JP7430907B2 - 魚掴み器 - Google Patents
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Description
ところでこのような魚掴み器として、魚の口元を掴むものでなく、魚の胴部を、鋏やトングのように単純に両側から掴む(挟む)構造にしたものが提唱されているが、該胴部を掴むものの場合、胴部が掴まれた状態の魚は、頭部が自由状態(拘束がない状態)であるため、魚が少し暴れた場合でも口元位置が安定化しないこともあって針外し作業がしづらいだけでなく、常時、適宜の把持力で胴部を掴んでいる必要があるため操作性が悪く、しかも魚が急に暴れたときに即座に把持力を強化できないことにより魚を落としてしまうことがあり、このような傾向は魚が大きいほど顕著になるという問題がある。
これに対し口元を掴むものは、一対の歯体のうちの一方の歯体を口の中に入れた状態で、他方の歯体を口の外側から宛がうようにして内外から口元を挟持することで掴む構成になっているため、この口元掴み状態で魚を持上げたときに魚が暴れたとしても、頭部位置は拘束された状態であるため大きく位置ずれすることがなく、このため針外し作業がしやすいという利点がある。
しかもこのような魚の口元を掴む魚掴み器は、胴部を掴むもののように人力ではなく機械力によって掴むものであるため強い掴み力を常に一定して維持できることとなり、この結果、魚が急に暴れたときに掴みが外れて魚を落としてしまうようなことを効果的に回避できるという利点がある。
このような魚の口元を掴む魚掴み器として、従来、両歯体を揺動軸(枢軸)を支点として背反方向(相反する左右方向)に開閉する構成したもの(例えば特許文献1参照)が提唱されているが、このものは、両歯体が、操作体(トリガー)の作動に連動して背反方向に均等に開閉揺動するものであるため、開放した一方の歯体を口中に差込もうとしたときに、口中に差し込もうとする一方の歯体の先端位置が左右(横)方向に位置ずれすることもあって口中への差し込み(挿入)操作に戸惑いを生じることがあるだけでなく、該一方の歯体を口中に差し込んだ状態で口元を掴むべく操作体を戻したときに、該差し込んだ一方の歯体が口中で移動するため口中から抜け出てしまうことがあって操作性に劣るという問題がある。
そこで一方の歯体を不動の固定歯とし、他方の歯体のみを操作体の操作に基づいて開放揺動する可動歯とし、これによって位置ずれのない固定歯を口中に差し込みし易くできるうえ、該差し込んだ状態で操作体を戻して口元を掴もうとしたときに、口中に差込まれた固定歯は不動のままであるから口中から抜け出てしまうことを効果的に回避できるようにしたものが提唱されている(例えば特許文献2、3参照。)。
請求項2の発明は、本体部に、互いに背反方向に開閉揺動自在に設けられ、閉鎖姿勢で魚の口元を内外から挟持状に掴むことができる第一、第二の可動歯と、該第一、第二可動歯の背反方向の開閉揺動を行う揺動機構と、該揺動機構による開放揺動を実行するため操作される操作体と、該操作された操作体を元位置に復帰させる復帰弾機とを備えて構成される魚掴み器において、前記揺動機構には、第一可動歯の閉鎖姿勢に対する開放姿勢の移動幅が第二可動歯の移動幅よりも小さくなるよう調整する移動幅調整手段が設けられ、第一、第二可動歯は単一の揺動軸に揺動自在に軸支され、閉鎖姿勢での第一、第二可動歯の先端部同士の当接位置を、単一の揺動軸を通る移動直線に対して第二可動歯側に偏倚した位置としたことを特徴とする魚掴み具である。
請求項3の発明は、本体部には、操作者が握るための握り部が第二可動歯側に湾曲若しくは折曲する状態で設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の魚掴み器である。
請求項4の発明は、第一誘導部は、第一、第二可動歯が閉鎖姿勢の状態で、移動軸の後半の移動過程の移動直線に対する傾斜角が前半の傾斜角よりも小さくなるよう設定されていることを特徴とする請求項1記載の魚掴み器である。
請求項2の発明とすることにより、魚の口元を内外から掴む魚掴み具において、両歯体を可動歯として、組み立てが容易でかつ口元の内外からの掴み力を確実に発揮して外れることを効果的に回避できるものでありながら、一方の第一可動歯は、他方の第二可動歯に対して移動幅が小さく設定される結果、第一可動歯の口中への差し込みが容易であり、かつ口元を挟む際に、口中に差込まれた第一可動歯の動きを小さいものにして第一可動歯が口中から外れることを効果的に回避することができる。また同時に、第一、第二可動歯の先端同士の当接位置が、移動幅が大きい第二可動歯側に偏倚している結果、両可動歯を開放したときの第一可動歯先端部の移動位置が、前記偏倚している分、揺動軸を通る移動直線に近いものになって該移動直線からのずれが小さくなり、第一可動歯を口中に差し込む操作がよりしやすいものとなる。
請求項3の発明とすることにより、操作者が握る握り部が第二可動歯側に湾曲若しくは折曲している結果、該握り部を握った場合に、上側となる親指側が移動幅の小さい第一可動歯側となり、該上側の第一可動歯を口中に入れての下顎の掴み操作が確実にできることになる。
請求項4の発明とすることにより、第一可動歯の後半過程の移動幅が前半よりも小さいものになって、第一可動歯の口中への差し込み作業がより容易になるうえ、口元を掴むべく閉鎖揺動する第一可動歯の当初の動きが小さいものになる結果、第一可動歯が口中から抜け出てしまうことをより確実に防止できることになる。
尚、本実施の形態においては、魚掴み器1は、前述したように長尺物に形成され、可動歯5、6が突出する側を長尺方向(図1において上下方向)の先端(下端)側、握り部7が突出する側を長尺方向の後端(上端)側としてこの長尺方向を先後方向とし、第一、第二本体部材3、4の積層方向を表裏方向(第一本体部3が設けられる側(図1において紙面の上側)を表側、第二本体部4が設けられる側を裏側とする方向)とし、さらに図1において、本体部2に対して第一可動歯5が突出する側を左側、第二可動歯6が突出する側を右側とする方向付けをして説明するが、これらの方向付けは、本実施の形態を説明するうえでの便宜上のものであって、魚掴み器を表現する際の方向付けについては必要において適宜設定できるものであって、本実施の形態の方向付けの定義に限定されないものであることは言うまでもない。
前記ガイド部9eは、先端縁が操作部9aと作動部9bとの境界部9fにまで至るが、該境界部9fからは、ガイド部9eに対して左右方向に間隙を存する状態で後端側に向けて支持杆9gが延設されており、コイル弾機によって構成された復帰弾機11が、先端側を該支持杆9gに外嵌し、後端側をスペーサ10aに設けた突起部10bに外嵌する状態で、境界部9fと固定軸10とのあいだに弾圧状に介装されている。
さらに作動部9bには、境界部9fよりも先端側位置に前記軸心Oを通る移動直線Xに沿うようにして案内長孔9kが形成されているが、該案内長孔9kの後端部に前記揺動軸8が移動自在に貫通している。そして操作体9は、係止部9dに係止した指を後端側に向けて引き操作することにより、固定軸10の軸心と前記揺動軸8の軸心Oとを通る移動直線Xに沿う状態で、前記復帰弾機11の付勢力に抗して先後方向に移動するように設定されており、このように操作体9を操作した場合に、固定軸10はガイド部9eを先端側に向けて相対移動し、揺動軸8は案内長孔9kを先端側に向けて相対移動することになり、そして該移動した操作体9は、前記引き操作した指を係止部9dから離すことにより、復帰弾機11の蓄勢された付勢力を受けて先方側に移動して元位置に復帰移動するよう設定されている。
そしてこの閉鎖姿勢の状態から、前述したように操作体9を後端側に引き操作した場合に、移動軸12は、ガイド溝部3e、4eに案内されながら、移動直線X上を移動始端位置Sから後端側に向けて移動(摺動)して移動終端位置Eに至るように構成されている。
因みに本実施の形態においては、前記操作体9の先後方向の移動は前述したように移動直線Xに沿う移動となるが、本実施の形態ではこの移動直線Xに沿う方向の移動精度を高めるため、第一、第二本体部材3、4間に設けた位置決め体13が、操作体操作部9aのガイド部9eが形成される部位の左右両端縁部9hおよび該部位の左側に形成した長溝状のガイド孔9iに摺接状に当接案内するよう構成されている。
具体的には、第一誘導部5cは、第一、第二可動歯5、6が閉鎖姿勢の状態で前記移動直線X上に位置する移動始端位置S1(S)を基準として右側(第二可動歯6側)に向けて直線状に傾斜する誘導直線Y1に沿うよう形成されている。これに対して第二誘導部6cは、前記移動直線X上に位置する移動始端位置S2(S)を基準として左側(第一可動歯5側)に向けて直線状に傾斜する誘導直線Y2に沿うよう形成されている。
また握り部7は、先端部が第一、第二本体部材3、4の後端部に挟持される状態で、該第一、第二本体部材3、4を連結するべく支持孔3g、4gに取り付けた取付け支軸16に揺動自在に軸支されているが、本実施の形態では、第一、第二本体部材3、4の後端部に、取付け支軸16を軸心とする円弧状の溝部3f、4fが設けられている一方、握り部7の先端部には前記溝部3f、4fに移動(摺動)自在に内嵌する状態で作動体7aが一体的に設けられている。そして握り部7は、作動体7aと第二本体部材4側の溝部4fとのあいだに介装した弾機17の付勢力を受けて、第二可動歯6側に屈曲するよう弾圧された構成になっており、握り部7がこのように構成されることで、握り部7は、常時は本体部2の後端部に対して第二可動歯6側に折曲(湾曲)した状態で後方に突出した形状になっていて、本体部2の前記外窓部3d、4dよりも後側部位と共に握り部7を把持する手の個々の握り形状に添うよう配慮されたものになっているが、第一、第二可動歯6、7により魚の口元を掴んだ状態で魚を、把持部7を把持した状態で持上げる場合に、本体部2側が握り部7に対して垂直姿勢で垂下する姿勢になって無理のない持ち上げができるように設定されていると共に、例えばツールボックス等への収納時等において握り部7を本体部2に対して直線状にして収納できるよう配慮されている。
またこのものでは、握り部7が第二可動歯6側に湾曲した構造になっているため、手で持ちやすいだけでなく、握り部7を普通に手で掴んで把持した場合に、第一可動歯5が親指側、つまり上側に位置することになる結果、該上側となった第一可動歯5を口中に差し込むことが自然にでき、大きく移動する第二可動歯6を口中に差し込んでしまうことを回避して確実な口元の掴み操作ができることになるという利点もある。因みに握り部7としては、本実施の形態のように湾曲したものに限定されず、直線状になったものであっても勿論よいが、手で持ちやすくなる形状としては、弧状に湾曲したものでなくへ字形に折曲したものであってもよいことは言うまでもない。
該第二の実施の形態のものは、第一誘導部5cが、前記第一の実施の形態のように直線状ではなく中間(途中)で左側(移動心線X側)に折曲(屈曲)した折曲部(折曲位置)Cを備えたものであり、このようにしても本発明を実施することできる。
そしてこの第二の実施の形態のものでは、第一誘導部5cにおける移動軸12の移動始端S12と移動終端E12とを結ぶ誘導直線Y12の移動心線Xに対する傾斜角θ12については、前記第一の実施の形態の傾斜角θ1と同じ(θ12=θ1)に設定しているため、操作体9を全操作したときの第一可動歯5の閉鎖位置Zからの移動幅Z12は、前記第一の実施の形態の場合の移動幅Z1と同じ(Z12=Z1)になるが、前記折曲部Cを設けたことにより、第一誘導部5cの移動始端位置S12と折曲部Cとを結ぶ前半側の誘導直線Y12sの移動軸心Xに対する傾斜角θ12sが、第一の実施の形態の傾斜角θ1よりも大きくなる(θ12s>θ1)ため、折曲部Cを移動軸12の移動過程の中央位置に設けたものの場合、第一可動歯5の前半側誘導曲線Y12sを経由する前半過程での移動幅Z12sは大きくなるものの、後半側誘導曲線Y12eを経由する後半過程での移動幅Z12eは小さな(僅かな)もの(Z12s>Z12e)となり、この結果、移動後半部位での第一可動歯5の移動を抑制できることになって、口中に差し込む際の歯部5dの位置が一段と安定化して差し込みやすくなるうえ、口元を掴み移動させる際の第一可動歯5の当初の右扱き勝ち憂さなものになって該第一可動歯5が口中から抜け出ることをより効果的に防止できるという利点がある。
この第三の実施の形態のものは、第一誘導部5cの途中に第二の実施の形態のように中間に折曲部Cを備えたものであって、移動軸12は、第一誘導部5cの始端位置S13から中間姿勢である折曲部Cまでの前半過程の誘導直線Y13sと、折曲部Cから終端位置E13までの後半過程の誘導直線Y13eとが折曲部Cで折曲したものとなっている。そしてこの第三の実施の形態のものでは、第一誘導部5cの始端位置S13と終端位置E13を結ぶ全過程の誘導直線Y13の移動心線Xに対する傾斜角θ13は、第二誘導部6cの傾斜角θ2よりも小さくなっている(θ13<θ2)ことは前記第一、第二の実施の形態のものと同様である。
このため第一可動歯5は、後半過程では移動しないものとなって、口中に差し込む際の先端部5fの位置が一段と安定化して差し込みやすくなるうえ、口元を掴む際の第一可動歯5の当初の動きがない停止したものになって第一可動歯5が口中から抜け出ることをより効果的に防止できるという利点がある。
そしてこれら第二、第三の実施の形態のように第一可動歯を折曲したものは、転じて、第一可動歯は、第一誘導部の前半の傾斜角を第二誘導部と同じ傾斜角に設定することで、前半過程では第二可動歯の開閉揺動と同じになるよう構成されているものである。
またさらに、第一可動歯は、第一誘導部の後半の傾斜角を、移動軸の後半過程での移動方向が移動直線と同じ方向になる角度に設定することで、後半過程では開閉揺動しないように構成されているものである。
そして第一可動歯を弧状にしたものとしては、第一可動歯は、第一誘導部が弧状に形成されることで、後半の移動過程になるほど移動量が小さくなるよう設定されているものとなる。
さらにまた、前記実施の形態においては、第一、第二可動歯の揺動軸を単一のものとして共通化する構成にしたが、前記特許文献1のように各別の揺動軸でそれぞれの可動歯を揺動自在に軸支する構成にしても実施できることは言うまでもない。
尚、第二誘導部についても、前記第二、第三の実施の形態の第一誘導部の場合と同様、途中で折曲したもの、あるいは弧状に湾曲したものでも実施できることは言うまでもない。
2 本体部
5 第一可動歯
5c 第一誘導部
5g 折曲部
6 第二可動歯
6c 第二誘導部
7 握り部
8 揺動軸
9 操作体
10 固定軸
11 復帰弾機
12 移動軸
O 揺動軸の軸心
S、S1、S2 移動始端位置
E、E1、E2 移動終端位置
C 折曲部
X 移動直線
Z 第一、第二可動歯の当接位置
Z1、Z2 第一、第二可動歯の移動幅
Y1、Y2 第一、第二誘導部の誘導直線
θ1、θ2 第一、第二誘導部の傾斜角
Claims (4)
- 本体部に、
互いに背反方向に開閉揺動自在に設けられ、閉鎖姿勢で魚の口元を内外から挟持状に掴むことができる第一、第二の可動歯と、
該第一、第二可動歯の背反方向の開閉揺動を行う揺動機構と、
該揺動機構による開放揺動を実行するため操作される操作体と、
該操作された操作体を元位置に復帰させる復帰弾機とを備えて構成される魚掴み器において、
前記揺動機構には、第一可動歯の閉鎖姿勢に対する開放姿勢の移動幅が第二可動歯の移動幅よりも小さくなるよう調整する移動幅調整手段が設けられ、
第一、第二可動歯は、本体部に設けた揺動軸を支軸として背反方向に開閉揺動自在に軸支され、
揺動機構は、
・操作体に設けられ、該操作体の操作に連動して移動直線に沿って移動する移動軸と、
・該移動軸が移動自在になるよう第一、第二可動歯側にそれぞれ設けられ、移動軸の移動始端から終端への移動に基づき第一、第二歯体の開閉揺動の誘導案内をする第一、第二誘導部と、を備えて構成され、
移動幅調整手段は、第一、第二可動歯が閉鎖姿勢の状態で、第一誘導部における移動軸の移動始端と終端とを結ぶ誘導直線の移動直線に対する傾斜角を、第二誘導部の傾斜角よりも小さく設定することで構成される
ことを特徴とする魚掴み器。 - 本体部に、
互いに背反方向に開閉揺動自在に設けられ、閉鎖姿勢で魚の口元を内外から挟持状に掴むことができる第一、第二の可動歯と、
該第一、第二可動歯の背反方向の開閉揺動を行う揺動機構と、
該揺動機構による開放揺動を実行するため操作される操作体と、
該操作された操作体を元位置に復帰させる復帰弾機とを備えて構成される魚掴み器において、
前記揺動機構には、第一可動歯の閉鎖姿勢に対する開放姿勢の移動幅が第二可動歯の移動幅よりも小さくなるよう調整する移動幅調整手段が設けられ、
第一、第二可動歯は単一の揺動軸に揺動自在に軸支され、閉鎖姿勢での第一、第二可動歯の先端部同士の当接位置を、単一の揺動軸を通る移動直線に対して第二可動歯側に偏倚した位置とした
ことを特徴とする魚掴み具。 - 本体部には、操作者が握るための握り部が第二可動歯側に湾曲若しくは折曲する状態で設けられている
ことを特徴とする請求項1または2記載の魚掴み器。 - 第一誘導部は、第一、第二可動歯が閉鎖姿勢の状態で、移動軸の後半の移動過程の移動直線に対する傾斜角が前半の傾斜角よりも小さくなるよう設定されている
ことを特徴とする請求項1記載の魚掴み器。
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