JP7431686B2 - 音響カプラ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、マイクロホンの校正に用いられる音響カプラ装置に関する。
一般に、計測用のマイクロホンや騒音計を校正する手法として、複数周波数音響校正器や比較カプラを用いた校正方法の他に、静電駆動器、無響室(無響箱)、音響チャンバ等を用いた校正方法が知られている。中でも、比較カプラ(以下では「音響カプラ」と呼称)を用いる場合は、無響室のような大空間や設備を必要とすることなく、精度良く校正作業を実施可能である。このため試験機関等では、音響カプラを用いた校正方法も採り入れられている(例えば、非特許文献1の解説参照。)。
また、音響カプラに関する先行技術として、基準マイクロホンと校正対象となる被校正マイクロホンとを小空間内で対向させて支持する構造の音響校正器が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この先行技術では、音響校正器内の小空間にスピーカで信号音場を発生させた際に、両マイクロホンで測定される音圧の特性差に基づいて、被校正マイクロホンの校正を行なうことができる。
特開平1-217216号公報(図4)
IEC61094-5:2016
近年、超低周波音の数Hzから、人間の聴力限界である20kHzまでの広帯域にわたって測定・分析が可能なマイクロホンや騒音計の需要が高まってきている。このため広帯域での測定や分析に対応する機器については、マイクロホンの校正作業を広帯域で行う必要性が生じている。
しかしながら、先行技術の音響カプラを用いた校正方法に限らず、一般の校正方法では、1回の校正で発生可能な音の周波数帯に限度があるため、限度を超えた広い帯域での校正を1回で完了させることができないという問題がある。このため、試験機関等での校正作業に際しては、低域・高域で音を発生させる複数の音響カプラを用意し、低域・高域別に2回以上の測定を行うことで広帯域をカバーする必要がある。このような状況にあっては、始業前点検や試験機体の設置に多くの工数を要したり、大型の設備やそのための設置場所をわざわざ用意したりしなければならないという問題がある。
また一般的には、騒音計や計測用マイクロホンとして、自由音場型マイクロホンが広く使用されている。自由音場型マイクロホンは、振動膜裏側と絶縁物で囲まれた空間を外界に連通する静圧調整孔を有しており、振動膜前面と静圧調整孔に音圧が暴露される状態で、高域から低域まで平坦な周波数特性が得られる設計を採用している。ただし、自由音場型マイクロホンの型式によって静圧調整孔を設ける位置が異なるため、全ての型式のマイクロホンに対して一律に校正を行うと、型式によっては音響カプラの密閉構造で静圧調整孔に音圧が暴露されなくなり、低域で本来の自由音場感度レベルを得られなくなる場合がある。また、基準音場作成等の用途とした音圧音場型マイクロホンの校正を行う場合も同様に、目的に応じた低域の自由音場感度レベルを得られなくなる可能性がある。これらの不具合を避けるには、校正を行うマイクロホンの型式(静圧調整孔の位置)に応じて、構造の異なる複数の音響カプラや治具を使い分けたり、その都度、低域補正量を算出して補正したりしなければならなくなるといった多大な手間が生じる。
そこで本発明は、広帯域での校正作業に適した技術を提供するものである。
本発明は、音響カプラ装置を提供する。音響カプラ装置は、第1音源及び第2音源を備え、各音源から周波数帯域の異なる校正音を発生させることで、全体として広帯域(例えば、1Hz~20kHz)をカバーすることができる。校正に関わる第1のマイクロホン及び第2のマイクロホンは、支持部材の内部に収容可能である。支持部材は複数のマイクロホン(第1のマイクロホン及び第2のマイクロホン)を収容し、互いの保護グリッド前端面同士の間に校正用の空間を形成する。校正用の空間内には、支持部材の外側と連通した第1音導通路から第1音源の第1校正音を導入可能である。さらに、第1音導通路には第2音導通路が連通しており、校正用の空間内には、第1音導通路を通じて第2音導通路から第2音源の第2校正音を導入可能である。これにより、複数の校正装置を必要とせずに広帯域での校正作業が可能となる。
さらに本発明では、第1校正音及び第2校正音のいずれを発生させる場合についても、校正用の空間を含む第1音源及び第2音源周囲の音場の静圧調整が可能である。第1のマイクロホン及び第2のマイクロホンは、校正用の空間で保護グリッド前端面同士が対向しており、校正用の空間に連通する第1音導通路が第2音導通路にも連通している。さらに、第2音導通路は第2音源の振動板で区画される前側の空間と連通しており、振動板で区画される前側の空間及び後側の空間がいずれも連通路によって外気に連通している。これにより、第1音源で第1校正音を発生させる場合の静圧調整、及び第2音源で第2校正音を発生させる場合の静圧調整がいずれも可能となることから、広帯域での校正が可能となる。
この点、仮に静圧調整が積極的になされないとすると、第1音源又は第2音源の駆動が不安定になり、安定した校正音が出力できなくなる。これでは計測用マイクロホン等の広帯域での校正作業に充分適応しているとは言えず、技術的に不十分となる。
これに対し、本発明の音響カプラ装置は、低域及び高域いずれの帯域についても(つまり広帯域で)積極的に静圧調整が行われるため、広帯域にわたり安定した校正が可能である点で有用である。
本発明は、校正に関わるマイクロホン(例えば第2のマイクロホン)の静圧調整にも対応する。すなわち、第1のマイクロホン及び第2のマイクロホンは支持部材の内部に収容されるが、この際、各マイクロホンの側面は支持部材本体の内壁面に取り囲まれており、この内壁面と各マイクロホンの保護グリッド側面との隙間は、第1のシール部材によって気密に区画されている。これにより、校正用の空間に気密性が確保されるとともに、各マイクロホンの保護グリッド前端面側の静圧調整孔への校正音暴露が可能となっている。
ただし、校正に関わるマイクロホン(例えば第2のマイクロホン)が保護グリッド前端面以外の箇所で静圧調整を行う構造であった場合、上記の第1のシール部材により気密を確保されていることがかえってマイクロホンの静圧調整にとっては障害となる。
そこで本発明では、例えば一方の第2のマイクロホンの側面と支持部材本体の内壁面との隙間を、保護グリッド前端面から第1のシール部材までの間の位置と第1シール部材から第2のシール部材までの間の位置で、それぞれ支持部材本体の外側に連通させている。また、計測用マイクロホンを校正する場合は、マイクロホン結合部の周方向の一部にスリットが形成されたプリアンプを用いることで、第2のマイクロホンの筐体裏側の空間と支持部材本体の外側を連通させている。これにより、校正に関わるマイクロホン(例えば第2のマイクロホン)が保護グリッド前端面以外の箇所(例えば保護グリッド側面又は筐体裏側)で静圧調整を行う構造であったとしても静圧調整孔に校正音が暴露されるため、マイクロホン型式に応じて音響カプラ装置を変更することなく、また治具や低域補正量を設ける必要がなく、低域で自由音場と同様な校正を実現する。
本発明の音響カプラ装置は、以下の好ましいいくつかの態様を備える。
(1)第1音源は、例えば圧電振動子を有する。圧電振動子は円筒形状のものとし、支持部材を取り囲むようにして配置する。圧電振動子が径方向に振動することで、例えば高域の第1校正音を発生させることができる。また、圧電振動子は防振材で保持されることにより、第1のマイクロホン及び第2のマイクロホンを含む支持部材への圧電振動子の振動の伝達が抑制される。
(2)上記(1)の態様において、圧電振動子が円筒形状をなすことから、防振材は、圧電振動子の両端縁でこれを保持する円環形状をなすものとなる。これにより、圧電振動子の径方向への振動に対し、周方向全体で支持部材等への振動の伝達が抑制される。その上で、円筒形状をなす圧電振動子によって支持部材が取り囲まれていることから、第1音導通路と第2音導通路との連通には、圧電振動子の一端縁を保持する防振材の周方向の一部に形成されたスリットが好適に活用される。このスリットは通気性を確保し、圧電振動子の外側と内側とを連通する。これにより、圧電振動子の内側にある第1音導通路と第2音導通路との連通及び静圧調整がなされるとともに、第2音源で発生させた第2校正音を校正用の空間内に導入することが可能となる。
(3)支持部材は収容体の内側に収容されている。このような収容体は、支持部材とともに第1音源(圧電振動子の態様である場合を含む)を外側で取り囲むことで、音響カプラ装置の内部において1つの独立したカプラを構成する。これにより、第1音源を用いた校正のための環境が好適に構築されている。その上で、第1校正音は第1音源の外側でも発生するため、これが収容体に反射すると干渉の原因となる。このため、収容体には、第1音源の外側で第1校正音を吸収する吸音材が配置される。これにより、反射による干渉を防止して校正のための環境を好適に維持することができる。
(4)第1音源と第2音源との間には、振動抑制部材が配置されている。上記(3)の態様のように、独立した1つのカプラが音響カプラ装置の内部に構成される場合、第2音源から第1のマイクロホン及び第2のマイクロホンを収容する支持部材への振動が伝達されることは校正に悪影響を及ぼし、好ましくない。そこで、振動抑制部材によって第2音源から支持部材への振動伝達を抑制し、校正精度を維持することができる。また、振動抑制部材は、音響カプラ装置内部で独立した1つのカプラを固定すると同時に、例えば第2のマイクロホンを挿入した際の支持部材を含むカプラへの衝撃を吸収・緩和・分散する役割も果たす。
(5)音響カプラ装置は筐体を備えており、筐体には、少なくとも支持部材、第1音源及び第2音源が内部に収容されている。これに付随して、第1音導通路や第2音導通路もまた筐体の内部に収容されることになる。筐体の下面には脚部を備えており、脚部は、筐体を所定の姿勢(例えば立姿勢)に保持した状態で載置可能とする。このような構造は、音響カプラ装置を安定的に据え置き、校正作業を行う上での利便性や確実性を担保する。その上で、静圧調整に関わる連通路は、筐体の内部から脚部の非載置面を通って外気に連通した構造としている。これは、例えば筐体の下面に連通路が開口していた場合、載置の条件によって連通路の開口が塞がれてしまったり、あるいは筐体の下面に何らかのラベルが貼付されて連通路の開口が塞がれてしまったりすることを構造的に解決するものである。脚部の非載置面を通じて外気に開放する構造であれば、筐体を載置した状態でも連通路が塞がれることはなく、確実な内部の静圧調整を可能にすることができる。
以上のように本発明によれば、広帯域での校正作業に適した技術を提供することができる。
一実施形態の音響カプラ装置100の外部形態を示す斜視図である。 音響カプラ装置100の縦断面図(図1中のII-II線に沿う断面図)である。 図2中の一点鎖線の円で示される範囲の拡大図である。 マイクロホン支持部124及び圧電振動子128の外部形態を示した分解斜視図である。 スペーサ124b及び音口124cの位置におけるマイクロホン支持部124の水平断面図(図4中のV-V線に沿う断面図)である。 音響カプラ装置100を用いた校正手法の手順例を示す図である。
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態で示す音響カプラ装置の構成は好ましい例示であり、本発明はこの例示に限定されるものではない。また、「音響カプラ装置」の呼称には限られず、「音響カプラ」や「比較カプラ」等の呼称を用いてもよい。
図1は、一実施形態の音響カプラ装置100の外部形態を示す斜視図である。音響カプラ装置100は、全体として略円柱形状をなす筐体102を備えており、この筐体102は、円筒形状をなす側板104、円形フランジ形状をなす底板106及び円盤形状をなす天板108を組み合わせて構成されている。また、筐体102の下面(底板106の下面)には、パッド状の脚部110が取り付けられており、本実施形態では周方向に等間隔で例えば3つの脚部110が配置されている。音響カプラ装置100の筐体102は、脚部110によって例えば図示しない載置台の載置面上に据え置かれ、例えば図1に示される立姿勢に保持されている。脚部110の材質は、例えば防振材(防振ゴム、樹脂等)とすることができるが、これに限るものではない。
音響カプラ装置100は、天板108の中央位置から突出したローレットノブ112を有しており、このローレットノブ112の中心部には、例えば円形の挿入口112aが形成されている。挿入口112aはローレットノブ112の上面から奥方向(下方向)に向かって漏斗状に窄まり、一定の内径を維持した状態で筐体102の内部に通じている。
音響カプラ装置100には、上記の挿入口112aを通じて基準マイクロホンMs又は被校正マイクロホンMpが外部から挿入される。基準マイクロホンMs又は被校正マイクロホンMpは、例えばプリアンプPA2に装着されており、また、プリアンプPA2は、図示のように計測器MIや騒音計等に装着される場合もあれば、図示しない外部装置に接続される場合もある。基準マイクロホンMs、被校正マイクロホンMp、及び後述のモニターマイクロホンMmの先端には、マイクロホンの振動膜を保護するための保護グリッドGrがそれぞれ装着されている。保護グリッドGrにはスリット等が設けられており、音圧はこのスリット等を通って振動膜に伝わる。本実施形態では、挿入電圧法(IEC 61094-2規定)に対応したプリアンプに1/2インチ計測用マイクロホン(IEC 61094-4規定に準拠した形状・寸法のコンデンサマイクロホン)を接続して校正する例を説明するものとする。また、基準マイクロホンMsは、音圧感度レベルが校正済みのワーキングスタンダード(特定標準器から連鎖して校正された、IEC 61094-4規定に適合したコンデンサマイクロホン)であるとする。
筐体102(側板104)の側面にはコネクタ113が設置されており、このコネクタ113は、筐体102の内部で各種の電気系統(図1には示されていない)に繋がっている。音響カプラ装置100は、校正に際して外部装置(図1には示されていない)との接続をコネクタ113を通じて行うことができる。
〔内部構造〕
図2は、音響カプラ装置100の縦断面図(図1中のII-II線に沿う断面図)である。また、図3は、図2中の一点鎖線の円で示される範囲の拡大図である。以下、適宜に図2及び図3を参照しつつ説明する。
音響カプラ装置100は、第1カプラ120及び第2カプラ140を備えており、筐体102の内部には、これら2つの第1カプラ120、第2カプラ140を収容可能な容積が確保されている。このうち、第1カプラ120は筐体102の内部で上方に位置しており、第2カプラ140はその下方に位置している。
上方の第1カプラ120は、天板108の下面側に取り付けられている。第1カプラ120にはモニターマイクロホンMm及びプリアンプPA1が装備されており、第1カプラ120は、これらモニターマイクロホンMm及びプリアンプPA1とともに筐体102の内部に収容されている。モニターマイクロホンMmは、第1カプラ120の内部の音圧を測定し、プリアンプPA1は、モニターマイクロホンMm出力のインピーダンス変換を行う。プリアンプPA1には、コネクタ113から電気系統の接続線113bが延びており、コネクタ113に接続された外部装置によりプリアンプPA1及びモニターマイクロホンMmの駆動・制御が可能である。
〔第1カプラの構成〕
第1カプラ120は、主に収容体122、マイクロホン支持部124及び圧電振動子128を備えており、このうち収容体122は、マイクロホン支持部124及び圧電振動子128を内部に収容した状態で、それぞれの位置関係を保持している。
〔支持部材〕
マイクロホン支持部124は、筐体102(ローレットノブ112)の上面に開口した挿入口112aに連なった略円筒形状をなしており、上記のモニターマイクロホンMmは、マイクロホン支持部124の内部に収容されている。また、マイクロホン支持部124は、筐体102の外部から挿入された基準マイクロホンMs又は被校正マイクロホンMpを内部に収容可能である。
また、図3に拡大して示されているように、マイクロホン支持部124は、円筒形状をなす本体を有しており、その内壁面124aに沿ってモニターマイクロホンMmと基準マイクロホンMs、あるいは被校正マイクロホンMpを内部に収容する。この状態で、マイクロホン支持部124は、モニターマイクロホンMmと基準マイクロホンMs、あるいは被校正マイクロホンMpの保護グリッド前端面(保護グリッドGrの前端面の意味。以下同じ。)同士を対向させ、間に校正用空間Spを形成した状態に保持することが可能である。このため、マイクロホン支持部124の内部には、内壁面124aから中心方向に突出した複数のスペーサ124bが形成されており、モニターマイクロホンMmの保護グリッド前端面と他の基準マイクロホンMs又は被校正マイクロホンMpの保護グリッド前端面との間には、スペーサ124bの高さ(厚み)分の間隔で校正用空間Spが確保されている。なお、校正用空間Spの間隔は、例えば1.5mmとすることができるが、これに限るものではない。
〔第1音導通路〕
マイクロホン支持部124には、音口124cが周方向の複数箇所に等間隔で形成されており、音口124cは、マイクロホン支持部124の内壁面124aから外面までを貫通している。これにより、校正用空間Spは音口124cを通じてマイクロホン支持部124の外側に連通した状態となっている。そして、マイクロホン支持部124には、校正用空間Spの周囲の外側に縮径部124dが形成されており、この縮径部124dでは、マイクロホン支持部124の本体が部分的に窄まることで、音口124cの外側には、圧電振動子128との間に音導通路122dが形成されている。
図4は、マイクロホン支持部124及び圧電振動子128の外部形態を示した分解斜視図である。また、図5は、スペーサ124b及び音口124cの位置におけるマイクロホン支持部124の水平断面図(図4中のV-V線に沿う断面図)である。以下、図2及び図3に加えて適宜、図4及び図5を参照しつつ説明する。
〔第1音源〕
図4に示されているように、上記の圧電振動子128もまた円筒形状をなしており、その内径はマイクロホン支持部124の外径よりも大きい。圧電振動子128は、マイクロホン支持部124に収容された2つのマイクロホン(Mm,Ms/Mp)の保護グリッド側面が高さ方向に占める範囲を超える高さ(軸方向の長さ)を有している。高さ方向でみて、校正用空間Spの高さがちょうど、圧電振動子128の円筒形状の高さ方向の中央に一致している。このような圧電振動子128は、マイクロホン支持部124を取り囲んでその外側に配置されている。圧電振動子128には、コネクタ113から電気系統の接続線113aが延びており、コネクタ113に接続された外部装置により、圧電振動子128の駆動・制御が可能である。圧電振動子128は、駆動電圧の印加に伴って径方向に振動し、例えば1kHz~20kHzの音(高周波数帯域の校正音)を出力する。圧電振動子128の内径、長さは、一例としてφ20mm、20mm程度とすることができるが、これに限るものではない。
図2~図5に示されているように、各マイクロホンMm,Ms,Mp、マイクロホン支持部124、圧電振動子128及び吸音材134は、これらが全て同軸上に配置されている。これにより、高周波数帯域での校正用空間Sp内の音圧を均質化し、またS/N比を維持することができる。吸音材134の密度、厚さは、一例として0.5g/cm、2mm程度とすることができるが、これに限るものではない。
〔シール部材〕
また、マイクロホン支持部124には、モニターマイクロホンMmとその他の基準マイクロホンMs又は被校正マイクロホンMpにそれぞれ対応して、2つのシール部材126(本発明の第1シール部材であるOリング)が設けられている。マイクロホン支持部124には、内壁面124aに沿って円環状をなす2本の溝部124eが形成されており、2つのシール部材126は、それぞれ対応する溝部124e内に埋め込むようにして配置されている。このうち、下側のシール部材126は、マイクロホン支持部124の内壁面124aとモニターマイクロホンMmの保護グリッド側面(保護グリッドGrの側面の意味。以下同じ。)との隙間を気密に区画(シール)する。また、上側のシール部材126は、内壁面124aと挿入された方のマイクロホン(基準マイクロホンMs又は被校正マイクロホンMp)の保護グリッド側面との間を気密に区画(シール)する。シール部材126は、校正用空間Spからの音漏れを防止する。ローレットノブ112の下側に配置するゴムパッキン125(本発明の第2シール部材)については後述する。
〔通気路〕
自由音場と同じ条件となるように低域を校正するには、マイクロホンの振動膜前面だけでなく静圧調整孔にも音圧(校正音)を暴露させなければならない。上記のように、各マイクロホンMm,Ms,Mpの保護グリッド側面がシール部材126(Oリング)で気密に区画されているが、このうち音響カプラ装置100に内蔵のモニターマイクロホンMmについては、保護グリッド前端面側で静圧調整が可能な型式のものを採用し、静圧調整孔(図示しない)に積極的に校正音を暴露させている。一方、外部から挿入される基準マイクロホンMs又は被校正マイクロホンMpについては、保護グリッド前端面以外の保護グリッド側面又は筐体裏側の位置で静圧調整を行う型式であることも想定し、マイクロホン支持部124には2本の通気路124g,124hが形成されている。また、プリアンプPA2にも静圧調整孔PA2aが形成されている。マイクロホン支持部124のうち一方(図3でみて下方)の通気路124gは、挿入される基準マイクロホンMs又は被校正マイクロホンMpの保護グリッド前端面からシール部材126までの間の位置で内壁面124aに開口し、本体を径方向に貫通して外側に通じている。もう一方(図3でみて上方)の通気路124hは、シール部材126からゴムパッキン125までの間の位置で内壁面124aに開口し、本体を径方向に貫通して外側に通じている。プリアンプPA2の静圧調整孔PA2aは、シール部材126からゴムパッキン125までの間の位置で内壁面124aに開口し、通気路124hを経由し本体外側へ通じている。これらにより、基準マイクロホンMs又は被校正マイクロホンMpの側面と内壁面124aとの隙間にあるシール部材126の下側及び上側の空間、及び基準マイクロホンMs又は被校正マイクロホンMpの筐体裏側の空間が、マイクロホン支持部124の外側に連通した状態となる。これにより、マイクロホンの静圧調整孔の位置によらず、挿入される基準マイクロホンMs又は被校正マイクロホンMpの静圧調整孔に校正音が暴露され、低域で自由音場と同様な校正結果が得られる。なお、図2及び図3では便宜上、同じ断面内に通気路124g,124h及び音口124cの断面が位置するように示しているが、図5に示すように、通気路124g,124hと音口124cの位置が周方向で違っていてもよい。
〔収容体〕
図2及び図3には断面のみ示されているが、収容体122は、全体として円柱状の外形をなしており、その上面及び下面が円形に開口している。また、上面の開口部分の周囲はボス形状に突出しており、この突出部分の上端は、中心に向かって下り傾斜となるテーパー面122eに形成されている。そして、収容体122は、上端のテーパー面122eとローレットノブ112との間にゴムパッキン125を挟み込むようにして保持しており、収容体122の上面における開口は、ゴムパッキン125によりシールされている。また、マイクロホン支持部124の上端についても、同様なテーパー面124fに形成されており、マイクロホン支持部124のテーパー面124fと収容体122のテーパー面122eとが面一に連なって配置されている。これにより、マイクロホン支持部124もまた、上端のテーパー面124fとローレットノブ112との間にゴムパッキン125を挟み込むようにして保持し、マイクロホン支持部124の上端における開口は、円環形状をなすゴムパッキン125によりシールされている。なお、ゴムパッキン125の内径は、プリアンプPA2や基準マイクロホンMs又は被校正マイクロホンMpを挿通可能な大きさとなっている。
一方、筐体102は、天板108の中央部がボス形状に上方へ突出して形成されており、さらにその中央部に雌ねじが形成されている。上記のローレットノブ112には、この中央部の雌ねじに対応した雄ねじ112bが形成されており、雄ねじ112bを天板108側の雌ねじにねじ込んだ状態で取り付けられている。
挿入口112a内にプリアンプPA2(基準マイクロホンMs又は被校正マイクロホンMpを装着した状態)を挿入した状態でローレットノブ112が締め込まれると、テーパー面122e,124fの下り傾斜に沿ってゴムパッキン125が押しつぶされ、プリアンプPA2の外面に強く密着する。これにより、挿入したプリアンプPA2とともに基準マイクロホンMs又は被校正マイクロホンMpを締め付けて固定することで、逐次校正(IEC 61094-5:2016 Annex B B.2参照)を行うことができる。
また、収容体122の下面の開口部分には、上記のプリアンプPA1が挿入されており、これにより、モニターマイクロホンMmとプリアンプPA1との接続が行われている。また、収容体122とプリアンプPA1とは、連結部材136を介して連結されている。
さらに、収容体122は、収容する対象物の形状や配置に応じた複数の収容部122a,122b,122cを有しており、これら収容部122a,122b,122cは、収容体122の中心から外側に向かって同心円状に形成されている。このうち最も内側の収容部122aは、上記のマイクロホン支持部124を収容している。中間の収容部122bは、上記の圧電振動子128を収容している。そして、最も外側の収容部122cには、吸音材134が収容されている。この吸音材134は、圧電振動子128から発生した音を吸収し、収容体122の壁面からの音の反射を抑制する。
〔防振材〕
ここで、圧電振動子128は、上下の両端縁がそれぞれゴムパッキン130,132により保持された状態で、収容部122b内に収容されている。ゴムパッキン130,132は、圧電振動子128の上下端縁の形状に合わせて円環形状をなし、かつ、上下端縁部を包み込むような溝型(チャネル型)の断面形状をなしている。このようなゴムパッキン130,132は、圧電振動子128の振動が直接に収容体122やマイクロホン支持部124(モニターマイクロホンMm、基準マイクロホンMs又は被校正マイクロホンMp)に伝わることを抑制している。ゴムパッキン130と132の溝深さ、厚みは、一例として1mm、0.5mm程度とすることができるが、これに限るものではない。また、ゴムパッキン130,132と圧電振動子128、マイクロホン支持部124(モニターマイクロホンMm、基準マイクロホンMs又は被校正マイクロホンMp)で囲まれた空間(音導通路122d及び校正用空間Sp)の容積は一例として1cc程度とすることができるが、これに限るものではない。
〔スリット〕
圧電振動子128の下端縁を保持するゴムパッキン132には、周方向の一部にスリット132aが形成されている。図2及び図3は、ちょうど下側のゴムパッキン132をスリット132aの断面の位置で示したものである。このスリット132aは、収容体122の内部で圧電振動子128の内側と外側とを連通する。これにより、圧電振動子128の外側とその内側にある音導通路122dとが連通した状態となっている。
〔第2音導通路〕
ここで、音響カプラ装置100はシリコンチューブ150を備えており、このシリコンチューブ150は、第1カプラ120と第2カプラ140との間を連通している。具体的には、シリコンチューブ150の一端部は第1カプラ120の収容体122を貫通して外側から内側の収容部122bにまで延びており、その開口端がゴムパッキン132のスリット132aに対して空隙をもって位置している。また、シリコンチューブ150の他端部は、第2カプラ140の内部に延びている。これにより、圧電振動子128の外側とその内側にある音導通路122dとが第2カプラ140の内部に連通した状態となっている。以下、第2カプラ140について説明する。
〔第2カプラ〕
第2カプラ140は、底板106の上面側に取り付けられている。第2カプラ140は、横向きのカップ形状をなすボックス体142の内部にスピーカユニット144を収容した構造である。内部の構造については図示を簡略化しているが、スピーカユニット144は、電磁コイル(ボイスコイル)により振動板144aを振動させる導電型であり、例として1Hz~800Hzの低周波数帯域音を発する音源(第2音源)である。スピーカユニット144には、コネクタ113から電気系統の接続線113cが延びており、コネクタ113に接続された外部装置により、スピーカユニット144の駆動・制御が可能である。
ここで、スピーカユニット144は、その周囲をボックス体142で気密に保持されており、ボックス体142の内部では、振動板144aによって前側(音の出射側)の空間146と後側の空間148とが区画されている。このうち、前側の空間146には、上記のシリコンチューブ150が通じている。このため、スピーカユニット144が振動板144aの振動に伴って発生させた音(第2校正音)は、シリコンチューブ150を通って第1カプラ120に伝わり、そこでスリット132aから音導通路122dを通って校正用空間Spに導入される。前側の空間126の容積は、一例として5cc程度とすることができるが、これに限るものではない。
〔連通路〕
さらに、音響カプラ装置100は別のシリコンチューブ152,154を備えており、これらシリコンチューブ152,154により、第2カプラ140が筐体102の外側(外気)に連通している。すなわち、一方のシリコンチューブ152は、一端の開口がボックス体142の内部で振動板144aの前側の空間146に通じており、他端の開口が筐体102の底板106を貫通して下面よりも下方に突出している。また、他方のシリコンチューブ154は、一端の開口がボックス体142の内部で振動板144aの後側の空間148に通じており、他端の開口が筐体102の底板106を貫通して下面よりも下方に突出している。これにより、第2カプラ140においては、スピーカユニット144の振動板144aで区画される前側の空間146及び後側の空間148がそれぞれ外気に連通している。
〔脚部を通じた通気〕
シリコンチューブ152,154は、上記のように筐体102の底板106を貫通して下面よりも下方に突出しているが、このとき、各シリコンチューブ152,154の下端は、それぞれ対応する位置の脚部110内にて開放されている。図2に示されているように、脚部110の内部には円環形状をなす通気路110aが形成されるとともに、脚部110の非載置面(載置に用いない面)である側面の一部に貫通路状の切欠部110bが径方向に形成されることで、通気路110aが切欠部110bを通じて外気に連通している。したがって、各シリコンチューブ152,154は、脚部110内の通気路110a及び切欠部110bを通じて外気に連通することができる。
〔静圧調整の構成〕
本実施形態では、シリコンチューブ150,152,154による静圧調整が以下のように行われている。
(1)第1カプラ120と第2カプラ140とを連通するシリコンチューブ150は、振動板144aの前側の空間146と圧電振動子128の外側及び内側の空間(音導通路122d)を連通する。これは、シリコンチューブ150の一端がゴムパッキン132のスリット132aに接続していることによる。
(2)別のシリコンチューブ152は、振動板144aの前側の空間146と外気とを連通する。これにより、前側の空間146の静圧が維持されるとともに、圧電振動子128の外側及び内側の空間(音導通路122d)の静圧も維持される。
(3)その他のシリコンチューブ154は、振動板144aの後側の空間148と外気とを連通する。これにより、後側の空間148についても静圧が維持される。
(4)上記(1)~(3)により、第1カプラ120における校正用空間Spから圧電振動子128の外側及び内側の空間(音導通路122d)、そして、第2カプラ140における振動板144aの前側の空間146及び後側の空間148にわたって静圧調整が可能となる。
なお、シリコンチューブ150の内径、長さは、一例としてφ1mm、20cm程度、シリコンチューブ152と154の内径、長さは、一例としてφ1mm、10cm程度とすることができるが、これに限るものではない。また、スリット132aの幅、奥行、高さは、4mm、2mm、0.5mm程度とすることができるが、これに限るものではない。
〔振動抑制部材〕
第1カプラ120と第2カプラ140との間には、振動伝達を抑制するため超軟質ウレタン138が介挿されている。超軟質ウレタン138は、低域での校正時に第2カプラ140から第1カプラ120への振動伝達を抑制するほか、第1カプラ120の位置を固定する。また、外部からの基準マイクロホンMs又は被校正マイクロホンMpの挿入時の第1カプラ120への衝撃吸収や緩和、分散の役割を果たす。超軟質ウレタン138の厚みは、一例として3mm程度とすることができるが、これに限るものではない。
〔校正手法の例〕
次に、本実施形態の音響カプラ装置100を用いた校正手法について、一例を挙げて説明する。なお、校正手法は以下の例示に限られない。
図6は、音響カプラ装置100を用いた校正手法の手順例を示す図である。校正作業に際しては、所定の外部装置ODが好適に用いられる。外部装置ODは、圧電振動子128、スピーカユニット144への駆動信号を制御し、校正音を受け各プリアンプPA1,PA2から出力される信号を取得することができる。また、各マイクロホンMm,Ms/Mpへの挿入信号を制御し、各プリアンプPA1,PA2から出力される信号を取得することができる。さらに、各マイクロホンMm,Ms/Mpへの入力信号、及びプリアンプPA1,PA2の出力信号を測定、記憶し、適宜補正量を加算することで、被校正マイクロホンMpの自由音場感度レベルまたは音圧感度レベルを算出する。
ステップS1:先ず、外部装置ODを音響カプラ装置100に接続する。外部装置ODは、上記のコネクタ113を通じて接続することができる。また、挿入されるプリアンプPA2については、直接配線で外部装置ODと接続することができる。
ステップS2:音響カプラ装置100の挿入口112aに基準マイクロホンMsを挿入し、基準マイクロホンMsの保護グリッド前端をスペーサ124bに突き当てる。そして、ローレットノブ112で締め付けて、基準マイクロホンMsをプリアンプPA2ごと固定する。
ステップS3:予め、基準マイクロホンMsの音圧感度レベルと校正音圧レベル(外部装置ODで周波数毎に設定済みの、音響カプラ装置100の各音源である圧電振動子128及びスピーカユニット144から出力する音圧レベル)から求めた電気信号を、外部装置ODからプリアンプPA2を経由して基準マイクロホンMsに入力する。その時のプリアンプPA2の出力電圧を測定し、外部装置ODに記憶する。
ステップS4:外部装置ODの信号ラインを、プリアンプPA2から圧電振動子128またはスピーカユニット144に切り替える。プリアンプPA2の出力電圧が先のステップS3のときと同じになるよう、校正音源への入力信号を調整し、校正音を出力する。その時の校正音源への入力電圧を測定し、外部装置ODにて記憶する。
なお、このとき測定可能な周波数範囲は、例えば1Hz~20kHz(1/3オクターブ刻み)であり、実際の周波数下限と上限は、校正に用いる基準マイクロホンMm又は被校正マイクロホンMpの周波数特性仕様に応じて設定するものとする。このとき、1kHz~20kHzは圧電振動子から音を出力し、1Hz~800Hzはスピーカユニットから音を出力する。校正音圧レベルは、例えば1Hz~100Hzでは104dB、125Hz~20Hzでは94dBとするが、これらに限るものではない。
ステップS5:ステップS4の時のプリアンプPA1からの出力電圧を測定し、外部装置ODにて記憶する。
ステップS6:外部装置ODの信号ラインを、圧電振動子128又はスピーカユニット144からプリアンプPA1に切り替える。プリアンプPA1の出力電圧が先のステップS5のときと同じになるよう、プリアンプPA1を経由したモニターマイクロホンMmへの入力信号を調整する。その時の入力電圧を測定し、外部装置ODにて記憶する。
ステップS7:ここまでのステップS3~S6において、各周波数でのプリアンプPA1の入力電圧と出力電圧との関係から、モニターマイクロホンMmの音圧感度レベルを求め、その結果を外部装置ODにて記憶する。
ステップS8:基準マイクロホンMsを取り外し、被校正マイクロホンMpに差し替える。このとき、プリアンプPA2は同じものを使うものとする。
ステップS9:ここからは、先のステップS3~S6と同様の測定を行う。ただし、先のステップS7で求めたモニターマイクロホンMmの音圧感度レベルを基準として測定を行うため、測定順序は図6のS6→S5→S4→S3となる。各周波数でのプリアンプPA2の入力電圧と出力電圧との関係から、被校正マイクロホンMpの音圧感度レベルを求める。
ステップS10:このとき、被校正マイクロホンMpが自由音場型マイクロホンである場合、マイクロホン毎に固有の自由音場感度レベル-音圧感度レベル補正量(自由音場補正量)を加算し、自由音場感度レベルを求める。
ステップS11:そして、校正結果(被校正マイクロホンMpの自由音場感度レベル又は音圧感度レベル)を保存し、外部装置ODより出力する。
以上のステップS1~S11を実行することで、被校正マイクロホンMpを校正することができる。
上述した実施形態の音響カプラ装置100によれば、以下の利点が得られる。
(1)1つの測定手段(1台の音響カプラ装置100)、かつ1回の測定で、1Hz~20kHzの広帯域において1/2インチ計測用マイクロホン及び騒音計の校正を実施することができる。
(2)また、内部構造(図2、図3)により充分な校正精度を有しており、IEC 61672-1:2013 (JIS C 1509-1:2017)附属書B「測定の不確かさの最大許容値」での要求事項である「周波数重み付け特性A, 周波数重み付け特性C及び周波数重み付け特性Z」の測定の不確かさにおける最大許容値を満たすことができる。
(3)全体形状が小型(例として筐体102の外寸φ120×高さ寸法127mm程度、質量約1.4kg程度)であり、校正作業者が容易に運搬可能であるため、任意の場所での校正作業を可能とする。
(4)高域対応の第1カプラ120及び低域対応の第2カプラ140のいずれについても静圧調整が可能な構造であるため、広帯域で安定した校正を可能とする。
(5)シリコンチューブ152,154の外側開口が脚部110内にあり、通気口となる位置が筐体102の外面に露出しない。このため、通気口が目立たずに製品の美観を向上することができ、また、底面での何らかの物体の密着や任意のラベル貼付によって通気口が塞がれることを構造的に防止することができるので、常時安定して静圧調整を行うことができる。
(6)挿入する基準マイクロホンMsまたは被校正マイクロホンMpの型式によらず、あらゆる静圧調整構造に対応しており、低周波数帯域で自由音場と同等の校正が可能である。
本発明は、上述した一実施形態に制約されることなく、種種に変形して実施することができる。一実施形態中で挙げた各種諸元や数値は既に述べたように例示であり、これらに限るものではない。
また、筐体102や各部材の形状や構造については、図示のものを一例としつつ、その他の任意な変更が可能である。例えば、筐体102は円柱形状ではなく、角柱形状であってもよいし、挿入口112aが上面以外に開口している形態であってもよい。
100 音響カプラ装置
102 筐体
110 脚部
120 第1カプラ
122 収容体
122d 音導通路
124 マイクロホン支持部
124g,124h 通気路
126 シール部材
128 圧電振動子
130,132 ゴムパッキン
132a スリット
134 吸音材
138 超軟質ウレタン
140 第2カプラ
144 スピーカユニット
150,152,154 シリコンチューブ

Claims (7)

  1. 校正に関わる第1のマイクロホン及び第2のマイクロホンを、互いの保護グリッド前端面同士の間に校正用の空間を形成した状態で内部に収容可能な支持部材と、
    前記支持部材の外側に配置され、第1の周波数帯域で校正に関わる第1校正音を発生させる第1音源と、
    前記第1音源とは異なる位置で前記支持部材の外側に配置され、振動板の駆動に伴い前記第1の周波数帯域とは異なる第2の周波数帯域で校正に関わる第2校正音を発生させる第2音源と、
    前記第2音源の振動板で区画される前側の空間及び後側の空間をそれぞれ外気に連通させる連通路と、
    前記支持部材の外側と前記校正用の空間との間を相互に連通し、前記第1音源からの前記第1校正音を前記校正用の空間内に導入可能とする第1音導通路と、
    前記支持部材の外側で前記第1音導通路と前記第2音源の振動板で区画される前側の空間との間を相互に連通し、前記第1音導通路を通じて前記第2校正音を前記校正用の空間内に導入可能としつつ、前記連通路を通じて前記校正用の空間を外気に連通させる第2音導通路と
    を備えた音響カプラ装置。
  2. 請求項1に記載の音響カプラ装置において、
    前記支持部材は、
    前記第1のマイクロホン及び前記第2のマイクロホンの各側面を取り囲む内壁面を有した筒形状の本体と、
    前記本体の内壁面と前記第1のマイクロホン及び前記第2のマイクロホンの各保護グリッド側面との隙間を、それぞれの保護グリッド前端面と後端との間の位置で気密に区画する第1のシール部材と、
    前記第1のマイクロホン及び前記第2のマイクロホンとそれぞれ接続される一方のプリアンプ側面と前記本体の内壁面との隙間を、前記第1のシール部材と外気との間の位置で気密に区画する第2のシール部材と、
    前記第1のマイクロホン及び前記第2のマイクロホンの一方の側面と前記本体の内壁面との隙間を、保護グリッド前端面から前記第1のシール部材までの間の位置及び前記第1のシール部材から前記第2のシール部材までの間の位置でそれぞれ前記本体の外側に連通させる複数の通気路と
    を有することを特徴とする音響カプラ装置。
  3. 請求項1又は2に記載の音響カプラ装置において、
    前記第1音源は、
    前記支持部材を取り囲んで配置された円筒形状の圧電振動子を有し、前記圧電振動子の径方向への振動に伴い前記第1校正音を発生可能であり、
    前記圧電振動子は、前記支持部材への振動伝達を抑制する防振材で保持されていることを特徴とする音響カプラ装置。
  4. 請求項3に記載の音響カプラ装置において、
    前記防振材は、
    前記圧電振動子の円形状をなす両端縁でそれぞれ前記圧電振動子を保持する円環形状をなしており、
    前記第2音導通路は、
    円環形状をなす前記防振材の周方向の一部に形成されたスリットにより前記圧電振動子の外側と内側とを連通させた状態で、前記第1音導通路と前記振動板で区画される前側の空間との間を相互に連通していることを特徴とする音響カプラ装置。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の音響カプラ装置において、
    前記支持部材は、
    前記支持部材及び前記第1音源を外側で取り囲む収容体の内側に収容されており、
    前記収容体は、
    前記第1音源の外側で前記第1校正音を吸収する吸音材を有することを特徴とする音響カプラ装置。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の音響カプラ装置において、
    前記第1音源と前記第2音源との間に配置され、前記第2校正音の発生に伴う前記第2音源から前記支持部材への振動伝達を抑制可能な振動抑制部材をさらに備えたことを特徴とする音響カプラ装置。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載の音響カプラ装置において、
    少なくとも前記支持部材、前記第1音源及び前記第2音源を内部に収容する筐体と、
    前記筐体を所定の姿勢に保持した状態で載置可能とするため前記筐体の下面に設置された脚部とをさらに備え、
    前記連通路は、
    前記筐体の内部から前記脚部の非載置面を通って外気に連通していることを特徴とする音響カプラ装置。
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