以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態における緊急車両走行支援装置、緊急車両走行支援方法および緊急車両走行支援システムについて説明する。
まず、図1を参照しながら、本発明の実施形態における緊急車両走行支援システムの構成について説明する。図1は、本発明の実施形態における緊急車両走行支援システムの概略構成を示すブロック図である。図1に示す緊急車両走行支援システム1では、緊急車両Aの車載装置10、緊急車両走行支援装置20、信号点灯制御装置30がネットワークNを介して接続されている。
車載装置10が搭載されている緊急車両Aは、緊急用務を遂行するために、道路を優先的に走行する権利が与えられている緊急自動車である。緊急車両Aは、法令の規定により停止しなければならない場合(赤信号の点灯等)においても、停止することなく走行することが認められている。緊急車両Aには、消防車、救急車、警察車両等が含まれる。なお、本明細書では、緊急用務を遂行する際の緊急車両Aの走行を緊急走行と記載することがある。
車載装置10は、緊急車両Aの現在位置や目的地への走行予定ルートを案内する機能や、緊急車両Aの現在位置を緊急車両走行支援装置20へ送信する機能等を有する。車載装置10の詳細な構成については、図2を参照しながら後述する。
緊急車両走行支援装置20は、例えば指令室C1に配置されている。指令室C1は、緊急通報に応じて、緊急車両Aの出動指令を行う機関である。指令室C1には、例えば、消防車や救急車の出動指令を行う消防指令センターや、警察車両の出動指令を行う通信指令センター等が含まれる。
緊急車両走行支援装置20は、緊急車両Aの現在位置および走行予定ルートに基づき、信号点灯制御装置30に対して、走行予定ルート上の信号交差点に設置されている信号機の信号点灯指示を行う機能等を有する。緊急車両走行支援装置20の詳細な構成については、図3を参照しながら後述する。
信号点灯制御装置30は、例えば交通管制センターC2に配置されている。交通管制センターC2は、円滑かつ安全な交通を実現するために交通情報を統合管理する機関である。
信号点灯制御装置30は、緊急車両走行支援装置20から受信した信号点灯指示に基づいて、信号交差点に設置されている信号機の信号点灯制御を行う機能等を有する。信号点灯制御装置30の詳細な構成については、図4を参照しながら後述する。
図1では緊急車両Aは1台のみ図示されているが、複数台の緊急車両Aが存在してもよく、緊急車両走行支援装置20は、各緊急車両Aの優先走行を支援できるようになっている。また同様に、図1では信号機が1つのみ図示されているが、複数の信号機が存在してもよく、信号点灯制御装置30は、各信号交差点に設置されている複数の信号機の各々の点灯を制御できるようになっている。
図1では車載装置10、緊急車両走行支援装置20、信号点灯制御装置30が同一のネットワークNに接続されている状態が図示されているが、複数の異なるネットワークに接続されていてもよい。例えば車載装置10と緊急車両走行支援装置20とが通信を行うネットワークNと、緊急車両走行支援装置20と信号点灯制御装置30とが通信を行うネットワークNは異なっていてもよい。ネットワークNの種類や通信方式は特に限定されるものではなく、装置間の距離や要求されるセキュリティレベル等に応じて選択される適切な通信技術を利用することができる。
図1では緊急車両走行支援装置20が指令室C1に設置されているが、交通管制センターC2に設置されていてもよく、不図示のデータセンター等に設置されていてもよい。また、緊急車両走行支援装置20および信号点灯制御装置30が同一の装置によって実現されてもよい。
図2を参照しながら、本発明の実施形態における車載装置10の構成について説明する。図2は、本発明の実施形態における車載装置10の構成の一例を示すブロック図である。
図2に示す車載装置10は、制御部11、ストレージ12、通信部13、メモリ14、表示部15、操作入力部16、GPS受信部17がバス18を介して接続された構成を有している。図2では不図示であるが、車載装置10は、緊急車両A内に設けられた他の様々なセンサや制御システムと接続されていてもよい。例えば、車載カメラ、ミリ波レーダ、車速センサ、加速度センサ、ヨーレートセンサ、操舵角センサ、アクセルセンサ、ブレーキセンサ、エンジン制御システム、ブレーキ制御システム、ステアリング制御システム等がバス18を介して接続されていてもよい。
制御部11は、車載装置10における様々な動作を処理および制御することが可能なプロセッサである。制御部11は、例えば汎用的なデータ処理を行うCPUであってもよく、CPUを含むECUであってもよい。なお、図2では1つの制御部11のみが模式的に図示されているが、各機能に応じて異なる処理を行うように構成された複数のCPUまたはECUが適宜設けられてもよい。
制御部11は、本実施形態に係る構成要素として、例えば、走行予定ルート設定部110、位置情報処理部111、ナビゲーション処理部112を有している。
走行予定ルート設定部110は、緊急車両走行支援装置20から走行予定ルートを受信してナビゲーション処理部112に渡すことで、ナビゲーション処理部112による経路案内の走行予定ルートとして設定する機能を有している。
位置情報処理部111は、GPS受信部17で受信したGPS信号に基づき、緊急車両Aの現在位置を検出する機能を有している。位置情報処理部111は、検出された現在位置を、通信部13を介して緊急車両走行支援装置20へ送信するように構成されている。特に緊急車両Aが緊急走行を行っている際には、車載装置10は、緊急車両走行支援装置20に対して所定の短い時間間隔(例えば数秒毎)で現在位置の送信を行うことが望ましい。また、位置情報処理部111は、検出された現在位置をナビゲーション処理部112へ供給するように構成されている。
ナビゲーション処理部112は、走行予定ルート設定部110から供給された走行予定ルートを現在の走行予定ルートとして設定するとともに、表示部15の表示画面上に、緊急車両Aの現在位置および走行予定ルートを地図上に重畳表示して、緊急車両Aの経路案内を行う機能を有している。
ストレージ12は、様々なデータやプログラム等を格納することが可能な補助記憶装置である。ストレージ12は、例えば、HDD(ハードディスクドライブ)等の磁気ディスク、SSD(ソリッドステートディスク)等の半導体メモリ、光磁気ディスク、光ディスクである。なお、ストレージ12は、車載装置10に内蔵された記録媒体や車載装置10から取り外し可能な可搬記録媒体であってもよく、ネットワークNを介してアクセス可能な別の装置に管理されている記録媒体やオンラインストレージであってもよい。また、図2では1つのストレージ12のみが模式的に図示されているが、データやプログラムの用途等に応じて複数のストレージ12が適宜設けられてもよい。
図2に示すストレージ12には、例えば、地図情報データベース(DB)121を含む各種データが格納されている。
地図情報データベース121は、ナビゲーション処理部112で使用される地図情報である。地図情報データベース121には、例えば道路地図データおよび住宅地図データが含まれている。ナビゲーション処理部112は、地図情報データベース121を使用して、表示部15の表示画面に地図を表示できるようになっている。
なお、図2ではストレージ12に地図情報データベース121のみが格納された状態が図示されているが、ストレージ12には、車載装置10における動作に必要な様々なデータが格納されてもよい。例えば、ストレージ12には、現在および過去の走行予定ルートを含む走行予定ルート履歴データや、現在位置および過去の位置を含む位置情報履歴データ等が格納されてもよい。また、上述したように、ストレージ12には、車載装置10で実現される各機能に係る処理手順を記述したプログラムが格納されてもよい。
通信部13は、ネットワークNに接続された他の通信装置、特に緊急車両走行支援装置20と通信を行うように構成されている。通信部13で行われる通信に採用される通信規格や通信方式は特に限定されるものではないが、緊急車両Aの走行中に通信が行われるため、通信部13は、無線通信を介してネットワークNに接続する必要がある。
メモリ14は、制御部11がデータの演算やプログラムを実行する際に使用される作業用の主記憶装置である。制御部11の各機能がプログラムの実行により実現される場合には、制御部11は、主記憶装置であるメモリ14に読み込まれたプログラムを実行し、データの演算処理を行うことができる。例えば、位置情報処理部111およびナビゲーション処理部112等の各機能に係る処理手順を記述したプログラムを所定の補助記憶装置(例えばストレージ12)に格納しておき、制御部11が所定のプログラムをメモリ14に読み込んで実行することで各機能が実現される。
表示部15は、緊急車両Aの運転者や同乗者に対して、経路案内情報等を視覚的な情報(テキスト情報および画像情報)として表示する構成要素であり、操作入力部16は、運転者や同乗者からの操作入力を受け付ける構成要素である。表示部15はLCD等のモニタ、操作入力部16は操作パネルまたはタッチパネル等を表している。なお、車載装置10は、視覚的な情報に加えて、不図示の音声出力部から経路案内に係る音声情報を出力することによって経路案内を行ってもよい。
GPS受信部17は、GPS衛星からGPS信号を受信し、GPS信号に基づいて緊急車両Aの現在位置を検出する機能を有している。また、GPS信号には時刻情報が含まれており、GPS受信部17は、GPS信号受信時の時刻を検出する機能も有している。
上記の構成によれば、図2に示す車載装置10によって下記の機能が実現される。
緊急車両Aに搭載されている車載装置10は、通信部13を介してネットワークNに接続されており、緊急車両走行支援装置20から走行予定ルートを受信できるようになっており、緊急車両走行支援装置20へ緊急車両Aの現在位置を送信できるようになっている。特に緊急車両Aの緊急走行時には、時々刻々と変化する緊急車両Aの現在位置を通知するために、車載装置10は、所定の短い時間間隔で緊急車両Aの現在位置を緊急車両走行支援装置20へ送信できるようになっている。
車載装置10は、緊急車両走行支援装置20から受信した走行予定ルートを現在の走行予定ルートとして設定し、表示部15の表示画面上に、緊急車両Aの現在位置および走行予定ルートを地図上に重畳表示することで経路案内を行えるようになっている。
なお、既存のAVM(Automatic Vehicle Monitoring:車両動態管理)システムを活用することで、車載装置10が緊急車両Aの現在位置を緊急車両走行支援装置20へ通知し、緊急車両走行支援装置20が緊急車両Aの現在位置を把握および管理して、各緊急車両Aに対して走行予定ルートの設定を行うようにしてもよい。さらに、車載装置10が緊急車両Aの動態情報(出動中、現場到着、帰庫中等)を緊急車両走行支援装置20へ通知し、緊急車両走行支援装置20が、各緊急車両Aの動態情報を考慮して出動指示を行うようにしてもよい。
また、本実施形態では、緊急車両走行支援装置20が緊急車両Aの走行予定ルートを決定して車載装置10へ通知するように構成されているが、例えば、緊急車両走行支援装置20が目的地のみを車載装置10へ通知し、車載装置10が目的地に到着するまでの走行予定ルートを決定してもよい。ただし、車載装置10および緊急車両走行支援装置20は緊急車両Aの走行予定ルートを共有する必要があり、この場合には、車載装置10が、決定した走行予定ルートを緊急車両走行支援装置20へ通知することが望ましい。
次に図3を参照しながら、本発明の実施形態における緊急車両走行支援装置20の構成について説明する。図3は、本発明の実施形態における緊急車両走行支援装置20の構成の一例を示すブロック図である。
図3に示す緊急車両走行支援装置20は、制御部21、ストレージ22、通信部23、メモリ24、表示部25、操作入力部26がバス27を介して接続された構成を有している。緊急車両走行支援装置20は、指令室C1に設けられたコンピュータによって実現され得る。緊急車両走行支援装置20は、多数の緊急車両Aを管理し、緊急走行中の緊急車両Aの位置に応じて信号点灯の制御を行うかどうかを決定する必要がある。したがって、緊急車両走行支援装置20を実現するためのコンピュータは、処理能力および動作安定性が高いことが望ましい。
制御部21は、緊急車両走行支援装置20における様々な動作を処理および制御することが可能なプロセッサである。制御部21は、例えば汎用的なデータ処理を行うCPUであってもよい。なお、図3では1つの制御部21のみが模式的に図示されているが、各機能に応じて異なる処理を行うように構成された複数のCPUが適宜設けられてもよい。
制御部21は、本実施形態に係る構成要素として、例えば、緊急車両走行予定ルート設定部210、緊急車両位置情報処理部211、幅員減少地点特定部212、交差点特定部213、交差点通過方向特定部214、信号点灯指示部215、通過済交差点特定部216、信号制御解除指示部217、渋滞情報処理部218を有している。
緊急車両走行予定ルート設定部210は、緊急車両Aが走行する走行予定ルートを決定し、通信部23を介して緊急車両Aの車載装置10へ当該走行予定ルートを送信する機能を有している。緊急車両走行予定ルート設定部210は、例えば指令室C1に入電された緊急通報に応じて、出動先である現場まで迅速に到着可能な緊急車両Aを特定し、緊急車両Aの走行予定ルートを決定することができるように構成されている。具体的には、緊急車両走行予定ルート設定部210は、指令室C1のオペレータが現場近くの緊急車両Aを特定および選択するとともに出動先である現場を目的地として設定した場合に、地図情報データベース221に格納されている地図情報を参照して緊急車両Aの現在位置から現場までのルート探索を行い、短時間で現場に到着可能な走行予定ルートを緊急車両Aの車載装置10へ通知するように構成されている。
緊急車両位置情報処理部211は、通信部23を介して緊急車両Aの現在位置を取得する機能を有している。緊急車両位置情報処理部211は、取得した緊急車両Aの現在位置を必要に応じて他の構成要素に供給するとともに、各緊急車両Aの位置を位置情報データベース223に格納するように構成されている。
幅員減少地点特定部212は、緊急車両Aが走行している走行予定ルート上において、道路の幅員が減少している地点(本明細書では幅員減少地点と記載する)を特定する機能を有している。幅員減少地点特定部212は、例えば地図情報データベース221の記号幅員を参照して、道路の幅員が減少している地点を特定することができる。
交差点特定部213は、緊急車両Aの進行方向前方に位置する交差点を特定する機能を有している、さらに、交差点特定部213は、幅員減少地点特定部212において幅員減少地点が特定された場合に、当該幅員減少地点を含む道路が緊急車両Aの進行方向前方で接続する信号交差点(本明細書では閉塞交差点と記載する)を特定する機能を有している。
交差点通過方向特定部214は、緊急車両Aが走行している走行予定ルートを参照して、緊急車両Aが交差点を通過する通過方向を特定する機能を有している。交差点の通過方向とは、緊急車両Aが交差点に進入する進入口および交差点から退出する退出口によって特定される方向である。例えば十字交差点の場合には、交差点の通過方向は、進入口に対して前方に退出する直進方向、進入口に対して左方に退出する左折方向、進入口に対して右方に退出する右折方向を含む。
信号点灯指示部215は、緊急車両Aが走行している走行予定ルート上の信号交差点に設置されている信号機の信号点灯に係る態様を決定し、通信部23を介して信号点灯制御装置30に対して信号点灯指示を行う機能を有している。本実施形態では、信号点灯指示部215は、幅員減少地点に基づき、当該幅員減少地点に対して緊急車両Aの進行方向前方に位置する閉塞交差点と、閉塞交差点に該当しない交差点とを区別して、交差点に設置されている信号機の信号点灯に係る態様を変えることができるようになっている。
具体的には、信号点灯指示部215は、閉塞交差点に設置されている信号機については、緊急車両Aが交差点を通過する際の通過方向に対して青信号にする指示を行い、緊急車両Aの通過を妨げる方向に対して赤信号にする指示を行うように構成されている。また、閉塞交差点に該当しない交差点に設置されている信号機については、緊急車両Aの通過方向および緊急車両Aの通過を妨げる方向ともに赤信号にする指示を行うように構成されている。緊急車両Aの通過方向および緊急車両Aの通過を妨げる方向については、例えば図11~図13の例を参照して後述する。
通過済交差点特定部216は、緊急車両Aの走行予定ルートおよび現在位置を参照して、緊急車両Aが既に通過した交差点(本明細書では、通過済交差点と記載する)を特定する機能を有する。通過済交差点特定部216は、特定した通過済交差点を信号制御解除指示部217に通知するように構成されている。
信号制御解除指示部217は、信号点灯制御装置30に対して、通過済交差点特定部216で特定した通過済交差点に設置されている信号機の信号制御解除指示を行うことができるようになっている。本実施形態では、緊急車両Aの優先走行を支援するために、走行予定ルート上の交差点に設置されている信号機の点灯制御を行って、交差点における交通流を制御および制限できるようになっている。一方、緊急車両Aが通過した交差点は、緊急車両Aの走行のために信号機の点灯制御を行う必要はなく、信号制御解除指示部217は、通過済交差点に設置されている信号機の点灯制御を解除して交差点の交通流を元の状態に戻すことができるようになっている。
渋滞情報処理部218は、任意選択的な構成要素であり、道路における渋滞発生具合いを表す情報を含む渋滞情報データベースをさらに参照して、閉塞交差点に設置されている信号機の信号点灯に係る態様を決定する機能を有している。具体的には、渋滞情報処理部218は、信号点灯指示部215で決定された閉塞交差点に設置されている信号機の信号点灯に係る態様に対して、さらに、渋滞情報データベースに格納されている渋滞情報を考慮した信号制御を行えるように構成されている。
ストレージ22は、様々なデータやプログラム等を格納することが可能な補助記憶装置である。ストレージ22は、例えば、HDD等の磁気ディスク、SSD等の半導体メモリ、光磁気ディスク、光ディスクである。なお、ストレージ22は、緊急車両走行支援装置20に内蔵された記録媒体や緊急車両走行支援装置20から取り外し可能な可搬記録媒体であってもよく、ネットワークNを介してアクセス可能な別の装置に管理されている記録媒体やオンラインストレージであってもよい。また、図3では1つのストレージ22のみが模式的に図示されているが、データやプログラムの用途等に応じて複数のストレージ22が適宜設けられてもよい。
図3に示すストレージ22には、例えば、地図情報データベース221、設定ルートデータベース222、位置情報データベース223、渋滞情報データベース224を含む各種データが格納されている。
地図情報データベース221は、各緊急車両Aの現在位置を把握し、各緊急車両Aの走行予定ルートを決定する際に使用される地図情報を収容したデータベースである。地図情報データベース221には、例えば道路地図データおよび住宅地図データが含まれている。緊急車両走行予定ルート設定部210は、地図情報データベース221に格納されている地図情報を参照して、例えば緊急車両Aの現在位置から出動先である現場までのルート探索を行い、短時間で現場に到着可能な走行予定ルートを決定できるように構成されている。
図5は、本実施形態における地図情報データベース221に格納されている地図情報の一部を示す図である。地図情報データベース221は、所定の地域または全国の地図情報が集積されたデータベースである。地図情報データベース221には、特定の地域または全国の道路地図データおよび住宅地図データが、例えば各位置に係る情報がデータベースエントリ単位で集積されている。
図5には、地図情報データベース221に含まれるデータベースエントリの構造の一例が図示されている。図5に示すデータベースエントリには、例えば、基準点、位置座標、メッシュ標高情報、行政界、海岸線、居住地名、自然地名、公共施設、信号交差点、記号幅員の各項目が含まれている。
基準点には、電子基準点、三角点、多角点、水準点等の測量基準点の名称または位置座標が格納される。位置座標には、基準点に対する相対位置座標または緯度および経度を含む絶対位置座標が格納される。メッシュ標高情報には、標高(海抜高度)が格納される。行政界には、行政区画の境界が格納される。海岸線には、陸地と海面との境界が格納される。居住地名には、住所等に使用される町字名等の地名が格納される、自然地名には、地形等に従って名付けられた地名が格納される。公共施設には、建造物を表す記号または名称が格納される。信号交差点には、信号機が設定されている交差点の名称が格納される。記号幅員には、道路幅(幅員)を表す記号が格納される。
記号幅員は、例えば道路の幅に応じて定められた道路記号である。国土地理院が定めた定義によれば、記号幅員は、例えば、1.5メートル未満の道路幅である徒歩道、1.5メートル~3メートルの道路幅である軽車道、3メートル~5.5メートルの道路幅である1車線道路、5.5メートル~13メートルの道路幅である2車線道路、13メートル~25メートルの道路幅である4車線道路、25メートル以上の道路幅である真幅道路に分類され、それぞれの道路幅が記号によってあらわされている。
上記の地図情報データベース221の構造は一例であり、これに限定されるものではない。地図情報データベース221には、例えば、カーナビゲーション装置やAVMシステム等で使用されているデータを使用してもよく、国土地理院が提供している道路地図データや住居地図データに基づいて独自に作成されたものを使用してもよい。さらに、本実施形態に係る緊急車両Aの走行予定ルートの決定や幅員減少地点の特定等を効率的に行えるように改良されたものを使用してもよい。
設定ルートデータベース222は、各緊急車両Aに対して設定した走行予定ルートを格納および管理するためのデータベースである。図6は、本実施形態における設定ルートデータベース222に格納されている走行予定ルート情報の一部を示す図である。設定ルートデータベース222には、緊急車両走行予定ルート設定部210で決定された緊急車両Aの走行予定ルートが、各緊急車両Aに対応するデータベースエントリ単位で格納される。
図6には、設定ルートデータベース222に含まれるデータベースエントリの構造の一例が図示されている。図6に示すデータベースエントリには、例えば、ルートID、基準点、位置座標、起点情報、終点情報、ルートマーク、距離情報の各項目が含まれている。
ルートIDには、特定の緊急車両Aに対して決定した緊急車両Aの走行予定ルートの識別番号が格納される。基準点には、電子基準点、三角点、多角点、水準点等の測量基準点の名称または位置座標が格納される。位置座標には、走行予定ルート上の位置座標を特定することが可能な位置座標であって、基準点に対する相対位置座標または緯度および経度を含む絶対位置座標が格納される。起点情報には、走行予定ルートの起点(スタート地点)となる位置情報、例えば緊急車両Aに対して出動指示を行った時点における緊急車両Aの現在位置が格納される。終点情報には、走行予定ルートの終点(目的地)となる位置情報、例えば出動先である現場の位置情報が格納される。ルートマークには、走行予定ルート上の主要な道路を表す記号が格納される。距離情報には、走行予定ルートの起点と終点とを結ぶ道路距離が格納される。
上記の設定ルートデータベース222の構造は一例であり、これに限定されるものではない。設定ルートデータベース222には、例えば、AVMシステム等で使用されている走行予定ルート管理用のデータベースを使用してもよく、また、独自に改良された走行予定ルート管理用のデータベースを使用してもよい。
位置情報データベース223は、各緊急車両Aの現在位置を格納および管理するためのデータベースである。図7は、本実施形態における位置情報データベース223に格納されている緊急車両Aの位置情報の一部を示す図である。位置情報データベース223には、緊急車両位置情報処理部211が取得した各緊急車両Aの現在位置がデータベースエントリ単位で格納される。
図7には、位置情報データベース223に含まれるデータベースエントリの構造の一例が図示されている。図7に示すデータベースエントリには、例えば、車両ID、基準点、位置座標、日付、時間の各項目が含まれている。
車両IDには、特定の緊急車両Aの識別番号が格納される。基準点には、電子基準点、三角点、多角点、水準点等の測量基準点の名称または位置座標が格納される。位置座標には、緊急車両Aの現在位置を特定することが可能な位置座標であって、基準点に対する相対位置座標または緯度および経度を含む絶対位置座標が格納される。日付には、緊急車両Aが当該現在位置に存在している際の日付が格納される。時間には、緊急車両Aが当該現在位置に存在している際の時間が格納される。
なお、位置情報データベース223の構造は一例であり、これに限定されるものではない。位置情報データベース223には、例えば、AVMシステム等で使用されている車両位置管理用のデータベースを使用してもよく、また、独自に改良された車両位置管理用のデータベースを使用してもよい。
渋滞情報データベース224は、過去の渋滞発生度合いを収容したデータベースである。図8は、本実施形態における渋滞情報データベース224に格納されている過去の渋滞発生度合いを示す渋滞情報の一部を示す図である。渋滞情報データベース224には、特定の道路またはエリア等における過去の渋滞発生度合いがデータベースエントリ単位で集積されており、任意選択的に、渋滞情報処理部218が渋滞情報データベース224を参照して、閉塞交差点の信号機の信号点灯に係る態様を決定できるように構成されている。
図8には、渋滞情報データベース224に含まれるデータベースエントリの構造の一例が図示されている。図8に示すデータベースエントリには、例えば、位置座標、日付、時間、進行方向、渋滞指数の各項目が含まれている。
位置座標には、当該データベースエントリ内の渋滞指数に対応する位置座標(道路やエリア等を特定する位置情報を含む)が格納される。日付には、当該データベースエントリ内の渋滞指数に対応する日付が格納される。時間には、当該データベースエントリ内の渋滞指数に対応する時間が格納される。進行方向には、当該データベースエントリ内の渋滞指数に対応する道路の進行方向が格納される。渋滞指数には、前述した位置座標により特定される道路やエリア、日付、時間および進行方向において発生する可能性のある渋滞の程度を表す情報が格納される。
渋滞指数に格納される情報として、例えば、道路または複数の道路が繋がった区間における渋滞発生度合いを表す渋滞ランクを定義してもよい。渋滞ランクは、一例として数値「1」~「5」の5段階で定義され、数値が低いほど渋滞が起こりにくく、数値が高いほど渋滞が起こりやすいことを表している。
渋滞指数に格納される渋滞ランクは、交通調査から得られる過去の交通量から決定されてもよく、交通量シミュレーションから決定されてもよい。例えば、特定の道路または区間等においては、過去の傾向から、日時(時間帯を含む)や曜日、祝日や行楽シーズン等の各種条件に応じて、渋滞発生度合いを予測することができる。こうした過去の渋滞発生度合いを考慮することで、特定の道路や区間等に対して渋滞発生度合いを表す渋滞ランクを設定し、渋滞情報データベース224に格納しておくことができる。また、道路工事が実施される予定の道路や区間に対して、道路工事が実施された場合に起こる過去の渋滞発生度合いに基づいて渋滞ランクを設定してもよい。
渋滞ランクは、例えば、特定の道路または区間を車両が通過する平均速度や平均通過時間に対応付けられてもよい。一例として、特定の道路を通過する車両の平均速度が10km/h以下の場合には「5」、10~20km/hの場合には「4」、20~30km/hの場合には「3」、30~40km/hの場合には「2」、40km/hの場合には「1」で表される。
また、同一の道路または区間であっても、日時や曜日、祝日等の情報や工事情報に基づいて、異なる渋滞ランクを設定してもよい。一例として、夜間の時間帯(例えば夜11時から翌朝6時まで)に交通量が少なく渋滞が起こりにくい場合には、同一の道路または区間であっても、夜間の時間帯の渋滞ランクをその他の時間帯の渋滞ランクよりも低く設定してもよい。また、週末(土曜日、日曜日)および祝日に交通量が少なく渋滞が起こりにくい場合には、同一の道路または区間であっても、週末および祝日の渋滞ランクをその他の日の渋滞ランクよりも低く設定してもよい。また、道路工事が実施された場合には渋滞が起こりやすくなることから、同一の道路または区間であっても、道路工事が実施される日時の渋滞ランクをその他の日時の渋滞ランクよりも低く設定してもよい。
なお、「渋滞指数」の項目に格納される渋滞ランクは、上述した例に限定されるものではなく、渋滞の程度を表す任意の情報であればよい。また、上述した例では、渋滞の程度を表す数値を5段階に分類しているが、当該段階数は任意に設定でき、例えば2段階(渋滞が起こる可能性の有無)であってもよい。
通信部23は、ネットワークNに接続された他の通信装置、特に車載装置10および信号点灯制御装置30と通信を行うように構成されている。通信部23で行われる通信に採用される通信規格や通信方式は特に限定されるものではない。
メモリ24は、制御部21がデータの演算やプログラムを実行する際に使用される作業用の主記憶装置である。制御部21の各機能がプログラムの実行により実現される場合には、制御部21は、主記憶装置であるメモリ24に読み込まれたプログラムを実行し、データの演算処理を行うことができる。例えば、上述した制御部21に含まれる各機能に係る処理手順を記述したプログラムを所定の補助記憶装置(例えばストレージ22)に格納しておき、制御部21が所定のプログラムをメモリ24に読み込んで実行することで各機能が実現される。
表示部25は、緊急車両走行支援装置20のオペレータに対して、緊急車両Aの現在位置や走行予定ルート等を視覚的な情報(テキスト情報および画像情報)として表示する構成要素であり、操作入力部26は、当該オペレータからの操作入力(例えば、出動させる緊急車両Aの選択や、入電された緊急通報に基づく出動先の設定等)を受け付ける構成要素である。表示部25はLCD等のモニタ、操作入力部26は操作パネルまたはタッチパネル等を表している。
上記の構成によれば、図3に示す緊急車両走行支援装置20によって下記の機能が実現される。
指令室C1に配置されている緊急車両走行支援装置20は、通信部23を介してネットワークNに接続されており、車載装置10から緊急車両Aの現在位置を受信できるようになっており、車載装置10へ走行予定ルートを送信できるようになっている。特に緊急車両Aの緊急走行時には、緊急車両走行支援装置20は、時々刻々と変化する緊急車両Aの現在位置を所定の短い時間間隔で車載装置10から受信できるようになっている。
緊急車両走行支援装置20は、緊急車両Aの現在位置および走行予定ルートに基づいて、緊急車両Aが走行予定ルート上のどの位置を走行しているかを特定し、緊急車両Aの進行方向前方に位置する信号交差点に設置されている信号機の信号点灯に係る態様を決定し、信号点灯制御装置30に対して信号点灯指示を行えるようになっている。
特に、緊急車両走行支援装置20は、緊急車両Aが走行する走行予定ルートの道路の幅員が減少している幅員減少地点を特定し、さらに、幅員減少地点に対して緊急車両Aの進行方向前方に位置する閉塞交差点を特定することで、制御信号交差点に設置されている信号機の信号点灯に係る態様を決定し、信号点灯制御装置30に対して信号点灯指示を行えるようになっている。
さらに、緊急車両走行支援装置20は、任意選択的に、道路における渋滞発生具合いを表す情報をを参照して、閉塞交差点に設置されている信号機の信号点灯に係る態様を決定し、信号点灯制御装置30に対して信号点灯指示を行えるようになっている。
次に図4を参照しながら、本発明の実施形態における信号点灯制御装置30の構成について説明する。図4は、本発明の実施形態における信号点灯制御装置30の構成の一例を示すブロック図である。
図4に示す信号点灯制御装置30は、制御部31、ストレージ32、通信部33、メモリ34、信号機通信部35がバス36を介して接続された構成を有している。信号点灯制御装置30は、交通管制センターC2に設けられたコンピュータによって実現され得る。信号点灯制御装置30は、緊急車両走行支援装置20から受信した信号点灯指示に応じて、信号交差点に設置されている信号機の信号制御を迅速に行う必要がある。したがって、信号点灯制御装置30を実現するためのコンピュータは、処理能力および動作安定性が高いことが望ましい。
制御部31は、信号点灯制御装置30における様々な動作を処理および制御することが可能なプロセッサである。制御部31は、例えば汎用的なデータ処理を行うCPUであってもよい。図4では1つの制御部31のみが模式的に図示されているが、各機能に応じて異なる処理を行うように構成された複数のCPUが適宜設けられてもよい。
制御部31は、本実施形態に係る構成要素として、例えば、信号点灯制御部311を有している。
信号点灯制御部311は、通信部33を介して緊急車両走行支援装置20から受信した信号点灯指示に応答して、信号機通信部35を介して信号機の点灯制御を行う機能を有している。また、信号点灯制御部311は、通信部33を介して緊急車両走行支援装置20から受信した信号制御解除指示に応答して、信号機通信部35を介して信号機の信号制御を解除する機能を有している。
ストレージ32は、様々なデータやプログラム等を格納することが可能な補助記憶装置である。ストレージ32には、例えば、緊急車両走行支援装置20から受信した信号点灯指示および信号制御解除指示を記録する指示履歴データベース321や、信号機の信号制御および信号制御解除を記録する信号制御履歴データベース322等が格納される。
ストレージ32は、例えば、HDD等の磁気ディスク、SSD等の半導体メモリ、光磁気ディスク、光ディスクである。なお、ストレージ32は、信号点灯制御装置30に内蔵された記録媒体や信号点灯制御装置30から取り外し可能な可搬記録媒体であってもよく、ネットワークNを介してアクセス可能な別の装置に管理されている記録媒体やオンラインストレージであってもよい。また、図4では1つのストレージ32のみが模式的に図示されているが、データやプログラムの用途等に応じて複数のストレージ32が適宜設けられてもよい。
通信部33は、ネットワークNに接続された他の通信装置、特に緊急車両走行支援装置20と通信を行うように構成されている。通信部33で行われる通信に採用される通信規格や通信方式は特に限定されるものではないが、緊急車両Aの走行中に通信が行われるため、通信部33は、無線通信を介してネットワークNに接続する必要がある。
メモリ34は、制御部31がデータの演算やプログラムを実行する際に使用される作業用の主記憶装置である。制御部31の各機能がプログラムの実行により実現される場合には、制御部31は、主記憶装置であるメモリ34に読み込まれたプログラムを実行し、データの演算処理を行うことができる。例えば、上述した信号点灯制御部311の機能に係る処理手順を記述したプログラムを所定の補助記憶装置(例えばストレージ32)に格納しておき、制御部31が所定のプログラムをメモリ34に読み込んで実行することで各機能が実現される。
信号機通信部35は、信号交差点に設置されている信号機と通信を行うように構成されている。信号機通信部35で行われる通信に採用される通信規格や通信方式は特に限定されるものではなく、例えば、FASTで既に使用されている交通管制センターC2と信号機とを接続する通信ネットワーク等を使用してもよい。
図4では図示省略しているが、交通管制センターC2のオペレータが情報を確認しながら操作入力を行えるように、信号点灯制御装置30は、表示部および操作入力部を有していてもよい。
上記の構成によれば、図4に示す信号点灯制御装置30によって下記の機能が実現される。
交通管制センターC2に配置されている信号点灯制御装置30は、通信部33を介してネットワークNに接続されており、緊急車両走行支援装置20から信号点灯指示および信号制御解除指示を受信できるようになっている。また、信号点灯制御装置30は、緊急車両走行支援装置20から受信した信号点灯指示に応答して、信号交差点に設置されている信号機の信号制御を行うとともに、緊急車両走行支援装置20から受信した信号制御解除指示に応答して、信号交差点に設置されている信号機の信号制御を解除できるようになっている。
なお、車載装置10、緊急車両走行支援装置20、信号点灯制御装置30はいずれも、プロセッサ(制御部11、21、31)、ストレージ12、22、32、メモリ14、24、34を備えたコンピュータによって実現可能である。
次に、本発明の実施形態における緊急車両走行支援システムの動作について説明する。図9は、本発明の実施形態における緊急車両走行支援システムの動作の概要を説明するための図である。
図9は、車載装置10が搭載されている緊急車両Aが道路を緊急走行する様子を模式的に示している。図9において、緊急車両Aは、走行予定ルートに従って道路を図中右から左に向かって走行しており、車載装置10は、所定の短い時間間隔で緊急車両走行支援装置20へ位置情報を送信している(1:位置情報送信)。
緊急車両走行支援装置20は、緊急車両Aの現在位置を追跡しながら、例えば後述の図10に示すフローチャートに係る処理を実行し、信号点灯制御装置30に対して、緊急車両Aの進行方向前方に位置する信号交差点の信号機に関する信号点灯指示を行う(2:信号点灯指示)。信号点灯制御装置30は、緊急車両走行支援装置20から受信した信号点灯指示に応答して、当該信号交差点の信号機の信号制御を行う(3:信号制御)。
また、緊急車両走行支援装置20は、緊急車両Aの現在位置を追跡しながら、例えば後述の図14に示すフローチャートに係る処理を実行し、信号点灯制御装置30に対して、緊急車両Aが通過した通過済交差点の信号機に信号制御解除指示を行う(4:信号制御解除指示)。信号点灯制御装置30は、緊急車両走行支援装置20から受信した信号点灯解除指示に応答して、当該通過済交差点の信号機の信号制御を解除して、通常の状態に戻す(5:信号制御解除)。
図10は、本発明の実施形態における緊急車両走行支援装置20の信号点灯指示に係る処理の一例を示すフローチャートである。
緊急車両走行支援装置20は、出動させる緊急車両Aの走行予定ルートを取得する(ステップS101)。ステップS101の処理は、例えば、緊急車両走行予定ルート設定部210が緊急車両Aの現在位置を起点とし出動先である現場を終点とした走行予定ルートを決定し、緊急車両Aの車載装置へ走行予定ルートを通知する処理を含む。なお、緊急車両走行支援装置20および車載装置10が同一の走行予定ルートを共有できればよく、例えば、車載装置10で走行予定ルートを決定して緊急車両走行支援装置20へ通知してもよい。
緊急走行中の緊急車両Aでは、車載装置10が所定の短い時間間隔で緊急車両走行支援装置20へ位置情報を送信しており、緊急車両走行支援装置20は、車載装置10から位置情報を受信したかどうかを判定する(ステップS102)。車載装置10から位置情報を受信した場合には、緊急車両走行支援装置20は、緊急車両Aの走行予定ルート上であって、かつ、緊急車両Aの進行方向前方に信号交差点が存在するかどうかを判定する(ステップS103)。緊急車両Aの進行方向は、走行予定ルートから特定可能であるが、緊急車両Aの経時的な位置変化を追跡することで特定されてもよい。ステップS103の処理は、例えば、交差点特定部213が走行予定ルート、緊急車両Aの現在位置および地図情報データベース221に格納されている信号交差点の位置情報を参照して判定する処理を含む。
ステップS103で信号交差点が存在しないと判定された場合には、再びステップS101に戻る。一方、ステップS103で信号交差点が存在すると判定された場合には、緊急車両Aが通過する予定の信号交差点、および、緊急車両Aの通過方向(緊急車両Aが交差点を通過する際の通過方向)が特定される。
このとき、緊急車両Aが次に通過する予定の信号交差点のみが特定されてもよく、あるいは、緊急車両Aが次に通過する予定の信号交差点に加えて、さらにその次以降に通過する予定の信号交差点が特定されてもよい。例えば、ステップS103において、緊急車両Aの現在位置から走行予定ルートに沿って所定の距離内に信号交差点が存在するかどうかを判定することで、所定の距離内に含まれる複数の信号交差点(すなわち、2つ先、3つ先の交差点等)が特定されてもよい。判定基準として使用される所定の距離は、例えば500m等のように固定された距離であってもよく、緊急車両Aの経時的な位置変化から得られる緊急車両Aの走行速度に基づいて計算される、所定の時間内に到達可能な距離であってもよい。
また、後述のように、ステップS103で特定された信号交差点の信号機に対して信号点灯指示が行われるが、ステップS103における判定では、いったん特定されて信号点灯指示が行われた信号交差点は判定対象から除外され、未処理の信号交差点(すなわち、信号点灯指示がまだ行われていない信号交差点)のみが判定対象となる。
続いて、緊急車両走行支援装置20は、ステップS103で特定された信号交差点の手前の道路に幅員減少地点が存在するかどうかを判定する(ステップS104)。信号交差点の手前の道路とは、緊急車両Aがその信号交差点に進入する進入口が繋がる道路であって、緊急車両Aがその信号交差点に進入するまでに走行する道路を意味している。
ステップS104で信号交差点の手前の道路に幅員減少地点が存在しないと判定された場合には、ステップS105に進む。一方、ステップS104で信号交差点の手前の道路に幅員減少地点が存在すると判定された場合には、ステップS103で特定された信号交差点が閉塞交差点(幅員減少地点を含む道路が緊急車両Aの進行方向の前方で接続する信号交差点)として特定され、ステップS106に進む。
ステップS104で信号交差点の手前の道路に幅員減少地点が存在しないと判定された場合には、緊急車両走行支援装置20は、当該信号交差点の信号機について、少なくとも緊急車両Aの通過方向および緊急車両Aの交差点の通過を妨げる方向を赤信号にするよう信号点灯制御装置30へ指示する(ステップS105)。例えば、緊急車両走行支援装置20は、当該信号交差点のすべての信号機を赤信号にするよう信号点灯制御装置30へ指示してもよい。
一方、ステップS104で信号交差点の手前の道路に幅員減少地点が存在すると判定された場合には、緊急車両走行支援装置20は、閉塞交差点として特定された信号交差点の信号機について、緊急車両Aの通過方向を青信号とし、緊急車両Aの交差点の通過を妨げる方向を赤信号にするよう信号点灯制御装置30へ指示する(ステップS106)。例えば、緊急車両走行支援装置20は、当該閉塞交差点の信号機のうち、緊急車両Aが交差点に進入する進入口の信号機を青信号とし、その他の信号機を赤信号にするよう信号点灯制御装置30へ指示してもよい。
ステップS105またはステップS106の処理が完了すると、緊急車両走行支援装置20は、緊急車両Aが目的地に到着したかどうかを判定する。緊急車両Aが目的地に到着していないと判定された場合には、緊急車両走行支援装置20は、再びステップS102に戻り、一方、緊急車両Aが目的地に到着したと判定された場合には、信号点灯指示に係る処理を終了する。
このように、緊急車両走行支援装置20は、緊急車両Aが目的地に到着するまでの走行予定ルート上に存在する信号交差点に関して、信号交差点の手前の道路に幅員減少地点が存在するかどうかの判定結果に応じて信号点灯に係る態様を決定することで、緊急車両Aの走行の円滑性および安全性を両立させながら、緊急車両Aの優先的な走行を支援することができる。
以下、緊急車両走行支援装置20の信号点灯指示によって実行される信号制御について、具体的な例を挙げて説明する。
図11は、本発明の実施形態において、信号交差点の信号点灯に係る態様の第1の例を示す模式図である。図11において、緊急車両Aは、走行予定ルートに従って道路を図中右から左に向かって走行しており、緊急車両Aの進行方向前方に位置する信号交差点を直進しようとしている。また、図11には、道路の輪郭(区画線)が太線で描かれており、緊急車両Aの走行予定ルート上に道路幅が狭くなる幅員減少地点が存在している場合が図示されている。
幅員減少地点は交通流のボトルネックとなり、渋滞が発生しやすい場所である。幅員減少地点を含む道路に繋がる信号交差点の信号機を赤信号にした場合には、多数の一般車両が交差点の手前で滞留して道路を塞いでしまい、緊急車両Aの進行が妨害されてしまうおそれがある。このような一般車両の滞留を防ぐために、図10に示す処理では、幅員減少地点を含む道路が緊急車両Aの進行方向の前方で接続する信号交差点を閉塞交差点として特定し、図11に示すように、閉塞交差点の信号機について、緊急車両Aの通過方向を青信号とし、緊急車両Aの交差点の通過を妨げる方向(例えば、側道から交差点へ進入する方向)を赤信号にする。これにより、一般車両は、幅員減少地点を含む道路からその先の信号交差点へ脱出するように移動することができ、緊急車両Aは、交差点を円滑に通過できるようになる。
なお、図11には不図示であるが、対向車線(反対車線)から右折する一般車両を停止させるために、対向車線から交差点へ進入する方向を赤信号にしてもよい。また、図11では、緊急車両Aが閉塞交差点を直進する場合が示されているが、閉塞交差点を右折または左折する場合も同様である。
また、青信号には、「青色の灯火の信号」(青丸信号と呼ばれることもある)および「青色の灯火の矢印の信号」(青矢印信号と呼ばれることもある)が存在する。青丸信号は、交差点の進入口からすべての方向(直進方向、左折方向、右折方向)への進行を許可する信号であるのに対し、青矢印信号は、交差点の進入口から特定の方向への進行を許可する信号である。
図12は、本発明の実施形態において、信号交差点の信号点灯に係る態様の第2の例を示す模式図である。図12において、緊急車両Aは、走行予定ルートに従って道路を図中右から左に向かって走行しており、緊急車両Aの進行方向前方に位置する信号交差点を右折しようとしている。また、図12には、道路の輪郭(区画線)が太線で描かれており、緊急車両Aの走行予定ルート上に道路幅が狭くなる幅員減少地点が存在している場合が図示されている。
図11に示す第1の例と同様に、図12に示す第2の例においても、閉塞交差点の信号機について、緊急車両Aの通過方向を青信号とし、緊急車両Aの交差点の通過を妨げる方向(例えば、側道から交差点へ進入する方向)を赤信号にする。ただし、図12に示す第2の例では、緊急車両Aが交差点に進入する進入口に対して、緊急車両Aの通過方向である右折方向にのみ通過を許可する右折矢印信号を点灯させている。
図11に示すように青丸信号を点灯させた場合には、一般車両が、閉塞交差点を左折する緊急車両Aの通過方向(直進方向)に加えて、左折方向や右折方向へも進行することができるようになる。この場合には、ボトルネックとなっている幅員減少地点から閉塞交差点へ脱出できる一般車両の台数が増えるため、緊急車両Aが走行するスペースが確保され、緊急車両Aの円滑な走行が実現される。
一方、図12に示すように青矢印信号を点灯させた場合には、緊急車両Aの通過方向(右折方向)にのみ一般車両を移動させて緊急車両Aと同一の通過方向の交通流を作りながら、一方で、直進方向や左折方向へ移動する予定の一般車両を安全かつ確実に停車させることができるようになる。この場合、緊急車両Aと同一の通過方向へ一般車両を移動させることで緊急車両Aが走行するスペースが確保され、かつ、一般車両の移動を最小限に抑えることで交通事故の発生リスクを低減させることができる。
図11に示す第1の例および図12に示す第2の例では、緊急車両Aの通過方向を青信号とし、その他の通過方向をすべて赤信号にすることで、一般車両が緊急車両Aの交差点の通過を妨げる方向に走行しないようにしている。しかしながら、一般車両が緊急車両Aの交差点の通過を妨げる方向に走行しないようにするために、必ずしもその他の通過方向をすべて赤信号にする必要はない。
なお、緊急車両Aの交差点の通過を妨げる方向とは、交差点における緊急車両Aの通過方向に干渉する方向であり、より具体的には、交差点を通過している緊急車両Aと交差して衝突する可能性がある通過方向を意味している。ただし、緊急車両Aと同一の進入口から交差点に進入して、直進、左折または右折する方向は、緊急車両Aの交差点の通過を妨げる方向ではない。
図13は、本発明の実施形態において、信号交差点の信号点灯に係る態様の第3の例を示す模式図である。図13に示す第3の例では、図11に示す第1の例と同様に、緊急車両Aは、走行予定ルートに従って道路を図中右から左に向かって走行しており、緊急車両Aの進行方向前方に位置する閉塞交差点を直進しようとしている。
図13に示す閉塞交差点では、例えば、緊急車両Aの左方から交差点に進入して直進、左折または右折する方向、緊急車両Aの右方から交差点に進入して直進または右折する方向、対向車線から交差点に進入して右折する方向はいずれも、緊急車両Aと衝突する可能性があり、緊急車両Aの交差点の通過を妨げる方向である。
一方、緊急車両Aの右方から交差点に進入して左折する方向R1、対向車線から交差点に進入して直進する方向R2または右折する方向R3は、緊急車両Aの通過方向と干渉せず、緊急車両Aの交差点の通過を妨げない方向であると言える。例えば、緊急車両Aが交差点を通過する際、上記のような緊急車両Aの交差点の通過を妨げない方向R1~R3については、青矢印信号によって交差点への進入および通過を許可するように適宜制御してもよい。このように制御することにより、緊急車両Aの優先走行の邪魔とならない交通流への影響を抑えながら、交差点における緊急車両Aの優先走行を実現できるようになる。
また、緊急車両走行支援装置20は、図10を用いて説明した信号点灯指示に係る処理と並列して、信号制御解除指示に係る処理を行うように構成されている。図14は、本発明の実施形態における緊急車両走行支援装置20の信号制御解除指示に係る処理の一例を示すフローチャートである。
緊急車両走行支援装置20は、図10のステップS102と同様に、車載装置10から位置情報を受信したかどうかを判定する(ステップS201)。車載装置10から位置情報を受信した場合には、緊急車両走行支援装置20は、緊急車両Aの走行予定ルート上の位置を特定し、緊急車両AがステップS105またはステップS106で信号点灯指示を行った交差点を既に通過したかどうかを判定する(ステップS202)。
ステップS202で緊急車両Aが既に通過した通過済交差点が存在しないと判定された場合には、再びステップS201に戻る。一方、ステップS202で緊急車両Aが既に通過した通過済交差点が存在すると判定された場合には、当該通過済交差点が特定される。
なお、後述のように、ステップS202で特定された通過済交差点の信号機に対して信号制御解除指示が行われるが、ステップS202における判定では、いったん特定されて信号制御解除指示が行われた通過済交差点は判定対象から除外され、未処理の信号交差点(すなわち、信号制御解除指示がまだ行われていない信号交差点)のみが判定対象となる。
ステップS202で緊急車両Aが既に通過した通過済交差点が存在すると判定された場合には、緊急車両走行支援装置20は、当該通過済交差点の信号機に対して行われている信号制御を解除して、信号機を通常の状態に戻すよう信号点灯制御装置30へ指示する(ステップS203)。
ステップS203の処理が完了すると、緊急車両走行支援装置20は、緊急車両Aが目的地に到着したかどうかを判定する(ステップS204)。緊急車両Aが目的地に到着していないと判定された場合には、緊急車両走行支援装置20は、再びステップS101に戻り、一方、緊急車両Aが目的地に到着したと判定された場合には、信号制御解除指示に係る処理を終了する。
このように、緊急車両走行支援装置20は、緊急車両Aが目的地に到着するまでの走行予定ルート上に存在する信号交差点に関して行った信号制御を解除して通常の状態に戻すことで、緊急車両Aの緊急走行により制限されていた一般車両の交通を元の状態に戻すことができる。
また、緊急車両走行支援装置20は、過去の渋滞発生度合いを表す渋滞指数を含む渋滞情報データベースをさらに参照して、信号点灯指示を行ってもよい。図15~図17は、本発明の実施形態における緊急車両走行支援装置20の信号点灯指示に係る処理の別の一例を示すフローチャートである。なお、以下では、図15~図17に示すフローチャートに含まれる処理のうち、図10に示すフローチャートに含まれる処理と同一の処理については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。また、図16および図17は、渋滞情報処理部218で行われる処理である。図16は、幅員減少地点が存在する場合の渋滞情報処理の一例を示すフローチャートであり、図17は、幅員減少地点が存在しない場合の渋滞情報処理の一例を示すフローチャートである。
緊急車両走行支援装置20は、出動させる緊急車両Aの走行予定ルートを取得し(ステップS101)、車載装置10から位置情報を受信したかどうかを判定し(ステップS102)、緊急車両Aの進行方向前方に信号交差点が存在するかどうかを判定し(ステップS103)、さらに、ステップS103で特定された信号交差点の手前の道路に幅員減少地点が存在するかどうかを判定する(ステップS104)
図10に示すフローチャートでは、ステップS104で信号交差点の手前の道路に幅員減少地点が存在すると判定された場合には、ステップS103で特定された信号交差点が閉塞交差点として特定される。これに対し、図15に示すフローチャートでは、ステップS104で幅員減少地点が存在すると判定された場合には、図16に示す幅員減少地点が存在する場合の渋滞情報処理を行い(ステップS150)、ステップS104で幅員減少地点が存在しないと判定された場合には、図17に示す幅員減少地点が存在しない場合の渋滞情報処理を行う(ステップS160)。
図16または図17に示す処理が完了すると、緊急車両走行支援装置20は、緊急車両Aが目的地に到着したかどうかを判定する。緊急車両Aが目的地に到着していないと判定された場合には、緊急車両走行支援装置20は、再びステップS102に戻り、一方、緊急車両Aが目的地に到着したと判定された場合には、信号点灯指示に係る処理を終了する。
以下、図16に示す幅員減少地点が存在する場合の渋滞情報処理について説明する。緊急車両走行支援装置20は、幅員減少地点が存在する道路の位置、緊急車両Aの進行方向および現在の日時を取得し(ステップS151)、渋滞情報データベース224を参照して、渋滞情報データベース224の中に当該道路の位置、進行方向および現在の日時に対応する渋滞情報が存在するかどうかを判定する(ステップS152)。具体的には、緊急車両走行支援装置20は、渋滞情報データベース224において、当該道路の位置、進行方向および現在の日時に一致するデータベースエントリを検索する処理が行われる。
ステップS152において対応する渋滞情報が存在すると判定された場合には(ステップS152でYES)、緊急車両走行支援装置20は、その渋滞情報に含まれる渋滞ランクが所定ランク以上かどうかを判定する(ステップS153)。ステップS153の処理は、現在の日時において、ステップS103で特定された信号交差点およびその手前の幅員減少地点が存在する道路で渋滞が起こりやすい可能性を特定する処理である。本実施形態では、渋滞ランクは、数値が低いほど渋滞が起こりにくく、数値が高いほど渋滞が起こりやすいことを表しており、所定ランク以上の場合には、渋滞が起こりやすい可能性が高いことを示している。
ステップS153で渋滞ランクが所定ランク以上ではない(すなわち、渋滞が起こりにくい)と判定された場合(ステップS153でNO)、幅員減少地点が存在する道路であっても渋滞が発生する可能性が低い道路であり、当該幅員減少地点が存在する道路の進行方向前方に接続する信号交差点は閉塞交差点ではないとみなされ、緊急車両走行支援装置20は、当該信号交差点の信号機について、少なくとも緊急車両Aの通過方向および緊急車両Aの交差点の通過を妨げる方向を赤信号にするよう信号点灯制御装置30へ指示する(ステップS105)。
一方、ステップS152において対応する渋滞情報が存在しないと判定された場合(ステップS152でNO)、または、ステップS153で渋滞ランクが所定ランク以上である(すなわち、渋滞が起こりやすい)と判定された場合(ステップS153でYES)、当該幅員減少地点が存在する道路の進行方向前方に接続する信号交差点は閉塞交差点であるとみなされ、緊急車両走行支援装置20は、閉塞交差点として特定された信号交差点の信号機について、緊急車両Aの通過方向を青信号とし、緊急車両Aの交差点の通過を妨げる方向を赤信号にするよう信号点灯制御装置30へ指示する(ステップS106)。
以上のように、図16に示す渋滞情報処理では、幅員減少地点を含む道路の渋滞ランクが所定の渋滞発生度合いよりも低い場合には、当該幅員減少地点を含む道路が緊急車両Aの進行方向前方で接続する信号交差点であっても閉塞交差点に該当しない信号交差点と判定される。
以下、図17に示す幅員減少地点が存在しない場合の渋滞情報処理について説明する。緊急車両走行支援装置20は、幅員減少地点が存在する道路の位置、緊急車両Aの進行方向および現在の日時を取得し(ステップS161)、渋滞情報データベース224を参照して、渋滞情報データベース224の中に当該道路の位置、進行方向および現在の日時に対応する渋滞情報が存在するかどうかを判定する(ステップS162)。具体的には、緊急車両走行支援装置20は、渋滞情報データベース224において、当該道路の位置、進行方向および現在の日時に一致するデータベースエントリを検索する処理が行われる。
ステップS162において対応する渋滞情報が存在すると判定された場合には(ステップS162でYES)、緊急車両走行支援装置20は、その渋滞情報に含まれる渋滞ランクが所定ランク以上かどうかを判定する(ステップS163)。ステップS163の処理は、現在の日時において、ステップS103で特定された信号交差点およびその手前の幅員減少地点が存在する道路で渋滞が起こりやすい可能性を特定する処理である。本実施形態では、渋滞ランクは、数値が低いほど渋滞が起こりにくく、数値が高いほど渋滞が起こりやすいことを表しており、所定ランク以上の場合には、渋滞が起こりやすい可能性が高いことを示している。
ステップS163で渋滞ランクが所定ランク以上である(すなわち、渋滞が起こりやすい)と判定された場合(ステップS163でYES)、当該幅員減少地点が存在する道路の進行方向前方に接続する信号交差点は閉塞交差点であるとみなされ、緊急車両走行支援装置20は、閉塞交差点として特定された信号交差点の信号機について、緊急車両Aの通過方向を青信号とし、緊急車両Aの交差点の通過を妨げる方向を赤信号にするよう信号点灯制御装置30へ指示する(ステップS106)。
一方、ステップS162において対応する渋滞情報が存在しないと判定された場合(ステップS162でNO)、または、ステップS163で渋滞ランクが所定ランク以上ではない(すなわち、渋滞が起こりにくい)と判定された場合(ステップS163でNO)、幅員減少地点が存在する道路であっても渋滞が発生する可能性が低い道路であり、当該幅員減少地点が存在する道路の進行方向前方に接続する信号交差点は閉塞交差点ではないとみなされ、緊急車両走行支援装置20は、当該信号交差点の信号機について、少なくとも緊急車両Aの通過方向および緊急車両Aの交差点の通過を妨げる方向を赤信号にするよう信号点灯制御装置30へ指示する(ステップS105)。
以上のように、図17に示す渋滞情報処理では、幅員減少地点を含まない道路の渋滞ランクが所定の渋滞発生度合い以上の場合には、当該幅員減少地点を含まない道路が緊急車両Aの進行方向前方で接続する信号交差点であっても閉塞交差点に該当すると判定される。
以上説明したように、緊急車両走行支援装置20は、緊急車両Aが目的地に到着するまでの走行予定ルート上に存在する信号交差点に関して、信号交差点の手前の道路に幅員減少地点が存在するかどうかの判定結果に加えて、過去の渋滞発生度合いに応じて信号点灯に係る態様を決定することで、緊急車両Aの走行の円滑性および安全性を両立させながら、緊急車両Aの優先的な走行を支援することができる。
本発明は、緊急車両の走行の円滑性および安全性を両立させながら、緊急車両の優先的な走行を支援することができるという効果を有し、緊急車両を優先走行させるための技術全般に有用である。
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲における種々の変形例および設計変更等をその技術的範囲に包含するものである。