JP7431279B2 - 車両のブレーキシステムのための圧力供給ユニット - Google Patents

Description

本開示は、車両（例えば自動車）のブレーキシステムのための圧力供給ユニットに関する。

従来のブースタ、マスタシリンダおよびブレーキペダルの構成の代わりに、ブレーキ圧を供給するために、自動車等の車両用の圧力供給ユニットが、電気・液圧ブレーキ・バイ・ワイヤ・システムと連係するよう用いられている。ペダル感覚エミュレータにおけるセンサを介した運転手（ドライバ）からの信号を、および／または、ドライバが関与することなく自律的に制動を行う（ブレーキをかける）ことができる自動運転（オートパイロット）からの信号を、取得する電子制御ユニット（ＥＣＵ）の命令を、圧力供給ユニットは受ける。圧力供給ユニットは、典型的には、固定子（ステータ）とステータの内側に収容される回転可能な回転子（ロータ）とを有する電動機（モータ）を備える。ロータは、高効率スクリュー組立体（アセンブリ）を収容している。高効率スクリューアセンブリは、さらに、昇圧器本体（ブースタボディ）のシリンダ内に収容されるピストンに取り付けられる。ロータの回転によって軸体（スピンドル）およびピストンが移動し、これにより、ブレーキ圧が変化して制動を行うことができる。

このような圧力供給ユニットにはさらなる改良が必要とされている。

本開示の一面では、ブレーキシステムの圧力供給ユニットを提供する。圧力供給ユニッ
トは、軸に沿って延設されるシリンダを形成するブースタボディを有する。ピストンは、
シリンダ内で軸方向に摺動可能である。ピストンは、軸に沿った内空部を有する。スピン
ドルは、軸に沿って延設されるとともにピストンの内空部に収容される。スピンドルは、
ピストンの軸方向移動を可能にするよう回転不能に設置されかつ軸方向に移動可能である
。モータは、スピンドルの周囲に配置されるとともに、ピストンの軸方向移動を可能にす
るようスピンドルを軸方向に移動させるように構成される。ボール・ソケットジョイント
は、ピストンに対するスピンドルの相対的な回動を可能とするよう、ピストンとスピンド
ルとを連結する。ボール・ソケットジョイントは、スピンドルの前端部に配置されるボー
ル部と、ピストンの内空部内に配置されるとともにボール部を保持するソケット部と、を
有する。ボール部は、ソケット部の外へのボール部の軸方向の移動を抑制しながら、ソケット部に対する相対的なボール部の横方向の移動を可能とする少なくとも一つの切削部分を有している。ボール部は、互いに間隔を空けて配置される複数の切削部分を有している。

ボール・ソケットジョイントによって、簡単な方法でピストンに対するスピンドルの相対的な回動を可能として、スピンドルおよびピストンの摩耗を低減できる。

本開示の他の面では、ブレーキシステムの圧力供給ユニットを提供する。圧力供給ユニットは、軸に沿って延設されるシリンダを形成するブースタボディを有する。ピストンは、シリンダ内で軸方向に摺動可能である。ピストンは、軸に沿った内空部を有する。スピンドルは、軸に沿って延設されるとともにピストンの内空部に収容される。スピンドルは、ピストンの軸方向移動を可能にするよう回転不能に設置されかつ軸方向に移動可能である。モータは、スピンドルの周囲に配置されるとともに、ピストンの軸方向移動を可能にするようスピンドルを軸方向に移動させるように構成される。モータは、環状ステータと、ステータに印加される電流に応じてステータ内で回転可能である環状ロータと、を有する。少なくとも一つのギアは、ロータの回転に応じて回転可能であり、磁石を回転させる
よう構成される。センサは、ロータ角度を決定するために磁石の回転を検出するよう配置される。

少なくとも一つのギアとセンサとを配置することにより、簡単で、小型でかつ信頼性が高い、ロータのロータ角度を検出するための方法を提供できる。

本開示の他の面では、ブレーキシステムの圧力供給ユニットを提供する。圧力供給ユニットは、軸に沿って延設されるシリンダを形成するブースタボディを有する。モータカバーは、ブースタボディに連結され、隔室を形成する。ピストンは、シリンダ内で軸方向に摺動可能である。ピストンは、軸に沿った内空部を有する。スピンドルは、軸に沿って延設されるとともにピストンの内空部に収容される。スピンドルは、ピストンの軸方向移動を可能にするよう回転不能に設置されかつ軸方向に移動可能である。モータは、モータカバーの隔室内においてスピンドルの周囲に配置されるとともに、ピストンの軸方向移動を可能にするようスピンドルを軸方向に移動させるように構成される。モータは、環状ステータと、ステータに印加される電流に応じてステータ内で回転可能である環状ロータと、を有する。回転防止スリーブは、スピンドルの周囲に配置されるとともに、モータカバーに取り付けられる。回転防止スリーブは、スピンドルの軸方向移動を可能にしながらスピンドルの回転を防止するよう構成される。モータカバーは、モータカバー内において隔室内にポケットを形成するよう軸方向に延設される円筒状凸部を有する。回転防止スリーブはポケット内においてモータカバーに固定される。

モータカバーのポケットに固定される回転防止スリーブの構成によって、小型で簡単な構成でスピンドルの回転を防止することができる。さらに、この構成によって、モータハウジングに別途エンドキャップを設けることを必要としないモータカバーを構成できる。

本発明の他の利点は、添付図面を参照して以下の詳細な説明からより理解され、明らかとなろう。

圧力供給ユニットの例示的な実施形態の断面側面図である。 圧力供給ユニットの分解斜視図である。 圧力供給ユニットのロータおよびナットの破断斜視図である。 スピンドルへの接続を示す、圧力供給ユニットの回転防止スリーブの分解破断斜視図である。 回転防止スリーブをモータカバーに固定するための平面を示す、回転防止スリーブの斜視図である。 回転防止スリーブを収容して固定する凸部を示す、モータカバーの凸部の斜視図である。 回転防止スリーブの平面と係合しているモータカバーの一対のカシメ部分の正面断面図である。 スピンドルの端部に位置するボール・ソケットジョイントのボール部の、ボール部上の複数の切削部分を示す、斜視図である。 ソケットに対する切削部分を示す、ボール・ソケットジョイントの拡大破断図である。 ボール・ソケットジョイントによってスピンドルに接続される前に、ピストンがブースタボディ内に取り付けられる構成を示す、圧力供給ユニットの斜視図である。 ブースタボディに接続される前に、ボール・ソケットジョイントによってピストンおよびスピンドルが予め組み立てられている構成を示す、圧力供給ユニットの斜視図である。 図９～図１０の構成の分解斜視図である。 ロータ角度センサアセンブリの他の構成を示す、圧力供給ユニットの破断斜視図である。 ロータ角度センサアセンブリの他の構成を示す、圧力供給ユニットの破断側面図である。 ロータ角度センサアセンブリの他の構成のギアを示す、圧力供給ユニットの分解斜視図である。 シリンダを形成する突き出した横置きボスを有する単一のマスタシリンダ液圧制御ユニット・ブロックを有する、圧力供給ユニットの斜視図である。 図１５の破断図である。 シリンダを形成する簡単なスリーブを有する圧力供給ユニットの構成の斜視図である。 図１７の破断図である。 マスタシリンダブロックが並列モータ・レイアウトで組み込まれた圧力供給ユニットの構成の斜視図である。 図１９の破断図である。

図面を参照して、自動車のブレーキシステムのための圧力供給ユニット１０を概略的に示す。図面では、対応する部品には同様の符号を付している。より具体的には、図１および図２からよく分かる通り、本願にかかる圧力供給ユニット１０は、従来のブースタ、マスタシリンダおよびブレーキペダルの構成の代わりに、モータ１２、スピンドル１４およびピストン１６がブレーキ圧を提供する、電気・液圧ブレーキ・バイ・ワイヤ・システムと共に用いられる。ペダル感覚エミュレータの移動器（トラベラ）および／または力センサからの信号、かつ／または、ドライバから独立している制動を開始可能なオートパイロットから発せられる信号、に基づく電子制御ユニット（ＥＣＵ）１８の命令を、圧力供給ユニット１０は受ける。ペダル感覚エミュレータは、マニュアルバックアップシステムを車輪ブレーキ回路から分離した状態で、ブレーキペダル感覚および反応（フィードバック）をドライバに与える。

より詳細には、圧力供給ユニット１０は、軸に沿って延設されるシリンダ２２を形成するブースタボディ２０を有する。モータカバー２４は、ブースタボディ２０と係合し、隔室（コンパートメント）２６を形成する。ピストン１６は、シリンダ２２に軸方向に収容されるとともに、シリンダ２２およびモータカバー２４の隔室２６内で軸方向に摺動可能であり、これにより、ピストン１６の摺動に応じて、シリンダ２２のブレーキ圧を生じさせる。ピストン１６は、軸Ａに沿った内空部（ボア）２８を有する。ボア２８は軸方向における端部３０で終端している。ブースタボディ２０は、さらに、シリンダ２２からブースタボディ２０内へと径方向外側に延設されるとともに軸Ａ回りに環状に延設される一対の凹部３２を有する。それぞれの凹部３２は、シリンダ２２におけるブースタボディ２０とピストン１６との間の流体の通過を防止するよう構成される一対のシール３４の対応する一方を受ける。

スピンドル１４は、ピストン１６のボア２８内に収容される前端部３６と、モータカバー２４の隔室２６内においてボア２８の軸方向に外側に配置される後端部３８との間で、軸方向に延設される。スピンドル１４は、ネジ形成外面４０を有する。ボール・ソケットジョイント４２（以下でより詳細に説明する）は、スピンドル１４をボア２８内においてピストン１６に連結する。

モータ１２は、モータカバー２４の隔室２６内においてスピンドル１４の周囲に配置される。モータ１２は、ピストン１６の軸方向移動を可能にするようスピンドル１４を軸方向に移動させるように構成される。より具体的には、モータ１２は、環状ステータ４４と
環状ロータ４６を有する。環状ステータ４４および環状ロータ４６はそれぞれ軸Ａの回りに配置される。環状ロータ４６は、磁気外面を有しており、ステータ４４に印加される電流に応じてステータ４４の内側で軸Ａの回りに回転可能である。ブースタボディ２０に対して相対的にロータ４６を回転させるよう、一つ以上の軸受（ベアリング）４８が、径方向においてロータ４６とモータカバー２４との間に配置される。概略的に図示する通り、モータ１２はＥＣＵ１８へと接続され、これにより、モータ１２に所望の動作をさせる。

ロータ４６は、軸Ａに沿ってチャネル（ｃｈａｎｎｅｌ）５２を形成する内壁５０を有する。チャネル５２には、部分的にピストン１６が収容されるとともに、スピンドル１４が収容される。図３からよく分かる通り、ロータ４６の内壁５０には、さらに、軸方向に延設されるとともに互いから周方向に間隔を空けて配置される複数の溝５４が形成される。

ナット５６は、ロータ４６の内壁５０内に保持されるとともに、ロータ４６の回転移動をスピンドル１４の軸方向平行移動へと変換するよう構成される。より詳細には、ナット５６は、ロータ４６およびナット５６の回転に応じてスピンドル１４を軸方向に移動させるよう、スピンドル１４のネジ形成外面４０へとネジ係合によって連結されるネジ形成内面５３を有する。ナット５６とスピンドル１４との間のネジ接続には、部品間の回転を容易にするために複数のボールベアリング５９を含めることができる。従来のネジ接続は内ネジのみであったが、外ネジを用いることもできる。ナット５６は、第一ナット端部６０と第二ナット端部６２との間に軸方向に延設される。保持板６４は、軸方向における第一ナット端部６０に固定される。複数のボルト等の固定器（ｆａｓｔｎｅｒ）６６が、保持板６４を第一ナット端部６０に対して軸方向にかつ回転不能に固定する。保持板６４は、保持板６４の外周から径方向外側へ延設される複数のガイド６８を有する。組み立ての際に、ロータ４６に対して保持板６４およびナット５６を回転させず、にロータ４６に対して保持板６４およびナット５６を軸方向に移動させることができるように、それぞれのガイド６８はロータの複数の溝５４の一つによって保持される。

図４からよく分かる通り、回転防止スリーブ７０は、スピンドル１４の周囲に配置されるとともに、モータカバー２４に固定される。回転防止スリーブ７０は、スピンドル１４の軸方向移動を可能にしながらスピンドル１４の回転を防止するよう構成される。回転防止スリーブ７０は、軸方向においてモータカバー２４と係合する近端部７２と、軸方向においてナット５６の第二ナット端部６２と係合する遠端部７４との間で、軸方向に延設される。回転防止スリーブ７０は、径方向に、内壁７６を有する。回転防止スリーブ７０の内壁７６には、軸方向に延設されるとともに互いから周方向に間隔を空けて位置する複数の溝７８が形成される。保持器８０は、回転防止スリーブ７０内部で軸Ａの回りに配置され、スピンドル１４の後端部３８にキー止めされる。概略的に矩形状の凸部８２は、スピンドル１４の後端部３８において軸方向に延設される。保持器８０は、凸部８２と略同じ形状を有する開口部８４を有し、凸部８２を受けてこれにより保持器８０をスピンドル１４にキー止めする。保持器８０は、保持器８０の外周から径方向外側へ延設される複数の突起８６を有する。それぞれの突起８６は、回転防止スリーブ７０の内壁７６の溝７８のうちの一つと嵌合し、これにより、保持器８０およびスピンドル１４を回転させず、同時に回転防止スリーブ７０に対して相対的に保持器８０およびスピンドル１４を軸方向に移動させることができる。ボルト８８等は、軸Ａに沿って挿入されてネジ係合によって凸部８２に係止され、これにより、保持器８０をスピンドル１４に軸方向に固定する。図１および図２からよく分かる通り、一以上の波形座金（ワッシャ）８９または他のバネ部材が、軸方向において保持器８０とモータカバー２４との間に配置され、これにより、スピンドル１４のモータカバー２４方向への軸方向の移動を可能とできる。

図１および図５～図６Ａからよく分かる通り、モータカバー２４は、モータカバー２４
の隔室２６内にポケット（ｐｏｃｋｅｔ）９２を形成する軸方向延設円筒状凸部９０を有する。回転防止スリーブ７０は、ポケット９２内においてモータカバー２４に回転不能に固定される。より詳細には、回転防止スリーブ７０は、近端部７２側に、径方向外側へ延設されるフランジ９６を有する。フランジ９６は、フランジ９６の径方向外面に沿って少なくとも一つの第一平面９８を有する。例示の実施形態では、一対の第一平面９８が回転防止スリーブ７０の周方向における反対側に配置されているが、任意の数の第一平面９８を用いることもできる。図６Ａからよく分かる通り、凸部９０の外面は、回転防止スリーブ７０の第一平面９８のそれぞれと周方向に合わさるように、径方向内側に圧縮／パンチされ、これにより、回転防止スリーブ７０をモータカバー２４に軸方向にかつ回転不能に固定するための一つ以上のカシメ部分９９が形成される。モータカバー２４に対して回転防止スリーブ７０が相対的に回転することをさらに防止するために、カシメ部分９９は、平面９８に覆い被さるよう広がる一つ以上の第二平面１０１を有することができる。

図１および図７～図８からよく分かる通り、ボール・ソケットジョイント４２は、スピンドル１４の前端部３６にあるボール部１０２と、ピストン１６のボア２８の端部３０に隣接しているソケット部１０４と、を有する。ピストン１６に対して相対的にスピンドル１４を回動可能とするよう、ソケット部１０４はボール部１０２を受け入れる。ボール・ソケットジョイント４２は、ピストン１６のボア２８に保持されるとともにボア２８の端部３０に隣接してピストン１６に固定される挿入部材（インサート）１０６を有する。インサート１０６は、ソケット部１０４を形成する。

図７～図８からよく分かる通り、ボール部１０２は、スピンドル１４が引っ張られてソケット部１０４から軸方向に抜けてしまうのをボール部１０２によって防止しながら、ソケット部１０４に対してボール部１０２が相対的に横方向に移動できるように、少なくとも一つの切り落とし（切削）部分（ｓｃｏｒｅｄ ｓｅｇｍｅｎｔ）１０８を有する。例示の実施形態では、ボール部１０２は、互いに間隔を空けて配置される複数の切削部分１０８を有する。垂直および水平方向において横方向の移動を可能とするよう、四つの切削部分１０８を、ボール部１０２の周囲に周方向に均等に間隔を空けて配置することができる。切削部分１０８によって、ボール・ソケットジョイント４２は、ピストン１６とスピンドル１４との間にある程度の角度のずれを許容することができ、これにより、側部荷重を最小限としてボールネジの摩耗が早まることを抑制できる。また、ボール・ソケットジョイント４２およびピストン１６の構成により、回転防止機能を有するスリーブを別途準備する必要がなくなり、したがって、コストおよび組み立ての複雑化を大幅に低減できる。さらにまた、ボール部１０２の大きさおよび／または形状を慎重に設定することによって、挿入後にも小さい隙間（クリアランス）を維持できる。これにより、ボール部１０２におけるスピンドル１４の拘束の緩和を保証する横方向のさらなる自由度を提供できる。ボール部１０２がシステム・ブレーキ圧によって主に一方に荷重を受けるので、ボール部１０２の始動位置における微小な移動が容易に許容される。

なお、回転防止スリーブ７０およびボール・ソケットジョイント４２の配置および構成によって、ピストン１６とスピンドル１４との間には側部荷重が実質的にかからないことが理解されよう。

図９～図１０を参照して説明する通り、ピストン１６およびボール・ソケットジョイント４２の上述の構成によって、ピストン１６およびボール・ソケットジョイント４２を組み込むために、二つの異なる組み立て作業を用いることができる。より詳細には、図９に示す第一作業では、ピストン１６をまずブースタボディ２０に組み込んで、ピストン１６の組み込み後にボール・ソケットジョイント４２をスナップ嵌合させて一体とすることができる。あるいは、図１０に示す通り、ボール・ソケットジョイント４２およびピストン１６を予め組み立てておき、その後、ピストン１６をブースタボディ２０のシリンダ２２
へと挿入することもできる。図１１は、これらの配置の両方に関する分解組立図を示している。

図１～図２からよく分かる通り、静電容量式ロータ角度センサアセンブリ１１０を、ロータ４６の回りに配置でき、軸方向においてステータ４４とブースタボディ２０との間に位置させることができる。静電容量式ロータ角度センサアセンブリ１１０は、モータカバー２４の隔室２６内において軸方向に関してブースタボディ２０に対向するよう配置されるとともにピストン１６の回りに位置するモータ支持板１１６を有する。モータ支持板１１６とロータ４６との間の相対的な回転を可能とするために、少なくとも一つのセンサベアリング１１４がモータ支持板１１６とロータ４６との間に配置される。静電容量式ロータ角度センサアセンブリ１１０は、静電容量式ロータ角度センサアセンブリ１１０をＥＣＵ１８へと電気的に接続してロータ角度データを送信するための複数の電気コネクタ１１８を有する。

他の実施形態のロータ角度センサアセンブリ１２０では、図１２からよく分かる通り、第一ギア１２２がロータ４６とともに回転可能である。第二ギア１２４は、第一ギア１２２と噛合する。軸方向延設ロッド１２６は、第二ギア１２４とともに回転可能であり、磁石１２８に接続される。磁石センサ１３０は、ロータ角度データを決定しロータ角度データをＥＣＵ１８へと送信するために、磁石１２８を検出するよう構成される。この構成によって第一ギア１２２の直径をセンサベアリング１１４よりも小さくできることを、図１３に示す。したがって、センサベアリング１１４を、モータカバー２４と「半嵌入・半突出」設計として構成でき、モータ１２をブースタボディ２０へとより近づけるよう用いることができる。図１４は、この実施形態にかかる第一ギア１２２のロータ４６への接続を示している。

図１５～図２０に示す通り、本願の圧力供給ユニット１０の設計利点は、モータ１２およびピストン１６がピストン１６の回転を制限するための外部機構をシリンダ２２に必要としないことにある。このため、モータ１２の全長が比較的長い場合でも、シリンダ２２の長さを抑制することによって、その比較的長い全長をある程度相殺することができる。この点について、システムを実装（パッケージ）するための三つの異なる実施形態を図１５～図２０に示す。具体的には、図１５～図１６は、単一のマスタシリンダＨＣＵブロック（アンチロックブレーキシステム・コントローラ）１３２が、シリンダ２２を形成する突き出し横置きボス１３６を有する第一設計を示す。ボスは、ブースタボディ２０と一体的に形成されている。さらに、図１７～図１８は、突き出し矩形状マスタシリンダ／ＨＣＵブロック１３２が横置きモータ１２とともに設計されているブースタボディ２０に連結されるシリンダ２２（回転拘束が必要でない）を有する簡単なスリーブ１３８を示す。また、図１９～図２０は、機械加工されたまたは鋳造されて機械加工されたマスタシリンダブロック１３４に、モータ１２が並列レイアウトで組み込まれた設計を示す。

なお、本願の圧力供給ユニット１０の設計全体を簡単に組み立てることができるので、コスト削減という利点、製造許容誤差範囲の緩和、大量生産に適合した組み立て工程が得られることは理解されよう。

もちろん、本発明に多くの変形および変更を上記の教示に基づいて行うことができ、詳細な説明以外にも添付の特許請求の範囲内で実現できる。特に、ここに記載したそれぞれの実施形態の特徴を、他の実施形態の特徴と種々の組み合せで用いることもできる。

１０ 圧力供給ユニット
１２ モータ
１４ スピンドル
１６ ピストン
１８ ＥＣＵ
２０ ブースタボディ
２２ シリンダ
２４ モータカバー
２６ 隔室
２８ ボア
３０ 端部
３２ 凹部
３４ シール
３６ 前端部
３８ 後端部
４０ ネジ形成外面
４２ ボール・ソケットジョイント
４４ ステータ
４６ ロータ
４８ ベアリング
５０ 内壁
５２ チャネル
５３ ネジ形成内面
５４ 溝
５６ ナット
５９ ボールベアリング
６０ 第一ナット端部
６２ 第二ナット端部
６４ 保持板
６６ 固定器
６８ ガイド
７０ 回転防止スリーブ
７２ 近端部
７４ 遠端部
７６ 内壁
７８ 溝
８０ 保持器
８２ 凸部
８４ 開口部
８６ 突起
８８ ボルト
８９ ワッシャ
９０ 凸部
９２ ポケット
９６ フランジ
９８ 第一平面
９９ カシメ部分
１０１ 第二平面
１０２ ボール部
１０４ ソケット部
１０６ インサート
１０８ 切削部分
１１０ 静電容量式ロータ角度センサアセンブリ
１１４ センサベアリング
１１６ モータ支持板
１１８ 電気コネクタ
１２０ ロータ角度センサアセンブリ
１２２ 第一ギア
１２４ 第二ギア
１２６ 軸方向延設ロッド
１２８ 磁石
１３０ 磁石センサ
１３２ マスタシリンダ／ＨＣＵブロック
１３４ マスタシリンダブロック
１３６ 突き出し横置きボス
１３８ スリーブ
Ａ 軸

Claims (14)

1. 電気・液圧制動システムのための圧力供給ユニットであって、
   軸に沿って延設されるシリンダを形成するブースタボディと、
   前記シリンダ内で軸方向に摺動可能なピストンであって、前記軸に沿った内空部を有するピストンと、
   前記軸に沿って延設されるとともに前記ピストンの前記内空部に収容されるスピンドルであって、前記ピストンの軸方向移動を可能にするよう回転不能に設置されかつ軸方向に移動可能であるスピンドルと、
   前記スピンドルの周囲に配置されるとともに、前記ピストンの軸方向移動を可能にするよう前記スピンドルを軸方向に移動させるように構成されるモータと、
   前記スピンドルを前記ピストンに連結するボール・ソケットジョイントであって、前記ピストンに対する前記スピンドルの相対的な回動を可能とするよう、前記スピンドルの前端部に配置されるボール部と、前記ピストンの前記内空部内に配置されるとともに前記ボール部を保持するソケット部と、を有するボール・ソケットジョイントと、
   を備え、
   前記ボール部は、前記ソケット部の外への前記ボール部の軸方向の移動を抑制しながら、前記ソケット部に対する相対的な前記ボール部の横方向の移動を可能とする少なくとも一つの切削部分を有しており、
   前記ボール部は、互いに間隔を空けて配置される複数の前記切削部分を有している、
   圧力供給ユニット。
2. 前記ピストンの前記内空部は端部において終端しており、
   前記ソケット部は前記内空部の前記端部に隣接して配置されている、
   請求項１に記載の圧力供給ユニット。
3. インサートが、前記ピストンの前記内空部内に保持されるとともに、前記内空部の前記端部に隣接して前記ピストンに固定されており、
   前記インサートが前記ソケット部を形成している、
   請求項２に記載の圧力供給ユニット。
4. ロータの内壁に固定されるナットを更に備え、
   前記ナットは、前記ロータおよび前記ナットの回転に応じて前記スピンドルを軸方向に移動させるよう、前記スピンドルのネジ形成外面へとネジ係合によって連結されるネジ形成内面を有している、
   請求項１に記載の圧力供給ユニット。
5. 前記ロータは、軸方向に延設されるとともに互いから周方向に間隔を置いて配置される複数の溝が形成される内壁を有し、
   保持板が前記ナットの軸方向の端部に固定され、
   前記保持板は、前記保持板の外周から径方向外側に延設される複数のガイドを有しており、組み立ての際に、前記ロータに対して前記保持板および前記ナットを回転させずに前記ロータに対して前記保持板および前記ナットの軸方向移動を可能にするよう、それぞれの前記ガイドは前記ロータの前記複数の溝の一つによって保持される、
   請求項４に記載の圧力供給ユニット。
6. 複数の固定器が、前記保持板を、前記ナットの前記端部に対して、軸方向及び回転方向について固定する、
   請求項５に記載の圧力供給ユニット。
7. 前記スピンドルの周囲に配置されモータカバーに固定される回転防止スリーブを更に備え、前記回転防止スリーブは、前記スピンドルの軸方向移動を可能にしながら前記スピンドルの回転を防止するよう構成されている、
   請求項１に記載の圧力供給ユニット。
8. 前記モータカバーは前記ブースタボディに連結されて隔室を形成し、
   前記モータおよび前記回転防止スリーブは前記隔室内に配置され、
   前記モータカバーは、前記モータカバー内において前記隔室内にポケットを形成するよう軸方向に延設される円筒状の凸部を有しており、
   前記回転防止スリーブは前記ポケット内において前記モータカバーに回転不能に固定されている、
   請求項７に記載の圧力供給ユニット。
9. 前記回転防止スリーブは、前記回転防止スリーブの径方向外面に沿った少なくとも一つの平面を有しており、
   前記モータカバーは、前記モータカバーに対して相対的に回転不能に前記回転防止スリーブを固定するよう、前記少なくとも一つの平面と径方向に係合するカシメ部分を有する、
   請求項８に記載の圧力供給ユニット。
10. 少なくとも一つのギアがロータとともに回転可能でありかつ磁石を回転させるよう構成され、
    センサが、ロータ角度を決定するために前記磁石の回転を検出し、
    前記少なくとも一つのギアは、前記ロータに接続される第一ギアと、前記第一ギアと噛合する第二ギアと、を有し、
    ロッドが前記第二ギアに連結されており、
    前記磁石は前記第二ギアの反対側に位置する前記ロッドの端部に連結されている、
    請求項１に記載の圧力供給ユニット。
11. 前記モータは、環状ステータと、前記ステータに印加される電流に応じて前記ステータ内で回転可能である環状ロータと、を有しており、
    前記圧力供給ユニットは、さらに、前記ロータの回転に応じて回転可能であり磁石を回転させるよう構成される少なくとも一つのギアと、前記ロータのロータ角度を決定するために前記磁石の回転を検出するセンサと、を備える、
    請求項１に記載の圧力供給ユニット。
12. 前記少なくとも一つのギアは、前記ロータの周囲に配置されかつ前記ロータとともに回転可能である第一ギアと、前記第一ギアと噛合しかつ前記磁石を回転させるよう構成される第二ギアと、を有し、
    ロッドが前記第二ギアに連結されており、
    前記磁石は前記第二ギアの反対側に位置する前記ロッドの端部に連結されている、
    請求項１１に記載の圧力供給ユニット。
13. 前記ブースタボディに連結されて隔室を形成するモータカバーを更に備え、
    前記モータは、前記モータカバーの前記隔室内において前記スピンドルの周囲に配置され、
    前記モータは、環状ステータと、前記ステータに印加される電流に応じて前記ステータ内で回転可能である環状ロータと、を有しており、
    前記圧力供給ユニットは、さらに、前記スピンドルの周囲に配置され前記モータカバーに固定されて前記スピンドルの軸方向移動を可能にしながら前記スピンドルの回転を防止する回転防止スリーブを備えており、
    前記モータカバーは、前記モータカバー内において前記隔室内にポケットを形成するよう軸方向に延設される円筒状凸部を有し、
    前記回転防止スリーブは前記ポケット内において前記モータカバーに回転不能に固定されている、
    請求項１に記載の圧力供給ユニット。
14. 前記回転防止スリーブは、前記回転防止スリーブの径方向外面に沿った少なくとも一つの平面を有しており、
    前記モータカバーは、前記モータカバーに対して相対的に回転不能に前記回転防止スリーブを固定するよう、前記少なくとも一つの平面と係合する少なくとも一つのカシメ部分を有しており、
    前記回転防止スリーブの前記少なくとも一つの平面は、前記ポケットの周方向における両端側に配置される一対の平面であり、前記少なくとも一つのカシメ部分は、それぞれが前記平面の一方と係合する一対のカシメ部分を有する、かつ／または
    前記モータカバーの前記少なくとも一つのカシメ部分は、前記モータカバーに対する前記回転防止スリーブの相対的な回転をさらに防止するよう、前記回転防止スリーブの前記少なくとも一つの平面と合わさるよう配置される内側平面を有する、
    請求項１３に記載の圧力供給ユニット。

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