JP2023008321A - 標準化されたデータ構造に基づく船舶の建造シミュレーション方法及び建造シミュレーションシステム - Google Patents

標準化されたデータ構造に基づく船舶の建造シミュレーション方法及び建造シミュレーションシステム Download PDF

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Abstract

【課題】複数の工場で分担して行う場合の船舶の建造を細かな作業レベルでシミュレーションし分担を最適化することができる標準化されたデータ構造に基づく船舶の建造シミュレーション方法及び建造シミュレーションシステムを提供すること。【解決手段】標準化されたデータ構造を有する船舶の設計に関わる基本設計情報を取得してプロダクトモデルを作成するステップS2と、複数の工場の設備情報と作業員情報を取得し、標準化されたデータ構造にして船舶の建造に関わるファシリティモデルを作成するステップS3と、プロダクトモデルとファシリティモデルに基づいて、複数の工場ごとの船舶の組み立て手順とタスクを標準化されたデータ構造で表現したプロセスモデルを作成するステップS4と、プロセスモデルに基づいて複数の工場ごとの建造シミュレーションを行うステップS5と、建造シミュレーションの結果を時系列データ化し建造時系列情報とするステップS7を実行する。【選択図】図1

Description

特許法第30条第2項適用申請有り 1.令和2年7月21日,講演集 2.令和2年7月27日,講演原稿 3.令和2年7月28日,講演 4.令和2年9月9日,講演
本発明は、複数の工場での船舶の建造を標準化されたデータ構造に基づいてシミュレーションする、標準化されたデータ構造に基づく船舶の建造シミュレーション方法、及び建造シミュレーションシステムに関する。
世界の新造船市場は、2008年のリーマンショック以降に受注量及び建造量が激減しており、造船会社は非常に厳しい経営環境におかれている。経営環境を改善するためには、生産効率の向上やコスト削減等が重要となる。
造船の生産(建造)計画や日程計画の設定根拠となる各作業の作業量、つまり工数は、一般に「工数=管理物量あたりの標準時間×管理物量」の考え方に基づき求められている。
しかし、本質的には、管理物量に比例するのは主作業(それによって製品が完成に向かって進む作業)のみであり、付随作業(それをしないと主作業を進められないが、それ自体では製品が完成に向かって進まない作業)や無付加価値行為(製品の完成に対して何の価値もない行為)は管理物量と違う次元で決まるにもかかわらず、現状、これらをすべて管理物量に比例するものとして簡便に扱っている。造船における主作業率は、職種にもよるが一般に30~40%との報告があり、工数を管理物量から比例的に推定することには精度上の課題がある。
一方で、製造工程のシミュレーションを実施するラインシミュレータが存在するが、すべての細かな作業の一つ一つを手入力する必要がある。また、ラインシミュレータは、ライン生産のように物の流れと作業者の動きが決まっており同様の作業を繰り返すシミュレーションには向いているものの、造船のように様々な作業を状況に応じて変更するようなシミュレーションには向いていない。
ここで、特許文献1には、各造船所の各々異なる環境と関係なく共通的に適用される船舶及び海洋プラント生産シミュレーションフレームワークと、この船舶及び海洋プラント生産シミュレーションフレームワークに基づき、各造船所の異なる環境に合わせて差別的に適用される造船海洋工程の相互検証シミュレーションシステム、ブロックのクレーンリフティング及び搭載シミュレーションシステム、GIS情報基盤設備シミュレーションシステム、及びブロック及び物流管制シミュレーションシステムを分離可能に結合することによって、各造船所の状況に合わせて効果的に適用される拡張性とリサイクル性を備えた船舶及び海洋プラント生産シミュレーション統合ソリューションシステムが開示されている。
また、特許文献2には、プロジェクト計画を生成する方法であって、タスク間の順位関係を記述する情報、タスクの所要時間を示す情報、及びタスクの所要時間の変動性を示す情報を含むプロジェクト明細情報をプロセッサユニットによって受信し、プロジェクト明細情報を使用してプロセッサユニットによって、プロジェクトのシミュレーションモデルを生成し、シミュレーションモデルを複数回実行して、クリティカルパスを形成しているタスクのサブセットを識別して、シミュレーション結果データを生成し、シミュレーション結果データから、クリティカルパスを形成しているタスクの識別されたサブセットを含むプロジェクトネットワークプレゼンテーションを生成することを含み、プロジェクト明細情報は、テキストファイル、電子スプレッドシートファイル、及び拡張マークアップ言語ファイルからなる情報形式のグループから選択された情報形式でプロセッサユニットによって受信される方法が開示されている。
また、特許文献3には、複数の工程からなる生産対象物の生産スケジューリングを行うスケジューリング装置であって、工程の接続順序関係を設定するための工程接続情報と、工程に含まれる各ブロックの移動経路を設定するブロックフロー情報と、各ブロックの各工程での工期を設定する作業工期情報と、各工程の制約条件とが蓄積された蓄積手段と、蓄積手段に蓄積された情報から工程を下流から上流に遡る順序に並べ替える解釈手段と、解釈手段により得られる並べ替え後の工程データに基づいてスケジューリングモデルを作成するモデル作成手段と、モデル作成手段により得られるスケジューリングモデル毎にスケジュールを最適化する日程計画作成手段と、日程計画作成手段により得られるスケジューリング結果を出力する出力手段とを有するスケジューリング装置が開示されている。
また、特許文献4には、工程計画と、工程計画に基づく設備配置計画と、工程計画および設備配置計画に基づく配員計画と、工程計画、設備配置計画および配員計画に基づく生産計画とを用い、各計画において作成された生産ラインモデルにより、生産活動をシミュレーションして各計画の評価規範値を作成し、規範値により各計画の良否を判定し、それに基づき計画の修正を行う生産システム計画方法が開示されている。
また、非特許文献1には、造船CIMを構築するための工程管理に対応する具体的なはたらきとしてProcess PlanningとSchedulingが挙げられ、Process Planningでは、製品情報について製造現場に関する概念的な知識に基づき製造のための方法・手順を決定すること、Schedulingでは、実際の製造現場における具体的な状況に関する知識に基づいてProcess Planningの結果を時間・現場機材の活用の観点から展開し、納期その他の条件を満たす日程計画を作成することが記載されていると共に、オブジェクト指向に基づく工程管理のための造船工場モデルが開示されている。
また、非特許文献2には、船舶建造プロセスにおける生産設備の導入効果を評価するため、生産プロセスで対象とする製品の製造誤差に基づく手直し作業を考慮した生産プロセスシミュレーションを利用して、新規生産設備導入によるプロセス全体の期間と費用への影響を評価する手法が開示されており、当該生産プロセスシミュレーションにおいては、造船所の作業場所の制約と作業員のスキルを考慮することが記載されている。
実用新案登録第3211204号公報 特開2013-117959号公報 特開2007-183817号公報 特開2003-162313号公報
小山健夫,外1名,"造船CIM構築のための工程管理システムに関する基礎的研究",日本造船学会論文集,日本造船学会,平成元年11月,第166号,p.415-423 満行泰河,外3名,"船舶建造プロセスシミュレーションを用いた生産設備の導入に関する研究",日本船舶海洋工学会論文集,日本船舶海洋工学会,2016年12月,第24号,p291-298
特許文献1-4、及び非特許文献1-2は、建造のシミュレーションにおいて複数の工場で分担して行う場合の作業員の生産行為を主作業や付随作業まで含めて精密に再現しようとするものではない。
そこで本発明は、複数の工場で分担して行う場合の船舶の建造を細かな作業レベルでシミュレーションし分担を最適化することができる標準化されたデータ構造に基づく船舶の建造シミュレーション方法及び建造シミュレーションシステムを提供することを目的とする。
請求項1記載に対応した標準化されたデータ構造に基づく船舶の建造シミュレーション方法においては、複数の工場での船舶の建造を標準化されたデータ構造に基づいてシミュレーションする方法であって、標準化されたデータ構造を有する船舶の設計に関わる基本設計情報を取得してプロダクトモデルを作成するプロダクトモデル作成ステップと、複数の工場の設備情報と作業員情報を取得し、標準化されたデータ構造にして船舶の建造に関わる設備と作業員に関するファシリティモデルを作成するファシリティモデル作成ステップと、プロダクトモデルとファシリティモデルに基づいて、複数の工場ごとの船舶の組み立て手順とタスクを標準化されたデータ構造で表現したプロセスモデルを作成するプロセスモデル作成ステップと、プロセスモデルに基づいて複数の工場ごとの建造シミュレーションを行う建造シミュレーションステップと、建造シミュレーションの結果を時系列データ化し建造時系列情報とする時系列情報化ステップとを実行することを特徴とする。
請求項1に記載の本発明によれば、複数の工場で分担して行う場合の船舶の建造を標準化したデータを用いて、細かな作業レベルでシミュレーションすることが可能となり、その精度の高いシミュレーション結果としての建造時系列情報に基づいて複数の工場の作業の分担の最適化を図り、協業による建造コストの低減や工期の短縮等が実現できる。また、各工場の改善、生産設計の改善、受注時のコスト予測、及び設備投資などを検討することができる。
請求項2記載の本発明は、プロダクトモデル作成ステップにおける標準化されたデータ構造を有する船舶の設計に関わる基本設計情報は、図面内名称の統一を含む統一化された設計標準に基づく情報であることを特徴とする。
請求項2に記載の本発明によれば、図面に記載される名称などについて種々の標準化(コードの体系化)を行いその統一化された設計標準に基づく基本設計情報を用いることで、プロダクトモデルの作成が容易となる。例えば、基本設計情報を作成するに当たって、図面内で用いられる部品名称や使用工具の名称等が統一されるため、船舶の設計等を複数人で分担して実施する際の効率が向上し、また、分割された設計業務を各人で齟齬なく進行させることができる。これにより、設計の長期化及びコストアップを抑制できる。また、基本設計情報として図面内名称等が統一化されたものであるため、ファシリティモデルやプロセスモデルの作成も容易となり、さらに新船型船の図面を複数の工場で共有する場合も理解が容易となる。
請求項3記載の本発明は、ファシリティモデル作成ステップにおける標準化されたデータ構造の設備情報と作業員情報は、名前、種別、及び能力を含む統一化された仕様に基づく情報であることを特徴とする。
請求項3に記載の本発明によれば、各設備や各作業員の名前、種別、能力等が統一的な仕様に基づいて定義されるため、標準化されたデータ構造によりファシリティモデルの作成が容易にできる。例えば、工程の策定等を複数人で分担して実施する際の効率が向上し、また、分割された業務を各人で齟齬なく進行させることができる。また、プロセスモデルの作成も容易となる。
請求項4記載の本発明は、プロセスモデル作成ステップにおける標準化されたデータ構造としたプロセスモデルは、組み立てとタスクに関する統一的に体系化されたモデルであることを特徴とする。
請求項4に記載の本発明によれば、組み立てとタスクという船舶の建造にとっての主要の項目が統一的に体系化されるため、標準化されたデータ構造により建造シミュレーションが的確にできる。
請求項5記載の本発明は、時系列情報化ステップにおいて時系列データ化した建造時系列情報は、ガントチャートを含むことを特徴とする。
請求項5に記載の本発明によれば、ガントチャートを含む建造時系列情報により、ユーザは、複数の工場間の作業進捗や日程を視覚的に比較し、作業分担の最適化、協業の可否等を判断することが可能となる。また、分担する船舶や構成部品の変更、ボトルネックの分析・解明、工数予測など、建造に有益な知見を得ることができる。さらに複数の各工場は、建造時系列情報を工程管理や日程管理等に利用することが可能となり、各工場のファシリティの変更の検討に役立てることもできる。
請求項6記載の本発明は、プロダクトモデル作成ステップ及びプロセスモデル作成ステップを通じて船舶の建造に関わる船舶、又は艤装品のBOM(Bill Of Materials)を作成するBOM作成ステップをさらに有することを特徴とする。
請求項6に記載の本発明によれば、プロダクトモデルとプロセスモデルの作成を通じてBOMを作成して有効活用することにより、複数の工場で共同して造船を行う場合の情報共有が容易となり、大量の部品を取り扱う造船において、建造に用いる部品及び艤装品の調達や管理を円滑かつ適切に行うことができる。
請求項7記載の本発明は、プロダクトモデル作成ステップ、ファシリティモデル作成ステップ、プロセスモデル作成ステップ、及び時系列情報化ステップの少なくともいずれかを実行するに当たり、API(Application Programing Interface)を活用してデータ連携を行うことを特徴とする。
請求項7に記載の本発明によれば、基本設計情報の取得、設備情報と作業員情報の取得、プロセスモデルや時系列情報等の複数の工場間でのデータの受け渡し等をスムーズに行うことができる。
請求項8記載の本発明は、複数の工場での船舶の建造を標準化されたデータ構造に基づいてシミュレーションするに当たって、複数の工場のアライアンスと船舶の建造を計画する基本計画ステップをさらに有することを特徴とする。
請求項8に記載の本発明によれば、受注した船舶の設計や建造の分担、また建造日程等の基本計画に基づいて、アライアンスを組んで複数の工場で船舶の建造を行う際のシミュレーションを的確に行うことができる。
請求項9記載の本発明は、複数の工場での船舶の建造を標準化されたデータ構造に基づいてシミュレーションした結果を活用する活用ステップをさらに有することを特徴とする。
請求項9に記載の本発明によれば、複数の工場における船舶の建造をシミュレーションした建造時系列情報を活用して建造を行うことができる。例えば、事前に正確な工数算出と最適な製造工程を検証し、様々な改善法案を吟味して建造効率等を最大化することが可能となる。
請求項10記載に対応した標準化されたデータ構造に基づく船舶の建造シミュレーションシステムにおいては、複数の工場での船舶の建造を標準化されたデータ構造に基づいてシミュレーションするシステムあって、標準化されたデータ構造を有する船舶の設計に関わる基本設計情報を取得してプロダクトモデルを作成するプロダクトモデル作成手段と、複数の工場の設備情報と作業員情報を取得し、標準化されたデータ構造にして船舶の建造に関わる設備と作業員に関するファシリティモデルを作成するファシリティモデル作成手段と、プロダクトモデルとファシリティモデルに基づいて、複数の工場ごとの船舶の組み立て手順とタスクを標準化されたデータ構造としたプロセスモデルを作成するプロセスモデル作成手段と、プロセスモデルに基づいて複数の工場ごとの建造シミュレーションを行う建造シミュレーション手段と、建造シミュレーションの結果を時系列データ化し建造時系列情報とする時系列情報化手段を備えたことを特徴とする。
請求項10に記載の本発明によれば、複数の工場で分担して行う場合の船舶の建造を標準化したデータを用いて、細かな作業レベルでシミュレーションすることが可能となり、その精度の高いシミュレーション結果としての建造時系列情報に基づいて複数の工場の作業の分担の最適化を図り、協業による建造コストの低減や工期の短縮等が実現できる。また、各工場の改善、生産設計の改善、受注時のコスト予測、及び設備投資などを検討することができる。
請求項11記載の本発明は、時系列情報化手段において時系列データ化した建造時系列情報は、ガントチャートを含むことを特徴とする。
請求項11に記載の本発明によれば、ガントチャートを含む建造時系列情報により、ユーザは、複数の工場間の作業進捗や日程を視覚的に比較し、作業分担の最適化、協業の可否等を判断することが可能となる。また、分担する船舶や構成部品の変更、ボトルネックの分析・解明、工数予測など、建造に有益な知見を得ることができる。さらに、複数の各工場は、建造時系列情報を工程管理や日程管理等に利用することが可能となり、各工場のファシリティの変更の検討に役立てることもできる。
請求項12記載の本発明は、プロダクトモデル作成手段及びプロセスモデル作成手段を活用して船舶の建造に関わる船舶、又は艤装品のBOM(Bill Of Materials)を作成するBOM作成手段をさらに備えたことを特徴とする。
請求項12に記載の本発明によれば、プロダクトモデルとプロセスモデルの作成を通じてBOMを作成して有効活用することにより、複数の工場で共同して造船を行う場合の情報共有が容易となり、大量の部品を取り扱う造船において、建造に用いる部品及び艤装品の調達や管理を円滑かつ適切に行うことができる。
請求項13記載の本発明は、プロダクトモデル作成手段、ファシリティモデル作成手段、プロセスモデル作成手段、及び時系列情報化手段の少なくともいずれかを動作させるに当たり、API(Application Programing Interface)を活用してデータ連携を行うことを特徴とする。
請求項13に記載の本発明によれば、基本設計情報の取得、設備情報と作業員情報の取得、プロセスモデルや時系列情報等の複数の工場間でのデータの受け渡し等をスムーズに行うことができる。
請求項14記載の本発明は、複数の工場での船舶の建造を標準化されたデータ構造に基づいて行うシミュレーションは、複数の工場のアライアンスと船舶の建造を計画する基本計画に基づくものであることを特徴とする。
請求項14に記載の本発明によれば、受注した船舶の設計や建造の分担、また建造日程等の基本計画に基づいて、アライアンスを組んで複数の工場で船舶の建造を行う際のシミュレーションを的確に行うことができる。
請求項15記載の本発明は、複数の工場での船舶の建造を標準化されたデータ構造に基づいてシミュレーションした結果を提供する情報提供手段と、前記情報提供手段から提供される情報を複数の工場における船舶の建造に活用する活用手段をさらに備えたことを特徴とする。
請求項15に記載の本発明によれば、複数の工場における船舶の建造をシミュレーションした情報を活用して建造を行うことができる。例えば、事前に正確な工数算出と最適な製造工程を検証し、様々な改善法案を吟味して建造効率等を最大化することが可能となる。
請求項16記載の本発明は、複数の工場での船舶の建造を標準化されたデータ構造に基づいてシミュレーションするに当たり、複数の工場にそれぞれ備えたコンピュータを情報通信網を介して接続したことを特徴とする。
請求項16に記載の本発明によれば、船舶の建造シミュレーションシステムと各工場のコンピュータとの間でのデータの取得や受け渡し等を情報通信網を介して迅速に行うことができる。
本発明の標準化されたデータ構造に基づく船舶の建造シミュレーション方法によれば、複数の工場で分担して行う場合の船舶の建造を標準化したデータを用いて、細かな作業レベルでシミュレーションすることが可能となり、その精度の高いシミュレーション結果としての建造時系列情報に基づいて複数の工場の作業の分担の最適化を図り、協業による建造コストの低減や工期の短縮等が実現できる。また、各工場の改善、生産設計の改善、受注時のコスト予測、及び設備投資などを検討することができる。
また、プロダクトモデル作成ステップにおける標準化されたデータ構造を有する船舶の設計に関わる基本設計情報は、図面内名称の統一を含む統一化された設計標準に基づく情報である場合には、図面に記載される名称などについて種々の標準化(コードの体系化)を行いその統一化された設計標準に基づく基本設計情報を用いることで、プロダクトモデルの作成が容易となる。例えば、基本設計情報を作成するに当たって、図面内で用いられる部品名称や使用工具の名称等が統一されるため、船舶の設計等を複数人で分担して実施する際の効率が向上し、また、分割された設計業務を各人で齟齬なく進行させることができる。これにより、設計の長期化及びコストアップを抑制できる。また、基本設計情報として図面内名称等が統一化されたものであるため、ファシリティモデルやプロセスモデルの作成も容易となり、さらに新船型船の図面を複数の工場で共有する場合も理解が容易となる。
また、ファシリティモデル作成ステップにおける標準化されたデータ構造の設備情報と作業員情報は、名前、種別、及び能力を含む統一化された仕様に基づく情報である場合には、各設備や各作業員の名前、種別、能力等が統一的な仕様に基づいて定義されるため、標準化されたデータ構造によりファシリティモデルの作成が容易にできる。例えば、工程の策定等を複数人で分担して実施する際の効率が向上し、また、分割された業務を各人で齟齬なく進行させることができる。また、プロセスモデルの作成も容易となる。
また、プロセスモデル作成ステップにおける標準化されたデータ構造としたプロセスモデルは、組み立てとタスクに関する統一的に体系化されたモデルである場合には、組み立てとタスクという船舶の建造にとっての主要の項目が統一的に体系化されるため、標準化されたデータ構造により建造シミュレーションが的確にできる。
また、時系列情報化ステップにおいて時系列データ化した建造時系列情報は、ガントチャートを含む場合には、ガントチャートを含む建造時系列情報により、ユーザは、複数の工場間の作業進捗や日程を視覚的に比較し、作業分担の最適化、協業の可否等を判断することが可能となる。また、分担する船舶や構成部品の変更、ボトルネックの分析・解明、工数予測など、建造に有益な知見を得ることができる。さらに複数の各工場は、建造時系列情報を工程管理や日程管理等に利用することが可能となり、各工場のファシリティの変更の検討に役立てることもできる。
また、プロダクトモデル作成ステップ及びプロセスモデル作成ステップを通じて船舶の建造に関わる船舶、又は艤装品のBOM(Bill Of Materials)を作成するBOM作成ステップをさらに有する場合には、プロダクトモデルとプロセスモデルの作成を通じてBOMを作成して有効活用することにより、複数の工場で共同して造船を行う場合の情報共有が容易となり、大量の部品を取り扱う造船において、建造に用いる部品及び艤装品の調達や管理を円滑かつ適切に行うことができる。
また、プロダクトモデル作成ステップ、ファシリティモデル作成ステップ、プロセスモデル作成ステップ、及び時系列情報化ステップの少なくともいずれかを実行するに当たり、API(Application Programing Interface)を活用してデータ連携を行う場合には、基本設計情報の取得、設備情報と作業員情報の取得、プロセスモデルや時系列情報等の複数の工場間でのデータの受け渡し等をスムーズに行うことができる。
また、複数の工場での船舶の建造を標準化されたデータ構造に基づいてシミュレーションするに当たって、複数の工場のアライアンスと船舶の建造を計画する基本計画ステップをさらに有する場合には、受注した船舶の設計や建造の分担、また建造日程等の基本計画に基づいて、アライアンスを組んで複数の工場で船舶の建造を行う際のシミュレーションを的確に行うことができる。
また、複数の工場での船舶の建造を標準化されたデータ構造に基づいてシミュレーションした結果を活用する活用ステップをさらに有する場合には、複数の工場における船舶の建造をシミュレーションした建造時系列情報を活用して建造を行うことができる。例えば、事前に正確な工数算出と最適な製造工程を検証し、様々な改善法案を吟味して建造効率等を最大化することが可能となる。
また、本発明の標準化されたデータ構造に基づく船舶の建造シミュレーションシステムによれば、複数の工場で分担して行う場合の船舶の建造を標準化したデータを用いて、細かな作業レベルでシミュレーションすることが可能となり、その精度の高いシミュレーション結果としての建造時系列情報に基づいて複数の工場の作業の分担の最適化を図り、協業による建造コストの低減や工期の短縮等が実現できる。また、各工場の改善、生産設計の改善、受注時のコスト予測、及び設備投資などを検討することができる。
また、時系列情報化手段において時系列データ化した建造時系列情報は、ガントチャートを含む場合には、ガントチャートを含む建造時系列情報により、ユーザは、複数の工場間の作業進捗や日程を視覚的に比較し、作業分担の最適化、協業の可否等を判断することが可能となる。また、分担する船舶や構成部品の変更、ボトルネックの分析・解明、工数予測など、建造に有益な知見を得ることができる。さらに、複数の各工場は、建造時系列情報を工程管理や日程管理等に利用することが可能となり、各工場のファシリティの変更の検討に役立てることもできる。
また、プロダクトモデル作成手段及びプロセスモデル作成手段を活用して船舶の建造に関わる船舶、又は艤装品のBOM(Bill Of Materials)を作成するBOM作成手段をさらに備えた場合には、プロダクトモデルとプロセスモデルの作成を通じてBOMを作成して有効活用することにより、複数の工場で共同して造船を行う場合の情報共有が容易となり、大量の部品を取り扱う造船において、建造に用いる部品及び艤装品の調達や管理を円滑かつ適切に行うことができる。
また、プロダクトモデル作成手段、ファシリティモデル作成手段、プロセスモデル作成手段、及び時系列情報化手段の少なくともいずれかを動作させるに当たり、API(Application Programing Interface)を活用してデータ連携を行う場合には、基本設計情報の取得、設備情報と作業員情報の取得、プロセスモデルや時系列情報等の複数の工場間でのデータの受け渡し等をスムーズに行うことができる。
また、複数の工場での船舶の建造を標準化されたデータ構造に基づいて行うシミュレーションは、複数の工場のアライアンスと船舶の建造を計画する基本計画に基づくものである場合には、受注した船舶の設計や建造の分担、また建造日程等の基本計画に基づいて、アライアンスを組んで複数の工場で船舶の建造を行う際のシミュレーションを的確に行うことができる。
また、複数の工場での船舶の建造を標準化されたデータ構造に基づいてシミュレーションした結果を提供する情報提供手段と、前記情報提供手段から提供される情報を複数の工場における船舶の建造に活用する活用手段をさらに備えた場合には、複数の工場における船舶の建造をシミュレーションした情報を活用して建造を行うことができる。例えば、事前に正確な工数算出と最適な製造工程を検証し、様々な改善法案を吟味して建造効率等を最大化することが可能となる。
また、複数の工場での船舶の建造を標準化されたデータ構造に基づいてシミュレーションするに当たり、複数の工場にそれぞれ備えたコンピュータを情報通信網を介して接続した場合には、船舶の建造シミュレーションシステムと各工場のコンピュータとの間でのデータの取得や受け渡し等を情報通信網を介して迅速に行うことができる。
本発明の実施形態による船舶の建造シミュレーション方法のフロー 同全体概要図 同プロダクトモデルの例を示す図 同5枚板モデルの結合関係を示す図 同第一の板P1の3次元モデルを示す図 同3枚板モデルのプロダクトモデルの例を示す図 同ファシリティの3次元モデルの例を示す図 同ファシリティモデルの例を示す図 同プロセスモデルの概念図 同コンピュータを用いたプロセスモデル作成ステップの詳細フロー 同5枚板モデルの組立ツリーの例を示す図 同3枚板モデルの組立ツリーの例を示す図 同全タスクの関係をツリーとして表現した例を示す図 同3枚板モデルのタスクツリーの例を示す図 同3枚板モデルのタスクツリーのデータの例を示す図 同3枚板モデルにおける作業員へのタスクの割り振りとタスクの順番の例を示す図 同実際にシミュレーション空間に配置した例を示す図 同3枚板モデルにおける工場レイアウト情報の例を示す図 同建造シミュレーションステップの詳細フロー 同建造シミュレーションステップの疑似コードを示す図 同本溶接タスクを基本タスクの組合せで表現した例を示す図 同2つの入り口がある壁で囲まれた領域のうち、移動可能なメッシュを構成した例を示す図 同出力処理の詳細フロー 同船舶の建造シミュレーション方法を活用したコスト競争力強化及び生産性向上のイメージ図 本発明の第一の実施形態による船舶の建造シミュレーションシステムを機能実現手段で表したブロック図 本発明の第二の実施形態による船舶の建造シミュレーションシステムを機能実現手段で表したブロック図 本発明の第三の実施形態による船舶の建造シミュレーションシステムを機能実現手段で表したブロック図 本発明の実施例によるケース1の組立シナリオにおけるシミュレーションの計算結果のガントチャート 同ケース2の組立シナリオにおけるシミュレーションの計算結果のガントチャート 同ケース2におけるシミュレーションの3次元的な外観図
本発明の実施形態による標準化されたデータ構造に基づく船舶の建造シミュレーション方法及び建造シミュレーションシステムについて説明する。
図1は本実施形態による船舶の建造シミュレーション方法のフロー、図2は全体概要図である。
複数の工場での船舶の建造を標準化されたデータ構造に基づいてシミュレーションする船舶の建造シミュレーション方法においては、作業員の詳細な動き、すなわち要素作業の動きまでを建造シミュレーション内で表現することを目的に、仮想的な造船工場を構築するために必要な情報を整理する。造船工場は、プロダクト(製品)モデル、ファシリティ(道具を含む設備・作業員)モデル、及びプロセス(作業)モデルという、3つのモデルから構築される。この3つのモデルが、造船工場をモデル化するために必要な核となるデータである。また、シミュレーションを実施するにあたり、これらの情報を補完する2つの付随情報として、スケジュール情報12と工場レイアウト情報13を併せて定義する。
なお、プロダクトモデルは実際の製品を、ファシリティモデルは実際の設備や作業員を抽象化しシミュレーションで扱えるようにした体系化されたデータ群であり、仮想的な製品、設備や作業員であるともいえる。また、プロセスモデルは、プロダクトモデルとファシリティモデルにより導かれる仮想的な作業工程であるともいえる。
複数の工場での船舶の建造を標準化されたデータ構造に基づいてシミュレーションするに当たっては、複数の工場のアライアンスと船舶の建造を計画する基本計画ステップS1を有することが好ましい。基本計画ステップS1で作成する基本計画には、船舶の建造計画と、アライアンスの内容が含まれる。これにより、受注した船舶の隻数やブロック化に応じた設計や建造の分担、また建造日程等の基本計画に基づいて、アライアンスを組んで複数の工場で船舶の建造を行う際のシミュレーションを的確に行うことができる。
なお、アライアンスには、企業同士が提携又は連合する場合のみならず、同一企業における各工場同士が提携又は連合する場合も含む。すなわち、複数社か一社のみかを問わず、複数の工場でのアライアンス体制における共同受注、共同設計、共同調達、建造協業等が含まれる。
アライアンスは、船舶の受注状況ごとに工場の組合せが柔軟に行えるものであることが好ましい。アライアンスを組む際は、ファシリテーター(幹事役)となる企業又は部署が、受注状況ごとに、建造シミュレーションにより複数工場で共同建造する場合の最適生産計画等を立案する。この際、各工場のファシリティをベースに考える必要があるため、各工場が同程度のファシリティ能力を有することが望ましい。
また、ファシリテーターは舶用メーカーと連携することもでき、この場合は、受注段階から舶用メーカーと情報共有を行うことによって、造船工場だけでなく舶用メーカーに対する工程管理も改善できる。
図1に示すプロダクトモデル作成ステップS2においては、基本計画ステップS1で策定した基本計画に含まれる船舶の建造計画などを基に作成され標準化されたデータ構造を有する船舶の設計に関わる基本設計情報11を取得してプロダクトモデルを作成する。基本設計情報11の「標準化されたデータ構造」とは、設計情報の内容、 形式、関係性等の表現を統一した、例えば、共通的な称呼や番号付け等を有する構造である。
基本設計情報11は、図面内名称の統一を含む統一化された設計標準に基づく情報であることが好ましい。図面に記載される名称などについて種々の標準化(コードの体系化)を行いその統一化された設計標準に基づく基本設計情報11を用いることで、プロダクトモデルの作成が容易となる。例えば、基本設計情報11を作成するに当たって、図面内で用いられる部品名称や使用工具の名称等が統一されるため、船舶の設計等を複数人で分担して実施する際の効率が向上し、また、分割された設計業務を各人で齟齬なく進行させることができる。これにより、設計の長期化及びコストアップを抑制できる。また、基本設計情報11として図面内名称等が統一化されたものであるため、ファシリティモデルやプロセスモデルの作成も容易となり、さらに新船型船の図面を複数の工場で共有する場合も理解が容易となる。
基本設計情報11は、船舶の完成部品と、完成部品を構成する構成部品の結合関係が明確化された情報でもある。例えば、プロダクト(製品)が船殻である場合、完成部品は船殻を構成するブロック(区画)であり、構成部品はブロックを構成する板材である。結合関係は、ノード(Node,部品の実体情報)とエッジ(Edge,部品の結合情報)で表現される。なお、船舶の完成部品として船舶全体を設定し、構成部品を船体、船殻、バラストタンク、燃料タンク、主機、補機、配管、及び配線等、船舶を構成する部品として位置付けることもできる。
本実施形態では、船舶の基本設計情報11を、CADシステムから取得する。これにより、CADシステムで作成された基本設計情報11をプロダクトモデルの設定等に有効利用できる。なお、基本設計情報11には、例えば、船殻の設計CADデータを変換したノードとエッジで表現される結合関係を含む情報も含めることができる。この結合関係を含む情報は、CADシステムで予め変換して得てもよいし、基本設計情報11を取得後にコンピュータ等で変換して得てもよい。また、CADシステムからの基本設計情報11の取得は、通信回線を介した取得の他、近距離無線通信や記憶手段を用いた取得等、様々な手段を利用して行うことができる。
プロダクトモデルでは、組立対象のプロダクトに関わる情報として、プロダクトを構成する部品自身の属性情報ならびに部品間の結合情報を定義する。プロダクトモデルには、プロダクトの組立に関わる作業(組み立て手順、プロセス)の情報は含まれない。
プロダクトは構成部品である実体をもつ部品同士が個々に結合されていると考える。そこでプロダクトモデルは、グラフ理論に基づきノードとエッジで表現されるグラフ構造を用いて定義する。ノード同士の結合であるエッジには方向性は無いとし、無向グラフとする。
図3はプロダクトモデルの例を示す図、図4は5枚板モデルの結合関係を示す図である。なお、図4の5枚板モデルは、説明の便宜上、簡略化したプロダクトモデルを示しているが、プロダクトモデルの対象としては、複雑な船殻のブロックや、船体構造、また船舶全体まで含めることが可能である。
ここでは、図3(a)に示すような二重底ブロックを、図3(b)に示すように簡略化した5枚板モデルを対象としている。厳密には異なるが、第一の板P1がインナーボトム、第三の板P3がボトムシェル、第二の板P2と第四の板P4がガーダー、第五の板P5をロンジと見立てて簡略化している。カラープレートやフロアがなく、ロンジも本数が少ないなど、実際の完成部品とは異なるものの、十分かつ本質的な要素を抽出している。
この完成部品は、図4に示される結合関係で定義される。各板P1~P5が構成部品実体のノードに該当し、それらの結合関係であるline1~line5がエッジに該当する。ここでは簡単のために5枚板モデルを用いているが、数多くの構成部品で構成される実際の完成部品においても、構成部品実体とそれらの結合関係で完成部品全体を定義することができるため、同様なグラフ表現を用いてプロダクトモデルを定義することが可能である。
図5は第一の板P1の3次元モデルを示す図である。
プロダクトの構成部品の形状は、3DCADモデルを入力することで定義できる。図5に示すように、3次元モデルの座標系は、その部材全体を囲む四角形(Bounding-box)を定義し、その四角形の 8頂点のうち、x,y,z座標値が最小となる頂点が原点位置になるように3次元モデルを配置した。またシミュレーションの実行中は、3次元モデルに定義した基準点の位置(ローカル座標系、又はグローバル座標系における座標)、姿勢情報(初期姿勢を基準としたオイラー角・クォータニオン)を随時参照できるものとする。
構成部品同士の接合情報を示すエッジには、当該構成部品同士の接合情報を示す必要がある。本実施形態では、簡単のために、完成部品の完成状態の座標系における、それぞれの構成部品の位置・姿勢の情報を与える。具体的には、各構成部品に対して基準点とする3点を任意に与え、その3点が完成状態の座標系において、どこに位置するか、という座標データで情報を保持する。その情報を用いることで、任意の構成部品間の位置関係を算出することが可能である。
溶接線情報は、3次元的な情報で保持される。例えば、1本の溶接線は、溶接線経路(ポリライン)と、溶接トーチの方向ベクトル(法線ベクトル)で構成されるとする。これらの情報は、完成部品の完成状態の座標系において定義されるデータとし、実際にシミュレーションにて溶接タスク(カスタムタスク15)が実施される際に、そのタイミングにおける構成部品の位置・姿勢に基づき、溶接線データに対して座標変換を行う。溶接線経路に加えて、トーチの方向も定義することで、溶接中の作業員の位置を定義することができる。さらに溶接中のトーチの向きを認識することができるため、溶接姿勢を判定することが可能となる。
このように、プロダクトモデルには、構成部品同士の連結関係、連結部における接合データ、及び完成部品における構成部品の位置と角度などの情報が含まれる。
以上説明したデータについてまとめると、プロダクトモデルは、下表1及び下表2に示すようなノードとエッジの情報としてそのデータ構造が整理される。
Figure 2023008321000002
Figure 2023008321000003
また、図6は3枚板モデルのプロダクトモデルの例を示す図である。
図6では、構成部品(第一の板P1、第二の板P2、第三の板P3)間の接合関係が登録されたデータベースであるプロダクトモデルを示している。「name」は名前、「parent」は親プロダクト、「type」は種別である。なお、各板P1~P3の基準座標3点(vo(0,0,0),vx(1,0,0),vz(0,0,1))は省略している。また、データには本来は対象IDを記載するが、説明用に「name」で記載している。
上述のように、プロダクトモデルには、組立に関わる作業(プロセス)の情報は含まれない。
図1に戻り、ファシリティモデル作成ステップS3においては、複数の工場のそれぞれについて、基本計画ステップS1で作成した基本計画に含まれる船舶の建造計画などを基に作成された設備情報21と作業員情報22を取得し、標準化されたデータ構造にして船舶の建造に関わる設備(仮想設備)と作業員(仮想作業員)に関するファシリティモデルを作成する。
ファシリティモデル作成ステップS3における「標準化されたデータ構造」とは、建造に関わる設備と作業員に関する情報の内容、 形式、関係性等の表現を統一したものであり、具体的には設備と作業員に関する情報の種類や属性をクラスとして定義し、クラス同士の親子関係等といった関係性を情報のツリーとして定義するものである。なお、工場の設備には道具も含まれる。
ファシリティモデルでは、工場のファシリティに関する情報として、設備の個別の名前(例えば、溶接機No.1)、種別(例えば、溶接機)に加えて、個々の設備が有する能力を定義する。能力には、その設備が有する機能の最大値(範囲)を定義する。例えば、クレーンが有する能力の一つとしては、吊り上げ荷重値や速度などが挙げられ、その能力値範囲は、最大吊り上げ荷重値や最大速度となる。また、ファシリティモデルでは、工場のファシリティに関する情報として、作業員の名前(例えば、作業員1)、種別(例えば、鉄工職)、能力(例えば、経験年数)も定義する。
標準化されたデータ構造の設備情報21と作業員情報22は、名前、種別、及び能力を含む統一化された仕様に基づく情報であることが好ましい。これにより、各設備や各作業員の名前、種別、能力等が統一的な仕様に基づいて定義されるため、標準化されたデータ構造によりファシリティモデルの作成が容易にできる。例えば、工程の策定等を複数人で分担して実施する際の効率が向上し、また、分割された業務を各人で齟齬なく進行させることができる。また、プロセスモデルの作成も容易となる。
また、プロダクトだけでなく、ファシリティも作業員の移動経路上の障害物になり得るため、3次元モデルを用いて形状を定義する。それにより、シミュレータ内では、オブジェクト同士の3次元的な干渉を判断することも可能となる。ここで図7はファシリティの3次元モデルの例を示す図であり、図7(a)は作業員、図7(b)は溶接機、図7(c)はクレーン、図7(d)は床、図7(e)は定盤である。
ファシリティモデルが保持する具体的な属性情報を下表3に示す。
Figure 2023008321000004
また、図8はファシリティモデルの例を示す図である。
図8では、工場のファシリティが登録されたデータベースであるファシリティモデルを示している。「name」は名前、「type」は種別、「model_fwile_path」は形状(3次元モデルデータ)、「ability」は能力(ファシリティの能力値範囲を定義)である。
図1に戻り、プロセスモデル作成ステップS4では、プロダクトモデルとファシリティモデルに基づいて、複数の工場ごとの船舶の組み立て手順とタスクを標準化されたデータ構造で表現したプロセスモデルを作成する。ここで、先にプロダクトモデルとファシリティモデルが設定され、後からプロセスモデルを作成する点が重要である。この順番に進めることで、的確に、後戻りすることなくプロセスモデルが作成でき、後の処理が滞りなくできる。
プロセスモデルの「標準化されたデータ構造」とは、プロセスに関する情報に関わる内容、 形式、関係性等の表現を統一したものである。例えば、要素作業としてのタスク(属性情報に開始時間や終了時間等を持たせたもの)等の情報の種類や属性をクラスとして定義し、クラス同士の親子関係等といった関係性を情報のツリーとして定義するものである。
図9はプロセスモデルの概念図である。
プロセスモデルは、一連の組立工程に関わる作業情報が定義されたデータである。プロセスモデルは、船舶を構成部品から建造するための組み立て手順を表す組立ツリーと、組立ツリーに基づいたタスク間の依存関係を表すタスクツリーとからなる。これにより、組み立ての手順と、それに関わるタスクの関係を明確にし、プロセスモデルを精度よく作成することができる。ここでタスクとは、一単位の作業を指す。
プロセスモデル作成ステップS4における標準化されたデータ構造としたプロセスモデルは、組み立てとタスクに関する統一的に体系化されたモデルであることが好ましい。これにより、組み立てとタスクという船舶の建造にとっての主要の項目が統一的に体系化されるため、標準化されたデータ構造により建造シミュレーションが的確にできる。
図10はコンピュータを用いたプロセスモデル作成ステップの詳細フローである。
まず、プロダクトモデル作成ステップS2で作成したプロダクトモデルと、ファシリティモデル作成ステップS3で作成したファシリティモデルを、コンピュータに読み込む(プロセスモデル作成情報読込ステップS4-1)。
次に、プロセスモデルの作成に当たって、過去に建造した過去船のプロセスデータを流用するか否かを選択する(流用判断ステップS4-2)。
流用判断ステップS4-2において、流用しないことを選択した場合は、過去船のプロセスデータを参照せずに、構成部品の中間部品を含む組み立ての関係を組立ツリーとして定義し(組立ツリー定義ステップS4-3)、組み立ての各段階における適切なタスクを定義し(タスク定義ステップS4-4)、タスクの依存関係としての前後関係をタスクツリーとして定義する(タスクツリー定義ステップS4-5)。
一方、流用判断ステップS4-2において、流用することを選択した場合は、過去データから類似のプロセスデータを抽出し(過去船プロセスデータ抽出ステップS4-6)、組立ツリー定義ステップS4-3、タスク定義ステップS4-4、及びタスクツリー定義ステップS4-5において、抽出した過去船のプロセスデータを参照して流用する。過去船のプロセスデータを流用することで、基本設計情報11に基づきプロダクトモデルやファシリティモデルが変更された場合に、一からプロセスモデルを作成するよりも少ない労力で、早く精度よくプロセスモデルを作成することができる。
ここで、図11は5枚板モデルの組立ツリーの例を示す図である。
組立ツリー定義ステップS4-3において、組立ツリーには、中間部品の情報(名前、部品の姿勢)及び組み立ての前後関係の情報を定義する。部品の組立順番には前後関係が存在するため、組立ツリーは有向グラフで表現される。
中間部品とは、幾つかの部材が結合した状態の構成部品であり、中間部品と部材、又は中間部品同士を組み立てることで完成部品となる。図11では、第一の板P1と第二の板P2と第四の板P4が組み合わされて第一の中間部品U1を成し、第三の板P3と第五の板P5が組み合わされて第二の中間部品U2を成し、第一の中間部品U1と第二の中間部品U2を組み合わせて完成部品SUB1を成す状態を示している。なお、第一の中間部品U1を組み立てるにあたっては第一の板P1をベースとし、第二の中間部品U2を組み立てるにあたっては第三の板P3をベースとし、完成部品SUB1を組み立てるにあたっては第二の中間部品U2をベースとしている。
組立ツリーの定義に必要な属性情報を下表4に示す。これらの情報をすべての中間部品及び完成部品において定義する。
Figure 2023008321000005
また、図12は3枚板モデルの組立ツリーの例を示す図である。「name」は名前、「product1(base)」は接合する対象部品のうちベースとする部品、「product2」は接合する対象部品、「中間部品における構成部品の座標変換情報」は中間部品の定義である。なお、中間部品や完成部品の基準座標3点(vo(0,0,0),vx(1,0,0),vz(0,0,1))は省略している。また、データには本来は対象IDを記載するが、説明用に「name」で記載している。
図12の3枚板モデルでは、第一の板P1と第二の板P2が組み合わされて中間部品を成し、その中間部品に第三の板P3が組み合わされて完成部品を成す。なお、中間部品を組み立てるにあたっては第一の板P1をベースとし、完成部品を組み立てるにあたっては第三の板P3をベースとしている。
タスクツリー定義ステップS4-5において、タスクツリーには、タスクに必要な情報とタスク同士の前後関係の情報を定義する。例えば、タスク定義ステップS4-4において、下表5に示す3種類のタスクを定義する。
Figure 2023008321000006
ここで、図13は全タスクの関係をツリーとして表現した例を示す図である。
図13は、5枚板モデルに対して、P1~P5の各板(鋼板)を所定の位置に配材して、仮溶接及び本溶接を行うことで、完成部品を組み立てるシナリオを想定したものである。
タスクには前後関係があるため、タスクツリー定義ステップS4-5において、タスクのツリーは有向グラフで表現される。例えばタスク[仮溶接0]は、[配材0]、[配材1]、[配材2]のすべてのタスクを完了してからでないと開始することが出来ないことを意味している。
また、タスクツリーが有する具体的な属性情報を下表6に示す。例えば、タスク[配材 0]では、オブジェクト[第二の板P2]をファシリティ[クレーン 1]を用いて、オブジェクト[定盤 2]上の位置 (8m,0m,2m)に、オイラー角 (0,0,0) の姿勢で配置されるように運搬する、という情報が定義される。配材タスクでは始点の座標を定義しておらず、シミュレーション実施時に当該タスクの実行時点における座標から開始される。他にも同様にタスク[本溶接0]は、エッジ[line1](第一の板P1と第二の板P2との結合部)を対象にファシリティ[溶接機 2]を用いて、0.2m/sの速度で本溶接する、という情報が定義される。ただし、このタスクはタスクの前後関係から、タスク[仮溶接0]が完了してからでなければ開始することは出来ない。溶接経路の情報はプロダクトモデルの当該エッジに関連付けられた情報を参照する。
Figure 2023008321000007
また、図14は3枚板モデルのタスクツリーの例を示す図であり、右側の表は左側のグラフ図を表現している。また、図15は3枚板モデルのタスクツリーのデータの例を示す図である。図15の「name」は名前、「task type」は種別、「product」は関連する部品、「facility」は関連するファシリティ、「conditions」はタスクツリー情報、「task data」はタスク情報(そのタスクに必要な固有のデータ)である。なお、データには本来は対象IDを記載するが、説明用に「name」で記載している。
この例では、図14に示すように、3枚板モデルに対して、P1~P3の各板(鋼板)を所定の位置に配材して、仮溶接及び本溶接を行うことで、完成部品を組み立てるシナリオを想定している。
また、図10に示すように、プロセスモデル作成ステップS4においては、組み立て手順とタスクに基づいて作業員のスケジュール情報12を作成する(スケジュール情報作成ステップS4-8)。図10に示されるように、組み立て手順を先に決めて、タスクを決めることが重要であり、これにより、的確に、後戻りすることなくプロセスモデルが作成でき、後の処理が滞りなくできる。
スケジュール情報12は、各行動主体となる作業員に対してタスクを順番も含めて割り当てたものである。これにより、スケジュール情報12に基づき、主作業や付随作業まで含めた作業員のすべての生産行為を精密に再現してシミュレーションを行うことができる。また、スケジュール情報12は、モニタやプリンタ等からユーザに提供することができる。これにより、ユーザは作成されたスケジュール情報12を、直接又は間接的に必要に応じて確認することができる。なお、スケジュール情報12は、ユーザの要望があったときのみ提供することも可能である。
プロセスモデルでは組立ツリーとタスクツリーに関わる情報が定義されたが、スケジュール情報12ではタスクツリーで定義されたそれぞれのタスクに対して、担当作業者の割り振りと、タスクの具体的な実行順番が定義される。
スケジュール情報12の作成例を下表7に示す。この例では、作業員1は鉄工職の作業者を想定しており、配材タスクと仮溶接タスクが割り当てられている。作業員1は、タスク[配材0]から開始し、タスク[仮溶接4]まで順次実施する。一方、作業員2は溶接職の作業者を想定しており、本溶接タスクが順番に割り当てられている。作業員2は、タスク[本溶接0]から開始し、タスク[本溶接3]まで順次実施する。
Figure 2023008321000008
また、図16は図14、15で示した3枚板モデルにおける作業員へのタスクの割り振りとタスクの順番の例を示す図であり、図16(a)は作業員1へのタスクの割当てとタスク順番を示し、図16(b)は作業員2へのタスクの割当てとタスク順番を示し、図16(c)はデータ形式のスケジュール情報である。なお、データには本来は対象IDを記載するが、説明用に「name」で記載している。
また、図11に示すように、本実施形態では、スケジュール情報作成ステップS4-8の前に、ファシリティモデルに基づいて、タスクがファシリティの能力値範囲を超えるか否かを判断する(能力値範囲判断ステップS4-7)。
能力値範囲判断ステップS4-7において、タスクがファシリティの能力値範囲を超えないと判断した場合は、スケジュール情報作成ステップS4-8に進んでスケジュール情報12を作成する。このように、タスクがファシリティの能力値範囲を超えないと判断した場合にスケジュール情報12を作成することで、ファシリティやタスクの能力値を超えたシミュレーションが行われるスケジュール情報12を作成することを防止できる。また、作成したプロセスモデルはユーザに提供することができる。
一方、能力値範囲判断ステップS4-7において、タスクがファシリティの能力値範囲を超えると判断した場合は、組立ツリー定義ステップS4-3、タスク定義ステップS4-4、及びタスクツリー定義ステップS4-5に戻り、中間部品の定義、組立ツリーの定義、タスクの定義、及びタスクツリーの定義を再定義する。各定義を再定義することにより、より精度の高いプロセスモデルを作成することができる。
スケジュール情報作成ステップS4-8の後、組み立て手順とタスクに基づいて、実際に使用する工場内の設備と作業員の配置に関する工場レイアウト情報13を作成する(工場レイアウト情報作成ステップS4-9)。これにより、設備と作業員の配置が反映された工場レイアウト情報13に基づき、シミュレーションを行うことができる。また、工場レイアウト情報13は、モニタやプリンタ等からユーザに提供することができる。これにより、ユーザは作成された工場レイアウト情報13を、直接又は間接的に必要に応じて確認することができる。なお、工場レイアウト情報13は、ユーザの要望があったときのみ提供することも可能である。
これまで定義したプロダクトモデル及びファシリティモデルには、工場での配置情報を定義していない。そこで工場レイアウト情報13では、各オブジェクトの初期配置を定義する。必要な属性情報を下表8に示す。また、図17は実際にシミュレーション空間に配置した例を示す図である。
Figure 2023008321000009
また、図18は3枚板モデルにおける工場レイアウト情報の例を示す図である。なお、データには本来は対象IDを記載するが、説明用に「name」で記載している。
プロダクトモデル、ファシリティモデルのデータベースから、実際にシミュレーションに利用する部品、ファシリティの配置情報をlayout.csvで定義している。
図1に示すように、プロセスモデル作成ステップS4の後は建造シミュレーションステップS5となる。建造シミュレーションステップS5では、プロセスモデルに基づいて、複数の工場ごとの時間発展系の建造シミュレーション(3次元空間上の時間発展)を行う。
時間発展系のシミュレーションにおいては、プロセスモデルを基に、3次元プラットフォーム上での各ファシリティとプロダクトの位置と占有状況、カスタムタスク15の進捗状況を変化させることで、造船における建造をシミュレーションする。なお、乱数を与えて中間部品の精度をあえて悪くし、その影響を下流の工程に至るまでシミュレーションすることもできる。また、カスタムタスク15とタスクツリーとの関係は、カスタムタスク15をツリー構造で前後関係を表し、繋ぎ合わせたものがタスクツリーとなる。
本実施形態では、3次元プラットフォームをゲームエンジンであるUnity(登録商標)を活用して構築している。
時刻tにおける各ファシリティとプロダクトの位置、位置及び占有を表す変数x、xと、プロセスモデルにおけるカスタムタスク15の未完又は完了を表す状態のsの3つを変数とすると、定義したスケジュール情報12に記載のカスタムタスク15の順に、タスクに関係する各変数を事前に設定したルールに従って変化させることで、次の時刻t+1へのx、x、sの変化を表すことができる。これにより各変数の時刻歴が出力される。
図19は建造シミュレーションステップの詳細フローである。
まず、プロダクトモデル作成ステップS2で作成したプロダクトモデルと、ファシリティモデル作成ステップS3で作成したファシリティモデルと、プロセスモデル作成ステップS4で作成したプロセスモデル、スケジュール情報12、及び工場レイアウト情報13と、データベース等から取得した作業員が自律的に仮想的な作業を進めるためのルール情報14に基づいて、3次元プラットフォーム上にオブジェクトを配置する(シミュレーション実行情報読込ステップS5-1)。なお、ルール情報14には、作業員が仮想的な作業で使用する設備を決めるための情報も含むことができる。
ここで、ルール情報14とは、建造シミュレーションを行うコンピュータによる自律判断に必要な制約や選択肢である。例えば、溶接タスク(カスタムタスク15)では、使える溶接機の種類だけをルール情報14として指定しておき、どの溶接機を使用するかはシミュレーションの途中でコンピュータが自律的に判断する。
すなわち、仮想的な作業員が建造シミュレーション内でどのように判断するのかを記述したものがルール情報14となる。ルール情報14を利用することにより、建造シミュレーションにおける作業員が的確に仮想的な作業を進めやすく、また、設備を選択しやすくなる。ルール情報14は、あらかじめカタログのように作成してデータベースに蓄積しておく。なお、ルール情報14は、強化学習やマルチエージェント等により自律的に学習させて作成して取得することも可能である。強化学習等により自律的にルール情報14を作成する方法としては、エージェントがコンピュータ内を自由に動き回り効率的なルールを学習してルール情報14を生成する手法を用いる。ルール情報14の一例は以下の通りである。
ルール1A:空いている近い道具を取得する。
ルール1B:後工程でも空いている近い道具を取得する。
ルール2:クレーンを使用する場合、クレーン同士の干渉によって他の工程が妨げられないようなクレーンを選択する。
ルール3:使用後、マグネット式の釣り具は台車の上に置く。
ルール4:作業場所が同じ後の工程について、道具をまとめて取ってくる。
これらのルールは、建造シミュレーションを行う以前に作業員に割り当てておくものであり、例えば以下のようになる。
作業員1:ルール1A
作業員2:ルール1B、ルール2、ルール3、ルール4
作業員1は新人を想定し、作業員2は熟練者を想定したものである。新人の作業員1は自分のことだけを考えて動くため、他工程の邪魔になったりもする。
次に、スケジュール情報12に記載のカスタムタスク15のうち、全行動主体に対して先頭に存在するタスクを実行し、時間を1秒プラスする。(タスク実行ステップS5-2)。カスタムタスク15は事前にメソッドとして定義しておき、割り当てられたカスタムタスク15を状況に応じてルール情報14等に基づき変更する。
時間発展系の建造シミュレーションでは、時間ごとの船舶の完成部品又は構成部品の位置、設備及び作業員の位置と占有状況、組み立てとタスクの進行状況を逐次計算する。これにより、時間発展系の建造シミュレーションを精度よく行うことができる。
次に、カスタムタスク15が終了したか否かを判定する(タスク終了判定ステップS5-3)。
タスク終了判定ステップS5-3において、カスタムタスク15が終了していないと判定した場合は、タスク実行ステップS5-2に戻り、カスタムタスク15を実行する。
一方、タスク終了判定ステップS5-3において、カスタムタスク15が終了したと判定した場合は、終了したカスタムタスク15をスケジュール情報12の先頭から削除し、割り当てられたカスタムタスク15がすべて終了したか否かを判定する(シミュレーション終了判定ステップS5-4)。
シミュレーション終了判定ステップS5-4において、割り当てられたカスタムタスク15がすべて終了していないと判定された場合は、タスク実行ステップS5-2に戻り、カスタムタスク15を実行する。
一方、シミュレーション終了判定ステップS5-4において、割り当てられたカスタムタスク15がすべて終了したと判定された場合は、シミュレーションを終了する。このように建造シミュレーションは、すべての予定されたカスタムタスク15がなくなるまで繰り返し実行する。
また、図1に示すように、建造シミュレーションステップS5においては、建造シミュレーションの途中結果を提供する(途中結果提供ステップS5-5)。シミュレーションの途中結果は、例えばタスク実行ステップS5-2が終了するたびにユーザに提供される。ユーザは、提供された途中結果を基に、そのままシミュレーションを続行するか、又はカスタムタスク15等を変更して次のシミュレーションを行うかなどを判断する。これにより、ユーザが途中結果に基づいて判断し、ユーザの意図に沿ったシミュレーションを行いやすくなる。
途中結果提供ステップS5-5は、ユーザが例えばシミュレータの実行ボタンを押す際に任意にオン/オフを選択可能であり、オフが選択されている場合は実行されない。一方、オンが選択されている場合は、例えばモニタが閲覧モードとなり、建造シミュレーションの状況がアニメーション的に流れていく様子が提供され、ユーザは一時停止ボタンを押したり、また再生ボタンを押したりして、逐次確認することができる。ユーザは、一時停止ボタンを押したとき、既に終了しているカスタムタスク15、実施中のカスタムタスク15、及び未実施の予定されているカスタムタスク15を見ることができ、例えば予定されているカスタムタスク15の順番を変更したり、そのカスタムタスク15で使う道具を変更及び指定したりできる。変更後、再生ボタンを押すと、建造シミュレーションが再開し、変更したシナリオで進行する。
また、建造シミュレーションステップS5においては、予め取得したルール情報14とタスクを利用し、仮想の作業員が自律的に仮想的な作業を進める。具体的には、ルール情報14と、タスクとしての基本タスクを組み合わせて構成したカスタムタスク15を利用して仮想的な作業を進める。
ルール情報14とは、上述のように例えば、使える溶接機の種類などである。ルール情報14とタスクを利用することにより、建造シミュレーションにおける仮想の作業員が的確に仮想的な作業を進めやすくなる。
なお、途中結果提供ステップS5-5の後に、ユーザから変更を加えた変更条件を受け付け、変更条件に基づいて建造シミュレーションを実行することも可能である。これにより、ユーザの意向が反映された変更条件を基に精度よく建造シミュレーションを行うことができる。
図20は建造シミュレーションの疑似コードを示す図である。
ここで、タスク実行ステップS5-2の前に事前にメソッドとして定義しておくカスタムタスク15について詳細に説明する。
図21は本溶接タスクを基本タスクの組合せで表現した例を示す図である。
メソッドとしてのタスクを実行することにより、変数x、x、sを変化させる。そのために、各タスクそれぞれに対してメソッドを定義するが、そのタスクをさらに細かなメソッドである基本タスクの組合せで表現する。
まず、開始条件を確認する基本タスク(Wait_start)は、条件が満たされるまでは待つといったメソッドとなる。
道具を確保する基本タスク(Wait_hold)は、使用する道具がすべて空いていなければ待ち、空いていれば、本タスクのために占有する状態に変化させるといった基本的なメソッドとなる。
また、クレーンによって構成部品を移動させるなどの表現は、移動タスク(move)として表し、指定した速度で位置や角度を変更する。
溶接タスク(weld)は、プロダクトモデルに定義された溶接線情報を基に、溶接開始点までの移動と溶接姿勢に基づく速度で溶接トーチおよび作業者を移動させ、構成部品を次の中間部品へと変化させるといったメソッドとしている。このような基本タスクの組合せで様々なタスクを表現し、メソッドとして事前(タスク実行ステップS5-2の前)に構築する。
このように、カスタムタスク15はあらかじめ決められた標準的な手順を記載するものである。カスタムタスク15は、時間発展系のシミュレーションの前にカタログのように作っておく。カスタムタスク15の一例は以下の通りである。
仮溶接(カスタムタスク15):溶接機を取りに行く+クレーンを取りに行く+部品を吊る+位置をあわせる+仮止めする。
このとき、どの道具(溶接機1又は溶接機2など)を選択するかはルール情報14(ルール1A、ルール1B、ルール2など)に基づいて決められる。また、ルール情報14のうちのルール3に関し、マグネット式のクレーンを使っていた場合は、道具を使用後に台車の上に置くという新たなタスクが発生する。もちろん、ルール情報14に基づかずに、使用する道具をユーザが指定することもできる。
また、基本タスクの中でも移動については、すべてのタスク内の移動経路を手入力することが困難なことが多いと想定されるため、コンピュータが経路探索を行い自動判断するように設定することが好ましい。この場合、具体的には、まず移動可能な領域をメッシュで動的に生成し、そのメッシュの頂点と線分を経路と見立て、A*アルゴリズムにより経路を自動算出する。
図22は2つの入り口がある壁で囲まれた領域のうち、移動可能なメッシュを構成した例を示す図である。壁140付近はメッシュが存在しないため、壁140を回り込んで移動するような経路が生成されることとなる。実装には、例えばUnity(登録商標)のNavmeshAgentクラスを活用する。これにより基本タスクでは到達先の地点又は到達先のオブジェクトを指定することで、途中の経路は自動算出され入力の手間を大幅に削減することが可能となる。
また、図1に示すように、プロダクトモデル作成ステップS2及びプロセスモデル作成ステップS4を通じて、船舶の建造に関わる船舶、又は艤装品のBOM(Bill Of Materials:部品表)を作成する(BOM作成ステップS6)。
プロダクトモデルとプロセスモデルの作成を通じてBOMを作成して有効活用することにより、複数の工場で共同して造船を行う場合の情報共有が容易となり、大量の部品を取り扱う造船において、建造に用いる部品や艤装品の調達や管理を円滑かつ適切に行うことができる。
また、建造シミュレーションステップS5の後、建造シミュレーションの結果を時系列データ化し建造時系列情報とする(時系列情報化ステップS7)。時系列データは、行動主体である作業員を含む各ファシリティの位置、角度、及び占有状況等の時刻歴データである。
このように、プロダクトモデル作成ステップS2と、ファシリティモデル作成ステップS3と、プロセスモデル作成ステップS4と、建造シミュレーションステップS5と、時系列情報化ステップS7を実行することで、ユーザは複数の工場で分担して行う場合の船舶の建造を標準化したデータを用いて、細かな作業レベルでシミュレーションすることが可能となり、その精度の高いシミュレーション結果としての建造時系列情報に基づいて複数の工場の作業の分担の最適化を図り、協業による建造コストの低減や工期の短縮等が実現できる。また、各工場の改善、生産設計の改善、受注時のコスト予測、及び設備投資などを検討することができる。
また、設備情報21と作業員情報22を標準化されたデータ構造にしてファシリティモデルを作成することで、ファシリティモデルの蓄積や、別のシミュレーションでの利用が容易となる。
また、工場ごとの船舶の組み立て手順とタスクを標準化されたデータ構造で表現したプロセスモデルを作成することで、プロセスモデルの蓄積や、別のシミュレーションでの利用が容易となる。
また、プロダクトモデル作成ステップS2、ファシリティモデル作成ステップS3、プロセスモデル作成ステップS4、及び時系列情報化ステップS7の少なくともいずれかを実行するに際しては、API(Application Programing Interface)を活用してデータ連携を行うことが好ましい。これにより、基本設計情報11の取得、設備情報と作業員情報の取得、プロセスモデルや時系列情報等の複数の工場間でのデータの受け渡し等をスムーズに行うことができる。
判断ステップS8においては、建造シミュレーションの結果が、所期目標の範囲を超えているか否かを判断し、超えている場合は、限られた範囲でファシリティモデルを変更する。これにより、ファシリティモデルを適切に修正することができる。なお、限られた範囲とは、工場に既にあるファシリティ又は数日以内に調達可能なファシリティの範囲内であることをいう。日数のかかる設備の導入や作業員の採用等は含まない。
ファシリティモデルを変更した場合は、変更されたファシリティモデルに基づいて、プロセスモデル作成ステップS4と、建造シミュレーションステップS5と、時系列情報化ステップS7を繰り返す。これにより、船舶の建造が目標の範囲内に収まるシミュレーション結果を得ることができる。所期目標としては、例えば所定の時間等が設定されるが、それだけでなく、作業の平準化(作業負荷を分散できているか)や、作業場の安全確保、危険性の有無等を含めることができる。
なお、建造シミュレーションの結果が所期目標の範囲を超えていないと判断された場合は、出力ステップS9に進む。
出力ステップS9においては、建造時系列情報を出力する。
ここで、図23は出力処理の詳細フローである。
まず、プロダクトモデル、ファシリティモデル、プロセスモデル、スケジュール情報12、ルール情報14、及び建造時系列情報を読み込む(出力情報読み込みステップS9-1)。
次に、表示に必要な計算や生成等を行い、建造時系列情報を表示する(表示ステップS9-2)。時系列情報化ステップS7において時系列データ化した建造時系列情報は、ガントチャートを含むことが好ましい。ガントチャートによる可視化を行うことにより、ユーザは、複数の工場間の作業進捗や日程を視覚的に比較し、作業分担の最適化、協業の可否等を判断することが可能となる。また、分担する船舶や構成部品の変更、ボトルネックの分析・解明、工数予測など、建造に有益な知見を得ることができる。さらに複数の各工場は、建造時系列情報を工程管理や日程管理等に利用することが可能となり、各工場のファシリティの変更の検討に役立てることもできる。
なお、建造時系列情報には、作業分解構成図や動線を含ませてもよい。作業分解構成図は、時系列情報から各タスクの開始時間や終了時間を記載できるため、直接的ではないが、建造時系列情報として扱うことができる。
また、出力ステップS9においては、BOM作成ステップS6で作成した艤装品等に関するBOMも出力する。
生産計画ステップS10においては、建造時系列情報に基づいて船舶の建造に関する生産計画を作成する。
これにより、複数の工場で船舶の建造を行う場合の論理的な工数等を精度よく算定した緻密な生産計画に従って船舶を建造することが可能となり、生産効率を向上させることができる。
活用ステップS11においては、複数の工場での船舶の建造を標準化されたデータ構造に基づいてシミュレーションした結果を活用する。
活用の例としては、ファシリティを増強又は改修した場合の生産効率向上やコスト削減に対する寄与の程度、標準化・共通化を行い複数の工場で共同建造した場合の具体的な生産効率や費用対効果を、精緻な分析やトライアル(高頻度のトライ&エラー)等を通じて検証することが挙げられる、これにより、複数の工場における船舶の建造をシミュレーションした建造時系列情報を活用して建造を行うことができる。例えば、事前に正確な工数算出と最適な製造工程を検証し、様々な改善法案を吟味して建造効率等を最大化することが可能となる。
図24は船舶の建造シミュレーション方法を活用したコスト競争力強化及び生産性向上のイメージ図である。
図24中の(1)では、工程変更等を反映した建造シミュレーションにより最適生産計画の立案又は建造工程の事前検証を行う。
図24中の(2)では、建造シミュレーションの結果に基づき船舶の建造を実行する。この際、センサやIot、カメラ等によるモニタリングを行い工程進捗や品質等に関するデータをデータベースに蓄積する。また、作業時間や設備の稼働時間等の実績データもデータベースに蓄積する。
図24中の(3)では、データベースに蓄積されたデータを基に分析及び評価等を行い、建造シミュレーションにフィードバックすることにより生産計画を改善しコスト競争力を高める。
次に本発明の第一の実施形態による標準化されたデータ構造に基づく船舶の建造シミュレーションシステムについて説明する。
図25は本実施形態による船舶の建造シミュレーションシステムを機能実現手段で表したブロック図である。
標準化されたデータ構造に基づく船舶の建造シミュレーションシステムは、上述した船舶の建造シミュレーションシステム方法をシステム化したものであり、複数の工場での船舶の建造を標準化されたデータ構造に基づいてシミュレーションすることができる。
複数の工場での船舶の建造を標準化されたデータ構造に基づいて行うシミュレーションは、複数の工場のアライアンスと船舶の建造を計画した基本計画に基づくものであることが好ましい。基本計画には、船舶の建造計画と、アライアンスの内容が含まれる。これにより、受注した船舶の設計や建造の分担、また建造日程等の基本計画に基づいて、アライアンスを組んで複数の工場で船舶の建造を行う際のシミュレーションを的確に行うことができる。
建造シミュレーションシステムは、プロダクトモデル作成手段10と、ファシリティモデル作成手段20と、プロセスモデル作成手段30と、建造シミュレーション手段40と、時系列情報化手段50と、BOM作成手段60と、情報提供手段70と、モデル変更手段80と、生産計画手段90と、過去船データベース100を備える。
過去船データベース100には、過去に建造した過去船のプロセスデータが蓄積されている。
プロダクトモデル作成手段10は、プロダクトモデル作成ステップS2を実行する。すなわち、基本計画に含まれる船舶の建造計画などを基に作成され標準化されたデータ構造を有する船舶の設計に関わる基本設計情報11を取得してプロダクトモデルを作成する。
ファシリティモデル作成手段20は、ファシリティモデル作成ステップS3を実行する。すなわち、基本計画に含まれる船舶の建造計画などを基に作成された複数の工場の設備情報21と作業員情報22を取得し、標準化されたデータ構造にして船舶の建造に関わる設備と作業員に関するファシリティモデルを作成する。
プロセスモデル作成手段30は、プロセスモデル作成ステップS4を実行する。すなわち、プロダクトモデルとファシリティモデルに基づいて、複数の工場ごとの船舶の組み立て手順とタスクを標準化されたデータ構造としたプロセスモデルを作成する。
建造シミュレーション手段40は、建造シミュレーションステップS5を実行する。すなわち、プロセスモデルに基づいて複数の工場ごとの建造シミュレーションを行う。
時系列情報化手段50は、時系列情報化ステップS7を実行する。すなわち、建造シミュレーションの結果を時系列データ化し建造時系列情報とする。
これにより、複数の工場で分担して行う場合の船舶の建造を標準化したデータを用いて、細かな作業レベルでシミュレーションすることが可能となり、その精度の高いシミュレーション結果としての建造時系列情報に基づいて複数の工場の作業の分担の最適化を図り、協業による建造コストの低減や工期の短縮等が実現できる。また、各工場の改善、生産設計の改善、受注時のコスト予測、及び設備投資などを検討することができる。
時系列情報化手段50において時系列データ化した建造時系列情報には、ガントチャートが含まれることが好ましい。
ガントチャートを含む建造時系列情報により、ユーザは、複数の工場間の作業進捗や日程を視覚的に比較し、作業分担の最適化、協業の可否等を判断することが可能となる。また、分担する船舶や構成部品の変更、ボトルネックの分析・解明、工数予測など、建造に有益な知見を得ることができる。さらに、複数の各工場は、建造時系列情報を工程管理や日程管理等に利用することが可能となり、各工場のファシリティの変更の検討に役立てることもできる。
プロダクトモデル作成手段10、ファシリティモデル作成手段20、プロセスモデル作成手段30、及び時系列情報化手段50の少なくともいずれか一つを動作させる際は、API(Application Programing Interface)を活用してデータ連携が行われることが好ましい。これにより、基本設計情報11の取得、設備情報と作業員情報の取得、プロセスモデルや時系列情報等の複数の工場間でのデータの受け渡し等をスムーズに行うことができる。
モデル変更手段80は、判断ステップ7を実行する。すなわち、建造シミュレーションの結果が、所期目標の範囲を超えているか否かを判断し、超えている場合は、限られた条件下でファシリティモデルを変更する。
BOM作成手段60は、BOM作成ステップS6を実行する。すなわち、プロダクトモデル作成手段10及びプロセスモデル作成手段30を活用して船舶の建造に関わる船舶、又は艤装品のBOM(Bill Of Materials)を作成する。
プロダクトモデルとプロセスモデルの作成を通じてBOMを作成して有効活用することにより、複数の工場で共同して造船を行う場合の情報共有が容易となり、大量の部品を取り扱う造船において、建造に用いる部品及び艤装品の調達や管理を円滑かつ適切に行うことができる。
情報提供化手段は、出力ステップS9を実行する。すなわち、生産計画手段90へ建造時系列情報及びBOMを出力する。
生産計画手段90は、建造時系列情報に基づき生産計画ステップS10を実行する。すなわち、建造時系列情報に基づいて船舶の建造を計画する。生産計画手段90により策定された計画に基づき船舶を建造することにより、生産効率を向上させることができる。
次に本発明の第二の実施形態による標準化されたデータ構造に基づく船舶の建造シミュレーションシステムについて説明する。なお、上記した第一の実施形態による船舶の建造シミュレーションシステムと同一機能部材については同一符号を付して説明を省略する。
図26は本実施形態による船舶の建造シミュレーションシステムを機能実現手段で表したブロック図である。
本実施形態の船舶の建造シミュレーションシステムは、その設置場所とは異なる場所に位置するA工場、B工場、C工場、及びD社と、情報通信網120で接続されている。なお、D社は工場ではないが、例えば、工場を統括する本社、共同で船舶を建造するための取りまとめをする会社(ファシリテーター)、船舶の基本設計を専門的に行う会社、又は生産行為を認証する会社等である。
プロダクトモデル作成手段10は、標準化されたデータ構造を有する船舶の設計に関わる基本設計情報11を取得してプロダクトモデルを設定する。
ファシリティモデル作成手段20は、A工場、B工場、及びC工場それぞれの設備情報21と作業員情報22を取得し、標準化されたデータ構造にして工場ごとのファシリティモデルを設定する。
プロセスモデル作成手段30は、プロダクトモデルとファシリティモデルに基づいて、工場ごとの組み立て手順とタスクを標準化されたデータ構造で表現したプロセスモデルを作成する。
建造シミュレーション手段40は、プロセスモデルに基づいて工場ごとの時間発展系の建造シミュレーションを行う。複数の工場での船舶の建造を標準化されたデータ構造に基づいてシミュレーションするに当たっては、複数の工場にそれぞれ備えたコンピュータを情報通信網120を介して接続する。これにより、船舶の建造シミュレーションシステムと各工場のコンピュータとの間でのデータの取得や受け渡し等を情報通信網120を介して迅速に行うことができる。
これらにより、一つのプロダクトモデルから工場ごとのプロセスモデルが作成され、工場ごとのファシリティモデルを用いた建造シミュレーションが行われるため、各工場での製造コストや工期を比較することができ、建造コストのさらなる低減や工期のさらなる短縮につながる。また、共同で単数隻又は複数隻の船舶の建造を受注した場合における、複数の工場が共同で船舶を建造する際の受注時のコスト予測や、設備投資などを検討することができる。例えば、各工場で仕事を分担することで年間何隻の受注が可能かなどといった受注機会の検討や、どのブロックをどの程度各工場に割り振るのが最も効率的かつ有益なのかの検討に、シミュレーション結果を用いることができる。また、或る会社が或るブロックを外注しようとする場合に、外注候補先の会社のファシリティモデルを用いて建造シミュレーションを行い、その結果を基にコストや工期等を検討することも可能である。
なお、複数の工場は、同じ会社がすべて所有するものであっても、異なる会社が其々所有する工場であってもよい。また、船舶の建造シミュレーションシステムに、複数の工場を遠隔からモニターして管理する機能を持たせることも可能である。
また、A工場、B工場、C工場、及びD社のそれぞれは活用手段110を備えている。活用手段110には、複数の工場での船舶の建造を標準化されたデータ構造に基づいて建造シミュレーション手段40がシミュレーションした結果が情報提供手段70から提供される。活用手段110は、情報提供手段70から提供される情報を基に活用ステップS11を実行する。すなわち、複数の工場での船舶の建造を標準化されたデータ構造に基づいてシミュレーションした結果を、複数の工場における船舶の建造に活用する。
これにより、複数の工場における船舶の建造をシミュレーションした情報を活用して建造を行うことができる。例えば、事前に正確な工数算出と最適な製造工程を検証し、様々な改善法案を吟味して建造効率等を最大化することが可能となる。
また、建造シミュレーション手段40における工場ごとの時間発展系の建造シミュレーションの結果は、比較可能な状態で情報提供手段70からユーザに提供される。
これにより、ユーザは迅速かつ的確に、各工場での製造コストや工期などを比較することができる。
また、プロダクトモデル作成手段10は、船舶の設計に関わる基本設計情報11を情報通信網120を介して各工場のCADシステムのいずれか、又は複数のCADシステムから取得する。また、情報提供手段70は、建造時系列情報を情報通信網120を介して各工場やD社に提供する。なお、情報提供手段70は、建造時系列情報だけでなく、建造シミュレーションに用いた基本設計情報11やファシリティ情報等、あらゆる情報を一緒に提供することもできる。
これにより、船舶の建造シミュレーションシステムが遠隔地にあったとしても、基本設計情報11の取得や建造時系列情報の提供を、情報通信網120を介して迅速に行うことができる。
また、船舶の設計に関わる基本設計情報11は、CADシステムから取得するので、CADシステムで作成された船舶の設計に関わる基本設計情報11をプロダクトモデルの設定等に容易、かつ有効に利用できる。なお、CADシステムは、A工場、B工場、及びC工場に設置されているが、一つの工場で代表して設計することも、複数の工場で分担して設計することできる。また、代表した工場にのみCADシステムを配置してもよい。
また、ファシリティモデル作成手段20は、工場の改善情報としての設備情報21と作業員情報22の少なくとも一方を取得して工場のファシリティモデルを作成することができる。これにより、建造シミュレーション手段40が工場の改善情報に基づいた時間発展系の建造シミュレーションを行い、情報提供手段70が改善情報に基づいた建造時系列情報を提供することができる。
工場の改善情報とは、例えばクレーンの更新や能力アップ、又は作業者の増員等である。工場の改善情報を取得して用いることで、工場の設備や作業員を変更し改善した場合のシミュレーションを行うことができる。
次に本発明の第三の実施形態による標準化されたデータ構造に基づく船舶の建造シミュレーションシステムについて説明する。なお、上記した第一又は第二の実施形態による船舶の建造シミュレーションシステムと同一機能部材については同一符号を付して説明を省略する。
図27は本実施形態による船舶の建造シミュレーションシステムを機能実現手段で表したブロック図である。
本実施形態の船舶の建造シミュレーションシステムは、船舶の建造に関わる共通データベース130をさらに備えている。共通データベース130は、それぞれ標準化されたデータ構造に基づいたデータを蓄積した基本設計情報データベース、設備情報データベース、作業員情報データベース、ルール情報データベース、及び時系列情報データベースを有する。
プロダクトモデル作成手段10は、基本設計情報11を共通データベース130から取得する。また、ファシリティモデル作成手段20は、設備情報21と作業員情報22を共通データベース130から取得する。また、建造シミュレーション手段40は、プロセスモデルに関連したプロセスモデル関連情報とルール情報14を共通データベース130から取得する。このように共通データベース130から各種情報を取得することで、情報の種類ごとに別々のデータベースが設けられている場合と比べて情報の取得が容易となり、情報の共同利用が可能となり、またデータベースの管理を一元化することができる。
また、情報提供手段70は、時系列情報を共通データベース130に提供する。これにより新たな時系列情報を共通データベース130に蓄積し、例えば、後のシミュレーション時の過去船情報として利用することやルール情報14の機械学習に活用すること等ができる。
また、共通データベース130は、過去船データベース100も有している。プロセスモデル関連情報として過去船のプロセスデータを提供する過去船データベース100も共通データベース130に含めることで、類型船舶のプロセスモデル関連情報の取得が可能となり、シミュレーションの省略や容易化等が図れる。
なお、共通データベース130は、物理的にまとまったデータベースであってもよいし、通信回線を介して連係する分散型のデータベースであってもよい。但し、データベース化する上での基本要件として、蓄積されるデータは、共通的な呼称や番号付等を有する標準化されたデータ構造とする。
造船工場モデルを入力データとした実施例について説明する。シミュレーションにあたって設定した作業員の移動速度、クレーンの移動速度、及び溶接作業の単位長さ当たりの速度の設定値を下表9に示す。なお、ここではこれらの値を一律に設定しているが、タスクごとに(例えば、溶接姿勢に応じて)定義することも可能である。
Figure 2023008321000010
仮溶接は、本来であればタック溶接のように断続的な溶接線で表現されるべきであるが、本実施例では簡単のために、本溶接に利用する溶接線経路(ポリライン)を併用し、 単位長さ当たりの溶接速度を変えることによって、作業の差を表現している。また、本実施例で設定した組立シナリオにおける溶接作業は、水平すみ肉溶接のみであり、上向き溶接は発生しない。
3DCADモデルのファイルは、Unity(登録商標)にインポート可能な汎用的な中間ファイル形式であるOBJ形式(Wavefront Technologies社)を採用した。
(ケース1)
図28はケース1の組立シナリオにおけるシミュレーションの計算結果のガントチャートである。縦軸の名称は各ファシリティとプロダクト(完成部品、中間部品、構成部品)を表し、横軸は時間(s)を示している。縦線の横棒は配材タスク、横線の横棒は仮溶接タスク、斜線の横棒は本溶接タスクで占有した時間を示している。
ケース1のシナリオでは、5枚板モデルに対して、鉄工職1名と溶接職1名の計2名の作業員で組み立て作業を行う。定めた各作業員のスケジュールは表7の通りである。表7の2行目の作業員1が鉄工職であり、2行目の作業員2が溶接職である。各作業員は表7に記載した順にタスクを実施していく。
このシナリオに基づきシミュレータによって計算されたガントチャートである図24から、縦線の横棒で示される各板P1~P5の配材にかかる時間が約370秒であることがわかる。この時間は全体の約4分の1弱に相当している。この配材にかかる時間は、従来の溶接長から算出する方法では直接的に計算できないものであり、付随作業に相当する。また、作業員2は、配材と仮溶接タスクが終わらない限り作業を開始できないため、480秒近く待つことになる。その後、作業員2が中間部品U2を完成させるまで作業員1はタスクを待つ必要があり、1100秒付近から仮溶接タスクを実行して終了となる。
このように、シミュレータによって従来の算出法だけでは計算できないような各タスクの必要な時間が計算され、タスクの進行度合いによって待ち時間が発生する様子が再現されている。
(ケース2)
図29はケース2の組立シナリオにおけるシミュレーションの計算結果のガントチャートである。縦軸の名称は各ファシリティとプロダクト(完成部品、中間部品、構成部品)を表し、横軸は時間(s)を示している。縦線の横棒は配材タスク、横線の横棒は仮溶接タスク、斜線の横棒は本溶接タスクで占有した時間を示している。また、図30はケース2におけるシミュレーションの3次元的な外観図である。
ケース2では、ケース1と同様に5枚板モデルを対象として、鉄工職2名(作業員1、3)と溶接職2名(作業員2、4)の計4名の作業員に増やしたシナリオを設定した。それに合わせて、溶接機を2台追加している。各作業員のスケジュールは下表10の通りである。
Figure 2023008321000011
このシナリオに基づきシミュレータによって計算されたガントチャートである図29から、各板P1~P5の配材にかかる時間が約400秒となっており、ケース1よりも長くなっていることがわかる。これは、作業員1と作業員3が1台のクレーンを共有して使うため、余計な歩行時間を要していることが要因にある。仮溶接の時間についても同様に1台のクレーンを共有して使うため、ケース1よりも長くなっている。中間部品U1と完成部品SUB1の本溶接は、それぞれ2本の溶接線を2名で並行して実施しているため、ケース1よりも時間が短縮されている。一方で、開始から終了までの総工期については、人数をケース1の2倍にしたが半分とはならず、結果的にその差は中間部品U1と完成部品SUB1の本溶接時間の短縮による150秒程度のみである。
このように、従来の能率という考えでは検討できない内容まで検討することが可能となり、定量的差とその根拠が明確となる。
また、図30に示すように、各モデルの3次元オブジェクトの位置が変更している様子を直接的に確認することも可能である。
本発明は、複数の工場で共同して船舶の建造を行う場合における物の流れと作業員の動きが定型的なものではなく状況に応じて細かな作業の判断を要する状況を精度よくシミュレーションした建造時系列情報に基づいて、複数の工場の作業の分担の最適化を図り、協業による建造コストの低減や工期の短縮等が実現できる。また、その結果を、コスト予測、生産設計、建造計画の立案及び改善、設備投資、生産現場の分析やボトルネックの解明など、建造に関わる多岐の用途で利用することができる。
また、同様のアナロジーが成り立つような浮体、洋上風力発電施設、水中航走体や海洋構造物などの他製品、また建築業界など他産業への展開も可能である。これらに適用する場合は、請求項における船舶を他製品や他産業で対象とする言葉に置き替えて解釈することができる。
10 プロダクトモデル作成手段
11 基本設計情報
20 ファシリティモデル作成手段
21 設備情報
22 作業員情報
30 プロセスモデル作成手段
40 建造シミュレーション手段
50 時系列情報化手段
60 BOM作成手段
70 情報提供手段
80 モデル変更手段
90 生産計画手段
100 過去船データベース
110 活用手段
120 情報通信網
S1 基本計画ステップ
S2 プロダクトモデル作成ステップ
S3 ファシリティモデル作成ステップ
S4 プロセスモデル作成ステップ
S5 建造シミュレーションステップ
S6 BOM作成ステップ
S7 時系列情報化ステップ
S10 生産計画ステップ
S11 活用ステップ

Claims (16)

  1. 複数の工場での船舶の建造を標準化されたデータ構造に基づいてシミュレーションする方法であって、
    前記標準化されたデータ構造を有する前記船舶の設計に関わる基本設計情報を取得してプロダクトモデルを作成するプロダクトモデル作成ステップと、
    複数の前記工場の設備情報と作業員情報を取得し、前記標準化されたデータ構造にして前記船舶の建造に関わる設備と作業員に関するファシリティモデルを作成するファシリティモデル作成ステップと、
    前記プロダクトモデルと前記ファシリティモデルに基づいて、複数の前記工場ごとの前記船舶の組み立て手順とタスクを前記標準化されたデータ構造で表現したプロセスモデルを作成するプロセスモデル作成ステップと、
    前記プロセスモデルに基づいて複数の前記工場ごとの建造シミュレーションを行う建造シミュレーションステップと、
    前記建造シミュレーションの結果を時系列データ化し建造時系列情報とする時系列情報化ステップとを実行することを特徴とする標準化されたデータ構造に基づく船舶の建造シミュレーション方法。
  2. 前記プロダクトモデル作成ステップにおける前記標準化されたデータ構造を有する前記船舶の設計に関わる前記基本設計情報は、図面内名称の統一を含む統一化された設計標準に基づく情報であることを特徴とする請求項1に記載の標準化されたデータ構造に基づく船舶の建造シミュレーション方法。
  3. 前記ファシリティモデル作成ステップにおける前記標準化されたデータ構造の前記設備情報と前記作業員情報は、名前、種別、及び能力を含む統一化された仕様に基づく情報であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の標準化されたデータ構造に基づく船舶の建造シミュレーション方法。
  4. 前記プロセスモデル作成ステップにおける前記標準化されたデータ構造とした前記プロセスモデルは、組み立てとタスクに関する統一的に体系化されたモデルであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の標準化されたデータ構造に基づく船舶の建造シミュレーション方法。
  5. 前記時系列情報化ステップにおいて時系列データ化した前記建造時系列情報は、ガントチャートを含むことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の標準化されたデータ構造に基づく船舶の建造シミュレーション方法。
  6. 前記プロダクトモデル作成ステップ及び前記プロセスモデル作成ステップを通じて前記船舶の建造に関わる前記船舶、又は艤装品のBOM(Bill Of Materials)を作成するBOM作成ステップをさらに有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の標準化されたデータ構造に基づく船舶の建造シミュレーション方法。
  7. 前記プロダクトモデル作成ステップ、前記ファシリティモデル作成ステップ、前記プロセスモデル作成ステップ、及び前記時系列情報化ステップの少なくともいずれかを実行するに当たり、API(Application Programing Interface)を活用してデータ連携を行うことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の標準化されたデータ構造に基づく船舶の建造シミュレーション方法。
  8. 複数の前記工場での前記船舶の建造を前記標準化されたデータ構造に基づいてシミュレーションするに当たって、複数の前記工場のアライアンスと前記船舶の建造を計画する基本計画ステップをさらに有することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の標準化されたデータ構造に基づく船舶の建造シミュレーション方法。
  9. 複数の前記工場での前記船舶の建造を前記標準化されたデータ構造に基づいてシミュレーションした結果を活用する活用ステップをさらに有することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の標準化されたデータ構造に基づく船舶の建造シミュレーション方法。
  10. 複数の工場での船舶の建造を標準化されたデータ構造に基づいてシミュレーションするシステムあって、
    前記標準化されたデータ構造を有する前記船舶の設計に関わる基本設計情報を取得してプロダクトモデルを作成するプロダクトモデル作成手段と、
    複数の前記工場の設備情報と作業員情報を取得し、前記標準化されたデータ構造にして前記船舶の建造に関わる設備と作業員に関するファシリティモデルを作成するファシリティモデル作成手段と、
    前記プロダクトモデルと前記ファシリティモデルに基づいて、複数の前記工場ごとの前記船舶の組み立て手順とタスクを前記標準化されたデータ構造としたプロセスモデルを作成するプロセスモデル作成手段と、
    前記プロセスモデルに基づいて複数の前記工場ごとの建造シミュレーションを行う建造シミュレーション手段と、
    前記建造シミュレーションの結果を時系列データ化し建造時系列情報とする時系列情報化手段を備えたことを特徴とする標準化されたデータ構造に基づく船舶の建造シミュレーションシステム。
  11. 前記時系列情報化手段において時系列データ化した前記建造時系列情報は、ガントチャートを含むことを特徴とする請求項10に記載の標準化されたデータ構造に基づく船舶の建造シミュレーションシステム。
  12. 前記プロダクトモデル作成手段及び前記プロセスモデル作成手段を活用して前記船舶の建造に関わる前記船舶、又は艤装品のBOM(Bill Of Materials)を作成するBOM作成手段をさらに備えたことを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の標準化されたデータ構造に基づく船舶の建造シミュレーションシステム。
  13. 前記プロダクトモデル作成手段、前記ファシリティモデル作成手段、前記プロセスモデル作成手段、及び前記時系列情報化手段の少なくともいずれかを動作させるに当たり、API(Application Programing Interface)を活用してデータ連携を行うことを特徴とする請求項10から請求項12のいずれか1項に記載の標準化されたデータ構造に基づく船舶の建造シミュレーションシステム。
  14. 複数の前記工場での前記船舶の建造を前記標準化されたデータ構造に基づいて行うシミュレーションは、複数の前記工場のアライアンスと前記船舶の建造を計画した基本計画に基づくものであることを特徴とする請求項10から請求項13のいずれか1項に記載の標準化されたデータ構造に基づく船舶の建造シミュレーションシステム。
  15. 複数の前記工場での前記船舶の建造を前記標準化されたデータ構造に基づいてシミュレーションした結果を提供する情報提供手段と、前記情報提供手段から提供される情報を複数の前記工場における前記船舶の建造に活用する活用手段をさらに備えたことを特徴とする請求項10から請求項14のいずれか1項に記載の標準化されたデータ構造に基づく船舶の建造シミュレーションシステム。
  16. 複数の前記工場での前記船舶の建造を前記標準化されたデータ構造に基づいてシミュレーションするに当たり、複数の前記工場にそれぞれ備えたコンピュータを情報通信網を介して接続したことを特徴とする請求項10から請求項15のいずれか1項に記載の標準化されたデータ構造に基づく船舶の建造シミュレーションシステム。
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