JP7437348B2 - 水管理システム、水管理方法およびコンピュータプログラム - Google Patents

水管理システム、水管理方法およびコンピュータプログラム Download PDF

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Description

本開示は、圃場の水管理を行う水管理システム、水管理方法およびコンピュータプログラムに関する。
圃場の水管理を遠隔操作または自動制御により行う水管理システムが知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1が開示する水管理システムの給水装置は、灌漑用のパイプラインから圃場への給水を調整するバルブの開閉を行うアクチュエータを備える。水管理システムでは、遠隔操作または自動制御によりアクチュエータを駆動し、バルブの開閉を行うことで、圃場に適切な量の水を供給することができる。これにより、圃場の水管理におけるユーザの負荷を低減させることができる。
特開2019-165661号
水稲などの栽培において、圃場に除草剤を散布する場合がある。圃場に除草剤を散布する方法として、圃場に張られた水の中に除草剤を拡散させ、圃場の土壌表面に除草剤を定着させる方法がある。その土壌表面に定着した除草剤に雑草が触れることで雑草の生育を抑制することができる。
そのような除草剤を散布した後は、例えば7日程度の間、給排水を停止することが指導されている。これは、除草剤が水中を十分に拡散し、土壌の表面に広く均一な処理層を形成するために必要な期間、水の流入および除草剤の流出を停止するためである。特に、除草剤が処理層を形成する前に急激な水位変化に晒されると、除草剤が偏って定着したり、圃場の外部に流出したりしてしまう場合がある。しかし、圃場ごとに水はけ(水田浸透)の程度に差があり、水面からの蒸発散量も天候などの気象条件によって変動する。このため、除草剤投入後の圃場の水管理を適切に行うことは困難である。
除草剤等の薬剤が投入される圃場の水管理を適切に行うことが求められている。
本開示のある実施形態に係る水管理システムは、薬剤が投入される圃場への給水を管理する水管理システムであって、圃場の水位に関する情報を取得するセンサと、前記圃場への給水を調整するバルブの開閉を行うアクチュエータと、前記圃場への給水を制御する制御装置とを備え、前記制御装置は、前記水位に関する情報に基づいて、前記圃場の単位時間当たりの水位の低下量を演算し、前記圃場への薬剤の投入が終了してから次に前記圃場への給水を開始するまでの待機時間を、演算した前記単位時間当たりの水位の低下量に応じて決定し、前記薬剤の投入の終了後、前記待機時間が経過するまでは前記バルブを閉じておくように前記アクチュエータを制御する。
本開示のある実施形態によれば、圃場の単位時間当たりの水位の低下量に応じて待機時間を決定し、薬剤投入後は待機時間が経過するまでは圃場への給水を行わない。単位時間当たりの水位の低下量は同一圃場内ではその全域に亘って共通であり、単位時間当たりの水位の低下量に応じて待機時間を決定することで、圃場内の水を所望の状態にすることができる。これにより、圃場内の土壌に薬剤を効率よく定着させ、薬剤の効果を安定して得ることができる。
本開示のある実施形態に係る水管理システムの構成例を示す図である。 本開示のある実施形態に係る水管理装置が設置された圃場を示す図である。 本開示のある実施形態に係る水管理装置およびバルブの構成例を示す図である。 本開示のある実施形態に係る薬剤投入装置の構成例を示す図である。 本開示のある実施形態に係る水管理システムのハードウェア構成例を示すブロック図である。 本開示のある実施形態に係る薬剤投入装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。 本開示のある実施形態に係る水管理システムが圃場の水を管理する処理の例を示すフローチャートである。 本開示のある実施形態に係る上限および下限の間で推移する水位の例を示す図である。 本開示のある実施形態に係る日減水深と待機時間との関係を示したテーブルの例を示す図である。
以下、本開示の実施形態を説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明および実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になることを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、発明者は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。以下の説明において、同一または類似の機能を有する構成要素については、同じ参照符号を付している。
以下の実施形態は例示であり、本開示による水管理システムは、以下の実施形態に限定されない。例えば、以下の実施形態で示される数値、形状、材料、ステップ、そのステップの順序などは、あくまでも一例であり、技術的に矛盾が生じない限りにおいて種々の改変が可能である。また、技術的に矛盾が生じない限りにおいて、一の態様と他の態様とを組み合わせることが可能である。
(1-1. 水管理システム)
図1は、本実施形態に係る水管理システム1の構成例を示す模式図である。水管理システム1は、圃場に対する水の給水および排水など圃場の水管理を行うための種々の機能を有する。水管理システム1は、付加的な機能(生育監視モード、盗難監視モード、侵入物監視モードなど)を備えていてもよい。
水管理システム1では、サーバコンピュータ100(以下、「サーバ100」と表記する)、1つ以上の水管理装置200、1つ以上のユーザ端末装置500がネットワーク2を介して互いに通信可能に接続され得る。水管理装置200は圃場に設置され、圃場に対する水の給水および排水などを行う。水管理装置200は中継装置400を介してネットワーク2に接続され得る。中継装置400は、水管理装置200との通信が可能な距離内にある建物に設置され得る。中継装置400は屋外に設置されてもよい。ネットワーク2は例えばインターネットであるが、それに限定されない。ネットワーク2は例えばローカルエリアネットワーク(LAN)であってもよい。
ネットワーク2に接続される水管理装置200およびユーザ端末装置500の個数は任意である。水管理システム1が複数の圃場の水管理を行う場合、水管理装置200は複数の圃場のそれぞれに設けられ得る。
水管理装置200には、有線接続または無線接続により水位センサ250および薬剤投入装置300が接続されている。水位センサ250は圃場の水位を検出するセンサである。薬剤投入装置300は圃場に薬剤を投入する装置である。
例えば、水稲などを栽培する圃場に除草剤を散布する場合、圃場に張られた水の中に除草剤を拡散させ、圃場内の土壌表面に除草剤を定着させる。その土壌表面に定着した除草剤に雑草が触れることで雑草の生育を抑制することができる。本実施形態の水管理システム1では、除草剤などの薬剤が投入された圃場の水管理を、圃場の水はけの程度および気象条件に応じて、適切に行うことが可能になる。
水管理システム1の動作の例を詳細に説明する前に、圃場10および水管理システム1の構成例の詳細を説明する。
(1-2. 圃場)
図2は、水管理装置200が設置された圃場10を示す図である。図2に例示する圃場10には、給水用の水管理装置200および排水用の水管理装置200Aが設置されている。圃場10内の土壌11には作物15が植えられている。作物15は例えば水稲であるがそれに限定されない。圃場10内には水12が張られている。
圃場10の周囲には、灌漑用の水が流れるパイプライン20が設置されている。パイプライン20は、供給管21と、供給管21から分岐して圃場10に向かって延びる分岐管22とを備える。供給管21は、用水路に接続されている。圃場10が複数ある場合は、複数の分岐管22が供給管21から複数の圃場に延びている。分岐管22の圃場側の端部には、給水を調整するバルブ30が設けられている。バルブ30の上部に水管理装置200が接続されている。
水管理装置200は、バルブ30の開閉を行う。バルブ30を開けるとパイプライン20から圃場10に水が供給される。バルブ30を閉めるとパイプライン20から圃場10への水の供給が停止される。
(1-3. 水管理装置)
図3は、水管理装置200およびバルブ30の構成例を示す図である。
バルブ30は、水が通過する筒状のボディ31と、ボディ31の内部に配置された弁体32と、弁体32に接続されたステム33と、ボディ31に設けられた軸受34とを備える。
ステム33は、軸受34によって回転可能に支持されている。ステム33が回転することにより弁体32が上下方向に移動し、弁体32が開閉する。例えば、ステム33には雄ねじが形成され、軸受34の内周には雌ねじが形成されていて、ステム33の回転に伴って、ステム33が上下方向に移動して弁体32が移動する。ボディ31の周方向に沿った壁部には貫通孔35が形成されている。貫通孔35は、水が圃場10に向かって出ていく供給口である。
バルブ30を開けるときは、ステム33を回転させて弁体32を上方向に移動させる。これにより、パイプライン20と貫通孔35とが繋がり、パイプライン20から圃場10に水が供給される。バルブ30を閉じるときは、ステム33を反対方向に回転させて弁体32を下方向に移動させる。これにより、弁体32によりパイプライン20と貫通孔35とが遮断され、パイプライン20から圃場10への水の供給が停止される。図3に示すバルブ30の構造は一例であり、それに限定されない。
水管理装置200は、アクチュエータ40を備える。アクチュエータ40は、バルブ30の開閉を行う。アクチュエータ40は、電動モータ41と、電動モータ41の回転が伝達される回転軸42とを備える。
電動モータ41の出力軸43には、ギア44が取付けられている。ギア44には、ギア45が噛み合っている。ギア45は、収容体51に設けられた軸受46に回転可能に支持されている。
ギア45は、回転軸42を上下方向に移動可能に支持する。ギア45の内周側にはキー溝45aが設けられている。回転軸42には凸状の摺動部47が設けられている。ギア45の内周側のキー溝45aに、回転軸42の摺動部47が嵌め込まれている。回転軸42はギア45とともに回転しながら、ギア45に対して上下方向に摺動可能である。なお、回転軸42にスプラインが設けられて、そのスプラインがギア45の内周側の溝に嵌め込まれていてもよい。
回転軸42の下端部は、バルブ30のステム33の上端部と連結している。例えば、回転軸42の下端部にはカップリング部42aが設けられており、ステム33の上端部に設けられたカップリング部33aにカップリング部42aが連結されている。
電動モータ41の回転は、ギア44、ギア45、回転軸42を介してステム33に伝達され、ステム33は回転する。ステム33が回転しながら上下方向に移動することで、バルブ30を開閉させることができる。
水管理装置200は、収容体51を備える。収容体51は、上下方向に長く延びた形状を有し、内部にアクチュエータ40等の各種装置を収容する。
収容体51は、筒体51a、51b、51cを備える。筒体51a、51b、51cは上下方向に並べられて互いに接続されている。
筒体51aの下端は、バルブ30の上部に設けられた取付台36にボルト等の締結具によって取付けられている。
筒体51aの上端と筒体51bの下端との間には、筒状の連結部材52が設けられている。連結部材52は、周壁部52aと、周壁部52aから径方向の外側に突出したフランジ52bと、周壁部52aの上端側に設けられた支持壁52cとを備える。筒体51aの上端および筒体51bの下端のそれぞれをフランジ52bに近接させ、筒体51aの上部および筒体51bの下部のそれぞれを周壁部52aにボルト等の締結具で締結することにより、筒体51aと筒体51bとが接続される。
支持壁52cには、回転軸42が貫通する貫通孔が形成されている。軸受46等が取り付けられた構造体53を支持壁52cに取付けることにより、電動モータ41、回転軸42およびギア45が支持壁52cにより支持される。
筒体51bは、下壁部54aと、上壁部54cと、下壁部54aと上壁部54cとの間に設けられた中間壁54bとを備える。中間壁54bには、径方向の外側に突出した突出壁56が設けられている。突出壁56は円形状を有し、操作盤260が設けられている。中間壁54bの内径は上壁部54cの内径よりも小さく段部54dが形成されている。上壁部54cには筒体51cの下部が差し込まれて取り付けられている。
筒体51cは、アクチュエータ40とは別の各種装置を収容可能である。筒体51cの下端には、載置板57aが設けられている。筒体51cの上端には天板57bが設けられている。天板57bには、ブラケット57cを介してソーラーパネル222が設けられている。
筒体51c内には、制御装置210、バッテリ221、通信装置230等の各種装置が収容されている。制御装置210は、水管理装置200の種々の制御を行う。通信装置230は、水管理装置200と外部装置との通信を行う。バッテリ221は、水管理装置200に収容されたアクチュエータ40、制御装置210、通信装置230等の各種装置に電力を供給する。また、バッテリ221は、ソーラーパネル222が発電した電力を蓄電する。制御装置210がアクチュエータ40の動作を制御することで、バルブ30の開閉を行うことができる。
次に、圃場10内の水の排水について説明する。水管理装置200は、圃場10内の水の排水のために用いることもできる。図2に例示する圃場10には、排水用の水管理装置200Aが設置されている。
図2に示すように、排水路28には排水管27の一端が接続され、排水管27の他端は排水桝26に接続されている。排水桝26には排水用のバルブ25が設けられ、バルブ25の上部に水管理装置200Aが接続されている。
水管理装置200Aは、水管理装置200と同様の構成を有し得る。水管理装置200Aのアクチュエータ40は、バルブ25の開閉を行う。バルブ25を開けると圃場10内の水は排水管27に排水される。バルブ25を閉めると圃場10から排水管27への排水が停止される。
(1-4. 水位センサおよび薬剤投入装置)
次に、水位センサ250(図2)および薬剤投入装置300を説明する。
水位センサ250は、圃場10の水位を検出する。水位センサ250の種類は任意であり、例えば、静電容量式水位センサ、圧力式水位センサまたはフロート式水位センサが用いられ得る。水位センサ250は、例えば圃場10内に設けられた支柱に取り付けられ得る。支柱の下部は土壌11内に打ち込まれており、土壌11に固定されている。
水位センサ250は、有線接続または無線接続により水管理装置200に接続されている。水位センサ250は、検出した圃場10の水位のデータを水管理装置200に出力する。
水管理装置200には、水温を検出する水温センサ、気温を検出する気温センサ、湿度を検出する湿度センサ、土壌の温度を検出する土壌温度センサ等が接続されてもよい。
薬剤投入装置300は、圃場10内に設置され、圃場10内に薬剤を投入する。薬剤投入装置300は、例えば、水管理装置200の近傍であって、且つ、給水時の水の流れにおける水管理装置200よりも下流側の位置に設置される。給水とともに薬剤の投入を行うことにより、給水により発生する水流を利用して薬剤13を圃場10内に効率良く拡散させることができる。
図4は、薬剤投入装置300の構成例を示す図である。
薬剤投入装置300は、筐体320、バルブ340、アクチュエータ350、タンク360、ガイド370を備える。タンク360は薬剤13を収容する。タンク360の上部には蓋361が設けられており、タンク360から蓋361を取り外すことで、タンク360内に外部から薬剤13を入れることができる。薬剤13は、顆粒、粉体または液体である。ここでは薬剤13は顆粒であるとする。
タンク360の下部は開口しており、そのタンク360の下部にバルブ340が設けられている。バルブ340の種類は任意であり、例えばスライドゲートバルブまたはバタフライバルブが用いられ得る。アクチュエータ350は、バルブ340の開閉を行う。
筐体320は、バルブ340およびアクチュエータ350を収容している。筐体320は、ブラケット381を介して支柱380に取り付けられている。支柱380の下部は土壌11内に打ち込まれており、土壌11に固定されている。なお、筐体320を3本以上の脚で支持し、筐体320を支持する脚の下部を土壌11上に配置することで、薬剤投入装置300を圃場10内に設置してもよい。
筐体320の下部には、タンク360からバルブ340を通って落下した薬剤13を圃場10へ導くガイド370が設けられている。アクチュエータ350が駆動してバルブ340が開くと、タンク360内の薬剤13はバルブ340を通って落下する。薬剤13はガイド370上をスライドしながら斜め下方向に移動し、ガイド370の下端部から落下することで圃場10へ投入される。これにより、圃場10に薬剤13を投入することができる。
次に、水管理システム1のハードウェア構成例を説明する。図5は、水管理システム1のハードウェア構成例を示すブロック図である。図6は、薬剤投入装置300のハードウェア構成例を示すブロック図である。
(2-1. サーバ)
サーバ100は、例えばクラウドサーバまたはエッジサーバなどの、圃場10から離れた場所に設置されたコンピュータであり得る。サーバ100は、制御装置110と、記憶装置120と、通信装置130とを備える。サーバ100は、圃場10に関するデータを一元管理し、管理するデータを活用して農業を支援するクラウドサーバとして機能する。
制御装置110は、プロセッサ111と、ROM(Read Only Memory)112およびRAM(Random Access Memory)113などの記録媒体とを備える。ROM112には、プロセッサ111に処理を実行させるためのコンピュータプログラム(またはファームウェア)が実装され得る。コンピュータプログラムは、記憶媒体(例えば半導体メモリまたは光ディスク等)または電気通信回線(例えばインターネット)を介してサーバ100に提供され得る。そのようなコンピュータプログラムが、商用ソフトウェアとして販売されてもよい。
プロセッサ111は、半導体集積回路であり、例えば中央演算処理装置(CPU)を含む。プロセッサ111は、マイクロプロセッサまたはマイクロコントローラによって実現され得る。プロセッサ111は、各種処理を実行するための命令群を記述した、ROM112に格納されるコンピュータプログラムを逐次実行し、所望の処理を実現する。
プロセッサ111は、CPUを搭載したFPGA(Field Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、ASSP(Application Specific Standard Product)、または、これら回路の中から選択される二つ以上の回路の組み合わせであってもよい。
ROM112は、例えば、書き込み可能なメモリ(例えばPROM)、書き換え可能なメモリ(例えばフラッシュメモリ)、または読み出し専用のメモリである。ROM112は、プロセッサ111の動作を制御するコンピュータプログラムを記憶している。ROM112は、単一の記録媒体である必要はなく、複数の記録媒体の集合体であってもよい。複数の記録媒体の集合体の一部は取り外し可能なメモリであってもよい。
RAM113は、ROM112に格納されたコンピュータプログラムをブート時に一旦展開するための作業領域を提供する。RAM113は、単一の記録媒体である必要はなく、複数の記録媒体の集合であってもよい。
記憶装置120は、主としてデータベースのストレージとして機能する。記憶装置120の例はクラウドストレージである。記憶装置120は、例えば磁気記憶装置、光学記憶装置、半導体記憶装置またはそれらの組み合わせである。光学記憶装置の例は、光ディスクドライブまたは光磁気ディスク(MD)ドライブなどである。磁気記憶装置の例は、ハードディスクドライブ(HDD)である。半導体記憶装置の例は、ソリッドステートドライブ(SSD)である。記憶装置120は、サーバ100にネットワークを介して接続された外部の記憶装置であってもよい。記憶装置120は、圃場10の水管理に関する各種情報を記憶し得る。
通信装置130は、ネットワーク2を介して水管理装置200およびユーザ端末装置500と通信するための通信モジュールである。通信装置130は、有線通信および/または無線通信を行うことができる。通信装置130は、例えば、USB、IEEE1394(登録商標)、またはイーサネット(登録商標)などの通信規格に準拠した有線通信を行うことができる。通信装置130は、例えば、Bluetooth(登録商標)規格および/またはWi-Fi(登録商標)規格に準拠した無線通信を行うことができる。いずれの規格も、2.4GHz帯または5.0GHz帯の周波数を利用した無線通信規格を含む。通信装置130は、携帯電話回線または人工衛星を経由する回線を利用した無線通信を行ってもよい。
(2-2. ユーザ端末装置)
ユーザ端末装置500は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットコンピュータ、スマートフォン、またはPDA(Personal digital assistant)である。図1では、ユーザ端末装置500の例として、ラップトップPCおよびタブレットコンピュータが示されている。
図5に例示するように、ユーザ端末装置500は、制御装置510、記憶装置520、通信装置530、入力装置540および表示装置550を備える。これらの構成要素は、バスを介して相互に通信可能に接続される。
制御装置510は、プロセッサ511、ROM512およびRAM513を備える。プロセッサ511、ROM512、RAM513および記憶装置520の詳細は、サーバ100のプロセッサ111、ROM112、RAM113および記憶装置120と同様であるため、ここではその説明を省略する。
入力装置540は、ユーザからの指示をデータに変換してコンピュータに入力するための装置である。入力装置540は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネルまたはそれらの組み合わせである。表示装置550は、例えば、液晶ディスプレイまたはOLED(Organic Light-Emitting Diode)ディスプレイである。
通信装置530は、ネットワーク2を介してサーバ100および水管理装置200と通信するための通信モジュールである。通信装置130は、有線通信および/または無線通信を行うことができる。例えば、通信装置530は、通信装置130と同様に、USB、IEEE1394(登録商標)、またはイーサネット(登録商標)などの通信規格に準拠した有線通信を行うことができる。通信装置530は、通信装置130と同様に、Bluetooth(登録商標)規格および/またはWi-Fi(登録商標)規格に準拠した無線通信を行うことができる。通信装置530は、BLE(Bluetooth Low Energy)またはLPWA(Low Power Wide Area)の通信方式に準拠した無線通信を行うことが可能な通信モジュールであってもよい。BLEまたはLPWAなどの通信方式を利用することにより、低消費電力で長距離かつ広範囲の通信を実現することができる。通信装置530は、携帯電話回線または人工衛星を経由する回線を利用した無線通信を行ってもよい。
(2-3. 中継装置)
図5に例示するように、中継装置400は、制御装置410、通信装置430および通信装置450を備える。これらの構成要素は、バスを介して相互に通信可能に接続される。
制御装置410は、プロセッサ411、ROM412およびRAM413を備える。プロセッサ411、ROM412およびRAM413の詳細は、サーバ100のプロセッサ111、ROM112およびRAM113と同様であるため、ここではその説明を省略する。
通信装置430は、ネットワーク2を介してサーバ100およびユーザ端末装置500と通信するための通信モジュールである。通信装置430は、有線通信および/または無線通信を行うことができる。例えば、通信装置430は、通信装置130と同様に、USB、IEEE1394(登録商標)、またはイーサネット(登録商標)などの通信規格に準拠した有線通信を行うことができる。通信装置430は、通信装置130と同様に、Bluetooth(登録商標)規格および/またはWi-Fi(登録商標)規格に準拠した無線通信を行うことができる。通信装置430は、BLEまたはLPWAの通信方式に準拠した無線通信を行うことが可能な通信モジュールであってもよい。通信装置430は、携帯電話回線または人工衛星を経由する回線を利用した無線通信を行ってもよい。
通信装置450は、水管理装置200と通信するための通信モジュールである。通信装置450は、例えば、Bluetooth(登録商標)規格および/またはWi-Fi(登録商標)規格に準拠した無線通信を行うことができる。通信装置450は、BLEまたはLPWAの通信方式に準拠した無線通信を行うことが可能な通信モジュールであってもよい。通信装置450は、携帯電話回線または人工衛星を経由する回線を利用した無線通信を行ってもよい。
(2-4. 水管理装置)
図5に例示するように、水管理装置200は、制御装置210、通信装置230、通信装置240および操作盤260を備える。これらの構成要素は、バスを介して相互に通信可能に接続される。水管理装置200A(図2)も、水管理装置200と同様の構成要素を備え得る。
制御装置210は、プロセッサ211、ROM212、RAM213および駆動回路214を備える。プロセッサ211、ROM212およびRAM213の詳細は、サーバ100のプロセッサ111、ROM112およびRAM113と同様であるため、ここではその説明を省略する。
駆動回路214は、例えばインバータである。駆動回路214は、プロセッサ211から出力された指令値に応じた駆動電流を生成し、アクチュエータ40(図3)の電動モータ41に供給する。駆動電流が供給された電動モータ41は回転し、バルブ30が開閉される。
通信装置230は、中継装置400と通信するための通信モジュールである。通信装置230は、例えば、Bluetooth(登録商標)規格および/またはWi-Fi(登録商標)規格に準拠した無線通信を行うことができる。通信装置230は、BLEまたはLPWAの通信方式に準拠した無線通信を行うことが可能な通信モジュールであってもよい。通信装置230は、携帯電話回線または人工衛星を経由する回線を利用した無線通信を行ってもよい。
操作盤260は、水管理装置200の動作に関する操作をユーザが行うための装置である。操作盤260は、スイッチおよび/またはタッチパネルを有し、ユーザからの指示を受け付けてプロセッサ211に送信する。通信装置240は、薬剤投入装置300および水位センサ250と通信するための通信モジュールである。
(2-5. 薬剤投入装置)
図6に例示するように、薬剤投入装置300は、制御装置310および通信装置330を備える。これらの構成要素は、バスを介して相互に通信可能に接続される。
制御装置310は、プロセッサ311、ROM312、RAM313および駆動回路314を備える。プロセッサ311、ROM312およびRAM313の詳細は、サーバ100のプロセッサ111、ROM112およびRAM113と同様であるため、ここではその説明を省略する。
駆動回路314は、例えばインバータである。駆動回路314は、プロセッサ311から出力された指令値に応じた駆動電流を生成し、アクチュエータ350(図4)に供給する。アクチュエータ350は駆動電流に応じて駆動してバルブ340の開閉を行う。
通信装置330は、水管理装置200と通信を行うための通信モジュールである。通信装置240(図5)および通信装置330は、有線通信および/または無線通信を行うことができる。例えば、通信装置240および通信装置330は、通信装置530と同じく、USB、IEEE1394(登録商標)、またはイーサネット(登録商標)などの通信規格に準拠した有線通信を行うことができる。通信装置240および通信装置330は、通信装置530と同じく、Bluetooth(登録商標)規格および/またはWi-Fi(登録商標)規格に準拠した無線通信を行うことができる。通信装置240および通信装置330は、BLEまたはLPWAの通信方式に準拠した無線通信を行うことが可能な通信モジュールであってもよい。
水管理装置200は、通信装置230を用いて薬剤投入装置300および水位センサ250と通信を行ってもよい。この場合は、水管理装置200は通信装置240を備えていなくてもよい。
また、水管理装置200の制御装置210が薬剤投入装置300のアクチュエータ350を直接制御する場合は、制御装置310および通信装置330は省略されてもよい。この場合、制御装置210からアクチュエータ350に駆動電流が供給されることにより、アクチュエータ350はバルブ340の開閉を行う。
また、水管理装置200は、中継装置400を介さずにネットワーク2に直接接続されてもよい。この場合は、中継装置400は省略されてもよい。この場合、水管理装置200は、LTE-M(Long Term Evolution for machine-type-communication)等の通信方式を利用して通信を行ってもよい。
(3. 水管理システムの動作)
次に、本実施形態の水管理システム1の動作をより詳細に説明する。
本実施形態の水管理システム1は、薬剤13が投入される圃場10への給水を管理する。薬剤13は、例えば除草剤であるが、それに限定されない。薬剤13は病害虫防除剤等の他の薬剤であってもよい。以下では、薬剤13が除草剤である場合の例を説明し、薬剤13を除草剤13と称する。
圃場10内に投入された除草剤13は、圃場10内に張られた水の中を拡散し、土壌11の表面に定着して処理層を形成する。土壌11の表面に除草剤13を効率よく定着させるために、除草剤13が湛水状態の圃場10に投入された後は、例えば7日間は給水および排水が停止される。これは、除草剤13が水中を十分に拡散し、土壌11の表面に広く均一な処理層を形成するために必要な期間、水の流入および除草剤13の流出を停止するためである。
この期間、圃場10の水位は、水田浸透、水面および作物からの蒸発散などによって減少する。また、水田浸透量および蒸発散量は、圃場10の構造、位置、季節などによって変動し得る。このため、除草剤13を投入した後の水管理は、農作業者が湛水状態を観察しながら経験と勘に基づいて手動で行っており、除草剤13の効果が不安定化する原因になっている。例えば、除草剤13の成分は水に溶けて移動するため、圃場10に水が頻繁に出入すると、除草剤13の濃度分布に偏りが生じて、効果が不安定になってしまう。
本実施形態の水管理システム1は、安定した除草剤13の効果が得られるように、除草剤13が投入される圃場10の水を管理する。
図7は、水管理システム1が圃場10の水を管理する処理の一例を示すフローチャートである。図7に示す処理は、主にサーバ100の制御装置110(図5)が実行する。水管理装置200および薬剤投入装置300は、サーバ100からの指令に基づいて動作し得る。
水管理では、まず、圃場10の単位時間当たりの水位の低下量を演算する(ステップS110)。水管理システム1では、圃場10の水位の上限および下限を設定可能である。水位の上限および下限は予め設定され得る。例えば、水位の上限および下限は、サーバ100のプロセッサ111によって自動設定されてもよいし、ユーザが設定してもよい。ユーザは、例えば、ユーザ端末装置500の入力装置540を用いて、上限および下限の値を入力することができる。入力された値は、ユーザ端末装置500からサーバ100へ送信される。
水位センサ250は、圃場10の水位を検出し、検出した水位のデータを水管理装置200に出力する。水管理装置200のプロセッサ211は、受け取った水位のデータを、通信装置230を介してサーバ100に出力する。サーバ100と水管理装置200との間のデータ通信は中継装置400を介して行われ得る。
図8は、上限および下限の間で推移する水位の例を示す図である。サーバ100のプロセッサ111は、圃場10の水位の値が予め設定された下限に達した場合は、圃場10に給水を行うための制御を行う。圃場10の水位の値が予め設定された上限に達した場合は、圃場10への給水を停止するための制御を行う。これにより、圃場10の水位は、上限と下限の間の値に維持される。上限と下限の値の差は制御幅と称される場合がある。
プロセッサ111は、受け取った水位センサ250の出力データから圃場10の水位の値を取得する。プロセッサ111は、水位の値が下限に達したと判定した場合、バルブ30を開くようにアクチュエータ40を制御する。プロセッサ111は、水管理装置200にバルブ30を開ける制御信号を送信する。水管理装置200のプロセッサ211は、受け取った制御信号に基づいて駆動回路214を制御し、アクチュエータ40(図3)を駆動してバルブ30を開かせる。バルブ30が開くことで圃場10に水が供給される。
プロセッサ111は、水位が上限に達したと判定した場合、バルブ30を閉じるようにアクチュエータ40を制御する。プロセッサ111は、水管理装置200にバルブ30を閉じる制御信号を送信する。水管理装置200のプロセッサ211は、受け取った制御信号に基づいて、駆動回路214を制御し、アクチュエータ40を駆動してバルブ30を閉じさせる。バルブ30が閉じることで圃場10への給水が停止される。
圃場10の単位時間当たりの水位の低下量を演算する処理を説明する。“単位時間当たりの水位の低下量”は、例えば日減水深であるが、それに限定されない。日減水深は、自然減水による一日当たりの水位の低下量である。以下では、“単位時間当たりの水位の低下量”が日減水深である場合の例を説明する。
まず、圃場10の水位が上限となるよう給水を行う。プロセッサ111は、受け取った水位センサ250の出力データから圃場10の水位の値を取得する。プロセッサ111は、取得した水位の値が上限に達したと判定するまで、バルブ30を開けておくようにアクチュエータ40を制御する。バルブ30を開けている間は圃場10に水が供給される。
プロセッサ111は、水位が上限に達したと判定した場合、バルブ30を閉じるようにアクチュエータ40を制御する。バルブ30が閉じることで圃場10への給水が停止される。図8に示す例では、時刻t1において水位が上限に達し、給水が停止されている。
バルブ30を閉じて給水を停止した後に水位センサ250が検出した水位のデータに基づいて、日減水深を演算する。給水が停止された圃場10の水位は、水田浸透、水面および作物からの蒸発散などによって低下する。プロセッサ111は、時刻t1から24時間(一日)が経過した時刻t2における水位の値を取得する。プロセッサ111は、時刻t1の水位(上限水位)の値から時刻t2の水位の値を減算して、日減水深D1の値を取得する。
圃場10の水位が予め設定された上限に達して給水を停止した後に取得した水位のデータを用いることで、日減水深を精度良く求めることができる。圃場10に除草剤13を投入する前に給水を伴う日減水深を取得する処理を行い、水に関する圃場10の特徴を予め把握しておくことで、給水の適切な管理を行うことができる。例えば、水のオーバーフローなどの不具合の有無を予め把握することできる。後述するような圃場10への除草剤13の投入時に給水を上限まで行う形態では、そのような不具合の有無を予め把握できていることで、除草剤13の圃場10外への流出を抑制することができる。
次に、プロセッサ111は、圃場10への除草剤13の投入が終了してから次に圃場10への給水を開始するまでの待機時間を決定する(ステップS120)。待機時間は、演算した日減水深D1に基づいて決定する。
本実施形態では、圃場10への除草剤13投入後に水位が低下して土壌11の表面が露出した場合でも、待機時間が経過するまでは給水を行わない。待機時間は、土壌11の表面の露出を許容する長さであり得る。除草剤13が土壌11の表面に定着し、圃場10全体に概ね均一な処理層を形成するためには、給排水を停止した状態での自然減水によって土壌11の表面が露出した後も、すぐに給水しないことが望ましい。土壌11の表面が露出しても待機時間が経過するまでは給水を行わないことで、土壌に除草剤13を効率よく定着させることができる。
プロセッサ111は、例えば、日減水深D1が第1範囲内である場合は、待機時間として第1待機時間を決定する。日減水深D1が、第1範囲よりも大きい第2範囲内である場合は、待機時間として第1待機時間よりも短い第2待機時間を決定する。“第1範囲よりも大きい第2範囲”とは、第2範囲の下限値が第1範囲の上限値よりも大きいことを意味する。プロセッサ111は、例えば、日減水深と待機時間との関係を示したテーブルを用いて、演算した日減水深D1から待機時間を決定する。テーブルを用いることで、予め決められた規則に応じた待機時間を決定することができる。また、テーブルを用いることで、プロセッサ111の処理の負荷を低減させることができる。このようなテーブルは、サーバ100の記憶装置120に予め記憶されている。
図9は、日減水深と待機時間との関係を示したテーブルの一例を示す図である。日減水深は、二つ以上の範囲に分けられ得る。図9に示す例では、日減水深は、三つの範囲に分けられている。日減水深の単位は“cm/day”とする。また、圃場10への除草剤13の投入を伴う給水において、水位が上限になるまで給水を行ってから給水を停止するとする。上限水位は、例えば5.0cmであるが、それに限定されない。
図9に示すテーブルでは、演算した日減水深D1が、
0 < D1 ≦ 1.0
の範囲にある場合は、待機時間として、予め決められた“定着期間”を設定する。定着期間は、圃場10への除草剤13の投入が完了してからの、除草剤13の土壌11への定着期間として推奨されている時間である。このような定着期間は、例えば日本植物調節剤研究協会等によって推奨されている。“定着期間”は例えば7日間であるが、それに限定されない。日減水深D1が1.0cm以下と小さい場合は、定着期間が経過するまでは給水は行わない。また、この場合、待機時間として定着期間よりも長い時間を設定してもよい。
演算した日減水深D1が、
1.0 < D1 ≦ 3.0
の範囲にある場合は、待機時間として“72時間”を設定する。72時間経過後に圃場10への給水を開始し、水位が上限に達すると給水を停止する。その後は、下限水位を1.0cmに設定し、水位が下限水位に達する毎に水位が上限に達するまで給水を行う。
演算した日減水深D1が、
3.0 < D1
の範囲にある場合は、待機時間として“48時間”を設定する。48時間経過後に圃場10への給水を開始し、水位が上限に達すると給水を停止する。その後は、48時間毎に水位が上限に達するまで給水を行う。
日減水深D1の値が属する範囲に応じて待機時間を決定するとともに給水を制御することで、土壌11に除草剤13を効率よく定着させつつ、作物に必要な水を圃場10に供給することができる。
また、本実施形態では、単位時間当たりの水位の低下量として、日減水深を用いる。圃場10の水位の低下量は昼間と夜間とで異なり得る。昼間の水位の低下量と夜間の水位の低下量の両方を含む一日当たりの水位の低下量(日減水深)を求めることで、複数の日数に亘る水位の低下量を精度良く推定することができ、より適切な待機時間を決定することができる。
ステップS120の処理の後、プロセッサ111は、圃場10に給水しながら除草剤13を圃場10へ投入する制御を行う(ステップS130)。
給水に先立って、まず、圃場10の水位を下限まで低下させる。プロセッサ111は、受け取った水位センサ250の出力データから圃場10の水位の値を取得する。プロセッサ111は、取得した水位の値が下限に達したと判定するまで、バルブ30を閉じておくようにアクチュエータ40を制御する。
図8に示す例では、時刻t3において水位が下限に達している。プロセッサ111は、水位が下限に達したと判定した場合、バルブ30を開けるようにアクチュエータ40を制御する。バルブ30が開くことで圃場10への給水が開始される。
給水を開始すると、次にプロセッサ111は、圃場10へ除草剤13を投入するように薬剤投入装置300を制御する。プロセッサ111は、水管理装置200に除草剤13を投入する制御信号を送信する。水管理装置200のプロセッサ211は、制御信号を受信すると、薬剤投入開始を示すアクティベーション信号を薬剤投入装置300に出力する。薬剤投入装置300のプロセッサ311は、アクティベーション信号に応答して駆動回路314の制御を開始し、アクチュエータ350(図4)を駆動してバルブ340を開かせる。バルブ340が開くことで、タンク360内の除草剤13が圃場10に投入される。これにより、除草剤13の投入を伴う給水が行われる。バルブ340の開度および/または除草剤13の投入期間におけるバルブ340の開閉周期等は、予め設定されており、上記制御信号にそれらの情報が含まれている。
圃場10の水位が下限に達してから除草剤13の投入を伴う給水を開始することで、給水による水流を長時間発生させることができ、除草剤13を圃場10内に効率良く拡散させることができる。
水位が上限に達すると、除草剤13の投入および給水を停止する(ステップS140)。図8に示す例では、時刻t4において水位が上限に達している。プロセッサ111は、水位が上限に達したと判定した場合、除草剤13の投入を終了するように薬剤投入装置300を制御する。プロセッサ111は、水管理装置200に除草剤13の投入を終了させる制御信号を送信する。水管理装置200のプロセッサ211は、制御信号を受信すると、薬剤投入終了を示すアクティベーション信号を薬剤投入装置300に出力する。薬剤投入装置300のプロセッサ311は、アクティベーション信号に応答して駆動回路314を制御し、アクチュエータ350(図4)を駆動してバルブ340を閉じさせる。バルブ340が閉じることで圃場10への除草剤13の投入が終了する。
続いて、プロセッサ111は、水管理装置200にバルブ30を閉じる制御信号を送信する。水管理装置200のプロセッサ211は、受け取った制御信号に基づいて、駆動回路214を制御し、アクチュエータ40を駆動してバルブ30を閉じさせる。バルブ30が閉じることで圃場10への給水が停止される。これにより、除草剤13の投入を伴う給水が停止される。
本実施形態では、除草剤13の投入を終了してから給水を停止する。除草剤13の投入を終了した後に給水を停止することにより、圃場10内の除草剤13投入位置近傍の除草剤13の濃度が他の領域よりも高くなることを抑制できる。
本実施形態では、水位が上限に達するまで除草剤13の投入を伴う給水を行うことで、給水による水流を長時間発生させて、除草剤13を圃場10内に効率良く拡散させることができるとともに、圃場10に適切な量の水を供給することができる。
プロセッサ111は、除草剤13の投入および給水の停止後は、上記のステップS120において決定した待機時間が経過するまでバルブ30を閉じて給水を行わないよう、アクチュエータ40を制御する。
プロセッサ111は、時間を計測し、計測時間が待機時間になったか判定する(ステップS150、S160)。計測時間が待機時間になったと判定した場合、プロセッサ111は、バルブ30を開くようにアクチュエータ40を制御し、圃場10への給水を行う(ステップS170)。その後は、例えば図9を参照しながら説明した手順に沿って給水の管理を行う。
日減水深D1が属する範囲に応じて決定した待機時間が経過するまでは給水を行わないことで、土壌11に除草剤13を効率よく定着させつつ、作物に必要な水を圃場10に供給することができる。
上述したように、除草剤13投入後の圃場10の水管理について、従来は農作業者が湛水状態を観察しながら経験と勘に基づいて手動で行っており、除草剤13の効果が不安定化する原因になっていた。このような水管理を機械的に自動化する場合、水位センサ250によって取得される水位の計測値を利用することが考えられる。例えば、除草剤13の投入後、水位センサ250の検出値が予め設定された値まで低下した後に給水を再開することが考えられる。しかし、一般に圃場10内の土壌11の表面は平坦ではなく、水位センサ250の位置と、他の位置とでは水深は互いに異なる。このため、水位センサ250の検出値が設定値まで低下したときの圃場10の湛水状態は、圃場10ごとに異なり得るだけではなく、同一圃場10内でも場所に応じて異なり、土壌11の表面が露出する場所と露出しない場所とにばらばらに分かれたりすることが起こり得る。水位センサ250が検出する水位は、水位センサ250が配置された位置の水位である。水位センサ250の検出値を用いて、水位センサ250から離れた位置の土壌11の露出状況を推定することは困難である。
本実施形態では、日減水深に応じて待機時間を決定し、除草剤13投入後は待機時間が経過するまでは圃場10への給水を行わない。日減水深は同一圃場10内ではその全域に亘って共通であり、日減水深に応じて待機時間を決定することで、圃場10内の水を所望の状態にすることができる。例えば、日減水深を用いることで、圃場10内の相対的に水深が浅くなる位置の土壌表面が露出する時間を考慮した待機時間を設定することができる。これにより、圃場10内の土壌11に除草剤13を効率よく定着させ、除草剤13の効果を安定して得ることができるとともに、作物に必要な水を圃場10に供給することができる。
次に、圃場10に降った雨の量(降水量)に応じた処理を説明する。
上述のステップS110における日減水深の演算では、降水量を考慮した日減水深D1の演算を行ってもよい。この場合、サーバ100は、インターネット等を介して気象データを取得する。気象データは例えば気象庁が発表したデータであり得る。気象データには、圃場10がある地域の降水量のデータが含まれている。
プロセッサ111は、日減水深の演算に用いる水位データを水位センサ250が取得する期間中(図8に示す時刻t1からt2の間の期間)の降水量のデータを取得する。圃場10に雨が降った場合は、その降水量の分だけ日減水深の値が小さくなり得る。プロセッサ111は、例えば、時刻t1の水位と時刻t2の水位の差分に対して降水量の値を加算する。これにより、雨が降らなかった場合の日減水深に相当する値を取得することができる。このように、降水量を考慮することで、雨が降った場合でも日減水深を精度良く求めることができる。
また、除草剤13の投入および給水の停止後、待機時間が経過するまでの間に雨が降った場合は、その期間の降水量に応じて待機時間を延長してもよい。
プロセッサ111は、除草剤13の投入および給水を停止してから待機時間が経過するまでの期間中の降水量のデータを取得する。圃場10に雨が降った場合は、その降水量の分だけ水位の低下量は減り得る。プロセッサ111は、例えば、降水量を日減水深で除した値の分だけ待機時間を延長する。延長した経過時間が経過するまでは給水は行わない。降水量に応じて待機時間を延長することで、効率良く土壌11に除草剤13を定着させることができる。また、待機時間経過後であっても水位が下限よりも高い場合には、給水を行わないよう制御してもよい。
また、日減水深の演算に用いる水位データを取得する前段階として圃場10の水位が上限になるまで給水を行う工程において、所定時間が経過しても水位が上限に達しない場合は、プロセッサ111はそのことをユーザに報知する制御を行う。所定時間は、例えば、圃場10の大きさおよび単位当たりの水の供給量に応じて任意に設定され得る。所定時間は、例えば7時間であるが、それに限定されない。
例えば、畦畔から漏水していたり、水尻の止水が十分でなかったりしていた場合は、給水しても水位が上限に達しない場合がある。その場合は、水位が上限に達しないことをユーザに報知することで、ユーザは異常の発生を認識することができる。例えば、ユーザ端末装置500に、水位の値が上限に達しないことを示す情報を表示させたり、音声で報知させたりすることで、ユーザは異常の発生を認識することができる。プロセッサ111は、そのような異常を報知させるための指令をユーザ端末装置500に送信する。ユーザ端末装置500のプロセッサ511(図5)は、受け取った指令に応じて表示装置550に、水位が上限に達しないことを示す情報を表示させる。ユーザ端末装置500がスピーカを備える場合は、水位の値が上限に達しないことを報知する音声をスピーカから出力させてもよい。
また、上記所定時間が経過しても水位が上限に達しない場合は、プロセッサ111は、水位が上限に達してバルブ30を閉じた後に予定していた処理を中止する。それら予定していた処理は、例えば、日減水深の演算、除草剤13の投入を伴う給水等である。圃場10に異常が発生している状態ではそのような処理を正常に行えない可能性がある。所定時間が経過しても水位が上限に達しない場合は、それらの処理を中止することで、圃場10に異常が発生している状態でそれらの処理が進むことを防止できる。
なお、水位が上限に達しない場合は、そのまま給水を維持してもよい。これにより、土壌11の表面が露出することを抑制できる。この場合は、必要に応じてユーザがバルブ30を閉じるための操作を行う。また、プロセッサ111がアクチュエータ40を制御して、自動でバルブ30を閉じてもよい。
上述の実施形態の説明では、薬剤投入装置300を用いて圃場10に除草剤13を投入していたが、別の方法により圃場10に除草剤13を投入してもよい。例えば、ドローンなどの無人航空機または農業用ロボット等を用いて圃場10に除草剤13を投入してもよい。また、ユーザが手作業で圃場10に除草剤13を投入してもよい。
無人航空機を用いて除草剤13を投入する場合、無人航空機は除草剤13の投入が完了すると、投入が完了したことを示す情報をサーバ100に送信する。情報の送信は中継装置400を介して行ってもよい。農業用ロボットを用いて除草剤13を投入する場合の処理も、無人航空機を用いて除草剤13を投入する場合の処理と同様である。ユーザが手作業で除草剤13を投入する場合、ユーザは除草剤13の投入が完了すると、ユーザ端末装置500の入力装置540を用いて、投入が完了したことを入力する。ユーザ端末装置500は、投入が完了したことを示す情報をサーバ100に送信する。プロセッサ111は、受け取った情報から除草剤13の投入が完了したことを検知し、上記の待機時間が経過するまで給水を行わない処理に移行することができる。
上述の実施形態の説明では、図7に示す処理は、主にサーバ100が実行していたが、ユーザ端末装置500および/または水管理装置200が実行してもよい。また、サーバ100、ユーザ端末装置500および水管理装置200が協働してそれらの処理を実行してもよい。
上述の実施形態の説明では、除草剤13の投入前に水位センサ250が検出した水位に基づいて日減水深を演算していたが、それに限定されない。例えば、日減水深の演算に用いる水位データを水位センサ250が取得する期間中の降水量が大きい場合など、日減水深の演算が困難な場合は、別の期間における水位の変化から日減水深を演算してもよい。例えば、除草剤13の投入を伴う給水を停止してからの所定期間(12時間または24時間等)における水位の変化から日減水深を演算してもよい。このタイミングで待機時間を決定しても、上記と同様の適切な給水管理を行うことが可能である。
上述の実施形態の説明では、圃場10の水位に関する情報を取得するセンサとして水位センサ250を用いたが、別のセンサが用いられてもよい。例えば、カメラを用いて水面を撮像し、水面の画像から水位を推定してもよい。この場合、水位に関する情報を取得するセンサはイメージセンサであり、水位に関する情報は水面の画像情報であり得る。
上述したように、水管理システム1は複数の圃場10を管理し得る。この場合、上述した待機時間の決定および給水の管理等の各種処理は、複数の圃場10それぞれに対して行う。また、圃場10毎の日減水深を示すマップを作成する等、複数の圃場10に関するデータを一元管理し、それら管理するデータを活用することで営農を支援することができる。
以上のように、本開示は、以下の項目に記載の水管理システム、水管理方法およびコンピュータプログラムを含む。
[項目1]
薬剤が投入される圃場への給水を管理する水管理システムであって、
圃場の水位に関する情報を取得するセンサと、
前記圃場への給水を調整するバルブの開閉を行うアクチュエータと、
前記圃場への給水を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記水位に関する情報に基づいて、前記圃場の単位時間当たりの水位の低下量を演算し、
前記圃場への薬剤の投入が終了してから次に前記圃場への給水を開始するまでの待機時間を、演算した前記単位時間当たりの水位の低下量に応じて決定し、
前記薬剤の投入の終了後、前記待機時間が経過するまでは前記バルブを閉じておくように前記アクチュエータを制御する、水管理システム。
圃場内の土壌に例えば除草剤などの薬剤を効率よく定着させるために、薬剤が湛水状態の圃場に投入された後は、例えば7日間は給水および排水が停止される。これは、薬剤が水中を十分に拡散し、土壌表面に広く均一な処理層を形成するために必要な期間、水の流入および薬剤の流出を停止するためである。この期間、圃場の水位は、水田浸透、水面および作物からの蒸発散などによって減少する。また、水田浸透量および蒸発散量は、圃場の構造、位置、季節などによって変動し得る。このため、薬剤投入後の水管理は、湛水状態を観察した農作業者の経験と勘に基づいて手動で行われることが多かった。このような水管理を機械的に自動化する場合、水位センサによって取得される水位の計測値を利用することが考えられる。例えば、薬剤の投入後、水位センサの計測値が予め設定された値まで低下した後に給水を再開することが考えられる。しかし、一般に圃場内の土壌表面(田面)は平坦ではなく、水位センサの位置と、他の位置とでは水深は互いに異なる。このため、水位センサによる水位の計測値が設定値まで低下したときの圃場の湛水状態は、圃場ごとに異なり得るだけではなく、同一圃場内でも場所に応じて異なり、土壌表面が露出する場所と露出しない場所とにばらばらに分かれたりすることが起こり得る。
本実施形態では、圃場の単位時間当たりの水位の低下量に応じて待機時間を決定し、薬剤投入後は待機時間が経過するまでは圃場への給水を行わない。
単位時間当たりの水位の低下量は同一圃場内ではその全域に亘って共通であり、単位時間当たりの水位の低下量に応じて待機時間を決定することで、圃場内の水を所望の状態にすることができる。これにより、圃場内の土壌に薬剤を効率よく定着させ、薬剤の効果を安定して得ることができる。
[項目2]
前記制御装置は、前記薬剤の投入の終了後、前記待機時間が経過したときに前記バルブが開くように前記アクチュエータを制御して、前記圃場への給水を行う、項目1に記載の水管理システム。
これにより、圃場内の土壌に薬剤を効率よく定着させつつ、作物を育てるための水を圃場に供給することができる。
[項目3]
前記待機時間は、前記圃場内の土壌の露出を許容する長さである、項目1または2に記載の水管理システム。
薬剤が土壌表面に定着し、圃場全体に概ね均一な処理層を形成するためには、給排水を停止した状態での自然減水によって土壌表面が露出した後も、すぐに給水しないことが望ましい。圃場内の土壌が露出しても待機時間が経過するまでは給水を行わないことで、土壌に薬剤を効率よく定着させることができる。
[項目4]
前記制御装置は、前記単位時間当たりの水位の低下量と前記待機時間との関係を示したテーブルを用いて、演算した前記単位時間当たりの水位の低下量から前記待機時間を決定する、項目1から3のいずれかに記載の水管理システム。
テーブルを用いることで、予め決められた規則に応じた待機時間を決定することができる。また、テーブルを用いることで、制御装置の処理の負荷を低減させることができる。
[項目5]
前記制御装置は、
前記単位時間当たりの水位の低下量が第1範囲内である場合は、前記待機時間として第1待機時間を決定し、
前記単位時間当たりの水位の低下量が、前記第1範囲よりも大きい第2範囲内である場合は、前記待機時間として前記第1待機時間よりも短い第2待機時間を決定する、項目1から4のいずれかに記載の水管理システム。
単位時間当たりの水位の低下量の値が属する範囲に応じて待機時間を決定することで、予め決められた規則に応じた待機時間を決定することができるとともに、制御装置の処理の負荷を低減させることができる。
[項目6]
前記薬剤の土壌への定着期間として推奨されている時間をiとするとき、
前記制御装置は、
前記単位時間当たりの水位低下量が第1範囲にある場合は、前記待機時間をiよりも長い第1時間に設定し、
前記単位時間当たりの水位低下量が、前記第1範囲よりも大きい第2範囲にある場合は、前記待機時間をiよりも短い第2時間に設定し、前記第2時間経過後の給水後は、前記圃場の水位が予め設定された下限水位に達する度に給水するよう前記アクチュエータを制御し、
前記単位時間当たりの水位低下量が、前記第2範囲よりも大きい第3範囲にある場合は、前記待機時間を前記第2時間よりも短い第3時間に設定し、前記第3時間経過する度に給水するよう前記アクチュエータを制御する、項目1から4のいずれかに記載の水管理システム。
単位時間当たりの水位の低下量の値が属する範囲に応じて待機時間を決定するとともに給水を制御することで、圃場内の土壌に薬剤を効率よく定着させつつ、作物に必要な水を圃場に供給することができる。
[項目7]
前記単位時間当たりの水位の低下量は、日減水深である、項目1から6のいずれかに記載の水管理システム。
圃場の水位の低下量は昼間と夜間とで異なり得る。昼間の水位の低下量と夜間の水位の低下量の両方を含む一日当たりの水位の低下量(日減水深)を求めることで、複数の日数に亘る水位の低下量を精度良く推定することができ、より適切な待機時間を決定することができる。
[項目8]
前記圃場の水位の上限が予め設定されており、
前記制御装置は、
前記センサが取得した前記水位に関する情報に基づいて前記圃場の水位の値を取得し、
取得した前記水位の値が前記上限に達したと判定するまで、前記バルブを開けておくように前記アクチュエータを制御し、
前記上限に達したと判定した場合、前記バルブを閉じるように前記アクチュエータを制御し、
前記バルブを閉じるように前記アクチュエータを制御した後に前記センサが取得した前記水位に関する情報に基づいて、前記単位時間当たりの水位の低下量を演算する、項目1から7のいずれかに記載の水管理システム。
水位が予め設定された上限に達して給水を停止した後に取得した水位に関する情報を用いることで、単位時間当たりの水位の低下量を精度良く求めることができる。
圃場への薬剤投入前に給水を上限まで行う形態では、水のオーバーフローが発生するなどの不具合の有無を予め把握することでき、薬剤の圃場外への流出を抑制することができる。
[項目9]
前記制御装置は、前記圃場に前記薬剤が投入される前に前記センサが取得した前記水位に関する情報に基づいて、前記単位時間当たりの水位の低下量を演算する、項目1から8のいずれかに記載の水管理システム。
薬剤投入前に、水に関する圃場の特徴を把握することで、給水の適切な管理を行うことができる。
例えば、圃場への薬剤投入前に給水を上限まで行う形態では、水のオーバーフローが発生するなどの不具合の有無を予め把握することでき、薬剤の圃場外への流出を抑制することができる。
[項目10]
前記制御装置は、前記バルブを開けてから所定時間経過しても前記水位の値が前記上限に達しない場合は、前記水位の値が前記上限に達しないことをユーザに報知するための制御を行う、項目8に記載の水管理システム。
例えば、畦畔から漏水していたり、水尻の止水が十分でなかったりしていたときは、水位の値が上限に達しない場合がある。その場合は、水位の値が上限に達しないことをユーザに報知することで、ユーザは異常の発生を認識することができる。例えば、ユーザ端末装置に、水位の値が上限に達しないことを示す情報を表示させたり、音声で報知させたりすることで、ユーザは異常の発生を認識することができる。
[項目11]
前記制御装置は、前記バルブを開けてから前記所定時間経過しても前記水位の値が前記上限に達しない場合は、前記水位の値が前記上限に達して前記バルブを閉じた後に予定していた動作を行わない、項目10に記載の水管理システム。
圃場に異常が発生している状態で処理が進むことを防止することができる。
[項目12]
前記圃場へ前記薬剤を投入する投入装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記バルブが開くように前記アクチュエータを制御するとともに、前記圃場へ前記薬剤を投入するように前記投入装置を制御し、前記薬剤の投入を伴う給水を行う、項目1から11のいずれかに記載の水管理システム。
給水とともに薬剤の投入を行うことにより、給水により発生する水流を利用して薬剤を圃場内に効率良く拡散させることができる。
[項目13]
前記制御装置は、前記薬剤の投入を停止するように前記投入装置を制御した後、前記バルブを閉じるように前記アクチュエータを制御し、前記薬剤の投入を伴う給水を終了させる、項目12に記載の水管理システム。
給水の終了までに薬剤の投入を終了することにより、薬剤投入位置近傍の薬剤の濃度を適切にすることができる。
[項目14]
前記圃場の水位の下限が予め設定されており、
前記制御装置は、
前記センサが取得した前記水位に関する情報に基づいて前記圃場の水位の値を取得し、
前記バルブが閉じた状態において前記水位の値が前記下限に達したと判定した場合、前記バルブが開くように前記アクチュエータを制御するとともに、前記圃場へ前記薬剤を投入するように前記投入装置を制御し、前記薬剤の投入を伴う給水を開始させる、項目12または13に記載の水管理システム。
水位が下限に達してから薬剤の投入を伴う給水を開始することで、給水による水流を長時間発生させることができ、薬剤を圃場内に効率良く拡散させることができる。
[項目15]
前記圃場の水位の上限が予め設定されており、
前記制御装置は、
前記センサが取得した前記水位に関する情報に基づいて前記圃場の水位の値を取得し、
取得した前記水位の値が前記上限に達したと判定するまでは、前記圃場へ前記薬剤を投入するように前記投入装置を制御し、前記バルブが開くように前記アクチュエータを制御し、
前記上限に達したと判定した場合、前記薬剤の投入を停止するように前記投入装置を制御した後、前記バルブを閉じるように前記アクチュエータを制御し、前記薬剤の投入を伴う給水を終了させる、項目12から14のいずれかに記載の水管理システム。
水位が上限に達するまで薬剤の投入を伴う給水を行うことで、給水による水流を長時間発生させて、薬剤を圃場内に効率良く拡散させることができるとともに、圃場に適切な量の水を供給することができる。
[項目16]
前記制御装置は、
降水量に関する情報を取得し、
前記単位時間当たりの水位の低下量の演算に用いる前記水位に関する情報を前記センサが取得する期間中の降水量に応じた前記単位時間当たりの水位の低下量の演算を行う、項目1から15のいずれかに記載の水管理システム。
降水量を考慮することで、雨が降った場合でも、単位時間当たりの水位の低下量を精度良く求めることができる。
[項目17]
前記制御装置は、
降水量に関する情報を取得し、
前記薬剤の投入の終了後の降水量に応じて前記待機時間を延長する、項目1から16のいずれかに記載の水管理システム。
降水量に応じて待機時間を延長することで、土壌に薬剤を効率よく定着させることができる。
[項目18]
前記薬剤は除草剤である、項目1から17のいずれかに記載の水管理システム。
除草剤の投入後、待機時間が経過するまでは圃場への給水を行わないことで、圃場内の土壌に除草剤を効率よく定着させ、除草剤の効果を安定して得ることができる。
[項目19]
薬剤が投入される圃場への給水を管理する水管理方法であって、
センサが取得した圃場の水位に関する情報に基づいて、前記圃場の単位時間当たりの水位の低下量を演算すること、
前記圃場への薬剤の投入が終了してから次に前記圃場への給水を開始するまでの待機時間を、演算した前記単位時間当たりの水位の低下量に応じて決定すること、
前記圃場への給水を調整するバルブの開閉を行うアクチュエータに対して、前記薬剤の投入の終了後に前記待機時間が経過するまでは前記バルブを閉じさせておく指令を出力すること、
を実行する、水管理方法。
圃場の単位時間当たりの水位の低下量に応じて待機時間を決定し、薬剤投入後は待機時間が経過するまでは圃場への給水を行わない。単位時間当たりの水位の低下量は同一圃場内ではその全域に亘って共通であり、単位時間当たりの水位の低下量に応じて待機時間を決定することで、圃場内の水を所望の状態にすることができる。これにより、圃場内の土壌に薬剤を効率よく定着させ、薬剤の効果を安定して得ることができる。
[項目20]
薬剤が投入される圃場への給水の管理をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータプログラムは、
センサが取得した圃場の水位に関する情報に基づいて、前記圃場の単位時間当たりの水位の低下量を演算すること、
前記圃場への薬剤の投入が終了してから次に前記圃場への給水を開始するまでの待機時間を、演算した前記単位時間当たりの水位の低下量に応じて決定すること、
前記圃場への給水を調整するバルブの開閉を行うアクチュエータに対して、前記薬剤の投入の終了後に前記待機時間が経過するまでは前記バルブを閉じさせておく指令を出力すること、
を前記コンピュータに実行させる、コンピュータプログラム。
圃場の単位時間当たりの水位の低下量に応じて待機時間を決定し、薬剤投入後は待機時間が経過するまでは圃場への給水を行わない。単位時間当たりの水位の低下量は同一圃場内ではその全域に亘って共通であり、単位時間当たりの水位の低下量に応じて待機時間を決定することで、圃場内の水を所望の状態にすることができる。これにより、圃場内の土壌に薬剤を効率よく定着させ、薬剤の効果を安定して得ることができる。
本開示の実施形態は、例えば圃場の水を管理するための水管理システムに利用され得る。
1:水管理システム
2:ネットワーク
10:圃場
11:土壌
12:水
13:薬剤
15:作物
20:パイプライン
21:供給管
22:分岐管
25:バルブ
26:排水桝
27:排水管
28:排水路
30:バルブ
31:ボディ
32:弁体
33:ステム
34:軸受
35:貫通孔
36:取付台
40:アクチュエータ
41:電動モータ
42:回転軸
51:収容体
100:サーバ
110:制御装置
111:プロセッサ
112:ROM
113:RAM
120:記憶装置
130:通信装置
200:水管理装置
210:制御装置
211:プロセッサ
212:ROM
213:RAM
214:駆動回路
221:バッテリ
222:ソーラーパネル
230:通信装置
240:通信装置
250:水位センサ
260:操作盤
300:薬剤投入装置
310:制御装置
311:プロセッサ
312:ROM
313:RAM
314:駆動回路
320:筐体
330:通信装置
340:バルブ
350:アクチュエータ
360:タンク
361:蓋
370:ガイド
380:支柱
381:ブラケット
400:中継装置
410:制御装置
411:プロセッサ
412:ROM
413:RAM
430:通信装置
450:通信装置
500:ユーザ端末装置
510:制御装置
511:プロセッサ
512:ROM
513:RAM
520:記憶装置
530:通信装置
540:入力装置
550:表示装置

Claims (20)

  1. 薬剤が投入される圃場への給水を管理する水管理システムであって、
    圃場の水位に関する情報を取得するセンサと、
    前記圃場への給水を調整するバルブの開閉を行うアクチュエータと、
    前記圃場への給水を制御する制御装置と、
    を備え、
    前記制御装置は、
    前記水位に関する情報に基づいて、前記圃場の単位時間当たりの水位の低下量を演算し、
    前記圃場への薬剤の投入が終了してから次に前記圃場への給水を開始するまでの待機時間を、演算した前記単位時間当たりの水位の低下量に応じて決定し、
    前記薬剤の投入の終了後、前記待機時間が経過するまでは前記バルブを閉じておくように前記アクチュエータを制御する、水管理システム。
  2. 前記制御装置は、前記薬剤の投入の終了後、前記待機時間が経過したときに前記バルブが開くように前記アクチュエータを制御して、前記圃場への給水を行う、請求項1に記載の水管理システム。
  3. 前記待機時間は、前記圃場内の土壌の露出を許容する長さである、請求項1または2に記載の水管理システム。
  4. 前記制御装置は、前記単位時間当たりの水位の低下量と前記待機時間との関係を示したテーブルを用いて、演算した前記単位時間当たりの水位の低下量から前記待機時間を決定する、請求項1から3のいずれかに記載の水管理システム。
  5. 前記制御装置は、
    前記単位時間当たりの水位の低下量が第1範囲内である場合は、前記待機時間として第1待機時間を決定し、
    前記単位時間当たりの水位の低下量が、前記第1範囲よりも大きい第2範囲内である場合は、前記待機時間として前記第1待機時間よりも短い第2待機時間を決定する、請求項1から4のいずれかに記載の水管理システム。
  6. 前記薬剤の土壌への定着期間として推奨されている時間をiとするとき、
    前記制御装置は、
    前記単位時間当たりの水位低下量が第1範囲にある場合は、前記待機時間をiよりも長い第1時間に設定し、
    前記単位時間当たりの水位低下量が、前記第1範囲よりも大きい第2範囲にある場合は、前記待機時間をiよりも短い第2時間に設定し、前記第2時間経過後の給水後は、前記圃場の水位が予め設定された下限水位に達する度に給水するよう前記アクチュエータを制御し、
    前記単位時間当たりの水位低下量が、前記第2範囲よりも大きい第3範囲にある場合は、前記待機時間を前記第2時間よりも短い第3時間に設定し、前記第3時間経過する度に給水するよう前記アクチュエータを制御する、請求項1から4のいずれかに記載の水管理システム。
  7. 前記単位時間当たりの水位の低下量は、日減水深である、請求項1から6のいずれかに記載の水管理システム。
  8. 前記圃場の水位の上限が予め設定されており、
    前記制御装置は、
    前記センサが取得した前記水位に関する情報に基づいて前記圃場の水位の値を取得し、
    取得した前記水位の値が前記上限に達したと判定するまで、前記バルブを開けておくように前記アクチュエータを制御し、
    前記上限に達したと判定した場合、前記バルブを閉じるように前記アクチュエータを制御し、
    前記バルブを閉じるように前記アクチュエータを制御した後に前記センサが取得した前記水位に関する情報に基づいて、前記単位時間当たりの水位の低下量を演算する、請求項1から7のいずれかに記載の水管理システム。
  9. 前記制御装置は、前記圃場に前記薬剤が投入される前に前記センサが取得した前記水位に関する情報に基づいて、前記単位時間当たりの水位の低下量を演算する、請求項1から8のいずれかに記載の水管理システム。
  10. 前記制御装置は、前記バルブを開けてから所定時間経過しても前記水位の値が前記上限に達しない場合は、前記水位の値が前記上限に達しないことをユーザに報知するための制御を行う、請求項8に記載の水管理システム。
  11. 前記制御装置は、前記バルブを開けてから前記所定時間経過しても前記水位の値が前記上限に達しない場合は、前記水位の値が前記上限に達して前記バルブを閉じた後に予定していた動作を行わない、請求項10に記載の水管理システム。
  12. 前記圃場へ前記薬剤を投入する投入装置をさらに備え、
    前記制御装置は、前記バルブが開くように前記アクチュエータを制御するとともに、前記圃場へ前記薬剤を投入するように前記投入装置を制御し、前記薬剤の投入を伴う給水を行う、請求項1から11のいずれかに記載の水管理システム。
  13. 前記制御装置は、前記薬剤の投入を停止するように前記投入装置を制御した後、前記バルブを閉じるように前記アクチュエータを制御し、前記薬剤の投入を伴う給水を終了させる、請求項12に記載の水管理システム。
  14. 前記圃場の水位の下限が予め設定されており、
    前記制御装置は、
    前記センサが取得した前記水位に関する情報に基づいて前記圃場の水位の値を取得し、
    前記バルブが閉じた状態において前記水位の値が前記下限に達したと判定した場合、前記バルブが開くように前記アクチュエータを制御するとともに、前記圃場へ前記薬剤を投入するように前記投入装置を制御し、前記薬剤の投入を伴う給水を開始させる、請求項12または13に記載の水管理システム。
  15. 前記圃場の水位の上限が予め設定されており、
    前記制御装置は、
    前記センサが取得した前記水位に関する情報に基づいて前記圃場の水位の値を取得し、
    取得した前記水位の値が前記上限に達したと判定するまでは、前記圃場へ前記薬剤を投入するように前記投入装置を制御し、前記バルブが開くように前記アクチュエータを制御し、
    前記上限に達したと判定した場合、前記薬剤の投入を停止するように前記投入装置を制御した後、前記バルブを閉じるように前記アクチュエータを制御し、前記薬剤の投入を伴う給水を終了させる、請求項12から14のいずれかに記載の水管理システム。
  16. 前記制御装置は、
    降水量に関する情報を取得し、
    前記単位時間当たりの水位の低下量の演算に用いる前記水位に関する情報を前記センサが取得する期間中の降水量に応じた前記単位時間当たりの水位の低下量の演算を行う、請求項1から15のいずれかに記載の水管理システム。
  17. 前記制御装置は、
    降水量に関する情報を取得し、
    前記薬剤の投入の終了後の降水量に応じて前記待機時間を延長する、請求項1から16のいずれかに記載の水管理システム。
  18. 前記薬剤は除草剤である、請求項1から17のいずれかに記載の水管理システム。
  19. 薬剤が投入される圃場への給水を管理する水管理方法であって、
    センサが取得した圃場の水位に関する情報に基づいて、前記圃場の単位時間当たりの水位の低下量を演算すること、
    前記圃場への薬剤の投入が終了してから次に前記圃場への給水を開始するまでの待機時間を、演算した前記単位時間当たりの水位の低下量に応じて決定すること、
    前記圃場への給水を調整するバルブの開閉を行うアクチュエータに対して、前記薬剤の投入の終了後に前記待機時間が経過するまでは前記バルブを閉じさせておく指令を出力すること、
    を実行する、水管理方法。
  20. 薬剤が投入される圃場への給水の管理をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムであって、
    前記コンピュータプログラムは、
    センサが取得した圃場の水位に関する情報に基づいて、前記圃場の単位時間当たりの水位の低下量を演算すること、
    前記圃場への薬剤の投入が終了してから次に前記圃場への給水を開始するまでの待機時間を、演算した前記単位時間当たりの水位の低下量に応じて決定すること、
    前記圃場への給水を調整するバルブの開閉を行うアクチュエータに対して、前記薬剤の投入の終了後に前記待機時間が経過するまでは前記バルブを閉じさせておく指令を出力すること、
    を前記コンピュータに実行させる、コンピュータプログラム。
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