以下、図面を参照し、本発明の一実施形態のケーブルの弛み除去機構およびサンシェード開閉装置を説明する。以下、ケーブルの弛み除去機構およびサンシェード開閉装置が、建設機械に設けられた例を挙げて、本実施形態のケーブルの弛み除去機構およびサンシェード開閉装置を説明する。しかし、本発明のケーブルの弛み除去機構およびサンシェード開閉装置は、以下の実施形態に限定されるものではなく、建設機械以外の窓ガラスを有する車両、窓ガラスを有する他の構造に適用されてもよい。なお、本明細書において、「Aに垂直」およびこれに類する表現は、Aに対して完全に垂直な方向のみを指すのではなく、Aに対して略垂直であることを含んで指すものとする。また、本明細書において、「Bに平行」およびこれに類する表現は、Bに対して完全に平行な方向のみを指すのではなく、Bに対して略平行であることを含んで指すものとする。また、本明細書において、「C形状」およびこれに類する表現は、完全なC形状のみを指すのではなく、見た目にC形状を連想させる形状(略C形状)を含んで指すものとする。
<第1実施形態>
本実施形態のケーブルの弛み除去機構(以下、単に弛み除去機構と呼ぶ)1は、図2~図4に示されるように、窓ガラスW1、W2を覆う方向である閉方向D1と、閉方向D1とは反対側の開方向D2とを含む開閉方向Dに動作するサンシェード本体21、および、サンシェード本体21の閉方向D1側の端部に設けられた端部部材22を有するサンシェード部材2に取り付けられ、サンシェード部材2を閉方向D1に移動させるケーブル3(第1ケーブル3a、第2ケーブル3b)と、ケーブル3を巻き取るドラム41を有し、ドラム41を回転させることで、ケーブル3をドラム41に巻き取り、繰り出す駆動部4とを備えている。また、サンシェード開閉装置DVは、弛み除去機構1と、サンシェード本体21、および、サンシェード本体21の閉方向D1側の端部に設けられた端部部材22を有するサンシェード部材2とを備えている。
弛み除去機構1は、後述するようにケーブル3の弛みを除去する機構である。弛み除去機構1は、サンシェード部材2に取り付けられる。弛み除去装置1は、は、サンシェード部材2に取り付けられたときに、サンシェード部材2が開放限度位置まで移動した全開位置と、サンシェード部材2が閉鎖限度位置まで移動した全閉位置との間で移動するように、サンシェード部材2を駆動する。本実施形態では、サンシェード部材2の全開位置は、窓ガラスW1、W2をほぼ覆わないように開放した状態(図4B参照)である。また、本実施形態では、サンシェード部材2の全閉位置は、図4Aに示されるように、窓ガラスW1、W2を完全に覆った状態である。なお、サンシェード部材2の全開位置は、サンシェード部材2が窓ガラスW1、W2を全く覆っていない位置であってもよいし、わずかに覆っている位置であってもよい。また、サンシェード部材2の全閉位置は、サンシェード部材2によって窓ガラスW1、W2が覆われていない部分が存在しても構わない。サンシェード部材2は、必要に応じて全開位置と全閉位置との間を移動して、サンシェード部材2によって窓ガラスW1が少なくとも部分的に覆われる遮光状態(図2におけるサンシェード部材2の位置参照)とされる。これにより、窓ガラスW1、W2を介して日光等の光が透過することを遮ることができる。サンシェード部材2の遮光状態はサンシェード部材2の開閉方向Dでの位置を調整することで、調整可能である。
サンシェード開閉装置DV(弛み除去機構1)は、窓ガラスを有する取付対象に取り付けられる。サンシェード開閉装置DV(弛み除去機構1)の取付対象は、窓ガラス(本実施形態では、窓ガラスW1、W2)を有するものであれば、特に限定されない。サンシェード開閉装置DV(弛み除去機構1)の取付対象は、例えば、建設機械等の重機などを含む車両とすることができる。なお、車両という用語は、タイヤを有する車両以外に、無限軌道を有する装軌車両等を含む。以下、弛み除去機構1およびサンシェード開閉装置DVが設けられた建設機械CM(図1参照)を例にあげて、弛み除去機構1およびサンシェード開閉装置DVを説明する。なお、建設機械CMの構造は、図示するものに限定されず、様々な構造とすることができる。
図1に、弛み除去機構1およびサンシェード開閉装置DVが設けられる建設機械CMの一例が示されている。図1に示される建設機械CMは、いわゆる油圧ショベルである。本実施形態では、建設機械CMは、クローラ式の下部走行体Lと、下部走行体L上に旋回自在に搭載された上部旋回体Uとを備えている。建設機械CM(上部旋回体U)は、図1および図2に示されるように、キャブCを有している。キャブCは、図2に示されるように、複数の窓ガラスW1、W2、W3を有している。具体的には、キャブCは、キャブCの前方に設けられた前窓ガラスW1、キャブCの上方(天井)に設けられた天井窓ガラスW2を有している。また、キャブCは、キャブCの側方に設けられた側方窓ガラスW3を備えている。前窓ガラスW1、天井窓ガラスW2、側方窓ガラスW3は、いずれも公知の窓ガラスを用いることができるので、詳細な説明は省略する。なお、サンシェード部材2によって遮蔽される窓ガラスは、前窓ガラスW1および天井窓ガラスW2に限定されず、前窓ガラスW1のみであってもよいし、天井窓ガラスW2のみであってもよいし、他の窓ガラスであってもよい。
本実施形態では、図2および図4に示されるように、弛み除去機構1により動作するサンシェード部材2は、前窓ガラスW1および天井窓ガラスW2を遮光するように構成されている。本実施形態では、弛み除去機構1がサンシェード部材2の端部部材22に取り付けられたときに、駆動部4が、ケーブル3を巻き取ることによって、サンシェード部材2の全開状態から全閉状態となるまでに、サンシェード部材2の端部部材22を水平方向(水平方向でキャブCの前方)に移動した後、鉛直下方に移動するように構成されている。本実施形態では、サンシェード部材2の閉方向D1は、水平方向でキャブCの前側方向および鉛直下方向となる。また、サンシェード部材2の開方向D2は、水平方向でキャブCの後側方向および鉛直上方向となる。しかし、閉方向および開方向は、遮光されるべき窓ガラスが延びる方向や、サンシェード開閉装置DVの設置の仕方などに応じて変更されるので、上述した以外の方向となり得る。
サンシェード部材2は、窓ガラスW1、W2を少なくとも部分的に覆い、窓ガラスW1、W2を介して入り込む光を遮る。本実施形態では、サンシェード部材2は、後述するように、駆動部4によってケーブル3が操作されることによって、ケーブル3が取り付けられたサンシェード部材2が開閉方向Dに移動する。サンシェード部材2を閉方向D1に移動させることによって、サンシェード部材2により窓ガラスW1、W2が覆われる面積が大きくなり、所望の遮光状態とすることができる。また、遮光の必要がなくなった場合など、サンシェード部材2を開方向D2に移動させることによって、サンシェード部材2により窓ガラスW1、W2が覆われる面積を小さくして、窓ガラスW1、W2からの見通し状態を良くすることができる。
サンシェード部材2は、窓ガラスW1、W2を有する取付対象に取り付けられる。本実施形態では、サンシェード部材2は、図2および図4に示されるように、キャブC内の天井面において、天井窓ガラスW2の後方に取り付けられている。サンシェード部材2の取付対象への取付方法は特に限定されず、公知の取付方法によって取り付けることができる。
本実施形態では、サンシェード部材2は、図3および図4に示されるように、サンシェード本体21と、サンシェード本体21の閉方向D1側の端部に設けられた端部部材22とを有している。また、本実施形態では、サンシェード部材2は、ロールスクリーン状の巻取式サンシェード部材として構成され、巻取軸23をさらに有している。なお、サンシェード部材2の構造は、弛み除去機構1がサンシェード部材2に取り付けられたときに、駆動部4によってケーブル3が操作されることによって開閉方向Dに移動することができれば、特に限定されない。例えば、サンシェード部材は、サンシェード本体が巻き取られずに、単に開閉方向Dにスライドすることで開閉するものであってもよい。
サンシェード本体21は、窓ガラスW1、W2を少なくとも部分的に覆うことができるように所定の面積を有するシート状の遮光部材である。サンシェード本体21は、閉方向D1と開方向D2とを含む開閉方向Dに動作する。サンシェード本体21の形状や大きさは特に限定されない。本実施形態では、サンシェード本体21は、窓ガラスW1、W2の幅(幅方向WDの長さ)に応じた所定の幅を有する矩形状の遮光シートによって構成されている。サンシェード本体21の材料は、遮光性を有していれば特に限定されず、例えば、公知のサンシェード、遮光シートに用いられる材料とすることができる。本実施形態では、サンシェード本体21の閉方向D1側の端部は端部部材22に接続され、サンシェード本体21の開方向D2側の端部(図示せず)は巻取軸23に接続されている。
巻取軸23は、サンシェード本体21を巻き取る軸部材である。本実施形態では、巻取軸23は、図3に示されるように、サンシェード部材2の幅方向WDに延びている。巻取軸23は、本実施形態では、図示しない取付部を介して、キャブCに取り付けられている。巻取軸23は、軸周りに回転することによって、サンシェード本体21を巻き取りし、繰り出しするように構成されている。
本実施形態では、サンシェード部材2はさらに、サンシェード部材2を開方向D2に付勢する付勢部材S(図4参照)を備えている。付勢部材Sを備えている場合、サンシェード部材2にケーブル3等、他の部材から力が加わらない場合、付勢部材Sの付勢力によってサンシェード部材2を開方向D2に移動させることができる。付勢部材Sは、例えば巻取軸23に設けることができる。付勢部材Sによって巻取軸23がサンシェード本体21を開方向D2に移動させる方向に回転することで、サンシェード本体21が巻取軸23に巻き取られて、サンシェード部材2を開放状態とすることができる。付勢部材の種類や構造は、サンシェード部材2を開方向D2に付勢することができれば、特に限定されない。付勢部材Sは、例えば、巻取軸23を軸周りに回転させることができるバネとすることができる。
端部部材22は、サンシェード部材2の閉方向D1側の端部に設けられる部材である。端部部材22には、後述するように、弛み除去機構1がサンシェード部材2の端部部材に取り付けられることによってケーブル3が(間接的に)接続されることで、ケーブル3が所定の方向に操作されたときに、端部部材22を介してケーブル3に加わった力がサンシェード部材2に伝達されて、サンシェード部材2が開閉方向Dに移動するように構成されている。
端部部材22の形状および構造は、サンシェード部材2の閉方向D1側の端部に設けられ、ケーブル3を接続することができれば、特に限定されない。本実施形態では、端部部材22は、図3に示されるように、サンシェード本体21の閉方向D1側の端部に沿って、サンシェード本体21の開閉方向Dに垂直な方向となる幅方向WDに延びている。
弛み除去機構1は、端部部材22に対して直線動作するように案内され、ケーブル3の一端が接続されるケーブル取付部材222を有している。端部部材22の構造の詳細については後述するが、本実施形態では、図3および図5に示されるように、端部部材22は、基部221を備える。
基部221は、サンシェード本体21の閉方向D1側の端部に設けられ、サンシェード本体21に接続されている。基部221には、ケーブル取付部材222が移動可能に取り付けられる。また、基部221には、後述する回転操作部223が回転操作可能に取り付けられる。
基部221の形状および構造は、ケーブル取付部材222および回転操作部223を取り付けることが可能であれば、特に限定されない。本実施形態では、基部221は、ケーブル取付部材222および回転操作部223を収容する収容空間(図7参照)を有している。本実施形態では、基部221が、図7に示されるように、収容空間を有する幅方向WDに延びる筒状に構成されている。より具体的には、基部221は、図7に示されるように、サンシェード本体21の表面に対して垂直な方向(開閉方向Dおよび幅方向WDに垂直な方向)となる厚さ方向TDの長さが、開閉方向Dの長さに対して短い扁平となる四角筒状に形成されている。基部221は、本実施形態では、図7に示されるように、閉方向D1側の第1面F1と、開方向D2側の第2面F2と、厚さ方向TDの一方側の面(キャブC内の運転者側の面)である第3面F3と、第3面F3に厚さ方向TDで対向する第4面F4とを有している。
基部221は、後述するように、ケーブル取付部材222が基部221に対して直線動作するときに、ケーブル取付部材222を案内する案内面Guを有している。案内面Guは、ケーブル取付部材222を安定して開閉方向Dに直線動作させるために、ケーブル取付部材222の一部と対向して接触する面である。本実施形態では、後述する第1ケーブル取付部材222aに対する案内面Guは、第1ケーブル取付部材222aの2つの面と対向する2つの面(第1面F1および第4面F4)によって構成され、第2ケーブル取付部材222bに対する案内面Guは、第2ケーブル取付部材222bの2つの面と対向する2つの面(第2面F2および第4面F4)によって構成されている。
また、基部221は、図7に示されるように、後述する回転操作部223を回転可能に支持する軸受部Bを有している。軸受部Bは、本実施形態では、基部221の第4面F4に設けられている。
また、本実施形態では、サンシェード部材2が開閉方向Dに移動する際に安定して移動するために、基部221の幅方向WDの両端は、キャブCの窓枠C1(図2参照)に設けられたガイド部材(図示せず)に案内される。ガイド部材は、例えば、前窓ガラスW1および天井窓ガラスW2の幅方向WDで両側において、開閉方向D(キャブCの上下方向および前後方向)に沿って延びるガイドレールとすることができる。
また、本実施形態では、基部221は、幅方向WDの両端にケーブル3(第1ケーブル3a、第2ケーブル3b)を基部221の収容空間内に導入可能な開口部(図示せず)を有している。ケーブル3は、基部221の両端に設けられた、方向転換部材P3によって方向転換されて、基部221の収容空間内に導入されて、ケーブル取付部材222まで延びるように構成されている。基部221の両端の方向転換部材P3は、例えば、基部221の両端部において固定され、上下方向に延びるケーブル3を幅方向WDに方向転換する湾曲面を有するガイド部材、または基部221の両端部において回転可能に設けられたプーリとすることができる。
ケーブル取付部材222は、ケーブル3の一端E1(図5参照)が接続される部材である。また、ケーブル取付部材222は、弛み除去機構1が端部部材22に取り付けられたときに、端部部材22、具体的には基部221に移動可能に取り付けられる。本実施形態では、ケーブル取付部材222は、図5に示されるように、第1ケーブル3aの一端E1が接続され、幅方向WDに直線動作可能な第1ケーブル取付部材222aと、第2ケーブル3bの一端E1が接続され、幅方向WDに直線動作可能な第2ケーブル取付部材222bとを有している。
ケーブル取付部材222は、ケーブル3が所定の方向に操作されたときに、サンシェード部材2を閉方向D1に移動させることができるように、ケーブル3に接続される。また、ケーブル取付部材222は、後述するように、回転操作部223を一方向に回転させることで、基部221に対して一方向に直線動作して、ケーブル3の弛みを除去する。なお、本実施形態では、ケーブル取付部材222は一方向に直線動作してケーブル3の弛みが除去された状態では、後述する移動規制機構RM(図6参照)によって、上記一方向の逆方向に移動することが抑制される。この場合、ケーブル取付部材222は、ケーブル3の弛みが除去された状態で、基部221に対する相対位置が変化することが抑制され、再度ケーブル3に弛みが生じることが抑制される。なお、ケーブル取付部材222および回転操作部223の詳細については後述する。
ケーブル3は、図3および図4に示されるように、サンシェード部材2と駆動部4との間に延びている。ケーブル3の一端E1(図5参照)は、サンシェード部材2に接続され、ケーブル3の他端E2(図8参照)は駆動部4(ドラム41)に接続されている。本実施形態では、ケーブル3は、駆動部4によって駆動されて、サンシェード部材2を閉方向D1に移動させる。本実施形態では、ケーブル3は、サンシェード部材2を閉方向D1に引っ張る力を基部221の両端(基部221の両端に設けられた方向転換部材P3)に加えることで、サンシェード部材2を閉方向D1に移動させる。
ケーブル3の本数は、サンシェード部材2を閉方向D1に移動させることができれば、特に限定されない。本実施形態では、ケーブル3は、図3に示されるように、弛み除去機構1が端部部材22に取り付けられたときに、端部部材22の幅方向WDの一端部(図3における右側の端部)から、後述する駆動部4のドラム41に向かって延びる第1ケーブル3aと、端部部材22の幅方向WDの他端部(図3における左側の端部)からドラム41に向かって延びる第2ケーブル3bとを有している。
ケーブル3の構造は、駆動部4によって駆動されて、サンシェード部材2を閉方向D1に移動させることができれば、特に限定されない。本実施形態では、ケーブル3は、ケーブル本体31と、ケーブル3の一端および他端にそれぞれ設けられたケーブルエンド(以下、ケーブルエンドE1、E2と呼ぶ)を備えている。ケーブル本体31は、所定の長さを有する線状のケーブル部分であり、本実施形態では、サンシェード部材2のケーブル取付部材222と駆動部4との間に延びている。ケーブル本体31は、所定の径を有する鋼線などによって構成することができる。ケーブルエンドE1、E2は、ケーブル本体31に対してケーブル本体31の径方向外側に張り出している。ケーブル3の一端側のケーブルエンドE1は、ケーブル取付部材222のケーブル接続部2221に接続され、ケーブル3の他端側のケーブルエンドE2は、駆動部4のドラム41のケーブル接続部411(図8参照)に接続されている。
ケーブル3の配索経路は、ケーブル3が駆動部4によって駆動されることで、ケーブル3が接続されたサンシェード部材2を閉方向D1に移動させることができれば、特に限定されない。ケーブル3の配索経路は、駆動部4の位置や、サンシェード部材2の開閉方向など、取付対象の仕様によって適宜変更される。本実施形態では、第1ケーブル3aおよび第2ケーブル3bは、端部部材22に対して閉方向D1に延びるように配索されている。より具体的には、第1ケーブル3aおよび第2ケーブル3bは、サンシェード部材2が全開状態のとき(端部部材22が図4Bに示される位置にあるとき)には、駆動部4から、キャブCの天井において幅方向WDに延びて、方向転換部材P1によって方向転換された後、水平方向で前方に延びている(図3参照)。第1ケーブル3aおよび第2ケーブル3bは、キャブCの天井と前面との境界部分で図示しない方向転換部材によって鉛直方向下側に向かって方向転換され、鉛直方向下向きに延びている。本実施形態では、第1ケーブル3aおよび第2ケーブル3bはさらに、図4Aおよび図4Bに示されるように、方向転換部材P2によって、駆動部4から端部部材22に向かう方向で、鉛直方向下向きから鉛直方向上向きに方向転換されている。弛み除去機構1がサンシェード部材2に取り付けられたときに、第1ケーブル3aは、端部部材22の一端から第1ケーブル取付部材222aまで、幅方向WDに延び、第2ケーブル3bは、端部部材22の他端から第2ケーブル取付部材222bまで、幅方向WDに延びるように構成されている。本実施形態では、弛み除去機構1がサンシェード部材2に取り付けられた、サンシェード開閉装置DVにおいて、第1ケーブル3aは、幅方向WDで端部部材22の中央部に向かって延びて、第1ケーブル取付部材222aに接続され、第2ケーブル3bは、幅方向WDで端部部材22の中央部に向かって延びて、第2ケーブル取付部材222bに接続されている。
駆動部4は、サンシェード部材2を閉方向D1に操作するための駆動力を発生させる。駆動部4は、ドラム41を回転させることで、ケーブル3をドラム41に巻き取り、ドラム41から繰り出すように構成されている。駆動部4は、ドラム41を回転させることで、ケーブル3をドラム41に巻き取り、ドラム41から繰り出すように構成されていれば、手動であっても、電動であっても構わない。本実施形態では、駆動部4は、図3および図4に示されるように、ケーブル3を巻き取るドラム41と、ドラム41を回転させるモータ42とを有している。
本実施形態では、モータ42の駆動力によって、ドラム41が一方向に回転し、第1ケーブル3aおよび第2ケーブル3bの両方がドラム41に巻き取られて、第1ケーブル3aおよび第2ケーブル3bが端部部材22に対して閉方向D1に引き操作される。これにより、第1ケーブル3aおよび第2ケーブル3bが接続されたサンシェード部材2が閉方向D1に移動する。一方、モータ42の駆動力によって、ドラム41が他方向に回転した場合、第1ケーブル3aおよび第2ケーブル3bの両方がドラム41から繰り出される。本実施形態では、上述したように、巻取軸23が付勢部材Sによってサンシェード本体21を巻き取る方向に付勢されている。この場合、第1ケーブル3aおよび第2ケーブル3bが駆動部4のドラム41から繰り出されたときに、サンシェード本体21が第1ケーブル3aおよび第2ケーブル3bの繰り出しに合わせて、巻取軸23に巻き取られながら開方向D2に移動する。
ドラム41は、第1ケーブル3aおよび第2ケーブル3bをそれぞれ巻き付ける巻回溝をドラム41の外周に有している。また、ドラム41は、ドラム41の一方の端面に、図8Aおよび図8Bに示されるように、第1ケーブル3aのケーブルエンドE2を接続するケーブル接続部411を有している。また、ドラム41は、ドラム41の他方の端面に、第2ケーブル3bのケーブルエンドE1を接続するケーブル接続部(図示せず)を有している。本実施形態では、図8Aおよび図8Bに示されるように、ドラム41は、ケーブル接続部411とドラム41の外周面の巻回溝との間に、巻回溝に対して所定の角度(例えば、ドラム41の外周面からケーブル接続部411に向かう案内経路412の軸線L1と、軸線L1とドラム41の外周面とが交差する位置におけるドラム41の外周面の接線L2との間の角度θが90°~60°、好ましくは80°~70°)でケーブル3を湾曲させて、ケーブル3をドラム41の径方向内側に向かって方向転換する案内部413を有している。これにより、ケーブル3がドラム41から外れにくくなっている。
駆動部4は、例えば、建設機械CMの運転席にあるスイッチ等の駆動操作部(図示せず)を操作することで駆動することができる。この場合、例えば外光が眩しいときなどに、サンシェード部材2を遮光状態に移動させたり、サンシェード部材2が必要無いときに、サンシェード部材2を全開状態へと移動させたり、または、外光の照射角度の変化など、状況に応じて、サンシェード部材2の開閉方向Dでの位置を調節したりすることができる。なお、駆動部4は、電動に限られず、手動操作可能に構成されていてもよい。例えば、駆動部を、ケーブル3を巻き取り可能なドラムと、ドラムを回転可能な手動操作用のハンドルとによって構成することで、駆動部が手動操作可能に構成されていてもよい。また、駆動部の数は特に限定されず、例えば、第1ケーブル3aを駆動する第1駆動部と、第2ケーブル3bを駆動する第2駆動部との2つの駆動部が設けられていてもよい。また、駆動部4は、本実施形態では、キャブCの天井において、天井窓ガラスW2の水平方向で後方に設けられている。しかし、駆動部を設ける位置は特に限定されない。例えば、駆動部は、キャブCの下方に設けられていてもよいし、キャブCの側方に設けられていてもよい。
つぎに、ケーブル取付部材222および回転操作部223の詳細について説明する。
上述したように、弛み除去機構1は、サンシェード部材2の端部部材22に取り付けられたときに、図5に示されるように、端部部材22(本実施形態では基部221)に対して直線動作するように案内されているケーブル取付部材222と、端部部材(本実施形態では基部221)に対して操作可能に取り付けられる回転部Rを有する回転操作部223とを有している。回転部Rは、回転操作部223が端部部材22に取り付けられたときに、回転部Rの回転運動が、ケーブル取付部材222の直線運動に変換されるように、ケーブル取付部材222に直接または間接的に連結される。これにより、後述するように、回転操作部223が一方向に操作されることによって、ケーブル取付部材222が一方向に直線動作して、ケーブル3の弛みが除去される。
ケーブル取付部材222は、回転操作部223が回転することによって、端部部材22に対して所定の方向に直線移動する。これにより、弛み除去機構1がサンシェード部材2に取り付けられた状態において、ケーブル取付部材222がケーブル3の弛みを除去する方向に移動することで、ケーブル取付部材222に接続されたケーブル3の弛みが除去される。ケーブル取付部材222の数は、ケーブル3の本数に応じて設けられ、特に限定されない。本実施形態では、端部部材22は、第1ケーブル取付部材222aおよび第2ケーブル取付部材222bを有している。また、本実施形態では、第1ケーブル取付部材222aおよび第2ケーブル取付部材222bは、端部部材22において幅方向WDの中央部に設けられている。しかし、第1ケーブル取付部材222aおよび第2ケーブル取付部材222bの位置は特に限定されず、端部部材22の中央部以外、例えば、幅方向WDの両端部に設けられていてもよい。第1ケーブル取付部材222aおよび第2ケーブル取付部材222bは、基本的には同様の構造を有しているので、以下でケーブル取付部材222に関して説明した事項は、第1ケーブル取付部材222aおよび第2ケーブル取付部材222bの両方に当てはまる。
ケーブル取付部材222の移動方向は、ケーブル取付部材222が移動したときに、ケーブル3の弛みが除去される方向であれば、特に限定されない。本実施形態では、ケーブル取付部材222の移動方向は、幅方向WDであるが、開閉方向D(キャブCの上下方向)であってもよい。
ケーブル取付部材222の形状および構造は、回転操作部223の回転部Rの回転運動が伝達されて、端部部材22に対して直線動作することができれば、特に限定されない。本実施形態では、ケーブル取付部材222は、図5に示されるように、ケーブル3の一端E1が接続されるケーブル接続部2221と、回転部Rに直接または間接的に連結される、動力伝達部2222を有している。本実施形態では、ケーブル取付部材222は、ピニオンギヤとして設けられた後述する回転部Rと係合する、幅方向WDに延びるラック部材として設けられている。
ケーブル接続部2221は、ケーブル3の一端E1が接続される部位である。本実施形態では、ケーブル接続部2221は、ケーブルエンドE1が収容される収容凹部を有している。本実施形態では、ケーブル接続部2221は、ケーブル取付部材222の移動方向(本実施形態では幅方向WD)の一端に設けられている。
動力伝達部2222は、回転部Rに直接または間接的に連結され、回転部Rの回転運動がケーブル取付部材222の直線運動に変換されるように、動力を伝達する部位である。動力伝達部2222の形状および構造は、回転部Rに直接または間接的に連結され、回転部Rの回転運動がケーブル取付部材222の直線運動に変換されるように、動力を伝達することができれば、特に限定されない。本実施形態では、動力伝達部2222は、ケーブル取付部材222の移動方向(本実施形態では幅方向WD)に沿って複数設けられたラック歯である。
ケーブル取付部材222は、図示しないガイド部材によって移動方向に沿ってガイドされていてもよい。例えば、基部221に移動方向に沿って延びる突条または凹溝を設け、ケーブル取付部材222に、突条または凹溝に係合する案内係合部(図示せず)を設けることで、ケーブル取付部材222を安定して移動させることができる。
回転操作部223は、図5に示されるように、端部部材22(本実施形態では、基部221)に対して回転可能に取り付けられている。回転操作部223は、回転部Rを有し、回転部Rを回転させるために操作される。回転操作部223が操作されて、回転部Rが回転すると、回転部Rの回転運動が、ケーブル取付部材222に伝達されて、ケーブル取付部材222が直線運動する。
回転操作部223は、本実施形態では、図5および図7に示されるように、所定の軸周りに回転する回転部Rと、回転部Rに回転力を加える操作部OPとを備えている。
操作部OPは、操作されたときに回転部Rが回転できるように回転部Rに連結されている。操作部OPの形状および構造は、回転部Rが回転できるように回転部Rに連結されていれば、特に限定されない。操作部OPは、回転部Rと一体に設けられていてもよいし、別体として設けられていてもよい。また、操作部OPは、回転部Rに対して着脱可能であってもよい。本実施形態では、操作部OPは、回転部Rの回転軸AXに対して着脱可能に設けられた操作部材である。この場合、ケーブル3の弛みを取るときなど、必要なときに、操作部OPを、基部221の第3面F3に形成された開口AP(図7参照)から回転部Rに接続することができる。したがって、回転部Rに対する操作が不要なときに、誤って回転部Rを回転させてしまうことが抑制される。
本実施形態では、操作部OPは、回転操作されることによって、回転部Rを回転させるように構成されている。しかし、操作部は、直線的に操作されることによって、操作部の直線運動が回転部Rの回転運動に変換されることで、回転部Rが回転するように構成されていてもよい。また、操作部と回転部との間に、他の伝動部材が介在し、伝動部材を介して操作部に加わった操作力が回転部に伝達されてもよい。
回転部Rは、ケーブル取付部材222を移動させるために、所定の軸周りに回転する部位である。本実施形態では、回転部Rは、基部221に対して回転可能に設けられている。具体的には、基部221は、図7に示されるように、回転部Rの回転軸AXを軸支する軸受部Bを有しており、回転部Rは軸受部Bに回転可能に取り付けられている。
回転部Rは、回転部Rの回転運動が直線運動に変換されるように、ケーブル取付部材222に直接または間接的に連結される。本実施形態では、回転部Rは、図5および図7に示されるように、ケーブル取付部材222の動力伝達部2222に係合する係合部Raを有している。具体的には、回転部Rは、外周に係合歯として構成された係合部Raが形成されたピニオンギヤである。なお、本実施形態では、回転部Rは、ケーブル取付部材222に直接連結されているが、回転部Rは、他の伝動部材を介して間接的にケーブル取付部材222に連結されていてもよい。
また、本実施形態では、サンシェード開閉装置DVは、図6に示されるように、ケーブル取付部材222が一方向に直線動作したときに、一方向とは逆方向の移動を規制する移動規制機構RMを有している。移動規制機構RMは、ケーブル取付部材222が一方向に直線移動して、ケーブル3の弛みが除去された後、ケーブル3が再度弛まないように、ケーブル取付部材222の逆方向の移動を規制する。
移動規制機構RMの形状および構造は、ケーブル取付部材222が一方向に直線動作したときに、一方向(図6における左方向)とは逆方向の移動を規制することができれば、特に限定されない。本実施形態では、移動規制機構RMは、図6に示されるように、ケーブル取付部材222の一方向の移動は許容し、逆方向の移動を規制するように構成された、ケーブル取付部材222に設けられた第1係止部(係止突起)RM1と、基部221に設けられた第2係止部(係止突起)RM2とを有している。本実施形態では、第1係止部RM1および第2係止部RM2はいずれも複数設けられているが、第1係止部RM1および第2係止部RM2のうちのいずれか一方が複数設けられていればよい。
ケーブル取付部材222に設けられた第1係止部RM1は、ケーブル3の弛みが除去される移動方向である一方向に向かうにつれて、基部221に向かう突出量が低くなる傾斜面RM11と、ケーブル取付部材222が対向して接触する基部221の面に対して、ケーブル取付部材222から略垂直に延びる係止面RM12とを有している。基部221に設けられた第2係止部RM2は、ケーブル3の弛みが除去される移動方向である一方向に向かうにつれて、基部221の内面からの突出量が高くなる傾斜面RM21と、基部221の内面から略垂直に延びる係止面RM22とを有している。この場合、ケーブル取付部材222がケーブル3の弛みが除去される移動方向である一方向に移動するときに、ケーブル取付部材222の傾斜面RM11が、基部221の傾斜面RM21を乗り越えながら移動し、逆方向への移動は、ケーブル取付部材222の係止面RM12と基部221の係止面RM22とが係止することによって、規制される。これにより、ケーブル取付部材222が一方向に直線移動してケーブル3の弛みが除去された後、ケーブル3が再度弛まないように、ケーブル取付部材222の逆方向の移動が規制され、ケーブル取付部材222は所定の位置で保持される。
なお、移動規制機構RMは、本実施形態では、ケーブル取付部材222と基部221との間に設けられているが、ケーブル取付部材222が一方向に直線動作したときに、一方向とは逆方向の移動を規制することができれば、他の部位に設けられていてもよい。移動規制機構は、例えばラチェット機構などによって、回転部Rと回転部Rに対して相対回転可能に構成された回転軸AXとの間に設けられていてもよいし、回転軸AXと基部221との間に設けられていてもよい。
上述したように、回転部Rは、回転部Rの回転運動が、ケーブル取付部材222の直線運動に変換されるように、ケーブル取付部材222に直接または間接的に連結されている。これにより、上述したように、回転操作部223が一方向に操作されることによって、ケーブル取付部材222が一方向に直線動作して、ケーブル3の弛みが除去される。ここで、「ケーブル3の弛み」は、ケーブル取付部材222からドラム41までの間の任意の位置でのケーブルの弛みを言い、「ケーブル3の弛みが除去される」とは、ケーブル3が、弛みが除去された状態で維持されることをいう。
上述したように、ケーブル3の弛みが除去されると、ケーブル3の弛みに起因するケーブル3の損傷を抑制することができる。この点について、図8Aおよび図8Bを参照してより詳細に説明する。ケーブル取付部材222とドラム41との間でケーブル3に弛みが生じると、図8Aに示されるように、ドラム41とケーブル3の他端E2との接続部位の近傍で、ケーブル3がドラム41に設けられた案内部413から離れるようにドラム41の外周面から浮いてしまう場合がある。このように、ケーブル3がドラム41の外周面(案内部413)から浮いた状態で、ドラム41がケーブル3を巻き取るように回転した場合、ケーブル3が他の部材と干渉して座屈する場合がある。より具体的には、ドラム41が回転したときに、ケーブル3の浮いた部分311が、ドラムハウジング43に設けられた、ケーブル3がドラムハウジング43の外側へと導出されるケーブル導出部43aの開口縁に接触することで座屈してしまう場合がある。このようにケーブル3に弛みが生じた状態でドラム41によって繰り返しケーブル3の巻き取り操作が行われると、ケーブル3の繰り返しの座屈によって、ケーブル3の端部近傍においてケーブル3が破損してしまう。本実施形態では、回転部Rが回転することによって、ケーブル取付部材222が一方向に直線動作することによって、ケーブル3は、ケーブル取付部材222に向かって引っ張られる。これにより、ドラム41とケーブル3の他端E2との接続部位の近傍で、ケーブル3がドラム41に設けられた案内部413から離れて浮いた部分311は、図8Bに示されるように、案内部413へと案内され、ケーブル3の破損が抑制される。
また、本実施形態では、図5に示されるように、第1ケーブル取付部材222aおよび第2ケーブル取付部材222bは、単一の回転操作部223と直接的に連結されており、単一の回転操作部223の操作によって、第1ケーブル取付部材222aおよび第2ケーブル取付部材2222bが幅方向WDで逆方向に直線移動する(図5における二点鎖線参照)。この場合、単一の回転操作部223が操作されることによって、第1ケーブル取付部材222aおよび第2ケーブル取付部材222bの両方が互いに逆方向に同時に移動する。したがって、第1ケーブル3aおよび第2ケーブル3bが、第1ケーブル取付部材222aおよび第2ケーブル取付部材222bによって同時に引っ張られて、回転操作部223への一度の操作によって、第1ケーブル3aおよび第2ケーブル3bの弛みを同時に除去することができる。したがって、ケーブル3の弛みを除去する際の操作が容易となる。
より具体的に説明すると、本実施形態では、図5に示されるように、共にラック部材として構成された第1ケーブル取付部材222aおよび第2ケーブル取付部材222bは、ラック歯として構成された動力伝達部2222が対向するように、互いに離間して設けられている。本実施形態では、第1ケーブル取付部材222aおよび第2ケーブル取付部材222bは、開閉方向Dで互いに離間して配置されている。第1ケーブル取付部材222aは、基部221の第1面F1に設けられた案内面Guに案内されている。基部221の第1面F1の案内面Guおよび第1ケーブル取付部材222aの案内面Guに対向する面には、上述した移動規制機構RMが設けられており、第1ケーブル取付部材222aの移動方向が一方向に規制されている。第2ケーブル取付部材222bは、基部221の第2面F2に設けられた案内面Guに案内されている。基部221の第2面F1の案内面Guおよび案内面Guに対向する第2ケーブル取付部材222bの面には、上述した移動規制機構RMが設けられており、第2ケーブル取付部材222bの移動方向が一方向に規制されている。
第1ケーブル取付部材222aおよび第2ケーブル取付部材222bの間には、ピニオンギヤである回転部Rが設けられ、回転部Rの外周に設けられた係合部Raは、第1ケーブル取付部材222aおよび第2ケーブル取付部材222bの動力伝達部2222に噛み合っている。本実施形態では、単一の回転操作部223が操作され、回転部Rが一方向(図5において時計方向)に回転すると、第1ケーブル取付部材222aは、幅方向WDで第1ケーブル3aの弛みが除去される方向(図5において左方向)に移動し、第2ケーブル取付部材222bは、幅方向WDで第2ケーブル3bの弛みが除去される方向(図5において右方向)に移動する。これにより、第1ケーブル3aおよび第2ケーブル3bの両方の弛みが除去される。
なお、本実施形態では、第1ケーブル取付部材222aおよび第2ケーブル取付部材222bは、単一の回転操作部223と直接的に連結されている。しかし、単一の回転操作部223の操作によって第1ケーブル取付部材222aおよび第2ケーブル取付部材222bを逆方向に直線移動させることができれば、第1ケーブル取付部材222aおよび第2ケーブル取付部材222bは、他の伝動部材等を介して間接的に回転操作部と連結されていてもよい。
以下、本実施形態の弛み除去機構1がサンシェード部材2に取り付けられた際に、ケーブル3の弛みを除去する方法の一例を説明する。なお、以下の説明はあくまで一例であり、本発明は以下の説明によって限定されるものではない。
図2に示されるように、弛み除去機構1がサンシェード部材2に取り付けられたサンシェード開閉装置DVは、建設機械CMのキャブCに設けられ、第1ケーブル3aおよび第2ケーブル3bは、所定の配索経路でキャブCに配索される。サンシェード開閉装置DVのキャブCへの取り付け直後の初期状態や、所定の期間使用した後などにおいて、第1ケーブル3aおよび第2ケーブル3bに弛みが生じる場合がある。その際、まず、図7に示されるように、基部221に設けられた開口APから操作部OPを差し込み、操作部OPを回転操作部223の回転部Rの回転軸AXに連結させる。これにより、操作部OPの操作力が回転部Rに伝達可能となる。
操作部OPが回転部Rに連結されると、操作部OPを回転させて、回転部Rを一方向(図5において時計方向)に回転させる。回転部Rが一方向に回転すると、回転部Rの回転運動がケーブル取付部材222の直線運動に変換される。これにより、第1ケーブル取付部材222aは、図5において左側に直線動作し、第2ケーブル取付部材222bは、図5において右側に直線動作する。これにより、上述したように、第1ケーブル3aおよび第2ケーブル3bの弛みが除去される。また、第1ケーブル取付部材222aおよび第2ケーブル取付部材222bは、移動規制機構RMによって、ケーブル3の弛みを除去する際に移動した方向とは逆方向の移動が規制されている。したがって、第1ケーブル3aおよび第2ケーブル3bは、弛みが除去された状態で維持される。
また、本実施形態では、単一の回転操作部223によって、第1ケーブル取付部材222aおよび第2ケーブル取付部材222bの両方を移動させるので、第1ケーブル3aおよび第2ケーブル3bの両方にほぼ同じ力が加わる。したがって、例えば、第1ケーブル3aと第2ケーブル3bとを別々に引っ張った場合とは異なり、端部部材22の幅方向WDの両端に設けられた方向転換部材P3にほぼ均等に力が加わる。そのため、端部部材22の両端において互いに異なる力が加わって、端部部材22の幅方向WDの一端側(例えば、左側)が他端側(例えば右側)に対して、開閉方向Dで異なる位置となることで(端部部材22の一方の端部におけるケーブル3の張力が、他方の端部のケーブル3の張力よりも大きいことにより下側に引っ張られることにより)、端部部材22が傾いてしまうことが抑制される。
また、本実施形態では、第1ケーブル3aおよび第2ケーブル3bは、端部部材22の外側においては、開閉方向Dに延びており、端部部材22の基部221内に入る際に、方向転換部材P3によって方向転換されて、幅方向WDに延びている。駆動部4が駆動されて、第1ケーブル3aおよび第2ケーブル3bによって、サンシェード部材2が閉方向D1に移動する際、第1ケーブル3aおよび第2ケーブル3bによって閉方向D1に加わる力の一部は、端部部材22の両端に設けられた方向転換部材P3によって支持される。そのため、第1ケーブル取付部材222aおよび第2ケーブル取付部材222bのケーブル接続部2221や、第1ケーブル取付部材222aおよび第2ケーブル取付部材222bの動力伝達部2222と回転部Rとの間などに、大きな力が加わることが抑制される。したがって、第1ケーブル取付部材222a、第2ケーブル取付部材222b、回転操作部223などの破損を抑制することができる。
<第2実施形態>
第2実施形態は、回転操作部とケーブル取付部材との間に、伝動機構が設けられている点で、第1実施形態と異なる。以下では、第1実施形態と共通する事項についての説明は省略し、相違点を中心に説明する。なお、第1実施形態で説明した事項については、第2実施形態に適用することができる。
本実施形態では、図9および図10に示されるように、弛み除去機構1がサンシェード部材2に取り付けられたときに、単一の回転操作部223と第1ケーブル取付部材222aとの間に、単一の回転操作部223の回転力を第1ケーブル取付部材222aに伝達可能な第1伝動機構T1を備えている。また、単一の回転操作部223と第2ケーブル取付部材222bとの間に、単一の回転操作部223の回転力を第2ケーブル取付部材222bに伝達可能な第2伝動機構T2を備えている。第1伝動機構T1は、第1ケーブル3aに所定の張力が加わったときに、第1ケーブル取付部材222aに伝達される単一の回転操作部223の回転力を遮断する第1トルクリミッタTL1を有している。第2伝動機構T2は、第2ケーブル3bに所定の張力が加わったときに、第2ケーブル取付部材222bに伝達される単一の回転操作部223の回転力を遮断する第2トルクリミッタTL2を有している。
第1伝動機構T1は、弛み除去機構1がサンシェード部材2に取り付けられたときに、回転操作部223と第1ケーブル取付部材222aとの間に配置され、回転操作部223の回転力を第1ケーブル取付部材222aに伝達する。第1伝動機構T1の形状および構造は、回転操作部223と第1ケーブル取付部材222aとの間に配置され、回転操作部223の回転力を第1ケーブル取付部材222aに伝達することができ、第1トルクリミッタTL1を有していれば、特に限定されない。
本実施形態では、第1伝動機構T1は、複数のギヤを備えている。具体的には、第1伝動機構T1は、図9および図10に示されるように、回転操作部223の回転部Rと係合する第1ギヤ(大径ギヤ)G1と、第1ギヤG1と同軸上に設けられ、第1ギヤG1と連動して回転するように構成されている第2ギヤ(小径ギヤ)G2とを備えている。本実施形態では、第2ギヤG2の軸部SHと、第2ギヤG2のギヤ部分との間に、第1トルクリミッタTL1が設けられている。
第2伝動機構T2は、弛み除去機構1がサンシェード部材2に取り付けられたときに、回転操作部223と第2ケーブル取付部材222bとの間に配置され、回転操作部223の回転力を第2ケーブル取付部材222bに伝達する。第2伝動機構T2の形状および構造は、回転操作部223と第2ケーブル取付部材222bとの間に配置され、回転操作部223の回転力を第2ケーブル取付部材222bに伝達することができ、第2トルクリミッタTL2を有していれば、特に限定されない。
第1伝動機構T1と同様に、第2伝動機構T2は、複数のギヤを備えている。具体的には、第2伝動機構T2は、図9および図10に示されるように、回転操作部223の回転部Rと係合する第1ギヤ(大径ギヤ)G1と、第1ギヤG1と同軸上に設けられ、第1ギヤG1と連動して回転するように構成されている第2ギヤ(小径ギヤ)G2とを備えている。本実施形態では、第2ギヤG2の軸部SHと、第2ギヤG2のギヤ部分との間に、第2トルクリミッタTL2が設けられている。
第1トルクリミッタTL1および第2トルクリミッタTL2は、設定されたトルクを超えるまでは、トルクの入力側と出力側との間でトルクを伝達し、設定されたトルクを超えると、入力側と出力側との間でのトルクの伝達を遮断するように構成されている。第1トルクリミッタTL1および第2トルクリミッタTL2は、後述するように、第1伝動機構T1および第2伝動機構T2において、弛みを除去した方のケーブル3が接続されたケーブル取付部材222への回転力の伝達を遮断するように構成されている。
第1トルクリミッタTL1および第2トルクリミッタTL2の形状および構造は、回転部Rの回転力が、弛みを除去した方のケーブル3が接続されたケーブル取付部材222へ伝達されないように構成されていれば、特に限定されない。第1トルクリミッタTL1および第2トルクリミッタTL2は、図10においては簡略化して示しているが、例えば、筒状のハウジングHと、ハウジングHの内側に設けられ、ハウジングHに対して回転可能な筒状のスリーブSLとを有する構成とすることができる。スリーブSLの内側には、第1ギヤG1とともに回転する軸部SHが配置されている。軸部SHは、スリーブSLと軸部SHの回転方向で係合して、スリーブSLと一体的に回転するように構成されている。また、ハウジングHは、第2ギヤG2に、第2ギヤG2の回転方向で係合して、第2ギヤG2と一体的に回転するように構成されている。
第1トルクリミッタTL1および第2トルクリミッタTL2は、設定されたトルクを超えるまでは、トルクの入力側(本実施形態では、第1ギヤG1側)と出力側(本実施形態では、第2ギヤG2側)との間でトルクを伝達する。したがって、回転操作部223が操作され、回転部Rが回転すると、回転部Rの回転力は、第1伝動機構T1において第1トルクリミッタTL1を経由して第1ケーブル取付部材222aに伝達されて、第1実施形態で説明したように、第1ケーブル3aの弛みが除去される。また、回転部Rの回転力は、第2伝動機構T2において第2トルクリミッタTL2を経由して第2ケーブル取付部材222bに伝達されて、第2ケーブル3bの弛みが除去される。
一方、ケーブル3の弛みが除去され、ケーブル3が所定の張力で張った状態となり、ケーブル取付部材222がそれ以上移動できない状態のときに、そのケーブル取付部材222に動力を伝達する第1伝動機構T1または第2伝動機構T2のトルクリミッタは、上述したように回転操作部223の回転力のケーブル取付部材222への伝達を遮断する。具体的には、本実施形態では、設定されたトルクを超えるトルクが加わったときに、ハウジングHとスリーブSLとの間に滑りが生じて、ハウジングHに回転力が伝わらなくなり、スリーブSLは回転するが、ハウジングHは回転しない。
したがって、例えば、第1ケーブル3aの弛み量と第2ケーブル3bの弛み量とが異なる場合に、一方のケーブルの弛みは除去されたが、他方のケーブルの弛みが完全に除去されていない場合に、弛みが除去された方のケーブル3に接続されたケーブル取付部材222には回転操作部223の回転力を伝達せずに、弛みが残っている方のケーブル3に接続されたケーブル取付部材には、回転操作部223の回転力を伝達し続けることができる。したがって、第1ケーブル3aの弛み量と第2ケーブル3bの弛み量とが異なっていたとしても、簡単な構造で、両方のケーブル3の弛みを容易に除去することができる。
以下、第2実施形態の弛み除去機構1がサンシェード部材2に取り付けられた際に、ケーブル3の弛みを除去する方法の一例を説明する。なお、以下の説明はあくまで一例であり、本発明は以下の説明によって限定されるものではない。
まず、第1実施形態と同様に、基部221に設けられた開口APから操作部OPを差し込み、操作部OPを回転操作部223の回転部Rの回転軸AXに連結させる。これにより、操作部OPの操作力が回転部Rに伝達可能となる。
操作部OPが回転部Rに連結されると、操作部OPを回転させて、回転部Rを一方向(図9において反時計方向)に回転させる。回転部Rが一方向に回転すると、第1伝動機構T1においては、回転部Rの回転運動が第1ギヤG1に伝達され、第1ギヤG1が一方向(図9において時計方向)に回転する。第1ギヤG1が回転すると、第1ギヤG1の軸部SHと同軸上に設けられた第2ギヤG2は、第1ケーブル3aの弛みが除去されるまでは、第1ギヤG1と同方向に回転する。第2ギヤG2が回転すると、第2ギヤG2と係合する第1ケーブル取付部材222aは、第1ケーブル3aの弛みが除去される方向である一方向(図9において左側)に移動する。これにより、第1ケーブル3aの弛みが除去される。
一方、回転部Rが一方向に回転すると、第2伝動機構T2においては、回転部Rの回転運動が第1ギヤG1に伝達され、第1ギヤG1が一方向(図9において時計方向)に回転する。第1ギヤG1が回転すると、第1ギヤG1の軸部SHと同軸上に設けられた第2ギヤG2は、第2ケーブル3bの弛みが除去されるまでは、第1ギヤG1と同方向に回転する。第2ギヤG2が回転すると、第2ギヤG2と係合する第2ケーブル取付部材222bは、第2ケーブル3bの弛みが除去される方向である一方向(図9において右側)に移動する。これにより、第2ケーブル3aの弛みが除去される。
ここで、第1ケーブル3aの弛み量が第2ケーブル3bの弛み量よりも大きい場合、第2ケーブル3bの弛みが除去され、第1ケーブル3aの弛みが完全に除去されていない状態が生じる。この場合、第1ケーブル3aの弛みを除去するために、回転操作部223の回転操作を継続する必要がある。回転操作部223の回転操作が継続されると、弛みが完全に除去された第2ケーブル3b側となる、第2伝動機構T2においては、第2トルクリミッタTL2において、トルクの伝達が遮断される。したがって、第2伝動機構T2では、回転部Rによって第1ギヤG1、シャフトSHおよびスリーブSLが回転したとしても、スリーブSLはハウジングHに対して滑りを生じてハウジングHに回転力が伝達されない。したがって、第2伝動機構T2の第2ギヤG2は回転せず、第2ケーブル取付部材222bは直線動作する力を受けず、第2ケーブル3bは弛みが除去された状態のまま、それ以上引っ張り力が加わることはない。
一方、弛みが完全に除去されていない第1ケーブル3a側となる、第1伝動機構T1においては、回転操作部223の回転操作による回転力は、第1トルクリミッタTL1において第1ケーブル取付部材222aに向かって伝達される。具体的には、回転部Rが回転することにより、第1ギヤG1、シャフトSHおよびスリーブSLが回転すると、スリーブSLとハウジングHとの間で滑りは生じずに、スリーブSLの回転がハウジングHに伝達される。したがって、第2ギヤG2が回転し、第1ケーブル取付部材222aは直線動作する力を受けて、図9において左側に移動して、第1ケーブル3aの弛みがさらに除去される。このように、第1ケーブル3aの弛み量と第2ケーブル3bの弛み量とが異なっていたとしても、単一の回転操作部223によって、両方のケーブル3の弛みを容易に除去することができる。