〔第1実施形態〕
まず、画像形成装置の基本構成について説明し、続いて、この画像形成装置に搭載される現像剤補給装置と現像剤補給容器の構成について順に説明する。
なお、以下において、特段の記載がない限り、発明の思想の範囲内において現像剤補給容器の種々の構成を同様な機能を奏する公知の他の構成に置き換えることが可能である。
<画像形成装置>
現像剤補給容器(所謂、トナーカートリッジ)が着脱可能(取り外し可能)に装着される現像剤補給装置が搭載された画像形成装置の一例として、電子写真方式を採用した複写機(電子写真画像形成装置)の構成について図1を用いて説明する。
図1において、100は複写機本体(以下、画像形成装置本体もしくは装置本体という)である。また、101は原稿であり、原稿台ガラス102の上に置かれる。そして、原稿の画像情報に応じた光像を光学部103の複数のミラーMとレンズLnにより、電子写真感光体104(以下、感光体)上に結像させることにより静電潜像を形成する。この静電潜像は乾式の現像器(1成分現像器)201aにより現像剤(乾式粉体)としてのトナー(1成分磁性トナー)を用いて可視化される。
なお、本実施形態では現像剤補給容器1から補給すべき現像剤として1成分磁性トナーを用いた例について説明するが、このような例だけではなく、後述するような構成としても構わない。
具体的には、1成分非磁性トナーを用いて現像を行う1成分現像器を用いる場合、現像剤として1成分非磁性トナーを補給することになる。また、磁性キャリアと非磁性トナーを混合した2成分現像剤を用いて現像を行う2成分現像器を用いる場合、現像剤として非磁性トナーを補給することなる。なお、この場合、現像剤として非磁性トナーとともに磁性キャリアも併せて補給する構成としても構わない。
105〜108はシートS(記録媒体)を収容するカセットである。これらカセット105〜108に積載されたシートSのうち、複写機の液晶操作部から操作者(ユーザ)が入力した情報もしくは原稿101のシートサイズを基に最適なカセットが選択される。
そして、給送分離装置105A〜108Aにより搬送された1枚のシートSを、搬送部109を経由してレジストローラ110まで搬送し、感光体104の回転と、光学部103のスキャンのタイミングを同期させて搬送する。
111,112は転写帯電器、分離帯電器である。ここで、転写帯電器111によって、感光体104上に形成された現像剤による像をシートSに転写する。そして、分離帯電器112によって、現像剤像(トナー像)の転写されたシートSを感光体104から分離する。
この後、搬送部113により搬送されたシートSは、定着部114において熱と圧によりシート上の現像剤像を定着させた後、片面コピーの場合には、排出反転部115を通過し、排出ローラ116により排出トレイ117へ排出される。
また、両面コピーの場合には、シートSは排出反転部115を通り、一度排出ローラ116により一部が装置外へ排出される。そして、この後、シートSの終端がフラッパ118を通過し、排出ローラ116にまだ挟持されているタイミングでフラッパ118を制御すると共に排出ローラ116を逆回転させることにより、再度装置内へ搬送される。さらに、この後、再給送搬送部119,120を経由してレジストローラ110まで搬送された後、片面コピーの場合と同様の経路をたどって排出トレイ117へ排出される。
上記構成の装置本体100において、感光体104の周りには現像手段としての現像器201a、クリーニング手段としてのクリーナ部202、帯電手段としての一次帯電器203等の画像形成プロセス機器が設置されている。なお、現像器201aは原稿101の画像情報に基づき光学部103により感光体104に形成された静電潜像に現像剤を付着させることにより現像するものである。また、一次帯電器203は、感光体104上に所望の静電像を形成するため感光体表面を一様に帯電するためのものである。また、クリーナ部202は感光体104に残留している現像剤を除去するためのものである。
<現像剤補給装置>
次に、現像剤補給システムの構成要素である現像剤補給装置201について、図1乃至図4を用いて説明する。ここで、図2(a)は現像剤補給装置201の部分断面図、図2(b)は現像剤補給容器1を装着する装着部10の斜視図、図2(c)は装着部10の断面図を示している。また、図3は、制御系並びに、現像剤補給容器1と現像剤補給装置201を部分的に拡大した断面図を示している。図4は制御系による現像剤補給の流れを説明するフローチャートである。
現像剤補給装置201は、図1に示すように、現像剤補給容器1が取り外し可能(着脱可能)に装着される装着部(装着スペース)10と、現像剤補給容器1から排出された現像剤を一時的に貯留するホッパ10aと、現像器201aと、を有している。現像剤補給容器1は、図2(c)に示すように、装着部10に対して矢印M方向に装着される構成となっている。つまり、現像剤補給容器1の長手方向(回転軸線方向)が略矢印M方向と一致するように装着部10に装着される。なお、この矢印M方向は、後述する図7(b)の矢印X方向と実質平行である。また、現像剤補給容器1の装着部10からの取り出し方向はこのM方向とは反対の方向となる。
現像器201aは、図1及び図2(a)に示すように、現像ローラ201fと、撹拌部材201c、送り部材201d,201eを有している。そして、現像剤補給容器1から補給された現像剤は撹拌部材201cにより撹拌され、送り部材201d,201eにより現像ローラ201fに送られて、現像ローラ201fにより感光体104に供給される。
なお、現像ローラ201fには、ローラ上の現像剤コート量を規制する現像ブレード201g、現像器201aとの間の現像剤の漏れを防止するために現像ローラ201fに接触配置された漏れ防止シート201hが設けられている。
また、装着部10には、図2(b)に示すように、現像剤補給容器1が装着された際に現像剤補給容器1のフランジ部4(図6参照)と当接することでフランジ部4の回転方向への移動を規制するための回転方向規制部(保持機構)11が設けられている。
また、装着部10は、現像剤補給容器1が装着された際に、後述する現像剤補給容器1の排出口(排出孔)4a(図6参照)と連通し、現像剤補給容器1から排出された現像剤を受入れるための現像剤受入口(現像剤受入れ孔)13を有している。そして、現像剤補給容器1の排出口4aから現像剤が現像剤受入口13を通して現像器201aへと供給される。なお、本実施形態において、現像剤受入口13の直径φは、装着部10内での現像剤による汚れを可及的に防止する目的より、微細口(ピンホール)として約2mmに設定されている。なお、現像剤受入口の直径は排出口4aから現像剤が排出できる直径であればよい。
また、ホッパ10aは、図3に示すように、現像器201aへ現像剤を搬送するための搬送スクリュー10bと、現像器201aと連通した開口10cと、ホッパ10a内に収容されている現像剤の量を検出する現像剤センサ10dを有している。
更に、装着部10は、図2(b)、(c)に示すように、駆動機構(駆動部)として機能する駆動ギア300を有している。この駆動ギア300は、駆動モータ500から駆動ギア列を介して回転駆動力が伝達され、装着部10にセットされた状態にある現像剤補給容器1に対し回転駆動力を付与する機能を有している。
また、駆動モータ500は、図3に示すように、制御装置(CPU)600によりその動作を制御される構成となっている。制御装置600は、図3に示すように、現像剤センサ10dから入力された現像剤残量情報に基づき、駆動モータ500の動作を制御する構成となっている。
なお、本実施形態において、駆動ギア300は、駆動モータ500の制御を簡易化させるため、一方向にのみ回転するように設定されている。つまり、制御装置600は、駆動モータ500について、そのオン(作動)/オフ(非作動)のみを制御する構成となっている。従って、駆動モータ500(駆動ギア300)を正方向と逆方向とに周期的に反転させることで得られる反転駆動力を現像剤補給容器1に付与する構成に比して、現像剤補給装置201の駆動機構の簡易化を図ることができる。
<現像剤補給容器の装着/取り出し方法>
次に、現像剤補給容器1の装着/取り出し方法について説明する。
まず、操作者が、交換カバーを開き、現像剤補給容器1を現像剤補給装置201の装着部10へ挿入、装着させる。この装着動作に伴い、現像剤補給容器1のフランジ部4が現像剤補給装置201に保持、固定される。
その後、操作者が交換カバーを閉じることで、装着工程が終了する。その後、制御装置600が駆動モータ500を制御することにより、駆動ギア300を適宜のタイミングで回転させる。
一方、現像剤補給容器1内の現像剤が空となってしまった場合には、操作者が、交換カバーを開き、装着部10から現像剤補給容器1を取り出す。そして、予め用意してある新しい現像剤補給容器1を装着部10へと挿入、装着し、交換カバーを閉じることにより、現像剤補給容器1の取り出し〜再装着に至る交換作業が終了する。
<現像剤補給装置による現像剤補給制御>
次に、現像剤補給装置201による現像剤補給制御について、図4のフローチャートを基に説明する。この現像剤補給制御は、制御装置600により各種機器を制御することにより実行される。
本実施形態では、現像剤センサ10dの出力に応じて制御装置600が駆動モータ500の作動/非作動の制御を行うことにより、ホッパ10a内に一定量以上の現像剤が収容されないように構成している。
具体的には、まず、現像剤センサ10dがホッパ10a内の現像剤収容量をチェックする(S100)。そして、現像剤センサ10dにより検出された現像剤収容量が所定量未満であると判定された場合、つまり、現像剤センサ10dにより現像剤が検出されなかった場合、駆動モータ500を駆動し、一定時間、現像剤の補給動作を実行する(S101)。
この現像剤補給動作の結果、現像剤センサ10dにより検出された現像剤収容量が所定量に達したと判定された場合、つまり、現像剤センサ10dにより現像剤が検出された場合、駆動モータ500の駆動をオフし、現像剤の補給動作を停止する(S102)。この補給動作の停止により、一連の現像剤補給工程が終了する。
このような現像剤補給工程は、画像形成に伴い現像剤が消費されてホッパ10a内の現像剤収容量が所定量未満となると、繰り返し実行される構成となっている。
このように、現像剤補給容器1から排出された現像剤を、ホッパ10a内に一時的に貯留し、その後、現像器201aへ補給する構成でも構わないが、本実施形態では、以下のような現像剤補給装置201の構成としている。
具体的には、図5に示すように、上述したホッパ10aを省き、現像剤補給容器1から現像器201aへ直接的に現像剤を補給する構成である。この図5は、現像剤補給装置201として2成分現像器800を用いた例である。この現像器800には、現像剤が補給される撹拌室と現像スリーブ800aへ現像剤を供給する現像室を有しており、撹拌室と現像室には現像剤搬送方向が互いに逆向きとなる撹拌スクリュー800bが設置されている。そして、撹拌室と現像室は長手方向両端部において互いに連通しており、2成分現像剤はこれらの2つの部屋を循環搬送される構成となっている。また、撹拌室には現像剤中のトナー濃度を検出する磁気センサ800cが設置されており、この磁気センサ800cの検出結果に基づいて制御装置600が駆動モータ500の動作を制御する構成となっている。この構成の場合、現像剤補給容器から補給される現像剤は、非磁性トナー、もしくは非磁性トナー及び磁性キャリアとなる。
本実施形態では、後述するように、現像剤補給容器1内の現像剤は排出口4aから重力作用のみではほとんど排出されず、ポンプ部3aによる容積可変動作によって現像剤が排出されるため、排出量のばらつきを抑えることができる。そのため、ホッパ10aを省くことができ、図5のような例であっても、現像室へ現像剤を安定的に補給することが可能である。
<現像剤補給容器>
次に、現像剤補給システムの構成要素である現像剤補給容器1の構成について、図6、図7を用いて説明する。ここで、図6(a)は現像剤補給容器1の全体斜視図、図6(b)は現像剤補給容器1の排出口4a周辺の部分拡大図、図6(c)は現像剤補給容器1を装着部10に装着した状態を示す正面図である。また、図7(a)は現像剤補給容器の断面斜視図、図7(b)はポンプ部が使用上最大限伸張された状態の部分断面図、(c)はポンプ部が使用上最大限収縮された状態の部分断面図である。
現像剤補給容器1は、図6(a)に示すように、中空円筒状に形成され内部に現像剤を収容する内部空間を備えた現像剤収容部2(容器本体)を有している。本実施形態では、円筒部2kと排出部4c(図5参照)、ポンプ部3a(図5参照)が現像剤収容部2として機能する。さらに、現像剤補給容器1は、現像剤収容部2の長手方向(現像剤搬送方向)一端側にフランジ部4(非回転部ともいう)を有している。また、円筒部2kはこのフランジ部4に対して相対回転可能に構成されている。なお、円筒部2kの断面形状を、現像剤補給工程における回転動作に影響を与えない範囲内において、非円形状としても構わない。例えば、楕円形状のものや多角形状のものを採用しても構わない。
なお、本実施形態では、図7(b)に示すように、現像剤収容室として機能する円筒部2kの全長L1が約460mm、外径R1が約60mmに設定されている。また、現像剤排出室として機能する排出部4cが設置されている領域の長さL2は約21mmとなっている。また、ポンプ部3aの全長L3(使用上の伸縮可能範囲の中で最も伸びた状態のとき)は約29mm、図7(c)に示すように、ポンプ部3aの全長L4(使用上の伸縮可能範囲の中で最も縮んだ状態のとき)は約24mmとなっている。
(現像剤補給容器の材質)
本実施例では、後述するように、ポンプ部3aにより現像剤補給容器1内の容積を変化させることにより、排出口4aから現像剤を排出させる構成となっている。
よって、現像剤補給容器1の材質としては、容積の変化に対して大きく潰れてしまったり、大きく膨らんでしまったりしない程度の剛性を有したものを採用するのが好ましい。 また、本実施例では、現像剤補給容器1は、現像剤Tの排出時、外部とは排出口4aを通じてのみ連通しており、排出口4aを除き外部から密閉された構成としている。つまり、ポンプ部3aにより現像剤補給容器1の容積を減少、増加させて排出口4aから現像剤を排出する構成を採用していることから、安定した排出性能が保たれる程度の気密性が求められる。
そこで、本実施例では、現像剤収容部2と排出部4cの材質をポリスチレン樹脂とし、ポンプ部3aの材質をポリプロピレン樹脂としている。なお、使用する材質に関して、現像剤収容部2と排出部4cは容積可変に耐えうる素材であれば、例えば、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等の他の樹脂を使用することが可能である。また、金属製であっても構わない。 また、ポンプ部3aの材質に関しては、伸縮機能を発揮し容積変化によって現像剤補給容器1の容積を変化させることができる材料であれば良い。例えば、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)、ポリスチレン、ポリエステル、ポリエチレン等を肉薄で形成したものでも構わない。また、ゴムや、その他の伸縮性材料などを使用することも可能である。 なお、樹脂材料の厚みを調整するなどして、ポンプ部3a、現像剤収容部2、排出部4cのそれぞれが上述した機能を満たすのであれば、それぞれを同じ材質で、例えば、射出成形法やブロー成形法等を用いて一体的に成形されたものを用いても構わない。
以下、現像剤補給容器における、フランジ部4、円筒部2k、ポンプ部3a、駆動入力部、駆動変換機構2e(カム溝)の構成について、順に、詳細に説明する。
<フランジ部>
このフランジ部4には、図7(a)、(b)に示すように、円筒部2kから搬送されてきた現像剤を一時的に収容するための中空の排出部4c(現像剤排出室)が設けられている。この排出部4cの底部には、現像剤補給容器1の外へ現像剤の排出を許容する、つまり、現像剤補給装置201へ現像剤を補給するための小さな排出口4aが形成されている。また、排出口4aの上部には、排出前の現像剤を一定量貯留可能な現像剤貯留部4dが設けられている。この排出口4aの大きさについては後述する。
さらに、フランジ部4には排出口4aを開閉するシャッタ4bが設けられている。このシャッタ4bは、現像剤補給容器1の装着部10への装着動作に伴い、装着部10に設けられた突き当て部21(図2(b)参照)と突き当たるように構成されている。従って、シャッタ4bは、現像剤補給容器1の装着部10への装着動作に伴い、円筒部2kの回転軸線方向(図2(c)のM方向とは逆方向)へ排出部4cに対して相対的にスライドする。その結果、シャッタ4bから排出口4aが露出されて開封動作が完了する。
この時点で、排出口4aは装着部10の現像剤受入れ口13と位置が合致しているので互いに連通した状態となり、現像剤補給容器1からの現像剤補給が可能な状態となる。
また、フランジ部4は、現像剤補給容器1が現像剤補給装置201の装着部10に装着されると、実質不動となるように構成されている。
具体的には、フランジ部4が自ら円筒部2kの回転方向へ回転することがないように、図2(b)に示す回転方向規制部11が設けられている
従って、現像剤補給容器1が現像剤補給装置201に装着された状態では、フランジ部4に設けられている排出部4cも、円筒部2kの回転方向へ回転することが実質阻止された状態となる(ガタ程度の移動は許容する)。
一方、円筒部2kは現像剤補給装置201により回転方向への規制は受けることなく、現像剤補給工程において回転する構成となっている。
<搬送部材>
また、図7に示すように、円筒部2kから螺旋状の凸部(搬送突起)2cにより搬送されてきた現像剤を、排出部4cへと搬送するための板状の搬送部材6が設けられている。この搬送部材6は、回転することで現像剤収容部内の現像剤を搬送する搬送部を構成するものであって、現像剤収容部2の一部の領域を略2分割するように設けられており、円筒部2kとともに一体的に回転する構成となっている。そして、この搬送部材6にはその両面に円筒部2kの回転軸線方向に対し、排出部4c側に傾斜した傾斜リブ6aが複数設けられている。
また、本実施形態において、搬送部材6の端部には現像剤貯留部4d内への現像剤の流入を規制可能な規制部7が設けられている。この規制部7は、図7に示すように、現像剤貯留部4dの上方に位置し、中心角度90°の扇形状をした部材が回転方向に180°の対称位置に配置されて構成されている。
上記の構成により、搬送突起2cにより搬送されてきた現像剤は、円筒部2kの回転に連動してこの板状の搬送部材6により鉛直方向下方から上方へと掻き上げられる。その後、円筒部2kの回転が進むに連れて、重力によって搬送部材6の表面上を滑り落ち、やがて傾斜リブ6aによって排出部4c側へと受け渡される。そして、規制部7が排出部4c上を通過したタイミングで現像剤は排出部4cへ送り込まれる。なお、本実施形態においては、この傾斜リブ6aは、円筒部2kが半周する毎に現像剤が排出部4cへと送り込まれるように、搬送部材6の両面に設けられている。
<フランジ部の排出口について>
本実施形態では、現像剤補給容器1の排出口4aについて、現像剤補給容器1が現像剤補給装置201に現像剤を補給する姿勢のとき、重力作用のみでは十分に排出されない程度の大きさに設定している。つまり、排出口4aの開口サイズは、重力作用のみでは現像剤補給容器から現像剤の排出が不充分となる程度に小さく設定している(微細口(ピンホール)とも言う)。言い換えると、排出口4aが現像剤で実質閉塞されるようにその開口の大きさを設定している。
これにより、以下の効果を期待できる。
(1)排出口4aから現像剤が漏れ難くなる。
(2)排出口4aを開放した際の現像剤の過剰排出を抑制できる。
(3)現像剤の排出をポンプ部3aによる排気動作に支配的に依存させることができる。
そこで、本発明者等は、重力作用のみで十分に排出されない排出口4aをどのくらいの大きさに設定すべきか、検証実験を行った。
以下、その検証実験(測定方法)とその判断基準を以下に説明する。
底部中央に排出口(円形状)が形成された所定容積の直方体容器を用意し、容器内に現像剤を200g充填した後、充填口を密閉し排出口を塞いだ状態で容器をよく振って現像剤を十分に解す。この直方体容器は、容積が約1000cm3、大きさは、縦90mm×横92mm×高さ120mmとなっている。その後、可及的速やかに排出口を鉛直下方に向けた状態で排出口を開封し、排出口から排出された現像剤の量を測定する。このとき、この直方体容器は、排出口以外は完全に密閉されたままの状態とする。また、検証実験は温度24℃、相対湿度55%の環境下で行った。 上記手順で、現像剤の種類と排出口の大きさを変えて排出量を測定する。なお、本実施例では、排出された現像剤の量が2g以下である場合、その量は無視できるレベルであり、その排出口が重力作用のみでは十分に排出されない大きさであると判断した。
検証実験に用いた現像剤を表1に示す。現像剤の種類は、1成分磁性トナー、2成分現像器に用いられる2成分非磁性トナー、2成分現像器に用いられる2成分非磁性トナーと磁性キャリアの混合物である。これらの現像剤の特性を表す物性値として、流動性を示す安息角の他に、粉体流動性分析装置(Freeman Technology社製 パウダーレオメータFT4)により、現像剤層の解れ易さを示す流動性エネルギーについて測定した。
この流動性エネルギーの測定方法について図8を用いて説明する。ここで図8は流動性エネルギーを測定する装置の模式図である。この粉体流動性分析装置の原理は、粉体サンプル中でブレードを移動させ、そのブレードが粉体中を移動するのに必要な流動性エネルギーを測定するものである。ブレードはプロペラ型で、回転すると同時に回転軸方向にも移動するためブレードの先端はらせんを描くことになる。
プロペラ型のブレード54(以下、ブレードと呼ぶ)として、径が48mmで、反時計回りになめらかにねじられたSUS製のブレード(型番:C210)を使用した。詳細には、48mm×10mmのブレード板の中心にブレード板の回転面に対して法線方向に回転軸が存在し、ブレード板の両最外縁部(回転軸から24mm部分)のねじれ角が70°、回転軸から12mmの部分のねじれ角が35°となっている。
流動性エネルギーとは、粉体層中に上述の如くらせん状に回転するブレード54を侵入させ、ブレードが粉体層中を移動する際に得られる回転トルクと垂直荷重の総和を時間積分して得られたトータルエネルギーを指す。この値が、現像剤粉体層の解れ易さを表しており、流動性エネルギーが大きい場合は解れにくく、流動性エネルギーが小さい場合は解れ易いことを意味している。
今回の測定では、図8に示す通り、この装置の標準部品であるφが50mmの円筒容器53(容積200cc、図8のL1=50mm)に各現像剤Tを粉面高さ70mm(図8のL2)となるように充填した。充填量は、測定する嵩密度に合せて調整する。更に、標準部品であるφ48mmのブレード54を粉体層に侵入させ、侵入深さ10〜30mm間に得られたエネルギーを表示する。
測定時の設定条件としては、ブレード54の回転速度(tip speed。ブレードの最外縁部の周速)を60mm/s、また、粉体層への鉛直方向のブレード進入速度を、移動中のブレード54の最外縁部が描く軌跡と粉体層表面とのなす角θ(helix angle。以後なす角と呼ぶ)が10°になるスピードとした。粉体層への垂直方向の進入速度は11mm/sである(粉体層への鉛直方向のブレード進入速度=ブレードの回転速度×tan(なす角×π/180))。また、この測定についても温度24℃、相対湿度55%の環境下で行った。
なお、現像剤の流動性エネルギーを測定する際の現像剤の嵩密度は、現像剤の排出量と排出口の大きさとの関係を検証する実験の際の嵩密度に近く、嵩密度の変化が少なく安定して測定ができる嵩密度として0.5g/cm3に調整した。
このようにして測定された流動性エネルギーをもつ現像剤(表1)について、検証実験を行った結果を図9に示す。図9は、排出口の径と排出量との関係を、現像剤の種類毎に示したグラフである。図9に示す検証結果より、現像剤A〜Eについて、排出口の直径φが4mm(開口面積が12.6mm2:円周率は3.14で計算、以下同じ)以下であれば、排出口からの排出量が2g以下になることが確認された。排出口の直径φが4mmよりも大きくなると、いずれの現像剤とも、排出量が急激に多くなることが確認された。
つまり、現像剤の流動性エネルギー(嵩密度が0.5g/cm3)が4.3×10−4(kg・m2/s2(J))以上4.14×10−3(kg・m2/s2(J))以下のとき、排出口の直径φが4mm(開口面積が12.6(mm2))以下であれば良い。
また、現像剤の嵩密度については、この検証実験では十分に現像剤を解して流動化した状態で測定を行っており、通常の使用環境で想定される状態(放置された状態)よりも嵩密度が低く、より排出し易い条件で測定を行っている。
次に、図9の結果から最も排出量が多くなる現像剤Aを用いて、排出口の直径φを4mmに固定して、容器内の充填量を30〜300gに振って、同様の検証実験を行った。その検証結果を図10に示す。図10の検証結果から、現像剤の充填量を変化させても、排出口からの排出量はほとんど変わらないことが確認できた。
以上の結果から、排出口をφ4mm(面積12.6mm2)以下にすることで、現像剤の種類や嵩密度状態に依らず、排出口を下にした状態(現像剤補給装置201への補給姿勢を想定)で、排出口から重力作用のみでは十分に排出されないことが確認できた。
一方、排出口4aの大きさの下限値は、現像剤補給容器1から補給すべき現像剤(1成分磁性トナー、1成分非磁性トナー、2成分非磁性トナー、2成分磁性キャリア)が少なくとも通過できる値に設定することが好ましい。
つまり、現像剤補給容器1に収容されている現像剤の粒径(トナーの場合は体積平均粒径、キャリアの場合は個数平均粒径)よりも大きい排出口にするのが好ましい。例えば、補給用の現像剤に2成分非磁性トナーと2成分磁性キャリアが含まれている場合、大きい方の粒径、つまり、2成分磁性キャリアの個数平均粒径よりも大きな排出口にするのが好ましい。
具体的には、補給すべき現像剤に2成分非磁性トナー(体積平均粒径が5.5μm)と2成分磁性キャリア(個数平均粒径が40μm)が含まれている場合、排出口4aの径を0.05mm(開口面積0.002mm2)以上に設定するのが好ましい。但し、排出口4aの大きさを現像剤の粒径に近い大きさに設定してしまうと、現像剤補給容器1から所望の量を排出させるのに要するエネルギー、つまり、ポンプ部3aを動作させるのに要するエネルギーが大きくなってしまう。
また、現像剤補給容器1の製造上においても制約が生じる場合がある。射出成形法を用いて樹脂部品に排出口4aを成形するには、排出口4aの部分を形成する金型部品の耐久性が厳しくなってしまう。以上から、排出口4aの直径φは0.5mm以上に設定するのが好ましい。
なお、本実施例では、排出口4aの形状を円形状としているが、このような形状に限定されるものでは無い。つまり、直径が4mmの場合に相当する開口面積である12.6mm2以下の開口面積を有する開口であれば、正方形、長方形、楕円や、直線と曲線を組合わせた形状等、に変更可能である。但し、円形状の排出口は、開口の面積を同じとした場合、他の形状に比べて現像剤が付着して汚れてしまう開口の縁の周長が最も小さい。そのため、シャッタ4bの開閉動作に連動して広がってしまう現像剤の量も少なく、汚れ難い。
また、円形状の排出口は、排出時の抵抗も少なく最も排出性が高い。従って、排出口4aの形状としては、排出量と汚れ防止のバランスが最も優れた円形状がより好ましい。以上より、排出口4aの大きさについては、排出口4aを鉛直下方に向けた状態(現像剤補給装置201への補給姿勢を想定)で、重力作用のみで十分に排出されない大きさが好ましい。
そこで、現像剤補給容器1に種々の現像剤を収納して排出実験を行ったところ、排出口4aの直径φは、0.05mm(開口面積0.002mm2)以上4mm(開口面積12.6mm2)以下の範囲に設定するのが好ましい。さらに、排出口4aの直径φは、0.5mm(開口面積0.2mm2)以上4mm(開口面積12.6mm2)以下の範囲に設定するのがより好ましいことがわかった。本実施形態では、以上の観点から、排出口4aを円形状とし、その開口の直径φを2mmに設定している。
なお、本実施形態では、排出口4aの数を1個としているがそれに限るものではなく、それぞれの開口面積が上述した開口面積の範囲を満足するように、排出口4aを複数設ける構成としても構わない。例えば、直径φが3mmの1つの現像剤受入れ口13に対して、直径φが0.7mmの排出口4aを2つ設ける構成である。但し、この場合、現像剤の排出量(単位時間当たり)が低下してしまう傾向となるため、直径φが2mmの排出口4aを1つ設ける構成の方がより好ましい。
<円筒部>
次に、現像剤収容室として機能する円筒部2kについて図7を用いて説明する。円筒部2kの内面には、収容された現像剤を自らの回転に伴い、現像剤排出室として機能する排出部4c(排出口4a)に向けて搬送する手段として機能する螺旋状に突出した搬送突起2cが設けられている。また、円筒部2kは、上述した材質の樹脂を用いてブロー成型法により形成されている。
なお、現像剤補給容器1の容積を大きくし充填量を増やそうとした場合、現像剤収容部2としての排出部4cの容積を高さ方向に大きくする方法が考えられる。しかし、このような構成とすると、現像剤の自重により排出口4a近傍の現像剤への重力作用がより増大してしまう。その結果、排出口4a近傍の現像剤が圧密されやすくなり、排出口4aを介した吸気/排気の妨げとなる。この場合、排出口4aからの吸気で圧密された現像剤を解す、または、排気で現像剤を排出させるためには、ポンプ部3aの容積変化量を更に大きくしなければならなくなる。しかし、その結果、ポンプ部3aを駆動させるための駆動力も増加し、画像形成装置本体100への負荷が過大になる恐れがある。
それに対し、本実施形態においては、円筒部2kをフランジ部4に水平方向に並べて設置して、円筒部2kの容積により、充填量を調整しているため、上記構成に対して、現像剤補給容器1内における排出口4a上の現像剤層の厚さを薄く設定することができる。これにより、重力作用により現像剤が圧密されにくくなるため、その結果、画像形成装置本体100へ負荷をかけることなく、安定した現像剤の排出が可能になる。
また、円筒部2kは、図7(b)、(c)に示すように、フランジ部4の内面に設けられたリング状のシール部材のフランジシール5bを圧縮した状態で、フランジ部4に対して相対回転可能に固定されている。
これにより、円筒部2kは、フランジシール5bと摺動しながら回転するため、回転中において現像剤が漏れることなく、また、気密性が保たれる。つまり、排出口4aを介した空気の出入りが適切に行われるようになり、補給中における、現像剤補給容器1の容積可変を所望の状態にすることができるようになっている。
<ポンプ部>
次に、往復動に伴いその容積が可変なポンプ部(往復動可能な)3aについて図7を用いて説明する。ここで、図7(a)は現像剤補給容器の断面斜視図、図7(b)はポンプ部3aが使用上最大限伸張された状態の部分断面図、図7(c)はポンプ部3aが使用上最大限収縮された状態の部分断面図である。
本実施形態のポンプ部3aは、排出口4aを介して吸気動作と排気動作を交互に行わせる吸排気機構として機能する。言い換えると、ポンプ部3aは、排出口4aを通して現像剤補給容器の内部に向かう気流と現像剤補給容器から外部に向かう気流を交互に繰り返し発生させる気流発生機構として機能する。
ポンプ部3aは、図7(b)に示すように、排出部4cから矢印X方向に設けられている。つまり、ポンプ部3aは排出部4cとともに、円筒部2kの回転方向へ自らが回転することがないように設けられている。
また、本実施形態のポンプ部3aは、その内部に現像剤を収容可能な構成となっている。このポンプ部3a内の現像剤収容スペースは、後述するように、吸気動作時における現像剤の流動化に大きな役割を担っている。
そして、本実施形態では、ポンプ部3aとして、往復動に伴いその容積が可変な樹脂製の容積可変型ポンプ部(蛇腹状ポンプ)を採用している。具体的には、図7に示すように、蛇腹状のポンプを採用しており、「山折り」部と「谷折り」部が周期的に交互に複数形成されている。従って、このポンプ部3aは、現像剤補給装置201から受けた駆動力により、圧縮、伸張を交互に繰り返し行うことができる。なお、本実施形態ではポンプ部3aの伸縮時の容積変化量は、5cm3(cc)に設定されている。図7(b)に示すL3は約29mm、図7(c)に示すL4は約24mmとなっている。ポンプ3aの外径R2は約45mmとなっている。
このようなポンプ部3aを採用することにより、現像剤補給容器1の容積を、可変させるとともに、所定の周期で、交互に繰り返し変化させることができる。その結果、小径(直径が約2mm)の排出口4aから排出部4c内にある現像剤を効率良く、排出させることが可能となる。
<駆動入力部>
次に、搬送突起2cを備えた円筒部2kを回転させるための回転駆動力を現像剤補給装置201から受ける、現像剤補給容器1の駆動入力部について説明する。
現像剤補給容器1には、図6(a)に示すように、現像剤補給装置201の駆動ギア300(駆動機構として機能する)と係合(駆動連結)可能な駆動入力部として機能するギア部2dが設けられている。このギア部2dは、円筒部2kと一体的に回転可能な構成となっている。
従って、駆動ギア300からギア部2dに入力された回転駆動力は図11(a)、(b)の往復動部材3bを介してポンプ部3aへ伝達される仕組みとなっている。本実施形態の蛇腹状のポンプ部3aは、その伸縮動作を阻害しない範囲内で、回転方向へのねじれに強い特性を備えた樹脂材を用いて製造されている。
なお、本実施形態では、円筒部2kの長手方向(現像剤搬送方向)側にギア部2dを設けているが、このような例に限られるものではなく、例えば、現像剤収容部2の長手方向他端側、つまり、最後尾側に設けても構わない。この場合、対応する位置に駆動ギア300が設置されることになる。
また、本実施形態では、現像剤補給容器1の駆動入力部と現像剤補給装置201の駆動部間の駆動連結機構としてギア機構を用いているが、このような例に限られるものではなく、例えば、公知のカップリング機構を用いるようにしても構わない。具体的には、駆動入力部として非円形状の凹部を設け、一方、現像剤補給装置201の駆動部として前述の凹部と対応した形状の凸部を設け、これらが互いに駆動連結する構成としても構わない。
<駆動変換機構>
次に、現像剤補給容器1の駆動変換機構(駆動変換部)について図11を用いて説明する。ここで、図11(a)はポンプ部3aが使用上最大限伸張された状態の部分図、図11(b)はポンプ部3aが使用上最大限収縮された状態の部分図、図11(c)はポンプ部の部分図である。なお、本実施形態では、駆動変換機構の例としてカム機構を用いた場合について説明する。
図11(a)に示すように、現像剤補給容器1には、ギア部2dが受けた円筒部2kを回転させるための回転駆動力を、ポンプ部3aを往復動させる方向の力へ変換する駆動変換機構(駆動変換部)として機能するカム機構が設けられている。
つまり、本実施形態ではギア部2dが受けた回転駆動力を、現像剤補給容器1側で往復動力へ変換することで、円筒部2kを回転させる駆動力とポンプ部3aを往復動させる駆動力を1つの駆動入力部(ギア部2d)で受ける構成としている。
これにより、現像剤補給容器1に駆動入力部を2つ別々に設ける場合に比して、現像剤補給容器1の駆動入力機構の構成を簡易化することが可能となる。更に、現像剤補給装置201の1つの駆動ギアから駆動を受ける構成としたため、現像剤補給装置201の駆動機構の簡易化にも貢献することができる。
図11(a)、(b)に示すように、回転駆動力をポンプ部3aの往復動力に変換するために介する部材としては往復動部材3bを用いている。具体的には、駆動ギア300から回転駆動を受けた駆動入力部(ギア部2d)と、一体となっている全周に溝が設けられているカム溝2eが回転する。このカム溝2eについては後述する。このカム溝2eには、往復動部材3bから一部が突出した往復動部材係合突起3cがカム溝2eに係合している。なお、本実施形態では、この往復動部材3bは図11(c)に示すように、円筒部2kの回転方向へ自らが回転することがないように(ガタ程度は許容する)保護部材回転規制部3fによって円筒部2kの回転方向が規制されている。このように、回転方向が規制されることで、カム溝2eの溝に沿って(図7のX方向もしくは逆方向)往復動するように規制されている。さらに、往復動部材係合突起3cはカム溝2eに複数係合するように設けられている。具体的には、円筒部2kの外周面に2つの往復動部材係合突起3cが約180°対向するように設けられている。
ここで、往復動部材係合突起3cの配置個数については、少なくとも1つ設けられていれば構わない。但し、ポンプ部3aの伸縮時の抗力により駆動変換機構等にモーメントが発生し、スムーズな往復動が行われないおそれがあるため、後述するカム溝2e形状との関係が破綻しないよう複数個設けるのが好ましい。
つまり、駆動ギア300から入力された回転駆動力でカム溝2eが回転することで、カム溝2eに沿って往復動部材係合突起3cがX方向もしくは逆方向に往復動作をする。これにより、ポンプ部3aが伸張した状態(図11の(a))とポンプ部3aが収縮した状態(図11の(b))を交互に繰り返し、現像剤補給容器1の容積可変を達成することができる。
<駆動変換機構の設定条件>
本実施形態では、駆動変換機構は、円筒部2kの回転に伴い排出部4cへ搬送される現像剤搬送量(単位時間当たり)が、排出部4cからポンプ部作用により現像剤補給装置201へ排出される量(単位時間当たり)よりも多くなるように駆動変換している。
これは、排出部4cへの搬送突起2cによる現像剤の搬送能力に対してポンプ部3aによる現像剤の排出能力の方が大きいと、排出部4cに存在する現像剤の量が次第に減少してしまうからである。つまり、現像剤補給容器1から現像剤補給装置201への現像剤補給に要する時間が長くなってしまうことを防止するためである。
また、本実施形態では、駆動変換機構は、円筒部2kが1回転する間にポンプ部3aが複数回往復動するように、駆動変換している。これは以下の理由によるものである。
円筒部2kを現像剤補給装置201内で回転させる構成の場合、駆動モータ500は円筒部2kを常時安定して回転させるために必要な出力に設定するのが好ましい。但し、画像形成装置本体100における消費エネルギーを可能な限り削減するためには、駆動モータ500の出力を極力小さくする方が好ましい。ここで、駆動モータ500に必要な出力は、円筒部2kの回転トルクと回転数から算出されることから、駆動モータ500の出力を小さくするには、円筒部2kの回転数を可能な限り低く設定するのが好ましい。
しかし、本実施形態の場合、円筒部2kの回転数を小さくしてしまうと、単位時間当たりのポンプ部3aの動作回数が減ってしまうことから、現像剤補給容器1から排出される現像剤の量(単位時間当たり)が減ってしまう。つまり、画像形成装置本体100から要求される現像剤の補給量を短時間で満足させるには、現像剤補給容器1から排出される現像剤の量では不足してしまうおそれがある。
そこで、ポンプ部3aの容積変化量を増加させれば、ポンプ部3aの1周期当たりの現像剤排出量を増やすことができるため、画像形成装置本体100からの要求に応えることが可能となるが、このような対処方法では以下のような問題がある。
つまり、ポンプ部3aの容積変化量を増加させると、排気工程における現像剤補給容器1の内圧(正圧)のピーク値が大きくなるため、ポンプ部3aを往復動させるのに要する負荷が増大してしまう。
このような理由から、本実施形態では、円筒部2kが1回転する間にポンプ部3aを複数周期動作させているのである。これにより、円筒部2kが1回転する間にポンプ部3aを1周期しか動作させない場合に比して、ポンプ部3aの容積変化量を大きくすることなく、単位時間当たりの現像剤の排出量を増やすことが可能となる。そして、現像剤の排出量を増やすことができた分、円筒部2kの回転数を低減することが可能となる。
従って、本実施形態のような構成とすることにより、駆動モータ500をより小さい出力に設定できるため、画像形成装置本体100での消費エネルギーの削減に貢献することができる。
<駆動変換機構の配置位置>
本実施形態では、図11に示すように、駆動変換機構(往復動部材係合突起3cとカム溝2eにより構成されるカム機構)を、現像剤収容部2の外部に設けている。つまり、駆動変換機構を、円筒部2k、ポンプ部3a、排出部4cの内部に収容された現像剤と接触することが無いように、円筒部2k、ポンプ部3a、排出部4cの内部空間から隔てられた位置に設けている。
これにより、駆動変換機構を現像剤収容部2の内部空間に設けた場合に想定される問題を解消することができる。つまり、駆動変換機構の摺擦箇所への現像剤の侵入により、現像剤の粒子に熱と圧が加わって軟化していくつかの粒子同士がくっついて大きな塊(粗粒)となることや、変換機構への現像剤の噛み込みによりトルクアップするのを防止することができる。
<現像剤補給工程>
次に、図11、図12を用いて、ポンプ部3aによる現像剤補給工程について説明する。図11(a)はポンプ部3aが使用上最大限伸張された状態の部分図、図11(b)はポンプ部3aが使用上最大限収縮された状態の部分図、図11(c)はポンプ部3aの部分図である。なお、図12は駆動変換機構(往復動部材係合突起3cとカム溝2eにより構成されるカム機構)における、カム溝2eの展開図を示したものである。
本実施形態では、後述するようにポンプ部動作による吸気工程(排出口4aを介した吸気動作)と排気工程(排出口4aを介した排気動作)とポンプ部非動作による動作停止工程(排出口4aから吸排気が行われない)が行われる。このとき、駆動変換機構が回転駆動力を往復動力へ変換する構成となっている。以下、吸気工程と排気工程と動作停止工程について、順に、詳細に説明する。
<吸気工程>
まず、吸気工程(排出口4aを介した吸気動作)について説明する。
上述した駆動変換機構(カム機構)によりポンプ部3aが最も縮んだ状態の図11(b)からポンプ部3aが最も伸びた状態の図11(a)になることで、吸気動作が行われる。つまり、この吸気動作に伴い、現像剤補給容器1の現像剤を収容し得る部位(ポンプ部3a、円筒部2k、排出部4c)の容積が増大する。
その際、現像剤補給容器1の内部は排出口4aを除き実質密閉された状態となっており、さらに、排出口4aが現像剤で実質的に塞がれた状態となっている。そのため、現像剤補給容器1の現像剤を収容し得る部位の容積増加に伴い、現像剤補給容器1の内圧が減少する。
このとき、現像剤補給容器1の内圧は大気圧(外気圧)よりも低くなる。そのため、現像剤補給容器1外にあるエアーが、現像剤補給容器1内外の圧力差により、排出口4aを通って現像剤補給容器1内へと移動する。
その際、排出口4aを通して現像剤補給容器1外からエアーが取り込まれるため、排出口4a近傍に位置する現像剤を解す(流動化させる)ことができる。具体的には、排出口4a近傍に位置する現像剤に対して、エアーを含ませることで嵩密度を低下させ、現像剤を適切に流動化させることができる。
更に、この際、エアーが排出口4aを介して現像剤補給容器1内に取り込まれるため、現像剤補給容器1の内圧はその容積が増加しているにも関わらず大気圧(外気圧)近傍を推移することになる。
このように、現像剤を流動化させておくことにより、後述する排気動作時に、現像剤が排出口4aに詰まってしまうことなく、排出口4aから現像剤をスムーズに排出させることが可能となるのである。従って、排出口4aから排出される現像剤の量(単位時間当たり)を、長期にわたり、ほぼ一定とすることが可能となる。
なお、吸気動作が行われるために、ポンプ部3aが最も縮んだ状態から最も伸びた状態になることに限らず、ポンプ部3aが最も縮んだ状態から最も伸びる状態途中で停止したとしても、現像剤補給容器1の内圧変化が行われれば吸気動作は行われる。つまり、吸気工程とは、往復動部材係合突起3cが図12に示すカム溝2hに係合している状態のことである。
<排気工程>
次に、排気工程(排出口4aを介した排気動作)について説明する。ポンプ部3aが最も伸びた状態の図11(a)からポンプ部3aが最も縮んだ状態の図11(b)になることで、排気動作が行われる。具体的には、この排気動作に伴い現像剤補給容器1の現像剤を収容し得る部位(ポンプ部3a、円筒部2k、排出部4c)の容積が減少する。その際、現像剤補給容器1の内部は排出口4aを除き実質密閉されており、現像剤が排出されるまでは、排出口4aが現像剤で実質的に塞がれた状態となっている。従って、現像剤補給容器1の現像剤を収容し得る部位の容積が減少していくことで現像剤補給容器1の内圧が上昇する。
このとき、現像剤補給容器1の内圧は大気圧(外気圧)よりも高くなるため、現像剤は現像剤補給容器1内外の圧力差により、排出口4aから押し出される。つまり、現像剤補給容器1から現像剤補給装置201へ現像剤が排出される。
現像剤とともに現像剤補給容器1内のエアーも排出されていくため、現像剤補給容器1の内圧は低下する。
以上のように、本実施形態では、1つの往復動式のポンプ部3aを用いて現像剤の排出を効率良く行うことができるので、現像剤排出に要する機構を簡易化することができる。
なお、排気動作が行われるために、ポンプ部3aが最も伸びた状態から最も縮んだ状態になることに限らず、ポンプ部3aが最も伸びた状態から最も縮む状態途中で停止したとしても、現像剤補給容器1の内圧変化が行われれば排気動作は行われる。つまり、排気工程とは、往復動部材係合突起3cが図12に示すカム溝2gに係合している状態のことである。
<動作停止工程>
次に、ポンプ部3aが往復動作しない動作停止工程について説明する。
本実施形態では、前述したように磁気センサ800cや現像剤センサ10dの検出結果に基づいて制御装置600が駆動モータ500の動作を制御する構成となっている。この構成では、現像剤補給容器1から排出される現像剤量がトナー濃度に直接影響を与えるので、画像形成装置が必要とする現像剤量を現像剤補給容器1から補給する必要がある。このとき、現像剤補給容器1から排出される現像剤量を安定させるために、毎回決まった容積可変量を行うことが望ましい。
例えば、排気工程と吸気工程のみで構成されたカム溝2eにすると、排気工程もしくは吸気工程途中でモータ駆動を停止させることになる。その際、駆動モータ500が回転停止後も惰性で円筒部2kが回転し、円筒部2kが停止するまでポンプ部3aも連動して往復動作し続けることとなり、排気工程もしくは吸気工程が行われることとなる。惰性で円筒部2kが回転する距離は、円筒部2kの回転速度に依存する。さらに、円筒部2kの回転速度は駆動モータ500へ与えるトルクに依存する。このことから、現像剤補給容器1内の現像剤量によってモータへのトルクが変化し、円筒部2kの速度も変化する可能性があることから、ポンプ部3aの停止位置を毎回同じにすることが難しい。
そこで、ポンプ部3aを毎回決まった位置で停止させるためには、カム溝2eに、円筒部2kが回転動作中でもポンプ部3aが往復動しない領域を設ける必要がある。本実施形態のカム溝2eは、図12に示すように、円筒部2kの回転方向(矢印A方向)に対して所定角度θ傾斜した第1カム溝2gと、これと対称に傾斜した第2カム溝2hが交互に繰り返すように設けてある。そして、往復動部材係合突起3cが回転する第1カム溝2gと係合しているときはポンプ部3aが矢印B方向に伸張して吸気工程となり、第2カム溝2hと係合しているときはポンプ部3aが矢印C方向に圧縮して排気工程となる。
さらに、本実施形態にあっては、前記第1カム溝2gと第2カム溝2hとを繋ぐように回転方向(矢印A方向)と略平行な第3カム溝2iを設けている。カム溝2iは、円筒部2kが回転しても往復動部材3bが動かない形状となっている。つまり、動作停止工程とは、往復動部材係合突起3cがカム溝2iに係合している状態のことである。
また、上記のポンプ部3aが往復動しないとは、排出口4aから現像剤が排出されないこと(円筒部2kの回転時振動等で排出口4aから落ちてしまう現像剤は許容する)である。つまり、カム溝2iは排出口4aを通じた排気工程、吸気工程が行われなければ、回転方向に対して回転軸方向に傾斜していても構わない。さらに、カム溝2iが傾斜していることから、ポンプ部3aの傾斜分の往復動作は許容できる。
<駆動部>
次に本発明の最も特徴的な構成である、駆動部12の構成について、図13乃至図17を用いて述べる。
図13(a)、(b)及び図16(a)、(b)は、本実施形態に係る現像剤補給容器1の部分断面図と現像剤貯留部4d近傍の部分詳細断面図である。図14(a)、(b)は、比較例に係る現像剤補給容器の部分断面図と現像剤貯留部4d近傍の部分詳細断面図である。図15(a)、(b)、(c)は、後述する駆動部12、コイルバネユニット8、シャフト部材9の斜視図である。図17(a)、(b)、(c)は駆動部12の組立工程を示した斜視図である。
本実施形態は、図13に示すように、現像剤貯留部4d内に駆動部12を設けた構成である。一方、図14に示す比較例は前記駆動部12を設けていない構成である。
駆動部12は搬送部材6の回転に連動して排出口近傍の現像剤の中で変位可能であって、排出口近傍における現像剤の凝集を解消するものである。本実施形態の駆動部12は、図13及び図15に示すように、付勢部材としてのコイルバネユニット8と、移動部材としてのシャフト部材9により構成されている。なお、図15(b)に示すように、コイルバネユニット8は、現像剤が通過可能な連通口8cを備えたバネプレート8aとコイルバネ8bの2部品を一体でインサート成形し、ユニット化した構成となっている。また、シャフト部材9は、図13及び図15(c)に示すように、搬送部材6と当接可能に設けられた当接部9aと、コイルバネ8b内部に設けられた軸部9bを設けた構成となっている。
なお、コイルバネユニット8は本実施形態では、インサート成形によりバネプレート8aとコイルバネ8bをユニット化しているが、それに限定されるものではない。しかし、後述する駆動部12の組立工程を考慮すると、部品点数がより少ない構成である方が簡易な組立性となり好ましい。
駆動部12を設けた目的は、非常に簡易な構成で、現像剤の凝集を解消し、かつ、容易に組立可能な構成を両立可能にすることである。
ここで、駆動部12における現像剤の凝集を解消するための動作工程について具体的に説明していく。
本実施形態は、物流時に強い衝撃を受け続け、現像剤貯留部4d内の現像剤の嵩密度が上昇し、凝集した状態においても、物流影響によらず、確実に安定して現像剤を排出可能な構成となっている。なお、現像剤貯留部4d上部近傍の現像剤収容部2内の現像剤は、凝集した状態であっても、前述の搬送部材6や規制部7の撹拌により崩されるので、以下の説明では現像剤貯留部4d内での現像剤の凝集について説明する。
駆動部12の動作工程について説明する。図13はシャフト部材9に設けられた当接部9aが、円筒部2kの回転に伴い回転可能な搬送部材6に設けられた規制部7と当接していない状態(非当接状態)を示している。
図13に示すように、シャフト部材9は圧縮されたコイルバネ8bの上方に設置されており、排出部4cと接触可能な当接リブ9cを設けている。そして、シャフト部材9は、コイルバネ8bと当接リブ9cにより、排出部4cに対して、鉛直上方に押し付けられるように規制された状態となっている。その結果、シャフト部材9に設けられた当接部9aは、排出部4c内に突出した状態となっている。
なお、本実施形態で使用しているコイルバネ8bは圧縮コイルバネであり、図13の状態においては、自然長よりも圧縮された状態で設置される。また、本実施形態におけるコイルバネ8bは、密着高さを超えて圧縮されることはなく、自然長と圧縮可能な範囲で伸縮可能であり、半永久的にバネ特性を確保可能な範囲で使用される。よって、コイルバネ8bの圧縮に対する復元力により、前述のようにシャフト部材9は、鉛直上方に常に押し付けられる構成となっている。
よって、シャフト部材9の当接部9aと、搬送部材6の規制部7が当接していない状態において、当接部9aは、排出部4c内に常に突出している状態と言える。
次に、シャフト部材9の当接部9aが搬送部材6と当接している当接状態について図16を用いて説明する。
図16は、円筒部2kの回転に伴い、搬送部材6が回転し、シャフト部材9の当接部9aと、搬送部材6に設けられた規制部7の円弧部が当接部9aに当接した状態(当接状態)を示している。
当接状態では、図13の非当接状態に対して、当接部9aが現像剤貯留部4d内に押し込まれることで、シャフト部材9が鉛直下方に移動し、それに伴い、コイルバネ8bも鉛直下方にさらに圧縮された状態となっている。
また、コイルバネ8b内部に配置されたシャフト部材9の軸部9bは、鉛直下方に移動することで、開口シール5a内まで軸部9b下端が侵入する。よって、当接状態でのシャフト部材9の移動により、現像剤貯留部4d内の上部から下部までの現像剤に対して、シャフト部材9が物理的に作用可能な構成となっている。
その後、搬送部材6の回転により、当接部9aと規制部7は当接状態から非当接状態へと変化する。よって、圧縮されたコイルバネ8bの復元力により、コイルバネ8b、シャフト部材9は、鉛直上方に移動し、図13に示す非当接状態へと戻る。
以上のように、本実施形態は現像剤補給容器1の回転に伴い、搬送部材6が回転することで当接部9aと搬送部材6の当接状態と非当接状態が繰り返され、コイルバネ8bとシャフト部材9は、現像剤貯留部内で鉛直上下方向に繰り返し往復動可能な構成である。
そして、駆動部12と現像剤貯留部4dとの関係では、図13及び図16に示すように、コイルバネ8bは現像剤貯留部4dの内壁近傍を往復動し、シャフト部材9は現像剤貯留部4dの中心近傍を往復動する構成となっている。その結果、コイルバネ8b、シャフト部材9を備える本実施形態の駆動部12は、鉛直上下方向への往復動により、現像剤貯留部4d内全体の現像剤に対して、物理的な作用を繰り返し与えることが可能となる。
よって、本実施形態の駆動部12を採用することにより、現像剤貯留部4d内の現像剤が凝集した場合であっても、凝集した現像剤に対して、駆動部12が繰り返し物理的な作用を与えることで、確実に現像剤の凝集を解消することができる。
上述のように、本実施形態にあっては現像剤貯留部4d内壁近傍の現像剤に作用するコイルバネ8bと、現像剤貯留部4d中心近傍の現像剤に作用するシャフト部材9により、現像剤貯留部4d全体の現像剤の凝集を解消することができる。
もし、コイルバネ8bのみ設けた場合は、現像剤貯留部4dの中心近傍や、下部に備える開口シール5a内や排出口4aの現像剤に対して物理的な作用を与えることができず、効果的に現像剤貯留部4d全体の凝集を解消できない可能性が考えられる。
また、シャフト部材9のみ設けた場合においては、シャフト部材9の軸部9bの軸径が、現像剤貯留部4dのサイズに対して小さい場合は、現像剤貯留部4d内壁近傍に対して、効果的に現像剤の凝集を解消できない可能性が考えられる。
逆に、シャフト部材9の軸部9bの軸径を、現像剤貯留部4d全体に作用するまで大きくした場合を考える。この場合、現像剤の凝集は解消できるが、そもそも現像剤が排出部4cへ向けて通過する現像剤貯留部4d全体を塞いでしまうため、現像剤補給装置201に対して、所望の補給量を供給することができない可能性が考えられる。
それに対して、本実施形態の駆動部12は、現像剤貯留部4dの内壁近傍、中心近傍に対して、それぞれ作用するコイルバネ8b、シャフト部材9を設けることで、現像剤貯留部4d全体を崩し、かつ所望の補給量を安定して得ることが可能となる。
なお、本実施形態でのコイルバネ8bのピッチは1.5mm、線径はΦ0.32、バネ定数は0.21N/mm、シャフト部材9の軸部9bの軸径はΦ1.0であるが、これに限定するものではない。所望の補給量に対応した現像剤貯留部4d、排出部4cの口径等に応じて、同様の設計思想で各々に駆動部12を設計可能である。
また、本実施形態では、図14に示す駆動部12を設けない比較例の現像剤貯留部4dの体積に対し、駆動部12は約20%の占有率となる。よって、本実施形態の現像剤補給容器1からの補給量を所望の補給量に設定する場合は、駆動部12の現像剤貯留部4d内での占有率を考慮して、現像剤貯留部4dの体積を設定し、設計することが望ましい。
<駆動部の組立工程>
次に現像剤補給容器1に駆動部12を組み込むための組立工程について図17を参照して説明する。図17(a)、(b)、(c)は、現像剤貯留部4dの近傍を鉛直方向下方から見た斜視図である。
まず、図17(a)に示すように、現像剤貯留部4dに対して、シャフト部材9を当接部9aから現像剤貯留部4dに入るように挿入する。このとき、当接リブ9cを現像剤貯留部4dに形成された縦溝部4d1に挿入する。当接リブ9cが縦溝部4d1に係合することでシャフト部材9は現像剤貯留部4d内をガタつくことなく上下に移動可能となる。
次に、図17(b)に示すように、コイルバネユニット8を挿入する。その後、図17(c)に示すように、比較例と同様に開口シール5aを貼り付けることで、駆動部12が組立てられる。
よって、駆動部12を設けない比較例に対して、本実施形態はコイルバネユニット8とシャフト部材9の2部品追加となるが、組立工程も2部品を現像剤貯留部4dに挿入する2ステップの追加のみとなるため、組立工程の追加は最少に抑えた構成となっている。
さらに、組立方法に関して、前述の先行例(特許第5037232号)との比較で説明する。先行例では、回転可能な搬送部材に設けられたクランク機構に、非回転部にて作用する往復動部材を引っかけて組み立てられる構成となっている。そのため、クランク機構と往復動部材の組立工程に関して、組み立てる際の組立方向や、組立方法が複雑な構成となっている。よって、生産面において、前記先行例の組立工程は、非常に負荷のかかる工程となることが想定される。それに対して、本実施形態にあっては、同方向に2部品(シャフト部材9及びコイルバネユニット8)を順に挿入するだけでよいので、先行例と比較して、生産面において、非常にシンプルで容易な組立性を有している。
以上のことから、本実施形態の現像剤補給容器は、物流時に強い衝撃を受け続け、現像剤貯留部4d内の現像剤の嵩密度が上昇し、凝集した状態においても、物流影響によらず、確実に安定して現像剤を排出可能な構成である。さらに、本実施形態は、生産面においても、非常に簡易な工程で組立可能であり、性能面だけでなく、生産面との両立も達成可能な構成となっている。
<変形例>
なお、本発明の現像剤補給容器1は、上述の第1実施形態にて説明した現像剤補給容器1に限定されるものではない。例えば、変形例として、第1実施形態に設けられたポンプ部3aを設けない現像剤補給容器1(不図示)であっても、駆動部12を設けることで、同様の性能を得ることができる。なお、本変形例の第1実施形態との相違点は、ポンプ部3a設けない構成のみなので、現像剤補給容器1内での現像剤の搬送に関しては、第1実施形態同様に、円筒部2k、搬送部材6により排出部4cへ搬送される構成となっている。
よって、上述のポンプ部3aの動作による吸気工程、排気工程等をもたない現像剤補給容器1であっても、前述した実施形態と同様の駆動部12を備えた構成により、現像剤貯留部4d内の凝集した現像剤に対して確実に凝集を解消する効果を得ることができる。
なお、ポンプ部3aを設けない構成にあっては、ポンプ部3aによる排気動作を持たないため、排出口4aの口径は現像剤が重力作用のみで十分に排出可能な口径で設計を行うことが望ましい。さらに、第1実施形態と同様の駆動部12の構成とすることで、先行例と比較して、生産面においても、非常にシンプルで容易な組立性を得ることができる。
〔第2実施形態〕
次に第2実施形態に係る現像剤補給容器について図18乃至図22を参照して説明する。図18(a)、(b)と図20(a)、(b)は、本実施形態の部分断面図と現像剤貯留部4d近傍の部分詳細断面図である。図19は、後述する駆動部12の斜視図である。図21(a)、(b)は、後述する駆動部12内の当接部8dに関して示した斜視図である。図22(a)、(b)は駆動部12の組立工程を示した斜視図である。
本実施形態は、図18に示すように、第1実施形態と比較して、現像剤貯留部4d内の駆動部12の構成が異なる。その他の構成は第1実施形態と同じである。このため第1実施形態と重複する説明は省略し、ここでは本実施形態の特徴となる構成について説明する。また、前述した実施形態と同一機能を有する部材には同一符号を付す。
まず、本実施形態において第1実施形態と異なる点を説明する。第1実施形態においては、図15に示すように、現像剤貯留部4dに設けられた駆動部12は、バネプレート8a、コイルバネ8bを設けたコイルバネユニット8と、当接部9a、軸部9bを設けたシャフト部材9の2部品で構成されていた。
本実施形態では、図19に示すように、コイルバネユニット8のバネプレート8a、コイルバネ8bは第1実施形態同様に設けられる。しかし、第1実施形態と異なり、コイルバネ8bの線状部材を延長することで、当接部8d、軸部8eの形状を新たに作成した構成となっている。また、本実施形態においても、バネプレート8aと、バネにて成形されたコイルバネ8b、当接部8d、軸部8eは、インサート成形により一体で成形されている。よって、第1実施形態において、2部品で構成されていた駆動部12は、本実施形態では一部材で構成される。
このため、本実施形態は現像剤貯留部4d内の現像剤の凝集の解消性能を第1実施形態と同様に持ちつつ、駆動部12の一部品化により、組立性を更に向上させた構成となっている。
次に、本実施形態に係る駆動部12の動作工程について説明する。図18は、駆動部12に設けられた当接部8dが、円筒部2kの回転に伴い、回転可能な搬送部材6の規制部7と当接していない非当接状態を示している。
図18において、駆動部12のコイルバネ8bは自然長であり、コイルバネ8bの延長で作成された当接部8dが、第1実施形態と同様に、排出部4c内部に常に突出した状態となっている。
次に、駆動部12の当接部8dが搬送部材6と当接している当接状態について図20を用いて説明する。
図20は、円筒部2kの回転に伴い、搬送部材6が回転し、駆動部12の当接部8dと、搬送部材6に設けられた規制部7が当接した状態を示している。この状態では、図18に示す非当接状態に対して、当接部8dが現像剤貯留部4d内に押し込まれる。それに伴い、コイルバネ8bも鉛直下方に押し込まれ、圧縮された状態となっている。
また、コイルバネ8bの内部に位置する軸部8eは、鉛直下方に移動することで、開口シール5a内まで軸部8e下端が侵入する。よって、当接状態での駆動部12の移動により、貯留部4d内の上部から下部までの現像剤に対して、駆動部12が物理的に作用可能な構成となっている。
その後、第1実施形態と同様に、搬送部材6の回転により、当接部8dと搬送部材6は当接状態から非当接状態へと変化する。よって、圧縮されたコイルバネ8bの復元力により、コイルバネ8b、当接部8d、軸部8eは、鉛直上方に移動し、前述の図18に示す非当接状態へと戻る。
以上のように、本実施形態においても、現像剤補給容器1の回転に伴い、搬送部材6が回転することで、当接部8dと搬送部材6の当接状態と非当接状態が繰り返され、コイルバネ8b、当接部8d、軸部8eは、鉛直上下方向に繰り返し往復動する。
そして、図18、図20に示すように、第1実施形態と同様に、現像剤貯留部4dに対して、コイルバネ8bは現像剤貯留部4dの内壁近傍を往復動し、リングバネで作成された当接部8d、軸部8eは現像剤貯留部4dの中心近傍を往復動する構成である。その結果、本実施形態においても、駆動部12は、鉛直上下方向への往復動により、現像剤貯留部4d内全体の現像剤に対して、物理的な作用を繰り返し与えることが可能となる。
よって、本実施形態においても、駆動部12を採用することにより、現像剤貯留部4d内の現像剤が凝集した場合であっても、凝集した現像剤に駆動部12が繰り返し物理的な作用を与えることで、確実に凝集を解消することができる。
本実施形態においては、当接部8dをコイルバネ8bの延長により作成している。ここで、当接部8dを作成するときのコイルバネ8bの巻き方向について説明する。
図21(a)に示すように、本実施形態では当接部8dが実際に搬送部材6の回転時に接触する面に対して、逆側に当接部8dとコイルバネ8bとの接続部8fを設けている。つまり、搬送部材6の回転方向下流側に接続部8fが設けられた構成となっている。この目的は、当接部8dに設けたバネの変形を防止し、凝集した現像剤に対して、駆動部12による十分な解消効果を保つことである。
もし、図21(b)に示すように、接続部8fを搬送部材6の回転方向上流側に設けた場合、当接部8dは搬送部材6との当接により、水平方向に受けた力を保持する箇所がなく、繰り返し力を受け続けた場合、変形してしまう可能性がある。もし、当接部8dが変形してしまった場合、当接部8dと搬送部材6の当接により、駆動部12の鉛直上下方向の往復動が行われず、現像剤貯留部4d内全体の凝集した現像剤に対して、駆動部12が、十分な解消効果を与えられない可能性がある。
これに対して、図21(a)に示す本実施形態では、接続部8fを搬送部材6の回転方向下流側に設けており、当接部8dに対して、搬送部材6との当接により水平方向に受けた力を接続部8fにて保持可能となる。つまり、当接部8dの変形に対して強度をもった構成となる。よって、当接部8dのコイルバネ8bの巻き方向に関しては、本実施形態のように、搬送部材6の回転方向下流にコイルバネ8bと当接部8dの接続部8fを設けた方が好ましい。
なお、本実施形態でのコイルバネ8bのピッチは1.5mm、線径はΦ0.32、バネ定数は0.21N/mm、当接部8d、軸部8eに使用しているバネの線径はΦ0.32であるが、これに限定するものではない。第1実施形態と同様に、所望の補給量に対応した現像剤貯留部4d、排出部4cの口径等に応じて、同様の設計思想で各々に駆動部12を設計可能である。
また、本実施形態では、図14に示す駆動部12を設けない比較例の現像剤貯留部4dの体積に対し、駆動部12は約12%の占有率となる。第1実施形態の駆動部12は20%の占有率であったのに対して、本実施形態は、当接部8d、軸部8eをバネにより作成したため、駆動部12の小型化を達成している。よって、駆動部12の占有率を考慮した現像剤貯留部4dの体積に関しても、現像剤貯留部4dを大型化することなく駆動部12を設置できるため、現像剤補給容器1の小型化にも貢献できる構成となっている。
次に、本実施形態の駆動部12の組立工程について説明する。本実施形態では、現像剤貯留部4dに対して、1部品化された駆動部12が追加となる点が第1実施形態とは異なる工程となる。
本実施形態の駆動部12の組立工程は、図22(a)に示すように、現像剤貯留部4dに対して、一体となった駆動部12を挿入後、図22(b)に示すように、比較例と同様に開口シールを貼り付ける工程となる。
よって、駆動部12を設けない比較例に対して、本実施形態は新規で1部品追加となるが、組立工程も1ステップの追加のみとなるため、組立工程の追加は最少に抑えた構成となる。また、図17を用いて説明した、前述の第1実施形態の2ステップでの組立工程に対しても、1ステップでの組立が可能となり、更にシンプルで簡易な組立性を得ることが可能となるため、生産面でより好ましい構成となっている。
以上のことから、本実施形態は物流時に強い衝撃を受け続け、現像剤貯留部4d内の現像剤の嵩密度が上昇し、凝集した状態においても、第1実施形態と同様に、物流影響によらず、確実に安定して現像剤を排出可能な構成となっている。さらに、本実施形態の駆動部12は、生産面においても、第1実施形態よりも更に簡易な工程で組立可能であり、性能面だけでなく、生産面との両立も達成可能な構成として、より好ましい構成となっている。