JP7415242B2 - 磁気分離装置 - Google Patents

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Description

本発明は、鉄酸化物懸濁物等を効率良く捕獲回収する磁気分離装置に関する。
一般に、磁気分離は水等の媒体中の磁性材料等からなる粒子等をその媒体から分離する技術であるが、特に微粒子を分離する高勾配磁気分離装置は、磁場を発生させる磁石(マグネット)と、その磁場により磁化される磁気フィルタとからなる。この磁石として、近年、超伝導磁石等の極めて強い磁場を発生できる磁石が利用されるようになった。一方、磁気フィルタとしては、例えば、強磁性体からなり磁気粒子の吸着を司る鋼製金網、スチールウール等のフィルタ体が挙げられる。このような磁気フィルタは、例えば、流体用の入口及び出口を有する円筒状の容器の内部に設けられ、容器の外部には、容器の周面に巻回したコイルよりなる電磁石(例えば、超伝導磁石)を設ける。この電磁石により、円筒状の容器を横切るように磁力線を形成させてフィルタ体を磁化する。これにより、導入口から容器内に導かれてフィルタ体を通過し排出口から排出される流体に混在している磁気粒子を、この磁化されたフィルタ体に磁気吸着することにより分離、除去する(例えば、特許文献1、2)。
一方、多孔質アルミナの表面に分布している微細盲孔に磁性体が充填されてなるアルミナ棒状体が、網目状に組まれてなり、その編み目が透過流路とされるメッシュ構造等の磁気フィルタに比し分離効率の高い磁気フィルタも提供されている(例えば、特許文献3)。
上述する鋼製金網やスチールウール等からなる磁気フィルタは、その構成要素が、磁性材料からなるワイヤ(例えば、針金、金属細線)である。このような構成要素がメッシュ構造等を形成して、フィルタ体となるが、これを懸濁物等を捕獲するマトリックスと呼ぶこともできる。ここで、マトリックスとは、一般に、母体、基盤、母型、原型を意味するとされるが、本明細書では、構成要素を組み合わせることによりできる構造を意味することとする。
このように磁気分離技術の一種である高勾配磁気分離は磁場を発生する磁石と懸濁物を捕獲するマトリックスからなっている。マトリックスは磁性体の金属でできており、工業的にはスチールウール、針金を編んだ金網やパンチングメタル、球体などで構成されている。比較的古い技術であるがマトリックスの構造そのものに関する実用的な研究はあまり行われてない。
非特許文献1は、マトリックスでの捕獲現象に関する論文で、針金1本の周囲の流れ、特に、下流の渦の影響で下流側に堆積が発生するということを述べている。この論文以前は上流側にのみ堆積が発生すると考えられており、磁気分離の性能評価もそれを前提として考えられていた。また、この論文も含め磁気分離での堆積現象の研究は針金1本の現象を複数本の現象へと単純に外挿していたため、針金が複数になることによって堆積が変化する事を考慮していなかった。つまり、既存の磁気分離では現象が複雑なため、非常に単純化したモデルでのみ研究されていた。そのため、マトリックスの構造よりも磁場強度などの影響の研究が主流であった。本提案のような複数の針金による堆積の時間変化を検討して、装置を開発した例はない。
一方、磁気分離装置の発電所への応用の研究はいくつかの例がある(例えば、非特許文献2及び非特許文献3)。
特開平7-68109号公報 特開2011-56344号公報 特開2008-188593号公報
IEEE Trans. Mag. 30 6(1994) 4662-4664 火力原子力発電27 2 (1976) 161 火力原子力発電 35 1(1984) 59-62
一般に、磁気分離では捕獲量が増加すると堆積が大きくなり流れを阻害するようになる。この結果、圧力損失の増加や目詰まりを発生する。また堆積の表面が早い流れに晒されるようになり磁気力よりも流体からの力が大きくなり堆積表面への捕獲が困難になり捕獲性能が減少すると考えられている。本発明では、複数本の針金間への堆積の現象に注目し、流れを邪魔しないような堆積を作るマトリックスの構造を検討した。
一般には、磁性材料を含む懸濁物を、磁気力によりマトリックスに直接的に付着させることにより、懸濁媒から分離させるが、そのマトリックスの表面への付着量が一定量を超えると、流れの影響を強く受けるようになる等してその付着力が大きく低下すると考えられている。そのため、大量の懸濁物の分離が困難となるが、マトリックスの表面以外に懸濁物を貯留可能な場所があれば、大量の懸濁物の分離が可能となる。一方、大量の懸濁物が、このマトリックス内に保持又は貯留されると、目詰まりのおそれがあり、単位時間あたりの処理可能な懸濁液の量が激減する。また、大量の懸濁物を貯留する容器のような構造物をマトリックス内に設けるとすると、マトリックス構造が複雑となり、生産性が低下する。更には、マトリックスを洗浄し再利用する際には、このような複雑な構造は、好ましくない。
そこで、本発明者らは、簡単な構造でありながら、大量の懸濁物を保持可能な構造を含むマトリックスであり、かつ、その構造は懸濁物の保持又は貯留による圧力損失の増加や目詰まりのおそれが低く、マトリックスの洗浄及び再利用が容易であるものを考案することに成功した。
磁性材料を含む懸濁物とそれを懸濁する懸濁媒を含む懸濁液(以下「流体」と称する。)において、流体内に1つの方向に磁力線が延びる磁場を発生させる磁場発生装置と、その1つの方向に対して所定の角度を持つ方向に空間を隔てて配置される強磁性材料を含む第1の強磁性体及び強磁性材料を含む第2の強磁性体を含むマトリックスと、前記第1の強磁性体及び前記第2の強磁性体を前記流体の流れに抗して及び/又は磁力に抗して保持可能な支持体と、を含む磁気分離装置であって、前記第1の強磁性体から懸濁物を次々と付着させ、前記空間内に前記第1の強磁性体から前記第2の強磁性体まで、このような懸濁物により橋架け可能となるように、構成される磁気分離装置を提供することができる。ここで、前記第1の強磁性体又は前記第2の強磁性体の何れかを前記流体の流れの上流側にすることもできる。
ここで、磁性材料は、磁性体若しくは強磁性体としての性質を利用してさまざまな機能を実現するために用いられる材料をいう。懸濁物は、懸濁物質及び浮遊物質を含んでよく、懸濁媒中を漂う物を意味することができる。懸濁媒は、懸濁物を懸濁することができる流体(液体を含む)であってよく、特に、水系液体(又は流体)を含んでよい。前記磁場は、少なくとも上記第1の強磁性体及び上記第2の強磁性体の近傍において、1つの方向に向いた磁力線を発生させるものであってよい。この磁場は、上記第1の強磁性体及び上記第2の強磁性体の近傍において、約100μT、約1mT、約10mT、約100mT、約1T、又は、それらの数値の各々以上T(テスラ)であることが好ましい。磁場発生装置は、磁石を含んでよい。電磁石を含んでよい。超伝導磁石を含んでよい。その1つの方向に沿って(又は、に対して所定の角度を持つ方向に)空間を隔てて配置されるとは、上記第1の強磁性体及び上記第2の強磁性体が、上記1つの方向に実質的に平行に(又は、に対して所定の角度を持つ方向に)間に間隔を空けて並んで配置されることを含んでよい。また、1つの方向に沿っていることは、その1つの方向に実質的に平行であることだけでなく、上記第1の強磁性体及び上記第2の強磁性体を結んだ線(連結方向を有する連結線分)がその1つの方向に対して30度以下、25度以下、20度以下、15度以下、10度以下、5度以下、又は、3度以下の何れかの角度をなしている場合があってもよい。例えば、連結方向が、所定の角度を持つことにより、その1つの方向及びそれに直交する方向に分解したときの成分の比率により考慮することができる。強磁性材料は、強磁性を示す材料を含んでよく、強磁性(Ferromagnetism)とは、隣り合うスピンが同一の方向を向いて整列し、全体として大きな磁気モーメントを持つ物質の磁性を指すことができる。このような材料は、例えば、鉄、コバルト、ニッケル、ガドリニウム等を含むことができる。また、これらからなる合金並びに酸化物のような化合物を含んでよい。磁性材料は、軟磁性材料、硬磁性材料、磁歪材料、磁気抵抗材料を含んでよい。上記第1及び第2の強磁性体は、SUS430等のフェライト系及びマルテンサイト系ステンレス鋼を含んでよい。上記第1の磁性体は、上記磁場の上記1つの方向から見て投影面積S1を持ってよい。また、上記第2の強磁性体は、上記1つの方向から見て投影面積S2を持ってよい。S1及びS2は、同じ大きさであってもよく、異なるものであってもよい。そして、上記第1の磁性体の上記1つの方向から見た投影像(投影像1)が、上記第2の磁性体の上記1つの方向から見た投影像(投影像2)と、少なくとも一部が重なることが好ましい。投影像1及び投影像2の大きさ及び形状は、それぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。投影像1の3分の1又はそれ以上が投影像2に重なってもよい。投影像1の2分の1又はそれ以上が投影像2に重なってもよい。投影像1の3分の2又はそれ以上が投影像2に重なってもよい。投影像1が投影像2にほぼ重なってもよい。
上記第1の磁性体及び第2の磁性体の空間は、上記第1の磁性体及び第2の磁性体のそれぞれの最近接点からの距離により定義することができる。例えば、上記第1及び第2の強磁性体の最も近接する部位の連結方向に沿った距離を意味することができる。第1の磁性体及び第2の磁性体の間には空間があってよく、上記懸濁液中においては、その空間は懸濁液により充填されてよい。上記空間は、上記第1の磁性体及び第2の磁性体のそれぞれの最近接点からの距離、即ち、間隔により規定されてよい。この間隔又は隙間に磁性材料を含む懸濁物を保持することができる。第1の磁性体及び第2の磁性体の間の間隔は、0mmより大きく、上記空間に懸濁物からなる架橋が形成できる程度までであってよい。間隔が広すぎると、架橋を形成できないおそれが高くなる。また、狭すぎると懸濁物を多く保持することが難しくなる。例えば、5mm以下であってもよい。また、例えば、投影面積S1の64倍又はそれ以下であってよい。投影面積S1の32倍又はそれ以下であってもよい。投影面積S1の16倍又はそれ以下であってもよい。
上記第1の磁性体及び第2の磁性体の形状は特に限定されないが、例えば、それぞれ球形であってもよく、立方体、直方体等の立体形状であってよく、例えば、上記1つの方向に垂直な直円柱形であってもよい。例えば、上記第1の強磁性体又は第2の強磁性体は、それぞれ所定の径を持つ針金(又は針金部分(針金は針金部分を含んでよい))を含んでよい。通常、針金はフレキシブルな円柱形状をしているので、例えば、その直径(又は横断面における直径)により大きさ等を規定できる。針金の直径は、捕獲対象となる懸濁物の大きさに応じて使い分けることもできるが、例えば、球近似される懸濁物のサイズが約5μm、10μm、20μm、又は50μmであるならば、そのいずれかの5倍以上であってよい。10倍以上であってもよい。20倍以上であってもよい。懸濁物の捕獲は、針金の表面で行うため、針金の直径が大きすぎると、捕獲効率が悪くなるおそれがある。また、配置場所も限定されるため、工業的には、10cm以下であってもよい。また、第1の強磁性体を構成する針金の長さは、上記1つの方向に対して、所定の角度を呈すると認められる程度に長いものであればよい。例えば、直径の2倍以上であってもよい。この所定の角度は、上記1つの方向に対して横向きとなる角度であってよい。具体的には、およそ垂直、即ち、およそ90度であってよい。88度以上であってもよい。85度以上であってもよい。83度以上であってもよい。上記支持体は、上記流体の流れにより移動させられない部材、例えば、流体を保持する壁に接続又は固定されてよい。このような壁は、流体が流れる配管の内壁を含んでよい。また、壁に固定された、突起部材、凹部材、その他の係合部材を含んでよい。壁はまた、上記流体の流路を規定する壁(典型的には、管壁若しくは流路を規定する管の壁面)であってもよい。この壁に固定された支持部材は流路を横切るように延ばし上記第1の強磁性体及び第2の強磁性体を支持してもよい。
より具体的には、針金を整列させ、針金の太さ(直径に相当)、左右前後間隔を最適化することで、流体の流れの前後の針金を渡る磁力線(磁場の方向)に沿って捕獲された粒子の堆積が2つの針金間に維持される。ここで、針金は、針金部分を含んでよい。また、針金部分が直線で表現又は近似されていても、湾曲する針金がこの針金部分を含むことができる。また、磁場が強ければさらにその堆積が強固に維持される。
また、以下のようなものを提供できる。
(1)流体中の磁性材料を含む懸濁物粒子を分離する、磁場発生装置と、マトリックスと、及び前記流体に対して前記マトリックスを支持する支持部材とを含む磁気分離装置において、
前記磁場発生装置は前記流体内に1つの方向に磁場を発生させることができ、
前記マトリックスは、所定間隔離れて配置された強磁性材料からなる第1の強磁性体及び第2の強磁性体を含み、
前記第1の強磁性体又は前記第2の強磁性体に付着した第1の懸濁物粒子が、前記磁場により磁性を帯びることにより前記第1の懸濁物粒子に第2の懸濁物粒子が付着し、更に、前記磁場により磁性を帯びることにより前記第2の懸濁物粒子に第3の懸濁物粒子が付着し、更に、同様な関係が第4以降の懸濁物粒子について生じることにより、前記第1の強磁性体又は前記第2の強磁性体から、前記第2の強磁性体又は前記第1の強磁性体へと、複数の懸濁物粒子による橋架けが生じ得るように、前記磁場の1つの方向及び前記流体の流れの方向に対する方向及び前記間隔が選択され、前記第1の強磁性体及び前記第2の強磁性体が配置されるように構成される、磁気分離装置。
(2)前記第1の強磁性体は、直径が0.3mmから2mmの第1の針金部分を含み、その延伸方向を規定できるだけの長さを持ち、
前記第2の強磁性体は、直径が0.3mmから2mmの第2の針金部分を含み、その延伸方向を規定できるだけの長さを持ち、
前記第1の強磁性体及び前記第2の強磁性体は、実質的に互いに平行であり、
前記第1の強磁性体及び前記第2の強磁性体の最短連結線分の長さは、5mm以下であり、
前記第1の針金部分及び前記第2の針金部分により規定される平面に対して、前記磁場の1つの方向及び前記流体の流れの方向について、それぞれ、方位角成分及び仰角成分に分離したときに、それぞれの仰角成分が、30度以下であり、前記磁場の1つの方向の方位角成分が前記最短連結線分を基準に30度以下であるように、前記第1の針金部分及び前記第2の針金部分が配置・構成される、上記(1)に記載の磁気分離装置。
(3)前記第1の針金部分及び前記第2の針金部分により規定される平面が、前記磁場の1つの方向及び前記流体の流れの方向を実質的に含むように、前記磁場の1つの方向及び前記流体の流れの方向のそれぞれの仰角成分が、30度以下である、上記(2)に記載の磁気分離装置。
(4)前記マトリックスにおいて、前記第1の針金部分及び前記第2の針金部分は、それぞれ、平金網を構成する、上記(2)又は(3)に記載の磁気分離装置。
(5)前記流体の流れの方位角成分が前記最短連結線分を基準に30度以下であるように、前記第1の針金部分及び前記第2の針金部分が配置・構成される、上記(2)から(4)のいずれかに記載の磁気分離装置。
(6)前記磁場の1つの方向の方位角成分が前記最短連結線分を基準に30度以下であるように、前記第1の針金部分及び前記第2の針金部分が配置・構成される、上記(2)から(5)のいずれかに記載の磁気分離装置。
(7)前記流体の流れの方位角成分が前記最短連結線分を基準に30度以下であるように、前記第1の針金部分及び前記第2の針金部分が配置・構成される、上記(5)に記載の磁気分離装置。
(8)前記第1の針金部分及び前記第2の針金部分により規定される平面において、前記最短連結線分が、前記第1の針金部分及び前記第2の針金部分に対して実質的に垂直である、上記(2)から(7)のいずれかに記載の磁気分離装置。
(9)前記マトリックスは、
前記第1の針金部分及び前記第2の針金部分を含む第1のマトリックス要素と、
第2のマトリックス要素と、を含み、
前記第2のマトリックス要素は、
直径が0.3mmから2mmの第A1の針金部分及び第A2の針金部分と、を含み、
前記第A1の針金部分及び前記第A2の針金部分が、前記第1のマトリックス要素の前記第1の針金部分及び前記第2の針金部分と同じ関係となるように配置・構成され、
前記第A1の針金部分及び第A2の針金部分がそれぞれ強磁性体を含み、
前記第1のマトリックス要素及び前記第2のマトリックス要素は、前記流体が前記第1のマトリックス要素から流出する出口、及び、前記出口から流れる流体が入る入口を、それぞれ含み、前記第1のマトリックス要素の出口及び前記第2のマトリックス要素の入口の間が少なくとも5mm隔てられている、上記(2)から(8)の何れかに記載の磁気分離装置。
(10)流体の中の磁性材料を含む懸濁物を分離する、磁場発生装置と、マトリックスと、及び前記流体に対して前記マトリックスを支持する支持部材とを含む磁気分離装置において、
前記磁場発生装置は前記流体内に1つの方向に磁場を発生させることができ、
前記マトリックスは、強磁性体を含む針金で編んだ少なくとも2つの網を含み、
前記少なくとも2つの網を構成する少なくとも1つの針金は、直径が0.3mmから2mmであり、
前記少なくとも2つの網の少なくとも1つの目開きは、前記少なくとも1つの針金の直径の2から4倍であり、
前記少なくとも2つの網は、それぞれの網の面が前記流体の流れの方向に実質的に垂直に配置され、
前記少なくとも2つの網は、前記流体の流れの方向に沿って1mmから5mmの距離を隔てて、前記少なくとも2つの網の前記少なくとも1つの目開きが、それぞれ、共通するように配置され、
前記支持部材は、前記流体の流れを規定する壁の少なくとも一部を構成する、磁気分離装置。
(11)流体の中の磁性材料を含む懸濁物を分離する、磁場発生装置と、マトリックスと、及び前記流体に対して前記マトリックスを支持する支持部材とを含む磁気分離装置において、
前記磁場発生装置は前記流体内に1つの方向に磁場を発生させることができ、
前記マトリックスは、強磁性材料からなる第1の強磁性体及び第2の強磁性体を含み、前記第1の強磁性体及び前記第2の強磁性体の最短連結線分は連結方向を有し、前記連結方向は、前記1つの方向に対して30度以下であり、
前記流体の流れの方向が、前記連結方向に対して30度以下であり、前記第1の強磁性体が、前記流体の流れにおいて、前記第2の強磁性体よりも上流側にあり、
前記連結方向に沿った前記第1の強磁性体及び前記第2の強磁性体のそれぞれの投影像が重なり部分を含む、磁気分離装置。
(12)前記最短連結線分の長さが、前記第1の強磁性体の前記投影像の面積の64倍以下である、上記(11)に記載の磁気分離装置。
(13)前記流体が、150℃以上で15気圧以上の水を含む、上記(1)から(12)のいずれかに記載の磁気分離装置。
(14)上記(1)から(13)のいずれかに記載の磁気分離装置を備える火力発電所のボイラー給水系。
(15)上記(1)から(13)のいずれかに記載の磁気分離装置を備える加圧水型原子力発電プラントの二次給水系。
(16)流体中の磁性材料を含む懸濁物を分離する方法であって、
前記流体が流れる流路と、前記流路内において1つの方向に磁力線を発生させる磁気発生装置と、前記1つの方向に沿うように配置された強磁性材料からなる第1の強磁性体及び第2の強磁性体からなるマトリックスと、前記第1の及び第2の強磁性体を前記流路内に、前記流体の流れに抗して及び前記磁力に抗して、保持する支持体とを含む磁気分離装置を、前記流体が流れる流路に前記第1の強磁性体が前記第2の強磁性体の上流側になるように配置し、
前記磁気発生装置により、前記流路内において前記1つの方向に磁場を発生させ、
前記第1の強磁性体の下流側に懸濁物を付着させ、その付着した懸濁物の下流側に更に懸濁物を付着させ、
前記付着した懸濁物に更に懸濁物を付着させる工程を繰り返して、前記第2の強磁性体の上流側に到達させ、前記第1及び第2の強磁性体の間に前記懸濁物からなる付着物で橋架けして、懸濁物を懸濁液から分離する方法。
(17)前記流体が、150℃以上で15気圧以上の水を含む、上記(16)に記載の方法。
(18)前記磁気発生装置を、前記流路から断熱可能に隔離されるように配置する、上記(17)に記載の方法。
(19)前記支持体は、前記流路を規定する壁により支持される、上記(17)又は(18)に記載の方法。
(20)前記流路、磁気発生装置、前記マトリックス、及び前記支持体を、火力発電所のボイラー給水系の配管の少なくとも一部に備える、上記(17)から(19)のいずれかに記載の方法。
(21)前記流路、磁気発生装置、前記マトリックス、及び前記支持体を、加圧水型原子力発電プラントの二次給水系の配管の少なくとも一部に備える、上記(17)から(19)のいずれかに記載の方法。
上述する連結方向を有する最短連結線分は、上記第1の強磁性体及び上記第2の強磁性体を連結する線であって、その内最短となるものを意味することができる。例えば、2つの球のような簡単な形状であれば、対面する2つの球の最近接表面から線を繋げばよい。また、2つの立方体の場合は、それぞれの表面に任意の点を取り、互いに結びあった線分の内、最も短い線分を選択し、そのときの方向を連結方向とすることができる。又は、簡易的には、それぞれの立体形状の中心(多くの場合は、重心が相当)同士を連結してもよい。このとき、最短連結線分の長さは、連結した線がそれぞれの表面に交わる点の間の距離を取ることができる。また、例えば、2本の円柱の場合(円柱形状の針金部分を含んでよい)、互いに平行であり、かつ、径方向に沿う方向において形成される投影像が、長手方向において少なくとも一部が重なり合うと、円柱の側面の近接点同士を結べば、それぞれの軸に垂直な連結方向を有する最短連結線分が形成される。このような連結方向を有する最短連結線分に対して、上記磁場の1つの方向は、90度未満が好ましい。但し、上記第1の強磁性体及び上記第2の強磁性体が、それぞれの軸が平行であって共通しないように配置された直円柱からなるような場合、これらの軸により平面が規定可能であるが、その平面に実質的に、上記磁場の1つの方向が含まれる場合は、特にその向きに制限はない。仮に、上記最短連結線分に対して上記磁場の1つの方向が垂直であっても、最短ではない連結線分が存在すれば、上記第1の強磁性体及び上記第2の強磁性体の間に懸濁物によるチェーンが形成可能であるからである。また、上記流体の流れの方向については、上記連結方向に対して、30度以下が好ましい。上記第1の強磁性体又は上記第2の強磁性体のいずれかが上流側になり、この流れによる圧力を、他方について減免可能と考えられるからである。尚、上記第1の強磁性体及び上記第2の強磁性体の間に形成される懸濁物による橋架け又はチェーン構造が、上記流体の流れに沿った投影面積において、大きくないのであれば、この流れの方向もあまり影響を及ぼさない。火力発電所や原子力発電所のボイラー給水系で発生するスケールを低減するために、給水中のマグネタイトを主成分とする剥離スケール等の鉄酸化物懸濁物を高温部(150℃以上)で効率良く捕獲回収する磁気分離装置に関する発明である。本発明は高勾配磁気分離装置で効率よく懸濁物を回収除去する。高勾配磁気分離は高温でも利用可能なため、発電所等での応用が期待されているが、懸濁物の回収量が増えるにつれて、圧力損失の増加、捕獲性能の急速な低下がおこるため頻繁な洗浄作業が必要なことが問題となり設置が難しかった。頻繁な洗浄は発電所や装置の効率的な運用に大きな影響を与える。
本発明は主にマトリックスの構造を変えることにより、回収懸濁物が増加しても、圧力損失の増加を抑え捕獲性能の減少も少なくすることにより、洗浄間隔を長くして装置の効率的な運用を可能にした。本提案のマトリックスは、マトリックスを構成する針金を整列させ、針金の太さ、前後及び左右間隔を最適化することでその針金間の磁力線に沿って磁気力により捕獲物を堆積させる。そのため、堆積の流れへの影響を抑えることができる。これにより、堆積が増えた状況でも圧力損失の増加を抑えることができ、フィルタとしての寿命を長くできる。
本発明の1つの実施例によれば、給水系の高温部では鉄はマグネタイトを主成分とする懸濁物になっているため磁気分離により容易に給水から分離除去できる。この磁気分離装置により、エネルギー損失を増加させることなく効率的に懸濁物を除去でき配管内のスケールを低減することができる。
結果として、発電所のエネルギー変換効率を維持することができるため、燃料の消費量を少なくできると同時に二酸化炭素の排出量を低減できる。また、現在の火力発電所では、数年に1回発電所を停止し配管のスケールを化学洗浄によって除去している。期間は数か月、数千万円の費用が発生する。もしスケールを低減できれば洗浄間隔が長くなるためその経済的効果は大きい。
本発明の1つの実施例である磁気分離装置のマトリックス部を図解する略式概念図である。 図1におけるマトリックス部を平面図において示す略式概念図である。 図1におけるマトリックス部を側面図において示す略式概念図である。 図1におけるマトリックス部と同様な構造を備えるマトリックス部について、その磁場及び流体の流れ方向における立体的な検討を示す略式概念斜視図である。 図4におけるマトリックス部を平面図において示す略式概念図である。 図4におけるマトリックス部を側面図において示す略式概念図である。 本発明の1つの実施例である磁気分離装置を図解する略式概念図である。 本発明の1つの実施例である磁気分離装置のマトリックス部を図解する略式概念図である。 図8におけるマトリックス部を平面図において示す略式概念図である。 図8におけるマトリックス部を側面図において示す略式概念図である。 図8のマトリックス部において、第1の強磁性体及び第2の強磁性体に磁性材料を含む懸濁物が付着していく様子を表す略式概念図である。 図8のマトリックス部において、第1の強磁性体及び第2の強磁性体に磁性材料を含む懸濁物が更に付着し、第1の強磁性体及び第2の強磁性体の間に懸濁物からなる橋架けがされた様子を表す略式概念図である 図8のマトリックス部において、第1の強磁性体及び第2の強磁性体に磁性材料を含む懸濁物が付着し、第1の強磁性体及び第2の強磁性体の間に懸濁物からなる橋架けが磁石のようにされた様子を表す略式概念図である。 図8のマトリックス部と同様に、第3の強磁性体を備える更にもう1つの実施例における略式想定概念図である。 本発明の1つの実施例における第1の強磁性体及び第2の強磁性体の投影像を示す図である。 本発明の1つの実施例における第1の強磁性体及び第2の強磁性体の投影像を示す図である。 本発明の1つの実施例における第1の強磁性体及び第2の強磁性体の投影像を示す図である。 本発明の1つの実施例において、第1のマトリックス要素及び第2のマトリックス要素を備える磁気分離装置の概略図である。 図8のマトリックス部と同様な構造を備えるマトリックス部について、その磁場及び流体の流れ方向における立体的な検討を示す略式概念斜視図である。 図8のマトリックス部と同様な構造を備えるマトリックス部について、その磁場及び流体の流れ方向における立体的な検討を示す略式概念側面図である。 本発明の追加のもう1つの実施例である磁気分離装置のマトリックス部を図解する略式概念図(斜視図)である。 本発明の追加のもう1つの実施例である磁気分離装置のマトリックス部を図解する略式概念図(平面図)である。 本発明の追加のもう1つの実施例である磁気分離装置のマトリックス部を図解する略式概念図(側面図)である。 本発明の追加のもう1つの実施例である磁気分離装置のマトリックス部を図解するが、第1及び第2の強磁性体の間に懸濁物からなる橋架けがされた様子を表す略式概念図(斜視図)である。 本発明の別の実施例である磁気分離装置のマトリックス部を図解するが、ここでは、6本の強磁性体が描かれている略式概念図(斜視図)である。 マトリックス部の構成の違いによる捕獲率の変化を投入量の増加に対してプロットしたグラフである。 マトリックス部の構成の違いによる圧力損失の変化を投入量の増加に対してプロットしたグラフである。 マトリックス部の構成が異なる4つのサンプルの総捕獲量を棒グラフで表した図である。 高温での破過曲線のシミュレーション結果を示す図である。 本発明の別の1つの実施例である磁気分離装置を示す概略概念図である。 本発明の更に別の1つの実施例である磁気分離装置を操作する手順を示す概略概念図である。 本発明の追加の別の2つの実施例である磁気分離装置(実験A及び実験B)のマトリックス部を示す写真及びその説明を示す。 図31の実験Bの磁気分離装置における磁場強度を示すグラフである。 図31の実験A及びBの磁気分離装置による総捕獲量を示すグラフである。 図31の実験Bの磁気分離装置による破過曲線(実験値)及び2種類の予測値並びに圧力を示す図である。 本発明の1つの実施例である磁気分離装置を備える火力発電所のボイラー給水系を示す概略図である。 本発明の1つの実施例である磁気分離装置を備える加圧水型原子力発電プラントの二次給水系を示す概略図である。
以下、本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。なお、本発明はこれらの例示にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加え得ることは勿論である。
図1は、本発明の1つの実施例である磁気分離装置のマトリックス部を図解する略式概念斜視図である。マトリックス部は、第1の強磁性体及び第2の強磁性体となる、両端を揃えて平行に配置される第1及び第2の針金15を含む。これらの針金15により平面202が規定され、また、懸濁物が堆積される堆積領域を特徴付ける堆積領域平面21aが平面202内に規定される。また、磁気発生装置により発生する磁場の1つの方向14は、この平面202内に含まれる。そして、複数例示される懸濁物を含む流体の流れの方向12も、この平面202内に含まれる。このように、マトリックス部を構成する第1の強磁性体及び第2の強磁性体、磁場の1つの方向14、及び流体の流れの方向12が、1つの平面202内に存するように配置すると、平面202に含まれる堆積領域平面21aを特徴とする堆積領域(針金15により挟まれ、その直径の厚みを持つ空間)内に懸濁物が堆積され、懸濁物による架橋がされ得る。このとき、磁場の1つの方向14は、平面202内であれば、特に制限されないが、針金15に対して垂直な方向は好ましい。また、流体の流れの方向12も、平面202内であれば、特に制限されないが、流体の流れによる圧力を第1の強磁性体又は第2の強磁性体が低減し易いと考えられる、針金15に対して垂直な方向は好ましい。また、2つの針金15を含むマトリックス部に十分な流体の流動断面積がある場合は、堆積領域による流動断面積の閉塞割合が小さいため、針金15に平行な流体の流れ方向は、この堆積領域内の懸濁物の堆積が維持され得るので、好ましい。
図2及び図3は、上述するようなマトリックス部を、それぞれ平面図及び側面図において示す略式概念図である。上述するように、マトリックス部は、実質的に同形の直円柱形状の第1の強磁性体216及び第2の強磁性体218を含み、これらは両端を揃えて平行に配置され、平面202を規定する。両端を揃えているため、軸方向の端面を連結する仮想面223並びに第1の強磁性体216及び第2の強磁性体218の側面により規定される空間からなる堆積領域221には、懸濁物が堆積し、第1の強磁性体216及び第2の強磁性体218の間に懸濁物のチェーンによる橋架けが可能である。このとき、同様に磁場の1つの方向214(ここでは、複数の可能な方向が例示される)及び流体の流れの方向212(ここでも、複数の可能な方向が例示される)は、平面202内にある。第1の強磁性体216及び第2の強磁性体218のそれぞれの表面から連結する最短連結線分は、上述する直円柱形状の軸に垂直であり、平面202内に含まれる連結方向を有し、その長さは、第1の強磁性体216及び第2の強磁性体218の間の間隔に相当する。この連結方向に平行な磁場の1つの方向214は、連結方向に対して0度の角度αを成し、この連結方向に垂直な磁場の1つの方向214は、連結方向に対して90度の角度αを成す。上述するように、この角度αが0度の磁場の1つの方向は、好ましく、実務的には、角度αが0度となるように、第1の強磁性体216及び第2の強磁性体218を配置・構成する。また、角度αが90度であっても、堆積領域221に懸濁物を堆積させることができ、好ましい。一方、この連結方向に平行な流体の流れの方向212は、連結方向に対して0度の角度βを成し、この連結方向に垂直な流れの方向212は、連結方向に対して90度の角度βを成す。上述するように、この角度βが0度の流れの方向は、好ましく、実務的には、角度βが0度となるように、第1の強磁性体216及び第2の強磁性体218を配置・構成する。また、角度βが90度であっても、上述のように、流れの抵抗がそれほど大きくならず、好ましい。ここで、第1の強磁性体216及び第2の強磁性体218の互い違いの端部の最近接点316及び318を連結する仮想線を考える。この仮想線が、連結方向と成す角度をγとすると、tan(γ)は、第1の強磁性体216及び第2の強磁性体218の間の間隔(L)分の強磁性体216及び218の軸方向の長さである。このような場合、磁場による懸濁物の磁化及びそれによる懸濁物のチェーン形成の容易さを考えると、磁場の向きと連結方向の成す角度αは、角度γ以下であることが好ましいとも考えられる。また、流体の流れの方向と連結方向の成す角度βは、流体の流れによる圧力を第1の強磁性体216又は第2の強磁性体218が相手方に対して低減できる可能性を考えれば、角度γ以下であることが好ましいとも考えられる。また、第1の強磁性体216及び第2の強磁性体218により規定される平面202は、それぞれの軸心を含むが、この平面202に含まれるとは、側面視で平面202に対して垂直に上下に広がる仮想面223の高さ(強磁性体216及び218の直径相当)を厚みとする平面空間内に存すると考えることもできる。ここで、第1の強磁性体216及び第2の強磁性体218を連結する際に検討される最近接点に垂直な面を立て、連結方向に沿った強磁性体216及び218の投影像の側面図における最下点317及び最上点319を連結した連結線が上記連結方向とのなす角をδとする。磁場の1つの方向214が平面202内に存することは、側面視において磁場の1つの方向214が上記連結方向に対してなす角度が、角度δ以下であるとすることもできると考えられる。また、流れの方向212が平面202内に存することは、側面視において流れの方向212が上記連結方向に対してなす角度が、角度δ以下であるとすることもできると考えられる。
図4から図6は、上述するようなマトリックス部について、その磁場の1つの方向及び流体の流れの方向における立体的な検討を示す略式概念斜視図、平面図、及び側面図である。マトリックス部の構成は、上述したものと同じであるので、説明を省略する。平面202内にあるとは限らない、磁場の1つの方向214は、平面202及び上記連結方向を基準に、仰角e及び方位角fにより規定できる。また、平面202内にあるとは限らない、流体の流れの方向212は、平面202及び上記連結方向を基準に、仰角g及び方位角hにより規定できる。尚、ここでは、図示の都合上、流体の流れの方向212が下向きの例を示しているが、上向きの流れの方向であっても同様に考えることができる。そして、その効果を考えると、磁場の1つの方向214は、平面視において、上記連結方向とのなす角aが、30度以下は好ましい。また、図2における角度γ以下は好ましい。また、磁場の1つの方向214は、側面視において、上記連結方向とのなす角cが、30度以下は好ましい。また、図3における角度δ以下は好ましい。一方、流れの方向212は、平面視において、上記連結方向とのなす角bが、30度以下は好ましい。また、図2における角度γ以下は好ましい。また、流れの方向212は、側面視において、上記連結方向とのなす角dが、30度以下は好ましい。また、図3における角度δ以下は好ましい。
図7は、本発明の1つの実施例である磁気分離装置を図解する略式概念図である。これまで述べてきたように、磁気分離装置10は、磁場発生装置23と、実質的に同形の直円柱形状の第1の強磁性体16及び第2の強磁性体18を含むマトリックス25と、及び前記流体に対して前記マトリックス25を支持する支持部材22とを含み、管壁12bに流路が規定される流体12aは、少なくともマトリックス近傍で所定の方向12に沿って流れ、磁場発生装置23は、流体12aで1つの方向14の磁場を発生させる。
図8は、本発明の1つの実施例である磁気分離装置のマトリックス部を図解する略式概念図である。本実施例の磁気分離装置10は、懸濁液(以下、「流体」という。)が流れの方向12に沿って流れ、磁性材料を含む懸濁物13が、この流体中に懸濁又は分散している。典型的には、磁性材料は、マグネタイトを含んでよい。この流体の流れの方向12にほぼ平行な1つの方向14の磁場が図示されない磁石により発生させられている。強磁性材料からなる第1の強磁性体16及び第2の強磁性体18は、この磁場により磁化し、それぞれ、N極及びS極を上流側及び下流側に備える磁石17及び19となり、磁力線17a及び19aを発生する。これらの第1の強磁性体16及び第2の強磁性体18は、如何なる形状をしていてもよいが、この図では、ほぼ同じ大きさの球形状をしているように描かれている。それぞれ支持部材20及び22により流れの方向12を持つ流体に抗して支持され、それぞれの支持部材20及び22は、この懸濁液を流す流路を規定する壁(例えば、管壁)に固定される。第1の強磁性体16及び第2の強磁性体18は、連結方向を有する最短連結線分(線分の長さが間隔Lに相当)に沿って並べられ、流体の流れの方向12は連結方向に沿っている。第1の強磁性体16及び第2の強磁性体18の間の間隔Lは、懸濁物が堆積される空間21となる。
図9及び図10は、図9に示す1つの実施例に関して、平面図及び側面図において図解する。これらの図は、図2及び図3の実施例に類似するが、マトリックス部は、実質的に同形の球形状の第1の強磁性体216及び第2の強磁性体218を含む点において相違する。これらは平面202に含まれてよいが、2点に相当する2つの球では、平面を1つに規定できないので、ある1つの平面202を採用したものである。連結方向及び最短連結線分は、1つに限定でき、平面202に含まれる。球形の外周を連結することにより描かれる仮想面223並びに第1の強磁性体216及び第2の強磁性体218の対向する側面(球の半面)により規定される空間からなる堆積領域221には、懸濁物が堆積し、第1の強磁性体216及び第2の強磁性体218の間に懸濁物のチェーンによる橋架けが可能である。ここで、磁場の1つの方向214(ここでは、複数の可能な方向が例示される)及び流体の流れの方向212(ここでも、複数の可能な方向が例示される)が、平面202内にあるとすると、図2及び図3の実施例に類似したことが考えられる。例えば、マトリックス部を構成する第1の強磁性体216及び第2の強磁性体218、磁場の1つの方向14、及び流体の流れの方向12が、1つの平面202内に存するように配置・構成することができる。このとき、磁場の1つの方向14は、平面202内に存すれば、特に制限されないが、連結方向に対して平行な方向は好ましい。懸濁物によるチェーン形成の容易性から、磁場の1つの方向14と連結方向とのなす角αは、30度以下が好ましい。また、流体の流れの方向12も、平面202内であれば、特に制限されないが、流体の流れによる圧力を第1の強磁性体216又は第2の強磁性体218が相手方に対して低減し易いと考えられる、連結方向に対して平行な方向は好ましい。ここで、第1の強磁性体216及び第2の強磁性体218の連結方向に沿った、それぞれの最近接点での対向する平面への投影像を、平面図において平面視した際の互い違いの最大幅の端点316及び318を連結した連結線が上記連結方向とのなす角をγとする。また、同様な投影像の側面図における側面視の最低点317及び最高点319を連結した連結線が上記連結方向となす角をδとする(本実施例では、γ=δ)。磁場の1つの方向214と連結方向のなす角度αは、角度γ以下であることが好ましいとも考えられる。また、流体の流れの方向212と連結方向の成す角度βは、流体の流れによる圧力を第1の強磁性体216又は第2の強磁性体218が相手方に対して低減できる可能性を考えれば、角度γ以下であることが好ましいとも考えられる。また、平面202は、第1の強磁性体216及び第2の強磁性体218の中心を含む。この平面202に含まれるとは、仮想面223及び第1の強磁性体216及び第2の強磁性体218の対向側面で囲まれる範囲内にあるとも考えられる。磁場の1つの方向214が平面202内に存することは、側面視において磁場の1つの方向214が上記連結方向に対してなす角度αが、角度δ以下であるとすることもできると考えられる。また、流れの方向212が平面202内に存することは、側面視において流れの方向212が上記連結方向に対してなす角度βが、角度δ以下であるとすることもできると考えられる。ここで、0≦α<90、また、0≦β<90、は好ましい。
図11は、図8のマトリックス部において、第1の強磁性体16及び第2の強磁性体18に磁性材料を含む懸濁物が付着していく様子を表している。懸濁物13は、磁力により、第1の強磁性体16の上流側に吸着され付着物26として堆積されるが、方向12の流れの上流側であるので、少し堆積されるとその上には堆積され難い。一方、第1の強磁性体16の下流側に吸着され付着物28として堆積されても、更にその上(図中は下側)に次の懸濁物13が吸着され付着物30として堆積される。そして、更に、次の懸濁物13が吸着され付着物32として堆積される。このようにして、図8において空けられた場所21は、より狭い場所21’となる。同様に、第2の強磁性体18においても、上流側に吸着され付着物46として堆積されるが、方向12の流れの上流側であるので、少し堆積されるとその上には堆積され難いが、第2の強磁性体18の下流側に吸着され付着物48として堆積され、更にその上(図中は下側)に次の懸濁物13が吸着され付着物50、52として堆積される。尚、このとき、堆積は、それぞれの強磁性体の下流側に流体の流れの方向12に平行に行われるので、堆積による流れに対する抗力はあまり上昇しない。即ち、流れ抵抗はあまり変わらない。
図12は、図8のマトリックス部において、第1の強磁性体16及び第2の強磁性体18に磁性材料を含む懸濁物が付着し、第1の強磁性体16及び第2の強磁性体18の間に懸濁物からなる橋架けがされた様子を表す。懸濁物13は、付着物32の上(図中は下側)に次々と懸濁物13が吸着し付着物34、36、及び38を形成し、終には、場所21’を完全に埋めて、橋架け状態になっている。このような状態になると、流体による流れの方向12に向かう引きずり力(懸濁液の粘性が大きいと大きくなるが)に対して、第2の強磁性体18がこの付着物34、36、及び38を支持するので、十分保持可能である。また、場所21’の空間がなくなるので、流体の回り込みよる負圧効果も減衰すると考えられる。尚、第2の強磁性体の下流側にも付着物54が堆積しているが、これ以上は、流体の流れの方向12に向かう引きずり力に抗して維持することが難しい。
図13は、図12のマトリックス部において、橋架けがされた第1の強磁性体16及び第2の強磁性体18の磁性特性を模式的に表現しようとしたものである。ここでは、第1の強磁性体16及び第2の強磁性体18並びにその間の付着物28、30、32、34、36、及び38及び第2の強磁性体の下流側の付着物48、50、52、及び54全体が、1つの磁石17のように機能し、磁力線17aを発生させる。図14は、図13のマトリックス部と同様であるが、第3の強磁性体19を第2の強磁性体18の下流側に流れの方向12にほぼ平行に備えるもう1つの実施例における略式図を示す。ここでは、第2の強磁性体18及び第3の強磁性体19並びにその間の付着物48、50、52、54、56、及び58及び第3の強磁性体の下流側の付着物64、66、及び68が、第1及び第2の強磁性体の間のものを含めて、全体として1つの磁石17を形成して、同様に磁力線17aを発生させる。このように、懸濁物が大量に、第1~第3の強磁性体の間に保持され得る。更に、第4の強磁性体があれば、懸濁物による橋架けが期待できる。尚、上記実施例においては、第1の強磁性体16及び第2の強磁性体18を連結方向を有する最短連結線分に沿って、連結方向に垂直な面に投影される第1の強磁性体16の投影像は、第2の強磁性体の同様な投影像にほぼ重なり、更に、第3の強磁性体の同様な投影像についても、ほぼ重なる。それぞれの投影面積はほぼ同じであるので、粘性があまり高くない懸濁液においては、流路抵抗もあまり変わらないと期待される。
図15は、図8における実施例に類似するが、第1の強磁性体16及び第2の強磁性体18を連結方向11を有する最短連結線分に沿って配置するが、流体の流れ方向12が、連結方向に対してθの角度(0<θ<90度)を有する点において相違する。従って、重複する説明は省略する。磁場の方向14は、連結方向11に沿っており、又は、連結方向11に平行であり、なす角度は、極めて小さく、又は、実質的に0度であってよい。このように磁場の方向14が流体の流れの方向12に対して平行ではなく、角度θをなしてよい。このような状態であっても、第1の強磁性体16は、第2の強磁性体18の上流側にあり、流体の流れの連結方向11の成分がゼロではないので、第1の強磁性体16による第2の強磁性体18に対する流体の流れによる圧力の低減効果が期待される。つまり、流体の流れの方向12は、磁場の方向14に対して或いは連結方向11に対して、平行でなくてもよく、垂直でなくてもよい。また、連結方向11に沿ってそれに垂直な平面への、第1の強磁性体16及び第2の強磁性体18の投影像S1及びS2は、互いにほぼ完全に重なり合う(A)。一方、角度θをなす流体の流れの1つの方向に沿って、それに垂直な平面への両強磁性体16及び18の投影像は、一部が重なり合い(B)、そして、角度θが大きくなると、重なり合う部分がほとんどなくなる(C)。従って、角度θが大きくなると、上流側の強磁性体16による下流側の強磁性体18に対する流体の流れによる圧力の低減効果は低下するものと考えられる。尚、第1の強磁性体16及び第2の強磁性体18の大きさは、同じである必要はなく、例えば、第1の強磁性体16の方が大きい場合、又は、第2の強磁性体18の方が大きい場合であってもよい。前者の場合は、連結方向11に沿った第1の強磁性体16の投影像は、第2の強磁性体18のそれより大きく、それを完全に包含するような関係になる。従って、上流側の強磁性体16による下流側の強磁性体18に対する流体の流れによる圧力の低減効果は、同じ大きさに比べて、大きくなると期待される。一方、角度θをなす流体の流れの1つの方向に沿って得た第1の強磁性体16の投影像は、第2の強磁性体18の一部しか重ならず、圧力の低減効果は、低くなるものと予想される。このように、圧力の低減効果を考慮すると、角度θは、例えば、15度以下、10度以下、又は5度以下であってもよいかもしれない。ここで、流れの方向12及び磁場の1つの方向14については、正反対の向き(180度回転した向き)についても、同様な効果が得られると期待される。流れの方向12の逆転は、単にいずれかの強磁性体16又は18を上流側に配置することに過ぎないし、磁場の1つの方向14の逆転は、単にS及びNを反転させることに過ぎないからである。尚、この実施例では、連結方向11に対して磁場の1つの方向14が平行であるので、両方向を含む平面を複数得ることができ、その内、流体の流れの方向12をも含む平面を見出すことができる。このような場合は、上述するように、連結方向11、磁場の1つの方向14、及び流体の流れの方向12が、1つの平面内にあるので、それぞれの方向につき、上述するような好ましい関係を満足させることができる。また、流体が保持される、例えば、配管の中には、局所的な複雑な構造又は構成のため、巨視的には管の長さに沿う流体の流れの方向があるが、局所的な流れの向き及び速度は変わることがある。例えば、バッフルプレート、オリフィス、その他必要な管内の構造が設けられる場合が含まれる。従って、第1の強磁性体16及び第2の強磁性体18の近傍(例えば、両者の外縁及びそれに接する部分又はその外縁から流体が圧力を受ける範囲並びに両者によって挟まれる範囲又は領域(空間))において、流体の流れの方向12が存在する場合も含まれる。
図16は、図15の場合とほぼ同じものであるが、第1の強磁性体16及び第2の強磁性体18が、それぞれ、直円柱形状をしている点において相違する。従って、重複する説明は省略する。第1の強磁性体16及び第2の強磁性体18を連結する連結方向11を有する最短連結線分の長さが、間隔Lに相当する。特に、これらが同形の円柱形状である場合であって、それぞれが端を揃えて平行に並んでいる場合は、複数の最短連結線分があるが何れも同じ長さであり、それぞれ平行な連結方向を有している。従って共通する連結方向により連結方向を規定でき、間隔Lも最短連結線分の長さで規定できる。このような場合、連結方向11に沿ってそれに垂直な平面への、第1の強磁性体16及び第2の強磁性体18の投影像S1及びS2は、互いにほぼ完全に重なり合う(A)。しかしながら、第1の強磁性体16及び第2の強磁性体18が互いに平行でない場合は、同形であっても少し事情が異なる。即ち、最短連結線分を得るべく、第1の強磁性体16及び第2の強磁性体18の形状の表面について最近接点をサーチする。得られた最短連結線分が複数ある場合は、その連結方向に沿って、第1の強磁性体16及び第2の強磁性体18の投影像S1及びS2を求め、重なり合う部分の面積を比較し、重なり合う部分の面積が最も大きいものを最短連結線分としてその方向を連結方向とすることができる。更に複数の候補がある場合は、連結方向を平均化することにより連結方向を得ることができる。このようにして得た連結方向11に沿って求める両強磁性体16及び18の投影像は、一部が重なり合い、それぞれの投影像の軸が角度φで交わっている(B)。ここで、流体の流れの方向12は連結方向に対して角度θだけ傾いており、これに基づいて、流れ方向の連結方向成分を算出し、それがゼロより大きければ、上述する圧力の低減効果が期待できる。また、単に流体の流れの方向12に沿って求める両強磁性体16及び18の投影像については、重なり合う部分がない場合もある(C)。このようなときでも、上述する最短連結線分を求める方法で、連結方向を得ることができる。得られた、連結方向に沿った投影像には重なり合う部分があるので、同様に、流体の流れの方向12は連結方向に対して角度θだけ傾いており、これに基づいて、流れ方向の連結方向成分を算出し、それがゼロより大きければ、上述する圧力の低減効果が期待できる。また、第1の強磁性体16及び第2の強磁性体18の大きさは、同じである必要はなく、例えば、第1の強磁性体16の方が大きい場合、又は、第2の強磁性体18の方が大きい場合であってもよい。後者の場合、連結方向11に沿った第2の強磁性体18の投影像は、第1の強磁性体16のそれより大きく、それを完全に包含するような関係になる。重なり合う部分があるので、上流側の強磁性体16による下流側の強磁性体18に対する流体の流れによる圧力の低減効果は期待される。ここで、連結方向11及び磁場の1つの方向14は平行であるが、流れの方向12は平行ではなく、更に、両強磁性体16及び18により規定される平面が、連結方向11(及び磁場の1つの方向14)又は流れの方向12を含まないので、これらの方向の自由度は、上述する程大きくない。この場合は、連結方向11を基準に、磁場の1つの方向14の連結方向成分と、流体の流れの方向12の連結方向成分と、それらに直交する成分と、を算出し、それぞれの割合が、それぞれ30%以上であるとする場合に、圧力の低減効果又は懸濁物の磁化効果が有効と考えることができる。
図17は、図15における実施例に類似するが、連結方向11に対して、流体の流れの方向12及び磁場の1つの方向14が、それぞれ、θ及びθだけ傾いている点において相違する。このような実施例では、両強磁性体16及び18を含む平面が、連結方向11、流体の流れの方向12、及び磁場の1つの方向14を全て包含することは稀である。従って、両強磁性体16及び18を含む平面において、連結方向11に寄与する、流体の流れの方向12及び磁場の1つの方向14の連結方向成分及びそれらに直交する成分を算出し、それぞれの割合が、それぞれ30%以上であるとする場合に、圧力の低減効果又は懸濁物の磁化効果が有効と考えることができる。
図18は、マトリックスが、第1のマトリックス要素及び第2のマトリックス要素を含む場合を例示したものである。ここでも図15及び図16と類似して、各マトリックス要素内の連結方向11-1及び11-2に対して、図中垂直に表される磁場の1つの方向14が平行であり、一方、流体の流れの方向12は、θの角度(0<θ<90度)をなしている。また、第1のマトリックス要素は、丁度、図16で示すものと同様であり、また、第2のマトリックス要素は、それを繰り返したような構成となっている。第1のマトリックス要素及び第2のマトリックス要素には、それぞれの上流側(θだけ傾いているが、90度より小さいため上流側と言える。)にそれぞれ入口が規定され、それぞれの下流側にそれぞれの出口が規定される。そして、それぞれ、第1の強磁性体16、16a及び第2の強磁性体18、18aが、それぞれの要素内において、同形、同じ大きさで、向きも同じであるが、第1のマトリックス要素及び第2のマトリックス要素は、所定の角度φaだけねじれており、第1のマトリックス要素の出口から、所定の距離LLだけ離れたところに第2のマトリックス要素の入口が配置されるように構成される。それぞれの要素内では、連結方向11-1及び11-2に対して、流れの方向12はθだけ傾斜している。連結方向11-1及び11-2に沿った投影像において、投影面積S1及びS2並びに投影面積S1a及びS2aが重なり合っている((A)及び(B))。一方、第1のマトリックス要素及び第2のマトリックス要素ではねじれていることが分かる(C)。
図19及び図20は、図8から図10のマトリックス部と同様な構造を備えるマトリックス部について、その磁場及び流体の流れ方向における立体的な検討を示す略式概念斜視図及び側面図である。マトリックス部は、実質的に同形の球形状の第1の強磁性体216及び第2の強磁性体218を含む。また、第1の強磁性体216及び第2の強磁性体218は平面202に含まれる。磁場の1つの方向214又は流体の流れの方向212が、平面202を飛び出していることがわかる。第1の強磁性体216及び第2の強磁性体218を連結する連結方向11の周りに平面202は回転しても何れも等価であるが、磁場の1つの方向214又は流体の流れの方向212を平面202が含むことができないこともわかる。このような場合は、ある平面202を選択し、その上に、第1の強磁性体216及び第2の強磁性体218を連結する連結方向11を基準として、平面202上に、方位角fを取り、仰角eを取ることができる。また、側面視において、磁場の1つの方向214が連結方向11に対してなす角度a、及び、流体の流れの方向212が連結方向11に対してなす角度b、によっても評価することができる。その上で、連結方向11に対して、磁場の1つの方向214又は流体の流れの方向212が、どれほど寄与するかを、連結方向11及びそれに垂直な方向の各成分を評価する。これにより、連結方向の成分の割合が30%以上であれば、磁場の効果又は圧力の低減効果が期待できると考えることもできる。
図21から図23は、本発明の1つの実施例である磁気分離装置のマトリックス部を図解する斜視図、平面図、及び正面図である。ここでは、第1の強磁性体が、流体の流れの方向12に対してほぼ垂直に横切る円柱形の強磁性体116及びその端面がこの強磁性体116に固定された、流れの方向12に対してほぼ垂直に横切るもう1つの円柱形の強磁性体117から構成される。この構造は、2つの針金116及び117が直角に固定された状態を模擬しており、また、このような「く」の字形が2つ重なれば、四角い目を備えるメッシュの1つの構成要素を構成することもできる。尚、工業的には、端面接合は、生産性が高くないので、編むように2つの横たわる円柱形が流れの一方向12に対して上下に立体交差するのが一般的である。ここでは、第1の強磁性体の下流側に距離Lだけ離れたところに第2の強磁性体及びその下流側に距離Lだけ離れたところに第3の強磁性体が配置されている。それぞれ、第1の及び第2の強磁性体、並びに、第2の及び第3の強磁性体は、所定の間隔が隔てられていることがわかる。第2の強磁性体は、第1の強磁性体の場合と同様、流れの一方向12に対してほぼ垂直に横切る円柱形の強磁性体118及びその端面がこの強磁性体118に固定された、流れの一方向12に対してほぼ垂直に横切るもう1つの円柱形の強磁性体119から構成される。第3の強磁性体は、第1及び第2の強磁性体の場合と同様、流れの一方向12に対してほぼ垂直に横切る円柱形の強磁性体120及びその端面がこの強磁性体120に固定された、流れの一方向12に対してほぼ垂直に横切るもう1つの円柱形の強磁性体121から構成される。これらの第1から第3の強磁性体は、支持部材により、それぞれ壁22aに固定される支持部材により、懸濁液の流れに抗して保持される。図21に示すように、流れの一方向12は、下向きであるが、磁力線14は上向き(即ち、下流側がN極側)である。このように磁力線の向きは、方向が同じであれば、向きは問わない。流れの一方向12に沿って、また、磁力線14の方向に沿って、それぞれ距離Lだけ離れたところに設置されているが、それぞれ所定の間隔が隔てられている。図24Aは、図21から図23の実施例において、第1及び第2の強磁性体の間に懸濁物からなる橋架けがされ、第3の強磁性体にも懸濁物が付着した状態を示している。これらの第1から第3の強磁性体の一方向12に沿う投影像は、ほぼ同じであり、投影面積もほぼ等しい。そのため、引きずり抵抗又は流路抵抗もあまり変化しないが、懸濁物を大量に保持することができる。
図24Bは、強磁性材料から構成される複数の針金を組み合わせた場合の堆積領域の考え方について説明する概念図である。図中、懸濁物を含む流体の中に、強磁性材料から構成される複数の直円柱形状の針金16を6本がほぼ同じ長さで、端面を揃えて並べてある。これらの針金16は、図示しない支持体により、流体の流れに抗してその位置を保持している。ここで、磁場は、図中下向きの矢印により磁場の1つの方向14において外部の磁場発生装置により流体中に掛けられている。このとき、磁場の1つの方向14に従うとすると、破線で示した堆積領域221aに懸濁物が堆積されると考えられる。しかしながら、図中右上に向いた矢印により示されるように、流体の流れがある場合は、この流れに押されて、点線の堆積領域221bに懸濁物が堆積するかもしれない。このように、磁場や流れの方向及び強さ、更には、針金の配置により、その堆積領域221は変化する可能性があり、この図で示すように、磁場や流れの種々の変化に対応できるマルチの可能性を残したマトリックスとすることもできる。
以上述べてきたように、磁気分離装置は、磁性材料の1つであるマグネタイトを主成分とする粒子が懸濁した流体から、この粒子を分離することができる。特に、液体の粘度が低下する高温、高圧下の水からこれらの粒子を長期間に亘り捕獲性能を維持しながら捕獲回収することができる。例えば、水は、20℃では、密度が998.2kg/mであり、粘度が、1002×10-6Pa・sであり、動粘性係数は、1.004×10-6/sであるが、200℃では、それぞれ、864.7kg/m、136.51×10-6Pa・s、0.1579×10-6/sである。仮に、強磁性体が直径が1mmの直円柱であるとして、これについてレイノルズ数(Re=UD/ν)を求めると、一般に水道水等の管内の流速が1m/s程度であるので、1m/s×1×10-3m/1.004×10-6/s=996(20℃)、及び、1m/s×1×10-3m/0.1579×10-6/s=6333(200℃)である。従って、渦列は乱れて非定常かつ非周期的な伴流(wake)が形成される領域と考えられる。一方、配管内にかかる流体(主に水)が流れる場合では、配管の内径が約100mmと考えられるので、1m/s×100×10-3m/1.004×10-6/s=9.96×10(20℃)、及び、1m/s×100×10-3m/0.1579×10-6/s=6.333×10(200℃)である。従って、管内の流れは、乱流とも考えられる。
次に、実験例について述べる。取り扱う流体は、主に水又は水系の液体であり、高温になった場合は、液体というよりは、流体という状態になる。このように粘度が極めて小さくなるので、かかる高温条件では、本発明の実施例のような磁気分離装置は優れた機能を発揮する。本発明の実施例による磁気分離装置は、外部の磁場を発生する冷凍機冷却式超伝導磁石とその磁石の発生する磁場によって磁化される強磁性体で構成されるマトリックスからなる。マトリックスは強磁性体の針金を編んだ金網を使ってその配置を変えることで、高い捕獲率を維持したまま長時間使用できる構造を備える。また、高温高圧水を用いた実験が困難なため、室温で1気圧での実験を主に行い高温へはシミュレーションを用いて外挿して高温、高圧での性能を評価した。
(室温での実験)
マトリックスの構成を変えた実験を行い捕獲率の変化を調べた。粒径3.5μmのマグネタイト粒子を水に懸濁させた懸濁液を流して、構造を変えたマトリックスの捕獲の様子を比較した。図25はその代表的なサンプルの結果をまとめたものである。またその実験での、圧力損失の変化を図26に示した。横軸は実験開始からのマグネタイト粒子の投入量である。捕獲率の定義は以下である。
捕獲率=1-(流出濃度/流入濃度) (式1)
一定の時間間隔でフィルター通過前後の溶液を採取し、その濃度から上式を使って捕獲率を求めた。投入量は流入濃度を時間積分した値である。
で詳細は以下である。
サンプル1 ●:針金直径0.34 mm、左右間隔0.9 mm、 前後間隔5mm
サンプル2 ▲:針金直径0.5 mm、左右間隔1.3mm、 前後間隔 2 mm
サンプル3 ■:針金直径1.0mm、 左右間隔3.2 mm、前後間隔 2mm
サンプル4 ×:針金直径0.34 mmを従来の方法で充填
サンプル4は既存の磁気分離用マトリックスの構造を模したサンプル。1,2,3は新たな構造で条件を変えたサンプルで左右間隔は平均値である。
従来のマトリックスであるサンプル4と新しい構造のサンプル1は非常によく似た性能を示している。これは、針金の左右間隔が狭かったため、並べた効果が得られなかったためと思われる。サンプル2,3は長く捕獲性能を維持し、圧力損失の上昇も少ない。特に、サンプル3は圧力損失の増加はほとんど見られなかった。実験終了時に測定した総捕獲量も2,3は1,4よりも多くなっている。これらの事から、サンプル2,3は圧力損失の上昇が少なく長く捕獲性能を維持する構造であることがわかる。
図28の破過曲線を以下の様に指数関数で近似することができる。
y=A・exp(-x/L) (式2)
ここで、Aは初期捕獲率、Lは寿命である。図28の場合、xは投入量である。また、ALは総捕獲量に相当する。総捕獲量が大きいほど寿命が長くなる。磁気分離の場合、初期捕獲率と総捕獲量はマトリックスの長さによって調整が可能であるため、磁石の大きさの範囲内でその性能の調整が可能である。
(シミュレーション)
上記の室温での実験データを基に200℃の水の物性値を使って、磁気分離のシミュレーションソフトを用いて高温での性能を評価した。
圧力損失の増加がほとんど見られなかったサンプル3の構造で高温での捕獲率の変化を模擬した。但し、サンプル3を5個直列に並べた場合を想定している。ここで想定している本装置の設置条件では、10ppbのマグネタイト粒子が流れている。例えば、30日間のマグネタイトの流入量は、約43gである。その時の捕獲率は約0.93、30日間の平均捕獲率は0.99であった。従って、高温でも十分な性能を発揮することが分かった。
図29は、本発明の1つの実施例である磁気分離装置を示す概略概念図である。これまで述べてきたように、磁性材料を含む懸濁物とそれを懸濁する懸濁媒を含む懸濁液が、図中、左から右へと一方向に管内を流れる。この管の周りを磁石のコイルが覆い磁場を発生させる。その磁場内に、強磁性材料からなる強磁性体である金網が、その下の拡大図にあるように、目を合わせて積層される。従って、懸濁液の一方向の流れに沿う投影像が上流側から下流側に至ってほぼ重なっており、この磁気分離装置を稼動させて懸濁物を積層される金網からなるマトリックス内に堆積してもあまり流路抵抗は変化しない。然るに、それぞれのマトリックスの構成要素である上流側の強磁性体と下流側の強磁性体との間に懸濁物を保持できるので、多量に分離することが可能となる。
図30は、本発明の別の1つの実施例である磁気分離装置を操作する手順を説明する概略概念図である。実施例の磁気分離装置を作動させるためには、バルブ1を開け、バルブ2を開け、バルブ3を閉じ、バルブ4を閉じることにより、管に流れる懸濁液を実施例の磁気分離装置に通すようにする。併せて、このとき磁石を作動させ、磁場を発生させ、内部のマトリックスの磁化を生じさせる。これにより、大量の懸濁物をマトリックス内に保持することができる。次に、このマトリックス内にある懸濁物を洗浄して系外に排出する。そのためには、バルブ1を閉じ、バルブ2を閉じて、バルブ4を開けることにより、磁気分離装置を、運転している循環装置から切り離し、その上で、バルブ3を開放することにより、磁気分離装置内に溜まった懸濁液と共に、堆積された懸濁物を流しだす。併せて、図示しない洗浄用の水等の媒体をバルブ1より磁気分離装置側から流し、洗浄することもできる。洗浄が終了したら、バルブ3を閉じて、バルブ1及びバルブ2を開け、バルブ4を閉じることにより、再び、磁気分離を行うことができる。
図31は、追加の別の2つの実施例である磁気分離装置(実験A及び実験B)のマトリックス部を示す写真及びその説明を示す。実験Aのマトリックス部は、主にマグネステン針金(φ1mm)について、縦線と横線が互いに十字に交差を連続して織った平織り金網(メッシュ)を12枚重ねたものからなる。それぞれの目開きは、3.23mmである。この平織り金網を内径がφ50(内径5cm)のSUS304製の円筒内に、間隔を2mm開けて積層し、円筒の前後を十文字のバーで固定する。従って、円筒及び前後の十文字のバーが、支持部材に相当する。このようにして構成されたマトリックス部を、配管の中に挿入し、磁石による磁場をかけて、磁気分離装置(実験A)とした。実験Bでは、実験Aにおいて作ったマトリックス部を1セットとして、5つのセットを直列に並べたものを同様に配管の中に挿入し、磁石による磁場をかけて、磁気分離装置(実験B)とした。
図32は、実験Bの磁気分離装置における磁場強度を示すグラフである。縦軸は、磁場強度であり、横軸は中心軸からの距離を表す。このグラフから分かるように、磁場強度は、中心軸近傍で最も強く、2T以上あった。一方、125mm離れたところでも1T以上の磁場があることから、今回のマトリックス部を構成する円筒の長さが25cmであるので、マトリックス部全体が、1T以上の強い磁場を有することがわかる。図33は、実験A及び実験Bにおいて、実験終了時の総捕獲量を示すグラフである。実験Aでは、1セットしかなく、実験Bでは、上流側から、1、2、3、4、及び5セット配置されている。このグラフから分かるように、5セット直列に並べても、最初の1セットは、1セットだけの場合とほぼ同じ量だけ捕獲した。また、実験Bの結果から分かるように、第1及び第2セットまでは、ほぼ同じだけの捕獲量を示し、第3、第4、そして、第5セットと、捕獲量が減っていた。これは、第1及び第2セットでは、ほぼ収納限界まで捕獲し、残りを第3、第4と順次捕獲していた。即ち、実験Aで捕獲された量は、ほぼ収納限界まで捕獲されたのであり、これ以上実験を続けても、捕獲量は増えないと予想される。一方、実験Bでは、第1、第2が収納限界まで捕獲したら、第3、第4と順次捕獲することができ、直列配置の優れた機能が発揮されることが分かった。更に、第3、第4、及び第5と順次減少していることから、被捕獲物(懸濁物)の濃度に応じて捕獲量が変わることが予想される。図34は、実験Bの磁気分離装置による破過曲線(実験値)及び2種類の予測値並びに圧力を示す図である。懸濁物の投入量に関わらず、圧力はほぼ一定であり、懸濁物の堆積により、いわゆる目詰まりは生じていないことが分かる。また、捕獲率は、投入量が30gを超えたところから少しずつ減少することが分かった。つまり、投入量30g迄は、ほぼ100%捕獲できており、今回の磁気分離装置がいかに優れているかわかる。また、その後、少しずつ減少していくことから、例えば捕獲率が80%まで低下したら、マトリックス部の交換などを行うことで、容易に磁気分離装置のメンテナンスができる。
これまで、磁気分離装置について、詳細に述べてきたが、このような磁気分離装置の応用について述べる。図35は、火力発電所におけるボイラー350、それから蒸気を取り出す配管352、取り出した蒸気を使って運転するタービン354、そして、蒸気の原料となる水を供給する給水配管356を含む火力発電システムの一部を図解する。蒸気の原料となる水を供給する給水系の給水配管356には、本実施例の1つである磁気分離装置312が備えられている。このような給水配管356内には、蒸気から凝縮された高温及び高圧の水が流されているが、このような条件においては、通常のフィルターでは、破壊されるか、寿命が極端に短くなる。しかしながら、本実施例の1つである磁気分離装置312では、高温高圧に耐久性のある強磁性体(例えば、鉄等の金属)が暴露されるだけであるので、懸濁物の分離が容易にできる。図36は、加圧水型原子力発電プラントの原子炉格納容器300、それから蒸気を取り出す配管302、取り出した蒸気を使って運転するタービン304、そして、蒸気の原料となる水を供給する給水配管306を含む加圧水型原子力発電プラントの一部を図解する。蒸気の原料となる水を供給する給水系の給水配管306には、本実施例の1つである磁気分離装置312が備えられている。このような給水配管306内には、蒸気から凝縮された高温及び高圧の水が流されているが、上述したように、本実施例の1つである磁気分離装置は、十分にその機能を発揮できる。
また、以下のようなものを含んでよい。
(1)流体中の懸濁物を分離する、磁場発生装置と、マトリックスと、及び前記流体に対して前記マトリックスを支持する支持部材とを含む磁気分離装置において、 前記磁場発生装置は前記流体内に1つの方向に磁場を発生させることができ、 前記マトリックスは、 直径が0.3mmから2mmの第1の針金部分と、 前記1つの方向に沿って5mm以下の距離を隔てて配置される直径が0.3mmから2mmの第2の針金部分と、を含み、 前記第1の針金部分及び第2の針金部分がそれぞれ強磁性体を含み、 前記第1の針金部分は、その延伸方向を規定できるだけの長さを持ち、前記1つの方向に対して実質的に垂直に配置され、 前記第2の針金部分は、その延伸方向を規定できるだけの長さを持ち、前記1つの方向に対して実質的に垂直に配置され、 前記第1の針金部分及び第2の針金部分が互いに実質的に平行であり、 前記第1の針金部分及び第2の針金部分の連結方向を有する最短連結線分がそれぞれの軸方向に対して垂直である、磁気分離装置。
(2)前記マトリックスにおいて、前記第1の針金部分及び前記第2の針金部分は、それぞれ、平金網を構成する、上記(1)に記載の磁気分離装置。
(3)前記流体は、前記1つの方向に対して実質的に平行な方向に流れる速度成分を少なくとも前記第1の針金部分及び第2の針金部分近傍に備える、上記(1)又は(2)に記載の磁気分離装置。
(4)前記延伸方向を規定できるだけの長さは、直径の2倍以上である、上記(1)から(3)の何れかに記載の磁気分離装置。
(5)前記支持部材は、前記流体の流れを規定する壁の少なくとも一部により支持される、上記(1)から(4)の何れかに記載の磁気分離装置。
(6)前記マトリックスは、 前記第1の針金部分及び前記第2の針金部分を含む第1のマトリックス要素と、 第2のマトリックス要素と、を含み、 前記第2のマトリックス要素は、 直径が0.3mmから2mmの第A1の針金部分と、 前記1つの方向に沿って5mm以下の距離を隔てて配置される直径が0.3mmから2mmの第A2の針金部分と、を含み、 前記第A1の針金部分及び第A2の針金部分がそれぞれ強磁性体を含み、 前記第A1の針金部分及び前記第A2の針金部分が、それぞれ、その延伸方向を規定できるだけの長さを持ち、互いに実質的に平行であり、そして、前記1つの方向に対して実質的に垂直に配置され、 前記第1のマトリックス要素及び前記第2のマトリックス要素は、前記流体が前記第1のマトリックス要素から流出する出口、及び、前記出口から流れる流体が入る入口を、それぞれ含み、前記第1のマトリックス要素の出口及び前記第2のマトリックス要素の入口の間が少なくとも5mm隔てられている、上記(1)から(5)の何れかに記載の磁気分離装置。
(7)流体の中の磁性材料を含む懸濁物を分離する、磁場発生装置と、マトリックスと、及び前記流体に対して前記マトリックスを支持する支持部材とを含む磁気分離装置において、 前記磁場発生装置は、磁石を含み、 前記マトリックスは、強磁性体を含む針金で編んだ少なくとも2つの網を含み、 前記少なくとも2つの網を構成する少なくとも1つの針金は、直径が0.3mmから2mmであり、 前記少なくとも2つの網の少なくとも1つの目開きは、前記少なくとも1つの針金の直径の2から4倍であり、 前記少なくとも2つの網は、それぞれの網の面が前記流体の流れの方向に実質的に垂直に配置され、 前記少なくとも2つの網は、前記流体の流れの方向に沿って1mmから5mmの距離を隔てて、前記少なくとも2つの網の前記少なくとも1つの目開きが、それぞれ、共通するように配置され、 前記支持部材は、前記流体の流れを規定する壁の少なくとも一部を構成する、磁気分離装置。
(8)流体の中の磁性材料を含む懸濁物を分離する、磁場発生装置と、マトリックスと、及び前記流体に対して前記マトリックスを支持する支持部材とを含む磁気分離装置において、 前記磁場発生装置は、磁石を含み、 前記マトリックスは、強磁性体を含む針金で編んだ少なくとも1つの網を含み、 前記少なくとも2つの網を構成する少なくとも1つの針金は、直径が0.3mmから2mmであり、 前記少なくとも2つの網の少なくとも1つの目開きは、前記少なくとも1つの針金の直径の2から4倍であり、 前記支持部材は、前記流体の流れを規定する壁の少なくとも一部を構成する、磁気分離装置。
(9)前記循環水が、150℃以上で15気圧以上の水である、上記(1)から(8)のいずれかに記載の磁気分離装置。
(10)上記(1)から(8)のいずれかに記載の磁気分離装置を備える火力発電所のボイラー給水系。
(11)上記(1)から(8)のいずれかに記載の磁気分離装置を備える加圧水型原子力発電プラントの二次給水系。
本発明を利用することで、発電所のエネルギー変換効率を維持することができるため、燃料の消費量を少なくできる。また、現在の火力発電所では、数年に1回発電所を停止し配管のスケールを化学洗浄によって除去している。期間は数か月、数千万円の費用が発生する。もしスケールを低減できれば洗浄間隔が長くなるためその経済的効果は大きい。
1、2、3、4 バルブ
10 磁気分離装置
11、11-1、11-2 連結方向
12、212 流体の流れの方向
12b 管壁
13 懸濁物
14、214 磁場の1つの方向
16、216 第1の強磁性体
17、19 磁石
17a、19a 磁力線
18、218 第2の強磁性体
20、22 支持部材
23 磁場発生装置
26、28、30、32、34、36、38、46、48、50、52、54 付着物
116、117、118、119、120、121 強磁性体
221、221a、221b 堆積領域

Claims (13)

  1. 流体中の磁性材料を含む懸濁物粒子を分離する、磁場発生装置と、マトリックスと、及び前記流体に対して前記マトリックスを支持する支持部材とを含む磁気分離装置において、
    前記磁場発生装置は前記流体内に流体の流れの方向に沿った1つの方向に磁場を発生させることができ、
    前記マトリックスは、所定間隔離れて配置された強磁性材料からなる実質的に互いに平行な第1の強磁性体及び第2の強磁性体を流体の流れの方向に沿って含み、
    上流側の前記第1の強磁性体に付着した第1の懸濁物粒子が、前記磁場により磁性を帯びることにより前記第1の懸濁物粒子に第2の懸濁物粒子が付着し、更に、前記磁場により磁性を帯びることにより前記第2の懸濁物粒子に第3の懸濁物粒子が付着し、更に、同様な関係が第4以降の懸濁物粒子について生じることにより、前記第1の強磁性体から、前記第2の強磁性体へと、複数の懸濁物粒子による橋架けが流体の流れの方向に沿って生じ得るように、前記磁場の1つの方向及び前記流体の流れの方向に対する方向及び前記間隔が選択されて懸濁物が堆積される堆積領域平面により特徴付けられる堆積領域を形成するように、前記第1の強磁性体及び前記第2の強磁性体が配置されるように構成され、磁気分離中に橋架けが形成されて堆積領域が確保され、
    前記第1の強磁性体は、直径が0.3mmから2mmの第1の針金部分を含み、直径の2倍以上の長さを持ち、
    前記第2の強磁性体は、直径が0.3mmから2mmの第2の針金部分を含み、直径の2倍以上の長さを持ち、
    前記第1の強磁性体及び前記第2の強磁性体の最短連結線分の長さは、5mm以下であり、
    前記第1の針金部分及び前記第2の針金部分により規定される平面を前記堆積領域は含み、前記平面に対して、前記磁場の1つの方向及び前記流体の流れの方向について、それぞれ、方位角成分及び仰角成分に分離したときに、それぞれの仰角成分が、30度以下であり、前記磁場の1つの方向の方位角成分が前記最短連結線分を基準に30度以下であるように、前記第1の針金部分及び前記第2の針金部分が配置・構成される、磁気分離装置。
  2. 前記マトリックスにおいて、前記第1の針金部分及び前記第2の針金部分は、それぞれ、平金網を構成する、請求項1に記載の磁気分離装置。
  3. 前記マトリックスは、
    前記第1の針金部分及び前記第2の針金部分を含む第1のマトリックス要素と、
    第2のマトリックス要素と、を含み、
    前記第2のマトリックス要素は、
    直径が0.3mmから2mmの第A1の針金部分及び第A2の針金部分と、を含み、
    前記第A1の針金部分及び前記第A2の針金部分が、前記第1のマトリックス要素の前記第1の針金部分及び前記第2の針金部分と同じ関係となるように配置・構成され、
    前記第A1の針金部分及び第A2の針金部分がそれぞれ強磁性体を含み、
    前記第1のマトリックス要素及び前記第2のマトリックス要素は、前記流体が前記第1のマトリックス要素から流出する出口、及び、前記出口から流れる流体が入る入口を、それぞれ含み、前記第1のマトリックス要素の出口及び前記第2のマトリックス要素の入口の間が少なくとも5mm隔てられている、請求項1又は2に記載の磁気分離装置。
  4. 流体の中の磁性材料を含む懸濁物を分離する、磁場発生装置と、マトリックスと、及び前記流体に対して前記マトリックスを支持する支持部材とを含む磁気分離装置において、
    前記磁場発生装置は前記流体内に流体の流れの方向に沿った1つの方向に磁場を発生させることができ、
    前記マトリックスは、強磁性体を含む針金で編んだ実質的に互いに平行な少なくとも2つの網を含み、
    前記少なくとも2つの網を構成する少なくとも1つの針金は、直径が0.3mmから2mmであり、直径の2倍以上の長さを有し、
    前記少なくとも2つの網の少なくとも1つの目開きは、前記少なくとも1つの針金の直径の2から4倍であり、
    前記少なくとも2つの網は、それぞれの網の面が前記流体の流れの方向に実質的に垂直に配置され、
    前記少なくとも2つの網は、前記流体の流れの方向に沿って1mmから5mmの距離を隔てて、前記少なくとも2つの網の前記少なくとも1つの目開きが、それぞれ、共通し、それぞれの前記針金が互いに平行になるように配置され、
    前記少なくとも2つの網を構成するそれぞれの前記針金により規定される平面を含む懸濁物が堆積される堆積領域が形成され、複数の懸濁物粒子による橋架けが流体の流れの方向に沿って磁気分離中に目詰まりすることなく生じ、堆積領域が確保され、
    前記支持部材は、前記流体の流れを規定する壁の少なくとも一部を構成する、磁気分離装置。
  5. 前記流体が、150℃以上で15気圧以上の水を含む、請求項1から4のいずれかに記載の磁気分離装置。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の磁気分離装置を備える火力発電所のボイラー給水系。
  7. 請求項1から5のいずれかに記載の磁気分離装置を備える加圧水型原子力発電プラントの二次給水系。
  8. 流体中の磁性材料を含む懸濁物を分離する方法であって、
    前記流体が流れる流路と、前記流路内において流体の流れの方向に沿った1つの方向に磁力線を発生させる磁気発生装置と、前記1つの方向に沿うように配置された強磁性材料からなる直径が0.3mmから2mmで長さが直径の2倍以上の第1の針金部分を含む第1の強磁性体及び直径が0.3mmから2mmで長さが直径の2倍以上の第2の針金部分を含む第2の強磁性体からなるマトリックスと、前記第1の強磁性体及び前記第2の強磁性体の最短連結線分の長さが5mm以下となるように前記第1の及び第2の強磁性体を前記流路内に、前記流体の流れに抗して及び前記磁力に抗して、保持する支持体とを含む磁気分離装置を、前記流体が流れる流路に前記第1の強磁性体が前記第2の強磁性体の上流側になるように配置し、
    前記流体をその流れの方向に流し、
    前記磁気発生装置により、前記流路内において前記1つの方向に磁場を発生させ、
    前記第1の強磁性体の下流側に懸濁物を付着させ、その付着した懸濁物の下流側に更に懸濁物を付着させ、
    前記付着した懸濁物に更に懸濁物を付着させる工程を繰り返して、前記第2の強磁性体の上流側の付着物である懸濁物に到達させ、磁気分離中、前記第1及び第2の強磁性体の間に前記懸濁物からなる付着物で生じる橋架けにより前記第1の針金部分及び前記第2の針金部分により規定される平面を含む堆積領域を確保する、懸濁物を懸濁液から分離する方法。
  9. 前記流体が、150℃以上で15気圧以上の水を含む、請求項8に記載の方法。
  10. 前記磁気発生装置を、前記流路から断熱可能に隔離されるように配置する、請求項9に記載の方法。
  11. 前記支持体は、前記流路を規定する壁により支持される、請求項9又は10に記載の方法。
  12. 前記流路、磁気発生装置、前記マトリックス、及び前記支持体を、火力発電所のボイラー給水系の配管の少なくとも一部に備える、請求項9から11のいずれかに記載の方法。
  13. 前記流路、磁気発生装置、前記マトリックス、及び前記支持体を、加圧水型原子力発電プラントの二次給水系の配管の少なくとも一部に備える、請求項9から11のいずれかに記載の方法。
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