JP7403018B1 - 火災シミュレーションシステム - Google Patents
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Abstract
Description
本開示に係る火災シミュレーションシステムは、種々の条件下における火災の拡大状況に関する時間推移および避難状況に関する時間推移の少なくともいずれか一方をシミュレーション結果として再現することができ、顧客ごとにカスタマイズした火災リスクを目視にて確認できるように情報提供を行うことを技術的特徴とするものである。
図1は、本開示の実施の形態1に係る火災シミュレーションシステムの機能ブロック図である。本実施の形態1に係る火災シミュレーションシステムは、シミュレーション条件設定部10、シミュレーションモデル構築部20、シミュレーション実行部30、およびシミュレーション結果表示制御部40を備えて構成されている。
・温度分布
・煙濃度分布
・各階床での見透し距離
・避難時のガス有害性
なお、これらの情報の詳細については、後述する。
(A1)防火対象施設の建物寸法
火災シミュレーションを行う防火対象施設に関して、具体的な設計図面に基づいて、幅、奥行き、高さ、階床等の建物寸法の設定が行われる。
防火対象施設における窓、扉などの場所、およびそれらの開閉状態の設定が行われる。
防火対象施設における出火元がどの場所であるかの設定が行われる。具体的には、何階のどの位置といった形で、防火対象施設内の出火元となる火源位置が設定される。
初期消火、火源の発熱量などを考慮して、火源が燃え続ける時間が設定される。
例えば、ガソリンがまかれた量に相当する値として、単位kWにより火源の規模が設定される。火源の規模を設定することは、発熱速度を設定することに相当する。
ガソリンおよび防火対象施設内の樹脂などの燃焼を考慮して、燃焼単位質量当たりの値により、すすの発生量が設定される。
火災シミュレーションを行うにあたり、防火対象施設を分割するためのメッシュ寸法が設定される。メッシュ寸法が細かいほど、シミュレーション精度は上がる一方で、計算時間がかかることとなる。
(B1)火災感知器の設置条件
火災が発生した状態を感知する火災感知器を防火対象施設内のどこに設置するかが設定される。火災感知器の設置場所に応じて、火災シミュレーションにおいて火災が感知されるタイミングおよび火災発生位置が特定でき、初期消火、避難誘導などをより正確にシミュレーションすることができる。
水を放射できるスプリンクラを防火対象施設内のどこに設置するかが設定される。スプリンクラは、設置場所の温度が所定温度以上となることで機械的に動作し、放水を開始することができる。スプリンクラの設置場所に応じて、放水による消火を開始するタイミングが特定でき、消火作業の効果を含めた火災シミュレーションを正確に実施することができる。
・防火対象施設内の例えば、最上階、屋上などの特定場所に避難する状況
(C1)避難者条件
防火対象施設内における避難者の人数、在席場所、および避難時の歩行スピードの設定が行われる。
防火対象施設内に設けられた1以上の避難経路方向の設定が行われる。
シミュレーション実行部30は、防火対象施設において、時間経過とともに煙がどのように拡散していくかを、動画像データあるいは時系列データとして情報提供することができる。火災の発生位置に応じた煙の拡散状況が情報提供されることで、防火対象施設のユーザ等は、煙の拡散の観点から、適切な避難経路、避難や待機が可能な場所を、時間経過に伴う火災シミュレーション結果として体験し、把握しておくことができる。
シミュレーション実行部30は、防火対象施設において、時間経過とともに各場所の温度がどのように遷移していくかを、動画像データあるいは時系列データとして情報提供することができる。火災の発生位置に応じた各場所での温度の遷移状況が情報提供されることで、防火対象施設のユーザ等は、温度上昇の観点から、適切な避難経路、避難や待機が可能な場所を、時間経過に伴う火災シミュレーション結果として体験し、把握しておくことができる。
シミュレーション実行部30は、防火対象施設において、時間経過とともに各場所の煙濃度がどのように遷移していくかを、動画像データあるいは時系列データとして情報提供することができる。
シミュレーション実行部30は、防火対象施設において、時間経過とともに各階床での見通し距離がどのように遷移していくかを、動画像データあるいは時系列データとして情報提供することができる。この見通し距離は、上述した「(1)煙の拡散状況」および「(3)煙濃度分布」の推定結果に基づいて算出することができる。
シミュレーション実行部30は、防火対象施設において、時間経過とともに避難時のガス有害性がどのように遷移していくかを、時系列データとして情報提供することができる。シミュレーション実行部30は、火災シミュレーション結果としてCO、HCNなどの濃度が算出でき、さらに、この濃度と吸引した時間がわかれば、有効暴露量率(FED:Fractional Effective Dose)を算出できる。
ユーザの防火対象施設に適合した、ユーザごとにカスタマイズしたシミュレーションモデルを構築できる。シミュレーションソフトとしては、市販のものを活用し、火災の知識を有する防災機器メーカのエンジニアなどが主体となって、ユーザとの協議を踏まえて、ユーザの防火対象施設に関する火災シミュレーション精度を上げるための適切なシミュレーション条件を導き出すことで、ユーザごとにカスタマイズしたシミュレーションモデルを構築できる。
カスタマイズしたシミュレーションモデルを用いて、視覚的に確認できる火災シミュレーション結果として、火災の拡大状況に関する時間推移および避難状況に関する時間推移を表示させることができる。
シミュレーション条件を変更して火災シミュレーション結果を得ることができる。特に、火源位置、火源の規模などの初期値、およびスプリンクラ、火災感知器といった防災機器設置条件に関するシミュレーション条件を変えて、それぞれの火災シミュレーション結果を比較することで、ユーザの防火対象施設に適した防災機器の配置等を視覚的に判断することができる。
防火対象施設のユーザにとっては、上述したように、種々の条件下において視覚的な表示データによる火災シミュレーション結果を視認することで、実効的な避難訓練の体験を積むことができる。
先の実施の形態1では、火災が発生していない状況で火災シミュレーション結果を表示データとして再現する場合について説明した。これに対して、本実施の形態2では、実際に火災が発生した際に、火災シミュレーション結果を利用して避難誘導を行う場合について説明する。
シミュレーション実行部30aは、防火対象施設内に設置された複数の熱感知器、複数の炎感知器による検出結果から、熱源の規模、熱源の位置を「火災発生状態」に含まれるデータとして推定することができる。なお、熱感知器の代わりに温度センサの検出結果、炎感知器の代わりに赤外線放射センサの検出結果を用いることによっても、シミュレーション実行部30aは、熱源の規模、熱源の位置を推定することができる。
シミュレーション実行部30aは、防火対象施設内に設置された複数の煙感知器による検出結果から、煙やすすの生成量あるいは煙やすすの濃度を「火災発生状態」に含まれるデータとして推定することができる。なお、煙感知器の代わりに減光率計あるいはカメラの検出結果を用いることによっても、シミュレーション実行部30aは、煙やすすの生成量あるいは煙やすすの濃度を推定することができる。
シミュレーション実行部30aは、防火対象施設内に設置された赤外線カメラによる検出結果から、熱源の規模、熱源の位置を「火災発生状態」に含まれるデータとして推定することができる。
防火対象施設に設けられた窓や扉に対して開閉状態を検出可能な開閉センサを設置しておくことで、シミュレーション実行部30aは、開閉センサの検出結果から窓や扉の開閉状態を「火災発生状態」に含まれるデータとして推定し、開口条件を設定することができる。従って、現状の実際の開口条件を用いた火災シミュレーションが可能となる。
スプリンクラの作動状態の検知結果により、初期消火による効果を考慮することができる。
・煙の拡散状況
・温度分布
・煙濃度分布
・各階床での見透し距離
・避難時のガス有害性
(1)火源元に関する情報
火源元に関する情報を提供することで、避難者は、避難の緊急度、適切な避難方向などを知ることができる。
温度分布、煙濃度分布、ガス有害性などを、それぞれの場所に関する情報、および避難経路上の情報として提供することで、避難者は、避難の緊急度、適切な避難方向などを知ることができる。また、場所によっては、すぐに避難を開始せずに、その場に待機させるといった情報提供を受けることも可能である。
先の実施の形態2では、実際に火災が発生した際に、リアルタイムで火災シミュレーションを実施し、火災シミュレーション結果を利用して避難誘導を行う場合について説明した。これに対して、本実施の形態3では、火災が発生していない状況であらかじめ種々のシミュレーション条件で実施したシミュレーション結果を利用して避難誘導を行う場合について説明する。
Claims (2)
- ユーザの防火対象施設ごとに構築されたシミュレーションモデルを用いて、種々のシミュレーション条件に基づく火災シミュレーション結果を目視で確認できる複数の表示データとして提供する火災シミュレーションシステムであって、
火災の拡大状況に関する時間推移を前記防火対象施設の火災シミュレーション結果として得るために必要なシミュレーション条件を設定する条件設定部と、
前記シミュレーション条件に基づいて前記シミュレーションモデルを構築するモデル構築部と、
前記モデル構築部で構築された前記シミュレーションモデルを用いて火災シミュレーションを実行することで、前記火災の拡大状況に関する時間推移を算出するとともに、算出結果に基づいて前記複数の表示データを生成する実行部と、
前記実行部によって生成された前記複数の表示データの中から、入力操作に対応して選択された表示データを表示部に表示させる表示制御部と
を備え、
前記実行部は、
前記防火対象施設において、前記時間推移とともに各場所の煙濃度がどのように遷移していくかを、動画像データあるいは時系列データによる前記表示データとして情報提供する第1の情報提供機能、
前記防火対象施設において、前記時間推移とともに各階床での見透し距離がどのように遷移していくかを、動画像データあるいは時系列データによる前記表示データとして情報提供する第2の情報提供機能、および
前記防火対象施設において、前記時間推移とともに避難時のガス有害性がどのように遷移していくかを、時系列データによる前記表示データとして情報提供する第3の情報提供機能
を有する
火災シミュレーションシステム。 - 前記条件設定部は、前記シミュレーション条件の変更を受付け可能であり、
前記モデル構築部は、変更前のシミュレーション条件に基づく第1のシミュレーションモデルと、変更後のシミュレーション条件に基づく第2のシミュレーションモデルとを構築し、
前記実行部は、前記複数の表示データとして、前記第1のシミュレーションモデルを実行することで第1の表示データ群を生成するとともに前記第2のシミュレーションモデルを実行することで第2の表示データ群を生成し、
前記表示制御部は、前記入力操作に対応して、前記第1の表示データ群および前記第2の表示データ群の中から選択されたそれぞれの表示データを前記表示部に比較表示させる
請求項1に記載の火災シミュレーションシステム。
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