JP7405000B2 - 極端紫外光光源装置および極端紫外光の生成方法 - Google Patents

極端紫外光光源装置および極端紫外光の生成方法 Download PDF

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Description

本発明は、極端紫外光光源装置および極端紫外光の生成方法に関する。
近年、半導体集積回路の微細化および高集積化につれて、露光用光源の短波長化が進められている。次世代の半導体露光用光源としては、特に波長13.5nmの極端紫外光(以下、EUV(Extreme Ultra Violet)光ともいう)を放射する極端紫外光光源装置(以下、EUV光源装置ともいう)の開発が進められている。
EUV光源装置において、EUV光(EUV放射)を発生させる方法はいくつか知られている。それらの方法のうちの一つに、極端紫外光放射種(以下、EUV放射種ともいう)を加熱して励起することにより高温プラズマを発生させ、その高温プラズマからEUV光を取り出す方法がある。
このような方法を採用するEUV光源装置は、高温プラズマの生成方式により、LPP(Laser Produced Plasma:レーザ生成プラズマ)方式と、DPP(Discharge Produced Plasma:放電生成プラズマ)方式とに分けられる。
DPP方式のEUV光源装置は、EUV放射種(気相のプラズマ原料)を含む放電ガスが供給された電極間の間隙に高電圧を印加して、放電により高密度高温プラズマを生成し、そこから放射される極端紫外光を利用するものである。DPP方式としては、例えば、特許文献1に記載されているように、放電を発生させる電極表面に液体状の高温プラズマ原料(例えば、Sn(スズ))を供給し、当該原料に対してレーザビーム等のエネルギービームを照射して当該原料を気化し、その後、放電によって高温プラズマを生成する方法が提案されている。このような方式は、LDP(Laser Assisted Discharge Plasma)方式と呼ばれることもある。
特許文献1に記載の技術では、電極の熱負荷を軽減するために、一対の円板状の回転電極が用いられている。これらの電極は、周縁部が近接するように配置されている。
特開2017-103120号公報
特許文献1においては、LDP方式のEUV光源装置が、EUV光の放射動作を繰り返すうちに、EUV光の放射の強度が減少することが書かれている。その原因として、(1)「放電電極の熱膨張による放電電極の位置変化」と、(2)「エネルギービームの照射を受けることによって生じるアブレーションによる電極の変形」の二つがあげられている。
しかし、発明者は、さらなる研究を重ねるうちに、これらの2つの原因に対処するだけでは、EUV光の放射の強度の減少の問題が解決できないことに気がついた。
そこで、本発明は、極端紫外光の放射の強度を維持することができる極端紫外光光源装置および極端紫外光の生成方法を提供することを目的とする。
本発明のある態様に係る極端紫外光光源装置は、軸線周りに回転する円板状のカソードと、前記カソードから離間した位置に配置され、軸線周りに回転する円板状のアノードと、液相のスズが貯留され、前記カソードが通過することにより、前記カソードにスズが付着する、第1のスズ槽と、液相のスズが貯留され、前記アノードが通過することにより、前記アノードにスズが付着する、第2のスズ槽と、前記アノードの側から前記カソードに向けてエネルギービームを進行させ、前記カソードに付着したスズにエネルギービームを照射して、前記スズを気化させ、前記カソードと前記アノードの間の間隙に気相のスズを発生させるエネルギービーム照射装置と、前記カソードと前記アノードに電力を供給し、前記カソードと前記アノードの間で放電を生じさせ、前記カソードと前記アノードの間の間隙に、極端紫外光を放出するプラズマを発生させる電力供給装置と、前記カソードの温度と前記アノードの温度を近接させる手段を備える。
発明者は、アノードの温度がカソードの温度より高くなりがちであることを発見した。アノードの温度がカソードの温度より高くなると、アノードの熱膨張量がカソードの熱膨張量より大きくなり、両者の間隔が不適切になって、極端紫外光の放射の強度が減少する。アノードの側からカソードに向けて進行するエネルギービームがアノードによって遮られるおそれがある。カソードに与えられるエネルギービームが減ると、極端紫外光の放射の強度がさらに減少する。これに対して、本発明の態様においては、カソードの温度とアノードの温度を近接させることによって、カソードの熱膨張量とアノードの熱膨張量を近接させることができる。これにより、アノードとカソードの間隔が極端紫外光の生成に適切に維持され、アノードの側からカソードに向けて進行するエネルギービームがアノードによって遮られるおそれが減少し、極端紫外光の放射の強度が維持される。
好ましくは、極端紫外光光源装置は、前記第1のスズ槽に接続された第1の供給管路と、前記第1の供給管路を通じて前記第1のスズ槽に液相のスズを供給する第1のポンプと、前記第2のスズ槽に接続された第2の供給管路と、前記第2の供給管路を通じて前記第2のスズ槽に液相のスズを供給する第2のポンプを備える。前記カソードの温度と前記アノードの温度を近接させる手段は、前記第2の供給管路を流れるスズの流速が前記第1の供給管路を流れるスズの流速より大きいように調整された、前記第1のポンプと前記第2のポンプである。
この場合には、カソードとアノードにとっての冷媒となるスズの流速が異なることによって、簡単にカソードの温度とアノードの温度を近接させることができる。
好ましくは、前記第2のポンプのパワーが前記第1のポンプのパワーの1.2倍から1.5倍である。
この場合には、カソードの温度とアノードの温度をほぼ一致させることができる。
好ましくは、前記カソードの温度と前記アノードの温度を近接させる手段は、前記第1のスズ槽または前記第1の供給管路の内部の温度を測定する第1の温度計と、前記第2のスズ槽または前記第2の供給管路の内部の温度を測定する第2の温度計と、前記第1の温度計で測定された温度と、前記第2の温度計で測定された温度の差分に基づいて、前記第2のポンプと前記第1のポンプの少なくとも一方を制御する制御装置をさらに備える。
この場合には、状況に応じて適切にカソードの温度とアノードの温度を近接させることができる。
本発明のある態様に係る極端紫外光の生成方法は、軸線周りに回転する円板状のカソードと、前記カソードから離間した位置に配置され、軸線周りに回転する円板状のアノードに液相のスズを付着させる工程と、前記カソードに付着したスズにエネルギービームを照射して、前記スズを気化させ、前記カソードと前記アノードの間の間隙に気相のスズを発生させる工程と、前記カソードと前記アノードに電力を供給し、前記カソードと前記アノードの間で放電を生じさせ、前記カソードと前記アノードの間の間隙に、極端紫外光を放出するプラズマを発生させる工程と、前記カソードの温度と前記アノードの温度を近接させる工程を備える。
本発明の態様においては、極端紫外光の放射の強度を維持することができる。
本発明の実施形態に係る極端紫外光光源装置を示す概略図である。 実施形態に係る極端紫外光光源装置の第1のスズ供給機構と第2のスズ供給機構を示す概略図である。 実施形態に係る極端紫外光光源装置でのカソードに対するアノードの相対位置の変化を示す図である。 実施形態に係る極端紫外光光源装置でのポンプのパワーの動的な制御の一例を示すフローチャートである。
以下、添付の図面を参照しながら本発明に係る様々な実施の形態を説明する。図面の縮尺は必ずしも正確ではなく、一部の特徴は誇張または省略されることもある。
極端紫外光光源装置(EUV光源装置)1は、半導体デバイス製造におけるリソグラフィ装置の光源装置またはリソグラフィに使用されるマスクの検査装置の光源装置として使用可能な、例えば波長13.5nmの極端紫外光(EUV光)を放出する装置である。
実施形態に係るEUV光源装置1は、LDP方式のEUV光源装置である。より具体的には、EUV光源装置は、放電を発生させる一対の電極の表面に供給された液相のプラズマ原料にレーザビーム等のエネルギービームを照射してプラズマ原料を気化し、その後、電極間の放電によって高温プラズマを発生させる。プラズマからはEUV光が放出される。
図1に示すように、EUV光源装置1は、内部でプラズマを発生させるチャンバ(筐体)11を有する。チャンバ11は、剛体、例えば金属から形成されている。チャンバ11の内部は、EUV光の減衰を抑制するため真空にされる。
図1におけるチャンバ11の内部の描写は、チャンバ11の内部の平面図である。
チャンバ11の内部には、一対の放電電極21a,21bが配置されている。放電電極21a,21bは、同形同大の円板であり、放電電極21aがカソードとして使用され、放電電極21bがアノードとして使用される。放電電極21a,21bは、例えば、タングステン、モリブデン、タンタル等の高融点金属から形成されている。
放電電極21a,21bは、互いに離間した位置に配置されており、放電電極21a,21bの周縁部が近接している。カソード21aの周縁部とアノード21bの周縁部が最も接近した位置で、カソード21aとアノード21bの間の間隙では、放電が発生し、これに伴い高温プラズマが発生する。以下、カソード21aの周縁部とアノード21bの周縁部が最も接近した位置にあるカソード21aとアノード21bの間の間隙を「放電領域D」と呼ぶ。
カソード21aは、モータ22aの回転軸23aに連結されており、カソード21aの軸線周りに回転する。アノード21bは、モータ22bの回転軸23bに連結されており、アノード21bの軸線周りに回転する。モータ22a,22bはチャンバ11の外部に配置されており、回転軸23a,回転軸23bはチャンバ11の外部から内部に延びている。回転軸23aとチャンバ11の壁の間の隙間は、例えば、メカニカルシール24aのようなシール部材で封止されており、回転軸23bとチャンバ11の壁の間の隙間も、例えば、メカニカルシール24bのようなシール部材で封止されている。シール部材は、チャンバ11内の減圧雰囲気を維持しつつ、回転軸23a,23bの回転を許容する。
このように放電電極21a,21bは、別個のモータ22a,22bによってそれぞれ駆動される。これらのモータ22a,22bの回転は、制御部15によって制御される。
チャンバ11の内部には、プラズマ原料である液相のスズ25aが貯留された第1のスズ槽26aと、液相のスズ25bが貯留された第2のスズ槽26bが配置されている。スズ槽26a,26bには、加熱された液相のスズ25a,25bが供給される。
図2に示すように、カソード21aの下部は、第1のスズ槽26a内のスズ25aに浸されており、アノード21bの下部は、第2のスズ槽26b内のスズ25bに浸されている。したがって、放電電極21a,21bには、プラズマ原料である液相のスズ(Sn)が付着する。放電電極21a,21bの回転に伴って、液相のスズ25a,25bは、高温プラズマを発生させるべき放電領域Dに輸送される。
図1に戻り、チャンバ11の外部には、カソード21aに付着したスズ25aにエネルギービームを照射して、スズ25aを気化させるレーザ(エネルギービーム照射装置)28が配置されている。レーザ28は、例えばNd:YVOレーザ(Neodymium-doped Yttrium Orthovanadate レーザ)であり、赤外レーザビームLを発する。但し、エネルギービーム照射装置は、スズ25aを気化させることができるレーザビーム以外のビームを発する装置であってもよい。
レーザ28によるレーザビームの照射タイミングは、制御部15によって制御される。
レーザ28から放出された赤外レーザビームLは、可動ミラー31に導かれる。レーザ28と可動ミラー31の間には、典型的には、集光手段が配置される。集光手段は、例えば集光レンズ29を有する。
赤外レーザビームLは、チャンバ11の外部に配置された可動ミラー31により反射されて、チャンバ11の壁に設けられた透明窓30を通過して、放電領域D付近のカソード21aの外周面に照射される。
カソード21aの外周面に赤外レーザビームLを照射するのを容易にするため、放電電極21a,21bの軸線は平行ではない。回転軸23a,23bの間隔は、モータ側が狭く、電極側が広くなっている。
アノード21bは、カソード21aと可動ミラー31の間に配置されている。換言すれば、可動ミラー31で反射された赤外レーザビームLは、アノード21bの側からカソード21aに向けて進行し、アノード21bの外周面付近を通過した後に、カソード21aの外周面に到達する。赤外レーザビームLの進行を邪魔しないように、アノード21bはカソード21aより、図1の左側に退避している。
放電領域D付近のカソード21aの外周面に付着した液相のスズ25aは、赤外レーザビームLの照射により気化して、気相のプラズマ原料が放電領域Dに発生する。
放電領域Dで高温プラズマを発生させるため(気相のプラズマ原料をプラズマ化するため)、パルス電力供給部(電力供給装置)35がカソード21aとアノード21bに電力を供給し、カソード21aとアノード21bの間で放電を生じさせる。パルス電力供給部35は、周期的にパルス電力を放電電極21a,21bに供給する。
パルス電力供給部35は、チャンバ11の外部に配置されている。パルス電力供給部35から延びる給電線は、チャンバ11の壁に埋設されてチャンバ11内の減圧雰囲気を維持するシール部材36を通過して、チャンバ11の内部に延びている。
この実施形態では、パルス電力供給部35から延びる2つの給電線は、それぞれスズ槽26a,26bに接続されている。スズ槽26a,26bは、導電性材料から形成されており、スズ槽26a,26bの内部のスズ25a,25bも導電性材料、スズである。スズ槽26a,26bの内部のスズ25a,25bには、放電電極21a,21bが浸されている。したがって、パルス電力供給部35がスズ槽26a,26bにパルス電力を供給すると、結果的にパルス電力が放電電極21a,21bに供給される。
カソード21aとアノード21bの間で放電が発生すると、放電領域Dにおける気相のプラズマ材料が、大電流により加熱励起されて、高温プラズマが発生する。また、高熱により、放電領域D付近のアノード21bの外周面に付着した液相のスズ25bもプラズマ化される。
高温プラズマからはEUV光Eが放出される。EUV光Eは、チャンバ11の壁に設けられたEUV出口37を通過し、他の光学系装置(リソグラフィ装置またはマスクの検査装置)で使用される。
赤外レーザビームLを放電領域Dに導く可動ミラー31は、チャンバ11の外部に配置された照射位置調整機構38の一部である。
照射位置調整機構38は、可動ミラー31と、可動ミラー31を変位させる機構を有する。可動ミラー31を変位させることにより、カソード21aにおける赤外レーザビームLの照射位置が変位する。例えば放電電極21a,21bの熱膨張などの原因によって、放電領域Dの位置が変位した場合、照射位置調整機構38を用いて可動ミラー31を変位させ、カソード21aにおける赤外レーザビームLの照射位置を調整することができる。照射位置調整機構38は、手動操作されてもよいし、制御部15で自動制御されてもよい。
図2に示すように、第1のスズ槽26aは第1のスズ供給機構40に接続され、第2のスズ槽26bは第2のスズ供給機構50に接続されている。
第1のスズ供給機構40は、第1のリザーバー41、第1の供給管路42、第1のポンプ43、および第1の排出管路44を有する。第1のリザーバー41はスズ25aを貯留する。第1の供給管路42は、第1のリザーバー41とスズ槽26aの入口45を接続し、第1の排出管路44は、第1のリザーバー41とスズ槽26aの出口46を接続する。第1の供給管路42には第1のポンプ43が設けられている。ポンプ43が駆動されることにより、液相のスズ25aが第1のリザーバー41から第1の供給管路42を経てスズ槽26aに供給され、スズ槽26aからスズ25aが第1の排出管路44を経て第1のリザーバー41に排出される。
第2のスズ供給機構50は、第2のリザーバー51、第2の供給管路52、第2のポンプ53、および第2の排出管路54を有する。第2のリザーバー51はスズ25bを貯留する。第2の供給管路52は、第2のリザーバー51とスズ槽26bの入口55を接続し、第2の排出管路54は、第2のリザーバー51とスズ槽26bの出口56を接続する。第2の供給管路52には第2のポンプ53が設けられている。ポンプ53が駆動されることにより、液相のスズ25bが第2のリザーバー51から第2の供給管路52を経てスズ槽26bに供給され、スズ槽26bからスズ25bが第2の排出管路54を経て第2のリザーバー51に排出される。
上記のように、スズ25aはスズ槽26aとリザーバー41を通過しながら第1のスズ供給機構40を循環し、スズ25bはスズ槽26bとリザーバー51を通過しながら第2のスズ供給機構50を循環する。スズ供給機構40,50内で、スズは液体の状態を持続する。
スズ槽26a,26bの内部では、液相のスズに放電電極21a,21bが浸されており、放電電極21a,21bにスズが供給される。放電電極21a,21bは、赤外レーザビームLの照射、電極間の放電、高温プラズマの発生によって、極めて高い温度に加熱される。スズ槽26a,26bの内部で、スズ25a,25bと放電電極21a,21bの熱交換が行われる。すなわち、スズ槽26a,26bの内部で、スズ25a,25bは放電電極21a,21bで加熱され、放電電極21a,21bはスズ25a,25bで冷却される。
スズ槽26a,26bにて放電電極21a,21bで加熱されたスズ25a,25bは、リザーバー41,51に戻り、リザーバー41,51から再度、スズ槽26a,26bに供給される。放電領域Dで高い効率で放電が発生するためには、スズ槽26a,26bでのスズの温度は、スズの融点(約232℃)より高い260℃~280℃であることが好ましい。
したがって、スズ供給機構40,50の各々において、いずれかの箇所で高温のスズを冷却することが好ましい。管路42,44,52,54が非常に長ければ、意図的にスズを冷却する装置は不要かもしれないが、実施形態では、スズ冷却装置47,57がそれぞれスズ供給機構40,50に設けられている。
この実施形態では、スズ冷却装置47は第1のリザーバー41に冷媒(例えば水)を噴射するスプレイ装置であり、スズ冷却装置57は第2のリザーバー51に冷媒(例えば水)を噴射するスプレイ装置である。但し、各スズ冷却装置は、リザーバー以外の箇所を冷却してもよいし、他のタイプの装置(例えば、冷媒が流れる管)であってもよい。
発明者は、LDP方式のEUV光源装置の研究を重ねた結果、EUV光の放射の強度の減少の原因として、特許文献1に記載された(1)「放電電極の熱膨張による放電電極の位置変化」と、(2)「エネルギービームの照射を受けることによって生じるアブレーションによる電極の変形」以外の原因を発見した。図3を用いて、この原因を説明する。
上記の通り、カソード21aの外周面に赤外レーザビームLを照射するのを容易にするため、回転軸23a,23bの間隔は、モータ側が狭く、電極側が広くなっている。赤外レーザビームLは、アノード21bの側からカソード21aに向けて進行し、アノード21bの外周面付近を通過した後に、カソード21aの外周面に到達する。赤外レーザビームLの進行を邪魔しないように、アノード21bはカソード21aより、図3の左側に退避している。
図3の実線で示されたアノード21bの位置Aは、EUV光源装置1の運転開始前のアノード21bの初期位置である。実線で示されたカソード21aの位置は、カソード21aの初期位置である。カソード21aとアノード21bの熱膨張量が同程度である場合には、赤外レーザビームLに対して、カソード21aとアノード21bが移動することがあったとしても、カソード21aとアノード21bの相対位置は大きく変化することはない。
また、カソード21aとアノード21bの同程度の熱膨張によって、放電領域Dの位置が赤外レーザビームLに対して変位した場合には、照射位置調整機構38を用いて可動ミラー31を変位させ、カソード21aにおける赤外レーザビームLの照射位置を調整し、EUV光の放射の強度を維持することができる。
ところが、EUV光源装置がEUV光の放射動作を繰り返すうちに、アノード21bが位置Bまで前進したり、位置Cまで前進したりすることを発明者は発見した。アノード21bがカソード21aに対して相対的に移動すると、両電極間の距離が変化する。そのため、電極間隔が、EUV光の発生のために最も効率の良い放電が生じる距離ではなくなり、EUV光の放射の強度が減少する。
さらに、アノード21bが位置Cまで前進すると、アノード21bの側からカソード21aに向けて進行する赤外レーザビームLをアノード21bが遮ってしまう。これでは、カソード21aに照射される赤外レーザビームLが減り、スズの気化する量が減少して、EUV光の放射の強度がさらに減少する。
発明者の試験の結果、カソード21aとアノード21bの相対的な位置の変化は、カソード21aとアノード21bの温度の差に起因することが分かった。第1のスズ供給機構40と第2のスズ供給機構50が同じタイプであり、第1のポンプ43と第2のポンプ53のパワーが同じである場合、スズ槽26aの温度とスズ槽26bの温度を測定した。カソード21aのためのスズ槽26aの温度は約260℃であったのに対し、アノード21bのためのスズ槽26bの温度は280℃であった。つまり、アノード21bの温度がカソード21aの温度より高く、このためにカソード21aとアノード21bの相対的な熱膨張量の相違があった。
発明者は、この理由は、放電時には、カソード21aからアノード21bへ電子が移動するだけでなく、電子とともに熱も移動するためであると考えた。
したがって、カソード21aの温度とアノード21bの温度を近接させる手段をEUV光源装置1に設けることにより、カソード21aの熱膨張量とアノード21bの熱膨張量を近接させることができると考えられる。これにより、アノード21bとカソード21aの間隔が極端紫外光の生成に適切に維持され、アノード21bの側からカソード21aに向けて進行するエネルギービームがアノード21bによって遮られるおそれが減少し、極端紫外光の放射の強度が維持される。
カソード21aの温度とアノード21bの温度を近接させる方策としては、スズ冷却装置47および/または57を調整することが考えられる。つまり、より高くなりがちなアノード21bの温度を下げるため、第2のスズ供給機構50のためのスズ冷却装置57によるスズ25bへの冷却効率を上昇させるか、カソード21aの温度を上げるため、第1のスズ供給機構40のためのスズ冷却装置47によるスズ25aへの冷却効率を低下させるか、あるいはそれらの両方を行うことが考えられる。上記のように、スズ冷却装置47,57が冷媒を噴射するのであれば、例えば冷媒の流量を調整することにより、スズへの冷却効率の調整を実施可能である。
したがって、カソード21aの温度とアノード21bの温度を近接させる手段の一例は、スズへの冷却効率が異なるよう調整されたスズ冷却装置47,57である。但し、上記の通り、スズ槽26a,26bでのスズの温度は、260℃~280℃であることが好ましい。スズ冷却装置47および/または57を調整する場合でも、放電領域Dで高い効率で放電が発生するよう、スズ槽26a,26bでのスズの温度がこの範囲にあることが好ましい。
カソード21aの温度とアノード21bの温度を近接させる方策としては、第1のポンプ43および/または第2のポンプ53を調整することが考えられる。つまり、より高くなりがちなアノード21bの温度を下げるため、第2のスズ供給機構50のための第2のポンプ53によるスズ25bの流速を上昇させるか、カソード21aの温度を上げるため、第1のスズ供給機構40のための第1のポンプ43によるスズ25aの流速を低下させるか、あるいはそれらの両方を行うことが考えられる。
したがって、カソード21aの温度とアノード21bの温度を近接させる手段の他の一例は、第1の供給管路42と第2の供給管路52で流速が異なるよう調整された第1のポンプ43と第2のポンプ53である。この場合には、放電電極21a,21bにとっての冷媒となるスズの流速が異なることによって、簡単にカソード21aの温度とアノード21bの温度を近接させることができる。例えば、スズ冷却装置47および/または57を調整するようなスズの温度の意図的な調整は不要である(但し、スズの温度の意図的な調整を必ず排除すべきという意味ではない)。
発明者は、第2のポンプ53のパワーを第1のポンプ43のパワーより高める試験を行った。第2のポンプ53のパワーは、第1のポンプ43のパワーの1.2倍~1.5倍に調整した。アノード21bに供給される第2の供給管路52でのスズ25bの流速は、カソード21aに供給される第1の供給管路42でのスズ25aの流速の約1.2倍~約1.4倍であった。スズの流速は、約70ml/秒~約120ml/秒であった。
第2のポンプ53のパワーが第1のポンプ43のパワーの1.2倍~1.5倍である場合、スズ槽26a,26bでのスズの温度は、260℃~280℃の範囲内でほぼ同じであった。カソード21aとアノード21bの相対的な位置の変化はなく、これに伴うEUV光の放射の強度の減少を防ぐことができた。
EUV光源装置1の運転の間中、第2のポンプ53のパワーが第1のポンプ43のパワーの1.2倍~1.5倍の範囲で、ポンプ43,53のパワーを固定してもよい。但し、EUV光源装置1の運転の間、スズ25a,25bの温度の差分に基づいて、ポンプ43および/または53のパワーを動的に制御してもよい。
具体的には、カソード21aの温度とアノード21bの温度を近接させる手段は、第1のスズ槽26aまたは第1の供給管路42の内部のスズ25aの温度を測定する第1の温度計48と、第2のスズ槽26bまたは第2の供給管路52の内部のスズ25bの温度を測定する第2の温度計58と、温度計48,58で測定された温度の差分に基づいて、ポンプ43および/または53のパワーを動的に制御する制御部15を有するようにしてもよい(図2参照)。
図4は、ポンプ43および/または53のパワーの動的な制御の一例を示す。EUV光源装置1の運転の初期に、第1のポンプ43のパワーはAに設定され、第2のポンプ53のパワーはBに設定される。BはAより大きく、好ましくは、Aの1.2倍~1.5倍の範囲にある。
その後、第2の温度計58の測定値T2と第1の温度計48の測定値T1の差分が閾値Cを上回った場合、第2のポンプ53のパワーを一定値分、増加させる。これにより、より高くなりがちなアノード21bの温度をカソード21aの温度にできるだけ接近させることができる。第2のポンプ53のパワーの増加に加えて、あるいはこれに代えて、第1のポンプ43のパワーを一定値分、減少させてもよい。図4に示された手法は、フィードバック制御であるが、ポンプ43および/または53のパワーの制御の手法は、フィードフォワード制御でもよいし、経験則に基づく人工知能を活用した自動制御であってもよい。
他の変形例
以上、本発明の好ましい実施形態を参照しながら本発明を図示して説明したが、当業者にとって特許請求の範囲に記載された発明の範囲から逸脱することなく、形式および詳細の変更が可能であることが理解されるであろう。このような変更、改変および修正は本発明の範囲に包含されるはずである。
1 極端紫外光光源装置(EUV光源装置)
11 チャンバ(筐体)
21a カソード
21b アノード
15 制御部(制御装置)
25a,25b スズ
26a 第1のスズ槽
26b 第2のスズ槽
28 レーザ(エネルギービーム照射装置)
31 可動ミラー
35 パルス電力供給部(電力供給装置)
40 第1のスズ供給機構
41 第1のリザーバー
42 第1の供給管路
43 第1のポンプ
50 第2のスズ供給機構
51 第2のリザーバー
52 第2の供給管路
53 第2のポンプ
47 スズ冷却装置
57 スズ冷却装置
48 第1の温度計
58 第2の温度計
L 赤外レーザビーム
D 放電領域

Claims (5)

  1. 軸線周りに回転する円板状のカソードと、
    前記カソードから離間した位置に配置され、軸線周りに回転する円板状のアノードと、
    液相のスズが貯留され、前記カソードが通過することにより、前記カソードにスズが付着する、第1のスズ槽と、
    液相のスズが貯留され、前記アノードが通過することにより、前記アノードにスズが付着する、第2のスズ槽と、
    前記アノードの側から前記カソードに向けてエネルギービームを進行させ、前記カソードに付着したスズにエネルギービームを照射して、前記スズを気化させ、前記カソードと前記アノードの間の間隙に気相のスズを発生させるエネルギービーム照射装置と、
    前記カソードと前記アノードに電力を供給し、前記カソードと前記アノードの間で放電を生じさせ、前記カソードと前記アノードの間の間隙に、極端紫外光を放出するプラズマを発生させる電力供給装置と、
    前記カソードの温度と前記アノードの温度を近接させる手段
    を備える極端紫外光光源装置。
  2. 前記第1のスズ槽に接続された第1の供給管路と、
    前記第1の供給管路を通じて前記第1のスズ槽に液相のスズを供給する第1のポンプと、
    前記第2のスズ槽に接続された第2の供給管路と、
    前記第2の供給管路を通じて前記第2のスズ槽に液相のスズを供給する第2のポンプを備え、
    前記カソードの温度と前記アノードの温度を近接させる手段は、前記第2の供給管路を流れるスズの流速が前記第1の供給管路を流れるスズの流速より大きいように調整された、前記第1のポンプと前記第2のポンプである
    ことを特徴とする請求項1に記載の極端紫外光光源装置。
  3. 前記第2のポンプのパワーが前記第1のポンプのパワーの1.2倍から1.5倍である
    ことを特徴とする請求項2に記載の極端紫外光光源装置。
  4. 前記カソードの温度と前記アノードの温度を近接させる手段は、
    前記第1のスズ槽または前記第1の供給管路の内部の温度を測定する第1の温度計と、
    前記第2のスズ槽または前記第2の供給管路の内部の温度を測定する第2の温度計と、
    前記第1の温度計で測定された温度と、前記第2の温度計で測定された温度の差分に基づいて、前記第2のポンプと前記第1のポンプの少なくとも一方を制御する制御装置をさらに備える
    ことを特徴とする請求項2または3に記載の極端紫外光光源装置。
  5. 軸線周りに回転する円板状のカソードと、前記カソードから離間した位置に配置され、軸線周りに回転する円板状のアノードに液相のスズを付着させる工程と、
    前記カソードに付着したスズにエネルギービームを照射して、前記スズを気化させ、前記カソードと前記アノードの間の間隙に気相のスズを発生させる工程と、
    前記カソードと前記アノードに電力を供給し、前記カソードと前記アノードの間で放電を生じさせ、前記カソードと前記アノードの間の間隙に、極端紫外光を放出するプラズマを発生させる工程と、
    前記カソードの温度と前記アノードの温度を近接させる工程
    を備える極端紫外光の生成方法。
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