JP7431412B2 - 被覆電線の分離方法 - Google Patents

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Description

この発明は、導電体と塩化ビニル樹脂を含有する樹脂被覆材よりなる被覆電線を、樹脂被覆材と導電体に分離させる被覆電線の分離方法に関するものである。
線状の導電体(以下、導電線と称する)を塩化ビニル樹脂などの絶縁性の樹脂被覆材で覆った、いわゆる被覆電線は、自動車の電装部分、家電製品、通信機器、コンピュータなど、各種電気機器の基本的な構成部材として幅広く用いられている。こうした各種電気機器の廃棄に伴って生じる廃被覆電線は、導電線として主に銅などの有用な金属を多く含むため、リサイクルの目的で回収し、金属素材として再資源化されている。
しかしながら、被覆電線は、導電線の周囲に樹脂被覆材が密着して覆っているため、再資源化にあたっては、これら導電線と樹脂被覆材とを分離する必要がある。
従来、被覆電線を導電線と樹脂被覆材に分離する方法として、例えば特許文献1では、被覆電線を剪断機によってチップ状に細かく剪断するとともに、導電線から樹脂被覆材を剥離させている。この後、水を用いた比重差分離によって、導電線と樹脂被覆材とを分別している。
しかしながら、特許文献1に開示された方法は、被覆電線を剪断する際に導電線から樹脂被覆材を物理的に剥がすという構成のため、分離させた導電線に樹脂被覆材の細片が残留し、回収する導電体の純度が低下するという課題があった。また、導電線から樹脂被覆材を正確に分離するためには、破砕機のスクリーンのメッシュを細かくする必要があり、これにより粉砕時間が極端に長くなるために処理効率が悪いという課題があった。さらに、回収された導電線を伸銅製品の原料として利用する場合、粒度が非常に細かいことが原因で、溶解歩留まりが悪化するという課題もあった。
また、特許文献2では、被覆電線を加熱して樹脂被覆材を炭化させ、その後、導電線から炭化した樹脂被覆材を取り除くことにより、導電線から樹脂被覆材を剥離させることを容易にしている。
しかしながら、特許文献2に開示された方法は、樹脂被覆材の炭化物が導電線に付着し、回収する導電体の純度が低下するという課題があった。また、樹脂被覆材に含まれる塩化ビニル樹脂の熱分解により腐食性の塩化水素ガスが発生するため、反応装置や配管が劣化しやすく、排出ガスの処理が煩雑になる問題があった。加えて、樹脂被覆材は炭化物として分離するため、樹脂被覆材を材料資源としてリサイクルできないという課題もあった。
更に、特許文献3では、被覆電線を有機溶剤に浸漬して樹脂被覆材を膨潤させることにより、後工程において樹脂被覆材から導電線を引き抜くことを容易にしている。
しかしながら、特許文献3に開示された方法は、樹脂被覆材の膨潤工程、導電線の分離工程、分離した樹脂被覆材を溶剤に溶解する工程、および複数の分離工程などからなり、処理にあたって樹脂被覆材から導電線を一本一本引き抜く工程や真空蒸留工程など、多くの工程が必要であり、処理効率が悪いという課題があった。
こうした特許文献1~3の課題を解決するために、例えば、特許文献4では、ジクロロメタンからなる油相と、水からなる水相とを懸濁して処理液のエマルジョンを形成し、このエマルジョンに被覆電線を浸漬する。このエマルジョンと樹脂被覆材が接触することで、導電体を覆う樹脂被覆材が膨潤する。そして、膨潤により樹脂被覆材と導電体との間に空隙を生じるため、エマルジョンの撹拌によって、樹脂被覆材を導電体から容易に剥離させることができる。これにより、樹脂被覆材を導電体から引き剥がすなどの物理的な応力を加えずに、簡単に、かつ効率的に、被覆電線を導電体と樹脂被覆材とに分離することができるとされている。また、油相と水相のエマルジョンを用いることで、樹脂被覆材に含まれる塩化ビニル樹脂の溶解はないため、例えば真空蒸留などの手間の掛かる工程を経ずに、導電体だけなく樹脂被覆材も樹脂材料としてそのまま再利用することが可能になり、被覆電線の全体を無駄なく再利用してリサイクル効率を高めることが可能になるとされている。
特開2012-089358号公報 特許第5134719号公報 特開平06-279614号公報 特開2018-149477号公報
しかしながら、特許文献4に開示された方法は、被覆電線から樹脂被覆材を完全に剥離するためには、予め被覆電線を数センチ程度の長さまで短く切断する必要があり、前処理に手間が掛かるという課題があった。そして、短く切断した被覆電線から回収される導電線も、長さが数センチ程度と粒度が細かくなるので、例えば、伸銅製品の原料として利用する場合、溶解歩留まりが悪化する課題があった。
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、被覆電線の前処理を簡素化し、長尺の被覆電線のままで導電体と樹脂被覆材とに分離することができ、また、分離後の導電体と樹脂被覆材を高純度のリサイクル材料として用いることを可能にする被覆電線の分離方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の被覆電線の分離方法は、塩化ビニル樹脂を含有する樹脂被覆材で導電体を被覆してなる被覆電線を、前記樹脂被覆材に対して難溶性または不溶性でかつ膨潤性を有する有機溶剤に浸漬して前記樹脂被覆材を膨潤させる膨潤工程、膨潤した前記樹脂被覆材を機械的に破砕しつつ、前記導電体を細断させずに前記導電体から前記樹脂被覆材を剥離させる破砕剥離工程、を有することを特徴とする。
本発明によれば、被覆電線を難溶性または不溶性でかつ膨潤性を有する有機溶剤に浸漬して樹脂被覆材を膨潤させてから破砕して樹脂被覆材を剥離させることにより、長尺の被覆電線であっても、前処理として細断などを行うことなく、そのままの状態で導電体から樹脂被覆材を容易に分離することができる。そして、分離した導電体は長尺のままであり、数センチ程度に細断された導電体と比較して、金属原料として利用する場合に溶解歩留まりが向上し、効率的に金属材料として再生を行うことができる。
また、分離した樹脂被覆材も有機溶剤によって膨潤しただけで化学的に変質していないチップ状の塩化ビニル樹脂であるので、塩化ビニル樹脂の再生原料として真空蒸留などを行うことなく低コストに用いることができる。
さらに、前処理として被覆電線を細断する必要がなく、室温の環境下で行えるため、分離、回収コストを削減できる。また、全工程で塩化ビニル樹脂に起因する塩化水素ガスが発生しないため、ガス処理の設備等も不要で低ランニングコストで被覆電線の再利用を行うことが可能になる。
また、本発明では、前記有機溶剤は、前記樹脂被覆材に対する膨潤率が200%以上、350%以下、前記樹脂被覆材に対する溶解度が5g/100g以下であってもよい。
また、本発明では、前記有機溶剤は、酢酸ブチルまたはアセトンのうち、少なくとも1種を含んでいてもよい。
また、本発明では、前記膨潤工程と前記破砕剥離工程とを、同時に行ってもよい。
また、本発明では、前記固液分離工程で分離した液相を、前記有機溶剤として前記膨潤工程に再利用してもよい。
また、本発明では、前記破砕剥離工程は、ボールミルを用いてもよい。
また、本発明では、前記破砕剥離工程を経て膨潤した前記樹脂被覆材から分離された前記導電体は、少なくとも長さが10cm以上の電線であってもよい。
また、本発明では、前記膨潤工程では、前記被覆電線と前記有機溶剤とを、10分以上、40分以下の範囲で接触させてもよい。
本発明の被覆電線の分離方法によれば、被覆電線の前処理を簡素化し、長尺の被覆電線を導電体と樹脂被覆材とに分離することができ、また、分離後の導電体と樹脂被覆材を高純度のリサイクル材料として用いることを可能にする被覆電線の分離方法を提供することが可能になる。
本発明の第1実施形態に係る被覆電線の分離方法を段階的に示したフローチャートである。 本発明の第2実施形態に係る被覆電線の分離方法を段階的に示したフローチャートである。 第1実施形態に基づいて得られた分離後の銅線(導電体)および樹脂被覆材の一例を示す写真である。 第2実施形態に基づいて得られた分離後の銅線(導電体)および樹脂被覆材の一例を示す写真である。
以下、図面を参照して、本発明の被覆電線の分離方法について説明する。なお、以下に示す実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。また、以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る被覆電線の分離方法を段階的に示したフローチャートである。
本発明の被覆電線の分離方法によって被覆電線の処理を行う際には、有機溶剤を入れた処理容器に被覆電線を投入し、被覆電線を有機溶剤に浸漬する(膨潤工程S1)。なお、被覆電線を浸漬した有機溶剤を攪拌することも好ましい。
被処理物である被覆電線は、例えば銅からなる導電体を線状にした銅線(導電体)と、この銅線を覆うチューブ状の樹脂被覆材からなる。樹脂被覆材は、塩化ビニル樹脂を含む。なお、ここでいう塩化ビニル樹脂とは、塩化ビニル重合体(ポリ塩化ビニル:PVC)であり、その重合度は800~1500程度である。
膨潤工程S1に用いる有機溶剤としては、樹脂被覆材に対して少なくとも難溶性、好ましくは不溶性であり、かつ樹脂被覆材を膨潤性させる有機液体を用いる。例えば、有機溶剤は、樹脂被覆材に対する膨潤率が200%以上、350%以下、前記樹脂被覆材に対する溶解度が5g/100g以下のものを用いる。このような有機溶剤の具体例としては、酢酸ブチル(C12)またはアセトン(CHCOCH)、およびこの混合液が挙げられる。こうした有機溶剤は、塩化ビニル樹脂を膨潤させつつ、塩化ビニル樹脂を殆どまたは全く溶解しない。なお、膨潤率は膨潤後の体積の原体積に対する割合を%にて表したものである。つまり、膨潤率が100%の場合は膨潤していないことを示し、200%の場合は原体積の2倍に膨潤したことを示す。
有機溶剤への被覆電線の投入形態については、被覆電線の排出形態のまま、例えば、1mなど長尺のまま束ねたものなど、10cm以上の長さであってもよく、膨潤工程S1の前工程として被覆電線を数センチ以下に細断する必要は無く、各種長さの被覆電線を細断することなく投入することができる。
膨潤工程S1において、樹脂被覆材を構成する塩化ビニル樹脂は、有機溶剤に接することによって、塩化ビニル樹脂のポリマー鎖間に酢酸ブチルやアセトンの分子が取り込まれ膨潤する。これにより、樹脂被覆材の膨潤後の体積は、膨潤前の体積の例えば3倍程度まで膨らむ。膨潤によって、樹脂被覆材と銅線との間に空隙が生じる。なお、樹脂被覆材は、膨潤後も化学結合は維持され、例えば、円筒形の形状は維持される。
一方、膨潤工程S1において、樹脂被覆材を構成する塩化ビニル樹脂は、有機溶剤に対して殆ど、または全く溶解しない。例えば、塩化ビニル樹脂は、有機溶剤の具体例である酢酸ブチルまたはアセトンへの溶出率が5質量%以下である。これにより、後工程である固液分離工程S2で得られた液相は、殆ど塩化ビニル樹脂を含まないので、繰り返し膨潤工程S1での有機溶剤として用いることができる。
膨潤工程S1での有機溶剤に対する被覆電線の浸漬時間は、例えば、室温下で10分以上、40分以下の範囲である。被覆電線を有機溶剤に接触させる時間が10分未満であると、樹脂被覆材が十分に膨潤せず、後工程の破砕剥離工程S3で完全に剥離しない虞がある。また、被覆電線を有機溶剤に接触させる時間が40分を超えても、被覆電線はそれ以上膨潤せず、工程が無駄に長引くだけである。
次に、処理容器内の被覆電線と有機溶剤とを固液分離する(固液分離工程S2)。固液分離工程S2は、被覆電線が通過しない程度のメッシュの濾過材を用いて、濾過することによって行われる。これにより、被覆電線が膨潤した樹脂被覆材(固相)と、有機溶剤(液相)とに分離される。
ここで分離された液相である有機溶剤は、膨潤工程S1において、樹脂被覆材を構成する塩化ビニル樹脂が殆ど、または全く溶出していない。よって、溶出分の除去などの工程を経ることなく、そのまま、膨潤工程S1に繰り返し利用が可能であり、本発明の被覆電線の分離に係る処理コストを低減することができる。繰り返し行う膨潤工程S1では、固液分離工程S2で回収された有機溶剤(液相)に、膨潤工程S1で樹脂被覆材に取り込まれた少量の有機溶剤を新たに追加するだけで良い。
なお、この固液分離工程S2で分離された被覆電線(固相)を加熱などにより乾燥させ、樹脂被覆材の膨潤により取り込まれていた有機溶剤を回収して、繰り返し行う膨潤工程S1に再利用することも好ましい。
次に、固液分離工程S2で分離、回収した被覆電線の膨潤した樹脂被覆材を機械的に破砕して、銅線(導電体)から樹脂被覆材を剥離させる(破砕剥離工程S3)。
破砕剥離工程S3では、膨潤した樹脂被覆材を機械的に破砕しつつ、銅線を細断させないために、ボールミル、ロッドミル、ハンマーミル等を用いることができる。破砕剥離工程S3としてカッターミルやシュレッダーを用いることもできるが、樹脂被覆材とともに銅線も細断されるため、分離した銅線の精製の観点から最適な破砕手段ではない。
破砕剥離工程S3での膨潤した樹脂被覆材の好ましい破砕手段として、例えば、ボールミルを挙げることができる。ボールミルは、中空円筒形のシェル内に被破砕物と破砕媒体とを導入してシェルを回転させることにより、破砕媒体によって被破砕物を破砕するものである。本実施形態では、破砕剥離工程S3は、ボールミルのシェル内に樹脂被覆材を膨潤させた被覆電線と、破砕媒体として超硬合金球を導入し、シェルを所定時間回転させることにより行う。なお、粉砕媒体は、ステンレス球、アルミナ球などを用いてもよい。
こうしたボールミルを用いた破砕剥離工程S3によって、膨潤により銅線との間で隙間が生じていた樹脂被覆材が破砕媒体との繰り返し衝突によって細かく破砕され、銅線から容易に剥離する。一方、銅線は破砕媒体によって細断されることなく、ほとんどが長尺のままで保たれる。
この後、破砕された樹脂被覆材と銅線とを物理選別工程S4によって分離すればよい。樹脂被覆材と銅線との分離は、例えば、篩を用いて分級する方法、比重差によって分離する方法、渦電流によって分離する方法など、樹脂と金属との各種分離方法を採用することができる。
本発明の被覆電線の分離方法によって得られた銅線(導電体)は、工程の最初に投入された被覆電線のままの長さであり、例えば、1mといった長尺の銅線が得られる。また、樹脂被覆材も膨潤しただけで化学的に変質していないチップ状の塩化ビニル樹脂として得られる。
以上のように、本実施形態の被覆電線の分離方法によれば、長さ10cm以上、例えば20cm~1m程度の長尺の被覆電線であっても、前処理として細断などを行うことなく、そのままの状態で銅線(導電体)から樹脂被覆材を容易に分離することができる。
これにより、分離した銅線(導電体)は長尺のままであり、数センチ程度に細断された銅線と比較して、伸銅製品の原料として利用する場合に溶解歩留まりが向上し、効率的に金属材料としての銅の再生を行うことができる。
また、分離した樹脂被覆材も膨潤しただけで化学的に変質していないチップ状の塩化ビニル樹脂であるので、塩化ビニル樹脂の原料として真空蒸留などを行うことなく低コストに用いることができる。
そして、本実施形態の被覆電線の分離方法は、前処理として被覆電線を細断する必要がなく、室温の環境下で行えるため、分離、回収コストを削減できる。また、全工程で塩化ビニル樹脂に起因する塩化水素ガスが発生しないため、ガス処理の設備等も不要で低ランニングコストで被覆電線の再利用を行うことができる。
(第2実施形態)
図2は、本発明の第2実施形態に係る被覆電線の分離方法を段階的に示したフローチャートである。
第2実施形態の被覆電線の分離方法は、樹脂被覆材を膨潤させる膨潤工程と、膨潤させた樹脂被覆材を破砕して銅線(導電体)から剥離させる破砕剥離工程とを、同時に一工程(膨潤-破砕剥離工程)S11で行う。
この膨潤-破砕剥離工程S11では、ボールミルを用いて、中空円筒形のシェル内に被覆電線と破砕媒体と有機溶剤とを導入する。そして、シェルを回転させることにより、被覆電線の樹脂被覆材が有機溶剤によって膨潤し、膨潤した樹脂被覆材が破砕媒体との繰り返し衝突によって細かく破砕され、銅線から容易に剥離する。一方、銅線は破砕媒体によって細断されることなく、ほとんどが長尺のままで保たれる。
この後、固液分離工程S12で、破砕された樹脂被覆材および銅線(導電体)(固相)と、有機溶剤(液相)とを分離し、更に、物理選別工程S13で、破砕された樹脂被覆材と銅線とを分離すればよい。
こうした第2実施形態に係る被覆電線の分離方法では、第1実施形態では別工程として行っていた膨潤工程と破砕剥離工程とを、同時に一工程(膨潤-破砕剥離工程)で行うことにより、第1実施形態よりも少ない工程で効率的に被覆電線から銅線(導電体)と樹脂被覆材とを分離して回収することができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
以下、本発明の効果について検証した。
(検証例1)
以下の検証例1では、第1実施形態の被覆電線の分離方法、即ち膨潤工程S1の後工程で破砕剥離工程S3を行う例について、その効果を検証した。
被覆電線として、断面円形で外形直径が1.2mm、導電線直径が0.6mm(本数30本、素線径0.18mm)の被覆電線(質量10.7g/m)を用意した。なお、この被覆電線の導電体は銅(99.9%)製の撚線からなる。また、この銅線を覆う絶縁性の樹脂被覆材は塩化ビニル樹脂によって構成される。
試験方法は、有機溶剤100mLをビーカーに入れた後、上述した被覆電線をビーカーに投入し、40分間浸漬した。その後、濾過によって固液分離して得た被覆電線(浸漬処理後)をボールミルに投入して、回転数45rpmで所定時間、破砕処理した。ボールミルは円筒形のステンレス材からなり、処理空間の内径が160mm、長さが185mmであり、内部に破砕媒体として炭化タングステン球(直径20mm、20個)を内蔵している。そして、浸漬処理前の被覆電線の樹脂被覆材の質量に対するボールミル処理後の未剥離の樹脂被覆材の重量を測定し、樹脂剥離率を算出した。
表1に本発明例1~7および比較例1~3の構成、および検証結果(被覆電線の長さ、膨潤工程で用いた有機溶剤の種類および樹脂被覆材の膨潤率と溶解の有無、破砕剥離工程における破砕時間および樹脂被覆材の剥離率)をそれぞれ示す。なお、膨潤工程における膨潤率は、膨潤工程前後の被覆電線の樹脂被覆材の体積を測定して算出した。また樹脂被覆材の溶解の有無は、被覆電線を浸漬させた後の有機溶剤が白濁したかどうかで判断した。これは、樹脂被覆材に含まれる塩化ビニル樹脂が溶解すると、樹脂内部に含まれる炭酸カルシウム粉末が有機溶剤に拡散して白濁するためである。なお、比較例3は、樹脂被覆材が有機溶剤(テトラヒドロフラン)に完全に溶解して樹脂被覆材が消失したため、破砕剥離工程は実施できなかった。また、比較例7は膨潤工程を経ずに、試料の被覆電線をそのままボールミルによって破砕を行った結果を示している。
Figure 0007431412000001
表1に示す結果によれば、本発明例1~7のように、有機溶剤として酢酸ブチルあるいはアセトンを用いると、塩化ビニル樹脂が溶解せずに膨潤するので、樹脂被覆材の大部分を剥離することができる。
一方で、比較例1~3に示すように、有機溶剤としてメチルエチルケトンやメチルイソブチルケトン、テトラヒドロフランを用いると、樹脂被覆材(塩化ビニル樹脂)は溶解し、有機溶剤を再利用することができない。また、比較例4、5に示すように、有機溶剤としてメタノールやエタノールを用いた場合、また、比較例6のように有機溶剤に代えて水を用いた場合は、樹脂被覆材の溶解は確認されなかったものの樹脂被覆材が膨潤せず、樹脂剥離率はいずれも0%であり、樹脂被覆材は全く剥離されなかった。また比較例7に示すように、ボールミル破砕のみであっても、樹脂被覆材は全く剥離されなかった。
よって、本発明例1~7のように、有機溶剤として酢酸ブチルあるいはアセトンを用いると、樹脂被覆材が溶解せずに、膨潤率が250%~300%程度に膨潤するので、破砕剥離工程で樹脂被覆材をほぼ完全に取り除くことができ、しかも有機溶剤は樹脂が溶解せず変質しないので再利用できることが確認された。
また、検証例1の本発明例4の条件で多量の被覆電線を処理しで得られた分離後の銅線および樹脂被覆材の様子を図3に示す。図3によれば、銅線は完全に樹脂被覆材が取り除かれ、かつ細断されずにほとんどが長尺の状態で得られ、樹脂被覆材は溶解されずにチップ化されて得られることが分かる。
(検証例2)
以下の検証例2では、第2実施形態の被覆電線の分離方法、即ち膨潤工程と破砕剥離工程とを同時に一工程S11で行う例について、その効果を検証した。
検証例1と同仕様の被覆電線13gと有機溶剤100mLを、検証例1と同様のボールミルに投入して、回転数45rpmで所定時間、破砕処理した。投入した被覆電線の樹脂被覆材の質量に対するボールミル処理後の未剥離の樹脂被覆材重量を調べることで、樹脂剥離率を算出した。
表2に本発明例8~16および比較例8~13の構成、および検証結果(被覆電線の長さ、有機溶剤の種類、膨潤/破砕時間、樹脂被覆材の膨潤率と溶解の有無、および樹脂被覆材の剥離率)を示す。樹脂被覆材の溶解の有無は、検証例1と同様に、有機溶剤の白濁の有無によって判断した。
Figure 0007431412000002
表2に示す結果によれば、本発明例8~16に示すように、有機溶剤として酢酸ブチルあるいはアセトンを用いると、樹脂被覆材(塩化ビニル樹脂)が溶解せずに、樹脂被覆材の大部分を剥離することができる。一方で、比較例8~10に示すように、有機溶剤としてメチルエチルケトンやメチルイソブチルケトン、テトラヒドロフランを用いると、樹脂被覆材(塩化ビニル樹脂)は溶解する。また、比較例11、12に示すように、有機溶剤としてメタノールやエタノールを用いた場合、あるいは比較例13のように処理液として水を用いた場合は、塩化ビニル樹脂の溶解は確認されなかったものの、樹脂剥離率はいずれも0%であり、樹脂被覆材は全く剥離されなかった。
よって、本発明例8~16のように、有機溶剤として酢酸ブチルあるいはアセトンを用い、樹脂被覆材を溶解せずに、膨潤率が200%~300%程度になるように膨潤させ、同時に樹脂被覆材を破砕した場合であっても、樹脂被覆材をほぼ完全に取り除くことができ、しかも有機溶剤は樹脂が溶解せず変質しないので再利用できることが確認された。
また、検証例2の本発明例10の条件で多量の被覆電線を処理しで得られた分離後の銅線および樹脂被覆材の様子を図4に示す。図4によれば、銅線は完全に樹脂被覆材が取り除かれ、かつ細断されずにほとんどが長尺の状態で得られ、樹脂被覆材は溶解されずにチップ化されて得られることが分かる。

Claims (8)

  1. 塩化ビニル樹脂を含有する樹脂被覆材で導電体を被覆してなる被覆電線を、前記樹脂被覆材に対して難溶性または不溶性でかつ膨潤性を有する有機溶剤に浸漬して前記樹脂被覆材を膨潤させる膨潤工程、
    膨潤した前記樹脂被覆材および前記導電体を含む固相と、前記有機溶剤を含む液相とを分離する固液分離工程、
    膨潤した前記樹脂被覆材を機械的に破砕しつつ、前記導電体を細断させずに前記導電体から前記樹脂被覆材を剥離させる破砕剥離工程、を有することを特徴とする被覆電線の分離方法。
  2. 前記有機溶剤は、前記樹脂被覆材に対する膨潤率が200%以上、350%以下、前記樹脂被覆材に対する溶解度が5g/100g以下であることを特徴とする請求項1に記載の被覆電線の分離方法。
  3. 前記有機溶剤は、酢酸ブチルまたはアセトンのうち、少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の被覆電線の分離方法。
  4. 前記膨潤工程と前記破砕剥離工程とを、同時に行うことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の被覆電線の分離方法。
  5. 前記固液分離工程で分離した液相を、前記有機溶剤として前記膨潤工程に再利用することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の被覆電線の分離方法。
  6. 前記破砕剥離工程は、ボールミルを用いることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の被覆電線の分離方法。
  7. 前記破砕剥離工程を経て膨潤した前記樹脂被覆材から分離された前記導電体は、少なくとも長さが10cm以上の電線であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の被覆電線の分離方法。
  8. 前記膨潤工程では、前記被覆電線と前記有機溶剤とを、10分以上、40分以下の範囲で接触させることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の被覆電線の分離方法。
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