JP7399723B2 - 酸化膜の平均膜厚推定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、酸化膜の平均膜厚推定方法に関する。
自動車の車体等に用いられる高強度鋼板として、防錆性を付与した表面処理鋼板、中でも防錆性に優れる溶融亜鉛めっき鋼板や合金化溶融亜鉛めっき鋼板が公知である。溶融亜鉛めっき鋼板は、一般にはスラブを熱間圧延及び冷間圧延した帯状の鋼板を母材鋼板として用い、この母材鋼板を焼鈍炉で還元性雰囲気のもとで再結晶焼鈍し、その後に溶融亜鉛めっき処理を行って製造される。
このような高強度鋼板では、強度を高めるためSiやMn等の添加が有効である。ところが、鋼板がSiやMnを含む場合、鉄の酸化が起こらない還元性の水素ガスを含有する還元性雰囲気においても酸化が進み、鋼板表面にSiやMnの酸化物を形成する。この酸化物によりめっき処理時に溶融亜鉛と鋼板との濡れ性が低下するため、SiやMn等が添加された母材鋼板を用いる場合、めっき密着性が低下し易い。
SiやMn等が添加された母材鋼板のめっき密着性を改善する方法として、酸化帯及び還元帯を有する焼鈍炉を用いた酸化還元法による製造方法が実用化されている。この製造方法では、鋼板の表面に鉄の酸化膜を形成させ、水素を含む還元性雰囲気中でこの酸化膜を還元した後にめっき処理を行う。
この酸化還元法では、めっき密着性を確保するために酸化膜の平均膜厚が重要である。酸化膜が薄すぎると、SiやMnの酸化物が酸化膜により十分に被覆されず、この酸化膜から還元される鉄の量が不足するため、鋼板表面にSiやMnの酸化物が残存し易くなる。一方、酸化膜の平均膜厚が大き過ぎると、めっき剥離が生じ易くなる。このため、酸化膜の平均膜厚の管理を適性に行う必要がある。
この酸化膜の平均膜厚を推定する方法として、(分光)放射率と酸化膜の平均膜厚の関係に基づき酸化膜の平均膜厚を推定する方法が提案されている(特開平7-270130号公報参照)。この従来の酸化膜の平均膜厚推定方法では、酸化膜の膜厚に対応して放射率が変化する遠赤外域の特定波長で分光放射輝度を検出し、この特定波長での放射率を求め、予め測定した放射率と酸化膜の平均膜厚の関係から酸化膜の平均膜厚を推定する。
この従来の推定方法では、背景放射により放射率と酸化膜の平均膜厚との関係が変化するところ、この背景放射は鋼板の種類や酸化条件等の影響を受けて変化するため、推定誤差を抑制することが難しい。
特開平7-270130号公報
本発明は、上述のような事情に基づいてなされたものであり、放射率から背景放射の影響を除去し、精度よくかつ簡便に酸化膜の平均膜厚を推定する方法の提供を目的とする。
上記課題を解決するためになされた発明は、酸化処理中に鋼板に形成される酸化膜の平均膜厚推定方法であって、鋼板表面の温度を測定する板温計及び放射温度計と、背景放射を抑止する冷却板とを用い、上記板温計及び上記放射温度計により測定される温度から見かけの放射率を算出する工程と、上記見かけの放射率を補正する工程と、上記補正工程後の放射率から酸化膜の平均膜厚を推定する工程とを備える。
当該酸化膜の平均膜厚推定方法では、まず冷却板を用いることで背景放射を抑止する。さらに、当該酸化膜の平均膜厚推定方法では、冷却板を用いても抑止し切れない背景放射について、補正工程で、放射率を補正することにより除去するので、精度よくかつ簡便に酸化膜の平均膜厚を推定できる。
上記補正工程で、補正に下記式(1)を用いるとよい。このように上記補正工程で、補正に下記式(1)を用いるので、さらに簡便に酸化膜の平均膜厚を推定できる。
Figure 0007399723000001
ここで、εは補正後の放射率、ε’は上記見かけの放射率、aは酸化処理条件により定まる定数である。
波長の異なる複数の放射温度計を用いるとよい。放射温度計の波長により酸化膜の平均膜厚に対する補正後の放射率の感度が変化する。このため酸化膜の平均膜厚に応じて感度の高い波長を用いて平均膜厚を推定することで、酸化膜の平均膜厚の推定精度を高めることができる。
以上説明したように、本発明の酸化膜の平均膜厚推定方法を用いることで、放射率から背景放射の影響を除去し、精度よくかつ簡便に酸化膜の平均膜厚を推定することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る酸化膜の平均膜厚推定方法を示すフロー図である。 図2は、図1の酸化膜の平均膜厚推定方法で用いる酸化帯を示す模式的断面図である。 図3は、放射率と酸化膜厚との関係を説明するグラフである。 図4は、実施例で用いた実験装置のレイアウトを示す模式的断面図である。 図5は、実施例で用いた放射温度計の放射率と酸化膜の平均膜厚との関係を示すグラフである。 図6は、実施例における放射率のリファレンス値との相関を示すグラフである。 図7は、比較例における放射率のリファレンス値との相関を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態について適宜図面を参照しつつ詳説する。
図1に示す酸化膜の平均膜厚推定方法は、酸化処理中に鋼板に形成される酸化膜の平均膜厚推定方法であって、算出工程S1と、補正工程S2と、推定工程S3とを備える。
<酸化炉>
当該酸化膜の平均膜厚推定方法は、図2に示すような酸化還元法で使用される焼鈍炉の酸化帯1で生成される酸化膜の平均膜厚の推定に用いることができる。酸化帯1は、ロール11を有し、酸化帯入口1aから装入される帯状の鋼板Mをロール11により送給し、酸化帯出口1bより送出する。
酸化帯1は、例えば直火バーナー12を有し、この直火バーナー12により鋼板Mの表面を酸化し、鋼板Mの表面に鉄の酸化膜を形成する。このように直火バーナー12を用いることで、空気比の制御により酸素濃度の調整が可能であり、酸化膜の膜厚を容易に制御することができる。また、鋼板Mの昇温速度を高めることができるので、酸化帯1の炉長を短くして加熱炉を省スペース化したり、鋼板Mの送給速度を高めて製造効率を高めたりすることができる。
当該酸化膜の平均膜厚推定方法の対象となる鋼板Mは、Si、Mn、P、Al等が添加された母材鋼板であるとよい。これらの元素が添加された母材鋼板に対して鋼板のめっき密着性を改善する際、めっき密着性を確保するためには酸化膜の平均膜厚が特に重要であり、当該酸化膜の平均膜厚推定方法を好適に用いることができる。
鋼板MにSiが添加されている場合、Si含有量の下限としては、0.3質量%が好ましく、1.0質量%がより好ましい。一方、Si含有量の上限としては、3.0質量%が好ましく、2.5質量%がより好ましい。Si含有量が上記下限未満であると、強度及び加工性を両立させるために他の合金元素が必要となり、製造コストが増大するおそれがある。逆に、Si含有量が上記上限を超えると、酸化膜の形成が抑制されるため、Si酸化物によりめっき密着性が低下するおそれがある。
また、鋼板Mは、上述のSiやMn等以外には、C、Cr、Ti、S等を含有してもよい。なお、鋼板Mの残部は鉄及び不可避的不純物である。
酸化帯1で形成される酸化膜の平均膜厚の下限としては、0.1μmが好ましく、0.3μmがより好ましい。一方、上記酸化膜の平均膜厚の上限としては、1.1μmが好ましく、0.8μmがより好ましい。上記酸化膜の平均膜厚が上記下限未満であると、めっき密着性の改善効果が不十分となるおそれがある。逆に、上記酸化膜の平均膜厚が上記上限を超えると、酸化膜が不必要に厚く、酸化帯1に続く還元帯での還元時間が長くなり、製造効率を低下させるおそれがある。
当該酸化膜の平均膜厚推定方法には、図2に示すように、鋼板M表面の温度を測定する板温計13及び放射温度計14と、背景放射を抑止する冷却板15とを用いる。
板温計13は、放射量の影響を受けず鋼板M表面の温度を直接的に測定可能な温度計である。板温計13としては、熱電対、接触温度計、ロール多重板温計等の公知の温度計を用いることができる。
板温計13は、後述する放射温度計14の測定位置から1m以内、より好ましくは0.5m以内の位置で鋼板Mの温度を測定するように配設されるとよい。板温計13は、温度の整合性の観点から、放射温度計14が測定する鋼板Mの表面と同じ表面を測定することが好ましいが、配置が困難である場合、図2に示すように、放射温度計14が測定する鋼板Mの表面と反対側の面で測定することも可能である。
放射温度計14は、物体から放射される赤外線や可視光線の強度を測定して、物体の温度に換算する温度計である。具体的には、放射温度計14は、物体から放射された赤外線をレンズで集光し、その光量を検出素子により温度に換算する。なお、上記検出素子は、赤外線を吸収すると温められ、その温められた温度に応じて電気信号を発生するものである。または、上記検出素子として、光エネルギーによる光電効果により出力が出るもの用いることもできる。
放射温度計14は、図2に示すように、例えば温度計本体14aと、測定筒14bとから構成される。測定筒14bはその一端側が酸化帯1内に位置し、他端側が酸化帯1外に位置する。また、測定筒14bは、少なくとも一端側が冷却板15に囲まれるように配置される。放射温度計本体14aは、測定筒14bの他端側、つまり酸化帯1の外側に配置され、放射温度計14が測定筒14bを介して鋼板M表面の測定を行えるよう構成されている。
放射温度計14の鋼板M表面でのスポット径(放射温度計14が集光する範囲の直径)は、放射温度計14と鋼板M表面との距離や、放射温度計14の測定角度により決まるが、例えば5mm以上30mm以下とされる。
当該酸化膜の平均膜厚推定方法では、波長の異なる複数の放射温度計14を用いるとよい。酸化膜の平均膜厚に対する補正後の放射率の感度は、放射温度計14の波長により異なる。このため酸化膜の平均膜厚に応じて感度の高い波長を用いて平均膜厚を推定することで、酸化膜の平均膜厚の推定精度を高めることができる。
複数の放射温度計14を用いる場合、鋼板M表面の同一のスポットを測定することが好ましい。このため、放射温度計14の使用本数の上限としては、5本が好ましく、4本がより好ましい。放射温度計14の使用本数が上記上限を超えると、同一のスポットを測定するように複数の放射温度計14を配置することが困難となるおそれがある。逆に、放射温度計14の使用本数の下限としては、2本が好ましく、3本がより好ましい。放射温度計14の使用本数が上記下限未満であると、複数の放射温度計14を用いる効果が不十分となるおそれがある。
放射温度計14の波長は、測定したい酸化膜の平均膜厚に応じて適宜決定され、例えば0.8μm以上15μm以下の範囲から選択される。複数の放射温度計14を用いる場合、それらの波長は、酸化膜の平均膜厚に対する補正後の放射率の感度が高い領域が、それぞれの放射温度計14で異なるように決定される。波長の選択は、放射温度計14の検出素子の種類により行うことができる。例えば3本の放射温度計14を用いる場合であれば、各検出素子として、例えばSi検出素子(波長:1μm)、InSb検出素子(波長:5μm)、サーモパイル検出素子(波長:11μm)を用いることができる。
冷却板15は、例えば円環状であり、放射温度計14の周囲を取り囲むように炉の外壁に沿って設けられる。冷却板15は、図2に示すように、その一部が炉内に位置してもよい。冷却板15により放射温度計14に入ってくる背景放射を抑止できる。冷却板15としては、例えば水冷板を用いることができる。
冷却板15が円環状である場合、冷却板15の外径の下限としては、100mmが好ましく、130mmがより好ましい。一方、冷却板15の外径の上限としては、300mmが好ましく、200mmがより好ましい。冷却板15の外径が上記下限未満であると、背景放射の抑止効果が不十分となるおそれがある。逆に、冷却板15の外径が上記上限を超えると、背景放射の抑止効果の向上に対して冷却板15が不必要に大きくなり過ぎるおそれがある。なお、冷却板15の外径は、鋼板M表面から冷却板15までの距離が大きいほど大きくすることが好ましく、冷却板15の外径は、鋼板M表面から冷却板15までの距離の4倍以上6倍以下とするとよい。
鋼板M表面から冷却板15までの離間距離(測定距離)の下限としては、50mmが好ましく、100mmがより好ましい。一方、上記測定距離の上限としては、300mmが好ましく、200mmがより好ましい。上記測定距離が上記下限未満であると、冷却板15が鋼板Mと接触し鋼板Mに擦り傷が生じるおそれがある。逆に、上記測定距離が上記上限を超えると、背景放射が放射温度計14の測定筒14bに入り易くなるため、放射温度計14の測定精度が低下するおそれがある。
<算出工程>
算出工程S1では、板温計13及び放射温度計14により測定される温度から見かけの放射率ε’を算出する。
物体から放射される赤外線の量は同じ温度の物体であっても、物体の材質や表面状態によって異なる。放射温度計14では、物体から放射される赤外線量から物体の温度を測定するため、物体によってこの放射の割合を補正する必要があり、この割合を「放射率」という。放射率は、0以上1以下の範囲の数値をとり、理想的な黒体で1、黒体と逆で完全に赤外線を反射又は透過してしまうもの(例えば空気など)で0となる。
一方、板温計13は、物体の温度を直接測定するものであるから、放射率を加味した放射温度計14の示す測定温度と、板温計13の示す測定温度とが等しくなる放射率を算出すれば、測定物体の放射率を決定できる。
当該酸化膜の平均膜厚推定方法では、冷却板15を用いて放射温度計14に入ってくる背景放射を抑止しているが、この背景放射を完全に除去できるわけではない。上述のようにして算出された放射率は、測定物体単体の放射率ではなく、放射温度計14に入ってきた背景放射を含むものである。つまり、この算出工程S1で算出される放射率は、真の値とは誤差を持つ「見かけの放射率ε’」である。
<補正工程>
補正工程S2では、見かけの放射率ε’を補正する。
補正工程S2で、補正に下記式(1)を用いる。このように補正工程S2で、補正に下記式(1)を用いるので、さらに簡便に酸化膜の平均膜厚を推定できる。
Figure 0007399723000002
ここで、εは補正後の放射率、ε’は上記見かけの放射率、aは酸化処理条件により定まる定数である。
以下、上記式(1)で放射率が補正できる理由について詳説する。
放射温度計14には、測定する鋼板M表面の測定点(測定スポット)から放射されるエネルギーに加え、周囲(背景放射や冷却板15)からの反射エネルギーが入射する。そこで、上記測定スポット、背景放射面、冷却板面の3面で放射伝達計算式を立てると、下記式(2)となる。
Figure 0007399723000003
ここで、G:射度、ε:放射率、L:黒体放射エネルギー、T:温度、C:指向性放射率係数、F:形態係数を表す。また、添え字は、1:鋼板M、2:冷却板15、3:背景放射面を指す。
背景放射面は、仮想面でありε=1とできる。これと上記式(2)とからGについて解くと、下記式(3)が得られる。
Figure 0007399723000004
一方、放射温度計14について、放射率εを用いて、G=ε(T)の関係がある。さらに、冷却板15が十分に大きく、F21≒0と近似できるので、これらと上記式(3)とからεについて解くと、下記式(4)が得られる。なお、添え字mは、放射温度計を指す。
Figure 0007399723000005
ここで、背景放射を除去しない場合の黒体放射エネルギーに対する放射温度計14の見かけの放射率ε’は、ε’=L(T)/L(T)で表されるから、右辺の逆数(L(T)/L(T))をε’に乗じると1となる。これを利用して上記式(4)を変形すると、下記(5)が得られる。
Figure 0007399723000006
さらに、下記式(6)で定義される定数aを用いると、下記式(7)のように変形できる。
Figure 0007399723000007
Figure 0007399723000008
上記式(7)でεε’は、算出工程S1で算出される「見かけの放射率ε’」を表し、εは鋼板Mの真の放射率εを表すから、上述の式(1)で放射率が補正できる。なお、定数aは、予め実験的に求めることが可能である。具体的には、以下の手順による。板温計13、放射温度計14の測定結果から求まる見かけの放射率ε’(=εε’)を算出する。また、その測定結果を得た酸化膜の平均膜厚を求める。この酸化膜の平均膜厚から、予め他の手法で分析された酸化膜の平均膜厚と放射率との関係から、真の放射率εを求め、上記式(7)が成立するようにaを決定することができる。
このaの値は、鋼板Mの温度、炉温、測定器(板温計13、放射温度計14及び冷却板15)のレイアウトといった酸化処理条件に依存して決まる。つまり、これらの酸化処理条件が同等であれば、aの値は流用が可能となる。
<推定工程>
推定工程S3では、補正工程S2後の放射率から酸化膜の平均膜厚を推定する。
補正工程S2で算出した放射率εは、例えば図3に示すように、酸化膜の平均厚さに応じて変化する。従って、放射率εを知れば、酸化膜の平均膜厚を推定することができる。
例えば図3の関係であれば、酸化膜の平均厚さに対する放射率εの変化(感度)が大きい0.2μm以上0.8μm以下の平均厚さの酸化膜を測定する場合の精度が高い。この精度が高い領域は、酸化処理条件が同一であっても放射温度計14の波長により異なる。従って、波長の異なる複数の放射温度計14を用いる場合にあっては、複数の放射温度計14の測定結果を、精度の高さに応じて使い分けることで、広い範囲の酸化膜の平均膜厚保を精度よく推定することができる。
<利点>
当該酸化膜の平均膜厚推定方法では、まず冷却板15を用いることで背景放射を抑止する。さらに、当該酸化膜の平均膜厚推定方法では、冷却板15を用いても抑止し切れない背景放射について、補正工程S2で、放射率を補正することにより除去するので、精度よくかつ簡便に酸化膜の平均膜厚を推定できる。
[その他の実施形態]
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。
上記実施形態では、酸化還元法の酸化帯で用いる場合を説明したが、本発明の酸化膜の平均膜厚推定方法は、これに限定されるものではなく、他の方法で鋼板に形成される酸化膜の平均膜厚の推定を行うこともできる。
上記実施形態では、補正工程で、補正に上述の式(1)を用いる場合を説明したが、他の計算式で補正することも可能である。例えば、上述の式(5)において、指向性放射率係数Cや形態係数Fを特定して、補正することも可能である。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例]
鋼板を酸化させて鋼板の放射率の変化から酸化膜の平均膜厚を推定する実験を行った。実施例で用いた装置のレイアウトを図4に示す。この実験装置は、冷却室2と加熱室3とを備え、鋼板Mが両室を行き来できるように構成されている。
板温計としては、鋼板Mに熱電対(不図示)を溶接して用いた。放射温度計14としては、波長の異なる3種類の温度計を使用した。使用した波長は、1μm(Si検出素子)、5μm(InSb検出素子)、及び11μm(サーモパイル検出素子)である。放射温度計14の鋼板M表面でのスポット径は10mmとし、鋼板M表面からの放射温度計14の測定距離は50mmとした。これら3種類の放射温度計14の放射率と酸化膜の平均膜厚との関係を図5に示す。また、冷却板15としては、水冷板(直径139.8mm)を用いた。この実験装置の形態係数を表1に示す。
[比較例]
比較例では、実施例で用いた装置から冷却板15を取り除いたものを用いた。この実験装置の形態係数を表1に示す。
Figure 0007399723000009
[実験手順]
上述の2つの実験装置を用いて、以下の手順で実験を行った。最初に熱電対を溶接した鋼板Mを冷却室2に設置した。次に、この鋼板Mを加熱室3に引き上げ、直火バーナー12で加熱した。このとき、熱電対(板温計)及び放射温度計により鋼板Mの温度を測定することができるから、図1に示すフローに従って鋼板Mからの放射率を推定することができる。
所定時間の加熱を行った後、鋼板Mは冷却室2に引き下げて、冷却した。冷却後に、鋼板Mを取り出し、酸化膜の平均膜厚を分析した。この平均膜厚と図5に示すグラフとから決まる放射率をリファレンスとして、加熱中に推定した放射率とを比較した。なお、酸化膜の平均膜厚は、断面SEM写真による分析のほか、グロー放電発光分析装置(GDOES)を用いて酸化膜中の酸素濃度の深さ方向の分析を行い、酸化膜中で想定される酸素濃度(例えば10質量%)が観測される厚さを酸化膜厚とする方法により特定した。
この実験は、同じ種類の鋼板Mを6枚用いて行った。
[結果]
実施例の装置を用いた場合の結果を図6に示す。また、比較例の装置を用いた場合の結果を図7に示す。図6及び図7に示す直線は、推定した放射率とリファレンス値とが一致する点を結んだものである。
図6の結果から、冷却板を用いたうえで、当該酸化膜の平均膜厚推定方法によって背景放射について放射率を補正することにより除去するので、精度よく酸化膜の平均膜厚を推定できることが分かる。一方、図7の結果は、酸化膜の平均膜厚の推定精度が低い。冷却板を使用していないため、背景放射が大き過ぎ、十分な背景放射の除去ができないためと考えられる。
本発明の酸化膜の平均膜厚推定方法を用いることで、放射率から背景放射の影響を除去し、精度よくかつ簡便に酸化膜の平均膜厚を推定することができる。
1 酸化帯
1a 入口
1b 出口
11 ロール
12 直火バーナー
13 板温計
14 放射温度計
14a 温度計本体
14b 測定筒
15 冷却板
2 冷却室
3 加熱室

Claims (2)

  1. 酸化処理中に鋼板に形成される酸化膜の平均膜厚推定方法であって、
    鋼板表面の温度を測定する板温計及び放射温度計と、背景放射を抑止する冷却板とを用い、
    上記板温計及び上記放射温度計により測定される温度から見かけの放射率を算出する工程と、
    上記見かけの放射率を補正する工程と、
    上記補正工程後の放射率から酸化膜の平均膜厚を推定する工程と
    を備え
    上記補正工程で、補正に下記式(1)を用い、aが酸化処理条件により実験的に求めることが可能な定数であり、
    上記酸化処理条件が、鋼板の温度と、炉温と、板温計、放射温度計及び冷却板のレイアウトとである酸化膜の平均膜厚推定方法。
    Figure 0007399723000010
    ここで、εは補正後の放射率、ε’は上記見かけの放射率である。
  2. 波長の異なる複数の放射温度計を用いる請求項1に記載の酸化膜の平均膜厚推定方法。
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