JP7414165B1 - 電子部品包装用カバーテープおよび電子部品包装体 - Google Patents

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Abstract

【課題】基材層と、中間層と、シーラント層と、をこの順に備えるカバーテープにおいて、中間層にバイオマス由来のポリエチレン系樹脂を用いたとしても、比較的低温においてカバーテープをキャリアテープに十分な強度でヒートシール可能とすること。【解決手段】基材層と、第1中間層と、第2中間層と、シーラント層と、をこの順に備える、電子部品包装用カバーテープ。このカバーテープにおいて、第1中間層は、バイオマス由来のポリエチレン系樹脂を含み、第2中間層は、密度が0.908g/cm3以下のポリエチレン系樹脂を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、電子部品包装用カバーテープおよび電子部品包装体に関する。より具体的には、電子部品包装用カバーテープと、そのカバーテープを用いて電子部品が包装された電子部品包装体に関する。
電子部品を運搬、保管等する際に、しばしば、キャリアテープおよびカバーテープが用いられる。
具体的には、キャリアテープに形成された電子部品収納用の凹部に、電子部品(半導体チップ等)を入れ、その後、そのキャリアテープの上面に、カバーテープをヒートシールして電子部品を封入する。そして、それをリール状に巻き取って運搬/保管する。このようにすることで、運搬/保管中の電子部品の汚染を防ぐことができる。
電子部品包装用カバーテープの先行技術としては、例えば以下の特許文献1~3を挙げることができる。
特開2007-45513号公報 特表2003-508253号公報 特開2005-263257号公報
近年、環境保護や石油資源の有効利用の観点から、樹脂材料のバイオマス化が推進されている。産業界においてもバイオマス由来の原材料を用いるニーズが高まっている。
カバーテープの製造においてもバイオマス原料を用いることが考えられる。しかし、バイオマス原料は石油由来原料と比べて不純物が多かったり、品質が安定しなったり、工業的に使用可能なバリエーションが限られていたりする場合がある。このため、バイオマス原料をカバーテープ製造に用いた場合、満足な性能が得られない懸念がある。
本発明者らは、予備的検討として、基材層と、中間層と、シーラント層と、をこの順に備えるカバーテープにおいて、中間層にバイオマス由来のポリエチレン系樹脂を用いる予備的検討をした。この検討において、カバーテープをキャリアテープにヒートシールする際の、低温でのヒートシール性に改善の余地があることを見出した。
よって、本発明者らは、基材層と、中間層と、シーラント層と、をこの順に備えるカバーテープにおいて、中間層にバイオマス由来のポリエチレン系樹脂を用いたとしても、比較的低温においてカバーテープをキャリアテープに十分な強度でヒートシール可能とすること、を課題の1つとして、様々な検討を行った。
本発明者らは、上記課題を解決するために検討を重ねた。その結果、以下に提供される発明を完成させ、上記課題を解決した。
本発明は以下である。
1.
基材層と、第1中間層と、第2中間層と、シーラント層と、をこの順に備える、電子部品包装用カバーテープであって、
前記第1中間層が、バイオマス由来のポリエチレン系樹脂を含み、
前記第2中間層が、密度が0.908g/cm以下のポリエチレン系樹脂を含む、カバーテープ。
2.
1.に記載のカバーテープであって、
前記バイオマス由来のポリエチレン系樹脂の密度が0.915~0.960g/cmである、カバーテープ。
3.
1.または2.に記載のカバーテープであって、
前記第1中間層の厚みをTとし、前記第2中間層の厚みをTとしたとき、T/Tの値が0.05~2.5である、カバーテープ。
4.
1.~3.のいずれか1つに記載のカバーテープであって、
前記第1中間層が、前記バイオマス由来のポリエチレン系樹脂に加えて、密度が0.908g/cm以下のポリエチレン系樹脂を含む、カバーテープ。
5.
1.~4.のいずれか1つに記載のカバーテープであって、
前記第2中間層が、密度が0.908g/cm以下のポリエチレン系樹脂に加えて、バイオマス由来のポリエチレン系樹脂を含む、カバーテープ。
6.
1.~5.のいずれか1つに記載のカバーテープであって、
前記第2中間層は、密度が0.908g/cm以下のポリエチレン系樹脂を5質量%以上含む、カバーテープ。
7.
1.~6.のいずれか1つに記載のカバーテープであって、
基材層がポリエステル系樹脂を含む、カバーテープ。
8.
1.~7.のいずれか1つに記載のカバーテープであって、
カバーテープ全体における、バイオマス由来のポリエチレン系樹脂の割合が10質量%以上である、カバーテープ。
9.
電子部品が凹部に収容されたキャリアテープと、1.~8.のいずれか1つに記載のカバーテープとを備え、
前記電子部品を封止するように前記シーラント層が前記キャリアテープに接着された電子部品包装体。
本発明によれば、基材層と、中間層と、シーラント層と、をこの順に備えるカバーテープにおいて、中間層にバイオマス由来のポリエチレン系樹脂を用いたとしても、比較的低温においてカバーテープをキャリアテープに十分な強度でヒートシール可能となる。
カバーテープの層構成を説明するための図である。 カバーテープをキャリアテープにシールした状態の一例を示す斜視図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
煩雑さを避けるため、(i)同一図面内に同一の構成要素が複数ある場合には、その1つのみに符号を付し、全てには符号を付さない場合や、(ii)特に図2以降において、図1と同様の構成要素に改めては符号を付さない場合がある。
すべての図面はあくまで説明用のものである。図面中の各部材の形状や寸法比などは、必ずしも現実の物品と対応しない。
本明細書中、数値範囲の説明における「X~Y」との表記は、特に断らない限り、X以上Y以下のことを表す。例えば、「1~5質量%」とは「1質量%以上5質量%以下」を意味する。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換か無置換かを記していない表記は、置換基を有しないものと置換基を有するものの両方を包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有しないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本明細書における「(メタ)アクリル」との表記は、アクリルとメタクリルの両方を包含する概念を表す。「(メタ)アクリレート」等の類似の表記についても同様である。
本明細書における「有機基」の語は、特に断りが無い限り、有機化合物から1つ以上の水素原子を除いた原子団のことを意味する。例えば、「1価の有機基」とは、任意の有機化合物から1つの水素原子を除いた原子団のことを表す。
本明細書において、樹脂の「密度」についてはカタログ値を採用することができる。カタログ値が不明な場合、または市販ではない樹脂を用いる場合、密度はJIS K 7112に基づき測定することができる。
<カバーテープ>
図1は、本実施形態の電子部品包装用のカバーテープ10(単に「カバーテープ10」とも表記する)の層構成を、模式的に表したものである。
図1に示されるように、カバーテープ10は、基材層1と、第1中間層2Aと、第2中間層2Bと、シーラント層3と、をこの順に備える。これら各層の間には、追加の層があってもよいし、なくてもよい。
シーラント層3は、通常、カバーテープ10の最表面に存在し、カバーテープ10の一方の面を構成している。これにより後述するキャリアテープ20に密着することができる。
通常、基材層1と、第1中間層2Aと、第2中間層2Bと、シーラント層3は、どれも、実質的に同じ幅と長さで、切れ目や分断なく存在している。
カバーテープ10は、通常、図2に示されるように、電子部品を収容するためのポケット21を有するキャリアテープ20をシールするために用いられる。すなわち、カバーテープ10におけるシーラント層3がキャリアテープ20と接するようにヒートシールされる。
カバーテープ10において、第1中間層2Aはバイオマス由来のポリエチレン系樹脂を含み、第2中間層2Bは密度が0.908g/cm以下のポリエチレン系樹脂を含む。これにより、比較的低温においてもカバーテープ10をキャリアテープ20に十分な強度でヒートシール可能である。
上記のような第1中間層2Aと第2中間層2Bとを採用することにより、比較的低温においても十分な強度でのヒートシールが可能となる理由は、以下のように説明することができる。なお、以下説明は推測を含む。また、本発明は以下説明により限定されない。
カバーテープ10をキャリアテープ20にヒートシールする際には、シールコテを基材層1の側からカバーテープ10に押し当てる。このため、中間層の変形性がヒートシールの強度に関係しうる。シールコテの押し当てによって中間層が適度に変形したほうが、熱により溶融または軟化したシーラント層が、キャリアテープとより広い面積で接触しやすくなる。そして、ヒートシールの強度は高まり、また、低温でのヒートシールをしやすくなる傾向がある。
中間層を構成する樹脂の「変形性」は、その樹脂の「密度」と関係する。よって、低温でのヒートシール性を高めるためには、低密度の樹脂を中間層で用いて、中間層の変形性を高めることが有効と考えられる。
しかし、本発明者らの知見によれば、市場で入手可能なバイオマス由来のポリエチレン系樹脂は、比較的大きな密度を有していた。このバイオマス由来のポリエチレン系樹脂のみを用いて中間層を構成した場合、カバーテープにシールコテを押し当てた際の中間層の変形が小さくなり、ヒートシール強度が小さくなりがちであったと考えられる。
そこで、本発明者らは、中間層を、第1中間層2Aと第2中間層2Bの少なくとも2層の構成とし、第1中間層2Aにバイオマス由来のポリエチレン系樹脂を含めることとし、かつ、第2中間層2Bに、密度が0.908g/cm以下の低密度であるポリエチレン系樹脂を含めることとした。このようにすることで、産業界におけるバイオマス由来の原材料の使用ニーズを満たしつつ、比較的低温でもカバーテープをキャリアテープに十分な強度でヒートシール可能となった。
ちなみに、キャリアテープからカバーテープを剥離する場合、剥離機構としては、(i)シーラント層とキャリアテープとの間で剥離する界面剥離、(ii)シーラント層と中間層との間で剥離する界面剥離、および、(iii)シーラント層内部が破壊する凝集破壊、があり得る。本実施形態のカバーテープは、典型的には上記(ii)の界面剥離の機構により剥離する。
以下、カバーテープ10の各層の態様、素材などについて説明する。
[基材層1]
基材層1を構成する材料は特に限定されない。典型的には、カバーテープ10を作製するとき、キャリアテープに対してカバーテープ10を接着するとき、外力が加わったとき等に十分に耐えうる程度の機械的強度が得られる材料が好ましい。また、キャリアテープにカバーテープ10を接着する際の熱に耐えうる程度の耐熱性を有する材料が好ましい。
基材層1を構成する材料の形態は、加工の容易性の点で、フィルム状であることが好ましい。
基材層1を構成する材料の具体例としては、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアクリレート系樹脂、ポリメタアクリレート系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ABS樹脂等が挙げられる。中でも、カバーテープ10の機械的強度を向上させる観点やコストなどから、ポリエステル系樹脂が好ましく、ポリエチレンテレフタレート(PET)系樹脂がより好ましい。
基材層1は、滑材などの添加剤を含んでもよいし、含まなくてもよい。
基材層1は、単層であってもよいし、2層以上で構成されていてもよい。例えば、基材層1は、上述した材料が積層された多層フィルムにより形成されていてもよい。
基材層1を形成するために用いられるフィルムは、未延伸フィルムであってもよいし、一軸方向または二軸方向に延伸されたフィルムであってもよい。カバーテープ10の機械的強度を一層向上させる観点からは、一軸方向又は二軸方向に延伸されたフィルムであることが好ましい。
基材層1の厚さは特に限定されない。基材層1の厚さは、好ましくは5μm以上、より好ましくは8μm以上、より好ましくは10μm以上である。また、基材層1の厚さは、好ましくは50μm以下、より好ましくは40μm以下、さらに好ましくは30μm以下である、特に好ましくは20μm以下である。
基材層1の厚さが50μm以下であることで、カバーテープ10の剛性が大きくなりすぎない。これにより、シール後のキャリアテープに対して捻り応力がかかった場合でも、カバーテープ10がキャリアテープの変形に追従しやすい。よって、カバーテープ10がキャリアテープから意図せず剥離してしまうことを抑制することができる。
基材層1の厚さが5μm以上であることで、カバーテープ10の機械的強度を十分良好なものとすることができる。よって、例えばキャリアテープからカバーテープ10を高速で剥離する場合でも、カバーテープ10が破断してしまうことを抑制することができる。
基材層1の全光線透過率は、好ましくは80%以上、さらに好ましくは85%以上である。こうすることで、カバーテープ10とキャリアテープとからなる電子部品包装体において、電子部品が正しく収容されているか否かを検査できる程度に必要な透明性を確保することができる。言い換えると、基材層1の全光線透過率を80%以上とすることにより、カバーテープ10とキャリアテープとからなる包装体の内部に収容した電子部品を、外部から視認して確認しやすくなる。
全光線透過率は、JIS-K-7361に準じて測定することが可能である。
[第1中間層2A]
前述のとおり、第1中間層2Aは、バイオマス由来のポリエチレン系樹脂を含む。
バイオマス由来のポリエチレン系樹脂は、石油由来ではなくバイオマス原料由来のものである限り、特に限定されない。バイオマス由来のポリエチレン系樹脂は、例えばブラスケム社(ブラジル)から購入することができる。
バイオマス由来のポリエチレン系樹脂の密度は、好ましくは0.915~0.960g/cm、より好ましくは0.915~0.945g/cm、さらに好ましくは0.915~0.930g/cmである。バイオマス由来のポリエチレン系樹脂の密度の調整により、低温でのヒートシール性を一層高められたり、他の性能とのバランスを高度に両立できたりする場合がある。
第1中間層2Aは、樹脂としてバイオマス由来のポリエチレン系樹脂のみを含んでもよい。
あるいは、第1中間層2Aは、バイオマス由来のポリエチレン系樹脂に加えて、密度が0.908g/cm以下のポリエチレン系樹脂(典型的には石油系のポリエチレン樹脂)を含んでもよい。これにより、低温でのヒートシール性を一層高められる場合がある。この場合、密度が0.908g/cm以下のポリエチレン系樹脂の使用量は、第1中間層2Aが含む樹脂全体中、例えば1~70質量%、好ましくは10~65質量%、さらに好ましくは30~60質量%である。
第1中間層2Aは、各種の添加剤を含んでもよいし、含まなくてもよい。
[第2中間層2B]
前述のとおり、第2中間層2Bは、密度が0.908g/cm以下のポリエチレン系樹脂を含む。低温でのヒートシール性を一層高める観点からは、この密度の上限値は、好ましくは0.900g/cm以下、より好ましくは0.895g/cm以下、さらに好ましくは0.890g/cm以下である。
カバーテープ10の強度、製造適性、材料の入手性などの観点から、このポリエチレン系樹脂の密度の下限値は、典型的には0.860g/cm以上、具体的には0.870g/cm以上、より具体的には0.880g/cm以上である。
この樹脂は、通常は石油由来である。
様々な性能のバランスや、製造コストなどの観点から、第2中間層2Bは、密度が0.908g/cm以下のポリエチレン系樹脂(i)に加え、これ以外の樹脂(ii)を含んでもよい。
密度の観点からは、樹脂(ii)は、密度が0.908g/cm超のポリエチレン系樹脂であることが好ましく、密度が0.909~0.960g/cmのポリエチレン系樹脂であることがより好ましく、密度が0.915~0.960g/cmのポリエチレン系樹脂であることがさらに好ましく、密度が0.915~0.945g/cmのポリエチレン系樹脂であることが特に好ましく、密度が0.915~0.930g/cmのポリエチレン系樹脂であることがとりわけ好ましい。樹脂(ii)としてある程度大きな密度を有するポチエチレン系樹脂を用いることで、ヒートシール時のカバーテープ10の過度な変形が抑えられ、ヒートシールを安定的に行うことができる。
別観点として、第2中間層2Bは、密度が0.908g/cm以下のポリエチレン系樹脂(i)に加えて、バイオマス由来のポリエチレン系樹脂(ii')を含んでもよい。カバーテープ10は少なくとも第1中間層2Aにバイオマス由来のポリエチレン系樹脂を含むものであるが、第2中間層2Bにもバイオマス由来のポリエチレン系樹脂(ii')を含めることで、バイオマス由来材料をより多く用いることができる。そして、環境保護や石油資源の有効利用につながる。ちなみに、ここでのバイオマス由来のポリエチレン系樹脂(ii')の好ましい密度は、上記樹脂(ii)と同様である。
上述のとおり、第2中間層2Bは、密度が0.908g/cm以下のポリエチレン系樹脂以外の樹脂を含んでもよい。ただし、低温でのヒートシール性を確実に高める観点からは、第2中間層2Bは、密度が0.908g/cm以下のポリエチレン系樹脂を、5質量%以上含むことが好ましく、10質量%以上含むことがより好ましく、30質量%以上含むことがさらに好ましく、40質量%以上含むことが特に好ましい。
第2中間層2Bは、当然、樹脂として密度が0.908g/cm以下のポリエチレン系樹脂のみを含んでもよい。
第2中間層2Bが、密度が0.908g/cm以下のポリエチレン系樹脂以外の樹脂を含む場合、第2中間層2B全体としての密度は、好ましくは0.860~0.925g/cm、より好ましくは0.870~0.920g/cm、さらに好ましくは0.880~0.915g/cmである。
第2中間層2Aは、各種の添加剤を含んでもよいし、含まなくてもよい。
[第1中間層2Aおよび第2中間層2Bの厚みについて]
第1中間層2Aの厚みをTとし、第2中間層2Bの厚みをTとしたとき、T/Tの値は、好ましくは0.05~2.5、より好ましくは0.1~2.0、さらに好ましくは0.2~1.5、特に好ましくは0.3~1である。T/Tの値が適切であることにより、十分な量のバイオマス由来のポリエチレン系樹脂を用いて環境保護や石油資源の有効利用をしつつ、低温でのヒートシール性を一層高めることができる。
そのものの値は、カバーテープ10の製造の際に安定した厚みとする観点や、十分な量のバイオマス由来ポリエチレン系樹脂を用いる観点から、好ましくは6μm以上、より好ましくは8μm以上、さらに好ましくは10μm以上である。また、Tそのものの値は、カバーテープ10全体を薄くしてハンドリング性を高める観点から、好ましくは50μm以下、より好ましくは40μm以下、さらに好ましくは30μm以下である。
そのものの値は、カバーテープ10の製造の際に安定した厚みとする観点から、好ましくは4μm以上、より好ましくは6μm以上、さらに好ましくは8μm以上である。また、Tそのものの値は、カバーテープ10全体を薄くしてハンドリング性を高める観点や、TよりTを相対的に小さくしてぜんたいとしてのバイオマス度を高める観点から、好ましくは40μm以下、より好ましくは30μm以下、さらに好ましくは20μm以下である。
とTの和は、種々の性能バランスや、カバーテープ10のハンドリング性を考慮し、通常20~80μm、好ましくは25~60μmである。
[シーラント層3]
シーラント層3は、ヒートシールによりカバーテープ10をキャリアテープにヒートシール可能なもの(熱により適度に融解するもの)である限り、特に限定されない。
中間層2との相性などの点で、シーラント層3は、好ましくは、(a)スチレン系樹脂および/または(b)(メタ)アクリル系樹脂を含む。本実施形態においては、特に、中間層との相性において、シーラント層3は(b)(メタ)アクリル系樹脂を含むことが好ましい。また、シーラント層3は、(a)スチレン系樹脂と(b)(メタ)アクリル系樹脂の両方を含んでもよい。
以下、シーラント層3が含むことができる成分などについてより具体的に説明する。
・(a)スチレン系樹脂
(a)スチレン系樹脂中のスチレン含有率は15質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上がさらに好ましい。一方、(a)スチレン系樹脂中のスチレン含有率は、シーラント層3の密着性を保持する観点から、好ましくは90質量%以下であり、より好ましくは80質量%以下である。
カバーテープ10においては、シーラント層3のスチレン含有率を、上記下限値以上とすることにより、中間層2とシーラント層3との密着性がより向上し、剥離強度が一層向上する。メカニズムの詳細は明らかではないが、中間層2とシーラント層3との親和性が向上するためと推測される。
上記で、スチレン含有率とは、(a)スチレン系樹脂に含まれるスチレン由来の構造単位の割合(質量%)をいう。(a)スチレン系樹脂が2種以上の共重合体を含むとき、それぞれが有するスチレン含有率の平均値が、(a)スチレン系樹脂のスチレン含有率となる。
(a)スチレン系樹脂としては、(a-1)ポリスチレン、スチレン-(メタ)アクリレート共重合体、スチレン-オレフィン共重合体、水素添加スチレンブロック共重合体、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS;High Impact Polystyrene)、および汎用ポリスチレン樹脂(GPPS;General Purpose Polystyrene等のスチレン系ポリマー、並びに(a-2)スチレン系重合体、α-メチルスチレン系重合体、スチレン-(α-メチルスチレン)系共重合体、スチレン-脂肪族炭化水素系共重合体、スチレン-(α-メチルスチレン)-脂肪族炭化水素系共重合体、およびスチレン-芳香族炭化水素系共重合体等のスチレン系オリゴマー等が挙げられる。
スチレン系樹脂は1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
なかでも、剥離強度を効果的に向上させる観点から、スチレン-(メタ)アクリレート共重合体および/またはスチレン-オレフィン共重合体が好ましく用いられる。
スチレン-オレフィン共重合体は、オレフィンに由来する単位とスチレンに由来する単位とを有する共重合体である。オレフィンの具体例として、エチレン、プロピレン、ブテン等のα-オレフィンをはじめとするモノオレフィン;ブタジエン、イソプレン等のジオレフィン(共役ジエン)が挙げられる。
スチレン-オレフィン共重合体の重合様式に制限はないが、カバーテープ10とキャリアテープ20との剥離強度の向上の観点から、スチレン-オレフィン共重合体は好ましくはブロック共重合体である。
スチレン-オレフィン共重合体としては、例えば、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体(SEPS)などが挙げられる。
スチレン-オレフィン共重合体中のスチレン含有率は、スチレン-オレフィン共重合体全体に対し、カバーテープ10とキャリアテープ20との剥離強度をより好ましいものとする観点から、好ましくは15質量%以上、より20質量%以上、さらに好ましくは25質量%以上である。また、同様の観点から、スチレン-オレフィン共重合体中のスチレン含有率は、スチレン-オレフィン共重合体全体に対し、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下である。
(a)スチレン系樹脂の含有量は、カバーテープ10とキャリアテープ20との剥離強度の向上の観点から、シーラント層3形成用の樹脂組成物の不揮発成分中、好ましくは5質量%以上、より好ましくは8質量%以上である。また、同様の観点から、(a)スチレン系樹脂の含有量は、シーラント層3形成用の樹脂組成物の不揮発成分中、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、さらに好ましくは70質量%以下である。
(a)スチレン系樹脂のうち、(a-1)のスチレン系ポリマーを使用する場合、200℃、5kgにおけるメルトフローレート(MFR)が、0.05g/10min以上200g/10min以下であり、好ましくは0.1g/10min以上100g/10min以下である。
MFRを上記下限値以上とすることにより、剥離強度を向上させやすくなる。
MFRを上記上限値以下とすることにより、溶剤への溶解性がよりよくなったり、粘度調整がしやすくなったりして、高い剥離強度が安定的に得られる。
(a)スチレン系樹脂のMFRは、200℃、5kgの条件でJIS-K-7210に準じて測定される。
(a)スチレン系樹脂のうち、(a-2)のスチレン系オリゴマーを使用する場合、数平均分子量は、例えば300以上5000以下であり、好ましくは500以上3000以下である。
・(b)(メタ)アクリル系樹脂
成分(b)の(メタ)アクリル系樹脂は、(b-1)(メタ)アクリル酸に由来する構造単位、および/または、(b-2)(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位を含む重合体のことをいう。
成分(b-1)の(メタ)アクリル酸としては、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。
成分(b-2)の(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、および(メタ)アクリル酸エチルヘキシル等の中から選ばれる1種または2種以上が挙げられる。
(b)(メタ)アクリル系樹脂は、前述の成分(a)に該当しない限りにおいて、他のモノマーとの共重合体とすることもできる。例えば、(b)(メタ)アクリル系樹脂は、エチレン-メチル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン-エチル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン-(メタ)アクリレート共重合体およびエチレン-酢酸ビニル共重合体からなる群から選択される1種または2種以上を含む共重合体であってもよい。
(b)(メタ)アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位を、例えば5質量%以上含み、好ましくは10質量%以上含み、より好ましくは15質量%以上含む。
(b)(メタ)アクリル系樹脂の含有量は、シーラント層3形成用の樹脂組成物の不揮発成分中、1質量%以上であり、好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは20質量%以上である。一方、(b)(メタ)アクリル系樹脂の含有量は、シーラント層3形成用の樹脂組成物の不揮発成分中、100質量%であってもよく、98質量%以下であってもよい。これにより、良好な耐付着性が得られる。
(a)スチレン系樹脂と(b)(メタ)アクリル系樹脂とを併用する場合、(b)の含有量に対する(a)の含有量[(a)/(b)](質量比)は、0.015以上であることが好ましく、0.02以上であることがより好ましい。一方、[(a)/(b)](質量比)が、5以下であることが好ましく、4以下であることがより好ましい。(a)/(b)をこのような数値範囲とすることで、剥離性と密着性とのバランスを一層向上させることができる。
シーラント層3は、さらに以下の成分を含んでもよい。
・(c)帯電防止剤
シーラント層3は、帯電防止剤を含んでもよい。これにより、帯電防止能を向上させることができる。
帯電防止剤としては、例えば、リチウムイオンを含むものが挙げられる。リチウムイオンが樹脂中に存在する高分子型帯電防止剤を用いることができる。これにより、優れた帯電防止性能が持続的に安定して発揮される。
リチウムイオンは、例えば、リチウム塩のような形で帯電防止剤に含有させることができる。このリチウム塩としては、塩化リチウム、フッ化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、過塩素酸リチウム、酢酸リチウム、フルオロスルホン酸リチウム、メタンスルホン酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、ペンタフルオロエタンスルホン酸リチウム等が挙げられる。
帯電防止剤に含まれるリチウムイオンは、金属元素量測定により確認することができる。帯電防止剤に含まれるリチウムイオン量は、例えば、50μg/g以上(50ppm以上)であることが好ましい。
もちろん、帯電防止剤としては、リチウムイオンを含むもの以外にも、公知の帯電防止剤を用いることができる。また、リチウムイオンを含むものと、そうでないものとを併用することもできる。
リチウムイオンを含まない帯電防止剤としては、例えば、以下を挙げることができる。
・ポリエーテル構造を含むポリマー(例えば、ポリエーテルエステルアミドなどのポリアミド系コポリマー、ポリオレフィンとポリエーテルのブロックポリマー、ポリエチレンエーテル及びグリコールからなるポリマーなど)、カリウムアイオノマーなどのカルボン酸塩基含有ポリマー、第4級アンモニウム塩基含有コポリマーなど。
・酸化アルミニウム、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化チタン等の金属含有フィラー(金属酸化物粒子など)。
・ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)、ポリアセチレン、ポリアニリン等の導電性ポリマー。
・導電カーボン。
ちなみに、例えば金属含有フィラー(金属酸化物粒子など)を用いることで、帯電防止能の向上に加え、タック力や剥離強度を適切に調整できる場合がある。タック力や剥離強度の調整の観点も考慮すると、金属含有フィラー(金属酸化物粒子など)の一次粒子径は、好ましくは5~1000nm、好ましくは10~500nmである。
金属含有フィラー(金属酸化物粒子など)の一次粒子径は、例えば顕微鏡画像から知ることができる。
シーラント層3が帯電防止剤を含む場合、その量(2種以上を含む場合は合計量)は、シーラント層3全体に対して、例えば1質量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは8質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上である。これにより、適切な帯電防止能を得ることができる。
また、帯電防止剤の含有量は、シーラント層3全体に対して、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、さらに好ましくは80質量%以下、特に好ましくは70質量%以下である。帯電防止剤はしばしば高価である。よって、帯電防止剤の含有量をこのようにすることで、カバーテープ10作製のコスト低減につながる。
・粘着付与剤
シーラント層3は、粘着付与剤を含んでもよい。
粘着付与剤としては、石油樹脂、ロジン系樹脂、テルペン樹脂、スチレン樹脂、クマロン・インデン樹脂等が挙げられる。中でも、電子部品の付着しにくさ、キャリアテープに対するヒートシール性、ガスバリア性などから、石油樹脂とスチレン樹脂が好適である。
石油樹脂系の粘着付与剤としては、脂肪族系の石油樹脂、芳香族系の石油樹脂、脂肪族芳香族共重合系の石油樹脂等が挙げられる。市販品としては、荒川化学工業社の水素化石油樹脂、商品名「アルコン」シリーズなどがある。
粘着付与剤を用いる場合、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
シーラント層3が粘着付与剤を含む場合、シーラント層3全体に対する粘着付与剤の含有量の下限値は、キャリアテープとのシール強度を好適なものとする観点から、好ましくは0.5質量%より多く、より好ましくは1質量%以上である。
また、シーラント層全体に対する粘着付与剤の含有量の上限値は、電子部品の付着しにくさや、キャリアテープに対するヒートシール性などの観点から、例えば5質量%以下、具体的には4質量%以下である。
・その他添加成分
シーラント層3は、その特性を損なわない範囲で、上記成分のほか、アンチブロッキング剤、スリップ剤、滑剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、界面活性剤、無機フィラー等の任意の添加剤を含んでいてもよい。かつ/または、シーラント層3の表面には、これらのコーティング処理が施されていてもよい。
アンチブロッキング剤の例としては、シリカ、アルミノ珪酸塩(ゼオライト等)などを挙げることができる。シーラント層3がアンチブロッキング剤を含有することで、シーラント層3のブロッキングが緩和される。
スリップ剤の例としては、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、オレイルパルミドアミド、ステアリルパルミドアミド、メチレンビスステアリルアミド、メチレンビスオレイルアミド、エチレンビスオレイルアミド、エチレンビスエルカ酸アミドなどの各種アミド類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール、水添ひまし油などが挙げられる。シーラント層3がスリップ剤を含有することで、押出加工等の加工性、離ロール性、フィルム滑り性などが向上される。
シーラント層3中のその他添加成分の量は、添加目的に応じて適宜調整すればよい。典型的には、シーラント層3全体に対して0.01~10質量%程度の範囲で調整すればよい。
シーラント層3の厚みは、例えば0.005~5μm、好ましくは0.01~2μm、より好ましくは0.015~1μmである。
シーラント層3の厚みが0.005μm以上であることで、十二分なシール性を担保することができる。また、捻じりによりシール層にクラックが発生し脱落することも抑制できる。
シーラント層3の厚みが5μm以下であることで、カバーテープ10の剛性が高くなりすぎない。これにより、シール後のキャリアテープに対して捻り応力がかかった場合でも、カバーテープ10がキャリアテープの変形に追従しやすい。よって、カバーテープ10がキャリアテープから意図せず剥離してしまうことを抑制することができる。
また、シーラント層3の厚みが5μm以下であることで、ヒートシール時に溶融した樹脂の「染み出し」が抑えられるという利点もある。
[その他の層]
カバーテープ10は、基材層1、第1中間層2A、第2中間層2Bおよびシーラント層3以外に任意の層を備えていてもよい。
例えば、カバーテープ10は、基材層1と第1中間層2Aの間に接着層を備えていてもよい。こうすることで、カバーテープの機械的強度を向上させることができる。
接着層を形成するための材料には、通常、樹脂が含まれる。樹脂の具体例としては、ウレタン系のドライラミネート用接着樹脂材料、アンカーコート用接着樹脂材料等が挙げられる。これら接着樹脂材料としては、例えば、ポリエステルポリオールやポリエーテルポリオールなどのポリオール組成物とイソシアネート化合物とを組み合わせたもの等が挙げられる。
[全体厚みおよび幅]
カバーテープ10の全体の厚さは、好ましくは40~90μmである。
カバーテープ10の全体の厚さが40μm以上であることにより、十分なカバーテープの強度を得ることができる。このため、カバーテープ10のキャリアテープからの剥離時にカバーテープ10が破断しにくくなる。
また、カバーテープ10の全体の厚さが90μm以下であることにより、ヒートシールの際に、基材層1側に接触するシールコテの熱がシーラント層3側に伝わりやすくなる。このため、ヒートシール強度をより高めたり、低温でのヒートシール性を一層良好となったりする傾向がある。
カバーテープ10の幅は、収容する電子部品の大きさにもよるが、1~100mmであることが好ましく、3~50mmであることがより好ましい。
[バイオマス度について]
環境保護や石油資源の有効利用の観点では、カバーテープ10中のバイオマス由来の原材料の比率は、ある程度大きいことが好ましい。
具体的には、バイオマス度、すなわち、カバーテープ全体における、バイオマス由来のポリエチレン系樹脂の割合は、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、25質量%以上がさらに好ましい。この数値の上限は特にないが、製造コストや諸性能のバランスの観点から、バイオマス度は、典型的には65質量%以下、具体的には55質量%以下である。
バイオマス度が10質量%以上であることにより、日本においては「バイオマス認証」を取得可能であり、製品のアピール材料の1つとなるため、好ましい。
[カバーテープ10の製造方法]
カバーテープ10を製造する方法は特に限定されない。
例えば、各層をフィルムの状態で準備しておいて、それぞれの層間をドライラミネート法によって積層することによりカバーテープ10を製造することができる。
また、押出ラミネート法により多層構造のカバーテープ10を製造することもできる。
必要に応じて各層間にアンカーコート剤を塗布してもよい。アンカーコート剤としては、ポリウレタンやポリオレフィン、エチレン-酢酸ビニル樹脂、エチレンーアクリル酸エステル樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル、ポリエチレンイミンなどを用いることができる。アンカーコート剤を塗布する方法も特に限定されない。コーターとしてロールコーター、グラビアコーター、リバースロールコーター、バーコーター、ダイコーター等の通常使用されているものを用いることができる。押出ラミネート法に関しては、必要に応じて各層間にTダイ押出等により溶融したポリエチレン系の樹脂層(サンド樹脂層)を設けてもよい。
シーラント層3は、例えば、シーラント層3を構成する各成分を混合機を用いて混合物とし、この混合物を押出しキャスト法にて直接成膜するか、あるいは混合物を単軸や二軸、遊星押出機などの混練押出機で溶融混練してペレットを作成し、Tダイ法、インフレーション法、キャスティング法、あるいはカレンダー法等の方法などの一般的な方法を用いて成膜することにより作製される。
あるいは、カバーテープ10は、シーラント層3を構成する樹脂と、を構成する樹脂を、それぞれ別の単軸または二軸の押出機を用いて溶融混練し、両者をフィードブロックやマルチマニホールドダイを介して積層一体化した後、Tダイ法あるいはインフレーション法により共押し出しすることによりシーラント層2と中間層1からなる二層フィルムとし、この二層フィルムの中間層1側の表面を、前記のドライラミネート法や押出ラミネート法で基材層3と積層する方法を用いることもできる。この方法では、成膜したフィルムを巻き取る際にフィルムの表裏面が付着してしまう、いわゆるブロッキングを防ぎやすく、シーラント層2をより薄くすることができるという利点がある。
作製されたカバーテープ10は、目的の用途に合わせて適当な幅および長さに切断されてもよい。
<電子部品包装体>
図2は、電子部品包装体100を模式的に示した図である。
上述のカバーテープ10と、電子部品がポケット21(凹部)に収容されたキャリアテープ20とにより、電子部品包装体100が構成されている。
図2において、カバーテープ10は、電子部品の形状に合わせて凹状のポケット21が連続的に設けられた帯状のキャリアテープ20の蓋材として用いられている。具体的には、カバーテープ10は、キャリアテープ20のポケット21の開口部全面を覆うように、キャリアテープ20の表面に接着(通常、ヒートシール)される。
電子部品包装体100は、例えば、以下の手順で作製することができる。
まず、キャリアテープ20のポケット21内に電子部品を収容する。
次に、キャリアテープ20のポケット21の開口部全面を覆うように、キャリアテープ20の表面にカバーテープ10をヒートシール法により接着する。この際、カバーテープ10におけるシーラント層3がキャリアテープ20と接するようにする(つまり、図2におけるカバーテープ10の「裏面」がシーラント層3となるようにしてヒートシールを行う)。こうすることで、電子部品が密封収容された構造体(電子部品包装体100)が得られる。
ヒートシールの具体的なやり方や条件は、カバーテープ10がキャリアテープ20に十分強く接着する限り特に限定されない。典型的には、公知のテーピングマシンを用い、加熱温度100~240℃、荷重0.1~10kgf(0.98~98N)、加熱時間0.0001~1秒の範囲内で行うことができる。すでに述べたように、本実施形態においては、加熱温度が比較的低くても、カバーテープ10を十分に強くキャリアテープ20にヒートシールすることができる。
キャリアテープ20の材質は、ヒートシールによりカバーテープ10を接着可能である限り特に限定されない。材質は、ポリスチレン樹脂を含む材料、ポリカーボネート樹脂を含む材料、ポリエチレンテレフタレート樹脂を含む材料などの樹脂製、または紙製であることができる。なかでも、剥離強度を効果的に向上させる観点から、樹脂製が好ましい。
上述のカバーテープ10を、これら材料で構成されたキャリアテープ20にヒートシールして電子部品包装体とすることで、高い剥離強度を実現することができる。
電子部品包装体100は、例えば、リールに巻かれ、その後、電子部品を電子回路基板等に実装する作業領域まで搬送される。リールの素材は、金属製、紙製、プラスチック製などであることができる。
電子部品包装体100が作業領域まで搬送された後、カバーテープ10をキャリアテープ20から剥離し、収容された電子部品を取り出す。
電子部品包装体100内に収容される電子部品は、特に限定されない。半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、コンデンサ、圧電素子、光学素子、LED関連部材、コネクタ、電極など、電気・電子機器の製造に用いられる部品全般を挙げることができる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することができる。また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
本発明の実施態様を、実施例および比較例に基づき詳細に説明する。念のため述べておくと、本発明は実施例のみに限定されない。
[原材料]
以下の原材料を準備した。
・基材層を構成するためのフィルム
二軸延伸ポリエチレンテレフタレート製フィルム(PETフィルム):東洋紡績株式会社、商品名:T6140、12μm厚み
・第1中間層、第2中間層を構成するための素材
バイオマスLLDPE:ブラスケム社、商品名:SLH218(密度:0.916g/cm
石油由来VLDPE:日本ポリエチレン株式会社、商品名:カーネルKC452T(密度:0.888g/cm
ちなみに、後掲の表に記載のように、各中間層を設ける際には、これら2種の樹脂を片方のみを用いたか、またはこれら2種の樹脂を併用した。
・シーラント層を構成するための材料(塗布液)
以下を均一に混合して調製した塗布液を、シーラント層を構成するための材料として用いた。
スチレン系シーラント樹脂(日本ゼオン社製、LX2507H) 15質量%
アクリル系シーラント樹脂(DIC社製、A450A) 15質量%
平均粒径100nmの酸化亜鉛(帯電防止剤として機能する) 2質量%
トルエン 68質量%を混合して調製した塗布液を調製した。
[カバーテープの製造]
まず、PETフィルムの片面に、押出ラミネート法により第1中間層を設け、その後さらに押出ラミネート法により第2中間層を設けた。そして、十分に冷却された第2中間層の露出面にコロナ処理を施した。
コロナ処理された第2中間層の露出面に、上述の塗布液を塗布し、70℃でトルエンを乾燥させてシーラント層を設けた。このときの塗布量は、乾燥前の膜厚(ウェット厚み)が2μmとなるように調整した。
以上のようにして、基材層と、第1中間層と、第2中間層と、シーラント層と、をこの順に備える積層体を得た。この積層体を幅5.5mmの寸法に裁断して電子部品包装用カバーテープとした。
[性能評価:ヒートシール後の剥離強度]
上記のようにして製造した幅5.5mmのカバーテープを、幅8mmの寸法のキャリアテープ(導電ポリスチレンキャリアテープ、住友ベークライト社製「CEL-E980A」)に、以下条件でヒートシールした。これにより、カバーテープがキャリアテープにヒートシールされたサンプルを得た。
ヒートシール温度(「コテ」の設定温度):160℃もしくは200℃
ヒートシール機の「コテ」のサイズ:0.5mm巾×16mm長
ヒートシールプロセス:2列・4度打ち、荷重1kg、シール時間100ミリ秒
得られたサンプルを用いて、剥離強度の評価を、JIS C 0806-3に準拠する剥離試験に準じて行った。
具体的には、剥離速度300mm/min、剥離角度170°、剥離時間10秒の条件でカバーテープをキャリアテープから剥離した際の剥離強度(単位:gf)を求めた。念のため記載しておくと、ここでの剥離強度は、剥離時間10秒の間に測定される剥離強度の平均値である。
各種情報をまとめて下表に示す。下表には、各カバーテープのバイオマス度、すなわち、カバーテープ全体の質量に対するバイオマス由来のポリエチレン系樹脂の質量の割合も記載した。
Figure 0007414165000002
上表に示されるとおり、第1中間層がバイオマス由来のポリエチレン系樹脂を含み、第2中間層が密度0.908g/cm以下のポリエチレン系樹脂を含む実施例1~7のカバーテープは、比較例のカバーテープと比較して、160℃という低温条件であっても、キャリアテープに十分に強くヒートシールされることが示された。
実施例1~7を詳細に分析すると、中間層2中の石油由来VLDPEの比率が大きくて中間層2の密度が小さいほど、剥離強度は大きくなる傾向が読み取れる。よって、剥離強度を大きくする点では、中間層2中の石油由来VLDPEの比率を大きくして、中間層2の密度を小さくすることが好ましいと考えられる。
一方、中間層2中の石油由来VLDPEの比率を大きくすることは、カバーテープ全体としてのバイオマス度を下げることにつながる。よって、バイオマス度の向上の観点では、中間層2中の石油由来VLDPEの割合があまり大きくならないように、中間層2中にもバイオマス由来のポリエチレン系樹脂をある程度の量含めるのが好ましいと言える。
1 基材層
2A 第1中間層
2B 第2中間層
3 シーラント層
10 カバーテープ
20 キャリアテープ
100 電子部品包装体

Claims (8)

  1. 基材層と、第1中間層と、第2中間層と、シーラント層と、をこの順に備える、電子部品包装用カバーテープであって、
    前記第1中間層が、バイオマス由来のポリエチレン系樹脂を含み、
    前記第2中間層が、密度が0.908g/cm以下の石油由来ポリエチレン系樹脂を含み、
    前記バイオマス由来のポリエチレン系樹脂の密度が0.915~0.960g/cm である、カバーテープ。
  2. 請求項1に記載のカバーテープであって、
    前記第1中間層の厚みをTとし、前記第2中間層の厚みをTとしたとき、T/Tの値が0.05~2.5である、カバーテープ。
  3. 請求項1または2に記載のカバーテープであって、
    前記第1中間層が、前記バイオマス由来のポリエチレン系樹脂に加えて、密度が0.908g/cm以下のポリエチレン系樹脂を含む、カバーテープ。
  4. 請求項1または2に記載のカバーテープであって、
    前記第2中間層が、密度が0.908g/cm以下のポリエチレン系樹脂に加えて、バイオマス由来のポリエチレン系樹脂を含む、カバーテープ。
  5. 請求項1または2に記載のカバーテープであって、
    前記第2中間層は、密度が0.908g/cm以下のポリエチレン系樹脂を5質量%以上含む、カバーテープ。
  6. 請求項1または2に記載のカバーテープであって、
    基材層がポリエステル系樹脂を含む、カバーテープ。
  7. 請求項1または2に記載のカバーテープであって、
    カバーテープ全体における、バイオマス由来のポリエチレン系樹脂の割合が10質量%以上である、カバーテープ。
  8. 電子部品が凹部に収容されたキャリアテープと、請求項1または2に記載のカバーテープとを備え、
    前記電子部品を封止するように前記シーラント層が前記キャリアテープに接着された電子部品包装体。
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