JP7404788B2 - Lc複合部品 - Google Patents

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Description

本発明は、LC複合部品に関する。
携帯電話機、無線LAN通信機器等の無線通信機器に用いられる電子部品には、近年さらなる小型化、高性能化が求められている。特許文献1には、インダクタと、キャパシタと、磁性層と、基板とを備え、該基板、該磁性層及び該インダクタが特定の位置関係に配置され、該基板が所定の厚み及び複素透磁率を有するLC複合部品が開示されている。
特開2016-006847号公報
しかしながら、特許文献1に開示されるLC複合部品は、LC複合部品の挿入損失特性の点でさらなる改善の余地がある。
そこで本発明は、挿入損失特性がより向上したLC複合部品を提供することを目的とする。
本発明の一側面は、非磁性基板と、磁性を有する磁性層と、1つ以上のキャパシタと、1つ以上のインダクタと、磁性を有する1つ以上のコア部と、を備え、上記非磁性基板が、第1の面と、上記第1の面とは反対側の第2の面とを有し、上記磁性層が、上記非磁性基板の第1の面に対向するように配置され、上記1つ以上のインダクタ、及び、上記1つ以上のキャパシタが上記非磁性基板の第1の面と上記磁性層との間に配置され、上記コア部が、上記非磁性基板の第1の面と上記磁性層との間に配置されて上記磁性層に接続され、上記非磁性基板の第1の面に垂直な方向について、上記コア部の厚みが上記磁性層の厚みに対して1.0倍以上であり、上記磁性層及び上記コア部が、磁性金属粒子及び樹脂を含む、LC複合部品に関する。
一態様において、磁性金属粒子の平均長軸径は、120nm以下であってよい。
一態様において、磁性金属粒子の平均アスペクト比は、1.2~6であってよい。
一態様において、磁性層及びコア部の飽和磁化は、90emu/g以上であってよい。
一態様において、磁性金属粒子は、Fe、Co及びNiからなる群より選択される少なくとも1種を主成分として含んでよい。
一態様において、磁性金属粒子のアスペクト比のCV値は、0.4以下であってよい。
本発明によれば、挿入損失特性がより向上したLC複合部品が提供される。
本発明の一実施形態に係るLC複合部品の構成を示す斜視図である。 本発明の一実施形態に係るLC複合部品の構成を示す断面図である。 本発明の一実施形態に係るLC複合部品の誘電体層の構造を説明するための説明図である。 本発明の一実施形態に係るLC複合部品の誘電体層の構造を説明するための説明図である。 本発明の一実施形態に係るLC複合部品の回路構成を示す回路図である。 第1の実施例のLC複合部品における挿入損失の周波数特性を示す特性図である。 第5の実施例のLC複合部品における挿入損失の周波数特性を示す特性図である。 第1の比較例のLC複合部品における挿入損失の周波数特性を示す特性図である。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
(LC複合部品)
図1及び図2を参照して、本発明の本実施形態に係るLC複合部品について説明する。図1は、本実施形態に係るLC複合部品1の構成を示す斜視図である。図2は、本実施形態に係るLC複合部品の構成を示す断面図である。
LC複合部品1は、非磁性基板21と、磁性を有する磁性層22と、インダクタ11、12、17と、キャパシタ13~16と、磁性を有するコア部23,24と、誘電積層体37と、を備えている。
図1及び図2に示すように、非磁性基板21は、第1の面21aと、第1の面とは反対側の第2の面21bとを有する平板である。非磁性基板21の材料の例は、樹脂、セラミックス、ガラス、非磁性フェライトである。非磁性基板21の第1の面21aに垂直な方向についての厚みは20~200μmとすることができる。
磁性層22は、第1の面22a及び第2の面22bを有する平板であり、第2の面22bが非磁性基板21の第1の面21aに対向するように配置されている。なお、本明細書において磁性とは、強磁性又はフェリ磁性を意味する。磁性層22の材料については後述する。
誘電積層体37は、非磁性基板21の第1の面21aと、磁性層22(第2の面22b)との間に配置されている。誘電積層体37は、図2に示すように積層された複数の誘電体層31~36を有する。それぞれの誘電体層31~36は、誘電体材料を含む。誘電体材料の例は、樹脂、セラミックスである。樹脂の例は、ポリイミド樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、ビスマレイミド・トリアジン樹脂(BTレジン)、エポキシ樹脂、アクリル樹脂であり、セラミックスの例は、シリコンナイトライド、アルミナである。
LC複合部品1は、直方体形状をなしており、上面1t、底面1b、及び、4つの側面1sを有している。本実施形態では、LC複合部品1の上面1tは、非磁性基板21の第2の面21bによって構成されている。また、LC複合部品1の底面1bは、磁性層22の第1の面22aによって構成されている。LC複合部品1は、例えば、LC複合部品1の底面1b、すなわち、磁性層22の第1の面22aが実装基板の上面と対向するように実装基板に実装される。
インダクタ11、12、17、キャパシタ13~16、及び、コア部23,24は、非磁性基板21の第1の面21aと磁性層22の第2の面22bとの間、すなわち、誘電積層体37内に配置されている。本実施形態では、各キャパシタ13~16は、第1の面21aに垂直な方向から見たときに他のインダクタ11,12、17と重ならない位置に配置されている。インダクタ及びキャパシタ用の導体部の材料の例は、Cu、Al、Agである。インダクタ及びキャパシタの詳細については後述する。
コア部23,24はそれぞれ柱形状を有し、インダクタ11,12のコイル構造の軸にそれぞれ配置されている。コア部23,24は、磁性層22に接続されている。本明細書において「コア部23,24は、磁性層22に接続されている」とは、コア部23,24と、磁性層22とが直接接続(接触)されている態様及びコア部23,24と、磁性層22とが直接接続されていないものの、例えば、0.1~10μm程度の厚みの非磁性(誘電体など)層を介して磁気的に接続されている態様の両方を指す。図2においては、コア部23,24は、磁性層22と接触している。コア部の材料については後述する。図2では、コア部23,24と非磁性基板21との間に非磁性(誘電体など)層が介在するが、コア部23,24と非磁性基板21とが接触していてもよい。
図2に示すように、非磁性基板21の第1の面21aに垂直な方向についてのコア部23,24の厚みをT1とし、非磁性基板21の第1の面21aに垂直な方向についての磁性層22の厚みをT2とすると、コア部23,24の厚みT1は、磁性層22の厚みT2に対して、1.0倍以上であり、2.0倍以上であることが好ましく、3.0倍以上であることがより好ましい。コア部23,24の厚みT1は、磁性層22の厚みT2に対して、10倍以下であってよい。
これにより、LC複合部品におけるカットオフ周波数未満での挿入損失を低減でき、また、カットオフ周波数超での挿入損失を増加させることができる。この理由として、インダクタコアの損失を抑えつつインダクタのインダクタンスが大きくなっていることによりインダクタにおける損失が低減されることが考えられる。
コア部23及び24の厚みは、特に制限されないが、例えば、得られるLC複合部品の形状が実用的であり、又、生産しやすいため、30~200μmであってよく、100~150μmであることが好ましい。なお、コア部23及び24の厚みは、インダクタ11及び12のコイル構造の軸方向長さ以上とされることが好適である。
LC複合部品1のインダクタ11,12がそれぞれコア部23,24を備えることにより、LC複合部品1のインダクタ11,12がコア部を備えない場合と比較して、当該インダクタのインダクタンスを大きくすることが可能となる。
(磁性層及びコア部の材料)
磁性層22並びにコア部23及び24は、樹脂及び磁性を有する磁性金属粒子を含む。
本実施形態において、磁性金属粒子の粒径に特に限定はない。磁性金属粒子の平均長軸径が120nm以下であることが好ましい。
これを満たすことにより、カットオフ周波数未満でのLC複合部品の挿入損失が抑制され易くなる一方、カットオフ周波数超での挿入損失を高め易くなる。
この理由として、例えば、磁性金属粒子の平均長軸径が120nm以下であると、磁性層22並びにコア部23及びコア部24における磁性金属粒子の充填性が向上し、高い透磁率を得ることによりインダクタのインダクタンスを大きくすることができ、同時にインダクタコアの渦電流が抑制できることが一因と考えられる。
磁性金属粒子の平均長軸径が120nmを超える場合には、磁性金属粒子の多磁区化により磁壁共鳴の損失が増加し、インダクタコアの渦電流損失が増加することが考えられる。
同様の観点から、磁性金属粒子の平均長軸径は、100nm以下であることがより好ましく、80nm以下であることが更に好ましい。本実施形態において、磁性金属粒子の平均長軸径は、30nm以上であってよい。同様の観点から、磁性金属粒子の平均長軸径は、40nm以上であることが好ましい。また、磁性金属粒子4の平均短軸径は、例えば、5~50nm程度であり、7~30nmであることができる。
磁性金属粒子の平均アスペクト比は、1.2~6であることが好ましい。本実施形態において、平均アスペクト比は、磁性金属粒子の長軸径の短軸径に対する比(アスペクト比)の平均値である。
平均アスペクト比が1.2未満であると、形状異方性が小さくなりすぎて、自然共鳴周波数がかなり小さくなり、自然共鳴によるインダクタコアにおける損失が大きくなる事が寄与する可能性がある。また、アスペクト比が6超となると、形状異方性が大きくなりすぎることと充填性悪化による密度低下のため、透磁率が小さくなり、インダクタのインダクタンスを大きくしにくくなる事も寄与する可能性がある。
同様の観点から、磁性金属粒子の平均アスペクト比は、1.3以上であること、4以下であることが好ましく、1.5以上であること、3以下であることも好ましい。さらに、アスペクト比は2以上であることも好ましい。
本実施形態において、磁性金属粒子のアスペクト比のCV値は、0.4以下であってよい。CVは、変動係数を示し、以下の式から求められる。
変動係数(CV)=標準偏差値/平均値
磁性金属粒子のアスペクト比のCV値が0.4以下であることにより、反磁界係数のばらつきを抑えることができる。自然共鳴周波数は反磁界係数の差(短軸-長軸)に比例することから、結果として自然共鳴周波数のばらつきを抑え、自然共鳴ピークの線幅を狭くすることができる。このため、自然共鳴によるインダクタコアにおける損失を低減しつつ、インダクタのインダクタンスを大きくすることができ、LC複合部品のカットオフ周波数未満において挿入損失を低くし、カットオフ周波数超における挿入損失を高くすることができる。同様の観点から、磁性金属粒子のアスペクト比のCV値は0.3以下であることが好ましい。磁性金属粒子のアスペクト比のCV値は0.10以上であることができる。
磁性金属粒子は、Fe、Co及びNiからなる群より選択される少なくとも1種を主成分として含むことが好ましく、Fe及びCoからなる群より選択される少なくとも1種を主成分として含むことがより好ましい。本明細書において、主成分とは、50質量%以上を占める成分を言う。磁性金属粒子が高い飽和磁化を有するFe、Co及びNiからなる群より選択される少なくとも1種を主成分として含むことで、磁性層22並びにコア部23及び24が高い透磁率を有することができる。磁性金属粒子は、Fe、Fe及びCo、又は、Fe及びNiを主成分として含有することが好ましく、Fe、又は、Fe及びCoを主成分として含有することがより好ましく、Fe及びCoを主成分として含有することが特に好ましい。磁性金属粒子が高い飽和磁化を有するFe、Fe及びCo、又は、Fe及びNiを主成分として含有することで、磁性層22並びにコア部23及び24が高い透磁率を有することができる。磁性層22並びにコア部23及び24は、それぞれ異なる磁性金属粒子を含有していてもよく、同一の磁性金属粒子を含有していてもよい。主成分とは最大重量比を有する成分である。このような組成により、自然共鳴周波数の高周波化も可能となる。
磁性金属粒子は、金属中心部と金属中心部を被覆する酸化金属膜とを備えることができる。金属中心部は導電性を有するが、酸化金属膜は絶縁性を有する。磁性金属粒子が酸化金属膜を有することにより、磁性金属粒子間の絶縁性が得られ、粒子間での過電流発生に伴う磁気損失を低減することができる。
磁性金属粒子において、金属中心部は、磁性金属粒子に含まれる上述の元素を金属(0価)として含有する。金属中心部は、酸化金属膜に被覆されているため、大気中においても酸化せずに存在できる。金属中心部は、Fe、Fe-Ni合金、又は、Fe-Co合金であることが好ましく、Fe-Ni合金、又は、Fe-Co合金であることがより好ましく、Fe-Co合金であることが更に好ましい。金属中心部が、Fe、Fe-Ni合金、又は、Fe-Co合金である場合、磁性金属粒子の飽和磁化が向上することで高い透磁率となる。磁性金属粒子において、酸化金属膜は、磁性金属粒子に含まれる元素を酸化物として含有する。
本実施形態において、磁性層22並びにコア部23及び24中の磁性金属粒子の体積割合はそれぞれ、例えば、30~60体積%であってよく、40~50体積%であることが好ましい。磁性金属粒子の体積割合が30体積%以上であると、磁性層22並びにコア部23及び24において、所望の磁気特性が得られやすくなる。磁性金属粒子の割合が60体積%以下であると、加工時のハンドリングがしやすくなる。なお、本願明細書において、磁性層22並びにコア部23及び24中の体積割合は、空隙を除いた磁性層22並びにコア部23及び24に占める割合である。
樹脂は、電気絶縁性を有する樹脂(絶縁性樹脂)であり、磁性層22並びにコア部23及び24では磁性金属粒子間にあってこれらを結合し、更に磁性金属粒子間の絶縁性の向上が可能な材料である。絶縁性樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂及びエポキシ樹脂、並びに、これらの硬化物等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、必要に応じてカップリング剤、分散剤等の表面処理剤、熱安定剤、可塑剤等の添加剤等を用いてもよい。
本実施形態において、磁性層22並びにコア部23及び24中の樹脂の体積割合はそれぞれ、例えば、40~70体積%であってよく、50~60体積%であることが好ましい。樹脂の体積割合が40体積%以上であると、磁性金属粒子間の絶縁性及び結合力が得られやすくなる。樹脂の体積割合が70体積%以下であると、磁性金属粒子による特性を磁性層22並びにコア部23及び24においても発揮しやすくなる。
磁性層22並びにコア部23及び24の飽和磁化は、特に制限されないが、例えば、90emu/g以上であってよい。飽和磁化が90emu/g以上であることにより、磁性層22並びにコア部23及び24の透磁率を向上させることができる。また、自然共鳴周波数の高周波数化が可能となる。同様の観点から、飽和磁化は、100emu/g以上であることが好ましく、110emu/g以上であることがより好ましい。飽和磁化は、200emu/g以下であってよい。
図3及び図4を参照して、誘電積層体37、キャパシタ13~16、及び、インダクタ11,12,17の詳細な構成について説明する。本実施形態では、LC複合部品1の誘電積層体37は、6つの誘電体層31、32、33、34、35及び36を備えている。誘電体層31~36は、非磁性基板21と磁性層22との間に配置され、非磁性基板21の第1の面21a側からこの順に配置されている。誘電体層31~36は、それぞれ、非磁性基板21の第1の面21aと同じ方向に向いた第1の面と、非磁性基板21の第2の面21bと同じ方向に向いた第2の面とを有している。なお、図3及び図4では、コア部23及び24を省略している。
図3における(a)は、誘電体層31の第1の面を示している。誘電体層31の第1の面には、インダクタ11用の導体部311及びインダクタ12用の導体部312と、キャパシタ13,14用の導体部313、キャパシタ15用の導体部315及びキャパシタ16用の導体部316と、端子用導体部31T1、31T2、31T3及び31T4とが形成されている。なお、図3の(a)は、誘電体層31の第2の面側から上記の複数の導体部を見た状態で表している。上記の複数の導体部の、図3の(a)における配置は以下の通りである。インダクタ11用の導体部311は、左右方向の中心よりも左側の領域に配置されている。インダクタ12用の導体部312は、左右方向の中心よりも右側の領域に配置されている。キャパシタ16用の導体部316は、インダクタ11用の導体部311とインダクタ12用の導体部312との間に配置されている。キャパシタ13,14用の導体部313は、インダクタ11用の導体部311及び312、並びに、キャパシタ16用の導体部316の下側の位置に配置されている。キャパシタ15用の導体部315は、キャパシタ13,14用の導体部313の下側の位置に配置されている。端子用導体部31T1は、左下の角部の近傍に配置されている。端子用導体部31T2は、右下の角部の近傍に配置されている。端子用導体部31T3は、左上の角部の近傍に配置されている。端子用導体部31T4は、右上の角部の近傍に配置されている。
キャパシタ13,14用の導体部313は、インダクタ11用の導体部311及びインダクタ12用の導体部312、並びに、キャパシタ16用の導体部316の各一端に接続されている。図3の(a)では、2つの導体部の境界を点線で示している。これ以降の説明で使用する図3の(a)と同様の図においても、図3の(a)と同様の表し方により示している。インダクタ11用の導体部311及びインダクタ12用の導体部312は、いずれも、その一端から他端に向けて環状に延びる線状の導体部である。
図3における(b)は、誘電体層32の第1の面を示している。誘電体層32の第1の面には、キャパシタ13用の導体部323、キャパシタ14用の導体部324、キャパシタ15用の導体部325A、325B及びキャパシタ16用の導体部326が形成されている。なお、図3の(b)は、誘電体層32の第2の側から上記複数の導体部を見た状態で示している。上記複数の導体部の図3の(b)における配置は、以下の通りである。すなわち、キャパシタ16用の導体部326は、左右方向のほぼ中央の位置に配置されている。キャパシタ13用の導体部323及びキャパシタ14用の導体部324は、キャパシタ16用の導体部326の下側の位置において、左側からこの順に配置されている。キャパシタ15用の導体部325A及び325Bは、キャパシタ13用の導体部323及びキャパシタ14用の導体部324の下側の位置において、左側からこの順に配置されている。
キャパシタ13用の導体部323及びキャパシタ14用の導体部324は、誘電体層32を介して、図3の(a)に示したキャパシタ13,14用の導体部313に対向している。図5におけるキャパシタ13は、キャパシタ13,14用の導体部313及びキャパシタ13用の導体部323と、これらの間に位置する誘電体層32の一部とによって構成されている。図5におけるキャパシタ14は、キャパシタ13,14用の導体部313及びキャパシタ14用の導体部324と、これらの間に位置する誘電体層32の一部とによって構成されている。また、キャパシタ15用の導体部325A及び325Bは、誘電体層32を介して、図3の(a)に示したキャパシタ15用の導体部315に対向している。図5におけるキャパシタ15は、キャパシタ15用の導体部315、325A及び325Bと、これらの間に位置する誘電体層32の一部とによって構成されている。また、キャパシタ16用の導体部326は、誘電体層32を介して、図3の(a)に示したキャパシタ16用の導体部326に対向している。図5におけるキャパシタ16は、キャパシタ16用の導体部316及び326と、これらの間に位置する誘電体層32の一部とによって構成されている。
LC複合部品1は、誘電体層32及び33を貫通する導体部33V1、33V2、33V3、33V4、33V5及び33V6を含む。図3の(b)では、導体部33V1~33V6にハッチングを付している。図3の(a)に示した端子用導体部31T1~31T4、並びに、インダクタ11用の導体部311及びインダクタ12用の導体部312には、それぞれ、導体部33V1~33V6の一端が接続されている。
図3における(c)は、誘電体層33の第1の面を示している。誘電体層33の第1の面には、インダクタ11用の導体部331、インダクタ12用の導体部332及びインダクタ17用の導体部337と、接続用導体部333、334、335A、335B及び336と、端子用導体部33T1、33T2、33T3及び33T4が形成されている。図3の(c)は、誘電体層33の第2の面側から上記複数の導体部を見た状態で示している。図3の(c)における上記複数の導体部の配置は、以下の通りである。インダクタ11用の導体部331は、左右方向の中心よりも左側の領域に配置されている。接続用導体部336は、インダクタ11用の導体部331とインダクタ12用の導体部332との間に配置されている。接続用導体部333及び334は、インダクタ11用の導体部331及びインダクタ12用の導体部332、並びに、接続用導体部336の下側の位置において、左側からこの順に配置されている。接続用導体部335A、335Bは、接続用導体部333及び334の下側の位置において、左側からこの順に配置されている。インダクタ17用の導体部337は、インダクタ11用の導体部331及びインダクタ12用の導体部332、並びに、接続用導体部336の上側の位置に配置されている。端子用導体部33T1は、左下の角部の近傍に配置されている。端子用導体部33T2は、右下の角部の近傍に配置されている。端子用導体部33T3は、左上の可動部の近傍に配置されている。端子用導体部33T4は、右上の角部の近傍に配置されている。
端子用導体部33T1は、接続用導体部333及び335Aの各一端に接続されている。端子用導体部33T2は、接続用導体部334及び335Bの各一端に接続されている。インダクタ17用の導体部337は、接続用導体部336の一端に接続されている。インダクタ11用の導体部331及びインダクタ12用の導体部332は、いずれも、一端から多端に向けて環状に伸びる線状の導体部である。
インダクタ11用の導体部331及びインダクタ12用の導体部332、並びに端子用導体部33T1~33T4は、それぞれ、非磁性基板21の第1の面21aに対して垂直な方向(誘電体層33の第1の面に垂直な方向と同じ)から見たときに、図3の(a)に示したインダクタ11用の導体部311及びインダクタ12用の導体部312、並びに、端子用導体部31T1~31T4と重なり合う位置に配置されている。接続用導体部333、334、335A、335B及び336は、それぞれ、非磁性基板21の第1の面21aに対して垂直な方向から見たときに、図3の(b)に示したキャパシタ13用の導体部323、キャパシタ14用の導体部324、キャパシタ15用の導体部325A、325B及びキャパシタ16用の導体部326と重なり合う位置に配置されている。
LC複合部品1は、誘電体層33を貫通する導体部33V7、33V8、33V9、33V10及び33V11を含む。図3の(c)では、導体部33V1~33V11を二点鎖線で示している。端子用導体部33T1~33T4、並びに、インダクタ11用の導体部331及びインダクタ11用の導体部332には、それぞれ、導体部33V1~33V6の他端が接続されている。図3の(b)に示したキャパシタ13用の導体部323、キャパシタ14用の導体部324、キャパシタ15用の導体部325A、325B及びキャパシタ16用の導体部326には、それぞれ、導体部33V7~33V11の一端が接続されている。接続用導体部333、334、335A、335B、336には、それぞれ、導体部33V7~33V11の他端が接続されている。
図4における(a)は、誘電体層34の第1の面を示している。誘電体層34の第1の面には、インダクタ11用の導体部341、インダクタ12用の導体部342及びインダクタ17用の導体部347と、端子用導体部34T1、34T2、34T3及び34T4が形成されている。図4の(a)は、誘電体層34の第2の面側から上記の複数の導体部を見た状態で示している。図4における上記複数の導体部の配置は、以下の通りである。インダクタ11用の導体部341は、左右方向の中心よりも左側の領域に配置されている。インダクタ12用の導体部342は、左右方向の中心よりも右側の領域に配置されている。インダクタ17用の導体部347は、インダクタ11用の導体部341及びインダクタ12用の導体部342の上側の位置に配置されている。端子用導体部34T1は、左下の角部の近傍に配置されている。端子用導体部34T2は、右下の角部の近傍に配置されている。端子用導体部34T3は、左上の角部の近傍に配置されている。端子用導体部34T4は、右上の角部の近傍に配置されている。
インダクタ11用の導体部341及びインダクタ12用の導体部342は、いずれも、その一端から他端に向けて環状に延びる線状の導体部である。インダクタ11用の導体部341、インダクタ12用の導体部342及びインダクタ17用の導体部347、並びに、端子用導体部34T1~34T4は、それぞれ、非磁性基板21の第1の面21aに垂直な方向(誘電体層34の第1の面に垂直な方向と同じ)から見たときに、図3の(c)に示したインダクタ11用の導体部331、インダクタ12用の導体部332及びインダクタ17用の導体部337、並びに、端子用導体部33T1~33T4と重なり合う位置に配置されている。
LC複合部品1は、誘電体層34を貫通する導体部34V1、34V2、34V3、34V4、34V5、34V6及び34V7を含む。図4の(a)では、導体部34V1~34V7を二点鎖線で示している。図3の(c)に示した端子用導体部33T1~33T4、並びに、インダクタ11用の導体部331、インダクタ12用の導体部332及びインダクタ17用の導体部337には、それぞれ、導体部34V1~34V7の一端が接続されている。端子用導体部34T1~34T4、並びに、インダクタ11用の導体部341、インダクタ12用の導体部342及びインダクタ17用の導体部347には、それぞれ、導体部34V1~34V7の他端が接続されている。
図4における(b)は、誘電体層35の第1の面を示している。誘電体層35の第1の面には、インダクタ11用の導体部351、インダクタ12用の導体部352、インダクタ17用の導体部357A及び357Bと、端子用導体部35T1、35T2、35T3及び35T4が形成されている。なお、図4の(b)は、誘電体層35の第2の面側から上記複数の導体部を見た状態で示している。上記複数の導体部の、図4の(b)における配置は、以下の通りである。インダクタ11用の導体部351は、左右方向の中心よりも左側の領域に配置されている。インダクタ12用の導体部352は、左右方向の中心よりも右側の領域に配置されている。インダクタ17用の導体部357A及び357Bは、インダクタ11用の導体部351及びインダクタ12用の導体部352の上側の位置において、左側からこの順に配置されている。端子用導体部35T1は、左下の角部の近傍に配置されている。端子用導体部35T2は、右下の角部の近傍に配置されている。端子用導体部35T3は、左上の角部の近傍に配置されている。端子用導体部35T4は、右上の角部の近傍に配置されている。
端子用導体部35T1~35T4は、それぞれ、インダクタ11用の導体部351、インダクタ12用の導体部352、インダクタ17用の導体部357A及び357Bの一端に接続されている。インダクタ11用の導体部351及びインダクタ12用の導体部352は、いずれも、その一端から他端に向けて環状に延びる線状の導体部である。
インダクタ11用の導体部351及びインダクタ12用の導体部352、並びに、端子用導体部35T1~35T4は、それぞれ、非磁性基板21の第1の面21aに対して垂直な方向(誘電体層35の第1の面に垂直な方向と同じ)から見たときに、図4の(a)に示したインダクタ11用の導体部341及びインダクタ12用の導体部342、並びに、端子用導体部34T1~34T4と重なり合う位置に配置されている。インダクタ17用の導体部357A及び357Bは、非磁性基板21の第1の面21aに対して垂直な方向から見たときに、図4の(a)に示したインダクタ17用の導体部347と重なり合う位置に配置されている。
LC複合部品1は、誘電体層35を貫通する導体部35V1、35V2、35V3、35V4、35V5、35V6、35V7及び35V8を含んでいる。図4の(b)では、導体部35V1~35V8を二点鎖線で示している。図4の(a)に示した端子用導体部34T1~34T4、並びに、インダクタ11用の導体部341及びインダクタ12用の導体部342には、それぞれ、導体部35V1~35V6の一端が接続されている。図4の(a)に示したインダクタ17用の導体部347には、導体部35V7及び35V8の各一端が接続されている。端子用導体部35T1~35T4、並びに、インダクタ用の導体部351、352、357A及び357Bには、それぞれ、導体部35V1~35V8の他端が接続されている。
図4における(c)は、磁性層22及び誘電体層36と、磁性層22及び誘電体層36を貫通する端子用導体部41、42、43及び44とを示している。LC複合部品1は、磁性層22及び誘電体層36を貫通する端子用導体部41、42、43及び44を含む。図4の(c)では、端子用導体部41~44にハッチングを付している。図4の(b)に示した端子用導体部35T1~35T4には、それぞれ、端子用導体部41~44の一端が接続されている。
次に、図5の回路図を参照して、本実施形態に係るLC複合部品1の回路構成について説明する。本実施形態では、LC複合部品1は、ローパスフィルタの機能を有している。図5に示すように、LC複合部品1は、信号が入力される入力端子2と、信号を出力する出力端子3と、3つのインダクタ11、12及び17と、4つのキャパシタ13、14、15及び16とを備えている。
インダクタ11の一端、キャパシタ13の一端、及び、キャパシタ15の一端は、入力端子2に電気的に接続されている。インダクタ12の一端、キャパシタ14の一端及びキャパシタ16の一端は、インダクタ11の他端及びキャパシタ13の他端に電気的に接続されている。インダクタ12の他端、キャパシタ14の他端及びキャパシタ15の他端は、出力端子3に電気的に接続されている。インダクタ17の一端は、キャパシタ16の他端に電気的に接続されている。インダクタ17の他端はグランドに接続されている。
以下、図1~図4に示すLC複合部品1の具体的な構成と図5に示す回路構成との関係について更に説明する。図5における入力端子2は、図4における端子用導体部41の他端によって構成されている。図5における出力端子3は、図4における端子用導体部42の他端によって構成されている。図4における端子用導体部43及び44の各他端は、図5においてグランドに接続されるグランド端子を構成する。
図5におけるインダクタ11は、図3及び図4におけるインダクタ11用の導体部311、331、341及び351と、導体部33V5、34V5及び35V5とによって構成され、コイル構造を有する。図2に示すように、コア部23は、誘電体層32~36を貫通して、インダクタ11用の導体部311、331、341及び351及び導体部33V5、34V5及び35V5が形成するコイル構造の内周部の内側に位置している。インダクタ11用の導体部311、331、341及び351は、いずれも、コア部23の外周に沿って延びる線状の導体部である。
図5におけるインダクタ12は、図3及び図4におけるインダクタ12用の導体部312、332、342及び352と、導体部33V6、34V6及び35V6とによって構成され、コイル構造を有する。図2に示すように、コア部24は、誘電体層32~36を貫通して、インダクタ12用の導体部312、332、342及び352及び導体部33V6、34V6及び35V6が形成するコイル構造の内周部の内側に位置している。インダクタ12用の導体部312、332、342及び352は、いずれも、コア部24の外周に沿って延びる線状の導体部である。
図5におけるインダクタ17は、図3及び図4におけるインダクタ17用の導体部337、347、357A及び357Bと、導体部34V7、35V7及び35V8とによって構成され、コイル構造を有する。
(作用効果)
本実施形態にかかるLC複合部品によれば、カットオフ周波数未満の低周波信号の挿入損失を低減しつつ、カットオフ周波数超の高周波信号の挿入損失を高めることができる。したがって、ローパスフィルタとしての特性に優れる。特に、カットオフ周波数が1.1~1.6GHzのローパスフィルタに適する。カットオフ周波数は、-3dBの点として定義できる。このLC複合部品は、ローパスフィルタ以外に、ハイパスフィルタ、バンドパスフィルタなどとして使用することもできる。
(製造方法の一例)
次に、図1を参照して、本実施形態に係るLC複合部品1の製造方法について説明する。本実施形態に係るLC複合部品1では、複数のLC複合部品1の非磁性基板21となる部分を含むウェハ上に、LC複合部品1の非磁性基板21以外の複数の構成要素を形成する。それにより、LC複合部品1の部品本体20が複数列に配列された基礎構造物を作製する。そして、この基礎構造物を切断することによって複数の部品本体20を互いに分離する。これにより、複数のLC複合部品1が作製される。
以下、図2~図4を参照して、1つのLC複合部品1に注目して、本実施形態のLC複合部品1の製造方法について更に詳しく説明する。なお、以下の説明では、便宜上、ウェハにおける非磁性基板21となる部分を非磁性基板21という。本実施形態の製造方法では、まず、非磁性基板21の上に、薄膜形成技術を用いて、複数の誘電体層及び複数の導体部を形成する。具体的には、まず、非磁性基板21の第1の面21aの上に、誘電体層31を形成する。次に、誘電体層31の上に、図3の(a)に示した複数の導体部31T1~31T4,311~316を形成する。複数の導体部の形成方法は、パターニングされていない導体層を形成したあと、マスクを用いたエッチングによって導体層をパターニングする方法でもよく、マスクを用いてパターニングされた導体層を形成する方法でもよい。導体層の形成方法としては、スパッタ法及びめっき法等の種々の薄膜形成方法を用いることができる。以下で説明する他の複数の導体部の形成方法も、これと同様である。
次に、例えばスパッタ法等によって、誘電体層31及び導体部31T1~31T4,311~316の上に、誘電体層32を形成する。次に、誘電体層32の上に、図3の(b)に示したキャパシタ用の導体部323、324、325A、325B及び326を形成する。次に、誘電体層33を形成する。次に、誘電体層32、33に、導体部33V1~33V6用の6つの孔を形成すると共に、誘電体層33に、導体部33V7~33V11用の5つの孔を形成する。次に、図3の(b)及び(c)に示した複数の導体部33V1~33V6,331,332,337、333,334,335A,335B,336,33T1、33T2、33T3及び33T4を形成する。
次に、誘電体層33及び導体部上に、誘電体層34を形成する。次に、誘電体層34に、導体部34V1~34V7用の7つの孔を形成する。次に、図4の(a)に示した複数の導体部341、342、347、34T1、34T2、34T3及び34T4を形成する。次に、誘電体層34上に、誘電体層35を形成する。次に、誘電体層35に、導体部35V1~35V8用の8つの孔を形成する。次に、図4の(b)に示した複数の導体部351、352、357A、357B、35T1、35T2、35T3及び35T4を形成する。次に、誘電体層35及び導体部上に、誘電体層36を形成する。
次に、誘電体層36に、端子用導体部41~44用の4つの孔を形成する。次に、例えばめっき法等によって、図4の(c)に示した端子用導体部41~44を形成する。
次に、誘電体層32~36に、コア部23及び24用の2つの孔を形成する。次に、上記2つの孔内を埋め、且つ端子用導体部41~44を覆うように、後に磁性層22、コア部23及び24となる予備磁性層を形成する。次に、端子用導体部41~44が露出するまで、予備磁性層を研磨する。これにより、予備磁性層のうち、コア部23及び24用の2つの孔内に残った部分がコア部23及び24となり、残りの部分が磁性層22となる。磁性層22、コア部23及び24が形成されることにより、基礎構造物が完成する。次に、複数の部品本体20が切り出されるように、基礎構造物を切断する。
なお、コア部23,24及び磁性層(予備磁性層)22を形成するには、上述の磁性金属粒子及び樹脂を含む硬化性組成物を塗布し、硬化させればよい。
本発明は上記実施形態に限定されず、様々な変形態様を採用することができる。
例えば、LC複合部品におけるキャパシタ、インダクタ、及び、コア部の数は、それぞれ、一つ以上であれば良い。また、キャパシタ、インダクタ、及び、コア部の形態も、用途に合わせて適宜変更することができる。また、インダクタ及びキャパシタの配置も任意に変更できる。例えば、キャパシタは、第1の面21aに垂直な方向から見たときに他のインダクタと重なってもよい。
また、磁性層の厚みが均一でない場合には、磁性層の厚みとして平均の厚みを採用すればよい。コア部の厚みが均一でない場合には、コア部の厚みとして平均の厚みを採用すればよい。LC複合部品がコア部を複数有する場合には、少なくとも一つのコア部の厚みと、磁性層の厚みとが、上述の関係を満たせばよい。
また、本実施形態に係るLC複合部品1の製造方法は、上記に限られない。例えば、LC複合部品1のうち、少なくとも非磁性基板21と磁性層22の間の複数の誘電体層及び複数の導体部は、例えば、低温同時焼成法等によって形成してもよい。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
下記に示す方法で、磁性層及びコア部を形成するための硬化性の樹脂組成物を調整した。すなわち、硫酸第一鉄及び硫酸コバルトの水溶液を、磁性金属粒子中のFe及びCoの質量比が7:3となるように配合し、これらをアルカリ水溶液で一部中和した。中和後の水溶液にバブリングを行って通気し、上記水溶液を撹拌することにより、Coを含有する針状のゲータイト粒子を得た。水溶液をろ過して得られたCoを含有するゲータイト粒子をイオン交換水で洗浄して乾燥したあと、更に空気中で加熱することにより、Coを含有するヘマタイト粒子を得た。
得られたCoを含有するヘマタイト粒子を、水素雰囲気の炉内で、温度550℃で加熱した。その後、炉内雰囲気をアルゴンガスに切替え、200℃程度まで冷却した。更に、24時間かけて酸素分圧を21%まで増やしながら、室温まで冷却することにより、金属コア部と酸化金属膜とを備え、Fe及びCoを主成分とする磁性金属粒子を得た。
得られた磁性金属粒子に、樹脂組成物の硬化物中の磁性金属粒子の体積割合が40体積%となるように、エポキシ樹脂及び硬化剤を加えて、ミキシングロールを用いて室温で混練することにより、樹脂組成物をスラリー状にして、磁性層及びコア部形成用の硬化性の樹脂組成物を得た。
次に、公知の薄膜形成方法を適用して、図1~図5に示すLC複合部品1を作製した。ここで、非磁性基板21の材料として非磁性フェライトを、磁性層22及びコア部23,24の材料として上述の樹脂組成物の硬化物を、インダクタ11,12,17及びキャパシタ13~16の導電材料として、Cuを、誘電体層31、及び33~36の材料としてポリイミド樹脂を、誘電体層32の材料としてシリコンナイトライドを用いた。コア部の厚みは100μm、磁性層の厚みは50μm、LC複合部品を厚み方向から見たときの大きさは、650μm×500μmである。LC複合部品のカットオフ周波数は、1.2GHzとした。
(実施例2~5)
コア部の厚み、磁性層の厚みを表1に示すように変更する以外は実施例1と同様にして実施例2~5のLC複合部品を製造した。なお、実施例2では、コア部の厚みを小さくするのに対応して、インダクタ11,12のコイル構造の巻き数を維持しつつ、導体部33V5、34V5及び35V5、及び、導体部33V6、34V6及び35V6の長さを短くして、コイル構造の軸方向長さを小さくした。また、実施例4,5では、コア部の厚みを大きくするのに対応して、インダクタ11,12のコイル構造の巻き数を維持しつつ、導体部33V5、34V5及び35V5、及び、導体部33V6、34V6及び35V6の長さを長くして、コイル構造の軸方向長さを大きくした。いずれの実施例においても、コア部23及び24の厚みは、インダクタ11及び12のコイル構造の軸方向長さ以上とした。
(実施例6)
中和工程において、アルカリ水溶液による中和率を低くし、酸化工程に供される中和後の金属(Fe及びCo)イオン濃度を低くして、磁性金属粒子の平均長軸径、アスペクト値及びCV値を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例6のLC複合部品を得た。
(実施例7)
中和工程において、アルカリ水溶液による中和率を高くし、酸化工程に供される中和後の金属(Fe及びCo)イオン濃度を高くして、磁性金属粒子の平均長軸径、アスペクト値及びCV値を表1に示すようにしたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例7のLC複合部品を得た。
(実施例8)
中和工程において、アルカリ水溶液による中和率を高くし、酸化工程に供される中和後の金属(Fe及びCo)イオン濃度を高くして、磁性金属粒子の平均長軸径、アスペクト値及びCV値を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例8のLC複合部品を得た。
(実施例9,10)
樹脂組成物の硬化物中の磁性金属粒子の体積割合が、それぞれ、30体積%及び50体積%となるように硬化性の樹脂組成物を調製した以外は実施例1と同様にして、実施例9,10のLC複合部品を得た。
(実施例11)
磁性金属粒子の製造においてCoを添加しなかった以外は実施例1と同様にして、実施例11のLC複合部品を得た。
(実施例12)
磁性金属粒子の製造においてCoに変えてNiを添加し、かつ、樹脂組成物の硬化物中の磁性金属粒子の体積割合が50体積%となるように硬化性の樹脂組成物を調製した以外は実施例1と同様にして、実施例12のLC複合部品を得た。
(比較例1)
コア部の厚みを30μmとする以外は実施例1と同様にして、比較例1のLC複合部品を得た。なお、コア部の厚みを小さくするのに対応して、インダクタ11,12のコイル構造の巻き数を維持しつつ、導体部33V5、34V5及び35V5、及び、導体部33V6、34V6及び35V6の長さを短くして、コイル構造の軸方向長さを小さくした。すなわち、コア部23及び24の厚みは、インダクタ11及び12のコイル構造の軸方向長さ以上とした。
[磁性金属粒子の評価方法]
(磁性金属粒子のサイズ及びアスペクト比)
各実施例及び比較例で得られたLC複合部品の磁性層の断面における磁性金属粒子を透過型電子顕微鏡(TEM)にて倍率50万倍で観察し、磁性金属粒子の長軸及び短軸方向の寸法(長軸径及び短軸径)(nm)を測定し、アスペクト比を求めた。同様にして、200~500個の磁性金属粒子を観察し、長軸径、短軸径及びアスペクト比の平均値を計算した。磁性金属粒子のアスペクト比の平均値及びCV値、並びに、磁性金属粒子の長軸径の平均値を、表1に示す。
(飽和磁化)
実施例及び比較例で得られた樹脂組成物の硬化物を1mm×1mm×3mmに加工し、振動試料型磁力計(VSM、株式会社玉川製作所製)を用いて、加工した複合磁性体の飽和磁化(emu/g)を測定した。結果を表1に示す。
(LC複合部品の挿入損失の最大値及び最小値)
ネットワークアナライザ(N5230A、キーサイトテクノロジーズ)を用いて、各実施例及び比較例で得られたLC複合部品において挿入損失の周波数特性を求めた。そして、0.824-0.960GHzにおける挿入損失の最大値、及び、1.648-1.920GHzにおける挿入損失の最小値を求めた。結果を表1に示す。また、実施例1、実施例5、及び比較例1の挿入損失の周波数特性を示す特性図をそれぞれ図6~図8に示す。
Figure 0007404788000001

実施例1~5及び比較例1の結果より、T1/T2が1.0以上である場合に(実施例1~5)、T1/T2が1.0未満である場合(比較例1)と比較して、挿入損失特性がより向上していることがわかる。
1…LC複合部品、2…入力端子、3…出力端子、11,12,17…インダクタ、13~16…キャパシタ、20…部品本体、21…非磁性基板、22…磁性層、23,24…コア部、31~36…誘電体層、33V1~33V11,34V1~34V7,35V1~35V8…導体部、31T1~31T4,33T1~33T4,34T1~34T4,35T1~35T4,41~44…端子用導体部、311,312,331,332,337,341,342,347,351,352,357A,357B…インダクタ用の導体部、313,315,316,323,324,325A,325B,326…キャパシタ用の導体部。

Claims (5)

  1. 非磁性基板と、
    磁性を有する磁性層と、
    1つ以上のキャパシタと、
    1つ以上のインダクタと、
    磁性を有する1つ以上のコア部と、
    を備え、
    前記非磁性基板が、第1の面と、前記第1の面とは反対側の第2の面とを有し、
    前記磁性層が、前記非磁性基板の第1の面に対向するように配置され、
    前記1つ以上のインダクタ、及び、前記1つ以上のキャパシタが前記非磁性基板の第1の面と前記磁性層との間に配置され、
    前記コア部が、前記非磁性基板の第1の面と前記磁性層との間に配置されて前記磁性層に接続され、
    前記非磁性基板の第1の面に垂直な方向について、前記コア部の厚みが前記磁性層の厚みに対して1.0倍以上であり、
    前記磁性層及び前記コア部が、それぞれ、磁性金属粒子及び樹脂を含み、
    前記磁性金属粒子の平均長軸径が120nm以下である、LC複合部品。
  2. 前記磁性金属粒子の平均アスペクト比が1.2~6である、請求項1に記載のLC複合部品。
  3. 前記磁性層及び前記コア部の飽和磁化がそれぞれ90emu/g以上である、請求項1又は2に記載のLC複合部品。
  4. 前記磁性金属粒子が、Fe、Co及びNiからなる群より選択される少なくとも1種を主成分として含む、請求項1~のいずれか一項に記載のLC複合部品。
  5. 前記磁性金属粒子のアスペクト比のCV値が0.4以下である、請求項1~のいずれか一項に記載のLC複合部品。
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