JP7421050B2 - 蛍光モジュール及び照明装置 - Google Patents

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Description

本発明は、蛍光モジュール及び照明装置に関する。
半導体レーザ素子及び蛍光体含有部材を組み合わせた照明装置として、基板の上に蛍光体含有部材を設けた蛍光体プレートにレーザ光を照射し、白色の反射光を得るものがある(例えば、特許文献1)。
特開2012-243624号公報
このような照明装置では、蛍光体含有部材が剥離又は割れるなどした場合、半導体レーザ素子から放出された光が蛍光体によって波長変換されることなく、反射され、外部へ放出されることがある。半導体レーザ素子からの放出光が波長変換されることなく、外部へ放出されると、目への安全性及び発火等の懸念がある。
本発明は、蛍光体部材の剥離、割れ等が発生しても、外部放出されるレーザ光を低減させることができる蛍光モジュール及び照明装置を提供することを目的とする。
本願は以下の発明を含む。
(1)蛍光体含有層及び光反射層を含む蛍光部材と、
光を吸収又は拡散する光緩和部と、
前記蛍光部材が固定された放熱部材とを備え、
前記光反射層は、前記蛍光体含有層と前記光緩和部とに挟まれ、かつ、前記蛍光体含有層と前記放熱部材とに挟まれる位置に配置されている蛍光モジュール。
(2)レーザ光を放射するレーザ装置及び上記(1)の蛍光モジュールを有し、
前記レーザ光は、前記蛍光モジュールの前記蛍光体含有層に入射し、
前記蛍光モジュールにおける前記光緩和部は、前記蛍光モジュールから前記蛍光部材が取り除かれた場合に、前記蛍光モジュールへ放射されたレーザ光が入射する位置に設けられる照明装置。
本発明によれば、蛍光体部材の剥離、割れ等が発生しても、外部放出されるレーザ光を低減させることができる蛍光モジュール及び照明装置を提供することができる。
一実施形態を示す蛍光モジュールの概略断面図である。 一実施形態を示す蛍光モジュールの概略断面図である。 一実施形態を示す蛍光モジュールの概略断面図である。 一実施形態を示す蛍光モジュールの概略断面図である。 図1Dの蛍光モジュールの変形例を示す概略断面図である。 図1Dの蛍光モジュールの別の変形例を示す概略断面図である。 図1Dの蛍光モジュールのさらに別の変形例を示す概略断面図である。 図1Dの蛍光モジュールのさらに別の変形例を示す概略断面図である。 図1Dの蛍光モジュールのさらに別の変形例を示す概略断面図である。 一実施形態を示す照明装置の概略図である。 青色レーザ光のピーク波長が440nm及び460nmの場合に、青色レーザ光及び蛍光体から発せられる蛍光によって得られる白色光の色度座標である。 図3Aの結果から各混合体積割合について、x色度座標及びy色度座標の変化量の絶対値を示したグラフである。 図1Dの蛍光モジュールの変形例を示す概略断面図である。
以下に示す形態は、本発明の技術思想を具体化するための例示であって、本発明を以下に限定するものではない。各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするために誇張していることがある。また、原則として同一又は同質の部材は、同一の名称、符号を用いて示しており、重複した説明は適宜省略する。
実施形態1:蛍光モジュール10A
この実施形態の蛍光モジュール10Aは、図1Aに示すように、蛍光体含有層1及び光反射層2を含む蛍光部材3と、光を吸収又は拡散する光緩和部と、蛍光部材3が固定された放熱部材5とを備える。光反射層2は、蛍光体含有層1と光緩和部とに挟まれ、かつ、蛍光体含有層1と放熱部材5に挟まれた位置に配置されている。
なお、本明細書においては、蛍光モジュールの各種の用途において、蛍光モジュールに光が照射される又は入射する側を、各部材において上面又は上流と記載することがあり、蛍光体含有層1に対して、上面又は上流の反対側を、下面又は下流と記載することがある。
この蛍光モジュール10Aでは、上述したように、光緩和部は、光を吸収する光吸収部材4aによって形成されている。ここでの光吸収部材4aは、層状のものが好ましい。図1Aでは、光吸収部材4aは、1層構造であり、放熱部材5の上面にその一部又は全部が埋め込まれているが、放熱部材5の上面にその一部又は全部が埋め込まれずに接触して配置されていてもよい。光吸収部材4aの厚みは、その材料によって異なるが、照射されるレーザ光を吸収し得る厚みであればよく、例えば、0.4μm~1000μmが挙げられる。また、その平面形状及び大きさは、蛍光部材3に照射されるレーザ光のスポット径等によって適宜調整することができる。例えば、光吸収部材4aは、蛍光部材3と同等の大きさ又はそれより若干小さい大きさが挙げられる。ここでの若干小さいとは、例えば、30%以内の縮小が挙げられる(本願において、以下同じ)。別の観点から、光吸収部材4aの厚みは、例えば、レーザ光のスポット径の3倍~20倍程度が挙げられる。
蛍光部材3は、接合部材6によって固定され、接合部材6を介して放熱部材5に接触しているが、放熱部材5に接触していてもよい。
このような構成を有する蛍光モジュールは、例えば、ヘッドライトを含む車載用光源、プロジェクタ装置、各種照明器具に利用するために、主として、レーザ素子から出射されるレーザ光の波長を変換するために用いられる。この蛍光モジュールは、レーザ光を利用したその使用において、蛍光部材3に何ら不具合が生じていない場合は、上方からレーザ光が照射された場合、設計どおりに、その略全てが蛍光部材に入射する。このとき、レーザ光の一部は、蛍光体含有層の蛍光体によって波長変換され、そのまま外部に向かうか又は光反射層で反射される。レーザ光の他の一部は、蛍光部材に入射しても、蛍光体によって波長変換されずに光反射層で反射される。そして、これらの波長変換光と、波長変換されていない光とが混じり合い、例えば、白色光として外部に出射される。
一方、蛍光部材に剥離又は割れ等が発生すると、レーザ光の一部あるいは全てが蛍光部材に入射しなくなることが起こり得るが、この場合、蛍光部材に照射されたレーザ光は、蛍光部材の下方に配置された光緩和部に入射する。そのため、そのままレーザ光が装置の外部に出射されるのではなく、光緩和部における吸収や拡散などによって効果的にレーザ光は低減される。これにより外部に放出される又は漏洩するレーザ光を有効に低減させることができる。
従って、例えば、照明装置として、車載ヘッドライト、プロジェクタ、サーチライト、家庭用照明器具、店舗用照明器具、オフィス用照明器具、屋外照明器具等の用途において、振動、外部衝撃等に起因して、蛍光部材に破損が生じ、特に蛍光体含有層にレーザ光が照射されなかった場合であっても、光緩和部でレーザ光を吸収することができ、レーザ光の直接の視認を回避するために利用することができる。
実施形態2:蛍光モジュール10B
この実施形態の蛍光モジュール10Bは、図1Bに示すように、光を吸収又は拡散する光緩和部の形状が、蛍光モジュール10Aと異なる以外は、実質的に蛍光モジュール10Aと同様の構成を有する。
つまり、放熱部材5の上面に凹部5aが形成されており、光緩和部は、光を吸収する光吸収部材4bによって形成されており、かつ放熱部材5の凹部5aを利用して、凹部5aの底面(下面)及び側面を被覆するように配置されている。また、接合部材6が凹部5aの外側に配されるように、凹部5aは設けられる。そのため、接合部材6による蛍光部材3及び放熱部材5の接合領域は凹部5aの外側にあり、蛍光部材3は凹部5aの上方に跨って配置される。
このような構成により、蛍光部材3に剥離又は割れ等が発生した場合、蛍光部材3に照射されたレーザ光は、凹部5aの底面あるいは側面に形成された光吸収部材4bに到達する。従って、光吸収部材4bに到達したレーザ光は光吸収部材4bにより吸収される。また、レーザ光が吸収されなかったときは、レーザ光は光吸収部材4bの表面で反射される。その結果、再度、光吸収部材4bが配された別の位置にレーザ光は到達し、そこで光吸収部材4bに吸収されることとなる。このように、凹構造を有することで光吸収の機会を増やし、外部に放出される又は漏洩するレーザ光をさらに有効に低減させることができる。つまり、放熱部材5の凹部5aを利用することにより、光緩和部でレーザ光の吸収をより効果的に発揮させることができる。
なお、光吸収部材4bによる吸収の機会が多いほど、レーザ光の吸収効果は大きい。このため、凹部5aは、蛍光部材3が剥離した場合、つまり、蛍光モジュール10Bから蛍光部材3が無くなった場合に、レーザ光が光吸収部材4bの側面に入射するように、凹部5aの形状及び配置位置を決定するのが好ましい。
実施形態3:蛍光モジュール10C
この実施形態の蛍光モジュール10Cは、図1Cに示すように、光緩和部4Aが、光を吸収及び/又は拡散することができるものとして、光吸収部材4aと、偏光部材4cとによって形成されている以外、実質的に蛍光モジュール10Aと同様の構成である。
偏光部材4cは、光吸収部材4aを部分的に又は完全に被覆するように配置されている。ここでは、偏光部材4cは、光吸収部材4aに接触して配置されているが、その一部又は全部が光吸収部材4aから離間して配置されていてもよい。蛍光部材3が同じ大きさであれば、偏光部材4cはその平面積が小さいほど、蛍光部材3と放熱部材5との接合面積を増やすことができ、蛍光モジュールの放熱性を確保することができる。従って、光吸収部材4aの外周部分で放熱部材5と接触するように、偏光部材4cは、光吸収部材4aよりも若干大きい形状及び大きさとすることが好ましい。ここでの若干大きいとは、例えば、30%以内の拡大が挙げられる(本願において、以下同義)。
レーザ光は、出射光の色ムラを抑制すること等を目的として、蛍光モジュールに対して、光が特定の角度で入射するように調整されることがある。また、レーザ光の波動の振動方向についても調整される。例えば、蛍光部材3に入射するレーザ光が、p偏光であり、かつ、ブリュースター角で入射するように調整されることで、レーザ光が蛍光部材3の表面で反射することを抑制できる。従って、この蛍光モジュール10Cでは、このように特定方向に偏波したレーザ光が蛍光部材3に入射することを利用して、特定方向に偏波したレーザ光だけを通過させる偏光部材4cを、蛍光モジュール10Cにおける蛍光体含有層1の下流側に配置している。例えば、蛍光部材3が剥離したときにp偏光のレーザ光が偏光部材4cへと入射する角度も特定できることから、この角度と異なる角度のレーザ光を通過させない偏光部材4cを配置する。これによって、蛍光部材3に剥離又は割れ等が発生した場合、蛍光部材3に照射されたレーザ光が、この偏光部材4cを通過して、光吸収部材4aに到達し、多くのレーザ光がこの光吸収部材4aに吸収される。一方、吸収されなかった一部のレーザ光は、光吸収部材4aの一面又は放熱部材5の一面で反射され、偏光部材4cに再度到達することがあるが、レーザ光が拡散反射されたことで偏光方向が変化したレーザ光は偏光部材4cを通過できず、再反射して、再度、光吸収部材4bで吸収されることとなる。その結果、外部に放出される又は漏洩するはずのレーザ光を有効に低減させることができる。
実施形態4:蛍光モジュール10D
この実施形態の蛍光モジュール10Dは、図1Dに示すように、光緩和部4Bが、光吸収部材4bと、偏光部材4cとによって形成され、放熱部材5の上面に凹部5aが配置されている以外、実質的に蛍光モジュール10B、10Cと同様の構成である。
偏光部材4cは、凹部5aの平面形状よりも若干大きい形状及び大きさで凹部5aを塞ぐように又は跨って覆うように配置され、放熱部材5にその一部が接合する。また、接合部材6は、偏光部材4cの外側に配置され、蛍光部材3との接合領域も偏光部材4cの外側に設けられる。
偏光部材4cと接合部材6とは接合されず、接触していない方が望ましい。蛍光部材3の剥離又は割れ等が起こったときに、蛍光部材3を放熱部材5に接合していた接合部材6もその影響が及んだ場合、偏光部材4cが接合部材6と接合あるいは接触していると、そのことで偏光部材4cにも影響が及ぶ可能性があるためである。光吸収部材4bは、凹部5aの底面及び側面に配置されている。従って、偏光部材4cは、凹部5aの側面を被覆する光吸収部材4bとその一部が接触している。
このように、光吸収部材4bが、放熱部材5の凹部5a内に配置していることにより、偏光部材4cを通過し、凹部5aに到達した光は、その空間によってより一層反射されやすくなり、拡散又は反射した光が偏光部材4cをより通過しにくくなる。その結果、再度、光吸収部材4bで吸収されやすくなり、外部に放出される又は漏洩するはずのレーザ光を有効に低減させることができる。
上述した蛍光モジュールを構成する各部材は、以下の通りである。
〔蛍光部材3〕
蛍光部材3は、半導体レーザ素子から出射されるレーザ光を波長変換するために利用される部材である。そのために、半導体レーザ素子から出射されるレーザ光を波長変換することができる蛍光体を含む蛍光体含有層1と、蛍光部材3に入射した光を反射させる光反射層2とを、光の入射側からこの順に備える。蛍光体含有層1と、光反射層2とは離間して配置していてもよいが、蛍光体により波長変換された光を効率的に取り出すために、蛍光体含有層1と、光反射層2とは、接触していることが好ましい。
蛍光部材3は、後述する放熱部材5の上方に配置されるため、その上面視において、光緩和部が配置される領域の外側に、放熱部材と接合するための接合領域を有することが好ましい。
(蛍光体含有層1)
蛍光体は、例えば、当該分野で公知のものを使用することができる。具体的には、セリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)、セリウムで賦活されたルテチウム・アルミニウム・ガーネット(LAG)、ユウロピウムで賦活されたシリケート((Sr,Ba)2SiO4)、マンガンで賦活されたフッ化物錯体蛍光体〔A2MF6:Mn(AはLi、Na、K、Rb、Cs、NH4から選ばれる1種以上;MはGe、Si、Sn、Ti、Zrから選ばれる一種以上)、例えば、K2SiF6:Mn(KSF)、KSNAF(K2Si1-xNaxAlx6:Mn)、K2TiF6:Mn(KTF)など〕などが挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。特に、蛍光部材3に照射するレーザ光を出射する半導体レーザ素子の活性層がGaN系材料からなる窒化物半導体レーザ素子である場合には、レーザ光に対する耐久性が高いYAG系蛍光体、LAG系蛍光体、SiAlON系蛍光体等が好ましい。この場合、YAG蛍光体に、青色光を発する半導体レーザ素子を組み合わせることにより白色光を得ることができる。
蛍光体含有層1は、蛍光体の単結晶又は焼結体等、蛍光体のみによって形成されていてもよいし、蛍光体と、蛍光体を保持するための保持材とにより形成されていてもよい。蛍光体と保持材とを有する場合には、蛍光体含有層1においてレーザ光の散乱をさせやすいため、蛍光体含有層1の光入射面を光取出面とする反射型の場合に適している。保持材は無機材料であることが好ましい。これにより、半導体レーザ素子から出射される光に起因する保持材の劣化、変色等を抑制することができる。無機材料としては、例えば、アルミナ、イットリア、ジルコニア、シリカ等のセラミックス、ガラス材料等が挙げられる。蛍光体は、例えば、蛍光体含有層1に対して30体積%~100体積%の量で含有されているものが好ましい。保持材として無機材料を用いる場合は、蛍光体含有層1をセラミックス等とすることができる。
蛍光体含有層1は、板状の部材であることが好ましい。また、実質的に平坦な面を有することが好ましく、実質的に平坦な面を上面及び下面として、それらを平行に備えることがより好ましい。実質的に平坦な面とは、巨視的に見て平坦であればよく、微視的に見て粗面であってもよい。
蛍光体含有層1の厚みは、ハンドリング性及び放熱性を考慮して、例えば、50μm~300μmが好ましく、80μm~200μmがより好ましい。蛍光体含有層1は、部分的に厚みが変化していてもよいが、均一な厚みを有していることが好ましい。蛍光体含有層1の形状及び大きさは適宜設定することができる。例えば、その形状は、三角形、四角形等の多角形、円形、楕円形又はこれらを組み合わせた形状が挙げられる。その大きさは、例えば、適用するレーザ光のスポット径が500μm程度の場合、そのスポットを数個~数十個配置し得るものが好ましく、数個~十個配置し得るものがより好ましい。これにより、レーザ光の照射位置の精度を緩和させることができる。具体的には、2μm2~300μm2の大きさが挙げられる。
蛍光体含有層1は、例えば、放電プラズマ焼結(SPS)、熱間静水圧成形(HIP)、冷間等方加圧成形(CIP)等を用いて形成することができる。
蛍光体含有層1の上面、つまり、レーザ光が入射する面に、例えば、反射防止膜、バンドパスフィルタ等が配置されていてもよい。反射防止膜は、レーザ光の波長域において、例えば、数%程度の低い反射率を有するもの、蛍光体の波長変換光に対しても同様に低反射率であるものが好ましい。これにより、蛍光部材3に入射する光及び出射する光の損失を低減することができる。反射防止膜の材料としては、SiO2、Al23、ZrO2、Nb25、MgO、Ta25等が挙げられる。これらは、2種以上積層してもよい。
(光反射層2)
光反射層2は、適用するレーザ光及び蛍光部材3によって波長変換された光の双方を反射し得る機能を有するものが好ましい。例えば、光反射層2は、照射されるレーザ光に対する反射率が80%以上であることが好ましく、さらには90%以上であることが好ましい。光反射層は、蛍光体による波長変換光に対する反射率も80%以上であることが好ましく、さらには90%以上であることが好ましい。光反射層2は、蛍光体含有層1の一面に層状に配置することが好ましい。光反射層2は、蛍光体含有層1と同じ大きさ及び形状であることが好ましいが、若干蛍光体含有層1よりも大きくてもよい。光反射層2の厚みは、上述の反射率が得られる程度に厚いことが好ましく、例えば100nm以上であることが好ましく、100nm~3μmがより好ましい。
光反射層2としては、単層又は多層の誘電体膜、単層又は多層の金属膜、これらの組み合わせが挙げられる。誘電体多層膜としてはSiO2膜とNb25膜とが繰り返し積層された多層膜等が挙げられる。幅広い波長帯で比較的高い反射率を得るために、光反射層2は金属層を含むことが好ましい。例えば、光反射層2は、Ag層又はAl層を含むことが好ましい。金属層を蛍光体含有層1に直接設けると、一部の光が金属層で吸収されることがあるため、金属層と蛍光体含有層1との間に、単層又は多層の誘電体膜を設けてもよい。また、蛍光部材への密着性を向上させる膜、金属マイグレーションを予防する膜等を含んでいてもよい。密着性向上膜としては、Ti、Al23からなるもの等が挙げられる。金属マイグレーションを予防する膜としては、Pt、Rh、W、Ruからなるもの等が挙げられる。
〔光緩和部4A、4B〕
光緩和部4A、4Bは、光を吸収及び/又は拡散することができるものであればよい。例えば、上述したように、光吸収部材4a、4b、偏光部材4c、光拡散部材等又はこれら2種以上の部材の組み合わせを有するものが挙げられる。これらの部材は、当該分野で公知のもののいずれを用いてもよい。例えば、光吸収部材4a、4bとしては、レーザ光を吸収し得るもの、具体的には、レーザ光の波長が400nm~470nmである場合は、Au、W、Ti、Ni、Cu、V、Pt等又は酸化銅、酸化鉄、酸化クロム等が挙げられる。これら部材の表面は、平坦であるよりも、粗面であるほうが好ましい。照射されたレーザ光の偏光方向を変化させることができるためである。偏光部材4cとしては、レーザ光を透過又は反射させられるもの、具体的には、液晶素子、金属、樹脂等で作成された偏光板、偏光シート等が挙げられる。
光拡散部材としては、例えば、酸化シリコン、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、珪酸カルシウム、酸化亜鉛、チタン酸バリウム、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化クロム、酸化マンガン等が挙げられる。また、光拡散部材として、任意の形状の空間を構成する平滑な面及び/又は粗面を利用してもよい。
光緩和部は、照射されたレーザ光を吸収及び/又は拡散することができる限り、層状(単層又は積層構造)以外の形状であってもよい。
一実施形態では、図1Aに示すように、光緩和部として層状の光吸収部材4aのみにより構成されるものが挙げられる。なお、光吸収部材4aは、その表面に凹凸を有するものとすることが好ましく、その中でも比較的粗いもの(例えば、Ra=400nm以上)とすることがより好ましい。
光緩和部の他の実施形態では、図1Bに示すように、後述する放熱部材5の上面に開口を有する凹状の空間を利用して、その底面及び側面を凹状に被覆する光吸収部材4bにより構成されるものが挙げられる。例えば、図1Bのような凹部の底面及び側面に光吸収部材4bを配置する場合、側面での反射を促進し得るように、光吸収部材4bの表面が平滑であることが好ましく、底面では、側面よりもその表面が粗いものが好ましい。
なお、放熱部材5において光吸収部材4bが配される領域についても、光吸収部材4bの表面が粗い領域に対応して表面を粗くするのが好ましい。例えば、放熱部材5の側面に、表面の粗い光吸収部材4bが配される場合は、対応して放熱部材5の側面も粗くするのが好ましい。
また、光緩和部の別の実施形態では、光吸収部材4aと偏光部材4cとを組み合わせたものが挙げられる。この場合、レーザ光を、蛍光モジュールの蛍光体含有層に対して特定の角度で入射するように設定することにより、蛍光モジュールの破損等によって蛍光部材が脱離した場合に、レーザ光が特定角度の入射で偏光部材4cに入射するが、光吸収部材又は放熱部材等により反射し、そのレーザ光が、特定角度と異なる角度となって偏光部材4cに戻る場合には、その光を通過させないものとすることができる。
例えば、図1Cに示すように、層状の光吸収部材4aと偏光部材4cとの2種以上の部材を積層し、偏光部材4cをレーザ光の上流側に配置したもの、図1Dに示すように、凹部5aの空間を利用して、その底面及び側面に配置された凹状の光吸収部材4bと、その上面に平板状の偏光部材4cを一部接触させて配置するものが挙げられる。光吸収部材4aと偏光部材4cとは、図1Cに示したように層状のものが接触又は積層して用いてもよいし、図1Dに示すように一部又は全部を離間させて用いてもよい。
また、図1Gに示すように、放熱部材の上面の凹部の底面及び側面に沿って凹状の光吸収部材4bを配置し、偏光部材4cを、その凹状の光吸収部材4bの側面の途中に架け渡すように配置してもよい。偏光部材と光吸収部材とは、いずれが光照射側に配置されてもよいが、偏光部材が光照射側に配置されることが好ましい。なかでも、光緩和部においては、偏光部材4cと、光吸収部材4a、4bとは、一部又は全部が離間していることが好ましく、偏光部材が光照射側に配置され、かつ一部又は全部が離間して配置されていることがより好ましい。
また、両者は平行又は略平行に離間しているよりも、偏光部材4cに対して平行及び傾斜していることが好ましく、且つ、光吸収部材4a、4bが離間していることが好ましい。レーザ光が偏光部材4cを通過しても、光吸収部材4a、4bに吸収されずに反射する場合に、両者の離間又は両者の間に配置される空間によって、その反射光を、平行又は傾斜した偏光部材4cに対して、より通過させにくくすることができ、光緩和効果を増大させることができる。
光緩和部4A、4Bは、上述した光反射層2の下方に配置していればよく、図1Eに示すように、光緩和部4A、4B、特に偏光部材4cが光反射層2に一部又は全部が接触していてもよいし、図1Fに示すように、光緩和部4A、4B、特に偏光部材4cが透光性部材7を介して、一部又は全部が接触していてもよいが、離間していることが好ましい。蛍光部材3に剥離又は割れ等が生じた場合に、その不具合が光緩和部に及ばないようにするためである。なお、光緩和部4A、4B、例えば、光吸収部材4a、4b及び/又は偏光部材4cは、放熱部材5から離間していてもよいが、例えば、放熱部材5の表面に接触して配置されるか、一部が埋め込まれているか、図1A及び1Cに示すように全部が埋め込まれて配置されているか、放熱部材5の上面に開口を有する凹部5aが配置されている場合には、その凹部5aの底面にのみ又は、図1B及び1D等に示すように、凹部5aの体面及び側面の全面に接触して配置されていることが好ましい。
光吸収部材4aの厚みは、用いる材料によって適宜調整することができるが、例えば、0.4μm~500μmが挙げられる。これにより、レーザ光を多く吸収し、かつ、蛍光部材の熱を放熱部材へ効果的に排熱することができる。光吸収部材4aの平面形状は、例えば、蛍光部材、蛍光体含有層及び光反射層等の平面形状と略同様又はそれらの平面形状に含まれ得る形状であればよいが、これらの部材又は層の大きさよりも若干小さいものが好ましい。
偏光部材4cは、層状のものが好ましい。偏光部材4cの平面形状は、例えば、蛍光部材、蛍光体含有層及び光反射層等の平面形状と略同様又はそれらの平面形状に含まれ得る形状であればよく、これらの部材又は層の大きさよりも若干小さいものが好ましい。偏光部材4cは、p偏光、s偏光等を実現し得る当該分野で公知のもののいずれを実現するものでもよい。
〔放熱部材5〕
放熱部材5は、蛍光部材3の熱を放熱するために用いられる。放熱性が良好な材料としては、蛍光体よりも熱伝導率の大きな材料によって形成することが好ましい。これにより、蛍光部材、特に蛍光体含有層で発生する熱を効果的に放出することができ、蛍光体の発光効率の向上を図ることができる。そのような材料としては、金属、セラミックス又はこれらの組み合わせが挙げられる。例えば、Ag、Cu、Al、Au、Rh等の金属又はこれら一種以上を含む合金等、AlNセラミックス等が挙げられる。
放熱部材5の厚みは、強度を確保し得る厚みがあればよく、例えば、500μm~5mmが挙げられる。放熱部材5の大きさは、平面形状が、蛍光部材、光緩和部よりも大きいものが好ましい。これにより、他の部材との接合面積を増やすことができ、また、5の熱容量が増えるため、効率的に蛍光体の熱を排熱することが可能となる。また、その上面は、平坦であってもよいし、粗面であってもよいし、上面に凹部5aが配置されていてもよい。凹部は、例えば、深さが100μm~2000μmが挙げられる。
凹部5aは、例えば、図1B等に示されるように、側面が、上面又は蛍光部材3に対して略垂直なもの、図1Iに示すように、側面が、上方ほど幅狭となるもの等が挙げられる。このような形状によって、凹状の下方に到達したレーザ光が、反射によって凹状の開口から出射することをより低減させることができる。
上述した蛍光部材、光緩和部等は、放熱部材5に固定して配置することが好ましく、例えば、接合部材を用いて固定することが好ましい。接合部材としては、例えば、錫-ビスマス系、錫-銅系、錫-銀系、金-錫系などの半田、AuとSnとを主成分とする合金、AuとSiとを主成分とする合金、AuとGeとを主成分とする合金等の共晶合金、あるいは、銀、金などの導電性ペースト、低融点金属のろう材、これらを組み合わせた複合接着剤等が挙げられる。特に、蛍光部材3は、放熱部材5に対して一部又は全部が配置され、蛍光部材3のレーザ光照射領域外、例えば、その外周において、接合領域として、図1A等に示すように接合部材6を介して又は図1Hに示すように接合部材6とサブマウント8との積層部材を介して、固定されていることが好ましい。接合部材6とサブマウント8との積層部材を利用する場合には何れを蛍光部材側に配置してもよい。このような固定によって、蛍光部材3で発生した熱の放熱経路を確保することが可能となる。
(透光性部材7)
蛍光モジュールは、さらに、透光性部材7を備えていてもよい。透光性部材7は、例えば、蛍光体含有層1に外部衝撃が加わったときに、破損しにくくするために、図1Fに示すように、蛍光部材3と光緩和部4Bとの間に配置してもよいし、蛍光体含有層1の上面に配置してもよい。透光性部材7は、例えば、適用するレーザ光の70%以上を透過するものが好ましく、80%以上を透過することがより好ましい。透光性部材7としては、無機ガラス、サファイア、石英、樹脂等が挙げられる。なかでも、熱伝導性が比較的良好なサファイアが好ましい。これにより、蛍光部材3で生じた熱を、透光性部材7で引くことができるため、蛍光部材3中の蛍光体の発光効率の向上を図ることができる。
実施形態5:照明装置20
一実施形態の照明装置20は、図2に示すように、レーザ光を放射するレーザ装置21及び上述した蛍光モジュール10とを有して構成される。
レーザ装置21は、当該分野で公知のパッケージに発光素子が収容されているものが挙げられるが、発光素子自体であってもよい発光素子と蛍光モジュール10とは、レーザ装置21における発光素子から出射されるレーザ光が、蛍光モジュール10の蛍光体含有層に入射するように配置されている。また、蛍光モジュール10における光緩和部は、蛍光モジュールから蛍光部材が取り除かれた場合に、蛍光モジュールへ放射されたレーザ光が入射する位置に設けられている。言い換えると、発光素子と、蛍光モジュールとは、発光素子から放射されるレーザ光が蛍光モジュールに入射し、かつ、レーザ光の蛍光部材への入射方向の前方又は下流に蛍光体含有層及び光反射層を介して光緩和部が位置するように配置されている。
照明装置20は、蛍光モジュール10から出射される光を所望の配光等に変更し得る光学部材22を通して外部に出射することができる。また、上述したように、出射したレーザ光の波動の振動方向が特定の角度で入射するため、空間光変調器23をレーザ装置21と蛍光モジュール10との間に備えていてもよい。
このような構成を有することにより、蛍光部材に何ら不具合が生じていない場合は、レーザ光は、設計どおりに、その略全てが蛍光部材に入射する。レーザ光の一部は、蛍光体含有層の蛍光体によって波長変換及び反射又は拡散され、そのまま外部に向かうか、あるいは光反射層で反射され、外部に向かう。レーザ光の他の一部は、蛍光部材に入射しても、蛍光体によって波長変換されずに光反射層で反射され、外部に向かう。そして、これらの波長変換光と、波長変換されていない光とが混じり合い、例えば、白色光として外部に出射される。一方、蛍光部材に剥離又は割れ等が発生しても、蛍光部材に照射されたレーザ光は、蛍光部材の下流に配置された光緩和部が効果的にレーザ光を吸収又は低減し、反射によって外部に放出される又は漏洩するはずのレーザ光を有効に低減させることができる。従って、例えば、照明装置として、車載ヘッドライト、プロジェクタ等の用途において、振動、外部衝撃等に起因して、蛍光部材に破損が生じ、特に蛍光体含有層にレーザ光が照射されなかった場合であっても、光緩和部でレーザ光を吸収又は低減することができ、反射によるレーザ光の直接の視認を回避することができる。
例えば、照明装置が図1Aに示す蛍光モジュール10Aを備える場合、蛍光部材、特に蛍光体含有層に剥離又は割れ等が発生しても、蛍光部材に照射されたレーザ光は、蛍光部材の下流に配置された光吸収部材4aが効果的にレーザ光を吸収又は低減し、反射によって外部に放出される又は漏洩するはずのレーザ光を有効に低減させることができる。
照明装置が図1Bに示す蛍光モジュール10Bを備える場合、蛍光部材、特に蛍光体含有層に剥離又は割れ等が発生しても、蛍光部材に照射されたレーザ光は、凹部5aに到達する。凹部5aの底面及び側面には光吸収部材4bが配置されているために、凹部5aに到達したレーザ光は、その多くが吸収される。これによって、反射によって外部に放出される又は漏洩するはずのレーザ光を有効に低減させることができる。
照明装置が図1Cに示す蛍光モジュール10Cを備える場合、蛍光部材、特に蛍光体含有層に剥離又は割れ等が発生しても、蛍光部材に照射されたレーザ光は、偏光部材4cを通過し、光吸収部材4aに到達し、その多くが吸収される。吸収されなかった一部の光は、放熱部材5によって反射され再度、光吸収部材4bで吸収される。これによって、反射によって外部に放出される又は漏洩するはずのレーザ光を有効に低減させることができる。
照明装置が図1Dに示す蛍光モジュール10Dを備える場合、レーザ光は、蛍光モジュールの蛍光体含有層に対して特定の角度で入射するように調整されており、偏光部材4cは、蛍光モジュールから蛍光部材が取り除かれた場合に、蛍光モジュールへ放射されたレーザ光が偏光部材へと入射する角度に基づき、この角度と異なる角度の光を通過させないように調整されているものが好ましい。言い換えると、レーザ光は、蛍光モジュールの蛍光体含有層に対して特定の角度で入射するように調整されていることが好ましく、正反射の反射率がゼロに近いように調整されていることがより好ましく、例えば、蛍光体含有層の入射面に対して、ブリュースター角となる角度に調整されていることがさらに好ましい。
このような構成によって、蛍光部材3において、例えば、蛍光体含有層1及び/又は光反射層2において、剥離又は割れが発生して所定の位置から脱落し、レーザ光が、偏光部材4cを通過し、凹部5aに到達しても、凹部5aの底面及び側面には光吸収部材4bが配置されているために、その多くが光吸収部材4bで吸収されることとなる。一方、吸収されなかった一部の光は、反射され再度、光吸収部材4bで吸収される。また、一部の光は偏光部材4cに再度到達するが、拡散反射されたことにより偏光方向が変化し、偏光部材4cをもはや通過できずに反射され、再度、凹部5a内に戻り、その底面及び側面に配置した光吸収部材4bで吸収されることとなる。これによって、反射によって外部に放出される又は漏洩するはずのレーザ光をより有効に低減させることができる。
(発光素子)
発光素子は、照明装置の光源として用いられる。発光素子が出射するレーザ光の波長は、例えば、400nm~470nmの範囲内のピーク波長のものが挙げられる。レーザ光のスポットの面積は、上面視において、蛍光部材の表面で、例えば、1mm2以下であることが好ましく、0.5mm2以下であることがより好ましい。レーザ光のスポットの面積は、例えば0.007mm2以上が挙げられる。また、上面視において、レーザ光のスポットのサイズは、その幅が、例えば0.1mm以上であるものが挙げられる。なお、幅とは、略円形の場合は直径を指し、略楕円形状の場合は長径(長軸の長さ)を指す。レーザ光のスポットは、レンズ又はファイバー等の光学部材を用いることによって調整することができる。
発光素子は、パッケージにより気密封止されていることが好ましく、これにより発光素子が出射するレーザ光による集塵を抑制することができる。
この照明装置では、1つの発光素子を用いてもよいし、複数の発光素子を用いてもよい。この場合、例えば、複数の発光素子から出射する複数のレーザ光を1つのビームに集光して用いることが好ましい。これにより、高密度のレーザ光を取り出すことができ、高輝度を得ることができる。発光素子は、同じ波長のものであってもよいし、異なる波長のものであってもよい。
発光素子は、例えば、430nm~470nmの範囲にピーク波長を有するレーザ光を出射する。このような波長帯のレーザ光は、YAG系蛍光体の励起に適している。また、このような波長帯のレーザ光を出射する発光素子としては、GaN系半導体レーザ素子が挙げられる。
また、蛍光体含有層1に含まれる蛍光体は前述したものだけに限らず、YAG系蛍光体を複数種類組み合わせてもよい。以下、蛍光体を複数種類組み合わせたものを「混合蛍光体」と記す。具体的には、YAG蛍光体及びGa-YAG蛍光体を含む混合蛍光体を同一層内に含み、蛍光体含有層1に用いてもよい。なお、本明細書において、Ga-YAG蛍光体とは、YAG蛍光体を構成するアルミニウムの一部をガリウムで置換した蛍光体を指す。
半導体レーザの発振波長は製造時にある程度のばらつきが生じる。このため、YAG蛍光体に、青色レーザ光を発振する半導体レーザを組み合わせることで白色光を得る場合、半導体レーザから出射される励起光とYAG蛍光体から発せられる蛍光によって得られる白色光の色度は、複数の発光装置間を比べたときに異なることがある。つまり、励起光のバラツキに起因する色度差が生じることがある。上述した混合蛍光体を用いることにより、複数の発光装置間の色度差を低減することが可能である。
混合蛍光体を用いることにより、蛍光体含有層1としてYAG蛍光体を単独で用いる場合と比べて、励起光と混合蛍光体から発せられる蛍光によって得られる白色光の色度差が低減される。励起光のピーク波長は、YAG蛍光体及びGa-YAG蛍光体を効率よく励起するために、それぞれの励起スペクトルのピーク波長をまたぐような波長範囲の中から選択されることが好ましい。例えば、レーザ装置から放射されるレーザ光のピーク波長が440nm~460nmの範囲であることが好ましい。この範囲であれば、励起スペクトルのピーク強度比較的高い範囲で混合蛍光体を励起できるので、発光強度の低下を低減することができる。また、レーザ装置から放射されるレーザ光のピーク波長は、YAG蛍光体及びGa-YAG蛍光体の励起スペクトルの強度が85%以上の強度を有する程度の範囲内に収まることが好ましい。蛍光体含有層1は、蛍光体として混合蛍光体のみ、すなわちYAG蛍光体とGa-YAG蛍光体のみを有することが、色度差を低減するためには好ましい。なお、このような混合蛍光体の色度差の低減効果は、光反射層と光緩和部と放熱部材を備えなくても得ることができる。また、蛍光体含有層1は、混合蛍光体と、混合蛍光体を保持するための保持材とにより形成されていてもよい。この場合、蛍光体含有層1は、YAG蛍光体と、Ga-YAG蛍光体とを同一層内に含み、YAG蛍光体とGa-YAG蛍光体全体に対するGa-YAG蛍光体の体積割合が19.0%から78.5%となる蛍光体板である。
図3A及び図3Bを用いて、YAG蛍光体とGa-YAG蛍光体との混合比について説明する。
図3Aは、YAG蛍光体とGa-YAG蛍光体全体に対するGa-YAG蛍光体の体積割合rを順次変化させた混合蛍光体を、440nm及び460nmの励起波長で励起した際に、励起光及び混合蛍光体から発せられる蛍光によって得られた白色光の色度を色度座標上にプロットしたグラフである。なお、この実験に用いたYAG蛍光体の組成はY2.90Ce0.10Al512であり、Ga-YAGの組成はY2.94Ce0.06Al3.5Ga1.512である。平均粒径は共に10μmである。また、YAG蛍光体発光スペクトルのピーク波長は562nmであり、Ga-YAG蛍光体のピーク波長は531nmである。図3A中の灰色の破線は励起波長が440nmである場合の色度座標を結んだものであり、灰色の実線は励起波長が460nmの場合の色度座標を結んだものである。
図3Bは、各混合比に対して、x色度座標の変化量の絶対値とy色度座標の変化量の絶対値を図3Aからそれぞれ求めプロットしたグラフである。
上記rの値は、r=19.0~78.5の範囲が好ましい。図3Aから、r=9.43の場合、r=0の結果と比べて、y色度座標の下限値がほとんど変わらない。一方で、r=19.0の場合、r=0、9.43の場合と比べてy色度座標の下限値を大きくすることができる。従って、r=19.0以上が好ましい。また、図3A及び図3Bから、r=78.9のとき、YAG蛍光体単体と比べて、色見をなるべく変化させることなく、得られた実験結果の範囲内でx色度座標及びy色度座標の色度差が共に最小となることがわかる。従って、r=80以下が好ましい。また、r=78.9以下がさらに好ましい。色度差をさらに低減するための好ましいrの値は、r=58.5~78.5である。r=58.4のとき、y色度座標の変化量の絶対値はr=89.4の結果とほぼ変わらないが、x色度座標の変化量の絶対値はより小さくなる。
また、上記混合量の割合は目的に応じて変更することができる。自動車用の国際規格、例えばECE規格が定める白色の範囲内で、色度差を小さくすることもできる。
蛍光体含有層におけるYAG蛍光体とGa-YAG蛍光体の体積割合は、蛍光体含有層の一断面から両者の断面積比を求めればよい。得られる断面積比をYAG蛍光体とGa-YAG蛍光体の体積比とする。例えば、断面のエネルギー分散型X線分析(EDX)や電子線マイクロアナライザー(EPMA)を用いて元素マッピングを行い、面積比を調べる手法が挙げられる。
上記した色度差が低減される理由は以下のように推測される。
まず、単一の蛍光体を用いる場合を考える。この場合、励起光のピーク波長が蛍光体の励起スペクトルのピーク波長と同じときと比べて、励起光のピーク波長が蛍光体の励起スペクトルのピーク波長と異なるときは、発光強度が下がるので、色度差が生じる。
次に、発光色が類似する2種類以上の蛍光体を含む混合蛍光体を用いる場合を考える。具体的に、YAG蛍光体とGa-YAG蛍光体を例として説明する。励起光が混合蛍光体に入射されることで、YAG蛍光体及びGa-YAG蛍光体が共に発光し、これらの発光スペクトルを重ね合わせたスペクトルが混合蛍光体の発光スペクトルとして得られる。この場合、複数の発光装置間で励起光のピーク波長にバラツキがある場合でも、単一の蛍光体を用いる場合と比較して、一方が他方を補うので混合蛍光体の発光強度の変化が小さくなる。結果として、得られる白色光の色度差が低減すると考えられる。
以上の考察から、混合蛍光体を用いることにより、たとえ複数の発光装置間で励起光の波長が異なっていたとしても、単一蛍光体を用いる場合と比較して、得られる白色光の色度ずれは低減されると推測している。
上記混合蛍光体として、YAG蛍光体とGa-YAG蛍光体を例に挙げたが、他の蛍光体を組み合わせることも考えられる。組み合わせ得る蛍光体は、各励起光のピーク波長において、それぞれの蛍光体を励起できるとともに、発光色が近いものを選べばよい。
図3Aのように、ピーク波長が440nm及び460nmの半導体レーザで混合蛍光体を励起する場合に生じる色度差は、上述の体積割合の範囲でYAG蛍光体にGa-YAG蛍光体を混合することで低減されるが、加えて、この時組み合わせる蛍光体のピーク波長とYAG蛍光体の発光スペクトルのピーク波長との差が60nm以下であればよく、好ましくは40nm以下であればよい。このとき、単一の蛍光体を用いる場合と比較して、一方が他方を補いやすくなるので混合蛍光体の発光強度の変化が小さくなる。発光スペクトルのピーク波長差が上述した範囲に収まれば、より効果的に色度差が低減されると考えられる。
また、蛍光モジュールは、上面視において、蛍光体含有層1の外周からはみ出さないように、前述した光反射層2の大きさが蛍光体含有層1よりも小さくして設けてもよい。光反射層2が板状の場合、光反射層の短辺及び長辺を短くして設けてもよい。
光反射層2の大きさを蛍光体含有層1の大きさよりも小さくする場合、図4に示すように、蛍光モジュール10Jの光反射層2は蛍光体含有層1及び保護層9に覆われている。これにより、光反射層2を汚染又は腐食させる原因となり得るガス、塩水などが光反射層2に到達する可能性を低下することができるので、光反射層2の劣化を低減することができる。特に、光反射層2にAg、Alなどの劣化しやすい材料を用いる場合にこのような構造を用いることが好ましい。
保護層9には、金属等が利用できる。例えば、Ti、Ni、Cu、Ta、W、Pt、Auなどが挙げられる。具体的には、Tiの単層膜を用いることができる。TiはAlに対する密着力が高い。また、これらの積層構造でもよいし、セラミックス材料、樹脂等を用いてもよい。
本発明の波長変換部材および照明装置は、ヘッドライトを含む車載用の各種光源、プロジェクタ装置の光源、液晶ディスプレイのバックライト光源、各種照明器具などの各種用途に利用することができる。
1 蛍光体含有層
2 光反射層
3 蛍光部材
4A、4B 光緩和部
4a、4b 光吸収部材
4c 偏光部材
5 放熱部材
5a 凹部
6 接合部材
7 透光性部材
8 サブマウント
9 保護層
10、10A、10B、10C、10D、10E、10F、10G、10H、10I、10J 蛍光モジュール
20 照明装置
21 レーザ装置
22 光学部材
23 空間光変調器

Claims (12)

  1. 蛍光体含有層及び光反射層を含む蛍光部材と、
    光を吸収又は拡散する光緩和部と、
    前記蛍光部材が固定された放熱部材とを備え、
    前記光反射層は、前記蛍光体含有層と前記光緩和部とに挟まれ、かつ、前記蛍光体含有層と前記放熱部材とに挟まれた位置に配置され、
    前記放熱部材は凹部を有し、前記光緩和部は、前記凹部の底面および側面を被覆するように凹状に配置されている蛍光モジュール。
  2. 前記蛍光部材は、前記放熱部材の上方に配され、上面視において、前記光緩和部が配置される領域の外側に、前記蛍光部材が前記放熱部材と接合する接合領域を有する請求項1に記載の蛍光モジュール。
  3. 前記光緩和部は、光を吸収する光吸収部材を有する請求項1に記載の蛍光モジュール。
  4. 前記光緩和部は、前記凹部の上に配置された偏光部材を有する請求項1から3のいずれか一項に記載の蛍光モジュール。
  5. 前記光反射層と前記偏光部材とが接触して配置されている請求項4に記載の蛍光モジュール。
  6. 接合部材が、前記偏光部材の外側に配置され、前記接合領域が、前記偏光部材の外側に設けられている請求項2に従属する請求項4又は5に記載の蛍光モジュール。
  7. 前記蛍光部材と前記放熱部材の間に配され、前記蛍光部材と前記放熱部材とを接合するサブマウントをさらに備える請求項1から6のいずれか一項に記載の蛍光モジュール。
  8. 前記蛍光体含有層は、セリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネットであるYAG蛍光体及びYAG蛍光体を構成するアルミニウムの一部をガリウムで置換した蛍光体であるGa-YAG蛍光体を同一層内に含み、
    前記YAG蛍光体と前記Ga-YAG蛍光体全体に対するGa-YAG蛍光体の体積割合が19%から80%である請求項1から7のいずれか一項に記載の蛍光モジュール。
  9. 前記Ga-YAG蛍光体の体積割合は60%から80%である請求項8に記載の蛍光モジュール。
  10. レーザ光を放射するレーザ装置と、
    請求項1~9のいずれか1つに記載の蛍光モジュールと、を有し、
    前記レーザ光は、前記蛍光モジュールの前記蛍光体含有層に入射し、
    前記蛍光モジュールにおける前記光緩和部は、前記蛍光モジュールから前記蛍光部材が取り除かれた場合に、前記蛍光モジュールへ放射されたレーザ光が入射する位置に設けられる照明装置。
  11. 前記蛍光モジュールは、請求項4または5に記載の前記蛍光モジュールであり、
    前記レーザ光は、前記蛍光モジュールの前記蛍光体含有層に対して特定の角度で入射し、
    前記偏光部材は、前記蛍光モジュールから前記蛍光部材が取り除かれた場合に前記蛍光モジュールへ放射されたレーザ光が前記偏光部材へと入射する角度に基づき、当該角度と異なる角度の光を通過させない請求項10に記載の照明装置。
  12. 前記特定の角度は、前記蛍光体含有層の入射面に対する前記レーザ光の入射角がブリュースター角となる角度である請求項11に記載の照明装置。
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