JP7416941B2 - 光学素子および画像表示装置 - Google Patents

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Description

本発明は、光を入射して伝播して出射する光学素子、および、この光学素子を用いる画像表示装置に関する。
近年、非特許文献1に記載されるような、実際に見ている光景に、仮想の映像および各種の情報等を重ねて表示する、AR(Augmented Reality(拡張現実))グラスが実用化されている。ARグラスは、スマートグラス、ヘッドマウントディスプレイ(HMD(Head Mounted Display))、および、ARメガネ等とも呼ばれている。
非特許文献1に示されるように、ARグラスは、一例として、ディスプレイ(光学エンジン)が表示した映像を、導光板の一端に入射して伝播し、他端から出射することにより、使用者が実際に見ている光景に、仮想の映像を重ねて表示する。
ARグラスでは、回折素子を用いて、ディスプレイからの光(投影光)を回折(屈折)させて導光板の一方の端部に入射する。これにより、角度を付けて導光板に光を導入して、導光板内で光を全反射して伝播させる。導光板内を伝播した光は、導光板の他方の端部において同じく回折素子によって回折されて、導光板から、使用者による観察位置に出射される。
ここで、非特許文献1に示されるARグラスでは、赤色、緑色および青色の三色の光からなるフルカラー画像を表示する際には、青色画像用の導光板、緑色画像用の導光板、および、赤色画像用の導光板の3枚の導光板を用いていた。
しかしながら、導光板の数が多いと、ARグラスが大型化してしまい、さらに、重量も重くなってしまう。そのため、ARグラスに使用する導光板は、少ないほうが好ましく、導光板が1枚のARグラスが望まれている。
これに対して、特許文献1には、ARグラスにおいて、赤色、緑色および青色の三色の光からなる画像をディスプレイから照射して、それぞれの光を入射回折素子によって回折させて1枚の導光板に入射して、導光板を伝播させて、出射回折素子によって、導光板から使用者による観察位置に出射させて、三色の光の画像を重畳して表示することで、カラー画像を表示することが記載されている。
国際公開第2017/180403号
Bernard C. Kress et al., Towards the Ultimate Mixed Reality Experience: HoloLens Display Architecture Choices, SID 2017 DIGEST, pp.127-131
ARグラスには、使用者が視線を変えることなく、ディスプレイの表示画面における広い領域の画像が観察できること、すなわち、FOV(Field of View)が広いことが要求される。
これに対応して、特許文献1に記載されるARグラスでは、入射回折素子から入射して導光板内を伝播する光を、中間回折素子によって、さらに回折して導光板内を伝播させて、出射回折素子によって出射させることが記載されている。
特許文献1に記載されるARグラスでは、これにより、出射回折素子からの光の出射領域を拡大して、FOVの拡大を図っている。
また、ARグラスには、FOVが広いことに加え、画像の滲み、二重像および色ズレ等を生じることなく、適正な画像が観察できること、すなわち、いわゆるクロストークを生じることなく、適正な画像が観察できることが要求される。
しかしながら、導光板が1枚のARグラスは、クロストークが発生し易い。また、FOVを広くするほど、クロストークが発生し易い。そのため、1枚の導光板で、クロストークを抑制した上で、広いFOVを実現したARグラスの出現が望まれている。
本発明の目的は、このような従来技術の問題点を解決することにあり、ARグラスなどに用いられる光学素子であって、1枚の導光板で、クロストークを抑制して、より広いFOVを実現できる光学素子、および、この光学素子を用いる画像表示装置を提供することにある。
この課題を解決するために、本発明は、以下の構成を有する。
[1] 導光板と、導光板に光を入射させる入射部と、導光板から光を出射させる出射部とを有し、
入射部は6以上の回折素子を有し、出射部は8以上の回折素子を有し、かつ、入射部および出射部は、回折素子として、回折構造における周期がΛ1であるΛ1回折素子、回折構造における周期がΛ2であるΛ2回折素子、および、回折構造における周期がΛ3であるΛ3回折素子を有し、
周期Λ1、周期Λ2および周期Λ3は、『Λ1:Λ2:Λ3=1:1/√2±0.015:1/2±0.015』の関係を満たし、
Λ1回折素子の回折構造における周期方向と、Λ2回折素子の回折構造における周期方向とが成す角度、および、Λ2回折素子の回折構造における周期方向と、Λ3回折素子の回折構造における周期方向とが成す角度が、45°±0.5°、または、135°±0.5°であり、さらに、
入射部に設けられるΛ2回折素子の回折構造における周期方向と、出射部に設けられるΛ2回折素子の回折構造における周期方向とが成す角度が、0°±0.5°、および、90°±0.5°、180°±0.5°、および、270°±0.5°のいずれかであることを特徴とする光学素子。
[2] 回折素子は、液晶化合物を含む組成物を用いて形成された、液晶化合物由来の光学軸の向きが面内の少なくとも一方向に沿って連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを有する液晶回折層を有し、
液晶配向パターンにおいて、液晶化合物由来の光学軸の向きが面内の少なくとも一方向に沿って連続的に回転しながら変化している方向が、回折素子の回折構造における周期方向であり、
回折構造における周期方向において、液晶化合物由来の光学軸の向きが180°回転する長さが、回折素子の回折構造における周期である、[1]に記載の光学素子。
[3] 液晶回折層が、コレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層である、[2]に記載の光学素子。
[4] 光学素子が、複数のΛ1回折素子を有し、かつ、
入射部および出射部は、互いの回折構造における周期方向が成す角度が180°±0.5°であるΛ1回折素子の組み合わせを有する、[1]~[3]のいずれかに記載の光学素子。
[5] 入射部および出射部が、複数のΛ3回折素子を有し、かつ、
入射部および出射部は、互いの回折構造における周期方向が成す角度が180°±0.5°であるΛ3回折素子の組み合わせを有する、[1]~[4]のいずれかに記載の光学素子。
[6] 入射部および出射部が、複数のΛ2回折素子を有し、かつ、
入射部および出射部は、互いの回折構造における周期方向が成す角度が90°±0.5°であるΛ2回折素子の組み合わせを有する、[1]~[5]のいずれかに記載の光学素子。
[7] 1つのΛ2回折素子の回折構造における周期方向を0°とした際に、
出射部は、回折構造における周期方向が0°のΛ2回折素子に加え、回折構造における周期方向が90°±0.5°のΛ2回折素子、回折構造における周期方向が180°±0.5°のΛ2回折素子、および、回折構造における周期方向が270°±0.5°のΛ2回折素子を有する、[6]に記載の光学素子。
[8] [1]~[7]のいずれかに記載の光学素子と、
光学素子の入射部に画像を照射する表示素子とを有する、画像表示装置。
本発明によれば、例えばARグラス等において、1枚の導光板で、クロストークを防止して、広いFOVで画像を表示できる。
本発明の光学素子を用いる本発明の画像表示装置の一例を概念的に示す図である。 図1に示す光学素子の平面を概念的に示す図である。 液晶回折素子の一例を概念的に示す図である。 図3に示す液晶回折素子の液晶層を概念的に示す平面図である。 図4に示す液晶層の断面SEM(走査型電子顕微鏡)画像を概念的に示す図である。 図4に示す液晶層の作用を説明するための概念図である。 液晶回折素子に用いられる液晶層の他の例を概念的に示す図である。 液晶回折素子に用いられる液晶層の他の例を概念的に示す図である。 配向膜を露光する露光装置の一例の概念図である。 液晶回折素子の別の例を概念的に示す図である。 図10に示す液晶回折素子の液晶層を概念的に示す平面図である。 図10に示す液晶層の作用を説明するための概念図である。 図10に示す液晶層の作用を説明するための概念図である。 図1に示す光学素子の入射部を説明するための概念図である。 図1に示す光学素子の出射部を説明するための概念図である。 実施例2を説明するための概念図である。 実施例2を説明するための概念図である。 実施例におけるFOVの測定方法を説明するための概念図である。
以下、本発明の光学素子および画像表示装置について、添付の図面に示される好適実施例を基に詳細に説明する。
本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレートおよびメタクリレートのいずれか一方または双方」の意味で使用される。
本明細書において、「同一」は、技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含むものとする。また、本明細書において、「全部」、「いずれも」および「全面」などというとき、100%である場合のほか、技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含み、例えば99%以上、95%以上、または90%以上である場合を含むものとする。
本明細書において、可視光は、電磁波のうち、ヒトの目で見える波長の光であり、380~780nmの波長域の光を示す。非可視光は、380nm未満の波長域および780nmを超える波長域の光である。
またこれに限定されるものではないが、可視光のうち、420~490nmの波長域の光は青色光であり、495~570nmの波長域の光は緑色光であり、620~750nmの波長域の光は赤色光である。
図1に、本発明の光学素子および画像表示装置の一例を概念的に示す。
図2に、図1に示す画像表示装置の平面図を概念的に示す。図2は、図1に示す使用者Uによる画像の観察方向から、図1に示す画像表示装置(光学素子)を見た図である。
図1および図2に示すように、画像表示装置10は、光学素子12と、ディスプレイ14とを有する。光学素子12は、導光板18と、回折素子である入射素子を有する入射部20と、回折素子である出射素子を有する出射部24と、を有する。
図示例の光学素子12において、入射部20は、矩形状の平面形状を有し、矩形状の導光板18の主面の1つの角部の近傍に設けられる。出射部24は、導光板18の他方の主面に、導光板18の入射部20以外の領域を面方向に全面的に覆うように設けられる。すなわち、出射部24は、1つの角部を矩形状に切り欠いた矩形状の平面形状を有する。
なお、主面とは、シート状物(板状物、フィルム、層)の最大面である。
平面形状とは、各部材を使用者Uの観察方向から見た際の形状であり、光学素子12においては、導光板18、入射部20(入射素子)、および、出射部24(出射素子)の主面の形状である。
図1に示すように、図示例の画像表示装置10は、ディスプレイ14が表示(照射)した画像を担持する光を、入射部20によって回折して反射することにより、全反射可能な角度で導光板18に入射する。導光板18に入射した光は、導光板18内で全反射を繰り返して伝播し、出射部24に入射する。出射部24は、入射した光を回折して反射することにより、導光板18から出射させて、使用者Uによる観察位置に出射する。
図示例の光学素子12において、入射部20は、導光板18側から、入射素子26Λ1-1、入射素子26Λ1-2、入射素子28Λ2-1、入射素子28Λ2-2、入射素子30Λ3-1、および、入射素子30Λ3-2を有する。
入射素子26Λ1-1および入射素子26Λ1-2は、本発明におけるΛ1回折素子であり、回折構造(回折素子の周期構造)における周期がΛ1である。入射素子28Λ2-1および入射素子28Λ2-2は、本発明におけるΛ2回折素子であり、回折構造における周期がΛ2である。さらに、入射素子30Λ3-1および入射素子30Λ3-2は、本発明におけるΛ3回折素子であり、回折構造における周期がΛ3である。
なお、本発明の光学素子において、Λ1回折素子、Λ2回折素子およびΛ3回折素子の積層順には制限はなく、図示例以外にも、各種の積層順が利用可能である。すなわち、本発明の光学素子において、回折素子の積層順は、一例として、導光板18側から、Λ3回折素子、Λ2回折素子およびΛ1回折素子の順番でもよく、あるいは、導光板18側から、Λ2回折素子、Λ3回折素子およびΛ1回折素子の順番でもよい。
図示例の光学素子12において、出射部24は、導光板18側から、出射素子34Λ1-1、出射素子34Λ1-2、出射素子36Λ2-1、出射素子36Λ2-2、出射素子36Λ2-3、出射素子36Λ2-4、出射素子38Λ3-1、および、出射素子38Λ3-2を有する。
出射素子34Λ1-1および出射素子34Λ1-2は、本発明におけるΛ1回折素子であり、回折構造における周期がΛ1である。出射素子36Λ2-1、出射素子36Λ2-2、出射素子36Λ2-3および出射素子36Λ2-4は、本発明におけるΛ2回折素子であり、回折構造における周期がΛ2である。さらに、出射素子38Λ3-1および出射素子38Λ3-2は、本発明におけるΛ3回折素子であり、回折構造における周期がΛ3である。
後述するが、本発明の光学素子12において、回折素子の回折構造における周期Λ1、周期Λ2および周期Λ3は、『Λ1:Λ2:Λ3=1:1/√2±0.015:1/2±0.015』の関係を満たす。
図示例において、入射素子および出射素子は、好ましい態様として、液晶回折層を有するもので、いずれも、液晶回折層としてコレステリック液晶層を有する、反射型の液晶回折素子である。
ここで、本発明の光学素子12を用いる画像表示装置は、カラー画像を表示するものでも、モノクロ画像を表示するものでもよい。
光学素子12を用いる画像表示装置が、モノクロ画像を表示する場合には、各入射素子および出射素子は、対応する色の波長域の光を選択的に反射する液晶回折層を有する。
他方、光学素子12を用いる画像表示装置が、カラー画像を表示する場合には、入射部20および出射部24は、1つの液晶回折層(回折素子)が、青色光、緑色光および赤色光を反射するものでもよく、青色光、緑色光および赤色光の、それぞれに対応する液晶回折層を有してもよく、青色光、緑色光および赤色光のうちの2色に対応する液晶回折層と、他の1色に対応する液晶回折層を有するものでもよい。
あるいは、光学素子12を用いる画像表示装置が、カラー画像を表示する場合には、青色光用の入射部および出射部、緑色光用の入射部および出射部、ならびに、赤色光用の入射部および出射部を有するものでも、青色光、緑色光および赤色光のうちの2色に対応する入射部および出射部と、他の1色に対応する入射部および出射部とを有するものでもよい。なお、光学素子12が、複数の入射部および出射部を有する場合には、入射部および出射部は、積層して配置しても、導光板18の面方向に異なる位置に配置してもよい。
なお、光学素子12においては、積層される部材同士は、必要に応じて、貼着層によって貼着される。
貼着層としては、十分な光透過性を有するものであれば、貼り合わせる際には流動性を有し、その後、固体になる、接着剤からなる層でも、貼り合わせる際にゲル状(ゴム状)の柔らかい固体で、その後もゲル状の状態が変化しない、粘着剤からなる層でも、接着剤と粘着剤との両方の特徴を持った材料からなる層でもよい。従って、貼着層は、光学透明接着剤(OCA(Optical Clear Adhesive))、光学透明両面テープ、および、紫外線硬化型樹脂等の、光学装置および光学素子等でシート状物の貼り合わせに用いられる公知の層を用いればよい。
あるいは、貼着層で貼り合わせるのではなく、枠体または治具等で各部材を保持して、本発明の光学素子を構成してもよい。
本発明の光学素子12を用いる画像表示装置は、カラー画像を表示するものでも、モノクロ画像を表示するものでもよい。
カラー画像を表示する場合には、入射部20および出射部24の各回折素子は、青色光、緑色光および赤色光を反射する。
以下、本発明の光学素子および画像表示装置を構成する構成要素について説明する。
[ディスプレイ(表示素子)]
本発明の画像表示装置において、ディスプレイ14には、制限はなく、例えば、ARグラス等に用いられる公知のディスプレイが、各種、利用可能である。
ディスプレイとしては、一例として、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ、DLP(Digital Light Processing)方式のプロジェクター、および、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラーを用いたスキャニング方式ディスプレイ等が例示される。なお、液晶ディスプレイには、LCOS(Liquid Crystal On Silicon)なども含む。
ディスプレイは、カラー画像を表示するものでも、モノクロ画像を表示するものでもよい。また、表示装置がカラー画像を表示する場合には、青色画像、緑色画像および赤色画像の、それぞれに対応する3台のディスプレイを有してもよい。
本発明の画像表示装置では、必要に応じて、ディスプレイ14と導光板(入射部)との間に、ARグラス等に用いられる公知の投映レンズを設けてもよい。
ここで、本発明の画像表示装置においては、ディスプレイ14が照射する光には、制限はないが、無偏光(自然光)または円偏光が好ましい。
なお、ディスプレイ14と導光板18との間には、必要に応じて、ディスプレイが照射する光の偏光に応じて、直線偏光子とλ/4板とからなる円偏光板、および、λ/4板等を設けてもよい。
[導光板]
導光板18は、内部に入射した光を反射して伝播(導光)する、公知の導光板である。図示例において、導光板18は、矩形状の平面形状を有する。
導光板18には、制限はなく、ARグラスおよび液晶ディスプレイのバックライトユニット等で用いられている公知の導光板が、各種、利用可能である。
導光板18の屈折率には制限はないが、高屈折率であるのが好ましい。具体的には、導光板18の屈折率は、1.7~2.0が好ましく、1.8~2.0がより好ましい。導光板18の屈折率を1.7~2.0にすることにより、導光板18内を全反射して伝播できる角度範囲を広げる事ができる。
[入射部および出射部]
図示例の光学素子12(画像表示装置10)において、入射部20は、矩形状の平面形状を有し、矩形の導光板18の一方の主面の1つの角部近傍に設けられる。他方、出射部24は、導光板18の他方の主面に、導光板18の入射部20以外の領域を面方向に全面的に覆うように設けられる。すなわち、出射部24は、角部を矩形状に切り欠いた矩形状の平面形状を有する。
上述のように、入射部20は、入射素子26Λ1-1、入射素子26Λ1-2、入射素子28Λ2-1、入射素子28Λ2-2、入射素子30Λ3-1、および、入射素子30Λ3-2を有する。また、出射部24は、出射素子34Λ1-1、出射素子34Λ1-2、出射素子36Λ2-1、出射素子36Λ2-2、出射素子36Λ2-3、出射素子36Λ2-4、出射素子38Λ3-1、および、出射素子38Λ3-2を有する。
入射素子および出射素子は、いずれも、反射型の偏光回折素子である。具体的には、入射素子および出射素子は、いずれも液晶回折素子であって、回折素子として作用する液晶回折層であるコレステリック液晶層を有するものであり、右円偏光または左円偏光を選択的に反射する。
ここで、入射部20の入射素子26Λ1-1、入射素子26Λ1-2、入射素子28Λ2-1、入射素子28Λ2-2、入射素子30Λ3-1および入射素子30Λ3-2、ならびに、出射部24の、出射素子34Λ1-1、出射素子34Λ1-2、出射素子36Λ2-1、出射素子36Λ2-2、出射素子36Λ2-3、出射素子36Λ2-4、出射素子38Λ3-1および出射素子38Λ3-2は、入射部20と出射部24との違い、ならにび、後述する回折素子における回折構造の周期、および/または、後述する回折素子における回折構造の周期方向が異なる以外は、基本的に、同じ構成を有する。
従って、以下の説明では、各入射素子および各出射素子を区別する必要が無い場合には、これらをまとめて『液晶回折素子』ともいう。
(液晶回折素子)
液晶回折素子について図3~図5を用いて説明する。
図3は、液晶回折素子の層構成を概念的に示す図である。図3に概念的に示すように、液晶回折素子は、支持体50と、配向膜52と、回折素子としての作用を発現する液晶回折層であるコレステリック液晶層54とを有する。
図4は、コレステリック液晶層54の主面の面内における液晶化合物の配向状態を示す模式図である。
以下の説明では、コレステリック液晶層54の主面をX-Y面とし、このX-Y面に対して垂直な断面をX-Z面として説明する。つまり、図3は、コレステリック液晶層54のX-Z面の模式図に相当し、図4は、コレステリック液晶層54のX-Y面の模式図に相当する。
図3に示すように、コレステリック液晶層54は、液晶化合物がコレステリック配向された層である。また、図3~図5は、コレステリック液晶層を構成する液晶化合物が、棒状液晶化合物の場合の例である。
以下の説明では、コレステリック液晶層を、単に液晶層ともいう。
なお、図3に示す液晶回折素子は、支持体50と、配向膜52と、液晶層54とを有するが、本発明は、これに制限はされない。液晶回折素子は、例えば、導光板18等に貼り合わせた後に、支持体50を剥離した、配向膜52および液晶層54のみを有するものでもよい。または、液晶回折素子は、例えば、導光板18等に貼り合わせた後に、支持体50および配向膜52を剥離した、液晶層54のみを有するものでもよい。
<支持体>
支持体50は、配向膜52、および、液晶層54を支持するものである。
支持体50は、配向膜52、液晶層54を支持できるものであれば、各種のシート状物(フィルム、板状物)が利用可能である。
なお、支持体50は、対応する光に対する透過率が50%以上であるのが好ましく、70%以上であるのがより好ましく、85%以上であるのがさらに好ましい。
支持体50の厚さには、制限はなく、液晶回折素子の用途および支持体50の形成材料等に応じて、配向膜52、液晶層54を保持できる厚さを、適宜、設定すればよい。
支持体50の厚さは、1~2000μmが好ましく、3~500μmがより好ましく、5~250μmがさらに好ましい。
支持体50は単層であっても、多層であってもよい。
単層である場合の支持体50としては、ガラス、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、アクリル、および、ポリオレフィン等で形成される支持体50が例示される。多層である場合の支持体50の例としては、前述の単層の支持体のいずれかなどを基板として含み、この基板の表面に他の層を設けたもの等が例示される。
<配向膜>
液晶回折素子において、支持体50の表面には配向膜52が形成される。
配向膜52は、液晶層54を形成する際に、液晶化合物40を所定の液晶配向パターンに配向するための配向膜である。
後述するが、本発明において、液晶層54は、液晶化合物40に由来する光学軸40A(図4参照)の向きが、面内の一方向に沿って連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを有する。従って、配向膜52は、液晶層54が、この液晶配向パターンを形成できるように、形成される。
以下の説明では、『光学軸40Aの向きが回転』を単に『光学軸40Aが回転』とも言う。
配向膜52は、公知の各種のものが利用可能である。
例えば、ポリマーなどの有機化合物からなるラビング処理膜、無機化合物の斜方蒸着膜、マイクログルーブを有する膜、ならびに、ω-トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライドおよびステアリン酸メチルなどの有機化合物のラングミュア・ブロジェット法によるLB(Langmuir-Blodgett:ラングミュア・ブロジェット)膜を累積させた膜、等が例示される。
ラビング処理による配向膜52は、ポリマー層の表面を紙または布で一定方向に数回こすることにより形成できる。
配向膜52に使用する材料としては、ポリイミド、ポリビニルアルコール、特開平9-152509号公報に記載された重合性基を有するポリマー、特開2005-97377号公報、特開2005-99228号公報、および、特開2005-128503号公報記載の配向膜52等の形成に用いられる材料が好ましい。
液晶回折素子において、配向膜52は、光配向性の素材に偏光または非偏光を照射して配向膜52とした、いわゆる光配向膜が好適に利用される。すなわち、液晶回折素子においては、配向膜52として、支持体50上に、光配向材料を塗布して形成した光配向膜が、好適に利用される。
偏光の照射は、光配向膜に対して、垂直方向または斜め方向から行うことができ、非偏光の照射は、光配向膜に対して、斜め方向から行うことができる。
本発明に利用可能な配向膜に用いられる光配向材料としては、例えば、特開2006-285197号公報、特開2007-076839号公報、特開2007-138138号公報、特開2007-094071号公報、特開2007-121721号公報、特開2007-140465号公報、特開2007-156439号公報、特開2007-133184号公報、特開2009-109831号公報、特許第3883848号公報および特許第4151746号公報に記載のアゾ化合物、特開2002-229039号公報に記載の芳香族エステル化合物、特開2002-265541号公報および特開2002-317013号公報に記載の光配向性単位を有するマレイミドおよび/またはアルケニル置換ナジイミド化合物、特許第4205195号および特許第4205198号に記載の光架橋性シラン誘導体、特表2003-520878号公報、特表2004-529220号公報および特許第4162850号に記載の光架橋性ポリイミド、光架橋性ポリアミドおよび光架橋性ポリエステル、ならびに、特開平9-118717号公報、特表平10-506420号公報、特表2003-505561号公報、国際公開第2010/150748号、特開2013-177561号公報および特開2014-012823号公報に記載の光二量化可能な化合物、特にシンナメート化合物、カルコン化合物およびクマリン化合物等が、好ましい例として例示される。
中でも、アゾ化合物、光架橋性ポリイミド、光架橋性ポリアミド、光架橋性ポリエステル、シンナメート化合物、および、カルコン化合物は、好適に利用される。
配向膜52の厚さには、制限はなく、配向膜52の形成材料に応じて、必要な配向機能を得られる厚さを、適宜、設定すればよい。
配向膜52の厚さは、0.01~5μmが好ましく、0.05~2μmがより好ましい。
配向膜52の形成方法には、制限はなく、配向膜52の形成材料に応じた公知の方法が、各種、利用可能である。一例として、光配向材料を有する配向膜52を支持体50の表面に塗布して乾燥させた後、配向膜52をレーザー光によって露光して、配向パターンを形成する方法が例示される。
図9に、配向膜52を露光して、配向パターンを形成する露光装置の一例を概念的に示す。
図9に示す露光装置60は、レーザー62を備えた光源64と、レーザー62が出射したレーザー光Mの偏光方向を変えるλ/2板65と、レーザー62が出射したレーザー光Mを光線MAおよびMBの2つに分離する偏光ビームスプリッター68と、分離された2つの光線MAおよびMBの光路上にそれぞれ配置されたミラー70Aおよび70Bと、λ/4板72Aおよび72Bと、を備える。
なお、光源64は直線偏光P0を出射する。λ/4板72Aは、直線偏光P0(光線MA)を右円偏光PRに、λ/4板72Bは直線偏光P0(光線MB)を左円偏光PLに、それぞれ変換する。
配向パターンを形成される前の配向膜52を有する支持体50が露光部に配置され、2つの光線MAと光線MBとを配向膜52上において交差させて干渉させ、その干渉光を配向膜52に照射して露光する。
この際の干渉により、配向膜52に照射される光の偏光状態が干渉縞状に周期的に変化するものとなる。これにより、配向状態が周期的に変化する配向パターンを有する配向膜が得られる。以下の説明では、この配向パターンを有する配向膜を『パターン配向膜』ともいう。
露光装置60においては、2つの光線MAおよびMBの交差角αを変化させることにより、配向パターンの周期を調節できる。すなわち、露光装置60においては、交差角αを調節することにより、液晶化合物40に由来する光学軸40Aが一方向に沿って連続的に回転する配向パターンにおいて、光学軸40Aが回転する1方向における、光学軸40Aが180°回転する1周期の長さ(回折構造における周期Λ)を調節できる。
このような配向状態が周期的に変化した配向パターンを有する配向膜52上に、コレステリック液晶層を形成することにより、後述するように、液晶化合物40に由来する光学軸40Aが一方向に沿って連続的に回転する液晶配向パターンを有する、液晶層54を形成できる。
また、λ/4板72Aおよび72Bの光学軸を、それぞれ、90°回転することにより、光学軸40Aの回転方向を逆にすることができる。
上述のとおり、パターン配向膜は、パターン配向膜の上に形成される液晶層中の液晶化合物の光学軸の向きが面内の少なくとも一方向に沿って連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンとなるように、液晶化合物を配向させる配向パターンを有する。
パターン配向膜が、液晶化合物を配向させる向きに沿った軸を配向軸とすると、パターン配向膜は、配向軸の向きが面内の少なくとも一方向に沿って連続的に回転しながら変化している配向パターンを有するといえる。パターン配向膜の配向軸は、吸収異方性を測定することで検出することができる。例えば、パターン配向膜に直線偏光を回転させながら照射して、パターン配向膜を透過する光の光量を測定した際に、光量が最大または最小となる向きが、面内の一方向に沿って漸次変化して観測される。
なお、本発明において、配向膜52は、好ましい態様として設けられるものであり、必須の構成要件ではない。
例えば、支持体50をラビング処理する方法、支持体50をレーザー光などで加工する方法等によって、支持体50に配向パターンを形成することにより、液晶層が、液晶化合物40に由来する光学軸40Aの向きが面内の少なくとも一方向に沿って連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを有する構成とすることも、可能である。すなわち、本発明においては、支持体50を配向膜として作用させてもよい。
<液晶層(コレステリック液晶層)>
液晶回折素子において、配向膜52の表面には、液晶層54が形成される。
液晶層54は、コレステリック液晶相を固定してなる、コレステリック液晶層であり、液晶化合物由来の光学軸の向きが面内の少なくとも一方向に沿って連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを有するコレステリック液晶層である。
液晶層54は、図3に概念的に示すように、通常のコレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層と同様に、液晶化合物40が螺旋状に旋回して積み重ねられた螺旋構造を有し、液晶化合物40が螺旋状に1回転(360°回転)して積み重ねられた構成を螺旋1ピッチ(螺旋ピッチP)として、螺旋状に旋回する液晶化合物40が、複数ピッチ、積層された構造を有する。
周知のように、コレステリック液晶相は、特定の波長において左右いずれかの円偏光に対して選択反射性を示す。反射光が右円偏光であるか左円偏光であるかは、コレステリック液晶相の螺旋の捩れ方向(センス)による。コレステリック液晶相による円偏光の選択反射は、コレステリック液晶相の螺旋の捩れ方向が右の場合は右円偏光を反射し、螺旋の捩れ方向が左の場合は左円偏光を反射する。
例えば、右円偏光を選択的に反射する液晶層54であれば、コレステリック液晶相の螺旋の捩れ方向が右方向である。
なお、コレステリック液晶相の旋回の方向は、コレステリック液晶層を形成する液晶化合物の種類および/または添加されるキラル剤の種類によって調節できる。
また、選択反射を示す選択反射波長域(円偏光反射波長域)の半値幅Δλ(nm)は、コレステリック液晶相のΔnと螺旋ピッチPとに依存し、Δλ=Δn×Pの関係に従う。そのため、選択反射波長域の幅の制御は、Δnを調節して行うことができる。Δnは、コレステリック液晶層を形成する液晶化合物の種類およびその混合比率、ならびに、配向固定時の温度により調節できる。
従って、液晶回折素子が反射(回折)する光の波長は、例えば液晶層54の螺旋ピッチPを調節して、液晶層の選択的な反射波長域を適宜設定すればよい。
反射波長域の半値幅は、光学素子12の用途、液晶層54が設けられる回折素子が対応する波長域に応じて、適宜、調節され、例えば10~500nmであればよく、好ましくは20~300nmであり、より好ましくは30~100nmである。
図4に示すように、液晶層54のX-Y面において、液晶化合物40は、X-Y面内の互いに平行な複数の配列軸Dに沿って配列しており、それぞれの配列軸D上において、液晶化合物40の光学軸40Aの向きは、配列軸Dに沿った面内の一方向に連続的に回転しながら変化している。図示例においては、光学軸40Aは、配列軸Dに向かって時計回りに回転している。
図示例では、一例として、配列軸DがX方向に向いているとする。また、Y方向では、光学軸40Aの向きが等しい液晶化合物40が等間隔で配向している。
なお、「液晶化合物40の光学軸40Aの向きが配列軸Dに沿った面内の一方向に連続的に回転しながら変化している」とは、具体的には、液晶化合物40の光学軸40Aと配列軸Dとのなす角度が、配列軸D方向の位置により異なっており、配列軸Dに沿って光学軸40Aと配列軸Dとのなす角度がθからθ+180°あるいはθ-180°まで徐々に変化していることを意味する。つまり、配列軸Dに沿って配列する複数の液晶化合物40は、図4に示すように、光学軸40Aが配列軸Dに沿って一定の角度ずつ回転しながら変化する。
なお、配列軸D方向に互いに隣接する液晶化合物40の光学軸40Aの角度の差は、45°以下であるのが好ましく、15°以下であるのがより好ましく、より小さい角度であるのがさらに好ましい。
また、本明細書において、液晶化合物40が棒状液晶化合物である場合、液晶化合物40の光学軸40Aは、棒状液晶化合物の分子長軸を意図する。一方、液晶化合物40が円盤状液晶化合物である場合、液晶化合物40の光学軸40Aは、円盤状液晶化合物の円盤面に対する法線方向に平行な軸を意図する。
液晶層54(液晶回折層)を有する回折素子(液晶回折素子)においては、この配列軸Dの方向(X方向)、すなわち、液晶化合物40の光学軸40Aが液晶層54の面内で回転している方向(面内回転方向)が、回折素子の回折構造における周期方向である。図示例においては、一例として、上述したように、光学軸40Aが時計回りに回転している方向を、回折素子の回折構造における周期方向とする。
以下の説明では、『回折素子の回折構造における周期方向』を、単に『周期方向』ともいう。
液晶層54(液晶回折層)を有する回折素子(液晶回折素子)においては、このような液晶化合物40の液晶配向パターンにおいて、面内で光学軸40Aが連続的に回転して変化する配列軸D方向に光学軸40Aが180°回転する長さ(距離)が、回折素子の回折構造における周期Λ(面内回転周期Λ)となる。すなわち、このような液晶配向パターンの液晶層54を有する回折素子においては、周期方向に、液晶化合物40の光学軸40Aが180°回転する長さ(距離)が、回折素子の回折構造における周期Λとなる。
以下の説明では、『回折素子の回折構造における周期Λ』を単に『回折周期Λ』ともいう。
すなわち、配列軸D方向(周期方向)に対する角度が等しい2つの液晶化合物40の、配列軸D方向の中心間の距離が、回折周期Λである。具体的には、図4に示すように、配列軸D方向と光学軸40Aの方向とが一致する2つの液晶化合物40の、配列軸D方向の中心間の距離が、回折周期Λである。
液晶層54の液晶配向パターンは、この回折周期Λを、配列軸D方向すなわち光学軸40Aの向きが連続的に回転して変化する一方向に繰り返す。
上述したように、本発明の光学素子12において、入射部20および出射部24は、入射素子および出射素子として、回折周期がΛ1の液晶層54を有するΛ1回折素子と、回折周期がΛ2の液晶層54を有するΛ2回折素子と、回折周期がΛ3の液晶層54を有するA3回折素子とを有する。
一方、液晶層54を形成する液晶化合物40は、配列軸D方向すなわち周期方向と直交する方向(図4においてはY方向)、すなわち、光学軸40Aが連続的に回転する一方向と直交するY方向では、光学軸40Aの向きが等しい。
言い換えれば、液晶層54を形成する液晶化合物40は、Y方向では、液晶化合物40の光学軸40Aと配列軸D(X方向)とが成す角度が等しい。
コレステリック液晶層の厚さ方向の断面をSEM(Scanning Electron Microscope、走査型電子顕微鏡)で観察すると、コレステリック液晶相に由来する明部と暗部とを交互に有する縞模様が観察される。
ここで、図3に示す液晶層54のX-Z面、すなわち、厚さ方向の断面をSEMで観察すると、図5に示すような明部42と暗部44とが、主面(X-Y面)に対して所定の傾斜角θで傾斜している縞模様が観察される。
なお、この傾斜角θには、制限はないが、10°以上が好ましく、20°以上がより好ましい。傾斜角θを10°以上とすることにより、大きな回折角度で、高い回折効率を得られる点で好ましい。
このようなSEM断面において、隣接する明部42から明部42、または、暗部44から暗部44の、明部42または暗部44が成す線の法線方向における間隔が1/2ピッチに相当する。すなわち、図5中にPで示すように、明部42が2つと暗部44が2つで螺旋1ピッチ分(螺旋の巻き数1回分)すなわち螺旋ピッチPに相当する。
以下、液晶層による回折の作用について説明する。
従来のコレステリック液晶層において、コレステリック液晶相由来の螺旋軸は、主面(X-Y面)に対して垂直であり、その反射面は主面(X-Y面)と平行な面である。また、液晶化合物の光学軸は、主面(X-Y面)に対して傾斜していない。言い換えると、光学軸は主面(X-Y面)に対して平行である。したがって、従来のコレステリック液晶層のX-Z面をSEMにて観察すると、明部と暗部とが交互に配列された配列方向は主面(X-Y面)と垂直となる。
コレステリック液晶相は鏡面反射性であるため、例えば、コレステリック液晶層に法線方向から光が入射される場合、法線方向に光が反射される。
これに対して、液晶層54は、入射した光を、鏡面反射に対して配列軸D方向すなわち周期方向に傾けて反射する。
以下、図6を参照して説明する。
一例として、液晶層54は、赤色光の右円偏光RRを選択的に反射するコレステリック液晶層であるとする。従って、液晶層54に光が入射すると、液晶層54は、赤色光の右円偏光RRのみを反射し、それ以外の光を透過する。
液晶層54では、液晶化合物40の光学軸40Aが配列軸D方向すなわち周期方向に沿って回転しながら変化する液晶配向パターンを有する。
液晶層54における液晶配向パターンは、配列軸D方向に周期的なパターンである。そのため、液晶層54に入射した赤色光の右円偏光RRは、図6に概念的に示すように、液晶配向パターンの周期に応じた方向に反射(回折)され、反射された赤色光の右円偏光RRは、XY面(コレステリック液晶層の主面)に対して配列軸D方向に傾いた方向に反射(回折)される。
この結果として、液晶層54を光学素子に適用した場合、導光板の主面に垂直な方向から入射した光を導光板内を全反射する角度に反射(回折)することができ、また、導光板内を全反射して導光された光を、導光板の主面に垂直な方向に反射(回折)することができる回折素子として用いることができる。
液晶層54において、光学軸40Aが回転する一方向である配列軸Dの方向を、適宜、設定することで、光の反射方向(回折角度)を調節できる。
例えば、同じ波長で、同じ旋回方向の円偏光を反射する場合に、配列軸D方向すなわち周期方向を逆方向にすることで、円偏光の反射方向を逆にできる。言い換えれば、配列軸D方向すなわち周期方向に向かう液晶化合物40の光学軸40Aの回転方向を、逆の反時計回りにすることで、同円偏光の反射方向を逆にできる。
さらに、同じ液晶配向パターンを有する液晶層では、液晶化合物40の螺旋の旋回方向すなわち反射する円偏光の旋回方向によって、反射方向が逆になる。
例えば、螺旋の旋回方向が右捩じれの場合、右円偏光を選択的に反射するものであり、配列軸D方向に沿って光学軸40Aが時計回りに回転する液晶配向パターンを有することにより、右円偏光を配列軸D方向に傾けて反射する。
また、例えば、螺旋の旋回方向が左捩じれの場合、左円偏光を選択的に反射するものであり、配列軸D方向に沿って光学軸40Aが時計回りに回転する液晶配向パターンを有する液晶層は、左円偏光を配列軸D方向と逆方向に傾けて反射する。
すなわち、螺旋の旋回方向が逆の液晶層は、配列軸D方向を逆すなわち180°異なる方向にすることで、同方向に傾けて光を回折(反射)できる。言い換えれば、螺旋の旋回方向が逆の液晶層は、配列軸D方向すなわち周期方向に向かう液晶化合物40の光学軸40Aの回転方向を、逆の反時計回りにすることで、同方向に傾けて光を回折できる。
上述のように、この液晶回折素子では、液晶層における液晶化合物の液晶配向パターンにおいて、液晶化合物の光学軸が180°回転する長さが、回折構造(回折素子の周期構造)における1周期でありすなわち回折周期Λである。また、液晶層において、液晶化合物の光学軸が回転しながら変化している一方向(配列軸D方向)が回折構造(回折素子の周期構造)における周期方向である。
本発明の光学素子12において、液晶回折素子の回折周期Λの長さには、制限はなく、導光板18への入射角度、導光板18から出射させるための光の回折の大きさ等に応じて、適宜、設定すればよい。
液晶配向パターンを有する液晶層では、回折周期Λが短いほど、回折が大きくなる。すなわち、回折周期Λが短いほど、入射光の鏡面反射方向に対して、反射光を大きく傾けて反射できる。言い換えれば、回折周期Λが短いほど、鏡面反射の方向と、反射光とが成す角度が大きくなる。
上述のように、本発明の光学素子12において、入射部20および出射部24は、入射素子および出射素子として、回折周期がΛ1であるΛ1回折素子と、回折周期がΛ2であるΛ2回折素子と、回折周期がΛ3であるΛ3回折素子との3種の回折素子を有する。また、回折周期Λ1、回折周期Λ2および回折周期Λ3は、『Λ1:Λ2:Λ3=1:1/√2±0.015:1/2±0.015』の関係を満たす。
また、この液晶配向パターンを有する液晶層では、光の反射角度(回折角)は、反射する光の波長によって、角度が異なる。具体的には、長波長の光ほど、入射光に対する反射光の角度が大きくなる。
図3に示す例は、液晶層54のX-Z面において、液晶化合物40が、主面(X-Y面)に対して、その光学軸40Aが平行に配向している構成である。
しかしながら、本発明は、これに制限はされない。例えば、図7に概念的に示すように、液晶層54のX-Z面において、液晶化合物40が、主面(X-Y面)に対して、その光学軸40Aが傾斜して配向している構成であってもよい。
また、図7に示す例では、液晶層54のX-Z面において、液晶化合物40の主面(X-Y面)に対する傾斜角度(チルト角)は厚さ方向(Z方向)に一様としたが、本発明は、これに制限はされない。液晶層54において、液晶化合物40のチルト角が厚さ方向で異なっている領域を有していてもよい。
例えば、図8に示す例は、液晶層の、配向膜52側の界面において液晶化合物40の光学軸40Aが主面に平行であり(プレチルト角が0であり)、配向膜52側の界面から厚さ方向に離間するにしたがって、液晶化合物40のチルト角が大きくなって、その後、他方の界面(空気界面)側まで一定のチルト角で液晶化合物が配向されている構成である。
図8に示す液晶層54は、SEMで観察した断面で観察される上述したコレステリック液晶相に由来する明部と暗部が、主面に対して成す角度、すなわち、傾斜角θ(図5参照)が配向膜52側の界面から厚さ方向に離間するにしたがって、漸次、増大する。
このような液晶層54は、コレステリック液晶相の螺旋ピッチPが、厚さ方向に変化する。すなわち、この液晶層54は螺旋ピッチPが、配向膜52側の界面から厚さ方向に離間するにしたがって、漸次、長くなる。
上述したように、液晶層54(コレステリック液晶相)が選択的に反射する光の波長は、螺旋ピッチPに依存し、螺旋ピッチPが長いほど、長波長の光を選択的に反射する。従って、図8に示すような、傾斜角θが、配向膜52側の界面から厚さ方向に離間するにしたがって、漸次、増大する液晶層54は、広い波長帯域の光を反射することができる。
図8に示すような、傾斜角θが、配向膜52側の界面から厚さ方向に離間するにしたがって、漸次、増大する液晶層54は、傾斜角θが10°以上である領域を有するのが好ましい。
この液晶層54において、傾斜角θが10°以上である領域を有することにより、高いい回折効率で大きな回折角度を得られる点で好ましい。
この液晶層54は、傾斜角θが20°以上である領域を有するのがより好ましく、30°以上である領域を有するのがさらに好ましい。
また、傾斜角θが、配向膜52側の界面から厚さ方向に離間するにしたがって、漸次、増大する液晶層54は、傾斜角θの最大値と最小値との差が10°以上であるのも好ましい。
傾斜角θの最大値と最小値との差が10°以上とすることにより、光の回折角度を大きくできる、液晶層54が選択的に反射する光の波長帯域を広くできる点で好ましい。
この液晶層54は、傾斜角θの最大値と最小値との差が15°以上であるのがより好ましく、20°以上であるのがさらに好ましい。
このように、液晶層54においては、上下界面の一方の界面において、液晶化合物の光学軸がプレチルト角を有している構成であってもよく、両方の界面でプレチルト角を有する構成であってもよい。また、両界面でプレチルト角が異なっていてもよい。
このように液晶化合物がチルト角を有して(傾斜して)いることにより、光が回折する際に実効的な液晶化合物の複屈折率が高くなり、回折効率を高めることができる。
液晶化合物40の光学軸40Aと主面(X-Y面)とのなす平均角度(平均チルト角)は、5~80°が好ましく、10~50°がより好ましい。なお、平均チルト角は、液晶層54のX-Z面を偏光顕微鏡観察することにより測定できる。なかでも、液晶層54のX-Z面において、液晶化合物40は、主面(X-Y面)に対して、その光学軸40Aが同一の方向に傾斜配向することが好ましい。
なお、上記チルト角は、コレステリック液晶層断面の偏光顕微鏡観察において、液晶化合物40の光学軸40Aと主面とのなす角度を任意の5か所以上で測定して、それらを算術平均した値である。
液晶回折素子(液晶層54)に垂直に入射した光は、液晶層内において斜め方向に、屈曲力が加わり斜めに進む。液晶層内において光が進むと、本来は垂直入射に対して所望の回折角が得られるように設定されている回折周期等の条件とのずれが生じるために、回折ロスが生じる。
液晶化合物をチルトさせた場合、チルトさせない場合と比較して、光が回折する方位に対してより高い複屈折率が生じる方位が存在する。この方向では実効的な異常光屈折率が大きくなるため、異常光屈折率と常光屈折率の差である複屈折率が高くなる。
狙った回折する方位に合わせて、チルト角の方位を設定することによって、その方位での本来の回折条件とのずれを抑制することができ、結果としてチルト角を持たせた液晶化合物を用いた場合の方が、より高い回折効率を得ることができると考えられる。
また、チルト角は液晶層54の界面の処理によって制御されるのが好ましい。
支持体側の界面においては、配向膜にプレチルト処理をおこなうことにより液晶化合物のチルト角を制御することが出来る。例えば、配向膜の形成の際に配向膜に紫外線を正面から露光した後に、斜めから露光することにより、配向膜上に形成する液晶層中の液晶化合物にプレチルト角を生じさせることが出来る。この場合には、2回目の照射方向に対して液晶化合物の単軸側が見える方向にプレチルトする。ただし、2回目の照射方向に対して垂直方向の方位の液晶化合物はプレチルトしないため、面内でプレチルトする領域とプレチルトしない領域が存在する。このことは、狙った方位に光を回折させるときにその方向に最も複屈折を高めることに寄与するので回折効率を高めるのに適している。
さらに、液晶層中または配向膜中にプレチルト角を助長する添加剤を加えることも出来る。この場合、回折効率を更に高める因子として添加剤を利用できる。
この添加剤は空気側の界面のプレチルト角の制御にも利用できる。
ここで、液晶層54は、SEMで観察した断面において、コレステリック液晶相に由来する明部および暗部が、主面に対して傾斜している。液晶層54は、法線方向および法線に対して傾斜した方向から面内レタデーションReを測定した際に、遅相軸面内および進相軸面内のいずれかにおいて、面内レタデーションReが最小となる方向が法線方向から傾斜しているのが好ましい。具体的には、面内レタデーションReが最小となる方向が法線と成す測定角の絶対値が5°以上であることが好ましい。言い換えると、液晶層54の液晶化合物が主面に対して傾斜し、かつ、傾斜方向が液晶層54の明部および暗部に略一致していることが好ましい。なお、法線方向とは、主面に対して直交する方向である。
液晶層54がこのような構成を有することにより、液晶化合物40が主面に平行である液晶層に比して、高い回折効率で円偏光を回折できる。
液晶層54の液晶化合物40が主面に対して傾斜し、かつ、傾斜方向が明部および暗部に略一致している構成では、反射面に相当する明部および暗部と、液晶化合物40の光学軸40Aとが一致している。そのため、光の反射(回折)に対する液晶化合物40の作用が大きくなり、回折効率を向上できる。その結果、入射光に対する反射光の光量をより向上できる。
液晶層54の進相軸面または遅相軸面において、液晶層54の光学軸傾斜角の絶対値は5°以上が好ましく、15°以上がより好ましく、20°以上がさらに好ましい。
光学軸傾斜角の絶対値を15°以上とすることにより、より好適に、液晶化合物40の方向を明部および暗部に一致させ、回折効率を向上できる点で好ましい。
さらに、液晶層54は、明部および暗部の傾斜角θが、漸次、増大しない場合でも、コレステリック液晶相の螺旋ピッチが、厚さ方向に、漸次、変化する層であってもよい。例えば、液晶層54は、螺旋ピッチPが、配向膜52側の界面から厚さ方向に離間するにしたがって、漸次、長くなるコレステリック液晶層であってもよい。
上述のように、液晶層54(コレステリック液晶相)が選択的に反射する光の波長は、螺旋ピッチPに依存し、螺旋ピッチPが長いほど、長波長の光を選択的に反射する。従って、螺旋ピッチPが、厚さ方向に、漸次、変化する増大する液晶層54は、広い波長帯域の光を反射することができる。
<<液晶層の形成方法>>
液晶層54は、液晶化合物が所定の配向状態に配向されてなる液晶相を層状に固定して形成できる。例えば、コレステリック液晶層の場合には、コレステリック液晶相を層状に固定して形成できる。
コレステリック液晶相を固定した構造は、液晶相となっている液晶化合物の配向が保持されている構造であればよく、典型的には、重合性液晶化合物を所定の液晶相の配向状態としたうえで、紫外線照射、加熱等によって重合、硬化し、流動性が無い層を形成して、同時に、外場または外力によって配向形態に変化を生じさせることない状態に変化した構造が好ましい。
なお、液晶相を固定した構造においては、液晶相の光学的性質が保持されていれば十分であり、液晶層において、液晶化合物40は液晶性を示さなくてもよい。例えば、重合性液晶化合物は、硬化反応により高分子量化して、液晶性を失っていてもよい。
液晶層の形成に用いる材料としては、一例として、液晶化合物を含む液晶組成物が挙げられる。液晶化合物は重合性液晶化合物であるのが好ましい。
また、液晶層の形成に用いる液晶組成物は、さらに界面活性剤およびキラル剤を含んでいてもよい。
--重合性液晶化合物--
重合性液晶化合物は、棒状液晶化合物であっても、円盤状液晶化合物であってもよい。
棒状の重合性液晶化合物の例としては、棒状ネマチック液晶化合物が挙げられる。棒状ネマチック液晶化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類、および、アルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類等が好ましく用いられる。低分子液晶化合物だけではなく、高分子液晶化合物も用いることができる。
重合性液晶化合物は、重合性基を液晶化合物に導入することで得られる。重合性基の例には、不飽和重合性基、エポキシ基、およびアジリジニル基が含まれ、不飽和重合性基が好ましく、エチレン性不飽和重合性基がより好ましい。重合性基は種々の方法で、液晶化合物の分子中に導入できる。重合性液晶化合物が有する重合性基の個数は、好ましくは1~6個、より好ましくは1~3個である。
重合性液晶化合物の例は、Makromol.Chem,190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許第4683327号明細書、米国特許第5622648号明細書、米国特許第5770107号明細書、国際公開第95/022586号、国際公開第95/024455号、国際公開第97/000600号、国際公開第98/023580号、国際公開第98/052905号、特開平1-272551号公報、特開平6-016616号公報、特開平7-110469号公報、特開平11-080081号公報、および、特開2001-328973号公報等に記載の化合物が含まれる。2種類以上の重合性液晶化合物を併用してもよい。2種類以上の重合性液晶化合物を併用すると、配向温度を低下させることができる。
また、上記以外の重合性液晶化合物としては、特開昭57-165480号公報に開示されているようなコレステリック相を有する環式オルガノポリシロキサン化合物等を用いることができる。さらに、前述の高分子液晶化合物としては、液晶を呈するメソゲン基を主鎖、側鎖、あるいは主鎖および側鎖の両方の位置に導入した高分子、コレステリル基を側鎖に導入した高分子コレステリック液晶、特開平9-133810号公報に開示されているような液晶性高分子、および、特開平11-293252号公報に開示されているような液晶性高分子等を用いることができる。
--円盤状液晶化合物--
円盤状液晶化合物としては、例えば、特開2007-108732号公報、および、特開2010-244038号公報等に記載のものを好ましく用いることができる。
また、液晶組成物中の重合性液晶化合物の添加量は、液晶組成物の固形分質量(溶媒を除いた質量)に対して、75~99.9質量%であるのが好ましく、80~99質量%であるのがより好ましく、85~90質量%であるのがさらに好ましい。
--界面活性剤--
液晶層を形成する際に用いる液晶組成物は、界面活性剤を含有してもよい。
界面活性剤は、安定的に、または迅速に、コレステリック液晶相の配向に寄与する配向制御剤として機能できる化合物が好ましい。界面活性剤としては、例えば、シリコ-ン系界面活性剤およびフッ素系界面活性剤が挙げられ、フッ素系界面活性剤が好ましく例示される。
界面活性剤の具体例としては、特開2014-119605号公報の段落[0082]~[0090]に記載の化合物、特開2012-203237号公報の段落[0031]~[0034]に記載の化合物、特開2005-99248号公報の段落[0092]および[0093]中に例示されている化合物、特開2002-129162号公報の段落[0076]~[0078]および段落[0082]~[0085]中に例示されている化合物、ならびに、特開2007-272185号公報の段落[0018]~[0043]等に記載のフッ素(メタ)アクリレート系ポリマー、などが挙げられる。
なお、界面活性剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
フッ素系界面活性剤として、特開2014-119605号公報の段落[0082]~[0090]に記載の化合物が好ましい。
液晶組成物中における、界面活性剤の添加量は、液晶化合物の全質量に対して0.01~10質量%が好ましく、0.01~5質量%がより好ましく、0.02~1質量%がさらに好ましい。
--キラル剤(光学活性化合物)--
キラル剤(カイラル剤)はコレステリック液晶相の螺旋構造を誘起する機能を有する。キラル剤は、化合物によって誘起する螺旋の捩れ方向または螺旋ピッチが異なるため、目的に応じて選択すればよい。
キラル剤としては、特に制限はなく、公知の化合物(例えば、液晶デバイスハンドブック、第3章4-3項、TN(Twisted Nematic)、STN(Super Twisted Nematic)用キラル剤、199頁、日本学術振興会第142委員会編、1989に記載)、イソソルビド(イソソルビド構造を有するキラル剤)、および、イソマンニド誘導体等を用いることができる。
また、キラル剤は、光の照射によって、戻り異性化、二量化、ならびに、異性化および二量化等を生じて、螺旋誘起力(HTP:Helical Twisting Power)が低下するキラル剤も、好適に利用可能である。
キラル剤は、一般に不斉炭素原子を含むが、不斉炭素原子を含まない軸性不斉化合物または面性不斉化合物もキラル剤として用いることができる。軸性不斉化合物または面性不斉化合物の例には、ビナフチル、ヘリセン、パラシクロファン、および、これらの誘導体が含まれる。キラル剤は、重合性基を有していてもよい。キラル剤と液晶化合物とがいずれも重合性基を有する場合は、重合性キラル剤と重合性液晶化合物との重合反応により、重合性液晶化合物から誘導される繰り返し単位と、キラル剤から誘導される繰り返し単位とを有するポリマーを形成することができる。この態様では、重合性キラル剤が有する重合性基は、重合性液晶化合物が有する重合性基と、同種の基であるのが好ましい。従って、キラル剤の重合性基も、不飽和重合性基、エポキシ基またはアジリジニル基であるのが好ましく、不飽和重合性基であるのがより好ましく、エチレン性不飽和重合性基であるのがさらに好ましい。
また、キラル剤は、液晶化合物であってもよい。
キラル剤が光異性化基を有する場合には、塗布、配向後に活性光線などのフォトマスク照射によって、発光波長に対応した所望の反射波長のパターンを形成することができるので好ましい。光異性化基としては、フォトクロッミック性を示す化合物の異性化部位、アゾ基、アゾキシ基、または、シンナモイル基が好ましい。具体的な化合物として、特開2002-080478号公報、特開2002-080851号公報、特開2002-179668号公報、特開2002-179669号公報、特開2002-179670号公報、特開2002-179681号公報、特開2002-179682号公報、特開2002-338575号公報、特開2002-338668号公報、特開2003-313189号公報、および、特開2003-313292号公報等に記載の化合物を用いることができる。
液晶組成物における、キラル剤の含有量は、液晶化合物の含有モル量に対して0.01~200モル%が好ましく、1~30モル%がより好ましい。
--重合開始剤--
液晶組成物が重合性化合物を含む場合は、重合開始剤を含有しているのが好ましい。紫外線照射により重合反応を進行させる態様では、使用する重合開始剤は、紫外線照射によって重合反応を開始可能な光重合開始剤であるのが好ましい。
光重合開始剤の例には、α-カルボニル化合物(米国特許第2367661号、米国特許第2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書記載)、α-炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号、米国特許第2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp-アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60-105667号公報、米国特許第4239850号明細書記載)、ならびに、オキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書記載)等が挙げられる。
液晶組成物中の光重合開始剤の含有量は、液晶化合物の含有量に対して0.1~20質量%であるのが好ましく、0.5~12質量%であるのがさらに好ましい。
--架橋剤--
液晶組成物は、硬化後の膜強度向上、耐久性向上のため、任意に架橋剤を含有していてもよい。架橋剤としては、紫外線、熱、および、湿気等で硬化するものが好適に使用できる。
架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートおよびペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の多官能アクリレート化合物;グリシジル(メタ)アクリレートおよびエチレングリコールジグリシジルエーテル等のエポキシ化合物;2,2-ビスヒドロキシメチルブタノール-トリス[3-(1-アジリジニル)プロピオネート]および4,4-ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン等のアジリジン化合物;ヘキサメチレンジイソシアネートおよびビウレット型イソシアネート等のイソシアネート化合物;オキサゾリン基を側鎖に有するポリオキサゾリン化合物;ならびに、ビニルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)3-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン化合物などが挙げられる。また、架橋剤の反応性に応じて公知の触媒を用いることができ、膜強度および耐久性向上に加えて生産性を向上させることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
架橋剤の含有量は、液晶組成物の固形分質量に対して、3~20質量%が好ましく、5~15質量%がより好ましい。架橋剤の含有量が上記範囲内であれば、架橋密度向上の効果が得られやすく、液晶相の安定性がより向上する。
--その他の添加剤--
液晶組成物中には、必要に応じて、さらに重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、色材、および、金属酸化物微粒子等を、光学的性能等を低下させない範囲で添加することができる。
液晶組成物は、液晶層を形成する際には、液体として用いられるのが好ましい。
液晶組成物は溶媒を含んでいてもよい。溶媒には、制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、有機溶媒が好ましい。
有機溶媒には、制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ケトン類、アルキルハライド類、アミド類、スルホキシド類、ヘテロ環化合物、炭化水素類、エステル類、および、エーテル類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、環境への負荷を考慮した場合にはケトン類が好ましい。
液晶層を形成する際には、液晶層の形成面に液晶組成物を塗布して、液晶化合物を所望の液晶相の状態に配向した後、液晶化合物を硬化して、液晶層とするのが好ましい。
すなわち、配向膜52上にコレステリック液晶層を形成する場合には、配向膜52に液晶組成物を塗布して、液晶化合物をコレステリック液晶相の状態に配向した後、液晶化合物を硬化して、コレステリック液晶相を固定してなる液晶層を形成するのが好ましい。
液晶組成物の塗布は、インクジェットおよびスクロール印刷等の印刷法、ならびに、スピンコート、バーコートおよびスプレー塗布等のシート状物に液体を一様に塗布できる公知の方法が全て利用可能である。
塗布された液晶組成物は、必要に応じて乾燥および/または加熱され、その後、硬化され、液晶層を形成する。この乾燥および/または加熱の工程で、液晶組成物中の液晶化合物がコレステリック液晶相に配向すればよい。加熱を行う場合、加熱温度は、200℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましい。
配向させた液晶化合物は、必要に応じて、さらに重合される。重合は、熱重合、および、光照射による光重合のいずれでもよいが、光重合が好ましい。光照射は、紫外線を用いるのが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2~50J/cm2が好ましく、50~1500mJ/cm2がより好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下または窒素雰囲気下で光照射を実施してもよい。照射する紫外線の波長は250~430nmが好ましい。
なお、液晶組成物に添加するキラル剤として、光の照射によってHTPが変化するキラル剤を用いた場合には、液晶化合物の重合のための光照射(第2露光工程)に先立ち、キラル剤のHTPを変化させるための光照射(第1露光工程)を行ってもよい。あるいは、液晶化合物の光重合による光照射が、キラル剤のHTPを変化させるための光照射を兼ねてもよい。これにより、上述した、コレステリック液晶相の螺旋ピッチPが、漸次、変化する液晶層を得ることができる。
液晶層54の厚さには、制限はなく、光学素子の用途、液晶層に要求される光の反射率、および、液晶層54の形成材料等に応じて、必要な光の反射率が得られる厚さを、適宜、設定すればよい。
<その他の液晶層(液晶回折素子)>
図示例の光学素子は、入射素子および出射素子として、コレステリック液晶層である液晶層54を用いた反射型の液晶回折素子を用いているが、本発明において、液晶回折素子として作用する液晶回折層は、これに制限はされない。
一例として、同様に面内の少なくとも1方向に沿って連続的に回転している液晶配向パターンを有し、かつ、厚さ方向には液晶化合物がコレステリック液晶相を形成していない液晶回折素子も、利用可能である。なお、液晶回折素子において、液晶化合物がコレステリック液晶相とはならない程度に厚さ方向に捩じれ回転した構成を有していてもよい。
図10および図11に、他の液晶回折素子を例示して、その一例を説明する。
図10および図11に示す液晶回折素子は、支持体50と、配向膜52と、液晶層56とを有する。支持体50および配向膜52は、上述の物と同様である。
図11に示す液晶回折素子の液晶層56も、上述した(コレステリック)液晶層54と同様、液晶化合物40の光学軸40Aが、配列軸Dに沿って連続的に回転する液晶配向パターンを有する。なお、図11も、上述した図4と同様、配向膜52の表面の液晶化合物のみを示している。
図10に示すように、この液晶回折素子では、液晶層56を形成する液晶化合物40が厚さ方向に螺旋状に捩じれ回転しておらず、光学軸40Aは、面方向の同じ場所に位置する。このような液晶層は、上述した液晶層の形成において、液晶組成物にキラル剤を添加しないことで形成できる。
上述したように、液晶層56は、面内において、液晶化合物40に由来する光学軸40Aの向きが、配列軸D方向すなわちX方向に沿って連続的に回転しながら変化する液晶配向パターンを有する。すなわち、この液晶層56(液晶回折素子)においても、周期方向は配列軸D方向すなわちX方向である。また、この液晶層56でも、図11に示すように、回折周期Λ(回折構造の1周期)は、光学軸40Aが、配列軸D方向すなわち周期方向に180°回転する長さである。
一方、液晶層56を形成する液晶化合物40は、X方向と直交するY方向、すなわち光学軸40Aが連続的に回転する一方向である配列軸D(周期方向)と直交するY方向では、光学軸40Aの向きが等しい液晶化合物40が等間隔で配列されている。
言い換えれば、液晶層56を形成する液晶化合物40において、Y方向に配列される液晶化合物40同士では、光学軸40Aの向きと配列軸D方向とが成す角度が等しい。
液晶層56において、Y方向に配列される液晶化合物は、光学軸40AとX方向(液晶化合物40の光学軸40Aの向きが回転する1方向)とが成す角度が等しい。この光学軸40Aと配列軸Dとが成す角度が等しい液晶化合物40が、Y方向に配置された領域を、領域Rとする。
この場合に、それぞれの領域Rにおける面内レタデーション(Re)の値は、半波長すなわちλ/2であるのが好ましい。これらの面内レタデーションは、領域Rの屈折率異方性に伴う屈折率差Δnと光学異方性層の厚さとの積により算出される。ここで、光学異方性層における領域Rの屈折率異方性に伴う屈折率差とは、領域Rの面内における遅相軸の方向の屈折率と、遅相軸の方向に直交する方向の屈折率との差により定義される屈折率差である。すなわち、領域Rの屈折率異方性に伴う屈折率差Δnは、光学軸40Aの方向の液晶化合物40の屈折率と、領域Rの面内において光学軸40Aに垂直な方向の液晶化合物40の屈折率との差に等しい。つまり、屈折率差Δnは、液晶化合物40の屈折率差に等しい。
このような液晶層56に円偏光が入射すると、光は、屈折され、かつ、円偏光の方向が変換される。
この作用を、図12および図13に概念的に示す。なお、液晶層56は、液晶化合物の屈折率差と光学異方性層の厚さとの積の値がλ/2であるとする。
図12に示すように、液晶層56の液晶化合物40の屈折率差と光学異方性層の厚さとの積の値がλ/2の場合に、液晶層56に左円偏光である入射光L1が入射すると、入射光L1は、液晶層56を通過することにより180°の位相差が与えられて、透過光L2は、右円偏光に変換される。
また、液晶層56に形成された液晶配向パターンは、配列軸D方向に周期的なパターンであるため、透過光L2は、入射光L1の進行方向とは異なる方向に進行する。このように、左円偏光の入射光L1は、入射方向に対して配列軸D方向に一定の角度だけ傾いた、右円偏光の透過光L2に変換される。
一方、図13に示すように、液晶層56の液晶化合物40の屈折率差と光学異方性層の厚さとの積の値がλ/2のとき、液晶層56に右円偏光の入射光L4が入射すると、入射光L4は、液晶層56を通過することにより、180°の位相差が与えられて、左円偏光の透過光L5に変換される。
また、液晶層56に形成された液晶配向パターンは、配列軸D方向に周期的なパターンであるため、透過光L5は、入射光L4の進行方向とは異なる方向に進行する。このとき、透過光L5は透過光L2と異なる方向、つまり、入射方向に対して配列軸D方向とは逆の方向に進行する。このように、入射光L4は、入射方向に対して配列軸D方向とは逆の方向に一定の角度だけ傾いた左円偏光の透過光L5に変換される。
すなわち、この液晶層56を有する液晶回折素子は、透過型の液晶回折素子である。
液晶層54と同様、液晶層56も、形成された液晶配向パターンの回折周期Λを変化させることにより、透過光L2および透過光L5の屈折の角度を調節できる。具体的には、液晶層56も、液晶配向パターンの回折周期Λが短いほど、互いに隣接した液晶化合物40を通過した光同士が強く干渉するため、透過光L2およびL5を大きく屈折させることができる。なお、入射素子および出射素子の回折周期Λは、所定の関係を満たす、回折周期Λ1、回折周期Λ2および回折周期Λ3であるのは、上述のとおりである。
また、配列軸D方向すなわち周期方向に沿って回転する、液晶化合物40の光学軸40Aの回転方向を逆方向にすることにより、透過光の屈折の方向を、逆方向にできる。すなわち、図10~図13に示す例では、配列軸D方向すなわち周期方向に向かう光学軸40Aの回転方向は時計回りであるが、この回転方向を反時計回りにすることで、透過光の屈折の方向を、逆方向にできる。
なお、回折効率の観点から、このような、入射光を透過回折する液晶回折素子を用いる場合も、液晶化合物が捩れて回転(捩れ角が360°未満)している領域を有する液晶回折素子を用いるのが好ましい。特に、導光板内を反射する角度に光を回折する場合、回折効率の観点から、液晶化合物が捩れて回転する領域を有する液晶回折素子を好適に用いることができる。また、液晶化合物が捩れて回転する角度が異なる液晶回折素子を積層して用いること、および、液晶化合物が捩れて回転する方向が異なる液晶回折素子を積層して用いること等は、回折効率の観点から好ましい。
本発明の画像表示装置においては、透過型の入射素子および出射素子を用いる場合には、入射部および出射部と、ディスプレイ14および使用者Uとの位置関係が、図1および図2に示す、反射型の入射素子および出射素子を用いた場合と逆になる。
すなわち、本発明の画像表示装置(光学素子)は、透過型の入射素子および出射素子を用いる場合には、入射部は、ディスプレイ14と導光板18との間に位置し、出射部は、使用者Uによる観察位置と導光板18との間に位置する。従って、ディスプレイ14の表示画像(照射光)は、入射部(入射素子)を透過することで、屈折されて、導光板18に入射する。導光板18に入射して、全反射を繰り返して伝播された光は、導光板18から出射部に入射して、出射部を透過することで屈折されて、使用者Uによる観察位置に出射される。
本発明の光学素子は、入射部と出射部とで、異なる液晶回折素子を用いてもよい。
例えば、入射部20では、入射素子として、液晶層56を有する透過型の液晶回折素子を用い、出射部24では、出射素子として、液晶層54を有する反射型の液晶回折素子を用いてもよい。
図示例の光学素子12は、入射部20は入射素子を、出射部24は出射素子を、それぞれ、有する。上述したように、図示例の光学素子12において、入射素子および出射素子は、液晶回折層としてコレステリック液晶層である液晶層54を有する、反射型の液晶回折素子である。
入射部20は、導光板18側から、入射素子26Λ1-1、入射素子26Λ1-2、入射素子28Λ2-1、入射素子28Λ2-2、入射素子30Λ3-1、および、入射素子30Λ3-2を有する。
他方、出射部24は、導光板18側から、出射素子34Λ1-1、出射素子34Λ1-2、出射素子36Λ2-1、出射素子36Λ2-2、出射素子36Λ2-3、出射素子36Λ2-4、出射素子38Λ3-1、および、出射素子38Λ3-2を有する。
ここで、本発明の光学素子12は、入射部20および出射部24、共に、回折周期がΛ1であるΛ1回折素子、回折周期がΛ2であるΛ2回折素子、および、回折周期がΛ3であるΛ3回折素子の、回折周期Λが異なるが3種の回折素子を有する。
入射部20において、入射素子26Λ1-1および入射素子26Λ1-2は、回折周期がΛ1であるΛ1回折素子であり、入射素子28Λ2-1および入射素子28Λ2-2は、回折周期がΛ2であるΛ2回折素子であり、入射素子30Λ3-1および入射素子30Λ3-2は、回折周期がΛ3であるΛ3回折素子である。
出射部24において、出射素子34Λ1-1および出射素子34Λ1-2は、回折周期がΛ1であるΛ1回折素子であり、出射素子36Λ2-1、出射素子36Λ2-2、出射素子36Λ2-3および出射素子36Λ2-4は、回折周期がΛ2であるΛ2回折素子であり、出射素子38Λ3-1および出射素子38Λ3-2は、回折周期がΛ3であるΛ3回折素子である。
ここで、本発明の光学素子12においては、回折周期Λ1、回折周期Λ2および回折周期Λ3は、『Λ1:Λ2:Λ3=1:1/√2±0.015:1/2±0.015』の関係を満たす。すなわち、本発明の光学素子12においては、回折周期Λ2を回折周期Λ1で規格化した値が『1/√2±0.015』であり、回折周期Λ3を回折周期Λ1で規格化した値が『1/2±0.015(すなわち、0.5±0.015)』である。
図示例においては、一例として、回折周期Λ1が580nm、回折周期Λ2が410nm(580/√2)、回折周期Λ3が290nm(580/2)、である。
また、本発明の光学素子12においては、入射部20および出射部24において、Λ1回折素子の周期方向と、Λ2回折素子の周期方向とが成す角度、および、Λ2回折素子の周期方向と、Λ3回折素子の周期方向とが成す角度が、45°±0.5°、または、135°±0.5°である。
従って、入射部20においては、Λ1回折素子である入射素子26Λ1-1および入射素子26Λ1-2の周期方向と、Λ2回折素子である入射素子28Λ2-1および入射素子28Λ2-2の周期方向とが成す角度が、45°±0.5°、または、135°±0.5°である。さらに、入射部20においては、Λ2回折素子である入射素子28Λ2-1および入射素子28Λ2-2の周期方向と、Λ3回折素子である入射素子30Λ3-1および入射素子30Λ3-2の周期方向とが成す角度が、45°±0.5°、または、135°±0.5°である。
他方、出射部24においては、Λ1回折素子である出射素子34Λ1-1および出射素子34Λ1-2の周期方向と、Λ2回折素子である出射素子36Λ2-1、出射素子36Λ2-2、出射素子36Λ2-3および出射素子36Λ2-4の周期方向とが成す角度が、45°±0.5°、または、135°±0.5°である。さらに、出射部24においては、Λ2回折素子である出射素子36Λ2-1、出射素子36Λ2-2、出射素子36Λ2-3および出射素子36Λ2-4の周期方向と、Λ3回折素子である出射素子38Λ3-1および出射素子38Λ3-2の周期方向とが成す角度が、45°±0.5°、または、135°±0.5°である。
加えて、本発明の光学素子12においては、入射部20に設けられるΛ2回折素子の周期方向と、出射部24に設けられるΛ2回折素子の周期方向とが成す角度が、0°±0.5°、90°±0.5°、180°±0.5°、および、270°±0.5°のいずれかである。すなわち、本発明の光学素子12においては、入射部20に設けられるΛ2回折素子の周期方向と、出射部に設けられるΛ2回折素子の周期方向とは、平行(略平行)であり、または、直交(略直交)する。
従って、光学素子12においては、入射部20の入射素子28Λ2-1および入射素子28Λ2-2の周期方向と、出射部24の出射素子36Λ2-1、出射素子36Λ2-2、出射素子36Λ2-3および出射素子36Λ2-4の周期方向とが成す角度が、0°±0.5°、90°±0.5°、180°±0.5°、および、270°±0.5°のいずれかである。
一例として、図2の紙面右方向を0°、同上方向と90°とする。なお、図2は、光学素子12を使用者Uの観察方向から見た平面図である。
図2では、Λ1回折素子の周期方向を実線の矢印で、Λ2回折素子の周期方向を破線の矢印で、Λ3回折素子の周期方向を細かい破線の矢印で示す。
さらに、図2には、回折周期Λ1(580nm)、回折周期Λ2(410nm)および回折周期Λ3(280nm)を、逆数にして、矢印の長さで示す。すなわち、実線で示すΛ1回折素子の矢印が最も短く、細かい破線で示すΛ3回折素子の矢印が最も長い。
図2および図14に概念的に示すように、図示例の光学素子12の入射部20において、Λ1回折素子(実線)である入射素子26Λ1-1の周期方向は45°で、入射素子26Λ1-2の周期方向は225°である。また、Λ2回折素子(破線)である入射素子28Λ2-1の周期方向は0°で、入射素子28Λ2-2の周期方向は270°である。さらに、Λ3回折素子(細かい破線)である入射素子30Λ3-1の周期方向は45°で、入射素子30Λ3-2の周期方向は225°である。なお、図1では、各入射素子の周期方向を示す矢印に、対応する入射素子の符号を付している。この点に関しては、出射素子も同様である。
他方、図2および図15に概念的に示すように、図示例の光学素子12の出射部24において、Λ1回折素子(実線)である出射素子34Λ1-1の周期方向は45°で、出射素子34Λ1-2の周期方向は225°である。また、Λ2回折素子(破線)である出射素子36Λ2-1の周期方向は0°で、出射素子36Λ2-2の周期方向は90°で、出射素子36Λ2-3の周期方向は180°で、出射素子36Λ2-4の周期方向は270°である。さらに、Λ3回折素子(細かい破線)である出射素子38Λ3-1の周期方向は45°で、出射素子38Λ3-2の周期方向は225°である。
本発明の光学素子12および画像表示装置においては、このような構成を有することにより、例えば、ARグラスに利用した際に、1枚の導光板で、クロストークを生じることなく、FOVを広くすることを可能にしている。
ARグラス等において、FOVを広くするためには、ディスプレイ14の表示画面の全面に対応して、ディスプレイ14が表示(照射)した画像を担持する光を、導光板18に入射して、全反射させて伝播させる必要がある。
しかしながら、ディスプレイ14が表示して、入射部に入射する画像は、ディスプレイの表示画面の位置に応じて、様々な角度から入射する。このような様々な角度から入射する光を、ディスプレイの表示画面の全面に対応して、全反射する角度で導光板に入射させるのは、困難である。
また、ARグラス等において、FOVを広くするためには、出射部24において、導光板18内を伝播した光を、全面から、かつ、様々な角度で出射させる必要がある。
しかしながら、全反射して伝搬された光を、全て、出射可能な角度に回折して、かつ、様々な方向に出射させることも、困難である。
これに対して、本発明の光学素子12は、入射部20および出射部24は、共に、入射素子および出射素子として、回折周期がΛ1であるΛ1回折素子、回折周期がΛ2であるΛ2回折素子、および、回折周期がΛ3であるΛ3回折素子の、回折周期Λが異なる3種の回折素子を有する。
上述のように、液晶化合物40の光学軸40Aの向きが一方向(周期方向)に回転しながら変化する液晶配向パターンを有する液晶層54(コレステリック液晶層)は、液晶回折素子として作用し、入射光を鏡面反射とは異なる方向に回折して反射する。この光の回折は、回折周期Λが短いほど大きく、光を大きく回折して反射する。
そのため、本発明の光学素子12において、入射部20は、ディスプレイ14からの光が様々な角度で入射しても、Λ1回折素子である入射素子26Λ1-1および入射素子26Λ1-2、Λ2回折素子である入射素子28Λ2-1および入射素子28Λ2-2、ならびに、Λ3回折素子である入射素子30Λ3-1および入射素子30Λ3-2の、いずれかの入射素子が、全反射して伝搬可能な角度で、光を導光板18に入射させることができる。
従って、本発明の光学素子12によれば、ディスプレイ14が表示して入射部20に入射した光を、ディスプレイ14の表示画面全面に対応して、全反射して伝搬可能な角度で、導光板18に入射させることができる。
また、入射部20が、回折周期Λが異なる3種の回折素子を有するので、光は、導光板18内において、様々な角度および方向で全反射されて、伝播される。
さらに、出射部24も、入射部20と同様、出射素子として、回折周期Λが異なる、3種のΛ1回折素子、Λ2回折素子およびΛ3回折素子を有する。しかも、各回折素子の回折周期は、入射部20と同じである。そのため、様々な角度で、かつ、様々な方向から伝播されて、出射部24に入射した光を、出射部24の全面を使って、漏らすことなく、かつ、様々な方向に向けて、導光板18から出射できる。
すなわち、本発明の光学素子12および画像表示装置10によれば、入射部20によって、ディスプレイ14の表示画面全面の光を導光板18に入射して、導光板18内を伝播させ、出射部24によって、ディスプレイ14の表示画面全面の光を、様々な角度で導光板18から出射できる。
そのため、本発明によれば、ARグラス等において、FOVを広くできる。
ここで、上述のように、FOVが広いARグラス、および、導光板18が1枚のARグラスは、クロストークが生じやすい。
これに対して、本発明の光学素子12は、入射素子および出射素子を構成する回折素子における回折周期Λ1、回折周期Λ2および回折周期Λ3が、『Λ1:Λ2:Λ3=1:1/√2±0.015:1/2±0.015』の関係を満たす。
本発明の光学素子12は、この関係を満たすことにより、クロストークの発生を抑制することができる。
具体的には、図示例の光学素子12においては、Λ1回折素子である入射素子26Λ1-1および入射素子26Λ1-2によって回折されて導光板18に入射して伝播した光は、Λ1回折素子である出射素子34Λ1-1および出射素子34Λ1-2によって回折されて、導光板18から出射される。
Λ2回折素子である入射素子28Λ2-1および入射素子28Λ2-2によって回折されて導光板18に入射して伝搬した光は、Λ2回折素子である出射素子36Λ2-1、出射素子36Λ2-2、出射素子36Λ2-3および出射素子36Λ2-4によって回折されて、導光板18から出射される。
さらに、Λ3回折素子である入射素子30Λ3-1および入射素子30Λ3-2によって回折されて導光板18に入射して伝搬した光は、Λ3回折素子である出射素子38Λ3-1および出射素子38Λ3-2によって回折されて、導光板18から出射される。
加えて、本発明の光学素子12は、入射部20および出射部24、共に、Λ1回折素子の周期方向と、Λ2回折素子の周期方向とが成す角度、および、Λ2回折素子の周期方向と、Λ3回折素子の周期方向とが成す角度が、45°±0.5°、または、135°±0.5°である。
さらに、本発明の光学素子12は、入射部20に設けられる入射素子のうちのΛ2回折素子の周期方向と、出射部24に設けられる出射素子のうちのΛ2回折素子の周期方向とが成す角度が、0°±0.5°、90°±0.5°、180°±0.5°、および、270°±0.5°のいずれかである。
本発明の光学素子12は、このような構成を有することにより、入射部20において各回折周期の入射素子が導光板18に入射させる光の入射方向の関係、出射部24において各回折周期の出射素子が導光板18から出射させる光の出射方向の関係、および、入射部20が導光板18に入射させる光の入射方向と、出射部24が導光板から出射させる光の出射方向との関係を、適正に保つことができる。
両条件を満たすことにより、1枚の導光板18でFOVを広くしても、クロストークを防止できる。
すなわち、本発明の光学素子12、および、本発明の光学素子12を用いる本発明の画像表示装置によれば、例えば、ARグラス等において、1枚の導光板で、FOVを広くした上に、クロストークを防止して、適正な画像を表示できる。
本発明の光学素子12において、入射部20が有する入射素子および出射部24が有する出射素子の回折周期Λが2種以下では、FOVを十分に広くできない。
また、本発明の光学素子12において、入射部20および出射部24を構成する回折素子の回折周期Λが『Λ1:Λ2:Λ3=1:1/√2±0.0.15:1/2±0.015』の関係を満たさない場合には、入射素子と出射素子との組み合わせの関係が崩れてクロストークが生じ、適正な画像を表示することができない。
本発明の光学素子12において、入射部20の入射素子および出射部24の出射素子の回折周期は、『Λ1:Λ2:Λ3=1:1/√2±0.005:1/2±±0.005』を満たすのが好ましく、『Λ1:Λ2:Λ3=1:1/√2±0.001:1/2±0.001』を満たすのがより好ましく、『Λ1:Λ2:Λ3=1:1/√2:1/2』を満たすのが最も好ましい。
なお、本発明の光学素子12は、必要に応じて、入射部20および出射部24、共に、回折周期がΛ1、Λ2およびΛ3以外の入射素子および出射素子(回折素子)を有してもよい。ただし、この際には、回折周期がΛ1、Λ2およびΛ3以外の入射素子および出射素子の回折周期は、回折周期Λ1を1として、例えば『1:2/√2』など、回折周期Λ2または回折周期Λ3の整数倍とする必要がある。
本発明の光学素子12において、回折周期Λ1には、制限はない。すなわち、回折周期Λ1は、本発明の画像表示装置が表示する画像の色、本発明の画像表示装置の表示画像がモノクロか2色画像かフルカラーか、および、FOVの縦横比等に応じて、適宜、設定すればよい。
回折周期Λ1は、300~700nmが好ましく、400~600nmがより好ましく、450~500nmがさらに好ましく、460~490nmが特に好ましい。
回折周期Λ1を300~700nmとすることにより、赤色光、緑色光および青色光のいずれであっても、適正に導光板18に入射し、導光板18から出射できる、入射角度の範囲を広げられる等の点で好ましい。
本発明の光学素子12において、入射部20の入射素子および出射部24の出射素子は、共に、Λ1回折素子の周期方向とΛ2回折素子の周期方向とが成す角度、および、Λ2回折素子の周期方向とΛ3回折素子の周期方向とが成す角度が、45°±0.5°、または、135°±0.5°である。
Λ1回折素子とΛ2回折素子との周期方向、および、Λ2回折素子とΛ3回折素子との周期方向が成す角度が45°±0.5°、または、135°±0.5°を超えると、クロストークが発生する。
Λ1回折素子とΛ2回折素子との周期方向、および、Λ2回折素子とΛ3回折素子との周期方向が成す角度は、45°±0.2°、または、135°±0.2°が好ましく、45°±0.1°、または、135°±0.1°がより好ましく、45°または135°が最も好ましい。
さらに、本発明の光学素子12において、入射部20に設けられる入射素子のうちのΛ2回折素子の周期方向と、出射部24に設けられる出射素子のうちのΛ2回折素子の周期方向とが成す角度は、0°±0.5°、90°±0.5°、180°±0.5°、および、270°±0.5°のいずれかである。すなわち、入射部20と出射部24とにおいて、Λ2回折素子の周期方向は、平行(略平行)または直交(略直交)する。
入射部20と出射部24とにおいて、Λ2回折素子の周期方向が成す角度が0°±0.5°、90°±0.5°、180°±0.5°、および、270°±0.5°を超えると、クロストークが発生する。
入射部20と出射部24とのΛ2回折素子の周期方向が成す角度は、0°±0.2°、90°±0.2°、180°±0.2°、および、270°±0.2°のいずれかが好ましく、0°±0.1°、90°±0.1°、180°±0.1°、および、270°±0.1°のいずれかがより好ましく、0°、90°、180°、および、270°のいずれかが最も好ましい。
本発明の光学素子12は、入射部20は、6以上の入射素子を有し、出射部24は、8以上の出射素子を有する。
入射部20が6以上の入射素子を有することにより、入射部20では、Λ1回折素子、Λ2回折素子およびΛ3回折素子の全ての入射素子において、回折周期Λが同じで周期方向が異なる入射素子を配置できる。
同様に、出射部24が8以上の出射素子を有すことにより、出射部24では、Λ1回折素子、Λ2回折素子およびΛ3回折素子の全てで、周期方向が異なる出射素子を配置できる。また、出射部24では、回折周期が異なる3種の出射素子の全てで、周期方向が異なる出射素子を配置した上で、回折周期が異なる回折素子の内の1種で、回折周期が同じで周期方向が異なる入射素子を4つ配置できる。または、出射部24では、回折周期が異なる3種の出射素子の全てで、周期の方向が異なる出射素子を配置した上で、回折周期が異なる回折素子の内の2種で、回折周期が同じで周期方向が異なる入射素子を3つ配置できる。
上述したように、液晶化合物40の光学軸40Aが、一方向に向かって回転する液晶配向パターンを有する液晶層54(液晶回折素子)は、この光学軸40Aが回転する方向、すなわち周期方向(配列軸D方向)に光を屈折させる。
従って、入射部20において、入射素子とするΛ1回折素子、Λ2回折素子およびΛ3回折素子の1以上を複数とし、また、出射部24において、出射素子とするΛ1回折素子、Λ2回折素子およびΛ3回折素子の全てを複数とし、回折周期が同じ回折素子の周期方向を変えることにより、それぞれの回折周期Λの回折素子による光の回折方向を、異なる2方向以上にできる。
その結果、入射部20において、より広い方向に光を屈折して導光板18に入射させて、より広く二次元的に光を伝播することができる。また、出射部24においても、より広い方向に光を屈折して導光板18から出射させて、より広く二次元的に光を照射することが可能になる。
そのため、本発明の光学素子12を用いる本発明の画像表示装置10によれば、1枚の導光板18で、クロストークを防止してFOVを広くできるのみならず、良好なアイボックス(視域)も確保できる。
本発明の光学素子12において、入射部20に設ける入射素子は、6以上であればよいが、8以上がより好ましい。入射部20に設ける入射素子の数を8以上とすることにより、Λ1回折素子、Λ2回折素子およびΛ3回折素子の全てを複数にした上で、複数を3以上にでき、よりFOVを広くできる、アイボックスを広くできる等の点で好ましい。
また、入射部20に設ける入射素子の数には、制限はないが、12以下が好ましい。
他方、出射部24に設ける出射素子は、8以上であればよいが、10以上が好ましく、12以上がより好ましい。出射部24に設ける出射素子の数を10以上とすることにより、よりFOVを広くできる、アイボックスを広くできる等の点で好ましい。
また、出射部24に設ける出射素子の数には、制限はないが、15以下が好ましい。
入射部20および出射部24において、Λ1回折素子、Λ2回折素子およびΛ3回折素子の1以上を、複数個、設ける際には、入射部20および出射部24における、Λ1回折素子同士、Λ2回折素子同士、および、Λ3回折素子同士の周期方向が成す角度には、制限はない。
入射部20および出射部24は、Λ1回折素子および/またはΛ3回折素子を、複数、有する場合には、Λ1回折素子同士の周期方向が成す角度、および、Λ3回折素子同士の周期方向が成す角度が、180°±0.5°である組み合わせを有するのが好ましい。
すなわち、入射部20および出射部24は、周期方向が逆方向である、Λ1回折素子同士および/またはΛ3回折素子同士の組み合わせを有するのが好ましい。但し、回折素子が選択的に反射する円偏光の旋回方向が逆である場合には、周期方向が同方向である組み合わせを有するのが好ましい。
これにより、よりFOVを広くできる点で好ましい。
さらに、入射部20および/または出射部24は、Λ1回折素子および/またはΛ3回折素子を、3以上、有する場合には、上記の組み合わせに加え、Λ1回折素子同士の周期方向が成す角度、および、Λ3回折素子同士の周期方向が成す角度が、90°±0.5°である組み合わせを有するのが好ましい。すなわち、入射部20および/または出射部24は、さらに、周期方向が直交するΛ1回折素子同士およびΛ3回折素子同士の組み合わせを有するのが好ましい。
また、同様の理由で、入射部20および出射部24は、複数のΛ2回折素子を有する場合には、Λ2回折素子同士の周期方向が成す角度が90°±0.5°である組み合わせを有するのが好ましい。すなわち、入射部20および出射部24は、Λ2回折素子同士の周期方向が、直交する組み合わせを有するのが好ましい。
特に出射部24は、1つのΛ2回折素子の周期方向を0°とした際に、周期方向が0°のΛ2回折素子に加え、周期方向が90°±0.5°のΛ2回折素子、周期方向が180°±0.5°のΛ2回折素子、および、周期方向が270°±0.5°のΛ2回折素子を有するのが好ましい。
なお、本発明の光学素子は、入射部20および出射部24のいずれであっても、同じ回折周期Λが同じ回折素子を、複数、有する場合には、回折周期Λが同じ回折素子の周期方向は、異なるのが好ましい。
しかしながら、入射部20および出射部24は、反射率の向上を図る場合など、必要に応じて、周期方向が一致する、回折周期が同じ回折素子が存在してもよい。
図示例の光学素子12において、入射部20の入射素子および出射部24の出射素子は、いずれも、液晶層54(コレステリック液晶層(液晶回折層))を有する、反射型の液晶回折素子である。
入射部20および出射部24において、液晶層54が選択的に反射する波長域(螺旋ピッチP)は、Λ1回折素子とΛ2回折素子とΛ3回折素子とで、全て同じでも、全て異なっても、同じものと異なるものが混在してもよい。
また、例えば、入射部20が、回折周期はΛ1で、選択的な反射波長域が異なる2つの入射素子を有する等、入射部20および/または出射部24において、Λ1回折素子同士、Λ2回折素子同士、および、Λ3回折素子同士で、選択的に反射する波長域が異なる回折素子を有してもよい。
ただし、入射部20と出射部24との間では、Λ1回折素子同士、Λ2回折素子同士、およびΛ3回折素子同士は、液晶層54が選択的に反射する波長域は、100nm以上重複するのが好ましく、150nm以上重複するのがより好ましく、同じであるのがさらに好ましい。
また、上述のように、コレステリック液晶層である液晶層54は、右円偏光または左円偏光を、選択的に反射する。
入射部20および出射部24に設けられる回折素子は、全てが同じ旋回方向の円偏光を選択的に反射するものでもよく、異なる旋回方向の円偏光を選択的に反射するものが混在してもよい。
また、入射部20および/または出射部24が、選択的に反射する円偏光の旋回方向が異なる回折素子を有する場合には、例えば、回折周期が同じで選択的に反射する円偏光の旋回方向が異なる回折素子を有してもよい。あるいは、回折周期が同じ回折素子は同じ旋回方向の円偏光を選択的に反射するようにして、回折周期が異なる回折素子間で、選択的に反射する円偏光の旋回方向が異なってもよい。
以上の例は、入射部および出射部に用いる回折素子として液晶回折素子を用いているが、本発明の光学素子において、回折素子は液晶回折素子に制限はされず、ARグラス等に用いられる公知の回折素子が、全て、利用可能である。
利用可能な回折素子としては、一例として、ホログラム回折素子、表面レリーフ回折素子、および、ホログラフィック高分子分散液晶(HPDLC(Holographic Polymer Dispersed Liquid Crystal))等が例示される。
これらの回折素子における周期方向および回折周期(回折格子周期)は、回折素子(回折格子)に応じた、公知の方法で設定すればよい。
図1および図2に示す光学素子12は、矩形の導光板18の1つの角部近傍に入射部20を有し、導光板18の残りの領域を覆うように出射部24を設けているが、本発明の光学素子は、この構成に制限はされない。
本発明の光学素子は、例えば、矩形の導光板の1つの辺の端部近傍の中央に入射部を有し、残りの領域を出射部で覆う構成、および、長尺な導光板の一方の端部近傍に入射部を有し、他方の端部近傍に出射部を有する構成等、ARグラス等で利用される公知の構成が利用可能である。
図1および図2に示す光学素子12は、好ましい態様として、入射部20および出射部24では、共に、全ての回折素子(入射素子および出射素子)を積層している。すなわち、入射部20は入射素子を、出射部24は出射素子を、それぞれ、導光板18の面方向の同じ位置に配置している。
しかしながら、本発明は、これに制限はされず、入射部20および/または出射部24において、それぞれを構成する回折素子は、積層せずに、導光板18の面方向(面内)の異なる位置に配置してもよい。また、この際においては、積層する回折素子と、積層せずに面方向の異なる位置に配置される回折素子とが、混在してもよい。
この際における回折素子の配置には、制限はなく、ディスプレイ14の画面の大きさ、導光板18に対するディスプレイ14の位置、および、ARグラスの大きさ等に応じて、適正な画像が表示でいるように、適宜、設定すれば良い。
さらに、本発明においては、入射部20と出射部24とは、導光板18の異なる主面に配置する構成にも制限はされず、導光板18の同じ主面の面方向に異なる位置に配置してもよい。
以上、本発明の光学素子および画像表示装置について詳細に説明したが、本発明は上述の例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよいのは、もちろんである。
以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、使用量、物質量、割合、処理内容、および、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
<液晶回折素子1の作製>
(配向膜の形成)
支持体としてガラス基材を用意した。
支持体上に、下記の配向膜形成用塗布液を、スピンコータを用いて、2500rpmにて30秒間塗布した。この配向膜形成用塗布液の塗膜が形成された支持体を60℃のホットプレート上で60秒間乾燥し、配向膜を形成した。
配向膜形成用塗布液
―――――――――――――――――――――――――――――――――
下記光配向用素材 1.00質量部
水 16.00質量部
ブトキシエタノール 42.00質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 42.00質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
-光配向用素材-
(配向膜の露光)
図9に示す露光装置を用いて配向膜を露光して、配向パターンを有する配向膜P-1を形成した。
露光装置において、レーザーとして波長(355nm)のレーザー光を出射するものを用いた。干渉光による露光量を3000mJ/cm2とした。なお、2つのレーザー光の干渉により形成される配向パターンの回折周期Λ(光学軸が180°回転する長さ)が、0.490μmとなるように、2つの光の交差角(交差角α)を調節した。
(コレステリック液晶層の形成)
コレステリック液晶層を形成する液晶組成物として、下記の液晶組成物LC-1を調製した。
液晶組成物LC-1
―――――――――――――――――――――――――――――――――
液晶化合物L-1 100.00質量部
重合開始剤(日本化薬社製、KAYACURE DETX-S)
1.00質量部
キラル剤Ch-1 4.00質量部
メチルエチルケトン 142.06質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
液晶化合物L-1
キラル剤Ch-1
このキラル剤Ch-1は、右巻きの螺旋(右旋回)を形成するキラル剤である。
配向膜P-1上に、上記の液晶組成物LC-1を、スピンコータを用いて塗布した。ここで、完成後の膜厚が10μmとなるように調節した。
液晶組成物LC-1の塗膜をホットプレート上で80℃にて3分間(180sec)加熱した。
次に、窒素雰囲気下、80℃で、高圧水銀灯を用いて波長365nmの紫外線を300mJ/cm2の照射量で塗膜に照射することにより、液晶組成物LC-1を硬化して液晶化合物の配向を固定化し、コレステリック液晶層を形成した(第1露光工程)。
これにより、支持体、配向膜およびコレステリック液晶層を有する、図3に示すような液晶回折素子を作製した。
液晶回折素子を、液晶化合物の光学軸の回転方向すなわち周期方向に沿う方向に切削し、厚さ方向の断面をSEMで観察した。SEM画像を解析することで、コレステリック液晶層の膜厚、回折周期Λ(液晶配向パターンにおける1周期)、および、コレステリック液晶相における螺旋1ピッチの長さ(螺旋ピッチP)、を測定した。
<液晶回折素子2~24の作製>
配向膜P-1の露光時における交差角α(回折周期Λ)、液晶組成物の組成、液晶組成物の塗布膜厚、および、液晶組成物の露光条件を、表1に示すように変更した以外は、液晶回折素子1と同様に液晶回折素子を作製し、同様の測定を行った。
液晶組成物の露光は、実施例1のように第1露光工程のみを行ったものと、第1露光工程の後に、第2露光工程を行ったものとがある。2回の露光を行った場合には、第1露光工程で、主にキラル剤のHTPを変化させてコレステリック液晶相の螺旋ピッチの調節を行い、第2露光工程で、主に液晶組成物の硬化を行った。
なお、波長315nmの露光は、高圧水銀灯に、300nmのロングバスフィルタおよび350nmのショートパスフィルタを介して露光することによって行った。
また、液晶回折素子の断面のSEM観察において、厚さ方向に螺旋ピッチPが連続的に増大する形状が見られた場合は、配向膜との界面側付近と、液晶回折素子と空気界面側の2か所で螺旋ピッチPを測定し、螺旋ピッチPの範囲とした。
[実施例1]
(ARグラスへの適用)
上記作製した液晶回折素子#1~#6から、支持体および配向膜を剥離し、表2に示す構成となるように、コレステリック液晶層を導光板に転写することで、図1および図2に示すような光学素子を作製した。
なお、入射部および出射部におけるコレステリック液晶層同士の積層は、一例として、以下の手順で行えばよい。
(1) 積層する、支持体、配向膜およびコレステリック液晶層を有する液晶回折素子のコレステリック液晶層側に、仮支持体を貼合する。本例においては、仮支持体は、藤森工業社製、MASTACK AS3-304を用いた。
(2) 次に、コレステリック液晶層の作成段階から存在していた支持体および配向膜を剥離し、コレステリック液晶層の配向膜側の界面を露出させる。
(3) このコレステリック液晶層の配向膜側の界面と、積層される側のコレステリック液晶層の空気側の界面との両方に対し、酸化ケイ素層(SiOx層)を形成する。酸化ケイ素層の形成方法には、制限はないが、真空蒸着が好ましく例示される。本例においては、酸化ケイ素層の形成は、アルバック社製の蒸着装置(型番ULEYES)を用いて行った。蒸着源は、SiO2粉体を用いた。酸化ケイ素層の厚さには制限はないが、50nm以下が好ましい。本例においても、酸化ケイ素膜の厚さは50nm以下とした。
(4) 次いで、形成した酸化ケイ素層同士を、120℃で貼合した後、仮支持体を剥離する。
上記(1)~(4)の工程により、2層のコレステリック液晶層が積層された回折素子を作製できる。また、(1)~(4)の工程を繰り返すことにより、3層あるいは4層以上のコレステリック液晶層が積層された回折素子を作製できる。
なお、各コレステリック液晶層(回折素子)の回折構造における周期方向の設定は、例えば、積層される側の支持体と、積層する側の仮支持体とに、周期方向を表すマークを予め付しておき、積層するときの印とすることによって行えばよい。なお、周期方向であることを表すマークは、支持体および仮支持体以外にも、コレステリック液晶層に付けることも可能である。
図1および図2に示す光学素子(実施例1の光学素子)は、入射部が6つ(6層)の入射素子を有し、出射部が8つ(8層)の出射素子を有する。なお、表2における各回折素子(入射素子および出射素子)の角度は、図2に示す0°および90°の方向に準じている。
導光板は、ガラス板(屈折率1.70、厚さ0.50mm)を使用した。
表3に、作成した光学素子で用いた回折素子の回折周期、最も回折周期の長い回折素子で規格化した各回折素子の回折周期(Λ1で規格化)、および、各回折素子の周期方向の関係を示す。各光学素子で用いた回折素子の回折周期は、長い物から、Λ1、Λ2およびΛ3とした。
さらに、ARグラスのディスプレイとして、DLP方式のプロジェクターを用い、図1および図2に示すようなARグラスを作製した。
[実施例2]および[実施例3]、ならびに、[比較例1]~[比較例3]
導光板に貼着する液晶回折素子の種類および層数、液晶回折素子のコレステリック液晶層における周期方向を、表2および表3に示すように、種々、変更した以外は、実施例1と同様にして、光学素子を作製し、さらに、ARグラスを作製した。
図16および図17に、図1および図2を模して、実施例2の構成を概念的に示す。
[評価]
作製したARグラスについて、クロストークおよびFOVを評価した。
(クロストークの評価)
作製したARグラスのディスプレイを駆動して、画像を表示させた。表示画像は、正方形のパターンとした。
表示された画像のクロストークを、下記の基準で評価した。
A:クロストークの発生を目視で認識できる
B:クロストークの発生を目視で認識できる
結果を表3に示す。
(FOVの評価)
作製した光学素子に、図1を模す図18に概念的に示すように、波長450nm、波長520nmおよび波長635nmのレーザー光を、角度θを変えながら入射し、使用者による観察位置において、レーザー光が出力される角度Δθを測定し、このΔθをFOVとした。
なお、FOVは、出力される角度Δθが最も小さい波長のレーザー光で評価した。
評価基準は、以下のとおりである。
AA+:FOVが70°以上の場合
AA:FOVが65°以上、かつ、70°より小さい場合
A:FOVが50°以上、かつ、65°より小さい場合
B:FOVが50°より小さい場合
結果を表3に示す。
表3に示すように、入射部が6層以上、出射部が8層以上で、かつ、回折周期がΛ1、Λ2およびΛ3と互いに異なる3種の回折素子を有し、『Λ1:Λ2:Λ3=1:1/√2±0.015:1/2±0.015』の関係を満たし、また、回折周期Λ1および回折周期Λ2の回折素子、および、回折周期Λ2および回折周期Λ3の回折素子の周期方向が成す角度が、45°±0.5°、または、135°±0.5°であり、さらに、入射部と出射部とで回折周期Λ2の回折素子が成す角度が0°±0.5°、90°±0.5°、180°±0.5°、および、270°±0.5°のいずれかであること満たす本発明の光学素子およびARグラス(画像表示装置)によれば、1枚の導光板で、クロストークを防止し、かつ、広いFOVを得ることができる。
また、実施例2および実施例3に示されるように、入射部および出射部における回折素子の数を増やすことにより、より広いFOVが得られる。
これに対して、入射部および出射部が、回折周期がΛ1およびΛ2の2種の回折素子しか有さない比較例1は、十分なFOVが得られない。
また、回折周期Λ1で規格化した回折周期Λ3の回折周期が1/2±0.15を超える比較例2、および、回折周期Λ2および回折周期Λ3の回折素子の周期方向が成す角度が、45°±0.5°および135°±0.5°の範囲を超える比較例3は、クロストークが発生して、適正な画像を表示できない。
以上の結果より、本発明の効果は明らかである。
ARグラスなどの画像表示装置に好適に利用可能である。
10 画像表示装置
12 光学素子
14 ディスプレイ
18 導光板
20 入射部
24 出射部
26Λ1-1,26Λ1-2,28Λ2-1,28Λ2-2,30Λ3-1,30Λ3-2 入射素子
34Λ1-1,34Λ1-2,36Λ2-1,36Λ2-2,36Λ2-3,36Λ2-4,38Λ3-1,38Λ3-2 出射素子
40 液晶化合物
40A 光学軸
42 明部
44 暗部
50 支持体
52 配向膜
54 (コレステリック)液晶層
56 液晶層
60 露光装置
62 レーザー
64 光源
65 λ/2板
68 偏光ビームスプリッター
70A,70B ミラー
72A,72B λ/4板
R 赤色の右円偏光
M レーザー光
MA,MB 光線
O 直線偏光
R 右円偏光
L 左円偏光
1,L4 入射光
2,L5 透過光
U 使用者
D 配列軸
Λ 回折周期
P 螺旋ピッチ

Claims (8)

  1. 導光板と、前記導光板に光を入射させる入射部と、前記導光板から光を出射させる出射部とを有し、
    前記入射部は6以上の回折素子を有し、前記出射部は8以上の回折素子を有し、かつ、
    前記入射部および前記出射部は、それぞれ、前記回折素子として、回折構造における周期がΛ1であるΛ1回折素子、回折構造における周期がΛ2であるΛ2回折素子、および、回折構造における周期がΛ3であるΛ3回折素子を有し、
    前記周期Λ1、前記周期Λ2および前記周期Λ3は、
    『Λ1:Λ2:Λ3=1:1/√2±0.015:1/2±0.015』の関係を満たし、
    前記Λ1回折素子の回折構造における周期方向と、前記Λ2回折素子の回折構造における周期方向とが成す角度、および、前記Λ2回折素子の回折構造における周期方向と、前記Λ3回折素子の回折構造における周期方向とが成す角度が、45°±0.5°、または、135°±0.5°であり、さらに、
    前記入射部に設けられる前記Λ2回折素子の回折構造における周期方向と、前記出射部に設けられる前記Λ2回折素子の回折構造における周期方向とが成す角度が、0°±0.5°、および、90°±0.5°、180°±0.5°、および、270°±0.5°のいずれかであることを特徴とする光学素子。
  2. 前記回折素子は、液晶化合物を含む組成物を用いて形成された液晶回折層を有し、
    前記液晶回折層は、前記液晶化合物由来の光学軸の向きが連続的に回転しながら変化している方向が、面内の少なくとも一方向に沿っている液晶配向パターンを有する液晶回折層を有し、
    前記液晶配向パターンにおいて、前記液晶化合物由来の光学軸の向きが面内の少なくとも一方向に沿って連続的に回転しながら変化している方向が、前記回折素子の回折構造における周期方向であり、
    前記回折構造における周期方向において、前記液晶化合物由来の光学軸の向きが180°回転する長さが、前記回折素子の回折構造における周期である、請求項1に記載の光学素子。
  3. 前記液晶回折層が、コレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層である、請求項2に記載の光学素子。
  4. 前記光学素子が、複数の前記Λ1回折素子を有し、かつ、
    前記入射部および前記出射部は、互いの前記回折構造における周期方向が成す角度が180°±0.5°である前記Λ1回折素子の組み合わせを有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の光学素子。
  5. 前記入射部および前記出射部が、複数の前記Λ3回折素子を有し、かつ、
    前記入射部および前記出射部は、互いの前記回折構造における周期方向が成す角度が180°±0.5°である前記Λ3回折素子の組み合わせを有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の光学素子。
  6. 前記入射部および前記出射部が、複数の前記Λ2回折素子を有し、かつ、
    前記入射部および前記出射部は、互いの前記回折構造における周期方向が成す角度が90°±0.5°である前記Λ2回折素子の組み合わせを有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の光学素子。
  7. 1つの前記Λ2回折素子の回折構造における周期方向を0°とした際に、
    前記出射部は、前記回折構造における周期方向が0°のΛ2回折素子に加え、前記回折構造における周期方向が90°±0.5°の前記Λ2回折素子、前記回折構造における周期方向が180°±0.5°の前記Λ2回折素子、および、前記回折構造における周期方向が270°±0.5°の前記Λ2回折素子を有する、請求項6に記載の光学素子。
  8. 請求項1~7のいずれか1項に記載の光学素子と、
    前記光学素子の前記入射部に画像を照射する表示素子とを有する、画像表示装置。
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