JP7402772B2 - ウェビング巻取装置 - Google Patents
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Description
本発明は、回転部材が回転されることによってスプールが巻取方向へ回転されるウェビング巻取装置に関する。
例えば、下記特許文献1に開示されているウェビング巻取装置は、ガスジェネレータが作動されることで発生したガスがシリンダ内に供給されると、ガス圧によって合成樹脂製のラックがシリンダの軸方向先端側へ移動される。シリンダの軸方向先端からシリンダの外側へ移動されたラックがピニオンの歯へ食込み、ピニオンを巻取方向へ回転させる。ピニオンは、スプールへ連結されており、ピニオンが巻取方向へ回転されると、スプールが巻取方向へ回転されてウェビングがスプールに巻取られる。
ところで、ラックがピニオンの歯へ食込んだ際に、ピニオンが回転しないとラックが削れ、これにより、削りカスが生ずる。この削りカスは、ピニオンの回転方向に互いに隣合うピニオンの歯の間の歯溝に溜まる。
本発明は、上記事実を考慮して、回転部材の歯溝に移動部材の削りカスが溜まることを抑制できるウェビング巻取装置を得ることが目的である。
本発明の第1の態様のウェビング巻取装置は、巻取方向へ回転されることによってシートベルト装置のウェビングが巻取られるスプールと、軸方向先端側が開口された筒状のシリンダと、前記シリンダの軸方向基端側に設けられ、車両緊急時に前記シリンダの内側に流体を供給する流体供給手段と、互いに対向されると共に同軸上で回転される一対のフランジ部の一方に他方の側へ向けて歯が形成され、一側への回転によって前記スプールが巻取方向へ回転される回転部材と、前記シリンダの内側に設けられ、前記流体の圧力によって前記シリンダの軸方向先端側へ移動され、前記回転部材の歯が係合した状態で移動されることで前記回転部材を一側へ回転させる移動部材と、前記回転部材の回転中心側に設けられ、前記回転部材の歯が前記移動部材に係合した際に生じる削りカスを排出可能な排出部と、を備えている。
本発明の第1の態様のウェビング巻取装置では、流体供給手段がシリンダの軸方向基端側に設けられ、車両緊急時に流体供給手段が作動されると、流体がシリンダの内側に供給される。これによってシリンダの内圧が上昇されると、シリンダの内側に設けられた移動部材がシリンダの軸方向先端側へ移動される。移動部材がシリンダの軸方向先端側へ移動されて、シリンダの軸方向先端側の開口から移動部材が抜出ると、移動部材が回転部材の歯へ係合される。これによって、回転部材が一側へ回転される。回転部材が一側へ回転されると、スプールが巻取方向へ回転され、これによってシートベルト装置のウェビングがスプールに巻取られる。
一方、移動部材が回転部材の歯へ係合された際に回転部材が回転しないと、これによって、移動部材が削れて削りカスが生じる。この削りカスは、回転部材の回転中心側に設けられた排出部から排出される。これによって、回転部材の回転方向に互いに隣合う歯の間の歯溝に削りカスが溜まることを抑制できる。
本発明の第2の態様のウェビング巻取装置は、本発明の第1の態様のウェビング巻取装置において、前記歯は、前記一対のフランジ部における回転中心とは反対側よりも前記一対のフランジ部における回転中心側で前記一対のフランジ部の間の中央側に配置される請求項1に記載のウェビング巻取装置。
本発明の第2の態様のウェビング巻取装置では、回転部材のフランジ部に形成された歯は、一対のフランジ部における回転中心とは反対側よりも一対のフランジ部における回転中心側で一対のフランジ部の間の中央側に配置されている。このため、移動部材は、回転部材の歯に大きく係合される。
本発明の第3の態様のウェビング巻取装置は、本発明の第2の態様のウェビング巻取装置において前記移動部材の軸方向に対して直交する方向に切った前記移動部材の断面形状を円形とし、前記歯は、前記一対のフランジ部の回転径方向外側を曲率の中心として湾曲している。
本発明の第3の態様のウェビング巻取装置では、移動部材の軸方向に対して直交する方向に切った移動部材の断面形状を円形とされている。また、回転部材のフランジ部に形成された歯は、一対のフランジ部の回転径方向外側を曲率の中心として湾曲している。このため、移動部材の軸方向に対して直交する方向に切った移動部材の断面形状のうち、回転部材のフランジ部の中心側の大部分が回転部材の歯に係合される。
以上、説明したように、本発明に係るウェビング巻取装置では、回転部材の歯溝に移動部材の削りカスが溜まることを抑制できる。
次に、図1から図5の各図に基づいて本発明の各実施の形態について説明する。なお、各図において矢印FRは、本ウェビング巻取装置10が適用された車両の前側を示し、矢印OUTは、車幅方向外側を示し、矢印UPは、車両上側を示す。また、各図において矢印Aは、スプール18がウェビング20を巻取る際のスプール18の回転方向である巻取方向を示し、矢印Bは、巻取方向とは反対の引出方向を示す。
<第1の実施の形態の構成>
図1に示されるように、本実施の形態に係るウェビング巻取装置10は、フレーム12を備えている。フレーム12は、車両の車体としてのセンターピラー(図示省略)の車両下側部分に固定されている。
図1に示されるように、本実施の形態に係るウェビング巻取装置10は、フレーム12を備えている。フレーム12は、車両の車体としてのセンターピラー(図示省略)の車両下側部分に固定されている。
また、フレーム12にはスプール18が設けられている。スプール18は、略円筒形状に形成されており、中心軸線周り(図1の矢印A方向及び矢印B方向)に回転可能とされている。スプール18には、長尺帯状のウェビング20の長手方向基端部が係止されており、スプール18が巻取方向(図1の矢印A方向)へ回転されると、ウェビング20は、長手方向基端側からスプール18に巻取られる。また、ウェビング20の長手方向先端側は、スプール18から車両上側へ延び、フレーム12の車両上側でセンターピラーに支持されたスルーアンカ(図示省略)に形成されたスリット孔を通って車両下側へ折返されている。
さらに、ウェビング20の長手方向先端部は、アンカプレート(図示省略)に係止されている。アンカプレートは、鉄等の金属板材によって形成されており、車両の床部(図示省略)又は本ウェビング巻取装置10に対応するシート(図示省略)の骨格部材等に固定されている。
また、本ウェビング巻取装置10が適用された車両用のシートベルト装置は、バックル装置(図示省略)を備えている。バックル装置は、本ウェビング巻取装置10が適用されるシート(図示省略)の車幅方向内側に設けられている。シートに着座した乗員の身体にウェビング20が掛回された状態で、ウェビング20に設けられたタング(図示省略)がバックル装置に係合されることによって、ウェビング20が乗員の身体に装着される。
また、図1に示されるように、フレーム12の車両後側には、スプリングハウジング22が設けられている。スプリングハウジング22の内側には、ぜんまいばね等のスプール付勢手段(図示省略)が設けられている。スプール付勢手段は、スプール18に直接又は間接的に係合され、スプール18は、スプール付勢手段の付勢力によって巻取方向(図1の矢印A方向)へ付勢されている。
さらに、本ウェビング巻取装置10は、フォースリミッタ機構を構成するトーションバー24を備えている。トーションバー24の車両後側部分は、スプール18の内側に配置され、スプール18に対する相対回転が制限された状態でスプール18に繋がっている。これに対して、トーションバー24の車両前側部分は、フレーム12に形成された孔を通ってフレーム12の外側(車両前側)へ延びている。
フレーム12の車両前側には、プリテンショナ26の回転部材28が設けられている。回転部材28は、スプール18に対する同軸上に配置されている。回転部材28には、トーションバー24の車両前側部分が連結されており、回転部材28は、トーションバー24の車両前側部分に対する相対回転が制限されている。また、回転部材28は、車両前後方向に互いに対向する一対のフランジ部30A、30Bを備えている。図2に示されるように、一対のフランジ部30A、30Bのうち、相対的に車両前側に配置されたフランジ部30Aには、複数の歯32Aが設けられている。
これらの歯32Aは、フランジ部30Aのフランジ部30B側の面に、フランジ部30Aの回転中心周りに所庭の角度をおいて放射状に配置されており、歯32Aの長手方向は、フランジ部30Aの回転半径方向に沿っている。また、これらの歯32Aのフランジ部30Aからの突出寸法は、フランジ部30Aの回転半径方向外側で小さく、フランジ部30Aの回転半径方向中央側で大きい。
特に、フランジ部30Aの回転半径方向中央側では、歯32Aは、歯32Aの形成位置よりもフランジ部30Aの回転半径方向外側を曲率の中心として湾曲されている。本実施の形態では、フランジ部30Aの回転半径方向中央側での歯32Aの曲率半径は、後述する移動部材64の軸方向に対して直交する方向に切った断面形状の半径寸法よりも小さい。
一方、フランジ部30Bには、複数の歯32Bが設けられている。これらの歯32Bは、フランジ部30Bのフランジ部30A側の面に、フランジ部30Bの回転中心周りに所庭の角度をおいて放射状に配置されており、歯32Bの長手方向は、フランジ部30Bの回転半径方向に沿っている。また、これらの歯32Bのフランジ部30Bからの突出寸法は、フランジ部30Bの回転半径方向外側で小さく、フランジ部30Bの回転半径方向中央側で大きい。
特に、フランジ部30Bの回転半径方向中央側では、歯32Bは、歯32Bの形成位置よりもフランジ部30Bの回転半径方向外側を曲率の中心として湾曲されている。本実施の形態では、フランジ部30Bの回転半径方向中央側での歯32Bの曲率半径は、後述する移動部材64の軸方向に対して直交する方向に切った断面形状の半径寸法よりも小さい。歯32Bの数は、歯32Aと同数とされ、歯32Aと歯32Bとは、フランジ部30Aとフランジ部30Bとの対向方向に互いに対向している。
歯32Aと歯32Bとの間には、排出部36が設けられている。排出部36は、回転部材28の回転半径方向中央側に設けられており、排出部36を介して巻取方向側の歯溝と、引出方向側の歯溝とが繋がっている。
また、フランジ部30Aは、ロック機構42のロックベース44とされている。ロックベース44は、ロックパウル48を備えている。ロックパウル48は、ロックベース44に形成されたボス46によって支持されており、ボス46を中心に回動可能とされている。
一方、フレーム12の車両前側の脚板12Aには、ロック機構42及びプリテンショナ26の双方を構成するカバープレート50が固定されている。カバープレート50は、車両後側へ開口されており、カバープレート50の底板52は、フレーム12から車両前側へ離れた状態でフレーム12に対向されている。底板52には、ラチェット孔54が形成されている。ラチェット孔54の内周部には、ラチェット歯が形成されており、ロックベース44のロックパウル48がボス46周りの一方へ回動されると、ロックパウル48の先端部がラチェット孔54のラチェット歯に噛合う。これによって、ロックベース44の引出方向(図1の矢印B方向)への回転が制限され、スプール18の引出方向への回転が間接的に制限される。
また、カバープレート50の車両前側には、ロック機構42のセンサホルダ56が設けられている。センサホルダ56は、車両後側へ開口されており、直接又はカバープレート50を介して間接的にフレーム12に固定されている。センサホルダ56の内側には、車両の緊急状態を検出するセンサ機構を構成する各部品が収容されており、車両緊急時にセンサホルダ56内のセンサ機構が作動されると、ロック機構42のロックベース44の引出方向へ回転に連動してロックベース44のロックパウル48がボス46周りの一方へ回動される。
一方、ウェビング巻取装置10は、プリテンショナ26を構成する筒状部材としてのシリンダ58を備えている。シリンダ58は、円筒形状に形成されており、軸方向中間部で適宜に曲げられている。このシリンダ58の軸方向基端側に挿入された流体供給手段としてのマイクロガスジェネレータ60(以下、「マイクロガスジェネレータ60」を「MGG60」と略して称する)は、制御手段としてのECUを介して車両に設けられた衝突検知センサ(何れも図示省略)に電気的に接続されており、車両衝突時の衝撃が衝突検知センサによって検知されると、MGG60がECUによって作動され、MGG60において発生された流体の一態様であるガスが、シリンダ58の内側へ供給される。
プリテンショナ26のシリンダ58の軸方向基端側の内側には、ピストンとしてのシールボール62が配置されている。シールボール62は、合成樹脂材によって形成されており、シールボール62に荷重が付与されていない状態でのシールボール62の形状は、略球形状とされている。シリンダ58の内部空間は、シールボール62によってシールボール62よりも軸方向基端側とシールボール62よりも軸方向先端側とに仕切られている。MGG60が作動されると、MGG60で発生されたガスがシリンダ58におけるMGG60とシールボール62との間に供給される。これによって、シリンダ58におけるMGG60とシールボール62との間で内圧が上昇されると、シールボール62は、シリンダ58の軸方向先端側へ移動されると共にシリンダ58の軸方向に圧縮されて変形される。
また、プリテンショナ26のシリンダ58の内側には、移動部材64が配置されており、移動部材64の長手方向基端部は、シリンダ58の内側に配置されている。移動部材64は、合成樹脂材によって形成されており、外力を受けることによって変形可能とされている。移動部材64は、シールボール62よりもシリンダ58の軸方向先端側に配置されており、シールボール62がシリンダ58の軸方向先端側へ移動されると、移動部材64は、シールボール62に押圧されてシリンダ58の軸方向先端側へ移動される。
移動部材64がシリンダ58の軸方向先端に到達した状態で移動部材64がシールボール62によって更に押圧されて移動されると、移動部材64は、シリンダ58の軸方向先端から車両下側へ出て、カバープレート50の内側に入る。この状態で移動部材64が更に車両下側へ移動されると、図3に示されるように、移動部材64の長手方向先端部は、回転部材28の歯32A、32Bに当接される。この状態で、歯32A、32Bが移動部材64によって車両下側へ押圧されることによって、回転部材28は、移動部材64からの巻取方向への回転力が付与される。これによって、回転部材28は、巻取方向へ回転され、移動部材64は、シールボール62からの圧力によって更に車両下側へ移動される。
このように、移動部材64が車両下側へ移動され、回転部材28が巻取方向へ回転されることによって、回転部材28の歯32A、32Bは、移動部材64に突刺さり、この状態で、移動部材64が更に車両下側へ移動されることにより、回転部材28には、更に巻取方向への回転力が付与され、回転部材28は、更に巻取方向へ回転される。
一方、図1及び図2に示されるように、カバープレート50は、底板52を備えている。底板52は、板状とされ、底板52の厚さ方向は、概ね、車両前後方向(図1及び図2の矢印FR方向及びその反対方向)側とされている。また、カバープレート50は、側壁72を備えている。側壁72は、カバープレート50の底板52の外周部に沿って設けられており、図2及び図3に示されるように、回転部材28は、側壁72の内側に配置される。また、図3に示されるように、カバープレート50の内側には、ガイド部材82が設けられている。回転部材28よりも車両下側へ下がった移動部材64は、カバープレート50の側壁72とガイド部材82とに案内されて回転部材28よりも車幅方向外側を上昇する。
回転部材28の車両上側には、ストッパ92が配置されている。回転部材28よりも車幅方向外側を上昇した移動部材64は、ストッパ92よりも車両上側で且つ車幅方向外側からストッパ92を押圧する。移動部材64に押圧されたストッパ92は、車両下側で且つ車幅方向内側へ移動され、移動部材64の長手方向基端側へ係合する。これによって移動部材64の進行が停止する。
<第1の実施の形態の作用、効果>
次に、本実施の形態の作用並びに効果について説明する。
次に、本実施の形態の作用並びに効果について説明する。
本ウェビング巻取装置10では、車両緊急時の一態様である車両衝突時に、ECUによってプリテンショナ26のMGG60が作動されると、MGG60からシリンダ58の内側へ高圧のガスが瞬時に供給される。このガスの圧力によってシールボール62がシリンダ58の軸方向先端側へ移動されると、移動部材64がシールボール62に押圧されて移動部材64がシリンダ58の軸方向先端側へ移動される。
移動部材64が軸方向先端側へ移動されることによって、移動部材64がシリンダ58の軸方向先端から車両下側へ出て、移動部材64が回転部材28の歯32A、32Bへ当接される。これによって、回転部材28の歯32A、32Bが移動部材64によって車両下側へ押圧されることによって、回転部材28は、移動部材64からの巻取方向(図3の矢印A方向)への回転力が付与される。これによって、回転部材28が巻取方向へ回転される。
さらに、回転部材28の複数の歯32A、32Bのうち、移動部材64に押圧された歯32A、32Bよりも引出方向側(図2の矢印B方向側)の歯32A、32Bは、回転部材28の巻取方向への回転によって移動部材64の外周面から移動部材64の径方向中央側へ食込み又は突刺さる(係合する)。
このように、歯32A、32Bが食込み又は突刺さった移動部材64が車両下側へ移動されることによって、回転部材28には、更に巻取方向への回転力が付与され、回転部材28は、回転部材28が更に巻取方向へ回転される。回転部材28の巻取方向への回転は、トーションバー24を介してスプール18に伝わり、スプール18が巻取方向へ回転される。これによって、ウェビング20がスプール18に巻取られて、ウェビング20による乗員の拘束力が増加される。
一方、移動部材64がシールボール62に押圧されることによって、移動部材64が回転部材28よりも車両下側へ移動されると、移動部材64は、カバープレート50の側壁72、ガイド部材82に案内されて車両上側へ移動される。この状態で、移動部材64がシールボール62によって更に押圧されると、移動部材64の軸方向先端がストッパ92の車両上側で且つ車幅方向外側に位置する。この状態から移動部材64がシールボール62によって更に押圧されると、移動部材64は、車両上側で且つ車幅方向外側からストッパ92を押圧する。これによって、ストッパ92が車両下側で且つ車幅方向内側へ移動され、移動部材64の回転部材28との係合部分よりも軸方向基端側へ係合される。これによって、移動部材64がシリンダ58から全て抜出ることを防止でき、シールボール62がシリンダ58から抜出ることを防止できる。
ところで、プリテンショナ26が作動する前の状態で、ウェビング20を装着した乗員の身体が車両急減速時の加速度(減速度)によって車両前側へ移動する等の場合には、ウェビング20に引出方向への荷重が付与される。このように引出方向への荷重がウェビング20に付与されていると、回転部材28は、引出方向へ回転される。このとき、移動部材64の軸方向先端側がシリンダ58から抜け出て移動部材64が回転部材28の歯32A、32Bに食込み又は突刺さると、回転部材28の引出方向への回転が停止され、次いで、回転部材28は、引出方向とは反対の巻取方向へ回転される。
このように、移動部材64が回転部材28の歯32A、32Bに食込み又は突刺さった際に回転部材28が回転しないと、移動部材64の一部が剥がれ落ち、削りカスとなって回転部材28の周方向に隣合う歯32A、32Bの間の歯溝に残る。ここで、本実施の形態では、歯32Aと歯32Bとの間に排出部36が設けられており、回転部材28の周方向に隣合う歯32A、32Bの間の歯溝が互いに繋がっている。削りカスは、この排出部36を通って隣合う歯32A、32Bの間の歯溝へ移動する。これによって、削りカスが回転部材28の周方向に隣合う歯32A、32Bの間の歯溝に溜まることを抑制できる。
このように、削りカスが回転部材28の周方向に隣合う歯32A、32Bの間の歯溝に溜まることを抑制できることによって、回転部材28の歯32A、32Bの移動部材64への食込み量又は突刺さり量を確保できる。また、これによって、回転部材28の歯32A、32Bが移動部材64へ食込み又は突刺さることなく移動することを抑制できる。
さらに、フランジ部30A、30Bの回転半径方向中央側での歯32A、32Bの曲率半径は、移動部材64の軸方向に対して直交する方向に切った断面形状の半径寸法よりも小さい。このため、歯32A、32Bの移動部材64への噛込みは、浅いが、歯32A、32Bは、移動部材64の外周部の半分程度に噛込む。このため、歯32A、32Bが移動部材64に食込み又は突刺さった際の歯32A、32Bの曲げ応力を分散できる。
<第2の実施の形態>
図4及び図5に示されるように、本実施の形態では、歯32Aのフランジ部30Aとは反対側の端部の位置がフランジ部30Aの半径方向中央側とフランジ部30Aの半径方向外側とで等しい。また、歯32Bのフランジ部30Bとは反対側の端部の位置がフランジ部30Bの半径方向中央側とフランジ部30Bの半径方向外側とで等しい。このため、歯32A、32Bを介して隣合う歯溝は、互いに連通しており、この連通部分が排出部36とされている。
図4及び図5に示されるように、本実施の形態では、歯32Aのフランジ部30Aとは反対側の端部の位置がフランジ部30Aの半径方向中央側とフランジ部30Aの半径方向外側とで等しい。また、歯32Bのフランジ部30Bとは反対側の端部の位置がフランジ部30Bの半径方向中央側とフランジ部30Bの半径方向外側とで等しい。このため、歯32A、32Bを介して隣合う歯溝は、互いに連通しており、この連通部分が排出部36とされている。
このような本実施の形態でも、基本的に前記第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、ロックベース44のロックパウル48がボス46周りの一方へ回動され、ロックパウル48の先端部がラチェット孔54のラチェット歯に噛合いスプール18の引出方向への回転がロックされると、ロックベース44の中心軸がロックベース44の中心軸方向に対して交差する方向へずれる。このロックベース44の中心軸は、フランジ部30Aの中心軸であるため、回転部材28の中心軸が回転部材28の中心軸に対して交差する方向へずれる。
ここで、本実施の形態では、歯32Aは、フランジ部30Aのフランジ部30B側の面に形成され、歯32Bは、フランジ部30Bのフランジ部30A側の面に形成されている。このため、回転部材28が回転部材28の中心軸に対して交差する方向へずれたとしても、歯32A、32Bの移動部材64への食込み又は突刺さりへの影響を抑制できる。
10・・・ウェビング巻取装置、18・・・スプール、20・・・ウェビング、28・・・回転部材、32A、32B・・・歯、36・・・排出部、64・・・移動部材
Claims (3)
- 巻取方向へ回転されることによってシートベルト装置のウェビングが巻取られるスプールと、
軸方向先端側が開口された筒状のシリンダと、
前記シリンダの軸方向基端側に設けられ、車両緊急時に前記シリンダの内側に流体を供給する流体供給手段と、
互いに対向されると共に同軸上で回転される一対のフランジ部の一方に他方の側へ向けて歯が形成され、一側への回転によって前記スプールが巻取方向へ回転される回転部材と、
前記シリンダの内側に設けられ、前記流体の圧力によって前記シリンダの軸方向先端側へ移動され、前記回転部材の歯が係合した状態で移動されることで前記回転部材を一側へ回転させる移動部材と、
前記回転部材の回転中心側に設けられ、前記回転部材の歯が前記移動部材に係合した際に生じる削りカスを排出可能な排出部と、
を備えるウェビング巻取装置。 - 前記歯は、前記一対のフランジ部における回転中心とは反対側よりも前記一対のフランジ部における回転中心側で前記一対のフランジ部の間の中央側に配置される請求項1に記載のウェビング巻取装置。
- 前記移動部材の軸方向に対して直交する方向に切った前記移動部材の断面形状を円形とし、前記歯は、前記一対のフランジ部の回転径方向外側を曲率の中心として湾曲している請求項2に記載のウェビング巻取装置。
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