JP7438805B2 - 異常分析装置及び異常分析方法 - Google Patents
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- Measurement Of Mechanical Vibrations Or Ultrasonic Waves (AREA)
Description
特許文献1に開示の技術では、ポンプやブロア等のモーター等(本発明の機器に相当)の回転機械の異常を検知するため、音・振動信号(本発明の原時間領域信号)から、スペクトル、歪み度、尖り度、波高率、極小値率、極大値率、最大値率、安定指数、周波数波高率、透過帯域、周波数高低比等の特徴量を抽出し、正常時に対する逸脱に対して閾値を設けて、機器の異常を判定する。
異常分析装置としてオートエンコーダを使用して異常度を求めた場合の結果を、図14、図4に示した。
このような状況から周波数領域での異常分析には改善の余地がある。
周期的に動作する機器が発する原時間領域信号に基づいて当該機器を、学習を伴って診断する異常分析装置であって、
前記原時間領域信号の自己相関を求める自己相関導出手段と、
前記自己相関導出手段により導出される自己相関に基づいて、前記原時間領域信号に於ける位相を同じくする第1時間領域信号と第2時間領域信号とを抽出する抽出手段とを備え、
前記第1時間領域信号と第2時間領域信号との関係に基づいて、前記機器の異常分析を行う異常分析手段を備えた点にある。
ここで、これらの手段による処理対象は時間領域の信号とする。即ち、本発明では、原時間領域信号をFFT等で処理して、その周波数領域において信号を取り扱うことはない。
そして、異常分析手段は、このようにして抽出された位相を同じくする信号を対象として異常分析を実行する。
結果、後に実施形態で示すように異常分析を高感度で行える。
周期的に動作する機器が発する原時間領域信号に基づいて当該機器を、学習を伴って診断する異常分析方法であって、
前記原時間領域信号の自己相関を求める自己相関導出ステップと、
前記自己相関導出ステップにより導出される自己相関に基づいて、前記原時間領域信号に於ける位相を同じくする第1時間領域信号と第2時間領域信号とを抽出する抽出ステップとを実行し、
前記第1時間領域信号と第2時間領域信号との関係に基づいて、前記機器の異常分析を行う異常分析ステップを実行する異常分析方法となる。
前記抽出手段が、自己相関が最大となる抽出第1タイミングと、引き続いて自己相関が最大となる抽出第2タイミングとの間における原時間領域信号を、前記第1時間領域信号又は前記第2時間領域信号として、異なったタイミングで抽出する点にある。
前記抽出ステップにおいて、自己相関が最大となる抽出第1タイミングと、引き続いて自己相関が最大となる抽出第2タイミングとの間における原時間領域信号を、前記第1時間領域信号又は前記第2時間領域信号として、異なったタイミングで抽出することとなる。
前記異常分析手段が、
診断時に前記抽出手段により抽出される時間領域信号を第1時間領域信号として、
予め求められている正常時の時間領域信号であって、前記第1時間領域信号と周波数が同一且つ位相を同じくする時間領域信号を、前記第2時間領域信号として、
異常分析を実行する点にある。
前記予め求められている正常時の時間領域信号が、機器が正常な状態における時間領域信号であって、周波数が同一で位相を同じくする複数の時間領域信号の平均化信号である点にある。
前記原時間領域信号から、異常分析の対象とする周波数帯域を外れる信号成分を排除する帯域外信号排除手段を備えた点にある。
そこで、この周波数帯域に注目して異常分析を行うことが合理的且つ無駄がない。結果、診断の迅速性、信頼性が向上する。
即ち、帯域外信号排除手段を備えて、周波数帯域を外れる信号成分を排除することで、高性能な異常分析装置を得ることができる。
正常時の時間領域信号であって、機器が異なった稼働頻度で運転される周波数で分類した正常時・稼働頻度別の時間領域信号を備え、
前記異常分析手段が、前記正常時・稼働頻度別の時間領域信号に基づいて、稼働頻度に従った異なる基準で異常分析を実行する点にある。
例えば、定格運転周波数での稼働頻度は高く、起動時、停止時に、一時的に通過する周波数の稼働頻度は低い。さらに、起動時、停止時にあっても、例えば、起動時にあっては、比較的低周波数の領域で暫く動作された後、一気に定格運転周波数まで上昇される(停止時は逆となる)。従って、この上昇過程において通過する中間周波数領域の稼働頻度は極めて低い。
さらに、このように閾値を変更するのではなく、稼働頻度の高い周波数帯と稼働頻度の低い周波数帯との分類を、前者程細かく後者程粗くとることで、均一化した異常分析を行える。
前記自己相関導出手段により自己相関に基づいて、前記時間領域信号が発生された時間における前記機器の周波数を推定する周波数推定手段を備えた点にある。
しかしながら、本発明にあっては、周波数及び位相を同じくする信号間での比較・分析を行うこととも関連して、周波数推定手段を備えておくと、自己相関から周波数及び位相を同じくする信号の抽出を行うことができる。
前記異常分析手段がオートエンコーダにより前記時間領域信号の異常度を導出して、導出される前記異常度を比較して、前記機器の異常分析を行う点にある。
図1は、本発明に係る異常分析装置100の機能ブロック図であり、機能ブロック内に、主な機能手段を記載している。
従って、本異常分析装置100では、この機器1から発する音響、振動等を検出して、その原時間領域信号Sに基づいて異常分析を行う。
〔第1前処理部〕
第1前処理部11は原時間領域信号Sをフィルター処理する部位であり、フィルターとしては、ローパスフィルター(LPF),ハイパスフィルター(HPF),バンドパスフィルター(BPF)或いはバンドエリミネーションフィルター(BEF)等を適宜組み合わせて使用する。図1には、これらフィルターを纏めて帯域外信号排除手段と表現した。
第2前処理部12には、信号処理用のソフトとして構築されている自己相関導出手段12aと、この自己相関導出手段12aにより導出される時間領域信号の自己相関から、位相を同じくする信号を抽出する抽出手段12bが備えられている。
この自己相関導出手段12aは自己相関導出ステップを実行し、抽出手段12bは抽出ステップをそれぞれ以下に示す手法で実行する。
図3は、図2に示した取り込み時刻が異なる原時間領域信号S(S1,S2,S3)の自己相関をそれぞれ線種を変えて示した。自己相関R(Δt)は、以下の式3で求められる。
Σはt=1~N 式3
ここで、Δtは時間幅、Nはサンプル数
以下、このような正常時の時間領域信号(第2時間領域信号s2)を主に記憶する記憶部20の構成に関して説明する。
時間領域信号sは、先に図1で説明した原時間領域信号Sから前処理を経て得られる信号である。
ログ対応データ記憶部21では、上記のようにして蓄積される時間領域信号sが、各種ログデータLD(エンジン回転数、吸気温度、機関負荷率、燃料ガス圧等)に関連づけられて記憶されており、各種ログデータLDを特定することで、そのログデータLDに関連付けられた時間領域信号s(平均化された信号)を第2時間領域信号s2として引き出すことができる。当然、周波数が特定されれば、対応するエンジン回転数に基づいて、その周波数の第2時間領域信号s2を引き出せる。
結果、このログ対応データ記憶部21に記憶されている情報(診断対象とする第1時間領域信号s1に対して周波数及び位相を同じくする正常時の第2時間領域信号s2)を、異常判定部30bでの異常判定に使用することができる。
異常分析装置100では、上記の様々な分類項目について、別途、その稼働頻度を収集している。従って、ログ対応データ記憶部21に分類蓄積されるデータは、その分類の稼働頻度に関連づけられる。図5に、横軸を出力、縦軸を回転数(回転速度;これまで説明してきた周波数に相当)として、その稼働頻度を高さ方向に取った例を示した。この例では出力と回転数とが一定の線形関係を満たす範囲で稼働頻度が高いことが分かる。従って、この記憶部20は、正常時の時間領域信号であって、機器1が異なった稼働頻度で運転される周波数で分類した正常時・稼働頻度別の第2時間領域信号s2を備えている。
異常分析部30は、異常度算出部30aと異常判定部30bとを備えて構成されている。この異常分析部30は、本発明における異常分析手段となる。
オートエンコーダの構築は、例えば、工場出荷時といった機器1が正常な状態で、実行される。即ち、正常状態でセンサ2から出力信号を取り込み、第1前処理部11、第2前処理部12を経て、位相を同じくする時間領域信号sを取得しておく。この時、周波数を変更しないことで、位相を同じくする時間領域信号sを順次自動的に取り込むことができる。そして、このような時間領域信号sを利用して、先に説明した手法に従って、オートエンコーダが初期的に構築される。診断時には、このオートエンコーダの入力として、診断対象の時間領域信号sを入力することで、次元圧縮(エンコード)・復元(デコード)による処理を経て得られる出力から、診断対象の時間領域信号sの異常度を得ることができる。
異常度算出部30aは、上記のようにして構築されたオートエンコーダと、その入出力の関係から異常度を算出する部位である。
この結果からわかる様に、図14に示す異常度算出結果に対して、異常度のレベルは上昇しており感度が上昇している。
異常判定部30bの判定手法としては、異常度を逐次求めてゆき、この異常度が過大に大きくなった場合を異常と判定する。
これらの図面には、予め得られているオートエンコーダを使用して、時間領域信号sを入出力処理した場合の入力(図上 inputと記載)と出力(図上outputと記載)の関係を示している。図上側に、得られた取得日時及び異常度を示した。さらに図右上は、図4を縮小した図であり、太丸で異常判定の対象とした時刻を示している。
図6 ;異常度 0.0432
図7 ;異常度 0.0504
図8 ;異常度 0.104
となっている。
図4及びこれらの図から、例えば、異常度0.1を閾値として異常判定を行えることが分かる。
異常度算出部30a、異常判定部30bにおいては、正常時・稼働頻度別の時間領域信号sに基づいて、異常度の算出基準を稼働頻度に従って変更することで異なる基準で異常分析を実行するように構成されている。
図9に、この様なエンジンの起動時の状態を示した。
同図、実線で「出力」を、一点鎖線で「燃料弁開度」を、さらに破線で「回転数(回転速度)」を示している。横軸は起動開始からの経過時間である。この図は、起動開始(0sec)~出力が所定の値に到達するまでの時間(340sec)までの状態を示した。エンジンの動作にあっては、排ガス流量、排ガス温度、その他の要素も関与するが(影響要素となるが)、それらの要素に関しては省力して説明する。
主成分である第1主成分PCA1及び第2主成分PCA2は、各影響要素xi,xjの寄与度Wi、Wjを使用して、以下のように記載される。ここで、bi,cjは多変量分析の手法に従って適宜決定される。
第2主成分PCA2;y=ΣWjxj+cj 式5
(1)上記の実施形態では、機器が動作している周波数はログデータLD側から取り込み、自己相関導出手段12a及び抽出手段12bを使用して、時間領域信号sの位相を合すように構成しているが、先にも図3で示したように、本発明に係る時間領域信号sは、その信号長(時間幅)が特定されるため、この時間幅を利用して、その信号の取り込み時の周波数を求めることができる。信号時長をTsecとして、周波数は60/Tとなる。そこで、図12に示す別実施形態では、第2前処理部に備える周波数推定手段としての周波数算出手段12cで行うようにしている。
このようにすることで、原時間領域信号Sから周波数及び位相に関する両情報を得て、時間領域信号sにおける周波数及び位相の同一性を確保して信頼性の高い異常分析を行うことができる。
10 前処理部(前処理手段)
11 第1前処理部(帯域外信号排除手段)
12 第2前処理部
12a 自己相関導出手段
12b 抽出手段
12c 周波数算出手段(周波数推定手段)
20 記憶部
21 ログ対応データ記憶部
22 稼働頻度別データ記憶部
30 異常分析部(異常分析手段)
30a 異常度算出部(異常度算出手段)
30b 異常判定部(異常判定手段)
S 原時間領域信号
s 時間領域信号
s1 第1時間領域信号(時間領域信号)
s2 第2時間領域信号(時間領域信号)
LD ログデータ
Claims (10)
- 周期的に動作する機器が発する原時間領域信号に基づいて当該機器を、学習を伴って診断する異常分析装置であって、
前記原時間領域信号の自己相関を求める自己相関導出手段と、
前記自己相関導出手段により導出される自己相関に基づいて、前記原時間領域信号に於ける位相を同じくする第1時間領域信号と第2時間領域信号とを抽出する抽出手段とを備え、
前記第1時間領域信号と第2時間領域信号との関係に基づいて、前記機器の異常分析を実行する異常分析手段を備え、
正常時の時間領域信号であって、機器が異なった稼働頻度で運転される周波数で分類した正常時・稼働頻度別の時間領域信号を備え、
前記異常分析手段が、前記正常時・稼働頻度別の時間領域信号に基づいて、稼働頻度に従った異なる基準で異常分析を実行する異常分析装置。 - 周期的に動作する機器が発する原時間領域信号に基づいて当該機器を、学習を伴って診断する異常分析装置であって、
前記原時間領域信号の自己相関を求める自己相関導出手段と、
前記自己相関導出手段により導出される自己相関に基づいて、前記原時間領域信号に於ける位相を同じくする第1時間領域信号と第2時間領域信号とを抽出する抽出手段とを備え、
前記第1時間領域信号と第2時間領域信号との関係に基づいて、前記機器の異常分析を実行する異常分析手段を備え、
前記自己相関導出手段により導出される自己相関に基づいて、前記第1時間領域信号と第2時間領域信号が発生された時間における前記機器の周波数を推定する周波数推定手段を備えた異常分析装置。 - 前記抽出手段が、自己相関が最大となる抽出第1タイミングと、続いて自己相関が最大となる抽出第2タイミングとの間における原時間領域信号を、前記第1時間領域信号又は前記第2時間領域信号として、異なったタイミングで抽出する請求項1または2記載の異常分析装置。
- 前記異常分析手段が、
診断時に前記抽出手段により抽出される時間領域信号を第1時間領域信号として、
予め求められている正常時の時間領域信号であって、前記第1時間領域信号と周波数が同一且つ位相を同じくする時間領域信号を前記第2時間領域信号として、
異常分析を実行する請求項1~3のいずれか一項記載の異常分析装置。 - 前記予め求められている正常時の時間領域信号が、機器が正常な状態における時間領域信号であって、周波数及び位相を同じくする複数の時間領域信号の平均化信号である請求項4記載の異常分析装置。
- 前記原時間領域信号から、異常分析の対象とする周波数帯域を外れる信号成分を排除する帯域外信号排除手段を備えた請求項1~5のいずれか一項記載の異常分析装置。
- 前記異常分析手段が、オートエンコーダによる処理を実行して前記時間領域信号の異常度を導出して、導出される前記異常度を比較して、前記異常分析を実行する請求項1~6の何れか一項記載の異常分析装置。
- 周期的に動作する機器が発する原時間領域信号に基づいて当該機器を、学習を伴って診断する異常分析方法であって、
前記原時間領域信号の自己相関を求める自己相関導出ステップと、
前記自己相関導出ステップにより導出される自己相関に基づいて、前記原時間領域信号に於ける位相を同じくする第1時間領域信号と第2時間領域信号とを抽出する抽出ステップとを実行し、
前記第1時間領域信号と第2時間領域信号との関係に基づいて、前記機器の異常分析を行う異常分析ステップを実行するに、
正常時の時間領域信号であって、機器が異なった稼働頻度で運転される周波数で分類した正常時・稼働頻度別の時間領域信号を備え、
前記異常分析ステップで、前記正常時・稼働頻度別の時間領域信号に基づいて、稼働頻度に従った異なる基準で異常分析を実行する異常分析方法。 - 周期的に動作する機器が発する原時間領域信号に基づいて当該機器を、学習を伴って診断する異常分析方法であって、
前記原時間領域信号の自己相関を求める自己相関導出ステップと、
前記自己相関導出ステップにより導出される自己相関に基づいて、前記原時間領域信号に於ける位相を同じくする第1時間領域信号と第2時間領域信号とを抽出する抽出ステップとを実行し、
前記第1時間領域信号と第2時間領域信号との関係に基づいて、前記機器の異常分析を行う異常分析ステップを実行するに、
前記自己相関導出ステップにより導出される自己相関に基づいて、前記第1時間領域信号と第2時間領域信号が発生された時間における前記機器の周波数を推定する異常分析方法。 - 前記抽出ステップが、自己相関が最大となる抽出第1タイミングと、引き続いて自己相関が最大となる抽出第2タイミングとの間における原時間領域信号を、前記第1時間領域信号又は前記第2時間領域信号として、異なったタイミングで抽出する請求項8又は9記載の異常分析方法。
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