JP7440757B2 - H形鋼およびその製造方法 - Google Patents

H形鋼およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7440757B2
JP7440757B2 JP2020057120A JP2020057120A JP7440757B2 JP 7440757 B2 JP7440757 B2 JP 7440757B2 JP 2020057120 A JP2020057120 A JP 2020057120A JP 2020057120 A JP2020057120 A JP 2020057120A JP 7440757 B2 JP7440757 B2 JP 7440757B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
less
flange
steel
content
toughness
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2020057120A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2021155804A (ja
Inventor
昌毅 溝口
宗理 原
和章 光安
駿介 山岸
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP2020057120A priority Critical patent/JP7440757B2/ja
Publication of JP2021155804A publication Critical patent/JP2021155804A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7440757B2 publication Critical patent/JP7440757B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Heat Treatment Of Steel (AREA)

Description

本発明は、H形鋼およびその製造方法に関する。
近年、高層ビルなど建築物の大型化や高層化が進んでおり、構造上の主要な強度部材として、厚手の鋼材が利用されている。しかしながら、一般に、鉄鋼材料は、製品の厚さが増大するほど、強度の確保が難しくなり、さらに靭性の確保も難しくなる傾向にある。
また、大型の建築物には、フランジの厚みが25mm以上のH形鋼(以下、極厚H形鋼という。)の使用が望まれているが、H形鋼は形状が特異であり、ユニバーサル圧延では圧延条件(温度、圧下率)が制限される。そのため、特に、極厚H形鋼を製造する場合、ウェブ、フランジ、フィレット等の各部位での機械的特性の差が大きくなることがある。
このような問題に対し、例えば特許文献1には、フランジ厚が40~150mmである高強度H形鋼に関し、MgとSとを主体とした析出物を鋼中に微細に分散させる事で旧γ粒径を微細化し、更にCを0.05%未満として、かつMn、Cu、Ni、Nb、B等の合金元素を含有させる事で、加速冷却を使用せずに高い降伏強度と良好な靭性とを両立する技術が提案されている。
従来、フランジの厚みが25mm以上である極厚H形鋼には、室温か、せいぜい0℃での靭性が要求されていた。しかしながら、近年、寒冷地等での使用を考慮して、より低温での靭性が要求される場合がある。また、鋼材の重量低減を図るため、降伏強度の高い、具体的には、降伏強度もしくは0.2%耐力が、450MPa以上の鋼材の需要が高まっている。
しかしながら、発明者らの検討の結果、特許文献1の技術では、21℃でのシャルピー衝撃吸収エネルギーについては確保できるものの、MA(マルテンサイト-オーステナイト)の生成により0℃未満の低温での靭性が必ずしも安定しないという問題があった。また、強度確保のために添加すべき合金によるコスト上昇が大きい事も問題であった。
特開2015-117386号公報
本発明は、上述した実情に鑑みてなされたものであり、強度および低温靭性に優れるH形鋼およびH形鋼の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]質量%で、C:0.050~0.150%、Si:0.06%以下、Mn:1.00~2.00%、Cr:0.01~1.00%、Al:0.001~0.100%、Ti:0.001~0.025%、B:0.0003%以下、N:0.0001~0.0080%、S:0.0010~0.0200%、Mg:0.0005~0.0050%を含有し、残部がFeおよび不純物からなる化学組成を有し、下記式(1)によって求められる炭素当量Ceqが0.300~0.480であり、フランジの厚みが25~80mmであり、前記フランジの、幅方向の長さをF、厚みをt2とすると、前記フランジの前記幅方向の、前記フランジの幅方向端面から(1/6)Fの位置で、かつ、前記フランジの厚さ方向で、前記フランジの厚さ方向外側の面から(1/4)t2の位置である測定位置を含み、前記フランジの前記幅方向と直交する面において、前記測定位置を中心とする1mm四方の領域において、金属組織が、面積分率で50~100%のベイナイトと、0~1.5%のマルテンサイト-オーステナイト混合組織と、0~50.0%のフェライトと、0~5.0%のパーライトと、を有し、前記金属組織における平均結晶粒径が38.0μm以下であり、前記金属組織における旧オーステナイト粒径の平均が90μm以下であり、前記金属組織が、円相当粒子径が0.005~0.5μmの(Mg、Mn)Sを1.0×10~1.0×10個/mm含む、H形鋼。
Ceq=C+Mn/6+(Cr+Mo+V)/5+(Ni+Cu)/15 ・・・式(1)
ここで、C、Mn、Cr、Mo、V、Ni、Cuは、質量%での各元素の含有量であり、含有されない場合は0とする。
[2]前記化学組成が、前記Feの一部に代えて、質量%で、Cu:0.50%以下、Ni:0.50%以下、Mo:0.100%以下、Nb:0.050%以下、V:0.120%以下、W:0.50%以下、Zr:0.0050%以下、からなる群から選択される1種または2種以上を含有する[1]に記載のH形鋼。
[3]上記[1]または[2]に記載のH形鋼の製造方法であって、鋼片を1100~1350℃に加熱する加熱工程と、前記加熱工程後の前記鋼片を熱間圧延してフランジの厚みが25~80mmであるH形鋼を得る熱間圧延工程と、前記H形鋼を冷却する冷却工程と、を有し、前記熱間圧延工程では、前記フランジの、幅方向の長さをFとすると、前記フランジの前記幅方向で前記フランジの幅方向端面から(1/6)Fの位置において、表面温度が900℃以上、1100℃以下の温度範囲における累積圧下率Aが10%超、かつ、750℃以上、900℃未満での累積圧下率Bが10%以上となるように前記熱間圧延を行い、前記表面温度が750℃以上で圧延を終了し、前記冷却工程では、冷却停止後の前記H形鋼の表面における復熱温度を570℃以下とする、H形鋼の製造方法。

本発明によれば、フランジの幅方向でフランジの幅方向端面から(1/6)Fの位置、フランジの厚さ方向は全厚における、フランジの圧延方向の降伏強度または0.2%耐力が450MPa以上、引張強度が550MPa以上であり、-20℃でのシャルピー試験の吸収エネルギーが100J以上である、高強度かつ高靭性のH形鋼およびその製造方法を提供することができる。
H形鋼から試験片を採取する際の採取位置を説明する図である。 シャルピー試験により靭性を評価する際の試験片を示す斜視図である。 本実施形態に係るH形鋼の製造装置の一例を示す図である。
まず、本発明を創出するに至った経緯について説明する。
上述したように、フランジの厚みが25mm以上である極厚H形鋼には、従来、室温か、せいぜい0℃での靭性が要求されていたが、現在では寒冷地等での使用を考慮して、0℃未満、例えば-20℃程度の、より低温での靭性が要求される場合がある。また、鋼材の重量低減を図るため、降伏強度の高い、具体的には、降伏強度もしくは0.2%耐力が450MPa以上の、鋼材の需要が高まっている。
そこで、本発明者らは、極厚H形鋼(以下、鋼材と記載する場合がある)のフランジの内部における強度、靭性に及ぼす化学組成および金属組織の影響について検討を行い、以下の知見を得た。
(a)強度や靭性の向上には、オーステナイト粒の細粒化が有効であり、オーステナイトのピニングによる細粒化には(Mg、Mn)S析出物が重要な役割を果たす。(Mg、Mn)S析出物は加熱中にオーステナイトの粗大化を防止するだけではなく、熱間圧延中にもピニング効果を発揮しオーステナイトの粗大化を防止する作用を有する。ただし、(Mg、Mn)S析出物が粗大であると、靭性の低下が著しくなるので、(Mg、Mn)S析出物は微細であることが必要である。具体的には、円相当粒子径が0.005~0.5μmの(Mg、Mn)S析出物の個数密度がある範囲内にあればピニング効果を大きくすることができる。
(b)焼入性の上昇による高強度化を狙って無差別に各種合金元素を添加すると、鋼材中のマルテンサイト-オーステナイト混合組織(以下、MAとも記載する)が増加して、低温靭性が低下する場合がある。低温靭性の低下を抑制するためには、MAの生成量を鋼材中の面積分率で、1.5%以下とすることが必要である。また、MAの生成量を小さくするためにはSi含有量を低減することが必要である。さらに、Si含有量が多いと、靭性がH形鋼製造時の水冷停止温度により大きく依存する。Si含有量を低減すれば靭性の水冷停止温度の依存性を小さくすることができ、製造プロセスの自由度を上げることができる。そのため、Si含有量の低減は、製造プロセスの観点からも好ましい。
(c)Crは焼入性の向上を通じて強度を高くできるので、高い降伏強度または0.2%耐力を実現するために、Crを含有させることが有効である。
Cr以外でもCu、Ni、MoまたはNbを含有させることにより焼入性を向上させ鋼を高強度化することができる。また、NbおよびVを含有させることにより析出強化を通じて鋼材の強度を上昇させることができる。一方、Nb含有により未再結晶域での圧延による鋼材中の歪の増加を通じて、加速冷却後の鋼材組織の微細化に寄与し靭性を向上させることができる。そのため、Cu、Ni、MoまたはNbを適切に含有させることにより、より高い降伏強度または0.2%耐力および-20℃での靭性を確保することが可能となる。
(d)強度を確保するためには、鋼材の金属組織において、一定量のベイナイトを確保することが有効である。
(e)上記の様な金属組織を安定的に実現するためには、合金元素の選択だけでは不十分であり、製造方法によりこれを補完する必要がある。具体的には、熱間圧延時にオーステナイトの再結晶温度域と未再結晶温度域とで、それぞれ十分な圧延歪を加えることにより、旧オーステナイト粒径を小さくすることができる。900℃以上の温度域(再結晶温度域)でも比較的低温の温度域では、新しい結晶方位のオーステナイトが形成されても高温度域であるほど急激には成長しない。このような温度域で圧延を行えば、オーステナイト粒を細粒化することができ、加速冷却後の鋼材組織の微細化による靭性向上を実現できる。また、900℃未満の温度域(未再結晶温度域)では、オーステナイト粒は小さくならないものの粒が偏平になり、歪が多く付与される。偏平にすることにより粒界面積が大きくなるので、加速冷却の際に粒界フェライトが生成しやすくなり、靭性向上を実現できる。
また、金属組織において一定量のベイナイトを確保するためには、加速冷却を行うとともに、加速冷却を復熱による鋼材の温度が570℃超とならないように行うことが有効である。
以上の知見に基づいて本発明は創出された。
以下、本発明の一実施形態に係るH形鋼(本実施形態に係るH形鋼)について説明する。
(化学組成について)
まず、化学組成(成分組成)の限定理由について説明する。ここで、「%」は質量%を意味する。
(C:0.050~0.150%)
Cは、鋼の強化に有効な元素であり、本実施形態に係るH形鋼ではC含有量を0.050%以上とする。好ましいC含有量は、0.070%以上である。
一方、C含有量が0.150%を超えるとセメンタイトやMAの生成量が過剰となり、靭性が低下する。そのため、C含有量を0.150%以下とする。C含有量は0.100%以下とすることが好ましい。
(Si:0.06%以下)
Siは、脱酸元素であり、強度の向上にも寄与する元素であるが、Si含有量が大きいとのMAの生成が助長されて靭性が劣化する。そのため、Si含有量は0.06%以下とする。好ましくは0.05%以下である。また、Si含有量を低減すると、H形鋼製造の際に、靭性の水冷停止依存性が小さくなる。そのため、H形鋼の製造に有利に働かせることができる点でもSi含有量を少なくすることは好ましい。
一方、Siは、不純物として含まれる場合があり、排除しようとしてもコストが膨大になる場合がある。このため、Si含有量は0.01%以上としてもよい。
(Mn:1.00~2.00%)
Mnは、強度の向上に寄与する元素である。この効果を得るため、Mn含有量を1.00%以上とする。より強度を高めるには、Mn含有量を1.40%以上にすることが好ましい。
一方、Mn含有量が2.00%を超えると、焼入性が過剰に上昇し、MAの生成が助長され靭性が低下する。そのため、Mn含有量を2.00%以下とする。Mn含有量は、好ましくは1.60%以下である。
(Cr:0.01~1.00%)
Crは、焼入性を上昇させてH形鋼の引張強度の向上に寄与する元素である。引張強度の向上のため、Cr含有量を0.01%以上とする。Cr含有量は、好ましくは0.05%以上である。
一方、Cr含有量が1.00%を超えると、焼入性が過剰に向上し、MAの生成が助長されて靭性が低下する。従って、Cr含有量を1.00%以下とする。好ましくは0.50%以下である。
(Al:0.001~0.100%)
Alは、脱酸元素として必要な元素である。脱酸の効果を得るためAl含有量を0.001%以上とする。
一方、Alを過剰に含有すると、Al酸化物が粗大化して脆性破壊の基点となり、靭性が低下する。そのため、Al含有量は0.100%以下とする。
(Ti:0.001~0.025%)
Tiは、TiNを形成して、鋼中のNを固定することによって固溶N量を低下させ、低温靭性の向上に寄与する元素である。また、TiNは、ピニング効果によってオーステナイトを細粒化する効果を有する。これらの効果を得るため、Ti含有量を0.001%以上とする。この効果をより高めるには、Ti含有量を0.007%以上とすることが好ましい。
一方、Ti含有量が0.025%を超えると、粗大なTiNが生成し、靭性が低下する。このため、Ti含有量を0.025%以下とする。Ti含有量は、0.020%以下とすることが好ましい。
(B:0.0003%以下)
BはMAの生成を助長し靭性を低下させる元素である。このため、Bは、不純物として含有されるとしても、その含有量を0.0003%以下とする。
(N:0.0001~0.0080%)
Nは、TiNやVNを形成し、組織の細粒化や析出強化に寄与する元素である。このため、N含有量を0.0001%以上とする。
一方、N含有量が過剰になると、母材の靭性が低下するとともに、鋳造時の表面割れや製造された鋼材の歪時効による材質不良の原因となる。そのため、N含有量を0.0080%以下とする。好ましくは、N含有量を0.0050%以下とする。
(S:0.0010~0.0200%)
Sは、Mgと結合してMgSを形成するとともに、MnSとも結合してMnSを形成する元素である。そのため、Sは(Mg、Mn)S析出物として鋼中に存在する。この(Mg、Mn)Sは強力なオーステナイトのピニング粒子となる。そのため、S含有量は0.0010%以上とする。
一方、S含有量が多くなると(Mg、Mn)S析出物が粗大化し、靭性が低下する。このため、S含有量は0.0200%以下とする。より好ましくは0.0100%以下である。
(Mg:0.0005~0.0050%)
Mgは、上述のようにSと結合して、MgSまたは(Mg、Mn)Sとなり、強力なオーステナイトのピニング粒子として作用する元素である。このため、Mg含有量を0.0005%以上とする。Mg含有量が0.0005%未満であると、ピニングの効果が弱くなり、十分な靭性向上の効果を得ることができない。
一方、Mg含有量が0.0050%以上であると靭性が低下する。そのため、Mg含有量を0.0050%以下とする。より好ましくは0.0030%以下である。
本実施形態に係るH形鋼の化学組成は、上記元素を含み、残部がFeおよび不純物であることを基本とするが、さらに、強度や靭性を高めるために、Feの一部に代えて、Cu、Ni、Mo、Nb、V、W、Zrからなる群から選択される1種または2種以上を含有させてもよい。これらの元素は含有させてもよく、含有させなくてもよい。そのため、これらの元素の下限値は0%である。
(Cu:0.50%以下)
Cuは、焼入性を向上させ、引張強度の向上に寄与する元素である。この効果を得るには、Cu含有量を0.01%以上とすることが好ましい。より好ましくは0.10%以上とする。
一方で、Cu含有量が過剰になると、靭性が低下することがある。そのため、含有させる場合には、Cu含有量は0.50%以下とすることが好ましい。より好ましくは、0.30%以下とする。
(Ni:0.50%以下)
Niは、鋼中に固溶して焼入性を高め、引張強度の向上に寄与する元素である。引張強度の向上には、Ni含有量を0.01%以上とすることが好ましい。より好ましくは0.10%以上とする。
一方、Ni含有量が0.50%超になると焼入性が過剰に向上し、MAの生成が助長されて靭性が低下する。従って、含有させる場合には、Ni含有量を0.50%以下とすることが好ましい。より好ましくは、0.30%以下とする。
(Mo:0.100%以下)
Moは、鋼中に固溶して焼入性を高め、引張強度の向上に寄与する元素である。この効果を得る場合、Mo含有量は0.010%以上が好ましい。より好ましくは0.050%以上である。
一方、Mo含有量が0.100%超になると、MAの生成が助長されて靭性が低下することがある。そのため、含有させる場合には、Mo含有量を0.100%以下とすることが好ましい。より好ましくは、0.080%以下とする。
(Nb:0.050%以下)
Nbは、熱間圧延時にオーステナイトの再結晶を抑制し、鋼材中に加工歪を蓄積させる事でフェライトやベイナイトの細粒化に寄与する元素である。また、Nbは、析出強化により強度の向上に寄与する元素である。これらの効果を得るためには、Nb含有量を0.001%以上とすることが好ましい。より好ましくは0.010%以上である。
一方、Nb含有量が過剰になると、MAの生成が助長され、著しく靭性が低下することがある。そのため、含有させる場合、Nb含有量を0.050%以下とすることが好ましい。より好ましくは0.040%以下である。
(V:0.120%以下)
Vは、炭窒化物を形成して析出強化に寄与する元素である。オーステナイトの粒内に析出したVの炭窒化物は、フェライトやベイナイトの変態核として作用し、フェライトやベイナイトの結晶粒を微細化する効果も有する。このような効果を得るために、V含有量を0.010%以上とすることが好ましい。より好ましくは0.030%以上であり、さらに好ましくは0.050%以上である。
一方、V含有を過剰に含有すると、析出物の粗大化に起因して靭性が低下することがある。そのため、含有させる場合、V含有量を0.120%以下とすることが好ましい。より好ましくは、0.100%以下とする。
(W:0.50%以下)
Wは、鋼中に固溶して焼入性を高め、引張強度の向上に寄与する元素である。この効果を得るためには、W含有量を0.01%以上とすることが好ましい。より好ましくは0.10%以上とする。
一方、W含有量が0.50%超になるとMAの生成が助長されて靭性が低下することがある。このため、含有させる場合、W含有量を0.50%以下とすることが好ましい。
(Zr:0.0050%以下)
Zrは、炭化物および窒化物として析出し、鋼の析出強化に寄与する元素である。この効果を得るためには、Zr含有量を0.0001%以上とすることが好ましい。より好ましくは0.0010%以上とする。
一方、Zr含有量が0.0050%を超えると、Zrの炭化物および窒化物が粗大化し、靭性が低下することがある。このため、含有させる場合、Zr含有量は0.0050%以下とすることが好ましい。
本実施形態に係るH形鋼は、上述の通り、基本元素を含有し、残部がFeおよび不純物からなる、または基本元素と、任意元素の1種以上と、を含み、残部がFeおよび不純物からなる。不純物としては、上述した以外に、P、Oが例示される。これらの元素については不純物として存在していたとしても、下記のように含有量の上限を規制することが好ましい。
(P:0.03%以下)
(O:0.0050%以下)
PおよびOは不純物である。Pは、凝固偏析による溶接割れや靭性低下の原因となるので、低減することが好ましい。P含有量は0.03%以下とすることが好ましく、0.01%以下とすることがより好ましい。
Oが過剰に含有されると、固溶Oの影響や酸化物粒子の粗大化によって靭性が低下する。そのため、O含有量を0.0050%以下とすることが好ましく、0.0030%以下とすることがより好ましい。
(Ceq:0.300~0.480)
本実施形態に係るH形鋼では、所定の引張強度の確保の観点から、下記式(1)で求められる炭素当量Ceqを0.300~0.480の範囲にする。
Ceqが0.300未満であると焼入性が不十分になり、引張強度が不足する。好ましくは、Ceqは0.350以上である。
一方、Ceqが0.480を超えると、焼入性が過剰に上昇し、強度が過剰となって、靭性が低下する。好ましくは、Ceqは0.450以下である。
Ceqは、焼入性の指標(炭素当量)であって、公知の次式(1)で求める。ここで、C、Mn、Cr、Mo、V、Ni、CuはH形鋼中の各元素の含有量(質量%)で、含有されない元素は0とする。
Ceq=C+Mn/6+(Cr+Mo+V)/5+(Ni+Cu)/15 ・・・ 式(1)
(H形鋼の形状)
図1を参照し、本実施形態に係るH形鋼の形状について説明する。図1は、H形鋼4の圧延方向と直交する断面の模式図である。本実施形態に係るH形鋼4は、互いに対向する一対の板状のフランジ5と、フランジ5と直交するようにかつフランジ5の対向面の幅方向中心を連結するように設けられた、板状のウェブ6とを備える。
本実施形態に係るH形鋼4において、フランジ5の厚みt2は、25~80mmである。下限を25mmとしたのは、例えば、高層建築構造物に用いられるH形鋼4に、フランジ5の厚みt2が25mm以上の強度部材が求められているためである。一方、フランジ5の厚みt2の上限を80mmとしたのは、フランジ5の厚みt2が80mmを超えると、熱間加工の加工量が不足し、かつ圧延後の冷却速度が小さくなるので、強度と靭性との両立が難しいためである。本実施形態に係るH形鋼4のウェブ6の厚みt1は特に規定しないが、15~80mmであることが好ましい。
フランジ5の厚み/ウェブ6の厚みの比(t2/t1)に関しては、H形鋼4を熱間圧延で製造する場合を想定して、0.5~2.0とすることが好ましい。フランジ5の厚み/ウェブ6の厚みの比(t2/t1)が2.0を超えると、ウェブ6が波打ち状の形状に変形することがある。一方、フランジ5の厚み/ウェブ6の厚みの比(t2/t1)が0.5未満の場合は、フランジ5が波打ち状の形状に変形することがある。
(金属組織・介在物について)
本実施形態に係るH形鋼4は、平均的な靭性が得られる位置として、図1に示す評価位置7を含む部分を試験片として採取し、金属組織および介在物を評価する。
図1における評価位置7について説明する。
図1において、X軸方向をフランジ5の幅方向と定義し、Y軸方向をフランジ5の厚さ方向と定義し、Z軸方向を圧延方向(フランジ5の長さ方向)と定義する。
図1に示すように、フランジ5の幅方向長さをFとし、フランジ5の厚みをt2としたとき、フランジ5の幅方向端面5aから(1/6)Fの位置でかつフランジ5の厚さ方向外側の面5bから(1/4)t2の位置である測定位置7を含む、フランジの幅方向と直交する面が、金属組織を観察する面(組織の分率、平均結晶粒径、旧オーステナイト粒径、(Mg、Mn)Sの個数密度等を測定する面)である。
フランジ5の厚さ方向外側の面5bとは、フランジ5の厚さ方向の一方の面であって、ウェブ6とは接しない方の面であり、図1に示す符号5bが示す端面である。また、フランジ5の幅方向端面5aとは、図1に示す符号5aが示す端面である。測定する面は、図1のX軸方向(幅方向)と直交する任意の断面を用いることができる。
(金属組織)
本実施形態に係るH形鋼では、金属組織が、面積分率で、50~100%のベイナイトと、0~1.5%のマルテンサイト-オーステナイト混合組織(MA)とを含有し、残部が実質的にフェライトからなる、残部は、より詳細には0~50.0%のフェライトおよび0~5.0%のパーライトからなる。また、金属組織における平均結晶粒径が38.0μm以下であり、旧オーステナイト粒径の平均が90μm以下である必要がある。
平均結晶粒径が38.0μmを超えると、靭性が低下する。そのため、測定位置7で靭性を確保するためには、金属組織の平均結晶粒径を、38.0μm以下とする。
平均結晶粒径が小さいほど靭性は低下するので平均結晶粒径の下限は定める必要はないが、本実施形態に係るH形鋼を製造した場合、後述する製造方法であれば、平均結晶粒径は小さくても8.0μm程度である。
平均結晶粒径の条件は、引張強度550MPa以上の鋼において、-20℃での靭性を確保するために必要なものであり、本発明者らが実験によって明らかにしたものである。
平均結晶粒径は、EBSD(電子線後方散乱回折法)による観察で判別することができる。EBSDにより、測定位置7(上下左右の4か所の測定位置7のうち任意の1箇所)を中心とし、幅方向に直交する面の1mm四方(1mm×1mm)の領域において、0.2μm間隔で金属組織の結晶方位を観察する。傾角の差が5°以上ある場合を粒界として扱い、この粒界で囲まれた範囲を結晶粒とし、結晶粒の面積と同じ面積を有する円の直径を結晶粒径とする。観察領域における各結晶粒から、各結晶の粒径にその結晶粒の面積による重み付けをして加重平均によって算出した値を平均結晶粒径とする。金属組織中にMAが存在していても、本実施形態に係るH形鋼では、MAの面積分率はごく小さいので、算出される平均結晶粒径は、ほぼフェライト、パーライトおよびベイナイトの平均結晶粒径となる。
また、所定の引張強度を確保するため、上述した範囲の金属組織におけるベイナイト分率を、面積分率で50%以上とする。ベイナイト分率が50%を下回ると、降伏強度や引張強度が不足する。ベイナイト分率が大きいほど降伏強度および引張強度は大きくなるので、ベイナイト分率の上限は定めない。ベイナイト分率は100%であってもよい。
ベイナイトの面積分率は、上述の範囲のうち、5視野分の任意の200μm四方(200μm×200μm)の金属組織を光学顕微鏡により、200倍の倍率で拡大し、写真を撮影して求める。その際、各写真に10μm間隔で縦横20点ずつの400点の格子点を設定し、格子点における金属組織がその形状からベイナイトと判定されるものの数を数えて、各写真における割合を求め、その平均値をベイナイトの面積分率とする。
また、本実施形態に係るH形鋼では、測定位置7で靭性を確保するために、金属組織中のMAの面積分率を1.5%以下とする。MAの面積分率が1.5%を超えると、靭性が低下する。MAの面積分率は、本実施形態で対象とする引張強度550MPa以上の鋼において、-20℃での靭性を確保するために必要なものである。MAの面積分率は少ない方が好ましく0%でもよい。
金属組織におけるMAの面積分率は、鋼材から採取した観察用サンプルをレペラー試薬で腐食した上で観察し、測定位置7含み幅方向と直交する、1mm四方の面において、公知の画像解析ソフトによりMAを抽出することにより、測定することができる。具体的には、レペラー試薬で腐食した観察用サンプルにおいて、鋼材の測定位置7を中心とし、フランジ5の幅方向と直交する1mm四方の面を、光学顕微鏡により200倍で撮影する。そして、撮影した画像について、画像解析ソフト「Image-Pro」によりMAを抽出し、MAの面積分率を測定する。MAの面積分率は、フランジ5の上下左右の4か所の測定位置7のうち任意の1箇所について、H形鋼の圧延方向(Z方向)で先端から1/4の位置における断面で測定を行う。
本実施形態に係るH形鋼において、ベイナイトおよびMA以外の組織は実質的にフェライトであり、5.0%以下のパーライトが含まれることがある。そのため、フェライトおよびパーライトの合算した面積分率は、100%から、上記で求めたベイナイトの面積分率およびMAの面積分率を減ずることで得られる。フェライトとパーライトはナイタール腐食写真により、内部にセメンタイトを含まない白色の組織(フェライト)であるか、または黒色の組織(パーライト)であるによって判別することができる。ナイタール腐食写真から黒色の組織の割合を求め、その値をパーライトの面積分率とし、上記合算した面積分率からパーライトの面積分率を差し引いた面積分率をフェライトの面積分率とした。
パーライトが5.0%超であると、強度不足となる。そのため、パーライト面積率を5.0%以下とする。
また、本実施形態に係るH形鋼は、旧オーステナイト粒の平均結晶粒径を90μm以下とする。
鋼材を加熱した時のオーステナイト粒径(冷却後のH形鋼に反映される旧オーステナイト粒径)が大きいと、旧オーステナイト粒界近傍のフェライトまたはベイナイト粒径が結果として大きくなり、強度および靭性を高くすることができない。そのため、旧オーステナイト粒の平均粒径を90μm以下にする。旧オーステナイト粒径は再結晶温度域でも比較的低温の温度域で圧延を行うことで小さくすることができる、また、後述する(Mg、Mn)Sによっても加熱中のオーステナイト粒の粗大化を防止することができる。旧オーステナイト粒の平均粒径の下限は定めないが、通常小さくても旧オーステナイト粒の平均粒径は30μm程度である。
鋼材における旧オーステナイト粒の平均粒径は、鋼材から採取した観察用サンプルをナイタール試薬で腐食した上で、測定位置7を中心として幅方向と直交する1mm四方の面の拡大写真を撮影し、写し出された旧オーステナイト粒の数を数えることで測定することができる。より具体的には、拡大写真内に粒が全て納まっているオーステナイト粒には係数1を、四辺に存在するオーステナイト粒には係数0.5を、四隅に存在するオーステナイト粒には係数0.25を掛けて旧オーステナイト粒の数を数え、写真の面積(1mm×1mm)から、1つ当たりの旧オーステナイト粒の面積を算出、これを粒径換算することで、旧オーステナイト粒の平均粒径を測定することができる。
(円相当粒子径0.005~0.5μmの(Mg、Mn)S:1.0×10~1.0×10個/mm
本実施形態に係るH形鋼では、オーステナイトの細粒化を図るため、(Mg、Mn)Sを利用する。鋼中に(Mg、Mn)Sはピニング効果によって、スラブ加熱中にオーステナイト粒の粗大化を防止できるだけでなく、熱間圧延中、再結晶温度域にあってもオーステナイト粒の成長を遅くするので、粗大なオーステナイト粒が形成されなくなる。
鋼中には様々な介在物が存在するが、介在物とその円相当粒子径は透過電子顕微鏡(TEM)により識別が可能である。例えば、測定位置7を中心としてレプリカ法により試料を作製し、画像データから介在物と円相当粒子径とを求めればよい。
一方、個々の析出物が(Mg、Mn)Sであるか否かはEDXによる成分分析を行うことにより確認することができる。ここで、本実施形態では、介在物に対してEDXで分析を行った結果、質量%で60%≦Mn≦95%、かつ5%≦Mg≦40%の範囲であり、MnとMgの以外の残部の内、SとOの割合が重量%でS≧90%である時に、(Mg、Mn)Sであると判断する。個数密度の測定に際しては、少なくとも50個以上の粒子についてEDXにより成分分析を行い、析出粒子(介在物)の内どれだけの個数割合が(Mg、Mn)Sであるかを算出し、透過電子顕微鏡(TEM)を用い観察用サンプルから所定面積の介在物をカウントして除算して算出した介在物の個数密度との積を取り(Mg、Mn)Sの個数密度を導出する。
ただし、(Mg、Mn)Sの円相当粒子径が0.005μm未満である場合、上述のTEM観察で(Mg、Mn)Sを確認できないか、十分なピニング効果を発揮できない。また、(Mg、Mn)Sの円相当粒子径が0.5μm超であると粗大になりすぎて靭性が低下する場合がある。そのため、個数密度を上記のように制御する対象を、円相当粒子径0.005~0.5μmの(Mg、Mn)Sとする。
円相当粒子径0.005~0.5μmの(Mg、Mn)Sの個数密度が1.0×10個/mm未満である場合には(Mg、Mn)Sが不足し十分なピニング効果を発揮できない。一方。1.0×10個/mm超である場合には(Mg、Mn)Sが過剰となり靭性が低下する。したがって、H形鋼中の測定位置における円相当粒子径0.005~0.5μmの(Mg、Mn)Sを1.0×10~1.0×10個/mmとする。
この規定は、H形鋼中に0.5μm超の(Mg、Mn)Sが存在することを否定するものではなく、偶発的に0.5μm超の(Mg、Mn)Sが形成されることもある。このような場合、0.5μm超の(Mg、Mn)Sが1.0×10個/mm以下であれば、H形鋼の強度および靭性を確保することができる。
(機械的特性)
本実施形態に係るH形鋼4は、常温でのYS(降伏強度または0.2%耐力)が450MPa以上、TS(引張強度)が550MPa以上であることを目標とする。常温での降伏強度または0.2%耐力が450MPa以上、引張強度が550MPa以上であれば、鋼材の重量低減に寄与できる。強度が高すぎると靭性を損なうことがあるので、常温の降伏強度または0.2%耐力は530MPa以下、引張強度は690MPa以下が好ましい。
応力-歪曲線で降伏現象が現れる場合はYSとして降伏強度を求め、降伏現象が現れない場合はYSとして0.2%耐力を求める。
また、本実施形態に係るH形鋼4の-20℃でのシャルピー吸収エネルギーの目標値は、上述した試験片9を用いた試験において、100J以上である。ここで、常温とは20±5℃のことを指す。
引張試験により降伏強度または0.2%耐力、および引張強度を評価する際の試験片は、図1において、フランジ5の幅方向端面5aから幅方向に(1/6)Fの位置を、試験片の幅方向中心とした試験片を切り出し、その試験片を用いて評価する。試験片は、試験片の長手方向が圧延方向と平行になり、また、フランジ5の厚さ方向全部(全厚)を切り出すようにすればよい。幅方向の厚さはJIS Z 2241:2011に規定の範囲とする。上記試験片は、フランジ5の幅方向端面5aから幅方向に(1/6)Fの位置が、試験片の幅方向中心であれば、圧延方向におけるどの位置から採取してもよい。
採取した試験片を、JIS Z 2241:2011に準拠して引張試験を行うことで、降伏強度または0.2%耐力、および引張強度を評価する。
シャルピー試験により靭性を評価する際の試験片9は、図2に示すように、測定位置7を圧延方向の断面中心とし、長手方向が圧延方向と平行になるように採取した、JIS Z 2242:2018に記載の直方体を例示できる。また、試験片においてノッチを成形する面は、フランジ5の幅方向端面5aと平行ないずれかの面(図2の面11、13)とする。また、試験片9は、測定位置7が試験片の幅方向中心であれば、圧延方向におけるどの位置から採取してもよい。ノッチ方向は幅方向(X方向)である。
採取した試験片を、JIS Z 2242:2018に準拠して所定の試験温度でシャルピー衝撃試験を行うことで、靭性(吸収エネルギー)を評価する。
(H形鋼の製造方法)
本実施形態に係るH形鋼は、製造方法によらず、上記の特徴を有していれば、その効果が得られる。しかしながら、以下に示す工程を含む製造方法によれば、安定して製造できるので好ましい。
(I)鋼片を1100~1350℃に加熱する加熱工程、
(II)前記加熱工程後の前記鋼片を熱間圧延してフランジの厚みが25~80mmであるH形鋼を得る熱間圧延工程、
(III)前記H形鋼を冷却する冷却工程。
以下、各工程における好ましい条件を説明する。
加熱工程に先立つ工程は特に限定されない。例えば製鋼工程で、溶鋼の化学成分を調整した後、鋳造し、鋼片を得る。
ただし、十分な個数密度の(Mg、Mn)Sを得る場合、溶鋼の化学成分を調整する際に、Alを溶鋼中に大量に添加して脱酸し、その後、Mgを含む合金元素を添加して成分を調整することが好ましい。鋳造は、生産性の観点から、連続鋳造が好ましいが、製造されるH形鋼4に近い形状のビームブランクでも構わない。また、鋼片の厚みは、生産性の観点から、200mm以上とすることが好ましく、偏析の低減や、熱間圧延を行う前の加熱温度の均質性などを考慮すると、350mm以下が好ましい。
(加熱工程)
熱間圧延を行うため、鋼片を加熱する。鋼片の加熱温度が1100℃未満であると仕上圧延時の変形抵抗が高くなる。そのため、加熱温度を1100℃以上とする。また、Nbなど、炭化物、窒化物を形成する元素を十分に固溶させるため、鋼片の加熱温度を1150℃以上とすることが好ましい。
一方、鋼片の加熱温度が1350℃よりも高温になると、素材である鋼片の表面のスケールが液体化して製造に支障が出る。そのため、加熱温度は1350℃以下とする。
(熱間圧延工程)
加熱された鋼片を熱間圧延する。
本実施形態に係るH形鋼では、熱間圧延によって、オーステナイト粒を細粒化し、ひいてはH形鋼の平均結晶粒径を細粒化する。
平均結晶粒径を38.0μm以下とするためには、図1のフランジ5の幅方向端面5aから幅方向に(1/6)Fの位置において、表面(フランジ5の厚さ方向外側の面)の温度が900℃以上、1100℃以下である状態での累積圧下率Aを10%超とし、表面温度が750℃以上、900℃未満である状態での累積圧下率Bを10%以上とする事が必要である。
このように温度域により累積圧下率を分けるのはオーステナイトの再結晶温度域、未再結晶温度域の両方の領域で十分な圧延歪を加え、H形鋼の旧オーステナイト粒径を小さくするためである。すなわち、900℃以上の温度域(再結晶温度域)でも比較的低温の温度域では、オーステナイトの粒成長がある程度抑えられ、そこに圧延を行えばオーステナイト粒を十分細粒化することができる。この結果、冷却後の組織も微細化し靭性向上が期待できる。また、900℃未満の温度域(未再結晶温度域)では、オーステナイト粒は偏平し、歪が多く付与される。偏平することにより粒界面積が大きくなりかつ歪のエネルギーにより加速冷却の際に粒界フェライトが生成されれば、靭性向上を実現できる。
累積圧下率A、Bとは、それぞれ、圧延前のフランジ厚さと圧延後のフランジ厚さの差を圧延前のフランジ厚さで割ったものである。
未再結晶域で圧延を行うことは、細粒化に有効であるが、Ar3点を下回る温度で圧延を行うと、焼入れ性が低下したり、加速冷却が始まる前にフェライト変態が始まって、YSおよび/またはTSが低下する場合がある。そのため、熱間圧延の仕上温度は表面温度で750℃以上とする。よって、表面温度が750℃以上で、フランジの厚みが25~80mmとなるように圧延を終了する。仕上温度の下限が750℃未満だと、十分な強度が得られない。仕上温度は、850℃以下が好ましい。
(冷却工程)
熱間圧延の終了後は、加速冷却を行う。加速冷却を適用するにあたっては、水冷装置を用いて冷却を連続的にまたは断続的に空冷を挟んで適用してもよい。フランジ厚が25~80mmである場合、加速冷却を行えば、図1の測定位置7における平均冷却速度は通常3.0℃/s以上となる。測定位置7の冷却速度は、圧延後の鋼材の形状、加速冷却の開始温度、加速冷却停止後の復熱温度を基に、計算により導出できる。3.0℃/s未満の平均冷却速度では目標とする強度が得られない。
また、加速冷却を適用する際、加速冷却停止後の表面の復熱温度(復熱による最高到達温度)が570℃を超えるとフェライトが多くなり、十分な面積分率のベイナイトを確保できず、十分な強度を確保できなくなる。このため、冷却停止後のH形鋼の表面における復熱温度は570℃を超えないようにする。
本実施形態に係るH形鋼の製造工程の例を図3に示す。熱間圧延は、加熱炉1にて加熱された鋼片を、粗圧延機2a、中間圧延機2b、仕上圧延機2cを含むユニバーサル圧延装置列で行い、熱間圧延の終了後、連続的、または空冷を挟んで断続的に加速冷却を適用する。熱間圧延をパス間水冷圧延とする場合、圧延パス間の水冷には、中間ユニバーサル圧延機(中間圧延機2b)の前後に設けた水冷装置3を用い、フランジ外側面のスプレー冷却とリバース圧延を行う。
以上の条件で製造されたH形鋼4は、強度および低温靭性に優れたものとなる。より具体的には、フランジ5の厚みが25~80mmであり、降伏強度または0.2%耐力が450MPa以上、引張強度が550MPa以上、-20℃でのシャルピー吸収エネルギーが100J以上を示す、低温靭性に優れた高強度の極厚のH形鋼4となる。
以下、実施例に基づき本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されない。
表1に示す成分を有する鋼を溶製し、連続鋳造により、厚みが240~300mmの鋼片を製造した。鋼の溶製は転炉で行い、Alを溶鋼中に大量に添加して脱酸し、その後、Mgを含む合金元素を添加して成分を調整し、必要に応じて、真空脱ガス処理を行った。この様にして得られた鋼片を加熱し、熱間圧延を行い、H形鋼4を製造した。
熱間圧延は、加熱炉1にて加熱された鋼片を、粗圧延機、中間圧延機、仕上圧延機を含むユニバーサル圧延装置列で行い、熱間圧延の終了後、連続的に水冷を行う加速冷却を適用した。熱間圧延をパス間水冷圧延とする場合、圧延パス間の水冷には、中間ユニバーサル圧延機(中間圧延機)の前後に設けた水冷装置を用い、フランジ外側面のスプレー冷却とリバース圧延を行った。
表1に示した成分は、製造後の各H形鋼4から採取した試料を公知の方法で化学分析して求めた。表1において、残部はFeおよび不純物であった。不純物において、P含有量は0.03%以下、O含有量は、0.0050%以下であった。
Figure 0007440757000001
製造したH形鋼4について、上述した方法で、図1に示す測定位置7を含むフランジの幅方向に直交する面を含むようにH形鋼4から採取した顕微鏡観察用試験片を用いて、当該面のEBSD観察を行い、撮影したEBSD画像から平均結晶粒径を測定した。また、ナイタール腐食写真像からベイナイト、フェライト、パーライトの面積分率も算出した。さらに、同じく測定位置7含みフランジの幅方向に直交する面を含むようにH形鋼4から採取したレペラー腐食写真を用いて、当該面のMAの面積分率を測定した。
旧オーステナイト粒径も同じ測定位置7を含むフランジの幅方向に直交する面を含むように、H形鋼4から採取した鋼材をナイタール試薬で腐食して試験片を作製し、画像解析ソフトによって粒径を算出した。
(Mg、Mn)Sの個数密度は、測定位置7を中心とした鋼片からレプリカ法により試料を作製し、析出粒子が(Mg、Mn)Sであるか否かをEDXで確認するとともに、析出粒子中の(Mg、Mn)Sの割合を算出し、全析出粒子の積から(Mg、Mn)Sの個数密度を導出した。
また、得られたH形鋼から、機械的特性を測定した。
機械的特性に関しては、上述したように、フランジ5の幅方向長さをFとしたとき、フランジ5の幅方向端面5aから、幅方向に(1/6)Fの位置を厚さ方向中心とした試験片をH形鋼4から切り出し、その試験片を用いてフランジの圧延方向に引張試験を行った。また、測定位置7を中心とし、長手方向が圧延方向と平行になるように採取したシャルピー試験片(図2参照)を用いて、-20℃でシャルピー試験を行い、低温靭性を評価した。
ここで、引張試験は、JIS Z 2241:2011に準拠して行い、降伏挙動を示す場合は降伏点、降伏挙動を示さない場合は0.2%耐力を求め、YSとした。シャルピー衝撃試験は、JIS Z 2242:2018に準拠し、-20℃で行った。シャルピー試験のノッチ形状はVノッチ、ノッチ深さは2mmとした。
機械的特性の目標値は、常温での降伏強度または0.2%耐力(YS)が450MPa以上、引張強度(TS)が550MPa以上である。また、-20℃でのシャルピー吸収エネルギー(vE-20)の目標値は、100J以上である。
製造の際の鋼片の加熱温度、熱間圧延などの製造条件、平均結晶粒径および旧オーステナイト粒径、ベイナイトおよびMAの面積分率、(Mg、Mn)Sの個数密度、降伏強度または0.2%耐力(YS)、引張強度(TS)および-20℃におけるシャルピー試験の吸収エネルギー(vE-20)を、表2-1、表2-2に示す。
表2-1、表2-2における熱間圧延時の圧下率は、図1のフランジ5の幅方向端面5aから幅方向に(1/6)Fの位置における圧下率である。
Figure 0007440757000002
Figure 0007440757000003
表2-1、表2-2の製造No.1~4、7~9、12~14、17~21は、化学成分、Ceq、累積圧下率A、累積圧下率B、圧延仕上温度、復熱温度、平均結晶粒径、旧オーステナイト粒径、各組織の面積分率、(Mg、Mn)Sの個数密度が本発明の範囲内であった。これらの試料はYSおよびTSが、それぞれ目標の下限値である450MPa以上および550MPa以上を満足していた。さらに、-20℃でのシャルピー吸収エネルギーは、100J以上であり、目標を満足していた。
一方、表2-1、表2-2の製造No.5、6、10、11、15、16、22~36は、化学成分、Ceq、累積圧下率A、累積圧下率B、圧延仕上温度、復熱温度、平均結晶粒径、旧オーステナイト粒径、各組織の面積分率、(Mg、Mn)Sの個数密度のいずれか1つ以上が本発明の範囲外であった。そのため、YS、TSまたは-20℃でのシャルピー吸収エネルギーの、いずれか1つ以上が上記の目標を満たさなかった。
具体的には、表2-1、表2-2において、製造No.5は、圧延仕上温度が750℃未満であったため、ベイナイトの面積分率が低かった。その結果、YSおよびTSが目標を満足しなかった。
製造No.6は、水冷後の復熱温度が570℃を超えていたため、ベイナイト面積分率が低かった。その結果、YSおよびTSが目標を満足しなかった。
製造No.10は、900℃~1100℃での圧下率(累積圧下率A)が不十分であったため、旧オーステナイト粒径および平均結晶粒径が本発明の範囲外となった。その結果、-20℃でのシャルピー吸収エネルギーが目標値に達しなかった。
製造No.15は、900℃~1100℃での圧下率(累積圧下率A)が不十分であったため、平均結晶粒径が本発明の範囲外となった。その結果、-20℃でのシャルピー吸収エネルギーが目標値に達しなかった。
製造No.36は、900℃~1100℃での圧下率(累積圧下率A)が不十分であったため、旧オーステナイト粒径が本発明の範囲外となった。その結果、-20℃でのシャルピー吸収エネルギーが目標値に達しなかった。
製造No.11およびNo.16は、900℃未満~750℃以上での圧下率(累積圧下率B)が不十分であったため、平均結晶粒径が本発明の範囲外となった。その結果、-20℃でのシャルピー吸収エネルギーが目標値に達しなかった。
製造No.22はC含有量が本発明の上限を超えていた。製造No.24はSi含有量が過剰であり、MA面積分率が上限を超えていた。製造No.25はMn含有量が上限を超えていた。製造No.26はCr含有量が上限を超えていた。製造No.27はAl含有量が上限を超えていた。製造No.28はTi含有量が上限を超えていた。製造No.29はB含有量が上限を超えていた。製造No.30はN含有量が上限を超えていた。製造No.31はS含有量が上限を超えていた。製造No.34はCeqが上限を超えていた。
その結果、これらの試料は-20℃でのシャルピー吸収エネルギーが目標値に達しなかった。
製造No.32はMg含有量が上限を超えており、(Mg、Mn)Sの個数密度が過剰であった。製造No.33はMg含有量が下限を下回っており、(Mg、Mn)Sの個数密度が少なかった。これらの試料は-20℃でのシャルピー吸収エネルギーが目標値に達しなかった。
製造No.23はC含有量が、製造No.35はCeqが本発明範囲の下限を下回っており、ベイナイトの面積分率も低かった。その結果、YSおよびTSが目標値に達しなかった。
1 加熱炉
2a 粗圧延機
2b 中間圧延機
2c 仕上圧延機
3 中間圧延機前後の水冷装置
4 H形鋼
5 フランジ
5a フランジの幅方向端面
5b フランジの厚さ方向外側の面
6 ウェブ
7 靭性および鋼材組織の測定位置
F フランジの幅方向長さ
H 高さ
1 ウェブの厚み
2 フランジの厚み

Claims (3)

  1. 質量%で、
    C :0.050~0.150%、
    Si:0.06%以下、
    Mn:1.00~2.00%、
    Cr:0.01~1.00%、
    Al:0.001~0.100%、
    Ti:0.001~0.025%、
    B :0.0003%以下、
    N :0.0001~0.0080%、
    S :0.0010~0.0200%、
    Mg:0.0005~0.0050%を含有し、
    残部がFeおよび不純物からなる化学組成を有し、
    下記式(1)によって求められる炭素当量Ceqが0.300~0.480であり、
    フランジの厚みが25~80mmであり、
    前記フランジの、幅方向の長さをF、厚みをt2とすると、
    前記フランジの前記幅方向の、前記フランジの幅方向端面から(1/6)Fの位置で、かつ、前記フランジの厚さ方向で、前記フランジの厚さ方向外側の面から(1/4)t2の位置である測定位置を含み、前記フランジの前記幅方向と直交する面において、
    前記測定位置を中心とする1mm四方の領域において、金属組織が、面積分率で、50~100%のベイナイトと、0~1.5%のマルテンサイト-オーステナイト混合組織と、0~50.0%のフェライトと、0~5.0%のパーライトと、を有し、
    前記金属組織における平均結晶粒径が38.0μm以下であり、
    前記金属組織における旧オーステナイト粒径の平均が90μm以下であり、
    前記金属組織が、円相当粒子径が0.005~0.5μmの(Mg、Mn)Sを1.0×10~1.0×10個/mm含む
    ことを特徴とする、H形鋼。
    Ceq=C+Mn/6+(Cr+Mo+V)/5+(Ni+Cu)/15 ・・・式(1)
    ここで、C、Mn、Cr、Mo、V、Ni、Cuは、質量%での各元素の含有量であり、含有されない場合は0とする。
  2. 前記化学組成が、前記Feの一部に代えて、質量%で、
    Cu:0.50%以下、
    Ni:0.50%以下、
    Mo:0.100%以下、
    Nb:0.050%以下、
    V :0.120%以下、
    W :0.50%以下、
    Zr:0.0050%以下、
    からなる群から選択される1種または2種以上を含有する
    ことを特徴とする請求項1に記載のH形鋼。
  3. 請求項1または2に記載のH形鋼の製造方法であって、
    鋼片を1100~1350℃に加熱する加熱工程と、
    前記加熱工程後の前記鋼片を熱間圧延してフランジの厚みが25~80mmであるH形鋼を得る熱間圧延工程と、
    前記H形鋼を冷却する冷却工程と、
    を有し、
    前記熱間圧延工程では、前記フランジの、幅方向の長さをFとすると、前記フランジの前記幅方向で前記フランジの幅方向端面から(1/6)Fの位置において、表面温度が900℃以上、1100℃以下の温度範囲における累積圧下率Aが10%超、かつ、750℃以上、900℃未満での累積圧下率Bが10%以上となるように前記熱間圧延を行い、前記表面温度が750℃以上で圧延を終了し、
    前記冷却工程では、冷却停止後の前記H形鋼の表面における復熱温度を570℃以下とする
    ことを特徴とする、H形鋼の製造方法。
JP2020057120A 2020-03-27 2020-03-27 H形鋼およびその製造方法 Active JP7440757B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020057120A JP7440757B2 (ja) 2020-03-27 2020-03-27 H形鋼およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020057120A JP7440757B2 (ja) 2020-03-27 2020-03-27 H形鋼およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021155804A JP2021155804A (ja) 2021-10-07
JP7440757B2 true JP7440757B2 (ja) 2024-02-29

Family

ID=77919501

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020057120A Active JP7440757B2 (ja) 2020-03-27 2020-03-27 H形鋼およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7440757B2 (ja)

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006249475A (ja) 2005-03-09 2006-09-21 Jfe Steel Kk 低温靭性に優れる圧延h形鋼の製造方法
WO2014142060A1 (ja) 2013-03-14 2014-09-18 新日鐵住金株式会社 H形鋼及びその製造方法
WO2015159793A1 (ja) 2014-04-15 2015-10-22 新日鐵住金株式会社 H形鋼及びその製造方法
JP2016141834A (ja) 2015-01-30 2016-08-08 新日鐵住金株式会社 靭性に優れた高強度極厚h形鋼及びその製造方法
WO2018169020A1 (ja) 2017-03-15 2018-09-20 新日鐵住金株式会社 H形鋼およびその製造方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006249475A (ja) 2005-03-09 2006-09-21 Jfe Steel Kk 低温靭性に優れる圧延h形鋼の製造方法
WO2014142060A1 (ja) 2013-03-14 2014-09-18 新日鐵住金株式会社 H形鋼及びその製造方法
WO2015159793A1 (ja) 2014-04-15 2015-10-22 新日鐵住金株式会社 H形鋼及びその製造方法
JP2016141834A (ja) 2015-01-30 2016-08-08 新日鐵住金株式会社 靭性に優れた高強度極厚h形鋼及びその製造方法
WO2018169020A1 (ja) 2017-03-15 2018-09-20 新日鐵住金株式会社 H形鋼およびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2021155804A (ja) 2021-10-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2018026014A1 (ja) 鋼板及びめっき鋼板
JP5574059B2 (ja) 低温靭性に優れた高強度h形鋼及びその製造方法
JP6760407B2 (ja) 熱間圧延鋼板及びその製造方法
JP3895687B2 (ja) 溶接構造物用のTiN+ZrNを析出させている鋼板、及びそれを製造するための方法、並びにそれを用いる溶接構造物
JP6409598B2 (ja) 靭性に優れた高強度極厚h形鋼及びその製造方法
WO2018235244A1 (ja) ラインパイプ用アズロール電縫鋼管及び熱延鋼板
WO2011065479A1 (ja) 高強度極厚h形鋼及びその製造方法
JP6787479B2 (ja) H形鋼およびその製造方法
JP5741379B2 (ja) 靭性に優れた高張力鋼板およびその製造方法
CN111655884B (zh) 热冲压成型体
US11028456B2 (en) Electric resistance welded steel pipe for torsion beam
WO2015159793A1 (ja) H形鋼及びその製造方法
TW202016327A (zh) 熱軋鋼板及其製造方法
JP2004514060A (ja) 溶接構造物用のTiN+CuSを析出させている鋼板、及びそれを製造するための方法、並びにそれを用いた溶接構造物
JP2013095927A (ja) 靭性に優れた高張力鋼板およびその製造方法
KR20240042470A (ko) 열간 압연 강판
KR20210059746A (ko) 박강판 및 그의 제조 방법
KR20230086780A (ko) 강판 및 그 제조 방법
WO2019180957A1 (ja) 圧延h形鋼及びその製造方法
WO2017150665A1 (ja) 低温用h形鋼及びその製造方法
JP7440757B2 (ja) H形鋼およびその製造方法
JP7277833B2 (ja) 熱延鋼板
CN115003835B (zh) 热轧钢板
KR20230040349A (ko) 열연 강판
JP6295632B2 (ja) 靭性に優れた高強度h形鋼

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20221104

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20231122

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20231205

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20231225

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20240116

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20240129

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 7440757

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151