JP7403018B1 - 火災シミュレーションシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】ユーザの防火対象施設に適合したシミュレーションモデルに基づく火災シミュレーション結果を提供する。【解決手段】火災の拡大状況に関する時間推移および避難状況に関する時間推移の少なくともいずれか一方を防火対象施設の火災シミュレーション結果として得るために必要なシミュレーション条件を設定する条件設定部と、シミュレーション条件に基づいてシミュレーションモデルを構築するモデル構築部と、シミュレーションモデルを用いて火災シミュレーションを実行することで、火災の拡大状況に関する時間推移および避難状況に関する時間推移の少なくともいずれか一方を算出するとともに、算出結果に基づいて複数の表示データを生成する実行部と、複数の表示データの中から入力操作に対応して選択された表示データを表示部に表示させる表示制御部とを備える。【選択図】図1

Description

本開示は、防火対象施設の火災シミュレーション結果を提供する火災シミュレーションシステムに関する。
受信機、発信機、中継器、音響装置、感知器等を備えて構成され、火災から防火対象施設である建物などの内部にいる人々を守る自動火災報知設備がある(例えば、非特許文献1参照)。自動火災報知設備では、感知器が熱や煙を感知することで、受信機に対して火災信号を送信する。火災信号を受信した受信機は、火災発生場所に応じて、警報を発し、音響装置を鳴動させ、防火対象施設内にいる人に火災の発生を知らせている。
また、火災を研究対象としている防火安全分野においては、火災の数値シミュレーションが用いられている(例えば、非特許文献2参照)。防火安全分野において、このような数値シミュレーションを用いることで、火災に対する安全性の評価、およびその評価に基づいて適切な防災設備を設計するための支援を行うことができる。
能美防災株式会社 ホームページ、自動火災報知設備(URL:https://www.nohmi.co.jp/product/materiel/fid.html) 「CFDを用いた火災の数値シミュレーション」、阿部伸之、独立行政法人消防研究所、日本流体力学会数値流体力学部門Web会誌、第12巻第2号、2004年11月
近年、お城、公共施設、工場、雑居ビルなどの火災事故についてのニュースが散見される。そこで、例えば、事業継続計画を立てる上で、防火対象施設の責任者、管理者等(すなわち、防災設備のユーザ)の立場としては、現状の防災設備が適切であるか、改良すべき点はないか、新規の防火対象施設においてどのような防災設備を設置すべきか、などを正確に把握することが重要となる。
一方、自動火災報知設備に代表される防災設備の製造メーカの立場としては、既存のユーザあるいは新規のユーザに対して、それぞれのユーザにおける防火対象施設に適した防災設備を提案することが重要となる。
どちらの立場においても、個々のユーザの防災設備に即して、種々の条件下での火災シミュレーション結果を時間経過に伴って示すことができれば、例えば、現状の消火設備で足りているか、火災がどのようなスピードで進行するか、どのような設備をどこに配置することが有効か、などの情報を得ることができる。
火災シミュレーションを行うことができるソフトウェアは市販または無料で公開されており、必要であればだれでも購入することが可能である。非特許文献2においても、米国商務省国立標準技術研究所(NIST)が開発したFDS(Fire Dynamics Simulator)が使用されている。
しかしながら、このような市販のソフトウェアは、火災についての知識を有する人が使うことが前提となっている。例えば、火災の知識がある人とない人が市販のソフトウェアを用いてそれぞれシミュレーションを行った場合には、まったく違う結果になることが予想できる。より具体的には、火災の数値シミュレーションの精度を上げるためには、シミュレーション条件の設定が非常に重要となる。
また、火災の発生状況をシミュレーションするばかりでなく、各種センサ、各種スプリンクラの配置や有効性を、ユーザおよびメーカの両方の立場で、個々のユーザの防火対象施設に即して正確に分析できる火災シミュレーション技法が確立できれば、それぞれのユーザにおける防火対象施設に適した防災設備を効率的に構築することが可能となる。
換言すると、顧客ごとにカスタマイズした火災リスクを目視にて確認することができる火災シミュレーションシステムを実現できれば、メーカの営業ツールとしても活用でき、ユーザおよびメーカの両方にとって有用な情報を提供できる。
さらに、実際に火災が発生した際にも、現状のみならず、火災の拡大状況に関する現時点からの時間推移および避難状況に関する現時点からの時間推移に関するシミュレーションによる推定結果を利用できれば、より適切な避難誘導に関する情報を提供できる。
すなわち、ユーザの防火対象施設に適合したシミュレーションモデルに基づくシミュレーション結果を提供することができれば、防災設備の構築時および実際の火災発生時のいずれにおいても、推定されたシミュレーション結果を有効活用することができる。
本開示は、上記の課題を解決するためになされたものであり、ユーザの防火対象施設に適合したシミュレーションモデルに基づく火災シミュレーション結果を提供することのできる火災シミュレーションシステムを得ることを目的とする。
本開示に係る火災シミュレーションシステムは、ユーザの防火対象施設ごとに構築されたシミュレーションモデルを用いて、種々のシミュレーション条件に基づく火災シミュレーション結果を目視で確認できる複数の表示データとして提供する火災シミュレーションシステムであって、火災の拡大状況に関する時間推移を防火対象施設の火災シミュレーション結果として得るために必要なシミュレーション条件を設定する条件設定部と、シミュレーション条件に基づいてシミュレーションモデルを構築するモデル構築部と、モデル構築部で構築されたシミュレーションモデルを用いて火災シミュレーションを実行することで、火災の拡大状況に関する時間推移を算出するとともに、算出結果に基づいて複数の表示データを生成する実行部と、実行部によって生成された複数の表示データの中から、入力操作に対応して選択された表示データを表示部に表示させる表示制御部とを備え、実行部は、防火対象施設において、時間推移とともに各場所の煙濃度がどのように遷移していくかを、動画像データあるいは時系列データによる表示データとして情報提供する第1の情報提供機能、防火対象施設において、時間推移とともに各階床での見透し距離がどのように遷移していくかを、動画像データあるいは時系列データによる表示データとして情報提供する第2の情報提供機能、および防火対象施設において、時間推移とともに避難時のガス有害性がどのように遷移していくかを、時系列データによる表示データとして情報提供する第3の情報提供機能を有するものである。
本開示によれば、ユーザの防火対象施設に適合したシミュレーションモデルに基づく火災シミュレーション結果を提供することのできる火災シミュレーションシステムを得ることができる。
本開示の実施の形態1に係る火災シミュレーションシステムの機能ブロック図である。 本開示の実施の形態2に係る火災シミュレーションシステムの機能ブロック図である。 本開示の実施の形態3に係る火災シミュレーションシステムの機能ブロック図である。
以下、本開示の火災シミュレーションシステムの好適な実施の形態につき、図面を用いて説明する。
本開示に係る火災シミュレーションシステムは、種々の条件下における火災の拡大状況に関する時間推移および避難状況に関する時間推移の少なくともいずれか一方をシミュレーション結果として再現することができ、顧客ごとにカスタマイズした火災リスクを目視にて確認できるように情報提供を行うことを技術的特徴とするものである。
なお、以下の実施の形態1~3では、非特許文献2と同様に、NISTが開発したFDSをシミュレーションソフトとして使用している。
実施の形態1.
図1は、本開示の実施の形態1に係る火災シミュレーションシステムの機能ブロック図である。本実施の形態1に係る火災シミュレーションシステムは、シミュレーション条件設定部10、シミュレーションモデル構築部20、シミュレーション実行部30、およびシミュレーション結果表示制御部40を備えて構成されている。
本実施の形態1に係る火災シミュレーションシステムは、図1に示した構成を備えることで、個々のユーザの防火対象施設に適合するように構築されたシミュレーションモデルを用いて、種々のシミュレーション条件に基づく火災シミュレーション結果を、目視で確認できる複数の表示データとして提供することができる。そこで、図1に示した各構成の機能について、詳細に説明する。
シミュレーション条件設定部10は、火災の拡大状況に関する時間推移および避難状況に関する時間推移を防火対象施設の火災シミュレーション結果として得るために必要なシミュレーション条件を設定する条件設定部に相当する。
シミュレーション条件設定部10は、火災関連条件設定部11、防災機器設置条件設定部12、および避難関連条件設定部13を備えて構成されている。シミュレーション条件は、火災関連条件設定部11によって設定される火災関連条件、防災機器設置条件設定部12によって設定される防災機器設置条件、および避難関連条件設定部13によって設定される避難関連条件に大別される。
火災関連条件設定部11は、ユーザの防火対象施設ごとに、火災の拡大状況に関する時間推移を火災シミュレーション結果として取得するために必要なシミュレーション条件を火災関連条件として設定する機能を有する。ここで、火災の拡大状況に関する時間推移として得られる情報は、以下のものが挙げられる。
・煙の拡散状況
・温度分布
・煙濃度分布
・各階床での見透し距離
・避難時のガス有害性
なお、これらの情報の詳細については、後述する。
火災関連条件の具体例としては、以下の7項目が挙げられる。
(A1)防火対象施設の建物寸法
火災シミュレーションを行う防火対象施設に関して、具体的な設計図面に基づいて、幅、奥行き、高さ、階床等の建物寸法の設定が行われる。
(A2)開口条件
防火対象施設における窓、扉などの場所、およびそれらの開閉状態の設定が行われる。
(A3)火源位置
防火対象施設における出火元がどの場所であるかの設定が行われる。具体的には、何階のどの位置といった形で、防火対象施設内の出火元となる火源位置が設定される。
(A4)燃焼時間
初期消火、火源の発熱量などを考慮して、火源が燃え続ける時間が設定される。
(A5)火源の規模
例えば、ガソリンがまかれた量に相当する値として、単位kWにより火源の規模が設定される。火源の規模を設定することは、発熱速度を設定することに相当する。
(A6)すすの発生率
ガソリンおよび防火対象施設内の樹脂などの燃焼を考慮して、燃焼単位質量当たりの値により、すすの発生量が設定される。
(A7)メッシュ寸法
火災シミュレーションを行うにあたり、防火対象施設を分割するためのメッシュ寸法が設定される。メッシュ寸法が細かいほど、シミュレーション精度は上がる一方で、計算時間がかかることとなる。
また、例えば、メッシュ寸法を1mとした場合には、一辺のサイズが50cmの窓は再現できないこととなる。従って、メッシュ寸法を所望の値に設定することで、メッシュ寸法によって分割されたそれぞれの位置において、シミュレーションによる推定結果を得ることができる。
防災機器設置条件設定部12は、ユーザの防火対象施設ごとに、防災機器の設置位置に関するシミュレーション条件を防災機器設置条件として設定する機能を有する。この設定により、火災の拡大状況に関する時間推移を火災シミュレーション結果として取得する際に、防災機器の設置効果を把握することができる。
防災機器設置条件の具体例としては、以下の2項目が挙げられる。
(B1)火災感知器の設置条件
火災が発生した状態を感知する火災感知器を防火対象施設内のどこに設置するかが設定される。火災感知器の設置場所に応じて、火災シミュレーションにおいて火災が感知されるタイミングおよび火災発生位置が特定でき、初期消火、避難誘導などをより正確にシミュレーションすることができる。
(B2)スプリンクラの設置条件
水を放射できるスプリンクラを防火対象施設内のどこに設置するかが設定される。スプリンクラは、設置場所の温度が所定温度以上となることで機械的に動作し、放水を開始することができる。スプリンクラの設置場所に応じて、放水による消火を開始するタイミングが特定でき、消火作業の効果を含めた火災シミュレーションを正確に実施することができる。
避難関連条件設定部13は、ユーザの防火対象施設ごとに、避難状況に関する時間推移を火災シミュレーション結果として取得するために必要なシミュレーション条件を避難関連条件として設定する機能を有する。ここで、避難状況に関する時間推移として得られる情報は、以下のものが挙げられる。
・防火対象施設内から施設外に避難が完了するまでの状況
・防火対象施設内の例えば、最上階、屋上などの特定場所に避難する状況
避難関連条件の具体例としては、以下の2項目が挙げられる。
(C1)避難者条件
防火対象施設内における避難者の人数、在席場所、および避難時の歩行スピードの設定が行われる。
(C2)避難方向条件
防火対象施設内に設けられた1以上の避難経路方向の設定が行われる。
C1、C2の各条件を適切に設定することで、避難状況の正確なシミュレーションが可能となる。また、C1、C2の各条件を変更することで、種々の比較を行うことができる。例えば、高齢者が多い環境、あるいは避難者が比較的多い環境などでは、避難時の歩行スピードを標準よりも遅く設定することで、避難状況のより正確なシミュレーションが可能となる。
次に、シミュレーションモデル構築部20について説明する。シミュレーションモデル構築部20は、シミュレーション条件設定部10により設定されたシミュレーション条件に基づいてシミュレーションモデルを構築するモデル構築部に相当する。
本実施の形態1に係るシミュレーションモデル構築部20は、NISTが開発したFDSをシミュレーションソフトとして使用し、シミュレーションモデルを構築している。ただし、その他のシミュレーションソフトを使用することも可能である。
次に、シミュレーション実行部30について説明する。シミュレーション実行部30は、シミュレーションモデル構築部20で構築された初期値を含むシミュレーションモデルを実行することで、火災発生時からの時間経過に伴って、火災の拡大状況に関する時間推移および避難状況に関する時間推移を算出するとともに、算出結果に基づいて複数の表示データを、情報提供するための火災シミュレーション結果として生成する実行部に相当する。
シミュレーション実行部30によって情報提供することができる火災シミュレーション結果の具体例としては、以下の5つを挙げることができる。
(1)煙の拡散状況
シミュレーション実行部30は、防火対象施設において、時間経過とともに煙がどのように拡散していくかを、動画像データあるいは時系列データとして情報提供することができる。火災の発生位置に応じた煙の拡散状況が情報提供されることで、防火対象施設のユーザ等は、煙の拡散の観点から、適切な避難経路、避難や待機が可能な場所を、時間経過に伴う火災シミュレーション結果として体験し、把握しておくことができる。
(2)温度分布
シミュレーション実行部30は、防火対象施設において、時間経過とともに各場所の温度がどのように遷移していくかを、動画像データあるいは時系列データとして情報提供することができる。火災の発生位置に応じた各場所での温度の遷移状況が情報提供されることで、防火対象施設のユーザ等は、温度上昇の観点から、適切な避難経路、避難や待機が可能な場所を、時間経過に伴う火災シミュレーション結果として体験し、把握しておくことができる。
(3)煙濃度分布
シミュレーション実行部30は、防火対象施設において、時間経過とともに各場所の煙濃度がどのように遷移していくかを、動画像データあるいは時系列データとして情報提供することができる。
火災の発生位置に応じた各場所での煙濃度の遷移状況が情報提供されることで、防火対象施設のユーザ等は、高濃度となる煙の観点から、適切な避難経路、避難や待機が可能な場所を、時間経過に伴う火災シミュレーション結果として体験し、把握しておくことができる。
(4)各階床での見透し距離
シミュレーション実行部30は、防火対象施設において、時間経過とともに各階床での見通し距離がどのように遷移していくかを、動画像データあるいは時系列データとして情報提供することができる。この見通し距離は、上述した「(1)煙の拡散状況」および「(3)煙濃度分布」の推定結果に基づいて算出することができる。
火災の発生位置に応じた各場所での見透し距離の遷移状況が情報提供されることで、防火対象施設のユーザ等は、見透し距離の観点から、避難の難易度などを、時間経過に伴う火災シミュレーション結果として体験し、把握しておくことができる。
(5)避難時のガス有害性
シミュレーション実行部30は、防火対象施設において、時間経過とともに避難時のガス有害性がどのように遷移していくかを、時系列データとして情報提供することができる。シミュレーション実行部30は、火災シミュレーション結果としてCO、HCNなどの濃度が算出でき、さらに、この濃度と吸引した時間がわかれば、有効暴露量率(FED:Fractional Effective Dose)を算出できる。
そこで、シミュレーション実行部30は、避難時における人の移動経路を考慮し、火災発生からの経過時間に伴ってFED積算値を算出することで、避難経路に沿った避難を行う際のガス有害性の遷移状況を情報提供することができる。
避難時のガス有害性が情報提供されることで、防火対象施設のユーザ等は、ガス有害性の観点から、避難が不能になってしまう状況を火災シミュレーション結果として体験し、把握しておくことができる。
なお、火災シミュレーションの精度を上げるためには、シミュレーション条件の設定が非常に重要となる。そこで、実際には、シミュレーションソフトを熟知したエンジニアによる試行錯誤が行われる。
具体的には、上述したような火災関連条件(A1)~(A7)、防災機器設置条件(B1)、(B2)、および避難関連条件(C1)、(C2)を微調整しながら、シミュレーションモデル構築部20によるシミュレーションモデルの構築、およびシミュレーション実行部30による火災シミュレーション結果を繰り返すことで、最終的に、ユーザの防火対象施設に適合したシミュレーションモデルに基づく火災シミュレーション結果を情報提供できる。
次に、シミュレーション結果表示制御部40について説明する。シミュレーション結果表示制御部40は、シミュレーション実行部30によって生成された動画像データあるいは時系列データの中から、入力操作に対応して選択された所望のデータを表示部に表示させる表示制御部に相当する。
防火対象施設のユーザは、種々のシミュレーション条件に基づく火災の拡大状況に関する時間推移および避難状況に関する時間推移を、動画像データあるいは時系列データによる視認可能な表示データとして情報提供を受けることができる。特に、防火対象施設のユーザは、種々の場所を火源として設定し、種々の条件で火災シミュレーションを実行することで、それぞれの実行結果を視覚的に比較することができる。
図1に示した構成を備える本実施の形態1に係る火災シミュレーションシステムにより実現できる機能をまとめると以下のようになる。
(機能1)カスタマイズしたシミュレーションモデルの構築
ユーザの防火対象施設に適合した、ユーザごとにカスタマイズしたシミュレーションモデルを構築できる。シミュレーションソフトとしては、市販のものを活用し、火災の知識を有する防災機器メーカのエンジニアなどが主体となって、ユーザとの協議を踏まえて、ユーザの防火対象施設に関する火災シミュレーション精度を上げるための適切なシミュレーション条件を導き出すことで、ユーザごとにカスタマイズしたシミュレーションモデルを構築できる。
(機能2)視認可能な火災シミュレーション結果の提供
カスタマイズしたシミュレーションモデルを用いて、視覚的に確認できる火災シミュレーション結果として、火災の拡大状況に関する時間推移および避難状況に関する時間推移を表示させることができる。
(機能3)種々の条件、あるいは種々の場所における火災シミュレーション結果の提供
シミュレーション条件を変更して火災シミュレーション結果を得ることができる。特に、火源位置、火源の規模などの初期値、およびスプリンクラ、火災感知器といった防災機器設置条件に関するシミュレーション条件を変えて、それぞれの火災シミュレーション結果を比較することで、ユーザの防火対象施設に適した防災機器の配置等を視覚的に判断することができる。
また、防火対象施設のユーザに対して、それぞれのユーザの防火対象施設内における在席場所、および出火場所に応じた火災シミュレーション結果を提示することができる。従って、それぞれのユーザは、種々の場所での火災発生に対して、火災の拡大状況に関する時間推移および避難状況に関する時間推移を視覚的な表示データにより確認することができる。
この結果、それぞれのユーザは、自身の在席場所および出火場所に応じて、どのように避難すべきか、どのような行動を取るべきかを体験でき、従来のような一律の避難訓練では得ることができない、実効的な体験を積むことができる。
換言すると、シミュレーション条件設定部10は、シミュレーション条件の変更を受付け可能である。そして、シミュレーションモデル構築部は、変更前のシミュレーション条件に基づく初期値を用いた第1のシミュレーションモデルと、変更後のシミュレーション条件に基づく初期値を用いた第2のシミュレーションモデルとを構築できる。
そして、シミュレーション実行部30は、複数の表示データとして、第1のシミュレーションモデルを実行することで第1の表示データ群を生成するとともに第2のシミュレーションモデルを実行することで第2の表示データ群を生成することができる。
さらに、シミュレーション結果表示制御部40は、入力操作に対応して、第1の表示データ群および第2の表示データ群の中から選択されたそれぞれの表示データを表示部に比較表示させることができる。なお、本実施の形態1に係る火災シミュレーションシステムは、必要に応じて、3以上の複数のシミュレーション条件による比較結果を情報提供することも可能である。
この結果、それぞれのユーザは、異なるシミュレーション条件による比較結果を対比しながら、自身の在席場所および出火場所に応じて、どのように避難すべきか、どのような行動を取るべきかを体験できる。
(機能4)ユーザおよびメーカにとっての火災シミュレーション結果の有効活用
防火対象施設のユーザにとっては、上述したように、種々の条件下において視覚的な表示データによる火災シミュレーション結果を視認することで、実効的な避難訓練の体験を積むことができる。
また、防火対象施設の責任者、管理者等は、種々のシミュレーション条件による結果を比較することで、現状の防災設備が適切であるか、改良すべき点はないか、新規の防火対象施設においてどのような防災設備を設置すべきか、などを正確に把握することができる。
一方、防災設備の製造メーカにとっては、自身が持っているノウハウに基づいて、市販のシミュレーションソフトに適合する適切なシミュレーション条件を特定して火災シミュレーション結果を提供することができる。
換言すると、顧客ごとにカスタマイズした火災リスクを目視にて確認することができる火災シミュレーション結果を情報提供することができ、営業ツールとして活用でき、顧客の防火対象施設に適した防災設備の提案を行うことができる。
以上のように、実施の形態1によれば、ユーザの防火対象施設に適合したシミュレーションモデルを構築し、顧客ごとにカスタマイズした火災リスクを目視にて確認することができる火災シミュレーション結果を情報提供することが可能な火災シミュレーションシステムを実現できる。
特に、本開示に係る火災シミュレーションシステムによれば、種々の条件下における火災の拡大状況に関する時間推移および避難状況に関する時間推移を、ユーザごとの防火対象施設について、火災発生時からの時間経過に伴って再現することができる。
この結果、ユーザは、昨今のニュースで取り上げられているような火災が自身の防火対象施設で発生したことを想定して、煙や熱による火災拡大スピード、避難の困難さ、有毒ガスを吸引するリスク、現状の防災機器の作動タイミングなどを、火災シミュレーション結果を視認することで視覚的に検証することができる。
さらに、ユーザにとっては、よりリアルな火災シミュレーション結果を視認することで、実効的な避難訓練を体験できるとともに、種々の条件下による火災シミュレーション結果に基づいて、現状の防災設備の適正や今後の改善策を検討することができる。
一方、防災設備の製造メーカにとっては、ユーザごとの防火対象施設に適した防災システム、防災機器を提案するための有効なツールとして、本開示に係る火災シミュレーションシステムを活用することができる。特に、既存の防火対象施設に対しては、現状の防災機器の適正、あるいは改良点を、火災シミュレーション結果に基づいて情報提供することができる。
実施の形態2.
先の実施の形態1では、火災が発生していない状況で火災シミュレーション結果を表示データとして再現する場合について説明した。これに対して、本実施の形態2では、実際に火災が発生した際に、火災シミュレーション結果を利用して避難誘導を行う場合について説明する。
防火対象施設において実際に火災が発生した場合には、熱や煙を避けて安全な場所に避難することが最も重要である。しかしながら、防火対象施設内の避難者は、どの経路を通って、どこに向かって避難すれば安全であるかを、火災発生時において認識することは困難である。
そこで、本実施の形態2では、実際に火災が発生したときの状況に応じて適切な避難誘導を行うために、火災シミュレーション結果を活用する。図2は、本開示の実施の形態2に係る火災シミュレーションシステムの機能ブロック図である。本実施の形態2に係る火災シミュレーションシステムは、シミュレーション条件設定部10、シミュレーションモデル構築部20、シミュレーション実行部30a、およびセンサ群50を備えて構成されている。
シミュレーション条件設定部10およびシミュレーションモデル構築部20は、先の実施の形態1における図1に示したものと同一の機能を有している。また、シミュレーション実行部30aは、先の実施の形態1における図1に示したシミュレーション実行部30と同様に火災シミュレーションを実行するとともに、火災シミュレーション結果を利用して避難誘導を行う機能を実現するために、推定結果修正処理部31および避難情報生成処理部32をさらに備えている。
また、センサ群50は、防火対象施設内に設置され、火災発生状態を検出可能な各種センサの集合である。実際に火災が発生した場合には、シミュレーション実行部30aは、防火対象施設内に設置されている各種センサにより検出可能なデータを活用することで、熱源の規模や位置、煙の生成量などを推測することができる。
各種センサにより検出可能なデータの活用例としては、以下のものが挙げられる。以下に説明する各種センサにより、センサ群50が構成されることとなる。
(1)熱感知器、炎感知器の活用
シミュレーション実行部30aは、防火対象施設内に設置された複数の熱感知器、複数の炎感知器による検出結果から、熱源の規模、熱源の位置を「火災発生状態」に含まれるデータとして推定することができる。なお、熱感知器の代わりに温度センサの検出結果、炎感知器の代わりに赤外線放射センサの検出結果を用いることによっても、シミュレーション実行部30aは、熱源の規模、熱源の位置を推定することができる。
(2)煙感知器の活用
シミュレーション実行部30aは、防火対象施設内に設置された複数の煙感知器による検出結果から、煙やすすの生成量あるいは煙やすすの濃度を「火災発生状態」に含まれるデータとして推定することができる。なお、煙感知器の代わりに減光率計あるいはカメラの検出結果を用いることによっても、シミュレーション実行部30aは、煙やすすの生成量あるいは煙やすすの濃度を推定することができる。
(3)赤外線カメラの活用
シミュレーション実行部30aは、防火対象施設内に設置された赤外線カメラによる検出結果から、熱源の規模、熱源の位置を「火災発生状態」に含まれるデータとして推定することができる。
なお、赤外線カメラは、視野範囲内における温度分布を検出できる。このため、シミュレーション実行部30aは、1台の赤外線カメラによる検出結果に基づいて、熱源の規模、熱源の位置を推定することができる。なお、赤外線カメラの代わりに赤外線サーモグラフィを用いることも可能である。
(4)窓や扉の開閉センサの活用
防火対象施設に設けられた窓や扉に対して開閉状態を検出可能な開閉センサを設置しておくことで、シミュレーション実行部30aは、開閉センサの検出結果から窓や扉の開閉状態を「火災発生状態」に含まれるデータとして推定し、開口条件を設定することができる。従って、現状の実際の開口条件を用いた火災シミュレーションが可能となる。
(5)スプリンクラの作動状態の活用
スプリンクラの作動状態の検知結果により、初期消火による効果を考慮することができる。
このように、シミュレーション実行部30aは、防火対象施設内に設置されているセンサ群50の検出結果により、種々のデータからなる火災発生状態を検出することができる。また、シミュレーション実行部30aは、熱感知器、炎感知器、煙感知器などが作動したか否かにより、防火対象施設において火災が発生したか否かを判断することができる。
そして、シミュレーション実行部30aは、先の実施の形態1と同様に、火災発生時においてシミュレーションモデルを用いて火災シミュレーションを実行する。
次に、本実施の形態2の特徴部分としてシミュレーション実行部30a内に設けられた推定結果修正処理部31および避難情報生成処理部32について説明する。
本実施の形態2に係るシミュレーション実行部30aは、防火対象施設内に設置されているセンサ群50の検出結果により、種々のデータからなる火災発生状態を検出することができる。
従って、シミュレーション実行部30a内の推定結果修正処理部31は、火災発生時における火災シミュレーションを実行するに当たって、実情に即した初期値を設定できるとともに、時間推移に伴って、時々刻々変化する火災発生状態をフィードバック情報として参照しながら、火災シミュレーション結果を修正することができる。
シミュレーション実行部30aは、防火対象施設においてメッシュ寸法により分割されたポイントごとにシミュレーション結果を算出することで、火災発生時における火災の拡大状況に関する時間推移および避難状況に関する時間推移を、時間経過に伴って推定する。
具体的には、シミュレーション実行部30aは、先の実施の形態1で説明したように、以下の状態を推定することができる。
・煙の拡散状況
・温度分布
・煙濃度分布
・各階床での見透し距離
・避難時のガス有害性
そして、推定結果修正処理部31は、時々刻々変化する火災発生状態をフィードバック情報として参照しながら、火災発生時における火災の拡大状況に関する時間推移および避難状況に関する時間推移の推定結果を、時間経過に伴って修正することができる。
避難情報生成処理部32は、推定結果修正処理部31による修正後の推定結果に基づいて、防火対象施設内のあらかじめ決められた場所ごとに、火災の拡大状況に関する現時点からの時間推移および避難状況に関する時間推移を取得できる。
そこで、避難情報生成処理部32は、それぞれの場所ごとの時間推移に基づいて、避難誘導に関する情報を生成する。すなわち、避難情報生成処理部32は、センサ群50の検出結果から得られる実情に即して、現在の状況および推定された今後の状況に基づいて、それぞれの場所ごとに適切な避難経路を避難誘導に関する情報として生成し、避難者に報知することができる。
報知手段としては、避難誘導に関する情報を表示するためにそれぞれの場所ごとに設置されたディスプレイ、避難誘導に関する情報を音声出力するためにそれぞれの場所ごとに設置された音響装置、避難方向を廊下等に表示させるために設置されたプロジェクタなどが挙げられる。
なお、避難誘導に関する情報としては、適切な避難経路以外にも、以下のような情報を含むことができる。
(1)火源元に関する情報
火源元に関する情報を提供することで、避難者は、避難の緊急度、適切な避難方向などを知ることができる。
(2)推定結果に基づく情報
温度分布、煙濃度分布、ガス有害性などを、それぞれの場所に関する情報、および避難経路上の情報として提供することで、避難者は、避難の緊急度、適切な避難方向などを知ることができる。また、場所によっては、すぐに避難を開始せずに、その場に待機させるといった情報提供を受けることも可能である。
以上のように、実施の形態2によれば、センサ群により検出した、時々刻々変化する火災発生状態をフィードバック情報として参照しながら、火災シミュレーション結果を修正し、修正した推定結果に基づいて避難誘導に関する情報を提供することができる。
特に、シミュレーション結果を有効活用することで、現状のみならず、火災の拡大状況に関する現時点からの時間推移および避難状況に関する現時点からの時間推移の推定結果に基づいて、適切な避難誘導に関する情報を提供することができる。
さらに、センサ群による検出結果に基づいて火災シミュレーション結果を修正することで、実際の火災発生状況に応じて火災の拡大状況に関する時間推移および避難状況に関する時間推移の推定精度を向上させた上で、適切な避難誘導に関する情報を提供することができる。
なお、火災発生時においてシミュレーションを実行するための演算負荷が重い場合には、リアルタイム性を確保するために、より高速な演算処理が可能なコンピュータなどをシミュレーション実行部として利用することが考えられる。
実施の形態3.
先の実施の形態2では、実際に火災が発生した際に、リアルタイムで火災シミュレーションを実施し、火災シミュレーション結果を利用して避難誘導を行う場合について説明した。これに対して、本実施の形態3では、火災が発生していない状況であらかじめ種々のシミュレーション条件で実施したシミュレーション結果を利用して避難誘導を行う場合について説明する。
防火対象施設の規模が比較的大きい場合、メッシュ寸法が比較的細かい場合など、シミュレーション条件によっては、シミュレーションを実行するための演算時間がより長くなり、火災発生時にリアルタイムで火災シミュレーション結果を得るためには限界がある。
そこで、本実施の形態3では、種々のシミュレーション条件に対応してシミュレーションモデル構築部20により構築された種々のシミュレーションモデルのそれぞれを用いて火災発生前に火災シミュレーションを実行しておき、火災発生時における演算負荷の軽減を図っている。
図3は、本開示の実施の形態3に係る火災シミュレーションシステムの機能ブロック図である。本実施の形態3に係る火災シミュレーションシステムは、シミュレーション条件設定部10、シミュレーションモデル構築部20、シミュレーション実行部30b、およびセンサ群50を備えて構成されている。
本実施の形態3では、先の実施の形態2に係るシミュレーション実行部30aの代わりに、シミュレーション実行部30bを用いている。そこで、シミュレーション実行部30bの機能を中心に、本実施の形態3に係る火災シミュレーションシステムについて説明する。
シミュレーション実行部30bは、先の実施の形態1における図1に示したシミュレーション実行部30と同様に火災シミュレーションを実行するとともに、事前に取得した複数の火災シミュレーション結果を利用して避難誘導を行う機能を実現するために、推定結果選択処理部33、避難情報生成処理部32、およびシミュレーション結果記憶部34をさらに備えている。
本実施の形態3に係るシミュレーション実行部30bは、シミュレーション条件設定部10で設定される種々のシミュレーション条件に対応して、シミュレーションモデル構築部20により構築された種々のシミュレーションモデルのそれぞれを用いて、火災発生前に火災シミュレーションを実行しておく。
また、シミュレーション実行部30bは、熱感知器、炎感知器、煙感知器などが作動することで、防火対象施設において火災が発生したと判断することができる。
なお、種々のシミュレーション条件として異なる値が設定される項目としては、先の実施の形態1で示した(A1)~(A7)による火災関連条件、(B1)、(B2)による防災機器設置条件、および(C1)、(C2)による避難関連条件が挙げられる。
特に、(A3)の火源位置に関しては、火災が発生しやすいと思われる場所、致命的な場所などを含め、複数の火源位置を想定して、事前に火災シミュレーション結果を収集しておくこととなる。
さらに、本実施の形態3では、放火火災、電気火災、木材火災といった燃焼の種別によって個別のシミュレーションモデルを構築しておくことで、シミュレーション条件を変えることも考えられる。燃焼の種別ごとに、(A4)の燃焼時間、および(A5)の火源の規模を、例えば、大、中、小の3レベルで変更することも考えられる。
シミュレーション実行部30bは、事前に実施した種々の火災シミュレーション結果に関して、それぞれのシミュレーション条件と対応付けて、シミュレーション結果記憶部34に記憶させておく。
推定結果選択処理部33は、火災発生時において、センサ群50により検出された火災発生状態を取得する。そして、推定結果選択処理部33は、シミュレーション結果記憶部34に記憶された火災シミュレーション結果を参照し、種々のシミュレーション条件の中から火災発生時における火災発生状態に最も近いシミュレーション条件を最適シミュレーション条件として選択する。
さらに、推定結果選択処理部33は、選択した最適シミュレーション条件を用いて事前に火災シミュレーションを実行したことで得られている火災シミュレーション結果を用いて、火災発生時における火災の拡大状況に関する時間推移および避難状況に関する時間推移を推定する。
避難情報生成処理部32は、推定結果選択処理部33により選択された推定結果に基づいて、防火対象施設内のあらかじめ決められた場所ごとに、火災の拡大状況に関する現時点からの時間推移および避難状況に関する時間推移を取得できる。
そこで、避難情報生成処理部32は、先の実施の形態2と同様に、それぞれの場所ごとの時間推移に基づいて、避難誘導に関する情報を生成する。すなわち、避難情報生成処理部32は、現在の状況および推定された今後の状況に基づいて、それぞれの場所ごとに適切な避難経路を避難誘導に関する情報として生成し、避難者に報知することができる。
以上のように、実施の形態3によれば、センサ群により検出した実際の火災発生状況に対応するシミュレーション結果を、種々の条件下で事前に実施済みの複数の火災シミュレーション結果の中から選択することができる。
この結果、火災発生時における演算負荷を低減した上で、シミュレーション結果を有効活用することができ、現状のみならず、火災の拡大状況に関する現時点からの時間推移および避難状況に関する現時点からの時間推移の推定結果に基づいて、適切な避難誘導に関する情報を提供することができる。
なお、上述した実施の形態1~3では、火災の拡大状況に関する時間推移および避難状況に関する時間推移の両方を算出する構成について説明したが、本開示に係る火災シミュレーションシステムは、このような構成に限定されるものではない。防火対象施設に応じて、火災の拡大状況に関する時間推移または避難状況に関する時間推移のいずれか一方のみを算出する構成を採用することによっても、本開示の目的を達成することが可能である。
10 シミュレーション条件設定部(条件設定部)、11 火災関連条件設定部、12 防災機器設置条件設定部、13 避難関連条件設定部、20 シミュレーションモデル構築部(モデル構築部)、30、30a、30b シミュレーション実行部(実行部)、31 推定結果修正処理部、32 避難情報生成処理部、33 推定結果選択処理部、34 シミュレーション結果記憶部、40 シミュレーション結果表示制御部、50 センサ群。

Claims (2)

  1. ユーザの防火対象施設ごとに構築されたシミュレーションモデルを用いて、種々のシミュレーション条件に基づく火災シミュレーション結果を目視で確認できる複数の表示データとして提供する火災シミュレーションシステムであって、
    火災の拡大状況に関する時間推移を前記防火対象施設の火災シミュレーション結果として得るために必要なシミュレーション条件を設定する条件設定部と、
    前記シミュレーション条件に基づいて前記シミュレーションモデルを構築するモデル構築部と、
    前記モデル構築部で構築された前記シミュレーションモデルを用いて火災シミュレーションを実行することで、前記火災の拡大状況に関する時間推移を算出するとともに、算出結果に基づいて前記複数の表示データを生成する実行部と、
    前記実行部によって生成された前記複数の表示データの中から、入力操作に対応して選択された表示データを表示部に表示させる表示制御部と
    を備え
    前記実行部は、
    前記防火対象施設において、前記時間推移とともに各場所の煙濃度がどのように遷移していくかを、動画像データあるいは時系列データによる前記表示データとして情報提供する第1の情報提供機能、
    前記防火対象施設において、前記時間推移とともに各階床での見透し距離がどのように遷移していくかを、動画像データあるいは時系列データによる前記表示データとして情報提供する第2の情報提供機能、および
    前記防火対象施設において、前記時間推移とともに避難時のガス有害性がどのように遷移していくかを、時系列データによる前記表示データとして情報提供する第3の情報提供機能
    を有する
    火災シミュレーションシステム。
  2. 前記条件設定部は、前記シミュレーション条件の変更を受付け可能であり、
    前記モデル構築部は、変更前のシミュレーション条件に基づく第1のシミュレーションモデルと、変更後のシミュレーション条件に基づく第2のシミュレーションモデルとを構築し、
    前記実行部は、前記複数の表示データとして、前記第1のシミュレーションモデルを実行することで第1の表示データ群を生成するとともに前記第2のシミュレーションモデルを実行することで第2の表示データ群を生成し、
    前記表示制御部は、前記入力操作に対応して、前記第1の表示データ群および前記第2の表示データ群の中から選択されたそれぞれの表示データを前記表示部に比較表示させる
    請求項1に記載の火災シミュレーションシステム。
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