JP7396708B1 - 地盤削孔方法、並びに地盤削孔装置の削孔制御装置及びそのプログラム - Google Patents

地盤削孔方法、並びに地盤削孔装置の削孔制御装置及びそのプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】礫層,破砕帯層等の脆く崩壊し易い脆性地山の穿孔をスムーズに行うことのできる地盤削孔方法の提供。【解決手段】通常削孔工程において、回転圧又は打撃圧の変動幅が、所定の閾値を超えて脈動した場合、まず、孔口からの粉塵状のクリ粉の噴出を検知するまで、ブロー流量,回転圧,打撃圧を通常削孔時設定値のまま削孔を継続し、孔口からの粉塵状のクリ粉の噴出を検知すると、一旦削孔を中断して30秒程度ビットを穴尻から浮かした状態で回転とブローのみでクリ粉を孔口方向に噴出して孔内の荒れた岩片の隙間に詰めた後、ブロー流量を通常削孔時設定値よりも低下させ、ボーリングロッドを回転させつつビットを孔口まで後進させることで、削孔孔の孔壁を強化した整形後、ビットを再び穴尻まで前進させた後、通常削孔工程に戻す。【選択図】図11

Description

本発明は、地盤へのロックボルトやアンカー打設、地盤内への発破孔の削孔、地盤内への歪み計の設置等の際に用いられるノンコアボーリングの地盤削孔技術に関し、特に、エアー削孔(無水削孔)による、礫層,緩んだ破砕帯層等の脆く崩壊し易い脆性層(本明細書では、礫層,破砕帯層等の緩んだ脆く崩壊し易い性質を「脆性」と呼ぶ。)を含む地盤の削孔に適した地盤削孔技術に関する。
ナトム(NATM;New Austrian Tunneling)工法を用い開設された山岳トンネル等のトンネルに於いては、年月が経つに従い覆工コンクリート(トンネルの地山削孔面を被覆するコンクリート構造体)にクラックが生じ漏水が多くなりコンクリート表面が剥離脱落する事故が発生している。その対策工事としてロックボルトによる既設トンネル補強工事(ロックボルト補強工)が行われている。「ロックボルト補強工」とは、覆工コンクリートと接する地山(掘削された地盤。)の土塊すべり面より以深まで削孔し鋼材を挿入して、グラウトにより鋼材全体を地山に定着させ、地山の変形に伴い鋼材に受動的に引張力を生じさせることで、地山の変形及びすべりの発生を抑制する工事である。一般に、ロックボルト補強工には、次のような工法がある。
(1)覆工コンクリートから地山深度2m~6mをノンコアリングボーリングによりロックボルト挿入孔を削孔し、その挿入孔(削孔により形成される孔)にドライモルタルを充填して鋼棒(ロックボルト)を挿入し補強する工法。
(2)覆工コンクリートから地山深度2m~6mをノンコアリングボーリングによりロックボルト挿入孔を削孔し、ドライモルタルを充填せずに膨張性鋼管を挿入し、高圧水で鋼管を膨らませて地山に密着させ、その鋼管と地山の摩擦抵抗力により、地山の補強及び覆工コンクリートと地山との一体化を行う工法。
ロックボルト補強工が必要なトンネルは、活断層や地殻変動で断層や礫層が形成された地山(脆性地山)を貫くトンネルや、蛇紋岩,泥岩,頁岩,シルト岩等のように、地下水により風化・細粒化して粘土状となり膨潤性を有した地層で形成された地山(粘膨張性地山)を貫くトンネルに多く見られる。また、トンネルの覆工コンクリートと地山との境界は建設当初は密着しているが、年月の経過とともに、地下水により地山が風化し、外圧の変化により剥離・細粒化され、地下水の通り道に沿って、細粒化された土砂が流出することにより、覆工コンクリートと地山との間に空洞が生じている場合が多い。
一般に、地盤の削孔に於いては、挿入孔の削孔で生じる削孔スライム(削孔の際に発生する岩粉や岩砕および土砂)の排出を、高圧水で行う方法と高圧エアー(圧縮空気)で行う方法がある。前者(輸送流体に高圧水を用いるもの)を「水削孔」、後者(輸送流体に圧縮空気を用いるもの)を「無水削孔(エアー削孔)」という。新設トンネルの削孔では、多くの場合水削孔を使用することが多いが、既設のトンネルの補修工事に於いては、以下の理由から、通常、無水削孔が選択される。
(1)水削孔では、高圧水によって定着部の細粒化された風化岩盤が洗い流されて、ボアホールが出来てしまう。
(2)水削孔では、挿入孔の外周面に泥土の被膜が形成され、ロックボルトを定着させるセメントと地山との接着性を低下させてしまう。
(3)水削孔では、削孔スライムは泥水として孔口から排出されるので、ロックボルト挿入孔の削孔中に、削孔スライムにより地山の地質や状態を判別することが困難である。
(4)粘膨張性地山に於いては、水削孔では、高圧水が粘膨潤性を有した地層の風化を促進させる。
(5)トンネル内の車両通行を片側規制して工事を行う場合、水削孔では、通行車両に泥水が飛散してクレームになる。
(6)狭いトンネル内スペースでは、泥浄化装置の設置・撤去を日々繰り返すことが困難である。
上述のように、既設のトンネルの補修工事に於いては無水削孔が推奨されるが、エアー削孔には次のような問題点がある。
(a)礫層や風化破砕帯(亀裂が発達していて脆い岩盤)等の脆性地山のエアー削孔では圧縮空気のエアー圧により孔壁が緩んで乱され崩壊して挿入孔ができない。
(b)蛇紋岩,泥岩,頁岩,シルト岩等の粘膨張性層のエアー削孔では、削孔スライムの粘性が高く孔壁に付着して、削孔スライムの孔外排出が著しく困難である。また、粘土化している箇所は粘土が伸縮膨張するためビットは挿入していくが、ビットを抜くと孔内は膨張圧で潰れてしまって挿入孔が圧潰される。
従って、孔壁が確立できない場所でのロックボルト補強工は、一般に、ドリフター(削岩機)の先端に装着した削孔ツールのロッド及びビットを削孔毎にそのまま鋼棒として用いる自穿孔ロックボルト方式(削孔に使用するロッド及びビットをロックボルト補強材とする方式)(非特許文献1,2参照)や、トンネルロックボルトの通常削孔径45~50mmの所を90mm以上の大口径で鋼管ケーシングを添わせながら削孔する二重管削孔方式(ケーシング削孔)が適用されている(非特許文献3,4参照)。しかし、どちらの工法もコストと時間を多く要する工事になる。
脆性層や粘膨張性層の削孔に関連する現在公知の地盤削孔技術としては、例えば、特許文献1-8に記載のものが挙げられる。
特許文献1記載の「破砕帯等の穿孔工法」は、回転しない外装パイプ(1)で周囲の土圧を支えて、パイプ(1)の内側のハンマー(ビット)で掘削する手法であり、回転しないパイプ(1)の中央先端に設けたセントラルハンマー(2)を設け、その周辺に複数のラウンドハンマー(5)をそれぞれ設けておき、セントラルハンマー(2)を回転又は前後振動させることにより、及び、ラウンドハンマー(5)を前後振動させることにより、パイプ(1)前面の地山(10)を粉砕し、空気又は水の圧力により粉砕した礫をパイプ(1)の中を通して排除し、パイプ(1)を前進させることを繰り返すことを特徴とした地盤削孔技術である(仝文献 第1図~第3図参照)。
特許文献2記載の「電極材埋設用孔のさく孔方法(及び装置)」は、破砕帯では、生石灰を含むスラリー(石灰ミルク、セメントミルク等石灰を含む液体)を掘削孔内に流し込むとともに、エアーに炭酸ガスを混入して掘削孔内に供給することで、石灰を含む液体を削孔中の孔壁に付着させ、炭酸ガスと反応させて固化させることで、孔壁を補強し、崩落を生じにくくすることを特徴とした地盤削孔技術である(仝文献 明細書段落〔0033〕等参照)。
特許文献3記載の「さく孔方法(及びさく孔機械)」は、削孔時にベントナイト溶液を孔内に注入し、クリ粉にベントナイト溶液を混練して、このペーストで孔口を固めて孔口の崩落を防止することを特徴とした地盤削孔技術である。ここで、「ベントナイト」とは、粘土鉱物であるモンモリロナイトを主成分とする岩石で、不純物として石英や長石などの鉱物を含むものである。一般に、ベントナイトは、その生型砂を崩れ難くする為の粘結剤(バインダー)として用いられている。尚、ボーリングによって形成された掘削孔内にベントナイト・セメントを注入し、このベントナイト・セメントを硬化させることによって孔壁を確保する地盤削孔技術については、特許文献4(「ボーリング工法」)にも同様な技術が記載されている。
特許文献5記載の「保孔方法(保孔用部分ケーシングおよび保孔装置)」は、ボーリング孔の破砕帯貫通部分に拡径可能な円筒状のケーシングを縮径状態で挿入して、挿入後に拡径させて拡孔部の孔壁に固定することで孔壁の崩落を防止することを特徴とした地盤削孔技術である。
特許文献6記載の「掘削孔の孔壁保護工法」は、破砕帯貫通部分に高圧状態で水中セメント等注入剤を掘削孔内に注入し、固化するまで養生させ、崩落を防止することを特徴とした地盤削孔技術である。
特許文献7記載の「掘削工法(及びそれに使用するロックビット)」及び特許文献8の「掘削工法(及び掘削ビット)」は、空気掘りに於いて、所定長掘削する毎に孔内で圧密ビットを前後往復移動させ、掘削で発生するズリ(削孔スライム)をビット外周部で孔壁に擦(こす)りつけて、孔壁を固めることを特徴とした地盤削孔技術である。
特開平01-111984号公報 特開2012-132257号公報 特開2002-155690号公報 特開平03-233014号公報 特開2001-003672号公報 特開平06-146253号公報 特開2002-322891号公報 特開2009-174258号公報
岡部株式会社 土木事業部,「OSDPロックボルト工法~自穿孔式ロックボルト~」,[online],2022年4月26日,岡部株式会社,[2022年4月26日検索]インターネット<URL:https://www.okabe.co.jp/doboku/product/product11.html> 木内和夫 他,「自穿孔ロックボルトの施工方法に関する実験的検討」,1999年 第39回治山研究発表会概要集,治山研究会,1999年9月,[2022年4月26日検索]インターネット<URL:https://www.kfc-net.co.jp/products/cat03/23.html> 株式会社ケー・エフ・シー,「ロックボルト補強工法〈既設トンネル補強工〉」,[online],2022年4月26日,株式会社ケー・エフ・シー,[2022年4月26日検索]インターネット<URL:https://www.kfc-net.co.jp/products/cat03/23.html> 一般社団法人全国地質調査業協会連合会,「全国標準積算資料(グラウト工事・大孔径工事・アンカー工事・集水井工事) 平成14年度改訂歩掛版」,第5章 アンカー工事編 316頁,[online],平成14年,一般社団法人全国地質調査業協会連合会,[2022年4月26日検索]インターネット<URL:https://www.zenchiren.or.jp/sekisan/blue.html>
上述したように、礫層,破砕帯層等の脆く崩壊し易い脆性地山に於いては、削孔ビットの外周側面が孔壁に触れただけでも、挿入孔周辺の孔壁は容易に崩壊してしまう。また、孔壁には、鋭角に割れた岩片が不規則に入り乱れ孔中に突起したりブラ下ったりしている状態である。従って、削孔中のビットが触れただけでも、これらの岩片が容易に動き、孔壁が崩壊するのである。そのため、このような地山には自穿孔ロックボルト方式や二重管削孔方式(ケーシング削孔)が適用されているが、どちらの工法もコストと時間を多く必要とするという問題がある。
また、上記特許文献1記載の地盤削孔技術は、次のような問題が考えられる。
(1)特許文献1では、ラウンドハンマーは回転しないため孔の外周部の削孔スピードが劣り工事の効率が悪いという問題がある。ラウンドハンマーのチップが当たる箇所はクレーター状に破砕されてもチップ間の岩盤は破砕されず効率が悪い(通常は回転し叩く位置が移動する)。
(2)特許文献1では、ラウンドハンマー後部には孔壁崩壊防止用の鋼管パイプが接続されている。しかし、上向き削孔で鋼管パイプを2本,3本とつないで削孔する場合、鋼管パイプとセントラルハンマーのロッドを別々に接続脱着しなければならず特に上向きの削孔では問題が残る。通常1本当りの鋼管長は取扱できる重量制限により1mから1.5mであるため、ロックボルト長が6mの場合4本の鋼管パイプの継ぎ足しが必要になる。
(3)通常のトンネルのロックボルトは孔径45mm~50mmであるが、この工法では90mm以上必要となり、当然削孔能力の低下とコスト高の問題が生じる。
また、上記特許文献2記載の地盤削孔技術では、孔壁に生石灰を含むスラリー等が付着した場合、ロックボルトの定着材と地山との接着が疎外され、地盤と定着材の摩擦抵抗力が所定の強度を得られず、ロックボルトの引抜抵抗力が低下するという問題がある。また、上記特許文献3,4記載の地盤削孔技術でも、ベントナイト(粒子の細かい粘性土)は、上記特許文献2の場合と同様、ロックボルトの引抜抵抗力を低下させるという問題がある。
また、上記特許文献5記載の地盤削孔技術では、削孔部内の孔壁とロッドとの間に、縮径状態のケーシングを挿入するに十分なスペースがなければケーシング材を挿入できないという問題がある。また、地層が入り乱れている場所では、軟弱部の地層箇所の特定は難しいため、最初の座グリ状態から孔壁が自立できないような箇所での施工は難しいという問題がある。
また、上記特許文献6記載の地盤削孔技術では、セメントミルクが固化するまで養生時間を要し、片側交通規制下でのロックボルト工事で適用するには、交通規制の解放時までに、プレートで定着するまでの工程が間に合わないという問題がある。
また、上記特許文献7,8記載の地盤削孔技術は、土砂等の圧縮転圧できる土質部を対象とした削孔技術であり、所定長削孔する毎に孔内で圧密ビットを前後往復移動させ、削孔で発生するズリ(削孔スライム)をビット外周部で孔壁に押し固める、いわゆる「鏝(こて)仕上げ」と呼ばれているものである。この工法が有効な箇所は土砂等の圧縮転圧できる土質だけである。これを、礫層や破砕帯層を含む脆性地山の削孔に適用すると、ビット外周部で孔壁を摺動させることにより、脆性層では孔壁外周の岩片が動き、孔壁は崩壊する。故に、礫層や脆い破砕帯箇所の孔壁を形成させるには、特許文献7,8記載の地盤削孔技術のように圧密ビットを孔壁に接触させる方法は逆効果となる。
そこで、本発明の目的は、脆性地山において特殊な設備や注入剤を必要とせず、通常なら二重管削孔(ケーシング削孔)でしか施工できない地山を孔壁の崩壊や削孔不能状態を削孔技術で回避し、シングル削孔で工期を短縮しコストダウンを図ることができる地盤削孔方法、並びに地盤削孔装置の削孔制御装置及びそのプログラムを提供することにある。
本発明に係る地盤削孔方法の第1の構成は、礫層,破砕帯層等の脆く崩壊し易い脆性層を含む地盤を削孔する地盤削孔方法であって、
コンプレッサによりブロー圧を加えた圧縮空気を、ボーリングロッド内を通して前記ボーリングロッドの先端のビットから噴出させると共に、前記ボーリングロッドに接続された削岩機にフィード圧,回転圧,及び打撃圧を加えることで、前記ボーリングロッドを回転させつつ軸方向の押圧力及び軸方向の打撃を加えながら、前記ビットを掘進させる削孔工程に於いて、
前記コンプレッサの吐出流量、並びに前記削岩機の前記フィード圧,前記回転圧P及び前記打撃圧Pを所定の通常削孔設定値に設定し、前記ビットを前進させつつ削孔を行う通常削孔工程と、
前記通常削孔工程において、前記回転圧P又は前記打撃圧Pの変動幅が、所定の脈動判定時間ΔT1内に所定の閾値ΔPrth又はΔPsthを超えて脈動した場合、削孔制御モードを脆性層モードに切り替える脆性層モード切替工程と、
前記脆性層モードに切り替わった後、孔口からの粉塵状のクリ粉の噴出を検知するまで、前記コンプレッサの吐出流量,前記削岩機の回転圧P及び前記打撃圧Pを前記通常削孔設定値としたまま削孔を継続して前記ビットを前進させる脆性層削孔工程と、
前記脆性層削孔工程の後、前記コンプレッサの吐出流量を前記通常削孔設定値よりも低下させ、前記ボーリングロッドを回転させつつ前記ビットを穴尻から孔口まで後進させることにより、削孔孔の孔壁を整形し強化する孔壁整形工程と、
前記孔壁整形工程の後、前記ビットを再び穴尻まで前進させた後、削孔制御モードを、前記通常削孔工程を行う通常削孔モードに切り替える通常モード復帰工程と、
を有することを特徴とする。
この構成によれば、経験上、脆性層では回転圧P又は打撃圧Pの変動幅が大きく脈動し、堅固な岩盤では回転圧P又は打撃圧Pの変動幅が小さく安定することから、回転圧P又は打撃圧Pの変動幅が所定の閾値ΔPrth又はΔPsthを超えたことを判定することで、ビットが脆性層に侵入したことを検知することができ、また、変動幅が閾値ΔPrth又はΔPsthを下回り安定したことを検出することで、ビットが堅固な岩盤層に侵入したことを検知することができる。また、経験上、脆性層では地盤が緩いために削孔スライムは(通常、5mm以上の)大粒径となり、逆に、堅固な岩盤層では地盤が締まっているためは粉塵状のもの(通常、2.5mm以下の粉末状(クリ粉))が多くなる。従って、孔口から噴出する削孔スライムの粒子が、大粒径の物から粉塵状の物へと変化したことを検知することで、ビットが脆性層を抜けて堅固な岩盤層に侵入したことを検出することができる。そして、礫層,破砕帯層等の脆性部を抜けた深部の堅固な岩盤(風化の程度のあまり進んでいない硬い岩石で、節理の間隔が30cm以上あるもの)の削孔で発生する粉塵状のクリ粉を、その手前の脆性部の孔壁に高圧エアーと回転でスパイラル状に吹付充填させる。これによりクリ粉を礫と礫との隙間や孔壁の凹み箇所にジャミング転移を生じせしめ、ビットが孔壁に接触しても孔壁が容易に崩壊しないようにする。また、その後、コンプレッサの吐出流量を通常削孔設定値よりも低下させて圧縮空気をビットから弱めに噴射させつつビットを回転させながら孔口まで後進させることにより、礫と礫との隙間の深奥までクリ粉を押し固め、孔壁を補強しつつ孔壁内面をビット側面で凹凸のない滑らかな円形断面に均す(整形する)。これにより、孔壁は緩まないように押し固められて自立し、孔壁の崩壊が防止される。また、本発明では、特殊な設備や注入剤を必要とせず、孔壁の崩壊や削孔不能状態を回避でき、シングル削孔(ケーシング無しの削孔)で工期を短縮しコストダウンを図ることができ、脆性地山の削孔を短時間でスムーズに行うことが出来る。また、熟練削孔員の削孔技術をプログラム化し初心者でもプロの技術で削孔できる。
ここで、「孔口」とは、削孔された孔の開口端をいい、「穴尻」は削孔された孔の先端(最奥端)をいう。脆性部の削孔に於いての「通常削孔設定値」とは、堅固な岩盤を削孔する際の、コンプレッサーのエアー吐出量、並びに削岩機のフィード圧,回転圧P及び打撃圧Pの設定値であって、予め初期値として設定されるものである。「脈動判定時間ΔT1」は、予め設定された打撃圧P,回転圧Pの脈動を判定する時間区間をいう。ここでは、特にΔT1の値は限定しないが、ΔT1を長くとり過ぎると、ゆっくりとした打撃圧P,回転圧Pの変化の影響を受けてしまい、逆に、ΔT1を短くとり過ぎると、ノイズの影響が大きく現れてしまうので、ΔT1は、これらの外乱要因の影響を受けない適度な時間に設定する。通常は、ΔT1は5~15秒とするのが好適である。また、閾値ΔPrth又はΔPsthは、岩質や節理に応じてケース・バイ・ケースで設定されるべきものであるが、経験上から、ΔPrthは50~140kg/cm、ΔPsthは80~150kg/cmとするのが好適である。
「孔口から噴出する粉塵状の繰粉の吐出を検知する」方法としては、例えば、粉塵濃度センサ(光散乱方式,光透過方式,摩擦静電方式等の粉塵濃度センサ)により検出される孔口の粉塵濃度を閾値判定する方法、孔口から噴出する繰粉の状態をビデオ撮影して、機械学習などを用いたリアルタイム画像解析により粉塵状の繰粉の吐出を検知する方法などを採用することができる。孔壁整形工程に於いて「コンプレッサの吐出流量を通常削孔設定値よりも低下」させる程度については、本発明では特に限定はしないが、圧縮空気の噴射圧で孔壁に過度の負荷をかけたり、礫と礫との隙間の粉塵状のクリ粉を風圧で吹き飛ばして散飛させたりすることなく、且つ、できるだけ礫と礫との隙間の深奥まで粉塵状のクリ粉を押し込むという観点から、通常削孔設定値の1/2~1/3とするのが好適である。
なお、本明細書では、削孔の際に生じる岩砕、岩粉、泥、スラリーなどの排出物全般を「削孔スライム」と呼び、削孔スライムのうちで、特に岩粉のように粉粒状のものを「クリ粉」と呼ぶ。
本発明に係る地盤削孔方法の第2の構成は、前記第1の構成に於いて、前記脆性層削孔工程に於いて、粉塵濃度センサにより孔口から噴出する粉塵濃度を検出し、前記粉塵濃度センサにより検出される粉塵濃度の一定時間間隔毎の平均粉塵濃度ρ又は平均粉塵濃度の時間変化Δρが所定の閾値を超えるまで、前記コンプレッサの吐出流量,前記削岩機の回転圧P及び前記打撃圧Pを前記通常削孔設定値としたまま削孔を継続して前記ビットを前進させることを特徴とする。
この構成によれば、孔口からの粉塵状のクリ粉の噴出の検知は、孔口から排出する粉塵濃度を検出することにより行われる。脆性層では地盤が緩いためにクリ粉は大粒径となり、逆に、堅固な岩盤層では地盤が締まっているためクリ粉は粉塵状のものが多くなる。そのため、孔口から噴出するクリ粉の性状は、目視すると脆性層と堅固な岩盤層とで明確に異なり、堅固な岩盤層から生じる粉塵状のクリ粉は、見掛けが煙幕状であり孔口周辺の光の散乱率が高く、透過率が低くなる。従って、光散乱率方式や光透過方式等の粉塵濃度センサにより検出される粉塵濃度を閾値判定することで、孔口からの粉塵状のクリ粉の噴出の検知を行うことが出来る。
本発明に係る地盤削孔方法の第3の構成は、前記第1又は2の構成に於いて、前記脆性層削孔工程に於いては、孔口からの粉塵状のクリ粉の噴出を検知するまで、前記コンプレッサの吐出流量,前記削岩機の回転圧P及び前記打撃圧Pを前記通常削孔設定値としたまま、
(1)所定の距離d1だけ前記ビットを前進させた後、
(2)穴尻から孔口に向かって所定の距離d2の区間内で、一乃至複数回、前記ビットの後進と前進の往復を行う、
という削孔工程を繰り返すことにより、前記ビットを前進させることを特徴とする。
この構成によれば、脆性層の削孔の際に、孔壁から飛び出た岩片などにより削孔スライムの排出流路が閉塞することが防止される。
ここで、「所定の距離d1」「所定の距離d2」は、予め設定された設定値であり、本発明では特に限定しないが、削孔作業効率を高くするとともに、削孔スライムの排出流路の閉塞を効果的に防止する観点から、d1=5~15cm、d2=25~35cm程度とすることが好適である。
またさらに、上記本発明の第3の構成に於いて、(1),(2)の削孔工程をn回行う毎に、一旦、前記ビットを孔口まで後進させ、再度、穴尻まで前進させる、という後進・前進往復動作を行うようにすることもできる。この後進・前進往復動作により、削孔された孔の全体に亘り、孔内に残留した削孔スライムが定期的に孔外へ押し出し排出されることになり、削孔スライムの排出流路が閉塞することがより効果的に防止される。ここで、後進・前進往復動作を行うまでの(1),(2)の削孔工程の回数nは、2以上の値で任意に設定できるが、削孔作業効率を高くするとともに、削孔スライムの排出流路の閉塞を効果的に防止する観点から、n=3~7程度とすることが好適である。
本発明に係る地盤削孔方法の第4の構成は、前記第1乃至3の何れか一の構成に於いて、前記孔壁整形工程に於いて前記ビットを孔口まで後進させる前に、
前記コンプレッサの吐出流量を前記通常削孔設定値としたまま、前記ビットの孔軸方向の移動を穴尻位置で止めた状態において、所定の時間だけ回転させる第1の孔壁強化工程を行うことを特徴とする。
この構成によれば、脆性層を抜け堅固な岩盤層に達して孔口から噴出するクリ粉は粉塵状となった状態で、ビットの孔軸方向の前進移動を穴尻位置で停止させ、ビットを少し浮かした状態で、コンプレッサーのエアー吐出流量を前記通常削孔設定値としたまま、ビットを所定の時間だけ回転させることで、孔内に滞留しているクリ粉を、脆性部の孔壁に吹付充填させ、孔壁の礫と礫との隙間に粉塵状のクリ粉を埋め固めることで、ビットが孔壁に接触しても孔壁が容易に崩壊しないようにすることができる。また、ビットを孔口まで引き抜く際に作成した孔壁を更にビットの外周面で圧迫整形し円形の挿入孔を形成することができる。
本発明に係る地盤削孔方法の第5の構成は、前記第1乃至4の何れか一の構成に於いて、前記ビットが、予め設定された目的削孔深度まで到達した後、前記コンプレッサの吐出流量を前記通常削孔設定値よりも低下させ、前記ボーリングロッドを回転させつつ前記ビットを穴尻から孔口まで後進させることにより、削孔孔の孔壁を整形し強化する二次孔壁整形工程を行うことを特徴とする。
この構成により、ビットが目的削孔深度まで到達した後に、再び、脆性層モードの場合と同様に、コンプレッサーの吐出流量を通常削孔設定値よりも低下させて圧縮空気をビットから弱めに噴射させつつ回転させ、ビットを孔口外まで後進させることにより、脆性層の孔壁がさらに補強され、孔壁がより崩壊しにくくなる。
ここで、「目的削孔深度」とは、予め計画された設計上の削孔深度をいう。
本発明に係る地盤削孔方法の第6の構成は、前記第5の構成に於いて、前記ビットが予め設定された前記目的削孔深度まで到達した後、前記二次孔壁整形工程を行う前に、
前記コンプレッサの吐出流量を前記通常削孔設定値としたまま、前記ビットの孔軸方向の移動を穴尻位置で止めた状態において、所定の時間だけ回転させる第2の孔壁強化工程を行うことを特徴とする。
この構成によれば、上記第4の構成の場合と同様、孔内に滞留しているクリ粉を、脆性部の孔壁に吹付充填させ、孔壁の礫と礫との隙間に粉塵状のクリ粉を埋め固めることで、ビットが孔壁に接触しても孔壁が容易に崩壊しないようにすることができる。
本発明に係る地盤削孔方法の第7の構成は、前記第1乃至6の何れか一の構成に於いて、前記孔壁整形工程又は前記二次孔壁整形工程に於いて、前記ボーリングロッドを回転させつつ前記ビットを孔口まで後進させる途中で、前記回転圧Pの変動幅が、所定の脈動判定時間ΔT2内に所定の閾値ΔPrth2を超えて脈動した場合、その脈動が生じた位置を中心とする所定の区間で、前記脈動判定時間ΔT2内での前記回転圧Pの変動幅が所定の閾値ΔPrth2を下回るまで、前記ボーリングロッドの前進・後進を繰り返すピストン削孔工程を行うことを特徴とする。
この構成によれば、ビットを孔口まで後進させる途中で回転圧Pが所定の閾値ΔPrth2を超えて脈動した場合、そこは岩片が飛び出しているか崩落している場所なので、ピストン削孔工程を行うことで、飛び出している岩片を砕き細粒化し、孔壁を整形・強化することができる。
ここで、「その脈動が生じた位置を中心とする所定の区間」の長さは、本発明では特に限定しないが、脈動が生じた位置の周辺の、飛び出している岩片を破砕・細粒化し、孔壁を整形・強化するのに十分な長さに設定され、一般には、脈動が生じた位置を中心とする前後20~40cmとすることが好適である。
本発明に係る地盤削孔装置の削孔制御装置の第1の構成は、先端にビットが取り付けられたボーリングロッドに、コンプレッサによりブロー圧を加えた圧縮空気を、前記ボーリングロッド内を通して前記ビットに送気し、前記ビットからクリ粉輸送用の圧縮空気を噴射させつつ、削岩機により前記ボーリングロッドにフィード圧,回転圧,及び打撃圧を加えて地盤の削孔を行う地盤削孔装置の制御を行う地盤削孔装置の削孔制御装置であって、
前記コンプレッサに於ける前記コンプレッサの吐出流量、並びに前記削岩機の前記フィード圧,前記回転圧及び前記打撃圧を所定の通常削孔設定値に設定し、前記ビットを前進させつつ削孔させる制御を行う通常削孔制御手段と、
前記通常削孔制御手段による削孔制御中に於いて、前記削岩機の前記回転圧P又は前記打撃圧Pの変動幅が、所定の脈動判定時間ΔT1内に所定の閾値ΔPrth又はΔPsthを超えて脈動した場合、削孔制御モードを脆性層モードに切り替える脆性層モード切替手段と、
粉塵状のクリ粉の孔口からの噴出を検出するクリ粉検出手段と、
前記脆性層モードに切り替わった場合、孔口からの粉塵状のクリ粉の噴出が前記クリ粉検出手段により検出されるまで、前記コンプレッサの吐出流量,前記削岩機の回転圧P及び前記打撃圧Pを前記通常削孔設定値としたまま削孔を継続して前記ビットを前進させる脆性層削孔制御手段と、
前記脆性層削孔制御手段による削孔制御中に、孔口からの粉塵状のクリ粉の吐出が検知された場合に於いて、前記コンプレッサの吐出流量を前記通常削孔設定値よりも低下させ、前記ボーリングロッドを回転させつつ前記ビットを穴尻から孔口まで後進させることにより、削孔孔の孔壁を整形し強化させる削孔制御を行う孔壁整形制御手段と、
前記ビットが削孔孔の孔口まで後進した後、ビットを再び穴尻まで前進させ、前記削孔制御装置の制御モードを、前記通常削孔制御手段が削孔制御を行う通常削孔モードに切り替える通常モード復帰手段と、
を備えたことを特徴とする。



本発明に係る地盤削孔装置の削孔制御装置の第2の構成は、前記第1の構成に於いて、前記クリ粉検出手段は、
孔口から噴出する粉塵濃度を検出する粉塵濃度センサと、
前記粉塵濃度センサにより検出される粉塵濃度の一定時間間隔毎の平均粉塵濃度ρ又は平均粉塵濃度の時間変化Δρが所定の閾値を超えたか否かを判定することで、孔口から粉塵状のクリ粉の吐出されたか否かを検出するクリ粉識別手段と、備え、
前記孔壁整形制御手段は、前記クリ粉識別手段により孔口からの粉塵状のクリ粉の吐出が検知された場合、前記コンプレッサの吐出流量を前記通常削孔設定値よりも低下させ、前記ボーリングロッドを回転させつつ前記ビットを孔口まで後進させることにより、削孔孔の孔壁を整形し強化させることを特徴とする。
本発明に係る地盤削孔装置の削孔制御装置の第3の構成は、前記第1又は2の構成に於いて、前記脆性層削孔制御手段は、孔口からの粉塵状のクリ粉の噴出が前記クリ粉検出手段により検出されるまで、前記コンプレッサの吐出流量,前記削岩機の回転圧P及び前記打撃圧Pを前記通常削孔設定値としたまま、
(1)所定の距離d1だけ前記ビットを前進させた後、
(2)穴尻から孔口に向かって所定の距離d2の区間内で、一乃至複数回、前記ビットの後進と前進の往復を行う、
という削孔工程を繰り返すことにより、前記ビットを前進させる削孔制御を行うことを特徴とする。
本発明に係る地盤削孔装置の削孔制御装置の第4の構成は、前記第1乃至3の何れか一の構成に於いて、前記孔壁整形制御手段は、前記ビットを孔口まで後進させる前に、前記ビットの孔軸方向の移動を穴尻位置で止めた状態において、所定の時間だけ回転させる制御を行うことを特徴とする。
本発明に係る地盤削孔装置の削孔制御装置の第5の構成は、前記第1乃至4の何れか一の構成に於いて、前記ビットが予め設定された目的削孔深度まで到達した場合、前記コンプレッサの吐出流量を前記通常削孔設定値よりも低下させ、前記ボーリングロッドを回転させつつ前記ビットを穴尻から孔口まで後進させることにより、削孔孔の孔壁を強化する二次孔壁整形制御手段
を備えたことを特徴とする。
本発明に係る地盤削孔装置の削孔制御装置の第6の構成は、前記第5の構成に於いて、前記二次孔壁整形制御手段は、前記ビットが予め設定された目的削孔深度まで到達した場合、前記ビットを孔口まで後進させる前に、前記コンプレッサの吐出流量を前記通常削孔設定値としたまま、前記ビットの孔軸方向の移動を穴尻位置で止めた状態において、所定の時間だけ回転させる制御を行うことを特徴とする。
本発明に係る地盤削孔装置の削孔制御装置の第7の構成は、前記第1乃至6の何れか一の構成に於いて、前記孔壁整形制御手段又は前記二次孔壁整形制御手段は、前記ボーリングロッドを回転させつつ前記ビットを穴尻から孔口まで後進させる制御を行う途中で、前記回転圧Pの変動幅が、所定の脈動判定時間ΔT2内に所定の閾値ΔPrth2を超えて脈動した場合、その脈動が生じた位置を中心とする所定の区間で、前記脈動判定時間ΔT2内での前記回転圧Pの変動幅が所定の閾値ΔPrth2を下回るまで、前記ボーリングロッドの前進・後進を繰り返す制御を行うことを特徴とする。
本発明に係る地盤削孔装置の削孔制御装置のプログラムは、コンピュータに読み込ませて実行することにより、前記コンピュータを前記第1乃至7の何れか一の構成の地盤削孔装置の削孔制御装置の前記通常削孔制御手段、前記脆性層モード切替手段、前記脆性層削孔制御手段、前記孔壁整形制御手段、前記通常モード復帰手段、及び前記クリ粉識別手段として機能させることを特徴とする。
以上のように、本発明の地盤削孔方法、並びに地盤削孔装置の削孔制御装置及びそのプログラムによれば、上記のような従来技術の課題を解決し、特殊な設備や注入剤を必要とせず、脆性地山の削孔をスムーズに行うことのでき、短時間で含空隙地盤・破砕帯地盤の削孔を行うことができ、孔壁の崩壊や削孔不能状態を回避でき、通常なら二重管削孔(ケーシングを伴う削孔)でしか施工できない地盤をシングル削孔(ケーシング無しの削孔)で工期を短縮しコストダウンを図ることができる。
既設トンネル断面に於けるロックボルト補強工の一例を示す施工図である。 経年により覆工コンクリートの背後の地山が風化した状態の既設トンネルの断面の一例を示す図である。 経年により覆工コンクリートの背後の地山が風化した状態の破砕帯を貫通する既設トンネルの断面の一例を示す図である。 地表に現れた破砕帯の写真を示す写真である。 本発明の実施例1に係る地盤削孔装置の側面全体図である。 本発明の実施例1に係る地盤削孔装置のシステム構成を表すブロック図である。 覆工コンクリートの背後に空洞がない場合に於ける実施例1の地盤削孔方法の各工程の説明図である。 覆工コンクリートの背後に空洞がない場合に於ける実施例1の地盤削孔方法の各工程の説明図である。 覆工コンクリートの背後に空洞がない場合に於ける実施例1の地盤削孔方法の各工程の説明図である。 孔口から噴出するクリ粉の状態を示す写真である。(a)は脆性層の削孔時のクリ粉の状態、(b)は堅固な岩盤層Cの削孔時のクリ粉の状態である。 孔壁が粉塵状のクリ粉で埋め尽くされた脆性層をビット10が後進する様子を表す模式図である。 覆工コンクリートの背後に空洞がある場合に於ける実施例1の地盤削孔方法の各工程の説明図である。 覆工コンクリートの背後に空洞がある場合に於ける実施例1の地盤削孔方法の各工程の説明図である。 覆工コンクリートの背後に空洞がある場合に於ける実施例1の地盤削孔方法の各工程の説明図である。 覆工コンクリートの背後に空洞がある場合に於ける実施例2の地盤削孔方法の各工程の説明図である。 覆工コンクリートの背後に空洞がある場合に於ける実施例2の地盤削孔方法の各工程の説明図である。 覆工コンクリートの背後に空洞がある場合に於ける実施例2の地盤削孔方法の各工程の説明図である。 実施例2に於ける地盤削孔工程の流れを表すフローチャートである。
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。
本実施例では、本発明をロックボルトによる既設トンネル補強工事(ロックボルト補強工)に於けるロックボルト挿入孔の削孔に適用する例について説明する。尚、本発明は、本実施例で説明するロックボルト挿入孔の削孔以外にも、アンカー打設、地盤内への発破孔の削孔、地盤内への歪み計の設置等における削孔にも適用可能である。
(1)削孔対象の説明
図1は、既設トンネル断面に於けるロックボルト補強工の一例を示す施工図である。図1に於いて、既設トンネルは、トンネルの削孔面を被覆するようにアーチ状の覆工コンクリートが打設されている。覆工コンクリートの内表面には、内巻コンクリートが打設されている。ロックボルト孔(挿入孔)は、図1に二点鎖線で示した各打設位置の予定削孔線に沿って予め決められた長さだけ削孔される。各打設位置の予定削孔線は、通常、トンネルの垂直断面内で、トンネルの鉛直中心軸上の一点から外に向かって放射状に設定される。一般に、ロックボルト孔の削孔には、ジャンボドリル(トンネル削孔機)が使用されるが、本実施例では360度旋回型のクローラドリル(クローラドリルにジャンボドリルの旋回体を装備したもの)を使用する。クローラドリルは、自走可能な台車に削岩機及びその動力源となる油圧駆動装置及びコンプレッサを搭載した削孔装置である。削岩機及びその動力源となる油圧駆動装置をまとめてボーリングマシン(JIS M 0103:2020, 2101)と呼ぶ。360度旋回型のクローラドリルは、台車上で上下左右にスイング可能なガイドセルが設けられており、各削孔線の高さ及び削孔角度に合わせて設置位置及び角度の調整が可能とされている。ボーリングマシンは、長寸円筒棒状のボーリングロッド(JIS M 0103:2020, 5101)と、ボーリングロッドの先端に取り付けられた削孔用のビット(JIS M 0103:2020, 3101)を備えている。ボーリングマシンは、ボーリングロッドに対してロッド中心軸廻りの回転、ロッド中心軸方向の加圧、及びロッド中心軸方向の打撃、並びにロッド内を通してビットに対するコンプレッサーからの圧縮空気の送気を行うことができる。本実施例では、推進している(ロックボルト孔)の先端を「穴尻」、挿入孔のトンネル内腔への開口端を「孔口」と呼ぶ。
図2は、経年により覆工コンクリートの背後の地山が風化した状態の既設トンネルの断面の一例を示す図である。図3は、覆工コンクリートの背後に破砕帯がある既設トンネルの断面の一例を示す図である。経年により地山の風化が著しい既設トンネルでは、図2,図3のように覆工コンクリートに接する部分の地肌の岩盤が、風化によって剥離し地下水による浸蝕,圧力の解放により,風化が進み・岩盤組織が細粒化され、堆積礫状となっている。また、トンネル上部の覆工コンクリートの背後は、天井の岩盤が風化で肌落によって空洞が生じている。
図2に於いて、挿入孔(1)~(6)の予定削孔線は、トンネル内腔から覆工コンクリート及び堆積礫層を貫通してその背後の風化部そして堅固な岩盤に達している。また、削孔孔(5)~(6)の予定削孔線は、トンネル内腔から覆工コンクリート及び堆積礫層を貫通した後、空洞を抜けてその背後の風化部そして深部の風化作用を受けていない堅固な岩盤に達している。また、図3に於いて、削孔孔(2)の予定削孔線は、トンネル内腔から覆工コンクリート及び堆積礫層を貫通した後、破砕帯の風化部を貫通し、その背後の風化作用を受けていない堅固な岩盤に達している。挿入孔(3)~(4)の予定削孔線は、トンネル内腔から覆工コンクリート及び堆積礫層を貫通した後、脆い風化部の破砕帯から節理が密着していて風化変質が少ない圧密された破砕帯部に達している。
堆積礫層は、風化により剥脱して岩盤組織が分裂細粒化した層であり、含水率が高く5mm以下の細粒化した土砂も混在し地下水で締まった状態である。削孔直後は孔壁を維持できるが時間と共に崩壊してしまう。
また、破砕帯層の風化部は脆く節理も発達していて緩みやすい脆性層である。破砕帯は、造構作用により断層が生じ、岩石が一定の幅と方向をもって帯状に分布する部分である。図4に地表に現れた破砕帯の写真を示す。図4のように、破砕帯は、変成岩が急激に冷えて節理が発達した様相となっている。破砕帯層であっても、深く地中に埋もれている状態では、周囲の岩盤の質量で圧迫され、節理があっても密着していて岩片同士の噛み合わせは堅固なものといえる。このような破砕帯箇所は削孔しても孔壁は自立し、ロックボルトの1本当りの引抜荷重(10t~15t)に十分耐えうる。経験上、表面から約3m地点の深部はこのような状態である。
しかし、破砕帯部を貫通して出来たトンネルは掘削に伴い破砕帯表面部が外気に暴露し地盤の圧力解放で節理が風化し剥離し脆くなる。トンネルの断面の大きさにもよるが、年月とともに風化領域は深部まで進行する。表面から約3m地点までの破砕帯部は脆く崩壊し易いと言わざるを得ない。故に、図3の削孔孔(3)~(4)のように、予定削孔線が破砕帯層内であっても、ロックボルト長を3m以上の長さにすれば、十分な引抜耐力を得られロックボルトを地山に定着させることが出来る。
(2)地盤削孔装置の機械的構成
図5は、本発明の実施例1に係る地盤削孔装置の側面全体図である。本実施例の地盤削孔装置1は、削孔制御の制御システムに特徴があり、機械的な構成としては、図5に示したような一般的に広く使用されているクローラドリルにジャンボドリルの旋回体を装備したものを利用する。図5のクローラドリル(地盤削孔装置)1は、履帯(キャタピラ)2によって自走可能な台車3に、削岩機(ドリフタ)4及びコンプレッサ6(図5には図示せず。図6参照)を搭載した削孔装置である。台車3の前部に、360度ガイドセル旋回装置7が設けられており、ガイドセル旋回装置7の先端のガイドセル左右マウンチング8上に、削岩機4を前後に移動させる軌道であるガイドセル9が設けられている。削岩機4には、先端にビット10を備えたボーリングロッド11が連結されている。削岩機4は、ボーリングロッド11に対して、回転力(回転圧)、軸方向の打撃力、及び軸方向の推力(フィード力)を負荷することができる。ここで、削岩機4は、油圧によって駆動される油圧式であり、「回転圧」はボーリングロッド11に対して回転力を与えるための油圧モーターの駆動油圧、「打撃圧」はボーリングロッド11に対して軸方向の打撃力与えるための油圧ピストンの駆動油圧、「フィード圧」は、削岩機4を地山に押付ける油圧シリンダの駆動油圧である。ボーリングロッド11の先端側は、ガイドセル9の先端に設けられたセントライザー12及び集塵フード13を挿通してガイドセル9の先端側に突出している。ボーリングロッド11は、長尺な中空円筒状であり、削岩機4に接続された基端側が、コンプレッサー6の吐出口に接続された油圧ホース・送気ホース14(油圧ホースと送気ホースとが纏められたもの)に連通しており、コンプレッサー6から圧送されてくるクリ粉の輸送用流体である圧縮空気をビット10に送る。ビット10には、先端部及び側面に、圧縮空気の噴射孔(図示せず)が複数設けられており、コンプレッサー6から圧送されてくる圧縮空気は、これらの噴射孔から外部へ噴射される。集塵フード13には吸引ホース15の上流端が接続されており、この吸引ホース15の下流端は集塵機(ダストコレクター)(図示せず)が接続されている。集塵機は、挿入孔の孔口から集塵フード13内へ排出される繰り粉を、吸引ホース15を介して吸引し集塵する。
(3)地盤削孔装置のシステム構成
図6は、本発明の実施例1に係る地盤削孔装置のシステム構成を表すブロック図である。図6に於いて、図5に対応する部分には、同符号を付している。ボーリングマシン4,5は、上述した通り、削岩機4及びその動力源となる油圧駆動装置5をまとめたものである。また、コンプレッサー6は、上述の通り、空気を圧縮して圧力を高めた圧縮空気を送気ホース14に供給する装置である。地盤削孔装置1は、削孔制御部21,フィード圧制御部22,打撃圧制御部23,回転圧制御部24,ブロー制御部25,フィード圧検出部26,打撃圧検出部27,回転圧検出部28,ブロー圧検出部29,ダンピング圧検出部30,粉塵検出センサ31,及び繰粉識別装置32を備えている。ここで、削孔制御部21,フィード圧制御部22,打撃圧制御部23,回転圧制御部24,ブロー制御部25,及びクリ粉識別装置31は、地盤削孔装置1が備えるコンピュータにプログラムを読み込ませて実行させることにより、機能モジュールとして実現される。

削孔制御部21は、地盤削孔装置1の削孔動作全体を制御するモジュールである。フィード圧制御部22は、削岩機4及びボーリングロッド11に対して負荷するフィード圧の制御を行うモジュールである。このフィード圧制御部22は、ガイドセル9上で削岩機4の移動を行うフィードモーターを油圧制御するものであり、削岩機4及びボーリングロッド11の前進及び後進の動作の制御も、これにより行われる。打撃圧制御部23は、削岩機4からボーリングロッド11に対して加えられるロッド軸方向の打撃圧(振動圧)を制御するモジュールである。回転圧制御部24は、削岩機4からボーリングロッド11に対して加えられるロッド軸廻りの回転圧を制御するモジュールである。ブロー制御部25は、コンプレッサー6の吐出圧又は吐出流量の制御を行うモジュールである。フィード圧検出部26は、削岩機4のフィード圧を検出する油圧センサである。打撃圧検出部27は、削岩機4の打撃圧を検出する油圧センサである。回転圧検出部28は、削岩機4の回転圧を検出する油圧センサである。ブロー圧検出部29は、ダンピング圧検出部30を検出する圧力センサである。ダンピング圧検出部30は、削孔時に削岩機4が岩盤より受ける反力(削孔反力)を検出する油圧センサである。粉塵検出センサ31は、挿入孔の孔口から集塵フード13に流入する粉塵濃度を検出するセンサである(JIS Z 8852参照)。一般に、粉塵検出センサには、光散乱方式(測定光を粉塵に照射した際に、粉塵により吸収、散乱される測定光の散乱光強度が粉塵濃度と相関関係にあることを利用した粉塵濃度検出方式),光透過方式(測定光を粉塵に照射した際に、測定光が粉塵により遮光され元の光量が減衰されるが、この測定光の減衰量が粉塵濃度と相関関係にあることを利用した粉塵濃度検出方式),摩擦静電気方式(粉塵を含む流体中にプローブ状の電極を挿入すると、流体中の粉塵粒子が電極に衝突又は近傍を通過することにより粉塵粒子と電極との間で電荷の移動及び誘導現象が生じるが、この電荷の移動量が粉塵濃度と相関関係にあることを利用した粉塵濃度検出方式)などがあるが、クリ粉には大粒径の岩屑も含まれることから、粉塵検出センサ31には、繰粉と非接触で検出する方式である光散乱方式又は光透過方式を採用するのが好ましい。クリ粉識別装置32は、粉塵検出センサ31により検出される粉塵濃度の検出値から、孔口から粉塵状のクリ粉が噴出したか否かを判定するモジュールである。
(4)地盤削孔装置による地盤削孔方法
次に、上述した本実施例の地盤削孔装置による地盤削孔方法について説明する。
(4.1)覆工コンクリートの背後に空洞がない場合
図7,図8,図9は、覆工コンクリートの背後に空洞がない場合に於ける実施例1の地盤削孔方法の各工程の説明図である。図7,図8,図9は、覆工コンクリートAとその背後(地山側)の岩盤層Cとの間に、堆積礫層のような脆性層Bがある場合を示している。
最初に、削孔制御部21は、削孔制御モードを「通常削孔モード」に設定する。ここで、「削孔制御モード」とは、削孔時のコンプレッサー6のエアー吐出量、及び削岩機4のフィード圧,打撃圧,回転圧の制御方式のことをいう。「通常削孔モード」では、削孔制御部21は、ブロー制御部25により、コンプレッサー6に於けるコンプレッサー6のエアー吐出量を予め決められた通常削孔設定値に設定し、フィード圧制御部22により、削岩機4に於けるフィード圧を予め決められた通常削孔設定値に設定し、打撃圧制御部23により、削岩機4に於ける打撃圧を予め決められた通常削孔設定値に設定し、回転圧制御部24により、削岩機4に於ける回転圧を予め決められた通常削孔設定値に設定する。ここで、「通常削孔設定値」は、前述した通り、通常の堅固な岩盤を削孔する際の、コンプレッサーのエアー吐出量、並びに削岩機のフィード圧,回転圧P及び打撃圧Pの設定値であって、予め初期値として設定されているものである。
この通常削孔モードの動作状態で、地盤削孔装置により覆工コンクリートAの内面側から削孔を開始し、図7(a)に示したように、ビット10が覆工コンクリートAを貫通する。覆工コンクリートAは、堅固であるため、覆工コンクリートAの削孔中は、打撃圧検出部27により検出される打撃圧P及び回転圧検出部28により検出される回転圧Pの所定の脈動判定時間ΔT1内に於ける変動幅ΔPsth,ΔPrthは小さく、安定している。また、この際に孔口から噴出するクリ粉は、粒径の細かい粉塵状のものが多く混ざった状態である。
さらに掘進を続け、図7(b)のように、ビット10が覆工コンクリートAを抜けて脆性層Bに侵入すると、脆性層Bの堆積礫又は風化の著しい緩んだ岩盤は締まりが緩いため、ビット10に与えられる打撃エネルギーと回転エネルギーは周囲の地山に散逸され易くなり、打撃圧検出部27,回転圧検出部28により検出される打撃圧P,回転圧Pの、脈動判定時間ΔT1(本実施例ではΔT1=5秒とする。)内に於ける変動幅ΔP,ΔPが大きくなる。削孔制御部21は、この変動幅ΔP又は変動幅ΔPを、予め設定された閾値ΔPrth,ΔPsthと比較して、ΔP,ΔPが閾値ΔPrth,ΔPsthを超えて脈動した場合、ビット10が脆性層Bに侵入したと判定して、削孔制御モードを脆性層モードに切り替える。
ここで、変動幅ΔP,ΔPは、ΔT1内に於けるP,Pの最大値から最小値を引いた値(レンジ)としてもよいし、ΔT1内に於けるP,Pの分散又は標準偏差若しくは平均偏差としてもよいが、出来るだけ突発的なノイズの影響を受けにくくするため、分散又は標準偏差若しくは平均偏差を用いるほうが好ましい。また、ビット10が脆性層Bに侵入したことの判定には、変動幅ΔPと変動幅ΔPの何れを用いてもよい。
またビット10が脆性層Bに侵入すると、削孔で孔口から排出する削孔スライムは、5mm以上の大粒径のものが多く含まれるようになり、空中に浮遊しない砂利状又は砂状の粒径の大きいものが多く混ざったものとなる。これは、ビット10の周囲の地山が緩いため、打撃エネルギーの散逸によって孔内での粉砕力が低下するとともに、ビット10の周囲の孔壁が崩れて十分に粉砕されないまま孔口へ排出されるためと考えられる。図10(a)に、脆性層Bの削孔時に孔口から噴出する削孔スライムの状態を示す。脆性層Bの削孔時には、粉塵状のクリ粉は殆ど見られず、外部から削孔時の孔口ははっきりと見通せるような状態となる。
さらに掘進を続け、図8(a)のように、ビット10の先端が脆性層Bを抜けてやや堅固な岩盤層Cに到達すると、ビット10に与えられる打撃エネルギーや回転エネルギーは周囲の地山に散逸されにくくなるため、変動幅ΔP,ΔPは再び小さくなる。また、削孔で生じるクリ粉は、粒径の細かい粉塵状のものが多く混ざった状態に変化してゆく。そして、図8(b)のように、ビット10が堅固な岩盤層Cにある程度侵入すると、孔口から噴出するクリ粉は、粒径の細かい粉塵状のものが多く混ざった状態に急激に変化する。これは、ビット10の周囲の孔壁が堅固となるため、穴尻が堅固な石臼状となってクリ粉が細粒化するためと考えられる。図10(b)に、ビット10が堅固な岩盤層Cに侵入した際に孔口から噴出するクリ粉の状態を示す。堅固な岩盤層Cに侵入した際には、粉塵状のクリ粉が急激に増加し、外部から削孔時の孔口がはっきりとは見通ないような状態となる。図10(b)の写真では、挿入孔の孔口から集塵フード13内に噴出するクリ粉にライトを当てているが、空中に浮遊する粉塵状のクリ粉にライトの光が散乱されて、集塵フード13内が白く曇って見通せないような状態となっている。
脆性層モードに於いては、繰粉識別装置32は、粉塵検出センサ31により孔口から噴出する粉塵濃度を検出し、粉塵濃度センサ31により検出される粉塵濃度の一定時間間隔毎の平均粉塵濃度ρ又は平均粉塵濃度の時間変化Δρが所定の閾値を超えたか否かの判定を継続して行う。図10(a),図10(b)から分かるように、ビット10が堅固な岩盤層Cに侵入した際には、粉塵状のクリ粉が急激に増加し、挿入孔の孔口の集塵フード13内の空間では曇って見通せないほどに光が散乱される。従って、光散乱方式や光透過方式の粉塵検出センサ31を用いて一定時間間隔毎の平均粉塵濃度ρ又は平均粉塵濃度の時間変化Δρを測定すれば、ビット10が堅固な岩盤層Cに突入したことを検出することができる。
削孔制御部21は、クリ粉識別装置32が平均粉塵濃度ρ又は平均粉塵濃度の時間変化Δρが所定の閾値を超えたと判定した後、引き続き脆性層モードで30cmほど削孔し孔壁強化モードに切り替える。孔壁強化モードではコンプレッサー6のエアー吐出量及び鑿岩機4の回転圧及び打撃圧を通常削孔設定値としたまま、フィード圧を0としてビット10の孔軸方向の移動を穴尻位置で停止し、少し浮かした状態で所定の時間T2だけ、圧縮空気を噴射しながらビット10を回転させる。尚、このとき、打撃圧を0として打撃は停止する。これにより、孔内に残留した細粒状の繰粉が、圧縮空気による輸送でスパイラル状に脆性層の孔壁に移動し、脆性層の孔壁の礫と礫との隙間に吹付充填させる。粉塵状のクリ粉はジャーミング転移によって礫と礫との隙間を固めビット10が孔壁に接触しても孔壁は容易に崩れないようになる。ここで、クリ粉を十分に孔口まで輸送させる観点から、ビット10を穴尻位置に滞溜させる時間T2は、10~30秒とするのが好ましい。
次に、図9(a)に示すように、削孔制御部21は、ブロー制御部25によりコンプレッサー6のエアー吐出量を通常削孔設定値よりも下げて、打撃圧制御部23により打撃圧を20~50%に抑え、回転圧制御部24によりボーリングロッドを回転させつつ、フィード圧制御部22によりビットを孔口外まで後進させる(ビット引抜モード)。具体的には、このときのコンプレッサー6のエアー吐出量は、圧縮空気の噴射圧で孔壁に過度の負荷をかけたり、礫と礫との隙間の粉塵状のクリ粉を風圧で吹き飛ばして散飛させたりすることなく、且つ、できるだけ礫と礫との隙間の深奥まで粉塵状の繰粉を押し込むという観点から、通常削孔設定値の1/2~1/3とすることが好ましい。図11に、孔壁が粉塵状のクリ粉で埋め尽くされた脆性層をビット10が後進する様子を表す模式図を示す。図11に示すように、堅固な岩盤層Cの削孔で生じた粉塵状のクリ粉は、脆性層Bの孔壁の礫と礫の隙間に滞溜して、隙間を埋め尽くした状態となっている。孔壁の礫と礫の隙間が粉塵状のクリ粉で埋め尽くされているので、脆性層Bの孔壁は充填補強され、ビット10が触れても崩壊しにくくなっている。この状態で、コンプレッサー6の吐出流量を通常削孔設定値よりも低下させ、圧縮空気をビット10から弱めに噴射させつつ、ビット10を孔口へ向かって後進させる。然為れば、孔壁に堆積した粉塵状のクリ粉は、圧縮空気の圧力により外側に向かって押されて、礫と礫との隙間の深奥まで粉塵状のクリ粉を押し込まれてさらに孔壁は補強される。また、ビット10の後進によって、図11に示すように、孔壁内面に凸凹に付着した細粒状の繰粉層の内面がトンボ掛けしたように、凹凸のない滑らかな円形断面に均される(整形される)。これにより、孔壁は緩まないように押し固められて自立し、孔壁の崩壊が防止される。
次に、削孔制御部21は、ビット10を再び穴尻まで挿入させた後、削孔制御モードを通常削孔モードに切り替え、予定削孔線に沿って目的削孔深度に達するまで堅固な岩盤層Cの削孔を行う。尚、もしも削孔途中でビット10が再び脆性層に入った場合には、上述と同様な工程によって脆性層の削孔を行う。
図9(b)に示すように、ビット10が目的削孔深度に達した場合、打撃圧を止め回転圧ブロー圧を通常削孔設定値としたまま、フィード圧を0としてビット10の孔軸方向の移動を穴尻位置で停止しビットを少し浮かして、所定の時間T2だけ、圧縮空気を噴射しながらビット10を回転させる(孔壁強化モード[2])。
削孔制御部21は、フィード圧制御部22により、コンプレッサー6のエアー吐出量を通常削孔設定値よりも低下させ、回転圧制御部24により、ボーリングロッドを回転させつつ、フィード圧制御部22により、ビット10を孔口外まで後進させる(ビット引抜モード[2])。
堅固な岩盤層Cの削孔の際には、粉塵状のクリ粉が生じるので、これはある程度の厚みで挿入孔の孔壁に滞留している。そこで、上記ビット引抜モード[2]を行うことで、図11で説明した場合と同様に、脆性層Bの区間で孔壁に堆積した粉塵状のクリ粉は、圧縮空気の圧力と円を描くスパイラル気流により外側に向かって礫と礫との隙間の深奥まで粉塵状のクリ粉を押し込まれてさらに孔壁は補強される。また、ビット10の後進によって、図11に示すように、孔壁内面に凸凹に付着した細粒状のクリ粉層の内面がトンボ掛けしたように、凹凸のない滑らかな円形断面に均される。これにより、孔壁は堅固になり崩壊しにくくなる。
(4.2)覆工コンクリートの背後に空洞がある場合
図12,図13,図14は、覆工コンクリートの背後に空洞がある場合に於ける実施例1の地盤削孔方法の各工程の説明図である。図12,図13,図14は、覆工コンクリートAとその背後の地山Eとの間に、地山Eの風化と流出によって形成された空洞Dがある場合を示している。この地山Eの空洞Dに面する表面領域は、数十cm程度まで風化が進み脆性層となっている。
最初に、削孔制御部21は、削孔制御モードを「通常削孔モード」の、ブロー制御部25により、コンプレッサー6に於けるエアー吐出量を予め決められた通常削孔設定値に設定し、フィード圧制御部22により、削岩機4に於けるフィード圧を予め決められた通常削孔設定値に設定し、打撃圧制御部23により、削岩機4に於ける打撃圧を予め決められた通常削孔設定値に設定し、回転圧制御部24により、削岩機4に於ける回転圧を予め決められた通常削孔設定値に設定する。そして、通常削孔モードの動作状態で、地盤削孔装置により覆工コンクリートAの内面側から削孔を開始し、図12(a)に示したように、ビット10が覆工コンクリートAを貫通する。
このとき、覆工コンクリートAの背面が空洞の場合、貫通孔の空洞D側の覆工コンクリートAの表面は、クレーター状に剥離してコンクリート剥脱穴Fが形成され、この剥離により生じる大割れのコンクリート剥脱殻Gは空洞D内に飛散する。図12(a)のように、コンクリート剥脱穴Fの周囲の覆工コンクリートAの空洞D側表面が傾斜面であれば、コンクリート剥脱殻Gはコンクリート剥脱穴Fの周囲に散乱し堆積する。また、覆工コンクリート貫通時には打撃圧検出部27,回転圧検出部28により検出される打撃圧P,回転圧Pの、脈動判定時間ΔT1(本実施例ではΔT1=5秒とする。)内に於ける変動幅ΔP,ΔPが大きくなる。削孔制御部21は、この変動幅ΔP又は変動幅ΔPを、予め設定された閾値ΔPrth,ΔPsthと比較して、ΔP,ΔPが閾値ΔPrth,ΔPsthを超えて脈動するためこの時点で削孔制御部21は、脆性層モードに切り替わる。
さらにビット10の前進を続け、図12(b)のように、ビット10が空洞Dを抜けて地山Eの風化している表層の脆性層に突入すると、地山Eの表層部のビット10が打撃する周辺は、クレーター状に剥脱して地山表面に剥脱穴Hが形成される。この剥離により生じる大割れの剥脱礫Iも空洞D内に脱落し、図12(a)のように、覆工コンクリートAの空洞D側表面が傾斜面であれば、コンクリート剥脱殻Gはコンクリート剥脱穴Fの周辺に散乱し堆積する。通常、浸蝕によって生じる空洞Dは狭いので、多くの場合、図12(b)のように、空洞Dは、コンクリート剥脱殻Gと地山表面剥脱礫Iにより塞がれる。
また、ビット10が地山Eの表層部に突入すると、打撃圧検出部27,回転圧検出部28により検出される打撃圧P,回転圧Pの、脈動幅で、堅固な岩盤か脆性層が判明し、脈動幅が少なく堅固な岩盤と判断されれば通常削孔モードに切り替わり、30cm削孔後に孔壁強化モード[1]からビット引抜モード[1]で孔壁整形モードを経て再挿入モード⇒通常削孔モード⇒孔壁強化モード[2]⇒ビット引抜モードで削孔を完了する。
打撃圧検出部27,回転圧検出部28により検出される打撃圧P,回転圧Pの、脈動判定時間ΔT1(本実施例ではΔT1=5秒とする。)内に於ける変動幅ΔP,ΔPが大きく、この変動幅ΔP又は変動幅ΔPを、予め設定された閾値ΔPrth,ΔPsthと比較して、ΔP,ΔPが閾値ΔPrth,ΔPsthを超えて脈動した場合、脆性層に侵入したと判定して、削孔制御モードは脆性層モードを継続選択する。
ビット10が地山Eの表層の脆性層に侵入すると、削孔で生じる削孔スライムは、大粒径のものが多く含まれるようになり、孔口から排出される削孔スライムは、砂利状又は砂状の粒径の大きいものが多く混ざった状態となる。この削孔スライムは、空洞Dに於いて挿入孔の周囲に堆積して、ボーリングロッド11をドーナツ状に囲むように溜まる。
更にビット10が地山E内に突入して、地山Eの表層部の脆性層を抜けて堅固な岩盤層に到達すると、ビット10に与えられる打撃エネルギーや回転エネルギーは周囲の地山に散逸されにくくなるため、変動幅ΔP,ΔPは再び小さくなる。また、削孔で生じる削孔スライムは、粒径の細かい粉塵状のものが多く混ざった状態に変化してゆく。これらの細粒状のクリ粉は、ボーリングロッド11をドーナツ状に囲むように空洞Dのボーリングロッド11の周囲をさらに埋めて、図13(a)のように、この細粒状削孔スライムJの堆積により、挿入孔は空洞Dを埋め尽くした削孔スライムの中に構築される。
脆性層モードに於いては、繰粉識別装置32は、粉塵検出センサ31により孔口から排出する粉塵濃度を検出し、粉塵濃度センサ31により検出される粉塵濃度の一定時間間隔毎の平均粉塵濃度ρ又は平均粉塵濃度の時間変化Δρが所定の閾値を超えたか否かの判定を継続して行う。削孔制御部21は、繰粉識別装置32が平均粉塵濃度ρ又は平均粉塵濃度の時間変化Δρが所定の閾値を超えたと判定した地点から脆性層モードで更に30cm削孔した後、フィード圧を0としてビット10の孔軸方向の移動を穴尻位置で停止し穴尻から少しビットを浮かした状態で、所定の時間T2だけ、圧縮空気を噴射しながらビット10を回転させる。尚、このとき、打撃圧を0として打撃は停止し、圧縮空気の噴射圧とスパイラル状の回転気流によって空洞Dのボーリングロッド11をドーナツ状に囲むように堆積したクリ粉を圧縮・除去して孔壁を固める(孔壁強化モード[1])。
次に、図13(b)に示すように、削孔制御部21は、ブロー制御部25によりコンプレッサー6のエアー吐出量を通常削孔設定値よりも低下させ、回転圧制御部24によりボーリングロッドを回転させつつ、フィード圧制御部22によりビットを孔口外まで後進させる(ビット引抜モード[1])。また、ビット10の後進によって、図13(b)に示すように、孔壁内面に凸凹に付着した細粒状のクリ粉層の内面がトンボ掛けしたように、凹凸のない滑らかな円形断面に均される。これにより、孔壁は緩まないように押し固められて自立し、孔壁の崩壊が防止される。
次に、削孔制御部21は、ビット10を再び穴尻まで打撃・エアーブロー回転を止めて前進させた後、削孔制御モードを通常削孔モードに切り替え、予定削孔線に沿って目的削孔深度に達するまで堅固な岩盤層Cの削孔を行う。尚、もしも削孔途中でビット10が再び脆性層に入った場合には、上述と同様な工程によって脆性層の削孔を行う。
なお、穴尻まで挿入中に、脆性層で進行を妨げる症状が出た場合は、その箇所は孔内に岩片が脱落し穴を塞いでいるのでエアーを絞って打撃と回転は通常削孔モードで前進・後進のフィードスピードを速くしてその箇所のビット挿入がスムーズになるまでピストン削孔[2]を行い塞いでいる岩片を細粒粉砕化して穴尻までビットを挿入し、通常削孔モード堅固な岩盤層Cの削孔を行う。
図14(a),図14(b)に示すように、ビット10が目的削孔深度に達した場合、フィード圧を0としてビット10の孔軸方向の移動を停止しビットを穴尻から少し浮かした状態で、所定の時間T2だけ、圧縮空気を噴射しながらビット10を回転させる。尚、このとき、打撃圧を0として打撃は停止する(孔壁強化モード[2])。堅固な岩盤層Cの削孔の際には、粉塵状のクリ粉が生じるので、図14(a)に示したようにある程度は孔壁に残留している。そこで、上記孔壁強化モード[2]を行うことで、図11で説明した場合と同様に、脆性層Bの区間で孔壁に残留したクリ粉を、圧縮空気でスパイラル状に孔壁に向かって押し固められ、また、空洞Dのボーリングロッド11をドーナツ状に囲むように堆積したクリ粉がさらに圧縮されて密となり、孔壁はより補強される。
その後、削孔制御部21は、フィード圧制御部22により、コンプレッサー6のエアー吐出量を通常削孔設定値よりも低下させ或いは0にし、打撃圧制御部23により、打撃圧を0として打撃を停止し、回転圧制御部24により、ボーリングロッドを回転させつつ、フィード圧制御部22により、ビット10を孔口外まで後進させる(ビット引抜モード[2])。
以上のように、本実施例の地盤削孔装置による地盤削孔方法を用いると、脆性層に於ける礫と礫との隙間などの孔壁の凹み内で、細粒状のクリ粉のスパイラル状の回転気流とエアー吹付圧でクリ粉のジャーミング転移を生じせしめ固めることで、ビットが孔壁に接触しても孔壁が容易に崩壊しないように強化される。そして、その後、コンプレッサーのエアー吐出量を通常削孔設定値よりも低下させて噴射させつつ、ビットを孔口外まで後進させることにより、礫と礫との隙間の深奥までクリ粉を押し込み、孔壁を補強しつつ、孔壁内面に凸凹に付着した繰粉層の内面をビット側面で凹凸のない滑らかな円形断面に均す。これにより、孔壁は緩まないように押し固められて自立し、孔壁の崩壊が防止される。また、本実施例の地盤削孔方法では、特殊な設備や注入剤を必要とせずに脆性層の削孔不能状態を回避でき、シングル削孔(ケーシング無しの削孔)で工期を短縮しコストダウンを図ることができる。また、熟練削孔員の削孔技術をプログラム化し初心者でもプロの技術で削孔できる。
本実施例では、本発明に係る地盤削孔方法の他の実施例について説明する。尚、本実施例の地盤削孔方法で使用する地盤削孔装置の機械的構成及びシステム構成については、実施例1の図5,図6に示したものと同様とし、削孔制御部21による制御工程が、実施例1とは異なる。
図15,図16,図17は、覆工コンクリートの背後に空洞がある場合に於ける実施例2の地盤削孔方法の各工程の説明図である。図18は、実施例2に於ける地盤削孔工程の流れを表すフローチャートである。
最初に、削孔制御部21は、削孔制御モードを「通常削孔モード」に設定する。尚、「通常削孔モード」については、実施例1で説明した通りである。本実施例では、通常削孔モードでは、コンプレッサー6のエアー吐出量が全開、削岩機4のフィード圧が45kg/cm,打撃圧が130~150kg/cm,回転圧が50~60kg/cmであるとする(この設定値を「通常削孔設定値」とする)。この通常削孔モードの動作状態で、地盤削孔装置により覆工コンクリートAの内面側から削孔を開始し、ビット10が覆工コンクリートAを貫通した後、図15(a)のように、空洞Dを抜けて地山Eに突入する。ビット10が覆工コンクリートAを突き抜けるときに、覆工コンクリートAの空洞D側の表面部がクレーター状に大割れ(大きな破片に割れること)して剥離し、コンクリート剥脱殻Gが空洞D内に剥落する。また、ビット10が空洞Dから風化の著しい地山E表面に突入するとき、地山Eの空洞D側の表面部がクレーター状に大割れして剥脱し、岩片(地山表面剥脱礫I)が空洞D内に堆積する。空洞Dの幅が狭い(約20cm以下)場合、これらの大割れした岩片(コンクリート剥脱殻G又は地山表面剥脱礫I)は、空洞D内の挿入孔の下方に引っ掛かるように堆積して、覆工コンクリートAと地山Eの間を架橋する(尚、空洞部の幅が20cm以上ある場合には、岩片架橋を形成しないで空洞Dの底方まで落下する場合もある)。岩片架橋が形成された場合、地山Eの表層部の脆性層B内にビット10が進行した際に生じる、比較的大粒の削孔スライム,ズリは、空洞D内の岩片架橋上に堆積し、図15(a)のように、空洞Dの内腔の挿入孔の周囲を詰塞する。尚、この状態では、岩片同士が緩く噛合っているだけで、隙間が広く崩れ易い。
実施例1で説明したように、ビット10が覆工コンクリートAを削孔している時は、打撃圧検出部27により検出される打撃圧P及び回転圧検出部28により検出される回転圧Pの所定の脈動判定時間ΔT1内に於ける変動幅ΔPsth,ΔPrthは小さく、安定しており、ビット10が空洞Dを通過している時及び脆性層Bに突入すると、打撃圧検出部27,回転圧検出部28により検出される打撃圧P,回転圧Pの、脈動判定時間ΔT1(本実施例ではΔT1=5秒とする。)内に於ける変動幅ΔP,ΔPが大きくなる。削孔制御部21は、この変動幅ΔP又は変動幅ΔPを、予め設定された閾値ΔPrth,ΔPsthと比較して、ΔP,ΔPが閾値ΔPrth,ΔPsthを超えて脈動した場合、ビット10が脆性層Bに侵入したと判定して、削孔制御モードを脆性層モードに切り替える。
次に、削孔制御部21は、ビット10が脆性層Bに突入した後に、コンプレッサー6のエアー吐出量及び削岩機4のフィード圧,打撃圧,回転圧を通常削孔設定値としたまま、予め設定された所定の距離d1(d1は任意の長さに設定できるが、本実施例ではd1=10cmとする。)だけビット10が掘進する。ビット10が距離d1だけ掘進すると、図15(b)のように、前記侵入距離d2(d2は任意の長さに設定できるが、本実施例ではd2=30cmとする。)区間内で、ビット10を数回(1~5回)前進・後進移動させる(以下、このビット10を前後に前進・後進移動させる削孔動作を「ピストン削孔[1]」という)。さらに、n回のピストン削孔[1]によってビット10が距離d3=n・d1(nは任意の数に設定できるが、本実施例ではn=5(d3=50cm)とする。)だけ前進すると、削孔制御部21はビット10を孔口まで後進させ、再度、穴尻まで前進させる、という後進・前進の往復動作制御を行う。さらに、このピストン削孔[1]では、削孔制御部21は、粉塵検出センサ31により検出される、挿入孔の孔口から排出される削孔スライムの排出状態を監視しながら実行する。即ち、孔口から排出される削孔スライムが検出されなくなった時点で、削孔制御部21はビット10を後進させ、ビット10が距離d3だけ後進するか又は孔口から排出される削孔スライムが検出されると、削孔制御部21はビット10を前進させる。これにより、侵入距離d3の区間内の挿入孔内に堆積している岩片(風化岩)を破砕・細粒化すると同時に、この細粒化した削孔スライムを挿入孔の空洞Dの区間に送り、堆積している岩片間の隙間を目詰めし、孔内の突起を破砕・細粒化しながら空洞部の孔壁を整形する。
削孔スライムの排出が孔口で検出確認できれば空洞部が埋まり覆工コンクリートと挿入孔が連結したとみなし、削孔制御部21は、コンプレッサー6のエアー吐出量、及び削岩機4のフィード圧,打撃圧,回転圧を通常削孔設定値として、侵入距離d3の地点より深部の削孔を継続進行する(脆性層モード)。このとき、繰粉識別装置32は、粉塵検出センサ31により孔口から噴出する粉塵濃度を検出し、粉塵濃度センサ31により検出される粉塵濃度の一定時間間隔毎の平均粉塵濃度ρ又は平均粉塵濃度の時間変化Δρが所定の閾値を超えたか否かの判定を継続して行う。ここで、平均粉塵濃度ρの「所定の閾値」は、図10(b)のように挿入孔の孔口の集塵フード13内の空間が曇って見通せないほどに光が散乱された状態の平均粉塵濃度の検出値とする。また、平均粉塵濃度の時間変化Δρの「所定の閾値」は、図10(a)のような見通しの良い状態から図10(b)のような見通しの悪い状態へ変化したときの平均粉塵濃度の時間変化の検出値とする。これらの「所定の閾値」は、試験削孔を行うことにより実測して求める。
次に、繰粉識別装置32が平均粉塵濃度ρ又は平均粉塵濃度の時間変化Δρが所定の閾値を超えたと判定した場合、削孔制御部21はビット10が堅固な岩盤層Cに侵入したと判定し、削孔制御部21はさらに堅固な岩盤層Cを所定の距離d4(d4は任意の長さに設定できるが、本実施例ではd4=30cmとする。)だけビット10を脆性層モードで削孔する(図16(a))。
次に、削孔制御部21は、所定の距離d5(d5は任意の長さに設定できるが、本実施例ではd5=0~5cmとする。)だけビット10を後進させた後、穴尻から距離d3の位置にビット10を留め打撃を止める。そして、この位置で、回転と高圧エアーのみ(何れも通常削孔設定値とする。)で所定の時間T3(T3は任意の時間に設定できるが、本実施例ではT3=30秒とする。)ビットを空回しさせて、脆性層B(礫層,破砕帯層等)の孔壁周辺の空隙に、削孔クリ粉をスパイラル状に吹付目詰めさせジャーミング転移で固めることにより脆性層B内の挿入孔の孔壁を強化する(孔壁強化モード[1])。
次に、削孔制御部21は、打撃を止めた状態で、回転圧及びコンプレッサー6のエアー吐出量を通常削孔設定値の1/2~1/3に絞って、ビット10を覆工コンクリートAの孔口外まで後進させる(ビット引抜モード[1])。これにより、挿入孔の孔壁は円形状にきれいに整形される。ここで、ビット10を孔口まで後進させている途中で、回転圧検出部28により検出される回転圧Pが所定の閾値ΔPrth2を超えて脈動した場合、そこは岩片が飛び出しているか崩落している場所なので、削孔制御部21は、その部分を中心として、打撃を加えて回転圧が脈動しなくなるまでその箇所を孔壁整形モードでピストン削孔[2](このときの、前進・後進移動量d6は任意に設定できるが、本実施例ではd6=50cmとする。)を行い、飛び出している岩片を砕き細粒化する。そして、細粒化して上記脈動がなくなれば、ビットを孔口外まで後進させ、削孔制御部21は、打撃・回転エアーブローを止めフィードのみで穴尻まで再挿入する(再挿入モード)。
ここで、この再挿入中にビット10が前進せずに止まれば、その箇所は崩壊しているので、削孔制御部21は、前述のピストン削孔[2]で岩片を細粒化する。このピストン削孔[2]は、ピストン削孔中に打撃が空打ちしなくなるまで(抵抗なく挿入できるまで)繰り返す。ピストン削孔が終わると、再び、打撃・回転・エアーブローを停止し、ビット10を穴尻まで静かに再挿入する。
そして、ビット10を再び穴尻まで挿入させた後、削孔制御部21は、削孔制御モードを通常削孔モードに切り替え(通常モード復帰工程)、予定削孔線に沿って目的削孔深度に達するまで堅固な岩盤層Cの削孔を行う(図16(b))。尚、もしも削孔途中でビット10が再び脆性層に入った場合には、上述と同様な工程によって脆性層の削孔を行う。
ビット10が目的削孔深度に達した場合、削孔制御部21は、穴尻から距離d5’の位置(d5’は任意の長さに設定できるが、本実施例ではd5’=0~5cmとする。)にビット10を留め、打撃を止める。この位置で、回転とエアーブローのみ(何れも通常削孔設定値とする。)で所定の時間T3’(T3’は任意の時間に設定できるが、本実施例ではT3’=30秒とする。)空回しさせて、細粒状の削孔クリ粉による脆性層B(礫層,破砕帯層等)の孔壁の目詰め(孔壁強化モード[2])を行う(図17(a))。
次いで、削孔制御部21は、打撃・回転・エアーを止めた状態で、ビット10を覆工コンクリートA内面の孔口外までゆっくりと後進させる(図17(b))(ビット引抜モード[2])。この後進の途中で、回転圧検出部28またはフィード圧検出部26で検出されるフィード圧Pが所定の閾値Pfth1(閾値Pfth1は、実験的に定める。)を超えて上昇した場合、その箇所は孔壁崩壊しているので、削孔制御部21は、その部分を中心として、前述のピストン削孔[2](このときは、打撃・回転は通常削孔設定値とし、コンプレッサ6の吐出流量は通常削孔設定値の1/2とする。また、前進・後進移動量d6は任意に設定できるが、本実施例ではd6=50cmとする。)を行い、孔壁を整形する。孔内を塞いでいる岩片を粉砕細粒化して上記脈動がなくなれば、削孔制御部21は、再び、打撃を止め、回転油量及びコンプレッサー6のエアー吐出量を絞り、ビット10をゆっくり後進させる。これにより、孔壁内面に凸凹に付着した細粒状のクリ粉層の内面がトンボ掛けしたように、凹凸のない滑らかな円形断面に均され、孔壁はさらに緩まないように押し固められて自立し、より孔壁が崩壊しにくくなる。
1 地盤削孔装置
1a 削孔制御装置
2 履帯(キャタピラ)
3 台車
4 鑿岩機
5 油圧駆動装置
6 コンプレッサ
7 ガイドセル旋回装置(360度旋回)
8 ガイドセル左右マウンチング
9 ガイドセル
10 ビット
11 ボーリングロッド
12 セントライザ
13 集塵フード
14 油圧ホース・送気ホース
15 吸引ホース
21 削孔制御部
22 フィード圧制御部
23 打撃圧制御部
24 回転圧制御部
25 ブロー制御部
26 フィード圧検出部
27 打撃圧検出部
28 回転圧検出部
29 ブロー圧検出部
30 ダンピング圧検出部
31 粉塵検出センサ
32 クリ粉識別装置
A 覆工コンクリート
B 脆性層
C 堅固な岩盤層
D 空洞
E 地山
F コンクリート剥脱穴
G コンクリート剥脱殻
H 地山表面剥脱穴
I 地山表面剥脱礫
J 細粒状クリ粉

Claims (15)

  1. 礫層,破砕帯層等の脆く崩壊し易い脆性層を含む地盤を削孔する地盤削孔方法であって、
    コンプレッサによりブロー圧を加えた圧縮空気を、ボーリングロッド内を通して前記ボーリングロッドの先端のビットから噴出させると共に、前記ボーリングロッドに接続された削岩機にフィード圧,回転圧,及び打撃圧を加えることで、前記ボーリングロッドを回転させつつ軸方向の押圧力及び軸方向の打撃を加えながら、前記ビットを掘進させる削孔工程に於いて、
    前記コンプレッサの吐出流量、並びに前記削岩機の前記フィード圧,前記回転圧P及び前記打撃圧Pを所定の通常削孔設定値に設定し、前記ビットを前進させつつ削孔を行う通常削孔工程と、
    前記通常削孔工程において、前記回転圧P又は前記打撃圧Pの変動幅が、所定の脈動判定時間ΔT1内に所定の閾値ΔPrth又はΔPsthを超えて脈動した場合、削孔制御モードを脆性層モードに切り替える脆性層モード切替工程と、
    前記脆性層モードに切り替わった後、孔口からの粉塵状のクリ粉の噴出を検知するまで、前記コンプレッサの吐出流量,前記削岩機の回転圧P及び前記打撃圧Pを前記通常削孔設定値としたまま削孔を継続して前記ビットを前進させる脆性層削孔工程と、
    前記脆性層削孔工程の後、前記コンプレッサの吐出流量を前記通常削孔設定値よりも低下させ、前記ボーリングロッドを回転させつつ前記ビットを穴尻から孔口まで後進させることにより、削孔孔の孔壁を整形し強化する孔壁整形工程と、
    前記孔壁整形工程の後、前記ビットを再び穴尻まで前進させた後、削孔制御モードを、前記通常削孔工程を行う通常削孔モードに切り替える通常モード復帰工程と、
    を有することを特徴とする地盤削孔方法。
  2. 前記脆性層削孔工程に於いて、粉塵濃度センサにより孔口から噴出する粉塵濃度を検出し、前記粉塵濃度センサにより検出される粉塵濃度の一定時間間隔毎の平均粉塵濃度ρ又は平均粉塵濃度の時間変化Δρが所定の閾値を超えるまで、前記コンプレッサの吐出流量,前記削岩機の回転圧P及び前記打撃圧Pを前記通常削孔設定値としたまま削孔を継続して前記ビットを前進させることを特徴とする請求項1記載の地盤削孔方法。
  3. 前記脆性層削孔工程に於いては、孔口からの粉塵状のクリ粉の噴出を検知するまで、前記コンプレッサの吐出流量,前記削岩機の回転圧P及び前記打撃圧Pを前記通常削孔設定値としたまま、
    (1)所定の距離d1だけ前記ビットを前進させた後、
    (2)穴尻から孔口に向かって所定の距離d2の区間内で、一乃至複数回、前記ビットの後進と前進の往復を行う、
    という削孔工程を繰り返すことにより、前記ビットを前進させることを特徴とする請求項1又は2記載の地盤削孔方法。
  4. 前記孔壁整形工程に於いて前記ビットを孔口まで後進させる前に、
    前記コンプレッサの吐出流量を前記通常削孔設定値としたまま、前記ビットの孔軸方向の移動を穴尻位置で止めた状態において、所定の時間だけ回転させる第1の孔壁強化工程を行うことを特徴とする請求項1記載の地盤削孔方法。
  5. 前記ビットが、予め設定された目的削孔深度まで到達した後、前記コンプレッサの吐出流量を前記通常削孔設定値よりも低下させ、前記ボーリングロッドを回転させつつ前記ビットを穴尻から孔口まで後進させることにより、削孔孔の孔壁を整形し強化する二次孔壁整形工程を行うことを特徴とする請求項1記載の地盤削孔方法。
  6. 前記ビットが予め設定された前記目的削孔深度まで到達した後、前記二次孔壁整形工程を行う前に、
    前記コンプレッサの吐出流量を前記通常削孔設定値としたまま、前記ビットの孔軸方向の移動を穴尻位置で止めた状態において、所定の時間だけ回転させる第2の孔壁強化工程を行うことを特徴とする請求項5記載の地盤削孔方法。
  7. 前記孔壁整形工程又は前記二次孔壁整形工程に於いて、前記ボーリングロッドを回転させつつ前記ビットを孔口まで後進させる途中で、前記回転圧Pの変動幅が、所定の脈動判定時間ΔT2内に所定の閾値ΔPrth2を超えて脈動した場合、その脈動が生じた位置を中心とする所定の区間で、前記脈動判定時間ΔT2内での前記回転圧Pの変動幅が所定の閾値ΔPrth2を下回るまで、前記ボーリングロッドの前進・後進を繰り返すピストン削孔工程を行うことを特徴とする請求項5記載の地盤削孔方法。
  8. 先端にビットが取り付けられたボーリングロッドに、コンプレッサによりブロー圧を加えた圧縮空気を、前記ボーリングロッド内を通して前記ビットに送気し、前記ビットからクリ粉輸送用の圧縮空気を噴射させつつ、削岩機により前記ボーリングロッドにフィード圧,回転圧,及び打撃圧を加えて地盤の削孔を行う地盤削孔装置の制御を行う地盤削孔装置の削孔制御装置であって、
    前記コンプレッサに於ける前記コンプレッサの吐出流量、並びに前記削岩機の前記フィード圧,前記回転圧及び前記打撃圧を所定の通常削孔設定値に設定し、前記ビットを前進させつつ削孔させる制御を行う通常削孔制御手段と、
    前記通常削孔制御手段による削孔制御中に於いて、前記削岩機の前記回転圧P又は前記打撃圧Pの変動幅が、所定の脈動判定時間ΔT1内に所定の閾値ΔPrth又はΔPsthを超えて脈動した場合、削孔制御モードを脆性層モードに切り替える脆性層モード切替手段と、
    粉塵状のクリ粉の孔口からの噴出を検出するクリ粉検出手段と、
    前記脆性層モードに切り替わった場合、孔口からの粉塵状のクリ粉の噴出が前記クリ粉検出手段により検出されるまで、前記コンプレッサの吐出流量,前記削岩機の回転圧P及び前記打撃圧Pを前記通常削孔設定値としたまま削孔を継続して前記ビットを前進させる脆性層削孔制御手段と、
    前記脆性層削孔制御手段による削孔制御中に、孔口からの粉塵状のクリ粉の吐出が検知された場合に於いて、前記コンプレッサの吐出流量を前記通常削孔設定値よりも低下させ、前記ボーリングロッドを回転させつつ前記ビットを穴尻から孔口まで後進させることにより、削孔孔の孔壁を整形し強化させる削孔制御を行う孔壁整形制御手段と、
    前記ビットが削孔孔の孔口まで後進した後、ビットを再び穴尻まで前進させ、前記削孔制御装置の制御モードを、前記通常削孔制御手段が削孔制御を行う通常削孔モードに切り替える通常モード復帰手段と、
    を備えたことを特徴とする地盤削孔装置の削孔制御装置。
  9. 前記クリ粉検出手段は、
    孔口から噴出する粉塵濃度を検出する粉塵濃度センサと、
    前記粉塵濃度センサにより検出される粉塵濃度の一定時間間隔毎の平均粉塵濃度ρ又は平均粉塵濃度の時間変化Δρが所定の閾値を超えたか否かを判定することで、孔口から粉塵状のクリ粉の吐出されたか否かを検出するクリ粉識別手段と、備え、
    前記孔壁整形制御手段は、前記クリ粉識別手段により孔口からの粉塵状のクリ粉の吐出が検知された場合、前記コンプレッサの吐出流量を前記通常削孔設定値よりも低下させ、前記ボーリングロッドを回転させつつ前記ビットを孔口まで後進させることにより、削孔孔の孔壁を整形し強化させることを特徴とする請求項8記載の地盤削孔装置の削孔制御装置。
  10. 前記脆性層削孔制御手段は、孔口からの粉塵状のクリ粉の噴出が前記クリ粉検出手段により検出されるまで、前記コンプレッサの吐出流量,前記削岩機の回転圧P及び前記打撃圧Pを前記通常削孔設定値としたまま、
    (1)所定の距離d1だけ前記ビットを前進させた後、
    (2)穴尻から孔口に向かって所定の距離d2の区間内で、一乃至複数回、前記ビットの後進と前進の往復を行う、
    という削孔工程を繰り返すことにより、前記ビットを前進させる削孔制御を行うことを特徴とする請求項8又は9記載の地盤削孔装置の削孔制御装置。
  11. 前記孔壁整形制御手段は、前記ビットを孔口まで後進させる前に、前記ビットの孔軸方向の移動を穴尻位置で止めた状態において、所定の時間だけ回転させる制御を行うことを特徴とする請求項8記載の地盤削孔装置の削孔制御装置。
  12. 前記ビットが予め設定された目的削孔深度まで到達した場合、前記コンプレッサの吐出流量を前記通常削孔設定値よりも低下させ、前記ボーリングロッドを回転させつつ前記ビットを穴尻から孔口まで後進させることにより、削孔孔の孔壁を強化する二次孔壁整形制御手段
    を備えたことを特徴とする請求項8記載の地盤削孔装置の削孔制御装置。
  13. 前記二次孔壁整形制御手段は、前記ビットが予め設定された目的削孔深度まで到達した場合、前記ビットを孔口まで後進させる前に、前記コンプレッサの吐出流量を前記通常削孔設定値としたまま、前記ビットの孔軸方向の移動を穴尻位置で止めた状態において、所定の時間だけ回転させる制御を行うことを特徴とする請求項12記載の地盤削孔装置の削孔制御装置。
  14. 前記孔壁整形制御手段又は前記二次孔壁整形制御手段は、前記ボーリングロッドを回転させつつ前記ビットを穴尻から孔口まで後進させる制御を行う途中で、前記回転圧Pの変動幅が、所定の脈動判定時間ΔT2内に所定の閾値ΔPrth2を超えて脈動した場合、その脈動が生じた位置を中心とする所定の区間で、前記脈動判定時間ΔT2内での前記回転圧Pの変動幅が所定の閾値ΔPrth2を下回るまで、前記ボーリングロッドの前進・後進を繰り返す制御を行うことを特徴とする請求項12記載の地盤削孔装置の削孔制御装置。
  15. コンピュータに読み込ませて実行することにより、前記コンピュータを請求項9記載の地盤削孔装置の削孔制御装置の前記通常削孔制御手段、前記脆性層モード切替手段、前記脆性層削孔制御手段、前記孔壁整形制御手段、前記通常モード復帰手段、及び前記クリ粉識別手段として機能させることを特徴とするプログラム。
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