JP7483111B2 - 光学素子および画像表示装置 - Google Patents

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本発明は、光学素子および画像表示装置に関する。
空中に画像を表示する画像表示装置の一例として、特許文献1には、物体からの光を観察者に向けて反射する平板状の反射型面対称結像素子を備えた空間映像表示装置であって、反射型面対称結像素子は、長手方向に伸長した4つの面を有する透光の直方体からなり、4つの面のうちの1面を所定の厚みを有する光反射面とする長手部材を、反射面が同一方向となるように、複数並べて形成した第1ミラーシート及び第2ミラーシートを備え、第1ミラーシート及び第2ミラーシートにおいて、1つの直方体の光反射面と、隣接する直方体の光反射面と対向する面が当接するように直方体は配列され、第1ミラーシートの第1の光反射面と第2ミラーシートの第2の光反射面は直交するように、第1ミラーシートと第2ミラーシートを、光反射面に平行な方向に重ね合わせ、物体からの光を、第1ミラーシート及び第2ミラーシートの光反射面にそれぞれ1回ずつ反射させて実像を結像させる空間映像表示装置が記載されている。
また、特許文献2には、平行に配置された複数の第1反射面を有する第1反射プレートと、平行に配置された複数の第2反射面を有する第2反射プレートとが、第1反射面と第2反射面とを互いに垂直に配して重ねられたリフレクタアレイ光学素子と、リフレクタアレイ光学素子の背面又は正面に対向して配置された面発光体と、を備える、光学装置が記載されている。
この光学装置の一方の面側に表示パネルが配置され、表示パネルが照射した光を、光学装置(リフレクタアレイ光学素子)が面方向に再帰反射することで、光学装置の表示パネル側の面とは反対側の面側の空中に空中像を形成する。
特開2013-109211号公報 特開2018-040962号公報
特許文献1および特許文献2に記載されるような表示装置では、表示素子が照射した光を反射型面対称結像素子(リフレクタアレイ)が面方向に再帰反射して、結像素子の反対側の面対称となる位置に結像することで空中像を形成する。そのため、表示素子は光学装置に対してその表面が傾斜するように配置される。そのため、画像表示装置全体の体積が大きくなるという問題があった。
また、特許文献1および特許文献2に記載されるような表示装置では、空中像の背景に反射型面対称結像素子(リフレクタアレイ)が存在するため、反射型面対称結像素子(リフレクタアレイ)の後方の背景は視認することができず、背景と空中像とを重ねて表示するAR表示ができないという問題があった。
本発明の課題は、このような従来技術の問題点を解決することにあり、空中像を表示する光学素子および画像表示装置において、装置全体の体積が小さく、小型化が可能で、背景が視認可能な光学素子および画像表示装置を提供することにある。
この課題を解決するために、本発明は、以下の構成を有する。
[1] 導光板と、
導光板の主面に配置される入射回折素子と、
導光板の主面に配置される出射回折素子と、を有する導光素子、および、
導光板の主面に垂直な方向から見た際に出射回折素子と重複する位置に配置される反射レンズを有し、
入射回折素子は、入射した光を回折して導光板内に入射させるものであり、
出射回折素子は、導光板内を伝搬する光を導光板から出射させるものであり、
反射レンズは、出射回折素子によって導光板から出射された光を集光する光学素子。
[2] 導光素子と反射レンズとは離間している[1]に記載の光学素子。
[3] 反射レンズは出射回折素子よりも大きい[1]または[2]に記載の光学素子。
[4] 反射レンズが、焦点可変レンズである[1]~[3]のいずれかに記載の光学素子。
[5] 反射レンズが、カーブハーフミラー、表面レリーフ型回折素子、体積ホログラム型回折素子、および、偏光回折素子のいずれかである[1]~[4]のいずれかに記載の光学素子。
[6] 導光素子は、導光板の主面に配置される中間回折素子を有し、
中間回折素子は、入射回折素子によって回折されて導光板内に入射し、導光板内を伝搬する光を出射回折素子に向けて回折する[1]~[5]のいずれかに記載の光学素子。
[7] 中間回折素子の回折構造の周期が0.1μm~1μmである[6]に記載の光学素子。
[8] 中間回折素子は、表面レリーフ型回折素子、体積ホログラム型回折素子、および、偏光回折素子のいずれかである[6]または[7]に記載の光学素子。
[9] 入射回折素子および出射回折素子はそれぞれ、表面レリーフ型回折素子、体積ホログラム型回折素子、および、偏光回折素子のいずれかである[1]~[8]のいずれかに記載の光学素子。
[10] 導光素子は、さらに、導光板の主面に配置される第2入射回折素子および第2出射回折素子を有し、
第2入射回折素子は、入射した光を回折して導光板内に入射させるものであり、
第2出射回折素子は、導光板内を伝搬する光を導光板から出射させるものであり、出射回折素子による出射方向とは逆の方向に光を出射させる[1]~[9]のいずれかに記載の光学素子。
[11] 導光素子は、導光板の主面に配置される第2中間回折素子を有し、
第2中間回折素子は、第2入射回折素子によって回折されて導光板内に入射し、導光板内を伝搬する光を第2出射回折素子に向けて回折する[10]に記載の光学素子。
[12] 第2中間回折素子は、表面レリーフ型回折素子、体積ホログラム型回折素子、および、偏光回折素子のいずれかである[11]に記載の光学素子。
[13] 第2入射回折素子および第2出射回折素子はそれぞれ、表面レリーフ型回折素子、体積ホログラム型回折素子、および、偏光回折素子のいずれかである[10]~[12]のいずれかに記載の光学素子。
[14] 偏光回折素子が、液晶化合物を含む液晶層を有する液晶回折素子であり、
液晶層は、液晶化合物由来の光学軸の向きが面内の少なくとも一方向に沿って連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを有する[8]、[9]、[12]および[13]のいずれかに記載の光学素子。
[15] 液晶層において、液晶化合物の光学軸の向きが厚さ方向で捩じれ回転している領域を有する[14]に記載の光学素子。
[16] 液晶層は、コレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層である[14]または[15]に記載の光学素子。
[17] 液晶回折素子は、液晶回折素子の主面の法線方向および法線に対して傾斜した方向から面内レタデーションを測定した際に、遅相軸面内および進相軸面内のいずれかにおいて、面内レタデーションが最小となる方向が法線方向から傾斜している[14]~[16]のいずれかに記載の光学素子。
[18] 液晶回折素子が2以上の液晶層を有し、
2以上の液晶層はそれぞれ、走査型電子顕微鏡によって観察される液晶層の断面において、液晶相に由来する明部および暗部が、液晶層の主面に対して傾斜しており、明部から明部、または暗部から暗部の傾斜面に対する法線方向の間隔を1/2ピッチとした際に、液晶層のピッチが互いに異なる、[14]~[17]のいずれかに記載の光学素子。
[19] 液晶層において、液晶配向パターンにおける液晶化合物由来の光学軸の向きが面内方向に180°回転する長さを回折構造の1周期とすると、
2以上の液晶層の1周期が、互いに異なる[18]に記載の光学素子。
[20] 液晶回折素子が第1液晶層と第2液晶層とを有し、
第1液晶層のピッチをP1、1周期をΛ1とし、第2液晶層のピッチをP2、1周期をΛ2とすると、
P1<P2
Λ1<Λ2
を満たす[19]に記載の光学素子。
[21] 入射回折素子および出射回折素子の回折構造の周期が0.1μm~1μmである[1]~[20]のいずれかに記載の光学素子。
[22] [1]~[21]のいずれかに記載の光学素子と、
光学素子の入射回折素子に画像を照射する表示素子と、を有する画像表示装置。
[23] 表示素子が偏光を照射する[22]に記載の画像表示装置。
[24] 表示素子が円偏光を照射する[23]に記載の画像表示装置。
本発明によれば、空中像を表示する光学素子および画像表示装置において、装置全体の体積が小さく、小型化が可能で、背景が視認可能な光学素子および画像表示装置を提供することができる。
本発明の光学素子を用いる画像表示装置の一例を模式的に表す断面図である。 図1に示す画像表示装置の作用を説明するための断面図である。 図1に示す画像表示装置の作用を説明するための断面図である。 本発明の光学素子の他の一例を用いる画像表示装置を模式的に表す断面図である。 本発明の光学素子の他の一例を用いる画像表示装置を模式的に表す断面図である。 本発明の光学素子の他の一例を模式的に示す正面図である。 表面レリーフ型回折素子を概念的に示す断面図である。 体積ホログラム型回折素子を概念的に示す正面図である。 反射型の液晶回折素子が有するコレステリック液晶層を概念的に示す平面図である。 図9に示すコレステリック液晶層を概念的に示す断面図である。 図9に示すコレステリック液晶層の断面SEM画像を概念的に示す図である。 図9に示すコレステリック液晶層の作用を説明するための概念図である。 液晶回折素子として用いられるコレステリック液晶層の他の一例を概念的に示す図である。 液晶回折素子として用いられるコレステリック液晶層の他の一例を概念的に示す図である。 液晶回折素子として用いられるコレステリック液晶層の他の一例を概念的に示す図である。 配向膜を露光する露光装置の一例の概念図である。 透過型の液晶回折素子が有する液晶層の一例を概念的に示す図である。 図17に示す液晶層の平面図である。 図17に示す液晶層の作用を説明するための概念図である。 図17に示す液晶層の作用を説明するための概念図である。 液晶層の他の一例を概念的に示す図である。 回折素子を用いた反射レンズの一例を概念的に示す図である。 図22に示す反射レンズの作用を説明するための概念図である。 配向膜を露光する露光装置の他の一例の概念図である。 実施例の光学素子を説明するための概念図である。
以下、本発明の光学素子および画像表示装置について、添付の図面に示される好適実施形態を基に詳細に説明する。
本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレートおよびメタクリレートのいずれか一方または双方」の意味で使用される。
本明細書において、選択反射中心波長とは、対象となる物(部材)における透過率の極小値をTmin(%)とした場合、下記の式で表される半値透過率:T1/2(%)を示す2つの波長の平均値のことを言う。
半値透過率を求める式: T1/2=100-(100-Tmin)÷2
また、複数の層の選択反射中心波長が「等しい」とは、厳密に等しいことを意味するものではなく、光学的に影響のない範囲の誤差は許容される。具体的には、複数の物の選択反射中心波長が「等しい」とは、それぞれの物同士における選択反射中心波長の差が20nm以下であることを意図し、この差は15nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがより好ましい。
[光学素子]
本発明の光学素子は、
導光板と、
導光板の主面に配置される入射回折素子と、
導光板の主面に配置される出射回折素子と、を有する導光素子、および、
導光板の主面に垂直な方向から見た際に出射回折素子と重複する位置に配置される反射レンズを有し、
入射回折素子は、入射した光を回折して導光板内に入射させるものであり、
出射回折素子は、導光板内を伝搬する光を導光板から出射させるものであり、
反射レンズは、出射回折素子によって導光板から出射された光を集光する光学素子。
[画像表示装置]
本発明の画像表示装置は、
上述した光学素子と、
光学素子の入射回折素子に画像を照射する表示素子と、を有する画像表示装置である。
以下、本発明の光学素子を有する本発明の画像表示装置を図を用いて説明する。
図1に、本発明の光学素子を有する本発明の画像表示装置の一例を概念的に示す。
図1に示す画像表示装置10は、表示素子12と、導光板16、入射回折素子18、および、出射回折素子24を有する導光素子14、ならびに、反射レンズ26を有する光学素子13と、を有する。入射回折素子18および出射回折素子24はそれぞれ、導光板16の主面に配置されている。
図1に示す画像表示装置10において、入射回折素子18と、出射回折素子24とは、導光板16の主面の面方向の異なる位置に配置される。また、図1に示す例においては、入射回折素子18は導光板16の一方の主面に配置され、出射回折素子24は導光板16の、入射回折素子18が配置された主面と同じ主面に配置されている。なお、主面とは、シート状物(板状物、フィルム等)の最大面である。
また、図1に示す例においては、入射回折素子18および出射回折素子24はそれぞれ、入射した光を正反射方向とは異なる方向に反射する反射型の回折素子である。
画像表示装置10において、反射レンズ26は、導光板16の主面に垂直な方向から見た際に出射回折素子24と重複する位置に配置されている。図1に示す例では、導光板16の、出射回折素子24が配置される側の主面とは反対側の主面側に配置されている。
また、画像表示装置10において、表示素子12は、導光板16の主面に垂直な方向から見た際に入射回折素子18と重複する位置に配置されている。図1に示す例では、導光板16の、入射回折素子18が配置される側の主面とは反対側の主面側に配置されている。
反射レンズは、入射した光を反射するとともに、反射光を集光するレンズ機能を有する反射体である。
このような画像表示装置10において、表示素子12は、画像(画像に対応する光)を、入射回折素子18に向けて出射する。入射回折素子18は、入射した光を導光板16内を全反射する角度に回折して導光板16に入射させる。その際、入射回折素子18は、回折された光の進行方向が出射回折素子24に向かう方向に光を回折する。図1に示す例では、入射回折素子18は、入射した光を図1中下方向に向けて回折する。
入射回折素子18による回折光は、導光板16内を全反射して伝搬し、出射回折素子24に入射する。出射回折素子24は、入射した光を、導光板16内を全反射する角度から外れるように回折する。図1に示す例では、出射回折素子24は、入射した光を図1中右方向に向けて回折する。すなわち、図1に示すように、出射回折素子24は、入射した光を導光板16の主面に略垂直な方向に向けて回折する。
ここで、出射回折素子24が光を回折する際に、出射回折素子24の複数個所で光の一部を回折することで射出瞳拡大をする。
出射回折素子24によって回折された光は、導光板16から出射されて、反射レンズ26に入射する。ここで、出射回折素子24は射出瞳拡大を行っているため、出射回折素子24の複数の異なる位置から反射レンズに光が入射する。反射レンズ26は、異なる位置から入射した光を反射して集光し、空中に結像する。空中で結像した光は、使用者Uに空中像として観察される。
反射レンズ26による結像について図2および図3を用いて詳細に説明する。
前述のとおり、出射回折素子24は、光を回折する際に、出射回折素子24の複数個所で光の一部を回折することで射出瞳拡大をする。そのため、図2に示すように、表示素子12が照射した画像のある点の光は、出射回折素子24の複数の異なる位置で回折される。その際、表示素子12からある一定の角度で出射された光は、出射回折素子24の複数の位置から互いに平行な光として導光板16から出射される。
反射レンズ26は、このような平行光が入射すると、反射レンズ26から焦点距離f分離れた焦点面H1上の結像点K1に光を結像する。
また、図2の例とは異なる角度で表示素子12から出射された光は、出射回折素子24で回折され導光板16から出射される際の角度が、図2の例の場合と異なる角度となる。このような光も出射回折素子24の複数の異なる位置で回折され、出射回折素子24の複数の位置から互いに平行な光として導光板16から出射される。
反射レンズ26は、このような平行光が入射すると焦点面H1上の、結像点K1とは異なる結像点K2に光を結像する。
表示素子12からは様々な角度で光が出射されるため、図3に示すように、表示素子12から出射される角度ごとに、平行光として反射レンズ26に光が入射するため、反射レンズ26は、各平行光を焦点面H1上の、各結像点(図3中、K1~K3)に光を結像する。
このような複数の結像点が面状に形成されて、表示素子12が照射した画像が、空中像G1として形成される。従って、画像表示装置10は、空中像G1を使用者Uに表示することができる。
前述のとおり、空中像を表示する従来の画像表示装置では、表示素子と反射型面対称結像素子(リフレクタアレイ)等の部材同士を相対的に傾けて配置する必要があるため、画像表示装置全体の体積が大きくなるという問題があった。
これに対して、本発明の画像表示装置は、上述のとおり、表示素子12、導光板16、入射回折素子18、出射回折素子24、および、反射レンズ26の各部材は略平行に配置することができる。そのため、表示素子と再帰反射素等の部材との相対的な傾きに制限はないため、画像表示装置全体の厚さを薄くでき、体積を小さくすることができる。
また、前述のとおり、従来の画像表示装置では、空中像の背景に反射型面対称結像素子(リフレクタアレイ)が存在するため、反射型面対称結像素子(リフレクタアレイ)の後方の背景は視認することができず、背景と空中像とを重ねて表示するAR表示ができないという問題があった。
これに対して、本発明の画像表示装置は、導光板は可視光領域で透明であり、また、出射回折素子および反射レンズを可視光領域で少なくとも一部の光を透過可能な構成とすることができるため、使用者Uに、後方の背景を視認させることができる。従って、本発明の画像表示装置は、背景と空中像とを重ねて表示するAR表示を行うことができる。
なお、図1に示すように、反射レンズ26は、導光板16の主面の面方向(以下、単に「面方向」ともいう)の大きさが、出射回折素子24よりも大きく、面方向において、出射回折素子24を包含するように配置される構成とすれるのが好ましい。しかしながら、これに限定はされず、面方向において、反射レンズ26の少なくとも一部が出射回折素子24と重複していればよい。例えば、反射レンズの大きさが出射回折素子よりも小さく、面方向において、反射レンズが出射回折素子の一部を覆うように配置される構成であってもよい。あるいは、反射レンズの大きさが出射回折素子よりも大きく、面方向において、反射レンズが出射回折素子の一部を覆うように配置される構成であってもよい。
ここで、図1に示す例では、入射回折素子18と出射回折素子24とは、導光板16の同じ主面に配置される構成としたが、これに限定はされない。入射回折素子18と出射回折素子24とは、導光板16の異なる主面上に配置されてもよい。入射回折素子18と出射回折素子24とが、導光板16の異なる主面上に配置される構成の場合には、表示素子12と反射レンズ26とは、導光板16の異なる主面に対面して配置される。
また、入射回折素子18と表示素子12との間に他の層を有していてもよい。例えば、入射回折素子18が円偏光選択性を有する場合には、入射回折素子18と表示素子12との間に、入射した光を円偏光に変換する層を有していてもよい。
例えば、表示素子12が直線偏光を照射する場合、あるいは、表示素子12の表示面側に直線偏光板を有する場合には、入射回折素子18と導光板16との間にλ/4板を有する構成とすればよい。表示素子12から照射された(あるいは、直線偏光板によって変換された)直線偏光は、λ/4板で円偏光に変換されて入射回折素子18に入射する。λ/4板は、表示素子12から照射された直線偏光を、入射回折素子18が反射する旋回方向の円偏光に変換するように配置される。
なお、入射回折素子および出射回折素子は、円偏光選択性を有する構成に限定はされず、導光板内を導光される光は直線偏光とし、入射回折素子および出射回折素子は直線偏光選択性を有する構成としてもよい。
また、図1に示す例では、入射回折素子18として、入射した光を回折して反射する反射型の回折素子を用いる構成としたが、これに限定はされず、入射回折素子として、入射した光を回折して透過する透過型の回折素子を用いてもよい。
同様に、図1に示す例では、出射回折素子24として、入射した光を回折して反射する反射型の回折素子を用いる構成としたが、これに限定はされず、出射回折素子として、入射した光を回折して透過する透過型の回折素子を用いてもよい。
例えば、図4に示す画像表示装置10bは、表示素子12と、導光板16、入射回折素子18b、および、出射回折素子24bを有する導光素子14b、ならびに、反射レンズ26を有する光学素子13bと、を有する。
図4に示す例においては、入射回折素子18bおよび出射回折素子24bはそれぞれ、入射した光を回折して透過する透過型の回折素子である。
図4に示す画像表示装置10bにおいて、入射回折素子18bと、出射回折素子24bとはそれぞれ、導光板16の主面の面方向の異なる位置に配置される。また、図4に示す例においては、入射回折素子18bは導光板16の、表示素子12と対面する側の主面に配置される。また、出射回折素子24bは導光板16の、反射レンズ26と対面する側の主面に配置されている。
このような画像表示装置10bにおいて、表示素子12は、画像(画像に対応する光)を、入射回折素子18bに向けて出射する。入射回折素子18bは、入射した光を導光板16内を全反射する角度に透過、回折して導光板16に入射させる。その際、入射回折素子18bは、回折された光の進行方向が出射回折素子24に向かう方向に光を回折する。
入射回折素子18bによる回折光は、導光板16内を全反射して伝搬し、出射回折素子24bに入射する。出射回折素子24bは、入射した光を、導光板16内を全反射する角度から外れるように回折する。ここで、図示は省略するが、出射回折素子24bにおいても、光を回折する際に、出射回折素子24bの複数個所で光の一部を回折することで射出瞳拡大をする。
出射回折素子24bによって回折された光は、導光板16から出射されて、反射レンズ26に入射する。出射回折素子24bは射出瞳拡大を行っているため、出射回折素子24の複数の異なる位置から反射レンズに光が入射する。反射レンズ26は、異なる位置から入射した光を集光し、空中に結像する。これにより、画像表示装置10bは、空中像を形成(表示)する。
ここで、図1および図4に示すように、反射レンズ26と導光素子14とは離間しているのが好ましい。前述のとおり、出射回折素子24は、複数個所で光の一部を回折することで射出瞳拡大をする。そのため、光の一部は回折されずに全反射して導光板16内を導光される。その際、反射レンズ26と導光素子14とが接していると、出射回折素子24で回折されず導光板16内を導光される一部の光が、反射レンズ26との界面で反射されず、反射レンズ26に入射してしまうおそれがある。光が反射レンズ26に入射すると光の経路が変わってしまうため、その後、出射された場合に、平行光にならず、反射レンズ26によって適切に結像できなくなる等の不具合が生じるおそれがある。したがって、反射レンズ26と導光素子14とは離間しているのが好ましい。
また、反射レンズは焦点距離を変更可能な焦点可変レンズであることが好ましい。反射レンズの焦点距離を可変とすることで、画像表示装置から空中像が表示される位置(焦点面)までの距離を変更することができる。
焦点可変レンズとしては、例えば、電圧をかけると、屈折率などの光学特性が変わる媒体を用いて形成したレンズを用いることができる。このレンズは、電圧を印加して媒体内の屈折率分布を変えることで焦点距離を変化させることができる。
また、本発明の光学素子は、導光板の主面に配置される中間回折素子を有してもよい。中間回折素子は、入射回折素子によって回折されて導光板内に入射し、導光板内を伝搬する光を出射回折素子に向けて回折するものである。
例えば、図6に示す導光素子14cは、導光板16、入射回折素子18、中間回折素子20、および、出射回折素子24を有する。
図6に示す導光素子14cにおいて、入射回折素子18、中間回折素子20、および、出射回折素子24は、導光板16の主面の面方向の異なる位置に配置されている。図6に示す例においては、中間回折素子20は、入射回折素子18の図1中左側に配置され、出射回折素子24は、中間回折素子20の図1中下側に配置されている。
このような導光素子14cを有する画像表示装置において、入射回折素子18は、表示素子が照射して入射した光を回折する際に、回折された光の進行方向が中間回折素子20に向かう方向に光を回折する。図6に示す例では、入射回折素子18は、入射した光を図6中左方向に向けて回折する。
入射回折素子18による回折光は、導光板16内を全反射して伝搬し、中間回折素子20に入射する。中間回折素子20は、入射した光の進行方向が出射回折素子24に向かうように光を回折する。図6に示す例では、中間回折素子20は、入射した光を図6中下方向に向けて回折する。
中間回折素子20により回折された光は、導光板16内を全反射して伝搬し、出射回折素子24に入射する。出射回折素子24は、入射した光を、導光板16内を全反射する角度から外れるように回折する。出射回折素子24によって回折された光は、導光板16から出射されて、反射レンズ(図示せず)に入射し、空中に結像する。
ここで、中間回折素子20を有する構成とすることで、中間回折素子20によって光を回折する際に、中間回折素子の複数個所で光の一部を回折することで射出瞳拡大をすることができる。すなわち、中間回折素子20を有する構成とすることで、中間回折素子20および出射回折素子24それぞれで、射出瞳拡大をすることができる。図6の例では、中間回折素子20により左右方向に射出瞳拡大をして、出射回折素子24により上下方向に射出瞳拡大をすることができる。
また、本発明の光学素子は、導光素子が、さらに、入射回折素子および出射回折素子が回折する光の波長とは異なる波長域の光を回折する、第2入射回折素子および第2出射回折素子を有してもよい。
図5に本発明の光学素子の他の例を有する画像表示装置を示す。
図5に示す画像表示装置10cは、表示素子12と、導光板16、入射回折素子18、出射回折素子24、第2入射回折素子19、および、第2出射回折素子25を有する導光素子14c、ならびに、反射レンズ26を有する光学素子13cと、を有する。なお、画像表示装置10cは、導光素子が入射回折素子18および出射回折素子24を有する以外は図1に示す画像表示装置10と同様の構成を有するため、以下の説明は異なる点を主に行う。
図5に示す例において、第2入射回折素子19は、入射回折素子18に重ねて導光板16の主面に配置されている。第2出射回折素子25は、導光板16の、出射回折素子24が配置される主面とは反対側の主面に配置されている。第2出射回折素子25は、面方向において出射回折素子24と重畳する位置に配置されている。
図5に示す例において、入射回折素子18、出射回折素子24、第2入射回折素子19、および、第2出射回折素子25は、特定の波長域の光を選択的に回折する波長選択性を有しており、入射回折素子18および出射回折素子24が回折する光の波長と、第2入射回折素子19および第2出射回折素子25が回折する光の波長とは異なっている。以下、入射回折素子18および出射回折素子24が回折する光の波長を第1の波長ともいい、第2入射回折素子19および第2出射回折素子25が回折する光の波長を第2の波長ともいう。
後に詳述するが、波長選択性を有する回折素子としては、コレステリック液晶層を用いた偏光回折素子等が挙げられる。
第2入射回折素子は、入射した第2の波長の光を回折して導光板16内に入射させるものである。
第2出射回折素子は、導光板16内を伝搬する第2の波長の光を導光板16から出射させるものであり、出射回折素子24による第1の波長の光の出射方向とは逆の方向に、第2の波長の光を出射させる。
また、画像表示装置10cにおいて、表示素子12は、導光板16の主面に垂直な方向から見た際に入射回折素子18および第2入射回折素子19と重複する位置に配置されている。表示素子12は、入射回折素子18が回折する第1の波長の光による画像と、第2入射回折素子19が回折する第2の波長の光による画像とを照射する。なお、表示素子12は、第1の波長の光による画像と第2の波長の光による画像とを同時に照射してもよいし、交互に照射してもよい。あるいは、第1の波長の光による画像を照射する表示素子と、第2の波長の光による画像を照射する表示素子とを有する構成としてもよい。
このような画像表示装置10cにおいて、表示素子12は、第1の波長による画像および第2の波長による画像を、入射回折素子18および第2入射回折素子19に向けて出射する。入射回折素子18は、入射した光のうち、第1の波長の光を導光板16内を全反射する角度に回折して導光板16に入射させる。その際、入射回折素子18は、回折された光の進行方向が出射回折素子24に向かう方向に光を回折する。
入射回折素子18による第1の波長の回折光は、導光板16内を全反射して伝搬し、出射回折素子24に入射する。出射回折素子24は、入射した第1の波長の光を、導光板16内を全反射する角度から外れるように回折する。すなわち、図5に示すように、出射回折素子24は、入射した第1の波長の光を導光板16の主面に略垂直な方向に向けて回折する。ここで、第1の波長の光が第2出射回折素子25に入射しても、第1の波長の光は、第2出射回折素子25によっては回折されず、導光板16内を全反射される。
出射回折素子24によって回折された第1の波長の光は、導光板16から出射されて、反射レンズ26に入射する。反射レンズ26は、入射した第1の波長の光を反射して集光し、空中に結像する。空中で結像した光は、使用者Uに空中像として観察される。
一方、第2入射回折素子19は、入射した光のうち、第2の波長の光を導光板16内を全反射する角度に回折して導光板16に入射させる。その際、第2入射回折素子19は、回折された光の進行方向が第2出射回折素子25に向かう方向に光を回折する。
第2入射回折素子19による第2の波長の回折光は、導光板16内を全反射して伝搬し、第2出射回折素子25に入射する。第2出射回折素子25は、入射した第2の波長の光を、導光板16内を全反射する角度から外れるように回折する。すなわち、図5に示すように、第2出射回折素子25は、入射した第2の波長の光を導光板16の主面に略垂直な方向に向けて回折する。また、第2出射回折素子25は、出射回折素子24による光の出射方向とは逆の方向、すなわち、反射レンズ26が配置される側とは逆方向に光を出射する。また、第2の波長の光が出射回折素子24に入射しても、第2の波長の光は、出射回折素子24によっては回折されず、導光板16内を全反射される。
第2出射回折素子25によって回折された第2の波長の光は、導光板16から出射されて、使用者Uに観察される。ここで、第2出射回折素子25によって回折された第2の波長の光による画像は、使用者Uには、導光板16の奧側(無限遠)の像(以下、後方仮想映像ともいう)として認識される。
従って、画像表示装置10cは、表示される奥行きが異なる、導光板16の手前側に表示される空中像と、導光板16の奧側に表示される後方仮想映像とを表示することができる。
ここで、図5に示す画像表示装置10cにおいても、第2入射回折素子によって回折されて導光板内に入射し導光板内を伝搬する第2の波長の光を第2出射回折素子に向けて回折する第2の中間回折素子を有する構成としてもよい。すなわち、第1の波長の光を回折する入射回折素子、中間回折素子および出射回折素子と、第2の波長の光を回折する第2入射回折素子、第2中間回折素子および第2出射回折素子とを有する構成としてもよい。
第2中間回折素子を有することで第2の波長の光による画像の射出瞳拡大をすることができる。
以下、本発明の画像表示装置が有する各構成要素について説明する。
〔表示素子〕
表示素子12は、空中に投映する画像(静止画または動画)を照射するものである。
表示素子12には、制限はなく、例えば、画像表示装置に用いられる公知のディスプレイが、各種、利用可能である。
本発明の画像表示装置10において、表示素子12には制限はなく、各種の画像表示装置に用いられる公知の表示素子(表示装置、プロジェクター)が、各種、利用可能である。表示素子12としては、一例として、ディスプレイと投映レンズとを有する表示素子が例示される。
本発明の画像表示装置10において、ディスプレイには、制限はなく、例えば、各種の画像表示装置に用いられる公知のディスプレイが、各種、利用可能である。
ディスプレイとしては、一例として、液晶ディスプレイ(LCOS:Liquid Crystal On Siliconなどを含む)、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ、および、DLP(Digital Light Processing)、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラーを用いたスキャニング方式ディスプレイ等が例示される。
なお、ディスプレイは、各回折素子が異なる選択反射波長の複数の液晶層を有する場合には、各液晶層が反射する波長の光を用いて多色画像を表示するディスプレイが用いられる。
本発明の画像表示装置10に用いられる表示素子12おいて、投映レンズも、各種の画像表示装置に用いられる公知の投映レンズ(コリメートレンズ)である。
ここで、本発明の画像表示装置10においては、表示素子12による表示画像すなわち表示素子12が照射する光には、制限はないが、偏光、特に円偏光が好ましい。
表示素子12が円偏光を照射する際に、ディスプレイが無偏光の画像を照射する場合には、表示素子12は、例えば直線偏光子とλ/4板とからなる円偏光板を有するのが好ましい。また、ディスプレイが直線偏光の画像を照射する場合には、表示素子12は、例えばλ/4板を有するのが好ましい。
なお、表示素子12が照射する光は、他の偏光(例えば直線偏光等)であってもよい。
〔導光板〕
導光板16は、入射した光を内部で導光するものである。
導光板16としては特に限定はなく、画像表示装置等で用いられている従来公知の導光板を用いることができる。
導光板16の厚さには特に制限はないが、画像表示装置全体の体積を小さくする観点から、0.01mm~500mmが好ましく、0.05mm~100mmがより好ましく、0.1mm~10mmがさらに好ましい。
また、導光板16の主面の大きさには特に制限はなく、画像表示装置が表示する空中像G1の大きさ、表示素子12の表示面の大きさ等に応じて適宜設定すればよい。
〔回折素子〕
入射回折素子18、中間回折素子20、および、出射回折素子24、ならびに、第2入射回折素子19、第2中間回折素子、および、第2出射回折素子25としては、従来公知の回折素子を適宜用いることができる。なお、以下の説明において、入射回折素子18、中間回折素子20、出射回折素子24、第2入射回折素子19、第2中間回折素子、および、第2出射回折素子25を区別する必要がない場合には、まとめて回折素子ともいう。
これらの回折素子としては、表面レリーフ型回折素子、体積ホログラム型回折素子、および、偏光回折素子のいずれかであることが好ましい。
偏光回折素子としては、液晶化合物を含む組成物を用いて形成された液晶回折素子であることが好ましい。また、液晶回折素子としては、コレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層を有することも好ましい。また、回折素子としては透過型の回折素子であってもよいし、反射型の回折素子であってもよい。
以下、各回折素子の構成について説明する。
〔表面レリーフ型回折素子〕
表面レリーフ型回折素子としては公知の表面レリーフ型回折素子を用いることができる。図7に例示するD1のように、表面レリーフ型回折素子は、表面に直線状の微細な凹凸が交互に所定の周期で平行に並んで構成されたものである。回折構造の周期、材質および凸部の高さなどは回折する波長域によって適宜設定すればよい。
また、表面レリーフ型回折素子は、樹脂等からなるフィルム状物の表面に回折構造(凹凸構造)を形成したものであってもよいし、導光板の表面に直接、回折構造(凹凸構造)を形成したものであってもよい。
表面レリーフ型回折素子において、表面に形成される凹凸構造が回折構造であり、凹凸構造の周期が回折構造の周期であり、図7中、矢印Dで示す、凹凸構造の配列方向が回折構造の周期方向である。
〔体積ホログラム型回折素子〕
体積ホログラム型回折素子としては公知の体積ホログラム型回折素子を用いることができる。図8に例示するD2のように、体積ホログラム型回折素子は、屈折率が高い直線状の領域110と屈折率が低い直線状の領域112が交互に所定の周期で平行に並んで構成されたものである。回折構造の周期、材質および各領域の屈折率などは回折する波長域によって適宜設定すればよい。
体積ホログラム型回折素子において、屈折率が高い直線状の領域110と屈折率が低い直線状の領域112が交互に形成された構造が回折構造であり、領域110と領域112との配列の周期が回折構造の周期であり、図8に矢印Dで示す、領域110と領域112との配列方向が回折構造の周期方向である。
〔偏光回折素子〕
偏光回折素子としては公知の偏光回折素子を用いることができる。偏光回折素子は微細領域で偏光状態を制御することによって、入射する光の偏光状態に応じて出射光の回折方向や偏光状態、回折光強度を制御する回折素子である。偏光回折素子として、例えば、「Erez Hasman et al., Polarization dependent focusing lens by useof quantized Pancharatnm-Berry phase diffractive optics, Applied Physics Letters, Volume 82, Number 3 pp.328-330」に記載の構造複屈折を用いて回折構造を形成した偏光回折素子、特許第5276847号に記載の複屈折材料を用いて回折構造を形成した偏光回折素子等が例示される。
偏光回折素子としては、液晶化合物を含む組成物を用いて形成され、液晶化合物由来の光学軸の向きが面内の少なくとも一方向に沿って連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを有する液晶層を有する、液晶回折素子が例示される。
(反射型液晶回折素子)
反射型の液晶回折素子の一例を、図9および図10を用いて説明する。
図9は、反射型液晶回折素子が有するコレステリック液晶層の平面図である。図10は、反射型液晶回折素子の一例を模式的に示す図である。
図9および図10に示す反射型液晶回折素子は、コレステリック液晶相を固定してなり、液晶化合物由来の光学軸の向きが面内の少なくとも一方向に沿って連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを有するコレステリック液晶層34を有する。コレステリック液晶層は、選択反射波長の一方の円偏光を反射し、他の波長域の光および他方の円偏光を透過するものである。したがって、コレステリック液晶層を有する回折素子は、反射型の回折素子である。
図10に示す例では、反射型液晶回折素子は、支持体30と、配向膜32と、コレステリック液晶層34と、を有する。
なお、図10に示す例の反射型液晶回折素子は、支持体30と、配向膜32と、コレステリック液晶層34とを有するが、本発明は、これに制限はされない。反射型液晶回折素子は、例えば、導光板16に貼り合わせた後に、支持体30を剥離した、配向膜32およびコレステリック液晶層34のみを有するものでもよい。または、反射型液晶回折素子は、例えば、導光板16に貼り合わせた後に、支持体30および配向膜32を剥離した、コレステリック液晶層34のみを有するものでもよい。
<支持体>
支持体30は、配向膜32、および、コレステリック液晶層34を支持するものである。
支持体30は、配向膜32、コレステリック液晶層34を支持できるものであれば、各種のシート状物(フィルム、板状物)が利用可能である。
なお、支持体30は、対応する光に対する透過率が50%以上であるのが好ましく、70%以上であるのがより好ましく、85%以上であるのがさらに好ましい。
支持体30の厚さには、制限はなく、反射型液晶回折素子の用途および支持体30の形成材料等に応じて、配向膜32、コレステリック液晶層34を保持できる厚さを、適宜、設定すればよい。
支持体30の厚さは、1~2000μmが好ましく、3~500μmがより好ましく、5~250μmがさらに好ましい。
支持体30は単層であっても、多層であってもよい。
単層である場合の支持体30としては、ガラス、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、アクリル、および、ポリオレフィン等からなる支持体30が例示される。多層である場合の支持体30の例としては、前述の単層の支持体のいずれかなどを基板として含み、この基板の表面に他の層を設けたもの等が例示される。
<配向膜>
反射型液晶回折素子において、支持体30の表面には配向膜32が形成される。
配向膜32は、コレステリック液晶層34を形成する際に、液晶化合物40を所定の液晶配向パターンに配向するための配向膜である。
後述するが、本発明において、コレステリック液晶層34は、液晶化合物40に由来する光学軸40A(図9参照)の向きが、面内の一方向に沿って連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを有する。従って、配向膜32は、コレステリック液晶層34が、この液晶配向パターンを形成できるように、形成される。
以下の説明では、『光学軸40Aの向きが回転』を単に『光学軸40Aが回転』とも言う。
配向膜32は、公知の各種のものが利用可能である。
例えば、ポリマーなどの有機化合物からなるラビング処理膜、無機化合物の斜方蒸着膜、マイクログルーブを有する膜、ならびに、ω-トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライドおよびステアリル酸メチルなどの有機化合物のラングミュア・ブロジェット法によるLB(Langmuir-Blodgett:ラングミュア・ブロジェット)膜を累積させた膜、等が例示される。
ラビング処理による配向膜32は、ポリマー層の表面を紙または布で一定方向に数回こすることにより形成できる。
配向膜32に使用する材料としては、ポリイミド、ポリビニルアルコール、特開平9-152509号公報に記載された重合性基を有するポリマー、特開2005-97377号公報、特開2005-99228号公報、および、特開2005-128503号公報記載の配向膜32等の形成に用いられる材料が好ましい。
反射型液晶回折素子においては、配向膜32は、光配向性の素材に偏光または非偏光を照射して配向膜32とした、いわゆる光配向膜が好適に利用される。すなわち、反射型液晶回折素子においては、配向膜32として、支持体30上に、光配向材料を塗布して形成した光配向膜が、好適に利用される。
偏光の照射は、光配向膜に対して、垂直方向または斜め方向から行うことができ、非偏光の照射は、光配向膜に対して、斜め方向から行うことができる。
本発明に利用可能な配向膜に用いられる光配向材料としては、例えば、特開2006-285197号公報、特開2007-76839号公報、特開2007-138138号公報、特開2007-94071号公報、特開2007-121721号公報、特開2007-140465号公報、特開2007-156439号公報、特開2007-133184号公報、特開2009-109831号公報、特許第3883848号公報および特許第4151746号公報に記載のアゾ化合物、特開2002-229039号公報に記載の芳香族エステル化合物、特開2002-265541号公報および特開2002-317013号公報に記載の光配向性単位を有するマレイミドおよび/またはアルケニル置換ナジイミド化合物、特許第4205195号および特許第4205198号に記載の光架橋性シラン誘導体、特表2003-520878号公報、特表2004-529220号公報および特許第4162850号に記載の光架橋性ポリイミド、光架橋性ポリアミドおよび光架橋性ポリエステル、ならびに、特開平9-118717号公報、特表平10-506420号公報、特表2003-505561号公報、国際公開第2010/150748号、特開2013-177561号公報および特開2014-12823号公報に記載の光二量化可能な化合物、特にシンナメート化合物、カルコン化合物およびクマリン化合物等が、好ましい例として例示される。
中でも、アゾ化合物、光架橋性ポリイミド、光架橋性ポリアミド、光架橋性ポリエステル、シンナメート化合物、および、カルコン化合物は、好適に利用される。
配向膜32の厚さには、制限はなく、配向膜32の形成材料に応じて、必要な配向機能を得られる厚さを、適宜、設定すればよい。
配向膜32の厚さは、0.01~5μmが好ましく、0.05~2μmがより好ましい。
配向膜32の形成方法には、制限はなく、配向膜32の形成材料に応じた公知の方法が、各種、利用可能である。一例として、配向膜32を支持体30の表面に塗布して乾燥させた後、配向膜32をレーザ光によって露光して、配向パターンを形成する方法が例示される。
図16に、配向膜32を露光して、配向パターンを形成する露光装置の一例を概念的に示す。
図16に示す露光装置60は、レーザ62を備えた光源64と、レーザ62が出射したレーザ光Mの偏光方向を変えるλ/2板65と、レーザ62が出射したレーザ光Mを光線MAおよびMBの2つに分離する偏光ビームスプリッター68と、分離された2つの光線MAおよびMBの光路上にそれぞれ配置されたミラー70Aおよび70Bと、λ/4板72Aおよび72Bと、を備える。
なお、光源64は直線偏光P0を出射する。λ/4板72Aは、直線偏光P0(光線MA)を右円偏光PRに、λ/4板72Bは直線偏光P0(光線MB)を左円偏光PLに、それぞれ変換する。
配向パターンを形成される前の配向膜32を有する支持体30が露光部に配置され、2つの光線MAと光線MBとを配向膜32上において交差させて干渉させ、その干渉光を配向膜32に照射して露光する。
この際の干渉により、配向膜32に照射される光の偏光状態が干渉縞状に周期的に変化するものとなる。これにより、配向状態が周期的に変化する配向パターンを有する配向膜(以下、パターン配向膜ともいう)が得られる。
露光装置60においては、2つの光線MAおよびMBの交差角αを変化させることにより、配向パターンの周期を調節できる。すなわち、露光装置60においては、交差角αを調節することにより、液晶化合物40に由来する光学軸40Aが一方向に沿って連続的に回転する配向パターンにおいて、光学軸40Aが回転する1方向における、光学軸40Aが180°回転する1周期の長さを調節できる。
このような配向状態が周期的に変化した配向パターンを有する配向膜32上に、コレステリック液晶層を形成することにより、後述するように、液晶化合物40に由来する光学軸40Aが一方向に沿って連続的に回転する液晶配向パターンを有する、コレステリック液晶層34を形成できる。
また、λ/4板72Aおよび72Bの光学軸を、それぞれ、90°回転することにより、光学軸40Aの回転方向を逆にすることができる。
上述のとおり、パターン配向膜は、パターン配向膜の上に形成されるコレステリック液晶層中の液晶化合物の光学軸の向きが面内の少なくとも一方向に沿って連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンとなるように、液晶化合物を配向させる配向パターンを有する。パターン配向膜が、液晶化合物を配向させる向きに沿った軸を配向軸とすると、パターン配向膜は、配向軸の向きが面内の少なくとも一方向に沿って連続的に回転しながら変化している配向パターンを有するといえる。パターン配向膜の配向軸は、吸収異方性を測定することで検出することができる。例えば、パターン配向膜に直線偏光を回転させながら照射して、パターン配向膜を透過する光の光量を測定した際に、光量が最大または最小となる向きが、面内の一方向に沿って漸次変化して観測される。
なお、本発明において、配向膜32は、好ましい態様として設けられるものであり、必須の構成要件ではない。
例えば、支持体30をラビング処理する方法、支持体30をレーザ光などで加工する方法等によって、支持体30に配向パターンを形成することにより、コレステリック液晶層34が、液晶化合物40に由来する光学軸40Aの向きが面内の少なくとも一方向に沿って連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを有する構成とすることも、可能である。すなわち、本発明においては、支持体30を配向膜として作用させてもよい。
<コレステリック液晶層>
反射型液晶回折素子において、配向膜32の表面には、コレステリック液晶層34が形成される。
上述したように、コレステリック液晶層は、コレステリック液晶相を固定してなる、コレステリック液晶層であり、液晶化合物由来の光学軸の向きが面内の少なくとも一方向に沿って連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを有するコレステリック液晶層である。液晶化合物由来の光学軸の向きが面内の少なくとも一方向に沿って連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを有するコレステリック液晶層は、コレステリック液晶層の主面に垂直な断面においてSEMにて観察されるコレステリック液晶相由来の明部及び暗部の配列方向が、コレステリック液晶層の主面に対して傾斜している。
コレステリック液晶層34は、図10に概念的に示すように、通常のコレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層と同様に、液晶化合物40が螺旋状に旋回して積み重ねられた螺旋構造を有し、液晶化合物40が螺旋状に1回転(360°回転)して積み重ねられた構成を螺旋1ピッチとして、螺旋状に旋回する液晶化合物40が、複数ピッチ、積層された構造を有する。
周知のように、コレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層は、波長選択反射性を有する。
後に詳述するが、コレステリック液晶層の選択的な反射波長域は、上述した螺旋1ピッチの厚さ方向の長さに依存する。図13のように液晶化合物の傾斜が、明部および暗部の傾斜と一致する場合には、螺旋ピッチは、図11に示す傾斜面ピッチPと略一致する。また、図10のように液晶化合物の傾斜が、明部および暗部の傾斜と一致しない場合には、螺旋ピッチは、図11に示す傾斜面ピッチPから若干ズレるが、以下の説明では、螺旋ピッチと傾斜面ピッチとを区別せずに説明を行う。
従って、液晶回折素子に波長選択性を持たせ、回折素子ごとに異なる波長の光を回折する構成とする場合には、各液晶回折素子ごとに、コレステリック液晶層のピッチPを調整して、コレステリック液晶層の選択的な反射波長域を適宜設定すればよい。
図9に示すように、コレステリック液晶層34のX-Y面において、液晶化合物40は、X-Y面内の互いに平行な複数の配列軸Dに沿って配列しており、それぞれの配列軸D上において、液晶化合物40の光学軸40Aの向きは、配列軸Dに沿った面内の一方向に連続的に回転しながら変化している。ここで、説明のため、配列軸DがX方向に向いているとする。また、Y方向においては、光学軸40Aの向きが等しい液晶化合物40が等間隔で配向している。
なお、「液晶化合物40の光学軸40Aの向きが配列軸Dに沿った面内の一方向に連続的に回転しながら変化している」とは、液晶化合物40の光学軸40Aと配列軸Dとのなす角度が、配列軸D方向の位置により異なっており、配列軸Dに沿って光学軸40Aと配列軸Dとのなす角度がθからθ+180°あるいはθ-180°まで徐々に変化していることを意味する。つまり、配列軸Dに沿って配列する複数の液晶化合物40は、図3に示すように、光学軸40Aが配列軸Dに沿って一定の角度ずつ回転しながら変化する。
なお、配列軸D方向に互いに隣接する液晶化合物40の光学軸40Aの角度の差は、45°以下であるのが好ましく、15°以下であるのがより好ましく、より小さい角度であるのがさらに好ましい。
また、本明細書において、液晶化合物40が棒状液晶化合物である場合、液晶化合物40の光学軸40Aは、棒状液晶化合物の分子長軸を意図する。一方、液晶化合物40が円盤状液晶化合物である場合、液晶化合物40の光学軸40Aは、円盤状液晶化合物の円盤面に対する法線方向に平行な軸を意図する。
コレステリック液晶層34においては、このような液晶化合物40の液晶配向パターンにおいて、面内で光学軸40Aが連続的に回転して変化する配列軸D方向において、液晶化合物40の光学軸40Aが180°回転する長さ(距離)を、液晶配向パターンにおける1周期の長さΛとする。
すなわち、配列軸D方向に対する角度が等しい2つの液晶化合物40の、配列軸D方向の中心間の距離を、1周期の長さΛとする。具体的には、図9に示すように、配列軸D方向と光学軸40Aの方向とが一致する2つの液晶化合物40の、配列軸D方向の中心間の距離を、1周期の長さΛとする。以下の説明では、この1周期の長さΛを『1周期Λ』とも言う。
コレステリック液晶層34の液晶配向パターンは、この1周期Λを、配列軸D方向すなわち光学軸40Aの向きが連続的に回転して変化する一方向に繰り返す。
一方、コレステリック液晶層34を形成する液晶化合物40は、配列軸D方向と直交する方向(図9においてはY方向)、すなわち、光学軸40Aが連続的に回転する一方向と直交するY方向では、光学軸40Aの向きが等しい。
言い換えれば、コレステリック液晶層34を形成する液晶化合物40は、Y方向では、液晶化合物40の光学軸40Aと配列軸D方向とが成す角度が等しい。
図10に示すコレステリック液晶層34のX-Z面をSEM(走査型電子顕微鏡)にて観察すると、図11に示すような明部42と暗部44とが交互に配列された配列方向が、主面(X-Y面)に対して所定角度で傾斜している縞模様が観察される。このようなSEM断面において、隣接する明部42から明部42、または、暗部44から暗部44の、明部42または暗部44が成す線の法線方向における間隔が1/2ピッチに相当する。
以下、液晶層による回折の作用について説明する。
従来のコレステリック液晶層において、コレステリック液晶相由来の螺旋軸は、主面(X-Y面)に対して垂直であり、その反射面は主面(X-Y面)と平行な面である。また、液晶化合物の光学軸は、主面(X-Y面)に対して傾斜していない。言い換えると、光学軸は主面(X-Y面)に対して平行である。したがって、従来のコレステリック液晶層のX-Z面をSEMにて観察すると、明部と暗部とが交互に配列された配列方向は主面(X-Y面)と垂直となる。
コレステリック液晶相は鏡面反射性であるため、例えば、コレステリック液晶層に法線方向から光が入射される場合、法線方向に光が反射される。
これに対して、明部と暗部の配列方向が傾斜した構成のコレステリック液晶層34は、入射した光を、鏡面反射に対して配列軸D方向に傾けて反射する。コレステリック液晶層34は、面内において、配列軸D方向(所定の一方向)に沿って光学軸40Aが連続的に回転しながら変化する、液晶配向パターンを有するものである。以下、図12を参照して説明する。
一例として、コレステリック液晶層34は、赤色光の右円偏光RRを選択的に反射するコレステリック液晶層であるとする。従って、コレステリック液晶層34に光が入射すると、コレステリック液晶層34は、赤色光の右円偏光RRのみを反射し、それ以外の光を透過する。
コレステリック液晶層34では、液晶化合物40の光学軸40Aが配列軸D方向(一方向)に沿って回転しながら変化している。コレステリック液晶層34に形成された液晶配向パターンは、配列軸D方向に周期的なパターンである。そのため、コレステリック液晶層34に入射した赤色光の右円偏光RRには、図12に概念的に示すように、液晶配向パターンの周期に応じた方向に反射(回折)され、反射された赤色光の右円偏光RRは、XY面(コレステリック液晶層の主面)に対して配列軸D方向に傾いた方向に反射(回折)される。
従って、コレステリック液晶層34において、光学軸40Aが回転する一方向である配列軸D方向を、適宜、設定することで、光の反射方向(回折角度)を調節できる。
また、同じ波長で、同じ旋回方向の円偏光を反射する場合に、配列軸D方向に向かう液晶化合物40の光学軸40Aの回転方向を逆にすることで、円偏光の反射方向を逆にできる。
例えば、図9および図10においては、配列軸D方向に向かう光学軸40Aの回転方向は時計回りで、ある円偏光が配列軸D方向に傾けて反射されるが、これを反時計回りとすることで、ある円偏光が配列軸D方向とは逆方向に傾けて反射される。
さらに、同じ液晶配向パターンを有する液晶層では、液晶化合物40の螺旋の旋回方向すなわち反射する円偏光の旋回方向によって、反射方向が逆になる。
例えば、螺旋の旋回方向が右捩じれの場合、右円偏光を選択的に反射するものであり、配列軸D方向に沿って光学軸40Aが時計回りに回転する液晶配向パターンを有することにより、右円偏光を配列軸D方向に傾けて反射する。
また、例えば、螺旋の旋回方向が左捩じれの場合、左円偏光を選択的に反射するものであり、配列軸D方向に沿って光学軸40Aが時計回りに回転する液晶配向パターンを有する液晶層は、左円偏光を配列軸D方向と逆方向に傾けて反射する。
液晶配向パターンを有する液晶層では、1周期Λが短いほど、入射光に対する反射光の角度が大きくなる。すなわち、1周期Λが短いほど、入射光に対して、反射光を大きく傾けて反射できる。従って、各回折素子が有する液晶層における液晶配向パターンの1周期は、各回折素子の回折角度、配置等に応じて適宜設定すればよい。
これらの回折素子の回折構造の周期(1周期Λ)は0.1μm~10μmが好ましく、0.1μm~1μmがより好ましく、0.1μm~0.8μmがさらに好ましく、導光板を全反射で伝播させる観点から、入射する光の波長λ以下がさらに好ましい。
ここで、図10に示す例では、コレステリック液晶層34のX-Z面において、液晶化合物40が、主面(X-Y面)に対して、その光学軸40Aが平行に配向している構成としたがこれに限定はされない。例えば、図13に示すように、コレステリック液晶層34のX-Z面において、液晶化合物40が、主面(X-Y面)に対して、その光学軸40Aが傾斜して配向している構成であってもよい。
また、図13に示す例では、コレステリック液晶層34のX-Z面において、液晶化合物40の主面(X-Y面)に対する傾斜角度(チルト角)は厚さ方向(Z方向)に一様としたが、これに限定はされない。コレステリック液晶層34において、液晶化合物40のチルト角が厚さ方向で異なっている領域を有していてもよい。
例えば、図14に示す例は、コレステリック液晶層の、配向膜32側の界面において液晶化合物40の光学軸40Aが主面に平行であり(プレチルト角が0であり)、配向膜32側の界面から厚さ方向に離間するにしたがって、液晶化合物40のチルト角が大きくなって、その後、他方の界面(空気界面)側まで一定のチルト角で液晶化合物が配向されている構成である。
このように、コレステリック液晶層においては、上下界面の一方の界面において、液晶化合物の光学軸がプレチルト角を有している構成であってもよく、両方の界面でプレチルト角を有する構成であってもよい。また、両界面でプレチルト角が異なっていてもよい。
このように液晶化合物がチルト角を有して(傾斜して)いることにより、光が回折する際に実効的な液晶化合物の複屈折率が高くなり、回折効率を高めることができる。
液晶化合物40の光学軸40Aと主面(X-Y面)とのなす平均角度(平均チルト角)は、5~80°が好ましく、10~50°がより好ましい。なお、平均チルト角は、コレステリック液晶層34のX-Z面を偏光顕微鏡観察することにより測定できる。なかでも、コレステリック液晶層34のX-Z面において、液晶化合物40は、主面(X-Y面)に対して、その光学軸40Aが同一の方向に傾斜配向することが好ましい。
なお、上記チルト角は、コレステリック液晶層断面の偏光顕微鏡観察において、液晶化合物40の光学軸40Aと主面とのなす角度を任意の5か所以上で測定して、それらを算術平均した値である。
回折素子(コレステリック液晶層)に垂直に入射した光は、コレステリック液晶層内において斜め方向に、屈曲力が加わり斜めに進む。コレステリック液晶層内において光が進むと、本来垂直入射に対して所望の回折角が得られるように設定されている回折周期等の条件とのずれが生じるために、回折ロスが生じる。
液晶化合物をチルトさせた場合、チルトさせない場合と比較して、光が回折する方位に対してより高い複屈折率が生じる方位が存在する。この方向では実効的な異常光屈折率が大きくなるため、異常光屈折率と常光屈折率の差である複屈折率が高くなる。
狙った回折する方位に合わせて、チルト角の方位を設定することによって、その方位での本来の回折条件とのずれを抑制することができ、結果としてチルト角を持たせた液晶化合物を用いた場合の方が、より高い回折効率を得ることができると考えられる。
また、チルト角は液晶層の界面の処理によって制御されることが望ましい。支持体側の界面においては、配向膜にプレチルト処理をおこなうことにより液晶化合物のチルト角を制御することが出来る。例えば、配向膜の形成の際に配向膜に紫外線を正面から露光した後に斜めから露光することにより、配向膜上に形成するコレステリック液晶層中の液晶化合物にプレチルト角を生じさせることが出来る。この場合には、2回目の照射方向に対して液晶化合物の単軸側が見える方向にプレチルトする。但し2回目の照射方向に対して垂直方向の方位の液晶化合物はプレチルトしないため、面内でプレチルトする領域とプレチルトしない領域が存在する。このことは、狙った方位に光を回折させるときにその方向に最も複屈折を高めることに寄与するので回折効率を高めるのに適している。
さらに、コレステリック液晶層中または配向膜中にプレチルト角を助長する添加剤を加えることも出来る。この場合、回折効率を更に高める因子として添加剤を利用できる。
この添加剤は空気側の界面のプレチルト角の制御にも利用できる。
ここで、コレステリック液晶層は、法線方向および法線に対して傾斜した方向から面内レタデーションReを測定した際に、遅相軸面内および進相軸面内のいずれかにおいて、面内レタデーションReが最小となる方向が法線方向から傾斜しているのが好ましい。具体的には、面内レタデーションReが最小となる方向が法線と成す測定角の絶対値が5°以上であることが好ましい。言い換えると、コレステリック液晶層の液晶化合物が主面に対して傾斜し、かつ、傾斜方向がコレステリック液晶層の明部および暗部に略一致していることが好ましい。なお、法線方向とは、主面に対して垂直な方向である。
コレステリック液晶層がこのような構成を有することにより、液晶化合物が主面に平行であるコレステリック液晶層に比して、高い回折効率で円偏光を回折できる。
コレステリック液晶層の液晶化合物が主面に対して傾斜し、かつ、傾斜方向が明部および暗部に略一致している構成では、反射面に相当する明部および暗部と、液晶化合物の光学軸とが一致している。そのため、光の反射(回折)に対する液晶化合物の作用が大きくなり、回折効率を向上できる。その結果、入射光に対する反射光の光量をより向上できる。
コレステリック液晶層の進相軸面または遅相軸面において、コレステリック液晶層の光学軸傾斜角の絶対値は5°以上が好ましく、15°以上がより好ましく、20°以上がさらに好ましい。
光学軸傾斜角の絶対値を15°以上とすることにより、より好適に、液晶化合物の方向を明部および暗部に一致させ、回折効率を向上できる点で好ましい。
また、図15に示すコレステリック液晶層のように、X-Z面においてSEMにより観察されるコレステリック液晶相に由来する明部42および暗部44からなる明暗線の形状が波状(波打ち構造)である構成のコレステリック液晶層を用いることもできる。明暗線の形状が波打ち構造のコレステリック液晶層は、光を拡散することができるため、投映型画像表示システムにおいて表示される画像の視野角を大きくすることができる。
図15に示すコレステリック液晶層は、明部42および暗部44からなる明暗線の形状が波状である以外は、図11に示すコレステリック液晶層と同様の構成を有する。
すなわち、図15に示すコレステリック液晶層は、コレステリック液晶構造を有し、螺旋軸と反射層の表面とのなす角が周期的に変化する構造を有する層である。言い換えれば、コレステリック液晶層は、コレステリック液晶構造を有し、コレステリック液晶構造はSEMにて観測される断面図において明部と暗部との縞模様を与え、暗部がなす線の法線と反射層の表面となす角が周期的に変化する層である。
好ましくは、波打ち構造とは、縞模様を成す明部または暗部の連続線において、コレステリック液晶層の平面に対する傾斜角度の絶対値が5°以上である領域Mが少なくとも1つ存在し、かつ、領域Mを面方向に挟んで最も近い位置にある、傾斜角度が0°の山または谷が特定される構造である。
傾斜角度0°の山または谷とは、凸状、凹状を含むが、傾斜角度0°であれば、階段状および棚状の点も含む。波打ち構造は、縞模様の明部または暗部の連続線において、傾斜角度の絶対値が5°以上である領域Mと、それを挟む山または谷とが、複数、繰り返すのが好ましい。
波打ち構造を有するコレステリック液晶層は、ラビング等の配向処理を施さない形成面にコレステリック液晶層を形成することで、形成できる。
<<コレステリック液晶層の形成方法>>
コレステリック液晶層は、コレステリック液晶相を層状に固定して形成できる。
コレステリック液晶相を固定した構造は、コレステリック液晶相となっている液晶化合物の配向が保持されている構造であればよく、典型的には、重合性液晶化合物をコレステリック液晶相の配向状態としたうえで、紫外線照射、加熱等によって重合、硬化し、流動性が無い層を形成して、同時に、外場または外力によって配向形態に変化を生じさせることない状態に変化した構造が好ましい。
なお、コレステリック液晶相を固定した構造においては、コレステリック液晶相の光学的性質が保持されていれば十分であり、コレステリック液晶層において、液晶化合物40は液晶性を示さなくてもよい。例えば、重合性液晶化合物は、硬化反応により高分子量化して、液晶性を失っていてもよい。
コレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層の形成に用いる材料としては、一例として、液晶化合物を含む液晶組成物が挙げられる。液晶化合物は重合性液晶化合物であるのが好ましい。
また、コレステリック液晶層の形成に用いる液晶組成物は、さらに界面活性剤およびキラル剤を含んでいてもよい。
--重合性液晶化合物--
重合性液晶化合物は、棒状液晶化合物であっても、円盤状液晶化合物であってもよい。
コレステリック液晶相を形成する棒状の重合性液晶化合物の例としては、棒状ネマチック液晶化合物が挙げられる。棒状ネマチック液晶化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類、および、アルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類等が好ましく用いられる。低分子液晶化合物だけではなく、高分子液晶化合物も用いることができる。
重合性液晶化合物は、重合性基を液晶化合物に導入することで得られる。重合性基の例には、不飽和重合性基、エポキシ基、およびアジリジニル基が含まれ、不飽和重合性基が好ましく、エチレン性不飽和重合性基がより好ましい。重合性基は種々の方法で、液晶化合物の分子中に導入できる。重合性液晶化合物が有する重合性基の個数は、好ましくは1~6個、より好ましくは1~3個である。
重合性液晶化合物の例は、Makromol.Chem.,190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許第4683327号明細書、米国特許第5622648号明細書、米国特許第5770107号明細書、国際公開第95/22586号、国際公開第95/24455号、国際公開第97/00600号、国際公開第98/23580号、国際公開第98/52905号、特開平1-272551号公報、特開平6-16616号公報、特開平7-110469号公報、特開平11-80081号公報、および、特開2001-328973号公報等に記載の化合物が含まれる。2種類以上の重合性液晶化合物を併用してもよい。2種類以上の重合性液晶化合物を併用すると、配向温度を低下させることができる。
また、上記以外の重合性液晶化合物としては、特開昭57-165480号公報に開示されているようなコレステリック相を有する環式オルガノポリシロキサン化合物等を用いることができる。さらに、前述の高分子液晶化合物としては、液晶を呈するメソゲン基を主鎖、側鎖、あるいは主鎖および側鎖の両方の位置に導入した高分子、コレステリル基を側鎖に導入した高分子コレステリック液晶、特開平9-133810号公報に開示されているような液晶性高分子、および、特開平11-293252号公報に開示されているような液晶性高分子等を用いることができる。
--円盤状液晶化合物--
円盤状液晶化合物としては、例えば、特開2007-108732号公報や特開2010-244038号公報に記載のものを好ましく用いることができる。
また、液晶組成物中の重合性液晶化合物の添加量は、液晶組成物の固形分質量(溶媒を除いた質量)に対して、75~99.9質量%であるのが好ましく、80~99質量%であるのがより好ましく、85~90質量%であるのがさらに好ましい。
--界面活性剤--
コレステリック液晶層を形成する際に用いる液晶組成物は、界面活性剤を含有してもよい。
界面活性剤は、安定的に、または迅速に、コレステリック液晶相の配向に寄与する配向制御剤として機能できる化合物が好ましい。界面活性剤としては、例えば、シリコ-ン系界面活性剤およびフッ素系界面活性剤が挙げられ、フッ素系界面活性剤が好ましく例示される。
界面活性剤の具体例としては、特開2014-119605号公報の段落[0082]~[0090]に記載の化合物、特開2012-203237号公報の段落[0031]~[0034]に記載の化合物、特開2005-99248号公報の段落[0092]および[0093]中に例示されている化合物、特開2002-129162号公報の段落[0076]~[0078]および段落[0082]~[0085]中に例示されている化合物、ならびに、特開2007-272185号公報の段落[0018]~[0043]等に記載のフッ素(メタ)アクリレート系ポリマー、などが挙げられる。
なお、界面活性剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
フッ素系界面活性剤として、特開2014-119605号公報の段落[0082]~[0090]に記載の化合物が好ましい。
液晶組成物中における、界面活性剤の添加量は、液晶化合物の全質量に対して0.01~10質量%が好ましく、0.01~5質量%がより好ましく、0.02~1質量%がさらに好ましい。
--キラル剤(光学活性化合物)--
キラル剤(カイラル剤)はコレステリック液晶相の螺旋構造を誘起する機能を有する。キラル剤は、化合物によって誘起する螺旋の捩れ方向または螺旋ピッチが異なるため、目的に応じて選択すればよい。
キラル剤としては、特に制限はなく、公知の化合物(例えば、液晶デバイスハンドブック、第3章4-3項、TN(twisted nematic)、STN(Super Twisted Nematic)用キラル剤、199頁、日本学術振興会第142委員会編、1989に記載)、イソソルビド、および、イソマンニド誘導体等を用いることができる。
キラル剤は、一般に不斉炭素原子を含むが、不斉炭素原子を含まない軸性不斉化合物または面性不斉化合物もキラル剤として用いることができる。軸性不斉化合物または面性不斉化合物の例には、ビナフチル、ヘリセン、パラシクロファン、および、これらの誘導体が含まれる。キラル剤は、重合性基を有していてもよい。キラル剤と液晶化合物とがいずれも重合性基を有する場合は、重合性キラル剤と重合性液晶化合物との重合反応により、重合性液晶化合物から誘導される繰り返し単位と、キラル剤から誘導される繰り返し単位とを有するポリマーを形成することができる。この態様では、重合性キラル剤が有する重合性基は、重合性液晶化合物が有する重合性基と、同種の基であるのが好ましい。従って、キラル剤の重合性基も、不飽和重合性基、エポキシ基またはアジリジニル基であるのが好ましく、不飽和重合性基であるのがより好ましく、エチレン性不飽和重合性基であるのがさらに好ましい。
また、キラル剤は、液晶化合物であってもよい。
キラル剤が光異性化基を有する場合には、塗布、配向後に活性光線などのフォトマスク照射によって、発光波長に対応した所望の反射波長のパターンを形成することができるので好ましい。光異性化基としては、フォトクロッミック性を示す化合物の異性化部位、アゾ基、アゾキシ基、または、シンナモイル基が好ましい。具体的な化合物として、特開2002-80478号公報、特開2002-80851号公報、特開2002-179668号公報、特開2002-179669号公報、特開2002-179670号公報、特開2002-179681号公報、特開2002-179682号公報、特開2002-338575号公報、特開2002-338668号公報、特開2003-313189号公報、および、特開2003-313292号公報等に記載の化合物を用いることができる。
液晶組成物における、キラル剤の含有量は、液晶化合物の含有モル量に対して0.01~200モル%が好ましく、1~30モル%がより好ましい。
--重合開始剤--
液晶組成物が重合性化合物を含む場合は、重合開始剤を含有しているのが好ましい。紫外線照射により重合反応を進行させる態様では、使用する重合開始剤は、紫外線照射によって重合反応を開始可能な光重合開始剤であるのが好ましい。
光重合開始剤の例には、α-カルボニル化合物(米国特許第2367661号、米国特許第2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書記載)、α-炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号、米国特許第2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp-アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60-105667号公報、米国特許第4239850号明細書記載)、ならびに、オキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書記載)等が挙げられる。
液晶組成物中の光重合開始剤の含有量は、液晶化合物の含有量に対して0.1~20質量%であるのが好ましく、0.5~12質量%であるのがさらに好ましい。
--架橋剤--
液晶組成物は、硬化後の膜強度向上、耐久性向上のため、任意に架橋剤を含有していてもよい。架橋剤としては、紫外線、熱、および、湿気等で硬化するものが好適に使用できる。
架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートおよびペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の多官能アクリレート化合物;グリシジル(メタ)アクリレートおよびエチレングリコールジグリシジルエーテル等のエポキシ化合物;2,2-ビスヒドロキシメチルブタノール-トリス[3-(1-アジリジニル)プロピオネート]および4,4-ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン等のアジリジン化合物;ヘキサメチレンジイソシアネートおよびビウレット型イソシアネート等のイソシアネート化合物;オキサゾリン基を側鎖に有するポリオキサゾリン化合物;ならびに、ビニルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)3-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン化合物などが挙げられる。また、架橋剤の反応性に応じて公知の触媒を用いることができ、膜強度および耐久性向上に加えて生産性を向上させることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
架橋剤の含有量は、液晶組成物の固形分質量に対して、3~20質量%が好ましく、5~15質量%がより好ましい。架橋剤の含有量が上記範囲内であれば、架橋密度向上の効果が得られやすく、コレステリック液晶相の安定性がより向上する。
--その他の添加剤--
液晶組成物中には、必要に応じて、さらに重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、色材、および、金属酸化物微粒子等を、光学的性能等を低下させない範囲で添加することができる。
液晶組成物は、コレステリック液晶層を形成する際には、液体として用いられるのが好ましい。
液晶組成物は溶媒を含んでいてもよい。溶媒には、制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、有機溶媒が好ましい。
有機溶媒には、制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ケトン類、アルキルハライド類、アミド類、スルホキシド類、ヘテロ環化合物、炭化水素類、エステル類、および、エーテル類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、環境への負荷を考慮した場合にはケトン類が好ましい。
コレステリック液晶層を形成する際には、コレステリック液晶層の形成面に液晶組成物を塗布して、液晶化合物をコレステリック液晶相の状態に配向した後、液晶化合物を硬化して、コレステリック液晶層とするのが好ましい。
すなわち、配向膜32上にコレステリック液晶層を形成する場合には、配向膜32に液晶組成物を塗布して、液晶化合物をコレステリック液晶相の状態に配向した後、液晶化合物を硬化して、コレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層を形成するのが好ましい。
液晶組成物の塗布は、インクジェットおよびスクロール印刷等の印刷法、ならびに、スピンコート、バーコートおよびスプレー塗布等のシート状物に液体を一様に塗布できる公知の方法が全て利用可能である。
塗布された液晶組成物は、必要に応じて乾燥および/または加熱され、その後、硬化され、コレステリック液晶層を形成する。この乾燥および/または加熱の工程で、液晶組成物中の液晶化合物がコレステリック液晶相に配向すればよい。加熱を行う場合、加熱温度は、200℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましい。
配向させた液晶化合物は、必要に応じて、さらに重合される。重合は、熱重合、および、光照射による光重合のいずれでもよいが、光重合が好ましい。光照射は、紫外線を用いるのが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2~50J/cm2が好ましく、50~1500mJ/cm2がより好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下または窒素雰囲気下で光照射を実施してもよい。照射する紫外線の波長は250~430nmが好ましい。
また、コレステリック液晶層の形成方法としては、円盤状液晶化合物を含む組成物を用いて、上記円盤状液晶化合物の分子軸が表面に対して傾斜している傾斜液晶層を形成し、傾斜液晶層上に、液晶化合物を含む組成物を用いて、コレステリック液晶層を形成する方法も好適に用いられる。
このような傾斜液晶層を用いたコレステリック液晶層の形成方法は、国際公開2019/181247の段落[0049]~[0194]に記載されている。
コレステリック液晶層の厚さには、制限はなく、反射型液晶回折素子の用途、コレステリック液晶層に要求される光の反射率、および、コレステリック液晶層の形成材料等に応じて、必要な光の反射率が得られる厚さを、適宜、設定すればよい。
ここで、入射回折素子、中間回折素子および出射回折素子が、コレステリック液晶層等の波長選択性を有する液晶層を有する構成の場合には、各回折素子は、波長選択性を有する液晶層を1層有する構成であってもよいし、2層以上有する構成であってもよい。
回折素子が2以上の液晶層有する場合には、2以上の液晶層はそれぞれ、SEMによって観察される液晶層の断面において、液晶相に由来する明部および暗部が、液晶層の主面に対して傾斜しており、明部から明部、または暗部から暗部の傾斜面に対する法線方向の間隔を1/2ピッチとした際に、液晶層のピッチPが互いに異なることが好ましい。すなわち、2以上の液晶層は波長選択性が互いに異なることが好ましい。
例えば、回折素子は、赤色光を選択的に反射する液晶層と緑色光を選択的に反射する液晶層との2層の液晶層を有するものでもよく、赤色光を選択的に反射する液晶層と、緑色光を選択的に反射する液晶層と、青色光を選択的に反射する液晶層との3層の液晶層を有するものでもよい。
回折素子が複数の液晶層を有する構成の場合には、例えば、各液晶層が赤色光、緑色光および青色光の3色の光をそれぞれ反射する構成とすることで、導光素子は、カラー画像を導光することができる。
また、例えば、回折素子は、選択反射中心波長が異なる3層の液晶層を有し、赤色光、緑色光および青色光等の可視光から選択される1色または2色と、赤外線および/または紫外線を反射する構成でもよく、可視光以外の光のみを反射する構成でもよい。
あるいは、回折素子は、選択反射中心波長が異なる液晶層を2層または4層以上、有するものであってもよい。また、回折素子は、赤色光、緑色光および青色光等の可視光に加えて、赤外線および/または紫外線等の可視光以外の光を反射する構成でもよく、あるいは、各液晶層が、赤外線および/または紫外線等の可視光以外の光を反射する構成でもよい。
また、回折素子が2以上の液晶層有する場合には、2以上の液晶層はそれぞれ、液晶配向パターンにおける液晶化合物由来の光学軸の向きが面内方向に180°回転する長さ、すなわち、回折構造の1周期Λが、互いに異なることが好ましい。
具体的には、液晶層のピッチPが互いに異なる場合には、ピッチP(選択反射中心波長の長さ)の順列と、液晶層の液晶配向パターンにおける1周期Λの長さの順列とが等しいことが好ましい。これにより、各液晶層の、SEM断面における明部および暗部の傾斜角度を略一致させることができ、各液晶層の選択反射波長の光に対する回折角度を略一致させることができる。すなわち、波長の異なる光を、ほぼ同じ方向に回折することができる。
例えば、液晶回折素子が第1液晶層と第2液晶層との2つの液晶層を有する場合に、第1液晶層のピッチをP1、1周期をΛ1とし、第2液晶層のピッチをP2、1周期をΛ2とすると、P1<P2、Λ1<Λ2を満たすことが好ましい。
(透過型液晶回折素子)
透過型液晶回折素子は、面内の少なくとも1方向に沿って連続的に回転している液晶配向パターンを有し、かつ、厚さ方向には液晶化合物がコレステリック液晶相を形成していない液晶回折素子である。なお、液晶回折素子において、液晶化合物がコレステリック液晶相とはならない程度に厚さ方向に捩じれ回転した構成を有していてもよい。
図17および図18に、透過型液晶回折素子を例示して、その一例を説明する。
図17および図18に示す透過型液晶回折素子は、支持体30と、配向膜32と、液晶層36とを有する。
図18に示すように、透過型液晶回折素子の液晶層36も、コレステリック液晶層34と同様、液晶化合物40の光学軸40Aが、配列軸D方向に沿って連続的に回転する液晶配向パターンを有する。なお、図18も、上述した図9と同様、配向膜32の表面の液晶化合物のみを示している。
透過型液晶回折素子では、液晶層36を形成する液晶化合物40が厚さ方向に螺旋状に捩じれ回転しておらず、光学軸40Aは、面方向の同じ場所に位置する。このような液晶層は、上述したコレステリック液晶層の形成において、液晶組成物にキラル剤を添加しないことで形成できる。
上述したように、液晶層36は、面内において、液晶化合物40に由来する光学軸40Aの向きが、配列軸D方向に沿って連続的に回転しながら変化する液晶配向パターンを有する。
一方、液晶層36を形成する液晶化合物40は、配列軸D方向と直交するY方向、すなわち光学軸40Aが連続的に回転する一方向と直交するY方向では、光学軸40Aの向きが等しい液晶化合物40が等間隔で配列されている。
言い換えれば、液晶層36を形成する液晶化合物40において、Y方向に配列される液晶化合物40同士では、光学軸40Aの向きと配列軸D方向とが成す角度が等しい。
液晶層36において、Y方向に配列される液晶化合物は、光学軸40Aと配列軸D方向(液晶化合物40の光学軸の向きが回転する一方向)とが成す角度が等しい。この光学軸40Aと配列軸D方向とが成す角度が等しい液晶化合物40が、Y方向に配置された領域を、領域Rとする。
この場合に、それぞれの領域Rにおける面内レタデーション(Re)の値は、半波長すなわちλ/2であるのが好ましい。これらの面内レタデーションは、領域Rの屈折率異方性に伴う屈折率差Δnと光学異方性層の厚さとの積により算出される。ここで、光学異方性層における領域Rの屈折率異方性に伴う屈折率差とは、領域Rの面内における遅相軸の方向の屈折率と、遅相軸の方向に直交する方向の屈折率との差により定義される屈折率差である。すなわち、領域Rの屈折率異方性に伴う屈折率差Δnは、光学軸40Aの方向の液晶化合物40の屈折率と、領域Rの面内において光学軸40Aに垂直な方向の液晶化合物40の屈折率との差に等しい。つまり、屈折率差Δnは、液晶化合物40の屈折率差に等しい。
このような液晶層36に円偏光が入射すると、光は、屈折され、かつ、円偏光の方向が変換される。
この作用を、図19および図20に概念的に示す。なお、液晶層36は、液晶化合物の屈折率差と光学異方性層の厚さとの積の値がλ/2であるとする。
図19に示すように、液晶層36の液晶化合物の屈折率差と光学異方性層の厚さとの積の値がλ/2の場合に、液晶層36に左円偏光である入射光L1が入射すると、入射光L1は、液晶層36を通過することにより180°の位相差が与えられて、透過光L2は、右円偏光に変換される。
また、液晶層36に形成された液晶配向パターンは、配列軸D方向に周期的なパターンであるため、透過光L2は、入射光L1の進行方向とは異なる方向に進行する。このように、左円偏光の入射光L1は、入射方向に対して配列軸D方向に一定の角度だけ傾いた、右円偏光の透過光L2に変換される。
一方、図20に示すように、液晶層36の液晶化合物の屈折率差と光学異方性層の厚さとの積の値がλ/2のとき、液晶層36に右円偏光の入射光L4が入射すると、入射光L4は、液晶層36を通過することにより、180°の位相差が与えられて、左円偏光の透過光L5に変換される。
また、液晶層36に形成された液晶配向パターンは、配列軸D方向に周期的なパターンであるため、透過光L5は、入射光L4の進行方向とは異なる方向に進行する。このとき、透過光L5は透過光L2と異なる方向、つまり、入射方向に対して矢印X方向とは逆の方向に進行する。このように、入射光L4は、入射方向に対して配列軸D方向とは逆の方向に一定の角度だけ傾いた左円偏光の透過光L5に変換される。
コレステリック液晶層34と同様、液晶層36も、形成された液晶配向パターンの1周期Λを変化させることにより、透過光L2およびL5の屈折の角度を調節できる。具体的には、液晶層36も、液晶配向パターンの1周期Λが短いほど、互いに隣接した液晶化合物40を通過した光同士が強く干渉するため、透過光L2およびL5を大きく屈折させることができる。
また、配列軸D方向に沿って回転する、液晶化合物40の光学軸40Aの回転方向を逆方向にすることにより、透過光の屈折の方向を、逆方向にできる。すなわち、図17~図18に示す例では、配列軸D方向に向かう光学軸40Aの回転方向は時計回りであるが、この回転方向を反時計回りにすることで、透過光の屈折の方向を、逆方向にできる。
なお、回折効率の観点から、このような、入射光を透過回折する液晶回折素子を用いる場合も、液晶化合物が捩れて回転(捩れ角が360°未満)している領域を有する液晶回折素子を用いるのが好ましい。特に、導光板内を全反射する角度に光を回折する場合、回折効率の観点から、液晶化合物が捩れて回転する領域を有する液晶回折素子を好適に用いることができる。また、液晶化合物が捩れて回転する角度が異なる液晶回折素子を積層して用いることや、液晶化合物が捩れて回転する方向が異なる液晶回折素子を積層して用いることは、回折効率の観点から好ましい。
また、このような、液晶化合物がコレステリック配向されておらず、捩れて回転(捩れ角が360°未満)している領域を有する液晶回折素子を反射型の回折素子として用いることもできる。このような液晶回折素子では、回折された光が液晶回折素子の界面で反射して光の入射側から出射されて、光を反射しつつ回折するため反射型の回折素子として機能させることもできる。
本発明の導光素子において、各回折素子として異なる種類の回折素子を組み合わせて用いてもよい。例えば、入射回折素子として透過型の液晶回折素子を用い、中間回折素子および出射回折素子として反射型の液晶回折素子を用いてもよい。
〔反射レンズ〕
反射レンズは、入射した光が集光するように反射するレンズである。反射レンズとしては、ハーフミラーを湾曲させたカーブハーフミラー、および、反射型の回折素子を用いることができる。
カーブハーフミラーは、ハーフミラーに湾曲形状を付与したもので、湾曲形状によって、ハーフミラーの各位置で反射される光が所定の点に集光される。
カーブハーフミラーは、曲率半径等の湾曲形状を調整することで、焦点距離を調整することができる。
反射型の回折素子を反射レンズとして用いる場合には、回折素子の回折構造を、光を集光する構成とすればよい。この場合の回折素子としては、上述した表面レリーフ型回折素子、体積ホログラム型回折素子、および、偏光回折素子のいずれかを用いることが好ましい。
一例として、図22に液晶回折素子を用いた反射レンズの概念図を示す。
図22に示す反射レンズは、コレステリック液晶層27を有するものである。図22はコレステリック液晶層27の正面図である。
図22に示すコレステリック液晶層27は、上述した液晶回折素子の液晶層と同様に、液晶化合物40の光学軸の向きが連続的に回転しながら変化する液晶配向パターンを有しており、液晶化合物40の光学軸の向きが連続的に回転しながら変化する配列軸(図22中、D1、D2、D3)を、内側から外側に向かう同心円状に有する、同心円状のパターンを有するものである。言い換えれば、図22に示すコレステリック液晶層27の液晶配向パターンは、液晶化合物40の光学軸の向きが連続的に回転しながら変化する配列軸が、コレステリック液晶層27の中心から放射状に設けられた液晶配向パターンである。
このような、同心円状の液晶配向パターンを有するコレステリック液晶層27は、液晶化合物40の光学軸の回転方向および入射する円偏光の方向に応じて、入射光を、集束光として透過できる。
すなわち、コレステリック液晶層27の液晶配向パターンを同心円状とすることにより、凸レンズとして機能を発現する。
ここで、液晶層の液晶配向パターンを同心円状として、光学素子を凸レンズとして作用させる場合には、液晶配向パターンにおいて光軸が180°回転する1周期Λを、液晶層の中心から、外方向に向かって、漸次、短くするのが好ましい。
前述のように、入射する光を屈折する角度は、液晶配向パターンにおける1周期Λが短いほど、大きくなる。従って、液晶配向パターンにおける1周期Λを、液晶層の中心から、外方向に向かって、漸次、短くすることにより、図23に示すように、コレステリック液晶層27の中心付近に入射する光を屈折する角度は小さく、コレステリック液晶層27の外側に向かうにしたがって、入射する光を屈折する角度を大きくして、コレステリック液晶層27による光の集束力を、より向上でき、凸レンズとしての性能を、向上できる。
図24に、配向膜に、このような同心円状の配向パターンを形成する露光装置の一例を概念的に示す。
露光装置80は、レーザ82を備えた光源84と、レーザ82からのレーザ光MをS偏光MSとP偏光MPとに分割する偏光ビームスプリッター86と、P偏光MPの光路に配置されたミラー90AおよびS偏光MSの光路に配置されたミラー90Bと、S偏光MSの光路に配置されたレンズ92と、偏光ビームスプリッター94と、λ/4板96とを有する。
偏光ビームスプリッター86で分割されたP偏光MPは、ミラー90Aによって反射されて、偏光ビームスプリッター94に入射する。他方、偏光ビームスプリッター86で分割されたS偏光MSは、ミラー90Bによって反射され、レンズ92によって集光されて偏光ビームスプリッター94に入射する。
P偏光MPおよびS偏光MSは、偏光ビームスプリッター94で合波されて、λ/4板96によって偏光方向に応じた右円偏光および左円偏光となって、支持体30の上の配向膜32に入射する。
ここで、右円偏光と左円偏光の干渉により、配向膜32に照射される光の偏光状態が干渉縞状に周期的に変化するものとなる。同心円の内側から外側に向かうにしたがい、左円偏光と右円偏光の交差角が変化するため、内側から外側に向かってピッチが変化する露光パターンが得られる。これにより、配向膜32において、配向状態が周期的に変化する同心円状の配向パターンが得られる。
この露光装置80において、液晶化合物40の光学軸が連続的に180°回転する液晶配向パターンの1周期の長さΛは、レンズ92の屈折力(レンズ92のFナンバー)、レンズ92の焦点距離、および、レンズ92と配向膜32との距離等を変化させることで、制御できる。
また、レンズ92の屈折力(レンズ92のFナンバー)を調節することによって、光軸が連続的に回転する一方向において、液晶配向パターンの1周期の長さΛを変更できる。具体的には、平行光と干渉させる、レンズ92で広げる光の広がり角によって、光軸が連続的に回転する一方向において、液晶配向パターンの1周期の長さΛを変えることができる。より具体的には、レンズ92の屈折力を弱くすると、平行光に近づくため、液晶配向パターンの1周期の長さΛは、内側から外側に向かって緩やかに短くなり、Fナンバーは大きくなる。逆に、レンズ92の屈折力を強めると、液晶配向パターンの1周期の長さΛは、内側から外側に向かって急に短くなり、Fナンバーは小さくなる。
このように、光学軸が連続的に回転する1方向において、光学軸が180°回転する1周期Λを変更する構成は、図9に示す、配列軸D方向の一方向のみに液晶化合物40の光学軸40Aが連続的に回転して変化する構成でも、利用可能である。
例えば、液晶配向パターンの1周期Λを、配列軸D方向に向かって、漸次、短くすることにより、集光するように光を反射するコレステリック液晶層を得ることができる。
以上、本発明の光学素子および画像表示装置について詳細に説明したが、本発明は上述の例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよいのは、もちろんである。
以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、使用量、物質量、割合、処理内容、および、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[実施例1]
<入射回折素子の作製>
(配向膜の形成)
支持体としてガラス基板を用意した。支持体上に、下記の配向膜形成用塗布液をスピンコートで塗布した。この配向膜形成用塗布液の塗膜が形成された支持体を60℃のホットプレート上で60秒間乾燥し、配向膜を形成した。
配向膜形成用塗布液
―――――――――――――――――――――――――――――――――
下記光配向用素材 1.00質量部
水 16.00質量部
ブトキシエタノール 42.00質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 42.00質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
-光配向用素材-
(配向膜の露光)
図16に示す露光装置を用いて配向膜を露光して、配向パターンを有する配向膜P-1を形成した。
露光装置において、レーザとして波長(325nm)のレーザ光を出射するものを用いた。干渉光による露光量を300mJ/cm2とした。なお、2つのレーザ光およびの干渉により形成される配向パターンの1周期(光学軸が180°回転する長さ)は、2つの光の交差角(交差角α)を変化させることによって制御した。
(コレステリック液晶層の形成)
コレステリック液晶層を形成する液晶組成物として、下記の液晶組成物AB-1を調製した。この液晶組成物AB-1は、右円偏光を反射するコレステリック液晶層(コレステリック液晶相)を形成する、液晶組成物である。
液晶組成物AB-1
―――――――――――――――――――――――――――――――――
棒状液晶化合物L-1 100.00質量部
重合開始剤(日本化薬製、KAYACURE DETX-S)
1.00質量部
キラル剤Ch-1 3.90質量部
キラル剤Ch-2 1.00質量部
メチルエチルケトン 203.00質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
棒状液晶化合物L-1
キラル剤Ch-1
キラル剤Ch-2
配向膜P-1上に、上記の液晶組成物AB-1を、スピンコータを用いて塗布した。
液晶組成物AB-1の塗膜をホットプレート上で80℃にて3分間(180sec)加熱した。その後、80℃にて、大気雰囲気下で第1露光工程として、高圧水銀灯を用いて、300nmのロングバスフィルタ、および、350nmのショートパスフィルタを介して露光を行った。第1露光工程は、波長315nmで測定される光の照射量が10mJ/cm2となるように行った。さらに、80℃にて、窒素雰囲気下で高圧水銀灯を用いて波長365nmの紫外線を600mJ/cm2の照射量で塗膜に照射することにより(第2露光工程)、液晶組成物AB-1を硬化して液晶化合物の配向を固定化し、コレステリック液晶層を形成した。
これにより、支持体、配向膜およびコレステリック液晶層を有する液晶回折素子を作製した。
コレステリック液晶層は、図9に示すような周期的な配向表面になっていることを偏光顕微鏡で確認した。
コレステリック液晶層を光学軸の回転方向に沿う方向切削し、断面をSEMで観察した。その結果、配向膜側から配向膜と離間する側に向かって、厚さ方向に明部および暗部のピッチPが連続的に増大し、かつ、傾斜角θhpも連続的に増大する形状が見られた。なお、傾斜角θhp(明部/暗部の傾斜角θhp)とは、明部および暗部がコレステリック液晶層の主面に対して成す角度である。
断面をSEMで観察した結果、コレステリック液晶相は8ピッチであった。また、主面に対する明部および暗部の傾いている面のピッチ(厚さ方向の平均値)は0.39μmであった。また、コレステリック液晶層の液晶配向パターンにおいて、液晶化合物の光学軸が180°回転する1周期は、0.42μmであった。
Axometrics社製の「Axoscan」を用いて、測定光の入射角度を変更して、進相軸面内および遅相軸面内における面内レタデーションRe(面内Re)を測定した。測定波長は750nmとした。また、測定光の入射角度は70°~70°の範囲とした。
その結果、コレステリック液晶層の面内レタデーションが最小となる方向が法線に対し傾斜していた。この結果は、各液晶分子の長軸方向が、コレステリック液晶層の主面に対して傾斜した配向状態をとっていることを示唆している。
<中間回折素子の作製>
図16に示す露光装置によって配向膜を露光する際の2つの光の交差角を変更した以外は、入射回折素子と同様にして、支持体の上に配向膜を形成した。
また、液晶組成物AB-1において、キラル剤Ch-1の量およびメチルエチルケトンの量を適宜変更した以外は、同様に液晶組成物を調製した。
この液晶組成物を用いた以外は、入射回折素子と同様にして、中間回折素子を形成した。なお、中間回折素子の形成では、第1露光工程は行わずに、第2露光工程による液晶層の硬化を実施し、コレステリック液晶層を形成した。
作製したコレステリック液晶相は2ピッチであった。また、主面に対する明部および暗部の傾いている面のピッチ(厚さ方向の平均値)は0.44μmであった。また、コレステリック液晶層の液晶配向パターンにおいて、液晶化合物の光学軸が180°回転する1周期は、0.30μmであった。
<出射回折素子の作製>
図16に示す露光装置によって配向膜を露光する際の2つの光の交差角を変更した以外は、入射回折素子と同様にして、支持体の上に配向膜を形成した。
また、液晶組成物AB-1において、キラル剤Ch-1の量およびメチルエチルケトンの量を適宜変更した以外は、同様に液晶組成物を調製した。
この液晶組成物を用いた以外は、入射回折素子と同様にして、出射回折素子を形成した。なお、出射回折素子の形成では、第1露光工程は行わずに、第2露光工程による液晶層の硬化を実施し、コレステリック液晶層を形成した。
作製したコレステリック液晶相は2ピッチであった。また、主面に対する明部および暗部の傾いている面のピッチ(厚さ方向の平均値)は0.39μmであった。また、コレステリック液晶層の液晶配向パターンにおいて、液晶化合物の光学軸が180°回転する1周期は、0.42μmであった。
<導光素子の作製>
導光板として、大きさ60mm×70mm、厚さ1mmの、ガラス製の導光板を用いた。
入射回折素子は、直径6mmの大きさの円に切り出して用いた。中間回折素子は、短辺6mm、長辺15mm×高さ40mmの大きさの台形に切り出して用いた。出射回折素子は、40mm×40mmの大きさの正方形に切り出して用いた。
なお、各回折素子を切り出す際には、図25に示すように、各回折素子を導光板上に配置した際に回折構造の周期方向が所定の方向となるように、切り出す方向と回折構造の周期方向とを調整して切り出した。
導光板の一方の主面に、作製した各回折素子を接着剤を用いて貼り合わせた。
各回折素子の配置は、入射回折素子は、導光板の主面の右上側に配置し、入射回折素子の左側に中間回折素子を配置し、中間回折素子の下側に出射回折素子を配置した。
入射回折素子と中間回折素子とは、図25に示すように、左右方向に1mm離間して配置した。中間回折素子と出射回折素子とは上下方向に8mm離間して配置した。
<光学素子の作製>
作製した導光素子の出射回折素子が配置される主面とは反対側の主面側に反射レンズを配置して光学素子を作製した。
反射レンズは、ハーフミラーが湾曲したカーブハーフミラーを用いた。
反射レンズはφ50mmとした。この反射レンズの焦点距離は、+150mmであった。
反射レンズと導光素子との間の距離は、最も近くなる位置で1mmとした。
[実施例2]
反射レンズとして下記で作製した偏光回折素子からなる反射レンズを用いた以外は実施例1と同様にして光学素子を作製した。
配向膜を露光する露光装置として、図24に示す露光装置を用いた以外は、配向膜P-1と同様にして配向膜P-2を形成した。図24に示す露光装置を用いることによって、配向パターンの1周期が外方向に向かって、漸次、短くなる同心円状の配向パターンを形成した。
次に、液晶組成物AB-1に下記レベリング剤T-1を0.08質量部添加した以外は同様にして液晶組成物調整して配向膜P-2上に塗布した以外は、実施例1の出射回折素子と同様にして、コレステリック液晶層を形成して、反射レンズを作製した。
反射レンズのコレステリック液晶層は、図22に示すような同心円状(放射状)の周期的な配向表面になっていることを偏光顕微鏡で確認した。
作製した反射レンズの焦点距離は、+150mmであった。
レベリング剤T-1
[実施例3]
配向膜を露光する際のレンズ92のFナンバー、レンズ92の焦点距離、および、レンズ92と配向膜32との距離等を変えた以外は実施例2と同様にして、焦点距離が+70mm、+100mm、+150mm、+200mmの4種の反射レンズを作製した。この4種の反射レンズを入れ替えて用いることで、焦点可変レンズを模した以外は実施例2と同様にして光学素子を作製した。
[評価1]
作製した光学素子の入射回折素子に画像を照射する表示素子を配置して画像表示装置を作製して空中像および背景像の評価を行った。
表示素子は、右円偏光の画像を出射するディスプレイを用いた。このディスプレイは、反射型液晶表示素子に投射光源と凸レンズとを組み合わせた投射型液晶表示素子である。反射型液晶表示素子の出射光の直線偏光をλ/4板により右円偏光に変換している。
作製した画像表示装置を用いて画像を表示して、空中像の表示の可否、および、背景像の視認性を評価した。
その結果、いずれの実施例においても空中像が視認できた。また、その際、背景像も視認できた。
また、各実施例において、空中像の明るさが同じになるように反射レンズの反射率を調整したが、その場合には、実施例1の反射レンズがカーブハーフミラーの場合に比べて、実施例2および実施例3の反射レンズが偏光回折素子の場合の方が背景像が明るく視認できた。
[評価2]
表示される空中像の焦点位置を以下のようにして評価した。
画像表示装置を用いて画像を表示して、空中像の焦点が合う位置にピントを合わせて、文字を書いた紙を空中像と同時にピントが合う位置に配置して、紙と反射レンズとの距離を測定して空中像の焦点位置を求めた。その結果、いずれの実施例においても、おおよそ、反射レンズの焦点距離の位置に空中像ができていることを確認した。
また、実施例3においては、レンズを入れ替えて焦点距離を変えることで空中像の位置が変わることを確認した。すなわち、焦点可変レンズを用いることで、空中像の位置を変えることができることを確認した。
結果を表1に示す。
[実施例4]
<回折素子の作製>
図16に示す露光装置によって配向膜を露光する際の2つの光の交差角を変更した以外は、実施例1入射回折素子と同様にして、支持体の上に配向膜を形成し、液晶組成物AB-1において、キラル剤Ch-1の量およびメチルエチルケトンの量を適宜変更した以外は、同様に液晶組成物を調製した以外は、実施例1の入射回折素子と同様にして、入射回折素子、中間回折素子、出射回折素子、第2入射回折素子、第2中間回折素子、および、第2出射回折素子をそれぞれ作製した。
作製した各回折素子のピッチP、および、1周期Λは表2に示すとおりであった。
入射回折素子、中間回折素子および出射回折素子は赤色の波長域に波長選択性を有する。また、第2入射回折素子、第2中間回折素子および第2出射回折素子は青色の波長域に波長選択性を有する。本実施例では、赤色の波長域の光が第1の波長の光に相当し、青色の波長域の光が第2の波長の光に相当する。
第2入射回折素子を入射回折素子上に積層し、第2中間回折素子を、中間回折素子が配置される主面とは反対側の主面に、中間回折素子と対面して配置し、第2出射回折素子を、出射回折素子が配置される主面とは反対側の主面に、出射回折素子と対面して配置した以外は実施例1と同様にして導光素子を作製した。
なお、第2入射回折素子は、直径6mmの大きさの円に切り出して用いた。第2中間回折素子は、短辺6mm、長辺15mm×40mmの大きさの台形に切り出して用いた。第2出射回折素子は、40mm×40mmの大きさの正方形に切り出して用いた。
<光学素子の作製>
作製した導光素子の出射回折素子が配置される主面とは反対側の主面側に、実施例1と同様に反射レンズを配置して光学素子を作製した。
[評価3]
作製した光学素子の入射回折素子および第2入射回折素子に画像を照射する表示素子を配置して画像表示装置を作製して空中像および後方仮想映像の評価を行った。
表示素子は、右円偏光の画像を出射するディスプレイを用いた。このディスプレイは、反射型液晶表示素子に投射光源と凸レンズとを組み合わせた投射型液晶表示素子である。反射型液晶表示素子の出射光の直線偏光をλ/4板により右円偏光に変換している。
作製した画像表示装置を用いて、赤色光による画像(第1の波長による画像)と青色光による画像(第2の波長による画像)を表示して、空中像の表示の可否、および、後方仮想映像の表示の可否を評価した。
その結果、赤色の空中像、および、青色の後方仮想映像が視認できた。また、その際、背景像も視認できた。

以上の結果より、本発明の効果は明らかである。
10、10b、10c 画像表示装置
12 表示素子
13、13b、13c 光学素子
14、14b、14c、14d 導光素子
16 導光板
18、18b 入射回折素子
19 第2入射回折素子
20 中間回折素子
24、24b 出射回折素子
25 第2出射回折素子
27、34 コレステリック液晶層
26 反射レンズ
36 液晶層
30 支持体
32 配向膜
40 液晶化合物
40A 光学軸
42 明部
44 暗部
60、80 露光装置
62、82 レーザ
64、84 光源
65 λ/2板
68 ビームスプリッター
70A,70B、90A、90B ミラー
72A,72B λ/4板
86、94 偏光ビームスプリッター
92 レンズ
96 λ/4板
110、112 領域
G1 空中像
H1 焦点面
K1、K2、K3 結像点
U 使用者
D1 表面レリーフ型回折素子
D2 体積ホログラム型回折素子
P ピッチ
Λ 1周期
R 右円偏光
1,L4 入射光
2,L5 出射光
M レーザ光
MA,MB 光線
MP P偏光
MS S偏光
O 直線偏光
R 右円偏光
L 左円偏光

Claims (23)

  1. 導光板と、
    前記導光板の主面に配置される入射回折素子と、
    前記導光板の主面に配置される出射回折素子と、を有する導光素子、および、
    前記導光板の主面に垂直な方向から見た際に前記出射回折素子と重複する位置に配置される反射レンズを有し、
    前記入射回折素子は、入射した光を回折して前記導光板内に入射させるものであり、
    前記出射回折素子は、前記導光板内を伝搬する光を前記導光板から出射させるものであり、
    前記反射レンズは、前記出射回折素子によって前記導光板から出射された光を集光し、
    前記出射回折素子と前記反射レンズは、共に偏光回折素子であり、
    前記出射回折素子および前記反射レンズである前記偏光回折素子がそれぞれ、円偏光を反射するものであり、前記出射回折素子が反射する円偏光の旋回方向と、前記反射レンズが反射する円偏光の旋回方向とが同じである、光学素子。
  2. 前記入射回折素子が、偏光回折素子である、請求項1に記載の光学素子。
  3. 前記導光素子と前記反射レンズとは離間している請求項1または2に記載の光学素子。
  4. 前記反射レンズは前記出射回折素子よりも大きい請求項1~3のいずれか一項に記載の光学素子。
  5. 前記反射レンズが、焦点可変レンズである請求項1~4のいずれか一項に記載の光学素子。
  6. 前記導光素子は、前記導光板の主面に配置される中間回折素子を有し、
    前記中間回折素子は、前記入射回折素子によって回折されて前記導光板内に入射し、前記導光板内を伝搬する光を前記出射回折素子に向けて回折する請求項1~5のいずれか一項に記載の光学素子。
  7. 前記中間回折素子の回折構造の周期が0.1μm~1μmである請求項6に記載の光学素子。
  8. 前記中間回折素子は、表面レリーフ型回折素子、体積ホログラム型回折素子、および、偏光回折素子のいずれかである請求項6または7に記載の光学素子。
  9. 前記導光素子は、さらに、前記導光板の主面に配置される第2入射回折素子および第2出射回折素子を有し、
    前記第2入射回折素子は、入射した光を回折して前記導光板内に入射させるものであり、
    前記第2出射回折素子は、前記導光板内を伝搬する光を前記導光板から出射させるものであり、前記出射回折素子による出射方向とは逆の方向に光を出射させる請求項1~8のいずれか一項に記載の光学素子。
  10. 前記導光素子は、前記導光板の主面に配置される第2中間回折素子を有し、
    前記第2中間回折素子は、前記第2入射回折素子によって回折されて前記導光板内に入射し、前記導光板内を伝搬する光を前記第2出射回折素子に向けて回折する請求項9に記載の光学素子。
  11. 前記第2中間回折素子は、表面レリーフ型回折素子、体積ホログラム型回折素子、および、偏光回折素子のいずれかである請求項10に記載の光学素子。
  12. 前記第2入射回折素子および前記第2出射回折素子はそれぞれ、表面レリーフ型回折素子、体積ホログラム型回折素子、および、偏光回折素子のいずれかである請求項9~11のいずれか一項に記載の光学素子。
  13. 前記偏光回折素子が、液晶化合物を含む液晶層を有する液晶回折素子であり、
    前記液晶層は、前記液晶化合物由来の光学軸の向きが面内の少なくとも一方向に沿って連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを有する請求項1~12のいずれか一項に記載の光学素子。
  14. 前記液晶層において、前記液晶化合物の光学軸の向きが厚さ方向で捩じれ回転している領域を有する請求項13に記載の光学素子。
  15. 前記液晶層は、コレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層である請求項13または14に記載の光学素子。
  16. 前記液晶回折素子は、前記液晶回折素子の主面の法線方向および法線に対して傾斜した方向から面内レタデーションを測定した際に、遅相軸面内および進相軸面内のいずれかにおいて、面内レタデーションが最小となる方向が前記法線方向から傾斜している請求項13~15のいずれか一項に記載の光学素子。
  17. 前記液晶回折素子が2以上の液晶層を有し、
    前記2以上の液晶層はそれぞれ、走査型電子顕微鏡によって観察される前記液晶層の断面において、液晶相に由来する明部および暗部が、前記液晶層の主面に対して傾斜しており、明部から明部、または暗部から暗部の傾斜面に対する法線方向の間隔を1/2ピッチとした際に、前記液晶層のピッチが互いに異なる、請求項13~16のいずれか一項に記載の光学素子。
  18. 前記液晶層において、前記液晶配向パターンにおける前記液晶化合物由来の光学軸の向きが面内方向に180°回転する長さを回折構造の1周期とすると、
    前記2以上の液晶層の1周期が、互いに異なる請求項17に記載の光学素子。
  19. 前記液晶回折素子が第1液晶層と第2液晶層とを有し、
    前記第1液晶層のピッチをP1、1周期をΛ1とし、前記第2液晶層のピッチをP2、1周期をΛ2とすると、
    P1<P2
    Λ1<Λ2
    を満たす請求項18に記載の光学素子。
  20. 前記入射回折素子および前記出射回折素子の回折構造の周期が0.1μm~1μmである請求項1~19のいずれか一項に記載の光学素子。
  21. 請求項1~20のいずれか一項に記載の光学素子と、
    前記光学素子の前記入射回折素子に画像を照射する表示素子と、を有する画像表示装置。
  22. 前記表示素子が偏光を照射する請求項21に記載の画像表示装置。
  23. 前記表示素子が円偏光を照射する請求項22に記載の画像表示装置。
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