JP7396011B2 - スクリーニング方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ゴム特性を有する成形物、該成形物を製造するための組成物、ならびにこれらのスクリーニング方法に関する。特に、伸長性に優れる成形物および該成形物を製造するための組成物を、スクリーニングする方法に関する。
ラテックスを含む組成物から得られる成形物は、従来よりゴム特性を示すものとして広く用いられている。例えば、クロロプレン重合体ラテックスを含むクロロプレンゴム組成物から得られる成形物は、手袋、血圧計ブラダー、糸ゴムなどの浸漬製品、特に医療用手袋用途に好適に使用されている。
クロロプレン重合体は、結晶性を示す合成ゴムとして知られている。従来、クロロプレン重合体ラテックスなどの重合体ラテックスを用いた材料は、一般ゴム物性、耐候性、耐熱性、耐薬品性などの特性が良好であり、手袋などの浸漬製品用途、粘・接着剤用途、弾性アスファルト(改質アスファルト)、弾性セメントなどの土木・建築用途などで広く使用されている。このうち浸漬製品用途では柔らかさと強度が高いことが重要である。柔らかすぎると強度が低くなりちぎれやすく耐久性の問題があり、一方で強度を高くすると硬く取り扱いづらくなる。柔らかさと強度はトレードオフの関係にあり、この二つの物性を両立させる材料を素早くスクリーニングする方法の確立が強く望まれている。一般に柔らかさ(モジュラス)と強度(破断強度Tb)は引っ張り試験で測定するが、伸長に伴って厚みが変化するため正確な値を算出するのが難しいといった問題がある。
例えば、特許文献1には、クロロプレン系重合体ラテックス(A)、金属酸化物(B)、酸化防止剤(C)、界面活性剤(D)及びpH調整剤(E)を含み、加硫促進剤を含まない組成物であって、前記(A)に含まれる固形分中のテトラヒドロフラン不溶分量が50~85質量%であり、前記(A)の固形分100質量部に対して、(B)を1~10質量部、(C)を0.1~5質量部、(D)を0.1~10質量部、(E)を0.01~5質量部の割合で含むゴム用組成物が開示されている。
また、特許文献2には、エラストマーフィルムを製造するための組成物であって、合成ポリマーと、硫黄と、金属酸化物架橋剤とを含み、組成物中の総固形物濃度が組成物の5~20重量%である組成物が開示されている。しかしながら、特許文献1および特許文献2で示されるモジュラスと破断強度は伸長に伴う厚みの変化を考慮していない。
国際公開第2016/166998号 特表2009-501833号公報
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、伸長性に優れた成形物、該成形物を好適に提供し得る組成物を、試料の厚みの影響なく簡便にスクリーニングする手法を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、クロロプレンゴム等を含む組成物から得た成形物試料を用い、伸長した状態での広角散乱(WAXD)測定などに基づいて求めた伸長結晶化度が特定の範囲にある場合には、組成物が浸漬用途に好適であることを見出し、本発明に至った。
本発明は、次の〔1〕~〔14〕の事項に関する。
〔1〕重合体またはその硬化物を含み、900%伸長時の結晶化度X%と無伸長時の結晶化度Y%との差として求められる伸長結晶化度(X-Y)が、3ポイント以上99ポイント以下であることを特徴とする成形物。
〔2〕前記重合体が、クロロプレンゴム、イソプレンゴム、天然ゴム、ニトリル-ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、軟質ポリ塩化ビニルよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする、前記〔1〕に記載の成形物。
〔3〕前記重合体が、クロロプレンゴムである、〔1〕に記載の成形物。
〔4〕前記重合体が、クロロプレンと2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエンとの共重合体、または、クロロプレンと2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエンと他の単量体との共重合体であって、全単量体成分100質量%中2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエンを5.0~30.0質量%含む単量体を共重合したものである、〔1〕に記載の成形物。
〔5〕重合体の硬化物を含むことを特徴とする、〔1〕~〔3〕のいずれか1項に記載の成形物。
〔6〕前記重合体がラテックス状態であり、そのテトラヒドロフラン不溶分率が0~95質量%であり、重合体粒子のZ平均粒子径が80nm以上200nm以下であることを特徴とする、〔3〕または〔4〕に記載の成形物。
〔7〕重合体またはその硬化物を含む成形物、あるいは前記成形物を製造するための組成物をスクリーニングする方法であって、
900%伸長時の結晶化度(X%)と無伸長時の結晶化度(Y%)との差として求められる伸長結晶化度(X-Y)が、3ポイント以上99ポイント以下である成形物を選択することを特徴とする、スクリーニング方法。
〔8〕前記重合体が、クロロプレンゴム、イソプレンゴム、天然ゴム、ニトリル-ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、軟質ポリ塩化ビニルよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする、〔7〕に記載のスクリーニング方法。
〔9〕前記重合体が、クロロプレンゴムである、〔7〕または〔8〕に記載のスクリーニング方法。
〔10〕前記重合体が、クロロプレンと2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエンとの共重合体、または、クロロプレンと2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエンと他の単量体との共重合体であって、全単量体成分100質量%中2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエンを5.0~30.0質量%含む単量体を共重合したものである、〔7〕に記載のスクリーニング方法。
〔11〕前記成形物が、重合体の硬化物であることを特徴とする、〔7〕~〔10〕のいずれか1項に記載のスクリーニング方法。
〔12〕前記成形物が、重合体粒子を含むラテックス組成物を浸漬整形して得られた成形物であることを特徴とする、〔7〕~〔10〕のいずれか1項に記載のスクリーニング方法。
〔13〕前記重合体がラテックス状態であり、そのテトラヒドロフラン不溶分率が0~95%であり、重合体粒子のZ平均粒子径が80nm以上200nm以下であることを特徴とする、〔9〕または〔10〕に記載のスクリーニング方法。
〔14〕前記結晶化度が、単結晶構造解析、粉末結晶構造解析、高エネルギーX線構造回折、磁気散乱、広角散乱(WAXD)、小角散乱(SAXS)、マイクロ広角散乱(μ-WAXD)、マイクロ小角散乱(μ-SAXS)、超小角X線散乱法(USAXS)、微小角入射X線回折/散乱(GISAXS)のうちから選択される1種により測定されたものであることを特徴とする、〔7〕~〔13〕のいずれか1項に記載のスクリーニング方法。
本発明によれば、成形物製造用に用いられ良好な浸漬特性を示す組成物、ならびに成形物を、成形物試料の厚みの影響を受けずに簡便に判定するスクリーニング方法を提供でき、伸長特性に優れた成形物、該成形物を浸漬により製造するための組成物を提供することができる。また本発明に係る組成物からは、浸漬製品である成形物の架橋特性が維持されるとともに、安定した性能の成形物を得ることができる。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
本発明に係るスクリーニング方法では、重合体を含む組成物を用いて、浸漬成形により成形物を製造するに際して、浸漬成形に好適な組成物ならびに安定した性能の成形物を、簡便な方法でスクリーニングする。本明細書において重合体は、1種以上の単量体が重合あるいは共重合したものを意味し、単独重合体および共重合体の両方を含む。
<組成物>
本発明に係る組成物は、浸漬成形用に好適に使用し得る組成物であって、重合体を含有する。この組成物は、好ましくは重合体粒子を含有し、より好ましくは重合体粒子が分散した重合体ラテックス組成物である。
組成物に含まれる重合体は、その成形体が伸長結晶化を発現する重合体であればよく、その成形体がゴム特性を有する重合体であることが好ましい。伸長結晶化とは、成形体の伸長に伴って結晶が発現または増加する特性を意味する。
本発明に係る重合体ラテックス組成物は、各種ゴム等の重合体粒子が分散したものであり、重合体のテトラヒドロフラン不溶分率が通常0~95質量%、好ましくは10~80質量%であり、重合体粒子のZ平均粒子径が80nm以上200nm以下、好ましくは100nm以上180nm以下である。このような重合体粒子を含む重合体ラテックス組成物は、浸漬成形により成形物を製造する用途に好適に適用できる。なお、Z平均粒子径の測定法等については後述する。
このような重合体としては、たとえば、クロロプレンゴム、イソプレンゴム、天然ゴム、ニトリル-ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、軟質ポリ塩化ビニルなどが挙げられ、これらの少なくとも1種を含むことが好ましく、クロロプレンゴムを含むことがより好ましく、クロロプレンゴムであることが最も好ましい。
本発明において、クロロプレンゴムとは、クロロプレンを含む単量体を重合あるいは共重合して得られる重合体である。クロロプレンとは、2-クロロ-1,3-ブタジエンである。
クロロプレン重合体ラテックス(A)
本発明に係る組成物は、好ましくは、クロロプレン重合体ラテックス(A)を含有する。クロロプレン重合体ラテックス(A)は、単量体として少なくとも(1)クロロプレン(A-1)を含み、更に(2)2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエン(A-2)、(3)共重合可能な他の単量体成分(A-3)を含んでも良い共重合体ラテックスを意味する。
共重合体の単量体成分としての2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエン(A-2)の割合は、単量体合計100質量%に対して好ましくは0.0~15.0質量%であり、より好ましくは0.0~10.0質量%であり、更に好ましくは1.0~9.0質量%である。(A-2)の割合が0.0質量%以上の場合に柔軟性の経時安定性が良好となり、15.0質量%以下の場合に重合体の結晶化が抑制され、柔軟性が良好となる。
ここで単量体の合計とは、(共)重合体を構成する全単量体の合計を意味し、クロロプレン(A-1)、(2)2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエン(A-2)および(3)共重合可能な他の単量体成分(A-3)の合計を指す。
共重合可能な他の単量体成分(A-3)としては、1-クロロ-1,3-ブタジエン、ブタジエン、イソプレン、スチレン、アクリロニトリル、アクリル酸及びそのエステル類、メタクリル酸及びそのエステル類等が挙げられる。その割合は、単量体合計100質量%に対して、好ましくは0.0~10.0質量%であり、より好ましくは0.0~5.0質量%であり、更に好ましくは0.0~4.0質量%である。必要に応じて2種類以上用いても構わない。単量体100質量%に対して共重合可能な他の単量体成分(A-3)を10.0質量%以下にすることで、浸漬製品の引張強度や切断時伸びの他に、柔軟性の経時安定性を良好に保つことができる。
クロロプレン重合体ラテックス(A)の調製方法
クロロプレン重合体ラテックス(A)の調製方法としては、乳化重合を採用することができ、特に工業的には乳化重合が好ましい。
クロロプレン重合体ラテックス(A)の重合に用いる乳化剤:
乳化重合において、乳化剤を用いることが好ましい。乳化剤としては、アニオン系の界面活性剤が好ましく、凝固操作の簡便性から、通常のロジン酸石鹸が特に好ましい。アニオン系の界面活性剤の他の具体例としては、ナフタレンスルホン酸縮合物のナトリウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸のナトリウム塩、ドデシル硫酸のナトリウム塩等が挙げられる。
ロジン酸石鹸の使用量は、ロジン酸の換算量でクロロプレン重合体を構成する単量体を100質量部として、1.5~8.0質量部が好ましく、1.6~6.0質量部がより好ましく、1.7~5.0質量部が更に好ましい。
ロジン酸石鹸以外の他の界面活性剤の使用量は、クロロプレン重合体を構成する単量体の合計量を100質量部として、0.1~8.0質量部が好ましく、0.7質量部~7.0質量部がより好ましく、0.9~6.0質量部が更に好ましい。0.5質量部以上であれば、良好に乳化でき、良好な重合発熱制御が得られ、凝集物の生成が抑制され良好な製品外観が得られる。ナフタレンスルホン酸ナトリウムとホルムアルデヒド縮合物などの他の界面活性剤を添加することで1.5質量部以下のロジン酸で乳化した系においても、上記の凝集物の発生を抑制することができる。8.0質量部以下であれば、ロジン酸が残留せずに部品成形時の鋳型(フォーマー)からの脱離や部品使用時の剥離が容易になり、良好な加工、操作性得られ、製品の色調も良好となる。
なお、乳化剤は2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
クロロプレン重合体ラテックス(A)の重合に用いる重合開始剤:
一般的なラジカル重合開始剤を使用可能であり、特に制限はない。乳化重合で使用される重合開始剤の具体例としては、過酸化ベンゾイル、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の有機あるいは無機の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物が好ましい。アントラキノンスルホン酸塩や亜硫酸カリウム、亜硫酸ナトリウムなどの助触媒を適時併用することができる。ラジカル重合開始剤や助触媒は、2種類以上を組み合わせて使用しても良い。
クロロプレン重合体ラテックス(A)の重合に用いる重合停止剤:
クロロプレン重合体ラテックス(A)の重合の停止に用いる停止剤としては一般的なものでよく、特に制限はない。具体例としては、フェノチアジン、パラ-t-ブチルカテコール、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ジエチルヒドロキシルアミン等が好ましい。重合停止剤は、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
クロロプレン重合体ラテックス(A)の重合条件:
重合温度は21~60℃が好ましく、30~50℃がより好ましく、35~45℃が更に好ましい。21℃以上であれば結晶性を示す1,4-トランス体クロロプレン構造の生成が抑制されるため柔軟性が増し、60℃以下であればクロロプレンの沸点よりも低い温度のため重合が円滑に進行する。
重合転化率:
重合転化率は60~100%が好ましく、75~95%がより好ましく、80~90%が更に好ましい。60%以上であれば架橋後における破断強度が高くなる。
クロロプレン重合体ラテックス(A)の特性
・テトラヒドロフラン不溶分率
クロロプレン重合体ラテックス(A)のテトラヒドロフラン不溶分率は0~95質量%が好ましく、5~95質量%がより好ましく、10~95質量%がさらに好ましい。テトラヒドロフラン不溶分率が5質量%以上であると、架橋速度および破断強度が充分なものとなり、成形時の手型等の浸漬型からの剥離が容易となるため好ましい。また95質量%以下であると、得られる成形物が良好な柔軟性、破断強度、切断時伸びを示すため好ましい。
・pH
クロロプレン重合体ラテックス(A)のpHは、25℃において、好ましくは10.5以上14.0以下、より好ましくは11.5以上13.9以下、さらに好ましくは12.5以上13.8以下である。この範囲であれば乳化剤であるアニオン性界面活性剤が安定であり、凝集物の生成が抑制でき好ましい。
・粘度
クロロプレン重合体ラテックス(A)のブルックフィールド粘度は、好ましくは5.0mPa・s以上90.0mPa・s以下、より好ましくは6.0mPa・s以上60.0mPa・s以下、さらに好ましくは9.0mPa・s以上40.0mPa・s以である。クロロプレン重合体ラテックス(A)のブルックフィールド粘度90.0mPa・s以下であれば、粘度が適正で取り扱いが容易であり好ましい。クロロプレン重合体ラテックス(A)のブルックフィールド粘度5.0mPa・s以上ではラテックス内への配合添加剤(架橋剤、架橋促進剤、防腐剤など)の拡散速度が速く、熟成時間が短く好ましい。
・Z平均粒子径
クロロプレン重合体ラテックス(A)は、クロロプレン重合体粒子が乳化分散したラテックスであり、重合体粒子のZ平均粒子径が80nm以上200nm以下、好ましくは100nm以上180nm以下である。クロロプレン重合体粒子のZ平均粒子径がこの範囲であると、Z平均粒子径が100nm以上で、クロロプレン重合体粒子からの脱塩酸が抑制されクロロプレン重合体粒子の安定性が得られ、凝集物が発生しにくくなる。また、180nm以下で乳化時のロジン酸石鹸の量が得られるため良好な乳化が得られ、良好な重合発熱制御、凝集物の生成抑制や良好な製品外観が得られる。Z平均粒子径は、公知の方法により測定できるが、動的光散乱光度計により好適に求めることができる。
クロロプレン重合体ラテックス(A)を含有する組成物
クロロプレン重合体ラテックス(A)は、一般に酸素による劣化を受けやすい。クロロプレン重合体ラテックス(A)は、そのまま浸漬成形により成形物を製造するための組成物として用いられてもよいが、本発明では、発明の効果を損なわない範囲で、受酸剤や酸化防止剤などの安定剤を配合した組成物とすることが好ましい。
本発明では、クロロプレン重合体ラテックス(A)に対して、必要に応じて金属酸化物(B)、架橋促進剤(C)、架橋剤(D)、酸化防止剤(E)を添加することにより、充分な引張強度と柔軟性を持った浸漬製品を形成可能な組成物が得られる。使用される原料のうち、水に不溶性のもの、クロロプレン重合体ラテックスのコロイド状態を不安定化させるものは、予め水系分散体を作製してからクロロプレン重合体ラテックスに添加する。
金属酸化物(B)
クロロプレン重合体は、一般に酸素による劣化を受けやすいため、受酸や酸化防止の目的で金属酸化物を配合するのが好ましい。金属酸化物(B)としては、特に制限は無く、具体的には酸化亜鉛、二酸化鉛、四酸化三鉛等が挙げられ、特に酸化亜鉛が好ましい。これらは2種以上を併用して用いることもできる。また、後述する架橋促進剤と併用することによりさらに効果的に架橋を行うこともできる。
これらの金属酸化物(B)の添加量はクロロプレン重合体ラテックスの固形分100質量部に対して0.1~20.0質量部が好ましく、0.5~15.0質量部がより好ましく、1.0~10.0質量部がさらに好ましく、2.0~9.0質量部がまたさらに好ましく、3.0~8.0質量部が特に好ましい。金属酸化物(B)の添加量が0.1質量部以上であれば、十分な架橋速度が得られる。20.0質量部以下で適度な架橋速度となり、スコーチが抑制され、クロロプレン重合体ラテックス(A)組成物のコロイド安定性も良く、沈降などの問題が発生しにくくなる。
架橋促進剤(C)
架橋促進剤(C)としては、従来からクロロプレン重合体ラテックス(A)の架橋に一般に用いられている、チウラム系、ジチオカーバメート系、チオウレア系、グアニジン系が用いられる。チウラム系の架橋促進剤としては、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィドなどが挙げられる。ジチオカーバメート系の架橋促進剤としては、ジブチルチオジカルバミン酸ナトリウム、ジブチルチオジカルバミン酸亜鉛、ジエチルチオジカルバミン酸亜鉛などが挙げられる。チオウレア系の架橋促進剤としては、エチレンチオ尿素、ジエチルチオ尿素、トリメチルチオ尿素、N,N’-ジフェニルチオ尿素(DPTU)などが挙げられる。グアニジン系の架橋促進剤としては、1,3-ジフェニルグアニジン(DPG)、1,3-ジ-o-トリルグアニジンなどが挙げられる。架橋促進剤は2種類以上を組み合わせて用いても良い。これらの架橋促進剤(C)の添加量はクロロプレン重合体ラテックス(A)の固形分100質量部に対する質量部(乾燥質量部)として0.1~10.0質量部が好ましく、0.2~7.0質量部がより好ましく、0.3~5.0質量部がさらに好ましく、0.3~3.0質量部がまたさらに好ましく、0.5~1.5質量部が特に好ましい。架橋促進剤(C)の添加量が、0.1質量部以上であれば、十分な架橋速度が得られる。また10.0質量部以下で適正な架橋速度が得られ、スコーチを抑制し凝集物等の発生が起こりにくくなる。更には、成形物の架橋密度が適正となり、良好な柔軟性を得られる。
架橋剤(D)
架橋剤(D)としては一般的な架橋剤が使用可能であり特に制限はない。架橋剤としては、硫黄、硫黄化合物、有機過酸化物等が使用可能である。これらは2種以上を併用して用いることもできる。
架橋剤(D)は、必ずしも用いなくてもよいが、架橋促進剤(C)だけで架橋が不十分な場合に、架橋剤(D)を併用するのが通常である。架橋剤(D)としては、硫黄系架橋剤(粉末硫黄、表面処理硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄)、有機過酸化物系架橋剤(ジ-t-ブチルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ビス(α,α-ジメチルベンジル)ペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、t-ブチルパーベンゾエート、2,2-ジt-ブチルペルオキシブタン、アゾビスイソブチロニトリル)が好ましく、硫黄が特に好ましい。架橋剤(D)の添加量は、クロロプレン重合体ラテックス(A)の固形分100質量部に対してそれぞれ0.1~7.0質量部が好ましく、0.2~5.0質量部がより好ましく、0.3~3.0質量部が更に好ましい。0.1質量部以上では、十分な促進効果が得られ、逆に7.0質量部以下では良好な架橋速度が得られ、スコーチしにくく架橋の管理がしやすく、架橋後の耐熱性が良好なものが得られ、ブリードも発生しにくい。
酸化防止剤(E)
酸化防止剤(E)としては、耐熱性付与目的の酸化防止剤(耐熱老防)と耐オゾン酸化防止剤(オゾン老防)などを用いることが好ましい。これらは併用することが好ましい。耐熱老防としては、ジ(4-オクチルフェニル)アミン、p-(p-トルエン-スルホニルアミド)ジフェニルアミンや4,4’-ビス(α,α-ジメチルベンジル)ジフェニルアミンなどのジフェニルアミン系が耐熱性だけでなく、耐汚染性(変色などの移行)も少なく好ましい。オゾン老防としては、N,N’-ジフェニル-p-フェニレンジアミン(DPPD)やN-イソプロピル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン(IPPD)を用いることもできる。しかし、通常、医療用手袋など外観、特に色調や衛生性が重視される場合には、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が特に好ましい。酸化防止剤(E)の添加量はクロロプレン重合体ラテックス(A)の固形分100質量部に対する質量部(乾燥質量部)として、0.1~10.0質量部が好ましく、0.2~7.0質量部がより好ましく、0.3~5.0質量部がさらに好ましく、0.5~4.0質量部がまたさらに好ましく、1.0~3.0質量部が特に好ましい。酸化防止剤(E)の添加量が0.1質量部以上では、酸化防止効果が十分に得られ、10.0質量部以下では、良好な架橋を得られたり、求める色調が得られたりするため好ましい。
以上、クロロプレン重合体ラテックス(A)、およびクロロプレン重合体ラテックス(A)を含有する組成物について詳述したが、本発明では、クロロプレン重合体ラテックス(A)に替えて、その他の重合体ラテックスを用いた場合についても、浸漬成形により成形物を製造するための組成物として同様に用いることができる。
成形物の製造
本発明の成形物は、浸漬成形により成形物を製造するために使用し得る、上述した重合体ラテックスを含む組成物を用いて製造することができ、好ましくはクロロプレン重合体ラテックス(A)を含有する組成物を用いて製造することができる。本発明の成形物は、重合体ラテックス組成物中の重合体またはその硬化物(架橋物)を含む。
本発明では、クロロプレン重合体ラテックス(A)を含有する組成物などの重合体ラテックス組成物を用い、通常の方法によって、浸漬・凝固後、浸出(水溶性不純物の除去)、乾燥、次いで架橋の工程をこの順に進めることによって、フィルム状の成形物を得ることができる。
クロロプレン重合体ラテックス(A)を含有する組成物を用いてこのような工程により手袋などの成形物を得る場合においては、特に架橋温度は、所望の架橋度を得るためには、天然ゴムと比較して高い温度が要求されるので注意が必要である。製品外観の問題、例えばブリスター、ピンホールなどを回避する目的で、架橋前に予め70~100℃の範囲の比較的低温での粗乾燥が必要になる場合がある。架橋温度は120~140℃で架橋時間は15分から2時間が必要である。架橋後のフィルムについては、引張試験を実施することによって、所定伸び引張応力(モジュラス、弾性率ともいう)、引張強さ、切断時伸びを測定することができる。このクロロプレンゴム成形物は、所望の架橋度を達成した場合、300%弾性率(モジュラス)が0.3~1.2MPa、引張強さが、10MPa以上さらに好ましくは12MPa以上、切断時伸びが900%以上、好ましくは1000%以上を達成することができる。
<スクリーニング方法>
本発明のスクリーニング方法は、重合体ラテックスを含む組成物を、浸漬成形してゴム特性を有する成形物を製造する際に適用可能なスクリーニング方法であり、浸漬用途に適した組成物、ならびに安定した性能の成形物のスクリーニング方法として好適である。
本発明に係る成形物は、伸長結晶化を呈するものである。本発明に係るスクリーニングでは、成形物試料の伸長結晶化度を求め、これにより成形物および組成物を評価する。
ここで、伸長結晶化とは、ゴムを伸長した際に伸長方向に配向した分子が結晶を形成する現象であり、天然ゴムやクロロプレンゴムなどのゴム特性を有する成形物において観察される。
伸長結晶化度
本発明において、成形物試料の伸長結晶化度は、ゴム特性を有するフィルム状等の成形物の、900%伸長時の結晶化度X%と、無伸長時の結晶化度Y%との差(X-Y)ポイントとして求められる。このため無伸長時の結晶化度が0%である成形物試料の伸長結晶化度は、900%伸長時の結晶化度と一致する。ここで、900%伸長時の結晶化度とは、成形物を伸長しない状態(無伸長時)の長さ(100%)対して、一方向に9倍の長さ(900%)に延伸した状態で測定した、結晶化度の値を意味する。
すなわち本発明において、成形物の伸長結晶化度は次式により算出することができる。
伸長結晶化度(ポイント)=900%伸長時の結晶化度(X%) - 無伸長時の結晶化度(Y%)
成形体の900%伸長時および無伸長時の結晶化度は、公知の方法により測定することができ、好ましくは、結晶化度は、単結晶構造解析、粉末結晶構造解析、高エネルギーX線構造回折、磁気散乱、広角散乱(WAXD)、小角散乱(SAXS)、マイクロ広角散乱(μ-WAXD)、マイクロ小角散乱(μ-SAXS)、超小角X線散乱法(USAXS)、微小角入射X線回折/散乱(GISAXS)のうちから選択される1種により測定することができる。これらの中では、広角散乱(WAXD)法(広角X線回折法ともいう)により測定するのが好ましい。
本発明の成形物は、伸長結晶化度が3ポイント以上99ポイント以下であり、好ましくは5ポイント以上80ポイント以下、より好ましくは10ポイント以上40ポイント以下であることが望ましい。
成形物の伸長結晶化度は、成形物試料を用いて測定することにより求めることができるが、本発明では、伸長結晶化度を求める際の成形物試料の形状は限定されない。すなわち、成形物試料の無伸長時の結晶化度(Y%)と、900%伸長時の結晶化度(X%)を測定できれば良いのであって、成形物試料の厚さ等の形状はどの程度であってもよい。
本発明では、重合体粒子を含む組成物から浸漬法等によりフィルム状などの成形物を得る場合において、成形物の伸長結晶化度が上記範囲を満たすことを確認することで、該組成物が安定した成形物を製造する用途に適した組成物であるかどうかを、簡便に判断することができる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<測定・評価方法>
以下の実施例および比較例において、重合体ラテックスおよび架橋成形物に係る各種物性は、以下のようにして測定あるいは評価した。
重合体ラテックスの評価
・重合転化率
重合後の重合体ラテックスを採集し、141℃、30分乾燥後の固形分から、重合転化率を計算した。固形分及び重合転化率は下記式にて求めた。
重合後固形分率(質量%)
=[(141℃、30分間乾燥後の質量)/(乾燥前のラテックス質量)]×100
重合転化率[%]=[(ポリマー生成量/クロロプレン単量体仕込み量)]×100
ここで、ポリマー生成量は、重合後固形分からポリマー以外の固形分を差し引いて求めた。ポリマー以外の固形分は141℃条件において揮発しない成分を重合原料仕込み量から算出した。
・ブルックフィールド粘度
試験体を300mLのポリプロピレン製ビーカーに入れ、内部の気泡が完全にない状態とする。JIS K7117-1:1999に示すB型粘度計を用い、以下の条件での連続した測定で測定値が5%以内となった結果の2回目の粘度を記録粘度とする。
機器:BROOKFIELD社 粘度計 DV-E LVDVE115
スピンドル:No.1スピンドル
回転数:60rpm
温度:20℃
・テトラヒドロフラン不溶分率
重合体ラテックス1g(水分量;35~65質量%)をテトラヒドロフラン100mlに滴下して、ヤマト科学株式会社製シェーカー(SA300)にて10時間振とうした後、遠心分離機(株式会社コクサン製、H-9R)にて14,000rpm、60分間かけ、上澄みの溶解相を分離し、100℃で1時間かけてテトラヒドロフランを蒸発・乾固させて、溶解分量を計算して差引き、テトラヒドロフラン不溶分率(質量%)とした。
テトラヒドロフラン不溶分率(質量%)
=[1-[(乾固物の質量(g))/(重合体ラテックス1g中の固形分量(g))]}×100
・Z平均粒子径(nm)
重合体ラテックス中の重合体粒子のZ平均粒子径は、ラテックスを純水にて0.01~0.1%まで希釈した溶液を動的光散乱光度計(Malvern Panalytical Ltd製ZETASIZER(登録商標)Nano-S)により求めた。
架橋成形物の評価
・機械的物性
JIS-K6251-2017に準じ、架橋後のシートを6号ダンベルで切断し、試験片を得た。試験片の厚みは0.15~0.25mmとした。
フィルム試験片について、引張試験をJIS-K6251-2017に準じた方法で行い、23℃における100%伸長時モジュラス(M100、MPa)、引張強さ(Tb、MPa)、及び切断時伸び(Eb、%)を測定した。
・広角散乱(WAXD)
財団法人高輝度光科学研究センター運営SPring-8のBL03XU 第二実験ハッチにおいて実施した。自作した一軸延伸機を実験ハッチの架台上に設置してクロロプレンゴムの架橋フィルムを、無伸長状態および900%まで一軸延伸した状態で、フィルムに対して垂直方向からX線を照射することで広角散乱(WAXD)の測定を行った。
延伸時はカメラ長76mm、未延伸時はカメラ長77mm、X線波長0.1nmとし、検出器には、Pilatus 1Mを用いた。2次元散乱像の43°~50°の領域について部分積算を行い、バックグラウンド散乱を差し引いた散乱強度(Ix)を散乱ベクトルqに対してプロットして散乱プロファイルを得た。
・結晶化度
上記で取得したWAXDデータを用い、クロロプレン由来の強ピーク(2θ〔CuKα〕=19.83°)の測定結果に基づいて、クロロプレンの結晶化度の算出をおこなった。
結晶化度の算出方法は、結晶領域および非晶領域を分離し、それぞれの積分強度を測定することで結晶化度を求めた。
結晶化度(%)=結晶質のピーク面積/(結晶質のピーク面積+非晶質のピーク面積)×100
使用ソフトはPDXL2((株)リガク製)を用い、ピークフィッティングは強ピークの位置が特にフィットするようにマニュアルにてフィッティングをおこなった(条件は以下の解析条件参照)
〔データ解析条件〕
・平滑化:B-Splineによる平滑化(Χ閾値:1.50)
・バックグラウンド除去:Sonneveld-Visser法
(ピーク幅閾値1.00、強度閾値10.00)
・Kα2除去:なし
・ピークサーチ:2次微分法(σカット値6.00)
・プロファイルフィッティング:測定データに対してフィッティング
(ピーク形状:分割型擬Voigt関数)
※ブロードなピークのみが見られるデータについてはマニュアル処理にてクロロプレン由来のピーク(2θ=19.83°付近)やアモルファスのピーク(18.6~9°付近)がフィットするように処理をおこなった。
[実施例1]
・重合体ラテックス組成物の調製
内容積5リットルの反応器を使用して、2-クロロ-1,3-ブタジエン(クロロプレン)1.4kg、2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエン0.13kg及び純水1.2kg、不均化ロジン酸(荒川化学工業(株)製、R-600)65g、n-ドデシルメルカプタン0.91g、水酸化ナトリウム16g、水酸化カリウム86g、β-ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩8.0gを仕込み、乳化させ、不均化ロジン酸をロジン石鹸にした後、過硫酸カリウムを開始剤として用い、窒素雰囲気下、40℃で重合を行った。重合転化率が84%に達したところで、直ちにフェノチアジンの乳濁液を添加して重合を停止した。次いでその後、未反応の単量体を水蒸気蒸留にて除去し、クロロプレン重合体のポリマーラテックスである、クロロプレン重合体ラテックス(1)を得た。テトラヒドロフラン不溶分率は10.0%、固形分率は46.8%、ブルックフィールド粘度は10.5mPa・sであった。
・浸漬フィルムの作製と架橋
上記のようにして調製したクロロプレン重合体ラテックス(1)を、スリーワンモーター付きの撹拌槽に仕込み、5分撹拌して混合均一化した。均一化したクロロプレン重合体ラテックス(1)を室温(20℃)で24時間静置し熟成した。
熟成したクロロプレン重合体ラテックス(1)に対して、表2に示す配合(前記クロロプレン重合体ラテックス(1)の乾燥固形分100質量部に対する質量部)で、酸化亜鉛分散体、架橋促進剤及びフェノール系酸化防止分散体を加え混合してクロロプレン重合体ラテックス組成物(1’)を調製した。
縦200mm、横100mm、厚さ5mmのセラミック製の板を浸漬フィルムの型として、30質量%硝酸カルシウム水溶液からなる凝固液に型を浸漬し、40℃のオーブンで5分間乾燥させた。乾燥した型を前記クロロプレン重合体ラテックス組成物(1’)に浸漬し、引き上げてフィルムを形成させ、70℃のオーブンで30分乾燥させた。
次いで、常法のオーブンにて、130℃で20分加熱架橋し、大気下で放冷した後型から切り出し、架橋されたフィルム(架橋成形物)を得た。
得られた架橋成形物の特性を上述の通り測定あるいは評価した。結果を表3に示す。
[実施例2]
実施例1のクロロプレン重合体ラテックス(1)の調製において、重合転化率が88%に達したところで、直ちにフェノチアジンの乳濁液を添加して重合を停止したことの他は、実施例1と同様にしてクロロプレン重合体ラテックス(2)を得た。得られたクロロプレン重合体ラテックス(2)の固形分率、ブルックフィールド粘度およびテトラヒドロフラン不溶分率を表1に示す。
次いで、クロロプレン重合体ラテックス(1)に替えて、得られたクロロプレン重合体ラテックス(2)を用い、添加剤配合量を表2に示す通りとしたことの他は、実施例1と同様にして、クロロプレン重合体ラテックス組成物(2’)を調製し、これを用いて浸漬フィルムの作製と架橋を行い、架橋されたフィルム(架橋成形物)を得た。
得られた架橋成形物の特性を上述の通り測定あるいは評価した。結果を表3に示す。
[実施例3、比較例1]
実施例1のクロロプレン重合体ラテックス(1)の調製において、連鎖移動剤であるn-ドデシルメルカプタンの使用量および重合を停止する重合転化率を表1の通りとしたことの他は、実施例1と同様にしてクロロプレン重合体ラテックスを得た。得られたクロロプレン重合体ラテックスの固形分率、ブルックフィールド粘度およびテトラヒドロフラン不溶分率を表1に示す。
次いで、クロロプレン重合体ラテックス(1)に替えて、得られたクロロプレン重合体ラテックスを用い、クロロプレン重合体ラテックスを100質量部とした際の添加剤配合量を表2に示す通りとしたことの他は、実施例1と同様にして、クロロプレン重合体ラテックス組成物を調製し、これを用いて浸漬フィルムの作製と架橋を行い、架橋されたフィルム(架橋成形物)を得た。得られた架橋成形物の特性を上述の通り測定あるいは評価した。結果を表3に示す。
Figure 0007396011000001
Figure 0007396011000002
Figure 0007396011000003
表2から、比較例1では、Tb/M100の値が実施例1~3と比べて小さく、破断強度に対して柔軟性が低下しており、浸漬製品に必要な破断強度と柔軟性のバランスが損なわれていることが分かる。
本発明の組成物は、浸漬製品である成形物の製造に好適に使用でき、本発明の成形物は、手袋、血圧計ブラダー、糸ゴムなどの浸漬製品、特に医療用手袋用途等に好適に使用できる。本発明のスクリーニング方法によれば、浸漬製品の製造に好適な組成物および安定した性能の成形物を、簡便な方法によりスクリーニングできる。

Claims (5)

  1. 重合体またはその硬化物を含む成形物、あるいは前記成形物を製造するための組成物をスクリーニングする方法であって、
    前記重合体が、クロロプレンと2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエンとの共重合体、または、クロロプレンと2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエンと他の単量体との共重合体であって、全単量体成分100質量%中2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエンを5.0~30.0質量%含む単量体を共重合したものであり、
    900%伸長時の結晶化度(X%)と無伸長時の結晶化度(Y%)との差として求められる伸長結晶化度(X-Y)が、3ポイント以上99ポイント以下である成形物を選択することを特徴とする、スクリーニング方法。
  2. 前記成形物が、重合体の硬化物であることを特徴とする、請求項に記載のスクリーニング方法。
  3. 前記成形物が、重合体粒子を含むラテックス組成物を浸漬成形して得られた成形物であることを特徴とする、請求項1または2に記載のスクリーニング方法。
  4. 前記重合体がラテックス状態であり、そのテトラヒドロフラン不溶分率が0~95%であり、重合体粒子のZ平均粒子径が80nm以上200nm以下であることを特徴とする、請求項に記載のスクリーニング方法。
  5. 前記結晶化度が、単結晶構造解析、粉末結晶構造解析、高エネルギーX線構造回折、磁気散乱、広角散乱(WAXD)、小角散乱(SAXS)、マイクロ広角散乱(μ-WAXD)、マイクロ小角散乱(μ-SAXS)、超小角X線散乱法(USAXS)、微小角入射X線回折/散乱(GISAXS)のうちから選択される1種により測定されたものであることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載のスクリーニング方法。
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