以下、本発明に係る現像剤補給容器及び現像剤補給システムについて具体的に説明する。なお、以下において、特段の記載がない限り、発明の思想の範囲内において現像剤補給容器の種々の構成を同様な機能を奏する公知の他の構成に置き換えることが可能である。すなわち、特段の記載がない限り、後述する実施例に記載された現像剤補給容器の構成だけに限定する意図はない。
まず、画像形成装置の基本構成について説明し、続いて、この画像形成装置に搭載される現像剤補給システム、つまり、現像剤補給装置と現像剤補給容器の構成について順に説明する。
(画像形成装置)
現像剤補給容器(所謂、トナーカートリッジ)が着脱可能(取り外し可能)に装着される現像剤補給装置が搭載された画像形成装置の一例として、電子写真方式を採用した複写機(電子写真画像形成装置)の構成について図1を用いて説明する。
同図において、100は複写機本体(以下、画像形成装置本体もしくは装置本体という)である。また、101は原稿であり、原稿台ガラス102の上に置かれる。そして、原稿の画像情報に応じた光像を光学部103の複数のミラーMとレンズLnにより、電子写真感光体104(以下、感光体)上に結像させることにより静電潜像を形成する。この静電潜像は乾式の現像器(1成分現像器)201aにより現像剤T(乾式粉体)としてのトナー(1成分磁性トナー)を用いて可視化される。なお、本例では現像剤補給容器1から補給すべき現像剤として1成分磁性トナーを用いた例について説明するが、このような例だけではなく、後述するような構成としても構わない。具体的には、1成分非磁性トナーを用いて現像を行う1成分現像器を用いる場合、現像剤Tとして1成分非磁性トナーを補給することになる。また、磁性キャリアと非磁性トナーを混合した2成分現像剤Tを用いて現像を行う2成分現像器を用いる場合、現像剤として非磁性トナーを補給することなる。なお、この場合、現像剤Tとして非磁性トナーとともに磁性キャリアも併せて補給する構成としても構わない。
105~108は記録媒体(以下、「シート」ともいう)Sを収容するカセットである。これらカセット105~108に積載されたシートSのうち、複写機の液晶操作部から操作者(ユーザ)が入力した情報もしくは原稿101のシートサイズを基に最適なカセットが選択される。ここで記録媒体としては用紙に限定されずに、例えばOHPシート等適宜使用、選択できる。そして、給送分離装置105A~108Aにより搬送された1枚のシートSを、搬送部109を経由してレジストローラ110まで搬送し、感光体104の回転と、光学部103のスキャンのタイミングを同期させて搬送する。
111、112は転写帯電器、分離帯電器である。ここで、転写帯電器111によって、感光体104上に形成された現像剤による像をシートSに転写する。そして、分離帯電器112によって、現像剤像(トナー像)の転写されたシートSを感光体104から分離する。この後、搬送部113により搬送されたシートSは、定着部114において熱と圧によりシート上の現像剤像を定着させた後、片面コピーの場合には、排出反転部115を通過し、排出ローラ116により排出トレイ117へ排出される。
また、両面コピーの場合には、シートSは排出反転部115を通り、一度排出ローラ116により一部が装置外へ排出される。そして、この後、シートSの終端がフラッパ118を通過し、排出ローラ116にまだ挟持されているタイミングでフラッパ118を制御すると共に排出ローラ116を逆回転させることにより、再度装置内へ搬送される。さらに、この後、再給送搬送部119,120を経由してレジストローラ110まで搬送された後、片面コピーの場合と同様の経路をたどって排出トレイ117へ排出される。
上記構成の装置本体100において、感光体104の回りには現像手段としての現像器201a、クリーニング手段としてのクリーナ部202、帯電手段としての一次帯電器203等の画像形成プロセス機器が設置されている。なお、現像器201aは原稿101の画像情報に基づき光学部103により感光体104に形成された静電潜像に現像剤Tを付着させることにより現像するものである。また、一次帯電器203は、感光体104上に所望の静電像を形成するため感光体表面を一様に帯電するためのものである。また、クリーナ部202は感光体104に残留している現像剤Tを除去するためのものである。
(現像剤補給装置)
次に、現像剤補給システムの構成要素である現像剤補給装置201について、図1~図4を用いて説明する。ここで、図2(a)は現像剤補給装置201の部分断面図、図2(b)は現像剤補給容器1を装着する装着部10の斜視図、図2(c)は装着部10の断面図を示している。また、図3は、制御系並びに、現像剤補給容器1と現像剤補給装置201を部分的に拡大した断面図を示している。図4は制御系による現像剤補給の流れを説明するフローチャートである。
現像剤補給装置201は、図1に示すように、現像剤補給容器1が取り外し可能(着脱可能)に装着される装着部(装着スペース)10と、現像剤補給容器1から排出された現像剤Tを一時的に貯留するホッパ10aと、現像器201aと、を有している。現像剤補給容器1は、図2(c)に示すように、装着部10に対してM方向に装着される構成となっている。つまり、現像剤補給容器1の長手方向(回転軸線方向)がほぼこのM方向と一致するように装着部10に装着される。なお、このM方向は、後述する図7(a)のX方向と実質平行である。また、現像剤補給容器1の装着部10からの取り出し方向はこのM方向とは反対の方向となる。
現像器201aは、図1及び図2(a)に示すように、現像ローラ201fと、撹拌部材201c、送り部材201d、201eを有している。そして、現像剤補給容器1から補給された現像剤Tは撹拌部材201cにより撹拌され、送り部材201d、201eにより現像ローラ201fに送られて、現像ローラ201fにより感光体104に供給される。なお、現像ローラ201fには、ローラ上の現像剤コート量を規制する現像ブレード201g、現像器201aとの間の現像剤の漏れを防止するために現像ローラ201fに接触配置された漏れ防止シート201hが設けられている。また、装着部10には、図2(b)に示すように、現像剤補給容器1が装着された際に現像剤補給容器1のフランジ部4(図6(a)参照)と当接することでフランジ部4の回転方向への移動を規制するための回転方向規制部(保持機構)11が設けられている。
装着部10は、現像剤補給容器1が装着された際に、後述する現像剤補給容器1の排出口(排出孔)4a(図6(b)参照)と連通し、現像剤補給容器1から排出された現像剤を受入れるための現像剤受入れ口(現像剤受入れ孔)13を有している。そして、現像剤補給容器1の排出口4aから現像剤が現像剤受入れ口13を通して現像器201aへと供給される。なお、本実施例において、現像剤受入れ口13の直径φは、装着部10内での現像剤による汚れを可及的に防止する目的より、微細口(ピンホール)として約3mmに設定されている。なお、現像剤受入れ口の直径は排出口4aから現像剤が排出できる直径であればよい。
ホッパ10aは、図3に示すように、現像器201aへ現像剤Tを搬送するための搬送スクリュー10bと、現像器201aと連通した開口10cと、ホッパ10a内に収容されている現像剤Tの量を検出する現像剤センサ10dを有している。
装着部10は、図2(b)、(c)に示すように、駆動機構(駆動部)として機能する駆動ギア300を有している。この駆動ギア300は、駆動モータ500(不図示)から駆動ギア列を介して回転駆動力が伝達され、装着部10にセットされた状態にある現像剤補給容器1に対し回転駆動力を付与する機能を有している。
駆動モータ500は、図3に示すように、制御部であるところの制御装置(CPU)600(不図示)によりその動作を制御される構成となっている。制御装置600は、図3に示すように、残量センサ10dから入力された現像剤残量情報に基づき、駆動モータ500の動作を制御する構成となっている。なお、本例において、駆動ギア300は、駆動モータ500の制御を簡易化させるため、一方向にのみ回転するように設定されている。つまり、制御装置600は、駆動モータ500について、そのオン(作動)/オフ(非作動)のみを制御する構成となっている。従って、駆動モータ500(駆動ギア300)を正方向と逆方向とに周期的に反転させることで得られる反転駆動力を現像剤補給容器1に付与する構成に比して、現像剤補給装置201の駆動機構の簡易化を図ることができる。
(現像剤補給容器の装着/取り出し方法)
次に、現像剤補給容器1の装着/取り出し方法について説明する。まず、操作者が、交換カバーを開き、現像剤補給容器1を現像剤補給装置201の装着部10へ挿入、装着させる。この装着動作に伴い、現像剤補給容器1のフランジ部4が現像剤補給装置201に保持、固定される。その後、操作者が交換カバーを閉じることで、装着工程が終了する。その後、制御装置600が駆動モータ500を制御することにより、駆動ギア300を適宜のタイミングで回転させる。
一方、現像剤補給容器1内の現像剤が空となってしまった場合には、操作者が、交換カバーを開き、装着部10から現像剤補給容器1を取り出す。そして、予め用意してある新しい現像剤補給容器1を装着部10へと挿入、装着し、交換カバーを閉じることにより、現像剤補給容器1の取り出し~再装着に至る交換作業が終了する。
(現像剤補給装置による現像剤補給制御)
次に、現像剤補給装置201による現像剤補給制御について、図4のフローチャートを基に説明する。この現像剤補給制御は、制御装置(CPU)600により各種機器を制御することにより実行される。
図3に示すように、現像剤センサ10dの出力に応じて制御装置600が駆動モータ500の作動/非作動の制御を行うことにより、ホッパ10a内に一定量以上の現像剤が収容されないように構成している。
具体的には、まず、現像剤センサ10dがホッパ10a内の現像剤収容量をチェックする(S100)。そして、現像剤センサ10dにより検出された現像剤収容量が所定量未満であると判定された場合、つまり、現像剤センサ10dにより現像剤が検出されなかった場合、駆動モータ500を駆動し、一定時間、現像剤の補給動作を実行する(S101)。
この現像剤補給動作の結果、現像剤センサ10dにより検出された現像剤収容量が所定量に達したと判定された場合、つまり、現像剤センサ10dにより現像剤Tが検出された場合、駆動モータ500の駆動をオフし、現像剤Tの補給動作を停止する(S102)。この補給動作の停止により、一連の現像剤補給工程が終了する。
このような現像剤補給工程は、画像形成に伴い現像剤Tが消費されてホッパ10a内の現像剤収容量が所定量未満となると、繰り返し実行される構成となっている。
このように、現像剤補給容器1から排出された現像剤Tを、ホッパ10a内に一時的に貯留し、その後、現像器201aへ補給する構成でも構わないが、本例では、以下のような現像剤補給装置201の構成としている。
具体的には、図5に示すように、上述したホッパ10aを省き、現像剤補給容器1から現像器201aへ直接的に現像剤Tを補給する構成である。この図5は、現像剤補給装置201として2成分現像器800を用いた例である。この現像器800には、現像剤Tが補給される攪拌室と現像スリーブ800aへ現像剤Tを供給する現像室を有しており、攪拌室と現像室には現像剤搬送方向が互いに逆向きとなる攪拌スクリュー800bが設置されている。そして、攪拌室と現像室は長手方向両端部において互いに連通しており、2成分現像剤はこれらの2つの部屋を循環搬送される構成となっている。
また、攪拌室には現像剤中のトナー濃度を検出する磁気センサ800cが設置されており、この磁気センサ800cの検出結果に基づいて制御装置600が駆動モータ500の動作を制御する構成となっている。詳細については後述するが、磁気センサ800cの検出結果により、制御装置600は駆動モータ500へ回転駆動指示を行い、光学センサ600aの検出結果から制御装置600は駆動モータ500へ回転駆動停止指示を行う構成としている(図14参照)。なお、この構成の場合、現像剤補給容器から補給される現像剤は、非磁性トナー、もしくは非磁性トナー及び磁性キャリアとなる。
本例では、後述するように、現像剤補給容器1内の現像剤は排出口4aから重力作用のみではほとんど排出されず、ポンプ部3aによる容積可変動作によって現像剤が排出されるため、排出量のばらつきを抑えることができる。そのため、ホッパ10aを省くことができ、図5のような例であっても、現像室へ現像剤を安定的に補給することが可能である。
(現像剤補給容器)
次に、現像剤補給システムの構成要素である現像剤補給容器1の構成について、図6、図7を用いて説明する。ここで、図6(a)は現像剤補給容器1の全体斜視図、図6(b)は現像剤補給容器1の排出口4a周辺の部分拡大図、図6(c)は現像剤補給容器1を装着部10に装着した状態を示す正面図である。また、図7(a)は現像剤補給容器の断面斜視図、図7(b)はポンプ部が使用上最大限伸張された状態の部分断面図、(c)はポンプ部が使用上最大限収縮された状態の部分断面図である。
現像剤補給容器1は、図6(a)に示すように、中空円筒状に形成され内部に現像剤Tを収容する内部空間を備えた現像剤収容部2(容器本体とも呼ぶ)を有している。本例では、円筒部2kと排出部4c(図5参照)、ポンプ部3a(図5参照)が現像剤収容部2として機能する。さらに、現像剤補給容器1は、現像剤収容部2の長手方向(現像剤搬送方向)一端側にフランジ部4(非回転部とも呼ぶ)を有している。また、円筒部2kはこのフランジ部4に対して相対回転可能に構成されている。なお、円筒部2kの断面形状を、現像剤補給工程における回転動作に影響を与えない範囲内において、非円形状としても構わない。例えば、楕円形状のものや多角形状のものを採用しても構わない。
なお、本例では、図7(b)に示すように、現像剤収容室として機能する円筒部2kの全長L1が約460mm、現像剤排出室として機能する排出部4cが設置されている領域の長さL2は約21mmに設定している。また、図7(b)に示すように、ポンプ部3aの全長L3(使用上の伸縮可能範囲の中で最も伸びた状態のとき)は約30mm、図7(c)に示すように、ポンプ部3aの全長L4(使用上の伸縮可能範囲の中で最も縮んだ状態のとき)は約24mmとなっている。
また、本例では、図6、7に示すように、現像剤補給容器1が現像剤補給装置201に装着された状態のとき円筒部2kと排出部4cが水平方向に並ぶように構成されている。つまり、円筒部2kは、その水平方向長さがその鉛直方向長さよりも充分に長く、その水平方向側が排出部4cと接続された構成となっている。従って、現像剤補給容器1が現像剤補給装置201に装着された状態のとき排出部4cの鉛直上方に円筒部2kが位置するように構成する場合に比して、後述する排出口4a上に存在する現像剤の量が少なくすることができる。その為、排出口4a近傍の現像剤が圧密され難く、吸排気動作を円滑に行うことが可能となる。
(現像剤補給容器の材質)
本例では、後述するように、ポンプ部3aにより現像剤補給容器1内の容積を変化させることにより、排出口4aから現像剤を排出させる構成となっている。よって、現像剤補給容器1の材質としては、容積の変化に対して大きく潰れてしまったり、大きく膨らんでしまったりしない程度の剛性を有したものを採用するのが好ましい。
また、本例では、現像剤補給容器1は、外部とは排出口4aを通じてのみ連通しており、排出口4aを除き外部から密閉された構成としている。つまり、ポンプ部3aにより現像剤補給容器1の容積を減少、増加させて排出口4aから現像剤を排出する構成を採用していることから、安定した排出性能が保たれる程度の気密性が求められる。
そこで、本例では、現像剤収容部2と排出部4cの材質をポリスチレン樹脂とし、ポンプ部3aの材質をポリプロピレン樹脂としている。
なお、使用する材質に関して、現像剤収容部2と排出部4cは容積可変に耐えうる素材であれば、例えば、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等の他の樹脂を使用することが可能である。また、金属製であっても構わない。
また、ポンプ部3aの材質に関しては、伸縮機能を発揮し容積変化によって現像剤補給容器1の容積を変化させることができる材料であれば良い。例えば、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)、ポリスチレン、ポリエステル、ポリエチレン等を肉薄で形成したものでも構わない。また、ゴムや、その他の伸縮性材料などを使用することも可能である。
なお、樹脂材料の厚みを調整するなどして、ポンプ部3a、現像剤収容部2、排出部4cのそれぞれが上述した機能を満たすのであれば、それぞれを同じ材質で、例えば、射出成形法やブロー成形法等を用いて一体的に成形されたものを用いても構わない。
以下、フランジ部4、円筒部2k、ポンプ部3a、駆動受け機構2d、駆動変換機構2e(カム溝)、の構成について、順に、詳細に説明する。
(フランジ部)
フランジ部4について、図7、図13を用いて説明する。図13(a)は現像剤補給容器1のフランジ部4を示す斜視図、(b)は現像剤補給容器1のフランジ部4を示す部分断面図である。図7、図13に示すように、現像剤収容部内(現像剤収容室内)2から搬送されてきた現像剤を一時的に貯留するための中空の排出部(現像剤排出室)4cが設けられている。この排出部4cの底部には、現像剤補給容器1の外へ現像剤の排出を許容する、つまり、現像剤補給装置201へ現像剤を補給するための小さな排出口4aが形成されている。この排出口4aの大きさについては後述する。また、排出口4aの上部には、排出前の現像剤を一定量貯留可能な現像剤貯留部4dが設けられている。
さらに、フランジ部4には排出口4aを開閉するシャッタ4bが設けられている。このシャッタ4bは、現像剤補給容器1の装着部10への装着動作に伴い、装着部10に設けられた突き当て部21(必要に応じて図2(b)参照)と突き当たるように構成されている。従って、シャッタ4bは、現像剤補給容器1の装着部10への装着動作に伴い、円筒部2kの回転軸線方向(M方向とは逆方向)へ現像剤補給容器1に対して相対的にスライドする。その結果、シャッタ4bから排出口4aが露出されて開封動作が完了する。
この時点で、排出口4aは装着部10の現像剤受入れ口13と位置が合致しているので互いに連通した状態となり、現像剤補給容器1からの現像剤補給が可能な状態となる。
また、フランジ部4は、現像剤補給容器1が現像剤補給装置201の装着部10に装着されると、実質不動となるように構成されている。具体的には、フランジ部4が自ら円筒部2kの回転方向へ回転することがないように、図2(b)に示す回転方向規制部11が設けられている
従って、現像剤補給容器1が現像剤補給装置201に装着された状態では、フランジ部4に設けられている排出部4cも、円筒部2kの回転方向へ回転することが実質阻止された状態となる(ガタ程度の移動は許容する)。
一方、円筒部2kは現像剤補給装置201により回転方向への規制は受けることなく、現像剤補給工程において回転する構成となっている。
(フランジ部の排出口について)
本例では、現像剤補給容器1の排出口4aについて、現像剤補給容器1が現像剤補給装置201に現像剤を補給する姿勢のとき、重力作用のみでは十分に排出されない程度の大きさに設定している。つまり、排出口4aの開口サイズは、重力作用のみでは現像剤補給容器から現像剤の排出が不充分となる程度に小さく設定している(微細口(ピンホール)とも言う)。言い換えると、排出口4aが現像剤で実質閉塞されるようにその開口の大きさを設定している。これにより、以下の効果を期待できる。
(1)排出口4aから現像剤が漏れ難くなる。
(2)排出口4aを開放した際の現像剤の過剰排出を抑制できる。
(3)現像剤の排出をポンプ部3aによる排気動作に支配的に依存させることができる。
そこで、本発明者等は、重力作用のみで十分に排出されない排出口4aをどのくらいの大きさに設定すべきか、検証実験を行った。以下、その検証実験(測定方法)とその判断基準を以下に説明する。
底部中央に排出口(円形状)が形成された所定容積の直方体容器を用意し、容器内に現像剤を200g充填した後、充填口を密閉し排出口を塞いだ状態で容器をよく振って現像剤を十分に解す。この直方体容器は、容積が約1000cm3、大きさは、縦90mm×横92mm×高さ120mmとなっている。
その後、可及的速やかに排出口を鉛直下方に向けた状態で排出口を開封し、排出口から排出された現像剤の量を測定する。このとき、この直方体容器は、排出口以外は完全に密閉されたままの状態とする。また、検証実験は温度24℃、相対湿度55%の環境下で行った。
上記手順で、現像剤の種類と排出口の大きさを変えて排出量を測定する。なお、本例では、排出された現像剤の量が2g以下である場合、その量は無視できるレベルであり、その排出口が重力作用のみでは十分に排出されない大きさであると判断した。
検証実験に用いた現像剤を表1に示す。現像剤の種類は、1成分磁性トナー、2成分現像器に用いられる2成分非磁性トナー、2成分現像器に用いられる2成分非磁性トナーと磁性キャリアの混合物である。
これらの現像剤の特性を表す物性値として、流動性を示す安息角の他に、粉体流動性分析装置(Freeman Technology社製 パウダーレオメータFT4)により、現像剤層の解れ易さを示す流動性エネルギーについて測定した。
この流動性エネルギーの測定方法について図8を用いて説明する。ここで図8は流動性エネルギーを測定する装置の模式図である。
この粉体流動性分析装置の原理は、粉体サンプル中でブレードを移動させ、そのブレードが粉体中を移動するのに必要な流動性エネルギーを測定するものである。ブレードはプロペラ型で、回転すると同時に回転軸方向にも移動するためブレードの先端はらせんを描くことになる。
プロペラ型のブレード54(以下、ブレードと呼ぶ)として、径が48mmで、反時計回りになめらかにねじられたSUS製のブレード(型番:C210)を使用した。詳細には、48mm×10mmのブレード板の中心にブレード板の回転面に対して法線方向に回転軸が存在し、ブレード板の両最外縁部(回転軸から24mm部分)のねじれ角が70°、回転軸から12mmの部分のねじれ角が35°となっている。
流動性エネルギーとは、粉体層中に上述の如くらせん状に回転するブレード54を侵入させ、ブレードが粉体層中を移動する際に得られる回転トルクと垂直荷重の総和を時間積分して得られたトータルエネルギーを指す。この値が、現像剤粉体層の解れ易さを表しており、流動性エネルギーが大きい場合は解れにくく、流動性エネルギーが小さい場合は解れ易いことを意味している。
今回の測定では、図8に示す通り、この装置の標準部品であるφが50mmの円筒容器53(容積200cc、図8のL1=50mm)に各現像剤Tを粉面高さ70mm(図8のL2)となるように充填した。充填量は、測定する嵩密度に合せて調整する。更に、標準部品であるφ48mmのブレード54を粉体層に侵入させ、侵入深さ10~30mm間に得られたエネルギーを表示する。
測定時の設定条件としては、ブレード54の回転速度(tip speed。ブレードの最外縁部の周速)を60mm/s、また、粉体層への鉛直方向のブレード進入速度を、移動中のブレード54の最外縁部が描く軌跡と粉体層表面とのなす角θ(helix angle。以後なす角と呼ぶ)が10°になるスピードとした。粉体層への垂直方向の進入速度は11mm/sである(粉体層への鉛直方向のブレード進入速度=ブレードの回転速度×tan(なす角×π/180))。また、この測定についても温度24℃、相対湿度55%の環境下で行った。
なお、現像剤の流動性エネルギーを測定する際の現像剤の嵩密度は、現像剤の排出量と排出口の大きさとの関係を検証する実験の際の嵩密度に近く、嵩密度の変化が少なく安定して測定ができる嵩密度として0.5g/cm3に調整した。
このようにして測定された流動性エネルギーをもつ現像剤(表1)について、検証実験を行った結果を図9に示す。図9は、排出口の径と排出量との関係を、現像剤の種類毎に示したグラフである。
図9に示す検証結果より、現像剤A~Eについて、排出口の直径φが4mm(開口面積が12.6mm2:円周率は3.14で計算、以下同じ)以下であれば、排出口からの排出量が2g以下になることが確認された。排出口の直径φが4mmよりも大きくなると、いずれの現像剤とも、排出量が急激に多くなることが確認された。
つまり、現像剤の流動性エネルギー(嵩密度が0.5g/cm3)が4.3×10-4(kg・m2/s2(J))以上4.14×10-3(kg・m2/s2(J))以下のとき、排出口の直径φが4mm(開口面積が12.6(mm2))以下であれば良い。また、現像剤の嵩密度については、この検証実験では十分に現像剤を解して流動化した状態で測定を行っており、通常の使用環境で想定される状態(放置された状態)よりも嵩密度が低く、より排出し易い条件で測定を行っている。
以上の結果から、排出口をφ4mm(面積12.6mm2)以下にすることで、現像剤の種類や嵩密度状態に依らず、排出口を下にした状態(現像剤補給装置201への補給姿勢を想定)で、排出口から重力作用のみでは十分に排出されないことが確認できた。
一方、排出口4aの大きさの下限値としては、現像剤補給容器1から補給すべき現像剤(1成分磁性トナー、1成分非磁性トナー、2成分非磁性トナー、2成分磁性キャリア)が少なくとも通過できる値に設定するのが好ましい。つまり、現像剤補給容器1に収容されている現像剤の粒径(トナーの場合は体積平均粒径、キャリアの場合は個数平均粒径)よりも大きい排出口にするのが好ましい。例えば、補給用の現像剤に2成分非磁性トナーと2成分磁性キャリアが含まれている場合、大きい方の粒径、つまり、2成分磁性キャリアの個数平均粒径よりも大きな排出口にするのが好ましい。
具体的には、補給すべき現像剤に2成分非磁性トナー(体積平均粒径が5.5μm)と2成分磁性キャリア(個数平均粒径が40μm)が含まれている場合、排出口4aの径を0.05mm(開口面積0.002mm2)以上に設定するのが好ましい。
但し、排出口4aの大きさを現像剤の粒径に近い大きさに設定してしまうと、現像剤補給容器1から所望の量を排出させるのに要するエネルギー、つまり、ポンプ部3aを動作させるのに要するエネルギーが大きくなってしまう。また、現像剤補給容器1の製造上においても制約が生じる場合がある。射出成形法を用いて樹脂部品に排出口4aを成形するには、排出口4aの部分を形成する金型部品の耐久性が厳しくなってしまう。以上から、排出口4aの直径φは0.5mm以上に設定するのが好ましい。
なお、本例では、排出口4aの形状を円形状としているが、このような形状に限定されるものでは無い。つまり、直径が4mmの場合に相当する開口面積である12.6mm2以下の開口面積を有する開口であれば、正方形、長方形、楕円や、直線と曲線を組み合わせた形状等、に変更可能である。
但し、円形状の排出口は、開口の面積を同じとした場合、他の形状に比べて現像剤が付着して汚れてしまう開口の縁の周長が最も小さい。そのため、シャッタ4bの開閉動作に連動して広がってしまう現像剤の量も少なく、汚れ難い。また、円形状の排出口は、排出時の抵抗も少なく最も排出性が高い。従って、排出口4aの形状としては、排出量と汚れ防止のバランスが最も優れた円形状がより好ましい。
以上より、排出口4aの大きさについては、排出口4aを鉛直下方に向けた状態(現像剤補給装置201への補給姿勢を想定)で、重力作用のみで十分に排出されない大きさが好ましい。具体的には、排出口4aの直径φは、0.05mm(開口面積0.002mm2)以上4mm(開口面積12.6mm2)以下の範囲に設定するのが好ましい。さらに、排出口4aの直径φは、0.5mm(開口面積0.2mm2)以上4mm(開口面積12.6mm2)以下の範囲に設定するのがより好ましい。本例では、以上の観点から、排出口4aを円形状とし、その開口の直径φを3mmに設定している。
なお、本例では、排出口4aの数を1個としているがそれに限るものではなく、それぞれの開口面積が上述した開口面積の範囲を満足するように、排出口4aを複数設ける構成としても構わない。例えば、直径φが5mmの1つの現像剤受入れ口13に対して、直径φが2.1mmの排出口4aを2つ設ける構成である。但し、この場合、現像剤の排出量(単位時間当たり)が低下してしまう傾向となるため、直径φが3mmの排出口4aを1つ設ける構成の方がより好ましい。
(円筒部)
次に、現像剤収容室として機能する円筒部2kについて図6、7を用いて説明する。
円筒部2kは、図6、7に示すように、円筒部2kの内面には、収容された現像剤を自らの回転に伴い、現像剤排出室として機能する排出部4c(排出口4a)に向けて搬送する手段として機能する螺旋状に突出した搬送部2cが設けられている。また、円筒部2kは、上述した材質の樹脂を用いてブロー成型法により形成されている。
なお、現像剤補給容器1の容積を大きくし充填量を増やそうとした場合、現像剤収容部2としてのフランジ部4の容積を高さ方向に大きくする方法が考えられる。しかし、このような構成とすると、現像剤の自重により排出口4a近傍の現像剤への重力作用がより増大してしまう。その結果、排出口4a近傍の現像剤が圧密されやすくなり、排出口4aを介した吸気/排気の妨げとなる。この場合、排出口4aからの吸気で圧密された現像剤を解す、または、排気で現像剤を排出させるためには、ポンプ部3aの容積変化量を更に大きくしなければならなくなる。しかし、その結果、ポンプ部3aを駆動させるための駆動力も増加し、画像形成装置本体100への負荷が過大になる恐れがある。
それに対し、本例においては、円筒部2kをフランジ部4に水平方向に並べて設置しているため、上記構成に対して、現像剤補給容器1内における排出口4a上の現像剤層の厚さを薄く設定することができる。これにより、重力作用により現像剤が圧密されにくくなるため、その結果、画像形成装置本体100へ負荷をかけることなく、安定した現像剤の排出が可能になる。
また、円筒部2kは、図7(b)、(c)に示すように、フランジ部4の内面に設けられたリング状のシール部材のフランジシール5bを圧縮した状態で、フランジ部4に対して相対回転可能に固定されている。
これにより、円筒部2kは、フランジシール5bと摺動しながら回転するため、回転中において現像剤が漏れることなく、また、気密性が保たれる。つまり、排出口4aを介した空気の出入りが適切に行われるようになり、補給中における、現像剤補給容器1の容積可変を所望の状態にすることができるようになっている。
(ポンプ部)
次に、往復動に伴いその容積が可変なポンプ部(往復動可能な)3aについて図7を用いて説明する。ここで、図7(a)は現像剤補給容器の断面斜視図、図7(b)はポンプ部が使用上最大限伸張された状態の部分断面図、図7(c)はポンプ部が使用上最大限収縮された状態の部分断面図である。
本例のポンプ部3aは、排出口4aを介して吸気動作と排気動作を交互に行わせる吸排気機構として機能する。言い換えると、ポンプ部3aは、排出口4aを通して現像剤補給容器の内部に向かう気流と現像剤補給容器から外部に向かう気流を交互に繰り返し発生させる気流発生機構として機能する。
ポンプ部3aは、図7(a)に示すように、排出部4cからX方向に設けられている。つまり、ポンプ部3aは排出部4cとともに、円筒部2kの回転方向へ自らが回転することがないように設けられている。
また、本例のポンプ部3aは、その内部に現像剤を収容可能な構成となっている。このポンプ部3a内の現像剤収容スペースは、後述するように、吸気動作時における現像剤の流動化に大きな役割を担っている。本例では、ポンプ部3aとして、往復動に伴いその容積が可変な樹脂製の容積可変型ポンプ部(蛇腹状ポンプ)を採用している。具体的には、図7(a)~(c)に示すように、蛇腹状のポンプを採用しており、「山折り」部と「谷折り」部が周期的に交互に複数形成されている。従って、このポンプ部3aは、現像剤補給装置201から受けた駆動力により、収縮動作、伸張動作を交互に繰り返し行うことができる。
このようなポンプ部3aを採用することにより、現像剤補給容器1の容積を、可変させるとともに、所定の周期で、交互に繰り返し変化させることができる。その結果、小径(直径が約3mm)の排出口4aから排出部4c内にある現像剤を効率良く、排出させることが可能となる。
(駆動受け機構)
次に、搬送部2cを回転させるための回転駆動力を現像剤補給装置201から受ける、現像剤補給容器1の駆動受け機構(駆動入力部、駆動力受け部)について説明する。
現像剤補給容器1には、図6(a)に示すように、現像剤補給装置201の駆動ギア300(駆動機構として機能する)と係合(駆動連結)可能な駆動受け機構(駆動入力部、駆動力受け部、駆動受入れ部)として機能するギア部2dが設けられている。このギア部2dは、円筒部2kと一体的に回転可能な構成となっている。
従って、駆動ギア300からギア部2dに入力された回転駆動力は図10(a)、(b)の往復動部材3bを介してポンプ3aへ伝達される仕組みとなっている。具体的には、駆動伝達機構で後述する。本例の蛇腹状のポンプ部3aは、その伸縮動作を阻害しない範囲内で、回転方向へのねじれに強い特性を備えた樹脂材を用いて製造されている。
なお、本例では、円筒部2kの長手方向(現像剤搬送方向)側にギア部2dを設けているが、このような例に限られるものではなく、例えば、現像剤収容部2の長手方向他端側、つまり、最後尾側に設けても構わない。この場合、対応する位置に駆動ギア300が設置されることになる。
また、本例では、現像剤補給容器1の駆動入力部と現像剤補給装置201の駆動部間の駆動連結機構としてギア機構を用いているが、このような例に限られるものではなく、例えば、公知のカップリング機構を用いるようにしても構わない。具体的には、駆動入力部として非円形状の凹部を設け、一方、現像剤補給装置201の駆動部として前述の凹部と対応した形状の凸部を設け、これらが互いに駆動連結する構成としても構わない。
(駆動変換機構)
次に、現像剤補給容器1の駆動変換機構(駆動変換部)について説明する。なお、本例では、駆動変換機構の例としてカム機構を用いた場合について説明する。
現像剤補給容器1には、ギア部2dが受けた搬送部2cを回転させるための回転駆動力を、ポンプ部3aを往復動させる方向の力へ変換する駆動変換機構(駆動変換部)として機能するカム機構が設けられている。
つまり、本例では、搬送部2cの回転とポンプ部3aの伸縮動作(往復動作)するための駆動力を1つの駆動入力部(ギア部2d)で受ける構成としつつ、ギア部2dが受けた回転駆動力を、現像剤補給容器1側で往復動力へ変換する構成としている。
これは、現像剤補給容器1に駆動入力部を2つ別々に設ける場合に比して、現像剤補給容器1の駆動入力機構の構成を簡易化できるからである。更に、現像剤補給装置201の1つの駆動ギアから駆動を受ける構成としたため、現像剤補給装置201の駆動機構の簡易化にも貢献することができる。
ここで、図10(a)はポンプ部3aが使用上最大限伸張された状態の部分図、図10(b)はポンプ部3aが使用上最大限収縮された状態の部分図、図10(c)はポンプ部の部分図である。図10(a)、(b)に示すように、回転駆動力をポンプ部3aの往復動力に変換する為に介する部材としては往復動部材3bを用いている。具体的には、駆動ギア300から回転駆動を受けた駆動入力部(ギア部2d)と、一体となっている全周に溝が設けられているカム溝2eが回転する。このカム溝2eについては後述する。このカム溝2eには、往復動部材3bから一部が突出した往復動部材係合突起3cがカム溝2eに係合している。なお、本例では、この往復動部材3bは図10(c)に示すように、円筒部2kの回転方向へ自らが回転することがないように(ガタ程度は許容する)保護部材回転規制部3fによって円筒部2kの回転方向が規制されている。このように、回転方向が規制されることで、カム溝2eの溝に沿って(図7(a)のX方向もしくは逆方向)往復動するように規制されている。さらに、往復動部材係合突起3cはカム溝2eに複数係合するように設けられている。具体的には、円筒部2kの外周面に2つの往復動部材係合突起3cが約180°対向するように設けられている。
ここで、往復動部材係合突起3cの配置個数については、少なくとも1つ設けられていれば構わない。但し、ポンプ部3aの伸縮時の抗力により駆動変換機構等にモーメントが発生し、スムーズな往復動が行われない恐れがあるため、後述するカム溝2e形状との関係が破綻しないよう複数個設けるのが好ましい。
つまり、駆動ギア300から入力された回転駆動力でカム溝2eが回転することで、カム溝2eに沿って往復動部材係合突起3cがX方向もしくは逆方向に往復動作をすることで、ポンプ部3aが伸張した状態(図10の(a))とポンプ部3aが収縮した状態(図10の(b))を交互に繰り返すことで、現像剤補給容器1の容積可変を達成することができる。
(駆動変換機構の設定条件)
本例では、駆動変換機構は、円筒部2kの回転に伴い排出部4cへ搬送される現像剤搬送量(単位時間当たり)が、排出部4cからポンプ部作用により現像剤補給装置201へ排出される量(単位時間当たり)よりも多くなるように駆動変換している。
これは、排出部4cへの搬送部2cによる現像剤の搬送能力に対してポンプ部3aによる現像剤の排出能力の方が大きいと、排出部4cに存在する現像剤の量が次第に減少してしまうからである。つまり、現像剤補給容器1から現像剤補給装置201への現像剤補給に要する時間が長くなってしまうことを防止するためである。
また、本例では、駆動変換機構は、円筒部2kが1回転する間にポンプ部3aが複数回往復動するように、駆動変換している。これは以下の理由に依るものである。
円筒部2kを現像剤補給装置201内で回転させる構成の場合、駆動モータ500は円筒部2kを常時安定して回転させるために必要な出力に設定するのが好ましい。但し、画像形成装置100における消費エネルギーを可能な限り削減するためには、駆動モータ500の出力を極力小さくする方が好ましい。ここで、駆動モータ500に必要な出力は、円筒部2kの回転トルクと回転数から算出されることから、駆動モータ500の出力を小さくするには、円筒部2kの回転数を可能な限り低く設定するのが好ましい。
しかし、本例の場合、円筒部2kの回転数を小さくしてしまうと、単位時間当たりのポンプ部3aの動作回数が減ってしまうことから、現像剤補給容器1から排出される現像剤Tの量(単位時間当たり)が減ってしまう。つまり、画像形成装置本体100から要求される現像剤の補給量を短時間で満足させるには、現像剤補給容器1から排出される現像剤Tの量では不足してしまう恐れがある。
そこで、ポンプ部3aの容積変化量を増加させれば、ポンプ部3aの1周期当たりの現像剤排出量を増やすことができるため、画像形成装置本体100からの要求に応えることが可能となるが、このような対処方法では以下のような問題がある。
つまり、ポンプ部3aの容積変化量を増加させると、排気工程における現像剤補給容器1の内圧(正圧)のピーク値が大きくなるため、ポンプ部3aを往復動させるのに要する負荷が増大してしまう。
このような理由から、本例では、円筒部2kが1回転する間にポンプ部3aを複数周期動作させているのである。これにより、円筒部2kが1回転する間にポンプ部3aを1周期しか動作させない場合に比して、ポンプ部3aの容積変化量を大きくすることなく、単位時間当たりの現像剤Tの排出量を増やすことが可能となる。そして、現像剤Tの排出量を増やすことができた分、円筒部2kの回転数を低減することが可能となる。
従って、本例のような構成とすることにより、駆動モータ500をより小さい出力に設定できるため、画像形成装置本体100での消費エネルギーの削減に貢献することができる。
(駆動変換機構の配置位置)
本例では、図10に示すように、駆動変換機構(往復動部材係合突起3cとカム溝2eにより構成されるカム機構)を、現像剤収容部2の外部に設けている。つまり、駆動変換機構を、円筒部2k、ポンプ部3a、フランジ部4の内部に収容された現像剤Tと接触することが無いように、円筒部2k、ポンプ部3a、フランジ部4の内部空間から隔てられた位置に設けている。
これにより、駆動変換機構を現像剤収容部2の内部空間に設けた場合に想定される問題を解消することができる。つまり、駆動変換機構の摺擦箇所への現像剤Tの侵入により、現像剤Tの粒子に熱と圧が加わって軟化していくつかの粒子同士がくっついて大きな塊(粗粒)となることや、変換機構への現像剤Tの噛み込みによりトルクアップするのを防止することができる。
(現像剤補給工程)
次に、図10、図11を用いて、ポンプ部3aによる現像剤補給工程について説明する。
ここで、図10(a)はポンプ部3aが使用上最大限伸張された状態の部分図、図10(b)はポンプ部3aが使用上最大限収縮された状態の部分図、図10(c)はポンプ部3aの部分図である。図11は現像剤補給容器のカム溝形状を示す展開図である。
ポンプ部3aによる現像剤補給工程は、図11に示すように駆動変換機構として構成されるカム溝2eの形状に係合した往復動部材係合突起3cによりポンプ部3aを伸縮動作させている。図11に示す矢印Aは円筒部2kの回転方向(カム溝2eの移動方向)、矢印Bはポンプ部3aの伸張方向、矢印Cはポンプ部3aの圧縮方向を示す。また、カム溝2eの構成は、ポンプ部3aを圧縮させる際に使用される溝をカム溝2gと、ポンプ部3aを伸張させる際に使用する溝をカム溝2hと、前述したポンプ部3aが往復動作しないポンプ部非動作部2iとなっている。なお、カム溝2eが矢印A方向に回転すると、往復動部材係合突起3cは図10(c)に示す保護部材回転規制部3fにより回転方向への移動を規制され、円筒部2kの回転軸方向への移動のみに制限される構成となっている。そのため、カム溝2eが矢印A方向に回転すると、カム溝2eに係合した往復動部材係合突起3cは相対的に矢印Aとは反対方向へ相対移動することになる。
本実施例では、後述するように、ポンプ部動作による吸気工程(排出口4aを介した吸気動作)と排気工程(排出口4aを介した排気動作)とポンプ部非動作による動作停止工程(排出口4aから吸排気が行われない)が行われるように、駆動変換機構で回転駆動力を往復動力へ変換する構成となっている。以下、吸気工程と排気工程と動作停止工程について、順に、詳細に説明する。
(吸気工程)
まず、吸気工程(排出口4aを介した吸気動作)について説明する。上述した駆動変換機構(カム機構)によりポンプ部3aが最も縮んだ状態の図10(b)からポンプ部3aが最も伸びた状態の図10(a)になることで、吸気動作が行われる。つまり、この吸気動作に伴い、現像剤補給容器1の現像剤を収容し得る部位(ポンプ部3a、円筒部2k、フランジ部4)の容積が増大する。
その際、現像剤補給容器1の内部は排出口4aを除き実質密閉された状態となっており、さらに、排出口4aが現像剤Tで実質的に塞がれた状態となっている。そのため、現像剤補給容器1の現像剤Tを収容し得る部位の容積増加に伴い、現像剤補給容器1の内圧が減少する。
このとき、現像剤補給容器1の内圧は大気圧(外気圧)よりも低くなる。そのため、現像剤補給容器1外にあるエアーが、現像剤補給容器1内外の圧力差により、排出口4aを通って現像剤補給容器1内へと移動する。
その際、排出口4aを通して現像剤補給容器1外からエアーが取り込まれるため、排出口4a近傍に位置する現像剤Tを解す(流動化させる)ことができる。具体的には、排出口4a近傍に位置する現像剤Tに対して、エアーを含ませることで嵩密度を低下させ、現像剤Tを適切に流動化させることができる。
更に、この際、エアーが排出口4aを介して現像剤補給容器1内に取り込まれるため、現像剤補給容器1の内圧はその容積が増加しているにも関わらず大気圧(外気圧)近傍を推移することになる。
なお、吸気動作が行われる為に、ポンプ部3aが最も縮んだ状態から最も伸びた状態になることに限らず、ポンプ部3aが最も縮んだ状態から最も伸びる状態途中で停止したとしても、現像剤補給容器1の内圧変化が行われれば吸気動作は行われる。つまり、吸気工程とは、往復動部材係合突起3cが図11に示すカム溝2hに係合している状態のことである。
(排気工程)
次に、排気工程(排出口4aを介した排気動作)について説明する。ポンプ部3aが最も伸びた状態の図10(a)からポンプ部3aが最も縮んだ状態の図10(b)になることで、排気動作が行われる。具体的には、この排気動作に伴い現像剤補給容器1の現像剤を収容し得る部位(ポンプ部3a、円筒部2k、フランジ部4)の容積が減少する。その際、現像剤補給容器1の内部は排出口4aを除き実質密閉されており、現像剤Tが排出されるまでは、排出口4aが現像剤Tで実質的に塞がれた状態となっている。従って、現像剤補給容器1の現像剤Tを収容し得る部位の容積が減少していくことで現像剤補給容器1の内圧が上昇する。
このとき、現像剤補給容器1の内圧は大気圧(外気圧)よりも高くなるため、現像剤Tは現像剤補給容器1内外の圧力差により、排出口4aから押し出される。つまり、現像剤補給容器1から現像剤補給装置201へ現像剤Tが排出される。
現像剤Tとともに現像剤補給容器1内のエアーも排出されていくため、現像剤補給容器1の内圧は低下する。
なお、排気動作が行われる為に、ポンプ部3aが最も伸びた状態から最も縮んだ状態になることに限らず、ポンプ部3aが最も伸びた状態から最も縮む状態途中で停止したとしても、現像剤補給容器1の内圧変化が行われれば排気動作は行われる。つまり、排気工程とは、往復動部材係合突起3cが図11に示すカム溝2gに係合している状態のことである。
(動作停止工程)
次に、ポンプ部3aが往復動作しない動作停止工程について説明する。本実施例では、前述したように磁気センサ800cや現像剤センサ10dの検出結果に基づいて制御装置600が駆動モータ500の回転駆動指示を行う構成となっている。また、光学センサ600a(図16参照)の検出結果から制御装置600は駆動モータ500へ回転駆動停止指示を行う構成としている。この構成では、現像剤補給容器から排出される現像剤Tの量がトナー濃度に直接影響を与えるので、画像形成装置が必要とする現像剤Tの量を現像剤補給容器1から補給する必要がある。このとき、現像剤補給容器から排出される現像剤量を安定させるために、毎回決まった容積可変量を行うことが望ましい。
例えば、排気工程と吸気工程のみで構成されたカム溝2eにすると、排気工程もしくは吸気工程途中でモータ駆動を停止させることになる。その際、駆動モータ500が回転停止後も惰性で円筒部2kが回転し、円筒部2kが停止するまでポンプ部3aも連動して往復動作し続けることとなり、排気工程もしくは吸気工程が行われることとなる。惰性で円筒部2kが回転する距離は、円筒部2kの回転速度に依存する。さらに、円筒部2kの回転速度は駆動モータ500へ与えるトルクに依存する。このことから、現像剤補給容器1内の現像剤量によってモータへのトルクが変化し、円筒部2kの速度も変化する可能性があることから、ポンプ部3aの停止位置を毎回同じにすることが難しい。
そこで、ポンプ部3aを毎回決まった位置で停止させるためには、カム溝2eに、円筒部2kが回転動作中でもポンプ部3aが往復動作しない領域を設ける必要がある。本実施例では、ポンプ部3aを往復動作させないために、図11に示すカム溝2iを設けている。カム溝2iは、円筒部2kの回転方向に溝が掘られており、回転しても往復動部材3bが動かないストレート形状である。つまり、動作停止工程とは、往復動部材係合突起3cがカム溝2iに係合している状態のことである。
また、上記のポンプ部3aが往復動しないとは、排出口4aから現像剤が排出されないこと(円筒部2kの回転時振動等で排出口4aから落ちてしまう現像剤Tは許容する)である。つまり、カム溝2iは排出口4aを通じた排気工程、吸気工程が行われなければ、回転方向に対して回転軸方向に傾斜していても構わない。さらに、カム溝2iが傾斜していることから、ポンプ部3aの傾斜分の往復動作は許容できる。
(被検知部)
次に、図16、図17を用いて被検知部6aについて説明する。図16は実施例1に係るポンプ部3aが動作停止工程状態の現像剤補給容器1と現像剤補給装置201の部分断面図である。図17は実施例1に係るポンプ部3aが吸気工程状態の現像剤補給容器1と現像剤補給装置201の部分断面図である。
図16、図17に示すように、本実施例の被検知部6aはギア部2dと一体となり回転する凹凸形状である。図16に示すように、被検知部6aの凹面は現像剤補給装置201のセンサフラグ600bと当接した状態である。現像剤補給装置201は、検知部としての光学センサ600aとセンサフラグ600bを備える。センサフラグ600bは被検知部6aによって回転軸を中心に揺動し、光学センサ600aの不図示の発光部と受光部との間に位置したり、その間から退避したりする。光学センサ600aは被検知部6aを検知することによって検知信号を出力する。そして、センサフラグ600bは現像剤補給装置201の光学センサ600aに対し離れた位置にいるため、光学センサ600aは露光した状態となる。
次に、図16から現像剤補給装置201の駆動モータ500(不図示)が回転駆動をギア部2dへ伝達し、現像剤補給容器1が回転した状態が図17である。図17に示すように、センサフラグ600bは被検知部6aの傾斜した凸面に当接された状態である。つまり、センサフラグ600bは図16に示した状態から持ち上げられ、光学センサ600aを遮る位置まで上昇するため、光学センサ600aは露光状態から遮蔽状態になる。なお、詳細は後程説明するが、本実施例ではこの光学センサ600aの露光状態から遮蔽状態になったタイミングから回転駆動停止までの時間を状況により変化させて、制御装置600が駆動モータ500に回転駆動を停止するように指示している。そして、磁気センサ800cの検出結果により、制御装置600は駆動モータ500へ再度回転駆動を指示する構成となっている。なお、本実施例は光学センサ600aの露光から遮蔽の切り替えで現像剤補給容器1の回転駆動停止のタイミングとしていたが、遮蔽から露光の切り替えにしても構わない。また、本実施例は被検知部6aの凹面でセンサフラグ600bを光学センサ600aに対し鉛直方向下部に配置することで露光させていた。しかし、被検知部6aの凸面でセンサフラグ600bを光学センサ600aに対し鉛直方向上部に配置することで露光させ、被検知部6aの凹面でセンサフラグ600bを光学センサ600aに遮蔽するように配置する構成でも構わない。
(動作停止工程、吸気工程、排気工程)
次に、ポンプ部3aが動作停止工程、吸気工程、排気工程の順で行う現像剤補給工程について図14~図18、図23について説明する。図14は本実施例に係る現像剤補給工程の流れを説明するフローチャートである。図15(a)は実施例1に係る現像剤補給容器1内の圧力推移を示すグラフ、図15(b)は実施例1に係る現像剤補給容器1の現像剤補給工程間に要する時間に対する排出量平均のグラフである。図16は実施例1に係るポンプ部3aが動作停止工程状態の現像剤補給容器1と現像剤補給装置201の部分断面図である。図17は実施例1に係るポンプ部3aが吸気工程状態の現像剤補給容器1と現像剤補給装置201の部分断面図である。図18は実施例1に係るポンプ部3aが排気工程状態の現像剤補給容器1と現像剤補給装置201の部分断面図である。図23は実施例1に係る各現像剤補給工程の推移を示すカム溝形状の展開図である。
現像剤補給容器1は物流や環境影響などにより排出口4a近傍に現像剤Tが高嵩密度になる場合がある。そのため、上述したようにポンプ部3aは吸気工程において、排出口4aを通して現像剤補給容器1外からエアーが取り込み、排出口4a近傍に位置する高嵩密度の現像剤Tを解している(流動化させる)。そして、次の排気工程で解された現像剤Tを排出口4aから現像剤補給装置201へ排出することができる。
具体的に、図16~図18を用いて説明する。図16は磁気センサ800cの検出結果により制御装置600から駆動モータ500(不図示)へ回転駆動指示が出される。なお、図16はポンプ部3aが動作停止工程の状態である。そして、搬送部材8の傾斜リブ8aにより現像剤Tが排出口4a上部に位置する現像剤貯留部4dや近傍へ搬送される。なお、ポンプ部3aは往復動作を行っていないため、現像剤補給容器1内の内圧は変化せず排出口4aから現像剤Tは排出されない。上述したが、被検知部6aの凹面と現像剤補給装置201のセンサフラグ600bが当接しているため、光学センサ600aは露光しており駆動モータ500からギア部2dへの回転駆動が継続されている。
次に、図17は図16の状態からギア部2dへ回転駆動が継続され、ポンプ部3aが伸張動作を行っている吸気工程の状態である。そして、現像剤補給容器1内はポンプ部3aの伸張動作により減圧状態になるため、排出口4aから現像剤補給容器1内へ外部からエアーが取り込まれる。そのため、現像剤Tが高嵩密度になったとしても、現像剤貯留部4dの現像剤Tはエアーで解される(流動化される)。上述したが、被検知部6aの傾斜した凸面がセンサフラグ600bと当接し持ち上げるため、光学センサ600aをセンサフラグ600bが遮蔽した状態となる。
そして、図18は図17の状態からギア部2dへさらに回転駆動が継続され、ポンプ部3aが収縮動作を行っている排気工程の状態である。ポンプ部3aの収縮動作により現像剤補給容器1内は加圧状態になるため、排出口4aから現像剤補給容器1外へ解された現像剤Tが排出される。なお、被検知部6aの凸面はセンサフラグ600bと当接し、光学センサ600aはセンサフラグ600bに遮蔽された状態であり、図17から光学センサ600aは遮蔽状態を維持している。
なお、図16から図18で説明したように、ポンプ部3aが動作停止工程、吸気工程、排気工程の順に行った現像剤補給工程は、図23に示すように、カム溝2eを往復動部材係合突起3c11から往復動部材係合突起3c12へ推移した軌跡である。
上述したように、ポンプ部3aが動作停止工程、吸気工程、排気工程の順に行った場合、現像剤Tが高嵩密度になった場合や、環境影響などにより粒子間の付着力が高くなったとしても現像剤Tを解し排出することができる。しかしながら、上述した現像剤補給工程間隔が短時間の場合、排出口4a近傍の現像剤Tが過剰に解され(流動化され)、現像剤補給工程間隔が短時間でない場合と比較し現像剤Tの量が多くなる。
具体的には、図15(a)に示すように、駆動モータ500の回転駆動停止と同時に排気工程が終了した後も現像剤補給容器1内の圧力は大気圧になるまで加圧状態を維持し、その加圧している間は現像剤Tが排出口4aから排出し続ける。そして、現像剤補給工程間隔が短い場合、排出口4a近傍の現像剤Tが過剰に解され排出口4aへ現像剤Tが流入するため、現像剤補給容器1内の圧力が大気圧になるまで時間を要する。したがって、図15(b)に示すように、現像剤補給工程間隔が短い場合は長い場合に比較し、排出口4aから排出される現像剤Tの量も多くなる。その場合、現像器201aへ所定量以上の現像剤Tが排出されるため、現像器201a内の現像剤Tの濃度差が発生し、出力する紙へ影響する可能性がある。
(排気工程、動作停止工程、吸気工程)
次に、ポンプ部3aが排気工程、動作停止工程、吸気工程の順で行う現像剤補給工程について図19~図22について説明する。図19(a)は実施例1に係る現像剤補給容器1内の圧力推移を示すグラフ、図19(b)は実施例1に係る現像剤補給容器1の現像剤補給工程間に要する時間に対する排出量平均のグラフである。図20は実施例1に係るポンプ部3aが排気工程状態の現像剤補給容器1と現像剤補給装置201の部分断面図である。図21は実施例1に係るポンプ部3aが動作停止工程状態の現像剤補給容器1と現像剤補給装置201の部分断面図である。図22は実施例1に係るポンプ部3aが吸気工程状態の現像剤補給容器1と現像剤補給装置201の部分断面図である。
ユーザーが写真などの濃度が高い画像を出力するなどした場合、多量の現像剤Tが必要となる。そのため、現像剤補給工程間隔が短くなり、現像剤補給容器1から短時間で現像剤Tを排出することになる。しかしながら、前述したように、動作停止工程、吸気工程、排気工程の順に現像剤補給工程を短時間で行った場合、排出する現像剤T量が多量になる可能性がある。そのため、現像剤補給工程間隔が短くなっても現像剤Tの排出量を安定する排気工程、動作停止工程、吸気工程の順で行う現像剤補給工程が必要となる。
具体的に図20~図22で説明する。図20は磁気センサ800cの検出結果から制御装置600から駆動モータ500(不図示)へ回転駆動指示が出される。なお、ポンプ部3aは収縮動作を行っている排気工程の状態である。ポンプ部3aの収縮動作により現像剤補給容器1内は加圧状態になるため、排出口4aから現像剤補給容器1外へ現像剤Tが排出される。なお、被検知部6aの凸面はセンサフラグ600bと当接し、光学センサ600aはセンサフラグ600bに遮蔽された状態となっている。
次に、図21は図20の状態からギア部2dへ回転駆動が継続され、ポンプ部3aが往復動作を行っていない動作停止工程の状態である。なお、搬送部材8の傾斜リブ8aは現像剤Tを排出口4aへ継続して搬送している状態である。そして、現像剤補給容器1内は前述した排気工程の影響を受け加圧状態であるため、排出口4aから現像剤Tは排出され続けている。この時、被検知部6aの凹面と現像剤補給装置201のセンサフラグ600bが当接しているため、光学センサ600aは露光しており駆動モータ500からギア部2dへの回転駆動が継続されている。
そして、図22は図21の状態からギア部2dへ回転駆動が継続され、ポンプ部3aが伸張動作を行っている吸気工程の状態である。現像剤補給容器1内はポンプ部3aの伸張動作により現像剤補給容器1内の容積が増大するため、動作停止工程終了時に残存した加圧状態が大気圧に戻る。そして、加圧状態を大気圧にするためにポンプ部3aはその分の伸張動作による容積可変を行っているため、上述した動作停止工程、吸気工程、排気工程の順で行う現像剤補給工程に対し、現像剤補給容器1内の減圧は高くならない。そのため、現像剤貯留部4d近傍においてエアーで解される現像剤Tは少なく、過剰に現像剤Tは解されない。つまり、現像剤補給工程間隔が短くなっても、排出される現像剤Tが多量になることを抑制することができる。なお、図22は被検知部6aの傾斜した凸面に現像剤補給装置201のセンサフラグ600bが当接し持ち上げるため、光学センサ600aは露光状態から遮蔽状態となる。
なお、図20から図22で説明したように、ポンプ部3aが排気工程、動作停止工程、吸気工程の順に行った現像剤補給工程は、図23に示すように、カム溝2eを往復動部材係合突起3c21から往復動部材係合突起3c22へ推移した軌跡である。
上述したように、排気工程、動作停止工程、吸気工程の順でポンプ部3aが動作した場合、現像剤補給工程間隔にかかわらず安定した現像剤Tの排出ができる。しかしながら、動作停止工程、吸気工程、排気工程の順で行った現像剤補給工程に対し、現像剤補給容器1内の減圧は高くないため、現像剤貯留部4d近傍の現像剤Tをエアーで解すことが困難となる。そのため、現像剤Tが高嵩密度になった場合や、環境影響などにより粒子間の付着力が高くなった場合に現像剤Tを解せず排出口4aから排出することができなくなる可能性がある。
(現像剤補給工程制御方法)
上述したように、現像剤補給容器1内の現像剤Tの状態や、ユーザーの使用方法などにより現像剤補給工程を使い分ける必要がある。そこで、本発明の最も特徴的な部分として、駆動モータ500の回転駆動停止を被検知部6aの凹凸形状により光学センサ600aが露光から遮蔽状態へ切り替わるタイミングから停止するまでの時間を変化させることである。
具体的には、ユーザーが写真などの濃度が高い画像を出力し現像剤Tが多量に必要な場合について図14を用いて説明する。図14は本実施例に係る現像剤補給工程の流れを説明するフローチャートである。
現像器201a内の磁気センサ800cが所定濃度からA以上乖離し(S200)、そして、現像器201a内の磁気センサ800cが所定濃度からB以上乖離しない状態となる(S201)。なお、所定濃度からの乖離量であるAとBの関係はA<Bであり、所定濃度からの乖離量Bの方が現像器201a内の現像剤Tの濃度は低い状態である。次に、制御装置600から駆動モータ500に回転駆動を指示する(S202)。そして、図21から図22に示すように、被検知部6aの凹面から凸面にセンサフラグ600bが移動することで光学センサ600aが露光から遮蔽状態となる(S203)。そして、図22に示すように検知した直後に駆動モータ500の回転を停止する(S204)。
上述したように、検知した直後に駆動モータ500の回転駆動を停止することで図22の状態で現像剤補給容器1を停止することができる。そして、次の現像剤補給工程は図22から図20、図21を経て、図22で再度停止することになる。なお、上述したように、図22から図20、図21を経た現像剤補給工程は、図23に示すカム溝2eに係合した往復動部材係合突起3c21から往復動部材係合突起3c22の推移である。
つまり、排気工程、動作停止工程、吸気工程の現像剤補給工程のサイクルを繰り返し行うことができる。そのため、ユーザーが写真などの濃度が高い画像を出力し現像剤Tが多量に必要な場合でも、安定した現像剤Tの排出ができることで現像器201a内の現像剤Tの濃度を安定させることができる。
そして、物流や環境影響などにより排出口4a近傍に現像剤Tが高嵩密度になる場合について説明する。現像器201a内の磁気センサ800cが所定濃度からA以上乖離し(S200)、さらに現像器201a内の磁気センサ800cが所定濃度からB以上乖離する(S201)。現像剤Tが高嵩密度になり、排出口4aから現像剤Tが排出されない場合、現像器201a内の現像剤Tが消費されるため濃度乖離量が徐々に拡大する。そのため、現像器201a内は所定濃度からの乖離量がAを経てBとなる。次に、制御装置600から駆動モータ500に回転駆動を指示する(S202)。そして、図16から図17に示すように、被検知部6aの凹面から凸面にセンサフラグ600bが移動することで光学センサ600aが露光から遮蔽状態となる(S203)。そして、図17から図18に示す状態になるように、検知してから125msec後に駆動モータ500の回転を停止する(S205)。なお、本実施例の現像剤補給容器1は60rpmの回転数で回転しており、図17から図18まで約45°程度回転するため、125msecに設定した。しかしながら、上記設定に限らず、現像剤補給容器1の回転数やカム形状により検知してから停止するまでの時間は変更してもよい。
上述したように、検知してから125msec後に駆動モータ500の回転駆動を停止することで図18の状態で現像剤補給容器1を停止することができる。そして、次の現像剤補給工程は図18から図16、図17を経て、図18で再度停止することになる。なお、上述したように、図18から図16、図17を経た現像剤補給工程は、図23に示すカム溝2eに係合した往復動部材係合突起3c11から往復動部材係合突起3c12の推移である。つまり、動作停止工程、吸気工程、排気工程の現像剤補給工程のサイクルを繰り返し行うことができる。
なお、図14に示す現像器201a内の磁気センサ800cが所定濃度からB以上乖離しない状態からB以上乖離する状態になった場合について説明する。前述したように、所定濃度からB以上乖離しない状態では図23に示すカム溝2eに係合した往復動部材係合突起3c21から往復動部材係合突起3c22の推移を繰り返している。次に、所定濃度からB以上乖離した状態になると、光学センサ600aが被検知部6aを検知した125msec後に駆動モータ500の回転を停止する。つまり、往復動部材係合突起3c21から往復動部材係合突起3c22へ推移し、さらに125msec後の往復動部材係合突起3c12まで進み、駆動モータ500の回転駆動を停止することになる。そして、所定濃度からB以上乖離し続けた場合、往復動部材係合突起3c11から往復動部材係合突起3c12までの推移を繰り返すことができる。そのため、ポンプ部3aは動作停止工程、吸気工程、排気工程の現像剤補給工程のサイクルを繰り返し行うことができる。
次に、図14に示す現像器201a内の磁気センサ800cが所定濃度からB以上乖離した状態からB以上乖離しない状態になった場合について説明する。前述したように、所定濃度からB以上乖離した状態の場合、図23に示すカム溝2eに係合した往復動部材係合突起3c11から往復動部材係合突起3c12の推移を繰り返す。次に、所定濃度からB以上乖離しない状態になると、光学センサ600aが被検知部6aを検知した直後に駆動モータ500の回転を停止するため、往復動部材係合突起3c11から往復動部材係合突起3c22へ推移した直後に駆動モータ500の回転駆動が停止される。そして、所定濃度からB以上乖離しない状態が続いた場合、往復動部材係合突起3c21から往復動部材係合突起3c22までの推移を繰り返すことができる。そのため、ポンプ部3aは排気工程、動作停止工程、吸気工程の現像剤補給工程のサイクルを繰り返し行うことができる。
以上から、従来は被検知部6aにより光学センサ600aが露光状態から遮蔽状態になったタイミングから所定の時間後に駆動モータ500を停止するように制御装置600を制御している。しかしながら、物流や環境影響などにより排出口4a近傍に現像剤Tが高嵩密度になったときに解すことが可能な現像剤補給工程に設定した場合、現像剤補給工程の間隔が短くなった時に現像剤補給容器1から排出される現像剤Tが多量になる。そして、その反対として、ユーザーが写真などの濃度が高い画像を出力し現像剤Tが多量に必要となり現像剤補給工程間隔が短くなった時に対応可能な現像剤補給工程に設定した場合、物流や環境影響などにより排出口4a近傍に現像剤Tが高嵩密度になったときに解すことが困難となる可能性がある。
本実施例では、上記を鑑み、現像剤補給容器1の被検知部6aにより光学センサ600aが露光から遮蔽状態になったタイミングから停止までの時間を変更することで、物流や環境影響などにより排出口4a近傍に現像剤Tが高嵩密度になったときに解すことでき、また、ユーザーが写真などの濃度が高い画像を出力し現像剤Tが多量に必要となり現像剤補給工程間隔が短くなった場合でも安定した現像剤Tを排出することができる。
次に、実施例2の構成について図24を用いて説明する。図24(a)は実施例2に係る搬送部材8と抑止部9の全体斜視図、図24(b)は搬送部材8と抑止部9の側面図である。なお、本実施例では、上述した実施例1と同様な構成に関しては同符号を付すことで詳細な説明を省略する。また、本実施例は現像剤補給容器1の搬送部材8と一体となり回転する抑止部9を設けた点が実施例1と大きく異なる。その他の構成は実施例1とほぼ同様である。
(抑止部9)
抑止部9について具体的に説明する。図24(a)に示すように、抑止部9は、搬送部材8のX方向下流側(図7参照)に一体的に設けられている。そのため、円筒部2bと一体で回転する搬送部材8の回転動作に伴い、抑止部9も一体に回転する構成となっている。なお、本実施例では、ポンプ部3aは現像剤収容部2が1回転する間に2回伸縮する動作に合わせ、抑止部9を2対設けている。
ここで、図24に示すように、抑止部9は回転方向に対して配置された2枚のラジアル抑止壁9c、9dと、該ラジアル抑止壁9cと9dを繋ぐように設けられたスラスト抑止壁9a、9bとによって構成されている。また、ポンプ部3a側にあるスラスト抑止壁9aの回転軸中心付近に、現像剤収容部2内と連通可能な収容部開口9eが形成されている。また、2枚のスラスト抑止壁9a、9bと、2枚のラジアル抑止壁9c、9dの、回転軸中心から離れた外端部に囲まれた箇所に、現像剤貯留部4dと連通可能な貯留部開口9fが形成されている。つまり、貯留部開口9fの回転軸スラスト方向の位置は、現像剤貯留部4dに対して、少なくとも一部が重なり合う位置に配置されている。そして、2枚のスラスト抑止壁9a、9bと2枚のラジアル抑止壁9c、9dに囲まれた、抑止部9の内部には、収容部開口9eと貯留部開口9fが連通可能な連通路9gが形成されている。
(動作停止工程、吸気工程、排気工程)
次に、抑止部9を設けた際の、ポンプ部3aが動作停止工程、吸気工程、排気工程の順で行う現像剤補給工程について図25~図28について説明する。図25(a)は実施例2に係る現像剤補給容器1内の圧力推移を示すグラフ、図25(b)は実施例2に係る現像剤補給容器1の現像剤補給工程間に要する時間に対する排出量平均のグラフである。図26は実施例2に係るポンプ部3aが動作停止工程状態の現像剤補給容器1と現像剤補給装置201の部分断面図である。図27は実施例2に係るポンプ部3aが吸気工程状態の現像剤補給容器1と現像剤補給装置201の部分断面図である。図28は実施例2に係るポンプ部3aが排気工程状態の現像剤補給容器1と現像剤補給装置201の部分断面図である。
具体的には、図26に示すように抑止部9は、搬送部材8の回転に伴って回転し、現像剤貯留部4dの上部に対して抑止部9の貯留部開口9fが覆っていない状態となる。また、ポンプ部3aは往復動作を行わない動作停止工程の状態のため、現像剤補給容器1内の圧力の変化はない。その結果、現像剤貯留部4dに対して抑止部9が作用することはなく、搬送部材8の傾斜リブ8aによって現像剤貯留部4d上部近傍へと搬送された現像剤Tが、現像剤貯留部4d内に流れ込み、貯留される状態(現像剤流入非抑止状態)となる。なお、被検知部6aの凹面と現像剤補給装置201のセンサフラグ600bが当接しているため、光学センサ600aは露光しており駆動モータ500からギア部2dへの回転駆動が継続されている。
次に、図26の状態から搬送部材8が回転することで、図27の状態となる。図27において、ポンプ部3aは伸縮動作を行っている吸気工程の状態である。このとき、抑止部9は搬送部材8の回転に伴って回転し、現像剤貯留部4d上部に対して、抑止部9の貯留部開口9fが覆っていない状態から一部を覆う状態となる。また、ポンプ部3aは吸気工程のため、ポンプ部3aが伸張することで、現像剤補給容器1内の圧力が減圧状態となり、現像剤補給容器1外のエアーが、現像剤補給容器1内外の圧力差により、排出口4aを通って現像剤補給容器1内へと移動する。その結果、前述の動作停止工程で現像剤貯留部4dや近傍に貯留された現像剤Tは、排出口4aより取り込まれたエアーを含むことで、嵩密度が低下し、流動化した状態となる。
また、現像剤貯留部4d上部の状態は、抑止部9の回転に伴い、抑止部9の貯留部開口9fが現像剤貯留部4d上部を覆うことによって、抑止部9の回転方向下流側のラジアル抑止壁9cが、現像剤貯留部4d上部の現像剤Tを押し退ける状態となる。さらに、現像剤貯留部4d上部に対して、抑止部9の貯留部開口9fが一部覆った状態となる。その結果、抑止部9のスラスト抑止壁9a、9b、ラジアル抑止壁9c、9dにより、現像剤貯留部4d上部近傍の現像剤Tの現像剤貯留部4d内への流入が抑止された状態(現像剤流入抑止状態)となる。そのため、排出口4aより取り込まれたエアーにより解す現像剤Tの量が減るため、実施例1に対しより解し効果があるといえる。
なお、被検知部6aの傾斜した凸面がセンサフラグ600bと当接し持ち上げるため、光学センサ600aをセンサフラグ600bが遮蔽した状態となる。
そして、図27の状態からさらに搬送部材8が回転することで、図28の状態となる。図28において、ポンプ部3aは収縮動作を行っている排気工程の状態である。このとき、抑止部9は搬送部材8の回転に伴って回転し、現像剤貯留部4d上部に対して少なくとも抑止部9の貯留部開口9fの一部が常に覆った状態となっている。また、ポンプ部3aは排気工程のため、ポンプ部3aが収縮することで、現像剤補給容器1内の内圧は大気圧よりも高くなるため、現像剤補給容器1内のエアーが、現像剤補給容器1内外の圧力差により、排出口4aを通って現像剤補給容器1外へと移動する。その結果、前述の吸気工程で現像剤貯留部4d内の流動化された現像剤Tが、排出口4aを通して現像剤補給装置201へ排出される。
また、この排気工程においても、現像剤貯留部4d上部の状態は、前述の吸気工程に続き、抑止部9の回転に伴い、抑止部9の回転方向下流側のラジアル抑止壁9cが、現像剤貯留部4d上部の現像剤を押し退けている状態となる。さらに、現像剤貯留部4d上部に対して、抑止部9の貯留部開口9fの一部が常に覆った状態となる。その結果、排気工程時においては常に、抑止部9のスラスト抑止壁9a、9b、ラジアル抑止壁9c、9dにより、現像剤貯留部4d上部近傍の現像剤Tの現像剤貯留部4d内への流入が抑止された状態(現像剤流入抑止状態)となる。なお、被検知部6aの凸面はセンサフラグ600bと当接し、光学センサ600aはセンサフラグ600bに遮蔽された状態となっている。
ここで、排気工程時の現像剤貯留部4d内の現像剤Tに対して作用する現像剤補給容器1内のエアーの流れについて具体的に記述する。本構成における、排気工程時の現像剤貯留部4dに対してのエアーの流れは以下に記す2通りが挙げられる。1つは、現像剤補給容器1内から、抑止部9の回転軸中心付近に設けられた収容部開口9e、抑止部9内部の連通路9g、現像剤貯留部4dと連通する抑止部9の貯留部開口9f、の順に移動して、現像剤貯留部4d内の現像剤Tに作用するエアーの流れである。もう1つは、現像剤貯留部4d上部と、現像剤貯留部4d上部を覆った抑止部9との隙間を通過して、現像剤貯留部4d内の現像剤Tに作用するエアーの流れである。しかし、以下の理由から、排気工程時の現像剤貯留部4dに対してのエアーの流れは、前者のエアーの流れが主流となる。
排気工程時に、現像剤貯留部4d上部を覆った抑止部9の貯留部開口9f外周近傍の現像剤Tは、抑止部9のスラスト抑止壁9a、9b、ラジアル抑止壁9c、9dにより、現像剤貯留部4d内への流入を抑止されている。よって、抑止部9の貯留部開口9f外周近傍においては、現像剤Tが滞留しているため、現像剤貯留部4dへのエアーの流れに対して、滞留した現像剤Tは抵抗となる。それに対して、抑止部9の回転軸付近に設けられた収容部開口9e近傍は、排気工程時において、貯留部開口9fと比較し、鉛直上方に位置しているため、貯留部開口9fよりも現像剤Tの滞留は少なく、エアーの流れに対しての抵抗は小さい。結果、排気工程時の主となるエアーの流れは、エアーの流れに対して現像剤Tによる抵抗が小さい、前者の抑止部9内部の連通路9gを通過するエアーの流れが主流となるのである。
したがって、上述した現像剤補給工程においては、現像剤Tが高嵩密度になった場合や、環境影響などにより粒子間の付着力が高くなったとしても現像剤Tを解し排出することができる。さらに、実施例1と比較し、現像剤貯留部4d近傍の現像剤Tが抑止部9により一部押し退けている状態のため、解す現像剤T量が減ることから、より解しやすい構成であるといえる。そして、現像剤補給工程間隔が短時間の場合、排出口4a近傍の現像剤Tが過剰に解されるが(流動化される)、抑止部9が現像剤貯留部4dへの流入を抑止しているため、流動化した現像剤Tが現像剤貯留部4dへ流入することを抑制することができる。そして、排気工程直後の現像剤補給容器1内の圧力は抑止部9の収容部開口9e、連通路9g、貯留部開口9fの順にエアーが移動する。そのため、実施例1の現像剤補給容器1内の圧力を示す図15(a)と実施例2の現像剤補給容器1内の圧力を示す図25(a)を比較すると、実施例2の方が現像剤補給容器1内の圧力は大気圧に戻りやすい。つまり、図25(b)に示すように、現像剤補給工程間隔が短時間になるにつれ、排出口4aから排出される現像剤Tが多量になるのを実施例1と比較し抑制することができる。
(排気工程、動作停止工程、吸気工程)
次に、抑止部9を設けた際の、ポンプ部3aが排気工程、動作停止工程、吸気工程の順で行う現像剤補給工程について図29~図32について説明する。図29(a)は実施例2に係る現像剤補給容器1内の圧力推移を示すグラフ、図29(b)は実施例2に係る現像剤補給容器1の現像剤補給工程間に要する時間に対する排出量平均のグラフである。図30は実施例2に係るポンプ部3aが排気工程状態の現像剤補給容器1と現像剤補給装置201の部分断面図である。図31は実施例2に係るポンプ部3aが動作停止工程状態の現像剤補給容器1と現像剤補給装置201の部分断面図である。図32は実施例2に係るポンプ部3aが吸気工程状態の現像剤補給容器1と現像剤補給装置201の部分断面図である。
具体的には、図30に示すように、抑止部9は搬送部材8の回転に伴って回転し、現像剤貯留部4d上部に対して少なくとも抑止部9の貯留部開口9fの一部が常に覆った状態となっている。また、ポンプ部3aは収縮動作を行っている排気工程の状態のため、現像剤補給容器1内の内圧は大気圧よりも高くなり、現像剤補給容器1内のエアーが、現像剤補給容器1内外の圧力差により、排出口4aを通って現像剤補給容器1外へと移動する。そして、現像剤貯留部4d内および近傍の現像剤Tが、排出口4aを通して現像剤補給装置201へ排出される。なお、抑止部9の回転に伴い、抑止部9の回転方向下流側のラジアル抑止壁9cが、現像剤貯留部4d上部のトナーを押し退けている状態となる。さらに、現像剤貯留部4d上部に対して、抑止部9の貯留部開口9fの一部が常に覆った状態となる。その結果、排気工程時においては常に、抑止部9のスラスト抑止壁9a、9b、ラジアル抑止壁9c、9dにより、現像剤貯留部4d上部近傍の現像剤Tの現像剤貯留部4d内への流入が抑止された状態(現像剤流入抑止状態)となる。そのため、現像剤貯留部4d近傍の現像剤Tは抑止部9により現像剤貯留部4dおよび排出口4aへの流入は抑制されるため、排出口4aから排出される現像剤Tは現像剤貯留部4dが主となる。
なお、被検知部6aの凸面はセンサフラグ600bと当接し、光学センサ600aはセンサフラグ600bに遮蔽された状態となっている。
次に、図30の状態から搬送部材8が回転することで、図31の状態となる。図31において、ポンプ部3aは往復動を行わない動作停止工程の状態である。そして、抑止部9は搬送部材8の回転に伴って回転し、現像剤貯留部4dの上部に対して抑止部9の貯留部開口9fが覆っていない状態となる。そのため、現像剤貯留部4dに対して抑止部9が作用することはなく、搬送部材8の傾斜リブ8aによって現像剤貯留部4d上部近傍へと搬送された現像剤Tが、現像剤貯留部4d内に流れ込み、貯留される状態(現像剤流入非抑止状態)となる。そして、現像剤補給容器1内は前述した排気工程の影響を受け加圧状態であるため、排出口4aから現像剤Tは排出され続けている。なお、被検知部6aの凹面と現像剤補給装置201のセンサフラグ600bが当接しているため、光学センサ600aは露光しており駆動モータ500からギア部2dへの回転駆動が継続されている。
次に、図31の状態から搬送部材8が回転することで、図32の状態となる。図32において、ポンプ部3aは伸張動作を行う吸気工程の状態である。このとき、抑止部9は搬送部材8の回転に伴って回転し、現像剤貯留部4d上部に対して、抑止部9の貯留部開口9fが覆っていない状態から一部を覆う状態となる。また、ポンプ部3aは吸気工程のため、ポンプ部3aの伸張動作により現像剤補給容器1内の容積が増大するため、動作停止工程終了時に残存した加圧状態が大気圧に戻る。そして、加圧状態を大気圧にするためにポンプ部3aはその分の伸張動作による容積可変を行っているため、上述した動作停止工程、吸気工程、排気工程の順で行う現像剤補給工程に対し、現像剤補給容器1内の減圧は高くならない。したがって、現像剤貯留部4d近傍においてエアーで解される現像剤Tは少なく、過剰に現像剤Tは解されない。
なお、図32は被検知部6aの傾斜した凸面に現像剤補給装置201のセンサフラグ600bが当接し持ち上げるため、光学センサ600aは露光状態から遮蔽状態となる。
したがって、現像剤補給工程間隔が短時間の場合、ポンプ部3aが排気工程の時に抑止部9が現像剤貯留部4dを常に一部覆っているため、現像剤貯留部4dへの現像剤Tの流入を抑制することができる。また、排気工程間において、現像剤補給容器1内の圧力は抑止部9の収容部開口9e、連通路9g、貯留部開口9fの順にエアーが移動することが主となる。そのため、実施例1の現像剤補給容器1内の圧力を示す図19(a)と実施例2の現像剤補給容器1内の圧力を示す図29(a)を比較すると、実施例2の方が現像剤補給容器1内の圧力は大気圧に戻りやすい。つまり、図29(b)に示すように、現像剤補給工程間隔が短時間になるにつれ、排出口4aから排出される現像剤Tが多量になるのを実施例1と比較し抑制することができる。
なお、現像剤Tが高嵩密度になった場合や、環境影響などにより粒子間の付着力が高くなった際は、実施例1と比較し、現像剤貯留部4d近傍の現像剤T量が少ない。そのため、実施例1と比較し、吸気工程で高嵩密度になった現像剤Tをより解しやすい構成であるといえる。
(現像剤補給工程制御方法)
上述したように、実施例1と同様に、実施例2も現像剤補給容器1内の現像剤Tの状態や、ユーザーの使用方法などにより現像剤補給工程を使い分けている。具体的には実施例1と同様に、図14に示すように、駆動モータ500の回転駆動停止を被検知部6aの凹凸形状により光学センサ600aが露光から遮蔽状態へ切り替わるタイミングから停止するまでの時間を変化させている。
つまり、ユーザーが写真などの濃度が高い画像を出力し現像剤Tが多量に必要な場合、現像器201a内の磁気センサ800cが所定濃度A以上乖離し(S200)、現像器201a内の磁気センサ800cが所定濃度B以上乖離しない状態となる(S201)。次に、制御装置600から駆動モータ500に回転駆動を指示する(S202)。そして、図31から図32に示すように、被検知部6aの凹面から凸面にセンサフラグ600bが移動することで光学センサ600aが露光から遮蔽状態となる(S203)。そして、図32に示すように検知した直後に駆動モータ500の回転を停止する(S204)。
上述したように、検知した直後に駆動モータ500の回転駆動を停止することで図32の状態で現像剤補給容器1を停止することができる。そして、次の現像剤補給工程は図32から図30、図31を経て、図32で再度停止することになる。上述したように、図32から図30、図31を経た現像剤補給工程は、図23に示すカム溝2eに係合した往復動部材係合突起3c21から往復動部材係合突起3c22の推移である。
つまり、排気工程、動作停止工程、吸気工程の現像剤補給工程のサイクルを繰り返し行うことができる。そのため、ユーザーが写真などの濃度が高い画像を出力し現像剤Tが多量に必要な場合でも、安定した現像剤Tの排出ができることで現像器201a内の現像剤Tの濃度を安定させることができる。
そして、物流や環境影響などにより排出口4a近傍に現像剤Tが高嵩密度になる場合、現像器201a内の磁気センサ800cが所定濃度A以上乖離し(S200)、さらに現像器201a内の磁気センサ800cが所定濃度B以上乖離する(S201)。次に、制御装置600から駆動モータ500に回転駆動を指示する(S202)。そして、図26から図27に示すように、被検知部6aの凹面から凸面にセンサフラグ600bが移動することで光学センサ600aが露光から遮蔽状態となる(S203)。そして、図27から図28に示す状態になるように、検知してから125msec後に駆動モータ500の回転を停止する(S205)。なお、実施例2は実施例1と同様に現像剤補給容器は60rpmの回転数で回転しており、図27から図28まで約45°程度回転するため、125msecに設定した。しかしながら、上記設定に限らず、現像剤補給容器1の回転数やカム形状により検知してから停止するまでの時間は変更してもよい。
上述したように、検知してから125msec後に駆動モータ500の回転駆動を停止することで図28の状態で現像剤補給容器1を停止することができる。そして、次の現像剤補給工程は図28から図26、図27を経て、図28で再度停止することになる。なお、上述したように、図28から図26、図27を経た現像剤補給工程は図23に示すカム溝2eに係合した往復動部材係合突起3c11から往復動部材係合突起3c12の推移である。
つまり、動作停止工程、吸気工程、排気工程の現像剤補給工程のサイクルを繰り返し行うことができる。
上述したように、実施例2においても、実施例1と同様に、現像剤補給容器1内の現像剤Tの状態や、ユーザーの使用方法などにより現像剤補給工程を使い分けることができる。
以上のように、実施例2は実施例1と比較し、ユーザーが写真などの濃度が高い画像を出力し現像剤Tが多量に必要な場合でもより安定した現像剤T量を排出すること、また、現像剤補給容器1内の現像剤Tが高嵩密度になった場合でもより解すこと、を両立することが出来る。