JP7413177B2 - 運転曲線作成装置、運転支援装置および運転制御装置 - Google Patents
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Description
図1は、第1実施形態の運転曲線作成装置の概略構成を示すブロック図である。
運転曲線作成装置10は、列車の運転曲線を作成する。本実施形態による運転曲線作成装置10は、列車以外の移動体の運転曲線作成にも適用できる。以下の説明においては、列車の運転曲線作成を行う場合を例として説明する。
条件設定部21は、列車の走行範囲すなわち出発駅と到着駅の停止位置、出発時刻と到着時刻、衝突回避パターン解除時刻、衝突回避パターンの起点等をシミュレーション条件として設定する。
ここで、第1走行シミュレーションでは、衝突回避パターンに抵触するまでの速度の異なる複数の運転曲線を作成する。
また、第2走行シミュレーションは、第1走行シミュレーションで調整した速度に対し、速度増分を付加した上で、惰行条件の異なる複数の運転曲線を作成する。
図2は、運転曲線作成装置による処理手順の一例を示すフローチャートである。
演算部12の条件設定部21は、列車の走行範囲を設定する(ステップS11)。
ここで、走行範囲とは、例えば、出発駅の停止位置から到着駅の停止位置までをいう。
設定した衝突回避パターン解除時刻の値は、後述する走行シミュレーションで参照される。なお、衝突回避パターン解除時刻の代わりに、先行列車の駅出発時刻の予測値を取得し、先行列車の駅出発時刻の予測値に衝突回避パターン解除までの時間を加えることで衝突回避パターン解除時刻を算出してもよい。
運転曲線1aは、図3に示すように、衝突回避パターンPTCへの抵触後は当該衝突回避パターンPTCに従って減速、停止し、当該衝突回避パターンPTCの解除時刻まで停止を継続する。なお、衝突回避パターンPTCへの抵触までの速度(以下、速度Aと称する)は、制限速度VLMに対して所定の速度余裕(例えば、3km/h)をとって設定したものであり、これを最速条件としている。
運転曲線1bは、図4に示すように、衝突回避パターンPTCの解除時刻までの運転曲線1aを引き継いでいる。そして、運転曲線1bは、衝突回避パターンPTCの解除後は、当該衝突回避パターンの起点PCに停止した状態から、到着駅の停止位置PSを起点とした駅停止パターンPTSに抵触するまで再加速する。そして、その後は、駅停止パターンPTSに従って減速し、停止する。
次に運転曲線評価部24は、ステップS16における第1走行シミュレーションの結果に基づき、走行時間を評価し、走行時間が最短となったか否かを判断する(ステップS17)。
ステップS17において、走行時間が最短の運転曲線であるか否かは、走行時間が減少から増加に転じることで判定してもよいし、作成した複数運転曲線のうち最も走行時間の短いものを選択してもよい。
図5に示す運転曲線2a’、2b’は、速度Aを図4に示した最速に対して22km/h下げた場合であり、衝突回避パターン起点PCへの停止を回避できている。
図6の運転曲線2a、2bは、速度Aを図4に示した最速に対して27km/h下げた場合であり、衝突回避パターンへの抵触による速度低下が運転曲線2a’、2b’よりも小さくなっている。
図7の運転曲線2a”、2b”は、速度Aを図4に示した最速に対して36km/h下げた場合であり、当該衝突回避パターンに抵触する衝突回避パターン解除時刻において、丁度当該衝突回避パターン上の位置に到達している。この結果、列車は、減速することなく再加速に移行している。
また、図5に示した運転曲線2a’、2b’は運転曲線1a、1bの走行時間に対して、2.5秒短い。
さらに図7に示した運転曲線2a”、2b”は、運転曲線1a、1bと同じ走行時間となっている。
図8に示すように、走行時間が極小となる速度Aが存在する。速度Aが最速の場合、衝突回避パターン起点に5秒ほど停止する。最速に対して速度Aの低減が小さい範囲では停止時間は減少するが、衝突回避パターン解除時刻に停止状態から再加速を開始する条件は変わらないため、走行時間は一定となる。速度Aをさらに低減すると、衝突回避パターン起点への停止を回避でき、再加速の時間が減少して走行時間が短くなる。走行時間は、所定の速度Aで極小となった後、増加に転じる。速度Aをさらに低減すると、衝突回避パターンへの抵触を完全に回避できるが、当該衝突パターンの解除時刻における列車位置が到着駅から遠くなるため、走行時間は長くなる。
速度Aが低いほど消費電力量は小さくなる。これは、以下の理由による。
第1は、速度Aが低いほど、衝突回避パターン抵触前の加速エネルギーと走行抵抗が小さいためである。また、第2は、衝突回避パターン抵触後の減速と再加速が少ないためである。
図10においては、走行時間が最短である図6の運転曲線2a、2bに対して仮想の速度制限を設定した例を示している。
衝突回避パターン解除時刻において、減速から加速に変化しており、当該点に灰色の太線で示した仮想の速度制限を設定する。速度制限区間の長さは、付加したい惰行区間長さに応じて設定する。
速度Aに対して速度増分を付加する理由は、後述のステップS21~S22において、衝突回避パターンへの抵触前に惰行を付加して省エネを図るためである。すなわち、惰行によって走行時間が長くなることを踏まえている。
従って、自列車のさらに後続の列車の接近状況に応じて速度増分を調整してもよい。
図11において、運転曲線3aは、走行時間が最短である図6の運転曲線2a、2bに対して、ステップS18の仮想速度制限の設定と、ステップS19の速度Bの設定を行い、走行シミュレーションにより作成した、駅出発から衝突回避パターン解除時刻までの運転曲線である。
ここで、衝突回避パターンPTC’は、仮想の速度制限を考慮しており、途中に短い定速走行区間がある。
図12の運転曲線3bは、衝突回避パターンPTC’の解除時刻までの運転曲線3aを引き継ぎ、走行シミュレーションにより、当該衝突パターンPTC’の解除後から到着駅停止までの運転曲線を作成した例である。
この場合において、駅停止パターンに抵触するまで再加速した後、駅停止パターンに従った減速に移行する際、加速と減速の間に惰行を付加している。
この場合において、惰行条件は、惰行による速度低下量または惰行開始位置で調整する。
運転曲線4a、4bは、図13に示すように、出発後の加速の終了後、衝突回避パターン抵触まで惰行となっている。また、衝突回避パターンによる減速と再加速の間、再加速と駅停止パターンによる減速の間も惰行となっていることがわかる。
図11及び図12に示した惰行を付加しない運転曲線3a、3bに対し、図14に示した運転曲線4a、4bの走行時間が最も短くなっている。なお、再加速と駅停止パターンによる減速の間の惰行は共通であり、惰行条件の調整範囲外である。
例えば、図7に示した運転曲線2a”、2b”のような運転曲線を選択するようにしてもよい。
第1実施形態の運転曲線作成装置10で作成した運転曲線は、列車の定時運転や省エネ運転のために活用できる。
また、列車の速度と位置に応じて、運転曲線に従って走行するための運転制御指令を算出し、自動で省エネ運転を行うようにしてもよい。
本第2実施形態は、第1実施形態の運転曲線作成装置10を備えた運転支援装置の実施形態である。
図15は、第2実施形態の運転支援装置の概要構成ブロック図である。
運転支援装置31は、例えば、列車の先頭車両32に設置される。
この先頭車両32には、運転支援装置31の他に、列車の速度と位置を検出する速度位置算出部33が設置されている。
運転支援装置31は、図1の運転曲線作成装置10の他に、運転支援情報作成部35と、運転支援情報表示部36と、を備えている。
例えば、運転支援情報作成部35は、列車の位置に応じた運転曲線上の速度を算出する。そして、運転支援情報作成部35は、目標速度として表示したり、列車の速度と目標速度の差異に基づき、目標運転操作を表示したりする。
この場合において、運転支援情報は音声によって提示してもよい。
図16は、第3実施形態の運転曲線作成装置10を備えた運転制御装置の概要構成ブロック図である。
図16において、図15と同様の部分には、同一の符号を付すものとする。
第3実施形態の運転制御装置41は、列車の自動運転を行うものである。
運転制御装置41は、例えば、列車の先頭車両32に設置される。この先頭車両32には、運転制御装置41の他に、速度位置算出部33と、駆動制動制御装置42とが設置されている。
運転制御装置41は、図1の運転曲線作成装置10の他に、運転制御情報作成部43と、運転制御情報送信部44とを備えている。
駆動制動制御装置42は、運転制御情報に基づき、モータの駆動と制動を制御するとともに、図示しないブレーキ装置の動作を制御することで、省エネ運転曲線に従った適切な運転を自動で行うことができる。
以上の説明においては、衝突回避パターンとその解除時刻が1組の場合を想定して説明したが、先行列車の進行に従って衝突回避パターン徐々に駅停止パターンに近づくような場合、すなわち衝突回避パターンとその解除時刻が複数の場合にも適用が可能である。また、移動体として、列車の場合について説明したが、所定の経路(列車の場合の線路)上を、順次予定の到着位置(列車の場合の到着駅)に移動する移動体であれば、同様に適用が可能である。
11 データ入出力部
12 演算部
13 車両路線情報データベース
21 条件設定部
22 シミュレーション実行部
23 パラメータ調整部
24 運転曲線評価部
31 運転支援装置
32 先頭車両
33 速度位置算出部
34 速度発電機
35 運転支援情報作成部
36 運転支援情報表示部
41 運転制御装置
42 駆動制動制御装置
43 運転制御情報作成部
44 運転制御情報送信部
Claims (5)
- 衝突回避パターン解除時刻の予測結果に基づいて運転曲線作成条件を設定する条件設定部と、
所定のパラメータを用いて、衝突回避パターン起点および駅停止位置から進行方向と逆向きに移動体の挙動を模擬する逆行計算を行うとともに、進行方向に移動体の挙動を模擬する順行計算を行い、運転曲線を作成するシミュレーション部と、
前記シミュレーション部で用いる前記パラメータを調整するパラメータ調整部と、
前記シミュレーション部で作成した運転曲線の走行時間を評価する運転曲線評価部とを備え、
前記シミュレーション部は、前記順行計算において、衝突回避パターン解除時刻に応じて当該衝突回避パターンを起点とする逆行計算結果と、到着位置を起点とする逆行計算結果と、を切り替えて運転曲線を作成し、
前記運転曲線評価部は、前記シミュレーション部で作成した運転曲線のうち、前記到着位置により早く到着する運転曲線を選択する、
運転曲線作成装置。 - 前記パラメータ調整部で調整するパラメータが前記移動体の速度である、
請求項1に記載の運転曲線作成装置。 - パラメータ調整部で調整するパラメータが惰行量である、
請求項1又は請求項2に記載の運転曲線作成装置。 - 請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の運転曲線作成装置と、
前記運転曲線作成装置で作成した運転曲線に基づいて運転支援情報を作成し、前記運転支援情報を前記移動体の運転士に提示して運転を支援する運転支援情報作成部と、
を備えた運転支援装置。 - 請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の運転曲線作成装置と、
前記運転曲線作成装置で作成した運転曲線に基づいて運転制御情報を作成し、前記運転制御情報に基づいて前記移動体の運転を制御する運転制御情報作成部と、
を備えた運転制御装置。
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