JP7432923B2 - 流量制御装置及び方法、並びに、流体供給システム - Google Patents
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Description
本発明は、ポンプ等の流体機械から吐出される流体の流量を流量調節弁によって制御するための流量制御装置及び方法、並びに当該流量制御装置を備える流体供給システムに関する。
ポンプから吐出される液体の流量を流量調節弁によって制御する流量制御装置が従来から知られている。このような流量制御装置では、一般に、流量調節弁の下流側に配置された流量計からの検出流量と目標流量との差分を算出し、差分がなくなるように流量調節弁の開度を制御する。
上記流量調節弁としては、種々の構造の弁を採用することができる。流量調節弁は、開度特性と呼ばれる開度とCv値(容量係数)との関係を有しており、このような開度特性は、例えば弁構造に応じて変化する。代表的な開度特性としては、リニア特性、クイックオープン特性、イコールパーセント特性等がある。
精密な流量制御が求められる場合には、リニア特性の流量調節弁を用いることが望ましい。ここで、流量調節弁が三方弁であるときには、一般に、二方弁の場合よりもリニア特性を実現することが難しい。このような点に鑑みて、本件出願人は、三方弁のリニア特性を向上させるための技術を特許文献1において以前提案している。
例えば、温度制御した液体を流量調節弁から温度制御対象に供給した後、循環させるシステムがある。このようなシステムでは、例えば、システムを一旦停止した後、高温の温度制御対象に低温の液体を徐々に一定の割合(つまり、線形(リニア))で供給しようとする場合に、前回の液体供給で温度制御対象に残存して高温となった液体が、流量調節弁の開度特性に起因してシステム側に急激に戻ってくる状況が考えられる。このような状況は、流路へのヒートショック防止の観点で回避することが望まれることがある。すなわち、流量を所望の流量変化で安定的に推移させることが望まれることがある。
しかしながら、上記システムにおいてリニア特性と呼ばれる流量調節弁を使用した場合であっても、一般には多少の非リニア挙動が含まれることがあり、所望の流量変化で流量を推移させることが困難な場合がある。また、上記システムにおいて非リニア特性の流量調節弁を用いる必要がある場合もあるが、この場合であっても、上記のようなヒートショックの虞がある限りは、流量を極力所望の流量変化で流量を推移させることが望ましい。
本発明は上記事情を考慮してなされたものであり、流量調節弁の開度特性によらず、流量を安定的に変化させることができる流量制御装置及び方法、並びに、流量供給システムを提供することを目的とする。
本発明の一実施の形態にかかる流量制御装置は、流量調節弁の開度を変化させることで前記流量調節弁から流出する流体の流量を制御する流量制御装置であって、前記流量調節弁の開度とCv値との関係を定めた前記流量調節弁の開度特性を保持する保持部と、前記流量調節弁から流出する流体の目標流量と、前記目標流量に到達するまでの流量変化速度とを入力する入力部と、前記目標流量への制御開始から所定のサンプリング周期で前記流量調節弁から流出する流体の流量を検出する検出部と、前記検出部が検出する検出流量と、当該検出流量に対応する前記目標流量途中の予定流量であって前記流量変化速度と前記検出部の検出回数とに基づいて定まる予定流量と、の差分を特定し、前記差分がある場合に、前記予定流量に対応する開度を、調節開度として、前記開度特性のCv値から演算し、前記調節開度と現在の前記流量調節弁の開度との開度差に基づいて演算される開度操作量を目標値とするフィードバック制御により、前記流量調節弁の開度を調節する開度調節部と、を備える。
前記開度調節部は、前記開度差に基づいて演算される開度操作量を目標値とする前記流量調節弁の開度調節を前記検出部の次回の流量検出まで行い、前記検出部が新たに流量検出を行った場合に、新たに開度操作量を演算してもよい。
前記開度調節部は、PID演算により前記開度操作量を演算してもよい。
前記流量調節弁は、三方弁でもよい。
前記三方弁は、受け入れポートと、供給ポートと、バイパスポートとを有しており、一実施の形態にかかる流量制御装置は、前記受け入れポートと前記供給ポートとを遮断状態から接続状態に移行させる際、前記目標流量と前記流量変化速度との入力を促すための通知を行う通知部をさらに備えてもよい。
前記流量調節弁の開度特性は、非リニア特性でもよい。
前記流量調節弁は、ステッピングモータの回転に応じて開度を変化させるように構成されており、前記開度調節部は、前記開度操作量に応じて、同一の時間当たりの駆動パルスを増減させてもよい。
また、本発明の一実施の形態にかかる流量制御方法は、流量調節弁の開度を変化させることで前記流量調節弁から流出する流体の流量を制御する流量制御方法であって、
前記流量調節弁の開度とCv値との関係を定めた前記流量調節弁の開度特性を特定する特定工程と、
前記流量調節弁から流出する流体の目標流量と、前記目標流量に到達するまでの流量変化速度とを決定する決定工程と、
前記目標流量への制御開始から所定のサンプリング周期で前記流量調節弁から流出する流体の流量を検出する検出工程と、
前記検出工程で検出する検出流量と、当該検出流量に対応する前記目標流量途中の予定流量であって前記流量変化速度と前記検出工程による検出回数とに基づいて定まる予定流量と、の差分を特定し、前記差分がある場合に、前記予定流量に対応する開度を、調節開度として、前記開度特性のCv値から演算し、前記調節開度と現在の前記流量調節弁の開度との開度差に基づいて演算される開度操作量を目標値として、前記流量調節弁の開度を調節する開度調節工程と、を備える。
前記流量調節弁の開度とCv値との関係を定めた前記流量調節弁の開度特性を特定する特定工程と、
前記流量調節弁から流出する流体の目標流量と、前記目標流量に到達するまでの流量変化速度とを決定する決定工程と、
前記目標流量への制御開始から所定のサンプリング周期で前記流量調節弁から流出する流体の流量を検出する検出工程と、
前記検出工程で検出する検出流量と、当該検出流量に対応する前記目標流量途中の予定流量であって前記流量変化速度と前記検出工程による検出回数とに基づいて定まる予定流量と、の差分を特定し、前記差分がある場合に、前記予定流量に対応する開度を、調節開度として、前記開度特性のCv値から演算し、前記調節開度と現在の前記流量調節弁の開度との開度差に基づいて演算される開度操作量を目標値として、前記流量調節弁の開度を調節する開度調節工程と、を備える。
また、本発明の一実施の形態にかかる流体供給システムは、前記の流量制御装置と、前記流量調節弁が設けられた流体流路を有する流体通流装置と、を備える。
本発明によれば、流量調節弁の開度特性によらず、流量を安定的に変化させることができる。
以下、本発明の一実施の形態にかかる流量制御装置100を備えるチラー1について説明する。図1は、流体供給システムの一例であるチラー1の概略構成を示す図である。
<チラーの全体構成>
図1に示すように、チラー1は、冷却流路11、熱交換器12及びポンプ13を有する冷却流路ユニット10と、流量調節弁21を有する弁ユニット20と、流量制御装置100と、を備える。弁ユニット20は、冷却流路ユニット10と温度制御対象である外部装置30とを着脱自在に接続している。本実施の形態では、冷却流路ユニット10及び弁ユニット20が流体通流装置FSを構成している。
図1に示すように、チラー1は、冷却流路11、熱交換器12及びポンプ13を有する冷却流路ユニット10と、流量調節弁21を有する弁ユニット20と、流量制御装置100と、を備える。弁ユニット20は、冷却流路ユニット10と温度制御対象である外部装置30とを着脱自在に接続している。本実施の形態では、冷却流路ユニット10及び弁ユニット20が流体通流装置FSを構成している。
冷却流路ユニット10では、流体としての液体を通流させる冷却流路11上に熱交換器12及びポンプ13が配置されている。ポンプ13が駆動された際、冷却流路11内を液体が通流し、液体が熱交換器12に流入する。本例の熱交換器12は、図示省略する冷凍機に接続されており、流入した液体と冷凍機が膨張させた冷媒とを熱交換させることで液体を冷却する。冷却流路ユニット10で通流させる液体は、例えばブライン等でもよいが、その他の冷却液でもよい。
チラー1を通常運転する場合には、ポンプ13は、一定の流量で液体を通流させるように制御される。
冷却流路11は、上流端11Aと、下流端11Bとを有し、上流端11A及び下流端11Bを着脱自在に弁ユニット20に接続している。
弁ユニット20は、三方弁である流量調節弁21と、受け入れ流路22と、供給流路23と、バイパス流路24と、戻り流路25と、を有している。
流量調節弁21は、受け入れポート21Aと、供給ポート21Bと、バイパスポート21Cとを有し、受け入れポート21Aと供給ポート21Bとを全開で接続し且つ受け入れポート21Aとバイパスポート21Cとを遮断する「第1の状態」と、受け入れポート21Aと供給ポート21Bとを遮断し且つ受け入れポート21Aとバイパスポート21Cとを全開で接続する「第2の状態」と、に遷移可能となっている。
また、上記第1の状態と第2の状態との間の状態のことを、以下、「中間状態」と呼ぶ。この中間状態では、受け入れポート21Aと供給ポート21Bとが接続され、且つ、受け入れポート21Aとバイパスポート21Cとが接続され、受け入れポート21Aで受け入れた液体を供給ポート21Bとバイパスポート21Cとに分配できる。
流量調節弁21は、弁体の駆動部としてステッピングモータ21Mを有し、ステッピングモータ21Mの回転に応じて弁体の位置を調節することで、受け入れポート21Aと供給ポート21Bとの開度、及び、受け入れポート21Aとバイパスポート21Cとの開度を調節する。なお、弁体の駆動部はステッピングモータ21Mに限られるものではなく、例えばソレノイド等でもよい。
受け入れ流路22は、冷却流路11の下流端11Bと、流量調節弁21の受け入れポート21Aとを着脱自在に接続している。
供給流路23は、流量調節弁21の供給ポート21Bと、外部装置30の上流側流路30Aとを着脱自在に接続している。供給流路23には、供給流路23内を通流する液体の流量を検出する流量センサ23Sが設けられている。
バイパス流路24は、流量調節弁21のバイパスポート21Cと、戻り流路25とを着脱自在に接続している。
戻り流路25は、冷却流路11の上流端11Aと、外部装置30の下流側流路30Bとを着脱自在に接続している。バイパス流路24は、戻り流路25の中間部分に接続しており、液体を戻り流路25に流入させることができる。
外部装置30は、上述した上流側流路30A及び下流側流路30Bに接続される作業部31を有し、上流側流路30Aから供給される液体で作業部31を温度調節する。そして、下流側流路30Bは、作業部31から流出する液体を弁ユニット20の戻り流路25に流入させる。
本実施の形態における外部装置30は、一例として半導体製造装置である成膜装置である。外部装置30は、通常の成膜動作の際に、供給された液体によってウェハを温度調節する。一方で、外部装置30は、成膜動作を停止した際に、内部クリーニングを行うように構成されている。内部クリーニングを行う際、外部装置30は、弁ユニット20側からの液体供給を停止させ、内部を高温状態に制御して、内部クリーニングを行うようになっている。
流量制御装置100は、受け入れポート21Aと供給ポート21Bとを全開で接続し且つ受け入れポート21Aとバイパスポート21Cとを遮断する「第1の状態」に、流量調節弁21を制御することで、冷却流路ユニット10からの液体を外部装置30のみに供給できる。また、流量制御装置100は、受け入れポート21Aと供給ポート21Bとを遮断し且つ受け入れポート21Aとバイパスポート21Cとを全開で接続する「第2の状態」に、流量調節弁21を制御することで、冷却流路ユニット10からの液体を外部装置30に供給せず、弁ユニット20経由で循環させることができる。
また、流量制御装置100は、流量調節弁21を「中間状態」に制御することで、冷却流路ユニット10からの液体の一部を外部装置30に供給し、他の一部をバイパス流路24に流入させることができる。流量制御装置100は、流量センサ23S及びステッピングモータ21Mのそれぞれに電気的に接続されており、流量センサ23Sからの検出流量に基づいて流量調節弁21の動作を制御する。より具体的には、流量制御装置100は、流量センサ23Sからの検出流量に基づいて流量調節弁21の開度を変化させることで、供給ポート21Bから流出する液体の流量及びバイパスポート21Cから流出する液体の流量を制御できる。以下、流量制御装置100について詳述する。
<流量制御装置>
流量制御装置100は流量制御を行うコントローラであって、例えばCPU、ROM等を有するコンピュータで構成されてもよい。この場合、ROMに格納されたプログラムに従い、流量センサ23Sからの情報を取得するとともに、ステッピングモータ21Mへ制御信号を送出する等の各種処理を行う。なお、流量制御装置100は、その他のプロセッサや電気回路(例えばFPGA(Field Programmable Gate Alley)等)で構成されてもよい。
流量制御装置100は流量制御を行うコントローラであって、例えばCPU、ROM等を有するコンピュータで構成されてもよい。この場合、ROMに格納されたプログラムに従い、流量センサ23Sからの情報を取得するとともに、ステッピングモータ21Mへ制御信号を送出する等の各種処理を行う。なお、流量制御装置100は、その他のプロセッサや電気回路(例えばFPGA(Field Programmable Gate Alley)等)で構成されてもよい。
図2は、流量制御装置100の機能構成を示すブロック図である。図2に示すように、流量制御装置100は、保持部101と、入力部102と、検出部103と、開度調節部104と、通知部105と、を有している。このうちの保持部101は、ROM等の記憶部の一部で構成され、保持部101以外の機能部は、ROM等の記憶部に格納されたプログラムの実行により実現される。
保持部101は、流量調節弁21の開度とCv値(容量係数)との関係を定めた流量調節弁21の開度特性を保持している。
図3は、保持部101に保持された流量調節弁21の開度特性の一例を示している。図3において、横軸は、開度を示し、縦軸は、Cv値を示す。横軸に表記された0%は、受け入れポート21Aと供給ポート21Bとの開度が0%、つまり受け入れポート21Aと供給ポート21Bとが全閉であることを意味し、横軸に表記された100%は、受け入れポート21Aと供給ポート21Bとの開度が100%、つまり受け入れポート21Aと供給ポート21Bとが全開で接続されていることを意味する。逆に、横軸に表記された0%は、受け入れポート21Aとバイパスポート21Cとの開度が100%、つまり受け入れポート21Aとバイパスポート21Cとが全開で接続されていることを意味し、横軸に表記された100%は、受け入れポート21Aとバイパスポート21Cとが全閉であることを意味する。
図3において符号Lpで示す実線は、受け入れポート21Aと供給ポート21Bとの開度と、Cv値と、の関係を示している。符号LBで示す二点鎖線は、受け入れポート21Aとバイパスポート21Cとの開度と、Cv値と、の関係を示している。また、符号Ltで示す破線は、合計Cv値を示している。図3に示すように、本実施の形態における流量調節弁21の開度特性は非リニア特性である。
流量調節弁21から流出させる液体の流量を所望の流量にするための開度は、Cv値を用いて演算することができる。本実施の形態では、流量調節弁21から流出させる液体の流量を所望の流量に制御する際に、所望の流量に対応するCv値から開度を特定し、特定した開度に向けて流量調節弁21が制御される。
図2に戻り、入力部102は、流量調節弁21から流出する液体の目標流量と、目標流量に到達するまでの流量変化速度とを入力するためのものである。
詳しくは、入力部102は、供給ポート21Bから外部装置30に供給する液体の目標流量と、これに到達するまでの流量変化速度との入力をユーザに促す画面を図示省略する表示装置に表示し、ユーザの入力操作に応じて、目標流量及び流量変化速度を内部(記憶部等)に入力して保持する。本実施の形態では、目標流量の単位として、リットル/min(L/min)が用いられ、流量変化速度の単位として、リットル/min2(L/min2)が用いられるが、このような単位は特に限られるものではない。
図4は、流量制御装置100が入力部102によって表示装置に表示する目標流量及び流量変化速度の入力画面の一例を示す図である。図4の上段には、目標流量の入力画面G1が示され、下段には、流量変化速度の入力画面G2が示されている。
目標流量の入力画面G1では、「STAGE FLOW SV:10.0L/min」の表記のうちの10.0L/minが、目標流量を示している。このように表示される目標流量を変更して、「UPDATE」を操作すると、目標流量が更新される。流量変化速度の入力画面G2においては、「RAMPING UP:5.0L/min2」の表記のうちの5.0L/min2が、外部装置30への供給流量を増加させる際の流量変化速度を示している。また、「RAMPING DOWN:5.0L/min2」の表記のうちの5.0L/min2は、外部装置30への供給流量を減少させる際の流量変化速度を示している。このように表示される流量変化速度を変更して、「UPDATE」を操作すると、流量変化速度が更新される。以下では、入力画面G1及び入力画面G2の総称を、「ランピング設定画面」と称する。
また図2に戻り、検出部103は、流量センサ23Sに電気的に接続され、「目標流量」への制御開始から所定のサンプリング周期で流量調節弁21から流出する液体の流量を検出するものである。なお、ここで言う「目標流量」は、外部装置30への供給流量を増加させる際には、目標流量の入力画面G1で入力される目標流量のことである。一方で、外部装置30への供給流量を減少させる際には、例えば0L/minが、目標流量に設定される。
続いて、開度調節部104は、検出部103が検出する検出流量と、目標流量と流量変化速度とに基づくフィードバック制御により、流量調節弁21の開度を調節するものである。なお、以下、単に流量調節弁21の開度と記載する場合、これは、受け入れポート21Aと供給ポート21Bとの開度のことを意味する。
具体的な処理として、開度調節部104は、まず、検出部103が検出する検出流量と、当該検出流量に対応する目標流量途中の予定流量であって流量変化速度と検出部103の検出回数とに基づいて定まる予定流量と、の差分を特定する。
次に、開度調節部104は、差分がある場合に、上記予定流量に対応する開度を開度特性のCv値から演算し、これを、調節開度とする。
そして、開度調節部104は、演算した調節開度と現在の流量調節弁21の開度との開度差に基づいて演算される開度操作量を目標値とするフィードバック制御により、流量調節弁21の開度を調節する。
次に、開度調節部104は、差分がある場合に、上記予定流量に対応する開度を開度特性のCv値から演算し、これを、調節開度とする。
そして、開度調節部104は、演算した調節開度と現在の流量調節弁21の開度との開度差に基づいて演算される開度操作量を目標値とするフィードバック制御により、流量調節弁21の開度を調節する。
より詳しくは、開度調節部104は、上述のようにして演算される開度操作量を目標値とする流量調節弁21の開度調節を、検出部103の次回の流量検出まで行い、検出部103が新たに流量検出を行った場合に、新たに開度操作量を演算する。
ただし、開度が目標値に到達した後に、流量検出を行い、その後、新たな開度操作量を演算してもよい。また、本実施の形態では、上記開度操作量が、PID演算により演算される。なお、上記「現在の流量調節弁21の開度」は、流量制御装置100においてステッピングモータ21Mにおけるエンコーダ等から特定したり、累計の駆動パルスを保持しておくことで特定したりすることができる。
また、開度調節部104は、開度調節を行う際に、上記開度操作量を駆動パルスに変換した後、ステッピングモータ21Mに入力する。この際、開度調節部104は、上記開度操作量に応じて、同一の時間当たりの駆動パルスを増減させる。ここで、時間当たりの駆動パルスの数が過剰に多くなると、ステッピングモータ21Mが追従できなくなる虞がある。そのため、時間当たりの駆動パルスの数が上限値を超えた場合には、越えた駆動パルスを切り捨てて開度操作量を設定してもよい。
上述のように本実施の形態における開度調節部104は、検出流量と最終的な「目標流量」との差分に応じたフィードバック制御ではなく、検出流量と目標流量途中の「予定流量」との差分に応じたフィードバック制御を行い、且つ開度操作量を流量調節弁21の開度特性を考慮して演算する。この場合、流量調節弁21から供給される液体の流量は、流量変化速度Vと時間tとにより規定される一次関数V×tに近い状態で推移し、目標流量まで安定的に推移するようになる。
一方で、通知部105は、受け入れポート21Aと供給ポート21Bとを遮断状態から接続状態に移行させる際に、目標流量と流量変化速度との入力を促すための通知を行うものである。具体的に、通知部105は図4に示した入力画面G1,G2を自動的に表示する。
上述したように、外部装置30は、内部クリーニングを行う際、弁ユニット20側からの液体供給を停止させ、内部(作業部31)を高温状態に制御して、内部クリーニングを行う。内部クリーニング後に、再び、弁ユニット20からの液体供給を開始する際、急激に外部装置30に液体供給を行うと、外部装置30の作業部31に残存して高温になった液体が急激に弁ユニット20及び冷却流路ユニット10側に戻って、これらにヒートショックを与える虞がある。通知部105は、このような状況を回避するために、目標流量と流量変化速度との入力を促すための通知をユーザに行うようになっている。
<動作>
次に、流量制御装置100の動作の一例について図5を参照しつつ説明する。
次に、流量制御装置100の動作の一例について図5を参照しつつ説明する。
図5は、流量制御装置100の動作の一例を説明するフローチャートである。以下に説明する動作の例は、上述した第2の状態(全液体をバイパスする状態)から、外部装置30に液体を目標流量で供給する状態になるまで流量調節弁21が制御され、この際、流量調節弁21が設定された流量変化速度に従って流量を変化させる動作である。
受け入れポート21Aと供給ポート21Bとを遮断状態(つまり、第2の状態)から接続状態に移行させるための指令が発生すると、図5に示される動作が開始する。この際、まず、入力部102が、目標流量と流量変化速度との入力を促すための通知であるランピング設定画面(G1、G2)の表示を行う(ステップS1)。ランピング設定画面(G1、G2)が表示された際、ユーザは、目標流量及び流量変化速度を入力できる。
次いで、ステップS2において、入力部102は、目標流量及び/又は流量変化速度が変更されたか否かを判定する。目標流量及び/又は流量変化速度に変更がない場合、ステップS3において入力部102は、既存の設定をそのまま維持する。目標流量及び/又は流量変化速度が変更された場合、ステップS4において入力部102は、目標流量及び/又は流量変化速度の設定を変更して保持する。なお、本実施の形態では、目標流量と流量変化速度の設定を既存の設定に維持する場合であっても、操作画面を操作しなければ処理が進行しないようになっている。なお、ステップS2~S4の処理は、ユーザの選択により省略されてもよい。
次いで、ステップS5においては、検出部103が、流量センサ23Sからの情報に基づいて、流量調節弁21から流出する液体の流量(検出流量)を検出(サンプリング)する。
次いで、ステップS6においては、開度調節部104が、検出部103が検出する検出流量が目標流量に到達している否かを判定する。ここで、到達していると判定された場合には、処理が終了し、到達していないと判定された場合には、処理がステップS7に移行する。
そして、ステップS7においては、開度調節部104が、検出部103が検出する検出流量と、当該検出流量に対応する目標流量途中の予定流量であって流量変化速度と検出部103の検出回数とに基づいて定まる予定流量と、の差分を特定する。ここで、予定流量は、例えば、検出部103のサンプリング周期をt(秒)とし、検出回数をn回目としたとき、流量変化速度に、nt/60を掛けることで演算できる。
次いで、ステップS8において開度調節部104は、ステップS7で差分が特定されている場合には、上記予定流量に対応する開度(調節開度)を、開度特性のCv値から演算する。一方で、ステップS7で差分がない場合、本実施の形態では、調節開度を演算しない。そして、開度調節部104は、調節開度を演算した場合には、調節開度と現在の流量調節弁21の開度との開度差に基づいて演算される開度操作量を目標値とするフィードバック制御により、流量調節弁21の開度を調節する。一方で、調節開度が演算されなかった場合には、開度調節部104は、開度操作量を0とするフィードバック制御をする。そして、開度調節部104が開度操作量を流量調節弁21に与えた後、処理は、ステップS5に戻る。
以上に説明した本実施の形態にかかる流量制御装置100は、検出流量と目標流量との差分に応じたフィードバック制御ではなく、検出流量と目標流量途中の「予定流量」との差分に応じたフィードバック制御を行い、且つ開度操作量を流量調節弁21の開度特性を考慮して演算する。このような本実施の形態にかかる流量制御方法を工程で説明すると、以下の通りである。
まず、流量調節弁21の開度とCv値との関係を定めた流量調節弁21の開度特性を特定する特定工程を行う。次に、流量調節弁21から流出する液体の目標流量と、目標流量に到達するまでの流量変化速度とを決定する決定工程を行う。次に、目標流量への制御開始から所定のサンプリング周期で流量調節弁21から流出する液体の流量を検出する検出工程を行う。次に、検出工程で検出した検出流量と、当該検出流量に対応する上記目標流量途中の予定流量であって上記流量変化速度と検出工程による検出回数とに基づいて定まる予定流量と、の差分を特定し、差分がある場合に、上記予定流量に対応する開度を、調節開度として、上記開度特性のCv値から演算し、調節開度と現在の流量調節弁21の開度との開度差に基づいて演算される開度操作量を目標値として、流量調節弁21の開度を調節する開度調節工程を行う。
まず、流量調節弁21の開度とCv値との関係を定めた流量調節弁21の開度特性を特定する特定工程を行う。次に、流量調節弁21から流出する液体の目標流量と、目標流量に到達するまでの流量変化速度とを決定する決定工程を行う。次に、目標流量への制御開始から所定のサンプリング周期で流量調節弁21から流出する液体の流量を検出する検出工程を行う。次に、検出工程で検出した検出流量と、当該検出流量に対応する上記目標流量途中の予定流量であって上記流量変化速度と検出工程による検出回数とに基づいて定まる予定流量と、の差分を特定し、差分がある場合に、上記予定流量に対応する開度を、調節開度として、上記開度特性のCv値から演算し、調節開度と現在の流量調節弁21の開度との開度差に基づいて演算される開度操作量を目標値として、流量調節弁21の開度を調節する開度調節工程を行う。
このような本実施の形態によれば、流量調節弁21から供給される液体の流量を、設定された流量変化速度に沿うように一次関数的に目標流量まで変化させることが可能となる。したがって、流量調節弁21の開度特性によらず、流量を安定的に変化させることができる。
また本実施の形態では、開度調節部104が、演算された開度操作量を目標値とする流量調節弁21の開度調節を検出部103の次回の流量検出まで行い、検出部103が新たに流量検出を行った場合に、新たに開度操作量を演算する。この場合、流量調節弁21の挙動が滑らかになり得るため、流量変化の急激な変動を効果的に抑制できる。
また本実施の形態では、上記開度操作量をPID演算により演算する。これによっても、流量調節弁21の挙動が滑らかになり得るため、流量変化の急激な変動を効果的に抑制できる。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は以上に説明した実施の形態に限られるものではなく、上述の実施の形態には種々の変更を加えることができる。例えば、上述の実施の形態にかかる流量制御装置100は、液体の流量制御に適用されるが、流量制御装置100は、例えば送風機が吐出する気体の流量制御等に適用されてもよい。また、上記実施の形態では、流量調節弁21の開度特性が非リニア特性である例を説明したが、流量調節弁21の開度特性は特に限られるものではなく、本発明は如何なる開度特性の場合にも有効な技術である。
1…チラー、10…冷却流路ユニット、11…冷却流路、11A…上流端、11B…下流端、12…熱交換器、13…ポンプ、20…弁ユニット、21…流量調節弁、21A…受け入れポート、21B…供給ポート、21C…バイパスポート、21M…ステッピングモータ、22…受け入れ流路、23…供給流路、23S…流量センサ、24…バイパス流路、25…戻り流路、30…外部装置、30A…上流側流路、30B…下流側流路、31…作業部、100…流量制御装置、FS…流体通流装置
Claims (9)
- 流量調節弁の開度を変化させることで前記流量調節弁から流出する流体の流量を制御する流量制御装置であって、
前記流量調節弁の開度とCv値との関係を定めた前記流量調節弁の開度特性を保持する保持部と、
前記流量調節弁から流出する流体の目標流量と、前記目標流量に到達するまでの流量変化速度とを入力する入力部と、
前記目標流量への制御開始から所定のサンプリング周期で前記流量調節弁から流出する流体の流量を検出する検出部と、
前記検出部が検出する検出流量と、当該検出流量に対応する前記目標流量途中の予定流量であって前記流量変化速度と前記検出部の検出回数とに基づいて定まる予定流量と、の差分を特定し、前記差分がある場合に、前記予定流量に対応する開度を、調節開度として、前記開度特性のCv値から演算し、前記調節開度と現在の前記流量調節弁の開度との開度差に基づいて演算される開度操作量を目標値とするフィードバック制御により、前記流量調節弁の開度を調節する開度調節部と、を備える、流量制御装置。 - 前記開度調節部は、前記開度差に基づいて演算される開度操作量を目標値とする前記流量調節弁の開度調節を前記検出部の次回の流量検出まで行い、前記検出部が新たに流量検出を行った場合に、新たに開度操作量を演算する、請求項1に記載の流量制御装置。
- 前記開度調節部は、PID演算により前記開度操作量を演算する、請求項1又は2に記載の流量制御装置。
- 前記流量調節弁は、三方弁である、請求項1乃至3のいずれかに記載の流量制御装置。
- 前記三方弁は、受け入れポートと、供給ポートと、バイパスポートとを有しており、
前記受け入れポートと前記供給ポートとを遮断状態から接続状態に移行させる際、前記目標流量と前記流量変化速度との入力を促すための通知を行う通知部をさらに備える、請求項4に記載の流量制御装置。 - 前記流量調節弁の開度特性は、非リニア特性である、請求項1乃至5のいずれかに記載の流量制御装置。
- 前記流量調節弁は、ステッピングモータの回転に応じて開度を変化させるように構成されており、
前記開度調節部は、前記開度操作量に応じて、同一の時間当たりの駆動パルスを増減させる、請求項1乃至6のいずれかに記載の流量制御装置。 - 流量調節弁の開度を変化させることで前記流量調節弁から流出する流体の流量を制御する流量制御方法であって、
前記流量調節弁の開度とCv値との関係を定めた前記流量調節弁の開度特性を特定する特定工程と、
前記流量調節弁から流出する流体の目標流量と、前記目標流量に到達するまでの流量変化速度とを決定する決定工程と、
前記目標流量への制御開始から所定のサンプリング周期で前記流量調節弁から流出する流体の流量を検出する検出工程と、
前記検出工程で検出する検出流量と、当該検出流量に対応する前記目標流量途中の予定流量であって前記流量変化速度と前記検出工程による検出回数とに基づいて定まる予定流量と、の差分を特定し、前記差分がある場合に、前記予定流量に対応する開度を、調節開度として、前記開度特性のCv値から演算し、前記調節開度と現在の前記流量調節弁の開度との開度差に基づいて演算される開度操作量を目標値として、前記流量調節弁の開度を調節する開度調節工程と、を備える、流量制御方法。 - 請求項1乃至7のいずれかに記載の流量制御装置と、
前記流量調節弁が設けられた流体流路を有する流体通流装置と、を備える、流体供給システム。
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