法>>
レーザーマーキングされた印字のコントラストを目視で評価した。コントラストが良好なものを3点、どちらとも言えないものを2点、コントラストが十分ではないものを1点として、20人の被験者が評価した。20人の評価の平均点を算出し、下記基準によりランク付けした。結果を表1に示す。
(評価基準)
A:平均点が2.5以上
B:平均点が1.5以上2.5未満
C:平均点が1.5未満
2-4.滲みの判別
実施例及び比較例について、2-3のレーザー照射条件を変更して、意図的に滲みが生じるようにレーザーマーキングを行った。滲みが目立たないものを3点、どちらとも言えないものを2点、滲みが目立つものを1点として、20人の被験者が評価した。20人の評価の平均点を算出し、下記基準によりランク付けした。結果を表1に示す。
(評価基準)
A:平均点が2.5以上
B:平均点が1.5以上2.5未満
C:平均点が1.5未満
表1の結果から、実施例1~2の包装材は、レーザーマーキング時の文字等の滲みが目立つことを抑制できるとともに、コントラストも確保できることが確認できる。
1 包装材
2 プラスチックフィルム
3 地色層
3a 第1の地色層
3b 第2の地色層
4 シーラント層
5 ガスバリア層
7 熱軟化性樹脂層
10 包装容器
11 胴部
12 底部
13 主面シート
14 側縁
15 下縁
16 底面シート
17 収容空間
18 上縁
19 開口
20 自動蒸通機構
21 第1未シール領域
22 開口
23 第2未シール領域
24 ノッチ
25 ヒートシール部
25a 張出部
30 蓋付容器
31 収容部
32 容器本体
33 蓋体
34 フランジ部
35 接合ライン

Claims (12)

  1. プラスチックフィルム、地色層及びシーラント層が、この順に外層側から積層されている構成を備えた包装材であって、前記地色層は酸化チタン及びバインダー樹脂を含み、前記地色層は、レーザーマーキングによって発色する成分を含み、前記成分は、前記バインダー樹脂又は発色剤であり、前記包装材のレーザーマーキングされていない部分を外層側から測定したCMYKカラーモデルに基づくK値が0.140以上0.160以下である、包装材。
  2. 前記包装材を外層側から測定したCIE L表色系のL値が80以上90未満である、請求項1に記載の包装材。
  3. 前記地色層と前記シーラント層との間にアルミニウム箔を有する、請求項1又は2に記載の包装材。
  4. 前記地色層が発色剤を含む、請求項1~3の何れか1項に記載の包装材。
  5. 前記地色層が、発色剤を含む第1の地色層と、前記第1の地色層よりも内層側に配置される第2の地色層とを有し、
    前記第2の地色層中の前記発色剤の含有量が、前記第2の地色層の全固形分の0.1質量%以下である、請求項1~4の何れか1項に記載の包装材。
  6. 前記発色剤が、ビスマス、アンチモン、銅及びモリブテンからなる金属、並びに、これら金属を含む化合物からなる群より選択される1種以上である、請求項4又は5に記載の包装材。
  7. 前記プラスチックフィルムが、ポリエステル系樹脂またはポリアミド系樹脂である、請求項1~6の何れか1項に記載の包装材。
  8. 少なくとも一部に、請求項1~7の何れか1項に記載された包装材を有する包装容器。
  9. 前記包装容器がパウチである、請求項8に記載の包装容器。
  10. 収容部を有する容器本体と、前記収容部を封止するように前記容器本体に接合された蓋体とを備えた蓋付容器であり、前記蓋体の少なくとも一部が前記包装材で形成されている、請求項8に記載の包装容器。
  11. 少なくとも一部が請求項1~7の何れか1項に記載の包装材で形成されている蓋体。
  12. 少なくとも一部が請求項1~7の何れか1項に記載の包装材で形成されているラベル。
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