JPH11325839A - 鋼板表面の酸化膜厚測定方法及び装置 - Google Patents

鋼板表面の酸化膜厚測定方法及び装置

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JPH11325839A
JPH11325839A JP10129806A JP12980698A JPH11325839A JP H11325839 A JPH11325839 A JP H11325839A JP 10129806 A JP10129806 A JP 10129806A JP 12980698 A JP12980698 A JP 12980698A JP H11325839 A JPH11325839 A JP H11325839A
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oxide film
emissivity
wavelength
measured
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JP10129806A
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Koji Kondo
孝司 近藤
Akira Torao
彰 虎尾
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JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鋼板表面に生成する酸化膜厚を高速且つ高精
度に測定する。 【解決手段】 酸化膜厚が変化しても放射率がほぼ一定
となる波長での放射輝度に対しても、その放射率を一定
とせず、酸化膜厚との関係式を用いて推定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼板の表面に生成
する酸化膜厚を測定する鋼板表面の酸化膜厚測定方法及
び装置に係り、特に、焼鈍炉内でのステンレス鋼板につ
いて、酸化膜厚の変化による放射率の変動を、オフライ
ンで得られた測定データを元に補正し、高速且つ高精度
に鋼板表面の酸化膜厚を測定する方法及び装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ステンレス鋼板の結晶粒度を成長させ、
機械的強度等の材質特性を得るために、焼鈍処理が施さ
れ、その際に鋼板表面上に形成される、主として酸化物
からなるスケールを取り去るための酸洗処理が引き続き
行われる。これらの処理が連続して行われる工程は、一
般にCAP(Cold Anealyng and Pickling )ライン
と呼ばれている。
【0003】この焼鈍工程では、本来、鋼板温度を高精
度に測定して鋼板温度制御をするのが望ましいが、焼鈍
炉内では鋼板表面に酸化皮膜が成長し、その厚さにより
鋼板表面の放射率が変動するために、放射率を固定した
従来の放射温度計や2色放射計では、正確な鋼板温度を
測定できない。従って、代わりに、鋼板温度の昇温パタ
ーンを適切に管理して、目標となる材質特性を得る必要
があり、そのために焼鈍炉での鋼板の最高到達温度(均
熱温度)Tssと、ある温度から該均熱温度Tssへ到達す
るまでの時間(均熱時間)Ts を調整するように、炉温
制御がなされている。
【0004】又、前記の変動する放射率の補正に関して
は、特開平2−85730に、2つ又はそれ以上の波長
の放射輝度を同時に測定して、それぞれの波長の放射率
の間の関係を、予め求めた関係式を用いて補正する方法
が開示されている。
【0005】又、鋼板表面温度と表面酸化皮膜厚を同時
に測定する方法として、特開平9−33517には、酸
化皮膜厚が変化しても放射率がほぼ一定となる波長と、
酸化皮膜厚の変化に対して放射率が変動する波長の放射
輝度出力値を用いて、鋼板表面温度と酸化皮膜厚を算出
する方法が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
2−85730に開示されている測定方法は、予め求め
た2つ又はそれ以上の放射率の関係式が、酸化膜厚の項
を含んでいないため、焼鈍炉内で生成した酸化膜厚を同
時に測定することができないという問題点を有してい
た。
【0007】又、特開平9−33517に開示されてい
る測定方法は、酸化皮膜厚が変化しても放射率がほぼ一
定となる波長での放射輝度に対して、その放射率を一定
として鋼板表面温度及び酸化膜厚を算出しているため、
十分な精度が得られないという問題点を有していた。
【0008】本発明は、前記従来の問題点を解決するべ
くなされたもので、鋼板表面に生成する酸化膜厚を高速
且つ高精度に測定することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、焼鈍炉内の鋼
板表面からの放射輝度を、複数の異なる波長で測定し、
該放射輝度と、予め定めた各波長における鋼板表面の酸
化膜厚と放射率との関係に基づいて、焼鈍炉内の鋼板表
面の酸化膜厚を求める酸化膜厚測定方法において、前記
複数の異なる波長のうちの、最も短い波長で測定した鋼
板表面の酸化膜厚と放射率との関係を、放射率が膜厚に
よって変化する関係とすると共に、前記波長より長い、
少なくとも1つの波長で測定した、酸化膜厚と放射率と
の関係を、放射率が膜厚によって変化する関係とするこ
とにより、前記課題を解決したものである。
【0010】又、最も短い波長の範囲を2.5〜10μ
m、最も長い波長の範囲を10〜20μmとしたもので
ある。
【0011】ここで、最も短い波長が2.5μmより短
い場合には、酸化膜厚の変化に対する放射率の変化が一
意的とならないため、本発明の方法は使用できない。一
方。最も短い波長が10μmより長い場合には、酸化膜
厚の変化に対する放射率の変化が小さいため、測定によ
り得られた放射率から酸化膜厚を求める際に、十分な精
度が得られない。
【0012】又、最も長い波長が10μmより短い場合
には、酸化膜厚の変化に対する放射率の変化が大きいた
め、繰り返し計算の際に計算回数が増加するばかりでな
く、計算が収束しない場合もある。一方、最も長い波長
が20μmより長い場合には、使用する波長によらず、
放射率が小さく、感度が弱いため、現存する焦電素子で
は、精度良く酸化膜厚の測定をすることができない。
【0013】又、前記酸化膜厚を繰り返し計算により求
めるようにして、計算時間を短縮したものである。
【0014】本発明は、又、焼鈍炉内の鋼板表面からの
放射輝度を、複数の異なる波長で測定し、該放射輝度
と、予め定めた各波長における鋼板表面の酸化膜厚と放
射率との関係に基づいて、焼鈍炉内の鋼板表面の酸化膜
厚を求める酸化膜厚測定装置において、前記複数の異な
る波長のうちの、最も短い波長で測定した鋼板表面の酸
化膜厚と放射率との関係を、放射率が膜厚によって変化
する関係として記憶する手段と、前記波長より長い、少
なくとも1つの波長で測定した、酸化膜厚と放射率との
関係を、放射率が膜厚によって変化する関係として記憶
する手段とを備えることにより、同じく前記課題を解決
したものである。
【0015】本発明においては、放射輝度の出力値を2
種類又はそれ以上の波長で測定し、予め測定した各波長
の各温度での放射輝度値(黒体炉出力値)と、酸化膜厚
によって変化する各波長の放射率の関係式とから、酸化
膜厚が変化しても放射率がほぼ一定となる波長での放射
輝度に対しても、その放射率を一定とせず、酸化膜厚と
の関係式を用いて推定する。
【0016】以下、本発明の作用を説明する。本発明に
おいては、予め次の2組の関係式を実験により求めてお
く。
【0017】第1に、黒体炉を用いて測定した各温度に
おける放射輝度出力値から、放射率を1としたときの放
射輝度Sb と温度Tの関係を、測定するn種類の波長そ
れぞれに対して求める。
【0018】Sbn=F1n(T) …(1)
【0019】ここで、F1nは、温度T[K]におけるn
番目の波長に対する放射輝度値(黒体炉出力値)を示
す。
【0020】第2に、酸化膜厚Dと放射率εの関係を、
n種類の波長それぞれに対して求める。
【0021】εn =F2n(D) …(2)
【0022】ここで、F2nは、酸化膜厚D[A]におけ
る、n番目の波長に対する放射率値を示す。
【0023】上記2組の式は、オフラインにおけるサン
プル実験により予め求めておく。
【0024】n種類の波長を使用した放射温度計で得ら
れるデータは、n個の放射輝度出力値Sn のみであり、
次式の関係が成り立っている。
【0025】Sn =εn ×Sbn …(3)
【0026】一般に、連立方程式を解く際は、未知数の
個数と、等価でない式の個数が、同じか、若しくは式の
方が多ければ、全ての未知数を導き出すことができる。
【0027】多波長の放射温度計の場合、未知数となる
のは、測定対象物の温度Tと、測定対象物の各波長に対
する放射率εn の(n+1)個である。これに対し、等
価でない式の数は、(1)、(3)から放射輝度値Sbn
を消去したn個である。
【0028】即ち、全ての値を導き出すためには、必
ず、もう1つの式を導入する必要がある。本発明では、
(2)式がそれに当たり、酸化膜厚Dを用いることによ
り、未知数は1つ増えるが、2つ以上の波長を用いたオ
フライン実験の結果から求めた実験式を導入することに
より、未知数の個数と同じ個数の式を導くことができ
る。
【0029】(1)式は、プランクの式から求められる
値に、放射温度計を含む装置の感度特性等が加わったも
のであるが、加熱鋼板の表面温度を測定する目的で使用
する温度範囲(400℃〜1500℃)では、3次関数
で良い近似が得られることが多い。しかし、使用する波
長の個数だけ生じる3次関数と、その他の式、及び、測
定信号のみから、直接、鋼板温度及び酸化膜厚を算出す
る式を導き出すのは、解がいくつも求まり、それを特定
することが非常に困難である。このため、(1)式の1
番目の式に、任意の初期値を代入し、得られた答えを順
々に仮の値として代入していき、最後に得られた値を初
期値と入れ替え、再び同様な計算を繰り返し、例えば一
定回数以上繰り返した後の収束値を真値とする繰り返し
計算を行うことができる。
【0030】繰り返し計算に際しては、各ループ終了後
に、前回値と今回値の比較を行い、閾値以下となったと
きに収束したと判断することもできる。
【0031】又、初期値として、予測される膜厚の下限
と上限の中間の放射率を与えることによって、繰り返し
計算の時間を短縮することができる。
【0032】又、繰り返し計算の2回目以降の初期値
に、前回の繰り返し計算の放射率、温度、酸化膜厚のい
ずれか1つの最終値を用いることにより、計算時間を短
縮することもできる。
【0033】更に、前記計算に際して、(1)式と
(2)式の逆関数を、次式のように求めて、前記(1)
〜(3)式及び(4)、(5)式の5組の関係式と、放
射温度計で得られるデータから、繰り返し計算を行うこ
ともできる。
【0034】T=F1n-1(Sbn) …(4) D=F2n-1(εn ) …(5)
【0035】
【発明の実施の形態】以下図面を参照して、本発明の実
施形態を詳細に説明する。
【0036】本実施形態は、図1に示すように、3μm
(最も短い波長)及び16μm(最も長い波長)の2波
長を用いた2波長放射温度計20、鋼板表面温度及び酸
化膜厚の計算装置22、計算結果記憶装置24から構成
される。
【0037】図において、30は、比較のため、前記放
射温度計20の測定視野下流真近で鋼板10の温度を実
測する接触式温度計、32は、該接触式温度計30で検
出された鋼板温度を記録する鋼板温度記録装置、40
は、鋼板10から酸洗せずに切り出したサンプル10S
の表面に生成した酸化膜厚を測定する酸化膜厚測定装
置、50は、従来法による測定結果と本発明による計算
結果を比較するための計算結果比較装置である。
【0038】前記鋼板表面温度・酸化膜厚計算装置22
で実施される、本発明による鋼板温度及び酸化膜厚の繰
り返し計算の手順を図2に示す。図2は、繰り返し計算
の1ループを示したものであり、右上がりのハッチング
を示した部分は入力値、右下がりのハッチングをした部
分は、1グループ毎に求められる出力値を示す。本実施
形態においては、このループを繰り返し、各出力値が前
回の出力値から所定の閾値以下の変動となったときに、
繰り返しを終了して、最終出力値とする。
【0039】具体的には、まず、波長16μmでの酸化
膜厚1000Aの場合の放射率の初期値をε160 とお
く。
【0040】この初期値ε160 と(2)式から、酸化膜
厚の初期値Dを求めると共に、同じく初期値ε160 と波
長16μmの放射輝度出力S16と(3)式から、仮のS
b16を求める。
【0041】次に、このSb16 と(1)式から、仮の温
度Tを求める。
【0042】この仮の温度Tと(1)式と波長3μmの
放射輝度出力S3 と(3)式から、波長3μmの放射率
ε3 を求める。
【0043】このε3 と(2)式から仮のDを求めると
共に、同じくε3 と波長3μmの放射輝度出力S3 と
(3)式から、仮のSb3を求める。
【0044】次いで、このSb3と(1)式から、仮の温
度Tを求める。
【0045】次いで、この仮の温度Tと(1)式と波長
16μmの放射輝度出力S16と(3)式から、波長16
μmの放射率ε16を求める。
【0046】ここまでの計算を1つのループとして、波
長16μmの放射率ε16を置き換えて、繰り返し計算を
行う。
【0047】繰り返し計算を続けることにより、温度
T、酸化膜厚D、放射率ε3 、ε16は、一定の値に収束
するため、この繰り返し計算を2回以上(例えば10
回)行うことで、高精度な鋼板表面温度及び酸化膜厚の
同時測定を行うことができる。
【0048】なお、前記繰り返し計算に際して、2回目
の繰り返し計算からは、1ループの計算でそれぞれ求め
られるn組の値T、D、ε3 、ε16を前回の計算結果と
比較し、その全ての変動が閾値以下となったところで、
収束したものと見做して計算を止め、そのときの結果を
計算結果とすることで、繰り返し計算の回数を最適化す
ることができる。
【0049】又、前記繰り返し計算において、酸化膜厚
変動に対して最も放射率変動の少ない波長の放射率の値
を初期値として用いることにより、繰り返し計算の回数
を減少させ、計算時間を短縮することができる。
【0050】又、測定の対象となる焼鈍工程では、コイ
ルの継目を除いては、鋼板表面温度、酸化膜厚共に大き
な変動が続くということは考えにくいため、前回の計算
結果を次の計算の初期値とすることで、繰り返し計算の
回数を減少させ、計算時間を短縮することができる。
【0051】図3及び図4に、酸化膜厚が変化したとき
の3μm、16μmの波長の赤外線放射率の変化を、そ
れぞれ示す。図4から明らかなように、16μmの波長
の赤外線の放射率は、酸化膜厚が変動しても、ほとんど
変動しない。これに対して、図3に示されるように、3
μmの波長の赤外線の放射率は、酸化膜厚が変動すると
大きく変動する。
【0052】又、3μm及び16μmの2波長につい
て、黒体炉を用いて、放射率を1としたときの、各温度
における放射輝度出力を測定した結果を、図5(波長3
μm)及び図6(波長16μm)に示す。
【0053】これらの図から、次式に示す如く、各波長
に対する3次の近似関数を求める。
【0054】 Sb3=−3.5e-6×T3 +3.6e-2×T2 −2.5e×T+5.7e3 …(6) Sb16 =9.8e-8×T3 +1.8e-3×T +1.5e×T−8.9e2 …(7)
【0055】一方、酸化膜厚が0から2000Aまで変
化したときの酸化膜厚Dと放射率ε3 、ε16の関係を図
1及び図2から求めると、次式に示す如く近似できる。
【0056】 ε3 =1.4e-11 ×D3 −1.4e-8×D2 +4.0e-5×D+2.6e-1 …(8) ε16=1.4e-11 ×D3 −3.8e-8×D2 +3.0e-5×D+1.3e-1 …(9)
【0057】2波長を用いた放射温度計では、2つの波
長に対するそれぞれの放射率ε3 、ε16と、対象物の温
度Tが未知数となるが、本発明では、これに加え、酸化
膜厚Dも未知数となるため、4つの未知数を求めること
になり、例えば(6)〜(9)の4つの式を用いること
により、導き出すことができる。
【0058】
【実施例】厚さ2.0mmのSUS304鋼板10を、
炉内設定温度1000〜1080℃、ライン速度80〜
90mpmで焼鈍しているラインにおいて、鋼板表面か
ら2m離れた位置から2波長放射温度計20を用いて鋼
板表面からの放射赤外線を測定した。
【0059】酸化膜厚が100Aの鋼板と2000Aの
鋼板について、放射率を酸化膜厚1000Aのときの値
で一定とした従来例と、放射率が酸化膜厚によって変動
するとした本発明例の温度及び酸化膜厚の測定誤差を、
図7に示す。本発明では、16μmのような最も長い波
長における放射率を一定とせずに、酸化膜厚によって変
動するとしたので、該最も長い波長16μmにおける放
射率と酸化膜厚の関係を一定として計算した従来例で生
じる1%前後の誤差を無くし、誤差±10°以内の高精
度の鋼板温度測定をすることができる。
【0060】このようにして計算された精度の高い鋼板
温度の値を利用して酸化膜厚を計算することにより、酸
化膜厚の測定精度を向上することができる。
【0061】次に、接触式温度計30及び酸化膜厚測定
装置40により測定した実測値と、放射温度計20で測
定した赤外線放射輝度値より本発明を用いて計算した鋼
板表面温度と酸化膜厚の計算値を比較することにより、
計算精度について評価した。
【0062】まず、繰り返し計算回数1〜10回行った
結果について示す。図8に計算温度と実測温度との温度
誤差の平均、図9に該温度誤差の標準偏差、図10に計
算膜厚と実測膜厚との膜厚誤差の平均、図11に該膜厚
誤差の標準偏差を示す。
【0063】図8〜図11に示した結果から、本発明に
よる繰り返し計算では、繰り返し計算を重ねる毎に測定
誤差が小さくなり、ほぼ真値に収束することが確認でき
た。実施例では、繰り返し計算を4回以上繰り返すこと
により、温度誤差±5℃以内、温度誤差の標準偏差3℃
未満、酸化膜厚誤差±100A未満、酸化膜厚の標準偏
差150A以下となり、良好な結果が得られることが確
認できた。
【0064】次に、0.5%、1.0%、1.5%の3
通りの閾値似ついて、計算温度、計算膜厚、計算放射率
が、前回の結果と比較して、その変化が全て閾値以下と
なる計算回数を調べた所、繰り返し計算の終了の判定
を、前回計算結果からの変化として、その変化の閾値を
大きくした場合、繰り返し計算の終了までの計算回数が
減少することが分かり、計算値が目標とする測定誤差よ
り小さくなる範囲で、閾値を大きくとることにより、計
算回数を減少させて、計算時間を速めることができるこ
とが確認できた。
【0065】次に、閾値を1.0%にして、繰り返し計
算回数の最適化方法を用いて、初期値として3μmの放
射率を用いた場合と、16μmの放射率を用いた場合の
繰り返し計算回数の頻度分布を調べた結果を図12(3
μmの放射率を使用)及び図13(16μmの放射率を
使用)に示す。
【0066】この図12及び13から、3μmの放射率
を初期値とするよりも、16μmの放射率を初期値とす
る方が、繰り返し計算の回数が少なくなることが分か
る。
【0067】次に、繰り返し計算回数の最適化方法を用
いて、初期値として前回の繰り返し計算の終了値であ
る、16μmの放射率を用いた場合の繰り返し計算回数
の頻度分布を図14(一定値使用)及び図15(前回計
算値使用)に示す。
【0068】この図14及び図15から、初期値として
一定値を用いるのではなく、前回計算の終了値を用いる
ことにより、繰り返し計算回数を大幅に減少させられる
ことが分かる。
【0069】なお、前記説明においては、ステンレス鋼
板が対象とされていたが、測定対象はこれに限定され
ず、他の鋼板、例えば炭素鋼板や硅素鋼板の場合でも、
酸化膜厚が変化した際の使用波長に対する放射率の変化
が、対象とするラインで考えられる酸化膜厚の範囲内で
一意的であれば、同様の方法を用いて酸化膜厚を測定す
ることができる。
【0070】
【発明の効果】本発明によれば、鋼板温度と酸化膜厚を
別々に測定するか、又は同時に測定しても、酸化膜厚の
生成量と波長の長い赤外線の放射率の変動を無視してい
たために発生していた、鋼板温度及び酸化膜厚の計算誤
差を減少させることができる。
【0071】特に、繰り返し計算を用いた場合には、計
算精度を向上させることができ、更に、繰り返し計算の
回数や初期値の設定を最適化することで、計算回数を減
少させ、処理を高速化することができる。例えば、前回
値と今回値との差が1%未満となった場合に収束したと
判定してもよいし、繰り返し計算の回数を予め決めてお
いてもよい。
【0072】本発明による酸化膜厚計算により、従来の
炉温制御から鋼板温度を用いたダイナミック制御を行う
ことができ、又、その測定精度も向上することから、燃
料コスト削減や酸洗工程の速度向上等も実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の構成を示す、一部斜視図を
含むブロック線図
【図2】前記実施形態における鋼板表面温度及び酸化膜
厚の計算手順を示す流れ図
【図3】本発明の原理を説明するための、酸化膜厚と3
μm放射率の関係の例を示す線図
【図4】同じく酸化膜厚と16μm放射率の関係の例を
示す線図
【図5】同じく放射率1のときの3μm放射輝度出力の
例を示す線図
【図6】同じく放射率1のときの16μm放射輝度出力
の例を示す線図
【図7】放射輝度から温度を計算する際、16μm放射
率を一定とした従来例と、酸化膜厚により変動するとし
た本発明例における真温度からのずれを比較して示す線
【図8】本発明の実施形態における、繰り返し計算によ
る計算温度と実測温度との温度誤差の平均の変化を示す
線図
【図9】同じく温度誤差の標準偏差の変化を示す線図
【図10】同じく、繰り返し計算による計算膜厚と実測
膜厚との膜厚誤差の平均の変化を示す線図
【図11】同じく膜厚誤差の標準偏差の変化を示す線図
【図12】同じく、初期値として3μmの放射率を用い
た場合の計算終了までの繰り返し計算回数の頻度分布の
例を示す線図
【図13】同じく、初期値として16μmの放射率を用
いた場合の計算終了までの繰り返し計算回数の頻度分布
の例を示す線図
【図14】同じく、初期値として16μmの放射率(一
定値)を用いた従来例における計算終了までの繰り返し
計算の回数の頻度分布の例を示す線図
【図15】同じく、初期値として前回計算値を用いた本
発明の例における計算終了までの繰り返し計算の回数の
頻度分布の例を示す線図
【符号の説明】
10…鋼板 20…2波長放射温度計 22…鋼板表面温度・酸化膜厚計算装置 24…計算結果記憶装置

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】焼鈍炉内の鋼板表面からの放射輝度を、複
    数の異なる波長で測定し、該放射輝度と、予め定めた各
    波長における鋼板表面の酸化膜厚と放射率との関係に基
    づいて、焼鈍炉内の鋼板表面の酸化膜厚を求める酸化膜
    厚測定方法において、 前記複数の異なる波長のうちの、最も短い波長で測定し
    た鋼板表面の酸化膜厚と放射率との関係を、放射率が膜
    厚によって変化する関係とすると共に、 前記波長より長い、少なくとも1つの波長で測定した、
    酸化膜厚と放射率との関係を、放射率が膜厚によって変
    化する関係とすることを特徴とする鋼板表面の酸化膜厚
    測定方法。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の鋼板表面の酸化膜厚測定
    方法において、最も短い波長の範囲が2.5〜10μ
    m、最も長い波長の範囲が10μm〜20μmであるこ
    とを特徴とする鋼板表面の酸化膜厚測定方法。
  3. 【請求項3】請求項1又は2に記載の鋼板表面の酸化膜
    厚測定方法において、酸化膜厚を繰り返し計算により求
    めることを特徴とする鋼板表面の酸化膜厚測定方法。
  4. 【請求項4】焼鈍炉内の鋼板表面からの放射輝度を、複
    数の異なる波長で測定し、該放射輝度と、予め定めた各
    波長における鋼板表面の酸化膜厚と放射率との関係に基
    づいて、焼鈍炉内の鋼板表面の酸化膜厚を求める酸化膜
    厚測定装置において、 前記複数の異なる波長のうちの、最も短い波長で測定し
    た鋼板表面の酸化膜厚と放射率との関係を、放射率が膜
    厚によって変化する関係として記憶する手段と、 前記波長より長い、少なくとも1つの波長で測定した、
    酸化膜厚と放射率との関係を、放射率が膜厚によって変
    化する関係として記憶する手段と、 を備えたことを特徴とする鋼板表面の酸化膜厚測定装
    置。
JP10129806A 1998-05-13 1998-05-13 鋼板表面の酸化膜厚測定方法及び装置 Pending JPH11325839A (ja)

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