JP7425725B2 - 試料中のポリペプチドの検出または捕捉において使用するための抗体、組成物、および試料中のポリペプチドの検出または捕捉のための方法 - Google Patents

試料中のポリペプチドの検出または捕捉において使用するための抗体、組成物、および試料中のポリペプチドの検出または捕捉のための方法 Download PDF

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Description

本発明は、試料中のポリペプチドの検出または捕捉において使用するための抗体、組成物、および試料中のポリペプチドの検出または捕捉のための方法に関する。
ハイブリドーマテクノロジーは、モノクローナル抗体の作製を可能にし、このモノクローナル抗体テクノロジーは、多くの科学領域において広範囲の適用を有する(非特許文献1)。このテクノロジーの達成の後、治療用抗体および診断用抗体の領域において、さらなる努力がなされた。モノクローナル抗体治療の米国における最初の承認以来、30年が経過した(非特許文献2)。30種を越える抗体がFDAによって承認され、相当数の候補が、臨床および前臨床の評価を受けている。現在までのところ、モノクローナル抗体は、標準的な治療用分子であり続けており、癌、自己免疫疾患、呼吸器疾患、感染性疾患、および神経疾患のような様々な疾患分野において使用されている(非特許文献3)。
治療用抗体の長所を増加させるため、機能を改善するための多くの異なる型の改変型Fc修飾、例えば、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害を増強するためのもの、補体依存性細胞傷害を増強するためのもの、抗体半減期を延長するためのもの、抗原クリアランスをモジュレートするためのもの、および重鎖ヘテロ二量体化を容易にするためのものが同定された(非特許文献4)。
治療用モノクローナル抗体作製の過程において、抗体分子の不均一性は、一貫した製造および品質管理の達成を困難にする可能性がある(非特許文献5)。野生型重鎖、C末端リジン欠失重鎖(「ΔK」とも称される)、およびアミド化プロリンで終わる重鎖(「ΔGKアミド」とも称される)を含む、組換えモノクローナル抗体についての重鎖C末端不均一性は、以前に報告されている一つのそのような例である(非特許文献6)。興味深いことに、この切断イベントは、内在性抗体Fcの修飾と類似している。一般に、内在性抗体重鎖C末端リジンは、インビボで内在性カルボキシペプチダーゼによって切断される。C末端グリシン切断およびプロリンアミド化というさらなる修飾も報告されている。これは、ペプチジルグリシンαアミド化モノオキシゲナーゼ(PAM)が、C末端グリシンを切断し、プロリンをアミド化するためである。
このC末端不均一性問題を克服するため、科学者は、成功裡に、中心的な残基を同定し、C末端リジン(K)(EUナンバリングシステムにおける447位)およびグリシン(G)(EUナンバリングシステムにおける446位)をFc領域から遺伝学的に欠失させること(「ΔGK」とも称される)によって、抗体Fcを改変した(特許文献1)。
改変型Fc領域に特異的に結合し、野生型Fcには結合しない抗体が、報告されている(非特許文献7;特許文献2)。改変型Fc領域に対する抗体は、様々な目的のために非常に有用であることが立証された。
WO2009041613A1 WO2017072210A1
Kohler, G. et al., Nature 256:495-497 (1975) Reichert, J. M. et al., Curr. Pharm. Biotechnol. 9:423-430 (2008) Lagasse HAD et al. F1000Research 2017, 6 (F1000 Faculty Rev):113 Mimoto et al., Curr. Pharm. Biotechnol. 17:1298-1314 (2016) Liu, H. et al., J. Pharm. Sci. 97: 2426-2447 (2008) K. A. Johnson et al., Anal. Biochem. 360:75-83 (2007) Yu et al., Antimicrob Agents Chemother. 61 (2016)
本発明者らは、ヒトIgG重鎖定常領域に由来し、EUナンバリングシステムによる446位のグリシンおよびEUナンバリングシステムによる447位のリジンの両方を欠き、かつEUナンバリングシステムによる445位のアミノ酸が残存している修飾型IgG重鎖定常領域を含むいくつかの抗体を提供した。そのような修飾型IgG重鎖定常領域における修飾のセットは、本明細書中で「IgGΔGK」と呼ばれ、IgGΔGKを有する修飾型IgG重鎖定常領域を含む抗体には、例えば、サトラリズマブ(satralizumab)、ネモリズマブ、エミシズマブ、SKY59、AMY109、およびGYM329が含まれる。本発明は、修飾型IgG重鎖定常領域におけるそのようなΔGKに特異的に結合し、それを検出し、それを捕捉する抗体、抗体を含む組成物、および抗体を使用する方法を提供する。
具体的には、本発明は以下に関連する:
[1] ヒトIgG重鎖定常領域に由来する第1の修飾型IgG重鎖定常領域に特異的に結合する抗体であって、該第1の修飾型IgG重鎖定常領域がEUナンバリングシステムによる446位のグリシンおよびEUナンバリングシステムによる447位のリジンの両方を欠き、EUナンバリングシステムによる445位のアミノ酸が該第1の修飾型IgG重鎖定常領域に残存している、抗体。
[2] 第1の修飾型IgG重鎖定常領域におけるEUナンバリングシステムによる445位のアミノ酸がアミド化されていない、[1]記載の抗体。
[3] ヒトIgG重鎖定常領域に由来する第2の修飾型IgG重鎖定常領域に実質的に結合しない[2]記載の抗体であって、該第2の修飾型IgG重鎖定常領域がEUナンバリングシステムによる446位のグリシンおよびEUナンバリングシステムによる447位のリジンの両方を欠き、EUナンバリングシステムによる445位のアミノ酸が該第2の修飾型IgG重鎖定常領域に残存しておりかつアミド化されている、抗体。
[4] 以下の(i)または(ii)に実質的に結合しない、[1]~[3]のいずれかに記載の抗体:
(i)ヒトIgG重鎖定常領域に由来する第3の修飾型IgG重鎖定常領域、または非修飾型ヒトIgG重鎖定常領域であって、EUナンバリングシステムによる445位、446位、および447位のアミノ酸が、該第3の修飾型IgG重鎖定常領域または非修飾型ヒトIgG重鎖定常領域に残存している、第3の修飾型IgG重鎖定常領域または非修飾型ヒトIgG重鎖定常領域;ならびに
(ii)ヒトIgG重鎖定常領域に由来する第4の修飾型IgG重鎖定常領域であって、該第4の修飾型IgG重鎖定常領域がEUナンバリングシステムによる447位のリジンを欠き、EUナンバリングシステムによる445位および446位のアミノ酸が該第4の修飾型IgG重鎖定常領域に残存している、第4の修飾型IgG重鎖定常領域。
[5] 第2の修飾型IgG重鎖定常領域に対する前記抗体の結合活性が、酵素結合イムノアッセイの検出限界未満である、[3]記載の抗体。
[6] 第3の修飾型IgG重鎖定常領域、第4の修飾型IgG重鎖定常領域、および非修飾型ヒトIgG重鎖定常領域からなる群より選択される少なくとも1種のIgG重鎖定常領域に対する前記抗体の結合活性が、酵素結合イムノアッセイの検出限界未満である、[4]記載の抗体。
[7] 第1の修飾型IgG重鎖定常領域に対する前記抗体の結合活性が、酵素結合イムノアッセイにおいて検出可能である、[1]~[6]のいずれかに記載の抗体。
[8] (a)配列番号:2のアミノ酸配列を含むHVR-H1;
(b)配列番号:3のアミノ酸配列を含むHVR-H2;
(c)配列番号:4のアミノ酸配列を含むHVR-H3;
(d)配列番号:6のアミノ酸配列を含むHVR-L1;
(e)配列番号:7のアミノ酸配列を含むHVR-L2;および
(f)配列番号:8のアミノ酸配列を含むHVR-L3
を含む抗体と、第1の修飾型IgG重鎖定常領域との結合について競合する、[1]~[7]のいずれかに記載の抗体。
[9] (a)配列番号:2のアミノ酸配列を含むHVR-H1;
(b)配列番号:3のアミノ酸配列を含むHVR-H2;
(c)配列番号:4のアミノ酸配列を含むHVR-H3;
(d)配列番号:6のアミノ酸配列を含むHVR-L1;
(e)配列番号:7のアミノ酸配列を含むHVR-L2;および
(f)配列番号:8のアミノ酸配列を含むHVR-L3
を含む抗体と同一のエピトープに結合する、[1]~[8]のいずれかに記載の抗体。
[10] [1]~[9]のいずれかに記載の抗体を含む、試料中のポリペプチドの検出または捕捉において使用するための組成物であって、ポリペプチドが、ヒトIgG重鎖定常領域に由来する第5の修飾型IgG重鎖定常領域を含み、該第5の修飾型IgG重鎖定常領域が、EUナンバリングシステムによる446位のグリシンおよびEUナンバリングシステムによる447位のリジンの両方を欠き、EUナンバリングシステムによる445位のアミノ酸が該第5の修飾型IgG重鎖定常領域に残存している、組成物。
[11] 第5の修飾型IgG重鎖定常領域におけるEUナンバリングシステムによる445位のアミノ酸がアミド化されていない、[10]記載の組成物。
[12] [1]~[8]のいずれかに記載の抗体を試料と接触させる工程を含む、試料中のポリペプチドの検出または捕捉のための方法であって、ポリペプチドが、ヒトIgG重鎖定常領域に由来する第6の修飾型IgG重鎖定常領域を含み、該第6の修飾型IgG重鎖定常領域が、EUナンバリングシステムによる446位のグリシンおよびEUナンバリングシステムによる447位のリジンの両方を欠き、EUナンバリングシステムによる445位のアミノ酸が該第6の修飾型IgG重鎖定常領域に残存している、方法。
[13] 第6の修飾型IgG重鎖定常領域におけるEUナンバリングシステムによる445位のアミノ酸がアミド化されていない、[12]記載の方法。
一次スクリーニングのELISA結果を示す。同定された単一のヒットした(陽性)B細胞クローンは、IgG1ΔGKおよびIgG4ΔGKに特異的に結合することができ、IgG1ΔKおよびIgG4ΔKには結合しなかった。抗キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)ウサギモノクローナル抗体が、アイソタイプ対照として使用された。 二次スクリーニングのELISA結果を示す。同定された単一のヒットした(陽性)B細胞クローンは、IgG1ΔGKおよびIgG4ΔGKに特異的に結合することができ、IgG1ΔGKアミドおよびIgG4ΔGKアミドには結合しなかった。抗KLHウサギモノクローナル抗体が、アイソタイプ対照として使用された。 精製されたモノクローナル抗体のELISA結果を示す。YG55は、IgG1ΔGKおよびIgG4ΔGKに特異的に結合することができ、IgG1ΔGKアミドおよびIgG4ΔGKアミドには結合しなかった。抗KLHウサギモノクローナル抗体が、アイソタイプ対照として使用された。
態様の説明
I.定義
「アフィニティ」は、分子(例えば、抗体)の結合部位1個と、分子の結合パートナー(例えば、抗原)との間の、非共有結合的な相互作用の合計の強度のことをいう。別段示さない限り、本明細書で用いられる「結合アフィニティ」または「結合活性」は、ある結合対のメンバー(例えば、抗体と抗原)の間の1:1相互作用を反映する、固有の結合アフィニティのことをいう。分子XのそのパートナーYに対するアフィニティは、一般的に、解離定数 (Kd) により表すことができる。アフィニティは、本明細書に記載のものを含む、当該技術分野において知られた通常の方法によって測定され得る。結合アフィニティを測定するための具体的な実例となるおよび例示的な態様については、下で述べる。
「ヒトIgG重鎖定常領域に由来する修飾型IgG重鎖定常領域に特異的に結合する抗体」という用語は、修飾型IgG重鎖定常領域を標的とする検出剤、捕捉剤、または診断剤として有用であるよう、十分な親和性で、特定の型の修飾型IgG重鎖定常領域に結合することができる抗体のことをいう。一つの態様において、ヒトIgG重鎖定常領域に由来する第1の修飾型IgG重鎖定常領域に特異的に結合する抗体について、第1の修飾型IgG重鎖定常領域以外のIgG重鎖定常領域、例えば、第2、第3、および第4の修飾型IgG重鎖定常領域、ならびに非修飾型ヒトIgG重鎖定常領域に対する、第1の修飾型IgG重鎖定常領域に特異的に結合する抗体の結合の程度は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)によって測定されるように、第1の修飾型IgG重鎖定常領域の結合の約10%未満である。ある種の態様において、ヒトIgG重鎖定常領域に由来する修飾型IgG重鎖定常領域に結合する抗体は、1μM以下、100nM以下、10nM以下、1nM以下、0.1nM以下、0.01nM以下、または0.001nM以下(例えば、10-8M以下、例えば、10-8M~10-13M、例えば、10-9M~10-13M)の解離定数(Kd)を有する。ある種の態様において、ヒトIgG重鎖定常領域に由来する修飾型IgG重鎖定常領域に結合する抗体は、修飾型IgG重鎖定常領域のエピトープに結合する。
本明細書で用語「抗体」は、最も広い意味で使用され、所望の抗原結合活性を示す限りは、これらに限定されるものではないが、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)および抗体断片を含む、種々の抗体構造を包含する。
抗体の「クラス」は、抗体の重鎖に備わる定常ドメインまたは定常領域のタイプのことをいう。抗体には5つの主要なクラスがある:IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMである。そして、このうちいくつかはさらにサブクラス(アイソタイプ)に分けられてもよい。例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2である。異なるクラスの免疫グロブリンに対応する重鎖定常ドメインを、それぞれ、α、δ、ε、γ、およびμと呼ぶ。
本明細書でいう用語「モノクローナル抗体」は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体のことをいう。すなわち、その集団を構成する個々の抗体は、生じ得る変異抗体(例えば、自然に生じる変異を含む変異抗体、またはモノクローナル抗体調製物の製造中に発生する変異抗体。そのような変異体は通常若干量存在している。)を除いて、同一でありおよび/または同じエピトープに結合する。異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を典型的に含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル抗体調製物の各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対するものである。したがって、修飾語「モノクローナル」は、実質的に均一な抗体の集団から得られるものである、という抗体の特徴を示し、何らかの特定の方法による抗体の製造を求めるものと解釈されるべきではない。例えば、本発明にしたがって用いられるモノクローナル抗体は、これらに限定されるものではないが、ハイブリドーマ法、組換えDNA法、ファージディスプレイ法、ヒト免疫グロブリン遺伝子座の全部または一部を含んだトランスジェニック動物を利用する方法を含む、様々な手法によって作成されてよく、モノクローナル抗体を作製するためのそのような方法および他の例示的な方法は、本明細書に記載されている。
本明細書で用語「Fc領域」は、少なくとも定常領域の一部分を含む免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために用いられる。この用語は、天然型配列のFc領域および変異体Fc領域を含む。一態様において、ヒトIgG重鎖Fc領域はCys226から、またはPro230から、重鎖のカルボキシル末端まで延びる。本明細書では別段特定しない限り、Fc領域または定常領域中のアミノ酸残基の番号付けは、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD 1991 に記載の、EUナンバリングシステム(EUインデックスとも呼ばれる)にしたがう。
用語「可変領域」または「可変ドメイン」は、抗体を抗原へと結合させることに関与する、抗体の重鎖または軽鎖のドメインのことをいう。天然型抗体の重鎖および軽鎖の可変ドメイン(それぞれVHおよびVL)は、通常、各ドメインが4つの保存されたフレームワーク領域 (FR) および3つの超可変領域 (HVR) を含む、類似の構造を有する。(例えば、Kindt et al. Kuby Immunology, 6th ed., W.H. Freeman and Co., page 91 (2007) 参照。)1つのVHまたはVLドメインで、抗原結合特異性を与えるに充分であろう。さらに、ある特定の抗原に結合する抗体は、当該抗原に結合する抗体からのVHまたはVLドメインを使ってそれぞれVLまたはVHドメインの相補的ライブラリをスクリーニングして、単離されてもよい。例えばPortolano et al., J. Immunol. 150:880-887 (1993); Clarkson et al., Nature 352:624-628 (1991) 参照。
「フレームワーク」または「FR」は、超可変領域 (HVR) 残基以外の、可変ドメイン残基のことをいう。可変ドメインのFRは、通常4つのFRドメイン:FR1、FR2、FR3、およびFR4からなる。それに応じて、HVRおよびFRの配列は、通常次の順序でVH(またはVL)に現れる:FR1-H1(L1)-FR2-H2(L2)-FR3-H3(L3)-FR4。
本明細書で用いられる用語「超可変領域」または「HVR」は、配列において超可変であり(「相補性決定領域」または「CDR」(complementarity determining region))、および/または構造的に定まったループ(「超可変ループ」)を形成し、および/または抗原接触残基(「抗原接触」)を含む、抗体の可変ドメインの各領域のことをいう。通常、抗体は6つのHVRを含む:VHに3つ(H1、H2、H3)、およびVLに3つ(L1、L2、L3)である。本明細書での例示的なHVRは、以下のものを含む:
(a) アミノ酸残基26-32 (L1)、50-52 (L2)、91-96 (L3)、26-32 (H1)、53-55 (H2)、および96-101 (H3)のところで生じる超可変ループ (Chothia and Lesk, J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987));
(b) アミノ酸残基24-34 (L1)、50-56 (L2)、89-97 (L3)、31-35b (H1)、50-65 (H2)、 および95-102 (H3)のところで生じるCDR (Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991));
(c) アミノ酸残基27c-36 (L1)、46-55 (L2)、89-96 (L3)、30-35b (H1)、47-58 (H2)、および93-101 (H3) のところで生じる抗原接触 (MacCallum et al. J. Mol. Biol. 262: 732-745 (1996));ならびに、
(d) HVRアミノ酸残基46-56 (L2)、47-56 (L2)、48-56 (L2)、49-56 (L2)、26-35 (H1)、26-35b (H1)、49-65 (H2)、93-102 (H3)、および94-102 (H3)を含む、(a)、(b)、および/または(c)の組合せ。
参照ポリペプチド配列に対する「パーセント (%) アミノ酸配列同一性」は、最大のパーセント配列同一性を得るように配列を整列させてかつ必要ならギャップを導入した後の、かつ、いかなる保存的置換も配列同一性の一部と考えないとしたときの、参照ポリペプチド配列中のアミノ酸残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基の、百分率比として定義される。パーセントアミノ酸配列同一性を決める目的のアラインメントは、当該技術分野における技術の範囲内にある種々の方法、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、Megalign (DNASTAR) ソフトウェア、またはGENETYX(登録商標)(株式会社ゼネティックス)などの、公に入手可能なコンピュータソフトウェアを使用することにより達成することができる。当業者は、比較される配列の全長にわたって最大のアラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、配列のアラインメントをとるための適切なパラメーターを決定することができる。
ALIGN-2配列比較コンピュータプログラムは、ジェネンテック社の著作であり、そのソースコードは米国著作権庁 (U.S. Copyright Office, Wasington D.C., 20559) に使用者用書類とともに提出され、米国著作権登録番号TXU510087として登録されている。ALIGN-2プログラムは、ジェネンテック社 (Genentech, Inc., South San Francisco, California) から公に入手可能であるし、ソースコードからコンパイルしてもよい。ALIGN-2プログラムは、Digital UNIX V4.0Dを含むUNIXオペレーティングシステム上での使用のためにコンパイルされる。すべての配列比較パラメーターは、ALIGN-2プログラムによって設定され、変動しない。
アミノ酸配列比較にALIGN-2が用いられる状況では、所与のアミノ酸配列Aの、所与のアミノ酸配列Bへの、またはそれとの、またはそれに対する%アミノ酸配列同一性(あるいは、所与のアミノ酸配列Bへの、またはそれとの、またはそれに対する、ある%アミノ酸配列同一性を有するまたは含む所与のアミノ酸配列A、ということもできる)は、次のように計算される:分率X/Yの100倍。ここで、Xは配列アラインメントプログラムALIGN-2によって、当該プログラムのAおよびBのアラインメントにおいて同一である一致としてスコアされたアミノ酸残基の数であり、YはB中のアミノ酸残基の全数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと等しくない場合、AのBへの%アミノ酸配列同一性は、BのAへの%アミノ酸配列同一性と等しくないことが、理解されるであろう。別段特に明示しない限り、本明細書で用いられるすべての%アミノ酸配列同一性値は、直前の段落で述べたとおりALIGN-2コンピュータプログラムを用いて得られるものである。
参照抗体と「同じエピトープに結合する抗体」は、競合アッセイにおいてその参照抗体が自身の抗原へする結合を50%以上阻止する抗体のことをいい、また逆にいえば、参照抗体は、競合アッセイにおいて前述の抗体が自身の抗原へする結合を50%以上阻止する。例示的な競合アッセイが、本明細書で提供される。
II.抗体
本発明における抗体は、ヒトIgG重鎖定常領域に由来する第1の修飾型IgG重鎖定常領域に特異的に結合する。第1の修飾型IgG重鎖定常領域は、EUナンバリングシステムによる446位のグリシンおよびEUナンバリングシステムによる447位のリジンの両方を欠く。EUナンバリングシステムによる445位のアミノ酸は、第1の修飾型IgG重鎖定常領域に残存している。
本発明のさらなる局面において、ヒトIgG重鎖定常領域に由来する第1の修飾型IgG重鎖定常領域に特異的に結合する抗体は、キメラ、ヒト化、またはヒト抗体を含む、モノクローナル抗体である。一態様において、抗体は、例えば、Fv、Fab、Fab’、scFv、ダイアボディ、またはF(ab’)2断片などの、抗体断片である。別の態様において、抗体は、例えば、完全IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4抗体や、本明細書で定義された他の抗体クラスまたはアイソタイプの、全長抗体である。
A.第1の修飾型IgG重鎖定常領域
一つの態様において、第1の修飾型IgG重鎖定常領域は、天然に存在するIgGにおける重鎖定常領域のような二量体を形成してもよいし、またはIshino,T.et al.,J.Biol.Chem.288:16529-37(2013)において報告された単量体Fcにおける重鎖定常領域のようなハーフマー(halfmer)を形成してもよい。
一つの態様において、第1の修飾型IgG重鎖定常領域は、ヒトIgG重鎖定常領域の一部に由来してもよい。好ましい態様において、第1の修飾型IgG重鎖定常領域は、ヒトIgG重鎖のCH3領域に対応する領域を少なくとも含む。この態様において、抗体が結合するエピトープは、少なくともヒトIgG重鎖のCH3領域に対応する該領域の範囲に位置し得る。さらなる好ましい態様において、第1の修飾型IgG重鎖定常領域は、ヒトIgG重鎖のCH2領域およびCH3領域に対応する領域を少なくとも含む。この態様において、抗体が結合するエピトープは、少なくともヒトIgG重鎖のCH2領域およびCH3領域に対応する該領域の範囲に位置し得る。さらに好ましい態様において、第1の修飾型IgG重鎖定常領域は、ヒトIgG重鎖のFc領域に対応する領域を少なくとも含む。この態様において、抗体が結合するエピトープは、少なくともヒトIgG重鎖のFc領域に対応する該領域の範囲に位置し得る。
一つの態様において、第1の修飾型IgG重鎖定常領域がヒト修飾型IgG重鎖にある時、ヒト修飾型IgG重鎖は、ヒトのIgG1重鎖、IgG2重鎖、IgG3重鎖、およびIgG4重鎖からなる群より選択される。好ましい態様において、ヒトIgG重鎖は、ヒトのIgG1重鎖またはIgG4重鎖である。
好ましい態様において、第1の修飾型IgG重鎖定常領域におけるEUナンバリングシステムによる445位のアミノ酸は、アミド化されていない。
修飾型IgG重鎖定常領域における修飾のセット、即ち、好ましい第1の修飾型IgG重鎖定常領域におけるもののような、EUナンバリングシステムによる445位に非アミド化アミノ酸を保持しながらも、EUナンバリングシステムによる446位のグリシンおよびEUナンバリングシステムによる447位のリジンの両方が欠如しているものは、本明細書中で「IgGΔGK」または「ΔGK」と呼ばれる。
さらなる好ましい態様において、抗体は、ヒトIgG重鎖定常領域に由来する第2の修飾型IgG重鎖定常領域である、ΔGKアミドを含むIgG重鎖定常領域に実質的に結合しない。第2の修飾型IgG重鎖定常領域は、EUナンバリングシステムによる446位のグリシンおよびEUナンバリングシステムによる447位のリジンの両方を欠く。第2の修飾型IgG重鎖定常領域において、EUナンバリングシステムによる445位のアミノ酸は、残存しており、アミド化されている。
その全てにおいて、抗体は、ヒト修飾型IgG重鎖定常領域におけるEUナンバリングシステムによる445位に非アミド化アミノ酸を有する修飾型IgG重鎖定常領域を、ΔGKアミドを有する修飾型IgG重鎖定常領域から区別することができる。
一つの態様において、第2の修飾型IgG重鎖定常領域に対する抗体の結合活性は、酵素結合イムノアッセイにおける検出限界未満である。
別の態様において、第1の修飾型IgG重鎖定常領域に対する抗体の結合活性は、酵素結合イムノアッセイにおいて検出可能である。
B.抗体が実質的に結合しないヒトIgG重鎖定常領域
一つの態様において、抗体は、(i)ヒトIgG重鎖定常領域に由来する「非欠失C末端」を有する第3の修飾型IgG重鎖定常領域、もしくは非修飾型ヒトIgG重鎖定常領域、または(ii)「ΔK」を含む、ヒトIgG重鎖定常領域に由来する第4の修飾型IgG重鎖定常領域に実質的に結合しない。
(i)の、非欠失C末端を含む第3の修飾型IgG重鎖定常領域または非修飾型ヒトIgG重鎖定常領域において、EUナンバリングシステムによる445位、446位、および447位のアミノ酸は残存している。
(ii)における、ΔKを有する第4の修飾型IgG重鎖定常領域は、EUナンバリングシステムによる447位のリジンを欠く。(ii)における第4の修飾型IgG重鎖定常領域において、EUナンバリングシステムによる445位および446位のアミノ酸は残存している。
その全てにおいて、抗体は、非欠失C末端またはΔKを有する修飾型IgG重鎖定常領域、または非修飾型ヒトIgG重鎖定常領域から、第1の修飾型IgG重鎖定常領域を区別することができる。
一つの態様において、第3の修飾型IgG重鎖定常領域、第4の修飾型IgG重鎖定常領域、および非修飾型ヒトIgG重鎖定常領域からなる群より選択される少なくとも1種のIgG重鎖定常領域に対する抗体の結合活性は、酵素結合イムノアッセイにおける検出限界未満である。
C.YG55
抗体は、その可変領域によってその抗原に結合するため、可変領域は、抗体の結合特異性のために重要である。さらに、超可変領域(HVR)が、抗体の結合特異性のために最も重要な領域であることは、一般に公知である。
本発明者らは、「実施例」において説明されるように、前述の抗体に包含される抗体をスクリーニングによって得た。そのうちの1種は「YG55」と名付けられているが、本発明の範囲は、この特定の抗体YG55に限定されるわけではない。前述の一般知識に基づき、本発明者らは、YG55の全てのHVRを同定した。YG55は、(a)配列番号:2のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号:3のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号:4のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号:6のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号:7のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および(f)配列番号:8のアミノ酸配列を含むHVR-L3、を含む。
一局面において、本発明は、(a)配列番号:2のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号:3のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)配列番号:4のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)配列番号:6のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(e)配列番号:7のアミノ酸配列を含むHVR-L2;および、(f)配列番号:8のアミノ酸配列を含むHVR-L3より選択される、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVRを含む、抗体を提供する。
一局面において、本発明は、(a)配列番号:2のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号:3のアミノ酸配列を含むHVR-H2;および、(c)配列番号:4のアミノ酸配列を含むHVR-H3より選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVH HVR配列を含む、抗体を提供する。一態様において、抗体は、配列番号:4のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む。別の態様において、抗体は、配列番号:4のアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号:8のアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む。さらなる態様において、抗体は、配列番号:4のアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号:8のアミノ酸配列を含むHVR-L3と、配列番号:3のアミノ酸配列を含むHVR-H2とを含む。さらなる態様において、抗体は、(a)配列番号:2のアミノ酸配列を含むHVR-H1と;(b)配列番号:3のアミノ酸配列を含むHVR-H2と;(c)配列番号:4のアミノ酸配列を含むHVR-H3とを含む。
別の局面において、本発明は、(a)配列番号:6のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(b)配列番号:7のアミノ酸配列を含むHVR-L2;および(c)配列番号:8のアミノ酸配列を含むHVR-L3より選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVL HVR配列を含む、抗体を提供する。一態様において、抗体は、(a)配列番号:6のアミノ酸配列を含むHVR-L1と;(b)配列番号:7のアミノ酸配列を含むHVR-L2と;(c)配列番号:8のアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む。
別の局面において、本発明の抗体は、(a)VHドメインであって、(i)配列番号:2のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(ii)配列番号:3のアミノ酸配列を含むHVR-H2、および(iii)配列番号:4のアミノ酸配列を含むHVR-H3より選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVH HVR配列を含む、VHドメインと;(b)VLドメインであって、(i)配列番号:6のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(ii)配列番号:7のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および(c)配列番号:8のアミノ酸配列を含むHVR-L3より選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVL HVR配列を含む、VLドメインとを含む。
別の局面において、本発明は(a)配列番号:2のアミノ酸配列を含むHVR-H1と; (b) 配列番号:3のアミノ酸配列を含むHVR-H2と; (c)配列番号:4のアミノ酸配列を含むHVR-H3と; (d)配列番号:6のアミノ酸配列を含むHVR-L1と; (e)配列番号:7のアミノ酸配列を含むHVR-L2と;(f)配列番号:8より選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、抗体を提供する。
別の局面において、本明細書に記載の抗体は、配列番号:1のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する重鎖可変ドメイン (VH) 配列を含む。特定の態様において、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するVH配列は、参照配列に対して、置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含むが、当該配列を含む本明細書に記載の抗体は、第1の修飾型IgG重鎖定常領域に結合する能力を保持する。特定の態様において、合計1個から10個のアミノ酸が、配列番号:1において、置換、挿入、および/または欠失される。特定の態様において、置換、挿入、または欠失は、HVRの外側の領域(すなわち、FRの中)で生じる。任意で、抗体は、配列番号:1におけるVH配列を、当該配列の翻訳後修飾を含んだものも含めて、含む。ある特定の態様では、VHは、(a)配列番号:2のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号:3のアミノ酸配列を含むHVR-H2、および(c)配列番号:4のアミノ酸配列を含むHVR-H3より選択される、1つ、2つ、または3つのHVRを含む。翻訳後修飾は、重鎖又は軽鎖N末端のグルタミン又はグルタミン酸のピログルタミル化によるピログルタミン酸への修飾を含むが、これに限定されない。
別の局面において、配列番号:5のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン (VL) を含む、抗体が提供される。特定の態様において、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するVL配列は、参照配列に対して、置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含むが、当該配列を含む抗体は、第1の修飾型IgG重鎖定常領域に結合する能力を保持する。特定の態様において、合計1個から10個のアミノ酸が、配列番号:5において、置換、挿入、および/または欠失される。特定の態様において、置換、挿入、または欠失は、HVRの外側の領域(すなわち、FRの中)で生じる。任意で、抗体は、配列番号:5におけるVL配列を、当該配列の翻訳後修飾を含んだものも含めて、含む。ある特定の態様では、VLは、(a)配列番号:6のアミノ酸配列を含むHVR-L1、 (b)配列番号:7のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および(c)配列番号:8のアミノ酸配列を含むHVR-L3より選択される、1つ、2つ、または3つのHVRを含む。翻訳後修飾は、重鎖又は軽鎖N末端のグルタミン又はグルタミン酸のピログルタミル化によるピログルタミン酸への修飾を含むが、これに限定されない。
別の局面において、上述の態様の任意のものにおけるVH、および上述の態様の任意のものにおけるVLを含む、抗体が提供される。一態様において、抗体はそれぞれ配列番号:1および 配列番号:5中のVHおよびVL配列を、当該配列の翻訳後修飾を含んだものも含めて、含む。翻訳後修飾は、重鎖又は軽鎖N末端のグルタミン又はグルタミン酸のピログルタミル化によるピログルタミン酸への修飾を含むが、これに限定されない。
一局面において、
(a)配列番号:2のアミノ酸配列を含むHVR-H1;
(b)配列番号:3のアミノ酸配列を含むHVR-H2;
(c)配列番号:4のアミノ酸配列を含むHVR-H3;
(d)配列番号:6のアミノ酸配列を含むHVR-L1;
(e)配列番号:7のアミノ酸配列を含むHVR-L2;および
(f)配列番号:8のアミノ酸配列を含むHVR-L3
を含む抗体と、第1の修飾型IgG重鎖定常領域との結合について競合する抗体が提供される。
一局面において、
(a)配列番号:2のアミノ酸配列を含むHVR-H1;
(b)配列番号:3のアミノ酸配列を含むHVR-H2;
(c)配列番号:4のアミノ酸配列を含むHVR-H3;
(d)配列番号:6のアミノ酸配列を含むHVR-L1;
(e)配列番号:7のアミノ酸配列を含むHVR-L2;および
(f)配列番号:8のアミノ酸配列を含むHVR-L3
を含む抗体と同一のエピトープに結合する抗体が提供される。
D.組換えの方法および構成
例えば、米国特許第4,816,567号に記載されるとおり、抗体は組換えの方法や構成を用いて製造することができる。一態様において、本明細書に記載の抗体をコードする、単離された核酸(複数可)が提供される。そのような核酸は、抗体のVLを含むアミノ酸配列および/またはVHを含むアミノ酸配列(例えば、抗体の軽鎖および/または重鎖)をコードしてもよい。さらなる態様において、このような核酸を含む1つまたは複数のベクター(例えば、発現ベクター)が提供される。さらなる態様において、このような核酸を含む宿主細胞が提供される。このような態様の1つでは、宿主細胞は、(1)抗体のVLを含むアミノ酸配列および抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸分子を含むベクター、または、(2)抗体のVLを含むアミノ酸配列をコードする核酸分子を含む第一のベクターと抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸分子を含む第二のベクターを含む(例えば、形質転換されている)。一態様において、宿主細胞は、真核性である(例えば、チャイニーズハムスター卵巣 (CHO) 細胞)またはリンパ系の細胞(例えば、Y0、NS0、Sp2/0細胞))。一態様において、本明細書に記載の抗体の発現に好適な条件下で、上述のとおり当該抗体をコードする核酸分子を含む宿主細胞を培養すること、および任意で、当該抗体を宿主細胞(または宿主細胞培養培地)から回収することを含む、本明細書に記載の抗体を作製する方法が提供される。
本明細書に記載の抗体の組換え製造のために、(例えば、上述したものなどの)抗体をコードする核酸分子を単離し、さらなるクローニングおよび/または宿主細胞中での発現のために、1つまたは複数のベクターに挿入する。そのような核酸分子は、従来の手順を用いて容易に単離および配列決定されるだろう(例えば、抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを用いることで)。
抗体をコードするベクターのクローニングまたは発現に好適な宿主細胞は、本明細書に記載の原核細胞または真核細胞を含む。例えば、抗体は、特にグリコシル化およびFcエフェクター機能が必要とされない場合は、細菌で製造してもよい。細菌での抗体断片およびポリペプチドの発現に関して、例えば、米国特許第5,648,237号、第5,789,199号、および第5,840,523号を参照のこと。(加えて、大腸菌における抗体断片の発現について記載したCharlton, Methods in Molecular Biology, Vol. 248 (B.K.C. Lo, ed., Humana Press, Totowa, NJ, 2003), pp.245-254も参照のこと。)発現後、抗体は細菌細胞ペーストから可溶性フラクション中に単離されてもよく、またさらに精製することができる。
原核生物に加え、部分的なまたは完全なヒトのグリコシル化パターンを伴う抗体の産生をもたらす、グリコシル化経路が「ヒト化」されている菌類および酵母の株を含む、糸状菌または酵母などの真核性の微生物は、抗体コードベクターの好適なクローニングまたは発現宿主である。Gerngross, Nat. Biotech. 22:1409-1414 (2004)および Li et al., Nat. Biotech. 24:210-215 (2006) を参照のこと。
多細胞生物(無脊椎生物および脊椎生物)に由来するものもまた、グリコシル化された抗体の発現のために好適な宿主細胞である。無脊椎生物細胞の例は、植物および昆虫細胞を含む。昆虫細胞との接合、特にSpodoptera frugiperda細胞の形質転換に用いられる、数多くのバキュロウイルス株が同定されている。
植物細胞培養物も、宿主として利用することができる。例えば、米国特許第5,959,177号、第6,040,498号、第6,420,548号、第7,125,978号、および第6,417,429号(トランスジェニック植物で抗体を産生するための、PLANTIBODIES(商標)技術を記載)を参照のこと。
脊椎動物細胞もまた宿主として使用できる。例えば、浮遊状態で増殖するように適応された哺乳動物細胞株は、有用であろう。有用な哺乳動物宿主細胞株の他の例は、SV40で形質転換されたサル腎CV1株 (COS-7);ヒト胎児性腎株(Graham et al., J. Gen Virol. 36:59 (1977) などに記載の293または293細胞);仔ハムスター腎細胞 (BHK);マウスセルトリ細胞(Mather, Biol. Reprod. 23:243-251 (1980) などに記載のTM4細胞);サル腎細胞 (CV1);アフリカミドリザル腎細胞 (VERO-76);ヒト子宮頸部癌細胞 (HELA);イヌ腎細胞 (MDCK);Buffalo系ラット肝細胞 (BRL 3A);ヒト肺細胞 (W138);ヒト肝細胞 (Hep G2);マウス乳癌 (MMT 060562);TRI細胞(例えば、Mather et al., Annals N.Y. Acad. Sci. 383:44-68 (1982) に記載);MRC5細胞;および、FS4細胞などである。他の有用な哺乳動物宿主細胞株は、DHFR- CHO細胞 (Urlaub et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4216 (1980)) を含むチャイニーズハムスター卵巣 (CHO) 細胞;およびY0、NS0、およびSp2/0などの骨髄腫細胞株を含む。抗体産生に好適な特定の哺乳動物宿主細胞株の総説として、例えば、Yazaki and Wu, Methods in Molecular Biology, Vol. 248 (B.K.C. Lo, ed., Humana Press, Totowa, NJ), pp. 255-268 (2003) を参照のこと。
E.測定法(アッセイ)
本明細書で提供される抗体は、当該技術分野において知られている種々の測定法によって、同定され、スクリーニングされ、または物理的/化学的特性および/または生物学的活性について明らかにされてもよい。
F.結合測定法およびその他の測定法
一局面において、本発明の抗体は、例えばELISA、ウエスタンブロット等の公知の方法によって、その抗原結合活性に関して試験される。
別の局面において、第1の修飾型IgG重鎖定常領域への結合に関して「実施例」で使用したYG55と競合する抗体を同定するために、競合アッセイが使用され得る。特定の態様において、そのような競合抗体は、「実施例」で使用したYG55によって結合されるのと同じエピトープ(例えば、線状または立体構造エピトープ)に結合する。抗体が結合するエピトープをマッピングする、詳細な例示的方法は、Morris (1996) “Epitope Mapping Protocols,” in Methods in Molecular Biology vol. 66 (Humana Press, Totowa, NJ)に提供されている。
例示的な競合アッセイにおいて、固定化された第1の修飾型IgG重鎖定常領域は、第1の修飾型IgG重鎖定常領域に結合する第1の標識された抗体および第1の修飾型IgG重鎖定常領域への結合に関して第1の抗体と競合する能力に関して試験される第2の未標識の抗体を含む溶液中でインキュベートされる。第2の抗体は、B細胞またはハイブリドーマ上清に存在し得る。対照として、固定化された第1の修飾型IgG重鎖定常領域が、第1の標識された抗体を含むが第2の未標識の抗体を含まない溶液中でインキュベートされる。第1の抗体の第1の修飾型IgG重鎖定常領域に対する結合を許容する条件下でのインキュベーションの後、余分な未結合の抗体が除去され、固定化されたIgG重鎖定常領域に結合した標識の量が測定される。固定化されたIgG重鎖定常領域に結合した標識の量が対照サンプルと比較して試験サンプルにおいて実質的に減少している場合、それは第2の抗体が第1の修飾型IgG重鎖定常領域への結合に関して第1の抗体と競合していることを示す。Harlow and Lane (1988) Antibodies: A Laboratory Manual ch.14 (Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY) を参照のこと。
III.組成物
一局面において、本発明における組成物は、試料中のポリペプチドの検出または捕捉において使用するための組成物である。組成物は、「II.抗体」に記述された抗体を含む。ポリペプチドは、ヒトIgG重鎖定常領域に由来する第5の修飾型IgG重鎖定常領域を含む。第5の修飾型IgG重鎖定常領域は、EUナンバリングシステムによる446位のグリシンおよびEUナンバリングシステムによる447位のリジンの両方を欠き、EUナンバリングシステムによる445位のアミノ酸は、第5の修飾型IgG重鎖定常領域に残存している。
好ましい態様において、第5の修飾型IgG重鎖定常領域におけるEUナンバリングシステムによる445位のアミノ酸は、アミド化されていない。
第5の修飾型IgG重鎖定常領域は、EUナンバリングシステムによる446位のグリシンおよびEUナンバリングシステムによる447位のリジンの両方を欠き、EUナンバリングシステムによる445位のアミノ酸を保持するという修飾を含んでいる限り、その他のアミノ酸の置換または修飾を含んでいてもよい。
さらに、本発明における組成物を使用して検出されるかまたは捕捉されるポリペプチドは、当該ポリペプチドが第5の修飾型IgG重鎖定常領域をC末端に含んでいる限り、構造に関して特に限定されない。本発明における組成物を使用して検出されるかまたは捕捉されるポリペプチドは、ヒトのIgG1分子、IgG2分子、IgG3分子、もしくはIgG4分子のような抗体、抗体断片、融合タンパク質、または第5の修飾型IgG重鎖定常領域を含むその他の形態のポリペプチドであってよい。
IV.方法
一局面において、本発明における方法は、試料中のポリペプチドを検出するかまたは捕捉するための方法である。方法は、「II.抗体」に記述された抗体を試料と接触させる工程を含む。ポリペプチドは、ヒトIgG重鎖定常領域に由来する第6の修飾型IgG重鎖定常領域を含む。第6の修飾型IgG重鎖定常領域は、EUナンバリングシステムによる446位のグリシンおよびEUナンバリングシステムによる447位のリジンの両方を欠き、EUナンバリングシステムによる445位のアミノ酸は、第6の修飾型IgG重鎖定常領域に残存している。
好ましい態様において、第6の修飾型IgG重鎖定常領域におけるEUナンバリングシステムによる445位のアミノ酸は、アミド化されていない。
第6の修飾型IgG重鎖定常領域は、EUナンバリングシステムによる446位のグリシンおよびEUナンバリングシステムによる447位のリジンの両方を欠き、EUナンバリングシステムによる445位のアミノ酸を保持するという修飾を含んでいる限り、その他のアミノ酸の置換または修飾を含んでいてもよい。
さらに、本発明における方法によって検出されるかまたは捕捉されるポリペプチドは、当該ポリペプチドが第6の修飾型IgG重鎖定常領域をC末端に含んでいる限り、構造に関して特に限定されない。本発明における方法によって検出されるかまたは捕捉されるポリペプチドは、ヒトのIgG1分子、IgG2分子、IgG3分子、もしくはIgG4分子のような抗体、抗体断片、融合タンパク質、または第6の修飾型IgG重鎖定常領域を含むその他の形態のポリペプチドであってよい。
実施例1
ΔGK Fcの調製
ヒトIgG4由来のΔGK Fc断片を、FreeStyle(商標)293発現系(Invitrogen)を使用して発現させた。採集された細胞培養培地から、発現されたFc断片を、アフィニティクロマトグラフィ(MabSelect SuRe、GE)によって精製した。最終工程において、緩衝液をD-PBS(-)に交換した。
実施例2
抗ΔGK抗体の生成
下記のように、抗ΔGK抗体を調製し、選択し、アッセイした。
実施例1において発現されたヒトIgG4由来のΔGK Fc断片(100~200μg/回/頭)によって、NZWウサギを皮内免疫した。3ヶ月間で6回投与を繰り返した後、血液および脾臓を収集した。B細胞選択のため、IgG4ΔGK抗体(IgG4 C末端GKが遺伝学的に欠失させられているIgG4抗体)および野生型IgG4抗体を調製した。ΔGK特異的なB細胞を、セルソータを使用して選別し、次いで、WO2016098356A1に記載された手法によって播種し、培養した。培養後、B細胞培養上清を、さらなる分析のために採集し、対応するB細胞ペレットを凍結保存した。
B細胞培養上清を使用して、IgGΔGKとの特異的結合を、ELISAによって評価した。この一次スクリーニングにおいて、ΔGK C末端配列に対する結合特異性を評価するための抗原として、四つの型の抗体を使用した:IgG1 C末端Kが遺伝学的に欠失させられているIgG1抗体(IgG1ΔK)、IgG1 C末端GKが遺伝学的に欠失させられているIgG1抗体(IgG1ΔGK)、IgG4 C末端Kが遺伝学的に欠失させられているIgG4抗体(IgG4ΔK)、およびIgG4 C末端GKが遺伝学的に欠失させられているIgG4抗体(IgG4ΔGK)。結果は、単一のB細胞クローンからの1個の培養上清試料のみが、IgG1ΔGKおよびIgG4ΔGKの両方との特異的結合を示すことを示した(図1)。
ΔGK Fcは、ΔK Fcに対してよりも、ΔGKアミドFcに対して、構造的により類似している。本発明者らは、陽性B細胞クローンからの前述の選択された培養上清を使用して、ΔGK FcおよびΔGKアミドFcとの特異的結合も特徴決定した。IgG1ΔGKアミドおよびIgG4ΔGKアミドを、前述のIgG1ΔKまたはIgG4ΔKのPAM処理によって調製し、従来の方法によって精製した。この二次スクリーニングにおいて、ΔGK C末端配列に対する結合特異性を評価するためのELISAアッセイにおける抗原として、四つの型の抗体を使用した:IgG1ΔGK、IgG1ΔGKアミド、IgG4ΔGK、およびIgG4ΔGKアミド。驚くべきことに、試験された単一のB細胞培養上清は、ΔGK分子に対する極めて高い特異性を示した(図2)。
これらのスクリーニングの結果に基づき、選択されたクローンのRNAを、ZR-96 Quick-RNAキット(ZYMO RESEARCH、カタログ番号R1053)を使用して、凍結保存された細胞ペレットから抽出した。逆転写PCRによって、選択されたクローンによって産生される抗体の抗体重鎖可変領域をコードするDNAを取得・増幅し、次いで、ウサギIgG重鎖定常領域をコードするDNA(配列番号:9)と組換えた。逆転写PCRによって、抗体軽鎖可変領域をコードするDNAも取得・増幅し、次いで、ウサギIgk軽鎖定常領域をコードするDNA(配列番号:10)と組換えた。2本の重鎖および2本の軽鎖を有する「YG55」と名付けられた抗ΔGK抗体を、これらの組換え体から作製した。重鎖および軽鎖のVH、VL、およびHVRの配列は、表1に記載される。YG55を、FreeStyle(商標)293発現系を使用して発現させ、培養上清から精製した。
実施例3
抗ΔGKモノクローナル抗体YG55の特徴決定
遺伝子クローニングおよび抗体発現の後、上で前記二次スクリーニングにおいて記載したように、ELISAアッセイによってYG55の特異性を評価した。抗体遺伝子クローニングは成功し、ヒットした(陽性)B細胞クローンによって示されたのと同一の特異性を保持しているYG55をもたらした(図3)。この高度に特異的な結合は、表面プラズモン共鳴アッセイによっても確認された。特異的結合モチーフおよびそのエピトープを、結晶構造分析によって同定した。
Figure 0007425725000001

Claims (10)

  1. ヒトIgG重鎖定常領域に由来する第1の修飾型IgG重鎖定常領域に特異的に結合する抗体であって、該第1の修飾型IgG重鎖定常領域がEUナンバリングシステムによる446位のグリシンおよびEUナンバリングシステムによる447位のリジンの両方を欠き、EUナンバリングシステムによる445位のアミノ酸が該第1の修飾型IgG重鎖定常領域に残存している、抗体であって、
    以下に実質的に結合せず:
    (i)ヒトIgG重鎖定常領域に由来する第3の修飾型IgG重鎖定常領域、または非修飾型ヒトIgG重鎖定常領域であって、EUナンバリングシステムによる445位、446位、および447位のアミノ酸が、該第3の修飾型IgG重鎖定常領域または非修飾型ヒトIgG重鎖定常領域に残存している、第3の修飾型IgG重鎖定常領域または非修飾型ヒトIgG重鎖定常領域;ならびに
    (ii)ヒトIgG重鎖定常領域に由来する第4の修飾型IgG重鎖定常領域であって、該第4の修飾型IgG重鎖定常領域がEUナンバリングシステムによる447位のリジンを欠き、EUナンバリングシステムによる445位および446位のアミノ酸が該第4の修飾型IgG重鎖定常領域に残存している、第4の修飾型IgG重鎖定常領域、
    以下の(1)または(2)の抗体:
    (1)以下の(a)~(f)を含む、抗体:
    (a)配列番号:2のアミノ酸配列を含むHVR-H1;
    (b)配列番号:3のアミノ酸配列を含むHVR-H2;
    (c)配列番号:4のアミノ酸配列を含むHVR-H3;
    (d)配列番号:6のアミノ酸配列を含むHVR-L1;
    (e)配列番号:7のアミノ酸配列を含むHVR-L2;および
    (f)配列番号:8のアミノ酸配列を含むHVR-L3;または
    (2)上記(a)~(f)を含む抗体と、第1の修飾型IgG重鎖定常領域との結合について競合する抗体であって、配列番号:1のアミノ酸配列に対して95%の配列同一性を有する重鎖可変ドメイン配列を含み、かつ配列番号:5のアミノ酸配列に対して95%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン配列を含む、抗体。
  2. 第1の修飾型IgG重鎖定常領域におけるEUナンバリングシステムによる445位のアミノ酸がアミド化されていない、請求項1に記載の抗体。
  3. ヒトIgG重鎖定常領域に由来する第2の修飾型IgG重鎖定常領域に実質的に結合しない請求項2に記載の抗体であって、該第2の修飾型IgG重鎖定常領域がEUナンバリングシステムによる446位のグリシンおよびEUナンバリングシステムによる447位のリジンの両方を欠き、EUナンバリングシステムによる445位のアミノ酸が該第2の修飾型IgG重鎖定常領域に残存しておりかつアミド化されている、抗体。
  4. 第2の修飾型IgG重鎖定常領域に対する前記抗体の結合活性が、酵素結合イムノアッセイの検出限界未満である、請求項3に記載の抗体。
  5. 第3の修飾型IgG重鎖定常領域、第4の修飾型IgG重鎖定常領域、および非修飾型ヒトIgG重鎖定常領域からなる群より選択される少なくとも1種のIgG重鎖定常領域に対する前記抗体の結合活性が、酵素結合イムノアッセイの検出限界未満である、請求項1に記載の抗体。
  6. 第1の修飾型IgG重鎖定常領域に対する前記抗体の結合活性が、酵素結合イムノアッセイにおいて検出可能である、請求項1~5のいずれか一項に記載の抗体。
  7. 請求項1~6のいずれか一項に記載の抗体を含む、試料中のポリペプチドの検出または捕捉において使用するための組成物であって、ポリペプチドが、ヒトIgG重鎖定常領域に由来する第5の修飾型IgG重鎖定常領域を含み、該第5の修飾型IgG重鎖定常領域が、EUナンバリングシステムによる446位のグリシンおよびEUナンバリングシステムによる447位のリジンの両方を欠き、EUナンバリングシステムによる445位のアミノ酸が該第5の修飾型IgG重鎖定常領域に残存している、組成物。
  8. 第5の修飾型IgG重鎖定常領域におけるEUナンバリングシステムによる445位のアミノ酸がアミド化されていない、請求項7に記載の組成物。
  9. 請求項1~6のいずれか一項に記載の抗体を試料とインビトロで接触させる工程を含む、試料中のポリペプチドの検出または捕捉のための方法であって、ポリペプチドが、ヒトIgG重鎖定常領域に由来する第6の修飾型IgG重鎖定常領域を含み、該第6の修飾型IgG重鎖定常領域が、EUナンバリングシステムによる446位のグリシンおよびEUナンバリングシステムによる447位のリジンの両方を欠き、EUナンバリングシステムによる445位のアミノ酸が該第6の修飾型IgG重鎖定常領域に残存している、方法。
  10. 第6の修飾型IgG重鎖定常領域におけるEUナンバリングシステムによる445位のアミノ酸がアミド化されていない、請求項9に記載の方法。
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