JP7397502B2 - 船舶の建造シミュレーションシステム - Google Patents
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Description
しかし、本質的には、管理物量に比例するのは主作業(それによって製品が完成に向かって進む作業)のみであり、付随作業(それをしないと主作業を進められないが、それ自体では製品が完成に向かって進まない作業)や無付加価値行為(製品の完成に対して何の価値もない行為)は管理物量と違う次元で決まるにもかかわらず、現状、これらをすべて管理物量に比例するものとして簡便に扱っている。造船における主作業率は、職種にもよるが一般に30~40%との報告があり、工数を管理物量から比例的に推定することには精度上の課題がある。
一方で、製造工程のシミュレーションを実施するラインシミュレータが存在するが、すべての細かな作業の一つ一つを手入力する必要がある。また、ラインシミュレータは、大量生産品のライン生産のように物の流れと作業者の動きが決まっており同様の作業を繰り返すシミュレーションには向いているものの、受注生産である造船のように様々な作業を状況に応じて変更するようなシミュレーションには向いていない。
また、特許文献2には、プロジェクト計画を生成する方法であって、タスク間の順位関係を記述する情報、タスクの所要時間を示す情報、及びタスクの所要時間の変動性を示す情報を含むプロジェクト明細情報をプロセッサユニットによって受信し、プロジェクト明細情報を使用してプロセッサユニットによって、プロジェクトのシミュレーションモデルを生成し、シミュレーションモデルを複数回実行して、クリティカルパスを形成しているタスクのサブセットを識別して、シミュレーション結果データを生成し、シミュレーション結果データから、クリティカルパスを形成しているタスクの識別されたサブセットを含むプロジェクトネットワークプレゼンテーションを生成することを含み、プロジェクト明細情報は、テキストファイル、電子スプレッドシートファイル、及び拡張マークアップ言語ファイルからなる情報形式のグループから選択された情報形式でプロセッサユニットによって受信される方法が開示されている。
また、特許文献3には、複数の工程からなる生産対象物の生産スケジューリングを行うスケジューリング装置であって、工程の接続順序関係を設定するための工程接続情報と、工程に含まれる各ブロックの移動経路を設定するブロックフロー情報と、各ブロックの各工程での工期を設定する作業工期情報と、各工程の制約条件とが蓄積された蓄積手段と、蓄積手段に蓄積された情報から工程を下流から上流に遡る順序に並べ替える解釈手段と、解釈手段により得られる並べ替え後の工程データに基づいてスケジューリングモデルを作成するモデル作成手段と、モデル作成手段により得られるスケジューリングモデル毎にスケジュールを最適化する日程計画作成手段と、日程計画作成手段により得られるスケジューリング結果を出力する出力手段とを有するスケジューリング装置が開示されている。
また、特許文献4には、工程計画と、工程計画に基づく設備配置計画と、工程計画および設備配置計画に基づく配員計画と、工程計画、設備配置計画および配員計画に基づく生産計画とを用い、各計画において作成された生産ラインモデルにより、生産活動をシミュレーションして各計画の評価規範値を作成し、規範値により各計画の良否を判定し、それに基づき計画の修正を行う生産システム計画方法が開示されている。
また、非特許文献1には、造船CIMを構築するための工程管理に対応する具体的なはたらきとしてProcess PlanningとSchedulingが挙げられ、Process Planningでは、製品情報について製造現場に関する概念的な知識に基づき製造のための方法・手順を決定すること、Schedulingでは、実際の製造現場における具体的な状況に関する知識に基づいてProcess Planningの結果を時間・現場機材の活用の観点から展開し、納期その他の条件を満たす日程計画を作成することが記載されていると共に、オブジェクト指向に基づく工程管理のための造船工場モデルが開示されている。
また、非特許文献2には、船舶建造プロセスにおける生産設備の導入効果を評価するため、生産プロセスで対象とする製品の製造誤差に基づく手直し作業を考慮した生産プロセスシミュレーションを利用して、新規生産設備導入によるプロセス全体の期間と費用への影響を評価する手法が開示されており、当該生産プロセスシミュレーションにおいては、造船所の作業場所の制約と作業員のスキルを考慮することが記載されている。
そこで本発明は、船舶の建造を細かな作業レベルでシミュレーションすることができる船舶の建造シミュレーションシステムを提供することを目的とする。
請求項1に記載の本発明によれば、ユーザは船舶の建造を細かな作業レベルでシミュレーションすることが可能となり、その精度の高いシミュレーション結果としての建造時系列情報に基づいて工場の改善、生産設計の改善、受注時のコスト予測、及び設備投資などを検討することができるため、建造コストの低減や工期の短縮につながる。また、ユーザが途中結果に基づいて判断し、ユーザの意図に沿ったシミュレーションを行いやすくなる。
請求項2に記載の本発明によれば、ユーザは船舶の建造を細かな作業レベルでシミュレーションすることが可能となり、その精度の高いシミュレーション結果としての建造時系列情報に基づいて工場の改善、生産設計の改善、受注時のコスト予測、及び設備投資などを検討することができるため、建造コストの低減や工期の短縮につながる。また、ルール情報を利用することにより、シミュレーションにおける作業員が的確に仮想的な作業を進めやすくなる。
請求項3に記載の本発明によれば、ユーザは船舶の建造を細かな作業レベルでシミュレーションすることが可能となり、その精度の高いシミュレーション結果としての建造時系列情報に基づいて工場の改善、生産設計の改善、受注時のコスト予測、及び設備投資などを検討することができるため、建造コストの低減や工期の短縮につながる。また、繰り返し作業ではなく現場で判断することが非常に多い作業を作業員がブレインを利用して判断し、仮想的な作業を円滑に進めることができる。
請求項4に記載の本発明によれば、組み立ての手順と、それに関わるタスクを明確にし、プロセスモデルを精度よく作成することができる。
請求項5に記載の本発明によれば、作業の種類別に小さな作業を組み合わせたカスタムタスクにより、シミュレーションの精度を向上させることができる。
請求項6に記載の本発明によれば、スケジュール情報に基づき、主作業や付随作業まで含めた作業員のすべての生産行為を精密に再現してシミュレーションを行うことができる。また、設備と作業員の配置が反映された工場レイアウト情報に基づき、シミュレーションを行うことができる。また、ユーザは作成されたスケジュール情報又は工場レイアウト情報を必要に応じて確認することができる。
請求項7に記載の本発明によれば、基本設計情報に基づきプロダクトモデルやファシリティモデルが変更された場合に、一からプロセスモデルを作成するよりも少ない労力で、早く精度よくプロセスモデルを作成することができる。
請求項8に記載の本発明によれば、時間発展系シミュレーションを精度よく行うことができる。
請求項9に記載の本発明によれば、このような可視化を行うことにより、ユーザはシミュレーションの結果としての建造時系列情報を見て、構成部品又はファシリティの変更や、ボトルネックの分析・解明、工数予測など、建造に有益な知見を得ることができる。
請求項10に記載の本発明によれば、船舶の建造が所期目標の範囲内に収まるシミュレーション結果を得ることができる。
請求項11に記載の本発明によれば、一つのプロダクトモデルから工場ごとのプロセスモデルが作成され、工場ごとのファシリティモデルを用いたシミュレーションが行われるため、例えば、複数の工場が共同で船舶を建造する際の受注時のコスト予測や、設備投資などを検討することができ、建造コストのさらなる低減や工期のさらなる短縮につながる。
請求項12に記載の本発明によれば、ユーザは迅速かつ的確に、各工場での製造コストや工期などを比較することができる。
請求項13に記載の本発明によれば、船舶の建造シミュレーションシステムが遠隔地にあったとしても、基本設計情報の取得や建造時系列情報の提供を、情報通信回線を介して迅速に行うことができる。
請求項14に記載の本発明によれば、CADシステムで作成された船舶の基本設計情報をプロダクトモデルの設定等に容易、かつ有効に利用できる。
請求項15に記載の本発明によれば、工場の改善情報を取得して用いることで、工場の設備や作業員を変更し改善した場合のシミュレーションを行うことができる。
請求項16に記載の本発明によれば、共通データベースから各種情報を取得することで、情報の種類ごとに別々のデータベースが設けられている場合と比べて情報の取得が容易となり、情報の共同利用が可能となり、またデータベースの管理を一元化することができる。
請求項17に記載の本発明によれば、新たな建造時系列情報を共通データベースに蓄積し、例えば、後のシミュレーション時の過去船情報として利用することやルール情報の機械学習に活用すること等ができる。
請求項18に記載の本発明によれば、類型船舶のプロセスモデル関連情報の取得が可能となり、シミュレーションの省略や容易化等が図れる。
請求項19に記載の本発明によれば、建造時系列情報に基づいて計算された船舶の建造に関わるコストを簡便に得ることができる。
請求項20に記載の本発明によれば、建造時系列情報に基づいて作成された購入部品の購入計画を簡便に得ることができる。
請求項21に記載の本発明によれば、建造時系列情報を船舶の建造全体の生産計画の立案へとスムーズに繋げることができる。
図1は本実施形態による船舶の建造シミュレーションシステムを機能実現手段で表したブロック図、図2は全体概要図である。
船舶の建造シミュレーションシステムは、作業員の詳細な動き、すなわち要素作業の動きまでを建造シミュレーション内で表現することを目的に、仮想的な造船工場を構築するために必要な情報を整理する。造船工場は、プロダクト(製品)モデル、ファシリティ(道具を含む設備・作業員)モデル、及びプロセス(作業)モデルという、3つのモデルから構築される。この3つのモデルが、造船工場をモデル化するために必要な核となるデータである。また、シミュレーションを実施するにあたり、これらの情報を補完する2つの付随情報として、スケジュール情報31と工場レイアウト情報32を併せて定義する。
なお、プロダクトモデルは実際の製品を、ファシリティモデルは実際の設備や作業員を抽象化しシミュレーションで扱えるようにした体系化されたデータ群であり、仮想的な製品、設備や作業員であるともいえる。また、プロセスモデルは、プロダクトモデルとファシリティモデルにより導かれる仮想的な作業の体系であるともいえる。
過去船データベース70には、過去に建造した過去船のプロセスデータが蓄積されている。
基本設計情報11には、船舶の完成部品と完成部品を構成する構成部品の結合関係が含まれている。例えば、プロダクト(製品)が船殻である場合、完成部品は船殻を構成するブロック(区画)であり、構成部品はブロックを構成する板材である。結合関係は、ノード(Node,部品の実体情報)とエッジ(Edge,部品の結合情報)で表現される。
基本設計情報11は、CADシステム(図示なし)から取得することもできる。CADシステムから基本設計情報11を取得することにより、CADシステムで作成された基本設計情報11をプロダクトモデルの設定等に有効利用できる。なお、基本設計情報11には、例えば、船殻の設計CADデータを変換したノードとエッジで表現される結合関係を含む情報も含めることができる。この結合関係を含む情報は、CADシステムで予め変換して得てもよいし、基本設計情報11を取得後にプロダクトモデル取得手段10で変換して得てもよい。なお、CADシステムから取得する基本設計情報11が、各CADシステムにおける独自のデータ構造で保持されている場合は、プロダクトモデル取得手段10において、CADデータをシミュレーションで利用できるデータ構造に変換する。また、CADシステムからの基本設計情報11の取得は、通信回線を介した取得の他、近距離無線通信や記憶手段を用いた取得等、様々な手段を利用して行うことができる。
プロダクトモデルでは、組立対象のプロダクトに関わる情報として、プロダクトを構成する部品自身の属性情報ならびに部品間の結合情報を定義する。プロダクトモデルには、プロダクトの組立に関わる作業(組み立て手順、プロセス)の情報は含まれない。
プロダクトは構成部品である実体をもつ部品同士が個々に結合されていると考える。そこでプロダクトモデルは、グラフ理論に基づきノードとエッジで表現されるグラフ構造を用いて定義する。ノード同士の結合であるエッジには方向性は無いとし、無向グラフとする。
ここでは、図3(a)に示すような二重底ブロックを、図3(b)に示すように簡略化した5枚板モデルを対象としている。厳密には異なるが、第一の板P1がインナーボトム、第三の板P3がボトムシェル、第二の板P2と第四の板P4がガーダー、第五の板P5をロンジと見立てて簡略化している。カラープレートやフロアがなく、ロンジも本数が少ないなど、実際の完成部品とは異なるものの、十分かつ本質的な要素を抽出している。
この完成部品は、図4に示される結合関係で定義される。各板P1~P5が構成部品実体のノードに該当し、それらの結合関係であるline1~line5がエッジに該当する。ここでは簡単のために5枚板モデルを用いているが、数多くの構成部品で構成される実際の完成部品においても、構成部品実体とそれらの結合関係で完成部品全体を定義することができるため、同様なグラフ表現を用いてプロダクトモデルを定義することが可能である。
プロダクトの構成部品の形状は、3DCADモデルを入力することで定義できる。図5に示すように、3次元モデルの座標系は、その部材全体を囲む四角形(Bounding-box)を定義し、その四角形の 8頂点のうち、x,y,z座標値が最小となる頂点が原点位置になるように3次元モデルを配置した。またシミュレーションの実行中は、3次元モデルに定義した基準点の位置(ローカル座標系、又はグローバル座標系における座標)、姿勢情報(初期姿勢を基準としたオイラー角・クォータニオン)を随時参照できるものとする。
以上説明したデータについてまとめると、プロダクトモデルは、下表1及び下表2に示すようなノードとエッジの情報として整理される。
図6では、構成部品(第一の板P1、第二の板P2、第三の板P3)間の接合関係が登録されたデータベースであるプロダクトモデルを示している。「name」は名前、「parent」は親プロダクト、「type」は種別である。なお、各板P1~P3の基準座標3点(vo(0,0,0),vx(1,0,0),vz(0,0,1))は省略している。また、データには本来は対象IDを記載するが、説明用に「name」で記載している。
上述のように、プロダクトモデルには、組立に関わる作業(プロセス)の情報は含まれない。
ファシリティモデルでは、工場のファシリティに関する情報として、ファシリティの個別の名前(例えば、溶接機No.1)、種別(例えば、溶接機)に加えて、個々のファシリティが有する能力値を定義する。能力値には、そのファシリティが有する機能の最大値(範囲)を定義する。例えば、クレーンが有する能力値の一つとしては、吊り上げ荷重値や速度などが挙げられ、その能力値範囲は、最大吊り上げ荷重値や最大速度となる。
また、プロダクトだけでなく、ファシリティも作業員の移動経路上の障害物になり得るため、3次元モデルを用いて形状を定義する。それにより、シミュレータ内では、オブジェクト同士の3次元的な干渉を判断することも可能となる。ここで図7はファシリティの3次元モデルの例を示す図であり、図7(a)は作業員、図7(b)は溶接機、図7(c)はクレーン、図7(d)は床、図7(e)は定盤である。
図8では、工場のファシリティが登録されたデータベースであるファシリティモデルを示している。「name」は名前、「type」は種別、「model_fwile_path」は形状(3次元モデルデータ)、「ability」は能力(ファシリティの能力値範囲を定義)である。
図9はプロセスモデルの概念図である。
プロセスモデルは、一連の組立工程に関わる作業情報が定義されたデータである。プロセスモデルは、船舶の組み立てに関連した部品の依存関係を表す組立ツリーと、組み立てに当たって必要なタスク間の依存関係を表すタスクツリーを含む。これにより、組み立ての手順と、それに関わるタスクを明確にし、プロセスモデルを精度よく作成することができる。ここでタスクとは、一単位の作業を指す。
まず、プロセスモデル作成手段30は、プロダクトモデル取得手段10が取得したプロダクトモデルと、ファシリティモデル取得手段20が取得したファシリティモデルを読み込む(プロセスモデル作成情報読込ステップS1)。
次に、プロセスモデルの作成に当たって、過去に建造した過去船のプロセスデータを過去船データベース70から参照し、流用するか否かを選択する(流用判断ステップS2)。
流用判断ステップS2において、流用しないことを選択した場合は、過去船のプロセスデータを参照せずに、構成部品の中間部品を含む組み立て手順を組立ツリーとして定義し(組立ツリー定義ステップS3)、組み立て手順の各段階における適切なタスクを定義し(タスク定義ステップS4)、タスクの依存関係としての前後関係をタスクツリーとして定義する(タスクツリー定義ステップS5)。
一方、流用判断ステップS2において、流用することを選択した場合は、過去船データベース70から類似のプロセスデータを抽出し(過去船プロセスデータ抽出ステップS6)、組立ツリー定義ステップS3、タスク定義ステップS4、及びタスクツリー定義ステップS5において、抽出した過去船のプロセスデータを参照して流用する。過去船のプロセスデータを流用することで、基本設計情報11に基づきプロダクトモデルやファシリティモデルが変更された場合に、一からプロセスモデルを作成するよりも少ない労力で、早く精度よくプロセスモデルを作成することができる。
組立ツリー定義ステップS3において、組立ツリーには、中間部品の情報(名前、部品の姿勢)及び組み立ての前後関係の情報を定義する。部品の組立順番には前後関係が存在するため、組立ツリーは有向グラフで表現される。
中間部品とは、幾つかの部材が結合した状態の構成部品であり、中間部品と部材、又は中間部品同士を組み立てることで完成部品となる。図11では、第一の板P1と第二の板P2と第四の板P4が組み合わされて第一の中間部品U1を成し、第三の板P3と第五の板P5が組み合わされて第二の中間部品U2を成し、第一の中間部品U1と第二の中間部品U2を組み合わせて完成部品SUB1を成す状態を示している。なお、第一の中間部品U1を組み立てるにあたっては第一の板P1をベースとし、第二の中間部品U2を組み立てるにあたっては第三の板P3をベースとし、完成部品SUB1を組み立てるにあたっては第二の中間部品U2をベースとしている。
図12の3枚板モデルでは、第一の板P1と第二の板P2が組み合わされて中間部品を成し、その中間部品に第三の板P3が組み合わされて完成部品を成す。なお、中間部品を組み立てるにあたっては第一の板P1をベースとし、完成部品を組み立てるにあたっては第三の板P3をベースとしている。
図13は、5枚板モデルに対して、P1~P5の各板(鋼板)を所定の位置に配材して、仮溶接及び本溶接を行うことで、完成部品を組み立てるシナリオを想定したものである。
タスクには前後関係があるため、タスクツリー定義ステップS5において、タスクのツリーは有向グラフで表現される。例えばタスク[仮溶接0]は、[配材0]、[配材1]、[配材2]のすべてのタスクを完了してからでないと開始することが出来ないことを意味している。
この例では、図14に示すように、3枚板モデルに対して、P1~P3の各板(鋼板)を所定の位置に配材して、仮溶接及び本溶接を行うことで、完成部品を組み立てるシナリオを想定している。
スケジュール情報31は、各行動主体となる作業員に対してタスクを順番も含めて割り当てたものである。これにより、スケジュール情報31に基づき、主作業や付随作業まで含めた作業員のすべての生産行為を精密に再現してシミュレーションを行うことができる。また、スケジュール情報31は、情報提供手段50が備えるモニタやプリンタ等からユーザに提供される。これにより、ユーザは作成されたスケジュール情報31を必要に応じて確認することができる。なお、スケジュール情報31は、ユーザの要望があったときのみ提供することも可能である。
スケジュール情報31の作成例を下表7に示す。この例では、作業員1は鉄工職の作業者を想定しており、配材タスクと仮溶接タスクが割り当てられている。作業員1は、タスク[配材0]から開始し、タスク[仮溶接4]まで順次実施する。一方、作業員2は溶接職の作業者を想定しており、本溶接タスクが順番に割り当てられている。作業員2は、タスク[本溶接0]から開始し、タスク[本溶接3]まで順次実施する。
能力値範囲判断ステップS7において、タスクがファシリティの能力値範囲を超えないと判断した場合は、スケジュール情報作成ステップS8に進んでスケジュール情報31を作成する。このように、タスクがファシリティの能力値範囲を超えないと判断した場合にスケジュール情報31を作成することで、ファシリティやタスクの能力値を超えたシミュレーションが行われるスケジュール情報31を作成することを防止できる。また、作成したプロセスモデルは情報提供手段50からユーザに提供される。
一方、能力値範囲判断ステップS7において、タスクがファシリティの能力値範囲を超えると判断した場合は、組立ツリー定義ステップS3、タスク定義ステップS4、及びタスクツリー定義ステップS5に戻り、中間部品の定義、組立ツリーの定義、タスクの定義、及びタスクツリーの定義のうちの対応可能な少なくとも一つを再定義する。各定義を再定義することにより、より精度の高いプロセスモデルを作成することができる。
プロダクトモデル、ファシリティモデルのデータベースから、実際にシミュレーションに利用する部品、ファシリティの配置情報をlayout.csvで定義している。
時間発展系シミュレーションにおいては、プロセスモデルを基に、3次元プラットフォーム上での各ファシリティとプロダクトの位置と占有状況、カスタムタスクの進捗状況を変化させることで、造船における建造をシミュレーションする。なお、乱数を与えて中間部品の精度をあえて悪くし、その影響を下流の工程に至るまでシミュレーションすることもできる。また、カスタムタスクとタスクツリーとの関係は、カスタムタスクをツリー構造で前後関係を表し、繋ぎ合わせたものがタスクツリーとなる。
本実施形態では、3次元プラットフォームをゲームエンジンであるUnity(登録商標)を活用して構築している。
時刻tにおける各ファシリティとプロダクトの位置、角度および占有を表す変数xf、xpと、プロセスモデルにおけるカスタムタスクの未完又は完了を表す状態のstの3つを引数とすると、プロセスモデル作成手段30が定義したスケジュールに記載のカスタムタスクの順に、タスクに関係する各引数を事前に設定したルールに従って変化させることで、次の時刻t+1へのxf、xp、stの変化を表すことができる。これにより各引数の時刻歴が出力される。
図1に示す建造シミュレーション手段40は、時間発展系シミュレーションを行う以前に、作業員が自律的に仮想的な作業を進めるためのルール情報41をルール情報データベース等から取得する。そして、プロダクトモデル取得手段10が取得したプロダクトモデルと、ファシリティモデル取得手段20が取得したファシリティモデルと、プロセスモデル作成手段30が作成したプロセスモデル、スケジュール情報31、及び工場レイアウト情報32と、取得したルール情報41に基づいて、3次元プラットフォーム上にオブジェクトを配置する(シミュレーション実行情報読込ステップS11)。
ここで、ルール情報41とは、建造シミュレーション手段40による自律判断に必要な制約や選択肢である。例えば、溶接タスク(カスタムタスク)では、使える溶接機の種類だけをルール情報41として指定しておき、どの溶接機を使用するかはシミュレーションの途中で建造シミュレーション手段40が自律的に判断する。
すなわち、仮想的な作業員がシミュレーション内でどのように判断するのかを記述したものがルール情報41となる。ルール情報41を利用することにより、シミュレーションにおける作業員が的確に仮想的な作業を進めやすくなる。ルール情報41は、あらかじめカタログのように作成してデータベースに蓄積しておく。なお、ルール情報41は、強化学習やマルチエージェント等により自律的に学習させて作成して取得することも可能である。強化学習等により自律的にルール情報41を作成する方法としては、エージェントが建造シミュレーション手段40内を自由に動き回り効率的なルールを学習してルール情報41を生成する手法を用いる。ルール情報41の一例は以下の通りである。
ルール1A:空いている近い道具を取得する。
ルール1B:後工程でも空いている近い道具を取得する。
ルール2:クレーンを使用する場合、クレーン同士の干渉によって他の工程が妨げられないようなクレーンを選択する。
ルール3:使用後、マグネット式の釣り具は台車の上に置く。
ルール4:作業場所が同じ後の工程について、道具をまとめて取ってくる。
これらのルールは、時間発展系シミュレーションを行う以前に作業員に割り当てておくものであり、例えば以下のようになる。
作業員1:ルール1A
作業員2:ルール1B、ルール2、ルール3、ルール4
作業員1は新人を想定し、作業員2は熟練者を想定したものである。新人の作業員1は自分のことだけを考えて動くため、他工程の邪魔になったりもする。
ブレインは、カスタムタスクに1対1で対応させ、時間発展系シミュレーションを実行する前に構築しておく。時間発展系シミュレーション上では、ブレインを逐次動作させることで、時間発展の中で状況に応じて作業員が判断する様子を再現する。そのため、特に造船工程のような、繰り返し作業ではなく現場で判断することが非常に多い作業を作業員がブレインを利用して判断し、仮想的な作業を円滑に進めることができる。
ルール情報41の一つであるブレインで判断される内容は、大別すると以下の四つである。
1.ある一つのカスタムタスクに対して、必要な引数を決定する。
2.ある一つの種類(タスクタイプ)に属する複数のカスタムタスクの中から一つのカスタムタスクを選択する。
3.複数の種類のカスタムタスクから一つの種類を選択する。
4.カスタムタスクを実施中に競合が発生した場合の対応をルールに基づいて選択する。
評価パラメータの抽出、所定のルール、評価値に基づく選択は、配材タスクを例にすると、それぞれ例えば以下のようになる。
[評価パラメータの抽出]
判断に関わる評価パラメータ群を、時間発展系シミュレーション中に順次取得する。
・p1:作業員の現在地からプロダクトまでの距離
・p2:プロダクトからクレーンまでの距離
・p3:プロダクトから目的地までの距離(目的地は自動計算)
・p4:ベース板か否か(0 or 1)
・p5:干渉無く行動可能か(0 or 1)
[評価値ルール]
v=(p4-0.2*(p1+p2+p3))*p5
[選択]
0より大きい評価値の中で最大の評価値を得たタスクを選択する。
タスク1:v1
タスク2:v2
タスク3:v3
・・・
手動で構築する場合は、ビデオ分析の結果や作業員に対するヒアリング等を通じてルールを推定し構築する。
機械学習によって構築する場合は、二つの構築方法がある。一つ目の構築方法は、造船工場での作業員、道具、及びプロダクトの動きに関するデータをカメラや位置センサ等を用いたモニタリングにより取得し、取得した大量のデータから、作業員とプロダクトとの距離や作業員と道具との距離などのパラメータXと、作業員のタスク選択結果(判断履歴)Yを整理し、整理したデータを教師データとし、パラメータXからタスク選択結果Yを予測するニューラルネット等の機械学習モデルとして構築するものである。また、二つ目の構築方法は、例えば時間が短いほど良い等の目標を設定し、その目標を報酬とした強化学習を適用し、最適な戦略を自動構築するものである。
配材タスクにおいては、配材場所の制約と配置位置が自動決定される。
溶接タスクにおいては、溶接線の位置などの評価パラメータが取得され、評価値計算が実施される。なお評価値計算では、溶接作業者の近くで別の作業を実施しないなど、溶接領域が考慮される。
時間発展系シミュレーションでは、時間ごとの完成部品又は構成部品の位置、設備及び作業員の位置と占有状況、組み立て手順とタスクの進行状況を逐次計算する。これにより、時間発展系シミュレーションを精度よく行うことができる。
タスク終了判定ステップS13において、カスタムタスクが終了していないと判定した場合は、タスク実行ステップS12に戻り、カスタムタスクを実行する。
一方、タスク終了判定ステップS13において、カスタムタスクが終了したと判定した場合は、終了したカスタムタスクをスケジュールの先頭から削除し、割り当てられたカスタムタスクがすべて終了したか否かを判定する(シミュレーション終了判定ステップS14)。
シミュレーション終了判定ステップS14において、割り当てられたカスタムタスクがすべて終了していないと判定された場合は、タスク実行ステップS12に戻り、カスタムタスクを実行する。
一方、シミュレーション終了判定ステップS14において、割り当てられたカスタムタスクがすべて終了したと判定された場合は、シミュレーションを終了する。このようにシミュレーションは、すべての予定されたカスタムタスクがなくなるまで繰り返し実行する。
情報提供手段50からの途中結果の提供は、ユーザが例えばシミュレータの実行ボタンを押す際に任意にオン/オフを選択可能であり、オフが選択されている場合は実行されない。一方、オンが選択されている場合は、例えばモニタが閲覧モードとなり、シミュレーションの状況がアニメーション的に流れていく様子が提供され、ユーザは一時停止ボタンを押したり、また再生ボタンを押したりして、逐次確認することができる。ユーザは、一時停止ボタンを押したとき、既に終了しているカスタムタスク、実施中のカスタムタスク、及び未実施の予定されているカスタムタスクを見ることができ、例えば予定されているカスタムタスクの順番を変更したり、そのカスタムタスクで使う道具を変更及び指定したりできる。変更後、再生ボタンを押すと、シミュレーションが再開し、変更したシナリオで進行する。
また、時間発展系シミュレーションにおいては、予め取得したルール情報41とタスクを利用し、仮想の作業員が自律的に仮想的な作業を進める。具体的には、ルール情報41と、タスクとしてのベーシックタスクを組み合わせて構成したカスタムタスクを利用して仮想的な作業を進める。
ルール情報41とは、上述のように例えば、使える溶接機の種類などである。ルール情報41とタスクを利用することにより、シミュレーションにおける仮想の作業員が的確に仮想的な作業を進めやすくなる。
本実施形態では、情報提供手段50から途中結果を提供した後に、ユーザから変更を加えた変更条件を受け付け、変更条件に基づいて時間発展系シミュレーションを実行する。これにより、ユーザの意向が反映された変更条件を基に精度よくシミュレーションを行うことができる。
図21はシミュレーションの疑似コードを示す図である。
ベーシックタスクは、時間発展系シミュレーション上で実行可能な関数であり、時間発展系シミュレーションを実行する前に、関数として構築しておく。ベーシックタスクは、引数が与えられ、その引数に関連したシミュレーションのオブジェクトを移動させたり占有したりといった、シミュレーションに必要な基本的な関数である。また、ベーシックタスクは、3次元的な制約を考慮した関数となる。
ベーシックタスクの組合せとしてカスタムタスクを構築する。タスクが時間発展系シミュレーションで実行可能な関数であるベーシックタスクを組み合わせて構築されるカスタムタスクを含むことで、作業の種類別に小さな作業を組み合わせたカスタムタスクにより、シミュレーションの精度を向上させることができる。
ベーシックタスクの具体例を下表11に示す。なおベーシックタスクは、表11に挙げたもの以外にも多数存在する。
・動く主体名と目的地の座標値を引数として持つ。
・シミュレーション上では、特定のスピードで主体者を移動させる関数となる。
・3次元的な地形を考慮して最短経路を自動算出する。
・経路の途中にマンホールやロンジなどの障害物が存在し、当該障害物をくぐったり跨いだりして越える必要がある場合、それに応じて速度を減速させる。
・主体名、対象溶接線名、及び利用する溶接機名を引数とする。
・シミュレーション上では、特定の溶接スピードで溶接線近くを移動させる関数となる。
・溶接機には電源ケーブル、トーチ、及びホースを再現し、ケーブルとホースは他のオブジェクトと干渉する。
・溶接線が上向きにある場合と下向きにある場合で溶接速度が変更される。
・主体名と目的地の座標値を引数とする。
・シミュレーション上では、特定の移動スピードで目的地まで移動する関数となる。
・本ベーシックタスクは、主体者が機器(クレーン)となる。機器については、外部からタスクを命じられて実行するという形態をとる。
・他のクレーンとの干渉判定を行い、移動可能な領域を制約として考慮する。
・カスタムタスクは、ベーシックタスクの組合せとして構築するものであり、パターン化又は慣習化された途切れない一連の作業の集合を一つのカスタムタスクとして表現する。例えば、カスタムタスクが配材タスクの場合は、「物へ移動→物をつかむ→物と移動→物を置く」となる。
・カスタムタスクに引数が渡され、その引数に基づいて、事前に決められた順番のベーシックタスクを構築していき、最終的にベーシックタスクのリストを構築する。
・カスタムタスクは、配材タスク、仮付タスク、溶接タスクなど、再現したいタスク毎に構築する。
・カスタムタスクは、インプットとして共通の引数とタスク毎に固有の引数を持つ。
・カスタムタスクには、人が主体となるものと、機器が主体となるものがある。例えば、配材タスクの主体は人(作業員)、自動溶接タスクの主体は機器(自動溶接機)となる。
この配材タスクのタスクタイプは「配材At」、関数名は「AtPick」、共通の引数は「タスク名,タスクタイプ,関数名,対象,利用ファシリティ,先行タスク,主体名,要求ファシリティ種別・個数」、固有の引数はなしとなる。
配材タスク「取りに行く」を構成するベーシックタスクのリストの例を以下に示す。
1.move (主体者,ファシリティの場所)
2.move (主体者とファシリティ,対象の場所)
3.CraneHoist (下げる)
4.Timeout (指定秒数)
5.CraneHoist (上げる)
なお、上記3のベーシックタスクはフックを下降させ、上記4のベーシックタスクは玉掛時間分待機させ、上記5のベーシックタスクはフックを上昇させるものである。
この配材タスクのタスクタイプは「配材At」、関数名は「AtPlace」、共通の引数は「タスク名,タスクタイプ,関数名,対象,利用ファシリティ,先行タスク,主体名,要求ファシリティ種別・個数」、固有の引数は「配材先の基準オブジェクト,座標値(x,y,z)、オイラー角(θ,φ,ψ)」となる。
配材タスク「配置する」を構成するベーシックタスクのリストの例を以下に示す。
1.move (主体者,ファシリティと対象,指定された座標値へ)
2.CraneHoist (下げる)
3.Timeout (指定秒数)
4.CraneHoist (上げる)
なお、上記3のベーシックタスクは物を取り外す時間分待機させるものである。
メソッドとしてのタスクを実行することにより,変数xf、xp、stを変化させる。そのために、各カスタムタスクのそれぞれに対してメソッドを定義するが、そのカスタムタスクをさらに細かなメソッドであるベーシックタスクの組合せで表現する。
まず、開始条件を確認するベーシックタスク(Wait_start)は、条件が満たされるまでは待つといったメソッドとなる。
道具を確保するベーシックタスク(Wait_hold)は、使用する道具がすべて空いていなければ待ち、空いていれば、本タスクのために占有する状態に変化させるといった基本的なメソッドとなる。
また、クレーンによって構成部品を移動させるなどの表現は、移動タスク(move)として表し、指定した速度で位置や角度を変更する。
溶接タスク(weld)は、プロダクトモデルに定義された溶接線情報を基に、溶接開始点までの移動と溶接姿勢に基づく速度で溶接トーチおよび作業者を移動させ、構成部品を次の中間部品へと変化させるといったメソッドとしている。このようなベーシックタスクの組合せで様々なタスクを表現し、メソッドとして事前(タスク実行ステップS12の前)に構築する。
このように、カスタムタスクはあらかじめ決められた標準的な手順を記載するものである。カスタムタスクは、時間発展系シミュレーションの前にカタログのように作っておく。カスタムタスクの一例は以下の通りである。
仮溶接(カスタムタスク):溶接機を取りに行く+クレーンを取りに行く+部品を吊る+位置をあわせる+仮止めする
このとき、どの道具(溶接機1又は溶接機2など)を選択するかはルール情報41(ルール1A、ルール1B、ルール2など)に基づいて決められる。また、ルール情報41のうちのルール3に関し、マグネット式のクレーンを使っていた場合は、道具を使用後に台車の上に置くという新たなタスクが発生する。もちろん、ルール情報41に基づかずに、使用する道具をユーザが指定することもできる。
図28は2つの入り口がある壁で囲まれた領域のうち、移動可能なメッシュを構成した例を示す図である。壁130付近はメッシュが存在しないため、壁130を回り込んで移動するような経路が生成されることとなる。実装には、例えばUnity(登録商標)のNavmeshAgentクラスを活用する。これによりベーシックタスクでは到達先の地点又は到達先のオブジェクトを指定することで、途中の経路は自動算出され入力の手間を大幅に削減することが可能となる。
図29に示すサンプルは、SUB_Fという名前の小組を想定している。すべての部品について、部品ごとのローカル座標系で、かつ安定な姿勢で定義している。なおソリッドモデルとしているが、他のデータ形式とすることもできる。
溶接線データは、溶接線1本ごとに定義し、溶接線のポリラインは、完成状態の座標系におけるものである。中央の図において実線は溶接線、点線は溶接線をトーチを当てる逆方向に引いた線である。また、右側の図は側方から見た図であり、「〇」は溶接線の位置、「△」は溶接線をトーチを当てる逆方向に引いた線の位置を示している。
なお、上述のように、本実施形態では溶接線が上向きにある場合と下向きにある場合で溶接速度が変更されるように定義しているが、実際の溶接速度に関するデータを予め取得して、それに基づいて溶接速度を変更することもできる。
ここでは、ひずみをとる目的で、小組段階で骨の裏側にガスバーナーで火をいれることを想定している。裏焼き線のポリラインは、完成状態の座標系におけるものである。左側の図において実線は裏焼き線、点線は裏焼き線をガスバーナーを向ける逆方向に引いた線である。また、右側の図は側方から見た図であり、「〇」は裏焼き線の位置、「△」は溶接線をガスバーナーを向ける逆方向に引いた線の位置を示している。
列Aはタイトルが「名前」であり、部品と溶接線の名前が記載されている。列Bはタイトルが「グループ名」であり、属するグループ名が記載されている。列Cはタイトルが「種別」であり、部品であれば「node」、線であれば「edge」が記載されている。列D、Eはタイトルが「node」であり、どの部品と部品をつなげる線かの情報が記載されている。列Fはタイトルが「Path」であり、形状データと溶接線データの保存場所を示すパスが記載されている。列Gはタイトルが「姿勢情報」であり、完成状態における部品の相対位置と角度が記載されている。列Hはタイトルが「重量」であり、部品の重量が記載されている。
列Aはタイトルが「LineName」であり、裏焼き線の名前が記載されている。列Bはタイトルが「LineType」であり、線のタイプが記載されている。列Cはタイトルが「ParentProductName」であり、どの製品(親プロダクト)を基準にするかの情報が記載されている。列Dはタイトルが「Path」であり、裏焼き線データの保存場所を示すパスが記載されている。
左側の図において、列Aはタイトルが「Name」であり、中間部品の名前が記載されている。列Bはタイトルが「ComponentName」であり、中間部品を構成する部材の名前が記載されている。列Cはタイトルが「isBasedProduct」であり、ベース板であれば「base」が記載されている。列Dはタイトルが「ProductPose」であり、ベース板の場合は、中間部品の局所座標系におけるベース板の位置と角度が記載されている。
また、右側の図は、板モデルの組立ツリーの例を示している。
列Aはタイトルが「TaskName」であり、タスクの名前が記載されている。列Bはタイトルが「TaskType」であり、タスクの種類が記載されている。列Cはタイトルが「FunctionName」であり、シミュレータ内の名前が記載されている。列D~Gにはタスクごとに必要な引数が記載されている。列Hはタイトルが「RequiredFacilityList」であり、必要ファシリティが記載されている。
列Bに記載されるタスクの種類としては、At1(配材)、Ft(仮付)、Wt(本溶接)、Tt(反転)、Dt(裏焼き)、At2又はAt3(製品の移動)などがある。
タスクごとに必要な引数が記載される列D~Gにおいて、列Dはタイトルが「TaskObject」であり、対象物が記載されている。列Eはタイトルが「TaskFacility」であり、利用するファシリティ名が記載されている。列Fはタイトルが「TaskConditions」であり、先行タスクが記載されている。列Gはタイトルが「TaskParameter」であり、タスクに固有なパラメータが記載されている。なお、列Fのタスクコンディション欄には「null」と記載されているが、これはシミュレーション内で自動決定される。
列Hの記載は、どの種別の道具が何個無いとできない作業なのかを示すものであり、例えば図中の「Crane 1」は、クレーンが1台無いとできない作業であることを示している。
また、建造時系列情報42は、非常に細かい作業レベルまで存在するので、タブレット等の携帯端末、AR(Augmented Reality)技術、MR(Mixed Reality)技術、又はホログラムディスプレイを活用した視覚的な確認や、VR(Virtual Reality)を用いた仮想空間における実寸大での確認ができるように、作業者に対して情報伝達することで、作業効率を向上させることができる。AIチャットボットなどで音声的に作業案内することも可能である。
ここで、図36は情報提供手段による出力処理の詳細フローである。
まず、プロダクトモデル、ファシリティモデル、プロセスモデル、スケジュール情報31、ルール情報41、及び建造時系列情報42を読み込む(出力情報読み込みステップS21)。
次に、表示に必要な計算や生成等を行い、建造時系列情報42を表示する(表示ステップS22)。建造時系列情報42は、ガントチャート、作業分解構成図、作業手順書、工数、又は動線の少なくとも一つを含むことが好ましい。このような可視化を行うことにより、ユーザはシミュレーションの結果としての建造時系列情報42を見て、構成部品又はファシリティの変更や、ボトルネックの分析・解明、工数予測など、建造に有益な知見を得ることができる。なお、作業分解構成図は、時系列情報から各タスクの開始時間や終了時間を記載できるため、直接的ではないが、建造時系列情報42として扱うことができる。また、工数とは、例えば、各作業にかかる日数を「〇〇人日」のように表したものである。また、作業分解構成図、工数以外の作業手順書や動線も時系列化された情報として表現することが可能である。
また、建造時系列情報42は、必要工程と工程同士の関係性や所要日数を確認できるパート(PERT)図として表現することもできる。
建造シミュレーション手段40は、変更されたファシリティモデル又はプロセスモデルを用いて、時間発展系シミュレーションと建造時系列情報42の生成を繰り返し実行する。これにより、船舶の建造が所期目標の範囲内に収まるシミュレーション結果を得ることができる。なお、対応可能な条件下とは、工場に既にあるファシリティ又は数日以内に調達可能なファシリティの範囲内であることをいう。日数のかかる設備の導入や作業員の採用等は含まない。また、所期目標としては、例えば所定の時間等が設定されるが、それだけでなく、作業の平準化(作業負荷を分散できているか)や、作業場の安全確保、危険性の有無等を含めることができる。
図37は本実施形態による船舶の建造シミュレーションシステムを機能実現手段で表したブロック図である。
本実施形態の船舶の建造シミュレーションシステムは、その設置場所とは異なる場所に位置するA工場、B工場、C工場、及びD社と、情報通信回線80で接続されている。なお、D社は工場ではないが、例えば、工場を統括する本社、共同で船舶を建造するための取りまとめをする会社、船舶の基本設計を専門的に行う会社、また生産行為を認証する会社等である。
プロダクトモデル取得手段10は、船舶の基本設計情報11に基づいて作成されたプロダクトモデルを取得する。具体的には、A工場、B工場、C工場、及びD社のいずれかで設計された基本設計情報11を情報通信回線80を介して取得し、基本設計情報11として完成部品と完成部品を構成する構成部品の結合関係が明確な場合は、建造の役割や分担等を人が決め各工場のプロダクトモデルを作成する。構成部品の結合関係が明確になっていない場合は、基本設計情報11に基づいて建造シミュレーションシステム自体、又は結合関係明確化手段を用いて結合関係を明確にし、建造の役割や分担等を決め各工場のプロダクトモデルを作成する。
ファシリティモデル取得手段20は、A工場、B工場、及びC工場それぞれの設備情報21と作業員情報22に基づいて作成された工場ごとのファシリティモデルを取得する。具体的には、A工場、B工場、及びC工場それぞれから情報通信回線80を介して取得した設備情報21と作業員情報22に基づいて、人が支援手段を用いて抽象化し、シミュレーションで扱える体系化されたデータ群としてファシリティモデルを作成する。
また、プロセスモデル作成手段30は、取得したプロダクトモデルとファシリティモデルに基づいて工場ごとのプロセスモデルを作成し、建造シミュレーション手段40は、プロダクトモデルに対して工場ごとの時間発展系シミュレーションを行う。
これにより、一つのプロダクトモデルから工場ごとのプロセスモデルが作成され、工場ごとのファシリティモデルを用いたシミュレーションが行われるため、各工場での製造コストや工期を比較することができ、建造コストのさらなる低減や工期のさらなる短縮につながる。また、例えば、共同で単数隻又は複数隻の船舶の建造を受注した場合、複数の工場が共同で船舶を建造する際の受注時のコスト予測や、設備投資などを検討することも可能となる。例えば、各工場で仕事を分担することで年間何隻の受注が可能かなどといった受注機会の検討や、どのブロックをどの程度各工場に割り振るのが最も効率的かつ有益なのかの検討に、シミュレーション結果を用いることができる。また、或る会社が或るブロックを外注しようとする場合に、外注候補先の会社のファシリティモデルを用いてシミュレーションを行い、その結果を基にコストや工期等を検討することも可能である。
なお、複数の工場は、同じ会社がすべて所有するものであっても、異なる会社が其々所有する工場であってもよい。また、船舶の建造シミュレーションシステムに、複数の工場を遠隔からモニターして管理する機能を持たせることも可能である。
これにより、ユーザは迅速かつ的確に、各工場での製造コストや工期などを比較することができる。
これにより、船舶の建造シミュレーションシステムが遠隔地にあったとしても、基本設計情報11の取得や建造時系列情報42の提供を、情報通信回線80を介して迅速に行うことができる。
また、船舶の基本設計情報11は、CADシステムから取得するので、CADシステムで作成された船舶の基本設計情報11をプロダクトモデルの作成等に容易、かつ有効に利用できる。なお、CADシステムは、A工場、B工場、及びC工場に設置されているが、一つの工場で代表して設計することも、複数の工場で分担して設計することできる。また、代表した工場にのみCADシステムを配置してもよい。
工場の改善情報とは、例えばクレーンの更新や能力アップ、又は作業者の増員等である。工場の改善情報を取得して用いることで、工場の設備や作業員を変更し改善した場合のシミュレーションを行うことができる。
図38は本実施形態による船舶の建造シミュレーションシステムを機能実現手段で表したブロック図である。
本実施形態の船舶の建造シミュレーションシステムは、船舶の建造に関わる共通データベース90をさらに備えている。共通データベース90は、基本設計情報データベース、設備情報データベース、作業員情報データベース、ルール情報データベース、及び時系列情報データベースを有する。
プロダクトモデル取得手段10は、基本設計情報11を共通データベース90から取得する。また、ファシリティモデル取得手段20は、設備情報21と作業員情報22に基づいて作成された船舶の建造に関わる設備と作業員に関するファシリティモデルを共通データベース90から取得する。また、プロセスモデル作成手段30は、プロセスモデルに関連したプロセスモデル関連情報を共通データベース90から取得する。また、建造シミュレーション手段40は、ルール情報41を共通データベース90から取得する。このように共通データベース90から各種情報を取得することで、情報の種類ごとに別々のデータベースが設けられている場合と比べて情報の取得が容易となり、情報の共同利用が可能となり、またデータベースの管理を一元化することができる。
なお、共通データベース90は、物理的にまとまったデータベースであってもよいし、通信回線を介して連係する分散型のデータベースであってもよい。また、データベース化する上での基本要件として、蓄積されるデータは、例えば、共通的な呼称や番号付等を有する標準化されたデータ構造に基づくことが好ましい。
図39は本実施形態による船舶の建造シミュレーションシステムを機能実現手段で表したブロック図である。
本実施形態の船舶の建造シミュレーションシステムは、コスト計算手段100と、部品調達計画手段110と、生産計画システム連係手段120をさらに備えている。
コスト計算手段100は、建造時系列情報42に基づいて、船舶の建造に関わるコストを計算する。これにより、建造時系列情報42に基づいて計算された船舶の建造に関わるコストを簡便に得ることができる。また、建造時系列情報42に基づいて算出することで、治具の材料費、電気代、溶接ワイヤーの消費量など、従来よりも細かくコストを算出しやすくなる。
3DCADモデルのファイルは、Unity(登録商標)にインポート可能な汎用的な中間ファイル形式であるOBJ形式(Wavefront Technologies社)を採用した。
図40はケース1の組立シナリオにおけるシミュレーションの計算結果のガントチャートである。縦軸の名称は各ファシリティとプロダクト(完成部品、中間部品、構成部品)を表し、横軸は時間(s)を示している。縦線の横棒は配材タスク、横線の横棒は仮溶接タスク、斜線の横棒は本溶接タスクで占有した時間を示している。
ケース1のシナリオでは、5枚板モデルに対して、鉄工職1名と溶接職1名の計2名の作業員で組み立て作業を行う。定めた各作業員のスケジュールは表7の通りである。表7の2行目の作業員1が鉄工職であり、2行目の作業員2が溶接職である。各作業員は表7に記載した順にタスクを実施していく。
このシナリオに基づき船舶の建造シミュレーションシステムによって計算されたガントチャートである図40から、縦線の横棒で示される各板P1~P5の配材にかかる時間が約370秒であることがわかる。この時間は全体の約4分の1弱に相当している。この配材にかかる時間は、従来の溶接長から算出する方法では直接的に計算できないものであり、付随作業に相当する。また、作業員2は、配材と仮溶接タスクが終わらない限り作業を開始できないため、480秒近く待つことになる。その後、作業員2が中間部品U2を完成させるまで作業員1はタスクを待つ必要があり、1100秒付近から仮溶接タスクを実行して終了となる。
このように、船舶の建造シミュレーションシステムによって、従来の算出法だけでは計算できないような各タスクの必要な時間が計算され、タスクの進行度合いによって待ち時間が発生する様子が再現されている。
図41はケース2の組立シナリオにおけるシミュレーションの計算結果のガントチャートである。縦軸の名称は各ファシリティとプロダクト(完成部品、中間部品、構成部品)を表し、横軸は時間(s)を示している。縦線の横棒は配材タスク、横線の横棒は仮溶接タスク、斜線の横棒は本溶接タスクで占有した時間を示している。また、図42はケース2におけるシミュレーションの3次元的な外観図である。
ケース2では、ケース1と同様に5枚板モデルを対象として、鉄工職2名(作業員1、3)と溶接職2名(作業員2、4)の計4名の作業員に増やしたシナリオを設定した。それに合わせて、溶接機を2台追加している。各作業員のスケジュールは下表16の通りである。
このように、従来の能率という考えでは検討できない内容まで検討することが可能となり、定量的差とその根拠が明確となる。
また、図42に示すように、各モデルの3次元オブジェクトの位置が変更している様子を直接的に確認することも可能である。
11 基本設計情報
20 ファシリティモデル取得手段
21 設備情報
22 作業員情報
30 プロセスモデル作成手段
31 スケジュール情報
32 工場レイアウト情報
40 建造シミュレーション手段
41 ルール情報
42 建造時系列情報
50 情報提供手段
60 モデル変更指示手段
70 過去船データベース
80 情報通信回線
90 共通データベース
100 コスト計算手段
110 部品調達計画手段
120 生産計画システム連係手段
140 生産計画システム
Claims (21)
- 設計された船舶の建造をシミュレーションするシステムであって、
前記船舶の基本設計情報に基づいて作成されたプロダクトモデルを取得するプロダクトモデル取得手段と、前記船舶を建造する工場の設備情報と、作業員情報に基づいて作成された前記船舶の建造に関わる設備と作業員に関するファシリティモデルを取得するファシリティモデル取得手段と、取得した前記プロダクトモデルと前記ファシリティモデルに基づいて、前記船舶を建造するための組み立て手順とタスクを明確化しプロセスモデルを作成するプロセスモデル作成手段と、前記プロセスモデルに基づいて時間ごとの建造の進行状況を逐次計算する時間発展系シミュレーションを行う建造シミュレーション手段と、前記時間発展系シミュレーションの結果を建造時系列情報として提供する情報提供手段とを備え、
前記建造シミュレーション手段における前記時間発展系シミュレーションの途中結果を、前記情報提供手段から提供することを特徴とする船舶の建造シミュレーションシステム。 - 設計された船舶の建造をシミュレーションするシステムであって、
前記船舶の基本設計情報に基づいて作成されたプロダクトモデルを取得するプロダクトモデル取得手段と、前記船舶を建造する工場の設備情報と、作業員情報に基づいて作成された前記船舶の建造に関わる設備と作業員に関するファシリティモデルを取得するファシリティモデル取得手段と、取得した前記プロダクトモデルと前記ファシリティモデルに基づいて、前記船舶を建造するための組み立て手順とタスクを明確化しプロセスモデルを作成するプロセスモデル作成手段と、前記プロセスモデルに基づいて時間ごとの建造の進行状況を逐次計算する時間発展系シミュレーションを行う建造シミュレーション手段と、前記時間発展系シミュレーションの結果を建造時系列情報として提供する情報提供手段とを備え、
前記建造シミュレーション手段が前記時間発展系シミュレーションを行う以前に、前記作業員が自律的に仮想的な作業を進めるためのルール情報を取得することを特徴とする船舶の建造シミュレーションシステム。 - 設計された船舶の建造をシミュレーションするシステムであって、
前記船舶の基本設計情報に基づいて作成されたプロダクトモデルを取得するプロダクトモデル取得手段と、前記船舶を建造する工場の設備情報と、作業員情報に基づいて作成された前記船舶の建造に関わる設備と作業員に関するファシリティモデルを取得するファシリティモデル取得手段と、取得した前記プロダクトモデルと前記ファシリティモデルに基づいて、前記船舶を建造するための組み立て手順とタスクを明確化しプロセスモデルを作成するプロセスモデル作成手段と、前記プロセスモデルに基づいて時間ごとの建造の進行状況を逐次計算する時間発展系シミュレーションを行う建造シミュレーション手段と、前記時間発展系シミュレーションの結果を建造時系列情報として提供する情報提供手段とを備え、
前記建造シミュレーション手段が前記時間発展系シミュレーションを行う以前に、前記作業員が自律的に仮想的な作業を進めるためのルール情報として、前記作業員に付与される判断ルールであるブレインを取得することを特徴とする船舶の建造シミュレーションシステム。 - 前記プロセスモデルは、前記船舶の組み立てに関連した部品の依存関係を表す組立ツリーと、組み立てに当たって必要な前記タスク間の依存関係を表すタスクツリーを含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の船舶の建造シミュレーションシステム。
- 前記タスクは、前記建造シミュレーション手段における前記時間発展系シミュレーションで実行可能な関数であるベーシックタスクを組み合わせて構築されるカスタムタスクを含むことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の船舶の建造シミュレーションシステム。
- 前記プロセスモデル作成手段が、前記組み立て手順と前記タスクに基づいて前記作業員のスケジュール情報、及び前記設備と前記作業員の配置に関する工場レイアウト情報の少なくとも一方を作成し、前記情報提供手段からも提供可能とすることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の船舶の建造シミュレーションシステム。
- 前記プロセスモデル作成手段が、前記プロセスモデルの作成に当たって、過去に建造した過去船のプロセスデータを過去船データベースから参照し、流用することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の船舶の建造シミュレーションシステム。
- 前記建造シミュレーション手段における前記時間発展系シミュレーションは、時間ごとの前記船舶の完成部品又は構成部品の位置、前記設備及び前記作業員の位置と占有状況、前記組み立て手順と前記タスクの進行状況を逐次計算するものであることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の船舶の建造シミュレーションシステム。
- 前記情報提供手段で提供する前記建造時系列情報は、ガントチャート、作業分解構成図、作業手順書、工数、又は動線の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の船舶の建造シミュレーションシステム。
- 前記建造時系列情報の結果が、所期目標の範囲を超えているかを判断し、超えている場合は、対応可能な条件下で前記ファシリティモデル、及びプロセスモデルの少なくとも一方を変更する指示を行うモデル変更指示手段をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の船舶の建造シミュレーションシステム。
- 前記ファシリティモデル取得手段が、複数の前記工場の前記設備情報と前記作業員情報に基づいて作成された前記工場ごとの前記ファシリティモデルを取得し、前記プロセスモデル作成手段が、前記工場ごとの前記プロセスモデルを作成し、前記建造シミュレーション手段が、前記プロダクトモデルに対して前記工場ごとの前記時間発展系シミュレーションを行うことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の船舶の建造シミュレーションシステム。
- 前記建造シミュレーション手段における前記工場ごとの前記時間発展系シミュレーションの結果を、比較可能な状態で前記情報提供手段から提供することを特徴とする請求項11に記載の船舶の建造シミュレーションシステム。
- 前記プロダクトモデル取得手段が、前記船舶の前記基本設計情報を情報通信回線を介して取得し、前記情報提供手段が前記建造時系列情報を、前記情報通信回線を介して提供することを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の船舶の建造シミュレーションシステム。
- 前記船舶の前記基本設計情報は、CADシステムから取得することを特徴とする請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の船舶の建造シミュレーションシステム。
- 前記ファシリティモデル取得手段が、前記工場の改善情報としての前記設備情報と前記作業員情報の少なくとも一方に基づいて作成された前記工場の前記ファシリティモデルを取得し、前記建造シミュレーション手段が、前記工場の前記改善情報に基づいた前記時間発展系シミュレーションを行い、前記情報提供手段が前記改善情報に基づいた前記建造時系列情報を提供することを特徴とする請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の船舶の建造シミュレーションシステム。
- 前記船舶の建造に関わる共通データベースをさらに備え、前記プロダクトモデル取得手段が前記基本設計情報を、前記ファシリティモデル取得手段が前記設備情報と前記作業員情報を、前記プロセスモデル作成手段が前記プロセスモデルに関連したプロセスモデル関連情報を前記共通データベースから取得することを特徴とする請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の船舶の建造シミュレーションシステム。
- 前記情報提供手段が、前記建造時系列情報を前記共通データベースに提供することを特徴とする請求項16に記載の船舶の建造シミュレーションシステム。
- 前記共通データベースが、前記プロセスモデル関連情報として前記過去船の前記プロセスデータを提供する前記過去船データベースも含むことを特徴とする請求項7を引用する請求項16又は請求項17に記載の船舶の建造シミュレーションシステム。
- 前記建造時系列情報に基づいて、前記船舶の建造に関わるコストを計算するコスト計算手段をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項18のいずれか1項に記載の船舶の建造シミュレーションシステム。
- 前記建造時系列情報に基づいて、前記船舶の建造に必要な購入部品の購入計画を作成する部品調達計画手段をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項19のいずれか1項に記載の船舶の建造シミュレーションシステム。
- 前記建造時系列情報に基づいて、前記船舶の建造に関わる生産計画を立案する生産計画システムと連係する生産計画システム連係手段をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項20のいずれか1項に記載の船舶の建造シミュレーションシステム。
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