JP7445588B2 - 運転案作成装置および運転案作成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、運転案を作成する運転案作成装置等に関する。
鉄道の技術として、列車の運転に係る消費エネルギーを低減する、いわゆる省エネ運転を実現するような運転曲線の作成手法が開発されている(例えば、特許文献1)。
特開2015-20637号公報
従来の作成手法は、計画ダイヤを対象とし、車両性能や線路条件等を考慮した最適化計算によって、列車の運転前に運転曲線を予め作成するものである。そして、例えば、この予め作成した運転曲線に基づく運転操縦方法を列車の運転士に提示することで、省エネ運転の実現を目指すという手法が採られていた。
しかしながら、実際の運転は計画ダイヤ通りとはならないことが多い。例えば、運行本数が多い高密度線区では列車遅延が生じ易く、遅延列車への旅客集中を避けるための列車間隔の調整や機外停止を避けることを目的として、駅での延発や抑止等の小規模な運転整理が頻繁に行われる。その結果、駅での停車時分や駅間の走行時分が変化し、計画ダイヤに沿って運転する場合の計画所要時分よりも長い時間での運行となる場合が多い。このような場合には、従来の技術を単純に適用してリアルタイムな省エネ運転曲線を作成しようとすることは、他の列車との関係性が動的に変化することもあり、困難である。特に、リアルタイムな運転曲線の作成には、演算量の低減が求められることも課題である。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、計画ダイヤに沿った計画所要時分よりも長い時間で運転する場合における省エネ運転を実現する運転案をリアルタイムに作成可能にするための技術を提供することである。
上記課題を解決するための第1の発明は、
各駅間について、当該駅間の走行に係る所定電力量の走行時分に対する傾向データを記憶する記憶手段(例えば、図5の記憶部300A、図8の記憶部300B、又は、図12の記憶部300C)と、
対象列車について計画ダイヤに沿って運転する場合の計画所要時分より長い時間で運転する場合の当該長い時間に相当する余裕時分を設定する余裕時分設定手段(例えば、図5,図8,図12の余裕時分設定部202)と、
前記傾向データに基づいて前記余裕時分を割り振る駅間および割り振る時間を決定することで、前記対象列車を前記計画所要時分より前記余裕時分だけ長い時間で運転する場合の運転案を作成する作成手段(例えば、図5の運転案作成部204A、図8の運転案作成部204B、又は、図12の運転案作成部204C)と、
を備える運転案作成装置である。
他の発明として、コンピュータシステムが、
対象列車について計画ダイヤに沿って運転する場合の計画所要時分より長い時間で運転する場合の当該長い時間に相当する余裕時分を設定するステップ(例えば、図3のステップS1)と、
所定の記憶部に記憶された各駅間に関する当該駅間の走行に係る所定電力量の走行時分に対する傾向データに基づいて、前記余裕時分を割り振る駅間および割り振る時間を決定することで、前記対象列車を前記計画所要時分より前記余裕時分だけ長い時間で運転する場合の運転案を作成するステップ(例えば、図3のステップS5,S7)と、
を実行する運転案作成方法を構成してもよい。
第1の発明等によれば、計画ダイヤに沿った計画所要時分よりも長い時間で運転する場合における省エネ運転を実現する運転案をリアルタイムに作成することが可能となる。つまり、各駅間に関して当該駅間の走行に係る所定電力量の走行時分に対する傾向データを用意し、この傾向データに基づき、余裕時分を駅間に延長時分として割り振る。余裕時分とは、計画所要時分より長い時間で運転する場合の当該長い時間に相当する時分のことである。これにより、当該駅間の走行時分が延長されることとなるため、消費エネルギーを低減した走行が可能となり、その結果、省エネ運転を実現する運転案を作成することができる。一般的に、走行時分が長くなると消費エネルギーが減少する傾向がある。しかし、駅間によっては、勾配や曲線等の線路条件が異なるため、消費エネルギーの減少の傾向が異なり得る。このため、当該駅間の走行に係る所定電力量の走行時分に対する傾向データに基づくことで、消費エネルギーが減少する傾向がより高い、つまり、走行時分を長くしたときの省エネ効果がより高い駅間に優先して余裕時分を割り振ることができる。その結果、より高い省エネ効果が得られる運転案を作成することが可能となる。
また、予め記憶された傾向データに基づき割り振る駅間および時間を決定するといった簡単な手法であるので、演算量が少ない。このため、例えば、高い省エネ効果が得られる運転案をリアルタイムに作成することを可能にするための技術を提案できる。
第2の発明は、第1の発明において、
前記傾向データは、各駅間について、当該駅間の走行時分の増加に対する前記所定電力量の減少度合を示す駅間別減少度合のデータを少なくとも含み(例えば、図4の第1傾向データ)、
前記作成手段は、前記駅間別減少度合のデータに基づいて選択する駅間の順位を決定し、決定した駅間の順に、走行に係る延長時分を割り振ることで、前記運転案を作成する、
運転案作成装置である。
第2の発明によれば、傾向データには、駅間の走行時分の増加に対する所定電力の減少度合のデータが含まれる。このため、例えば、所定電力量が力行電力量である場合には、傾向データに基づき、所定電力量の減少度合が大きい順に駅間の順位を決定することで、走行時分を長くしたときの省エネ効果がより高い駅間から順に余裕時分を割り振ることができる。その結果、より省エネ効果が高い運転案の作成が可能となる。
第3の発明は、第1の発明において、
前記傾向データは、各駅間について、当該駅間の走行時分を所定時分ずつ増加させた場合の各増加段階に対する前記所定電力量の減少度合を示す駅間別段階別減少度合のデータを少なくとも含み(例えば、図6の第2傾向データ)、
前記作成手段は、前記駅間別段階別減少度合のデータに基づいて、駅間の選択と当該駅間への延長時分の割り振りとを繰り返し行うことで、前記運転案を作成する、
運転案作成装置である。
第3の発明によれば、傾向データには、駅間の走行時分を所定時分ずつ増加させた場合の各増加段階に対する所定電力量の減少度合を示す駅間別段階別減少度合データが含まれる。同じ駅間であっても、走行時分の増加時分によって所定電力量の減少度合が異なり得る。このため、例えば、所定電力量が力行電力量である場合に、傾向データに基づき、各駅間の走行時分を段階的に増加させた各増加段階に対する所定電力量の減少度合が大きい駅間の選択、および、当該駅間への延長時分の割り振りを繰り返し行うことで、より省エネ効果が高い運転案の作成が可能となる。
第4の発明は、第1の発明において、
前記傾向データは、各駅間について、当該駅間の走行時分を前記計画走行時分から増加させた各増加時分に対する前記所定電力量の減少度合を示す駅間別増加時分別減少度合のデータを少なくとも含み(例えば、図11の第3傾向データ)、
前記作成手段は、前記駅間別増加時分別減少度合のデータに基づいて、選択する駅間および割り振る延長時分の組み合わせの順位を決定し、決定した順に、当該組み合わせに係る駅間に当該組み合わせに係る延長時分を割り振ることで、前記運転案を作成する、
運転案作成装置である。
第4の発明によれば、傾向データには、駅間の走行時分を計画走行時分から増加させた各増加時分に対する所定電力量の減少度合を示す駅間別増加時分別減少度合のデータが含まれる。同じ駅間であっても、計画走行時分からの増加時分によって所定電力量の減少度合が異なり得る。このため、例えば、所定電力量が力行電力量である場合には、駅間および延長時分の組み合わせについて、当該駅間の走行時分を当該延長時分だけ増加させたときの所定電力量の減少度合が大きい順に順位を決定することで、より省エネ効果が高い運転案の作成が可能となる。
第5の発明は、第1~第4の何れかの発明において、
前記傾向データは、各駅間について、走行時分が同じで運転操縦方法が異なる複数の運転曲線で運転した場合の各運転曲線に関する前記傾向データを含み(例えば、図14の第1傾向データ、図15の第2傾向データ、図11の第3傾向データ)、
前記作成手段は、割り振る駅間に適用する運転曲線を前記傾向データに基づいて決定する、
運転案作成装置である。
第5の発明によれば、傾向データには、各駅間について走行時分が同じで運転操縦方法が異なる複数の運転曲線で運転した場合の各運転曲線に関する傾向データが含まれる。駅間の走行時分が同じであっても運転曲線が異なれば走行に係る所定電力量が異なり得る。そのため、各運転曲線に関する傾向データに基づくことで、運転曲線の違い、つまり運転操縦の違いを考慮して、省エネ効果がより高い駅間を優先して余裕時分を割り振ることができる。そして、割り振る駅間に適用する運転曲線を、より省エネ効果が高いことを示す傾向データに関する運転曲線とすることで、運転案の作成が容易となる。
第6の発明は、第1~第5の何れかの発明において、
前記作成手段は、前記運転案として、1)前記計画ダイヤを変更した変更ダイヤ、2)運転曲線、3)運転中の運転士に示すための運転操縦案内、のうちの少なくとも何れか1つを作成する、
運転案作成装置である。
第6の発明によれば、運転案として、計画ダイヤを変更した変更ダイヤ、運転曲線、運転中の運転士に示すための運転操縦案内、の少なくとも何れか1つが作成される。
第7の発明は、第1~第6の何れかの発明において、
前記所定電力量は、力行電力量である、
運転案作成装置である。
第7の発明によれば、走行時分に対する力行電力量の傾向データに基づき、例えば、力行電力量の減少度合が大きい駅間を、走行時分を長くしたときの省エネ効果がより高い駅間とすることができる。
第8の発明は、第1~第7の何れかの発明において、
前記作成手段は、各駅間のうち、所与の除外駅間を除外して割り振る駅を決定する、
運転案作成装置である。
第8の発明によれば、各駅間のうち、所与の除外駅間を除外して割り振る駅間が決定される。これにより、例えば、旅客の利便性を優先させて走行時分を増加させたくない駅間を除外駅間として設定するといったことができる。
余裕時分の設定の説明図。 WTプロットの一例。 運転案作成処理のフローチャート。 第1実施例における傾向データおよび余裕時分の割り振りの説明図。 第1実施例における運転案作成装置の機能構成例。 第2実施例における傾向データの説明図。 第2実施例における余裕時分の割り振りの説明図。 第2実施例における運転案作成装置の機能構成例。 ブレーキパターン毎のWTプロットの説明図。 第3実施例における傾向データおよび余裕時分の割り振りの説明図。 第3実施例における傾向データおよび余裕時分の割り振りの説明図。 第3実施例における運転案作成装置の機能構成例。 第1傾向データの他の例。 第1傾向データの他の例。 第2傾向データの他の例。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態の一例を説明する。なお、以下に説明する実施形態によって本発明が限定されるものではなく、本発明を適用可能な形態が以下の実施形態に限定されるものでもない。また、図面の記載において、同一要素には同符号を付す。
[概要]
本実施形態の運転案作成装置1は、対象列車について、計画ダイヤに沿って運転する場合の計画所要時分より余裕時分だけ長い時間で運転する場合の余裕時分を設定する。次いで、各駅間について当該駅間の走行に係る所定電力量の走行時分に対する傾向データに基づいて余裕時分を割り振る駅間および割り振る時間を決定する。そして、対象列車を計画所要時分より余裕時分だけ長い時間で運転する場合の運転案を作成する。
[余裕時分の設定]
図1は、余裕時分の設定を説明する図である。本実施形態では、計画ダイヤに沿って運転する場合の計画所要時分より余裕時分だけ長い時間で運転することを運転整理とし、計画ダイヤと、運転整理が行われた後のダイヤである変更ダイヤとを比較して余裕時分を設定する。余裕時分とは、計画所要時分より長い時間で運転する場合の当該長い時間に相当する時分である。つまり、計画ダイヤにおける各列車を対象列車とし、計画ダイヤでの各駅の停車時分に対して延発や抑止等の運転整理により長くなった時分を抽出する。そして、抽出した時分の合計時分を対象列車の余裕時分として設定する。
[WTプロット]
本実施形態では、走行に係る所定電力量を力行電力量とする。そして、各駅間について当該駅間の走行時分に対する力行電力量の傾向データは、対象列車についてのWTプロットから作成する。
図2は、WTプロットを説明する図である。WTプロットとは、走行時分Tと力行電力量Wとの関係である。例えば、図2に示すように、WTプロットは、横軸を駅間の走行時分T、縦軸を当該駅間の走行に係る力行電力量Wとしたグラフで表される。図2では、“列車A”の“ab駅間”についてのWTプロットの一例を示している。本実施形態において、WTプロットは、計画ダイヤで定められる駅間の走行時分(以下「計画走行時分」という。図2では“160秒”)に対して所定時分(図2では“5秒”)ずつ変化させた各走行時分における当該駅間の走行に係る力行電力量を求めることで作成される。つまり、本実施形態におけるWTプロットは、走行時分の変化時分毎の離散的なプロットであるが、これらのプロットを補間等により繋いだ曲線としてもよい。一般的に、走行時分が長くなるほど、力行電力量は減少する傾向がある。
[処理の流れ]
図3は、運転案作成装置1が行う運転案作成処理の流れを説明するフローチャートである。処理の前提として、運転案作成装置1には、計画ダイヤと、この計画ダイヤに対して運転整理が行われた後の変更ダイヤと、各列車の傾向データとが与えられているとする。
運転案作成装置1は、計画ダイヤの各列車を対象列車として以下の処理を行う。すなわち、先ず、計画ダイヤと変更ダイヤとを比較し、計画ダイヤにおける対象列車の各駅の停車時分に対して運転整理により長くなった時分を抽出し、その合計時分を対象列車の余裕時分として設定する(ステップS1)。また、計画ダイヤの走行時分から延長しない駅間(除外駅間)を設定する(ステップS3)。除外駅間は、例えば、旅客利便性を考慮して設定される。
次いで、対象列車の傾向データに基づき、除外駅間を除外した各駅間について、余裕時分を割り振る駅間および割り振る走行時分を決定する(ステップS5)。この決定の仕方については詳細を後述する。
そして、各駅間の割り振り後の走行時分を満たす運転案を作成する(ステップS7)。運転案としては、例えば、各駅間について、計画ダイヤで定められる走行時分(計画走行時分)に当該駅間に割り振った時分を加算した時分を変更後の走行時分として決定し、この変更後の走行時分を満たすような運転曲線および運転操縦方法を作成する。運転操縦方法とは、力行(ノッチを含む)やブレーキ(ノッチを含む)、惰行といった運転操縦の組み合わせである。また、計画ダイヤで定められる停車時分となるように各駅の着発時刻を決定して、計画ダイヤを変更した変更ダイヤを作成する。この変更ダイヤを運転案として作成してもよい。このとき、計画ダイヤにおいて遅延回復のための停車時分や折り返し時分等が付加されている駅については、計画ダイヤにおける停車時分からその付加時分を差し引いた時分を停車時分として、各駅の着発時刻を決定してもよい。
以下、傾向データ、および、傾向データに基づく余裕時分の割り振り(ステップS5)について、具体的な3つの実施例を順に説明する。
[第1実施例]
第1実施例では、傾向データを、各駅間について、当該駅間の走行時分の増加に対する力行電力量の減少度合を示す駅間別減少度合のデータとする。そして、その駅間別減少度合のデータに基づいて選択する駅間の順位を決定し、決定した駅間の順に、走行に係る延長時分を割り振ることで、運転案を作成する。
<傾向データおよび余裕時分の割り振り>
図4は、第1実施例における傾向データ(以下「第1傾向データ」という)、および、第1傾向データに基づく余裕時分の割り振りを説明する図である。第1実施例における第1傾向データは、対象列車のWTプロットから、図4に示すように作成する。
すなわち、図4の上側に示すように、対象列車のWTプロットは、各駅間について用意される。先ず、各駅間について、当該駅間のWTプロットから、当該駅間の走行時分の単位時分当たりの力行電力量の減少量である力行電力量減少率を、当該駅間の走行時分の増加に対する力行電力量の減少度合として算出する。力行電力量減少率は、例えば、WTプロットにおける最小の走行時分t0に対する力行電力量W0と、最大の走行時分tnに対する力行電力量Wnとから、力行電力量減少率={-(Wn-W0)/(tn-t0)}、として算出される。例えば、図2の例であれば、最小の走行時分t0が“155秒”に該当し、最大の走行時分tnが“180秒”に該当する。そして、図4の中央に示すように、各駅間の力行電力量減少率の一覧(リスト)である駅間別減少度合のデータを、対象列車の第1傾向データとする。本実施形態では、傾向データは、列車毎のデータである。そのため、第1傾向データも、ある列車(=対象列車)を対象とした各駅間のデータである。
続いて、図4の下側に示すように、対象列車の第1傾向データから、各駅間を、対応する力行電力量減少率が大きい順に順位付けした第1ランキング表を作成する。そして、この第1ランキング表の順位に従って、各駅間に所定時分(例えば、20秒)を延長時分として割り振っていくことを、割り振った時間が余裕時分に達するまで行う。このとき、割り振った延長時分の合計が余裕時分に一致するようにする。例えば、最後に割り振る駅間については、所定時分以下となる時分を割り振る。力行電力量減少率が大きい駅間とは、走行時分の増加に対する力行電力量の減少度合が高い、つまり走行時分の増加に対する省エネ効果が高いと推測される駅間である。このことから、そのような駅間を優先して余裕時分を割り振ることで、より省エネ効果が高い運転案を作成することができる。
<機能構成>
図5は、第1実施例における運転案作成装置1Aの機能構成の一例である。図5によれば、運転案作成装置1Aは、操作部102と、表示部104と、音出力部106と、通信部108と、処理部200Aと、記憶部300Aとを備えて構成され、一種のコンピュータシステムとして実現される。なお、運転案作成装置1Aは、1台のコンピュータで実現してもよいし、複数台のコンピュータを接続して構成することとしてもよい。
操作部102は、例えばキーボードやマウス、タッチパネル、各種スイッチ等の入力装置で実現され、なされた操作に応じた操作信号を処理部200Aに出力する。表示部104は、例えば液晶ディスプレイやタッチパネル等の表示装置で実現され、処理部200Aからの表示信号に基づく各種表示を行う。音出力部106は、例えばスピーカ等の音出力装置で実現され、処理部200Aからの音信号に基づく各種音出力を行う。通信部108は、例えば無線通信モジュールやルータ、モデム、有線用の通信ケーブルのジャックや制御回路等で実現される通信装置であり、所与の通信ネットワークに接続して外部装置とのデータ通信を行う。
処理部200Aは、CPU(Central Processing Unit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の演算装置や演算回路で実現されるプロセッサーであり、記憶部300Aに記憶されたプログラムやデータ、操作部102や通信部108からの入力データ等に基づいて、運転案作成装置1Aの全体制御を行う。
また、処理部200Aは、機能的な処理ブロックとして、余裕時分設定部202と、運転案作成部204Aとを有する。処理部200Aが有するこれらの各機能部は、処理部200Aがプログラムを実行することでソフトウェア的に実現することも、専用の演算回路で実現することも可能である。本実施形態では、前者のソフトウェア的に実現することとして説明する。
余裕時分設定部202は、対象列車について計画ダイヤに沿って運転する場合の計画所要時分より長い時間で運転する場合の当該長い時間に相当する余裕時分を設定する。つまり、計画ダイヤにおける各列車を対象列車とし、計画ダイヤと変更ダイヤとを比較して、計画ダイヤでの各駅の停車時分に対して延発や抑止等の運転整理により長くなった時分を抽出し、その合計時分を対象列車の余裕時分として設定する(図1参照)。計画ダイヤは、計画ダイヤデータ304として記憶され、変更ダイヤは変更ダイヤデータ306として記憶されている。
運転案作成部204Aは、傾向データに基づいて余裕時分を割り振る駅間および割り振る時間を決定することで、対象列車を計画所要時分より余裕時分だけ長い時間で運転する場合の運転案を作成する。具体的には、第1傾向データ310Aである、各駅間について当該駅間の走行時分の増加に対する力行電力量の減少度合を示す駅間別減少度合のデータに基づいて、選択する駅間の順位を決定し、決定した駅間の順に、走行に係る延長時分を割り振ることで、運転案を作成する(図4参照)。このとき、各駅間のうち、所与の除外駅間を除外して割り振る駅を決定する。また、運転案として、1)計画ダイヤを変更した変更ダイヤ、2)運転曲線、3)運転中の運転士に示すための運転操縦案内、のうちの少なくとも何れか1つを作成する。作成した運転案は、運転案データ320Aとして記憶される。
記憶部300Aは、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のIC(Integrated Circuit)メモリやハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置で実現され、処理部200が運転案作成装置1Aを統合的に制御するためのプログラムやデータ等を記憶しているとともに、処理部200Aの作業領域として用いられ、処理部200Aが実行した演算結果や、操作部102や通信部108からの入力データ等が一時的に格納される。本実施形態では、記憶部300Aには、運転案作成プログラム302Aと、計画ダイヤデータ304と、変更ダイヤデータ306と、第1傾向データ310Aと、運転案データ320Aとが記憶される。
第1傾向データ310Aは、各駅間について、当該駅間の走行に係る力行電力量の走行時分に対する傾向データである。具体的には、各駅間について、当該駅間の走行時分の増加に対する力行電力量の減少度合を示す駅間別減少度合のデータである(図4参照)。
[第2実施例]
第2実施例では、傾向データを、各駅間について、当該駅間の走行時分を所定時分ずつ増加させた場合の各増加段階に対する力行電力量の減少度合を示す駅間別段階別減少度合のデータとする。そして、その駅間別段階別減少度合のデータに基づいて、駅間の選択と当該駅間への延長時分の割り振りとを繰り返し行うことで、運転案を作成する。
<傾向データ>
図6は、第2実施例における傾向データ(以下「第2傾向データ」という)を説明する図である。第2実施例における第2傾向データは、対象列車のWTプロットから、図6に示すように作成する。
すなわち、図6の上側に示すように、対象列車のWTプロットは、各駅間について用意される。そして、各駅間について、当該駅間のWTプロットから、当該駅間の計画走行時分からの増加時分を単位時分で区切った各増加段階での力行電力量の減少量である力行電力量減少量を、当該駅間の走行時分を所定時分ずつ増加させた場合の各増加段階に対する力行電力量の減少度合として算出する。走行時分を区切る単位時分は、例えば、WTプロットの作成の際に力行電力量を求めた走行時分の変化時分(例えば、5秒)とすることができる。そして、図6の下側に示すように、各駅間の各増加段階での力行電力量減少量の一覧(リスト)である駅間別増加段階別減少度合のデータを、対象列車の第2傾向データとする。本実施形態では、傾向データは、列車毎のデータである。そのため、第2傾向データも、ある列車(=対象列車)を対象とした各駅間の増加段階毎のデータである。
<余裕時分の割り振り>
図7は、第2傾向データに基づく余裕時分の割り振りを説明する図である。第2実施例では、第2傾向データに基づいて、駅間を順位付けした第2ランキング表の作成と、この第2ランキング表に基づく駅間の選択および当該駅間への延長時分の割り振りとを繰り返し行う。
先ず、図7の上側に示すように、各駅間を、計画走行時分から最初の増加段階(図7の例では、0~5秒)での力行電力量減少量が大きい順に順位付けした1回目の第2ランキング表を作成する。そして、図7の中央に示すように、この1回目の第2ランキング表において順位が最高(1位)の駅間を選択し、当該駅間に単位時分(例えば、5秒)を延長時分として割り振る。
次いで、図7の下側に示すように、今回延長時分を割り振った駅間についてはその次の増加段階での力行電力量減少量に置き換えて、同様に、各駅間を、増加段階での力行電力量が大きい順に順位付けした2回目の第2ランキング表を作成する。そして、同様に、2回目のランキング表において順位が最高(1位)の駅間を選択し、当該駅間に単位時分(例えば、5秒)を延長時分として割り振る。このように、第2ランキング表の作成および延長時分の割り振りを、余裕時分の全てを割り振るまで繰り返す。
<機能構成>
図8は、第2実施例における運転案作成装置1Bの機能構成の一例である。なお、図8において、図5と同一要素については同符号を付し、詳細な説明を省略する。図8によれば、運転案作成装置1Bにおいて、処理部200Bは、機能的な処理ブロックとして、余裕時分設定部202と、運転案作成部204Bとを有する。
運転案作成部204Bは、傾向データに基づいて余裕時分を割り振る駅間および割り振る時間を決定することで、対象列車を計画所要時分より余裕時分だけ長い時間で運転する場合の運転案を作成する。具体的には、第2傾向データ310Bである、各駅間について当該駅間の走行時分を所定時分ずつ増加させた場合の各増加段階に対する力行電力量の減少度合を示す駅間別段階別減少度合のデータに基づいて、駅間の選択と当該駅間への延長時分の割り振りとを繰り返し行うことで、運転案を作成する(図6,7参照)。このとき、各駅間のうち、所与の除外駅間を除外して割り振る駅を決定する。また、運転案として、1)計画ダイヤを変更した変更ダイヤ、2)運転曲線、3)運転中の運転士に示すための運転操縦案内、のうちの少なくとも何れか1つを作成する。作成した運転案は、運転案データ320Bとして記憶される。
記憶部300Bには、運転案作成プログラム302Bと、計画ダイヤデータ304と、変更ダイヤデータ306と、第2傾向データ310Bと、運転案データ320Bと、が記憶される。
第2傾向データ310Bは、各駅間について、当該駅間の走行に係る力行電力量の走行時分に対する傾向データである。具体的には、各駅間について、当該駅間の走行時分を所定時分ずつ増加させた場合の各増加段階に対する力行電力量の減少度合を示す駅間別段階別減少度合のデータである(図6参照)。
[第3実施例]
第3実施例では、傾向データを、各駅間について、当該駅間の走行時分を計画走行時分から増加させた各増加時分に対する力行電力量の減少度合を示す駅間別増加時分別減少度合のデータとするとともに、走行時分が同じで運転操縦方法が異なる複数の運転曲線で運転した場合の各運転曲線に関するデータとする。そして、その駅間別増加時分別減少度合のデータに基づいて、選択する駅間および割り振る延長時分の組み合わせの順位を決定し、決定した順に、当該組み合わせに係る駅間に当該組み合わせに係る延長時分を割り振ることで、運転案を作成する。
<走行時分が同じで運転操縦方法が異なる運転曲線>
図9は、ある駅間の運転曲線の一例を示す図である。図9の上側には、ある駅間の運転曲線として、走行時分が同じであり、運転操縦方法としてブレーキパターンが異なる3種類の運転曲線を示している。ブレーキパターンとは、運転操縦の1つであるブレーキ扱い(使用するノッチ、速度帯に応じて複数のノッチを設定することも含む)である。図9の上側に示すように、走行時分が同じであっても、運転操縦の1つであるブレーキパターンが異なると、力行や惰行といった他の運転操縦の扱いが異なることから、運転曲線が異なるとともに、力行電力量も異なり得る。つまり、ブレーキパターン毎に、当該ブレーキパターンを含む運転曲線として走行時分が異なる複数の運転曲線が存在することから、図9の下側に示すように、各ブレーキパターンについてWTプロットが作成される。
<傾向データ>
図10,図11は、第3実施例における傾向データ(以下「第3傾向データ」という)および余裕時分の割り振りを説明する図である。第3実施例における第3傾向データは、対象列車のWTプロットから、図10,図11に示すように作成する。
すなわち、図10に示すように、WTプロットは、各駅間について、ブレーキパターン毎に用意される。各駅間について、ブレーキパターン毎に、対応するWTプロットから、当該駅間の走行時分を計画走行時分から増加させた各増加時分に対する力行電力量の減少量を、当該駅間の走行時分を計画走行時分から増加させた各増加時分に対する力行電力量の減少度合として算出する。
そして、図11の上側に示すように、駅間および増加時分の組み合わせそれぞれについてのブレーキパターン毎の力行電力量減少量の一覧(リスト)である駅間別増加時分別減少度合のデータを、対象列車の第3傾向データとする。本実施形態では、傾向データは、列車毎のデータである。そのため、第3傾向データも、ある列車(=対象列車)を対象とした各駅間の各増加段階のブレーキパターン毎のデータである。この第3傾向データから、各駅間について、当該駅間と各増加時分との組み合わせのうち、力行電力量が最大となる1つの組み合わせを抽出し、その力行電力量および対応するブレーキパターンを、当該組み合わせに対応する力行電力量減少量およびブレーキパターンとする。
続いて、図11の下側に示すように、抽出した駅間および増加時分の組み合わせそれぞれを、対応する力行電力減少量が大きい順に順位付けした第3ランキング表を作成する。そして、この第3ランキング表の順位に従って、各駅間に、当該駅間との組み合わせである増加時分を延長時分として割り振っていく。このとき、各駅間に割り振った延長時分の合計が、余裕時分に一致するようにする。
<運転案の作成>
更に、第3実施例では、対象列車の各駅間のうち、延長時分を割り振った駅間については、第3ランキング表において当該駅間に対応付けられているブレーキパターンを含む運転曲線を適用して、運転案を作成する。例えば、図11の例では、順位が“1位”の“bc駅間”の“+15秒”については、ブレーキパターン“BP3”を含む運転曲線を適用する。これは、第3ランキング表において各駅間に対応する力行電力量減少量は、当該駅間の走行時分を当該駅間との組み合わせである増加時分だけ長くしたときの力行電力量減少量であるとともに、その力行電力量減少量は、当該組み合わせに対応するブレーキパターンを含む運転曲線で走行したときに実現されるからである。
<機能構成>
図12は、第3実施例における運転案作成装置1Cの機能構成の一例である。なお、図12において、図5と同一要素については同符号を付し、詳細な説明を省略する。図12によれば、運転案作成装置1Cにおいて、処理部200Cは、機能的な処理ブロックとして、余裕時分設定部202と、運転案作成部204Cとを有する。
運転案作成部204Cは、傾向データに基づいて余裕時分を割り振る駅間および割り振る時間を決定することで、対象列車を計画所要時分より前記余裕時分だけ長い時間で運転する場合の運転案を作成する。具体的には、第3傾向データは、各駅間について当該駅間の走行時分を計画走行時分から増加させた各増加時分に対する力行電力量の減少度合を示す駅間別増加時分別減少度合のデータであるとともに、各駅間についてブレーキパターンの異なる運転曲線で運転した場合の各運転曲線に関するデータとする。この第3傾向データに基づいて、選択する駅間および割り振る延長時分の組み合わせの順位を決定し、決定した順に、当該組み合わせに係る駅間に当該組み合わせに係る延長時分を割り振ることで、運転案を作成する(図10,図11参照)。このとき、各駅間のうち、所与の除外駅間を除外して割り振る駅を決定する。また、運転案として、1)計画ダイヤを変更した変更ダイヤ、2)運転曲線、3)運転中の運転士に示すための運転操縦案内、のうちの少なくとも何れか1つを作成する。
記憶部300Cには、運転案作成プログラム302Cと、計画ダイヤデータ304と、変更ダイヤデータ306と、第3傾向データ310Cと、運転案データ320Cと、が記憶される。
第3傾向データ310Cは、各駅間について、当該駅間の走行に係る力行電力量の走行時分に対する傾向データである。具体的には、各駅間について、当該駅間の走行時分を計画走行時分から増加させた各増加時分に対する力行電力量の減少度合を示す駅間別増加時分別減少度合のデータであるとともに、各駅間について、ブレーキパターンの異なる運転曲線で運転した場合の各運転曲線に関するデータである(図11参照)。
[作用効果]
以上複数の実施例を説明したが、本実施形態によれば、計画ダイヤに沿った計画所要時分よりも長い時間で運転する場合における省エネ運転を実現する運転案をリアルタイムに作成することが可能となる。つまり、各駅間に関して当該駅間の走行に係る所定電力量の走行時分に対する傾向データを用意し、この傾向データに基づき、余裕時分を駅間に延長時分として割り振る。これにより、当該駅間の走行時分が延長されることとなるため、消費エネルギーを低減した走行が可能となり、その結果、省エネ運転を実現する運転案を作成することができる。一般的に、走行時分が長くなると消費エネルギーが減少する傾向がある。しかし、駅間によっては、勾配や曲線等の線路条件が異なるため、消費エネルギーの減少の傾向が異なり得る。このため、当該駅間の走行に係る所定電力量の走行時分に対する傾向データに基づくことで、消費エネルギーが減少する傾向がより高い、つまり、走行時分を長くしたときの省エネ効果がより高い駅間に優先して余裕時分を割り振ることができる。その結果、より高い省エネ効果が得られる運転案を作成することが可能となる。
また、予め記憶された傾向データに基づき割り振る駅間および時間を決定するといった簡単な手法であるので、演算量が少ない。このため、例えば、高い省エネ効果が得られる運転案をリアルタイムに作成することを可能にするための技術を提案できる。
[変形例]
なお、本発明の適用可能な実施形態は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能なのは勿論である。
(A)第1実施例の変形例その1
第1実施例において、第1傾向データを、対象列車を含む複数の列車についてのWTプロットから作成するようにしてもよい。
図13は、第1傾向データの他の例を示す図である。図13の上側に示すように、計画ダイヤにおける列車であって対象列車を含む各列車について、対象列車と同様に、当該列車のWTプロットから、各駅間についての力行電力量減少率を算出する、そして、図13の中央に示すように、共通する各駅間について、各列車の力行電力量減少率の平均を求め、図13の下側に示すように、この平均力行電力量減少率が大きい順に駅間を順位付けして、第1ランキング表を作成する。
(B)第1実施例の変形例その2
第1実施例において、第1傾向データを、各駅間について走行時分が同じで運転操縦方法が異なる複数の運転曲線で運転した場合の各運転曲線に関するデータを含むようにしてもよい。
図14は、第1傾向データの更なる他の例を示す図である。図14の上側に示すように、第3実施例と同様に、対象列車のWTプロットとして、各駅間についてブレーキパターン毎のWTプロットを用意する。そして、各駅間について、ブレーキパターン毎に、対応するWTプロットから力行電力量減少率を算出する。次いで、図14の中央に示すように、各駅間についてのブレーキパターン毎の力行電力量減少率の一覧(リスト)を、第1傾向データとする。そして、この第1傾向データから、各駅間について、力行電力量が最大となるブレーキパターンとの組み合わせを抽出する。続いて、図14の下側に示すように、抽出した駅間およびブレーキパターンの組み合わせについて、対応する力行電力量減少率が大きい順に順位付けした第1ランキング表を作成する。
この場合、運転案の作成に際して、余裕時分を延長時分として割り振った駅間については、第1ランキング表において当該駅間に対応付けられているブレーキパターンを含む運転曲線を、当該駅間の運転曲線として適用する。これは、この第1ランキング表において、各駅間に対応する力行電力量減少量は、当該駅間に対応するブレーキパターンを含む運転曲線で走行したときに実現されるからである。
(C)第2実施例の変形例
第2実施例において、第2傾向データを、各駅間について走行時分が同じで運転操縦方法が異なる複数の運転曲線で運転した場合の各運転曲線に関するデータを含むようにしてもよい。
図15は、第2傾向データの他の例を示す図である。第3実施例と同様に、対象列車のWTプロットとして、各駅間についてブレーキパターン毎のWTプロットを用意する。そして、図15の上側に示すように、各駅間について、対応するブレーキパターン毎のWTプロットから、増加段階ごとに、ブレーキパターン別の力行電力量減少量を算出する。次いで、各駅間について、増加段階ごとに、力行電力量減少量が最大となるブレーキパターンとの組み合わせを抽出し、図15に下側に示すように、各駅間について増加段階別に抽出した力行電力量およびブレーキパターンを対応付けた一覧(リスト)を、第2傾向データとする。
この場合、運転案の作成に際して、余裕時分を延長時分として割り振った駅間については、第2ランキング表において当該駅間に対応付けられているブレーキパターンを含む運転曲線を、当該駅間の運転曲線として適用する。これは、この第2ランキング表において、各駅間に対応する力行電力量減少量は、当該駅間に対応するブレーキパターンを含む運転曲線で走行したときに実現されるからである。
(D)所定電力量
上述の実施形態では、走行に係る所定電力量を力行電力量としたが、力行電力量から回生電力量を差し引いた消費エネルギーとしてもよい。
1(1A,1B,1C)…運転案作成装置
200A,200B,200C…処理部
202…余裕時分設定部
204A,204B,204C…運転案作成部
300A,300B,300C…記憶部
302A,302B,302C…運転案作成プログラム
304…計画ダイヤデータ
306…変更ダイヤデータ
310A…第1傾向データ
310B…第2傾向データ
320C…第3傾向データ
320A,320B,320C…運転案データ

Claims (6)

  1. 各駅間について、当該駅間の走行に係る所定電力量の走行時分に対する傾向データを記憶する記憶手段と、
    対象列車について計画ダイヤに沿って運転する場合の計画所要時分より長い時間で運転する場合の当該長い時間に相当する余裕時分を設定する余裕時分設定手段と、
    前記傾向データに基づいて前記余裕時分を割り振る駅間および割り振る時間を決定することで、前記対象列車を前記計画所要時分より前記余裕時分だけ長い時間で運転する場合の運転案を作成する作成手段と、
    を備え
    前記傾向データは、各駅間について、当該駅間の走行時分を前記計画所要時分から増加させた各増加時分に対する前記所定電力量の減少度合を示す駅間別増加時分別減少度合のデータを少なくとも含み、
    前記作成手段は、前記駅間別増加時分別減少度合のデータに基づいて、選択する駅間および割り振る延長時分の組み合わせの順位を決定し、決定した順に、当該組み合わせに係る駅間に当該組み合わせに係る延長時分を割り振ることで、前記運転案を作成する、
    運転案作成装置。
  2. 前記傾向データは、各駅間について、走行時分が同じで運転操縦方法が異なる複数の運転曲線で運転した場合の各運転曲線に関する前記傾向データを含み、
    前記作成手段は、割り振る駅間に適用する運転曲線を前記傾向データに基づいて決定する、
    請求項に記載の運転案作成装置。
  3. 前記作成手段は、前記運転案として、1)前記計画ダイヤを変更した変更ダイヤ、2)運転曲線、3)運転中の運転士に示すための運転操縦案内、のうちの少なくとも何れか1つを作成する、
    請求項1又は2に記載の運転案作成装置。
  4. 前記所定電力量は、力行電力量である、
    請求項1~の何れか一項に記載の運転案作成装置。
  5. 前記作成手段は、各駅間のうち、所与の除外駅間を除外して割り振る駅を決定する、
    請求項1~の何れか一項に記載の運転案作成装置。
  6. コンピュータシステムが、
    対象列車について計画ダイヤに沿って運転する場合の計画所要時分より余裕時分だけ長い時間で運転する場合の前記余裕時分を設定するステップと、
    所定の記憶部に記憶された各駅間に関する当該駅間の走行に係る所定電力量の走行時分に対する傾向データに基づいて、前記余裕時分を割り振る駅間および割り振る時間を決定することで、前記対象列車を前記計画所要時分より前記余裕時分だけ長い時間で運転する場合の運転案を作成するステップと、
    を実行する運転案作成方法であって、
    前記傾向データは、各駅間について、当該駅間の走行時分を前記計画所要時分から増加させた各増加時分に対する前記所定電力量の減少度合を示す駅間別増加時分別減少度合のデータを少なくとも含み、
    前記運転案を作成するステップは、前記駅間別増加時分別減少度合のデータに基づいて、選択する駅間および割り振る延長時分の組み合わせの順位を決定し、決定した順に、当該組み合わせに係る駅間に当該組み合わせに係る延長時分を割り振ることで、前記運転案を作成するステップである、
    運転案作成方法
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