以下、図面を参照して、この発明を実施するための形態を実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対位置等は、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるから、特に特定的な記載が無い限りは、発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。なお、後の実施例の構成に関して、前の実施例と同一の構成に関しては前の実施例と同一の符号を付して、前の実施例中の説明が援用されるものとする。
まず、画像形成装置の基本構成について説明し、続いて、この画像形成装置に搭載される現像剤補給システム、つまり、現像剤補給装置と補給容器の構成について順に説明する。
(画像形成装置)
図1は、実施例1に係る画像形成装置100の断面図である。この画像形成装置100は、補給容器1(所謂、トナーカートリッジ)が着脱可能(取り外し可能)に装着される補給装置201が搭載された画像形成装置100の一例として、電子写真方式を採用した複写機(電子写真画像形成装置)の構成を示す。『現像剤補給容器』としての補給容器1は、『現像剤補給装置』としての補給装置201に着脱可能な構成であり、装置本体100Aに対しても着脱可能な構成である。従って、補給容器1や補給装置201をカートリッジとする場合に、こうしたカートリッジを装置本体100Aに着脱自在に装着される。
画像形成装置100は装置本体100Aを有する。原稿101は原稿台ガラス102の上に置かれる。そして、原稿の画像情報に応じた光像を光学部103の複数のミラーMrとレンズLnにより、『像担持体』としての感光体ドラム104上に結像させることにより静電像を形成する。この静電像は乾式の現像器201a(1成分現像器)により現像剤(乾式粉体)としてのトナー(1成分磁性トナー)を用いて可視化される。
なお、本例では補給容器1から補給すべき現像剤として1成分磁性トナーを用いた例について説明するが、このような例だけではなく、後述するような例でも構わない。具体的には、1成分非磁性トナーを用いて現像を行う1成分現像器を用いる場合、現像剤として1成分非磁性トナーを補給することになる。また、磁性キャリアと非磁性トナーを混合した2成分現像剤を用いて現像を行う2成分現像器を用いる場合、現像剤として非磁性トナーを補給することなる。なお、この場合、現像剤として非磁性トナーとともに磁性キャリアも併せて補給する構成としても構わない。
カセット105〜108は、記録材(以下、「シートS」という)を収容する。これらカセット105〜108に積載されたシートSのうち、複写機の液晶操作部から操作者(ユーザ)が入力した情報もしくは原稿101のシートサイズを基に最適なカセットが選択される。ここで記録材としては用紙に限定されずに、例えばOHPシート等適宜使用、選択できる。そして、給送分離装置105A〜108Aにより搬送された1枚のシートSを、搬送部109を経由してレジストローラ110まで搬送し、感光体ドラム104の回転と、光学部103のスキャンのタイミングを同期させて搬送する。
感光体ドラム104の下方には、転写帯電器111と分離帯電器112とが配置される。ここで、転写帯電器111によって、感光体ドラム104上に形成された現像剤による現像剤像をシートSに転写する。そして、分離帯電器112によって、現像剤像(トナー像)の転写されたシートSを感光体ドラム104から分離する。この後、搬送部113により搬送されたシートSは、定着部114において熱と圧によりシート上の現像剤像を定着させた後、片面コピーの場合には、排出反転部115を通過し、排出ローラ116により排出トレイ117へ排出される。
また、両面コピーの場合には、シートSは排出反転部115を通り、一度、排出ローラ116により一部が装置本体100Aの外部へ排出される。そして、この後、シートSの終端がフラッパ118を通過し、排出ローラ116にまだ挟持されているタイミングでフラッパ118を制御すると共に排出ローラ116を逆回転させることにより、再度、装置本体100Aの内部へ搬送される。さらに、この後、再給送搬送部119、120を経由してレジストローラ110まで搬送された後、片面コピーの場合と同様の経路をたどって排出トレイ117へ排出される。
上記構成の装置本体100Aにおいて、感光体ドラム104の回りには現像手段としての現像器201a、クリーニング手段としてのクリーナ部202、帯電手段としての一次帯電器203等の画像形成プロセス機器が設置されている。なお、現像器201aは原稿101の画像情報に基づき光学部103により感光体ドラム104に形成された静電像に現像剤を付着させることにより現像するものである。また、一次帯電器203は、感光体ドラム104上に所望の静電像を形成するため感光体ドラム104の表面を一様に帯電するためのものである。また、クリーナ部202は感光体ドラム104に残留している現像剤を除去するためのものである。
(補給装置)
ここで、図2(a)は補給装置201の部分断面図、図2(b)は補給容器1を装着する装着部10の斜視図、図2(c)は装着部10の断面図を示している。また、図3は、制御系並びに、補給容器1と補給装置201を部分的に拡大した断面図を示している。図4は、制御系による現像剤の補給の流れを説明するフローチャートである。図1〜図4を用いて、以下で、現像剤補給システムの構成要素である補給装置201について説明する。『現像剤補給容器』としての補給容器1は、『現像剤補給装置』としての補給装置201に着脱可能な容器である。
補給装置201は、図1に示すように、補給容器1が取り外し可能(着脱可能)に装着される装着部(装着スペース)10(図2(b)参照)と、補給容器1から排出された現像剤を一時的に貯留するホッパ10aと、現像器201aと、を有している。補給容器1は、図2(c)に示すように、装着部10に対して矢印M方向に装着される構成となっている。つまり、補給容器1の長手方向(回転軸線方向)がほぼこの矢印M方向と一致するように装着部10に装着される。なお、この矢印M方向は、後述する図7(b)の矢印X方向と実質的に平行である。また、補給容器1の装着部10からの取り出し方向はこの矢印M方向とは反対の方向となる。
現像器201aは、図1及び図2(a)に示すように、現像剤を担持する『現像剤担持体』としての現像ローラ201fと、撹拌部材201c、送り部材201d、201eを有している。そして、補給容器1から補給された現像剤は撹拌部材201cにより撹拌され、送り部材201d、201eにより現像ローラ201fに送られて、現像ローラ201fにより感光体ドラム104に供給される。
なお、現像ローラ201fには、ローラ上の現像剤コート量を規制する現像ブレード201g、現像器201aとの間の現像剤の漏れを防止するために現像ローラ201fに接触配置された漏れ防止シート201hが設けられている。
また、装着部10には、図2(b)に示すように、補給容器1が装着された際に補給容器1のフランジ部4(図6参照)と当接することでフランジ部4の回転方向への移動を規制するための回転方向規制部11(保持機構)が設けられている。
また、装着部10は、補給容器1が装着された際に、後述する補給容器1の第2排出口4a(排出孔)(図6参照)と連通し、補給容器1から排出された現像剤を受入れるための現像剤受入口(現像剤受入孔)13(図3参照)を有している。そして、補給容器1の第2排出口4aから現像剤が現像剤受入口13を通して現像器201aへと供給される。なお、本実施例において、現像剤受入口13の直径φは、装着部10内での現像剤による汚れを可及的に防止する目的より、微細口(ピンホール)として約3mmに設定されている。なお、現像剤受入口13の直径は第2排出口4aから現像剤が排出できる直径であればよい。
また、ホッパ10aは、図3に示すように、現像器201aへ現像剤を搬送するための搬送スクリュー10bと、現像器201aと連通した開口10cと、ホッパ10a内に収容されている現像剤の量を検出する現像剤センサ10dを有している。
更に、装着部10は、図2(b)、(c)に示すように、駆動機構(駆動部)として機能する駆動ギア300を有している。この駆動ギア300は、駆動モータ500(図3参照)から駆動ギア列を介して回転駆動力が伝達され、装着部10にセットされた状態にある補給容器1に対し回転駆動力を付与する機能を有している。
また、駆動モータ500は、図3に示すように、制御装置600(CPU)によりその動作を制御される構成となっている。制御装置600は、図3に示すように、現像剤センサ10d(残量センサ)から入力された現像剤の残量情報に基づき、駆動モータ500の動作を制御する構成となっている。
なお、本例において、駆動ギア300は、駆動モータ500の制御を簡易化させるため、一方向にのみ回転するように設定されている。つまり、制御装置600は、駆動モータ500について、そのオン(作動)/オフ(非作動)のみを制御する構成となっている。従って、駆動モータ500(駆動ギア300)を正方向と逆方向とに周期的に反転させることで得られる反転駆動力を補給容器1に付与する構成に比して、補給装置201の駆動機構の簡易化を図ることができる。
(補給容器の装着/取り出し方法)
次に、補給容器1の装着/取り出し方法について説明する。まず、操作者が、交換カバーを開き、補給容器1を補給装置201の装着部10へ挿入、装着させる。この装着動作に伴い、補給容器1のフランジ部4が補給装置201に保持、固定される。その後、操作者が交換カバーを閉じることで、装着工程が終了する。その後、制御装置600が駆動モータ500を制御することにより、駆動ギア300を適宜のタイミングで回転させる。
一方、補給容器1内の現像剤が空となってしまった場合には、操作者が、交換カバーを開き、装着部10から補給容器1を取り出す。そして、予め用意してある新しい補給容器1を装着部10へと挿入、装着し、交換カバーを閉じることにより、補給容器1の取り出し〜再装着に至る交換作業が終了する。
(現像剤補給装置による現像剤補給制御)
図4のフローチャートを基に、補給装置201による現像剤補給制御について説明する。この現像剤補給制御は、制御装置600(CPU)により各種機器を制御することにより実行される。本例では、現像剤センサ10dの出力に応じて制御装置600が駆動モータ500の作動/非作動の制御を行うことにより、ホッパ10a内に一定量以上の現像剤が収容されないように構成している。
制御装置600は、現像剤センサ10dがホッパ10a内の現像剤収容量をチェックする(S100)。そして、制御装置600は、現像剤センサ10dにより検出された現像剤収容量が所定量未満であると判定した場合、即ち現像剤センサ10dにより現像剤が検出されない場合、駆動モータ500を駆動し、一定時間、現像剤の補給動作を実行する(S101)。
制御装置600は、補給動作の結果、現像剤センサ10dにより検出された現像剤収容量が所定量に達したと判定した場合、即ち現像剤センサ10dにより現像剤が検出された場合、駆動モータ500の駆動をオフし、現像剤の補給動作を停止する(S102)。この補給動作の停止により、一連の現像剤補給工程が終了する。このような現像剤補給工程は、画像形成に伴い現像剤が消費されてホッパ10a内の現像剤収容量が所定量未満となると、繰り返し実行される構成となっている。
図5は、図3のホッパ10aを省き、補給容器1から現像器800へ直接的に現像剤を補給する構成を示す断面図である。図3では補給容器1から排出された現像剤をホッパ10a内に一時的に貯留した後に現像器201aへ補給する構成であったが、この図5のような補給装置201の構成としてもよい。図5は、補給装置201として2成分現像剤を用いる現像器800を用いた例である。この現像器800には、現像剤が撹拌される撹拌室800xと現像スリーブ800aへ現像剤を供給する現像室800yとを有しており、撹拌室800xと現像室800yには現像剤搬送方向が互いに逆向きとなる撹拌スクリュー800bが設置されている。
そして、撹拌室800xと現像室800yは長手方向両端部において互いに連通しており、2成分現像剤はこれらの2つの部屋を循環搬送される構成となっている。また、撹拌室800xには現像剤中のトナー濃度を検出する磁気センサ800cが設置されており、この磁気センサ800cの検出結果に基づいて制御装置600が駆動モータ500の動作を制御する構成となっている。この構成の場合、補給容器1から補給される現像剤は、非磁性トナー、もしくは非磁性トナー及び磁性キャリアとなる。
本例では、後述するように、補給容器1内の現像剤は第2排出口4aから重力作用のみではほとんど排出されず、ポンプ部3aによる容積可変動作によって現像剤が排出されるため、排出量のばらつきを抑えることができる。そのため、ホッパ10aを省くことができ、図5のような例であっても、現像室800yへ現像剤を安定的に補給することが可能である。
(現像剤補給容器)
次に、現像剤補給システムの構成要素である補給容器1の構成について、図6、図7を用いて説明する。ここで、図6(a)は補給容器1の全体斜視図、図6(b)は補給容器1の第2排出口4a周辺の部分拡大図、図6(c)は補給容器1を装着部10に装着した状態を示す正面図である。図6(a)に示すように、補給容器1は、中空円筒状に形成され内部に現像剤を収容する内部空間を備えた収容部2(容器本体とも呼ぶ)を有している。本例では、円筒部2kと排出部4c(図5参照)が収容部2として機能する。さらに、補給容器1は、収容部2の長手方向(現像剤搬送方向)の一端側にフランジ部4(非回転部とも呼ぶ)を有している。
また、円筒部2kはこのフランジ部4に対して相対回転可能に構成されている。なお、円筒部2kの断面形状を、現像剤補給工程における回転動作に影響を与えない範囲内において、非円形状としても構わない。例えば、楕円形状のものや多角形状のものを採用しても構わない。
(補給容器の材質)
本例では、後述するように、ポンプ部3aにより補給容器1の内部の容積を変化させることにより、第2排出口4aから現像剤を排出させる構成となっている。よって、補給容器1の材質としては、容積の変化に対して大きく潰れてしまったり、大きく膨らんでしまったりしない程度の剛性を有したものを採用するのが好ましい。
また、本例では、補給容器1は、外部とは第2排出口4aを通じてのみ連通しており、第2排出口4aを除き外部から密閉された構成としている。つまり、ポンプ部3aにより補給容器1の容積を減少、増加させて第2排出口4aから現像剤を排出する構成を採用していることから、安定した排出性能が保たれる程度の気密性が求められる。
そこで、本例では、収容部2と排出部4cの材質をポリスチレン樹脂とし、ポンプ部3aの材質をポリプロピレン樹脂としている。なお、使用する材質に関して、収容部2と排出部4cは容積可変に耐えうる素材であれば、例えば、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等の他の樹脂を使用することが可能である。また、金属製であっても構わない。
また、ポンプ部3aの材質に関しては、伸縮機能を発揮し容積変化によって補給容器1の容積を変化させることができる材料であれば良い。例えば、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)、ポリスチレン、ポリエステル、ポリエチレン等を肉薄で形成したものでも構わない。また、ゴムや、その他の伸縮性材料などを使用することも可能である。
なお、樹脂材料の厚みを調整するなどして、ポンプ部3a、収容部2、排出部4cのそれぞれが上述した機能を満たすのであれば、それぞれを同じ材質で、例えば、射出成形法やブロー成形法等を用いて一体的に成形されたものを用いても構わない。以下、補給容器1における、フランジ部4、円筒部2k、ポンプ部3a、ギア部2d、カム溝2eの構成について、順に、詳細に説明する。
(フランジ部)
続いてフランジ部4について図7を用いて説明する。ここで、図7(a)は補給容器1の断面斜視図、図7(b)はポンプ部3aが使用上で最大限に収縮された状態の部分断面図、図7(c)は補給容器1の貯留部4d近傍を拡大した部分斜視図である。尚、各図ともに説明の便宜上、一部を不可視としている。
フランジ部4には、図7(a)、(b)に示すように、円筒部2kから搬送されてきた現像剤を一時的に収容するための中空の排出部(現像剤排出室)4cが設けられている。この排出部4cの底部には、排出部4cから現像剤の排出を許容する第1排出口4eが形成されている。この第1排出口4eの下には、シャッタ4bの第2排出口4aが配置されることになる。『排出口』としての第2排出口4aは、円筒部2kに設けられて内部の現像剤を排出する。また、第1排出口4eの上部には貯留部4dが設けられている。貯留部4dは、円筒部2kの内部で第2排出口4aに通じて現像剤を一定量で貯留可能な空間である。
また、排出部4cとポンプ部3aとの間には、抑制部としての隔壁20が設けられている。隔壁20によりポンプ部3a内の空間と排出部4cの空間は隔てられており、収容部2内の現像剤がポンプ部3aと排出部4cとを自由に行き来できないよう構成されている。また、図7(c)に示すように、隔壁20の一部には貯留部4dと連通する連通路20aが形成されている。この隔壁20および連通路20aの詳細については後述する。
さらに、フランジ部4には第1排出口4eを開閉するシャッタ4bが設けられている。このシャッタ4bには、補給容器1の装着動作に伴い第1排出口4eと連通し、補給装置201へ現像剤を補給するための小さな第2排出口4aが形成されている。シャッタ4bは補給容器1の装着部10への装着動作に伴い、装着部10に設けられた突当部21(図2(b)参照)と突き当たるように構成されている。
従って、シャッタ4bは、補給容器1の装着部10への装着動作に伴い、円筒部2kの回転軸線方向(図2(c)のM方向とは逆方向)へ補給容器1に対して相対的にスライドする。その結果、シャッタ4bの第2排出口4aが第1排出口4eと連通して開封動作が完了する。この時点で、第2排出口4aは装着部10の現像剤受入口13と位置が合致しているので互いに連通した状態となり、補給容器1からの現像剤の補給が可能な状態となる。
また、フランジ部4は、補給容器1が補給装置201の装着部10に装着されると、実質的に不動となるように構成されている。具体的には、フランジ部4が自ら円筒部2kの回転方向へ回転することがないように、図2(b)に示す回転方向規制部11が設けられている。従って、補給容器1が補給装置201に装着された状態では、フランジ部4に設けられている排出部4cも、円筒部2kの回転方向へ回転することが実質的に阻止された状態となる(ガタ程度の移動は許容する)。一方、円筒部2kは補給装置201により回転方向への規制は受けることなく、現像剤補給工程において回転する構成となっている。
また、図7(a)に示すように、円筒部2kから螺旋状の凸状の搬送突起2cにより搬送されてきた現像剤を、排出部4cへと搬送するための板状の搬送部材6が設けられている。この搬送部材6は、収容部2の一部の領域を略2分割するように設けられており、円筒部2kとともに一体的に回転する構成となっている。そして、この搬送部材6にはその両面に円筒部2kの回転軸線方向に対し、排出部4c側に傾斜した傾斜リブ6aが複数設けられている。『搬送部』としての傾斜リブ6aは、円筒部2kの内部で回転しつつ現像剤を搬送する部位である。
上記の構成により、搬送突起2cにより搬送されてきた現像剤は、円筒部2kの回転に連動してこの板状の搬送部材6により鉛直方向で下方から上方へと掻き上げられる。その後、円筒部2kの回転が進むに連れて、重力によって搬送部材6の表面上を滑り落ち、やがて傾斜リブ6aによって排出部4c側へと受け渡される。本構成においては、この傾斜リブ6aは、円筒部2kが半周する毎に現像剤が排出部4c及び貯留部4dへと送り込まれるように、搬送部材6の両面に設けられている。
(フランジ部の第2排出口について)
本例では、補給容器1の第2排出口4aについて、補給容器1が補給装置201に現像剤を補給する姿勢のとき、重力作用のみでは十分に排出されない程度の大きさに設定している。つまり、第2排出口4aの開口サイズは、重力作用のみでは補給容器1から現像剤の排出が不充分となる程度に小さく設定している(微細口(ピンホール)とも言う)。言い換えると、第2排出口4aが現像剤で実質的に閉塞されるようにその開口の大きさを設定している。これにより、以下の効果を期待できる。
(1)第2排出口4aから現像剤が漏れ難くなる。(2)第2排出口4aを開放した際の現像剤の過剰排出を抑制できる。(3)現像剤の排出をポンプ部3aによる排気動作に支配的に依存させることができる。そこで、本発明者等は、重力作用のみで十分に排出されない第2排出口4aをどのくらいの大きさに設定すべきか、検証実験を行った。以下、その検証実験(測定方法)とその判断基準を以下に説明する。
底部中央に排出口(円形状)が形成された所定容積の直方体容器を用意し、容器内に現像剤を200g充填した後、充填口を密閉し排出口を塞いだ状態で容器をよく振って現像剤を十分に解す。この直方体容器は、容積が約1000cm3、大きさは、縦90mm×横92mm×高さ120mmとなっている。
その後、可及的速やかに排出口を鉛直下方に向けた状態で排出口を開封し、排出口から排出された現像剤の量を測定する。このとき、この直方体容器は、排出口以外は完全に密閉されたままの状態とする。また、検証実験は温度24℃、相対湿度55%の環境下で行った。
上記手順で、現像剤の種類と排出口の大きさを変えて排出量を測定する。なお、本例では、排出された現像剤の量が2g以下である場合、その量は無視できるレベルであり、その排出口が重力作用のみでは十分に排出されない大きさであると判断した。
検証実験に用いた現像剤を表1に示す。現像剤の種類は、1成分磁性トナー、2成分現像器に用いられる2成分非磁性トナー、2成分現像器に用いられる2成分非磁性トナーと磁性キャリアの混合物である。
これらの現像剤の特性を表す物性値として、流動性を示す安息角の他に、粉体流動性分析装置(Freeman Technology社製 パウダーレオメータFT4)により、現像剤層の解れ易さを示す流動性エネルギーについて測定した。
この流動性エネルギーの測定方法について図8を用いて説明する。ここで図8は流動性エネルギーを測定する装置の模式図である。この粉体流動性分析装置の原理は、粉体サンプル中でブレードを移動させ、そのブレードが粉体中を移動するのに必要な流動性エネルギーを測定するものである。ブレードはプロペラ型で、回転すると同時に回転軸方向にも移動するためブレードの先端はらせんを描くことになる。
プロペラ型のブレード54(以下、ブレードと呼ぶ)として、径が48mmで、反時計回りになめらかにねじられたSUS製のブレード(型番:C210)を使用した。詳細には、48mm×10mmのブレード板の中心にブレード板の回転面に対して法線方向に回転軸が存在し、ブレード板の両最外縁部(回転軸から24mm部分)のねじれ角が70°、回転軸から12mmの部分のねじれ角が35°となっている。
流動性エネルギーとは、粉体層中に上述の如くらせん状に回転するブレード54を侵入させ、ブレードが粉体層中を移動する際に得られる回転トルクと垂直荷重の総和を時間積分して得られたトータルエネルギーを指す。この値が、現像剤粉体層の解れ易さを表しており、流動性エネルギーが大きい場合は解れにくく、流動性エネルギーが小さい場合は解れ易いことを意味している。
今回の測定では、図8に示す通り、この装置の標準部品であるφが50mmの円筒容器53(容積200cc、図8のL1=50mm)に各現像剤Tを粉面高さ70mm(図8のL2)となるように充填した。充填量は、測定する嵩密度に合せて調整する。更に、標準部品であるφ48mmのブレード54を粉体層に侵入させ、侵入深さ10〜30mm間に得られたエネルギーを表示する。
測定時の設定条件としては、ブレード54の回転速度(tip speed。ブレードの最外縁部の周速)を60mm/s、また、粉体層への鉛直方向のブレード進入速度を、移動中のブレード54の最外縁部が描く軌跡と粉体層表面とのなす角θ(helix angle。以後なす角と呼ぶ)が10°になるスピードとした。粉体層への垂直方向の進入速度は11mm/sである(粉体層への鉛直方向のブレード進入速度=ブレードの回転速度×tan(なす角×π/180))。また、この測定についても温度24℃、相対湿度55%の環境下で行った。
なお、現像剤の流動性エネルギーを測定する際の現像剤の嵩密度は、現像剤の排出量と排出口の大きさとの関係を検証する実験の際の嵩密度に近く、嵩密度の変化が少なく安定して測定ができる嵩密度として0.5g/cm3に調整した。
このようにして測定された流動性エネルギーをもつ現像剤(表1)について、検証実験を行った結果を図9に示す。図9は、排出口径と排出量との関係を、現像剤の種類毎に示したグラフである。
図9に示す検証結果より、現像剤A〜Eについて、排出口の直径φが4mm(開口面積が12.6mm2:円周率は3.14で計算、以下同じ)以下であれば、排出口からの排出量が2g以下になることが確認された。排出口の直径φが4mmよりも大きくなると、いずれの現像剤とも、排出量が急激に多くなることが確認された。つまり、現像剤の流動性エネルギー(嵩密度が0.5g/cm3)が4.3×10−4(kg・m2/s2(J))以上、4.14×10−3(kg・m2/s2(J))以下のとき、排出口の直径φが4mm(開口面積が12.6(mm2))以下であれば良い。
また、現像剤の嵩密度については、この検証実験では十分に現像剤を解して流動化した状態で測定を行っており、通常の使用環境で想定される状態(放置された状態)よりも嵩密度が低く、より排出し易い条件で測定を行っている。
次に、図9の結果から最も排出量が多くなる現像剤Aを用いて、排出口の直径φを4mmに固定して、容器内の充填量を30〜300gに振って、同様の検証実験を行った。その検証結果を図10に示す。図10の検証結果から、現像剤の充填量を変化させても、排出口からの排出量はほとんど変わらないことが確認できた。以上の結果から、排出口の直径φを4mm(面積12.6mm2)以下にすることで、現像剤の種類や嵩密度状態に依らず、排出口を下にした状態(補給装置201への補給姿勢を想定)で、排出口から重力作用のみでは十分に排出されないことが確認できた。
一方、第2排出口4aの大きさの下限値としては、補給容器1から補給すべき現像剤(1成分磁性トナー、1成分非磁性トナー、2成分非磁性トナー、2成分磁性キャリア)が少なくとも通過できる値に設定するのが好ましい。つまり、補給容器1に収容されている現像剤の粒径(トナーの場合は体積平均粒径、キャリアの場合は個数平均粒径)よりも大きい排出口にするのが好ましい。例えば、補給用の現像剤に2成分非磁性トナーと2成分磁性キャリアが含まれている場合、大きい方の粒径、つまり、2成分磁性キャリアの個数平均粒径よりも大きな排出口にするのが好ましい。
具体的には、補給すべき現像剤に2成分非磁性トナー(体積平均粒径が5.5μm)と2成分磁性キャリア(個数平均粒径が40μm)が含まれている場合、第2排出口4aの直径φを0.05mm(開口の面積0.002mm2)以上に設定するのが好ましい。
但し、第2排出口4aの大きさを現像剤の粒径に近い大きさに設定してしまうと、補給容器1から所望の量を排出させるのに要するエネルギー、つまり、ポンプ部3aを動作させるのに要するエネルギーが大きくなってしまう。また、補給容器1の製造上においても制約が生じる場合がある。射出成形法を用いて樹脂部品に第2排出口4aを成形するには、第2排出口4aの部分を形成する金型部品の耐久性が厳しくなってしまう。以上から、第2排出口4aの直径φは0.5mm以上に設定するのが好ましい。
なお、本例では、第2排出口4aの形状を円形状としているが、このような形状に限定されるものでは無い。つまり、直径が4mmの場合に相当する開口面積である12.6mm2以下の開口面積を有する開口であれば、正方形、長方形、楕円や、直線と曲線とを組合わせた形状等、に変更可能である。
但し、円形状の排出口は、開口の面積を同じとした場合、他の形状に比べて現像剤が付着して汚れてしまう開口の縁の周長が最も小さい。そのため、シャッタ4bの開閉動作に連動して広がってしまう現像剤の量も少なく、汚れ難い。また、円形状の排出口は、排出時の抵抗も少なく最も排出性が高い。従って、第2排出口4aの形状としては、排出量と汚れ防止のバランスが最も優れた円形状がより好ましい。
以上より、第2排出口4aの大きさについては、第2排出口4aを鉛直下方に向けた状態(補給装置201への補給姿勢を想定)で、重力作用のみで十分に排出されない大きさが好ましい。具体的には、第2排出口4aの直径φは、0.05mm(開口の面積0.002mm2)以上4mm(開口の面積12.6mm2)以下の範囲に設定するのが好ましい。さらに、第2排出口4aの直径φは、0.5mm(開口の面積0.2mm2)以上4mm(開口の面積12.6mm2)以下の範囲に設定するのがより好ましい。本例では、以上の観点から、第2排出口4aを円形状とし、その開口の直径φを2mmに設定している。
なお、本例では、第2排出口4aの数を1個としているがそれに限るものではなく、それぞれの開口面積が上述した開口面積の範囲を満足するように、第2排出口4aを複数設ける構成としても構わない。例えば、直径φが3mmの1つの現像剤受入口13に対して、直径φが0.7mmの第2排出口4aを2つ設ける構成である。但し、この場合、現像剤の排出量(単位時間当たり)が低下してしまう傾向となるため、直径φが2mmの第2排出口4aを1つ設ける構成の方がより好ましい。
(円筒部)
次に、現像剤収容室として機能する円筒部2kについて図6、図7を用いて説明する。『現像剤収容室』としての円筒部2kは、現像剤を収容可能な部屋である。円筒部2kは、図6、図7に示すように、円筒部2kの内面には、収容された現像剤を自らの回転に伴い、現像剤排出室として機能する排出部4c(第2排出口4a)に向けて搬送する搬送部として機能する螺旋状に突出した搬送突起2cが設けられている。また、円筒部2kは、上述した材質の樹脂を用いてブロー成型法により形成されている。
また、円筒部2kは、図7(b)に示すように、フランジ部4の内面に設けられたリング状のシール部材のフランジシール5bを圧縮した状態で、フランジ部4に対して相対回転可能に支持されている。
これにより、円筒部2kは、フランジシール5bと摺動しながら回転するため、回転中において現像剤が漏れることなく、また、気密性が保たれる。つまり、第2排出口4aを介した空気の出入りが適切に行われるようになり、補給中における、補給容器1の容積可変を所望の状態にすることができるようになっている。
(ポンプ部)
次に、往復動に伴いその容積が可変な(往復動可能な)ポンプ部3aについて図7を用いて説明する。図7(a)に示すポンプ部3aは、第2排出口4aを介して吸気動作と排気動作を交互に行わせる吸排気機構として機能する。言い換えると、ポンプ部3aは、第2排出口4aを通して補給容器1の内部に向かう気流と補給容器1から外部に向かう気流を交互に繰り返し発生させる気流発生機構として機能する。
ポンプ部3aは、少なくとも第2排出口4aに対して圧力を作用させるために円筒部2kの内部の容積を補給容器1の長手方向に変更可能な部位である。ポンプ部3aは、図7(b)に示すように、排出部4cから矢印X方向に設けられている。つまり、ポンプ部3aは排出部4cとともに、円筒部2kの回転方向へ自らが回転することがないように設けられている。
そして、本例では、ポンプ部3aとして、往復動に伴いその容積が可変な樹脂製の容積可変型ポンプ部(蛇腹状ポンプ)を採用している。具体的には、図7(b)に示すように、蛇腹状のポンプを採用しており、「山折り」部と「谷折り」部が周期的に交互に複数形成されている。従って、このポンプ部3aは、補給装置201から受けた駆動力により、圧縮、伸張を交互に繰り返し行うことができる。このようなポンプ部3aを採用することにより、補給容器1の容積を、可変させるとともに、所定の周期で、交互に繰り返し変化させることができる。その結果、小径(直径が約2mm)の第2排出口4aから貯留部4d内にある現像剤を効率良く、排出させることが可能となる。
(抑制部)
前述したが、図7(a)、図7(b)に示すように、補給容器1にはポンプ部3aと排出部4cの接続部近傍に、排出部4cとポンプ部3a内を隔てる隔壁20が設けられている。『抑制部』としての隔壁20は、ポンプ部3aと排出部4cとの接続部に設けられ、少なくとも排気動作時にポンプ部3aから生じて円筒部2kに向かうエアーの流れを抑制する。
また、図7(c)に示すように、隔壁20の一部には、貯留部4dと連通する連通路20aが形成されている。『通気部』としての連通路20aは、ポンプ部3aと貯留部4dとの間で通気可能な通路である。つまり、ポンプ部3aは連通路20aから貯留部4dを介して第2排出口4aあるいは排出部4cと連通する。したがって、前述のようにポンプ部3aを圧縮した際に発生する外部へ向かう気流は、図7(c)に示す矢印に沿って、まず貯留部4dへ作用し、その後、その大部分は第2排出口4aより外部へ排気される。
また同様に、ポンプ部3aを伸長したした際に発生する補給容器1の内部へ向かう気流は、図7(c)に示す矢印と逆方向に沿って、まず第2排出口4aより取り込まれ、貯留部4dから連通路20aを介してポンプ部3a内へ吸気される。つまり、本実施例の補給容器1においては、第2排出口4aより吸排気される気流は、主にポンプ部3aと貯留部4dと第2排出口4aとの間において連通路20aを介して行き来する構成となっている。したがって、本実施例の補給容器1においては、ポンプ部3aによって発生した気流が排出部4cや円筒部2kの全体へ拡散せず、結果として貯留部4d近傍において局所的に補給容器1外との圧力差が大きくなる。
また、貯留部4dの容積は排出部4cおよび円筒部2kと比較して非常に小さいため、前記した現像剤貯留部近傍で発生する局所的な圧力差は、従来例の補給容器1のように現像剤収容スペース全体に気流を作用させる構成と比較して非常に高くなる。
(駆動力受け機構)
次に、搬送突起2cを備えた円筒部2kを回転させるための回転駆動力を補給装置201から受ける、補給容器1の駆動力受け機構(駆動力受部、駆動力受け部)について説明する。補給容器1には、図6(a)に示すように、補給装置201の駆動ギア300(駆動機構として機能する)と係合(駆動連結)可能な駆動力受け機構として機能するギア部2dが設けられている。『駆動力受部』としてのギア部2dは、補給装置201の駆動ギア300から、傾斜リブ6aを回転させるための回転駆動力を受ける。このギア部2dは、円筒部2kと一体的に回転可能な構成となっている。
従って、駆動ギア300(図6参照)からギア部2dに入力された回転駆動力は、図11(a)、(b)の往復動部材3bを介してポンプ部3aへ伝達される仕組みとなっている。具体的には、駆動力変換機構で後述する。本例の蛇腹状のポンプ部3aは、その伸縮動作を阻害しない範囲内で、回転方向へのねじれに強い特性を備えた樹脂材を用いて製造されている。
なお、本例では、円筒部2kの長手方向(現像剤搬送方向)側にギア部2dを設けているが、このような例に限られるものではなく、例えば、収容部2の長手方向の他端側、つまり、最後尾側に設けても構わない。この場合、対応する位置に駆動ギア300が設置されることになる。
また、本例では、補給容器1のギア部2dと補給装置201の駆動ギア300との間の駆動連結機構としてギア機構を用いているが、このような例に限られるものではなく、例えば、公知のカップリング機構を用いるようにしても構わない。具体的には、駆動力受部として非円形状の凹部を設け、一方、補給装置201の駆動部として前述の凹部と対応した形状の凸部を設け、これらが互いに駆動連結する構成としても構わない。
(駆動力変換機構)
次に、補給容器1の駆動力変換機構(駆動変換部)について図11を用いて説明する。なお、本例では、駆動力変換機構の例としてカム機構を用いた場合について説明する。ここで、図11(a)はポンプ部3aが使用上で最大限に伸張された状態の部分図、図11(b)はポンプ部3aが使用上で最大限に収縮された状態の部分図、図11(c)はポンプ部3aの図である。
図11(a)に示すように、補給容器1には、ギア部2dが受けた円筒部2kを回転させるための回転駆動力を、ポンプ部3aを往復動させる方向の力へ変換する駆動力変換機構として機能するカム機構が設けられている。つまり、本例では、ギア部2dが受けた回転駆動力を、補給容器1側で往復動力へ変換することで、円筒部2kを回転させる駆動力とポンプ部3aを往復動させる駆動力を、1つの駆動力受部(ギア部2d)で受ける構成としている。
これにより、補給容器1に駆動力受部を2つ別々に設ける場合に比して、補給容器1の駆動入力機構の構成を簡易化することが可能となる。更に、補給装置201の1つの駆動ギアから駆動を受ける構成としたため、補給装置201の駆動機構の簡易化にも貢献することができる。
図11(a)、(b)に示すように、回転駆動力をポンプ部3aの往復動力に変換する為に介する部材としては往復動部材3bを用いている。具体的には、駆動ギア300から回転駆動を受けた駆動力受部(ギア部2d)と、一体となっている全周に溝が設けられているカム溝2eが回転する。このカム溝2eについては後述する。このカム溝2eには、往復動部材3bから一部が突出した係合突起3cがカム溝2eに係合している。
そして、『駆動力変換部』としてのカム溝2e、往復動部材3bは、ギア部2dが傾斜リブ6aを回転させるためにも受けた回転駆動力を、ポンプ部3aが補給容器1の長手方向に動作して現像剤を搬送する搬送駆動力へと変換する。なお、本例では、この往復動部材3bは図11(c)に示すように、円筒部2kの回転方向へ自らが回転することがないように(ガタ程度は許容する)回転規制部3fによって円筒部2kの回転方向が規制されている。このように、回転方向が規制されることで、カム溝2eの溝に沿って(図7の矢印X方向もしくは逆方向)往復動するように規制されている。
さらに、係合突起3cはカム溝2eに複数の個所で係合するように設けられている。具体的には、円筒部2kの外周面に2つの係合突起3cが約180°対向するように設けられている。ここで、係合突起3cの配置個数については、少なくとも1つ設けられていれば構わない。但し、ポンプ部3aの伸縮時の抗力により駆動力変換機構等にモーメントが発生し、スムーズな往復動が行われない恐れがあるため、後述するカム溝2eの形状との関係が破綻しないよう複数個設けるのが好ましい。
つまり、駆動ギア300から入力された回転駆動力でカム溝2eが回転する。カム溝2eに沿って係合突起3cが矢印X方向もしくは逆方向に往復動作をする。このことで、ポンプ部3aが伸張した状態(図11(a))とポンプ部3aが収縮した状態(図11(b))を交互に繰り返すことで、補給容器1の容積可変を達成することができる。
(駆動力変換機構の設定条件)
本例では、駆動力変換機構は、円筒部2kの回転に伴い排出部4cへ搬送される現像剤搬送量(単位時間当たり)が、排出部4cからポンプ部3aの作用により補給装置201へ排出される量(単位時間当たり)よりも多くなるように駆動変換している。
これは、排出部4cへの搬送突起2cによる現像剤の搬送能力に対してポンプ部3aによる現像剤の排出能力の方が大きいと、排出部4cに存在する現像剤の量が次第に減少してしまうからである。つまり、補給容器1から補給装置201への現像剤補給に要する時間が長くなってしまうことを防止するためである。
また、本例では、駆動力変換機構は、円筒部2kが1回転する間にポンプ部3aが複数回で往復動するように、駆動変換している。これは以下の理由に依るものである。
円筒部2kを補給装置201内で回転させる構成の場合、駆動モータ500は円筒部2kを常時安定して回転させるために必要な出力に設定するのが好ましい。但し、画像形成装置100における消費エネルギーを可能な限り削減するためには、駆動モータ500の出力を極力小さくする方が好ましい。ここで、駆動モータ500に必要な出力は、円筒部2kの回転トルクと回転数から算出されることから、駆動モータ500の出力を小さくするには、円筒部2kの回転数を可能な限り低く設定するのが好ましい。
しかし、本例の場合、円筒部2kの回転数を小さくしてしまうと、単位時間当たりのポンプ部3aの動作回数が減ってしまうことから、補給容器1から排出される現像剤の量(単位時間当たり)が減ってしまう。つまり、装置本体100Aから要求される現像剤の補給量を短時間で満足させるには、補給容器1から排出される現像剤の量では不足してしまう恐れがある。
そこで、ポンプ部3aの容積変化量を増加させれば、ポンプ部3aの1周期当たりの現像剤排出量を増やすことができるため、装置本体100Aからの要求に応えることが可能となるが、このような対処方法では以下のような問題がある。つまり、ポンプ部3aの容積変化量を増加させると、排気工程における補給容器1の内圧(正圧)のピーク値が大きくなるため、ポンプ部3aを往復動させるのに要する負荷が増大してしまう。
このような理由から、本例では、円筒部2kが1回転する間にポンプ部3aを複数周期動作させているのである。これにより、円筒部2kが1回転する間にポンプ部3aを1周期しか動作させない場合に比して、ポンプ部3aの容積変化量を大きくすることなく、単位時間当たりの現像剤の排出量を増やすことが可能となる。そして、現像剤の排出量を増やすことができた分、円筒部2kの回転数を低減することが可能となる。従って、本例のような構成とすることにより、駆動モータ500をより小さい出力に設定できるため、装置本体100Aでの消費エネルギーの削減に貢献することができる。
(駆動力変換機構の配置位置)
本例では、図11に示すように、駆動力変換機構(係合突起3cとカム溝2eにより構成されるカム機構)を、収容部2の外部に設けている。つまり、駆動力変換機構を、円筒部2k、ポンプ部3a、排出部4cの内部に収容された現像剤と接触することが無いように、円筒部2k、ポンプ部3a、排出部4cの内部空間から隔てられた位置に設けている。
これにより、駆動力変換機構を収容部2の内部空間に設けた場合に想定される問題を解消することができる。つまり、駆動力変換機構の摺擦箇所への現像剤の侵入により、現像剤の粒子に熱と圧が加わって軟化していくつかの粒子同士がくっついて大きな塊(粗粒)となることや、変換機構への現像剤の噛み込みによりトルクアップするのを防止することができる。以下に補給容器1による補給装置201への現像剤補給工程について説明する。
(現像剤補給工程)
次に、図11、図12を用いて、ポンプ部3aによる現像剤補給工程について説明する。図12は前述の駆動力変換機構(係合突起3cとカム溝2eにより構成されるカム機構)における、カム溝2eの展開図を示したものである。カム溝eの詳細については後述する。
本例では、後述のように、ポンプ部動作による吸気工程(第2排出口4aを介した吸気動作)と排気工程(第2排出口4aを介した排気動作)とポンプ部非動作による動作停止工程(第2排出口4aから吸排気が行われない)が行われる。そして、駆動力変換機構が回転駆動力を往復動力へ変換する構成となっている。以下、吸気工程と排気工程と動作停止工程について、順に、詳細に説明する。
(吸気工程)
まず、吸気工程(第1排出口4e及び第2排出口4aを介した吸気動作)に関して説明する。前述の駆動変換機構(カム機構)は、図11(b)に示されるポンプ部3aが最も縮んだ状態から図11(a)に示されるポンプ部が最も伸びた状態にすることで、吸気動作が行われる。その際に、補給容器1の内部は、第2排出口4aを除いて実質的に密閉された状態となっており、更に、第2排出口4aが現像剤Tで実質的に塞がれた状態となっている。そのために、補給容器1の内容積の増加に伴って、補給容器1の内圧が減少する。
このときに、補給容器1の内圧(貯留部4dの近傍及びポンプ部3aの内部の局所的な内圧)が大気圧(外気圧)よりも低くなる。そのために、補給容器1の外部のエアーが、補給容器1の内外の気圧差によって第2排出口4aを通って補給容器1の内部へと移動する。具体的には、前述のように、隔壁20と連通路20aにより、第2排出口4aより取り込まれたエアーは、貯留部4d、連通路20aを順に通ってポンプ部3aの内部へと移動する。このときに、エアーは、排出部4cへはほとんど拡散しない。
この際に、エアーが外部から第2排出口4aを介して補給容器1の内部に取り込まれるので、第2排出口4aの上部に形成される貯留部4dの内部の現像剤が解される(流動化される)。具体的には、貯留部4dの内部の現像剤は、エアーが含まれることで、嵩密度が低下して、現像剤Tが適切に流動化する。
本実施例では、隔壁20があることで、第2排出口4aから取り込まれたエアーは、排出部4cの内部へと拡散しないで、貯留部4dの内部から直接にポンプ部3aへと向かう。従って、補給容器1では、ポンプ部3aによって発生した気流が、排出部4cや円筒部2kの全体へと拡散しない。その結果、貯留部4dの近傍で、局所的に補給容器1の外部との圧力差が大きくなる。
また、貯留部4dの容積は、排出部4c及び円筒部2kと比較して非常に小さいので、前述の貯留部4dの近傍に発生する局所的な圧力差は、従来例の補給容器1のように収容スペースの全体に気流を作用させる構成と比較して非常に高くなる。そのために、物流の振動等で貯留部4dの内部の現像剤が圧密した状態となっても、確実に現像剤を流動化させることができる。また、エアーが第2排出口4aを介して補給容器1の内部に取り込まれるために、補給容器1の内圧は、その容積が増加しているにも関わらず大気圧(外気圧)近傍に推移する。
このように、現像剤を流動化させておくと、後述する排気動作時に、現像剤Tが第2排出口4aに詰まってしまうことを防ぐことができ、第2排出口4aから現像剤をスムーズに排出させることができる。従って、第2排出口4aから排出される現像剤Tの量(単位時間当たりの量)を、長期に亘り、ほぼ一定とすることができる。
なお、吸気動作が行われるために、ポンプ部3aが最も縮んだ状態から最も伸びた状態になることに限らず、ポンプ部3aが最も縮んだ状態から最も伸びる状態途中で停止したとしても、補給容器1の内圧変化が行われれば吸気動作は行われる。つまり、吸気工程とは、係合突起3cが図12に示すカム溝2hに係合している状態のことである。
(排気工程)
次に、排気工程(第2排出口4aを介した排気動作)について説明する。図11(a)に示すポンプ部3aが最も伸びた状態から図11(b)に示すポンプ部3aが最も縮んだ状態になることで、排気動作が行われる。具体的には、この排気動作に伴って補給容器1の容積が減少する。その際に、補給容器1の内部は、第2排出口4aを除いて実質的に密閉されており、現像剤が排出されるまでは、第2排出口4aが現像剤Tで実質的に塞がれた状態となっている。従って、ポンプ部3aを圧縮する事により、補給容器1の内圧が上昇する。
このとき、補給容器1の内圧は大気圧(外気圧)よりも高くなるため、現像剤Tは補給容器1内外の圧力差により、第2排出口4aから押し出される。本実施例においては、前述したように隔壁20に形成された連通路20aを介してポンプ部3aが貯留部4dから第2排出口4aと連通する構成である。したがって、ポンプ部3aを圧縮したことによる外部へ向かう気流は、そのほとんどが排出部4c内に拡散せず、貯留部4dに集中して作用する。したがって、吸気工程によって流動化された貯留部4d内の現像剤Tを安定して排出する事ができる。また、現像剤Tとともに補給容器1内のエアーも排出されていくため、補給容器1の内圧は低下する。
以上のように、本実施例では、隔壁20が設けられることで、エアーが貯留部4dに効果的に作用する。その結果、従来の補給容器1に比べて、少ないエアーの排気量で安定的に現像剤Tを排出することができる。
なお、排気動作が行われる為に、ポンプ部3aが最も伸びた状態から最も縮んだ状態になることに限らず、ポンプ部3aが最も伸びた状態から最も縮む状態途中で停止したとしても、補給容器1の内圧変化が行われれば排気動作は行われる。つまり、排気工程とは、係合突起3cが図12に示すカム溝2gに係合している状態のことである。
(動作停止工程)
次に、ポンプ部3aが往復動作しない動作停止工程について説明する。本例では、前述したように磁気センサ800cや現像剤センサ10dの検出結果に基づいて制御装置600が駆動モータ500の動作を制御する構成となっている。この構成では、補給容器1から排出される現像剤量がトナー濃度に直接影響を与えるので、画像形成装置が必要とする現像剤量を補給容器1から補給する必要がある。このとき、補給容器1から排出される現像剤量を安定させるために、毎回決まった容積可変量を行うことが望ましい。
例えば、排気工程と吸気工程のみで構成されたカム溝2eにすると、排気工程もしくは吸気工程途中でモータ駆動を停止させることになる。その際、駆動モータ500が回転停止後も惰性で円筒部2kが回転し、円筒部2kが停止するまでポンプ部3aも連動して往復動作し続けることとなり、排気工程もしくは吸気工程が行われることとなる。惰性で円筒部2kが回転する距離は、円筒部2kの回転速度に依存する。さらに、円筒部2kの回転速度は駆動モータ500へ与えるトルクに依存する。このことから、補給容器1内の現像剤量によってモータへのトルクが変化し、円筒部2kの速度も変化する可能性があることから、ポンプ部3aの停止位置を毎回同じにすることが難しい。
そこで、ポンプ部3aを毎回決まった位置で停止させるためには、カム溝2eに、円筒部2kが回転動作中でもポンプ部3aが往復動しない領域を設ける必要がある。本例では、ポンプ部3aを往復動させないために、図12に示すカム溝2iを設けている。カム溝2iは、円筒部2kの回転方向に溝が掘られており、回転しても往復動部材3bが動かないストレート形状である。つまり、動作停止工程とは、係合突起3cがカム溝2iに係合している状態のことである。
また、上記のポンプ部3aが往復動しないとは、第2排出口4aから現像剤が排出されないこと(円筒部2kの回転時振動等で第2排出口4aから落ちてしまう現像剤は許容する)である。つまり、カム溝2iは第2排出口4aを通じた排気工程、吸気工程が行われなければ、回転方向に対して回転軸方向に傾斜していても構わない。さらに、カム溝2iが傾斜していることから、ポンプ部3aの傾斜分の往復動作は許容できる。
(補給容器1の内圧の推移)
次に、補給容器1の内圧がどのように変化するかについての実証実験を行った。以下、この検証実験に関して説明する。補給容器1の内部の現像剤の収容スペースが現像剤で満たされるように現像剤を充填した上で、ポンプ部3aを5cm3の容積変化量で伸縮させた際の、補給容器1の内圧の推移を測定した。補給容器1の内圧の測定は、補給容器1に圧力計(株式会社キーエンス社製、型名:AP−C40)を接続して行った。
図13(a)は、補給容器1のシャッタ4bが開かれて第2排出口4aが外部のエアーと連通可能にした状態で、ポンプ部3aが伸縮動作させるときの圧力変化の推移を示すグラフである。縦軸は、大気圧(基準圧力(1kPa))に対する補給容器1の内部の相対的な圧力[kPa]を示す。ここで、+が正圧側であり、−が負圧側である。横軸は時間[sec]である。図13(a)において、実線はポンプ部3a内の圧力推移を示し(≒貯留部4dに作用する圧力)、破線は排出部4c内の圧力推移を示している。
補給容器1の容積が増加すると、補給容器1の内圧が外部の大気圧に対して負圧になると、その気圧差により第2排出口4aからエアーが取り込まれる。また、補給容器1の容積が減少すると、補給容器1の内圧が大気圧に対して正圧となり、内部の現像剤に圧力がかかる。このときに、現像剤及びエアーが排出された分だけ内部の圧力が緩和される。
この検証実験により、補給容器1の容積が増加すると、補給容器1の内圧が外部の大気圧に対して負圧になり、その気圧差によりエアーが取り込まれることが確認された。また、本実施例の補給容器1では、ポンプ部3aの内部と排出部4cの内部の負圧側の圧力は、△P1だけポンプ部3aの内部が大きくなることが確認された。つまり、ポンプ部3aと排出部4cとを隔てる隔壁20を設け、ポンプ部3aと貯留部4dとを直接に連通する連通路20aを設けることにより、ポンプ部3aによって発生させる気流を貯留部4dに作用させることができると確認された。
図13(b)は、従来例の補給容器を用いて本実施例の補給容器1と同様の検証事件を実施した際のグラフである。図13(b)に示されるように、本実施例と従来例との補給容器1のポンプ部3aの内圧を比較した。なお、図13(b)の縦軸と横軸の意味は、図13(a)の場合と同様である。図13(b)のグラフから明らかなように、本実施例の補給容器1は、従来例の補給容器に比較して、正圧側で△P2、負圧側で△P3だけ、大気圧に対する相対的な圧力が大きくなることが確認された。つまり、本実施例の補給容器1の場合には、従来例の補給容器に比べて、貯留部4dの内部の現像剤に対して、より大きなエアーを作用させることができることが確認された。
前述のように、本実施例1の補給容器1によれば、隔壁20が設けられることで、ポンプ部3aが伸縮動作することで発生したエアーの流れが貯留部4dに効果的に作用する。従って、従来の補給容器の場合に比べて貯留部4dの内部を容易に圧密状態にして現像剤Tが流動化される。
図18(a)は、実施例2に係る補給容器1に関して、特にフランジ部4の構成を収容部2の側から見た斜視図である。図18(b)は、フランジ部4の断面図である。実施例2の補給容器1は、実施例1の補給容器1に対して、隔壁20、連通路20a、搬送部材6の構成の一部が異なる。
図18(b)に示されるように、フランジ部4は、ポンプ部3aと収容部2とを隔てる抑制部としての隔壁20を有する。隔壁20の収容部2側の略中心付近には、円環リブ20bが形成される。円環リブ20bの内側には、軸シール部材22が設けられる。また、円環リブ20bの内側には、連通路20aが形成される。連通路20aは、ポンプ部3a、後述の開口7e、貯留部4dと共に、気流を通過させる。
連通路20aは、貯留部4d側(下方側)が円弧で形成される半円状に形成される。なお、本実施例では、軸シール部材22は、オイルシール(NOK社製)を用いており、後述する搬送部材6に形成された円筒軸部7kと嵌合し現像剤およびエアーが漏れるのを防ぐ。また、軸シール部材22には、現像剤やエアーの漏れを防ぐために例えばオイルシール以外に発砲ウレタン等のスポンジ状の素材を設けても良い。
あるいは、後述する円筒軸部7kの外径と円環リブ20bの内径とのクリアランスを小さくして嵌合状態として現像剤やエアーの漏れを抑制しても良く、製品スペック等により適宜選択することが望ましい。なお、フランジ部4のその他の構成に関しては、実施例1と同様である。
(規制部)
次に、本実施例の最も特徴的な構成である規制部7に関して説明する。図18、図14、図15、図16、図17、図19を用いて具体的に説明する。図14(a)は、補給容器1に内装される搬送部材6の斜視図である。図14(b)は、搬送部材6の側面図である。図14(c)は、搬送部材6の正面図である。図15、図16、図17中で、(a)は、補給容器1の補給動作時の内部の様子を示す図19のポンプ部3a側から見たA−A断面図である。図15、図16、図17中で、(b)は、補給容器1の補給動作時の内部の様子を示す図19のB−B断面図である。
図14(a)に示されるように、規制部7は、搬送部材6におけるポンプ部3a側の端部に一体的に設けられる。そのために、円筒部2kと一体で回転する搬送部材6の回転に伴い、規制部7が連動して回転する。規制部7は、貯留部4dに対して現像剤の流入を規制する規制位置と、貯留部4dに対して現像剤の流入を規制しない非規制位置と、に移動可能な部位と言える。
規制部7は、スラスト壁7a、7bと、ラジアル壁7c、7dと、を備える。
スラスト壁7a、7bは、回転軸方向に幅S(図14(c)参照)だけ離間して平行に配置される2枚の壁である。ラジアル壁7c、7dは、回転方向で面を有する2枚の壁である。また、2枚のスラスト壁7a、7bと、2枚のラジアル壁7c、7dの回転軸中心から離間する外端部に囲まれた箇所に、貯留部4dと連通可能な貯留部開口7fが形成される。
つまり、貯留部開口7fの回転軸のスラスト方向の位置は、貯留部4dに対して、少なくとも一部が重なり合う位置に配置される。また、円筒軸部7kは、スラスト壁7aにおけるポンプ部3a側の回転中心付近に形成されており、前述の円環リブ20bの軸シール部材22に挿入されて、搬送部材6を軸支する。
円筒軸部7kにおけるポンプ部3a側の端面には、貯留部開口7fと連通する開口7eが形成される。そして、2枚のスラスト壁7a、7bと2枚のラジアル壁7c、7dに囲まれた規制部7の内側には、開口7eと貯留部開口7fが連通可能な連通路7gが形成される。規制部7は、ポンプ部3aの排気の動作時に規制位置に移動して貯留部4dの少なくとも一部を覆ってポンプ部3aにより生じるエアーの流れを誘導する。この連通路7gは、図14(a)中の破線矢印の部位で、スラスト壁7a、7bとラジアル壁7c、7dに囲まれる空間である。『通気部』としての連通路7gは規制部7の一部に形成されると言える。開口7eは、連通路7gから貯留部開口7fを介して貯留部4dと連通可能である。
次に、現像剤の補給工程時の規制部7の動作に関して図15、図16、図17、図18を用いて説明する。図15は、補給容器1は、ポンプ部3aの動作しない動作停止工程の状態に相当する。このときに、規制部7は搬送部材6の回転に伴って回転するが、規制部7の貯留部開口7fは、排出部4cの底部の第1排出口4e及び第2排出口4aを覆っていない状態となる。また、ポンプ部3aは、動作停止工程のために往復動することなく、貯留部4dの近傍の内圧が変化しない。
更に、図15(b)に示されるように、開口7eは、隔壁20によって封止されており、連通路20aと非連通となっている。つまり、貯留部4dとポンプ部3aとは非連通状態となっている。その結果、貯留部4dに対して規制部7が作用することがなく、搬送部材6によって貯留部4dの上部の近傍へと搬送される現像剤Tが、貯留部4dの内部に流れ込み、貯留される状態(現像剤の流入の非規制状態)となる。この状態から搬送部材6が回転すると、図16の状態にある。
図16にて、ポンプ部3aは、最も縮んだ状態から最も伸びた状態へと向かう途中の状態、即ち、吸気工程である。このときに、規制部7は、搬送部材6の回転に伴って回転して、貯留部開口7fが貯留部4dの上部を覆ってない状態から、貯留部開口7fが貯留部4dの上部を覆う状態へと、なる。また、図16(b)に示すように、貯留部4dを覆う側の貯留部開口7fと連通している開口7eが連通路20aと一部が連通している状態となる。すなわち、ポンプ部3a内は連通路20aから開口7e、貯留部開口7fを介して貯留部4dと連通している。尚、他方の開口7eは隔壁20により封止されている。
この状態で、ポンプ部3aが吸気工程のため、ポンプ部3aが伸長すると、ポンプ部3a内の圧力が減圧状態となり、補給容器1外のエアーが、補給容器1内外の圧力差により、図16(c)のように、第2排出口4aを通って補給容器1内へと移動する。具体的には、第2排出口4aより取り込まれたエアーは貯留部4dを通り、貯留部開口7f、開口7eを介して連通路20aよりポンプ部3a内へ向かう。この時、図16(c)に示すように、ポンプ部3aは排出部4cと隔壁20にて隔てられているため、排出部4c内へはエアーはほとんど拡散しない。
その結果、前述の工程で貯留部4dに貯留された現像剤Tは、第2排出口4aより取り込まれたエアーを含むことで、嵩密度が低下し、流動化した状態となる。また、排出部4cへ取り込まれたエアーが拡散しない事で、貯留部4dを通過するエアーの勢いが大きくなり、物流により圧密状態になった貯留部4d内の現像剤であっても流動化させる事ができる。
また、貯留部4d上部の状態は、規制部7の回転に伴い、規制部7の貯留部開口7fが貯留部4d上部を覆うことによって、規制部7の回転方向下流側のラジアル壁7cが、貯留部4d上部の現像剤Tを押し退ける状態となる。さらに、貯留部4dの上部に対して、規制部7の貯留部開口7fが一部を覆った状態となる。その結果、規制部7のスラスト壁7a、7b、ラジアル壁7c、7dにより、貯留部4dの上部近傍の現像剤Tの貯留部4d内への流入が規制された状態(現像剤流入規制状態)となる。この状態からさらに搬送部材6が回転することで、図17の状態となる。
図17にて、ポンプ部3aは最も伸びた状態から最も縮んだ状態へ向かう途中の状態、すなわち排気工程となっている。このときに、規制部7は、搬送部材6の回転に伴って回転して、貯留部開口7fの少なくとも一部が貯留部4dの上部を覆った状態となる。また、図17(b)に示すように、開口7eは連通路20aと連通した状態となっている。つまり、図16(b)の状態と同様に、ポンプ部3a内は連通路20aから開口7e、貯留部開口7fを介して貯留部4dと連通している。
尚、他方の開口7eは隔壁20により封止されている。つまり、エアーの流れはポンプ部3a内より積極的に貯留部4dへ向かい排出部4c側へ拡散する事はほとんどない。この状態において、ポンプ部3aが排気工程のために縮むことで、補給容器1内の内圧、具体的には貯留部4d近傍の内圧が大気圧よりも高くなる。その結果、前述の吸気工程で貯留部4d内の流動化された現像剤Tが、第2排出口4aを通してエアーとともに補給装置201へ排出される。
また、この排気工程においても、貯留部4dの上部の状態は、前述の吸気工程に続き、規制部7の回転に伴い、規制部7の回転方向の下流側のラジアル壁7cが、貯留部4d上部のトナーを押し退けている状態となる。さらに、貯留部4dの上部に対して、規制部7の貯留部開口7fの一部が常に覆った状態となる。その結果、排気工程時においては常に、規制部7のスラスト壁7a、7b、ラジアル壁7c、7dにより、貯留部4d上部近傍の現像剤Tの貯留部4d内への流入が規制された状態(現像剤流入規制状態)となる。
ここで、排気工程時の貯留部4d内の現像剤Tに対して作用する補給容器1内のエアーの流れについてより具体的に記述する。本構成における、排気工程時の貯留部4dに対してのエアーの流れは以下に記す2通りが挙げられる。1つは、エアーが、ポンプ部3a、隔壁20の連通路20a、規制部7の開口7e、規制部7の内部の連通路7g、貯留部開口7f、の順に移動して、貯留部4d内の現像剤Tに作用するエアーの流れである。
もう1つは、エアーが、ポンプ部3a、隔壁20の連通路20a、規制部7の開口7e、規制部7の内部の連通路7g、貯留部開口7f、の順に移動して、
貯留部4dの上部と規制部7の下端との間の隙間を通過して排出部4c又は円筒部4kの現像剤Tに作用するエアーである。
しかし、以下の理由から、排気工程時の貯留部4dに対してのエアーの流れは、前者のエアーの流れが主流となる。
排気工程時に、貯留部4d上部を覆った規制部7の貯留部開口7f外周近傍の現像剤Tは、規制部7のスラスト壁7a、7b、ラジアル壁7c、7dにより、貯留部4d内への流入を規制されている。したがって規制部7の貯留部開口7f外周近傍の排出部4c内は現像剤Tが滞留している。したがって、排出部4cにエアーが流れようとすると現像剤Tの抵抗を受ける。この時、同様に貯留部4d内の現像剤Tもエアーの流れに対して抵抗があるが、本実施例においては吸気工程において、第2排出口4aより取り込まれたエアーは隔壁20によって排出部4c側へ発散せず、貯留部4d内を積極的に流動化させる構成である。
従って、排出部4cに滞留した現像剤Tのエアーの流れに対する抵抗と、貯留部4dの内部の現像剤Tのエアーの流れに対する抵抗と、を比較すると、後者の方がはるかに小さい。その結果、排気工程時の主となるエアーの流れは、エアーの流れに対して現像剤Tによる抵抗が小さい貯留部4dへと向かう。排気工程時においては、規制部7内部の連通路7gを通過したエアーにより、連通路7gと連通可能な貯留部4d内の現像剤Tが、エアーの流れと共に補給装置201へ排出されることになる。また、上述したように、排気工程時には、貯留部4dは、規制部7により常に現像剤Tの流入が規制される現像剤の流入の規制状態のため、貯留部4d内にはほぼ一定量の現像剤が貯留されている。
さらに、排気工程時の補給容器1内の内圧は、エアーの流れとともに、貯留部4dの内部の現像剤Tが排出された時点で、補給容器1の内外の空間が連通するため、補給容器1内の内圧は大気圧と同等の圧力にリセットされる。よって、貯留部4d内の現像剤Tが排出された以後は、補給容器1から現像剤Tを排出する圧力差によるエアーの流れは発生せず、現像剤Tは排出されない。よって、排気工程時においては、貯留部4d内に貯留された一定量の現像剤Tのみが排出されるため、非常に高い補給精度で補給装置201へ現像剤Tを排出可能となる。
また、物流の振動により例えば連通路7g内で現像剤Tが圧密状態となったとしても、本実施例によればポンプ部3aの圧縮によって発生したエアーの流れが連通路7g内のみを通過して貯留部4dへ向かうため、上記圧密状態を確実に解消することができる。したがって、より安定的に貯留部4dへエアーを作用させることができ、補給装置201に安定的に現像剤Tを排出する事ができる。また、本実施例の補給容器1は連通路7g内を吸排気エアーが必ず通過するため、連通路7g内に付着した現像剤Tを減少させる事ができ、安定的に貯留部4dに吸排気エアーを作用させる事ができる。
[変形例]
図21は、実施例2の変形例に係る補給容器1の搬送部材6の拡大斜視図である。実施例2の構成と同一内容に関しては同一符号を付して説明を省略する。図21に示されるように、変形例の補給容器1では、隔壁20が搬送部材6に形成され、『抑制部』としての隔壁20は、規制部7の開口7eと一体となっている。隔壁20は、規制部7に取付けられる。したがって、ポンプ部3a内は開口7e、連通路7g、貯留部開口7fを介して貯留部4dと連通している。尚、隔壁20の外径(規制部7の外径と同義)と排出部4cの内径とは、フランジ部4に対して搬送部材6の相対回転がスムーズに行われるようにクリアランスが設けられている。ただし、そのクリアランスは微小であり、ポンプ部3aの伸縮動作に伴うエアーの流れに対してほとんど影響しない。
したがって、隔壁20の吸気工程、排気工程における機能やそれに伴うエアーの流れ等は実施例2の補給容器1と同様である。本構成は、隔壁20と規制部7のスラスト壁7aが同一面に形成されており、前述した実施例2の補給容器1に対してスラスト方向のスペースを小さくすることができる。具体的には、実施例2の補給容器1では、隔壁20とスラスト壁7aを別体とし、隔壁20(フランジ部4に形成)とスラスト壁7a(搬送部材6に形成)は相対回転する。そのため、双方のスラスト位置は相対回転をスムーズに行うためにクリアランスを必要とする。
つまり、本構成に対して、クリアランス(本実施例では約1mm)分と隔壁20の肉厚(本実施例では約1.5mm)分を足した分だけスラスト方向のスペースを必要とする。したがって、補給容器1のスラスト方向のスペースを小さくしたい場合、本変形例の構成を採用することは有用であるといえる。
図22(a)は、実施例3に係る補給容器1の内部のフランジ部4の斜視図である。図22(b)は、排気工程における本実施例の搬送部材6及びフランジ部4の位置関係を示す断面図である。実施例3中で、実施例1や実施例2と同一の構成に関しては、同一の符号を付して説明を省略する。本実施例のフランジ部4は、実施例2と比べて、隔壁20の一部が異なる。
(フランジ部)
図22(a)に示されるように、フランジ部4は隔壁20を有する。隔壁20の一部には『通過可能口』としての連通路20cが形成される。連通路20cは、連通路20aよりも鉛直可能に形成されると共にポンプ部3aと円筒部2kとの間で連通して現像剤Tが通過可能である。連通路20cは、貯留部4dの上部よりも上でその近傍に形成される。
また、図22(a)(b)に示されるように、補給容器1の回転軸線方向から見ると、連通路20cの幅方向の大きさは、貯留部4dを仮想的に鉛直方向に延ばしたライン上に含まれる大きさに設定される。また、ポンプ部3aが排気工程に移行する工程にて、補給容器1の回転軸線方向から見ると、規制部7が連通路20cと対向する位置に位置しており、規制部7が連通路20cから現像剤Tが出るのを少しだけ抑制するようになっている。また、連通路20cの大きさは、ポンプ部3aにて発生したエアーの流れを連通路20aに積極的に作用させるために、連通路20aよりも面積が小さくなるよう形成されている。
(吸気工程)
補給容器1の吸気工程を説明する。補給容器1はポンプ部3aが伸長することで外部からエアーが取り込まれ、現像剤Tが十分に収容されている初期排出状態になり、現像剤Tが連通路20c近傍に滞留する。第2排出口4aより取り込まれたエアーは貯留部4dを介して開口7e、連通路20aよりポンプ部3a内に取り込まれる。貯留部4d内の現像剤Tは取り込まれたエアーにより流動化される。ここで、実施例2及び本実施例の補給容器1の双方で、僅かながら連通路20aよりポンプ部3a内に現像剤Tがエアーと共に取り込まれる。そのため、現像剤Tの収容量が多い初期状態から、現像剤Tの収容量が少ない排出の末期状態までの間に相当量の現像剤Tがポンプ部3a内に取込まれ蓄積する。
(排気工程)
続いて、本実施例の補給容器1の排気工程について説明する。本実施例の補給容器1において、吸気工程の後、図17(c)に示したのと同様にポンプ部3aが圧縮され補給容器1内のエアーが補給容器1外に現像剤Tとともに排出される。排出初期状態では、現像剤Tが補給容器1に十分に収容されており、現像剤Tが連通路20c近傍に滞留しているためエアーの流れに対して抵抗となり、連通路20cへはエアーはほとんど流れない。したがって、排気されるエアーは実施例2の補給容器1同様に連通路20aを介して開口7eから貯留部4dを通り第2排出口4aより現像剤Tとともに排出される。
上記したように、本実施例では、補給容器1内に現像剤Tが多く収容されている排出初期状態において、吸排気工程における貯留部4dに対するエアーの流れや作用は実施例2の補給容器1と何ら変わらない。
しかしながら、補給容器1内に収容された現像剤Tが少なくなる排出末期状態において実施例2の補給容器1と異なるエアーの流れおよび現像剤Tの挙動が発生する。具体的には、排出末期状態において、吸気工程時に第2排出口4aより取り込まれたエアーの流れは、排出初期状態と同様に貯留部4dを介して開口7e、連通路20aよりポンプ部3a内に向かう流れがある。また、それとは別に貯留部4dを介して、連通路20cよりポンプ部3a内に向かう流れがある。この2種類となる。
これは、現像剤Tが少なくなることにより、貯留部4d近傍に滞留する現像剤Tが少なくなるためである。この場合、吸気エアーの流れが分散するため、貯留部4d内の通るエアーの流れの勢いは排出初期状態に対して若干弱くなる。しかしながら、排出の末期状態においては貯留部4d内の現像剤Tは、排出の初期状態と比較して圧密状態が解消されており、多少エアーの流れの勢いが弱くなっても現像剤Tを流動化することができる。
続いて、排気工程において、吸気工程と同様に、貯留部4d近傍に滞留する現像剤Tが少なくなる。そのため、ポンプ部3aによって発生した排気エアーの流れは、連通路20aを介して開口7eから貯留部4dへ向かう流れと、ポンプ部3aより連通路20cを介して貯留部4dへ向かう流れの2種類となる。ここで、前述した後者のエアー流れにより、吸気工程によってポンプ部3a内に取り込まれ蓄積した現像剤Tが、連通路20cより貯留部4dに搬送され、第2排出口4aより排出される。
つまり、ポンプ部3a内に堆積した現像剤Tが少なくなる。したがって、補給容器1を交換した際に、補給容器1内に残留した現像剤Tが実施例2の補給容器1よりも少なくなる。本実施例の補給容器1は排出の末期状態においてポンプ部3a内の堆積した現像剤Tを少なくし、残留した現像剤Tを少なくするという点において実施例2の補給容器1に対して優れている。残留した現像剤Tが少なくなる事により、ユーザーが最後まで現像剤Tを残らず使用することができるのでランニングコスト、環境性といった面において優位である。
[比較例]
図20は、比較例(従来例)に係る補給容器1の構成を示す一部拡大斜視図である。図20に示す補給容器1は、前述したフランジ部4に設けられた隔壁20と隔壁20に形成される連通路20a、円環リブ20b、及び搬送部材6の規制部7に設けられた円筒軸部7kを備えていない。尚、その他の構成は本実施例2の構成と同様である。
図20に示すように、従来例の構成においては、ポンプ部3aと排出部4cとの間に抑制部としての隔壁20が設けられておらずポンプ部3a内と排出部4c内は一体の空間となっている。そのため、吸気工程においては、図20(a)に示すようにポンプ部3aの伸長によりポンプ部3aおよび排出部4c、円筒部2k全体の容積は、ポンプ部3aの容積増加分だけ増加し、補給容器1内の圧力が大気圧よりも低くなり減圧状態となる。この時、貯留部4d近傍における大気圧との圧力差は実施例2の補給容器1と比較して非常に小さくなる。
そのため、第2排出口4aを介して補給容器1内に取り込まれるエアーの勢いが弱くなる。また、開口7eだけでなく排出部4cを介して第2排出口4aよりエアーを取り込む構成となっている。したがって、物流などによって圧密状態となった現像剤Tを流動化させる貯留部4dに流れ込むエアーの作用が小さくなる。仮に本実施例並みに貯留部4dにエアーを作用させる場合、本実施例の補給容器1よりも内容積の大きなポンプ部3aもしくは、ポンプ部3aの伸長量を大きくする事が求められる。
ここで、ポンプ部3aの伸縮動作は、前述したように補給容器1の回転を駆動変換機構(カム溝)によりポンプ部3aの往復動作へ変換する事で得られ、ポンプ部3aの伸長量や内容積の増加は補給容器1の回転駆動力に大きな影響を及ぼす。具体的には、補給容器1の回転負荷が増加するため画像形成装置側の駆動源を能力アップさせる等の必要がある。
本実施例の補給容器1においては、前述してきたように隔壁20および連通路20aの作用により貯留部4dに対して効果的にエアーを作用させる事が出来る。そのため、ポンプ部3aの伸長量を大きくする、もしくは内容積を大きくする事なく、現像剤貯留部の圧密状態となった現像剤Tを流動化させる事ができるという点において優位であると言える。
次に、排気工程において比較例の補給容器1においては、図20(b)のように、隔壁20を設けておらずポンプ部3aと排出部4cが一体空間を形成しているため、ポンプ部3aを圧縮する際に発生するエアーの流れは、開口7eの他に排出部4cへ向かう。そのため、開口7eを介して貯留部4dへ作用するエアーの流れは本実施例の補給容器1と比較して少なくなり、貯留部4dに貯留された現像剤Tを排出するために用いられるエアー量が少なくなる。
以上から、隔壁20および規制部7に開口7eを設け、ポンプ部3a内と貯留部4dを連通させた本実施例の構成は、排気工程において、常に貯留部4d内に貯留された一定量の現像剤Tを、補給装置201へ排出可能である。そして、非常に安定した補給精度で現像剤Tを排出可能な構成と言える。
なお、本構成では、規制部7を搬送部材6に対して、2箇所付属した構成となっているが、本発明の構成はこれに限るものではない。前述にて本構成は円筒部が360°回転する中で、2回の排気工程を含むカム構成としていたため、2箇所の規制部7を設けた。例えば、円筒部が360°回転する中で、3回の排気工程ならば、3箇所の規制部7を設ける等の配置にしてもよい。
また、本構成においては、前述のように規制部7は搬送部材6と一体に設けられ、搬送部材6が円筒部2kと一体で回転する動作に伴い、規制部7も連動して回転する構成となっている。本構成は、前述のように円筒部2kを回転させるための駆動力とポンプ部3aを往復動させるための駆動力を1つの駆動入力部(ギア部2d)で受ける構成としている。
さらに、規制部7を回転させるための駆動力に関しても、円筒部2kを回転させるための駆動力と共に1つの駆動入力部(ギア部2d)で受ける構成としている。つまり、本構成は、円筒部2kの回転、ポンプ部3aの往復動、規制部7の回転、と3つの駆動力を必要としており、この3つの駆動力を1つの駆動入力部(ギア部2d)で受ける構成となっている。
従って、本構成は、補給容器1に駆動入力部を3つ別々に設ける場合に比して、補給容器1の駆動入力機構の構成を大幅に簡易化することが可能となる。更に、補給装置201の1つの駆動機構(駆動ギア300)から駆動を受ける構成としたため、補給装置201の駆動機構の簡易化にも大きく貢献することができる。
[検証]
以上説明してきた実施例1、実施例2、実施例3の構成と従来構成について改めて排出性能の観点より効果の検証を実施した。検証方法および検証項目を以下に記す。
検証方法としては、まず、補給容器1に物流を想定した所定の振動を加振機で付与し、内部の現像剤Tを圧密させた状態とする。その状態において、排出動作を開始し、排出動作開始から実際に現像剤Tが排出開始されるまでのポンプ回数を比較した。また、排出開始より排出量が安定するまでの時間(≒安定化時間)を比較した。最後に、排出の末期状態における補給容器1内の残留した現像剤T量を比較した。
尚、前述のポンプ回数や安定化時間、残留した現像剤T量は定量的にOK/NGを判断する基準はなく、補給容器1を装着する画像形成装置本体のスペック等によりそのOK/NGの絶対量的な判断ラインが設定される。そのため、その優劣については相対的な比較とした。したがって、各項目について最も優れた性能を示した補給容器1から順にレベルA、レベルB、レベルCと格付けした。また、同等の性能を有するものには同符号を付している。比較検証の結果、本実施例が従来の補給容器1よりも優れた性能を有する事が検証できた。
以上説明してきたように本実施例においてはポンプ部3aと排出部4cとを隔てる隔壁20を設ける事でポンプ部3aの伸縮動作で発生したエアーの流れを効果的に貯留部4dへ作用させる事ができる。したがって、従来の補給容器1と比較して、排出性(排出開始ポンプ回数、安定化時間)に関して優れた性能を備えた補給容器1であるといえる。
実施例1乃至実施性3のいずれかによれば、物流により第2排出口4aの周囲の貯留部4dの内部で圧密状態となった現像剤を確実に解し、初期から現像剤を安定的に排出できる。