JP7414404B2 - 導電粒子用基材粒子、その利用および製造方法 - Google Patents

導電粒子用基材粒子、その利用および製造方法 Download PDF

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Description

本発明は導電粒子用基材粒子、その利用および製造方法に関する。
従来、電子機器の組み立てにおいて、対向する多数の電極や配線間の電気的接続を行うために、異方性導電材料による接続方式が採用されている。異方性導電材料は、導電粒子をバインダー樹脂等に混合した材料である。また、異方性導電材料に用いられる導電粒子としては、金属粒子や基材とする導電粒子用基材粒子の表面を導電性金属層で被覆したものが使用されている。
特許文献1には、ビニルトリアルコキシシランのシロキサン結合体を含み、さらに芳香族炭化水素系架橋剤で架橋されている粒子であり、回復率が70%以上である導電粒子用基材粒子が開示されている。特許文献2には、表面上に導電層が形成され、前記導電層を有する導電性粒子を得るために用いられる基材粒子であって、圧縮回復率が50%以上である基材粒子が開示されている。特許文献3には、表面上に導電層が形成され、前記導電層を有する導電性粒子を得るために用いられる基材粒子であって、圧縮回復率が50%未満である基材粒子が開示されている。
特開2013-119594号公報 特開2018-101629号公報 特開2018-101630号公報
しかしながら、特許文献1は、導電粒子用基材粒子の回復率が高く、軟質な基板を用いて異方性導電材料を構成する際にスプリングバック現象が生じる場合があり、接続信頼性の点で改善の余地があることがわかった。スプリングバック現象は、電極間の接続後に、圧縮された導電粒子が元の形状に戻ろうとすることで生じる。また、特許文献2および3は、破壊歪(本願明細書中の「圧縮破壊変形率」に対応)が10%以上、20%以下であり、圧縮した際に基材粒子が容易に破壊するため、接続信頼性に劣るという問題があることがわかった。
本発明の一態様は、軟質な基板を用いた場合の電極におけるスプリングバック現象による接続不良が抑制され、接続信頼性に優れる導電粒子を作製するための、導電粒子用基材粒子、その利用技術およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記の課題を解決するために鋭意検討した結果、ビニルトリアルコキシシランに由来する構造単位を含み、回復率が70%未満であり、圧縮破壊変形率が30%以上である導電粒子用基材粒子を用いることにより、軟質な基板を用いた場合の電極におけるスプリングバック現象による接続不良が抑制され、接続信頼性に優れる導電粒子を得られることを見出し、本発明を完成させた。本発明は、以下の構成を包含する。
〔1〕ビニルトリアルコキシシランに由来する構造単位を含み、回復率が70%未満であり、圧縮破壊変形率が30%以上である、導電粒子用基材粒子。
〔2〕架橋度が30%以上である、〔1〕に記載の導電粒子用基材粒子。
〔3〕前記ビニルトリアルコキシシランと芳香族非架橋性単量体を共重合してなる、〔1〕または〔2〕に記載の導電粒子用基材粒子。
〔4〕〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の導電粒子用基材粒子の表面に、少なくとも一層の導電性金属層が形成されている、導電粒子。
〔5〕〔4〕に記載の導電粒子を含む、異方性導電材料。
〔6〕〔4〕に記載の導電粒子と、バインダー樹脂とを含む、異方性導電ペースト。
本発明の一態様によれば、軟質な基板を用いた場合の電極におけるスプリングバック現象による接続不良が抑制され、接続信頼性に優れる導電粒子を提供できる。
本発明の一実施形態について以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、以下に説明する各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態や実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態や実施例についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考文献として援用される。また、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は「A以上B以下」を意図する。
〔1.導電粒子用基材粒子〕
本発明の一実施形態に係る導電粒子用基材粒子(以下、単に「導電粒子用基材粒子」とも称する。)は、ビニルトリアルコキシシランに由来する構造単位を含み、回復率が70%未満であり、圧縮破壊変形率が30%以上である。
前記ビニルトリアルコキシシランに由来する構造単位を含む粒子(すなわち、ビニルトリアルコキシシランをポリマーのユニットに含む粒子)としては、例えば、ビニルトリアルコキシシランを含むシラン系単量体の(共)加水分解・縮合物からなる骨格(ポリシロキサン骨格)を含む粒子(i);ビニルトリアルコキシシランを含むシラン系単量体の(共)加水分解・縮合物からなる骨格(ポリシロキサン骨格)と、ビニルトリアルコキシシランを含むビニル系単量体の重合体骨格(ビニル重合体骨格)を含む粒子(ii);等が挙げられる。これらの中でも、ビニルトリアルコキシシランに由来する構造単位を含む粒子としては、前記粒子(ii)が好ましい。ポリシロキサン骨格とビニル重合体骨格とを有する基材粒子は、得られる導電粒子の接続信頼性がより優れている。また、液晶表示パネルにおける液晶セルやタッチパネルのセルのギャップ保持用スペーサーとして用いた場合には、ギャップ保持安定性に優れたものとなる。
前記ビニルトリアルコキシシランは、ケイ素原子に、ビニル基と、3つのアルコキシ基が結合している。
前記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基等が挙げられる。これらの中でも、アルコキシ基は、炭素数1~5が好ましく、炭素数1~4がより好ましく、炭素数1~3がさらに好ましい。なお、3つのアルコキシ基は、同一でも異なっていてもよいが、3つのアルコキシ基が同一のものが好ましい。
前記ビニルトリアルコキシシランとしては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリtert-ブトキシシラン等が挙げられる。
前記ポリシロキサン骨格は、ビニルトリアルコキシシラン及び必要に応じてビニルトリアルコキシシラン以外のシラン系単量体(以下、「他のシラン系単量体」とも称する。)を用いることによって形成できる。前記他のシラン系単量体は、シラン系架橋性単量体とシラン系非架橋性単量体とに分けられる。
シラン系架橋性単量体は架橋構造を形成し、より硬質な導電粒子用基材粒子を得ることができるため、他のシラン系単量体としてシラン系架橋性単量体を用いることが好ましい。シラン系架橋性単量体により形成される架橋構造としては、ビニル重合体とビニル重合体とが架橋したもの(以下、「第一の形態」とも称する。);ポリシロキサン骨格とポリシロキサン骨格とが架橋したもの(以下、「第二の形態」とも称する。);ビニル重合体とポリシロキサン骨格とが架橋したもの(以下、「第三の形態」とも称する。);が挙げられる。
前記第一の形態を形成し得るシラン系架橋性単量体としては、例えば、ジメチルジビニルシラン、メチルトリビニルシラン、テトラビニルシラン等の2つ以上のラジカル重合性基を有するシラン化合物が挙げられる。
前記第二の形態を形成し得るシラン系架橋性単量体としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等の4官能性シラン系単量体;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン等の3官能性シラン系単量体等が挙げられる。
前記第三の形態を形成し得るシラン系架橋性単量体としては、例えば、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシエトキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリロイル基を有するジ又はトリアルコキシシラン;p-スチリルトリメトキシシラン等のビニル基を有するジ又はトリアルコキシシラン;3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基を有するジ又はトリアルコキシシラン;3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基を有するジ又はトリアルコキシシラン;が挙げられる。これらのシラン系架橋性単量体は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記シラン系非架橋性単量体として、例えば、ジアルキルシラン(ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン等)等の2官能性シラン系単量体;トリアルキルシラン(トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン等)等の1官能性シラン系単量体が挙げられる。これらのシラン系非架橋性単量体は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
シラン系単量体として、ビニルトリアルコキシシラン以外のものを用いる場合、全シラン系単量体中のビニルトリアルコキシシランの含有量は、50質量%以上が好ましく、より好ましくは55質量%以上が好ましい。なお、シラン系単量体として、ビニルトリアルコキシシランのみを用いることも好適である。ビニルトリアルコキシシランの含有量が50質量%以上であれば、硬質な導電粒子が得られやすく、得られる導電粒子の接続信頼性がより優れたものとなる。
前記ビニル重合体は、ビニル系単量体を重合(ラジカル重合)することによって形成でき、このビニル系単量体はビニル系架橋性単量体とビニル系非架橋性単量体とに分けられる。
前記ビニル系架橋性単量体とは、ラジカル重合性基を有し架橋構造を形成し得るものであり、具体的には、1分子中に2個以上のラジカル重合性基を有する単量体(単量体(1))が挙げられる。
なお、「ラジカル重合性基」には、炭素-炭素二重結合のみならず、(メタ)アクリロキシ基、アリル基、イソプロペニル基、ビニルフェニル基、イソプロペニルフェニル基のような官能基と重合性炭素-炭素二重結合から構成される置換基も含まれる。なお、本明細書において「(メタ)アクリロキシ基」、「(メタ)アクリレート」や「(メタ)アクリル」は、それぞれ「アクリロキシ基及び/又はメタクリロキシ基」、「アクリレート及び/又はメタクリレート」や「アクリル及び/又はメタクリル」を示すものとする。
前記単量体(1)の例として、例えば、アリル(メタ)アクリレート等のアリル(メタ)アクリレート類;アルカンジオールジ(メタ)アクリレート(例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート等)、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、デカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタコンタヘクタエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート等)等のジ(メタ)アクリレート類;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート類;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等のテトラ(メタ)アクリレート類;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のヘキサ(メタ)アクリレート類;ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、及びこれらの誘導体等の芳香族炭化水素系架橋剤(好ましくはジビニルベンゼン等のスチレン系多官能モノマー);N,N-ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルサルファイド、ジビニルスルホン酸等のヘテロ原子含有架橋剤;等が挙げられる。単量体(1)は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ビニル系非架橋性単量体としては、1分子中に1個のラジカル重合性基とこれ以外の結合性官能基(カルボキシル基、ヒドロキシ基等のプロトン性水素含有基、アルコキシ基等の末端官能基等)を有する単量体(単量体(2))、1分子中に1個のラジカル重合性基を有する単量体(単量体(3))が挙げられる。
前記単量体(2)としては、例えば、(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基を有する単量体;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート類、ヒドロキシ基含有スチレン類(p-ヒドロキシスチレン等)等のヒドロキシ基を有する単量体;アルコキシ基含有(メタ)アクリレート類(2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、2-ブトキシエチル(メタ)アクリレート等)、アルコキシスチレン類(p-メトキシスチレン等)等のアルコキシ基を有する単量体;等が挙げられる。単量体(2)は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記単量体(3)には、(メタ)アクリレート系単官能モノマーやスチレン系単官能モノマーが含まれる。(メタ)アクリレート系単官能モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;シクロプロピル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、シクロウンデシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、4-t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル(メタ)アクリレート類;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、トリル(メタ)アクリレート、フェネチル(メタ)アクリレート等の芳香環含有(メタ)アクリレート類が挙げられ、メチル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレートが好ましい。スチレン系単官能モノマーとしては、スチレン;o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、α-メチルスチレン、エチルスチレン(エチルビニルベンゼン)、p-t-ブチルスチレン等のアルキルスチレン類、o-クロロスチレン、m-クロロスチレン、p-クロロスチレン等のハロゲン基含有スチレン類等が挙げられる。単量体(3)は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
導電粒子用基材粒子は、前記ビニルトリアルコキシシランと芳香族非架橋性単量体とを共重合してなることが好ましい。「ビニルトリアルコキシシランと芳香族非架橋性単量体とを共重合してなる」との記載は、「前記ビニルトリアルコキシシランに由来する構造単位に加えて、芳香族非架橋性単量体に由来する構造単位を有する」とも言い換えることができる。芳香族非架橋性単量体としては、芳香環含有(メタ)アクリレート類、スチレン系単官能モノマー等の芳香族非架橋性単量体がより好ましい。芳香族非架橋性単量体を共重合してなる導電粒子用基材粒子からは、より接続信頼性に優れる導電粒子を得ることができる。
芳香族非架橋性単量体の配合量は、全成分中、50質量%以下であることが好ましく、45質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下であることが特に好ましい。芳香族非架橋性単量体の配合量が上記範囲であれば、硬質な導電粒子が得られやすい。下限値としては、例えば、導電粒子用基材粒子の回復率を低くするため、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましい。
導電粒子用基材粒子は、回復率の低い導電粒子が得られやすい点で、スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、α-メチルスチレン、p-t-ブチルスチレン等のアルキルスチレン類を共重合してなることが特に好ましい。
導電粒子用基材粒子がアルキルスチレン類を共重合してなる場合、アルキルスチレン類以外の他の成分の配合量に対する、アルキルスチレン類の配合量の比率(すなわち、アルキルスチレン類の配合量/他の成分の配合量)が1以下であることが好ましく、0.5以下であることがより好ましい。導電粒子用基材粒子が上述のような構成であることで、より接続信頼性に優れる導電粒子を得ることができる。
本発明の一実施形態に係る導電粒子用基材粒子の回復率は、70%未満であり、65%以下が好ましい。回復率が上記範囲内であれば、軟質な基板を用いた場合の電極におけるスプリングバック現象による接続不良がより抑制され、接続信頼性に優れる導電粒子を作製することができる。導電粒子用基材粒子の回復率は、実施例に記載の方法で測定できる。なお、下限値としては、特に限定されないが、例えば、10%以上であることが好ましい。
本発明の一実施形態に係る導電粒子用基材粒子の圧縮破壊変形率は、30%以上であり、35%以上が好ましく、40%以上がより好ましく、45%以上がさらに好ましい。圧縮破壊変形率が上記範囲内である導電粒子用基材粒子は、低い変形率では基材粒子が破壊されないことを意味しているため、接続信頼性に優れる導電粒子を作製することができる。導電粒子用基材粒子の圧縮破壊変形率は、実施例に記載の方法で測定できる。なお、上限値としては、特に限定されないが、90%以下であることが好ましい。
本発明の一実施形態に係る導電粒子用基材粒子は、架橋度が30%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましく、50%以上であることが特に好ましい。架橋度が上記範囲であれば、硬質な導電粒子が得られやすい。「架橋度」とは、導電粒子用基材粒子の作製に際して使用される単量体の総配合量に対する、架橋性モノマーの配合量の割合(すなわち、架橋性モノマーの配合量/単量体の総配合量×100)を意図する。なお、上限値としては、例えば、導電粒子用基材粒子の回復率を低くするため、95%以下であることが好ましく、90%以下であることがより好ましい。
本発明の一実施形態に係る導電粒子用基材粒子は、圧縮試験(例えば、荷重負荷速度2.231mN/secで圧縮する試験)において、導電粒子用基材粒子全体が破壊する本破壊挙動のみを示し、予め導電粒子用基材粒子の一部が破壊される予備的破壊挙動を示すことはない。すなわち、本発明の一実施形態に係る導電粒子用基材粒子は、一段階の破壊挙動を示す。破壊挙動が一段破壊である導電粒子用基材粒子は、本破壊挙動を示す前に、予備的破壊挙動を示す(すなわち、破壊挙動が二段破壊である)導電粒子用基材粒子と比較して、接続信頼性に優れる導電粒子を作製できる。
本発明の一実施形態に係る導電粒子用基材粒子は、10%圧縮変形させた際の圧縮弾性率(以下、「10%K値」とも称する)の下限値が3000N/mm以上であることが好ましく、より好ましくは5000N/mm以上、さらに好ましくは6500N/mm以上、特に好ましくは7500N/mm以上である。また、10%K値の上限値は、50000N/mm以下が好ましく、より好ましくは40000N/mm以下、さらに好ましくは30000N/mm以下である。
すなわち、本発明の一実施形態に係る導電粒子用基材粒子は、圧縮変形させる際の変形初期の圧縮弾性率が高いことが好ましい。導電粒子用基材粒子が変形初期において高い圧縮弾性率を有していれば、該導電粒子用基材粒子を芯材とする導電粒子では、電極等を加圧接続する際に導電粒子が被着体へと押し込まれ、圧痕を形成することができる。また、加圧接続時に、導電粒子と被着体との間に存在するバインダー樹脂を排除しやすくなるため、優れた接続信頼性が得られる。なお、導電粒子用基材粒子の10%K値は、実施例に記載の方法で測定できる。
本発明の一実施形態において、導電粒子用基材粒子の個数平均粒子径は、特に限定されない。導電粒子用基材粒子の個数平均粒子径の下限値は、0.50μm以上が好ましく、1.00μm以上がより好ましく、1.60μm以上がさらに好ましく、2.00μm以上が特に好ましい。導電粒子用基材粒子の個数平均粒子径の上限値は、5.00μm未満が好ましく、4.00μm以下がより好ましく、3.30μm以下がさらに好ましく、3.00μm以下が一層好ましい。導電粒子用基材粒子の個数平均粒子径が前記範囲内であれば、電子回路における電極や配線は一層微細化、狭小化に対応できるため好ましい。また、個数平均粒子径の変動係数(以下、「CV値」とも称する。)は10.00%以下が好ましく、より好ましくは9.00%以下、さらに好ましくは7.00%以下である。導電粒子用基材粒子の個数平均粒子径および変動係数は、実施例に記載の方法で測定することができる。なお、CV値の下限値としては、特に限定されないが、1.00%以上であることが好ましい。
〔2.導電粒子〕
本発明の一実施形態に係る導電粒子(以下、単に「導電粒子」とも称する。)は、導電粒子用基材粒子の表面に、少なくとも一層の導電性金属層が形成されている。
導電性金属層を構成する金属としては特に限定されないが、例えば、金、銀、銅、白金、鉄、鉛、アルミニウム、クロム、パラジウム、ニッケル、ロジウム、ルテニウム、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム、スズ、コバルト、インジウムおよびニッケル-リン、ニッケル-ホウ素等の金属や金属化合物、および、これらの合金等が挙げられる。これらの中でも、金、ニッケル、パラジウム、銀、銅、錫が導電性に優れた導電粒子となることから好ましい。また、安価な点で、ニッケル、ニッケル合金(Ni-Au、Ni-Pd、Ni-Pd-Au、Ni-Ag);銅、銅合金(CuとFe、Co、Ni、Zn、Sn、In、Ga、Tl、Zr、W、Mo、Rh、Ru、Ir、Ag、Au、Bi、Al、Mn、Mg,P、Bからなる群から選択される少なくとも1種の金属元素との合金、好ましくはAg、Ni、Sn、Znとの合金);銀、銀合金(AgとFe、Co、Ni、Zn、Sn、In、Ga、Tl、Zr、W、Mo、Rh、Ru、Ir、Au、Bi、Al、Mn、Mg、P、Bからなる群から選択される少なくとも1種の金属元素との合金、好ましくはAg-Ni、Ag-Sn、Ag-Zn);錫、錫合金(たとえばSn-Ag、Sn-Cu、Sn-Cu-Ag、Sn-Zn、Sn-Sb、Sn-Bi-Ag、Sn-Bi-In、Sn-Au、Sn-Pb等)等が好ましい。
また、導電性金属層は、単層でもよいし複層であってもよい。複層の場合には、例えば、ニッケル(ニッケル合金)-金、ニッケル(ニッケル合金)-パラジウム、ニッケル(ニッケル合金)-パラジウム-金、ニッケル(ニッケル合金)-銀等の組合せが好ましく挙げられる。
前記導電性金属層の厚さの下限値は、0.01μm以上が好ましく、より好ましくは0.03μm以上、さらに好ましくは0.05μm以上である。前記導電性金属層の厚さの上限値は、0.20μm以下が好ましく、より好ましくは0.18μm以下、さらに好ましくは0.15μm以下である。導電性金属層の厚さが上記範囲内であれば、導電粒子を異方性導電材料として用いる際に、安定した電気的接続が維持できる。
導電性金属層の形成方法は特に限定されず、例えば、基材表面に無電解メッキ法、電解メッキ法等によってメッキを施す方法;基材表面に真空蒸着、イオンプレーティング、イオンスパッタリング等の物理的蒸着方法により導電性金属層を形成する方法;等が挙げられる。これらの中でも特に無電解メッキ法が、大掛かりな装置を必要とせず容易に導電性金属層を形成できる点で好ましい。
〔3.異方性導電材料〕
本発明の一実施形態に係る異方性導電材料(以下、単に「異方性導電材料」とも称する。)は、上述した導電粒子を含む。
異方性導電材料の形態は特に限定されず、例えば、異方性導電フィルム、異方性導電ペースト、異方性導電接着剤、異方性導電インクなど様々な形態が挙げられる。これらの異方性導電材料を相対向する基材同士や電極端子に設けることにより、良好な電気的接続が可能になる。なお、本発明の導電粒子を用いた異方性導電材料には、液晶表示素子用導通材料(導通スペーサーおよびその組成物)も含まれる。
異方性導電材料において、導電粒子の含有率は、用途に応じて適宜決定すればよいが、例えば、異方性導電材料の全量に対して1体積%以上が好ましく、より好ましくは2体積%以上、さらに好ましくは5体積%以上であり、50体積%以下が好ましく、より好ましくは30体積%以下、さらに好ましくは20体積%以下である。導電粒子の含有率が少なすぎると、充分な電気的導通が得られ難い場合があり、一方、導電粒子の含有率が多すぎると、導電粒子同士が接触してしまい、異方性導電材料としての機能が発揮され難い場合がある。
また、本発明の一実施形態における異方性導電ペースト(以下、単に「異方性導電ペースト」とも称する。)は、上述した導電粒子と、バインダー樹脂とを含むものである。前記異方性導電ペーストは、前記導電粒子がバインダー樹脂に分散してなる。
前記バインダー樹脂としては、絶縁性の樹脂であれば特に限定されず、例えば、アクリル樹脂、エチレン-酢酸ビニル樹脂、スチレン-ブタジエンブロック共重合体等の熱可塑性樹脂;グリシジル基を有するモノマーやオリゴマーおよびイソシアネートなどの硬化剤との反応により硬化する硬化性樹脂組成物;光や熱により硬化する硬化性樹脂組成物;等が挙げられる。
前記異方性導電材料におけるフィルム膜厚、ペーストや接着剤の塗工膜厚、印刷膜厚等については、使用する導電粒子の個数平均粒子径と、接続すべき電極の仕様とを考慮し、接続すべき電極間に導電粒子が狭持され、且つ接続すべき電極が形成された接合基板同士の空隙がバインダー樹脂層により充分に満たされるように、適宜設定することが好ましい。
〔4.導電粒子用基材粒子の製造方法〕
前記導電粒子用基材粒子の製造方法としては、特に制限はなく、乳化重合、懸濁重合、分散重合、シード重合、ゾルゲルシード重合法等が挙げられるが、前記導電粒子用基材粒子の粒子径を所望の範囲にするには、例えば、シード重合法により導電粒子用基材粒子を合成した後、分級する方法等が好ましく採用される。導電粒子用基材粒子の合成にシード重合法を採用することにより、粒度分布の小さい導電粒子用基材粒子が得られる。さらに、合成後の導電粒子用基材粒子を分級し粗粒子を除去することにより、平均粒子径を所望の範囲に調整することができる。
前記シード重合法は、シード粒子調製工程、吸収工程および重合工程を含む。例えば、ビニルトリアルコキシシランを含むシラン系単量体からシード粒子(以下、「ポリシロキサン粒子」とも称する。)を調製すればよい。
ビニルトリアルコキシシランを含むシラン系単量体からシード粒子を調製する方法としては、水を含む溶媒中で加水分解して(共)縮重合させる方法が挙げられる。また、ポリシロキサン骨格とビニル重合体とを複合化させる場合には、シラン系単量体として、ラジカル重合性基を有するシラン系架橋性単量体を使用し、重合性ポリシロキサン粒子(すなわち、ラジカル重合性基を有するポリシロキサン骨格を有する粒子)を調製すればよい。加水分解および縮重合は、一括、分割、連続等、任意の方法を採用できる。加水分解し、縮重合させるにあたっては、触媒としてアンモニア、尿素、エタノールアミン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物等の塩基性触媒を好ましく用いることができる。
前記水を含む溶媒中には、水や触媒以外に有機溶剤を含めることができる。有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、sec-ブタノール、t-ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類;イソオクタン、シクロへキサン等の(シクロ)パラフィン類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類等を挙げることができる。これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
加水分解縮合ではまた、アニオン性、カチオン性、非イオン性の界面活性剤や、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の高分子分散剤を併用することもできる。これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。加水分解縮合は、原料となるシラン系単量体と、触媒や水および有機溶剤を含む溶媒を混合した後、温度0℃以上100℃以下、好ましくは0℃以上70℃以下で、30分以上100時間以下撹拌することにより行うことができる。
前記吸収工程では、ビニル系単量体をシード粒子に吸収させる。吸収させる方法は、シード粒子の存在下に、ビニル系単量体を存在させた状態で進行するものであれば特に限定されない。したがって、シード粒子を分散させた溶媒中にビニル系単量体を加えてもよいし、ビニル系単量体を含む溶媒中にシード粒子を加えてもよい。なかでも、前者のように、予めシード粒子を分散させた溶媒中に、ビニル系単量体を加えるのが好ましい。特に、加水分解、縮合工程で得られたシード粒子を反応液(シード粒子分散液)から取り出すことなく、この反応液にビニル系単量体を加える方法は、工程が複雑にならず、生産性に優れるため好ましい。
前記吸収工程において、ビニル系単量体の添加のタイミングは特に限定されず、一括で加えてもよいし、数回に分けて加えてもよいし、任意の速度でフィードしてもよい。また、ビニル系単量体を加えるにあたっては、ビニル系単量体のみを添加してもビニル系単量体の溶液を添加してもいずれでもよいが、ビニル系単量体を予め乳化剤で水または水性媒体に乳化分散させた乳化液をシード粒子に混合することが、シード粒子への吸収がより効率よく行われるため好ましい。
前記乳化剤は特に限定されないが、例えば、アニオン性界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレン-オキシプロピレンブロックポリマー等のノニオン性界面活性剤が、シード粒子、ビニル系単量体を吸収した後のシード粒子の分散状態を安定化させることもできるので好ましい。これらの乳化剤は、1種のみを使用しても2種以上を併用してもよい。
また、ビニル系単量体を乳化剤で乳化分散させる際には、ビニル系単量体の質量に対して0.3倍以上10倍以下の水や水溶性有機溶剤を使用するのが好ましい。前記水溶性有機溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、sec-ブタノール、t-ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類等が挙げられる。
吸収工程は、0℃以上60℃以下の温度範囲で、5分間以上720分間以下、撹拌しながら行うのが好ましい。これらの条件は、用いるシード粒子やモノマーの種類等によって、適宜設定すればよく、これらの条件は1種のみ、あるいは2種以上を合わせて採用してもよい。吸収工程において、ビニル系単量体がシード粒子に吸収されたかどうかの判断については、例えば、ビニル系単量体を加える前および吸収段階終了後に、顕微鏡により粒子を観察し、ビニル系単量体の吸収によりシード粒子の粒子径が大きくなっていることを確認することで容易に判断できる。
重合工程では、シード粒子に吸収されたビニル系単量体を重合反応させる。ここで、シード粒子が重合性ポリシロキサン粒子である場合には、吸収させたビニル系単量体と重合性ポリシロキサン骨格が有するラジカル重合性基とが重合して、ポリシロキサン骨格とビニル重合骨格とが複合化する。重合方法は特に限定されないが、例えば、ラジカル重合開始剤を用いる方法が挙げられ、前記ラジカル重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、過酸化物系開始剤や、アゾ系開始剤等が使用可能である。これらラジカル重合開始剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ラジカル重合を行う際の反応温度は40℃以上が好ましく、より好ましくは50℃以上であり、100℃以下が好ましく、より好ましくは80℃以下である。反応温度が低すぎる場合には、重合度が十分に上がらず複合粒子の機械的特性が不充分となる傾向があり、一方、反応温度が高すぎる場合には、重合中に粒子間の凝集が起こりやすくなる傾向がある。なお、ラジカル重合を行う際の反応時間は、用いる重合開始剤の種類に応じて適宜変更すればよいが、通常、5分以上が好ましく、より好ましくは10分以上であり、600分以下が好ましく、より好ましくは300分以下である。反応時間が短すぎる場合には、重合度が十分に上がらない場合があり、反応時間が長すぎる場合には、粒子間で凝集が起こり易くなる傾向がある。
上記のようにして合成した導電粒子用基材粒子は、必要に応じて、所定の粒子径となるように分級に供することが好ましい。分級方法は特に限定されず、例えば、電成ふるい等によるふるい分け;メンブランフィルター、プリーツフィルター、セラミック膜フィルター等のフィルターを使用した濾過;質量差および流体抵抗差の相互作用によって分級する公知の装置(粒子の落下速度等の重力差が原理である重力分級機、自由渦または半自由渦による遠心力と空気抗力の釣り合いを原理とする(半)自由渦遠心分級、回転する分級羽根(ローター)によってつくられる回転流によって生じる遠心力と空気による抗力の釣り合いを原理とする回転羽根付き遠心分級)を用いた分級;等が挙げられる。これらの中でも、分級精度と生産性の観点から電成ふるいを用いた分級が好ましい。
電成ふるいを用いて分級する場合、導電粒子用基材粒子を液状媒体に分散させた分散体を電成ふるいに通過させることが好ましい。前記液状媒体としては、例えば、水;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;ヘキサン、オクタン等の炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、アルコール類、炭化水素類が好ましく、メタノール、ヘキサンがより好ましい。なお、導電粒子用基材粒子の分散性を高めるために、液状媒体に各種分散剤を添加してもよい。
前記液状媒体の使用量は、導電粒子用基材粒子100質量部に対して、100質量部以上が好ましく、より好ましくは200質量部以上、さらに好ましくは500質量部以上であり、10000質量部以下が好ましく、より好ましくは5000質量部以下、さらに好ましくは2000質量部以下である。導電粒子用基材粒子を液状媒体に分散させる方法は特に限定されず、例えば、超音波を照射させて分散させる方法;通常攪拌装置、高速攪拌装置、コロイドミルまたはホモジナイザーのような剪断分散装置等により分散させる方法;等が挙げられる。
電成ふるいを通過させる際の分散体の液温は、特に限定されず、使用する液状媒体に応じて適宜調整すればよいが、通常は0℃以上100℃以下である。なお、分散体の液温は、当然、液状媒体の沸点未満である。電成ふるいのふるい孔の寸法は、所望とする平均粒子径、変動係数に応じて変更すればよい。電成ふるいによる分級を行うことにより、粗大粒子を除去することができ、導電粒子用基材粒子の粒子径の変動係数を小さくすることができる。
合成後、導電粒子用基材粒子は、乾燥され、場合によっては加熱処理(焼成)に供される。加熱処理は、空気中、不活性ガス中で行うことが好ましく、窒素ガス中で行うことがより好ましい。前記加熱処理の温度の下限値は、200℃以上が好ましく、250℃以上がより好ましく、270℃以上がさらに好ましい。前記加熱処理の温度の上限値は、熱分解温度未満が好ましく、400℃以下がより好ましく、370℃以下がさらに好ましい。前記加熱処理の時間の下限値は、0.3時間以上が好ましく、0.5時間以上がより好ましく、0.7時間以上がさらに好ましい。前記加熱処理の時間の上限値は、10時間以下が好ましく、5.0時間以下がより好ましく、3.0時間以下がさらに好ましい。上記のような条件で加熱処理を行うことで、より硬質な導電粒子用基材粒子を得ることができ、圧縮破壊変形率が30%以上である導電粒子用基材粒子を得やすくなる。
以上のようにして得られた導電粒子用基材粒子の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、球状、回転楕円体状、金平糖状、薄板状、針状、まゆ状等のいずれでも良いが、球状が好ましく、特に真球状が好ましい。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、以下においては、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味する。
〔物性測定方法〕
各種物性の測定は以下の方法で行った。
<シード粒子、および導電粒子用基材粒子の個数平均粒子径・変動係数(CV値)>
導電粒子用基材粒子(以下、「基材粒子」とも称する。)の場合には、後述の作製方法にて得られた導電粒子用基材粒子0.1部に、乳化剤であるポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(第一工業製薬株式会社製「ハイテノール(登録商標)N-08」)の1%水溶液20部を加え、超音波で10分間分散させた分散液を測定試料とし、シード粒子の場合には、加水分解、縮合反応で得られた分散液をポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(第一工業製薬株式会社製「ハイテノール(登録商標)N-08」)の1%水溶液により希釈したものを測定試料として、粒度分布測定装置(ベックマンコールター社製「コールターマルチサイザーIII型」)により30000個の基材粒子の粒子径(μm)を測定し、個数平均粒子径を求めた。また導電粒子用基材粒子については、個数平均粒子径とともに個数基準での粒子径の標準偏差を求め、下記式(1)に従って粒子径の変動係数(CV値)を算出した。
基材粒子の変動係数(%)=100×(粒子径の標準偏差/個数平均粒子径)・・・式(1)。
<導電性金属層の膜厚>
フロー式粒子像解析装置(シスメックス社製「FPIA(登録商標)-3000」)を用いて、基材粒子3000個の個数平均粒子径X(μm)および導電粒子3000個の個数平均粒子径Y(μm)を測定した。なお、測定は、後述の作製方法にて得られた基材粒子0.25部に、乳化剤であるポリオキシエチレンオレイルエーテル(花王株式会社製「エマルゲン(登録商標)430」)の1.4%水溶液17.5部を加え、超音波で10分間分散させた後に行なった。そして、下記式(2)に従って導電性金属層の膜厚を算出した。
導電性金属層膜厚(μm)=(Y-X)/2・・・(2)。
<導電粒子用基材粒子の10%K値>
微小圧縮試験機(島津製作所社製「MCT-W500」)を用いて、室温(25℃)において、試料台(材質:SKS材平板)上に散布した、後述の作製方法にて得られた基材粒子1個について、直径50μmの円形平板圧子(材質:ダイヤモンド)を用いて、「標準表面検出」モードで、基材粒子の中心方向へ一定の負荷速度(2.231mN/秒)で最大荷重(49.0mN)まで荷重をかけ、圧縮変位が基材粒子の個数平均粒子径の10%になったときの荷重値(10%圧縮荷重値)(mN)およびそのときの変位量(μm)を測定した。なお、測定は各試料について、異なる10個の基材粒子に対して行い、平均した値を測定値とした。そして、得られた圧縮荷重値(mN)を圧縮荷重(N)に換算し、そのとき得られた変位量(μm)を圧縮変位(mm)に換算し、導電粒子用基材粒子の個数平均粒子径(μm)から基材粒子の半径(mm)を算出し、これらを用いて下記式(3)に基づき算出した。上記測定は、25℃の恒温雰囲気下で行った。
Figure 0007414404000001
(ここで、E:圧縮弾性率(N/mm2)、F:圧縮荷重(N)、S:圧縮変位(mm)、R:粒子の半径(mm)である。)。
<導電粒子用基材粒子の圧縮破壊変形率>
上記の粒子圧縮試験を実施した際に、ある一定の荷重値で変位量が大きく変化する点が観測された。この点での荷重値を破壊荷重(mN)、この点での変位量を圧縮破壊変位(μm)とし、これらの値を用いて、下記式(4)により圧縮破壊変形率(%)を算出した。
圧縮破壊変形率(%)=(圧縮破壊変位(μm)/圧縮前の粒子径(μm))×100・・・(4)。
<導電粒子用基材粒子の回復率>
微小圧縮試験機(島津製作所社製「MCT-W500」)を用いて、室温(25℃)において、試料台(材質:SKS材平板)上に散布した、後述の作製方法にて得られた基材粒子1個について、直径50μmの円形平板圧子(材質:ダイヤモンド)を用い、「標準表面検出」モードで、基材粒子の中心方向へ一定の負荷速度(1.487mN/秒)で最大荷重(5.00mN)まで圧縮し、そのときの変位量(μm)を測定し、これを最大変位量L1とした。次いで、一定の除負荷速度(1.487mN/秒)で最小荷重(0.049mN)まで荷重を徐々に減らしたときの最大荷重から最小荷重までの間の変位量(μm)を測定し、これを回復変位量L2とした。回復率は、最大変位量L1および回復変位量L2から下記式(5)に基づき算出した。なお、測定は各試料について、異なる10個の基材粒子に対して行い、平均した値を測定値とした。なお、上記測定は、25℃の恒温雰囲気下で行った。
回復率(%)=(L2/L1)×100・・・(5)。
<初期抵抗値>
後述の作製方法にて得られた接続構造体の電極間の初期抵抗値を測定し、初期抵抗値が5Ω以下の場合を「○」、5Ωを超える場合を「×」と評価した。
<接続信頼性>
後述の作製方法にて得られた接続構造体の電極間の初期抵抗値Aを測定し、さらに、得られた接続構造体を85℃、85%RHの雰囲気下に500時間放置した後、上記初期抵抗値Aと同様に抵抗値Bを測定した。下記式(6)に基づき算出した抵抗値上昇率(%)が2%以下の場合を「○」、2%を超える場合を「×」、と評価した。
抵抗値上昇率(%)=[(B-A)/A]×100・・・(6)。
〔導電粒子用基材粒子の作製〕
(製造例1)
冷却管、温度計、滴下口を備えた四つ口フラスコに、イオン交換水1015部と25%アンモニア水1.3部、メタノール304部を仕込み30℃に保持した。その中にシラン系架橋性単量体としてビニルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、「KBM1003」、表1中、「VTMS」と記載)100部および3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、「KBM503」、表1中、「MPTMS」と記載)69部を滴下し、内温を35℃で10分保持した後、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(第一工業製薬社製、「ハイテノール(登録商標) NF-08」)の20%水溶液を53部添加し、さらに50分撹拌することにより、ビニルトリメトキシシランの加水分解、縮合反応を行い、ビニル基を有するポリシロキサン粒子(重合性ポリシロキサン粒子)の乳濁液を作製した。得られたポリシロキサン粒子の乳濁液をサンプリングし、粒子径を測定したところ、個数平均粒子径は2.73μmであった。
続いて、乳化剤としてポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(第一工業製薬社製、「ハイテノール NF-08」)の20%水溶液1.1部をイオン交換水42部で溶解した溶液に、吸収モノマーとしてスチレン(表1中、「St」と記載。)42部、重合開始剤として2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社製、「V-65」)2.1部とを溶解した溶液を加えて、TKホモミキサー(特殊機化工業社製)により8000rpmで5分間乳化分散させてモノマーエマルションを調製した。このモノマーエマルションをポリシロキサン粒子の乳濁液中に添加して、さらに撹拌を行った。モノマーエマルション添加から1時間後、反応液をサンプリングして顕微鏡で観察したところ、ポリシロキサン粒子が吸収モノマーを吸収して肥大化していることが確認された。
次いで、反応液を窒素雰囲気下で65℃に昇温させて、65℃で2時間保持することによりラジカル重合を行った。反応液を冷却した後、得られた乳濁液を固液分離し、得られたケーキをイオン交換水、次いでメタノールで洗浄した後、窒素雰囲気下320℃で1時間加熱処理を施すことで、導電粒子用基材粒子No.1を得た。
(製造例2~11)
シラン系架橋性単量体の使用量を表1に示す通りとし、イオン交換水、メタノール、アンモニア水の使用量を適宜変更したこと以外は製造例1と同様にして、ポリシロキサン粒子を作製した。その後、吸収モノマーの種類、使用量、加熱処理条件を表1に示す通りに変更したこと以外は製造例1と同様にして、導電粒子用基材粒子No.2~11を得た。導電粒子用基材粒子の粒子径、変動係数(CV値)、架橋度は表1に示す通りであった。
〔導電粒子の作製(導電性金属層の形成)〕
(実施例1)
製造例1で合成した導電粒子用基材粒子No.1に、水酸化ナトリウムによるエッチング処理を施した後、二塩化スズ溶液に接触させることによりセンシタイジングし、次いで二塩化パラジウム溶液に浸漬させることによりアクチベーティングする方法(センシタイジング-アクチベーション法)によって、パラジウム核を形成させた。次に、パラジウム核を形成させた導電粒子用基材粒子2部をイオン交換水400部に添加し、超音波分散処理を行った後、得られた導電粒子用基材粒子懸濁液を70℃の温浴で加温した。このように懸濁液を加温した状態で、別途70℃に加温した無電解めっき液(日本カニゼン(株)製、「シューマーS680」)600部を加えることにより、無電解ニッケルめっき反応を生じさせた。水素ガスの発生が終了したことを確認した後、固液分離を行い、イオン交換水、メタノールの順で洗浄し、100℃で2時間真空乾燥して、ニッケルめっき粒子を得た。次いで、得られたニッケルめっき粒子を、シアン化金カリウムを含有する置換金めっき液に加え、ニッケル層表面にさらに金めっきを施すことにより、導電粒子を得た。得られた導電粒子の個数平均粒子径および導電性金属層の膜厚は表1に示すとおりであった。
(実施例2~7、比較例1~4)
基材として表1に示す組成の導電粒子用基材粒子(導電粒子用基材粒子No.2~11)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして導電粒子を作製した。具体的には、導電粒子用基材粒子No.2~7を用いて、実施例2~7に係る導電粒子を作製した。また、導電粒子用基材粒子No.8~11を用いて、比較例1~4に係る導電粒子を作製した。得られた導電粒子における導電性金属層の膜厚は表1に示すとおりであった。
〔接続構造体の作製〕
実施例、比較例で得られた導電粒子を用い、下記の方法で異方性導電材料(異方性導電フィルム)を作製した。
すなわち、導電粒子1部に、バインダー樹脂としてのエポキシ樹脂(三菱化学製「JER828」)100部と、硬化剤(三新化学社製「サンエイド(登録商標)SI-150」)2部と、トルエン100部とを加え、さらにφ1mmのジルコニアビーズ50部を加えて、ステンレス鋼製の2枚攪拌羽根を用いて300rpmで10分間攪拌して分散させた。そして、得られたペースト状組成物をバーコーターにて剥離処理を施したPETフィルム上に塗布し乾燥させることにより異方性導電フィルムを得た。
得られた異方性導電フィルムを、抵抗測定用の線を有した全面アルミ蒸着ガラス基板と20μmピッチに銅パターンを形成したフレキシブルプリント基板との間に挟みこみ、1MPa、190℃の圧着条件で熱圧着し、接続構造体を得た。各種物性の評価結果を表1に示す。
Figure 0007414404000002
実施例1~7の結果より、回復率が70%未満であり、圧縮破壊変形率が30%以上である導電粒子用基材粒子を用いた導電粒子は初期抵抗値および接続信頼性が優れていることがわかる。一方、比較例1、2および4の結果より、回復率が70%以上である導電粒子用基材粒子を用いた導電粒子は接続信頼性に劣ることがわかる。また、比較例3の結果より、圧縮破壊変形率が30%未満である導電粒子用基材粒子を用いた導電粒子は接続信頼性に劣ることがわかる。
本発明は、導電材料を使用する分野において利用することができる。

Claims (6)

  1. 導電粒子用基材粒子であって、
    前記導電粒子用基材粒子は、ビニルトリアルコキシシランおよび非架橋性単量体を共重合してなる樹脂を含み、
    前記導電粒子用基材粒子を構成する単量体全体に占める前記ビニルトリアルコキシシランの質量割合は、56質量%以上であり、
    復率が70%未満であり、圧縮破壊変形率が30%以上であり、10%K値が10578N/mm以上である、導電粒子用基材粒子。
  2. 架橋度が30%以上である、請求項1に記載の導電粒子用基材粒子。
  3. 個数平均粒子径が5.00μm未満である、請求項1または2に記載の導電性粒子用基材粒子。
  4. 請求項1~3のいずれか一項に記載の導電粒子用基材粒子の表面に、少なくとも一層の導電性金属層が形成されている、導電粒子。
  5. 請求項に記載の導電粒子を含む、異方性導電材料。
  6. 請求項に記載の導電粒子と、バインダー樹脂とを含む、異方性導電ペースト。
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