本発明の第1態様によれば、基板に挿入された部品のリードを加工するリード加工部を有するアンビル本体部と、前記アンビル本体部を第1回転方向に正回転させる機能、および第2回転方向に逆回転させる機能を有する回転駆動部と、前記回転駆動部によって前記アンビル本体部とともに回転され、回転規制用の突出部を有する回転部材と、前記回転部材が前記第1回転方向に回転される場合は、前記回転部材の前記突出部に対して前記第2回転方向に当接し、前記回転部材が前記第2回転方向に回転される場合は、前記回転部材の前記突出部に対して前記第1回転方向に当接するストッパーと、を備え、前記ストッパーは、前記第1回転方向への前記回転部材の移動を規制する第1停止位置と、前記第1停止位置に対して前記第2回転方向に間隔を空けた位置であって前記第2回転方向への前記回転部材の移動を規制する第2停止位置との間を移動可能に設けられる、アンビルユニットを提供する。
このような構成によれば、ストッパーを可動式とすることで、ストッパーを固定式とする場合に比べて、回転部材が無制限に回転することを防止しながらも、回転部材の可動範囲を360度以上に設定することができる。これにより、アンビルユニットの可動範囲を広げることができ、部品の様々な向きに応じてリードを折り曲げる等の加工を行うことができる。
本発明の第2態様によれば、前記ストッパーの前記第1停止位置と前記第2停止位置の間の移動範囲から離れる方向への移動を規制する移動規制部材をさらに備える、第1態様に記載のアンビルユニットを提供する。このような構成によれば、移動規制部材を設けることで、回転部材の可動範囲を360度以上に設定しながらも、回転部材が無制限に回転することをより確実に防止することができる。
本発明の第3態様によれば、前記移動規制部材は、前記ストッパーの一部が挿入される溝又は孔を有する部材であり、前記溝又は孔が閉塞した形状を有することで、前記ストッパーの移動を規制する、第2態様に記載のアンビルユニットを提供する。このような構成によれば、ストッパーの移動を簡単な構成で規制することができる。
本発明の第4態様によれば、前記溝又は孔は、円弧形状であり、前記ストッパーは、前記第1停止位置と前記第2停止位置の間を回転移動する、第3態様に記載のアンビルユニットを提供する。このような構成によれば、溝又は孔が直線形状である場合に比べて、ストッパーを基準位置に付勢する付勢部材を設ける場合にストッパーを基準位置に戻しやすくなる等の効果を奏することができる。
本発明の第5態様によれば、前記溝又は孔は、直線形状であり、前記ストッパーは、前記第1停止位置と前記第2停止位置の間を直線移動する、第3態様に記載のアンビルユニットを提供する。このような構成によれば、溝又は孔が円弧形状である場合に比べて、構成をシンプルにすることができる。
本発明の第6態様によれば、前記ストッパーを所定の基準位置に向けて付勢する付勢部材をさらに備える、第1態様から第5態様のいずれか1つに記載のアンビルユニットを提供する。このような構成によれば、ストッパーを基準位置に戻すように付勢することで、回転部材がストッパーに当接し始める位置を一定にすることができ、ストッパーの動作を安定させることができる。
本発明の第7態様によれば、前記基準位置は、前記第1停止位置と前記第2停止位置の間に位置する、第6態様に記載のアンビルユニットを提供する。このような構成によれば、ストッパーを基準位置に対して両方向に移動可能とすることができ、ストッパーの動作を安定させることができる。
本発明の第8態様によれば、前記回転部材が前記ストッパーに当接している状態を検出する第1センサと、前記回転部材に当接する前記ストッパーが、前記第1停止位置側で前記回転部材に当接している状態、あるいは前記第2停止位置側で前記回転部材に当接している状態のいずれか一方の状態を検出する第2センサと、をさらに備える、第1態様から第7態様のいずれか1つに記載のアンビルユニットを提供する。このような構成によれば、第1センサと第2センサの両方の検出結果に基づいて、回転部材の位置をより正確に特定することができる。
本発明の第9態様によれば、前記リード加工部は、前記リードを折り曲げて前記リードを加工する、第1態様から第8態様のいずれか1つに記載のアンビルユニットを提供する。このような構成によれば、部品のリードを折り曲げて、部品を基板に装着することができる。
本発明の第10態様によれば、基板を所定の実装位置に位置決めする基板位置決め部と、部品をピックアップして、前記実装位置に位置決めされた前記基板に前記部品のリードを挿入する実装ヘッドと、前記部品の前記リードを加工する前記リード加工部を有する前記アンビルユニットと、を備える、部品実装装置を提供する。
このような構成によれば、第1態様~第9態様のアンビルユニットと同様の効果を奏することができる。
以下、本発明に係るアンビルユニットおよびそれを備える部品実装装置の例示的な実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。本発明は、以下の実施形態の具体的な構成に限定されるものではなく、同様の技術的思想に基づく構成が本発明に含まれる。
(実施形態)
まず図1を参照して、本発明の一実施形態に係る部品実装装置について説明する。部品実装装置1は、基板2に部品3を挿入して実装する装置である。以下、基板2に対して水平な搬送方向をX方向、水平面内においてX方向と直交する方向をY方向、XY平面に対して垂直な方向、すなわち上下方向(鉛直方向)をZ方向とする。
図1に示すように、部品実装装置1は、複数のフィーダ4と、基板位置決め部6と、制御部8と、実装ヘッド10と、アンビルユニット12と、第1駆動機構14と、第2駆動機構16とを備える。図1では、部品実装装置1の各構成要素を模式化して図示している。
フィーダ4は、リード付きの部品3を収容する部品供給部である。図1に示すように、フィーダ4は複数個設けられており、X方向に沿って配列される。それぞれのフィーダ4に複数の部品3が収容されている。部品は「リード付き部品」とも称してもよい。部品3はラジアル部品やアキシャル部品など、リードを有するものであれば任意の電子部品であってもよい。本実施形態では部品3はラジアル部品である。
基板位置決め部6は、基板2を位置決めするための部材である。基板位置決め部6は、図1の矢印X1、Y1で示すように基板2をX方向およびY方向に搬送して所定の実装位置に位置決めするXYテーブルである。図1では、基板2が実装位置に位置決めされた状態が示される。基板位置決め部6を駆動する駆動機構については説明および図示を省略する。
制御部8は、部品実装装置1の各構成要素の動作を制御する部材である。制御部8は、配線等を介して部品実装装置1の各構成要素に電気的に接続されている。制御部8は例えばマイクロコンピュータで構成される。
実装ヘッド10は、基板位置決め部6により位置決めされた基板2の挿入孔17に、部品3のリードを挿入するためのヘッドである。実装ヘッド10は、基板位置決め部6よりも上方に配置されており、基板2の挿入孔17に対して上方から部品3のリードを挿入する。実装ヘッド10は、部品3をピックアップする一対のピックアップ爪10Aを有する。ピックアップ爪10Aを含む実装ヘッド10は、第1駆動機構14によって駆動される。
第1駆動機構14は、図1の矢印Z1および矢印XY1で示すように、実装ヘッド10をZ方向に直線移動させる機能と、XY平面内で回転移動させる機能とを有する。
アンビルユニット12は、基板2の挿入孔17に挿入された部品3のリードを加工して部品3を基板2に装着するためのユニットである。アンビルユニット12は、基板位置決め部6よりも下方に配置されており、部品3のリードを下方から加工する。アンビルユニット12は、第2駆動機構16によって駆動される。
第2駆動機構16は、図1の矢印Z2および矢印XY2で示すように、アンビルユニット12をZ方向に直線移動させる機能と、XY平面内で回転移動させる機能とを有する。
アンビルユニット12は、リード加工部18と、アンビル本体部20と、ケーブル22と、回転部材24とを備える。
リード加工部18は、部品3のリードを加工するための部材である。本実施形態のリード加工部18は、部品3のリードをクリンチして切断する切断刃を有する。リード加工部18は、アンビル本体部20に立設されている。
アンビル本体部20は、アンビルユニット12の本体を構成する部材であり、その上面にリード加工部18を立設する。アンビル本体部20には、リード加工部18に加えて、ケーブル22および回転部材24が接続されている。
ケーブル22は、アンビル本体部20に接続されたケーブルである。本実施形態のケーブル22は、リード加工部18の切断刃が部品3を正常にクリンチしたか否かを判定するためのひずみセンサ(図示せず)の電気信号を制御部8に送信するためのケーブルである。このようなひずみセンサ用のケーブル22は、例えば部品3がラジアルである場合に設けられる。
回転部材24は、アンビル本体部20の底面側に取り付けられた回転部材である。アンビル本体部20がXY平面内を回転移動することに伴って、回転部材24はアンビル本体部20およびリード加工部18とともにXY平面内を一体的に回転する。本実施形態の回転部材24には、回転規制用の突出部26が設けられる。
突出部26は、後述するストッパー28に当接して回転部材24およびアンビル本体部20の回転を規制するための部分である。突出部26は回転部材24の外周部から径方向外側に向かって突出した形状を有する。突出部26およびストッパー28によって回転部材24およびアンビル本体部20の回転可能範囲を規制することで、ケーブル22の破断を防止する。なお本実施形態の部品実装装置1では、アンビル本体部20の回転を制御部8によって制御しており、アンビル本体部20の回転可能範囲をソフトウェア的に制限することでケーブル22の破断を防止している。このようなソフトウェア的な制限に加えて、メカニック的な制限としてストッパー28を設けることで、ケーブル22の破断をより確実に防止するものである。
図1では、突出部26に当接するストッパー28およびその周辺部材の図示を省略しており、ストッパー28およびその周辺部材については後述する。
上述した構成を有する部品実装装置1を用いて、基板2に部品3を実装した部品実装基板を製造する方法について、図2を用いて説明する。図2は、部品実装装置1を用いて部品実装基板を製造する方法の一例を示すフローチャートである。図2における各ステップは、制御部8によって実行される。図2では、部品実装基板を製造するための主要な工程を示しており、他の工程については図示および説明を省略する。
図2に示すように、まず、基板位置決めステップを行う(ステップS1)。具体的には、図1に示す部品実装装置1において、基板位置決め部6を用いて基板2をX方向およびY方向に搬送し、所定の実装位置に基板2を位置決めする。
次に、ピックアップステップを行う(ステップS2)。具体的には、第1駆動機構14を用いて実装ヘッド10を駆動することにより、フィーダ4に収容されている部品3を実装ヘッド10にピックアップさせる。
次に、挿入ステップを行う(ステップS3)。具体的には、基板位置決め部6を駆動させ、基板2へ部品3を挿入可能な実装位置に基板位置決め部6を移動させるとともに、実装ヘッド10が保持している部品3のリードを基板2の挿入孔17に上方から挿入させる。
前述したように、実装ヘッド10は第1駆動機構14によってXY平面内を回転する機能を有しており、部品3の向きを自由に変えることができる。このため、部品3は基板2に対して様々な向きで挿入される。
次に、リード加工ステップを行う(ステップS4)。具体的には、第2駆動機構16を用いてアンビルユニット12を駆動することにより、アンビルユニット12のリード加工部18に基板2に挿入された部品3のリードをクリンチさせ、リードの下端部を切断させる。これにより、部品3のリードを折り曲げた状態として部品3を基板2に装着する。
前述したように、アンビルユニット12も実装ヘッド10と同様に、第2駆動機構16によってXY平面内を回転する機能を有する。基板2に挿入される部品3の向きは様々であるため、アンビルユニット12も同様に回転可能とすることで、様々な部品3の向きに応じて、部品3のリードを所望の方向に折り曲げる等の加工を行うことができる。
一方で、アンビルユニット12にはアンビル本体部20に接続されたケーブル22が設けられており、ケーブル22の破断を防止するためにアンビル本体部20の回転可能範囲が制限されている。本実施形態ではアンビル本体部20の回転可能範囲を制限しながらも、様々な部品3の向きに応じて部品3のリードを加工できるような機械的な工夫(ストッパー28等)を行っている。詳細については後述する。
次に、部品3を基板2に装着した状態でリフローステップを行う(ステップS5)。これにより、部品3を基板2に半田付けして基板2に部品3を実装する。
上述したステップS1~S5を実行することにより、基板2に部品3を実装した部品実装基板が製造される。複数の基板2のそれぞれにステップS1~S5を順次実行することにより、部品実装基板の量産が行われる。
次に、アンビル本体部20の回転可能範囲を制限するための回転部材24およびストッパー28の周辺構成について、図3A~図3Cを用いて説明する。
図3A~図3Cはそれぞれ、回転部材24およびストッパー28の周辺構成を示す斜視図、側面図、平面図である。図3A~図3Cでは、アンビル本体部20やリード加工部18の図示を省略している。
図3A~図3Cに示すように、回転部材24に隣接する位置にストッパー28が設けられている。さらに、回転部材24およびストッパー28の周辺構成として、移動規制部材30と、付勢部材32と、第1センサ34と、第2センサ36とが設けられている。
ストッパー28は、回転部材24の突出部26に当接して回転部材24の移動を規制するための部材である。ストッパー28は突出部26に当接する当接部37を有する。図3A~図3Cでは、当接部37に突出部26は当接しておらず、回転部材24の回転移動は規制されていない。すなわち、回転部材24は第1回転方向P1と第2回転方向P2の両方に回転可能である。第1回転方向P1を正回転方向、第2回転方向P2を逆回転方向とする。当接部37に突出部26が当接する状態については、図5A~図5Cおよび図6A~図6Cを用いて説明する。
図3A、図3Bに示すように、本実施形態のストッパー28は回転軸38を有する。回転軸38は移動規制部材30に挿通されている。ストッパー28は回転軸38を回転中心として、第1回転方向Q1および第2回転方向Q2に回動可能である。
移動規制部材30は、ストッパー28の移動範囲を制限しながらストッパー28を支持する部材である。移動規制部材30は、ストッパー28の移動範囲を制限するための孔40を有する。本実施形態の孔40は、移動規制部材30を厚み方向に貫通する貫通孔である。
孔40には、ストッパー28の当接部37に接続された棒状の挿通部41が挿通されている。挿通部41は、ストッパー28の回動に伴って孔40に沿って円弧状に移動する。
図3Bに示すように、孔40はストッパー28の第1回転方向Q1および第2回転方向Q2の両方に閉じられた形状を有している。これにより、挿通部41に接続されたストッパー28の移動範囲を第1回転方向Q1と第2回転方向Q2の両方に制限する。
ストッパー28の可動範囲について、図4を用いて説明する。図4は、図3Bと同じ側からストッパー28を見た概略図である。図4に示すように、図3A~図3Cに示したストッパー28の回転位置を基準位置Aとすると、基準位置Aから第1回転方向Q1、P1に向かう方向には第1停止位置B1までストッパー28が回動可能である。一方で、基準位置Aから第2回転方向P2、Q2に向かう方向には第2停止位置B2までストッパー28が回動可能である。
第1停止位置B1では、ストッパー28の挿通部41が孔40の一端で移動規制部材30に当接して第1回転方向Q1への更なる回動が制限される。第2停止位置B2では、挿通部41が孔40の他端で移動規制部材30に当接して第2回転方向Q2への更なる回転が制限される。ストッパー28は、第1停止位置B1と第2停止位置B2の間でのみ移動可能である。
図3A~図3Cに戻ると、ストッパー28の挿通部41は付勢部材32の一端に接続されている。本実施形態の付勢部材32はバネであり、挿通部41を引っ張る付勢力を有する。挿通部41が挿通される孔40は付勢部材32から離れる方向に湾曲した円弧形状であるため、挿通部41が基準位置Aから離れるほど付勢部材32の付勢力が強くなる。これにより、ストッパー28の回転位置に関わらず、ストッパー28は基準位置Aに向けて常時付勢される。
基準位置Aでは、図3Bに示すようにストッパー28の挿通部41が回転部材24の突出部26と同じ水平位置となる。ストッパー28を基準位置Aに向けて常時付勢することで、突出部26が当接部37に当接し始める位置を一定にすることができ、ストッパ28の動作を安定させることができる。
図3Cなどに示す第1センサ34は、回転部材24が所定の回転位置に位置することを検出するためのセンサである。回転部材24には前述した突出部(第1突出部)26とは別の第2突出部42が設けられている。第2突出部42は第1突出部26と同様に、回転部材24の外周部から径方向外側に向かって突出した部分である。
第1センサ34は、回転部材24の第2突出部42が第1センサ34の検出方向に位置するときに第2突出部42を検出する。これにより、回転部材24が所定の回転位置にあることを検出する。第1センサ34としては例えば光検知式のセンサを用いてもよい。図3Cに示す状態では、第2突出部42は第1センサ34の検出方向に位置しておらず、第1センサ34は第2突出部42を検出しない。
第1突出部26と第2突出部42は、同じ回転部材24における異なる高さ位置に設けられている。第1センサ34は、第2突出部42のみを検出して第1突出部26を検出しない高さ位置に配置される。
第1センサ34および第2突出部42の位置は、回転部材24の突出部26(第1突出部26)がストッパー28の当接部37に当接する位置にあるときに第1センサ34が第2突出部42を検出する位置に設定されている。これにより、第1センサ34が第2突出部42を検出することに応じて、回転部材24がストッパー28に当接する回転位置にあることを特定することができる。
第1センサ34が回転部材24の回転位置を検出するのに対して、図3Bなどに示す第2センサ36は、ストッパー28が所定の回転位置に位置することを検出するためのセンサである。
第2センサ36は、第1センサ34と同様に例えば光検知式のセンサである。図3Bに示すように、ストッパー28における当接部37とは反対側の面には検出用突起44が設けられている。検出用突起44が第2センサ36の検出方向に位置するとき、第2センサ36は検出用突起44を検出する。これにより、ストッパー28が所定の回転位置にあることを検出する。図3Bに示す状態では、第2センサ36は検出用突起44の検出方向に位置しておらず、第2センサ36は検出用突起44を検出しない。
第2センサ36および検出用突起44の位置は、後述するようにストッパー28が基準位置Aから第2停止位置B2(図6A~図6C)に向けて移動したときに、第2センサ36が検出用突起44を検出するような位置に設定されている。これにより、第2センサ36が検出用突起44を検出することに応じて、ストッパー28が回転部材24との当接によって基準位置Aから第2停止位置B2に向けて回動した回転位置にあることを特定することができる。
第2センサ36は、ストッパー28が第1停止位置B1(図5A~図5C)に向けて移動したときは検出用突起44を検出しない位置に配置される。このような配置によれば、第1センサ34の検出結果を組み合わせることで、ストッパー28が回転部材24と当接する回転位置にあることに加えて、ストッパー28が第1停止位置B1と第2停止位置B2のいずれに向かって回動したかを特定することができる。
上述した突出部26を有する回転部材24はアンビル本体部20と一体的に回転するのに対して、回転部材24を除く構成としての移動規制部材30、付勢部材32、第1センサ34および第2センサ36は、アンビル本体部20とは別の筐体(図示せず)に取り付けられている。別の筐体はアンビル本体部20および回転部材24とは一体的に回転しないように位置が固定されている。移動規制部材30、付勢部材32、第1センサ34および第2センサ36も同様に、アンビル本体部20および回転部材24とは一体的に回転しない。
次に、ストッパー28の動作について、図5A~図5Cおよび図6A~図6Cを用いて説明する。図5A~図5Cはそれぞれ、ストッパー28が基準位置Aから第1停止位置B1へ向けて回転した状態を示す斜視図、側面図、平面図である。図6A~図6Cはそれぞれ、ストッパー28が基準位置Aから第2停止位置B2へ向けて回転した状態を示す斜視図、側面図、平面図である。
前述したように、アンビル本体部20および回転部材24の回転は制御部8によってソフトウェア的に制限しており、部品実装装置1の通常動作においては、ストッパー28が停止位置B1、B2のいずれにも到達しないように、回転部材24の回転範囲を制御している。仮にこのような制御部8のソフトウェア的制限が正常に機能しなかった場合でも、第1停止位置B1と第2停止位置B2の間でのみ移動可能なストッパー28によって回転部材24の回転を機械的に制限することができる。
図5A~図5Cに示すように、回転部材24が第1回転方向P1に回転すると、回転部材24の突出部26がストッパー28の当接部37へ第1回転方向P1に当接する。第1回転方向P1に回転する回転部材24に対して、ストッパー28は第1回転方向P1とは逆方向の第2回転方向P2に向かって当接する。当接部37が第1回転方向P1に押されることで、ストッパー28は回転軸38を中心として第1回転方向Q1に回動する。
ストッパー28の回動に伴ってストッパー28の挿通部41が移動規制部材30の孔40に沿って移動する。前述したように、孔40はストッパー28の回動方向に閉塞した形状を有するため、挿通部41が孔40の一端に到達した場合、移動規制部材30によって第1回転方向Q1への更なる回動が制限され、ストッパー28は第1停止位置B1で停止される。
図5A、図5Cに示すように、ストッパー28が第1停止位置B1に向けて移動した場合でも当接部37と突出部26の当接状態は維持される。仮にストッパー28が第1停止位置B1に到達した場合でもこの当接状態が維持されるように設計されている。これより、ストッパー28は基準位置Aから第1回転方向P1、Q1にずれた第1停止位置B1において、回転部材24の第1回転方向P1への移動を規制するストッパーとして機能することができる。
図5Cに示すように、第1センサ34の検出方向には回転部材24の第2突出部42が位置している。第1センサ34が第2突出部42を検出することに応じて、第1センサ34から制御部8(図1)へ検出信号(ON信号)が送信される。当該検出信号に基づいて、回転部材24がストッパー28と当接する回転位置にあることが特定される。
一方で、図5Bに示すように、第2センサ36の検出方向にはストッパー28の検出用突起44は位置しておらず、第2センサ36は検出用突起44を検出しない。このとき、第2センサ36から制御部8へ検出信号(OFF信号)を送信してもよい。
前述したように、第2センサ36はストッパー28が基準位置Aから第2停止位置B2に向けて移動したときのみ検出用突起44を検出し、ストッパー28が第1停止位置B1に向けて移動したときは検出用突起44を検出しない。これより、第1センサ34が第2突出部42を検出した場合でも、第2センサ36が検出用突起44を検出しない場合は、ストッパー28が第2停止位置B2側ではなく第1停止位置B1側に移動したことを特定できる。ストッパー28が第1停止位置B1側に移動していること、すなわち、回転部材24がストッパー28に対して第1回転方向P1に当接してストッパー28が第1停止位置B1側に移動したことを特定することができる。
図6A~図6Cに示すように、回転部材24が第2回転方向P2に回転すると、回転部材24の突出部26がストッパー28の当接部37へ第2回転方向P2に当接する。第2回転方向P2に回転する回転部材24に対して、ストッパー28は第2回転方向P2とは逆方向の第1回転方向P1に向かって当接する。当接部37が第2回転方向P2に押されることで、ストッパー28は回転軸38を中心として第2回転方向Q2に回動する。
ストッパー28の回動に伴ってストッパー28の挿通部41が移動規制部材30の孔40に沿って移動する。前述したように、孔40はストッパー28の回動方向に閉塞した形状を有するため、挿通部41が孔40の他端に到達した場合、移動規制部材30によって第2回転方向Q2への更なる回動が制限され、ストッパー28は第2停止位置B2で停止される。
図6A、図6Cに示すように、ストッパー28が第2停止位置B2に向けて移動した場合でも当接部37と突出部26に当接状態は維持され、仮にストッパー28が第2停止位置B2に到達した場合でもこの当接状態が維持されるように設計されている。これにより、ストッパー28は基準位置Aから第2回転方向P2、Q2にずれた第2停止位置B2において、回転部材24の第2回転方向P2への移動を規制するストッパーとして機能することができる。
図6Cに示すように、第1センサ34の検出方向には回転部材24の第2突出部42が位置し、回転部材24がストッパー28と当接する回転位置にあることが特定される。
一方で、図6Bに示すように、第2センサ36の検出方向にもストッパー28の検出用突起44が位置する。第2センサ36は検出用突起44の検出に応じて、制御部8へ検出信号(ON信号)を送信する。
前述したように、第2センサ36はストッパー28が第1停止位置B1に向けて移動したときは検出用突起44を検出せず、ストッパー28が基準位置Aから第2停止位置B2に向けて移動したときにのみ検出用突起44を検出する。これにより、第1センサ34の検出結果(ON信号)と第2センサ36の検出結果(ON信号)を組み合わせることで、回転部材24がストッパー28と当接している状態であることに加えて、ストッパー28が第2停止位置B2側に移動していることを特定できる。すなわち、回転部材24がストッパー28に対して第2回転方向P2に当接してストッパー28が第2停止位置B2側に移動したことを特定することができる。
上述したストッパー28およびその周辺構成によれば、アンビル本体部20と一体的に回転する回転部材24の回転範囲に対して、制御部8によるソフトウェア的な制限に加えて機械的な制限を設けることができる。これにより、アンビル本体部20に接続されたケーブル22(図1)の破断をより確実に防止することができる。
仮にストッパー28の位置が動かない固定式の場合、回転部材24の可動範囲は360度未満となり、基板2の挿入孔17に挿入される部品3の向きによってはアンビルユニット12のリード加工部18が部品3のリードを所望の方向に折り曲げたりする等の加工ができない場合がある。
これに対して、本実施形態のストッパー28は固定式ではなく可動式であり、第1停止位置B1と第2停止位置B2の間でのみ移動可能である。図4に示す第1停止位置B1では、回転部材24の第1回転方向P1への更なる回転を規制し、第1停止位置B1に対して第2回転方向P2に間隔を空けた第2停止位置B2では、回転部材24の第2回転方向P2への更なる回転を規制する。これにより、回転部材24の無制限な回転を防止しながらも、回転部材24の可動範囲を360度以上に設定することができ、部品3の様々な向きに応じて部品3のリードを折り曲げたり切断する等の加工を行うことが可能となる。
また上記構成では、第1センサ34および第2センサ36という2つのセンサを用いて、回転部材24がストッパー28に当接する状態にあることと、ストッパー28に当接する際の回転部材24の回転方向が正回転あるいは逆回転のいずれであるかを特定している。これにより、回転部材24の回転位置をより正確に特定することができる。
上述したように、本実施形態のアンビルユニット12は、アンビル本体部20と、第2駆動機構16と、ストッパー28と、を備える。アンビル本体部20は、基板2に挿入された部品3のリードを加工するリード加工部18を有する。第2駆動機構16は、アンビル本体部20を第1回転方向P1に正回転させる機能、および第2回転方向P2に逆回転させる機能を有する。回転部材24は、第2駆動機構16によってアンビル本体部20とともに回転され、回転規制用の突出部26を有する。ストッパー28は、回転部材24が第1回転方向P1に回転される場合は、回転部材24の突出部26に対して第2回転方向P2に当接し、回転部材24が第2回転方向P2に回転される場合は、回転部材24の突出部26に対して第1回転方向P1に当接する当接部37を有する。ストッパー28は、第1回転方向P1への回転部材24の移動を規制する第1停止位置B1と、第1停止位置B1に対して第2回転方向P2に間隔を空けた位置であって第2回転方向P2への回転部材24の移動を規制する第2停止位置B2との間を移動可能に設けられる。
このような構成によれば、ストッパー28を可動式とすることで、ストッパー28を固定式とする場合に比べて、回転部材24が無制限に回転することを防止しながらも、回転部材24の可動範囲を360度以上に設定することができる。これにより、アンビル本体部20にケーブル22を設ける場合に、アンビル本体部20の過剰な回転によってケーブル22が破断することを防止しながら、部品3が様々な向きで基板2に挿入される場合でも部品3の向きに応じて部品3のリードを折り曲げる等の加工を行うことができる。
また、本実施形態のアンビルユニット12では、ストッパー28の第1停止位置B1と第2停止位置B2の間の移動範囲から離れる方向への移動を規制する移動規制部材30をさらに備える。
このような構成によれば、移動規制部材30を設けることで、回転部材24の可動範囲を360度以上に設定しながらも、回転部材24が無制限に回転することをより確実に防止することができる。
また、本実施形態のアンビルユニット12では、移動規制部材30は、ストッパー28の一部である挿通部41が挿入される孔40を有する部材であり、孔40が閉塞した形状を有することで、ストッパー28の移動を規制する。
このような構成によれば、ストッパー28の移動を簡単な構成で規制することができる。
また、本実施形態のアンビルユニット12では、孔40は円弧形状であり、ストッパー28は、第1停止位置B1と第2停止位置B2の間を回転移動する。
このような構成によれば、孔40が直線形状である場合に比べて、ストッパー28を基準位置Aに付勢する付勢部材32を設ける場合にストッパー28を基準位置Aに戻しやすくなる。
また、本実施形態のアンビルユニット12では、ストッパー28を所定の基準位置Aに向けて付勢する付勢部材32をさらに備える。
このような構成によれば、ストッパー28を基準位置Aに戻すように付勢することで、回転部材24の突出部26がストッパー28の当接部37に当接し始める位置を一定にすることができ、ストッパー28の動作を安定させることができる。
また、本実施形態のアンビルユニット12では、基準位置Aは、第1停止位置B1と第2停止位置B2の間に位置する。
このような構成によれば、ストッパー28を基準位置Aに対して両方向に移動可能とすることができ、ストッパー28の動作を安定させることができる。
また、本実施形態のアンビルユニット12は、第1センサ34と、第2センサ36と、をさらに備える。第1センサ34は、回転部材24がストッパー28に当接している状態を検出し、第2センサ36は、回転部材24に当接するストッパー28が第2停止位置B2側で回転部材24に当接している状態を検出する。
このような構成によれば、第1センサ34によって回転部材24がストッパー28に当接していることを検出し、さらに第2センサ36によってストッパー28が第2停止位置B2側に位置することを検出することで、回転部材24がストッパー28に当接する際の回転方向が第1回転方向あるいは第2回転方向のいずれであるかを特定する。これにより、回転部材24の位置をより正確に特定することができる。
また、本実施形態のアンビルユニット12では、リード加工部18は、リードを折り曲げてリードを加工する。
このような構成によれば、部品3のリードを折り曲げて、部品3を基板2に装着することができる。
また、本実施形態の部品実装装置1は、基板2を所定の実装位置に位置決めする基板位置決め部6と、部品3をピックアップして、実装位置に位置決めされた基板2に部品3のリードを挿入する実装ヘッド10と、部品3のリードを加工するリード加工部18を有するアンビルユニット12と、を備える。
このような構成によれば、上述したアンビルユニット12と同様の効果を奏することができる。
以上、上述の実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されない。例えば、実施形態では、ストッパー28を基準位置A1に向けて付勢する付勢部材32を設ける場合について説明したが、このような場合に限らず、付勢部材32を設けない場合であってもよい。すなわち、ストッパー28が付勢される基準位置Aが存在しない場合であってもよい。このような場合であっても、ストッパー28を第1停止位置B1と第2停止位置B2の間でのみ移動可能とすることで、それぞれの停止位置B1、B2で回転部材24の更なる回転を規制することができる。
また実施形態では、ストッパー28の移動範囲を制限する構成として孔40を移動規制部材30に設ける場合について説明したが、このような場合に限らず、孔40に代えて溝としてもよい。言い換えれば、移動規制部材30はストッパー28の一部である挿通部41が挿入される孔40又は溝を有し、孔40又は溝が閉塞した形状を有することで、ストッパー28の移動を規制してもよい。
また実施形態では、孔40(又は溝)が円弧形状である場合について説明したが、このような場合に限らず、例えば直線形状としてもよい。このような場合であっても、ストッパー28を第1停止位置と第2停止位置の間でのみ移動可能とすることができ、回転部材24の回転規制機能を同様に発揮することができる。孔40を直線形状とした場合、孔40や移動規制部材30の構成をシンプルにすることができ、部品点数の少数化にもつながる。
また実施形態では、第2センサ36は、ストッパー28が第2停止位置B2側で回転部材24に当接している状態を検出する場合について説明したが、このような場合に限らない。第2センサ36は、ストッパー28が第1停止位置B1側で回転部材24に当接している状態を検出するように配置してもよい。このような場合であっても、第1センサ34と第2センサ36の検出結果に基づいて回転部材24の回転位置およびその回転方向を同様に特定することができる。すなわち、第2センサ36としては、ストッパー28が第1停止位置B1側で回転部材24に当接している状態、あるいは第2停止位置B2側で回転部材24に当接している状態のいずれか一方の状態を検出するものであればよい。
また実施形態では、第1センサ34が回転部材24の回転位置を検出し、第2センサ36がストッパー28の回転位置を検出する場合について説明したが、このような場合に限らない。第1センサおよび第2センサとしては、回転部材24がストッパー28に当接している状態およびその際の回転方向を特定できるものであれば、任意の組合せのセンサを用いてもよい。例えば、第1センサと第2センサがともに回転部材24の回転位置を検出するものとしてもよい。この場合、第1センサは、回転部材24がストッパー28に対して第1回転方向P1に当接する状態を検出し、第2センサは、回転部材24がストッパー28に対して第2回転方向P2に当接する状態を検出するようにしてもよい。
また実施形態では、回転部材24が第1回転方向P1に回転する場合も第2回転方向P2に回転する場合も同じストッパー28の当接部37に当接する場合について説明したが、このような場合に限らない。例えば、ストッパー28の当接部を2つの別の部材に分けて、回転部材24が第1回転方向P1に回転する場合は第1当接部に当接し、回転部材24が第2回転方向P2に回転する場合は第2当接部に当接するようにしてもよい。
また実施形態では、リード加工部18が切断刃を有して、部品3のリードを切断する場合について説明したが、このような場合に限らない。部品3のリードを切断せずに折り曲げる機能のみを有する場合等、部品3を基板2に装着するための加工であれば任意の種類の加工であってもよい。
また実施形態では、アンビルユニット12にストッパー28を設ける場合について説明したが、このような場合に限らない。実装ヘッド10がケーブル(例えばアキシャル部品用)を有するものであれば、本実施形態と同様のストッパー28を実装ヘッド10に設けてもよい。この場合、アンビルユニット12のアンビル本体部20を実装ヘッド10のヘッド本体部に置き換えるとともに、ヘッド本体部を回転させる回転駆動部(第1駆動機構14)と、ヘッド本体部とともに回転されて突出部を有する回転部材と、回転部材の突出部に当接するストッパーとを設け、ストッパーを第1停止位置と第2停止位置の間で移動可能とすればよい。
本開示は、添付図面を参照しながら好ましい実施形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した特許請求の範囲による本開示の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。また、各実施形態における要素の組合せや順序の変化は、本開示の範囲および思想を逸脱することなく実現し得るものである。
なお、前記実施形態の様々な変形例のうち、任意の変形例を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。