JP7412025B2 - 衛生吸収具 - Google Patents

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Description

本発明は、被介護者および病人などが排泄する水分率が90%以上で粘性が低く流動性が高いにも関わらず吸水度が極めて低い難吸収性の水様便等の漏れ抑制効果に優れた介護用おむつ、生理用ナプキン、産前産後用パッド、および分娩台用シートなどとして好適に実施することができる衛生吸収具に関する。
近年、被介護者に用いられる、いわゆる市販の使い捨て紙おむつは、1日あたり4回~5回程度の交換で質の高い介護ができるまでに品質が向上している。これによって、介護 士の排泄処理作業の手間が軽減され、より高度で質の高い介護に取り組める環境作りを支援することができる。少ない人数で効率よく介護できるので、低コスト化が進み、人手不足解消の一助となっている。これは、身体は不自由であるが、身体機能が健常な被介護者の場合であるが、体調に問題があり、下剤、点滴の投与などの治療または処置を要する被介護者の場合、多くの未解決の問題がある。
上記の要治療被介護者の入所している医療施設では、一人の介護福祉士が20~40人もの多数の被介護者の介護を担当し、ひとたび排泄による周囲の汚染が起こると、シーツおよび寝具の交換、被介護者の清拭などの作業に多くの時間と労力とを要することになる。体調に問題のある被介護者は、運動不足等によって便秘になりやすく、便秘を解消するために下剤を服用する場合も多く、このような服薬によって被介護者は水様便を排泄する場合が多い。便質としては、通常便は水分率が70%~80%、泥状便であれば水分率が80%~90%、水様便は水分率90%以上である。水様便になると、通常の排尿に加えて、粘性が低く流動性が高いにも関わらず吸水度が極めて低い難吸収性の便質である。このような水様便を排泄すると、上記の高機能化しているおむつであっても、水様便の吸収が間に合わず、外部へ漏れてしまい、身体は本より、衣類、シーツ、布団、などの周囲に配置されている物体を汚損してしまう。このような水様便の排泄後の処置に介護福祉士は、多大な時間と労力とを要してしまうという問題がある。このような問題を解決し得る衛生吸収具が所望されている。このようなおむつは、実施技術であり、記載すべき先行技術文献は見つかっていない。
本発明の目的は、水分率が90%以上で粘性が低く流動性が高いにも関わらず吸水度が極めて低い難吸収性の水様便等の排泄物を外部へ漏れることなく回収することができる衛生吸収具を提供することである。
本発明は、液体透過性を有する、展開状態で矩形状の第1シートと、
前記第1シートに重なった状態で該第1シートに接合された、液体不透過性を有する裏面シートと、
前記第1シートと前記裏面シートとの間に配設され、液体吸収性を有する吸収体と、
前記第1シート上に位置し、前記第1シートおよび前記裏面シートに接合された、液体吸収性を有する第2シートであって、該第2シートの長手方向に沿って延びる複数の切込みが、前記長手方向に垂直な幅方向に間隔をあけて複数列、形成された第2シートと、を備え
前記切込みは、前記第2シートの幅方向に隣接する切込み列毎に交互に、前記切込みの長手方向の間隔の半分の長さだけ前記長手方向にずれて位置し、
前記第2シートは、各切込み間で前記第1シート上に位置する切込み間部分を有することを特徴とする衛星吸収具である。
本発明の衛星吸収具は、基端部と遊端部とを有する、一対のギャザーシートであって、前記第2シートの前記幅方向両側の一側部および他側部に基端部がそれぞれ接合された一対のギャザーシートと、
前記一対のギャザーシートの遊端部のそれぞれに伸長状態で接合され、弾発的に伸縮可能な第1索条と、を備えることを特徴とする。
本発明の衛生吸収具は、前記一対のギャザーシートのうちの一方のギャザーシートの基端部と前記裏面シートの幅方向の一側部とに挟まれた状態で配設され、前記一方のギャザーシートの基端部および前記裏面シートの幅方向の前記一側部に伸長状態で接合される一方の第2索条と、
前記一対のギャザーシートのうちの他方のギャザーシートの基端部と前記裏面シートの幅方向の他側部とに挟まれた状態で配設され、前記他方のギャザーシートの基端部および前記裏面シートの幅方向の前記他側部に伸長状態で接合される他方の第2索条とを有する、弾発的に伸縮可能な一対の第2索条を、さらに含むことを特徴とする。
本発明の衛生吸収具は、前記切込みの幅方向の間隔が、3mm以上50mm以下であることを特徴とする。
本発明の衛生吸収具は、前記切込みの長手方向の長さが、10mm以上300mm以下であることを特徴とする。
本発明によれば、切込み間部分の各葉が自由に隆起し重なり合うように第1シート上で積重し、切込み間部分が幾重にも重なり合う空隙に水様便が絡みつきながら貯留する。また、第1シートと第2シートとの間の空隙にも水様便が貯留し邪魔板のような効果を発揮し、水様便の流れ出しを防ぐことができる。これによって粘性が低く流動性が高いにも関わらず吸水度が極めて低い難吸収性の水様便等の排泄物を絡め取り、外部へ漏れることなく回収することができる衛生吸収具を提供することができる。
さらに本発明によれば、第2シートの切込み間部分で水様便等の排泄物に含まれる固形分の一部分を漉し取る効果があり、水様便等の排泄物の吸収体への吸収性を改善することができる。
本発明によれば、一方のギャザーシートの基端部と裏面シートの一側部とに一方の第2索条が伸長状態で接合され、他方のギャザーシートの基端部と裏面シートの記他側部とに他方の第2索条が接合されるので、第1索条と第2索条とが協働して強い張力を生じ、一対のギャザーシートのそれぞれを超えて流出しようとする排泄物の流出を阻止し、外部への横漏れを防止することができる。
本発明によれば、前記複数の切込み間部分それぞれの前記幅方向の間隔が、3mm以上50mm以下であるので、水様便等の排泄物の流出を確実に防止することができる。
本発明によれば、前記複数の切込み間部分それぞれの前記長手方向の長さが、10mm以上300mm以下であるので、水様便の流出を確実に低減することができる。
本発明によれば、第1索条と第2索条との伸縮力が協働し、確実に横漏れを防止することができる。
本発明の一実施形態の衛生吸収具1の構成を模式的に示す断面図である。 図1に示される衛生吸収具1の展開図である。 図2の切断面線III-IIIから見た断面図である。 図2の切断面線IV-IVから見た断面図である。 衛生吸収具1の自然状態で展開したときの斜視図である。 衛生吸収具1を使用者に装着した状態を示す斜視図である。 第2シート12を展開した状態を示す斜視図である。 第2シート12の切込み間部分16が第1シート11に対して傾斜する原理を説明するための図である。 本件発明者による吸水特性確認試験の結果を示すグラフである。 本件発明者による吸水特性試験で用いた設備を示す図である。 水分拡散性を示す供試体の模式化した平面図である。 図11Aの切断面線A-Aから見た断面図である。 疑似水様便の拡散性を示す供試体の模式化した平面図である。 図12Aの切断面線B-Bから見た断面図である。 衛生吸収具1の水様便に対する吸収性を説明するための模式化した分解斜視図である。 衛生吸収具1による水様便のろ化効果を示す模式化した分解斜視図である。 本発明の他の実施形態の衛生吸収具1Aを示す平面図である。 図15の切断面線XVI-XVIから見た断面図である。 図15の切断面線XVII-XVIIから見た断面図である。 本発明の他の実施形態の衛生吸収具1Bを示す平面図である。 図18の切断面線XIX-XIXから見た断面図である。 本発明の他の実施形態の衛生吸収具1Cを示す平面図である。 図20の切断面線XXI-XXIから見た断面図である。 図20に示される衛生吸収具1Cを分娩台に敷設した状態を示す斜視図である。
まず、本実施形態の衛生吸収具1が背景とする産業上の利用性について、説明する。
近年、日本の人口構成は、総人口12500万人のうち65才以上の高齢者が2200万人、70才以上の高齢者が1200万人、75才以上の高齢者が1100万人、これらの高齢者の合計は3500万人であり、総人口の28%にも及び、今後もおむつを使用する後期高齢者の人口は増加する傾向にある。
介護現場では、少子高齢化、人口減少の影響や介護環境の問題から人手不足が深刻な問題となっている。働き方改革による職場環境の改善が叫ばれているが、介護施設や在宅介護での排泄ケアの現場では、介護用おむつ等の品質改善が進んでいるものの、安心・安全便利・快適の面で介護する側および介護を受ける側の双方において、多くの未解決な問題がある。
介護現場では、介護の質を低下させることなく、1日のおむつの交換回数を少なくすることによる介護負担の軽減と被介護者の介護の質とを両立させながら、介護作業の手間を軽減し、低コストで質の高い介護が求められている。
通常の被介護者の場合、おむつの品質が向上し、1日あたり4回~5回の交換で質の高い介護ができるまでに、品質が向上している。排泄物処理の手間が少なくなることによって、介護師はより高度な介護に取り組める環境が整う。少ない人数で効率よく介護ができることから、コスト改善が進み、人手不足解消の一助になっている。
しかしながら、上述したことは、身体は不自由であるが身体機能が比較的健常な被介護者の場合である。体調に問題があり、下剤や点滴の投与などの治療、処置を要する被介護者では、問題の多くが解消していない現状にある。介護施設では、一人の介護師が昼間は約15名~20名、夜間は30名~40名を介護する大変厳しい労働環境にある。このような現場では、一排泄物による汚染が起こると、シーツ、寝具の交換、被介護者の清拭作業などに多くの時間と労力とを要する。
以上のような従来のおむつの課題を解決するために、本発明に係る衛生吸収具を提案する。以下、添付図面を参照して、本発明に係る衛生吸収具の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態の衛生吸収具1の構成を模式的に示す断面図である。図2は、図1に示される衛生吸収具1の展開図である。図3は、図2の切断面線III-IIIから見た断面図である。図4は、図2の切断面線IV-IVから見た断面図である。なお、各実施の形態の図面等において示す各構成の、大きさ、層の厚さ、または領域は、図解を容易にするために誇張して表記しており、必ずしも正確な縮尺に限定されない。また、符号「~」は「乃至」を意味し、以下同様とする。
本実施形態の衛生吸収具1は、液体透過性を有する、展開状態で矩形状の第1シート11と、第1シート11に重なった状態で第1シート11に接合された、液体不透過性を有する裏面シート13と、第1シート11と裏面シート13との間に配設され、液体吸収性を有する吸収体14と、第1シート11上に位置し、第1シート11および裏面シート13に接合された、液体吸収性を有する第2シート12であって、第2シート12の長手方向Xに沿って延びる複数の切込み15によって帯状に分割された複数の切込み間部分16を有する第2シート12と、を備える。衛生吸収具1は、さらに第2シート12の長手方向Xに垂直な幅方向Y両側の一側部17aおよび他側部17bのそれぞれに接合される基端部18と、基端部18と平行に延びる遊端部19とを含む、帯状の一対のギャザーシート20a,20b、を備える。
第2シート12の切込み15は、互いに長手方向Xに間隔をあけて複数が一直線に沿って形成され、これらの複数の切込み15によって切込み列を構成する。この切込み列は、幅方向Yに等間隔をあけて複数列形成される。幅方向Yに隣接する切込み列を構成する各切込み15は、切込み15の長手方向Xの間隔の半周期分の長さだけ位置をずらせて形成することにより効果が大きくなる。これによって、水様便が排泄されたとき、水様便の流れによって各切込み間部分16が幅方向Yに並んだ切込み列間で分離してしまうことが防がれる。このような切込み間部分16によって、排泄された水様便は、湾曲した切込み間部分16によって、粘度の高い水様便が第2シート切込み部に絡め取られながらせき止められ、流動性の高い成分は、湾曲によって生じた開口から下方に位置する吸収体14へ導かれて吸収される。したがって、排泄された水様便が吸収体14に到達せずに衛生吸収具1の外部へ流出してしまうことが抑制され、横漏れおよび背漏れが防止される。吸収体14に吸収された水様便は、吸収体14内の後述の第1吸収剤26および第2吸収剤29によって凝固するので、使用者の肌に水様便が付着することが抑制され、使用者の身体の汚損が低減される。本実施形態において、「横漏れ」とは、衛生吸収具1の幅方向Yの両側縁部と肌との間の隙間から外部へ水様便および尿等の排泄物が流出して漏洩することをいう。
衛生吸収具1は、さらに、一対のギャザーシート20a,20bの折り返された遊端部19のそれぞれに伸長状態で接合され、弾発的に伸縮可能な第1索条21a,21bと、一方のギャザーシート20aの基端部18と裏面シート13の一側部17aとの間、および他方のギャザーシート20bの基端部18と裏面シート13の他側部17bとの間にそれぞれ位置し、一方のギャザーシート20aの基端部18および裏面シート13の一側部17aならびに他方のギャザーシート20bの基端部18および裏面シート13の他側部17bに伸長状態で接合され、弾発的に伸縮可能な第2索条22a,22bと、を備える。
一対のギャザーシート20a,20bは、遊端部19が長手方向Xに間隔をあけて4箇所の直線状に延びる接合箇所41a~44a,41b~44bで第1シート11および第2シート12に接着される。この接着には、たとえばホットメルト接着材をギャザーシート20a,20bの接合箇所41a~44a,41b~44bに塗布し、加熱および加圧するホットプレス接合によって接着してもよい。一対のギャザーシート20a,20bの遊端部19が間欠的に第2シート12に接合されるので、衛生吸収具1を使用者に装着されて湾曲したとき、第2シートは一対のギャザーシート20a,20bとともに使用者の肌側に引き上げられ、使用者の肌と第2シート12との間に大きな空間が発生せず、排泄された水様便を切込み間部分16の湾曲部分で粘度の高い水様便の成分が絡みつき、せき止め、吸収体14に導いて横漏れおよび背漏れを防止することができる。各接合箇所41a~44a,41b~44bの長手方向Xの長さは、例えば70mm±10mmであってもよい。
使用者が股間に衛生吸収具1を装着した状態では、裏面シート13を外側とし、第2シート12を内側にして、第2シート12の長手方向Xの一端部1aおよび他端部1bが互いに近接した、後述の図6に示されるように略U字状に湾曲し、複数の切込み間部分16は第1シート11上で弛緩状態となって湾曲し、互いに幅方向Yに隣接する切込み間部分16の少なくとも一部が重なり、第1シート11に対して不揃いな状態で隆起している。
図5は、衛生吸収具1の自然状態で展開したときの斜視図である。図6は、衛生吸収具1を使用者に装着した状態を示す斜視図である。図7は、第2シート12を展開した状態を示す斜視図である、図8は、第2シート12の切込み間部分16が第1シート11に対して傾斜する原理を説明するための第2シート12の一部の斜視図である。衛星吸収具1を利用者が装着した状態では、衛生吸収具1の長手方向Xの一端部1aが腹部に位置し、長手方向Xの他端部1bが背部に位置し、第2シート12が股間に臨み、衛星吸収具1全体が略U字状に湾曲した状態となる。
衛生吸収具1が使用者に装着され、第2シート12を内側にして矢符D方向に曲げ力が作用して略U字状に湾曲すると、各ギャザーシート20a,20bは、第1索条21a,21bの収縮によって吸収体14に対して離反する方向に移動し、第2シート12の幅方向Yの両側部が各ギャザーシート20a,20bの各遊端部19によって引っ張られて使用者の肌寄りに移動する。各切込み間部分16は、幅方向Yに隣接する切込み間部分16に連なる拘束部F1,F2,F3と、拘束部F1,F2間の自由端P1とが存在している。このような各切込み間部分16に矢符D方向に曲げ力が作用すると、各切込み間部分16は、自由端P1が拘束部F1,F2,F3に対して、吸収体14に対して浮き上がるように移動し、幅方向Yに隣接する他の切込み間部分16に対して開口16aが発生し、各切込み間部分16が湾曲した状態で隆起する。
上記のように、衛星吸収具1が略U字状に湾曲することによって、第2シート12には長手方向Xの両側から圧縮力が作用して歪み変形が生じ、各切込み間部分16は、矢符C方向に変形して開口16aが形成される。このような開口16aを伴う各切込み部分16の湾曲部によって、第2シート12に排泄された水様便は、衛生吸収具1の外部へ流出しようとするが、流動する水様便の移動経路を湾曲部によって遮断し、いわば邪魔板のように立ち塞がる。また、切込み15が長手方向Xに長い場合には、第2シート12の各切込み間部分16同士が相互に部分的に重なり、その重なり部間の隙間に水様便が流れ込んで捕捉され、吸収体14へ導かれる。
このようにして水様便が一機に流れ出ることが防止される。また、粘性が低く流動性が高いにも関わらず吸水度が極めて低い難吸収性の水様便が切込み間部分16によって絡め取られて、効率よく保持されるので、水様便の水分が第1シート11を透過して、時間をかけて徐々に吸水体14に吸収され、外部への流れ出しが防がれる。
一対の第1索条21a,21bおよび一対の第2索条22a,22bは、例えば糸ゴムによって実現され、番手および使用本数は衛生吸収具1のサイズ等に応じて適切に選択される。このような構成によれば、一方のギャザーシート20aの基端部18と裏面シート13の一側部17aとに一方の第2索条22aが伸長状態で接合され、他方のギャザーシート20bの基端部18と裏面シート13の前記他側部17bとに他方の第2索条22bが接合されるので、第1索条21aの弾性回復力が収縮力として働き、一対のギャザーシート20a,20bの各遊端部19が使用者の肌に密着し、各ギャザーシート20a,20bと肌とのそれぞれの間に隙間が生じない。これによって水様便が各ギャザー20a,20bを超えて外部へ流出することを阻止し、横漏れを防止することができる。また、第2索条22a,22bの弾性回復力が収縮力として働き、各ギャザーシート20a,20bの基端部19が使用者の股間の両側部分の肌へ密着し、水様便および尿等の排泄物が股間から外部へ漏出することが防がれる。
裏面シート13は、ポリエチレンなどの熱可塑性合成樹脂製のシートによって実現される。各ギャザーシート20a,20bは、不織布から成り、親水性でも撥水性でもよい。親水性の場合、水様便自体が吸水度の低い難吸水性であるために、隆起したギャザーシート20a,20bが親水性であっても、各ギャザーシート20a,20bに浸透した水様便の液体が滲み出る程度で固形分の流出が阻止され、横漏れを防止することができる。
また使用者が横向きに寝た状態などの横漏れし易い姿勢であっても、ギャザーシート20a,20bの内側の第2シート12の切込み間部分の隆起によって、水様便は吸収体14に導かれて吸収され、横漏れを防止することができる。
また、各ギャザーシート20a,20bが撥水性の場合、水様便の水分が各ギャザーシート20a,20bに浸透しないので、流れ出ようとする水様便をほぼ確実に阻止することができるが、使用者の健康状態または体位によっては、ギャザーシート20a,20bを乗り越える場合がある。通常使用の状態では、水様便の横漏れをほぼ確実に阻止することができる。したがって、使用者が通常の被介護者である場合には、撥水性のギャザーシート20a,20bがよいが、身体硬直などで、横向き姿勢が多い使用者の場合には、親水性のギャザーシート20a,20bであることが好ましい。
吸収体14は、下台紙24、第1吸収層25、第1吸水剤26、中層紙27、第2吸収層28、第2吸収剤29、および上台紙30を含む。下台紙24は、展開状態で矩形形状である、例えばティッシュ、薄葉紙、拡散紙などから成り、吸水性および親水性に優れた不織布であってもよい。第1吸収層25および第2吸収層28は、厚みがほぼ均一で偏平な綿状パルプまたはフラッフパルプなどの繊維状吸収材から成ってもよい。中層紙27および上台紙30は、下台紙24と同様な材料から成ってもよい。
第1吸収剤26および第2吸収剤29は、粒状の吸水性ポリマーを用いることができる。この吸水性ポリマーは、たとえばアクリル酸ナトリウム塩またはアクリル酸カリウム塩から成る。この粒状の吸水性ポリマーは、自重の約10倍以上300倍以下の水分を吸収してゲル状に凝固する高分子吸収体であり、たとえば抗菌性を有する吸水性ポリマーまたは荷重下通液性を有する吸水性ポリマー等を用いることができる。前記抗菌性を有する吸水性ポリマーの例としては、商品名サンフレッシュST-900E(サンダイヤポリマー株式会社製)を挙げることができ、荷重下通液性を有する吸水性ポリマーとしては、商品名サンウェットIM-930(サンダイヤポリマー株式会社製)を挙げることができる。本実施形態では、吸水性ポリマーとして、アクリル酸ナトリウム塩およびアクリル酸カリウム塩などの吸水性ポリマーに、抗菌剤を電気的に重合させて付着させた抗菌性を有する高機能吸水性ポリマーを用いている。このように吸水性ポリマーが抗菌性をも有することで、吸収体14における菌の繁殖を抑えることができる。
本実施形態において、液性吸収具1のサイズは、Lサイズ、Mサイズ、Sサイズがあり、Lサイズは、長手方向Xの長さが450mm~750mm、幅方向Yの横幅は100mm~180mm程度であり、Mサイズは、長手方向Xの長さは360mm~500mm、幅方向Yに横幅は80mm~120mm程度であり、Sサイズは、長手方向Xの長さが200mm~340mm、幅方向Yの横幅は70mm~120mm程度である。第2シート12の各切込み部16の幅方向Yの間隔L1は、3mm以上30mm以下である。
上記L,M,Sの各サイズの衛生吸収具1について、各切込み15の幅方向Yの間隔L1(図2を参照)が3mm未満であると、衛生吸収具1を使用者に装着して、衛生吸収具1が側方から見て略U字状に湾曲した状態において、切込み15間の各葉の剛度が小さく隆起状態が不揃いになり、水様便をせき止める邪魔板としての効果が小さくなる。また、各切込み15の幅方向Yの間隔L1が30mmを超えると、切込み15の一箇所あたりに流入する水様便の通過量が多くなり、吸収速度が落ち、吸水性が悪くなる。したがって、各切込み15の幅方向Yの間隔L1は3mm以上30mm以下に選ばれることが好ましい。これによって各切込み間部分16の湾曲部分の開口を介して吸収体14に流れ込む水様便の流入量が均一化され、単位時間あたりに吸収体14に吸収される水様便の吸収量を大きくし、吸収速度を高めることができる。
第2シート12の各切込み15の長手方向Xの長さL2は、10mm以上300mm以下であることが好ましい。
各切込み15の長手方向Xの長さL2が10mm未満であると、衛生吸収具1を使用者に装着して、衛生吸収具1が側方から見て略U字状に湾曲した状態において、第2シート12の各切込み15に連なる部分の第1シート11に対する隆起高さが小さく、排便時に水様便の十分な流出を抑制する効果を得ることができない。また、各切込み15の長手方向Xの長さL2が300mmを超えると、各切込み間部分16の1つの隆起部分の長さも過剰に大きくなるので、隆起部分の自立性が損なわれ、横倒れしてしまう。そのため、水様便の流れをせき止められる隆起部分が適切に形成されず、水様便を広範囲に分散させて、効率よく吸収することができなくなる。したがって、各切込み15の長手方向Xの長さL2は、10mm以上300mm以下が好ましい。
第1吸収層25および第2吸収層28は、吸水性の高い綿状パルプのみで構成するか、または、ポリエステルなどの合成繊維を含んだ、綿状パルプとも呼ばれる綿状繊維によって構成される。吸収した液体は、綿状パルプの繊維間の空隙に吸収されると共に、繊維間の液体は吸水性ポリマーによってゲル状に凝固し、繊維によって保持される。下台紙24および上台紙30および中層紙27は、綿状パルプを包み込んで一体化させ、また第1シート11を通過した水分を拡散し、綿状パルプや吸水性ポリマーに水分を伝達し、吸水効率を高める。
衛生吸収具1は、装着状態において使用者の臀部を覆う広幅の後部S1と、股間を覆う細幅の中間部S2と、下腹部を覆う広幅の前部S3とを有する。後部S1の幅方向Yの寸法は例えば420mmであり、中間部S2の幅方向Yの寸法は、例えば340mmであり、前部S3の幅方向Yの寸法は、例えば420mmであり、長手方向Xの全長は、例えば750mmである。これらの各寸法は、一例であって、段階的に寸法の異なる各種サイズL,M,Sの衛生吸収具1が製造される。第1シート11の周縁部と裏面シート13の周縁部と一方のギャザーシート20aの基端部18と他方のギャザーシート20bの基端部とは重なった状態でホットメルト接着材によって接合される。
ホットメルト粘着材は、スチレン系ポリマー、粘着付与剤、可塑剤を含んで構成される。スチレン系ポリマーとしては、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体、スチレン-イソブチレン-スチレンブロック共重合体、などを用いることができる。本実施形態では、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体を使用した。粘着付与剤は上記のものに限らないが、柔らかく、常温で繊維と繊維の間の間隙にめり込んで付着できる常温感圧性ホットメルト接着材を使用することができる。
図9は、本件発明者による吸水特性確認試験の結果を示すグラフである。図10は本件発明者による吸水特性試験で用いた設備を示す図である。本件発明者は、水様便の吸収特性を確認するため、図10に示されるように、ビーカ32に試料を用意し、幅bを20mmに切断したろ紙31の先端をビーカ32内の試料に浸漬し、吸水した高さHと時間Tとを測定した。試料は、水様便と生理食塩水である。次の測定試験を実施した。測定した吸水高さHと時間Tとの測定結果を次の表1および図9に示す。
Figure 0007412025000001
ろ紙31の先端を試料に浸漬してから60sec経過後において、生理食塩水は吸引高さHが25.4mmであった。これに対し水様便の吸水高さHが8.2mmであった。またろ紙31の先端を試料に浸漬した状態で120secが経過したときの水様便の液面からの吸引高さHは、9.2mmであるのに対し、生理食塩水の吸水高さHは28.6mmであった。
このように吸水高さHに差があるのは、水様便は水分中のフロック状の繊維等の固形物がろ紙31の微細な空隙に詰まり、毛細管現象による吸引を妨げ、初期吸収のみで継続的に吸引できないことが確認された。したがって、従来技術の衛生吸収具では、水様便の効率的な吸収は難しいことが判明した。そこで本件発明者は、高齢者等の衛生吸収具1の使用者が水様便を排泄したときに、水様便の漏れによる周囲の汚損を低減するためには、本実施形態のように、第2シート12に物理的にいわば邪魔板として働く傾斜部分を切込み間部分16によって形成し、水様便を一挙に流出させず、粘度の高い水様便を絡め取りながら、複数の切込み間部分16の隆起によって水様便の流れをせき止め、第2シート12下の第1シート11および吸収体14上に分散させ、吸収体14が水分を吸収し得るように滞留させ、初期吸収だけでなく、第1シート11および吸収体14の広い領域に分散させて、吸収体14に吸収させ、排泄された水様便を吸収体14によって確実に回収することができる本発明を提案する。
水様便は、水分量が90%以上で粘性が低く流動性が高い便であり、大量の便が一挙に排泄されると、横に流れる。前述のろ紙等によって代表される多孔性シートでは夾雑物による目詰まりによって吸い上げる量が少なく、吸収に時間がかかる。その結果、介護師が介護作業に手間および労力を要し、熟練者が少なく、被介護者の身体を清拭するのに多大な手間と時間とを要するという従来の課題を解決することできる。
吸収体14は、例えば綿状粉砕された綿状繊維と、尿などの液体を吸収し、ゲル状に凝固させる吸収性ポリマー等の第1吸収剤26および第2吸収剤28が混合された第1吸収層25および第2吸収層28を有し、その厚み方向の両側にティッシュ等の下台紙24および上台紙30を積層することによってシート状に形成されている。吸収性ポリマーは、例えばデンプン‐アクリル酸(塩)グラフト共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物、アクリル酸(塩)重合体などを用いることできる。第1シート11および第2シート12に用いられる液透過性の不織布は、その坪量が、6g/m以上50g/m以下であることが好ましく、15g/m以上25g/m以下であることが好ましい。前記不織布は、公知の技術によって製造される液透過性の不織布であればよい。
裏面シート13としては、液不透過性ないし液難透過性のシートを用いることでき、液難透過性(撥水性を含む)の樹脂フィルム、或いは該樹脂フィルムに、各種製法による不織布(例えば、エアースルー不織布、スパンボンド不織布、スパンレース不織布、ニードルパンチ不織布等)を積層したシート等を用いることができる。裏面シート13に用いられる液不透過性のシートは、その坪量が10g/m以上50g/m以下であることが好ましく、15g/m以上30g/m以下であることが更に好ましい。
図11Aは、水分拡散性を示す供試体の模式化した平面図であり、図11Bは、図11Aの切断面線A-Aから見た断面図である。図12Aは、疑似水様便の拡散性を示す供試体の模式化した平面図であり、図12Bは図12Aの切断面線B-Bから見た断面図である。本件発明者は、本発明に係る衛生吸収具の水様便に対する拡散性を確認するため、15cm×15cmの第2シート12を模倣した供試体12aを作成し、図11Aおよび図11Bに示されるように、その供試体12aを貼り付けたおむつに疑似尿(生理食塩水)を10cc滴下し、30秒間放置し、供試体12a上のX方向、Y方向への拡散量(単位mm)を測定した。また、本件発明者は、本発明に係る衛生吸収具の水様便に対する吸収性を確認するため、図12Aおよび図12Bに示されるように、同様な供試体12aを貼り付けたおむつを準備し、疑似水様便を10cc滴下し、30秒間放置後に吸収体14による吸収量(単位g)を測定した。
拡散性および吸収性の測定結果、疑似尿については、図11Aおよび図11Bに示されるように、供試体12a下の第1シート11上でX=65mm、Y=65mmの領域A1に拡散し、8.4gの吸収量を測定した。第1シート11上に疑似尿が溜まることなく、滴下量の84%を吸収できることを確認した。また、疑似水様便については、図12Aおよび図12Bに示されるように、第1シート11上でX=125mm、Y=125mmの領域A2に拡散し、3.5gの吸収量を測定し、滴下量の35%を吸収することを確認した。疑似水様便は、第1シート11上で固形分が第1シート11の表面に堆積し、目詰まりを起こし第1シート11上に疑似水様便が絡み取られて溜まりながら拡がることを確認した。
このような測定結果から、第2シート12が隆起し、重なり合う切込み間部分16が邪魔板のような働きをし、かつ重なり合う各切込み間部分16の間の隙部に水様便が絡み取られて保持定着し、外部に流れ出て拡がるのを防ぐ効果があることが確認された。また、水様便が第2シート12の切込み間部分16で、水様便に含まれる固形分や夾雑物の一部分を漉し取り、高い拡散性によって吸収率を高めて第1シート11を介して水様便が吸収されるので、吸収速度が改善されていることを確認した。水様便は、固形分や夾雑物が全体の約10%程度含まれた状態で、水分と結合した固形分も含んでいるので、粘性が低く、流動性が高いが極めて難吸収性の便である。このような水様便に対して、本発明に係る衛生吸収具は優れた吸収性を有することが確認された。
図13は、衛生吸収具1の水様便に対する吸収性を説明するための模式化した分解斜視図である。図14は、衛生吸収具1による水様便のろ化効果を説明するための模式化した分解斜視図である。衛生吸収具1は、前述したように、第1シート11と、裏面シート13と、吸収体14と、を備えるので、排泄された水様便は、第2シート12(供試体12a)の複数の切込み間部分16の隆起部によって流れが阻止され、拡散して固形分を第1シート11によって漉し取られながら、第1シート11を透過して吸収体14に吸収される。
このような測定を観察すると、第2シート12の繊維間に固形分や夾雑物が捕捉されるので、水様便は濾化されながら水分だけが切欠き部15の開口から第1シート11へ移動し、第1シート11から吸収体14に吸収される。切込み間部分16は、長手方向Xに波打ちながら幅方向Yにも幾重にも重なり、切込み間部分16の間隙に水様便が徐々に広がりながら貯留され、単位時間あたりの吸水速度が擬似尿の1/2以下の水様便を、外部に漏らすことなく、速やかに吸収して保持できることが確認された。これによって、病院、介護施設等における介護福祉士の手間を要することなく、被介護者の排泄物を効率よく処理することが可能となり、高齢者、病人等の被介護者への介護サービスの質の向上を支援し、介護福祉士等への労働負荷を軽減することができる。
図15は、本発明の他の実施形態の衛生吸収具1Aを示す平面図であり、図16は、図15の切断面線XVI-XVIから見た断面図であり、図17は、図15の切断面線XVII-XVIIから見た断面図である。なお、前述の実施形態と対応する部分には、同一の参照符を付す。本実施形態の衛生吸収具1Aは、生理用ナプキンとも称される生理用の衛生吸収具であって、液体透過性を有する、展開状態で矩形状の第1シート11と、第1シート11に重なった状態で該第1シート11に接合された、液体不透過性を有する裏面シート13と、第1シート11と裏面シート13との間に配設され、液体吸収性を有する吸収体14と、第1シート11上に位置し、第1シート11および裏面シート13に接合された、液体吸収性を有する第2シート12であって、該第2シート12の長手方向Xに沿って延びる複数の切込み15が、長手方向に垂直な幅方向に間隔をあけて複数列、形成された第2シート12と、を備える。
第2シート12は、複数の切込み15によって帯状に分割された複数の切込み間部分16を有する。各切込み間部分16は、第2シート12の長手方向Xにおける切込み15間の未切断部分によって繋がり、各切込み間部分16が容易に分離しないように構成されている。
衛生吸収具1Aは、基端部18と遊端部19とを有する、一対のギャザーシート20a,20bであって、第2シート12の幅方向Yの一側部17aおよび幅方向Yの他側部17bに基端部18がそれぞれ接合された一対のギャザーシート20a,20bと、一対のギャザーシート20a,20bの遊端部19のそれぞれに伸長状態で接合され、弾発的に伸縮可能な一対の第1索条21a,21bと、をさらに備える。一対の第1索条21a,21bは、前述の実施形態と同様な糸ゴムによって実現される。
衛生吸収具1Aは、一対の第1索条21a,21bによって第1シート11および第2シート12が内側となるように湾曲し、これによって第2シート12の各切込み間部分16が隆起した状態で使用者の股間に装着される。使用者の経血などの粘性が高い排泄物が排泄されても、第2シート12の各切込み間部分16の隆起部分によって、排泄物がせき止められ、外部への流出が阻止された状態で、吸収体14によって吸収されるので、衛生吸収体1Aの外部へ排泄物が漏洩することが防がれる。
図18は、本発明の他の実施形態の衛生吸収具1Bを示す平面図であり、図19は、図18の切断面線XIX-XIXから見た断面図である。なお、前述の実施形態と対応する部分には、同一の参照符を付す。本実施形態の衛生吸収具1Bは、お産パッドとも呼ばれる産前産後用パッドであって、固形分残渣を含む粘度の高い悪露等の排泄物を吸収するために用いられる。悪露とは、分娩後の産褥時に膣・子宮頸管・子宮から排出される分泌物であり、血液とリンパ液に脱落した細胞の粘液などが混ざったものいう。
衛星吸収具1Bは、液体透過性を有する、展開状態で矩形状の第1シート11と、第1シート11に重なった状態で該第1シート11に接合された、液体不透過性を有する裏面シート13と、第1シート11と裏面シート13との間に配設され、液体吸収性を有する吸収体14と、第1シート11上に位置し、第1シート11および裏面シート13に接合された、液体吸収性を有する第2シート12であって、該第2シート12の長手方向に沿って延びる複数の切込み15が、長手方向に垂直な幅方向に間隔をあけて複数列、形成された第2シート12と、を備える。第2シート12は、複数の切込み15によって帯状に分割された複数の切込み間部分16を有する。
衛生吸収具1Bは、基端部18と遊端部19とを有する、一対のギャザーシート20a,20bであって、第2シート12の幅方向両側の一側部17aおよび他側部17bに基端部18がそれぞれ接合された一対のギャザーシート20a,20bと、一対のギャザーシート20a,20bの遊端部19のそれぞれに伸長状態で接合され、弾発的に伸縮可能な一対の第1索条21a,21bと、をさらに備える。一対の第1索条21a,21bは、前述の実施形態と同様な糸ゴムによって実現されてもよい。
衛生吸収具1Bは、一対の索条21a,21bによって第1シート11および第2シート12が内側となるように湾曲し、これによって第2シート12の各切込み間部分16が隆起した状態で、妊婦である使用者の股間に装着される。使用者の粘度の高い経血および羊水などの排泄物は、第2シート12の隆起した各切込み間部分16に絡みつきながらせき止められて、排泄物の外部への流出が防止される。各切込み間部分16によってせき止められた流動性の高い排泄物は、吸収体14によって吸収されるので、衛生吸収具1Bの外部へ排泄物が漏洩することが防止される。
図20は、本発明の他の実施形態の衛生吸収具1Cを示す平面図であり、図21は、図20の切断面線XXI-XXIから見た断面図であり、図22は、衛生吸収具1Cを分娩台に敷設した状態を示す斜視図である。なお、前述の各実施形態と対応する部分には、同一の参照符を付す。本実施形態の衛生吸収具1Cは、妊婦の出産時に分娩台シート用シートとして用いられる衛星吸収具であって、液体透過性を有する、展開状態で矩形状の第1シート11と、第1シート11に重なった状態で該第1シート11に接合された、液体不透過性を有する裏面シート13と、第1シート11と裏面シート13との間に配設され、液体吸収性を有する吸収体14と、第1シート11上に位置し、第1シート11および裏面シート13に接合された、液体吸収性を有する第2シート12であって、該第2シート12の長手方向に沿って延びる複数の切込み15が、長手方向に垂直な幅方向に間隔をあけて複数列、形成された第2シート12と、を備える。第2シート12は、複数の切込み15によって帯状に分割された複数の切込み間部分16を有する。
衛生吸収具1Cは、基端部18と遊端部19とを有する、一対のギャザーシート20a,20bであって、第2シート12の幅方向両側の一側部17aおよび他側部17bに基端部18がそれぞれ接合された一対のギャザーシート20a,20bと、一対のギャザーシート20a,20bの遊端部19のそれぞれに伸長状態で接合され、弾発的に伸縮可能な一対の第1索条21a,21bと、をさらに備える。一対の第1索条21a,21bは、前述の実施形態と同様な糸ゴムによって実現されてもよい。
衛生吸収具1Cは、一対の索条21a,21bによって第1シート11および第2シート12が内側となるように湾曲し、これによって第2シート12の各切込み間部分16が隆起した状態で、分娩台40上に仰臥する妊婦41の臀部の下に敷設される。分娩台40は、妊婦41の背部を支持する背板部42と、妊婦41の臀部を支持する座板部43と、妊婦41の脚部を支持する脚受け部44とを有する。背板部42および脚受け部44は、座板部43に対して水平軸線まわりに傾動可能に構成され、妊婦41を、診療および治療に応じて適切な姿勢または体位に移動させることができる。
妊婦41から血液、胎盤および羊水などの排泄物または前述の悪露等の排泄物が短時間に大量に排泄されても、第2シート12の各切込み間部分16の隆起部分によって、排泄された吸収性は低いが流動性の高い排泄物をせき止め、固形物を絡め取ることができる。また破水によって排泄された羊水は、流動性が高いため、各切込み間部分16の隆起によって生じた開口を介して吸収体14に吸収され、分娩台40およびその周囲の術場を汚すことが防がれる。
衛生吸収具1Cは、一対のギャザーシート20a,20bを有するので、吐出された排出物が衛生吸収具1Cから外部へ向かって流動しても、下方に配置された一方のギャザーシート20aまたは20bによって捕捉され、漏れ出しを防止することができる。このような使用後の衛生吸収具1Cは、重量を測定することによって、悪露の吐出量を容易に計測することができ、妊婦41の産前産後の健康管理の資料とすることができる。
本実施形態によれば、切込み間部分16が第1シート11の基面から隆起するので、水様便の外部への流出が阻止され、これによって水様便等の流動性の高い多量の排泄物が外部へ漏れることが防がれ、簡便に回収することができ、介護福祉士等による排泄物処理作業を支援することができる。
本発明の他の実施形態では、各切込み間部分16に微細な切欠きがロールプレス加工等によって形成されてもよい。これによって、各切込み間部分16自体の通水性が改善され、水様便からの水分吸収率が向上し、水様便の回収効率をさらに向上することができる。
本発明のさらに他の実施形態では、第2シート12は、一層に限らず、二層以上積層した構成であってもよい。
本発明のさらに他の実施形態では、前述の水様便に限らず、水様便に類似した性状の排泄物として、分娩後の産褥時に子宮から排泄される分泌物である出血等(悪露)がある。悪露は、主として子宮の分泌液、血液、胎盤及び胎盤組織の変性分泌物から成り、水様便に類似した流動性は高いが吸収性が低いという性状を有し、難吸収性である。このような産褥時の悪露を回収するためにも、本発明に従う衛生吸収具を使用することができ、出産後の悪露を含む排泄物の漏れによる周囲の汚染を防止し、排泄物を確実に吸収することができる。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、また、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更、改良等が可能である。上記各実施形態をそれぞれ構成する全部または一部を、適宜、矛盾しない範囲で組み合わせ可能であることは、言うまでもない。
1 衛生吸収具
1a 一端部
1b 他端部
11 第1シート
12 第2シート
13 裏面シート
14 吸収体
15 切込み
16 切込み間部分
17a 一側部
17b 他側部
18 基端部
19 遊端部
20a,20b ギャザーシート
21a,21b 第1索条
22a,22b 第2索条
24 下台紙 25 第1吸収層
26 第1吸水剤
27 中層紙
28 第2吸収層
29 第2吸収剤
30 上台紙
X 長手方向
Y 幅方向

Claims (5)

  1. 液体透過性を有する、展開状態で矩形状の第1シートと、
    前記第1シートに重なった状態で該第1シートに接合された、液体不透過性を有する裏面シートと、
    前記第1シートと前記裏面シートとの間に配設され、液体吸収性を有する吸収体と、
    前記第1シート上に位置し、前記第1シートおよび前記裏面シートに接合された、液体吸収性を有する第2シートであって、該第2シートの長手方向に沿って延びる複数の切込みが、前記長手方向に垂直な幅方向に間隔をあけて複数列、形成された第2シートと、を備え
    前記切込みは、前記第2シートの幅方向に隣接する切込み列毎に交互に、前記切込みの長手方向の間隔の半分の長さだけ前記長手方向にずれて位置し、
    前記第2シートは、各切込み間で前記第1シート上に位置する切込み間部分を有することを特徴とする衛生吸収具。
  2. 基端部と遊端部とを有する、一対のギャザーシートであって、前記第2シートの前記幅方向両側の一側部および他側部に基端部がそれぞれ接合された一対のギャザーシートと、
    前記一対のギャザーシートの遊端部のそれぞれに伸長状態で接合され、弾発的に伸縮可能な一対の第1索条と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の衛生吸収具。
  3. 前記一対のギャザーシートのうちの一方のギャザーシートの基端部と前記裏面シートの幅方向の一側部とに挟まれた状態で配設され、前記一方のギャザーシートの基端部および前記裏面シートの幅方向の前記一側部に伸長状態で接合される一方の第2索条と、
    前記一対のギャザーシートのうちの他方のギャザーシートの基端部と前記裏面シートの幅方向の他側部とに挟まれた状態で配設され、前記他方のギャザーシートの基端部および前記裏面シートの幅方向の前記他側部に伸長状態で接合される他方の第2索条とを有する、弾発的に伸縮可能な一対の第2索条を、さらに含むことを特徴とする請求項2に記載の衛生吸収具。
  4. 前記切込みの幅方向の間隔は、3mm以上50mm以下であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の衛生吸収具。
  5. 前記切込みの長手方向の長さは、10mm以上300mm以下であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の衛生吸収具。
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