JP7413704B2 - 炭化水素の熱分解用触媒並びにそれを用いたカーボンナノチューブ及び水素製造方法 - Google Patents

炭化水素の熱分解用触媒並びにそれを用いたカーボンナノチューブ及び水素製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、炭化水素の熱分解用触媒並びにそれを用いたカーボンナノチューブ及び水素製造方法に関し、特に、ヘマタイト粒子を含む触媒並びにそれを用いたカーボンナノチューブ及び水素製造方法に関する。
従来から、炭化水素を原料ガスとして、これを炉内で加熱することにより分解してカーボンナノチューブや水素を製造することが知られている。また、上記カーボンナノチューブや水素の製造のために、種々の触媒が用いられることも知られている。例えば特許文献1には、カーボンナノチューブ製造用触媒であって、主成分として鉄及びアルミニウムを含む触媒が開示されている。また、特許文献1では、当該触媒の成分として、マグネシウムやコバルト、ニッケル、クロム、マンガン、モリブデン、タングステン、バナジウム、錫又は銅から選ばれる少なくとも1種の遷移金属を含んでもよい旨が記載されている。
この他に、特許文献2には、カーボンナノチューブ成長用板状触媒として、鉄、コバルト、カルシウム、ニッケル及びモリブデンからなる群から選択された1成分以上と、マンガン、アルミニウム、マグネシウム及びケイ素からなる群から選択された1成分以上とを含む触媒が開示されている。さらに、特許文献3には、カーボンナノチューブ合成用触媒として、触媒活性種がコバルト、鉄及びニッケルからなる群より選ばれる1種類以上を含有し、第一の担持体としてマグネシウム及び/又はマグネシウム化合物と、第二の担持体として酸化珪素、酸化アルミニウム、ゼオライト及び酸化チタンからなる群より選ばれる1種類以上とを含有する触媒が開示されている。
特開2010-188337号公報 特表2017-501961号公報 特開2018-103168号公報
上述のように、特許文献1~3に開示されるような種々の触媒が知られているものの、未だ原料ガスである炭化水素に対する反応効率をさらに向上し、得られるカーボンナノチューブ及び水素の収率をさらに向上できる触媒が求められている。
本発明は、前記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、炭化水素の熱分解効率をさらに向上できる触媒を得て、高い効率でカーボンナノチューブ及び水素を製造できるようにすることにある。
前記の目的を達成するために、本発明では、触媒をヘマタイト粒子で構成し、アルミニウム及び希土類元素をヘマタイト粒子に含有させた。ここで言うヘマタイト粒子とは、X線回折(XRD)により分析した結晶相が、ヘマタイトが主相である粒子のことである。
具体的に、本発明に係る触媒は、炭化水素の熱分解用触媒であって、ヘマタイト粒子を含み、前記ヘマタイト粒子は、粒子中の全鉄(Fe)元素に対して0.1~3mol%の希土類元素を含有し、粒子中の全Fe元素に対して5~55mol%のアルミニウム(Al)元素を含有することを特徴とする。
本発明に係る触媒によると、炭化水素の熱分解効率を向上できて、高い効率で炭化水素からカーボンナノチューブ及び水素を製造できる。特に、本発明に係る触媒では、ヘマタイト粒子が全Fe元素に対して5~55mol%のAl元素を含んでいるため、炭化水素の分解効率を向上できる。Alの含有量が5mol%未満の場合には、炭化水素の分解効率が低くなり、カーボンナノチューブ及び水素の生成量が低下し、一方、55mol%を超える場合には、ヘマタイト粒子全体のうち、Feの占める割合が低下するため、やはり炭化水素の分解効率が低くなり、カーボンナノチューブ及び水素の生成量が低下する。さらに、本発明に係る触媒では、ヘマタイト粒子が焼結防止効果向上のために全Fe元素に対して0.1~3mol%の希土類元素を含有しているため、ヘマタイト粒子の焼結を防止できて焼結による触媒効果の低下を防止できる。希土類元素の含有量が0.1mol%未満の場合には、焼結防止効果が十分には得られず、炭化水素の熱分解反応時に粒子が肥大化し、炭化水素の分解効率が低減し、一方、3mol%を超える場合には、粒子と炭化水素との接触効率が低減し、やはり炭化水素の分解効率が低減することとなる。
本発明に係る触媒において、前記ヘマタイト粒子は、粒子中の全Fe元素に対して10mol%未満のコバルト(Co)元素を含有することが好ましい。
このようにすると、ヘマタイト粒子の還元性を促進できる。
本発明に係る触媒において、前記希土類元素は、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジウム(Pr)、ネオジム(Nd)及びサマリウム(Sm)から選択される少なくとも1種であってもよい。
本発明に係る触媒において、前記ヘマタイト粒子は、紡錘状であり、平均長軸径が1000nm以下であることが好ましく、平均短軸径が200nm以下であることが好ましく、また、平均短軸径に対する平均長軸径の比率(平均長軸径/平均短軸径)が2~9であることが好ましい。
これらのようにすると、炭化水素とヘマタイト粒子との接触性を向上できて、触媒による炭化水素の熱分解効率を向上することができる。
本発明に係る触媒において、前記ヘマタイト粒子は、BET比表面積が10m/g以上であることが好ましい。
このようにすると、炭化水素とヘマタイト粒子との接触性を向上できて、触媒による炭化水素の熱分解効率を向上することができる。
本発明に係るカーボンナノチューブ及び水素製造方法は、上記本発明に係る触媒のいずれかを用いて炭化水素を熱分解することを含むことを特徴とする。
本発明に係るカーボンナノチューブ及び水素製造方法によると、上記本発明に係る触媒を用いるため、炭化水素の熱分解効率を向上できるので、高い効率でカーボンナノチューブ及び水素を製造できる。
本発明に係るカーボンナノチューブ及び水素製造方法において、前記炭化水素は少なくともメタンを含むことが好ましく、また、前記カーボンナノチューブ及び水素はメタン直接改質により得られることが好ましい。この場合、メタン直接改質を利用するため、水素及びカーボンナノチューブの他に、一酸化炭素や二酸化炭素が生成されないので好ましい。
本発明に係る触媒並びにそれを用いたカーボンナノチューブ及び水素製造方法によると、炭化水素の熱分解効率を向上できて、高い効率で炭化水素からカーボンナノチューブ及び水素を製造できる。
実施例8のヘマタイト粒子の粒子形態を電子顕微鏡にて観察した結果の写真である。
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用方法或いはその用途を制限することを意図するものではない。
本発明の一実施形態に係る触媒は、炭化水素の熱分解用触媒であり、特にヘマタイト粒子を含むものである。本実施形態に係る触媒は、例えば当該触媒と炭化水素ガスとを加熱炉内で接触させて炭化水素ガスの熱分解を促進して、固体炭素と水素とを生成させるために用いられる。特に、炭化水素ガスとしてメタンガスを直接固体炭素と水素とに熱分解するメタン直接改質(DMR)反応を利用して水素合成を行うのに用いられることが好ましい。但し、メタンガスは、必ずしも純メタンである必要はなく、少なくともメタンを含むガスであり、好ましくはメタンを主成分とするガスである。前記反応では、メタンガスを触媒と共に加熱することによりメタンが分解されて水素ガスと固体炭素が生成される。この反応では二酸化炭素等の酸化炭素ガスが発生しない点で有用である。通常、固体炭素は触媒粒子の表面に積層した形態で生成され、その形状や結晶性は触媒をはじめとする反応条件にもよるが、少なくとも一部がカーボンナノチューブなどの繊維状の結晶性炭素を生成することが可能である。従って、本発明の一実施形態に係る触媒は、カーボンナノチューブ及び水素製造方法に好適に利用可能である。
本実施形態に係る上記ヘマタイト粒子は、粒子中の全Fe元素に対して0.1~3mol%の、好ましくは0.3~2mol%、さらに好ましくは0.5~1.5mol%の希土類元素を含有し、粒子中の全Fe元素に対して5~55mol%、好ましくは15~55mol%、さらに好ましくは25~55mol%のAl元素を含有している。
希土類元素は、粒子同士の焼結防止及び酸素原子の引き抜きによる急激なヘマタイトの還元防止のために含有されており、その含有量は上記の通りであるが、粒子中の全Fe元素に対して0.1mol%未満の場合には、焼結防止効果が十分でなく、炭化水素の熱分解反応時に粒子が焼結・肥大化して、水素生成量が低減する。また、粒子中の全Fe元素に対して3mol%を超える場合には、粒子と炭化水素ガスとの接触性が悪化して、水素生成量が低減する。
Al元素は、還元時のFe元素移動による焼結を防止するために含有されており、その含有量は上記の通りであるが、粒子中の全Fe元素に対して5mol%未満の場合には、炭化水素ガスの分解効率が低くなり、水素生成量が低減する。また、粒子中の全Fe元素に対して55mol%を超える場合には、ヘマタイト粒子全体のうち、主触媒であるFe元素の占める割合が低下するため水素生成量が低減する。Al元素はFe元素と密接している方が好ましく、ヘマタイト粒子内に固溶されていることが特に好ましい。
本実施形態に係る触媒では、以上の通り、ヘマタイト粒子中に炭化水素の熱分解反応に好適な量の希土類元素及びAl元素を含有しているため、炭化水素の熱分解効率を向上できて、高い効率で炭化水素からカーボンナノチューブ及び水素を製造することができる。
さらに、本実施形態において、上記ヘマタイト粒子は、粒子の還元性促進のために、粒子中の全Fe元素に対して10mol%未満のCo元素を含有することが好ましい。
本実施形態において、ヘマタイト粒子の形状は紡錘状であり、平均長軸径が1000nm以下であり、好ましくは500nm以下である。また、ヘマタイト粒子の平均短軸径は200nm以下であり、好ましくは100nm以下である。ヘマタイト粒子の平均短軸径に対する平均長軸径の比率(平均長軸径/平均短軸径)は2~9である。平均長軸径及び短軸径は小さい程良く、従って下限は特に限定されないが工業的製造性の観点からは平均長軸径は30nm程度、平均短軸径は5nm程度を下限とすることが適当である。一方、平均長軸径が1000nm、平均短軸径が200nmを超えると、粒子が大きくなり、炭化水素ガスとの接触性が悪化するため、目的の水素生成量が得られ難くなる。
本実施形態において、ヘマタイト粒子のBET比表面積は、10m/g以上であり、好ましくは20m/g以上である。BET比表面積が10m/g未満では、粒子が大きくなり、炭化水素ガスとの接触性が悪化するため、目的の水素生成量が得られ難くなる。
以下に本発明に係る触媒の製造方法の一実施形態について説明する。本実施形態に係るヘマタイト粒子は、紡錘状ゲータイト粒子を非還元性雰囲気下で加熱処理をすることによって得られる。紡錘状ゲータイト粒子は、まず紡錘状ゲータイト種晶粒子を生成し、該種晶粒子の表面にゲータイト層を成長させることによって得られる。
具体的に、まず、紡錘状ゲータイト種晶粒子を得るためには、炭酸アルカリ水溶液と水酸化アルカリ水溶液との混合アルカリ水溶液を、第一鉄塩水溶液と反応させて第一鉄含有沈殿物を含む水懸濁液を生成する。次に、当該水懸濁液を非酸化性雰囲気下において熟成させた後に、該水懸濁液中に酸素含有ガスを通気して酸化反応させることによって紡錘状ゲータイト種晶粒子が得られる。なお、必要に応じて、上記混合アルカリ水溶液を第一鉄塩水溶液に加えてCo化合物水溶液と反応させてもよい。上記熟成は、非酸化性雰囲気下の前記懸濁液を通常80℃以下の温度範囲で行うのが好ましい。熟成時の温度が80℃を超える場合には、生成物にマグネタイトが混在する場合がある。非酸化性雰囲気とするには、前記懸濁液の反応容器内に不活性ガス(窒素ガスなど)又は還元性ガス(水素ガスなど)を通気すればよい。
上記紡錘状ゲータイト種晶粒子の生成反応において、第一鉄塩水溶液としては、硫酸第一鉄水溶液、塩化第一鉄水溶液等を使用することができる。これらは単独で又は必要に応じ2種以上混合して用いられる。また、紡錘状ゲータイト種晶粒子の生成反応において使用される炭酸アルカリ水溶液としては、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸カリウム水溶液、炭酸アンモニウム水溶液等を使用でき、前記水酸化アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が使用できる。これらはそれぞれ単独で又は必要に応じ2種以上混合して用いられる。また、紡錘状ゲータイト種晶粒子の生成反応において、Co化合物としては、硫酸コバルト、塩化コバルト、硝酸コバルト等を使用することができる。これらは単独で又は必要に応じ2種以上混合して用いられる。Co化合物水溶液は、酸化反応を行う前の熟成されている第一鉄含有沈殿物を含む懸濁液に添加される。
紡錘状ゲータイト種晶粒子を得た後に粒子表面にゲータイト層を成長させるために、まず、紡錘状ゲータイト種晶粒子懸濁液に、炭酸アルカリ水溶液と水酸化アルカリ水溶液との混合アルカリ水溶液を、第一鉄塩水溶液及びAl化合物水溶液と反応させて第一鉄含有沈殿物を含む水懸濁液を得る。次に、該水懸濁液を非酸化性雰囲気下において熟成させた後に、該水懸濁液中に酸素含有ガスを通気して酸化反応させる。これによって、紡錘状ゲータイト種晶粒子表面にゲータイト層を成長できる。
上記ゲータイト層の成長反応において、Al化合物としては、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム等の酸性塩、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム、アルミン酸アンモニウム等のアルカリ酸塩を使用することができる。これらは単独で又は必要に応じ2種以上混合して用いられる。Al化合物の添加量は、最終生成物である紡錘状ヘマタイト粒子中の全Fe元素に対してAl元素が5~55mol%含有されるように調整される。上述のように、ヘマタイト粒子中の全Fe元素に対してAl元素の含有量が5mol%未満の場合には、炭化水素ガスの分解効率が低減し、水素生成量が低減する。また、ヘマタイト粒子中の全Fe元素に対してAl元素の含有量が55mol%を超える場合には、粒子全体のうち、主触媒成分であるFe元素の含有割合が低下するため、炭化水素ガスの分解効率が低減し、水素生成量が低減する。
上記ゲータイト層の成長反応の後、紡錘状ヘマタイト粒子を得るための加熱脱水処理に先立って焼結防止のために、まず、上記のようにして得られた紡錘状ゲータイト粒子に対して、焼結防止剤により前記紡錘状ゲータイト粒子表面を被覆処理する。焼結防止剤としては、希土類元素の化合物を用いる。希土類元素の化合物としては、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジウム、ネオジム、サマリウム等の1種又は2種以上の化合物が好適であり、前記希土類元素の塩化物、硫酸塩、硝酸塩等が使用できる。その使用量は、最終生成物である紡錘状ヘマタイト粒子中の全Feに対して希土類元素が0.1~3mol%含有されるように調整される。ヘマタイト粒子中の全Fe元素に対して希土類元素の含有量が0.1mol%未満の場合には、焼結防止効果が十分でなく、水素生成反応時に粒子が肥大化し、水素生成量が低減する。また、ヘマタイト粒子中の全Fe元素に対して希土類元素の含有量が3mol%を超える場合には、粒子と炭化水素ガスとの接触性が悪化し、水素生成量が低減する。
上記被覆処理において、前記希土類元素の化合物に加えて前記ゲータイト成長反応で用いたAl化合物を用いて被覆処理を行ってもよい。なお、希土類元素及びAl化合物の被覆処理方法は、常法として用いられる乾式又は湿式のいずれの方法でもよいが、好ましくは湿式での被覆処理方法が用いられる。
被覆処理の後に、非還元性雰囲気において加熱脱水処理を行うことでヘマタイト粒子が得られる。加熱温度は、300~1000℃の範囲であることが好ましく、300℃未満の場合は、粒子内に水分が多く残存し、炭化水素の熱分解による水素生成時に粒子の焼結を促進させる。一方、加熱温度が1000℃を超えると粒子の肥大化が進み、水素生成量が低減する。
ヘマタイト粒子は、例えばNaSOといった不純物塩除去のために洗浄するのが好ましい。特に硫黄成分は炭化水素の熱分解による水素生成量を低下させるため、少ない程好ましい。具体的にはS元素が粒子中の全Al元素に対して5mol%以下であることが好ましい。S元素を効率良く洗浄する方法としては、pHを上げて洗浄することが挙げられる。具体的なpHとしては、8~11の間でAl元素が溶出しない範囲で高い程好ましい。
以下に、本発明に係る触媒並びにそれを用いたカーボンナノチューブ及び水素製造方法を詳細に説明するための実施例を示す。まず、実施例1に係るヘマタイト粒子の製造方法について説明する。
<ゲータイト粒子の生成反応>
15.6molの炭酸ナトリウムと、10.6molの水酸化ナトリウムを含む混合アルカリ水溶液30Lを気泡塔の中に投入し、窒素ガスを通気しながら50℃に調整した。次いで12.6molのFe2+を含む硫酸第一鉄水溶液20Lと0.7molのCo2+を含む硫酸コバルト水溶液1L(全Feに対しCo換算で5.5mol%に該当する。)とを上記混合アルカリ水溶液に添加し、上記条件でさらに5時間熟成(Co添加時期の全熟成時間に対する比率40%)した後、空気を通気しながら、8時間酸化反応を行ってゲータイト粒子を生成させてゲータイト種晶粒子を含む懸濁液を得た。
<ゲータイト粒子の成長反応>
次いで、前記懸濁液の入った気泡塔に8.0molの炭酸ナトリウムと、6.3molの水酸化ナトリウムと、1.1molのAl3+を含む硫酸アルミニウムとを含む混合水溶液10Lを投入し、窒素ガスを通気しながら50℃に調整した。さらに6.3molのFe2+を含む硫酸第一鉄水溶液3.5Lを気泡塔中に投入して上記条件で0.5時間熟成した後、空気を通気しながら、2時間酸化反応を行ってゲータイト粒子を成長させ、ゲータイト粒子を含む懸濁液を得た。その後、フィルタープレスで電気伝導度100μS/cmまで水洗を行ってプレスケーキを得た。
<ヘマタイトの製造条件>
次いで、上記のようにして得られたゲータイト粒子770g(Feとして8.7mol)を含有するプレスケーキを15Lの水中に十分に分散させた後、当該分散液に、前記ゲータイト粒子中の全Feに対しAlとして2.5mol%に該当する硫酸アルミニウムを含む硫酸アルミニウム水溶液と0.1Mの水酸化ナトリウム水溶液を、pH9に調整しながら添加した。その後、前記ゲータイト粒子中の全Feに対しY(イットリウム)として0.5mol%に該当する塩化イットリウムを含む塩化イットリウム水溶液と0.1Mの水酸化ナトリウム水溶液を、pH9に調整しながら添加した。その後フィルタープレスで水洗し、得られたプレスケーキを圧縮成型機を用いて孔径4mmの成型板で押し出し成型して120℃で乾燥してY化合物が被覆されたゲータイト粒子成型物を得た。Y化合物が被覆されたゲータイト粒子を、空気中において660℃で加熱脱水してY化合物を含有するヘマタイト粒子を得た。その後、ヘマタイト粒子を水洗し、得られたケーキを120℃で乾燥した後、カッターミルで粉砕し、実施例1のヘマタイト粒子(粉末)を得た。
上記実施例1と同様にして、一部の製造条件を変更して実施例2~17及び比較例1~4のヘマタイト粒子を得た。実施例1~17及び比較例1~4におけるゲータイト粒子の生成反応、ゲータイト粒子の成長反応及びヘマタイト粒子の製造条件について、それぞれ以下の表1~3に示す。なお、実施例2~17及び比較例1~4において、表1~3に示す実施例1との差異以外は、実施例1と同一の条件を用いた。
<ヘマタイト粒子の特性分析>
実施例8のヘマタイト粒子の粒子形態を電子顕微鏡にて観察した。その写真を図1に示す。図1に示すように、実施例8のヘマタイト粒子は、紡錘状の粒子であり、概ねその粒径は、平均長軸径が134nm、平均短軸径が24nmであり、平均長軸径/平均短軸径は5.6であった。実施例3のヘマタイトの電子顕微鏡でのヘマタイト粒子の元素分析から算出したNd/Fe、Al/Fe、Co/Feはそれぞれ1.1、6.0、4.0であり、XRFから算出した値とほぼ同じであり、各元素はヘマタイト粒子内あるいは表面上に存在している。
また、各実施例及び比較例のヘマタイト粒子に対して、X線回折(XRD)(D8 ADVANCE、BRUKER製)で集中法により粒子の結晶相を分析し、さらに、走査型蛍光X線(XRF)分析装置(ZSX PrimusII、株式会社Rigaku製)を用いて元素分析を行った。元素分析により得られた粒子中の各元素の含有量から粒子中のS/Al、Y/Fe、Nd/Fe、Co/Fe、Al/Feの各元素の比率を算出した。電子顕微鏡の観察及び元素分析は、多機能電子顕微鏡(JEM-F200、日本電子株式会社製)エネルギー分散形X線分光器(EDS、日本電子株式会社製)を用いた。平均長軸径及び平均短軸径の測定は、画像解析式粒度分布測定ソフトウェア(Mac-View、株式会社マウンテック製)を用いて各200点以上の粒子から算出した。BET比表面積は、全自動ガス吸着測定装置(autosorb、カンタクローム社製)で測定した。それらの結果を下記表4に示す。
さらに、各実施例及び比較例のヘマタイト粒子を触媒として用いた場合において、炭化水素の熱分解により得られる水素生成量を測定した。具体的に、まず周長0.48mの回転反応部(レトルト)を用いたバッチ式回転炉に、3gの各実施例及び比較例のいずれかのヘマタイト粒子を触媒として予め投入した。その後、不活性雰囲気で回転炉を5.67rpmで回転させながら1時間程度で昇温し、700℃で不活性ガスからメタンを含む13Aガスに切り替えてガス流量を2L/minとして1時間反応を行うことによって、DMRにより水素及びカーボンナノチューブを含む固体炭素を生成した。回転炉の出口における排気ガスを、マイクロガスクロマトグラフィー装置(ジーエルサイエンス株式会社製)を使用し、出口水素濃度から1時間の積算水素生成量を算出した。その結果も表4に示す。
表4に示すように、各実施例及び比較例の粒子はヘマタイト相を有するヘマタイト粒子であり、大半はヘマタイト相のみからなるヘマタイト粒子であったが、実施例5、6、11、17及び比較例1は、ヘマタイト相が主相であって一部マグネタイト相が含まれていた。また、表4に示すように、各実施例では、粒子中の全Fe元素に対するY元素の比率(Y/Fe)又は粒子中の全Fe元素に対するNd元素の比率(Nd/Fe)が0.1~3mol%であり、且つ粒子中の全Fe元素に対するAl元素の比率(Al/Fe)が5~55mol%であることが確認された。一方、各比較例では、Y/Fe及びAl/Feの少なくとも一方が上記数値範囲外であった。
表4に示すように、各実施例のヘマタイト粒子を用いて水素を製造した場合は、1時間で1.5mol以上の水素を製造でき、一方、各比較例のヘマタイト粒子を用いた場合は、水素の製造量は1時間で1.5mol未満であり、各実施例のヘマタイト粒子を用いた場合よりも水素の製造効率が低いことが明らかとなった。従って、各実施例のヘマタイト粒子を触媒として用いると、高い効率で炭化水素から水素を製造でき、このため、同様にカーボンナノチューブも高い効率で製造できると考えられる。
以上から、粒子中の全Fe元素に対する希土類元素の比率が0.1~3mol%であり、且つ粒子中の全Fe元素に対するAl元素の比率が5~55mol%であるヘマタイト粒子を含む本発明に係る触媒は、炭化水素の熱分解効率を向上でき、水素及びカーボンナノチューブの製造効率を向上できて有用である。

Claims (10)

  1. 炭化水素の熱分解用触媒であって、
    前記触媒はヘマタイト粒子であり、
    前記ヘマタイト粒子は、粒子中の全鉄(Fe)元素に対して0.1~3mol%の希土類元素を含有し、粒子中の全Fe元素に対して25~55mol%のアルミニウム(Al)元素を含有することを特徴とする触媒。
  2. 前記ヘマタイト粒子は、粒子中の全Fe元素に対して10mol%未満のコバルト(Co)元素を含有することを特徴とする請求項1に記載の触媒。
  3. 前記希土類元素は、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジウム(Pr)、ネオジム(Nd)及びサマリウム(Sm)から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1又は2に記載の触媒。
  4. 前記ヘマタイト粒子は、平均短軸径に対する平均長軸径の比率(平均長軸径/平均短軸径)が2~9であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の触媒。
  5. 前記ヘマタイト粒子は、平均長軸径が1000nm以下であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の触媒。
  6. 前記ヘマタイト粒子は、平均短軸径が200nm以下であることを特徴とする請求項1~5に記載の触媒。
  7. 前記ヘマタイト粒子は、BET比表面積が10m/g以上であることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の触媒。
  8. 請求項1~7のいずれか1項に記載の触媒を用いて炭化水素を熱分解することを含むカーボンナノチューブ及び水素製造方法。
  9. 前記炭化水素は、少なくともメタンを含む請求項8に記載のカーボンナノチューブ及び水素製造方法。
  10. 前記カーボンナノチューブ及び水素はメタン直接改質により得られる請求項8又は9に記載のカーボンナノチューブ及び水素製造方法。

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ALEXIADIS et al.,Materials Chemistry and Physics,2011年07月15日,Vol.128 No.1-2,Page.96-108

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