JP7400992B2 - モータ駆動回路 - Google Patents

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Description

本発明は、モータへ供給する駆動電流をスイッチングするスイッチに電流検出抵抗が接続されて構成されるモータ駆動回路に関するものである。
従来、この種のモータ駆動回路としては、例えば、特許文献1に開示されたものがある。
同文献に開示されたモータ駆動回路は、Hブリッジ回路を構成するMOSトランジスターがスイッチングされることで、モータに供給される電流の向きが制御されて、モータが正転または逆転する。Hブリッジ回路およびモータ駆動回路のグランド間には、配線抵抗が電流検出抵抗としてHブリッジ回路およびグランドに近接する位置に接続され、配線抵抗の端子間にはモータに流れる電流に応じた電圧が生じる。ロジック回路等によって構成される駆動制御部は、この配線抵抗に生じる電圧に応じてHブリッジ回路を制御し、モータへの電流供給を制御する。
特開2017-158387号公報
しかしながら、特許文献1に開示された上記従来のモータ駆動回路では、配線抵抗の一端が接続されるグランドには、Hブリッジ回路を構成するMOSトランジスターがスイッチングすることで、ノイズが重畳する。例えば、モータ駆動回路のグランド電位Vは、ノイズの無い正常時には、図1(a)に示すように、配線抵抗によって検出される所定の電圧Vaに対して一定に保たれている。しかし、MOSトランジスターがスイッチングすることで、図1(b)に示すように、モータ駆動回路のグランド電位VにはノイズNが重畳し、グランド電位Vが乱れる。このようにモータ駆動回路のグランド電位VにノイズNが重畳すると、配線抵抗の端子間に検出される電圧がノイズNの影響を受けて変動し、モータ駆動回路の駆動制御部は正しくモータを制御できなくなる。
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので
モータへ供給する駆動電流をスイッチングするスイッチと、
スイッチに流れる電流をスイッチの近傍で検出する一端が基準電位に接続される電流検出抵抗と、
電流検出抵抗の端子間電圧に基づいてスイッチのスイッチングを制御する駆動制御回路と、
駆動制御回路に基準電位を与える基準電位パターンと、
電流検出抵抗の一端を前記スイッチから所定の距離をあけて基準電位パターンに接続する配線パターンと
配線パターンの基準電位パターンとの接続点と回路基板の基板グランドとの間に設けられるノイズ対策部品と
を回路基板に備えるモータ駆動回路を構成した。
モータへ供給される駆動電流がスイッチによってスイッチングされることで、スイッチングノイズが、スイッチから電流検出抵抗および配線パターンを伝って、配線パターンの基準電位パターンとの接続点まで伝導する。また、スイッチングノイズは、スイッチから空間に放出されて、配線パターンの基準電位パターンとの接続点に飛来する。しかし、本構成によれば、電流検出抵抗の一端は、配線パターンによってスイッチから所定の距離をあけて基準電位パターンに接続されて、基準電位が与えられる。したがって、配線パターンを伝導するスイッチングノイズは、配線パターンを伝って基準電位パターンとの接続点に至る間に減衰する。また、空間を伝搬するスイッチングノイズは、空間を飛んで配線パターンの基準電位パターンとの接続点に到達するまでに、減衰する。このため、配線パターンの基準電位パターンとの接続点において、基準電位は、スイッチングノイズの影響を受け難くなり、ほぼ一定に保たれるようになる。
この結果、本発明によれば、電流検出抵抗の端子間に正確に検出される電圧に基づいて、駆動制御回路が正しくモータを制御できるモータ駆動回路を提供することができる。
従来の課題を説明するためのグラフである。 本発明の一実施形態によるモータ駆動回路の概略構成を示すブロック図である。 本発明の一実施形態によるモータ駆動回路で観測されるモータ消費電流およびモータ回転数の特性を表すグラフである。 従来のモータ駆動回路で観測されるモータ消費電流およびモータ回転数の特性を表すグラフである。 従来のモータ駆動回路の概略構成を示すブロック図である。
次に、本発明によるモータ駆動回路を3相ブラシレスモータに適用した場合について、説明する。
図2は、本発明の一実施形態によるモータ駆動回路1の概略構成を示すブロック図である。
モータ駆動回路1は、回路基板2に構成され、3相ブラシレスモータ3の各相のモータコイル3a,3b,3cに接続される。モータ駆動回路1は、各相のモータコイル3a,3b,3cに対して駆動(ドライバ)回路5a,5b,5cを備え、制御回路6の制御の下、各モータコイル3a,3b,3cへ供給する駆動電流iを3相PWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)制御する。各ドライバ回路5a,5b,5cは、それぞれ直列接続されたパワーMOSFET(電界効果トランジスタ)4a,4bおよび電流検出抵抗Rで構成される
各FET4bのソース端子には電流検出抵抗Rが接続され、モータコイル3a,3b,3cに駆動電流iが流れることで、各電流検出抵抗Rの端子間には駆動電流iに応じた端子間電圧vaが生じる。電流検出抵抗Rは、抵抗素子でもよいし、回路基板2の表面に導電膜で形成される配線パターンの配線抵抗によって構成されてもよい。本実施形態では電流検出抵抗Rの抵抗値を10[mΩ]に設定した。この端子間電圧vaは、パッケージングされた駆動(ドライバ)制御IC(集積化回路)7内に構成される、各差動増幅回路8の一対の入力端子間に入力される。ドライバ制御IC7内には、差動増幅回路8の他、コンパレータ9、ロジック回路10、ハイサイドゲートドライバ11およびローサイドゲートドライバ12が構成されている。
各差動増幅回路8は、入力される電圧vaを増幅して電圧Vrefとし、増幅した電圧Vrefを各コンパレータ9の一方の非反転入力端子に出力する。各コンパレータ9の他方の反転入力端子には所定の基準電圧Vcが与えられている。各コンパレータ9は、差動増幅回路8から入力される電圧Vrefが基準電圧Vcよりも高いときはハイレベルの信号をロジック回路10へ出力し、電圧Vrefが基準電圧Vcよりも低いときはローレベルの信号をロジック回路10へ出力する。
ロジック回路10は、各コンパレータ9の出力に基づいて各FET4a,4bを制御する。すなわち、コンパレータ9の出力電圧がローレベルのときにはモータ3に電流が流れないように、ハイサイドゲートドライバ11およびローサイドゲートドライバ12を制御する。また、コンパレータ9の出力電圧がハイレベルのときにはモータ3に電流が流れるように、ハイサイドゲートドライバ11およびローサイドゲートドライバ12を制御する。つまり、ハイサイドゲートドライバ11は、いずれか1つのドライバ回路5a,5b,5cを構成するハイサイド側の1つのFET4aのスイッチングをオンする。ローサイドゲートドライバ12は、他の1つのドライバ回路5a,5b,5cを構成するローサイド側の1つのFET4bのスイッチングをオンする。このスイッチングにより、モータに供給される駆動電流iは、モータコイル3aおよび3b、モータコイル3cおよび3b、またはモータコイル3cおよび3aを流れるように、PWM制御される。
ここで、ドライバ回路5a,5b,5cを構成する各FET4a,4bは、モータ3へ供給する駆動電流iをスイッチングするスイッチを構成する。各電流検出抵抗Rは、この際、各FET4a,4bに流れる電流iを各FET4a,4bの近傍で検出する。ドライバ制御IC7は、電流検出抵抗Rの端子間電圧vaに基づいて、各FET4a,4bのスイッチングを上記のように制御する。
ドライバ制御IC7は、グランド端子ピン7aがその直近にある基準電位パターン13に接続されることで、グランド端子ピン7aに接地電位が回路の基準電位Vとして与えられる。各電流検出抵抗Rの一端は、配線パターン14によって各FET4a,4bから所定の距離をあけて基準電位パターン13に共通に接続されることで、基準電位Vに接続される。本実施形態では、各FET4a,4bおよび電流検出抵抗Rが回路基板2におけるドライバ制御IC7の一方の側に実装され、配線パターン14の基準電位パターン13との接続点xが、前記一方の側と反対側にあるドライバ制御IC7のグランド端子ピン7aに近い位置に置かれることで、所定の距離があけられる。基準電位パターン13および配線パターン14は、共に、回路基板2の表面に銅箔等の導電膜がパターニングされて形成されている。
本実施形態では、配線パターン14の基準電位パターン13との接続点xと、回路基板2の基板グランド16との間における回路基板2の基板面に、さらにフェライトビーズインダクタ等のノイズ対策部品15を備える。基板グランド16は、回路基板2の例えば裏面の全面に、いわゆるベタパターンとして形成されて、基準電位Vに保たれる。ノイズ対策部品15は、問題となるノイズ周波数、例えば、各FET4a,4bのスイッチング周波数の高調波周波数帯で、ノイズ抑制効果が高くなる部品が選定されるのが、好ましい。
図3に示すグラフは、上記の本実施形態によるモータ駆動回路1で駆動されるモータ3の消費電流と回転数とを観測した結果を示す。同グラフの横軸は時間[msec]、右側の縦軸はモータ消費電流[mA]、左側の縦軸はモータ回転数[rpm]を表す。また、細かく振幅する特性線21はモータ消費電流、矩形状に大きく振幅する特性線22はモータ回転数の特性を表す。これらモータ消費電流およびモータ回転数は、制御回路6を構成するICのテストピンコネクタにケーブルを接続し、そのケーブルを外部のパーソナルコンピュータ(PC)に接続して、制御回路6を構成するIC内部の各時点での特性値を表すカウンタ機能を利用することで、観測した。また、制御回路6の設定により、モータ3の回転が正回転を1.5秒間維持し、その後負回転を1.5秒間維持して、正回転および負回転が時間的に連続する動作モードに設定した。また、モータ3の回転数は正回転および負回転共に500~550[rpm]に設定した。
また、図4に示すグラフは、従来のモータ駆動回路で同様にして観測されるモータ3の消費電流と回転数とを観測した結果を示す。図5に示すように、従来のモータ駆動回路17では、電流検出抵抗Rが、モータ駆動電流をスイッチングする各FET4a,4bおよび基準電位となる基板グランド16に近接する位置で、それらの間に接続されている。なお、同図において図2と同一または相当する部分には同一符号を付してその説明は省略する。図4に示すグラフの横軸及び各縦軸は図3に示すグラフと同様である。また、細かく振幅する特性線31はモータ消費電流、矩形状に大きく振幅する特性線32はモータ回転数の特性を表す。
図3および図4に示すグラフを比較すると分かるように、従来のモータ消費電流の特性線31は本実施形態の特性線21と比較して全時間帯にわたって振幅が大きくなっており、従来のモータ駆動回路17では、モータ消費電流に各FET4a,4bのスイッチングノイズが全時間帯にわたって重畳していることが理解される。このスイッチングノイズにより、電流検出抵抗Rの一端が接続される基板グランド16の基準電位Vが図1(b)に示すように変動する。
これは、モータ3へ供給される駆動電流が各FET4a,4bによってスイッチングされることで、スイッチングノイズが、各FET4a,4bから電流検出抵抗Rおよび配線パターンを伝って、基板グランド16に伝導するためと、考えられる。また、同時に、スイッチングノイズが、各FET4a,4bから空間に放出されて、基板グランド16に伝搬するためと、考えられる。基板グランド16の基準電位Vのこの変動により、差動増幅回路8に与えられる電圧Vaが、基準電位Vに対して所定のしきい値電圧(例えば2[V])を満たさない電圧(例えば1.8[V])になると、コンパレータ9の出力をロジック回路10が判別できなくなる。したがって、ロジック回路10は、差動増幅回路8に与えられる電圧Vaが所定のしきい値電圧になるまでモータ3の回転を待機させる。
このため、従来のモータ回転数の特性線32は、例えば、図4に破線の楕円Aで示す箇所において、モータ回転数が略0になる時間帯が生じ、モータ3に電流は流れているが、モータ3が回転していない待機時間が発生する。この結果、モータ3は、正回転または負回転に連続的にスムーズに回転が移行しなくなる。なお、モータ3の正回転時にはモータ消費電流は正の電流となり、負回転時には負の電流が観測される。
これに対して、電流検出抵抗Rの一端が配線パターン14を介して所定の距離をあけて基準電位パターン13との接続点xに接続される、本実施形態のモータ駆動回路1では、図3のモータ回転数の特性線22に示されるように、モータ回転数が略0になる時間帯は生じず、モータ3は、正回転または負回転に連続的にスムーズに回転が移行するのが観測される。
本実施形態によるモータ駆動回路1では、モータ3へ供給される駆動電流が各FET4a,4bによってスイッチングされることで、スイッチングノイズが、各FET4a,4bから電流検出抵抗Rおよび配線パターン14を伝って、配線パターン14の基準電位パターン13との接続点xまで伝導する。また、スイッチングノイズは、各FET4a,4bから空間に放出されて、配線パターン14の基準電位パターン13との接続点xにまで飛来する。
しかし、本実施形態によるモータ駆動回路1によれば、電流検出抵抗Rの一端は、配線パターン14によって各FET4a,4bから所定の距離をあけて基準電位パターン13に接続されて、基準電位Vが与えられる。本実施形態では、各FET4a,4bと、配線パターン14の基準電位パターン13との接続点xとの間の距離は、それらが、ドライバ制御IC7の両側に配置されることで、所定の距離があけられる。
したがって、配線パターン14を伝導するスイッチングノイズは、配線パターン14を伝って基準電位パターン13との接続点xに至る間に減衰する。また、空間を伝搬するスイッチングノイズは、空間を飛んで配線パターン14の基準電位パターン13との接続点xに到達するまでに、減衰する。このため、配線パターン14の基準電位パターン13との接続点xにおいて、基準電位Vは、スイッチングノイズの影響を受け難くなり、ほぼ一定に保たれるようになる。この結果、各差動増幅回路8の入力電圧にスイッチングノイズが重畳しなくなり、モータ駆動回路1のドライバ制御IC7は、電流検出抵抗Rの端子間に正確に検出される電圧vaに基づいて、正しくモータ3を制御することができるようになる。
また、本実施形態によるモータ駆動回路1によれば、配線パターン14の基準電位パターン13との接続点xまで配線パターン14を伝導する最中に減衰しきれなかったスイッチングノイズ、および、その接続点xまで空間を伝搬する最中に減衰しきれなかったスイッチングノイズは、ノイズ対策部品15によってさらに減衰される。このため、基板グランド16に伝導または結合するノイズの流入が抑制され、電流検出抵抗Rの一端に与えられる基準電位Vは、スイッチングノイズの影響をさらに受け難くなり、ほとんど一定に保たれるようになる。この結果、モータ駆動回路1のドライバ制御IC7は、電流検出抵抗Rの端子間により正確に検出される電圧vaに基づいて、より正しくモータ3を制御することができるようになる。
上記実施形態の説明では、モータ3が3相のブラシレスモータである場合について説明したが、単相や2相のブラシレスモータのモータ駆動回路にも同様に適用することができる。また、Hブリッジ回路を使った各相数のブラシ付きモータ等のモータ駆動回路にも同様に適用することができる。また、モータ3は必ずしも正転および逆転する必要はなく、モータコイル3a,3b,3cの回転がスイッチのスイッチングによって回転および停止する等して制御されるモータのモータ駆動回路にも同様に適用することができる。そして、これらの各場合においても上記の実施形態と同様な作用効果が奏される。
1…モータ駆動回路
2…回路基板
3…モータ
3a,3b,3c…モータコイル
4a,4b…パワーMOSFET(スイッチ)
5a,5b,5c…駆動回路
6…制御回路
7…駆動制御IC(駆動制御回路)
8…差動増幅回路
9…コンパレータ
10…ロジック回路
11…ハイサイドゲートドライバ
12…ローサイドゲートドライバ
13…基準電位パターン
14…配線パターン
15…ノイズ対策部品(フェライトビーズインダクタ)
16…基板グランド
x…配線パターン14の基準電位パターン13との接続点

Claims (3)

  1. モータへ供給する駆動電流をスイッチングするスイッチと、
    前記スイッチに流れる電流を前記スイッチの近傍で検出する一端が基準電位に接続される電流検出抵抗と、
    前記電流検出抵抗の端子間電圧に基づいて前記スイッチのスイッチングを制御する駆動制御回路と、
    前記駆動制御回路に基準電位を与える基準電位パターンと、
    前記電流検出抵抗の前記一端を前記スイッチから所定の距離をあけて前記基準電位パターンに接続する配線パターンと
    前記配線パターンの前記基準電位パターンとの接続点と回路基板の基板グランドとの間に設けられるノイズ対策部品と
    を回路基板に備えるモータ駆動回路。
  2. 前記駆動制御回路はパッケージングされたICとして構成され、
    前記スイッチおよび前記電流検出抵抗は前記回路基板における前記ICの一方の側に実装され、
    前記配線パターンの前記基準電位パターンとの接続点は、前記駆動制御回路に基準電位を与える前記一方の側と反対側にある前記ICの端子に近い位置に置かれることを特徴とする請求項1に記載のモータ駆動回路。
  3. 前記駆動制御回路は、
    前記電流検出抵抗の端子間電圧が入力端子間に入力される差動増幅回路と、
    前記差動増幅回路の出力が一方の入力端子に入力され他方の入力端子に基準電圧が与えられるコンパレータと、
    前記コンパレータの出力に基づいて前記スイッチを制御するロジック回路とを備えて構成される
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のモータ駆動回路。
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