JP7424513B2 - 回転電機 - Google Patents

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Description

関連出願の相互参照
本出願は、2020年11月27日に出願された日本出願番号2020-197409号に基づくもので、ここにその記載内容を援用する。
この明細書における開示は、回転電機に関する。
従来、複数の磁極を有する回転子と、多相の固定子巻線を有する固定子と、を備える回転電機が知られている。また、回転電機において、固定子に一体化されたハウジングに軸受を設け、その軸受により回転子を回転可能に支持する構成が知られている。例えば特許文献1には、インナロータ構造のインホイールモータにおいて、ステータの外周側を囲むようにハウジングを設けるとともに、そのハウジングに設けられた軸受突部に軸受により回転子が回転可能に支持された構成が記載されている。
特開2004-129389号公報
ところで、上記特許文献1に記載のインホイールモータでは、ハウジングの軸受突部において軸受により回転子が回転可能に支持されており、そのハウジングには、回転子を軸支持するための強度が要求される。しかしながら、ハウジングが高強度な部材として設けられる構成では、そのハウジングにおいて例えば放熱性向上や軽量化を図る上での自由度が制限されることになる。そのため、技術的な改善の余地があると考えられる。
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、回転電機において設計の自由度を向上させることを目的とする。
この明細書における開示された複数の態様は、それぞれの目的を達成するために、互いに異なる技術的手段を採用する。この明細書に開示される目的、特徴、および効果は、後続の詳細な説明、および添付の図面を参照することによってより明確になる。
手段1は、
環状に配置された磁石部を有する回転子と、
多相の固定子巻線を有する固定子と、を備え、
前記固定子の径方向内側に前記回転子が配置されたインナロータ式の回転電機であって、
前記固定子を囲む状態で設けられ、軸方向の第1端側に底部を有する有底筒状の第1ハウジングと、
前記第1ハウジングの前記第1端とは逆側の第2端側で当該第1ハウジングの開放端を閉じるように設けられた第2ハウジングと、を備え、
前記回転子は、軸方向に延びる円筒状の回転軸を有し、
前記第2ハウジングは、前記回転軸の中空部内に挿通される固定軸部を有しており、前記固定軸部と前記回転軸との間に、当該回転軸を回転可能に支持する軸受が設けられている。
上記構成の回転電機はインナロータ構造を有するものであり、回転子が径方向内側、固定子が径方向外側に配置され、回転子に一体に設けられた回転軸が軸受により回転可能に支持されている。また、固定子を囲むようにして有底筒状の第1ハウジングが設けられ、その第1ハウジングの開放端側(第2端側)を閉じるように第2ハウジングが設けられている。そして、回転軸の中空部に、第2ハウジングに設けられた固定軸部を挿通させるとともに、固定軸部と回転軸との間に軸受が設けられている構成とした。
上記構成では、第1ハウジングと第2ハウジングとのうち第2ハウジング、すなわち固定子を囲む側でないハウジングにより、軸受を介して回転子の回転軸が回転可能に支持される。この場合、固定子を囲むように設けられる第1ハウジングにおいて、第2ハウジングに比べて強度の要求が緩和されることとなる。そのため、第1ハウジングにおいて、強度要求が緩和されることによる設計の自由度が増し、放熱性の向上や軽量化の要求に容易に応じることが可能となる。
手段2では、手段1において、前記第1ハウジングは、前記第2ハウジングに比べて高熱伝導な部材であり、前記第2ハウジングは、前記第1ハウジングに比べて高強度な部材である。
上記構成によれば、固定子を囲む第1ハウジングは放熱性を優先したものとなり、軸受を介して回転軸を支持する第2ハウジングは強度を優先したものとなっている。これにより、固定子で生じる熱を第1ハウジングから好適に放出できるとともに、第2ハウジングにおける回転軸の支持強度を確保できる。また、高強度材料は重量が重くなる傾向にあるが、各ハウジングのうち第2ハウジングのみを高強度な部材としたため、回転電機としての重量軽減を図ることもできる。この場合、回転電機において放熱性や重量に関する設計の自由度を向上させることができる。
手段3では、手段1又は2において、前記回転子は、前記磁石部を支持する回転子キャリアを有し、前記回転子キャリアは、軸方向一端側に端板部を有しており、前記回転軸は、軸方向において前記端板部から前記磁石部とは逆側に延びるように設けられており、前記回転軸の中空部には、軸方向において前記端板部よりも反磁石部側となる位置に前記軸受が設けられ、その軸受により前記回転軸が回転可能に支持されており、前記回転軸において前記端板部とは逆側の軸方向端部に、本回転電機により回転が付与される回転対象物が結合可能となっている。
上記構成では、回転軸の軸方向一端側に回転子キャリアが設けられ、回転軸の軸方向他端側に本回転電機に対する回転対象物の結合が可能となっている。また、回転軸の中空部には、軸方向において回転子キャリアの端板部よりも反磁石部側となる位置に軸受が設けられている。この場合、磁石部に対して径方向に重複しない位置に軸受を設けることにより、磁石部に対して径方向に重複する位置に軸受を設ける構成に比べて、磁石部の径方向内側の領域を大きくすることができる。これにより、磁石部の径方向内側の領域に、センサ類や電気部品、回転電機取り付け用の取付構造などを配置することができ、当該領域の有効利用が可能となる。また、回転軸において端板部とは逆側の軸方向端部に荷重が作用することを加味しつつ、軸受を適正な位置に配置することができる。なお、インホイールモータでは、車輪が回転対象物に相当する。
手段4では、手段3において、前記固定軸部は、前記端板部に設けられた貫通孔を貫通させた状態で設けられ、軸方向における前記端板部の両側のうち一方側が第1軸部、他方側が第2軸部であり、前記第1軸部及び前記第2軸部のうち前記磁石部の径方向内側となる第1軸部の外側に、前記回転子の回転を検出する回転センサが設けられ、第2軸部の外側に前記軸受が設けられている。
上記構成では、第2ハウジングの固定軸部において、回転子キャリアの端板部を挟んで両側となる部分がそれぞれ第1軸部、第2軸部となっており、第1軸部側のエリアと第2軸部側のエリアは、端板部により軸方向に仕切られている。そのため、第1軸部の外側に回転センサが設けられ、第2軸部の外側に軸受が設けられる構成において、軸受による回転センサへの影響を抑制することができる。
手段5では、手段3又は4において、前記回転子における前記磁石部の径方向内側には、前記第2ハウジングと前記回転子キャリアとにより囲まれた閉鎖空間が形成されており、前記閉鎖空間に、前記回転子の回転を検出する回転センサが配置されている。
上記構成では、回転子における磁石部の径方向内側において、第2ハウジングと回転子キャリアとにより形成された閉空間に、回転センサが配置されている。この場合、回転センサが回転電機の外部から隔離されるため、回転センサの設置環境を良好に保つことができる。例えば、回転センサに対する異物の付着や被水を抑制することが可能となっている。
手段6では、手段1~5のいずれかにおいて、前記回転軸は、前記第1ハウジングにおける前記底部に設けられた貫通孔に挿通されており、前記底部と前記回転軸との間に摺動シールが設けられている。
上記構成では、回転軸の内周面側には、第2ハウジングの固定軸部との間に軸受が設けられ、回転軸の外周面側には、第1ハウジングの底部との間に摺動シールが設けられている。つまり、回転軸は、軸受により第2ハウジングの固定軸部に対して相対回転可能となり、かつ、摺動シールにより第1ハウジングの底部に対して相対回転可能となっている。これにより、回転軸は、径方向内側及び外側から各ハウジングによりそれぞれ回転可能に支持されることとなり、回転軸の適切な支持を可能とする支持構造を実現することができる。
手段7では、手段1~6のいずれかにおいて、前記第2ハウジングは、前記固定軸部よりも大径の円筒部を有し、前記円筒部が、前記磁石部の径方向内側となる回転子内周面に近接状態で対向するように配置されており、前記円筒部の径方向内側が、軸方向において前記固定軸部の反対側に開放された空間部となっている。
上記構成では、第2ハウジングにおいて、固定軸部よりも大径の円筒部が回転子内周面に近接状態で対向しており、その円筒部の径方向内側が、軸方向において固定軸部の反対側に開放された空間部となっている。この場合、回転子における磁石部の内周側を、第2ハウジングの円筒部により内側から覆って外部と区画しつつ、円筒部内に空間部を確保してその有効利用を可能としている。
手段8では、手段7において、前記回転子における前記磁石部の径方向内側において、前記回転子内周面と前記円筒部とが対向する領域が、潤滑油が通る潤滑油経路になっている。
上記構成では、回転子内周面と円筒部とが対向する領域が、潤滑油が通る潤滑油経路になっている。この場合、回転電機の内部において潤滑油が通る領域を第2ハウジングの円筒部により制限することで、潤滑油の供給を好適に行わせることができる。
手段9では、手段1~8のいずれかにおいて、車両の車輪に一体に設けられるインホイールモータとして用いられる回転電機であって、前記第2ハウジングは車体に対して固定可能であり、前記回転軸は前記車輪に対して固定されることで当該車輪と一体回転可能である。
インホイールモータとしての回転電機では、固定子とその固定子を保持するハウジングとが車体に固定され、車重をハウジングが受ける構成となっている。その前提において、本手段では、固定子を囲む状態で保持する第1ハウジングと、第1ハウジングの開放端側に設けられた第2ハウジングとのうち、第2ハウジングにより車重を受ける構成としたため、第2ハウジングを耐荷重を優先した構成にすることができる。また、第1ハウジングにおいては、車重を受ける必要が無く、放熱性を優先して高放熱材料を使用することができる。
なお、手段3のように、磁石部に対して径方向に重複しない位置に軸受が設けられる構成では、磁石部の径方向内側の領域を利用して、インホイールモータ(回転電機)を車体側に取り付けるためのナックルやリンク等の取付構造を好適に配置することができる。
また、手段7のように、第2ハウジングに、固定軸部よりも大径の円筒部を設け、その円筒部の径方向内側を、軸方向において固定軸部の反対側に開放された空間部とすることで、上記同様、インホイールモータ(回転電機)を車体側に取り付けるためのナックルやリンク等の取付構造を好適に配置することができる。
本開示についての上記目的およびその他の目的、特徴や利点は、添付の図面を参照しながら下記の詳細な記述により、より明確になる。その図面は、
図1は、第1実施形態における回転電機の全体を示す斜視図であり、 図2は、回転電機の平面図であり、 図3は、回転電機の縦断面図であり、 図4は、回転電機の横断面図であり、 図5は、回転電機の分解断面図であり、 図6は、回転子の断面図であり、 図7は、磁石ユニットの断面構造を示す部分横断面図であり、 図8は、実施形態の磁石について電気角と磁束密度との関係を示す図であり、 図9は、比較例の磁石について電気角と磁束密度との関係を示す図であり、 図10は、固定子ユニットの斜視図であり、 図11は、固定子ユニットの縦断面図であり、 図12は、コアアセンブリを軸方向一方側から見た斜視図であり、 図13は、コアアセンブリを軸方向他方側から見た斜視図であり、 図14は、コアアセンブリの横断面図であり、 図15は、コアアセンブリの分解断面図であり、 図16は、3相の各相巻線における部分巻線の接続状態を示す回路図であり、 図17は、第1コイルモジュールと第2コイルモジュールとを横に並べて対比して示す側面図であり、 図18は、第1部分巻線と第2部分巻線とを横に並べて対比して示す側面図であり、 図19は、第1コイルモジュールの構成を示す図であり、 図20は、図19(a)における20-20線断面図であり、 図21は、絶縁カバーの構成を示す斜視図であり、 図22は、第2コイルモジュールの構成を示す図であり、 図23は、図22(a)における23-23線断面図であり、 図24は、絶縁カバーの構成を示す斜視図であり、 図25は、各コイルモジュールを周方向に並べた状態でのフィルム材のオーバーラップ位置を示す図であり、 図26は、コアアセンブリに対する第1コイルモジュールの組み付け状態を示す平面図であり、 図27は、コアアセンブリに対する第1コイルモジュール及び第2コイルモジュールの組み付け状態を示す平面図であり、 図28は、固定ピンによる固定状態を示す縦断面図であり、 図29は、バスバーモジュールの斜視図であり、 図30は、バスバーモジュールの縦断面の一部を示す断面図であり、 図31は、固定子ホルダにバスバーモジュールを組み付けた状態を示す斜視図であり、 図32は、バスバーモジュールを固定する固定部分における縦断面図であり、 図33は、ハウジングカバーに中継部材を取り付けた状態を示す縦断面図であり、 図34は、中継部材の斜視図であり、 図35は、回転電機の制御システムを示す電気回路図であり、 図36は、制御装置による電流フィードバック制御処理を示す機能ブロック図であり、 図37は、制御装置によるトルクフィードバック制御処理を示す機能ブロック図であり、 図38は、変形例において磁石ユニットの断面構造を示す部分横断面図であり、 図39は、インナロータ構造の固定子ユニットの構成を示す図であり、 図40は、コアアセンブリに対するコイルモジュールの組み付け状態を示す平面図であり、 図41は、第2実施形態における回転電機の全体を示す斜視図であり、 図42は、回転電機の平面図であり、 図43は、回転電機の縦断面図であり、 図44は、回転電機の横断面図であり、 図45は、回転電機の構成要素を分解して示す分解断面図であり、 図46は、固定子ユニットの全体を示す斜視図であり、 図47は、固定子ユニットの分解断面図であり、 図48は、固定子ユニットの縦断面図であり、 図49は、部分巻線の構成を示す斜視図であり、 図50は、インナハウジングの構成を示す斜視図であり、 図51は、回転電機における潤滑油経路を示す縦断面図であり、 図52は、変形例における回転電機の縦断面図である。
図面を参照しながら、複数の実施形態を説明する。複数の実施形態において、機能的におよび/または構造的に対応する部分および/または関連付けられる部分には同一の参照符号、または百以上の位が異なる参照符号が付される場合がある。対応する部分および/又は関連付けられる部分については、他の実施形態の説明を参照することができる。
本実施形態における回転電機は、例えば車両動力源として用いられるものとなっている。ただし、回転電機は、産業用、車両用、航空機用、家電用、OA機器用、遊技機用などとして広く用いられることが可能となっている。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一又は均等である部分には、図中、同一符号を付しており、同一符号の部分についてはその説明を援用する。
(第1実施形態)
本実施形態に係る回転電機10は、同期式多相交流モータであり、アウタロータ構造(外転構造)のものとなっている。回転電機10の概要を図1~図5に示す。図1は、回転電機10の全体を示す斜視図であり、図2は、回転電機10の平面図であり、図3は、回転電機10の縦断面図(図2の3-3線断面図)であり、図4は、回転電機10の横断面図(図3の4-4線断面図)であり、図5は、回転電機10の構成要素を分解して示す分解断面図である。以下の記載では、回転電機10において、回転軸11が延びる方向を軸方向とし、回転軸11の中心から放射状に延びる方向を径方向とし、回転軸11を中心として円周状に延びる方向を周方向としている。
回転電機10は、大別して、回転子20、固定子ユニット50及びバスバーモジュール200を有する回転電機本体と、その回転電機本体を囲むように設けられるハウジング241及びハウジングカバー242とを備えている。これら各部材はいずれも、回転子20に一体に設けられた回転軸11に対して同軸に配置されており、所定順序で軸方向に組み付けられることで回転電機10が構成されている。回転軸11は、固定子ユニット50及びハウジング241にそれぞれ設けられた一対の軸受12,13に支持され、その状態で回転可能となっている。なお、軸受12,13は、例えば内輪と外輪とそれらの間に配置された複数の玉とを有するラジアル玉軸受である。回転軸11の回転により、例えば車両の車軸が回転する。回転電機10は、ハウジング241が車体フレーム等に固定されることにより車両に搭載可能となっている。
回転電機10において、固定子ユニット50は回転軸11を囲むように設けられ、その固定子ユニット50の径方向外側に回転子20が配置されている。固定子ユニット50は、固定子60と、その径方向内側に組み付けられた固定子ホルダ70とを有している。回転子20と固定子60とはエアギャップを挟んで径方向に対向配置されており、回転子20が回転軸11と共に一体回転することにより、固定子60の径方向外側にて回転子20が回転する。回転子20が「界磁子」に相当し、固定子60が「電機子」に相当する。
図6は、回転子20の縦断面図である。図6に示すように、回転子20は、略円筒状の回転子キャリア21と、その回転子キャリア21に固定された環状の磁石ユニット22とを有している。回転子キャリア21は、円筒状をなす円筒部23と、その円筒部23の軸方向一端に設けられた端板部24とを有しており、それらが一体化されることで構成されている。回転子キャリア21は、磁石保持部材として機能し、円筒部23の径方向内側に環状に磁石ユニット22が固定されている。端板部24には貫通孔24aが形成されており、その貫通孔24aに挿通された状態で、ボルト等の締結具25により端板部24に回転軸11が固定されている。回転軸11は、軸方向に交差(直交)する向きに延びるフランジ11aを有しており、そのフランジ11aと端板部24とが面接合されている状態で、回転軸11に回転子キャリア21が固定されている。
磁石ユニット22は、円筒状の磁石ホルダ31と、その磁石ホルダ31の内周面に固定された複数の磁石32と、軸方向両側のうち回転子キャリア21の端板部24とは逆側に固定されたエンドプレート33とを有している。磁石ホルダ31は、軸方向において磁石32と同じ長さ寸法を有している。磁石32は、磁石ホルダ31に径方向外側から包囲された状態で設けられている。磁石ホルダ31及び磁石32は、軸方向一方側の端部においてエンドプレート33に当接した状態で固定されている。磁石ユニット22が「磁石部」に相当する。
図7は、磁石ユニット22の断面構造を示す部分横断面図である。図7には、磁石32の磁化容易軸の向きを矢印にて示している。
磁石ユニット22において、磁石32は、回転子20の周方向に沿って極性が交互に変わるように並べて設けられている。これにより、磁石ユニット22は、周方向に複数の磁極を有する。磁石32は、極異方性の永久磁石であり、固有保磁力が400[kA/m]以上であり、かつ残留磁束密度Brが1.0[T]以上である焼結ネオジム磁石を用いて構成されている。
磁石32において径方向内側(固定子60側)の周面が、磁束の授受が行われる磁束作用面34である。磁石ユニット22は、磁石32の磁束作用面34において、磁極中心であるd軸付近の領域に集中的に磁束を生じさせるものとなっている。具体的には、磁石32では、d軸側(d軸寄りの部分)とq軸側(q軸寄りの部分)とで磁化容易軸の向きが相違しており、d軸側では磁化容易軸の向きがd軸に平行する向きとなり、q軸側では磁化容易軸の向きがq軸に直交する向きとなっている。この場合、磁化容易軸の向きに沿って円弧状の磁石磁路が形成されている。要するに、磁石32は、磁極中心であるd軸の側において、磁極境界であるq軸の側に比べて磁化容易軸の向きがd軸に平行となるように配向がなされて構成されている。
磁石32において、磁石磁路が円弧状に形成されていることにより、磁石32の径方向の厚さ寸法よりも磁石磁路長が長くなっている。これにより、磁石32のパーミアンスが上昇し、同じ磁石量でありながら、磁石量の多い磁石と同等の能力を発揮させることが可能となっている。
磁石32は、周方向に隣り合う2つを1組として1磁極を構成するものとなっている。つまり、磁石ユニット22において周方向に並ぶ複数の磁石32は、d軸及びq軸にそれぞれ割面を有するものとなっており、それら各磁石32が互いに当接又は近接した状態で配置されている。磁石32は、上記のとおり円弧状の磁石磁路を有しており、q軸では周方向に隣り合う磁石32どうしでN極とS極とが向かい合うこととなる。そのため、q軸近傍でのパーミアンスの向上を図ることができる。また、q軸を挟んで両側の磁石32は互いに吸引し合うため、これら各磁石32は互いの接触状態を保持できる。そのため、やはりパーミアンスの向上に寄与するものとなっている。
磁石ユニット22では、各磁石32により、隣接するN,S極間を円弧状に磁束が流れるため、例えばラジアル異方性磁石に比べて磁石磁路が長くなっている。このため、図8に示すように、磁束密度分布が正弦波に近いものとなる。その結果、図9に比較例として示すラジアル異方性磁石の磁束密度分布とは異なり、磁極の中心側に磁束を集中させることができ、回転電機10のトルクを高めることが可能となっている。また、本実施形態の磁石ユニット22では、従来のハルバッハ配列の磁石と比べても、磁束密度分布の差異があることが確認できる。なお、図8及び図9において、横軸は電気角を示し、縦軸は磁束密度を示す。また、図8及び図9において、横軸の90°はd軸(すなわち磁極中心)を示し、横軸の0°,180°はq軸を示す。
つまり、上記構成の各磁石32によれば、磁石ユニット22においてd軸での磁石磁束が強化され、かつq軸付近での磁束変化が抑えられる。これにより、各磁極においてq軸からd軸にかけての表面磁束変化がなだらかになる磁石ユニット22を好適に実現することができる。
磁束密度分布の正弦波整合率は、例えば40%以上の値とされていればよい。このようにすれば、正弦波整合率が30%程度であるラジアル配向磁石、パラレル配向磁石を用いる場合に比べ、確実に波形中央部分の磁束量を向上させることができる。また、正弦波整合率を60%以上とすれば、ハルバッハ配列のような磁束集中配列と比べ、確実に波形中央部分の磁束量を向上させることができる。
図9に示すラジアル異方性磁石では、q軸付近において磁束密度が急峻に変化する。磁束密度の変化が急峻なほど、後述する固定子60の固定子巻線61において渦電流が増加してしまう。また、固定子巻線61側での磁束変化も急峻となる。これに対し、本実施形態では、磁束密度分布が正弦波に近い磁束波形となる。このため、q軸付近において、磁束密度の変化が、ラジアル異方性磁石の磁束密度の変化よりも小さい。これにより、渦電流の発生を抑制することができる。
磁石32には、径方向外側の外周面に、d軸を含む所定範囲で凹部35が形成されているとともに、径方向内側の内周面に、q軸を含む所定範囲で凹部36が形成されている。この場合、磁石32の磁化容易軸の向きによれば、磁石32の外周面においてd軸付近で磁石磁路が短くなるとともに、磁石32の内周面においてq軸付近で磁石磁路が短くなる。そこで、磁石32において磁石磁路長が短い場所で十分な磁石磁束を生じさせることが困難になることを考慮して、その磁石磁束の弱い場所で磁石が削除されている。
なお、磁石ユニット22において、磁極と同じ数の磁石32を用いる構成としてもよい。例えば、磁石32が、周方向に隣り合う2磁極において各磁極の中心であるd軸間を1磁石として設けられるとよい。この場合、磁石32は、周方向の中心がq軸となり、かつd軸に割面を有する構成となっている。また、磁石32が、周方向の中心をq軸とする構成でなく、周方向の中心をd軸とする構成であってもよい。磁石32として、磁極数の2倍の数の磁石、又は磁極数と同じ数の磁石を用いる構成に代えて、円環状に繋がった円環磁石を用いる構成であってもよい。
図3に示すように、回転軸11の軸方向両側のうち回転子キャリア21との結合部の逆側の端部(図の上側の端部)には、回転センサとしてのレゾルバ41が設けられている。レゾルバ41は、回転軸11に固定されるレゾルバロータと、そのレゾルバロータの径方向外側に対向配置されたレゾルバステータとを備えている。レゾルバロータは、円板リング状をなしており、回転軸11を挿通させた状態で、回転軸11に同軸に設けられている。レゾルバステータは、ステータコアとステータコイルとを有し、ハウジングカバー242に固定されている。
次に、固定子ユニット50の構成を説明する。図10は、固定子ユニット50の斜視図であり、図11は、固定子ユニット50の縦断面図である。なお、図11は、図3と同じ位置での縦断面図である。
固定子ユニット50は、その概要として、固定子60とその径方向内側の固定子ホルダ70とを有している。また、固定子60は、固定子巻線61と固定子コア62とを有している。そして、固定子コア62と固定子ホルダ70とを一体化してコアアセンブリCAとして設け、そのコアアセンブリCAに対して、固定子巻線61を構成する複数の部分巻線151を組み付ける構成としている。なお、固定子巻線61が「電機子巻線」に相当し、固定子コア62が「電機子コア」に相当し、固定子ホルダ70が「電機子保持部材」に相当する。また、コアアセンブリCAが「支持部材」に相当する。
ここではまず、コアアセンブリCAについて説明する。図12は、コアアセンブリCAを軸方向一方側から見た斜視図であり、図13は、コアアセンブリCAを軸方向他方側から見た斜視図であり、図14は、コアアセンブリCAの横断面図であり、図15は、コアアセンブリCAの分解断面図である。
コアアセンブリCAは、上述したとおり固定子コア62と、その径方向内側に組み付けられた固定子ホルダ70とを有している。言うなれば、固定子ホルダ70の外周面に固定子コア62が一体に組み付けられて構成されている。
固定子コア62は、磁性体である電磁鋼板からなるコアシート62aが軸方向に積層されたコアシート積層体として構成されており、径方向に所定の厚さを有する円筒状をなしている。固定子コア62において回転子20側となる径方向外側には固定子巻線61が組み付けられている。固定子コア62の外周面は凹凸のない曲面状をなしている。固定子コア62はバックヨークとして機能する。固定子コア62は、例えば円環板状に打ち抜き形成された複数枚のコアシート62aが軸方向に積層されて構成されている。ただし、固定子コア62としてヘリカルコア構造を有するものを用いてもよい。ヘリカルコア構造の固定子コア62では、帯状のコアシートが用いられ、このコアシートが環状に巻回形成されるとともに軸方向に積層されることで、全体として円筒状の固定子コア62が構成されている。
本実施形態において、固定子60は、スロットを形成するためのティースを有していないスロットレス構造を有するものであるが、その構成は以下の(A)~(C)のいずれかを用いたものであってもよい。
(A)固定子60において、周方向における各導線部(後述する中間導線部152)の間に導線間部材を設け、かつその導線間部材として、1磁極における導線間部材の周方向の幅寸法をWt、導線間部材の飽和磁束密度をBs、1磁極における磁石32の周方向の幅寸法をWm、磁石32の残留磁束密度をBrとした場合に、Wt×Bs≦Wm×Brの関係となる磁性材料を用いている。
(B)固定子60において、周方向における各導線部(中間導線部152)の間に導線間部材を設け、かつその導線間部材として、非磁性材料を用いている。
(C)固定子60において、周方向における各導線部(中間導線部152)の間に導線間部材を設けていない構成となっている。
また、図15に示すように、固定子ホルダ70は、外筒部材71と内筒部材81とを有し、外筒部材71を径方向外側、内筒部材81を径方向内側にしてそれらが一体に組み付けられることにより構成されている。これら各部材71,81は、例えばアルミニウムや鋳鉄等の金属、又は炭素繊維強化プラスチック(CFRP)により構成されている。
外筒部材71は、外周面及び内周面をいずれも真円状の曲面とする円筒部材であり、軸方向一端側には、径方向内側に延びる環状のフランジ72が形成されている。このフランジ72には、周方向に所定間隔で、径方向内側に延びる複数の突出部73が形成されている(図13参照)。また、外筒部材71において軸方向一端側及び他端側には、それぞれ内筒部材81に軸方向に対向する対向面74,75が形成されており、その対向面74,75には、環状に延びる環状溝74a,75aが形成されている。
また、内筒部材81は、外筒部材71の内径寸法よりも小さい外径寸法を有する円筒部材であり、その外周面は、外筒部材71と同心の真円状の曲面となっている。内筒部材81において軸方向一端側には、径方向外側に延びる環状のフランジ82が形成されている。内筒部材81は、外筒部材71の対向面74,75に軸方向に当接した状態で、外筒部材71に組み付けられるようになっている。図13に示すように、外筒部材71及び内筒部材81は、ボルト等の締結具84により互いに組み付けられている。具体的には、内筒部材81の内周側には、周方向に所定間隔で、径方向内側に延びる複数の突出部83が形成されており、その突出部83の軸方向端面と外筒部材71の突出部73とが重ね合わされた状態で、その突出部73,83どうしが締結具84により締結されている。
図14に示すように、外筒部材71と内筒部材81とが互いに組み付けられた状態において、外筒部材71の内周面と内筒部材81の外周面との間には環状の隙間が形成されており、その隙間空間が、冷却水等の冷媒を流通させる冷媒通路85となっている。冷媒通路85は、固定子ホルダ70の周方向に環状に設けられている。より詳しくは、内筒部材81には、その内周側において径方向内側に突出し、かつその内部に入口側通路86と出口側通路87とが形成された通路形成部88が設けられており、それら各通路86,87は内筒部材81の外周面に開口している。また、内筒部材81の外周面には、冷媒通路85を入口側と出口側とに仕切るための仕切り部89が設けられている。これにより、入口側通路86から流入する冷媒は、冷媒通路85を周方向に流れ、その後、出口側通路87から流出する。
入口側通路86及び出口側通路87は、その一端側が径方向に延びて内筒部材81の外周面に開口するとともに、他端側が軸方向に延びて内筒部材81の軸方向端面に開口するようになっている。図12には、入口側通路86に通じる入口開口86aと、出口側通路87に通じる出口開口87aとが示されている。なお、入口側通路86及び出口側通路87は、ハウジングカバー242に取り付けられた入口ポート244及び出口ポート245(図1参照)に通じており、それら各ポート244,245を介して冷媒が出入りするようになっている。
外筒部材71と内筒部材81との接合部分には、冷媒通路85の冷媒の漏れを抑制するためのシール材101,102が設けられている(図15参照)。具体的には、シール材101,102は例えばOリングであり、外筒部材71の環状溝74a,75aに収容され、かつ外筒部材71及び内筒部材81により圧縮された状態で設けられている。
また、図12に示すように、内筒部材81は、軸方向一端側に端板部91を有しており、その端板部91には、軸方向に延びる中空筒状のボス部92が設けられている。ボス部92は、回転軸11を挿通させるための挿通孔93を囲むように設けられている。ボス部92には、ハウジングカバー242を固定するための複数の締結部94が設けられている。また、端板部91には、ボス部92の径方向外側に、軸方向に延びる複数の支柱部95が設けられている。この支柱部95は、バスバーモジュール200を固定するための固定部となる部位であるが、その詳細は後述する。また、ボス部92は、軸受12を保持する軸受保持部材となっており、その内周部に設けられた軸受固定部96に軸受12が固定されている(図3参照)。
また、図12,図13に示すように、外筒部材71及び内筒部材81には、後述する複数のコイルモジュール150を固定するために用いる凹部105,106が形成されている。
具体的には、図12に示すように、内筒部材81の軸方向端面、詳しくは端板部91においてボス部92の周囲となる軸方向外側端面には、周方向に等間隔で複数の凹部105が形成されている。また、図13に示すように、外筒部材71の軸方向端面、詳しくはフランジ72の軸方向外側の端面には、周方向に等間隔で複数の凹部106が形成されている。これら凹部105,106は、コアアセンブリCAと同心の仮想円上に並ぶように設けられている。凹部105,106は、周方向において同一となる位置にそれぞれ設けられ、その間隔及び個数も同じである。
ところで、固定子コア62は、固定子ホルダ70に対する組み付けの強度を確保すべく、固定子ホルダ70に対する径方向の圧縮力を生じる状態で組み付けられている。具体的には、焼きばめ又は圧入により、固定子ホルダ70に対して所定の締め代で固定子コア62が嵌合固定されている。この場合、固定子コア62及び固定子ホルダ70は、そのうち一方による他方への径方向の応力が生じる状態で組み付けられていると言える。また、回転電機10を高トルク化する場合には、例えば固定子60を大径化することが考えられ、かかる場合には固定子ホルダ70に対する固定子コア62の結合を強固にすべく固定子コア62の締め付け力が増大される。しかしながら、固定子コア62の圧縮応力(換言すれば残留応力)を大きくすると、固定子コア62の破損が生じることが懸念される。
そこで本実施形態では、固定子コア62及び固定子ホルダ70が互いに所定の締め代で嵌合固定されている構成において、固定子コア62及び固定子ホルダ70における径方向の互いの対向部分に、周方向の係合により固定子コア62の周方向の変位を規制する規制部を設ける構成としている。つまり、図12~図14に示すように、径方向において固定子コア62と固定子ホルダ70の外筒部材71との間には、周方向に所定間隔で、規制部としての複数の係合部材111が設けられており、その係合部材111により、固定子コア62と固定子ホルダ70との周方向の位置ずれが抑制されている。なおこの場合、固定子コア62及び外筒部材71の少なくともいずれかに凹部を設け、その凹部において係合部材111を係合させる構成とするとよい。係合部材111に代えて、固定子コア62及び外筒部材71のいずれかに凸部を設ける構成としてもよい。
上記構成では、固定子コア62及び固定子ホルダ70(外筒部材71)は、所定の締め代で嵌合固定されることに加え、係合部材111の規制により相互の周方向変位が規制された状態で設けられている。したがって、仮に固定子コア62及び固定子ホルダ70における締め代が比較的小さくても、固定子コア62の周方向の変位を抑制できる。また、締め代が比較的小さくても所望の変位抑制効果が得られるため、締め代が過剰に大きいことに起因する固定子コア62の破損を抑制できる。その結果、固定子コア62の変位を適正に抑制することができる。
内筒部材81の内周側には、回転軸11を囲むようにして環状の内部空間が形成されており、その内部空間に、例えば電力変換器としてのインバータを構成する電気部品が配置される構成としてもよい。電気部品は、例えば半導体スイッチング素子やコンデンサをパッケージ化した電気モジュールである。内筒部材81の内周面に当接した状態で電気モジュールを配置することにより、冷媒通路85を流れる冷媒による電気モジュールの冷却が可能となっている。なお、内筒部材81の内周側において、複数の突出部83を無くし、又は突出部83の突出高さを小さくし、これにより内筒部材81の内周側の内部空間を拡張することも可能である。
次に、コアアセンブリCAに対して組み付けられる固定子巻線61の構成を詳しく説明する。コアアセンブリCAに対して固定子巻線61が組み付けられた状態は、図10,図11に示すとおりであり、コアアセンブリCAの径方向外側、すなわち固定子コア62の径方向外側に、固定子巻線61を構成する複数の部分巻線151が周方向に並ぶ状態で組み付けられている。
固定子巻線61は、複数の相巻線を有し、各相の相巻線が周方向に所定順序で配置されることで円筒状(環状)に形成されている。本実施形態では、U相、V相及びW相の相巻線を用いることで、固定子巻線61が3相の相巻線を有する構成となっている。
図11に示すように、固定子60は、軸方向において、回転子20における磁石ユニット22に径方向に対向するコイルサイドCSに相当する部分と、そのコイルサイドCSの軸方向外側であるコイルエンドCEに相当する部分とを有している。この場合、固定子コア62は、軸方向においてコイルサイドCSに相当する範囲で設けられている。
固定子巻線61において各相の相巻線は各々複数の部分巻線151を有しており(図16参照)、その部分巻線151は個別にコイルモジュール150として設けられている。つまり、コイルモジュール150は、各相の相巻線における部分巻線151が一体に設けられて構成されており、極数に応じた所定数のコイルモジュール150により固定子巻線61が構成されている。各相のコイルモジュール150(部分巻線151)が周方向に所定順序で並べて配置されることで、固定子巻線61のコイルサイドCSにおいて各相の導線部が所定順序に並べて配置されるものとなっている。図10には、コイルサイドCSにおけるU相、V相及びW相の導線部の並び順が示されている。本実施形態では、磁極数を24としているが、その数は任意である。
固定子巻線61では、相ごとに各コイルモジュール150の部分巻線151が並列又は直列に接続されることにより、各相の相巻線が構成されている。図16は、3相の各相巻線における部分巻線151の接続状態を示す回路図である。図16では、各相の相巻線における部分巻線151がそれぞれ並列に接続された状態が示されている。
図11に示すように、コイルモジュール150は固定子コア62の径方向外側に組み付けられている。この場合、コイルモジュール150は、その軸方向両端部分が固定子コア62よりも軸方向外側(すなわちコイルエンドCE側)に突出した状態で組み付けられている。つまり、固定子巻線61は、固定子コア62よりも軸方向外側に突出したコイルエンドCEに相当する部分と、それよりも軸方向内側のコイルサイドCSに相当する部分とを有している。
コイルモジュール150は、2種類の形状を有するものとなっており、その一方は、コイルエンドCEにおいて部分巻線151が径方向内側、すなわち固定子コア62側に折り曲げられた形状を有するものであり、他方は、コイルエンドCEにおいて部分巻線151が径方向内側に折り曲げられておらず、軸方向に直線状に延びる形状を有するものである。以下の説明では、便宜を図るべく、軸方向両端側に屈曲形状を有する部分巻線151を「第1部分巻線151A」、その第1部分巻線151Aを有するコイルモジュール150を「第1コイルモジュール150A」とも称する。また、軸方向両端側の屈曲形状を有していない部分巻線151を「第2部分巻線151B」、その第2部分巻線151Bを有するコイルモジュール150を「第2コイルモジュール150B」とも称する。
図17は、第1コイルモジュール150Aと第2コイルモジュール150Bとを横に並べて対比して示す側面図であり、図18は、第1部分巻線151Aと第2部分巻線151Bとを横に並べて対比して示す側面図である。これら各図に示すように、各コイルモジュール150A,150B、各部分巻線151A,151Bは、軸方向長さが互いに異なり、かつ軸方向両側の端部形状が互いに異なるものとなっている。第1部分巻線151Aは、側面視において略C字状をなし、第2部分巻線151Bは、側面視において略I字状をなしている。第1部分巻線151Aには、軸方向両側に「第1絶縁カバー」としての絶縁カバー161,162が装着され、第2部分巻線151Bには、軸方向両側に「第2絶縁カバー」としての絶縁カバー163,164が装着されている。
次に、コイルモジュール150A,150Bの構成を詳しく説明する。
ここではまず、コイルモジュール150A,150Bのうち第1コイルモジュール150Aについて説明する。図19(a)は、第1コイルモジュール150Aの構成を示す斜視図であり、図19(b)は、第1コイルモジュール150Aにおいて構成部品を分解して示す斜視図である。また、図20は、図19(a)における20-20線断面図である。
図19(a),(b)に示すように、第1コイルモジュール150Aは、導線材CRを多重巻にして構成された第1部分巻線151Aと、その第1部分巻線151Aにおいて軸方向一端側及び他端側に取り付けられた絶縁カバー161,162とを有している。絶縁カバー161,162は合成樹脂等の絶縁材料により成形されている。
第1部分巻線151Aは、互いに平行でかつ直線状に設けられる一対の中間導線部152と、一対の中間導線部152を軸方向両端でそれぞれ接続する一対の渡り部153Aとを有しており、これら一対の中間導線部152と一対の渡り部153Aとにより環状に形成されている。一対の中間導線部152は、所定のコイルピッチ分を離して設けられており、周方向において一対の中間導線部152の間に、他相の部分巻線151の中間導線部152が配置可能となっている。本実施形態では、一対の中間導線部152は2コイルピッチ分を離して設けられ、一対の中間導線部152の間に、他2相の部分巻線151における中間導線部152が1つずつ配置される構成となっている。
一対の渡り部153Aは、軸方向両側でそれぞれ同じ形状となっており、いずれもコイルエンドCE(図11参照)に相当する部分として設けられている。各渡り部153Aは、中間導線部152に対して直交する向き、すなわち軸方向に直交する方向に折り曲がるようにして設けられている。
図18に示すように、第1部分巻線151Aは、軸方向両側に渡り部153Aを有し、第2部分巻線151Bは、軸方向両側に渡り部153Bを有している。これら各部分巻線151A,151Bの渡り部153A,153Bはその形状が互いに異なっており、その区別を明確にすべく、第1部分巻線151Aの渡り部153Aを「第1渡り部153A」、第2部分巻線151Bの渡り部153Bを「第2渡り部153B」とも記載する。
各部分巻線151A,151Bにおいて、中間導線部152は、コイルサイドCSにおいて周方向に1つずつ並ぶコイルサイド導線部として設けられている。また、各渡り部153A,153Bは、コイルエンドCEにおいて、周方向に異なる2位置の同相の中間導線部152どうしを接続するコイルエンド導線部として設けられている。
図20に示すように、第1部分巻線151Aは、導線集合部分の横断面が四角形になるように導線材CRが多重に巻回されて形成されている。図20は、中間導線部152の横断面を示しており、その中間導線部152において周方向及び径方向に並ぶように導線材CRが多重に巻回されている。つまり、第1部分巻線151Aは、中間導線部152において導線材CRが周方向に複数列で並べられ、かつ径方向に複数列で並べられることで、横断面が略矩形状となるように形成されている。なお、第1渡り部153Aの先端部では、径方向への折れ曲がりにより、導線材CRが軸方向及び径方向に並ぶように多重に巻回される構成となっている。本実施形態では、導線材CRを同心巻により巻回することで第1部分巻線151Aが構成されている。ただし、導線材CRの巻き方は任意であり、同心巻に代えて、アルファ巻により導線材CRが多重に巻回されていてもよい。
第1部分巻線151Aでは、軸方向両側の第1渡り部153Aのうち、一方の第1渡り部153A(図19(b)の上側の第1渡り部153A)から導線材CRの端部が引き出されており、その端部が巻線端部154,155となっている。巻線端部154,155は、それぞれ導線材CRの巻き始め及び巻き終わりとなる部分である。巻線端部154,155のうち一方が電流入出力端子に接続され、他方が中性点に接続されるようになっている。
第1部分巻線151Aにおいて各中間導線部152には、シート状の絶縁被覆体157が被せられた状態で設けられている。なお、図19(a)には、第1コイルモジュール150Aが、中間導線部152に絶縁被覆体157が被せられ、かつ絶縁被覆体157の内側に中間導線部152が存在する状態で示されているが、便宜上、その該当部分を中間導線部152としている(後述する図22(a)も同様)。
絶縁被覆体157は、軸方向寸法として少なくとも中間導線部152における軸方向の絶縁被覆範囲の長さを有するフィルム材FMを用い、そのフィルム材FMを中間導線部152の周囲に巻装することで設けられている。フィルム材FMは、例えばPEN(ポリエチレンナフタレート)フィルムよりなる。より具体的には、フィルム材FMは、フィルム基材と、そのフィルム基材の両面のうち片面に設けられ、発泡性を有する接着層とを含む。そして、フィルム材FMは、接着層により接着させた状態で、中間導線部152に対して巻装されている。なお、接着層として非発泡性の接着剤を用いることも可能である。
図20に示すように、中間導線部152は、導線材CRが周方向及び径方向に並ぶことで横断面が略矩形状をなしており、中間導線部152の周囲には、フィルム材FMがその周方向の端部をオーバーラップさせた状態で被せられていることで、絶縁被覆体157が設けられている。フィルム材FMは、縦寸法が中間導線部152の軸方向長さよりも長く、かつ横寸法が中間導線部152の1周長さよりも長い矩形シートであり、中間導線部152の断面形状に合わせて折り目を付けた状態で中間導線部152に巻装されている。中間導線部152にフィルム材FMが巻装された状態では、中間導線部152の導線材CRとフィルム基材との間の隙間が接着層での発泡により埋められるようになっている。また、フィルム材FMのオーバーラップ部分OLでは、フィルム材FMの周方向の端部どうしが接着層により接合されている。
中間導線部152では、2つの周方向側面及び2つの径方向側面においてそれらの全てを覆うようにして絶縁被覆体157が設けられている。この場合、中間導線部152を囲う絶縁被覆体157には、他相の部分巻線151における中間導線部152との対向部分、すなわち中間導線部152の2つの周方向側面のうち一方に、フィルム材FMがオーバーラップするオーバーラップ部分OLが設けられている。本実施形態では、一対の中間導線部152において、周方向の同じ側にオーバーラップ部分OLがそれぞれ設けられている。
第1部分巻線151Aでは、中間導線部152から、軸方向両側の第1渡り部153Aにおいて絶縁カバー161,162により覆われた部分(すなわち絶縁カバー161,162の内側となる部分)までの範囲で、絶縁被覆体157が設けられている。図17で言えば、第1コイルモジュール150AにおいてAX1の範囲が絶縁カバー161,162により覆われていない部分であり、その範囲AX1よりも上下に拡張した範囲で絶縁被覆体157が設けられている。
次に、絶縁カバー161,162の構成を説明する。
絶縁カバー161は、第1部分巻線151Aの軸方向一方側の第1渡り部153Aに装着され、絶縁カバー162は、第1部分巻線151Aの軸方向他方側の第1渡り部153Aに装着される。このうち絶縁カバー161の構成を図21(a),(b)に示す。図21(a),(b)は、絶縁カバー161を異なる二方向から見た斜視図である。
図21(a),(b)に示すように、絶縁カバー161は、周方向の側面となる一対の側面部171と、軸方向外側の外面部172と、軸方向内側の内面部173と、径方向内側の前面部174とを有している。これら各部171~174は、それぞれ板状に形成されており、径方向外側のみが開放されるようにして立体状に互いに結合されている。一対の側面部171はそれぞれ、コアアセンブリCAへの組み付け状態においてコアアセンブリCAの軸心に向けて延びる向きで設けられている。そのため、複数の第1コイルモジュール150Aが周方向に並べて配置された状態では、隣り合う各第1コイルモジュール150Aにおいて絶縁カバー161の側面部171どうしが当接又は接近状態で互いに対向する。これにより、周方向に隣接する各第1コイルモジュール150Aにおいて相互の絶縁が図られつつ好適なる環状配置が可能となっている。
絶縁カバー161において、外面部172には、第1部分巻線151Aの巻線端部154を引き出すための開口部175aが設けられ、前面部174には、第1部分巻線151Aの巻線端部155を引き出すための開口部175bが設けられている。この場合、一方の巻線端部154は外面部172から軸方向に引き出されるのに対し、他方の巻線端部155は前面部174から径方向に引き出される構成となっている。
また、絶縁カバー161において、一対の側面部171には、前面部174の周方向両端となる位置、すなわち各側面部171と前面部174とが交差する位置に、軸方向に延びる半円状の凹部177が設けられている。さらに、外面部172には、周方向における絶縁カバー161の中心線を基準として周方向両側に対称となる位置に、軸方向に延びる一対の突起部178が設けられている。
絶縁カバー161の凹部177について説明を補足する。図20に示すように、第1部分巻線151Aの第1渡り部153Aは、径方向内外のうち径方向内側、すなわちコアアセンブリCAの側に凸となる湾曲状をなしている。かかる構成では、周方向に隣り合う第1渡り部153Aの間に、第1渡り部153Aの先端側ほど幅広となる隙間が形成される。そこで本実施形態では、周方向に並ぶ第1渡り部153Aの間の隙間を利用して、絶縁カバー161の側面部171において第1渡り部153Aの湾曲部の外側となる位置に凹部177を設ける構成としている。
なお、第1部分巻線151Aに温度検出部(サーミスタ)を設ける構成としてもよく、かかる構成では、絶縁カバー161に、温度検出部から延びる信号線を引き出すための開口部を設けるとよい。この場合、絶縁カバー161内に温度検出部を好適に収容できる。
図示による詳細な説明は割愛するが、軸方向他方の絶縁カバー162は、絶縁カバー161と概ね同様の構成を有している。絶縁カバー162は、絶縁カバー161と同様に、一対の側面部171と、軸方向外側の外面部172と、軸方向内側の内面部173と、径方向内側の前面部174とを有している。また、絶縁カバー162において、一対の側面部171には前面部174の周方向両端となる位置に半円状の凹部177が設けられるとともに、外面部172に一対の突起部178が設けられている。絶縁カバー161との相違点として、絶縁カバー162は、第1部分巻線151Aの巻線端部154,155を引き出すための開口部を有していない構成となっている。
絶縁カバー161,162では、軸方向の高さ寸法(すなわち一対の側面部171及び前面部174における軸方向の幅寸法)が相違している。具体的には、図17に示すように、絶縁カバー161の軸方向の高さ寸法W11と絶縁カバー162の軸方向の高さ寸法W12は、W11>W12となっている。つまり、導線材CRを多重に巻回する場合には、巻線巻回方向(周回方向)に直交する向きに導線材CRの巻き段を切り替える(レーンチェンジする)必要があり、その切り替えに起因して巻線幅が大きくなることが考えられる。補足すると、絶縁カバー161,162のうち絶縁カバー161は、導線材CRの巻き始め及び巻き終わりを含む側の第1渡り部153Aを覆う部分であり、導線材CRの巻き始め及び巻き終わりを含むことにより、他の部分よりも導線材CRの巻き代(重なり代)が多くなり、その結果として巻線幅が大きくなることが生じうる。この点を加味して、絶縁カバー161の軸方向の高さ寸法W11が、絶縁カバー162の軸方向の高さ寸法W12よりも大きくなっている。これにより、絶縁カバー161,162の高さ寸法W11,W12が互いに同じ寸法である場合とは異なり、絶縁カバー161,162により導線材CRの巻き数が制限されるといった不都合が抑制されるようになっている。
次に、第2コイルモジュール150Bについて説明する。
図22(a)は、第2コイルモジュール150Bの構成を示す斜視図であり、図22(b)は、第2コイルモジュール150Bにおいて構成部品を分解して示す斜視図である。また、図23は、図22(a)における23-23線断面図である。
図22(a),(b)に示すように、第2コイルモジュール150Bは、第1部分巻線151Aと同様に導線材CRを多重巻にして構成された第2部分巻線151Bと、その第2部分巻線151Bにおいて軸方向一端側及び他端側に取り付けられた絶縁カバー163,164とを有している。絶縁カバー163,164は合成樹脂等の絶縁材料により成形されている。
第2部分巻線151Bは、互いに平行でかつ直線状に設けられる一対の中間導線部152と、一対の中間導線部152を軸方向両端でそれぞれ接続する一対の第2渡り部153Bとを有しており、これら一対の中間導線部152と一対の第2渡り部153Bとにより環状に形成されている。第2部分巻線151Bにおいて一対の中間導線部152は、第1部分巻線151Aの中間導線部152と構成が同じである。これに対して、一対の第2渡り部153Bは、第1部分巻線151Aの第1渡り部153Aとは構成が異なっている。第2部分巻線151Bの第2渡り部153Bは、径方向に折り曲げられることなく、中間導線部152から直線状に軸方向に延びるようにして設けられている。図18には、部分巻線151A,151Bの違いが対比して明示されている。
第2部分巻線151Bでは、軸方向両側の第2渡り部153Bのうち、一方の第2渡り部153B(図22(b)の上側の第2渡り部153B)から導線材CRの端部が引き出されており、その端部が巻線端部154,155となっている。そして、第2部分巻線151Bでも、第1部分巻線151Aと同様に、巻線端部154,155のうち一方が電流入出力端子に接続され、他方が中性点に接続されるようになっている。
第2部分巻線151Bでは、第1部分巻線151Aと同様に、各中間導線部152に、シート状の絶縁被覆体157が被せられた状態で設けられている。絶縁被覆体157は、軸方向寸法として少なくとも中間導線部152における軸方向の絶縁被覆範囲の長さを有するフィルム材FMを用い、そのフィルム材FMを中間導線部152の周囲に巻装することで設けられている。
絶縁被覆体157に関する構成も、各部分巻線151A,151Bで概ね同様である。つまり、図23に示すように、中間導線部152の周囲には、フィルム材FMがその周方向の端部をオーバーラップさせた状態で被せられている。中間導線部152では、2つの周方向側面及び2つの径方向側面においてそれらの全てを覆うようにして絶縁被覆体157が設けられている。この場合、中間導線部152を囲う絶縁被覆体157には、他相の部分巻線151における中間導線部152との対向部分、すなわち中間導線部152の2つの周方向側面のうち一方に、フィルム材FMがオーバーラップするオーバーラップ部分OLが設けられている。本実施形態では、一対の中間導線部152において、周方向の同じ側にオーバーラップ部分OLがそれぞれ設けられている。
第2部分巻線151Bでは、中間導線部152から、軸方向両側の第2渡り部153Bにおいて絶縁カバー163,164により覆われた部分(すなわち絶縁カバー163,164の内側となる部分)までの範囲で、絶縁被覆体157が設けられている。図17で言えば、第2コイルモジュール150BにおいてAX2の範囲が絶縁カバー163,164により覆われていない部分であり、その範囲AX2よりも上下に拡張した範囲で絶縁被覆体157が設けられている。
各部分巻線151A,151Bでは、いずれにおいても絶縁被覆体157が渡り部153A,153Bの一部を含む範囲で設けられている。すなわち、各部分巻線151A,151Bには、中間導線部152と、渡り部153A,153Bのうち中間導線部152に引き続き直線状に延びる部分とに、絶縁被覆体157が設けられている。ただし、各部分巻線151A,151Bではその軸方向長さが相違していることから、絶縁被覆体157の軸方向範囲も異なるものとなっている。
次に、絶縁カバー163,164の構成を説明する。
絶縁カバー163は、第2部分巻線151Bの軸方向一方側の第2渡り部153Bに装着され、絶縁カバー164は、第2部分巻線151Bの軸方向他方側の第2渡り部153Bに装着される。このうち絶縁カバー163の構成を図24(a),(b)に示す。図24(a),(b)は、絶縁カバー163を異なる二方向から見た斜視図である。
図24(a),(b)に示すように、絶縁カバー163は、周方向の側面となる一対の側面部181と、軸方向外側の外面部182と、径方向内側の前面部183と、径方向外側の後面部184とを有している。これら各部181~184は、それぞれ板状に形成されており、軸方向内側のみが開放されるようにして立体状に互いに結合されている。一対の側面部181はそれぞれ、コアアセンブリCAへの組み付け状態においてコアアセンブリCAの軸心に向けて延びる向きで設けられている。そのため、複数の第2コイルモジュール150Bが周方向に並べて配置された状態では、隣り合う各第2コイルモジュール150Bにおいて絶縁カバー163の側面部181どうしが当接又は接近状態で互いに対向する。これにより、周方向に隣接する各第2コイルモジュール150Bにおいて相互の絶縁が図られつつ好適なる環状配置が可能となっている。
絶縁カバー163において、前面部183には、第2部分巻線151Bの巻線端部154を引き出すための開口部185aが設けられ、外面部182には、第2部分巻線151Bの巻線端部155を引き出すための開口部185bが設けられている。
絶縁カバー163の前面部183には、径方向内側に突出する突出部186が設けられている。突出部186は、絶縁カバー163の周方向一端から他端までの間の中央となる位置に、第2渡り部153Bよりも径方向内側に突出するように設けられている。突出部186は、平面視において径方向内側ほど先細りになるテーパ形状をなしており、その先端部に、軸方向に延びる貫通孔187が設けられている。なお、突出部186は、第2渡り部153Bよりも径方向内側に突出し、かつ絶縁カバー163の周方向一端から他端までの間の中央となる位置に貫通孔187を有するものであれば、その構成は任意である。ただし、軸方向内側の絶縁カバー161との重なり状態を想定すると、巻線端部154,155との干渉を回避すべく周方向に幅狭に形成されていることが望ましい。
突出部186は、径方向内側の先端部において軸方向の厚さが段差状に薄くなっており、その薄くなっている低段部186aに貫通孔187が設けられている。この低段部186aは、コアアセンブリCAに対する第2コイルモジュール150Bの組み付け状態において、内筒部材81の軸方向端面からの高さが、第2渡り部153Bの高さよりも低くなる部位に相当する。
また、図23に示すように、突出部186には、軸方向に貫通する貫通孔188が設けられている。これにより、絶縁カバー161,163が軸方向に重なる状態において、貫通孔188を通じて、絶縁カバー161,163の間への接着剤の充填が可能となっている。
図示による詳細な説明は割愛するが、軸方向他方の絶縁カバー164は、絶縁カバー163と概ね同様の構成を有している。絶縁カバー164は、絶縁カバー163と同様に、一対の側面部181と、軸方向外側の外面部182と、径方向内側の前面部183と、径方向外側の後面部184とを有するとともに、突出部186の先端部に設けられた貫通孔187を有している。また、絶縁カバー163との相違点として、絶縁カバー164は、第2部分巻線151Bの巻線端部154,155を引き出すための開口部を有していない構成となっている。
絶縁カバー163,164では、一対の側面部181の径方向の幅寸法が相違している。具体的には、図17に示すように、絶縁カバー163における側面部181の径方向の幅寸法W21と絶縁カバー164における側面部181の径方向の幅寸法W22は、W21>W22となっている。つまり、絶縁カバー163,164のうち絶縁カバー163は、導線材CRの巻き始め及び巻き終わりを含む側の第2渡り部153Bを覆う部分であり、導線材CRの巻き始め及び巻き終わりを含むことにより、他の部分よりも導線材CRの巻き代(重なり代)が多くなり、その結果として巻線幅が大きくなることが生じうる。この点を加味して、絶縁カバー163の径方向の幅寸法W21が、絶縁カバー164の径方向の幅寸法W22よりも大きくなっている。これにより、絶縁カバー163,164の幅寸法W21,W22が互いに同じ寸法である場合とは異なり、絶縁カバー163,164により導線材CRの巻き数が制限されるといった不都合が抑制されるようになっている。
図25は、各コイルモジュール150A,150Bを周方向に並べた状態でのフィルム材FMのオーバーラップ位置を示す図である。上述したとおり各コイルモジュール150A,150Bでは、中間導線部152の周囲に、他相の部分巻線151における中間導線部152との対向部分、すなわち中間導線部152の周方向側面でオーバーラップするようにしてフィルム材FMが被せられている(図20,図23参照)。そして、各コイルモジュール150A,150Bを周方向に並べた状態では、フィルム材FMのオーバーラップ部分OLが、周方向両側のうちいずれも同じ側(図の周方向右側)に配置されるものとなっている。これにより、周方向に隣り合う異相の部分巻線151A,151Bにおける各中間導線部152において、フィルム材FMのオーバーラップ部分OLどうしが周方向に重ならない構成となっている。この場合、周方向に並ぶ各中間導線部152の間には、いずれも最多で3枚のフィルム材FMが重なる構成となっている。
次に、コアアセンブリCAに対する各コイルモジュール150A,150Bの組み付けに関する構成を説明する。
各コイルモジュール150A,150Bは、軸方向長さが互いに異なり、かつ部分巻線151A,151Bの渡り部153A,153Bの形状が互いに異なっており、第1コイルモジュール150Aの第1渡り部153Aを軸方向内側、第2コイルモジュール150Bの第2渡り部153Bを軸方向外側にした状態で、コアアセンブリCAに取り付けられる構成となっている。絶縁カバー161~164について言えば、各コイルモジュール150A,150Bの軸方向一端側において絶縁カバー161,163が軸方向に重ねられ、かつ軸方向他端側において絶縁カバー162,164が軸方向に重ねられた状態で、それら各絶縁カバー161~164がコアアセンブリCAに対して固定されるようになっている。
図26は、コアアセンブリCAに対する第1コイルモジュール150Aの組み付け状態において複数の絶縁カバー161が周方向に並ぶ状態を示す平面図であり、図27は、コアアセンブリCAに対する第1コイルモジュール150A及び第2コイルモジュール150Bの組み付け状態において複数の絶縁カバー161,163が周方向に並ぶ状態を示す平面図である。また、図28(a)は、コアアセンブリCAに対する各コイルモジュール150A,150Bの組み付け状態において固定ピン191による固定前の状態を示す縦断面図であり、図28(b)は、コアアセンブリCAに対する各コイルモジュール150A,150Bの組み付け状態において固定ピン191による固定後の状態を示す縦断面図である。
図26に示すように、コアアセンブリCAに対して複数の第1コイルモジュール150Aを組み付けた状態では、複数の絶縁カバー161が、側面部171どうしを当接又は接近状態としてそれぞれ配置される。各絶縁カバー161は、側面部171どうしが対向する境界線LBと、内筒部材81の軸方向端面の凹部105とが一致するようにして配置される。この場合、周方向に隣り合う絶縁カバー161の側面部171どうしが当接又は接近状態となることで、それら絶縁カバー161の各凹部177により、軸方向に延びる貫通孔部が形成され、その貫通孔部と凹部105の位置が一致する状態とされる。
また、図27に示すように、コアアセンブリCA及び第1コイルモジュール150Aの一体物に対して、さらに第2コイルモジュール150Bが組み付けられる。この組み付けに伴い、複数の絶縁カバー163が、側面部181どうしを当接又は接近状態としてそれぞれ配置される。この状態では、各渡り部153A,153Bは、周方向に中間導線部152が並ぶ円上で互いに交差するように配置されることとなる。各絶縁カバー163は、突出部186が絶縁カバー161に軸方向に重なり、かつ突出部186の貫通孔187が、絶縁カバー161の各凹部177により形成された貫通孔部に軸方向に連なるようにして配置される。
このとき、絶縁カバー163の突出部186が、絶縁カバー161に設けられた一対の突起部178により所定位置に案内されることで、絶縁カバー161側の貫通孔部と内筒部材81の凹部105とに対して絶縁カバー163側の貫通孔187の位置が合致するようになっている。つまり、コアアセンブリCAに対して各コイルモジュール150A,150Bを組み付けた状態では、絶縁カバー163の奥側に絶縁カバー161の凹部177が位置するために、絶縁カバー161の凹部177に対して突出部186の貫通孔187の位置合わせを行うことが困難になるおそれがある。この点、絶縁カバー161の一対の突起部178により絶縁カバー163の突出部186が案内されることで、絶縁カバー161に対する絶縁カバー163の位置合わせが容易となる。
そして、図28(a),(b)に示すように、絶縁カバー161と絶縁カバー163の突出部186との重なり部分においてこれらに係合する状態で、固定部材としての固定ピン191による固定が行われる。より具体的には、内筒部材81の凹部105と、絶縁カバー161の凹部177と、絶縁カバー163の貫通孔187とを位置合わせした状態で、それら凹部105,177及び貫通孔187に固定ピン191が差し入れられる。これにより、内筒部材81に対して絶縁カバー161,163が一体で固定される。本構成によれば、周方向に隣り合う各コイルモジュール150A,150Bが、コイルエンドCEでコアアセンブリCAに対して共通の固定ピン191により固定されるようになっている。固定ピン191は、熱伝導性の良い材料で構成されていることが望ましく、例えば金属ピンである。
図28(b)に示すように、固定ピン191は、絶縁カバー163の突出部186のうち低段部186aに組み付けられている。この状態では、固定ピン191の上端部は、低段部186aの上方に突き出ているが、絶縁カバー163の上面(外面部182)よりも上方に突き出ないものとなっている。この場合、固定ピン191は、絶縁カバー161と絶縁カバー163の突出部186(低段部186a)との重なり部分の軸方向高さ寸法よりも長く、上方に突き出る余裕代を有しているため、固定ピン191を凹部105,177及び貫通孔187に差し入れる際(すなわち固定ピン191の固定作業時)にその作業を行いやすくなることが考えられる。また、固定ピン191の上端部が絶縁カバー163の上面(外面部182)よりも上方に突き出ないため、固定ピン191の突き出しに起因して固定子60の軸長が長くなるといった不都合を抑制できるものとなっている。
固定ピン191による絶縁カバー161,163の固定後には、絶縁カバー163に設けた貫通孔188を通じて、接着剤の充填が行われる。これにより、軸方向に重なる絶縁カバー161,163が互いに強固に結合されるようになっている。なお、図28(a),(b)では、便宜上、絶縁カバー163の上面から下面までの範囲で貫通孔188を示すが、実際には肉抜き等により形成された薄板部に貫通孔188が設けられた構成となっている。
図28(b)に示すように、固定ピン191による各絶縁カバー161,163の固定位置は、固定子コア62よりも径方向内側(図の左側)の固定子ホルダ70の軸方向端面となっており、その固定子ホルダ70に対して固定ピン191による固定が行われる構成となっている。つまり、第1渡り部153Aが固定子ホルダ70の軸方向端面に対して固定される構成となっている。この場合、固定子ホルダ70には冷媒通路85が設けられているため、第1部分巻線151Aで生じた熱は、第1渡り部153Aから、固定子ホルダ70の冷媒通路85付近に直接的に伝わる。また、固定ピン191は、固定子ホルダ70の凹部105に差し入れられており、その固定ピン191を通じて固定子ホルダ70側への熱の伝達が促されるようになっている。かかる構成により、固定子巻線61の冷却性能の向上が図られている。
本実施形態では、コイルエンドCEにおいて18個ずつの絶縁カバー161,163が軸方向内外に重ねて配置される一方、固定子ホルダ70の軸方向端面には、各絶縁カバー161,163と同数の18箇所に凹部105が設けられている。そして、その18箇所の凹部105で固定ピン191による固定が行われる構成となっている。
不図示としているが、軸方向逆側の絶縁カバー162,164についても同様である。すなわち、まず第1コイルモジュール150Aの組み付けに際し、周方向に隣り合う絶縁カバー162の側面部171どうしが当接又は接近状態となることで、それら絶縁カバー162の各凹部177により、軸方向に延びる貫通孔部が形成され、その貫通孔部と、外筒部材71の軸方向端面の凹部106の位置が一致する状態とされる。そして、第2コイルモジュール150Bの組み付けにより、絶縁カバー163側の貫通孔部と外筒部材71の凹部106とに対して絶縁カバー164側の貫通孔187の位置が合致し、それら凹部106,177、貫通孔187に固定ピン191が差し入れられることで、外筒部材71に対して絶縁カバー162,164が一体で固定される。
コアアセンブリCAに対する各コイルモジュール150A,150Bの組み付け時には、コアアセンブリCAに対して、その外周側に全ての第1コイルモジュール150Aを先付けし、その後に、全ての第2コイルモジュール150Bの組み付けと、固定ピン191による固定とを行うとよい。又は、コアアセンブリCAに対して、先に、2つの第1コイルモジュール150Aと1つの第2コイルモジュール150Bとを1本の固定ピン191で固定し、その後に、第1コイルモジュール150Aの組み付けと、第2コイルモジュール150Bの組み付けと、固定ピン191による固定とをこの順序で繰り返し行うようにしてもよい。
次に、バスバーモジュール200について説明する。
バスバーモジュール200は、固定子巻線61において各コイルモジュール150の部分巻線151に電気的に接続され、各相の部分巻線151の一端を相ごとに並列接続するとともに、それら各部分巻線151の他端を中性点で接続する巻線接続部材である。図29は、バスバーモジュール200の斜視図であり、図30は、バスバーモジュール200の縦断面の一部を示す断面図である。
バスバーモジュール200は、円環状をなす環状部201と、その環状部201から延びる複数の接続端子202と、相巻線ごとに設けられる3つの入出力端子203とを有している。環状部201は、例えば樹脂等の絶縁部材により円環状に形成されている。
図30に示すように、環状部201は、略円環板状をなし軸方向に多層(本実施形態では5層)に積層された積層板204を有しており、これら各積層板204の間に挟まれた状態で4つのバスバー211~214が設けられている。各バスバー211~214は、いずれも円環状をなしており、U相用のバスバー211と、V相用のバスバー212と、W相用のバスバー213と、中性点用のバスバー214とからなる。これら各バスバー211~214は、環状部201内において、板面を対向させるようにして軸方向に並べて配置されるものとなっている。各積層板204と各バスバー211~214とは、接着剤により互いに接合されている。接着剤として接着シートを用いることが望ましい。ただし液状又は半液状の接着剤を塗布する構成であってもよい。そして、各バスバー211~214には、それぞれ環状部201から径方向外側に突出させるようにして接続端子202が接続されている。
環状部201の上面、すなわち5層に設けられた積層板204の最も表層側の積層板204の上面には、環状に延びる突起部201aが設けられている。
なお、バスバーモジュール200は、各バスバー211~214が環状部201内に埋設された状態で設けられるものであればよく、所定間隔で配置された各バスバー211~214が一体的にインサート成形されるものであってもよい。また、各バスバー211~214の配置は、全てが軸方向に並びかつ全ての板面が同方向を向く構成に限られず、径方向に並ぶ構成や、軸方向に2列でかつ径方向に2列に並ぶ構成、板面の延びる方向が異なるものを含む構成などであってもよい。
図29において、各接続端子202は、環状部201の周方向に並び、かつ径方向外側において軸方向に延びるように設けられている。接続端子202は、U相用のバスバー211に接続された接続端子と、V相用のバスバー212に接続された接続端子と、W相用のバスバー213に接続された接続端子と、中性点用のバスバー214に接続された接続端子とを含む。接続端子202は、コイルモジュール150における各部分巻線151の巻線端部154,155と同数で設けられており、これら各接続端子202には、各部分巻線151の巻線端部154,155が1つずつ接続される。これにより、バスバーモジュール200が、U相の部分巻線151、V相の部分巻線151、W相の部分巻線151に対してそれぞれ接続されるようになっている。
入出力端子203は、例えばバスバー材よりなり、軸方向に延びる向きで設けられている。入出力端子203は、U相用の入出力端子203Uと、V相用の入出力端子203Vと、W相用の入出力端子203Wとを含む。これらの入出力端子203は、環状部201内において相ごとに各バスバー211~213にそれぞれ接続されている。これらの各入出力端子203を通じて、固定子巻線61の各相の相巻線に対して、不図示のインバータから電力の入出力が行われるようになっている。
なお、バスバーモジュール200に、各相の相電流を検出する電流センサを一体に設ける構成であってもよい。この場合、バスバーモジュール200に電流検出端子を設け、その電流検出端子を通じて、電流センサの検出結果を不図示の制御装置に対して出力するようになっているとよい。
また、環状部201は、固定子ホルダ70に対する被固定部として、内周側に突出する複数の突出部205を有しており、その突出部205には軸方向に延びる貫通孔206が形成されている。
図31は、固定子ホルダ70にバスバーモジュール200を組み付けた状態を示す斜視図であり、図32は、バスバーモジュール200を固定する固定部分における縦断面図である。なお、バスバーモジュール200を組み付ける前の固定子ホルダ70の構成は、図12を参照されたい。
図31において、バスバーモジュール200は、内筒部材81のボス部92を囲むようにして端板部91上に設けられている。バスバーモジュール200は、内筒部材81の支柱部95(図12参照)に対する組み付けにより位置決めがなされた状態で、ボルト等の締結具217の締結により固定子ホルダ70(内筒部材81)に固定されている。
より詳しくは、図32に示すように、内筒部材81の端板部91には軸方向に延びる支柱部95が設けられている。そして、バスバーモジュール200は、複数の突出部205に設けられた貫通孔206に支柱部95を挿通させた状態で、支柱部95に対して締結具217により固定されている。本実施形態では、鉄等の金属材料よりなるリテーナプレート220を用いてバスバーモジュール200を固定することとしている。リテーナプレート220は、締結具217を挿通させる挿通孔221を有する被締結部222と、バスバーモジュール200の環状部201の上面を押圧する押圧部223と、被締結部222と押圧部223との間に設けられるベンド部224とを有している。
リテーナプレート220の装着状態では、リテーナプレート220の挿通孔221に締結具217が挿通された状態で、締結具217が内筒部材81の支柱部95に対して螺着されている。また、リテーナプレート220の押圧部223がバスバーモジュール200の環状部201の上面に当接した状態となっている。この場合、締結具217が支柱部95にねじ入れられることに伴いリテーナプレート220が図の下方に押し込まれ、それに応じて押圧部223により環状部201が下方に押圧されている。締結具217の螺着に伴い生じる図の下方への押圧力は、ベンド部224を通じて押圧部223に伝わるため、ベンド部224での弾性力を伴う状態で、押圧部223での押圧が行われている。
上述したとおり環状部201の上面には環状の突起部201aが設けられており、リテーナプレート220の押圧部223側の先端は突起部201aに当接可能となっている。これにより、リテーナプレート220の図の下方への押圧力が径方向外側に逃げてしまうことが抑制される。つまり、締結具217の螺着に伴い生じる押圧力が押圧部223の側に適正に伝わる構成となっている。
なお、図31に示すように、固定子ホルダ70に対するバスバーモジュール200の組み付け状態において、入出力端子203は、冷媒通路85に通じる入口開口86a及び出口開口87aに対して周方向に180度反対側となる位置に設けられている。ただし、これら入出力端子203と各開口86a,87aとが同位置(すなわち近接位置)にまとめて設けられていてもよい。
次に、バスバーモジュール200の入出力端子203を回転電機10の外部の外部装置に対して電気的に接続する中継部材230について説明する。
図1に示すように、回転電機10では、バスバーモジュール200の入出力端子203がハウジングカバー242から外側に突出するように設けられており、そのハウジングカバー242の外側で中継部材230に接続されている。中継部材230は、バスバーモジュール200から延びる相ごとの入出力端子203と、インバータ等の外部装置から延びる相ごとの電力線との接続を中継する部材である。
図33は、ハウジングカバー242に中継部材230を取り付けた状態を示す縦断面図であり、図34は、中継部材230の斜視図である。図33に示すように、ハウジングカバー242には貫通孔242aが形成されており、その貫通孔242aを通じて入出力端子203の引き出しが可能になっている。
中継部材230は、ハウジングカバー242に固定される本体部231と、ハウジングカバー242の貫通孔242aに挿し入れられる端子挿通部232とを有している。端子挿通部232は、各相の入出力端子203を1つずつ挿通させる3つの挿通孔233を有している。それら3つの挿通孔233は、断面開口が長尺状をなしており、長手方向がいずれも略同じとなる向きで並べて形成されている。
本体部231には、相ごとに設けられた3つの中継バスバー234が取り付けられている。中継バスバー234は、略L字状に屈曲形成されており、本体部231にボルト等の締結具235により固定されるとともに、端子挿通部232の挿通孔233に挿通された状態の入出力端子203の先端部にボルト及びナット等の締結具236により固定されている。
なお、図示は略しているが、中継部材230には外部装置から延びる相ごとの電力線が接続可能となっており、相ごとに入出力端子203に対する電力の入出力が可能となっている。
次に、回転電機10を制御する制御システムの構成について説明する。図35は、回転電機10の制御システムの電気回路図であり、図36は、制御装置270による制御処理を示す機能ブロック図である。
図35に示すように、固定子巻線61はU相巻線、V相巻線及びW相巻線よりなり、その固定子巻線61に、電力変換器に相当するインバータ260が接続されている。インバータ260は、相数と同じ数の上下アームを有するフルブリッジ回路により構成されており、相ごとに上アームスイッチ261及び下アームスイッチ262からなる直列接続体が設けられている。これら各スイッチ261,262はドライバ263によりそれぞれオンオフされ、そのオンオフにより各相の相巻線が通電される。各スイッチ261,262は、例えばMOSFETやIGBT等の半導体スイッチング素子により構成されている。また、各相の上下アームには、スイッチ261,262の直列接続体に並列に、スイッチング時に要する電荷を各スイッチ261,262に供給する電荷供給用のコンデンサ264が接続されている。
上下アームの各スイッチ261,262の間の中間接続点に、それぞれU相巻線、V相巻線、W相巻線の一端が接続されている。これら各相巻線は星形結線(Y結線)されており、各相巻線の他端は中性点にて互いに接続されている。
制御装置270は、CPUや各種メモリからなるマイコンを備えており、回転電機10における各種の検出情報や、力行駆動及び発電の要求に基づいて、各スイッチ261,262のオンオフにより通電制御を実施する。回転電機10の検出情報には、例えば、レゾルバ等の角度検出器により検出される回転子20の回転角度(電気角情報)や、電圧センサにより検出される電源電圧(インバータ入力電圧)、電流センサにより検出される各相の通電電流が含まれる。制御装置270は、例えば所定のスイッチング周波数(キャリア周波数)でのPWM制御や、矩形波制御により各スイッチ261,262のオンオフ制御を実施する。制御装置270は、回転電機10に内蔵された内蔵制御装置であってもよいし、回転電機10の外部に設けられた外部制御装置であってもよい。
ちなみに、本実施形態の回転電機10は、スロットレス構造(ティースレス構造)を有していることから、固定子60のインダクタンスが低減されて電気的時定数が小さくなっており、その電気的時定数が小さい状況下では、スイッチング周波数(キャリア周波数)を高くし、かつスイッチング速度を速くすることが望ましい。この点において、各相のスイッチ261,262の直列接続体に並列に電荷供給用のコンデンサ264が接続されていることで配線インダクタンスが低くなり、スイッチング速度を速くした構成であっても適正なサージ対策が可能となる。
インバータ260の高電位側端子は直流電源265の正極端子に接続され、低電位側端子は直流電源265の負極端子(グランド)に接続されている。直流電源265は、例えば複数の単電池が直列接続された組電池により構成されている。また、インバータ260の高電位側端子及び低電位側端子には、直流電源265に並列に平滑用のコンデンサ266が接続されている。
図36は、U,V,W相の各相電流を制御する電流フィードバック制御処理を示すブロック図である。
図36において、電流指令値設定部271は、トルク-dqマップを用い、回転電機10に対する力行トルク指令値又は発電トルク指令値や、電気角θを時間微分して得られる電気角速度ωに基づいて、d軸の電流指令値とq軸の電流指令値とを設定する。なお、発電トルク指令値は、例えば回転電機10が車両用動力源として用いられる場合、回生トルク指令値である。
dq変換部272は、相ごとに設けられた電流センサによる電流検出値(3つの相電流)を、界磁方向(direction of an axis of a magnetic field,or field direction)をd軸とする直交2次元回転座標系の成分であるd軸電流とq軸電流とに変換する。
d軸電流フィードバック制御部273は、d軸電流をd軸の電流指令値にフィードバック制御するための操作量としてd軸の指令電圧を算出する。また、q軸電流フィードバック制御部274は、q軸電流をq軸の電流指令値にフィードバック制御するための操作量としてq軸の指令電圧を算出する。これら各フィードバック制御部273,274では、d軸電流及びq軸電流の電流指令値に対する偏差に基づき、PIフィードバック手法を用いて指令電圧が算出される。
3相変換部275は、d軸及びq軸の指令電圧を、U相、V相及びW相の指令電圧に変換する。なお、上記の各部271~275が、dq変換理論による基本波電流のフィードバック制御を実施するフィードバック制御部であり、U相、V相及びW相の指令電圧がフィードバック制御値である。
操作信号生成部276は、周知の三角波キャリア比較方式を用い、3相の指令電圧に基づいて、インバータ260の操作信号を生成する。具体的には、操作信号生成部276は、3相の指令電圧を電源電圧で規格化した信号と、三角波信号等のキャリア信号との大小比較に基づくPWM制御により、各相における上下アームのスイッチ操作信号(デューティ信号)を生成する。操作信号生成部276にて生成されたスイッチ操作信号がインバータ260のドライバ263に出力され、ドライバ263により各相のスイッチ261,262がオンオフされる。
続いて、トルクフィードバック制御処理について説明する。この処理は、例えば高回転領域及び高出力領域等、インバータ260の出力電圧が大きくなる運転条件において、主に回転電機10の高出力化や損失低減の目的で用いられる。制御装置270は、回転電機10の運転条件に基づいて、トルクフィードバック制御処理及び電流フィードバック制御処理のいずれか一方の処理を選択して実行する。
図37は、U,V,W相に対応するトルクフィードバック制御処理を示すブロック図である。
電圧振幅算出部281は、回転電機10に対する力行トルク指令値又は発電トルク指令値と、電気角θを時間微分して得られる電気角速度ωとに基づいて、電圧ベクトルの大きさの指令値である電圧振幅指令を算出する。
dq変換部282は、dq変換部272と同様に、相ごとに設けられた電流センサによる電流検出値をd軸電流とq軸電流とに変換する。トルク推定部283は、d軸電流とq軸電流とに基づいて、U,V,W相に対応するトルク推定値を算出する。なお、トルク推定部283は、d軸電流、q軸電流及び電圧振幅指令が関係付けられたマップ情報に基づいて、電圧振幅指令を算出すればよい。
トルクフィードバック制御部284は、力行トルク指令値又は発電トルク指令値にトルク推定値をフィードバック制御するための操作量として、電圧ベクトルの位相の指令値である電圧位相指令を算出する。トルクフィードバック制御部284では、力行トルク指令値又は発電トルク指令値に対するトルク推定値の偏差に基づき、PIフィードバック手法を用いて電圧位相指令が算出される。
操作信号生成部285は、電圧振幅指令、電圧位相指令及び電気角θに基づいて、インバータ260の操作信号を生成する。具体的には、操作信号生成部285は、電圧振幅指令、電圧位相指令及び電気角θに基づいて3相の指令電圧を算出し、算出した3相の指令電圧を電源電圧で規格化した信号と、三角波信号等のキャリア信号との大小比較に基づくPWM制御により、各相における上下アームのスイッチ操作信号を生成する。操作信号生成部285にて生成されたスイッチ操作信号がインバータ260のドライバ263に出力され、ドライバ263により各相のスイッチ261,262がオンオフされる。
ちなみに、操作信号生成部285は、電圧振幅指令、電圧位相指令、電気角θ及びスイッチ操作信号が関係付けられたマップ情報であるパルスパターン情報、電圧振幅指令、電圧位相指令並びに電気角θに基づいて、スイッチ操作信号を生成してもよい。
(変形例)
以下に、上記第1実施形態に関する変形例を説明する。
・磁石ユニット22における磁石32の構成を以下のように変更してもよい。図38に示す磁石ユニット22では、磁石32において磁化容易軸の向きが径方向に対して斜めであり、その磁化容易軸の向きに沿って直線状の磁石磁路が形成されている。つまり、磁石32は、固定子60側(径方向内側)の磁束作用面34aと反固定子側(径方向外側)の磁束作用面34bとの間において磁化容易軸の向きがd軸に対して斜めであり、周方向において固定子60側でd軸に近づき、かつ反固定子側でd軸から離れる向きとなるように直線的な配向がなされて構成されている。本構成においても、磁石32の磁石磁路長を径方向の厚さ寸法よりも長くすることができ、パーミアンスの向上を図ることが可能となっている。
・磁石ユニット22においてハルバッハ配列の磁石を用いることも可能である。
・各部分巻線151において、渡り部153の折り曲げの方向は径方向内外のうちいずれであってもよく、コアアセンブリCAとの関係として、第1渡り部153AがコアアセンブリCAの側に折り曲げられていても、又は第1渡り部153AがコアアセンブリCAの逆側に折り曲げられていてもよい。また、第2渡り部153Bは、第1渡り部153Aの軸方向外側でその第1渡り部153Aの一部を周方向に跨ぐ状態になっているものであれば、径方向内外のいずれかに折り曲げられていてもよい。
・部分巻線151として2種類の部分巻線151(第1部分巻線151A、第2部分巻線151B)を有するものとせず、1種類の部分巻線151を有するものとしてもよい。具体的には、部分巻線151を、側面視において略L字状又は略Z字状をなすように形成するとよい。部分巻線151を側面視で略L字状に形成する場合、軸方向一端側では、渡り部153が径方向内外のいずれかに折り曲げられ、軸方向他端側では、渡り部153が径方向に折り曲げられることなく設けられている構成とする。また、部分巻線151を側面視で略Z字状に形成する場合、軸方向一端側及び軸方向他端側において、渡り部153が径方向に互いに逆向きに折り曲げられている構成とする。いずれの場合であっても、上述のように渡り部153を覆う絶縁カバーによりコイルモジュール150がコアアセンブリCAに対して固定される構成であるとよい。
・上述した構成では、固定子巻線61において、相巻線ごとに全ての部分巻線151が並列接続される構成を説明したが、これを変更してもよい。例えば、相巻線ごとの全ての部分巻線151を複数の並列接続群に分け、その複数の並列接続群を直列接続する構成でもよい。つまり、各相巻線における全n個の部分巻線151を、n/2個ずつの2組の並列接続群や、n/3個ずつの3組の並列接続群などに分け、それらを直列接続する構成としてもよい。又は、固定子巻線61において相巻線ごとに複数の部分巻線151が全て直列接続される構成としてもよい。
・回転電機10における固定子巻線61は2相の相巻線(U相巻線及びV相巻線)を有する構成であってもよい。この場合、例えば部分巻線151では、一対の中間導線部152が1コイルピッチ分を離して設けられ、一対の中間導線部152の間に、他1相の部分巻線151における中間導線部152が1つ配置される構成となっていればよい。
・回転電機10を、アウタロータ式の表面磁石型回転電機に代えて、インナロータ式の表面磁石型回転電機として具体化することも可能である。図39(a),(b)は、インナロータ構造とした場合の固定子ユニット300の構成を示す図である。このうち図39(a)はコイルモジュール310A,310BをコアアセンブリCAに組み付けた状態を示す斜視図であり、図39(b)は、各コイルモジュール310A,310Bに含まれる部分巻線311A,311Bを示す斜視図である。本例では、固定子コア62の径方向外側に固定子ホルダ70が組み付けられることでコアアセンブリCAが構成されている。また、固定子コア62の径方向内側に、複数のコイルモジュール310A,310Bが組み付けられる構成となっている。
部分巻線311Aは、概ね既述の第1部分巻線151Aと同様の構成を有しており、一対の中間導線部312と、軸方向両側においてコアアセンブリCAの側(径方向外側)に折り曲げ形成された渡り部313Aとを有している。また、部分巻線311Bは、概ね既述の第2部分巻線151Bと同様の構成を有しており、一対の中間導線部312と、軸方向両側において渡り部313Aを軸方向外側で周方向に跨ぐように設けられた渡り部313Bとを有している。部分巻線311Aの渡り部313Aには絶縁カバー315が装着され、部分巻線311Bの渡り部313Bには絶縁カバー316が装着されている。
絶縁カバー315には、周方向両側の側面部に、軸方向に延びる半円状の凹部317が設けられている。また、絶縁カバー316には、渡り部313Bよりも径方向外側に突出する突出部318が設けられ、その突出部318の先端部に、軸方向に延びる貫通孔319が設けられている。
図40は、コアアセンブリCAに対してコイルモジュール310A,310Bを組み付けた状態を示す平面図である。なお、図40において、固定子ホルダ70の軸方向端面には周方向に等間隔で複数の凹部105が形成されている。また、固定子ホルダ70は、液状冷媒又は空気による冷却構造を有しており、例えば空冷構造として、外周面に複数の放熱フィンが形成されているとよい。
図40では、絶縁カバー315,316が軸方向に重なる状態で配置されている。また、絶縁カバー315の側面部に設けられた凹部317と、絶縁カバー316の突出部318において絶縁カバー316の周方向一端から他端までの間の中央となる位置に設けられた貫通孔319とが軸方向に連なっており、それら各部で、固定ピン321による固定がなされている。
また、図40では、固定ピン321による各絶縁カバー315,316の固定位置が、固定子コア62よりも径方向外側の固定子ホルダ70の軸方向端面となっており、その固定子ホルダ70に対して固定ピン321による固定が行われる構成となっている。この場合、固定子ホルダ70には冷却構造が設けられているため、部分巻線311A,311Bで生じた熱が固定子ホルダ70に伝わり易くなっている。これにより、固定子巻線61の冷却性能を向上させることができる。
・回転電機10に用いられる固定子60は、バックヨークから延びる突起部(例えばティース)を有するものであってもよい。この場合にも、固定子コアに対するコイルモジュール150等の組み付けがバックヨークに対して行われるものであればよい。
・回転電機としては、星形結線のものに限らず、Δ結線のものであってもよい。
・回転電機10として、界磁子を回転子、電機子を固定子とする回転界磁形の回転電機に代えて、電機子を回転子、界磁子を固定子とする回転電機子形の回転電機を採用することも可能である。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態における回転電機400について説明する。本実施形態の回転電機400は、車両のインホイールモータとして用いられる。回転電機400の概要を図41~図45に示す。図41は、回転電機400の全体を示す斜視図であり、図42は、回転電機400の平面図であり、図43は、回転電機400の縦断面図(図42の43-43線断面図)であり、図44は、回転電機400の横断面図(図43の44-44線断面図)であり、図45は、回転電機400の構成要素を分解して示す分解断面図である。
回転電機400は、インナロータ式の表面磁石型回転電機である。回転電機400は、大別して、回転子410と、固定子430を含んでなる固定子ユニット420とを有する回転電機本体を備えており、固定子ユニット420に固定されたインナハウジング470が不図示の車体に固定されるとともに、回転子410に固定されたホイール支持部材401が不図示の車輪のホイールに固定される構成となっている。本実施形態では、ホイール支持部材401に結合される車輪ホイールが、回転電機400による回転対象物となっている。これらインナハウジング470及びホイール支持部材401は、高強度であることが要求され、例えば鉄鋼材料よりなる。
回転子410の構成を以下に説明する。
図45に示すように、回転子410は、略円筒状の回転子キャリア411と、その回転子キャリア411に固定された環状の磁石ユニット412とを有している。回転子キャリア411は、円筒状をなす筒状部413と、その筒状部413の軸方向一端に設けられた端板部414とを有しており、筒状部413の径方向外側に環状に磁石ユニット412が固定されている。回転子キャリア411は、磁石保持部材として機能する。端板部414は、その中央部に、軸方向において磁石ユニット412の側に延びる円筒状のボス部415を有している。ボス部415には貫通孔415aが形成されている。回転子キャリア411において、筒状部413とボス部415とは、端板部414から軸方向に同じ向きに延び、内外二重になるように設けられている。
磁石ユニット412は、回転子410の周方向に沿って極性が交互に変わるように配置された複数の永久磁石により構成されている。磁石ユニット412が「磁石部」に相当する。これにより、磁石ユニット412は、周方向に複数の磁極を有する。磁石ユニット412は、第1実施形態の図6,図7において磁石ユニット22として説明した構成を有しており、永久磁石として、固有保磁力が400[kA/m]以上であり、かつ残留磁束密度Brが1.0[T]以上である焼結ネオジム磁石を用いて構成されている。
磁石ユニット412は、図7の磁石ユニット22と同様に、それぞれ極異方性の複数の永久磁石を有しており、それら各磁石は、d軸側(d軸寄りの部分)とq軸側(q軸寄りの部分)とで磁化容易軸の向きが相違し、d軸側では磁化容易軸の向きがd軸に平行する向きとなり、q軸側では磁化容易軸の向きがq軸に直交する向きとなっている。この場合、磁化容易軸の向きに沿って円弧状の磁石磁路が形成されている。要するに、各磁石は、磁極中心であるd軸の側において、磁極境界であるq軸の側に比べて磁化容易軸の向きがd軸に平行となるように配向がなされて構成されている。
なお、磁石ユニット412の各磁石は、周方向において接着等により互いに固定されるとともに、外周部においてヤーン等の固定部材が取り付けられて一体化されているとよい。また、各磁石の軸方向端部に、円環状の端板部材が取り付けられているとよい。
また、回転子410は、回転子キャリア411の端板部414から磁石ユニット412とは逆側に延びるように設けられた円筒状の回転軸416を有している。回転軸416は、回転子キャリア411の筒状部413及びボス部415と同心であり、端板部414に対してボルト等の固定具417により固定されている。回転軸416は、ボス部415の内径寸法よりも大きい内径寸法を有している。そのため、回転子キャリア411の端板部414は、回転軸416の内周側において径方向内側に突出する鍔状の突出部を有している。
回転軸416において回転子キャリア411とは逆側の軸方向他端には、ボルト等の固定具402によりホイール支持部材401が固定されており、ホイール支持部材401は回転子410と共に回転する。なお、回転軸416は、例えば鉄鋼材料により形成されているとよい。
次に、固定子ユニット420の構成を説明する。図46は、固定子ユニット420の全体を示す斜視図であり、図47は、固定子ユニット420の分解断面図であり、図48は、固定子ユニット420の縦断面図である。
固定子ユニット420は、その概要として、固定子430と、固定子430を囲むように設けられたアウタハウジング450と、配線モジュール460とを有している。固定子430は、固定子巻線431と固定子コア432とを有している。アウタハウジング450は有底筒状をなしており、軸方向一端側である開放端側にインナハウジング470が組み付けられる構成となっている。なお、アウタハウジング450が「第1ハウジング」に相当し、インナハウジング470が「第2ハウジング」に相当する。
固定子430において、固定子巻線431は3相の相巻線を有し、各相の相巻線はそれぞれ複数の部分巻線441により構成されている。部分巻線441は、回転電機400の極数に応じて設けられており、相ごとに複数の部分巻線441が並列又は直列に接続されている。本実施形態では、磁極数を24としているが、その数は任意である。
図48に示すように、固定子430は、軸方向において、固定子コア432に径方向に対向するコイルサイドCSに相当する部分と、そのコイルサイドCSの軸方向外側であるコイルエンドCEに相当する部分とを有している。コイルサイドCSは、回転子410の磁石ユニット412に径方向に対向する部分でもある。部分巻線441は固定子コア432の径方向内側に組み付けられている。この場合、部分巻線441は、その軸方向両端部分が固定子コア432よりも軸方向外側(すなわちコイルエンドCE側)に突出した状態で組み付けられている。
図49は、部分巻線441の構成を示す斜視図である。部分巻線441は、導線材を多重に巻回することで構成されている。部分巻線441は、互いに平行でかつ直線状に設けられる一対の中間導線部442と、一対の中間導線部442を軸方向両端でそれぞれ接続する一対の渡り部443,444とを有しており、これら一対の中間導線部442と一対の渡り部443,444とにより環状に形成されている。一対の中間導線部442は、所定のコイルピッチ分を離して設けられており、周方向において一対の中間導線部442の間に、他相の部分巻線441の中間導線部442が配置可能となっている。本実施形態では、一対の中間導線部442は2コイルピッチ分を離して設けられ、一対の中間導線部442の間に、他2相の部分巻線441における中間導線部442が1つずつ配置される構成となっている。
部分巻線441において各中間導線部442には、シート状の絶縁被覆体445が被せられた状態で設けられている。絶縁被覆体445の構成は、上述した第1実施形態における部分巻線151の絶縁被覆体157と同様である。すなわち、絶縁被覆体445は、軸方向寸法として少なくとも中間導線部442における軸方向の絶縁被覆範囲の長さを有するフィルム材を用い、そのフィルム材を中間導線部442の周囲に巻装することで設けられている。また、絶縁被覆体445は、中間導線部442の周囲に、フィルム材の周方向の端部をオーバーラップさせた状態で設けられている。
軸方向両側の各渡り部443,444は、いずれもコイルエンドCE(図48参照)に相当する部分として設けられ、各渡り部443,444のうち一方の渡り部443が径方向に屈曲形成されている。つまり、部分巻線441は、軸方向一端側ではコイルエンド部(渡り部)が径方向に屈曲され、かつ軸方向他端側ではコイルエンド部(渡り部)が径方向に屈曲されておらず、側方から見て略L形状となっている。
各部分巻線441において、中間導線部442は、コイルサイドCSにおいて周方向に1つずつ並ぶコイルサイド導線部として設けられている。また、各渡り部443,444は、コイルエンドCEにおいて、周方向に異なる2位置の同相の中間導線部442どうしを接続するコイルエンド導線部として設けられている。
部分巻線441では、上述した部分巻線151と同様に、導線集合部分の横断面が四角形になるように導線材が多重に巻回されて形成されている。中間導線部442で言えば、導線材が周方向に複数列で並べられ、かつ径方向に複数列で並べられることで、横断面が略矩形状となるように形成されている(図20参照)。
なお、部分巻線441において、コイルエンド部(渡り部)に絶縁カバーを取り付け、その絶縁カバーにより各部分巻線441のコイルエンド部どうしの絶縁性が確保される構成になっているとよい。絶縁カバーは、例えば図19(a),(b)に示すように、部分巻線441の渡り部443に径方向から組み付けられるもの、又は図22(a),(b)に示すように、部分巻線441の渡り部443に軸方向から組み付けられるものであるとよい。
図47に示すように、固定子430においては、複数の部分巻線441が周方向に並べて配置される。具体的には、複数の部分巻線441は半数ずつで組み付けの向きが軸方向及び径方向で反転され、半数の部分巻線441は、軸方向一端側(図の上側)において、屈曲側の渡り部443が径方向外側に屈曲された状態で組み付けられ、残りの半数の部分巻線441は、軸方向他端側(図の下側)において、屈曲側の渡り部443が径方向内側に屈曲された状態で組み付けられるようになっている。この場合、軸方向両端においてそれぞれ渡り部443,444どうしの干渉が回避され、その状態で中間導線部442が周方向に並ぶように配置されている。なお実際には、各中間導線部442の間には絶縁被覆体445が介在し、その絶縁被覆体445により互いの絶縁(相間絶縁)がなされた状態となっている。
固定子巻線431は、複数の部分巻線441により環状に形成され、その径方向外側に固定子コア432が組み付けられている。固定子コア432は、磁性体である電磁鋼板からなるコアシートが軸方向に積層されたコアシート積層体として構成されており、径方向に所定の厚さを有する円筒状をなしている。固定子コア432の内周面及び外周面は凹凸のない曲面状をなしている。固定子コア432はバックヨークとして機能する。固定子コア432は、例えば円環板状に打ち抜き形成された複数枚のコアシートが軸方向に積層されて構成されている。ただし、固定子コア432としてヘリカルコア構造を有するものを用いてもよい。
なお、固定子コア432に対する固定子巻線431の組み付けは、固定子コア432に対して部分巻線441を個別に組み付けることでなされてもよいし、複数の部分巻線441により環状の固定子巻線431を形成した後に、その固定子巻線431を固定子コア432に組み付けることでなされてもよい。
図48に示すように、アウタハウジング450は、それぞれ円筒状をなす外筒部材451と内筒部材452とを有し、外筒部材451を径方向外側、内筒部材452を径方向内側にしてそれらが一体に組み付けられることにより構成されている。これら各部材451,452は、例えばアルミニウムや鋳鉄等の金属、又は炭素繊維強化プラスチック(CFRP)により構成されている。
外筒部材451の筒部の内径寸法は、内筒部材452の筒部の外径寸法よりも大きい。そのため、外筒部材451の径方向内側に内筒部材452が組み付けられた状態では、これら各部材451,452の間に環状の隙間が形成され、その隙間空間が、冷却水等の冷媒を流通させる冷媒通路453となっている。冷媒通路453は、アウタハウジング450の周方向に環状に設けられている。なお、図示を略すが、外筒部材451には、冷媒の入口となる入口側通路と、冷媒の出口となる出口側通路とが形成されており、入口側通路から流入する冷媒は、冷媒通路453を周方向に流れ、その後、出口側通路から流出する。
図47に示すように、外筒部材451及び内筒部材452は、軸方向一端側に径方向外側に延びるフランジを有しており、そのフランジにボルト等の固定具が組み付けられることにより、外筒部材451及び内筒部材452が一体に結合されている。なお、外筒部材451には、放熱部として、径方向外側に延びるように放熱フィンが設けられていてもよい。
アウタハウジング450の径方向内側、詳しくは内筒部材452の径方向内側には固定子コア432が組み付けられている。アウタハウジング450(内筒部材452)に対する固定子コア432の組み付けは、例えば接着により行われる。また、焼きばめ又は圧入により、アウタハウジング450に対して所定の締め代で固定子コア432が嵌合固定される構成であってもよい。
また、図48に示すように、外筒部材451は、軸方向一端側に底部454を有し、その底部454の中央に貫通孔455が形成されている。貫通孔455には、回転子410の回転軸416が挿通可能となっている(図43参照)。
外筒部材451の底部454には、軸方向内側の端面から軸方向に延びるように環状溝456が設けられている。環状溝456は、アウタハウジング450に固定子430を組み付けた際に、固定子巻線431のコイルエンド部を収容するコイルエンド収容部となっている。つまり、上述したとおり固定子巻線431は複数の部分巻線441により構成されており、その部分巻線441の軸方向一端側ではコイルエンド部(渡り部)が径方向に屈曲され、かつ軸方向他端側ではコイルエンド部(渡り部)が径方向に屈曲されていない。この場合、部分巻線441においてコイルエンド部の一部、すなわち径方向に屈曲されていない渡り部444が軸方向に突出するが、その突出部分が環状溝456に収容されるようになっている。
次に、配線モジュール460について説明する。配線モジュール460は、固定子巻線431において各部分巻線441に電気的に接続される巻線接続部材であり、この配線モジュール460により、各相の部分巻線441が相ごとに並列又は直列に接続され、かつ各相の相巻線が中性点接続される。配線モジュール460は、固定子巻線431の軸方向両端のうち一端側、具体的には回転子キャリア411の端板部414とは逆側に設けられている(図43参照)。
図47に示すように、配線モジュール460は、円環状をなす環状部461と、その環状部461に沿って周方向に並べて設けられた複数の接続端子462とを有している。環状部461は、例えば樹脂等の絶縁部材により円環状に形成されている。環状部461には、相ごとの配線と中性点用の配線(いずれも図示略)が埋設されており、それら各配線に、接続端子462が電気接続されている。接続端子462は、部分巻線441ごとに設けられ、かつそれぞれ軸方向に延びる向きで固定されている。
図46に示すように、固定子巻線431では、径方向に屈曲されていない渡り部444が環状に並んで配置されており、その渡り部444を径方向外側から囲むようにして配線モジュール460が設けられている。つまり、配線モジュール460の環状部461は、周方向に並ぶ渡り部444により形成される円環部よりも大径に形成されている。配線モジュール460には、その配線モジュール460を固定するための固定部として、周方向に所定間隔で固定ピン463が設けられている。固定ピン463は、軸方向に延び、その一端が固定子コア432又はアウタハウジング450に対して固定されることで、固定子ユニット420にて配線モジュール460が取り付けられている。
図50は、インナハウジング470の構成を示す斜視図である。インナハウジング470は、軸方向一端側に設けられ、アウタハウジング450に対して固定される大径部471と、軸方向他端側に設けられ、回転子410の回転軸416を支持する固定軸部472とを有し、軸方向において大径部471と固定軸部472との間には、大径部471より小径で、かつ固定軸部472よりも大径の中間筒部473が設けられている。なお、固定軸部472は、図示のごとく軸方向に延びる中空部を有していてもよい。中間筒部473が「円筒部」に相当する。
大径部471は、固定子巻線431の軸方向一端側のコイルエンド部(渡り部)と配線モジュール460とに対応する径寸法を有している。大径部471には、固定子巻線431のコイルエンド部と配線モジュール460とを収容する円環状の収容部474が設けられている。収容部474は、軸方向において回転電機400の中央側に向けて開口する環状溝部として設けられている。
また、大径部471には、端子台480を取り付けるための取付部475が設けられている。取付部475は、大径部471において径方向外側に突出し、かつ径方向に延びる中空部476を有しており、その中空部476が収容部474に連通している。端子台480は、配線モジュール460に対して電気的に接続される配線接続部であり、不図示の外部装置から延びる相ごとの電力線が接続されることで、相ごとに電力の入出力が可能となっている。端子台480が取付部475に取り付けられた状態では、端子台480の配線端子481が、取付部475の中空部476を介して、不図示の中継線により配線モジュール460に電気的に接続されている。端子台480は、ネジ等によりインナハウジング470から分離可能となっており、例えば電力等の仕様が異なる場合に端子台480の変更が可能となっている。
本実施形態では、固定子巻線431のコイルエンド部の径方向外側(渡り部444の径方向外側)に、配線モジュール460が設けられている。そのため、固定子巻線431のコイルエンド部(渡り部444)を径方向に跨ぐことなく、配線モジュール460と端子台480との接続が可能となっている。
インナハウジング470において、固定軸部472は、回転子410の回転軸416の内径寸法よりも小さい外形寸法で形成され、中間筒部473は、回転子キャリア411の内径寸法よりも小さい外形寸法で形成されている。
また、インナハウジング470において、固定軸部472と中間筒部473との間は中間端板部477により閉じられており、その中間端板部477には、後述するレゾルバ493を固定するための環状の突出部478が形成されている。
次に、上述した回転子410や固定子ユニット420、インナハウジング470を含む回転電機400の全体構成について説明する。
図43に示すように、インナハウジング470の固定軸部472には軸受491が組み付けられ、その軸受491により回転子410の回転軸416が回転可能に支持されている。軸受491は、例えばラジアル玉軸受であり、外輪と内輪とそれら外輪及び内輪の間に配置された複数の玉とを有している。軸受491の内輪が固定軸部472側に組み付けられ、外輪が回転軸416側に組み付けられている。なお、軸受491は、転動体として玉に代えてころを用いたころ軸受(針状ころ軸受、円錐ころ軸受)であってもよい。また、軸受491として、軸方向に2つの軸受が並べて配置されていてもよい。
回転軸416は、軸方向において回転子キャリア411の端板部414から磁石ユニット412とは逆側に延びるように設けられており、軸受491は、軸方向において端板部414よりも反磁石ユニット側となる位置に設けられている。この場合、磁石ユニット412に対して径方向に重複しない位置に軸受491が設けられている。
ここで、アウタハウジング450は、例えばアルミニウムや鋳鉄等の金属、又は炭素繊維強化プラスチック(CFRP)よりなり、インナハウジング470は、例えば鉄鋼材料よりなる。つまり、アウタハウジング450は、インナハウジング470に比べて高熱伝導な部材であり、インナハウジング470は、アウタハウジング450に比べて高強度な部材である。この場合、固定子430を囲むアウタハウジング450は放熱性を優先したものとなり、軸受491を介して回転軸416を支持するインナハウジング470は強度を優先したものとなっている。これにより、固定子430で生じる熱がアウタハウジング450から好適に放出されるとともに、インナハウジング470における回転軸416の支持強度が確保できるものとなっている。
また、回転子410の径方向外側には、その回転子410を囲むようにして固定子ユニット420が配設されている。固定子ユニット420は、アウタハウジング450の軸方向一端側(開放端側)がボルト等の固定具によりインナハウジング470の大径部471に固定された状態で、回転子410の外周側に組み付けられている。つまり、インナハウジング470は、アウタハウジング450の開放端側でその開放端を閉じるように設けられるものとなっている。
アウタハウジング450における外筒部材451の底部454と回転軸416との間には円環状の摺動シール492が設けられている。つまり、固定子ユニット420及びインナハウジング470に対する回転軸416の支持構造として、回転軸416の内周面側には、インナハウジング470の固定軸部472との間に軸受491が設けられ、回転軸416の外周面側には、アウタハウジング450の底部454との間に摺動シール492が設けられている。これにより、回転軸416は、軸受491によりインナハウジング470の固定軸部472に対して相対回転可能となり、かつ、摺動シール492によりアウタハウジング450の底部454に対して相対回転可能となっている。なお、摺動シール492として、合成樹脂やゴム等による環状シールを用いることが可能である。
回転子410とインナハウジング470とが軸受491を介して一体化された状態では、回転子キャリア411の内周側に、回転子キャリア411とインナハウジング470とにより囲まれた環状の閉鎖空間SAが形成されている。そして、その閉鎖空間SA内に、回転センサとしてのレゾルバ493が設けられている。レゾルバ493は、円環状をなしており、固定物であるインナハウジング470の突出部478に固定されたレゾルバステータと、回転物である回転子キャリア411のボス部415に固定されたレゾルバロータとを有する。レソルバステータの径方向内側に、レゾルバロータが対向配置されている。
ここで、インナハウジング470の固定軸部472は、回転子キャリア411の端板部414に設けられた貫通孔415aを貫通させた状態で設けられており、軸方向における端板部414の両側のうち一方側が第1軸部472a、他方側が第2軸部472bとなっている(図45参照)。そして、第1軸部472a及び第2軸部472bのうち、回転子キャリア411(磁石ユニット412)の径方向内側となる第1軸部472aの外側に、レゾルバ493が設けられ、第2軸部472bの外側に軸受491が設けられている。この場合、第1軸部472a側のエリアと第2軸部472b側のエリアは、端板部414により軸方向に仕切られており、軸受491によるレゾルバ493への影響が抑制されるものとなっている。
そして、回転子410に対して固定子ユニット420とインナハウジング470とが組み付けられた状態で、軸方向一端にボルト等の固定具402によりホイール支持部材401が固定されている。
回転電機400では、インナハウジング470の中間筒部473が、回転子キャリア411の内周面(回転子内周面)に近接状態で対向するように配置されている。そして、中間筒部473の径方向内側が、軸方向において固定軸部472の反対側に開放された空間部SXとなっている。この場合、空間部SXには、回転電機400を車体側に取り付けるためのナックルやリンク等の取付構造が配置されるとよい。
また、回転子キャリア411の径方向内側では、回転子キャリア411の内周面(回転子内周面)と中間筒部473とが対向する領域が、潤滑油が通る潤滑油経路になっている。この場合、図51に示す矢印Yの経路で潤滑油が流れるとよい。つまり、インナハウジング470の大径部471に設けられた入口部から、回転電機400の内側空間に潤滑油を流入させる。そして、回転子キャリア411と中間筒部473とが対向する第1領域と、回転子キャリア411と固定軸部472とが対向する第2領域とで潤滑油を通過させた後、インナハウジング470の大径部471に設けられた出口部から潤滑油を排出するとよい。なお、第1領域では、軸方向に加えて周方向に潤滑油が流れる。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
回転電機400において、アウタハウジング450とインナハウジング470とのうちインナハウジング470、すなわち固定子430を囲む側でないハウジングにより、軸受491を介して回転軸416を回転可能に支持する構成とした。この場合、固定子430を囲むように設けられるアウタハウジング450において、インナハウジング470に比べて強度の要求が緩和されることとなる。そのため、アウタハウジング450において、強度要求が緩和されることによる設計の自由度が増し、放熱性の向上や軽量化の要求に容易に応じることが可能となる。
固定子430を囲むアウタハウジング450は放熱性を優先したものとし、軸受491を介して回転軸416を支持するインナハウジング470は強度を優先したものとした。これにより、固定子430で生じる熱をアウタハウジング450から好適に放出できるとともに、インナハウジング470における回転軸416の支持強度を確保できる。また、高強度材料は重量が重くなる傾向にあるが、各ハウジングのうちインナハウジング470のみを高強度な部材としたため、回転電機400としての重量軽減を図ることもできる。この場合、回転電機400において放熱性や重量に関する設計の自由度を向上させることができる。
回転軸416の中空部に、軸方向において回転子キャリア411の端板部414よりも反磁石ユニット側となる位置に軸受491を設ける構成とした。この場合、磁石ユニット412に対して径方向に重複しない位置に軸受491を設けることにより、磁石ユニット412に対して径方向に重複する位置に軸受491を設ける構成に比べて、磁石ユニット412の径方向内側の領域を大きくすることができる。これにより、磁石ユニット412の径方向内側の領域に、センサ類や電気部品、回転電機取り付け用の取付構造などを配置することができ、当該領域の有効利用が可能となる。また、インホイールモータとしての回転電機400において、回転軸416に端板部414とは逆側の軸方向端部(先端部)に荷重が作用することを加味しつつ、軸受491を適正な位置に配置することができる。
インナハウジング470の固定軸部472において、回転子キャリア411の端板部414を挟んで両側となる部分をそれぞれ第1軸部472aと第2軸部472bとし、第1軸部472a側のエリアと第2軸部472b側のエリアとを端板部414により軸方向に仕切る構成とした。そして、第1軸部472aの外側にレゾルバ493を設け、第2軸部472bの外側に軸受491を設けた。この場合、軸受491によるレゾルバ493への影響を抑制することができる。
回転子キャリア411の径方向内側において、回転子キャリア411とインナハウジング470とにより形成された閉鎖空間SAにレゾルバ493を配置した。この場合、レゾルバ493が回転電機400の外部から隔離されるため、レゾルバ493の設置環境を良好に保つことができる。例えば、レゾルバ493に対する異物の付着や被水を抑制することが可能となっている。
回転軸416を、軸受491によりインナハウジング470の固定軸部472に対して相対回転可能とし、かつ、摺動シール492によりアウタハウジング450の底部454に対して相対回転可能とした。これにより、回転軸416は、径方向内側及び外側から各ハウジング450,470によりそれぞれ回転可能に支持されることとなり、回転軸416の適切な支持を可能とする支持構造を実現することができる。
なお、アウタハウジング450に対する回転軸416の支持構造として、軸受でなく摺動シール492を用いたため、アウタハウジング450に対する支持強度要求が比較的小さくなることが考えられ、アウタハウジング450の放熱性能が低下することが抑制される。
インナハウジング470において、固定軸部472よりも大径の中間筒部473を回転子キャリア411の内周面(回転子内周面)に近接状態で対向させ、かつその中間筒部473の径方向内側を、軸方向において固定軸部472の反対側に開放された空間部SXとした。この場合、回転子キャリア411の内周側を、インナハウジング470の中間筒部473により内側から覆って外部と区画しつつ、中間筒部473内に空間部SXを確保してその有効利用を可能としている。
回転子キャリア411の内周面(回転子内周面)とインナハウジング470の中間筒部473とが対向する領域を、潤滑油が通る潤滑油経路とした。この場合、回転電機400の内部において潤滑油が通る領域をインナハウジング470の中間筒部473により制限することで、潤滑油の供給を好適に行わせることができる。
インホイールモータとしての回転電機400では、固定子430とその固定子を保持するハウジングとが車体に固定され、車重をハウジングが受ける構成となっている。その前提において、本実施形態では、固定子430を囲む状態で保持するアウタハウジング450と、アウタハウジング450の開放端側に設けられたインナハウジング470とのうち、インナハウジング470により車重を受ける構成としたため、インナハウジング470を耐荷重を優先した構成にすることができる。また、アウタハウジング450においては、車重を受ける必要が無く、放熱性を優先して高放熱材料を使用することができる。
(第2実施形態の変形例)
・回転電機400の構成を、図52に示すように変更してもよい。図52の回転電機400では、レゾルバ493の位置を変更しており、インナハウジング470の固定軸部472の先端部にレゾルバ493を取り付ける構成としている。この場合、閉鎖空間SA内にレゾルバ493の設置領域を確保する必要がなくなり、中間端板部477を回転子キャリア411の端板部414に近づけることができる。そのため、図43の構成に比べて、インナハウジング470の中間筒部473を軸方向に拡張することができる。つまり、インナハウジング470の中間筒部473及び中間端板部477が、それぞれ回転子キャリア411に近接対向する構成となっている。これにより、インナハウジング470において中間筒部473内の空間部SXの容積を拡張することができる。
・上記構成では、回転子410において、回転子キャリア411と回転軸416とを別部材とし、回転子キャリア411の端板部414に対して回転軸416を固定具417により固定する構成としたが、これを変更し、回転子キャリア411と回転軸416とを一体に成形する構成であってもよい。
・回転電機400において、アウタハウジング450の冷却構造として、冷媒通路453の冷媒の循環による冷却構造(水冷構造)を設けず、空冷フィン等の空冷構造のみを設けた構成としてもよい。
・固定子巻線431の構成を変更してもよい。例えば、複数の部分巻線441を用いた集中巻構造に代えて、波巻き等の分布巻構造により固定子巻線431を構成してもよい。また、固定子430において、固定子コア432にスロットを設けないスロットレス構造に代えて、固定子コア432にスロットを設け、そのスロットに固定子巻線431を巻回する構成としてもよい。
・回転電機400の用途は車両の走行用モータ以外であってもよく、航空機を含め広く移動体に用いられる回転電機や、産業用又は家庭用の電気機器に用いられる回転電機であってもよい。
この明細書における開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品および/または要素の組み合わせに限定されない。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品および/または要素が省略されたものを包含する。開示は、ひとつの実施形態と他の実施形態との間における部品および/または要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示されるいくつかの技術的範囲は、請求の範囲の記載によって示され、さらに請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。

Claims (9)

  1. 環状に配置された磁石部(412)と、前記磁石部を支持する回転子キャリア(411)とを有する回転子(410)と、
    多相の固定子巻線(431)を有する固定子(430)と、を備え、
    前記固定子の径方向内側に前記回転子が配置されたインナロータ式の回転電機(400)であって、
    前記固定子を囲む状態で設けられ、軸方向の第1端側に底部(454)を有する有底筒状の第1ハウジング(450)と、
    前記第1ハウジングの前記第1端とは逆側の第2端側で当該第1ハウジングの開放端を閉じるように設けられた第2ハウジング(470)と、を備え、
    前記回転子は、前記回転子キャリアにおいて軸方向一端側に設けられた端板部(414)から軸方向に延びる円筒状の回転軸(416)を有し、
    前記第2ハウジングは、前記回転軸の中空部内に挿通される固定軸部(472)を有しており、前記固定軸部と前記回転軸との間に、当該回転軸を回転可能に支持する軸受(491)が設けられている回転電機。
  2. 前記第1ハウジングは、前記第2ハウジングに比べて高熱伝導な部材であり、
    前記第2ハウジングは、前記第1ハウジングに比べて高強度な部材である請求項1に記載の回転電機。
  3. 記回転軸は、軸方向において前記端板部から前記磁石部とは逆側に延びるように設けられており、
    前記回転軸の中空部には、軸方向において前記端板部よりも反磁石部側となる位置に前記軸受が設けられ、その軸受により前記回転軸が回転可能に支持されており、
    前記回転軸において前記端板部とは逆側の軸方向端部に、本回転電機により回転が付与される回転対象物が結合可能となっている請求項1又は2に記載の回転電機。
  4. 前記固定軸部は、前記端板部に設けられた貫通孔(415a)を貫通させた状態で設けられ、軸方向における前記端板部の両側のうち一方側が第1軸部(472a)、他方側が第2軸部(472b)であり、
    前記第1軸部及び前記第2軸部のうち前記磁石部の径方向内側となる第1軸部の外側に、前記回転子の回転を検出する回転センサ(493)が設けられ、第2軸部の外側に前記軸受が設けられている請求項1~3のいずれか1項に記載の回転電機。
  5. 前記回転子における前記磁石部の径方向内側には、前記第2ハウジングと前記回転子キャリアとにより囲まれた閉鎖空間(SA)が形成されており、
    前記閉鎖空間に、前記回転子の回転を検出する回転センサ(493)が配置されている請求項1~4のいずれか1項に記載の回転電機。
  6. 前記回転軸は、前記第1ハウジングにおける前記底部に設けられた貫通孔(455)に挿通されており、前記底部と前記回転軸との間に摺動シール(492)が設けられている請求項1~5のいずれか1項に記載の回転電機。
  7. 前記第2ハウジングは、前記固定軸部よりも大径の円筒部(473)を有し、
    前記円筒部が、前記磁石部の径方向内側となる回転子内周面に近接状態で対向するように配置されており、
    前記円筒部の径方向内側が、軸方向において前記固定軸部の反対側に開放された空間部となっている請求項1~6のいずれか1項に記載の回転電機。
  8. 前記回転子における前記磁石部の径方向内側において、前記回転子内周面と前記円筒部とが対向する領域が、潤滑油が通る潤滑油経路になっている請求項7に記載の回転電機。
  9. 車両の車輪に一体に設けられるインホイールモータとして用いられる回転電機であって、
    前記第2ハウジングは車体に対して固定可能であり、前記回転軸は前記車輪に対して固定されることで当該車輪と一体回転可能である請求項1~8のいずれか1項に記載の回転電機。
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