JPH11350899A - 大断面地下空洞の掘削方法及び同方法を用いた原石採掘場 - Google Patents

大断面地下空洞の掘削方法及び同方法を用いた原石採掘場

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JPH11350899A
JPH11350899A JP10179687A JP17968798A JPH11350899A JP H11350899 A JPH11350899 A JP H11350899A JP 10179687 A JP10179687 A JP 10179687A JP 17968798 A JP17968798 A JP 17968798A JP H11350899 A JPH11350899 A JP H11350899A
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国一郎 宮下
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誠 長谷川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 地下大空洞を効率よく、安全に掘削する。 【解決手段】 最終掘削面6により地下空洞1が画成さ
れる岩盤の下部位置に複数列のズリ引出横坑4を掘削す
る。複数段のサブレベル2A、2Bを岩盤の上下方向に
所定間隔をあけて掘削する。上部の岩盤をサブレレベル
2Aの先端自由面近傍からベンチカットによって盤下げ
し、この盤下げ時に発生する発破ズリをホッパー部9か
らズリ引出横坑4を介して坑外に搬出する一方、上下位
置にあるサブレベルのうち2A、2Bのうち、サブレベ
ル2Bのベンチカットがサブレベル2Aのベンチカット
に追従する階段状をなすように掘削する際に、発破孔3
を削孔する際に不良岩盤20に遭遇する箇所の発破孔3
を最終掘削面6の外側に位置する不良岩盤20をロック
ボルトで補強するのに必要な長さまで延長して削孔し、
孔21にロックボルト7を打設するとともに、孔21の
最終掘削面6より手前部分の所定範囲に装薬して発破孔
3として使用する。同様な方法により、空洞側壁部、天
端部の補強もロックボルト7、8にて行うことができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は大断面地下空洞の掘
削方法及び同方法を用いた原石採掘場に係り、特に種々
の目的をもった大断面地下空洞の掘削方法、及び同方法
を用い自然環境との調和と地下の有効利用を図るように
した原石採掘場に関する。
【0002】
【従来の技術】鉱山において、鉱石を採掘する経済的な
大規模採掘方法としてサブレベルストーピング法が知ら
れている。このサブレベルストーピング法は、採掘しよ
うとする鉱体の底部にあらかじめ搬出坑道を掘削してお
き、その上方に広がる鉱体中に複数本のサブレベル(水
平坑道)を、各サブレベルが上下位置となるように掘削
し、下方のサブレベルの切羽に近い部分からベンチカッ
ト発破等により順次盤下げし、搬出坑道の上方を拡幅し
て構築したホッパ部に掘削した鉱石を落とし込み、ホッ
パー部下端のドローポイントから鉱石を引き出し、搬出
坑道を介して鉱車等により鉱石を坑口まで搬出するよう
になっている。
【0003】このサブレベルストーピング法では、地下
空洞を大規模にまた安価に掘削することができるので、
特に板状をなして鉛直方向に胚胎している鉱床に対して
合理的かつ有効な採掘方法として用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】鉱山では、採掘作業を
効率よく行うために、サブレベルストーピング法で掘削
された空洞に対しては支保工の施工は行われず、岩盤は
露出した素掘り状態にある。このため、掘削後の空洞の
崩落等に対しては全く対策がなされていないのが実状で
ある。また、空洞周辺の岩盤のゆるみ等に起因する地表
面沈下も発生するおそれが十分にある。したがって、従
来の採掘方法による鉱床掘削は、対象となる土地の採掘
権を確立させた上で、かつ地表沈下等の影響が他に及ば
ないような状況下においてでしか実施できなかった。な
お、このような事態を可能な限り防止するため、多くの
場合については、採掘跡の空洞内に選鉱後の鉱石ズリ等
を充填し、採掘跡空洞の安定を図っている。しかし、こ
の場合には空洞は鉱石ズリで埋め戻されることから、採
掘後の地下空洞を他の目的に利用することはできなかっ
た。
【0005】ところで、現在、ロックフィルダム等の建
設工事においては、ダム本体の築造材料としての原石は
現場付近の山を切り崩して採取している。しかし、この
ような原石採取は、山の大規模の切り崩しを伴うため、
現場周辺環境を著しく破壊する場合がある。たとえばイ
ヌワシ、クマタカ等の野生動物の生息が脅かされたり
と、生態系への悪影響が各方面で懸念されている。これ
らの問題に対処するために建設プロジェクトが数年以上
遅れたりしているのが実状であり、またダムの建設自体
の問題にも派生するおそれを内在している。したがっ
て、原石採取に伴う自然破壊を最小限に抑えるような対
策が望まれている。
【0006】そこで、本発明の目的は上述した従来の技
術が有する問題点を解消し、地下空洞の掘削において、
サブレベルストーピング法による掘削を行うとともに、
適切な周辺岩盤支保を行うようにした大断面地下空洞の
掘削方法を提供し、また同方法を用いて掘削時、掘削後
において岩盤の安定性を保持した原石採掘場を提供する
ことにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は最終掘削面により大断面地下空洞が画成さ
れる岩盤の下部位置に複数列のズリ引出横坑を掘削し、
該ズリ引出横坑を横切るような方向で複数段のサブレベ
ルを前記岩盤の上下方向に所定間隔をあけて掘削し、前
記サブレベルの最下段と前記ズリ引出横坑とを連通させ
たホッパー部を構築し、その上部の岩盤を前記最下段の
サブレベルの先端自由面近傍からベンチカットによって
盤下げし、この盤下げ時に発生する発破ズリを前記ホッ
パー部から前記ズリ引出横坑を介して搬出する一方、前
記ベンチカットによる盤下げを上下位置にあるサブレベ
ルのうち、上側に位置するサブレベルのベンチカットが
下側に位置するサブレベルのベンチカットに追従する階
段状をなして掘削して大断面地下空洞を形成する掘削方
法であって、前記ベンチカットの発破孔を削孔する際に
前記岩盤のうち不良岩盤に遭遇する箇所の発破孔を前記
最終掘削面の外側に位置する前記不良岩盤をロックボル
トで補強するのに必要な長さまで延長して削孔し、該孔
にロックボルトを打設するとともに、同様の方法で空洞
天端部の補強を行い、該孔の前記最終掘削面より手前部
分の所定範囲に装薬して発破孔として使用するようにし
たことを特徴とする。
【0008】このとき前記ホッパー部は前記ズリ引出横
坑に沿って複数列が構築され、多段に行われるベンチカ
ット盤下げで発生する発破ズリが該ホッパー部からズリ
引出横坑を介して坑外に搬出されるようにすることが好
ましい。
【0009】上記掘削方法を用いた原石採掘場として、
原石採掘予定の岩盤の所定位置に複数列の原石引出横坑
を掘削し、該原石引出横坑を横切るような方向で複数段
のサブレベルを前記岩盤の上下方向に所定間隔をあけて
掘削し、前記サブレベルの最下段と前記原石引出横坑と
を連通させたホッパー部を構築し、その上部の岩盤を前
記最下段のサブレベルの先端自由面近傍からベンチカッ
トによって盤下げするようにして原石を採掘し、採掘さ
れた原石を前記ホッパー部から前記原石引出横坑を介し
て坑外に搬出する一方、前記ベンチカットによる盤下げ
採掘を上下位置にあるサブレベルのうち、上側に位置す
るサブレベルでの採掘が下側に位置するサブレベルの採
掘に追従するように行われ、多段のベンチカットによっ
て採掘された採掘跡空洞が各サブレベルで段差のつけら
れた階段状をなして上方に向けて拡幅された大断面地下
空洞を形成する一方、主として原石残土によって前記大
断面地下空洞を埋め戻すようにした原石採掘場であっ
て、前記ベンチカットの発破孔を削孔する際に前記岩盤
のうち不良岩盤に遭遇する箇所の発破孔を前記最終掘削
面の外側に位置する前記不良岩盤をロックボルトで補強
するのに必要な長さまで延長して削孔し、該孔にロック
ボルトを打設するとともに、該孔の前記最終掘削面より
手前部分の所定範囲に装薬して発破孔として使用するよ
うにし、また原石残土の埋め戻し上面から必要な場合に
は空洞天端部をロックボルト等にて補強するようにした
ことを特徴とする。
【0010】前記原石採取予定の岩盤内に存在する不良
層は、その劣化程度によってはその周囲の健全な岩盤と
一体的な柱状部とし、該柱状部の岩盤を採掘せず残置す
ることが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の大断面地下空洞の
掘削方法及び同方法を用いた原石採掘場の一実施の形態
について、添付図面を参照して説明する。図1各図は、
本発明の大断面地下空洞の掘削方法による実施の形態と
して地下発電所本体の掘削状態を模式的に示した模式説
明図である。掘削予定の岩盤の上下方向にわたって3段
のサブレベル坑道2(2A、2B、2C)が掘削されて
いる。各サブレベル坑道2では図1(b)に示したよう
に、切羽から下方の岩盤に向けての放射状発破によるベ
ンチカット盤下げがなされ、このときに発生するズリは
地下空洞下部1Aに掘削されたズリ引出横坑4と補助坑
5とを介して坑外に搬出されるようになっている。この
とき各サブレベル坑道2から削孔された発破孔3を兼用
して図1(c)に示したように、地下空洞1の最終掘削
面6より外側の岩盤にロックボルト7を施工している。
これにより、導坑としての機能を果たすサブレベル坑道
2から断面拡幅を行う場合に、地下空洞1の最終掘削面
6以深に設置したロックボルト7による支保が果たされ
る。また、空洞天端部については、同様に図1(c)に
示したように、ロックボルト8を施工し、空洞の安定性
を確保する。
【0012】以下に本発明による地下空洞1の掘削手順
について図2〜図9を参照して説明する。なお、図2〜
図9では2段のサブレベル坑道2を利用して空洞掘削を
行うものとして説明する。
【0013】図2には岩盤中に掘削予定の地下発電所ク
ラスの地下空洞1が2点鎖線で示されている。この地下
空洞1の長手方向に沿って地上坑口(図示せず)から補
助坑5を掘削する。この補助坑5は地下空洞1に沿って
所定距離だけ離して掘削し、後に地下空洞1を掘削する
際に発生するズリを坑外に搬出するための経路及び掘削
機械搬入の経路として使用される。さらに補助坑5の側
面から、図2に示したように、地下空洞下部1Aに構築
するスロット形状のホッパー部9(図1(a)参照)と
等しい本数の下部ズリ引出横坑4を掘削する。このズリ
引出横坑4は補助坑5のトンネル断面より小さく設定さ
れているが、所定容量の鉱車、バッテリロコの走行する
軌道を設置可能な断面とすることが好ましい。
【0014】まず、坑口から一番奥側となるズリ引出横
坑4を地下空洞1の全幅Bにわたって掘削した段階で地
上坑口側(図示せず)から第1サブレベル坑道2Aを掘
削する。この第1サブレベル坑道2Aは前述した補助坑
5と平行なトンネルで、その断面は補助坑5のトンネル
断面よりやや小さく設定されている。ズリ引出横坑4と
同様に掘削機械を搭載した車両等の走行軌道を敷設でき
る程度の断面を有する。この第1サブレベル坑道2Aは
図3に示したように、切羽が地下空洞1の一番奥側まで
到達するまで掘削する。なお、第1サブレベル坑道2A
は図示したように、地下空洞1の高さHのおよそ半分の
位置に設けることが好ましい。
【0015】引き続き地下空洞1の頂部とその頂部を一
致させるような位置に第2サブレベル坑道2Bを第1サ
ブレベル坑道2Aと上下位置となるように掘削する(図
4参照)。本実施の形態では、第1、第2の2段のサブ
レベル坑道2A、2Bを導坑として掘削を行っている
が、地下空洞1の掘削断面の規模に応じてサブレベル坑
道2の段数を適宜設定することが好ましい。また、この
各段のサブレベル坑道2からの掘削において、サブレベ
ル坑道2を地質調査のための調査坑として利用し、岩盤
観察により破砕帯等の地質的弱層部の分布状況を把握
し、この結果を最終掘削面6まで延長させて最終掘削面
6における地質分布を予測しておく。
【0016】引き続き、図5に示したように第1サブレ
ベル坑道2Aの先端位置においてズリ引出横坑4から上
向きに発破孔3を削孔してスロット状のホッパー部9を
掘削するための上向き発破を行う。ホッパー部9は図5
に示したようにズリ引出横坑4を下端位置とした横向き
の三角柱形状をなし、掘削完了段階では地下空洞1の全
幅Bにわたってズリ引出横坑4天端を貫通させたスロッ
ト9aが構築される。後に発生するズリはホッパー部9
に堆積するように積み上げられ、その一部はスロット9
aを落下してズリ引出横坑4に山積みされる。このホッ
パー部9の形状はズリ引出横坑4から上向き発破の発破
孔3を削孔する際の削孔ロッドののみ方向、削孔パター
ンによってその形状、勾配が設定できる。ホッパー部9
の勾配はズリの安息角より大きく設定することが好まし
い。
【0017】引き続き第1サブレベル坑道2Aの切羽付
近からホッパー部9に向けたベンチカットを開始する。
このベンチカットでは岩盤の下側に既に掘削を完了した
ホッパー部9が位置するので発破によって発生したズリ
のホッパー部9からズリ引出横坑4に落下するようにな
っている。
【0018】また、既にサブレベル坑道2の掘削時に確
認した岩盤状況によって地下空洞1を横切るような破砕
帯等の弱層部20の存在が明らかな場合には、図6に示
したように発破孔3をさらに延長させてロックボルト打
設用の孔21としての削孔をおこなうことが好ましい。
そしてロックボルト7が打設された孔21の掘削面6の
内側部分はベンチカットのための発破孔3として利用す
る。すなわち、サブレベル坑道2から削孔されるベンチ
カット用の発破孔3の削孔長は、サブレベル坑道2を横
切る弱層部20(図1(c)参照)が分布している範囲
がある場合には図6、図7に示したように、最終掘削面
6より外側に打設するロックボルト長分を加えた長さと
する。すなわち、弱層部20を十分に補強可能な岩盤位
置にロックボルト7の定着部が位置するような深さまで
削孔する。他の健全な岩盤部分での削孔長はベンチカッ
トのために最終掘削面6までの範囲まででよい。そし
て、弱層部20対象の孔21に対して所定長さのロック
ボルト7を打設する。ロックボルト打設作業としては、
まずモルタル注入ホース(図示せず)を孔底まで挿入し
て孔21内にモルタルを注入し、その後削孔機(図示せ
ず)のロッド先端にロックボルト7を装着して孔奥にロ
ックボルト7を打設する。次いでロックボルト7を打設
した後の孔21を、掘削面6近くまで再度空繰りする。
さらに孔21内を清掃し、この部分をベンチカットのた
めの発破孔3として利用する。なお、空洞側壁部の安定
性確保のため、サブレベル坑道2のレベル付近の最終掘
削面に対しては、同様の方法にてロックボルト7(図1
(c)参照)を施工しておくのが好ましい。また、空洞
天端部については同様の方法にてロックボルト8(図1
(c)参照)を施工し、空洞の安定性を確保する。
【0019】最終掘削面6までベンチカットにより盤下
げ掘削した状態では、空洞壁面にロックボルト7の頭部
が現れた状態にある。そこでサブレベル坑道2の端部か
ら空洞壁面に対して所定厚さの吹付けコンクリート25
(図1(c)参照)を施工する。吹付け機(図示せず)
はサブレベル坑道2に設置してあるので、吹付け機のホ
ースのノズル先端と空洞壁面との距離がある場合には必
要に応じて長いノズルを利用すればよい。なお、以上の
説明ではロックボルト7による岩盤補強の例を述べた
が、ロックボルト以外にPCケーブルストランドを用い
たPCアンカーを使用することもできる。
【0020】図7はこのようにして第1サブレベル坑道
2Aの切羽からその下方に向けて大きなホッパー部9を
掘削した状態を示したものである。引き続きこのホッパ
ー部9の空洞の上部に位置する第2サブレベル坑道2B
からホッパー部9に向けてベンチカット盤下げを行う。
また、この場合も周囲の岩盤状況に応じてロックボルト
7、吹付コンクリート25による覆工を施工する工程を
組み込むことが好ましい。また、図7に示したベンチカ
ットによって第1サブレベル坑道2Aで構築されたホッ
パー部9は拡幅され、その拡幅された部分にズリを落下
でき、このズリはズリ引出横坑4及び補助坑5を介して
坑外に排出される。
【0021】図1(a)及び図7に示したように、第1
サブレベル坑道2Aと第2サブレベル坑道2Bとの間の
位置関係において、常に下側の第1サブレベル坑道2A
の発破掘削が上側の第2サブレベル坑道2Bに先行し、
構築されたホッパー部9に上部の第2サブレベル坑道2
Bからのベンチカットが行われる。以上に述べた掘削サ
イクルを坑口側に向けて繰り返すことにより地下空洞1
の奥側から坑口側に向かって複数列のスロット状ホッパ
ー部9を構築できる。また複数段のサブレベル坑道2を
利用してその上方岩盤を多段のベンチカットにより盤下
げすることにより、大規模な地下空洞1を安全かつ迅速
に掘削することができる。このとき図8に示したように
各ズリ引出横坑4の間にはスロット状のホッパー部9に
相当するブロック22が残っているが、このブロック2
2も最終工程において通常の発破工法により切り崩すこ
とにより、最終的に図9に示したような地下空洞1を完
成することができる。
【0022】図1(c)に示したように、地下空洞1
は、周囲の岩盤の破砕帯等の弱層部20等を補強するた
めに所定のロックボルト7が施工され、さらに空洞内壁
面全体に吹付けコンクリート25による覆工がなされて
いるため、完成状態で高い安定性が確保される。
【0023】掘削後の地下空洞1の安定性は、内空変
位、吹付けコンクリート面の変状の観察及び図示しない
傾斜計等の計測機器を地表あるいは上部坑道から設置し
て経時的な計測を行うことにより管理する。この計測結
果によって計測管理基準を越えた内空変状、変位あるい
は変位速度が認められた場合には、空洞底部から高所作
業車等に搭載したロックボルト打設機、吹付け機によっ
てロックボルト7の増し打ち、吹付コンクリート25の
増し吹き等を行い、変状の進行を抑える対策を講じる。
【0024】図10から図12は、以上に示した大断面
地下空洞1の掘削方法を地下の原石採掘に適用した例を
示したものである。すなわち、従来の原石山を切り崩す
採掘方法が有する問題を解消するために、上記大断面地
下空洞の掘削方法を用いて、原石採取によって地上の環
境を破壊したりすることのない原石採掘場の例を示した
ものである。
【0025】図10に示したように、採掘空洞30から
なる原石採掘場では、地表等の外部に何ら支障が生じな
いように原石を採掘し外部に搬出することが必要であ
る。このように従来ズリとして取り扱われていた原石を
外部に搬出するため、前述のズリ引出横坑4を原石引出
横坑14として利用することができる。また、図10に
示したように掘削された採掘空洞30に頂部サブレベル
坑道2Dから原石残土36を投入し、採掘後に空洞30
を埋め戻し、岩盤の安定を図るようになっている。
【0026】上述した大断面地下空洞の掘削方法によっ
て採石を行うようにした採掘空洞30からなる原石採掘
場の採掘手順について簡単に説明する。原石採掘場とし
てふさわしいと判断された地下岩盤部分に対して図2,
図3に示したのと同等の補助坑5、原石引出横坑14を
掘削した後に、複数段のサブレベル坑道2を掘削する
(図4参照)。このサブレベル坑道2は地質調査のため
の調査横坑としても利用し、破砕帯等の地質的弱層部の
分布状況を把握し、この結果を最終掘削面6まで延長さ
せて地下部分における3次元的な地質構造を予測してお
く。
【0027】図11は地質観察により採掘空洞30内に
おいて原石として不適と判断された不良岩盤20に対し
て柱状部としてのロックストラット31を構築した例を
示した採掘空洞30の模式断面図である。採掘空洞30
では、通常の地下空洞1(図1参照)と異なり、不良岩
盤が分布している部分を残置してその部分の採掘を行わ
ないようにすることが可能である。図11は採掘空洞3
0に不良岩盤が所定の走向傾斜で存在した例を示したも
のである。同図に示したように、採掘する原石としては
適しているが、採掘した後の地下空洞1の安定性に影響
があると判断される破砕帯等の弱層部20に対しては図
11(a)に示したように、健全な岩盤で上下方向に帯
状に延びた弱層部20を囲むようにして採掘空洞30の
上下方向にわたるロックストラット31を設ける。この
ロックストラット31により弱層部20を採掘空洞30
に露出させることなく、採掘掘削を行えるとともに、空
洞30の天端30aのゆるみを最小限に押さえることも
できる。また、空洞の長手方向の延長が大きくなるよう
な採掘空洞30では適正な間隔をあけてロックストラッ
ト31を残置させて掘削を行うことが好ましい。
【0028】最終掘削面6での支保手段としては前述し
たロックボルト7、吹付コンクリート25による覆工を
行うようにして空洞30の変形、変状の進行を防止する
ことが好ましい。
【0029】ところで、この採掘空洞30は採掘が終了
した跡を有効に利用することができる。すなわち、図1
0(図中、左側)、図12に示したように頂部サブレベ
ル坑道2Dから坑外に搬出された原石35のうち、クラ
ッシャにかけられて所定の骨材が生産された残部の原石
残土36を採掘空洞30に投入し、地下大空間を順次埋
め戻していく。この原石残土36による埋め戻しは図1
2に示したように、頂部サブレベル坑道2C付近まで行
い、原石残土36の処分場とするとともに、アーチ状天
井部分32は地下空間として残して有効利用を図ること
ができる。
【0030】具体的には、採掘空洞30において、図1
2に示したように、原石残土36による埋め戻しが所定
の高さまで到達した段階で、敷き均された残土からなる
底盤の締固めを行い、ある程度の地盤耐力が得られるよ
うにした後に、ロックボルト8及び吹付けコンクリート
25による支保を施工し、アーチ天井部分32の安全性
を確保する。なお、原石残土36以外に建設残土等を投
棄可能な処分空間とすることもできる。
【0031】このように、地下の採掘空洞30を掘削し
た後に埋め戻しを行う原石採掘場では、原石を採取する
ために地上において大規模な山地形の切り崩しをする必
要がなく、自然環境を保持することができる。また、採
掘空洞30に現場で発生した原石残土36を順次埋め戻
すようにすれば、残土処分場を別の場所に確保する必要
もない。さらに、採掘空洞30を原石残土36で埋め戻
す際にアーチ状部分32からなる天井空間を採掘空洞3
0上部に残して、この空間を地下倉庫、管理施設、展示
館等の多目的地下空間として利用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による大断面地下空洞の掘削方法の一実
施の形態を示した断面図。
【図2】大断面地下空洞の掘削方法における掘削手順を
示した説明図(その1)。
【図3】大断面地下空洞の掘削方法における掘削手順を
示した説明図(その2)。
【図4】大断面地下空洞の掘削方法における掘削手順を
示した説明図(その3)。
【図5】大断面地下空洞の掘削方法における掘削手順を
示した説明図(その4)。
【図6】大断面地下空洞の掘削方法における掘削手順を
示した説明図(その5)。
【図7】大断面地下空洞の掘削方法における掘削手順を
示した説明図(その6)。
【図8】大断面地下空洞の掘削方法における掘削手順を
示した説明図(その7)。
【図9】大断面地下空洞の掘削方法における掘削手順を
示した説明図(その8)。
【図10】採掘空洞による原石採掘場の一実施の態様を
示した断面図。
【図11】採掘空洞による原石採掘場に構築されたロッ
クストラットの一例を示した断面図。
【図12】採掘空洞による原石採掘場を原石残土で埋め
戻した状態を示した断面図。
【符号の説明】
1 地下空洞 2 サブレベル 2A 第1サブレベル 2B 第2サブレベル 2C,2D 頂部サブレベル 3 発破孔 4 ズリ引出横坑 5 補助坑 6 最終掘削面 7 ロックボルト(側壁部) 8 ロックボルト(天端部) 9 ホッパー部 9a スロット 14 原石引出横坑 30 採掘空洞 35 原石 36 原石残土

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】最終掘削面により大断面地下空洞が画成さ
    れる岩盤の下部位置に複数列のズリ引出横坑を掘削し、
    該ズリ引出横坑を横切るような方向で複数段のサブレベ
    ルを前記岩盤の上下方向に所定間隔をあけて掘削し、前
    記サブレベルの最下段と前記ズリ引出横坑とを連通させ
    たホッパー部を構築し、その上部の岩盤を前記最下段の
    サブレベルの先端自由面近傍からベンチカットによって
    盤下げし、この盤下げ時に発生する発破ズリを前記ホッ
    パー部から前記ズリ引出横坑を介して坑外に搬出する一
    方、前記ベンチカットによる盤下げを上下位置にあるサ
    ブレベルのうち、上側に位置するサブレベルのベンチカ
    ットが下側に位置するサブレベルのベンチカットに追従
    する階段状をなすように掘削して大断面地下空洞を形成
    する掘削方法であって、前記ベンチカットの発破孔を削
    孔する際に前記岩盤のうち不良岩盤に遭遇する箇所の発
    破孔を前記最終掘削面の外側に位置する前記不良岩盤を
    ロックボルトで補強するのに必要な長さまで延長して削
    孔し、該孔にロックボルトを打設するとともに、同様の
    方法で空洞天端部の補強を行い、該孔の前記最終掘削面
    より手前部分の所定範囲に装薬して発破孔として使用す
    るようにしたことを特徴とする大断面地下空洞の掘削方
    法。
  2. 【請求項2】前記ホッパー部は前記ズリ引出横坑に沿っ
    て複数列が構築され、多段に行われるベンチカット盤下
    げで発生する発破ズリが該ホッパー部からズリ引出横坑
    を介して坑外に搬出されるようにしたことを特徴とする
    請求項1記載の大断面地下空洞の掘削方法。
  3. 【請求項3】原石採掘予定の岩盤の所定位置に複数列の
    原石引出横坑を掘削し、該原石引出横坑を横切るような
    方向で複数段のサブレベルを前記岩盤の上下方向に所定
    間隔をあけて掘削し、前記サブレベルの最下段と前記原
    石引出横坑とを連通させたホッパー部を構築し、その上
    部の岩盤を前記最下段のサブレベルの先端自由面近傍か
    らベンチカットによって盤下げするようにして原石を採
    掘し、採掘された原石を前記ホッパー部から前記原石引
    出横坑を介して搬出する一方、前記ベンチカットによる
    盤下げ採掘を上下位置にあるサブレベルのうち、上側に
    位置するサブレベルでの採掘が下側に位置するサブレベ
    ルの採掘に追従するように行われ、多段のベンチカット
    によって採掘された採掘跡空洞が各サブレベルで段差の
    つけられた階段状をなして上方に向けて拡幅された大断
    面地下空洞を形成する一方、主として原石残土によって
    前記大断面地下空洞を埋め戻すようにした原石採掘場で
    あって、前記ベンチカットの発破孔を削孔する際に前記
    岩盤のうち不良岩盤に遭遇する箇所の発破孔を前記最終
    掘削面の外側に位置する前記不良岩盤をロックボルトで
    補強するのに必要な長さまで延長して削孔し、該孔にロ
    ックボルトを打設するとともに、該孔の前記最終掘削面
    より手前部分の所定範囲に装薬して発破孔として使用す
    るようにしたことを特徴とする大断面地下空洞の掘削方
    法を用いた原石採掘場。
  4. 【請求項4】前記原石採取予定の岩盤内に存在する不良
    層を、その周囲の健全な岩盤と一体的な柱状部とし、該
    柱状部の岩盤を採掘せず残置するようにしたことを特徴
    とする請求項3記載の原石採掘場。
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