JP6613077B2 - 圃場水管理方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、従来の圃場水の自動管理システムでは、時刻の含んだ、水温等の作物に影響を与え得る重要な要因を考慮して圃場における給水・排水を自動的に管理する構成が具体化されていなかった。
上記圃場水管理方法によれば、作物の生育に影響を与え得る圃場の水温、圃場の水位、及び、時刻をそれぞれ圃場水温検知部、圃場水位検知部、及び、時刻検知部によって所望のタイミングで検出し、これらの検知情報のうち少なくとも時刻に基づき、制御部によって、所望のタイミングで給水部による給水の開始及び停止と、排水部による排水の開始及び停止と、を自動管理することができる。従って、作物の生育特性に合わせて、圃場の状態を効率良く管理することができる。
また、直達日射量の多い日中や夏期には、圃場の水が温められ、作物に好適な水温よりも高くなる場合がある。上記圃場水管理方法によれば、日没時刻の検知と略同時に、排水部による排水を行い、日没時刻前に温められた水を圃場から除去し、給水を行う準備を行うことができる。
圃場水管理システム1は、用水路ULからの水を圃場Hに給水する給水部2と、圃場Hの水を排水路DLに排水する排水部4と、圃場Hの水温を検知する圃場水温検知部6と、圃場Hの水位を検知する圃場水位検知部8と、時刻を検知する時刻検知部10と、圃場水温検知部6で検知した圃場Hの水温、圃場水位検知部8で検知した圃場Hの水位、及び時刻検知部で検知した時刻のうち少なくとも前記時刻の検知情報に基づいて、給水部2による給水の開始及び停止と、排水部4による排水の開始及び停止と、を制御する制御部20と、を備えている。さらに、圃場水管理システム1は、用水路ULの水圧を検知する用水路水圧検知部16と、用水路ULの水温を検知する用水路水温検知部18と、を備えている。
排水路DLは、圃場Hから排水された水を不図示の排水処理機構等に導く目的で設けられた水路であり、この目的を達成可能であれば、特に制限されない。
なお、用水路UL及び排水路DLはそれぞれ、用水管又は排水管であってもよい。
給水栓12の設置数及び位置は、特に制限されない。給水栓12は、例えば、図1に実線で例示するように、用水路ULの延在方向において圃場Hの略中央に一つ設けられていてもよく、二点鎖線で例示するように、用水路ULの延在方向において圃場Hの両側に一つずつ設けられていてもよく、圃場Hの面積や概形、圃場Hへの給水量等を考慮して適切な個数と位置に設けられていればよい。
排水栓14の設置数及び位置は、特に制限されない。排水栓14は、例えば、図1に実線で例示するように、排水路DLの延在方向において圃場Hの略中央に一つ設けられていてもよく、二点鎖線で例示するように、排水路DLの延在方向において圃場Hの両側に一つずつ設けられていてもよく、圃場Hの面積や概形、圃場Hからの排水量等を考慮して適切な個数と位置に設けられていればよい。
圃場水温検知部6の設置数及び位置は、特に制限されない。圃場水温検知部6は、例えば、図1に実線で例示するように、圃場Hの略中央に一つ設けられていてもよく、二点鎖線で例示するように、排水栓14の付近に設けられていてもよく、図示していないが、圃場H内において所定の間隔をあけて複数設けられていてもよい。要は、圃場水温検知部6は、圃場H全体の水温分布を効率良く検知できることが重要であって、使用する水温センサ等の装置の感度、圃場Hの面積や概形等を考慮して適切な個数と位置に設けられていればよい。
なお、排水栓14の付近に圃場水温検知部6は、圃水圧を検知する水圧検知部も兼ね備えていることが好ましい。これにより、排水栓14に流入する圃場Hの水圧を検知し、該水圧が所定の水圧でなければ、排水栓14を閉じる等の対策を講じることができ、排水栓14の破損、故障等を未然に防ぐことができる。
圃場水位検知部8の設置数及び位置は、特に制限されない。圃場水位検知部8は、例えば、図1に例示するように、圃場Hの四隅に一つずつ設けられていてもよく、図示していないが、圃場Hの略中央に設けられていてもよい。要は、圃場水位検知部8は、圃場H全体の水位分布を効率良く検知できることが重要であって、使用する水位センサ等の装置の感度、圃場Hの面積や概形等を考慮して適切な個数と位置に設けられていればよい。
用水路水圧検知部16は、図1に例示するように、給水部2に接する用水路ULの位置に設けられていることが好ましい。これにより、圃場Hに給水するために給水部2に導入される用水路ULの水圧が確実に検知される。
用水路水温検知部18の設置数及び位置は、用水路ULにおいて水が流れている部分に接触可能であれば、特に制限されない。用水路水温検知部18は、図1に例示するように、用水路水圧検知部16の付近に設けられていてもよい。
制御部20の設置数は、一つで充分であるが、圃場Hの水温及び水位、時刻、用水路ULの水圧及び水温を確実に受信できれば、特に制限されない。また、制御部20の位置は、図1に例示するように、複数の圃場Hを含む領域内の一箇所であればよいが、特に限定されず、管理者が持ち運ぶ場合のように不定であってもよい。
また、上記説明した圃場水温検知部6、圃場水位検知部8、時刻検知部10、用水路水圧検知部16、用水路水温検知部18、及び、制御部20はそれぞれ、通信機能を有していてもよく、遠隔操作可能であってもよい。これにより、管理者は任意の場所から通信ネットワーク等を介して、これらの検知部を操作することができ、圃場水管理システム1を管理する負担が軽減される。
以下の圃場水管理方法は、上述した圃場水管理システム1を用いた圃場水管理方法であって、圃場Hの水温、圃場Hの水位、及び、時刻の少なくとも一つを検知して検知情報を取得する工程と、前記検知情報に基づいて、排水部4による排水の開始及び停止を制御する工程と、前記検知情報に基づいて、給水部2による給水の開始及び停止を制御する工程と、を有する。
先ず、本発明を適用した第一実施形態の圃場水管理方法について説明する。
図2は第一実施形態の圃場水管理方法を説明するためのチャートである。
図2 に示すように、第一実施形態の圃場水管理方法では、日中、即ち、時刻検知部10によって日没時刻(所定の時刻)を検知するとき(タイミングT1)より前は、給水部2の給水栓12及び排水部4の排水栓14は閉じておく。圃場Hには、予め作物の生育等に好適な上限水位の水が満たされ、圃場水位検知部8 の上限水位センサ及び下限水位センサが共にONになっており、圃場Hの水位は「高」である。また、太陽光が照射されれば圃場Hの水が温められるので、圃場Hの水温は「高」である。なお、下限水位は、圃場Hの水が全て排水された状態、即ち地面の高さとする。
但し、用水路水圧検知部16によって用水路ULの水が圃場Hへの給水に好適な所定の水圧ではないこと、及び、用水路水温検知部18によって用水路ULの水が日没時刻後の作物に好適な所定の水温ではないこと、の少なくとも一方が検知されたときは、制御部20によって、排水栓14を一旦閉じ、圃場Hの水を確保する。そして、用水路水圧検知部16によって用水路の水が所定の水圧であること、及び、用水路水温検知部18によって用水路の水が所定の水温であることが検知されたとき、制御部20によって、再び排水栓14を開ける。
以後は、タイミングT1からタイミングT3までの動作を繰り返す。
次いで、本発明を適用した第二実施形態の圃場水管理方法について説明する。第二実施形態の圃場水管理方法は、第一実施形態の圃場水管理方法と同様に、時刻検知部10によって時刻を管理した状態における管理方法である。
図3は第二実施形態の圃場水管理方法を説明するためのチャートである。
制御部20は信号S4を受信すると、排水栓14を開け、圃場Hの水を排水路DLに排水する。このとき、給水栓12は閉じたままである。これにより、圃場Hの水位が減少し(即ち、「異常高」から「高」に変化し)、異常高水位より低く、且つ上限水位以上となるため、圃場水位検知部8の異常高水位センサがONからOFFになる。
以後は、タイミングT4が発生しない限り、タイミングT5以降の状態を保持する。
上記圃場水管理方法によれば、時刻を検知したうえで、圃場Hの水が所定の上限水位より高くなった場合であっても、圃場Hの水が所定の上限水位以下になったことを検知するまで圃場Hの水を自動的に排水する。また、圃場Hの水が所定の下限水位より低くなった場合であっても、圃場Hの水が所定の下限水位以上になったことを検知するまで圃場Hに水を自動的に給水する。このようにして、圃場Hの水を所定の上限水位以下、且つ下限水位に効率良く維持することができる。
上記圃場水管理システムによれば、例えば暴雨等で圃場Hの水位が所定の異常高水位より高くなった場合であっても、その状態を圃場水位検知部8で検知し、圃場Hの水位が所定の上限水位以下になったことを検知するまで圃場Hの水を自動的且つ速やかに排水する。このようにして、圃場Hの水を所定の上限水位以下に効率良く維持するとともに、圃場Hの水が異常高水位に達することによる作物へのダメージを未然に防ぐことができる。
次いで、本発明を適用した第三実施形態の圃場水管理方法について説明する。
図4は第三実施形態の圃場水管理方法を説明するためのチャートである。
図4に示すように、第三実施形態の圃場水管理方法では、時刻と、圃場水位検知部8の上限水位センサ及び下限水位センサのON/OFFによって、給水部2による給水の開始及び停止と、排水部4による排水の開始と停止と、を制御する。
日没時刻になったタイミングT6に、時刻検知部10から制御部20に日没時刻を検知したことを知らせる信号S6(図示略)が送信される。制御部20は信号S6を受信すると、排水栓14を開け、圃場Hの水を排水路DLに排水する。このとき、給水栓12は閉じたままである。これにより、第一実施形態の圃場水管理方法と同様に、圃場Hの水位が減少し、上限水位より低く、且つ下限水位以上となるため、圃場水位検知部8の上限水位センサがONからOFFになり、下限水位センサはONのままである。
なお、第一実施形態の圃場水管理方法と同様に、用水路水圧検知部16及び用水路水温検知部18の検知情報を考慮して、排水栓14の開閉を行ってもよい。
上記のように排水栓14を閉じたときを含めて何らかの要因から排水栓14が閉まったタイミングT8に、排水部4から何らかの形で制御部20に排水部4の排水栓14が閉じたことを知らせる信号S8(図示略)が送信される。
制御部20は信号S7又は信号S8の何れかを受信すると、給水栓12を開け、用水路ULの水を圃場Hへと速やかに給水する。これにより、圃場Hの水位が増加し、下限水位より高く、且つ上限水位以下となるため、圃場水位検知部8の上限水位センサはOFFのままで、下限水位センサがOFFからONになる。
以後は、タイミングT6からタイミングT9までの動作を繰り返す。
また、上記構成によって圃場Hの水温と用水路ULの水温との差を算出すれば、例えば第一実施形態の圃場水管理方法において、日中が雨や曇り等であることによって圃場Hの水温がタイミングT1において「高」ではない場合には、圃場Hの水温と用水路ULの水温との差が小さくなるので、それに応じて排水部4による排水の開始及び停止を行わずに済む。このようにして、圃場Hの水を作物に好適な水温にし、作物の生育特性に合わせて、圃場Hの状態をより効率良く管理することができる。
Claims (1)
- 用水路からの水を圃場に給水する給水部と、前記圃場の水を排水路に排水する排水部と、前記圃場の水温を検知する圃場水温検知部と、前記圃場の水位を検知する圃場水位検知部と、時刻を検知する時刻検知部と、を備えた圃場水管理システムを用いた圃場水管理方法であって、
前記給水部及び前記排水部を停止させ、予め前記圃場に前記水を満たした状態で、前記時刻を検知情報として取得する工程と、
前記検知情報で取得された前記時刻が所定の時刻になった場合に、前記排水部による排水を開始する工程と、
前記圃場水位検知部で前記圃場の水位を検知し、前記圃場の水が全て排水されたと検知された時刻に、前記給水部による給水を開始する工程と、
を有し、
前記時刻検知部によって得られた前記時刻が、日没時刻になったときに、前記排水部を作動させて前記圃場の水を排水路に排水する、
圃場水管理方法。
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