JP7395071B1 - 反射鏡アンテナ装置 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、特許文献1には、平板状の反射板の表面に配列された共振素子の配置間隔を適正化してグレーティングローブの発生を防いだリフレクトアレーアンテナが示されている。
また、特許文献2には、反射板と一次放射器の位置を決定することで広帯域化を図ることのできるリフレクトアレーアンテナが示されている。
実施の形態1に係る反射鏡アンテナ装置を図1から図20に基づいて説明する。
反射鏡アンテナ装置は一次放射器1と反射器2とを備える。
一次放射器1は、一次放射器1における設定周波数f0が放射される位相中心の位置PC0に対する虚像の位置と反射器2の中心点2(O)を結ぶ線分と反射器2の中心点2(O)を通る水平面とのなす角度、いわゆるイメージホーン角がθである位置関係に、一次放射器1と反射器2が配置される。
すなわち、一次放射器1は、低い周波数fLから高い周波数fHまでの広帯域である設定された周波数帯域の異なる複数の電波に対して、放射する電波の位相中心の位置PCを、放射する電波の周波数fに応じて、電波の放射軸RAに沿って前後に調整して電波を放射する。
要するに、一次放射器1は、低い周波数fLから高い周波数fHまでの周波数帯域の電波に対して、周波数fに応じて位相中心の位置PCを位相中心の位置PCLから位相中心の位置PCHまで連続的に調整する。
一次放射器1は水平及び垂直偏波の電波を放射する。一次放射器1はホーンアンテナであってもよいし、それ以外のアンテナであってもよい。
以下では一次放射器100がホーンアンテナの例で説明する。
反射器2は、誘電体板21と、電波を反射する反射面となる誘電体板21の表面に配列された複数の共振素子22と、誘電体板21の裏面に設けられた金属板23を備える。
反射器2は、いわゆる、平板状の反射板を用いたリフレクトアレーである。
誘電体板21は、図2に示すように平板状である。
各共振素子22は、図3に示すように円形のリング形状であり、誘電体板21の表面上の位置に応じた大きさ、つまり、誘電体板21の表面上の位置に応じた直径のリング形状である。
また、複数の共振素子22は誘電体板21の表面上における同一平面の1層に配置したものに限られるものではなく、図9に示すように、複数の共振素子22を誘電体板21の表面上に2層に分けて配置してもよく、3層以上に配置したものでも良い。
反射器2による反射位相は、誘電体板21の表面上の位置に応じた、一次放射器1の位相中心の位置PCから誘電体板21の表面である反射面までの経路長に依存する。
設定周波数f0は、一次放射器1から放射される高い周波数fHと低い周波数fLとの中間の値である中間周波数fMが好ましいが、高い周波数fHと低い周波数fLとの間の値の周波数であればよい。
すなわち、一次放射器1は、設定周波数f0の電波の位相中心の位置PC0を基準に、次式(1)に示すシフト量Δを加算又は減算することにより、周波数帯域の周波数fの電波に対して位相中心の位置PCを決定する。
式(1)中、λ0は設定周波数f0の電波の波長、λは一次放射器1から放射される周波数fの電波の波長、R0は一次放射器1から放射される設定周波数f0の電波に対する、位相中心の位置PC0から反射器2の中心点2(O)を介した反射器2の開口面中心までの距離、θはイメージホーン角である。
また、反射器2の中心点2(O)、つまり、誘電体板21の表面における中心の位置と一次放射器1における位相中心の位置PC0を結ぶ線分LP0と、反射器2の中心点2(O)と一次放射器1の位相中心の位置PC0に対する虚像の位置VI0を結ぶ線分LV0は同じ長さL0である。
また、図10において、各共振素子22の厚みは極めて薄いものであるが、模式的に厚さを大きくして描いている。また、反射器2の中心点2(O)が、誘電体板21の表面における中心の位置に存在する共振素子22の表面に存在しているように描いているが、反射器2の中心点2(O)が、誘電体板21の平面における中心の位置である。
設定周波数f0以外の周波数fにおいても残留収差による利得低下を低減することができる理由について、以下に説明する。
今、一次放射器1が、設定周波数f0の電波を、位相中心の位置PC0を基準にして反射器2に向けて放射すると、反射器2の反射面によって反射され、反射器2の開口面上で平面波PW0を実現するように、反射器2が設定されている。
また、一次放射器1が位相中心の位置PC0から放射する電波の周波数fが設定周波数f0を超えている場合(f>f0)、図11に示すように、反射器2の開口面上における波面が、曲率中心の位置ROCHが反射器2の図示左側に位置し、曲率半径R1である球面波SRHに近似できる。
波面が曲率半径R1の球面波SRであると見做せることにより、曲率半径R1の球面波SRに基づく位相誤差を持った残留収差が発生する。
その結果、曲率半径R1の球面波SRに基づく残留収差が発生することになる。
要するに、残留収差は、曲率半径R1の球面波SRによって現わすことができる。
R1=(R0/α)cos3θ ・・・(2)
α=(λ0-λ)/λ0 ・・・(3)
式(2)及び式(3)中、λ0は設定周波数f0の電波の波長、λは一次放射器1から放射される周波数fの電波の波長、θはイメージホーン角である。
反射器2から放射された設定周波数f0以外の周波数fの電波に対して位相中心の位置PC0から放射すると、上式(2)におけるαが有限の値であり、反射器2の開口面上での波面が曲率半径R1の球面波SRとなり、残留収差が生ずる。
位相中心の位置PCLは、位相中心の位置PC0を基準に、周波数fLに対して上式(1)に基づいて算出されたシフト量Δを一次放射器1の放射軸RAの方向に沿って位相中心の位置PC0から前方にオフセットさせた位置である。
また、残留収差を発生させる、位相中心の位置PC0から低い周波数fLの電波を反射器2に向けて放射した時の曲率半径R1の球面波SRLも発生する。
(1/R0)-(1/∞)=(1/(R0+Δ))-(1/R2)=1/F・・(4)
式(4)中、R2は位相中心PCが移動した時の反射器2の開口面上での波面となる球面波SPの曲率半径である。図12に示した、位相中心の位置PCLから低い周波数fLの電波を反射器2に向けて放射した時の球面波SPLの曲率半径RLが上式(4)中のR2の値に相当する。
R2=-(R0 2/Δ) ・・・(5)
設定周波数f0以外の周波数fの電波に対して反射器2の開口面上で平面波PWを実現させるために、周波数fの電波により残留収差を発生させる曲率半径R1の球面波SRと、位相中心の位置PCを、位相中心の位置PC0からシフト量Δ分移動させることにより生ずる曲率半径R2の球面波SPが互いに打ち消しあう条件は、次式(6)である。
R1+R2=0 ・・・(6)
すなわち、周波数fに対して上式(1)を用いてシフト量Δを算出し、一次放射器1の位相中心の位置PCを位相中心の位置PC0からシフト量Δ分移動させた位置PC0+Δにして、周波数fの電波を一次放射器1から放射すると、反射器2の開口面上に平面波PWが実現できる。
まず、一次放射器1から放射される電波の周波数fが設定されると、一次放射器1は周波数fに対する位相中心の位置PCを上式(1)に基づいて算出し、決定する。
放射する電波の周波数fが設定周波数f0であると、反射器2における複数の共振素子22により反射位相が調整され、反射器2は、入射された一次放射器1から放射された設定周波数f0の電波を設定周波数f0の電波の球面波を反射器2の開口面上で平面波PW0になるように変換して反射する。
このシミュレーションは、反射器2の開口面上で平面波PWになっている、つまり、残留収差を打ち消す又は低減していることにより、下端の周波数fLから上端の周波数fHまで残留収差が発生せずに利得低下が生じないことを検証するために行ったものである。
また、上記条件は、スピルオーバ損失、反射損失及び振幅分布による損失などの損失を持たないことを意味している。
その結果、下端の周波数fLから上端の周波数fHまでの電波に対して開口能率が一定である。
その結果、下端の周波数fL及び上端の周波数fHに近づくにつれて開口能率が低下している。
その結果、一次放射器1から放射される電波における周波数の広帯域化を図ることができる。
その結果、一次放射器1から放射される電波における周波数の広帯域化を図ることができる。
ΔL=((λ0-λL)/λ0)×(R0/cos3θ)(7)
ΔH=((λ0-λH)/λ0)×(R0/cos3θ)(8)
式(7)及び式(8)中、λLは一次放射器1から放射される低い周波数fLの電波の波長であり、λHは一次放射器1から放射される高い周波数fHの電波の波長である。
一次放射器1は、決定した位相中心の位置PCLから低い周波数fLの電波を反射器2に向けて放射する。
一次放射器1は、決定した位相中心の位置PCHから高い周波数fHの電波を反射器2に向けて放射する。
図14に示すホーンアンテナは、開口の形状を矩形としたホーンアンテナであり、開口のサイズは98.5mm ×75.6mm、軸長は400mmである。
なお、本シミュレーション(I)では、振幅分布による損失とスピルオーバ損失も考慮して計算している。
図15において、実線が図14に示すホーンアンテナの位相中心の周波数特性を示し、破線が上式(1)を満足する理想的な位相中心の周波数特性を示す。
図15から明らかなように、図14に示すホーンアンテナを用いた実施の形態1に係る反射鏡アンテナ装置は、周波数が12.5GHzから15GHzにおいて理想的な位相中心位置を実現できている。
図16から明らかなように、周波数が12.5GHzから15GHzにおいて、位相誤差による損失は0.1dB以下と、損失が十分小さいことが確認できる。
すなわち、図14に示すホーンアンテナを用いた実施の形態1に係る反射鏡アンテナ装置においても、上式(1)を満たすことができ、リフレクトアレーの帯域を制限する要因である位相誤差による損失を低減することができる。
しかし、位相中心が上式(1)を満たすホーンアンテナに限定されるものではなく、ホーンアンテナの位相中心を上式(1)に近づけるだけでも効果がある。
シミュレーションの設定条件(II)は、設定周波数f0を12.5GHz、開口径Dを500mm、一次放射器1から放射される設定周波数f0の電波に対する、位相中心の位置PC0から反射器2の中心点2(O)を介した反射器2の開口面中心までの距離R0を845mm、イメージホーン角θを0deg、一次放射器1から放射される電波の設定された周波数帯域の下端の周波数fLを10GHz、周波数帯域の上端の周波数fHを15GHzである。
図17において、実線が図14に示すホーンアンテナの位相中心の周波数特性を示し、破線が上式(1)を満足する理想的な位相中心の周波数特性を示す。
図17から明らかなように、図14に示すホーンアンテナを用いた実施の形態1に係る反射鏡アンテナ装置は、周波数が10GHzから15GHzにおいて理想的な位相中心位置とはなっていないが、位相中心が固定されたホーンと比較して、位相中心が理想値に近づいている。
図18から図20において、実線が図14に示すホーンアンテナを用いた実施の形態1に係る反射鏡アンテナ装置における特性を示し、破線が上式(1)を満足する理想的な位相中心をもつホーンアンテナを用いたもの特性を示し、一点鎖線が位相中心が固定されたホーンアンテナを用いたもの特性を示す。
Claims (9)
- 放射する電波の位相中心の位置を、放射する電波の周波数に応じて、電波の放射軸に沿って前後に調整して電波を放射する一次放射器と、
平板状の誘電体板、及び、電波を反射する反射面となる前記誘電体板の表面に配列され、それぞれが入射された電波の反射波の位相を調整する複数の共振素子を有し、設定周波数の電波の位相中心から前記一次放射器が放射された電波が入射され、当該入射された電波による球面波を開口面上で平面波に変換して反射する反射器と、
を備えた反射鏡アンテナ装置。 - 前記一次放射器における放射する電波の位相中心の位置の調整は、前記一次放射器が放射する周波数の電波により残留収差を発生させる曲率半径の球面波と、前記位相中心の位置を設定周波数の電波の位相中心の位置から前後に移動させることにより生ずる曲率半径の球面波が互いに打ち消しあう位相中心の位置に決定する請求項1に記載の反射鏡アンテナ装置。
- 前記一次放射器における放射する電波の位相中心の位置の調整は、設定周波数f0の電波の位相中心の位置を基準に、低い周波数から高い周波数までの周波数帯域の周波数fの電波に対して次式(1)に求められたシフト量Δにより決定する請求項1又は請求項2に記載の反射鏡アンテナ装置。
Δ=((λ0-λ)/λ0)×(R0/cos3θ) (1)
式(1)中、λ0は設定周波数f0の電波の波長、λは前記一次放射器から放射される前記周波数帯域の周波数fの電波の波長、R0は前記一次放射器から放射される設定周波数f0の電波の位相中心から前記反射器の中心点を介した前記反射器の開口中心までの距離、θはイメージホーン角である。 - 前記一次放射器における放射する電波の位相中心の位置の調整は、設定周波数f0の電波の位相中心の位置を基準に、
前記設定周波数f0より低い周波数fLの電波に対して次式(2)に求められた第1のシフト量ΔLにより決定し、
前記設定周波数f0より高い周波数fHの電波に対して次式(3)に求められた第2のシフト量ΔHにより決定する請求項1又は請求項2に記載の反射鏡アンテナ装置。
ΔL=((λ0-λL)/λ0)×(R0/cos3θ)(2)
ΔH=((λ0-λH)/λ0)×(R0/cos3θ)(3)
式(2)及び式(3)中、λ0は設定周波数f0の電波の波長、λLは前記一次放射器から放射される低い周波数fLの電波の波長、λHは前記一次放射器から放射される高い周波数fHの電波の波長、R0は前記一次放射器から放射される設定周波数f0の電波の位相中心から前記反射器の中心点を介した前記反射器の開口中心までの距離、θはイメージホーン角である。 - 前記一次放射器は、水平及び垂直偏波の電波を放射する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の反射鏡アンテナ装置。
- 前記一次放射器はホーンアンテナである請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の反射鏡アンテナ装置。
- 前記複数の共振素子それぞれは、円形のリング形状である請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の反射鏡アンテナ装置。
- 前記複数の共振素子それぞれは、円形の形状である請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の反射鏡アンテナ装置。
- 前記複数の共振素子それぞれは、矩形のリング形状である請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の反射鏡アンテナ装置。
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