JP7407682B2 - 茶粕処理装置および茶粕処理方法 - Google Patents

茶粕処理装置および茶粕処理方法 Download PDF

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本発明は、茶粕処理装置および茶粕処理方法に関する。
茶飲料の製造において、茶を抽出した後の茶粕を処理する必要がある。茶粕は、茶葉、麦、米、豆、とうもろこしなどの固形物と、当該固形物から茶を抽出するために加えられた水分と、を含む。これを処理するため、複数の抽出設備から集約した茶粕を水搬送方式により搬送し、茶粕と搬送水とを分離した後に、茶粕のみを脱水する方法が採用されうる。ここで、搬送水を循環させて使用する場合に、茶粕中の成分が循環水中に蓄積しうる。
特に、茶粕がデンプンを含むときに、デンプンの蓄積により搬送水の粘度が上昇する場合がある。搬送水の粘度が上昇すると、茶粕の搬送を妨げるおそれがあるので、これを防止する必要がある。
特開2003-94087号公報(特許文献1)には、デンプンを含む排水の高粘度化を防止する方法として、排水に次亜塩素酸水溶液を添加する方法が開示されている。この方法によれば、塩素濃度を管理範囲に制御するように次亜塩素酸を適宜加えることで、排水の高粘度化を好適に防止しうる。
特開2003-94087号公報
しかし、次亜塩素酸は、常温でも分解しやすい、強い酸化作用を有する、などの性質を有し、その取扱いには相当の注意を要する。すなわち、特許文献1のような技術では、取扱いの難しい次亜塩素酸を用いるため、その保存および使用において使用者が困難を感じる場合があった。
そこで、容易な方法により、搬送水の粘度上昇を防ぎうる茶粕処理装置および茶粕処理方法の実現が求められる。
本発明に係る茶粕処理装置は、茶粕と搬送水とを一体に送出可能な送液部と、前記送液部から送出された前記茶粕と前記搬送水とを分離可能な固液分離部と、前記固液分離部により分離された液体を回収して前記搬送水として前記送液部に還流可能な回収部と、を備える茶粕処理装置であって、少なくともデンプン分解酵素を含む酵素剤を、前記搬送水に対して添加可能な酵素剤添加部をさらに備えることを特徴とする。
また、本発明に係る茶粕処理方法は、茶粕と搬送水とを一体に送出する送液工程と、前記送液工程において送出された前記茶粕と前記搬送水とを分離する固液分離工程と、前記固液分離工程において分離された液体を回収して前記送液工程における前記搬送水として還流させる回収工程と、を備える茶粕処理方法であって、少なくともデンプン分解酵素を含む酵素剤を、前記搬送水に対して添加する酵素剤添加工程をさらに備えることを特徴とする。
これらの構成によれば、取扱いが容易な酵素剤によって、搬送水の粘度上昇を防ぎうる。
以下、本発明の好適な態様について説明する。ただし、以下に記載する好適な態様例によって、本発明の範囲が限定されるわけではない。
本発明に係る茶粕処理装置は、一態様として、前記酵素剤添加部は、前記回収部において前記搬送水に対して前記酵素剤を添加可能であることが好ましい。
この構成によれば、搬送水中に酵素剤を均一に分散させやすい。
本発明に係る茶粕処理装置は、一態様として、前記搬送水のpHを測定可能であり、かつ、測定した前記搬送水のpHに基づいて前記搬送水のpHを調整可能であるpH調整部をさらに備えることが好ましい。
この構成によれば、搬送水のpHを酵素剤の至適pHに保ちやすく、したがって粘度上昇を防ぐ効果を維持しやすい。
本発明に係る茶粕処理装置は、一態様として、前記搬送水の粘度を測定可能な粘度測定部をさらに備え、前記粘度測定部により測定した前記搬送水の粘度に基づいて、前記酵素剤添加部による前記酵素剤の添加を制御することが好ましい。
この構成によれば、粘度の実測に基づいて酵素剤の添加を制御するので、粘度の上昇を効果的に抑制しやすい。
本発明のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
本発明の実施形態に係る茶粕処理装置の構成図である。
本発明に係る茶粕処理装置および茶粕処理方法の実施形態について、図面を参照して説明する。以下では、本発明に係る茶粕処理装置を、麦茶飲料の製造工程から排出される麦茶の茶粕を処理する茶粕処理装置1に適用した例について説明する。
〔茶粕処理装置の構成〕
まず、本実施形態に係る茶粕処理装置1の構成について説明する。茶粕処理装置1は、ドリップ抽出器Dから排出された茶粕Tを貯留可能な粕受タンク2、粕受タンク2から送られた茶粕Tと搬送水Wcとをろ過により分離可能なろ過装置3(固液分離部の例)、ろ過装置により分離された搬送水Wcを回収可能な回収水タンク4(回収部の例)、回収水タンク4に貯留された搬送水Wcに対して酵素剤を添加可能な酵素剤添加部5、回収水タンク4に貯留された搬送水Wcに対して水酸化ナトリウム水溶液を添加可能なpH調整部6、ろ過装置により分離された茶粕を脱水する脱水機7、および制御部8を備える(図1)。
概説すると、茶粕処理装置1は、麦茶飲料の製造工程におけるドリップ抽出器Dから排出される茶粕Tを回収し、これを工場外へ排出するための下処理を行う装置である。茶粕Tは、麦茶を抽出した後の茶粕であって、相当量の水を含有する。これを分離せずに排出すると、含まれる水のために体積あたりの重量が大きくなり、運搬効率が低下する。そこで、茶粕を固形分と水分とに分離する必要がある。粕受タンク2に受容された茶粕Tは、ろ過装置3を経て脱水機7に至る。これによって、茶粕Tの固形分は、脱水機7において脱水処理された後に、固形排出物として排出される。一方、茶粕Tの水分は、ろ過装置3または脱水機7においてその大部分が茶粕Tから分離され、最終的には排水処理される。
粕受タンク2(送液部の例)は、タンク部21と、送液ポンプ22とを有する。本実施形態に係る茶粕処理装置1では、茶粕Tに搬送水Wcを加えて流動性を付与し、これをポンプまたは重力により送液することで茶粕Tを搬送する水搬送方式を採用している。ドリップ抽出器Dから搬送された茶粕Tは、タンク部21に受容される。また、タンク部21には、回収水タンク4から送出される搬送水Wcが流入し、茶粕Tと搬送水Wcとからなる貯留液Wsを形成する。送液ポンプ22は、貯留液Wsをろ過装置3へ送出する。
ろ過装置3は、傾斜して設けられたスクリーン31を有する。粕受タンク2から送出された貯留液Ws(茶粕Tおよび搬送水Wc)は、スクリーン31の上に導入され、重力によりスクリーン31の斜面に沿って下方へ移動する。この移動中に、水分のみがスクリーン31を通過する。これによって、貯留液Wsは、残渣Rと、ろ液Wf(固液分離部により分離された液体の例)とに分離される。残渣Rは脱水機7に送られ、ろ液Wfは回収水タンク4に送られる。なお、脱水機7および回収水タンク4は、いずれもろ過装置3より下方に設けられているため、残渣Rおよびろ液の搬送は、重力により行われる。
回収水タンク4は、タンク部41と、送液ポンプ42とを有する。ろ過装置3でろ別されたろ液Wfは、タンク部41に受容され、送液ポンプ42によって搬送水Wcとして粕受タンク2に還流される。ただし、粕受タンク2に送出された搬送水Wcの全量がろ液Wfとして回収水タンク4に還流するわけではないため、タンク部41は、希釈水供給部(不図示)から新たな水を適宜受け入れる。なお、タンク部41に貯留された水を排水処理設備(不図示)へ排出することも可能である。
酵素剤添加部5は、酵素剤タンク51と、送液ポンプ52とを有する。酵素剤タンク51には、アミラーゼを含む酵素剤が貯留されている。送液ポンプ52は、酵素剤タンク51に貯留された酵素剤を、回収水タンク4へ送出できる。送液ポンプ52の運転および停止は、制御部8により制御可能である。
pH調整部6は、pH計61と、水酸化ナトリウム水溶液貯留部62と、開閉バルブ63とを有する。pH計61は、その電極が回収水タンク4のタンク部41に貯留された搬送水Wcに浸漬されており、当該搬送水WcのpHを常時測定する。水酸化ナトリウム水溶液貯留部62には水酸化ナトリウム水溶液が貯留されており、開閉バルブ63を開放すると、水酸化ナトリウム水溶液が回収水タンク4のタンク部41に流入する。開閉バルブ63の開度は制御部8により制御可能であり、具体的には、pH計61により測定されるpHの値が所定の管理範囲になるように、開閉バルブ63の開度がフィードバック制御される。
脱水機7は、ろ過装置3によりろ別された残渣Rから水分を取り除く脱水処理を行う。この脱水処理により、ドリップ抽出器Dから排出された茶粕Tが含んでいた水分、および、茶粕Tを搬送するために搬送水Wcとして加えられた水分が取り除かれ、茶粕Tの固形分が分離される。この固形分は、固体排出物として貯留されたのち、最終的に工場外に排出される。
〔茶粕処理装置の運転方法〕
次に、本実施形態に係る茶粕処理装置1の運転方法について説明する。
前述の通り、本実施形態に係る茶粕処理装置1は、茶粕Tを回収し、これを工場外へ排出するための下処理を行う装置であって、茶粕Tを搬送する方法として水搬送方式を採用している。搬送のために茶粕Tに加えられる搬送水Wcは、回収水タンク4から粕受タンク2に供給され、茶粕Tを伴ってろ過装置3に送出され、ろ過装置3から回収水タンク4に回収される。すなわち、搬送水Wcの大部分は、粕受タンク2、ろ過装置3、および回収水タンク4を循環する。
茶粕Tは、麦茶の抽出残渣であるので、デンプンを多く含む。茶粕Tに含まれるデンプンの一部は、搬送水Wcに溶出する。ここで、搬送水Wcの大部分は粕受タンク2、ろ過装置3、および回収水タンク4を循環するので、搬送水Wcのデンプン濃度は、茶粕Tの処理を続けるうちに次第に上昇する。このとき、搬送水Wcの粘度が上昇し、ろ過装置3のスクリーン31に膜を形成する場合がある。スクリーン31に膜が形成されると、スクリーン31の透水性が低下し、残渣Rに残る水分の量が多くなる。残渣Rの水分量が多いと、脱水機7における脱水処理の負荷が大きくなり、脱水処理に要する電力量の増加や脱水機7の故障などの不利益を招くおそれがある。そのため、スクリーン31の定期的な清掃を要するが、スクリーン31の清掃は少なくともろ過装置3の運転を停止して行う必要があるため、麦茶の生産性を損なう場合がある。
そこで、搬送水Wcの粘度の上昇を防ぐ必要がある。具体的には、従来の方法として、回収水タンク4において新たな水を受け入れて搬送水Wcを希釈する方法、および、デンプン濃度が高い搬送水Wcを回収水タンクから排水処理設備へ排出する方法があり、これらの方法は併用されうる。ただし、これらの方法は、排水処理量の増加を招き、排水処理費用を増加させるおそれがある。
本実施形態に係る茶粕処理装置1では、上記の従来の方法に加えて、酵素剤によりデンプンを分解する方法を採用する。具体的には、回収水タンク4においてデンプン分解酵素を含む酵素剤を受け入れて、搬送水Wcに含まれるデンプンを酵素反応により分解する。回収水タンク4において搬送水Wcに加えられた酵素剤は、粕受タンク2、ろ過装置3、および回収水タンク4を循環するあいだ(約6時間)に、多糖類であるデンプンを、より分子量の低い多糖類、オリゴ糖類、または単糖類に分解する。このような分解反応によって、搬送水Wcに含まれる糖類の分子量が小さくなるので、搬送水Wcの粘度が低下する。これによって、スクリーン31に膜が形成されることを、好適に防ぎうる。また、搬送水Wcに新たな水を加える方法に比べて、排水処理量の増加を招きにくい。
より具体的には、回収水タンク4の搬送水Wcを定期的に採取して、公知の方法により粘度を測定する。このとき測定された粘度の値が所定の閾値を超えている場合は、酵素剤の添加を行う。
なお、酵素剤には、酵素が良好に作用する至適pHが存在する。具体的な至適pHは酵素剤の製品によるが、デンプン分解酵素を含む酵素剤は概ねpH5~7に至適pHを有する場合が多い。ところで、茶粕Tに含まれる水分は酸性であるため、茶粕Tの処理を連続的に継続すると搬送水WcのpHが低下する傾向がある。そこで、酵素剤の活性を維持するために、pHが至適pH付近になるように管理する必要がある。たとえば、デンプン分解酵素としてα-アミラーゼを含む酵素剤を用いる場合は、pHの管理範囲を5.5~6.0に設定しうる。
本実施形態に係る茶粕処理装置1では、pHの調整を行う手段として、水酸化ナトリウム水溶液により茶粕Tに含まれる酸を中和する方法を採用する。具体的には、回収水タンク4において搬送水WcのpHを常時測定し、pHの値が所定の管理範囲になるように開閉バルブ63の開度をフィードバック制御する。たとえば、α-アミラーゼを含む酵素剤を用いる場合は、pHが5.5~6.0になるように開閉バルブ63の開度を制御する。
このように、搬送水Wcに酵素剤を添加することで、排水処理量を増加させることなく、搬送水Wcの粘度を低く維持することができる。また、粘度の実測値に基づいて酵素剤の添加を行うか否かを判断するので、適正な量の酵素剤の添加できる。さらに、搬送水WcのpHを酵素剤の至適pH付近に維持するので、酵素剤の活性を損ないにくい。
また、搬送水Wcに添加された酵素剤によってデンプンが分解される作用は、搬送水Wcに溶出したデンプンのみならず、残渣Rに含まれるデンプンにも及んでいる。これによって、酵素剤を添加しない場合に比べて残渣Rに含まれるデンプンの分子量が低下しているため、残渣Rから水が離脱しやすくなり、脱水機7における残渣Rの含水率が低くなる。このことは、固体排出物の重量の低減に寄与する。
以下では、茶粕搬送水に酵素剤を添加した場合の効果を検証した実験例について説明する。
実施例A:麦茶粕排水に含まれるデンプンの分解
〔試料〕
麦茶の製造工程から採取した麦茶粕排水を試料として用いた。この麦茶粕排水のデンプン含有量は26質量%であり、粘度は、8.4mPa・sであり、pHは3.4だった。
酵素剤の例として、以下の二つの試料を用いた。
(酵素剤1)クライスターゼE5CC:天野エンザイム株式会社製。α-アミラーゼを含む。至適pH5.5~6.0。至適温度70℃。液体。
(酵素剤2)ビオザイムA:天野エンザイム株式会社製。α-アミラーゼおよびプロテアーゼを含む。至適pH5.0。至適温度50℃。粉体。
pH調整剤として、25質量%の水酸化ナトリウム水溶液を用いた。
〔評価方法〕
試料の粘度およびデンプン含有量を、以下の方法により測定した。
《粘度》
A&D音叉型振動式粘度計を用いて、各試料の粘度を測定した。ローターとしてマグネチックスターラーを使用し、回転数は500rpmとした。
《デンプン含有量》
MEBAK(中央欧州ビール醸造者委員会)7.3.2(Photometrische Jodprobe)に準拠した方法により、各試料のデンプン含有量を定量した。
〔実施例1-1〕
麦茶粕排水250gに、pHが5.8になるまで水酸化ナトリウム水溶液を加えた試験溶液を調製した。試験溶液を撹拌しながら、70℃まで湯浴で加熱した。温度が70℃に達した試験溶液に、酵素剤1を2.5g(麦茶粕排水の1.0質量%)加えた。酵素剤1を加えた試験溶液を、70℃に維持したまま2時間撹拌した。その後、試験溶液の粘度およびデンプン含有量を測定した。
〔実施例1-2〕
麦茶粕排水250gに、pHが5.8になるまで水酸化ナトリウム水溶液を加えた試験溶液を調製した。試験溶液を撹拌しながら、40℃まで湯浴で加熱した。温度が40℃に達した試験溶液に、酵素剤1を0.25g(麦茶粕排水の0.10質量%)加えた。酵素剤1を加えた試験溶液を、40℃に維持したまま2時間撹拌した。その後、試験溶液の粘度を測定した。
〔実施例1-3〕
麦茶粕排水250gに、pHが5.8になるまで水酸化ナトリウム水溶液を加えた試験溶液を調製した。試験溶液を撹拌しながら、40℃まで湯浴で加熱した。温度が40℃に達した試験溶液に、酵素剤1を0.15g(麦茶粕排水の0.06質量%)加えた。酵素剤1を加えた試験溶液を、40℃に維持したまま2時間撹拌した。その後、試験溶液の粘度を測定した。
〔実施例1-4〕
麦茶粕排水250gに、pHが5.8になるまで水酸化ナトリウム水溶液を加えた試験溶液を調製した。試験溶液を撹拌しながら、40℃まで湯浴で加熱した。温度が40℃に達した試験溶液に、酵素剤1を0.05g(麦茶粕排水の0.02質量%)加えた。酵素剤1を加えた試験溶液を、40℃に維持したまま2時間撹拌した。その後、試験溶液の粘度を測定した。
〔実施例2-1〕
麦茶粕排水250gに、pHが5.0になるまで水酸化ナトリウム水溶液を加えた試験溶液を調製した。試験溶液を撹拌しながら、50℃まで湯浴で加熱した。温度が50℃に達した試験溶液に、酵素剤2を2.5g(麦茶粕排水の1.0質量%)加えた。酵素剤2を加えた試験溶液を、50℃に維持したまま2時間撹拌した。その後、試験溶液の粘度およびデンプン含有量を測定した。
〔実施例2-2〕
麦茶粕排水250gに、pHが5.0になるまで水酸化ナトリウム水溶液を加えた試験溶液を調製した。試験溶液を撹拌しながら、40℃まで湯浴で加熱した。温度が40℃に達した試験溶液に、酵素剤2を0.25g(麦茶粕排水の0.10質量%)加えた。酵素剤2を加えた試験溶液を、40℃に維持したまま2時間撹拌した。その後、試験溶液の粘度を測定した。
〔実施例2-3〕
麦茶粕排水250gに、pHが5.0になるまで水酸化ナトリウム水溶液を加えた試験溶液を調製した。試験溶液を撹拌しながら、40℃まで湯浴で加熱した。温度が40℃に達した試験溶液に、酵素剤2を0.15g(麦茶粕排水の0.06質量%)加えた。酵素剤2を加えた試験溶液を、40℃に維持したまま2時間撹拌した。その後、試験溶液の粘を測定した。
〔実施例2-4〕
麦茶粕排水250gに、pHが5.0になるまで水酸化ナトリウム水溶液を加えた試験溶液を調製した。試験溶液を撹拌しながら、40℃まで湯浴で加熱した。温度が40℃に達した試験溶液に、酵素剤2を0.05g(麦茶粕排水の0.02質量%)加えた。酵素剤2を加えた試験溶液を、40℃に維持したまま2時間撹拌した。その後、試験溶液の粘度を測定した。
〔試験結果〕
各実施例および麦茶粕排水(比較例)の粘度およびデンプン含有量(一部の例のみ)を表1に示した。いずれの実施例においても、麦茶粕排水に比べて粘度が低下した。また、実施例1-1および実施例2-1について、麦茶粕排水に比べてデンプン量が低下した。
このことから、各実施例における粘度の低下は、麦茶粕排水に含まれるデンプンが酵素剤により分解されたことにより起こったといえる。
また、実施例1-2~1-4および実施例2-2~2-4より、試験溶液の温度が必ずしも酵素剤の至適温度付近でなくても、粘度が低下することがわかった。加えて、実施例1-2~1-4および実施例2-2~2-4より、麦茶粕排水の少なくとも0.02質量%の酵素剤1または酵素剤2を加えれば、実用上十分な粘度低下効果が期待できることがわかった。
Figure 0007407682000001
実施例B:残渣の含水率の低減
上記の実施形態に係る茶粕処理装置1を用いて、酵素剤を添加する場合と酵素剤を添加しない場合のそれぞれについて茶粕Tの処理を行い、残渣Rの含水率を測定した。なお、酵素剤を添加する場合における酵素剤の添加量は、搬送水Wcに対して0.025質量%とした。酵素剤を添加した場合の残渣Rの含水率は67質量%であり、酵素剤を添加しなかった場合の残渣Rの含水率は75質量%であった。すなわち、酵素剤を添加することによって残渣Rの含水率が低下することが示された。
〔その他の実施形態〕
最後に、本発明に係る茶粕処理装置および茶粕処理方法のその他の実施形態について説明する。なお、以下のそれぞれの実施形態で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。
上記の実施形態では、茶粕処理装置1の処理対象が麦茶の茶粕である構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されず、本発明に係る茶粕処理装置は、茶葉や、麦、米、豆、とうもろこしなど任意の穀物系の茶粕などを処理対象としうる。また、本発明に係る茶粕処理装置は、複数の茶の茶粕の混合物を処理対象としてもよい。
上記の実施形態では、回収水タンク4の搬送水Wcに酵素剤が添加される構成を例として説明した。しかし、本発明に係る茶粕処理装置において、搬送水に酵素剤を添加する位置は、搬送水の循環経路上のいずれの位置でもよい。
上記の実施形態では、茶粕処理装置1がpH調整部6を備え、搬送水WcのpHの常時測定および当該測定に基づくフィードバック制御が可能なように構成された例について説明した。しかし、そのような構成に限定されず、本発明に係る茶粕処理装置は、pH調整部を備えなくてもよいし、上記のようなpH調整部の一部の機能部のみを備えてもよい。たとえば、本発明に係る茶粕処理装置は、pH計を備え、当該pH計の測定値に基づいて人為操作によりpH調整を行えるように構成してもよい。
上記の実施形態では、pH調整部6が水酸化ナトリウム水溶液の添加により搬送水WcのpHを調整する構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、本発明に係るpH調整部において用いられるpH調整剤は、処理対象とする茶粕のpHなどに応じて適宜選択されうる。
上記の実施形態では、搬送水Wcの粘度を定期的に測定し、測定された粘度の値に基づいて酵素剤の添加を行うか否かを判断する構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、本発明に係る茶粕処理装置は、粘度を常時測定する粘度測定部を備えてもよい。またこの場合、粘度測定部による粘度の測定値が所定の管理範囲内になるように、酵素剤の添加挙動をフィードバック制御するように構成してもよい。
上記の実施形態では、送液ポンプ52の運転および停止によって酵素剤の添加を制御する構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、本発明に係る酵素剤添加部において、酵素剤の添加を制御するために設けられる部材は、特に限定されない。たとえば、酵素剤添加部の酵素剤貯蔵部を回収部より高所に設けるとともに、酵素剤貯蔵部と回収部とを接続する配管にバルブを設ければ、当該バルブの開閉により酵素剤の添加を制御しうる。このように、酵素剤の添加を制御するために設けられる部材には、公知の流量制御手段を採用しうる。
上記の実施形態では、開閉バルブ63の開度によって水酸化ナトリウム水溶液の添加を制御する構成を例として説明した。しかし、本発明に係るpH調整部においてpH調整剤の添加を制御するために設けられる部材には、公知の流量制御手段を採用でき、たとえば、ポンプであってよい。
上記の実施形態では、茶粕処理装置1がろ過装置3を備える構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、本発明に係る固液分離部は、公知の固液分離装置であってよい。そのような分離装置としては、上記の実施形態に例示したろ過装置のほか、遠心脱水機などが例示される。
上記の実施形態では言及していないが、本発明に係る茶粕処理装置は、搬送水の温度を調整する温度調整部を備えてもよい。この場合、搬送水の温度が酵素剤の至適温度付近になるように制御可能に構成することが好ましい。
上記の実施例では、酵素剤としてクライスターゼE5CCまたはビオザイムAを用いた実験結果について説明した。しかし、本発明に係る茶粕処理装置において使用される酵素剤は、少なくともデンプン分解酵素を含む限り特に限定されず、たとえば、アミラーゼ(α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、グルコアミラーゼ、イソアミラーゼ)、プルラナーゼなどを含む酵素剤であってよい。なお、本発明に係る酵素剤は、アミラーゼを含むことが好ましく、α-アミラーゼを含むことがより好ましい。
上記の実施例では、酵素剤を麦茶粕排水の0.02~1.0質量%添加した実験結果について説明した。しかし、本発明に係る茶粕処理装置における酵素剤の添加量は、処理される茶粕の量、搬送水中の懸濁物質の含有量、搬送水のデンプン濃度、粘度、およびpH、固液分離部において使用されるフィルタの仕様、ならびに許容される搬送水の粘度などの諸条件に応じて適宜選択されうる。
その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本発明の範囲はそれらによって限定されることはないと理解されるべきである。当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜改変が可能であることを容易に理解できるであろう。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で改変された別の実施形態も、当然、本発明の範囲に含まれる。
本発明は、たとえば、麦茶の製造工程から排出される茶粕を処理する茶粕処理装置および茶粕処理方法に利用することができる。
1 :茶粕処理装置
2 :粕受タンク
21 :粕受タンクのタンク部
22 :粕受タンクの送液ポンプ
3 :ろ過装置
31 :スクリーン
4 :回収水タンク
41 :回収水タンクのタンク部
42 :回収水タンクの送液ポンプ
5 :酵素剤添加部
51 :酵素剤タンク
52 :酵素剤添加部の送液ポンプ
6 :pH調整部
61 :pH計
62 :水酸化ナトリウム水溶液貯留部
63 :開閉バルブ
7 :脱水機
8 :制御部
D :ドリップ抽出器
T :茶粕
Wc :搬送水
Ws :貯留液
Wf :ろ液
R :残渣

Claims (6)

  1. 茶粕と搬送水とを一体に送出可能な送液部と、前記送液部から送出された前記茶粕と前記搬送水とを分離可能な固液分離部と、前記固液分離部により分離された液体を回収して前記搬送水として前記送液部に還流可能な回収部と、を備える茶粕処理装置であって、
    少なくともデンプン分解酵素を含む酵素剤を、前記搬送水に対して添加可能な酵素剤添加部をさらに備える茶粕処理装置。
  2. 前記酵素剤添加部は、前記回収部において前記搬送水に対して前記酵素剤を添加可能な請求項1に記載の茶粕処理装置。
  3. 前記搬送水のpHを測定可能であり、かつ、測定した前記搬送水のpHに基づいて前記搬送水のpHを調整可能であるpH調整部をさらに備える請求項1または2に記載の茶粕処理装置。
  4. 前記搬送水の粘度を測定可能な粘度測定部をさらに備え、
    前記粘度測定部により測定した前記搬送水の粘度に基づいて、前記酵素剤添加部による前記酵素剤の添加を制御する請求項1~3のいずれか一項に記載の茶粕処理装置。
  5. さらに、前記固液分離部により分離された残渣を脱水する脱水機を備える請求項1~4のいずれか一項に記載の茶粕処理装置。
  6. 茶粕と搬送水とを一体に送出する送液工程と、前記送液工程において送出された前記茶粕と前記搬送水とを分離する固液分離工程と、前記固液分離工程において分離された液体を回収して前記送液工程における前記搬送水として還流させる回収工程と、を備える茶粕処理方法であって、
    少なくともデンプン分解酵素を含む酵素剤を、前記搬送水に対して添加する酵素剤添加工程をさらに備える茶粕処理方法。
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