JP7394500B1 - 金属及び/又はセラミックス・グラファイト含有アルミニウム複合体材料及び金属及び/又はセラミックス・グラファイト含有アルミニウム複合体材料の製造方法 - Google Patents

金属及び/又はセラミックス・グラファイト含有アルミニウム複合体材料及び金属及び/又はセラミックス・グラファイト含有アルミニウム複合体材料の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】カーボングラファイト系材料とアルミニウム材料とを複合化させた、高強度、高熱伝導度及び低熱膨張率を併せ持つ、工業上広く利用することが可能な金属及び/又はセラミックス・グラファイト含有アルミニウム複合体材料の実現と、該材料の提供技術の開発。【解決手段】非晶質でないグラファイト粉末と、金属粉末及び/又はセラミックス粉末のいずれかを含む混合粉末の外側にシリカ系のバインダーが添加された材料からなる成型体が、アルミニウム金属又はアルミニウム合金の溶湯で複合化されてなり、その曲げ強度が90MPa以上であり、且つ、XY方向又はZ方向のいずれかの熱伝導率が240W/m・K以上であり、更に、XY方向又はZ方向のいずれかの熱膨張係数が6.0ppm/K以下である金属及び/又はセラミックス・グラファイト含有アルミニウム複合体材料及び該複合体材料の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、金属及び/又はセラミックス・グラファイト含有アルミニウム複合体材料及び金属及び/又はセラミックス・グラファイト含有アルミニウム複合体材料の製造方法に関する。より詳しくは、高強度、高熱伝導度及び低熱膨張率を示す金属及び/又はセラミックス・グラファイト含有アルミニウム複合体材料を提供する技術に関する。
炭素質及びグラファイト系材料は、軽量、高熱伝導性、高電気伝導性又は耐熱性、耐薬品性など、機能性に優れ、容易に加工ができ、安価で大量に生産されて入手が容易なことから、優れた工業材料として多方面で使用されている。最近では、グラファイトにアルミニウム合金を含浸した複合材や、炭素繊維とプラスチックを複合化したCFRP(炭素繊維強化プラスチック)や、炭素のセラミックスを複合化したCMC等の、炭素又はグラファイト系材料に金属等の特性を付与した複合体材料の研究開発が進められており、実用化も始まっている。
炭素繊維以外のグラファイト材料は、例えば、コークスのような粉末を成形焼成して製造されているが、強度が低いことから、機械部材の構造材料に使用されていない。また、熱伝導率が高い素材であるものの、銅やアルミニウムと比較すると熱伝導率が低いので放熱部品としての用途も限られていた。このため、グラファイト材料の特性を向上させて、構造部材や放熱部材への応用を可能にすることが待望されている。グラファイトを放熱部材に利用し得る技術としては、例えば、下記に挙げるようなものがある。
例えば、最近の電気自動車や高速鉄道等に使用される電気制御用パワーモジュールは、シリコン半導体素子を、樹脂やセラミックスからなる絶縁体である基板に接合させ、その下部に、熱伝導性及び放熱性に優れた銅板やグアラファイトの放熱材を接合させて、シリコン半導体から発する熱を放熱する構造になっている。しかし、シリコン半導体及び絶縁体(基板)と、放熱材とに、熱膨張率の差があったり、また、放熱材の強度が低い場合があったりすると、絶縁体(基板)と放熱板の接合面に熱膨張率の差による応力が発生して亀裂割れが発生する場合があった。具体的には、放熱板が銅の場合は、熱膨張率の差が大きいので亀裂が入るといった問題があった。また、放熱板がグラファイトの場合は、グラファイトの強度不足に起因した割れや亀裂が生じるといった問題があった。
また、近年、パワーモジュールに使用される半導体として、従来のシリコンウェハーを用いたシリコン半導体から、更に電気的バンドギャップの大きい、SiC単結晶又は窒化ガリウム単結晶等を用いた半導体が使用されるようになってきている。しかしながら、従来のシリコン半導体を使用した場合は100℃前後の発熱であったのに対して、SiC半導体や窒化ガリウム半導体を使用した場合は、より高い200℃程度の使用温度となることが知られている。そのため、SiC半導体や窒化ガリウム半導体の下部に設置する基板や放熱板の材料として、SiCや窒化ガリウムの半導体材料の熱膨張係数により近い素材を提供することができれば、より優れたパワーモジュールの提供が可能になる。
具体的には、半導体の下部に設置する基板や放熱板の材料として、十分な強度と熱伝導性を有することに加えて、例えば、上記した半導体の材料であるSiCや窒化ガリウム等の熱膨張係数の4~6ppm/Kに近い熱膨張率を有する、低熱膨張率を示し、しかも高強度及び高熱伝導度である素材の提供が望まれる。これに対して、単独で、上記したような要求性能の全てを満足する、汎用で経済的な素材は知られていないことから、複合体材料の開発が望まれる。ここで、半導体の下部に設置する基板や放熱板として複合体材料を適用する場合、XY方向又はZ方向のいずれかの熱膨張係数が、半導体の熱膨張係数と近いものであればよい。すなわち、複合体材料からなる基板や放熱板を用いる場合、例えば、そのXY方向の熱膨張係数が半導体の熱膨張係数と近い複合体材料を用い、そのXY方向で半導体等と接合させれば、該複合体材料が有する機能を十分発揮させることができる。
上記したように、SiCや窒化ガリウム等の半導体の下部に設置する基板や放熱板の材料に適用可能な実用的な複合体材料として、高強度、低熱膨張率及び高熱伝導度を示す素材の開発が待望される。具体的には、90Mpa以上の実用的な曲げ強度を有し、且つ、XY方向又はZ方向のいずれかの熱膨張係数が6ppm/K以下であり、更に、XY方向又はZ方向のいずれかの熱伝導率が240W/m・K以上である、とした全ての要件を満たす新たな素材が提供されれば、極めて有用である。
その中で、グラファイト系材料とアルミニウム金属との複合体材料の開発が進められており、その方法の一つとして、カーボン(炭素質)又はグラファイト系材料(以下、カーボングラファイト系材料とも呼ぶ)で作製した成型体の気孔部にアルミニウム合金を含浸させる方法が提案され、実用化がされているものもある。例えば、特許文献1では、グラファイト結晶含有炭素質マトリックスの気孔の90体積%以上が、アルミニウムやマグネシウム等の金属成分により置換されてなる炭素基金属複合材料を提案している。また、気孔率が40体積%未満である炭素成形体に、溶融金属を加圧含浸させる製造方法が提案されている。そして、特許文献1で提案の技術によれば、熱伝導率が150W/m・K以上の複合材料が得られるとしている。
特許文献2には、黒鉛化した炭素粒子を含む気孔率が35%以下の炭素成形体に、アルミニウム金属又はアルミニウム合金を溶湯鍛造により加圧含浸させた炭素基金属複合材料についての提案がある。この複合材料は、高熱伝導率、低熱膨張率及び低弾性率の電子機器用基板に有用であるとされている。また、特許文献3では、黒鉛材料にSi成分を10%以上含んだAl合金を、溶湯鍛造法又はHIP法により含浸した放電加工用電極材料についての提案がされている。特許文献4には、熱の2次元的な拡散に好適な、二軸方向に高熱伝導率を有する金属-黒鉛複合材料に関する提案がされている。
また、特許文献5では、コークス粉末又はコークス粉末と黒鉛粉末との混合粉末に、炭化チタン等の炭化物の粉末、或いは、酸化チタン等の酸化物の粉末、或いは、金属チタン等の粉末を混合し、混合粉にタール又はピッチを加えてペースト状にし、押出成形し、1000~1500℃で一次焼成して固形物を得、得られた固形物にタール又はピッチを、圧力をかけて含浸して1000~1500℃で焼成する一次焼成を複数回繰り返した後、2500~3000℃で焼成する最終焼成で押出成形体を得、得られた押出成形体にアルミニウムを加圧含浸させて、アルミニウム-黒鉛-炭化物複合体とする技術が提案されている。そして、上記した技術によれば、脆弱性が改善されていて、なおかつ、好適な熱伝導率を有する複合体となるとしている。
また、特許文献6では、「コークス系炭素を黒鉛化した人造黒鉛粉末」に炭化珪素粉末を加えてプレス成形した成形体に、アルミニウム又はアルミニウム合金を高圧で加圧含浸させて得た板状アルミニウム-炭化珪素質複合体、及び、該複合体の製造方法を提案している。この技術によって、低熱膨張、高熱伝導という特性を有する複合材料となるとしている。そして、特許文献7では、「コークス系炭素を黒鉛化した人造黒鉛粉末」に、炭化珪素粉末及び窒化硼素粉末を加えてプレス成形した成形体に、アルミニウム又はアルミニウム合金を高圧で加圧含浸させることで、板状アルミニウム-炭化珪素質複合体を、上記した効果に加えて、加工性が良好なものにできるとしている。これらの文献では、人造黒鉛粉末として、平均粒子径が1~1000μmのものが用いられている。
更に、特許文献8には、黒鉛粉末及び炭化珪素粉末を含む成形体に、アルミニウム又はアルミニウム合金を溶湯鍛造法により加圧含浸させてなるアルミニウム-黒鉛-炭化珪素質複合体及び該複合体の製造方法についての提案がされている。そして、黒鉛粉末に、特許文献6及び特許文献7と同様に「コークス系炭素を黒鉛化した人造黒鉛粉末」を用いることに加えて、その一部に或いは全部に「鱗片状黒鉛粉末」を用いることが開示されている。「コークス系炭素を黒鉛化した人造黒鉛粉末」は非晶質のものであり、「鱗片状黒鉛粉末」は、結晶構造を有する黒鉛粉末である。
また、特許文献9では、異なる2種の強化材からなる予備成形体を隣接させて、高圧下にてアルミニウム等の溶融金属を含浸鋳造した一体構造の異種複合材料についての提案がされている。そして、炭化珪素粒子からなる予備成形体とグラファイト質からなる予備成形体を隣接させて、或いは、アルミナ粒子からなる予備成形体とカーボン繊維からなる予備成形体を隣接させて、高圧下でマトリックスとなる溶融金属を含浸鋳造した一体構造の異種複合材料が記載されている。そして、特許文献9には、強化材がセラミックス質ならば、シリカゾルやアルミナゾルなどの無機質バインダーを添加して成形したものでも利用できるとしたことが記載されている。
特許第3673436号公報 特許第3351778号公報 特開2004-209610号公報 特許第4441768号公報 特許第6722089号公報 特許第5208616号公報 特許第5368766号公報 特許第5061018号公報 特許第4384830号公報
上記したように、これまでにカーボングラファイト系材料とアルミニウム金属との複合材料についての種々の提案がされており、150W/m・K以上の高い熱伝導率を実現した複合材料が得られている(特許文献1参照)。しかしながら、先に挙げた従来技術(特許文献5等参照)に記載されているように、カーボングラファイト系材料とアルミニウム金属との複合材料において、複合体の脆弱性が改善され、すなわち高い強度を有し、しかも高い好適な熱伝導度を実現した材料の提供が求められており、種々の検討がされているが、上記した点については未だ解決したとは言い難い状態にある。例えば、上記した点を解決したとする、コークス粉末とタールピッチを利用した特許文献5に記載の従来技術では、1000~1500℃での煩雑な一次焼成を複数回繰り返した後、更に、2500~3000℃で焼成する最終焼成を行って中間体の押出成形体を得る必要がある。このように、従来技術では、製造工程が複雑であることに加えて高い焼成温度を必要とするため、製造コストがかかり、実用化が困難であり、広範に利用できる技術とはなっていない。
従来技術におけるアルミニウム等との複合化材料に用いられている黒鉛粉末には、非晶質なものと、天然黒鉛粉末のような結晶構造を有するものが用いられており、下記のような違いがある。例えば、黒鉛粉末に、特許文献8の中で検討されているような結晶構造を有する鱗片状黒鉛粉末を用いた場合は、成形体の成形方向に対して垂直方向の熱伝導率が顕著に向上したアルミニウム-黒鉛-炭化珪素質複合体となるとされている。また、特許文献8の表中に記載がされているように、「コークス系炭素を黒鉛化した人造黒鉛粉末」のような非晶質の黒鉛粉末を用いた複合体の場合は、鱗片状黒鉛粉末を用いた複合体で実現されたような高い熱伝導率は得られていない。一方、鱗片状黒鉛粉末を用いた複合体の場合は、非晶質の黒鉛粉末を用いた複合体の場合のような高い強度を得ることができていない。
また、複合化材料に黒鉛粉末を用いた場合は、成型性に劣ることに加えて、アルミニウム金属等の溶湯を含浸させて複合化させる際に用いる成型体(プリフォーム)が、形状安定性に劣るものになるといった問題がある。本発明者らの検討によれば、複合化材料に黒鉛粉末を用いた場合は、複合化材料を用いてプレス成形して成型体を得た後の工程で、成型体の密度が元に戻るスプリングバックが発生しやすいため、スプリングバックの発生を抑制するための煩雑な工程が必要になり、未だ実用的な製造方法は得られていないといった工業上の重大な課題がある。例えば、従来技術の特許文献6~8の実施例では、黒鉛粉末を用いた材料を鉄製容器内に充填してプレス成形で成形体を作製し、そのスプリングバックを押さえるため、鉄製容器の上下の鉄板を溶接して蓋をすることで得られた成形体を鉄製容器内に保持した状態にして、高圧でアルミニウム合金の溶湯を含浸させて複合化を行っている。
更に、先に述べたように、近年使用されているSiCや窒化ガリウム等の半導体の下部に設置する、基板や放熱板の材料に適用可能な実用的な複合体材料として、90Mpa以上の実用的な曲げ強度を有し、且つ、XY方向又はZ方向のいずれかの熱膨張係数が6ppm/K以下であり、更に、XY方向又はZ方向のいずれかの熱伝導率が240W/m・K以上である、高強度、低熱膨張率及び高熱伝導度の全ての要件を満足する素材の開発が待望されるが、従来技術によっては、このような優れた素材は提供されていない。
最近、グラフェン、フラーレン、カーボンナノチューブ等のハイテクカーボンが注目されており、その高熱伝導性等の潜在的物性が注目されている。しかしながら、これらの材料は非常に微粉で取り扱いが難しく、その利用方法が未だ確立されていないのが現状である。一般的に、微粉の黒鉛粉末を利用して複合体材料を得る場合、タールピッチ等のバインダーを添加後、押し出し成型、CIP成型後、約3000℃で焼成して得た、空隙が5~35%のグラファイトブロックにアルミニウムの溶湯を含浸して製造することが行われている。しかし、この方法は、実際には、これらの空隙の一部がバインダー等で閉気孔になっているので、空隙全体に金属を含浸することは困難とされている。そのため、従来のカーボングラファイト系材料を利用した複合体材料は、グラファイト本来の強度が低いことと、複合体材料の組成における、アルミニウムやアルミニウム合金或いは銅等の金属の含浸量が低いので、強度が低く、その使用範囲は限られていた。
したがって、本発明の目的は、結晶性のカーボングラファイト系材料と、金属粉末材料及び/又はセラミックス粉末材料の混合粉末が、アルミニウム金属又はアルミニウム合金の溶湯で複合化されてなる、先に挙げた、高い強度、高い熱伝導度及び低い熱膨張率を併せ持つ、工業上広く利用可能な、極めて有用な、金属及び/又はセラミックス・グラファイト含有アルミニウム複合体材料を実現し、更に、この金属及び/又はセラミックス・グラファイト含有アルミニウム複合体材料を、煩雑な工程を必要とせずに簡便に安定に提供できる技術を開発することである。
上記の目的は、下記の本発明によって達成される。すなわち、本発明は、下記の金属及び/又はセラミックス・グラファイト含有アルミニウム複合体材料を提供する。
[1]非晶質でない結晶構造を有する天然黒鉛粉末又は人造黒鉛粉末からなるグラファイト粉末と、金属粉末及び/又はセラミックス粉末の少なくともいずれかを含む混合粉末とを有してなり、更にシリカ系の無機バインダーが添加されてなる空隙を有する成型体が、アルミニウム金属又はアルミニウム合金の溶湯で複合化されてなる金属及び/又はセラミックス・グラファイト含有アルミニウム複合体材料であって、
前記グラファイト粉末を40~80体積%の範囲内で含み、前記アルミニウム金属又はアルミニウム合金を13~50体積%の範囲内で含み、前記金属粉末及び/又は前記セラミックス粉末を合量で6~45体積%の範囲内で含み、これらの材料の全量を100体積%としてなり、且つ、その外側にSiOに換算して0.5~5体積%の前記シリカ系無機バインダーが添加されており、
その曲げ強度が90MPa以上であり、且つ、XY方向又はZ方向のいずれかの熱伝導率が240W/m・K以上であり、更に、XY方向又はZ方向のいずれかの熱膨張係数が6.0ppm/K以下であることを特徴とする金属及び/又はセラミックス・グラファイト含有アルミニウム複合体材料。
上記本発明の金属及び/又はセラミックス・グラファイト含有アルミニウム複合体材料の好ましい形態としては、下記の構成の発明が挙げられる。
[2]前記XY方向の熱伝導率が240W/m・K以上で、且つ、前記Z方向の熱伝導率が50W/m・K以上であり、前記XY方向の熱膨張係数が6ppm/K以下で、且つ、前記Z方向の熱膨張係数が19ppm/K以下である上記[1]に記載の金属及び/又はセラミックス・グラファイト含有アルミニウム複合体材料。
[3]前記XY方向の熱膨張係数が、3ppm/K以上、6ppm/K以下である上記[1]又は[2]に記載の金属及び/又はセラミックス・グラファイト含有アルミニウム複合体材料。
[4]前記シリカ系の無機バインダーが、コロイダルシリカ、エチルシリケート、水ガラス及びシリコーン樹脂からなる群から選ばれる少なくともいずれかを含む上記[1]~[3]のいずれかに記載の金属及び/又はセラミックス・グラファイト含有アルミニウム複合体材料。
[5]前記グラファイト粉末の平均粒子径が、3μm~300μmである上記[1]~[4]のいずれかに記載の金属及び/又はセラミックス・グラファイト含有アルミニウム複合体材料。
[6]前記非晶質でない結晶構造が、層状結晶、3次元グラファイト結晶、ダイヤモンド結晶及びフラーレン構造からなる群から選ばれるいずれかの結晶構造である上記[1]~[5]のいずれかに記載の金属及び/又はセラミックス・グラファイト含有アルミニウム複合体材料。
[7]前記金属粉末及び/又は前記セラミックス粉末の平均粒子径が、0.5~200μmである上記[1]~[6]のいずれかに記載の金属及び/又はセラミックス・グラファイト含有アルミニウム複合体材料。
[8]前記金属粉末が、ケイ素粉末、チタン粉末、銀粉末、銅粉末、鉄粉末、ステンレス及びアルミニウム粉末からなる群から選ばれるいずれかであり、前記セラミックス粉末が、アルミナ粉末、窒化ケイ素粉末、炭化ケイ素粉末及び窒化アルミニウム粉末からなる群から選ばれるいずれかである上記[1]~[7]のいずれかに記載の金属及び/又はセラミックス・グラファイト含有アルミニウム複合体材料。
本発明は、別の実施形態として、下記の金属及び/又はセラミックス・グラファイト含有アルミニウム複合体材料の製造方法を提供する。
[9]非晶質でない結晶構造を有する天然黒鉛粉末又は人造黒鉛粉末からなるグラファイト粉末を40~80体積%、金属粉末及び/又はセラミックス粉末を合量で6~45体積%、成形後の成型体の空隙が13~50体積%で合計100体積%になるように調整した原料の混合粉末100体積部に、シリカ系の無機バインダーをSiOに換算して0.5~5体積部となる範囲内で添加し、得られた材料で成型物を形成し、該成型物を100℃~1100℃の温度で加熱固化して複合化に用いるための前記空隙を有する成型体を作製する成型体の成型工程と、
該成型体の空隙に、アルミニウム金属又はアルミニウム合金の溶湯を、20~200MPaの圧力で含浸或いは圧入させて複合化する複合化工程とを有し、
その曲げ強度が90MPa以上であり、且つ、XY方向又はZ方向のいずれかの熱伝導率が240W/m・K以上であり、更に、XY方向又はZ方向のいずれかの熱膨張係数が6.0ppm/K以下である複合体材料を製造することを特徴とする金属及び/又はセラミックス・グラファイト含有アルミニウム複合体材料の製造方法。
上記本発明の金属及び/又はセラミックス・グラファイト含有アルミニウム複合体材料の製造方法の好ましい形態としては、下記の構成の発明が挙げられる。
[10]前記シリカ系の無機バインダーが、コロイダルシリカ、エチルシリケート、水ガラス及びシリコーン樹脂からなる群から選ばれる少なくともいずれかを含む上記[9]に記載の金属及び/又はセラミックス・グラファイト含有アルミニウム複合体材料の製造方法。
[11]前記成型体の成型工程で行う方法が、プレス成型、加圧フィルタープレス、圧延ロール成型、CIP成型、沈降法及び鋳込み成型からなる群から選ばれる少なくともいずれかである上記[9]又は[10]に記載の金属及び/又はセラミックス・グラファイト含有アルミニウム複合体材料の製造方法。
本発明によれば、金属及び/又はセラミックスの粉末及び結晶構造を有するカーボングラファイト系粉末の混合材料と、金属材料であるアルミニウム金属又はアルミニウム合金(以下、「アルミニウム金属等」とも呼ぶ)のアルミニウム材料とを複合化させた、高い強度と高い熱伝導性、低熱膨張率とを併せ持つ、工業上広く利用可能な、極めて有用な金属及び/又はセラミックス・グラファイト含有アルミニウム複合体材料が提供される。本発明によれば、上記優れた特性の金属及び/又はセラミックス・グラファイト含有アルミニウム複合体材料(以下、単に「グラファイト系複合体材料」とも呼ぶ)を、従来技術のような高温での繰り返しの焼成を必要とせずに、また、成形体の形態を保持するための操作を必要とすることなく、簡便な方法で安定して製造することができるので、上記優れた特性のグラファイト系複合体材料の広範な利用が可能になる。
本発明は、高い強度と高い熱伝導性、低熱膨張率とを併せ持つ優れた特性を有するグラファイト系複合体材料を実現することを目的としたものであり、下記のように製造することで実現できる。まず、単味でも高熱伝導性を発揮する結晶構造を有する天然黒鉛粉末又は人造黒鉛粉末に、炭化ケイ素やアルミナ等に代表されるセラミックス粉末、及び/又は、ケイ素粉末やチタン粉末等の金属粉末を加え、更に、コロイダルシリカ、エチルシリケートに代表されるシリカ系の無機バインダーを加えた材料からなる成型体(プリフォーム)に、アルミニウム金属等の溶湯を含浸或いは圧入させて複合化させることで、簡便な方法で目的とする優れた特性のグラファイト系複合体材料とできることを見出した。
本発明の技術的特徴は、プレス成型に代表される圧力を加える成型方法でも難しかったカーボングラファイト系素材を用いた場合の成型体の作製を、成型体の調製の際に用いる原料の混合粉末中にシリカ系の無機バインダーを添加することで解決して、良好な状態の成型体(プリフォーム)の作製、更には、成型体とアルミニウム金属等との良好な複合化を実現した点にある。例えば、本発明によれば、成型体の調製用原料に、シリカ系の無機バインダーを含有させたことで、プレス成型等の方法によって室温で形成した成型物の強度を高くできるので、その後に生じるスプリングバックが抑制された強固な成型体を得ることができる。そして、成型体の調製の際に用いる原料の混合粉末中にシリカ系の無機バインダーを添加することで、下記の効果の実現が可能になる。まず、約700℃のアルミニウム金属等の溶湯を成型体に含浸させ、アルミニウム金属等の圧入によって生じる成型体の変形の抑制が実現されるだけでなく、成型体内部において、結晶構造を有するグラファイト系材料と、添加した金属及び/又はセラミックス粉末材料との密着が強固に保たれる。そして、このような状態で、成型体にアルミニウム金属等を含浸・圧入させて複合化することができたことで、本発明が目的とする、高強度、高熱伝導度及び低熱膨張率の全ての特性を満足したグラファイト系複合体の実現が可能になる。
以下、好ましい実施の形態を挙げて本発明を詳細に説明する。先に述べたように、従来技術で、カーボングラファイト系材料、セラミックス系材料に、金属材料、特にアルミニウム材料の溶湯を高圧で含浸させる方法が種々提案されている。しかしながら、未だ完成した技術とは言い難く、次のような問題点が指摘されている。
カーボングラファイト系材料にアルミニウム金属等の金属溶湯を含浸してなる従来の複合体材料は、強度が低く、特に曲げ強さが15~30MPaと低いため、強度が必要な機械部品や、熱伝導度が必要なヒートシンクや、放熱板等の機能性部品とした場合に、製品の強度が不十分であるという課題があった。本発明者らの検討によれば、この理由は、下記のことに起因する。複合体の作製材料に用いるカーボングラファイト系材料の強度が本来低いことに加えて、これらの材料に、アルミニウム金属等の溶湯や、銅金属の溶湯を含浸させて複合化させても、その含浸量が、例えば、全体の20%前後と低いことによると考えられる。すなわち、先に述べたように、カーボングラファイト材料に、タールピッチのようなカーボンを生成するバインダーを用いた材料で成型物を形成して、その後に焼成して作製された成型体には閉気孔が発生しやすく、金属の溶湯を含浸させた場合に、該閉気孔には金属が良好な状態に含浸されないので上記したように含浸量が少なくなり、金属含浸による強度増加が十分に得られないことによる。
上記に対し、先述したように、コークス系炭素を人工的に黒鉛化した非晶質の人工黒鉛粉末に、炭化珪素粉末、必要に応じて窒化硼素粉末を混合した材料からなる成形体に、アルミニウム合金を含浸させてなる特性に優れたアルミニウム-セラミックス複合体が提案されている(特許文献6~8参照)。しかしながら、従来技術において、近年のパワーモジュール用ベース又は放熱板に適した、90Mpa以上の実用的な曲げ強度を有する、より高強度で高熱伝導度であることに加えて、特に低熱膨張率を示す、具体的には熱膨張率が6ppm/K以下である、単一材料や複合体材料は知られていない。
本発明者らは、上記した従来技術の課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明の金属及び/又はセラミックス・グラファイト含有アルミニウム複合体材料(グラファイト系複合体材料)を見出すに至った。具体的には、カーボングラファイト系粉末材料とアルミニウム金属等との複合体において、非晶質でない結晶性の高いグラファイト粉末、金属粉末及び/又はセラミックス粉末の少なくともいずれかを利用して強度を強化することにより、実用化にとって重要な特性である「易成型性」を具備しながら、本発明が目的とする高いレベルの、高強度、高熱伝導度及び低熱膨張率のグラファイト系複合体材料の実現ができ、しかも、該複合体材料を簡便に低コストで製造することができる製造方法を見出して、本発明を達成した。
本発明の金属及び/又はセラミックス・グラファイト含有アルミニウム複合体材料(グラファイト系複合体材料)は、非晶質でない結晶構造を有するグラファイト粉末と、金属粉末及び/又はセラミックス粉末の少なくともいずれかを含む混合粉末からなり、且つ、シリカ系の無機バインダーが添加されてなる空隙を有する成型体が、アルミニウム金属等の溶湯で複合化されてなるものである。本発明を特徴づける成型体は、前記混合粉末100体積部(空隙を含む)に、シリカ系の無機バインダーが0.5~5体積部の範囲内で添加されてなる材料で形成されてなる。本発明のグラファイト系複合体材料は、前記グラファイト粉末を40~80体積%の範囲内で含み、前記アルミニウム金属等を13~50体積%の範囲内で含み、前記金属粉末及び/又は前記セラミックス粉末を6~45体積%の範囲内で含み、上記した材料の全量を100体積%としてなり、且つ、その外側に、更に前記シリカ系の無機バインダーをSiOに換算して0.5~5体積%で添加してなる材料構成を有するものである。上記した材料構成からなる本発明のグラファイト系複合体材料は、その曲げ強度が90Mpa以上であり、且つ、XY方向又はZ方向のいずれかの熱伝導率が240W/m・K以上であり、更に、XY方向又はZ方向のいずれかの熱膨張係数が6.0ppm/K以下である優れた特性を示すことを特徴とする。
本発明のグラファイト系複合体材料の好ましい特性のものとしては、その曲げ強度が90MPa以上であり、且つ、前記XY方向の熱伝導率が240W/m・K以上で、且つ、前記Z方向の熱伝導率が50W/m・K以上であり、前記XY方向の熱膨張係数が6ppm/K以下で、且つ、前記Z方向の熱膨張係数が19ppm/K以下であるものが挙げられる。中でも、XY方向の熱膨張係数が、3ppm/K以上、6ppm/K以下であるものがより好ましい。
以下、本発明のグラファイト系複合体材料を構成する各材料について説明する。
(1)グラファイト粉末
本発明のグラファイト系複合体材料を構成するグラファイト粉末は、非晶質でない結晶構造を有する天然黒鉛粉末又は人造黒鉛粉末であればよいが、結晶性の高い粉末であることが好ましい。一方、非晶質な天然黒鉛粉末や人造黒鉛粉末は、熱膨張率が大きく、熱伝導度も低いため、本発明を構成するグラファイト粉末として用いることができない。本発明を構成する具体的なグラファイト粉末の好適なものとしては、下記の構造を有するものが挙げられる。分子構造が、2次元網目構造が重なった層状構造を持つ天然黒鉛粉末又は人造黒鉛粉末、3次元網目構造を持つ、ダイヤモンド粉末や人造グラファイト結晶粉末、らせん状筒状に連なった人造の結晶性ナノカーボン等が挙げられる。結晶性の高いグラファイト粉末はそれぞれ、層状結晶の場合は層状方向の、ダイヤモンド粉末の場合は3次元方向の、ナノカーボンの場合は成長方向の、熱伝導性が高く、熱膨張率が小さいので、本発明のグラファイト系複合体材料に好適に使用できる。
より具体的には、本発明のグラファイト系複合体材料を構成するグラファイト粉末には、非晶質の材料でなく、下記に挙げるような結晶性のグラファイト粉末をいずれも使用することができる。例えば、層状構造を持つカーボンにタールピッチ等を添加し、約3000℃以上で焼成し粉砕した人造グラファイト粉末や、天然の層状グラファイト粉末、ダイヤモンド構造を持つ天然又は人造ダイヤモンド粉末や、超微粉でも予め成型焼成し、取り扱いがし易い粉末に凝集させたナノカーボン凝集体も使用できる。本発明者らの検討によれば、上記に対して、コークス粉に、タールピッチ等の有機バイダーを混合して成形し、2000℃から2500℃で焼成してなる材料は、カーボンが完全に層状結晶構造をしておらず、熱膨張率が大きく、熱伝導度が低いので、本発明を構成するグラファイト粉末には使用できない。カーボンブラックやタール、或いは、有機樹脂を低温で焼成して得た非晶質のカーボンは、強度が低く、且つ、熱伝導度が低く、熱膨張率が大きいので、これらを利用しても、本発明が目的とする、高強度で高熱伝導度、更に低熱膨張率を有するグラファイト系複合体材料を得ることはできない。
また、本発明のグラファイト系複合体材料を構成する結晶構造を有する天然黒鉛粉末としては、層状結晶構造をした鱗状黒鉛、球状黒鉛が望ましい。一方、層状結晶構造を有していない塊状天然黒鉛は、熱伝導度が低く、低熱膨張率のものでもないので、本発明のグラファイト系複合体材料の素材には使用できない。
本発明を構成する上記に列挙したような非晶質でない結晶構造を有するグラファイト粉末は、その平均粒子径が3μm~300μmであることが好ましい。天然黒鉛粉末又は人造黒鉛粉末からなるグラフファイト粉末が、本発明のグラファイト系複合体材料の原料とできる結晶構造を有するものであるか否かは、X線回折で容易に調べることができる。通常、回折角2θが24~28°で鋭いピークが現れる。本発明者らの検討によれば、平均粒子径が3μm未満のものでは、粒子が細かすぎて成型がしにくくなることに加えて、粒子界面が広くなり、本発明のグラファイト系複合体材料の熱伝導度が低くなるので好ましくない。一方、平均粒子径が300μm超であると、プレス等による成型が困難になるので成型性の点で好ましくない。本発明者らの検討によれば、本発明を構成するグラファイト粉末のより好ましい範囲は、平均粒子径が5μm~250μmのものであり、更に好ましくは、平均粒子径が10μm~200μmのものを使用するとよい。上記範囲にすれば、本発明で目的とする、高強度で、且つ、高熱伝導度、更に低熱膨張率である優れた特性に加えて、簡便で安定した成型が可能な、工業的な利用価値がより高いグラファイト系複合体材料の提供が可能になる。なお、本発明において使用する粉末の平均粒子径は、いずれも、レーザー回折法による測定値である。
(2)金属粉末、セラミックス粉末
本発明のグラファイト系複合体材料を構成する金属粉末及びセラミックス粉末は、特に限定されないが、後述するように、平均粒子径が0.5μm~200μmであるものが好ましい。金属粉末としては、例えば、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、銀(Ag)、チタン(Ti)、銅(Cu)、鉄(Fe)及びステンレス(SUS)等の、約500℃以上の融点を有する金属粉末を用いることができる。中でも、ケイ素(Si)、チタン(Ti)、銀(Ag)及び銅(Cu)等の金属粉末を用いることが好ましい。また、セラミックス粉末としては、例えば、アルミナ、シリカ等の酸化物、炭化ホウ素(BC)、炭化ケイ素(SiC)、炭化チタン(TiC)等の炭化物、窒化ケイ素、窒化アルミニウム(AlN)等の窒化物から選ばれる粉末を適宜に利用することができる。
本発明を構成する上記に挙げたような金属粉末、セラミックス粉末の粒度は、平均粒子径が0.5~200μmであるものが好ましい。本発明者らの検討によれば、平均粒子径が0.5μm未満では細かすぎて凝集しやすくなり、併用するグラファイト粉末と均一に混合できなくなるおそれがある。一方、平均粒子径が200μm超の粉末を使用した場合は、粒子径が大きすぎて成型が難しくなり、成型性に劣ることに加えて、高強度な複合体を得ることが難しくなるので好ましくない。本発明者らの検討によれば、本発明を構成する金属粉末、セラミックス粉末のより好ましい範囲は、平均粒子径が2~150μmのもの、更に好ましくは、平均粒子径が3~100μmのものを使用するとよい。
(3)シリカ系の無機バインダー
本発明のグラファイト系複合体材料を構成するシリカ系の無機バインダーとしては、例えば、コロイダルシリカ、エチルシリケート、水ガラス及びシリコーン樹脂等を用いることができる。また、シリカ系の無機バインダーは、先述した成型体の原料とするグラファイト粉末と、金属粉末及び/又はセラミックス粉末の少なくともいずれかを含む混合粉末100体積部(空隙を含む)に、SiOに換算して0.5~5体積%の範囲内となるようにして外添加して成型体の調製に使用する。望ましくは、体積基準で、前記混合粉末100体積部に対して、1%以上5%以下程度の量を外添加することが好ましい。本発明者らの検討によれば、シリカ系の無機バインダーは、前記混合粉末からなる成型体を調製する際における、成型物の成型性の向上、及び、成型物の加熱固化(焼成)後における成型体の形状を保つのに必要である。すなわち、本発明のグラファイト系複合体材料を構成する結晶構造を有するグラファイト粉末は、先に述べたように、層状や、3次元網目構造をしているので、成型体の成型工程で成形する際に、成型体を元に戻す力、いわゆるスプリングバックが大きいので、成型体の形状を焼成後も保つためにシリカ系の無機バインダーの添加が必要になる。一方、有機バインダーは、プレス成型等を行う場合における成形時補助材として利用できるが、成型体(プリフォーム)を得る際に行う仮焼で消失するので、仮焼後の成型体の形状維持には利用することができない。これに対し、本発明によれば、成型性に劣る結晶構造を有する天然黒鉛粉末又は人造黒鉛粉末からなるグラファイト粉末を用いるものでありながら、成型物の形成材料中にシリカ系の無機バインダーを添加することで、本発明が目的とする従来技術では実現できていなかった高いレベルでの、高強度、高熱伝導度及び低熱膨張率を併せ持つ、工業上広く利用可能な、極めて有用なグラファイト系複合体材料の提供が実現できる。
(4)グラファイト系複合体材料における組成
本発明のグラファイト系複合体材料は、先に挙げたような結晶構造を有する結晶性の高いグラファイト粉末と、金属粉末及び/又はセラミックス粉末の少なくともいずれかを含む混合粉末、該混合粉末100体積部(空隙を含む)にシリカ系の無機バインダーが、0.5~5体積部の範囲内で外添加された材料からなる空隙を有する成型体が、アルミニウム金属等の溶湯で複合化されてなることを特徴とする。そして、本発明のグラファイト系複合体材料は、グラファイト粉末を40~80体積%の範囲内で含み、アルミニウム金属等を13~50体積%の範囲内で含み、金属粉末及び/又は前記セラミックス粉末を合量で6~45体積%の範囲内で含み、これらの材料の全量を100体積%とし、更に、外側に、前記シリカ系無機バインダーが、SiOに換算して0.5~5体積%の範囲内で添加されてなる組成を有することを特徴とする。
本発明者らの検討によれば、金属及び/又はセラミックス・グラファイト含有アルミニウム複合体材料の組成において、グラファイト粉末が40体積%未満であると、グラファイト粉末の量が少なすぎるので、複合体材料の熱伝導度が低くなり、本発明が目的としている高い熱伝導度の材料が得られない。一方、80体積%よりも多いと、複合体材料の強度が低くなる。このため、本発明のグラファイト系複合体材料は、グラファイト粉末を40~80体積%の範囲内で含むことを必要とする。また、本発明者らの検討によれば、金属粉末及び/又はセラミックス粉末の合量が、6体積%未満では、複合体材料において本発明が目的の一つとしている、曲げ強度が90MPa以上であるとした強度向上の効果が得られない。一方、金属粉末及び/又はセラミックス粉末の合量が45体積%を超えると、複合体材料の熱伝導度が低くなる場合がある。これらの理由で、本発明のグラファイト系複合体材料は、金属粉末及び/又はセラミックス粉末を合量で6~45体積%の範囲内で含むことを必要とする。
<本発明のグラファイト系複合体材料の製造方法>
次に、本発明のグラファイト系複合体材料の製造方法について説明する。本発明の製造方法によれば、先に述べた本発明の優れたグラファイト系複合体材料を簡便に得ることができる。本発明の製造方法では、下記の成型体の成型工程と、複合化工程とを有することを特徴とする。成型体の成型工程では、複合化する際に用いる成型体が、グラファイト粉末を40~80体積%、金属粉末及び/又はセラミックス粉末を合量で6~45体積%、成形後の空隙が13~50体積%、合計100体積%になるように調整された原料の混合粉末100体積部(空隙を含む)に、シリカ系無機バインダーを0.5~5体積部の範囲内で添加し、得られた混合材料で成型物を形成して、該成型物を100℃~1100℃の温度で加熱固化して、複合化に用いるための空隙を有する成型体を作製する。上記の加熱固化する際に、使用するグラファイト粉末の酸化防止のため、必要に応じて窒素又は不活性雰囲気中で加熱固化することが好ましい。
次の複合化工程では、上記成型体の成型工程で得られた成型体の空隙に、アルミニウム金属等の溶湯を、20~200MPaの圧力で含浸或いは圧入させて成型体とアルミニウム金属等とを複合化させる。この結果、前記グラファイト粉末を40~80体積%の範囲内で含み、前記アルミニウム金属等を13~50体積%で含み、前記金属粉末及び/又は前記セラミックス粉末を合量で6~45体積%の範囲内で含み、これらの材料の全量を100体積%とし、且つ、外側に、SiOに換算して0.5~5体積%の前記シリカ系無機バインダーが添加して構成されてなる、その曲げ強度が90MPa以上で、XY方向又はZ方向のいずれかの熱伝導率が240W/m・K以上であり、更に、XY方向又はZ方向のいずれかの熱膨張係数が6.0ppm/K以下である、優れた特性のグラファイト系複合体材料が簡便に得られる。
以下、本発明のグラファイト系複合体材料の製造方法の各工程について詳述する。
(1)成型体(プリフォーム)の成型工程
上記したように、本発明の製造方法では、まず、最終的に得られるグラファイト系複合体材料が、グラファイト粉末を40~80体積%の範囲内、金属粉末及び/又はセラミックス粉末を合量で6~45体積%の範囲内の組成となるように、適宜な量に調整して配合して混合し、この原料となる混合粉末材料と空隙の合計100体積部に対して、シリカ系の無機バインダーを0.5~5体積部の範囲内で外添加し、得られた材料を用いて成型体とするための成型物を形成する。次に、得られた成型物を100℃~1100℃の温度で加熱して固化し、複合化に用いるための成型体(プリフォーム)を作製する。加熱固化する前の成型物を形成する方法としては特に限定されず、例えば、プレス成型、加圧フィルタープレス、圧延ロール成型CIP成型及び沈降法等の圧縮成型の方法や、石膏型への鋳込み成型等の種々の方法を用いることができる。
上記に挙げたような方法で行う圧縮成型の成型圧をコントロールすることで、複合化する前の成型体の空隙率をコントロールすることができる。例えば、通常のプレス成型では空隙が15~50体積%の成型体が得られる。したがって、本発明の製造方法によれば、空隙以外の50~85体積%の中で、グラファイト粉末と、金属粉末及び/又はセラミックス粉末の配合ができるので、材料設計がやり易いという利点がある。また、本発明の製造方法によれば、上記成型体の成型工程で、最終的なグラファイト系複合体材料が、本発明が目的としている所望する高い強度と、高い熱伝導度と、低い熱膨張係数が得られるように、成型体の材料である、グラファイト粉末と、金属粉末及び/又はセラミックス粉末の使用割合を適正化することが容易にできる。更に、本発明の製造方法で使用するシリカ系の無機バインダーの種類や量、圧縮成型の成型圧をコントロールすることで、後述する次の複合化工程で、アルミニウム金属等の溶湯を含浸させて複合化して得られる複合体材料のアルミニウム部となる、成型体(プリフォーム)における空隙の量を容易に適正化することができる。
本発明の製造方法を構成する複合化に用いるための成型体(プリフォーム)の成型工程では、先に述べたように、原料である、グラファイト粉末と、金属粉末及び/又はセラミックス粉末の混合粉末及びその空隙の合計100体積部に対して、外側にシリカ系の無機バインダーをSiOに換算して0.5~5体積部の範囲内で添加し、得られた材料で成型物を形成することを特徴とする。この際に使用するバインダーには、シリカ系の無機バインダーを用いることを要する。シリカ系の無機バインダーとしては、例えば、コロイダルシリカ、エチルシリケート、シリコーン樹脂及びケイ酸ソーダからなる水ガラス等が挙げられ、いずれも好適に使用できる。本発明の製造方法で用いるシリカ系の無機バインダーの添加量は、原料である混合粉末及びその空隙の合計100体積部に対して、SiOに換算して0.5~5体積部となる程度である。望ましくは、体積基準で、1.0%以上5%以下となる量を添加する。本発明者らの検討によれば、0.5体積部よりも少ないと、無機バインダーを添加したことによる効果が十分に得られない。また、5体積部超の量を添加させると、相対的にグラファイトその他原料の配合割合が少なくなり、熱伝導が損なわれる恐れがある。
本発明者らの検討によれば、シリカ系の無機バインダーの添加は、混合粉末材料を用いて行う成型物の良好な成形のために、更には、得られた成型物を加熱固化(焼成)した後の成型体の形状を保つために必要である。本発明の製造方法で得たグラファイト系複合体材料を構成する結晶構造を有するグラファイト粉末は、層状や、3次元網目構造をしているので、特に圧縮成型の方法を用いて成型物を形成した場合は、成形物や成型体を元に戻す力、いわゆるスプリングバックが大きい。したがって、本発明で規定する成型体の作製材料にシリカ系の無機バインダーを添加することは、成型体の形状を、前記した成型体の成型工程で得られる成型物についても、更には、該成型物の加熱固化後の成型体も良好な状態に保つための重要な要件となる。
本発明のグラファイト系複合体材料の製造方法では、無機バインダーの添加の際に、有機バインダーを併用することもできる。この場合、有機バインダーの添加量は、5質量部以下とすることが望ましい。有機バインダーには、例えば、タールピッチや、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂等を用いることができる。有機バインダーは、プレス成型等の成形時の補助材として添加できるが、仮焼で消失してしまうので、仮焼後の成型体の形状維持を重要な課題としている本発明の製造方法では、無機バインダーの使用が必要である。
本発明の製造方法では、上記で説明した成型体の製造用の各材料を、慣用の混合機で混合撹拌した後、先に述べたように、例えば、プレス成型、加圧フィルタープレス、圧延ロール成型或いはCIP成型等の成型機で、加圧成型する。成型圧により成型体の密度、それに伴う空隙も異なるが、例えば、10MPa(100kgf/cm)~200Mpa(2000kgf/cm)の圧力をかけてプレス成形やCIP成形などを行う。具体的には、例えば、60mmφのプレス型では加重28kN~560kNの加重となる。このようにすることで、13~50体積%の空隙を有した良好な状態の成型物が製造できる。先に述べたように、この空隙は、次の工程で形成されることになるアルミニウム金属等の含浸部に相当するので、成型圧力の制御は、所望のアルミニウム金属等の含浸率を得るために重要である。上記のようにして成型した成型物は、100~1100℃の温度で、空気中或いは必要に応じて窒素やアルゴン等の不活性雰囲気中で加熱固化して、次の複合化する工程で、アルミニウム金属等の溶湯の高圧含浸に供される良好な状態の成型体(プリフォーム)になる。
(2)グラファイト系複合体材料の作製(複合化)工程
本発明の製造方法では、以上のようにして作製された13~50体積%の空隙を有する成型体(プリフォーム)に、アルミニウム金属等の溶湯を含浸させて、前記空隙にアルミニウム金属等の溶湯を充填し、その後に固化させて複合化して、本発明のグラファイト系複合体材料を得る。前記成型体の空隙にアルミニウム金属等の溶湯を含浸させる方法は特に限定されず、例えば、スクイーズキャスト、ダイキャスト又は高圧プレス機による高圧含浸の方法などを用いることができる。その際の含浸圧力は、先に述べたようにして作製した成型体(プリフォーム)の密度、その空隙率、成型体の作製に使用した、グラファイト粉末、金属粉末及び/又はセラミックス粉末の粒度によっても異なるが、本発明者らの検討によれば、20~200MPa、更には30~200MPaの範囲が適当である。20MPa未満では含浸圧力が低く、アルミニウム金属等の含浸が十分でない場合があるので好ましくない。一方、200MPa超でもアルミニウム金属等の含浸は完結するが、消費エネルギーや金型の寿命等を考慮すれば、200MPa以下の含浸圧力で十分である。
以下、本発明を実施例及び比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例中の「%」とあるのは、特に断らない限り体積%基準であり、「部」とあるのは、特に断らない限り体積基準である。体積%は、使用した原料粉末の配合の質量比率と、グラファイト等の各材料の比重と、形成される成型体が有する所望の空隙量から算出される。シリカ無機バインダーの量は、特に断らない限り、主原料である本発明で規定する混合粉末とアルミニウム金属等(成型体の空隙に含浸する)の全量を100体積%とした、外側の体積%である。実施例及び比較例のそれぞれのグラファイト含有アルミニウム複合体材料についての、組成及び特性値を表1-1及び表1-2にまとめて示した。
[実施例1]
本例では、グラファイト粉末として、日本黒鉛工業社製の人造黒鉛CGB-90(商品名、平均粒子径90μm)、人造黒鉛CGB-8R(商品名、平均粒子径8μm)の2種類の人造黒鉛を混合して用いた。これらの人造黒鉛について、X線回折測定で結晶構造を確認したところ、いずれも層状グラファイト結晶を有していた。
具体的には、グラファイト粉末として、それぞれ質量基準で、平均粒子径が8μmの人造黒鉛を30部、平均粒子径が90μmの人造黒鉛を70部の量で配合して混合して用いた。そして、上記配合の2種類のグラファイト100部(比重:2.2)と、セラミックス粉末として平均粒子径が4μmのSiC粉末を43部(比重:3.2)に、SiO換算で1.2体積%に相当する外側の添加量になるようにエチルシリケート溶液を無機バインダーとして加え、混合機で十分混合した。この混合物を60mmφの金型に入れて、80kgf/cmの荷重でプレス成型を行い、400℃の空気雰囲気で1時間焼成(仮焼)して、空隙が22%の成型体(プリフォーム)を得た。
上記で得た空隙を有する成型体を500℃に加熱してプレス機に装填し、730℃のAC3Aのアルミニウム合金の溶湯を、50MPaの圧力で、高圧プレス機で高圧含浸させて、成型体の空隙がアルミニウム合金で含浸してなる本例の複合体材料を得た。表1に示したように、上記複合化工程で得られたセラミックス・グラファイト含有アルミニウム複合体材料の組成は、体積比率で、グラファイトが60%、SiCが18%、アルミニウム合金が22%の合計100%であり、且つ、その外側に無機バインダーがSiO換算で1.2%有するものであった。
上記で得られた本例の複合体材料は、その曲げ強度が120MPaであり、且つ、その熱伝導度が、XY方向が390W/m・K、Z方向が80W/m・Kで、平均が235W/m・Kである、高強度で高熱伝導性の複合体材料であった。また、その熱膨張係数は、XY方向が5.5ppm/Kで、Z方向が13.5ppm/Kであり、平均が9.5ppm/Kであった。得られた結果を表1-2にまとめて示した。このことから、上記構成の複合体材料(素材)は、高強度、高熱伝導度、低熱膨張率の素材であり、例えば、パワーモジュールベースや、放熱板などに好適に利用できることが分かった。特に、本例の複合体材料(素材)は、上記したようにXY方向の熱膨張係数が小さいので、熱膨張率が低い、シリコン半導体素子用ベース、炭化けい素半導体素子用ベース、窒化ガリウム半導体素子用ベース等に使用できる可能性がある。
上記した複合体材料の曲げ強度は、JIS R 1601に準拠して、3×4×40mmの試験片を作製し、3点曲げ試験とすることで測定した。また、熱伝導率は、10mmφ、厚み2mmの試験片を作製し、レーザーフラッシュ法で測定した。熱伝導率の測定に用いたレーザーフラッシュ法については、セラミックスに対しての規定のJIS R 1611を参照して測定した。熱膨張係数は、押し棒式熱膨張計TMA-60(商品名、島津製作所社製)で測定した。
[実施例2~4]
実施例1で使用したと同様の構成の平均粒子径が異なる2種類を混合したグラファイト粉末に、表1-1に示したように、SiC粉末(平均粒子径:4μm)又はAlN粉末(平均粒子径:3μm、比重:3.3)又はアルミナ粉末(平均粒子径:5μm、比重:4.0)のいずれかのセラミックス粉末を、それぞれ所望量添加し、実施例1で行ったと同様の方法で空隙を有する成型体(プリフォーム)をそれぞれ作製した。得られた成型体(プリフォーム)は、それぞれ15%、22%、25%の空隙を有する良好な状態のものであった。次に、上記で得られた空隙を有する成型体に、実施例1と同じプレス機を用いた複合化工程で、実施例1で用いたと同様のAC3Aアルミニウム合金の溶湯を含浸させて、実施例2~4のセラミックス・グラファイト含有アルミニウム複合体材料を作製した。表1-1に、得られた各複合体材料の材料組成と、測定した曲げ強度の結果を示した。
また、得られたセラミックス・グラファイト含有アルミニウム複合体材料のそれぞれについて、実施例1で行ったと同様の方法で同様の評価試験をして、得られた評価結果を表1-2にまとめて示した。実施例2~4のグラファイト系複合体材料は、表1-2に示したように、いずれも、曲げ強度が90MPa以上で高強度を示し、XY方向の熱膨張係数が6ppm/K以下であり、且つ、XY方向の熱伝導率が240W/m・K以上であり、本発明が目的とする、高強度、高熱伝導率及び低熱膨張係数を示す材料であることが確認された。
[実施例5]
本例では、グラファイト粉末として、層状結晶構造を持つ天然黒鉛粉末である日本黒鉛工業社製のF#2(商品名、平均粒子径130μm)を用いた。そして、この天然黒鉛粉末100部に、金属粉末として平均粒子径45μmのSi粉末27部(比重:2.3)と、無機バインダーとして、SiO換算で1.5%に相当する量のエチルシリケート溶液を加えて、実施例1と同様の方法で、22%の空隙を有する良好な状態の成型体(プリフォーム)を作製した。そして、得られた成型体に、実施例1と同じ方法及び材料でアルミニウム合金の溶湯を高圧プレス機で含浸して、グラファイト62%、Si粉末16%、アルミニウム合金22%の合計100体積%で、且つ、その外側に無機バインダーがSiO換算で1.5%有する組成の、Si金属・グラファイト含有アルミニウム複合体材料を得た。
上記のようにして得たSi金属・グラファイト含有アルミニウム含有複合体について、実施例1で行ったと同様の方法で同様の評価試験を行い、得られた評価結果を表1-2に示した。表1-2に示したように、本例のグラファイト系複合体材料は、曲げ強さは95MPaで高強度であり、また、熱伝導度は、XY方向が394W/m・K、Z方向が70W/m・Kであり、平均熱伝導度は232W/m・Kであった。また、熱膨張係数は、XY方向が3.6ppm/K、Z方向が16.7ppm/Kであり、平均で10.2ppm/Kであった。このように本例の複合体材料は、高強度及び高熱伝導度、更に低熱膨張率を示す、Si金属・グラファイト含有アルミニウム複合体材料であった。特に、XY方向の熱膨張係数が3.6ppm/Kと低く、良好な低熱膨張率を示すことが確認された。
[実施例6]
本例では、グラファイト粉末として、実施例5で使用したと同様の天然黒鉛粉末を用いた。そして、この天然黒鉛粉末100部に、金属粉末として、平均粒子径が55μmのチタン粉末50部(比重:4.5)を加え、実施例1と同じ方法で、21%の空隙を有する良好な状態の成型体(プリフォーム)を作製した。そして、得られた成型体に実施例1と同じ方法及び材料で、アルミニウム合金の溶湯を高圧プレス機で含浸して、グラファイト59%、チタン20%、アルミニウム合金21%の、合計100%で、且つ、その外側に無機バインダーをSiO換算で1.2%有する組成の、本例のチタン金属・グラファイト含有アルミニウム複合体材料を得た。
上記のようにして得られたチタン金属・グラファイト含有アルミニウム複合体材料について、実施例1で行ったと同様の方法で同様の評価試験を行い、得られた評価結果を表1-2に示した。表1-2に示したように、上記で得た複合体材料は、曲げ強さは130MPaで高強度であり、熱伝導度は、XY方向が265W/m・Kで、Z方向が114W/m・Kであり、平均熱伝導度は189W/m・Kであった。また、熱膨張係数は、XY方向が4.6ppm/K、Z方向が16.0ppm/Kであり、平均で10.3ppm/Kであった。このように、本例の複合体材料は、高強度、高熱伝導度及び低熱膨張率を示す、チタン金属・グラファイト含有アルミニウム複合体材料であった。
[実施例7]
実施例1で使用したと同様の材料を同様な割合で混合した混合材料を真空袋に入れ、吸引後、200kgf/cmの圧力でCIP成形(冷間等方圧プレス)を行って、密度が均一で方向性の少ない、19%の空隙を有する良好な状態の成型体(プリフォーム)を得た。得られた成型体に、実施例1で使用したと同様の高圧プレス機で、50MPaの圧力で、実施例1で使用したと同様のアルミニウム合金の溶湯を高圧含浸させてセラミックス・グラファイト含有アルミニウム複合体材料を得た。該複合体材料は、グラファイトが62%、SiCが19%、アルミニウム合金が19%の、合計100%で、且つ、その外側に無機バインダーをSiO換算で1.5%有する組成のものであった。
上記のようにして得られたセラミックス・グラファイト含有アルミニウム複合体材料について、実施例1で行ったと同様の方法で同様の評価試験を行い、得られた評価結果を表1-2に示した。上記で得た複合体材料の熱伝導度は、XY方向が250KW/m・Kで、Z方向が220KW/m・Kであり、XY方向とZ方向の熱伝導度が近いセラミックス・グラファイト・アルミニウム含有複合体材料であった。これは、CIP成形で製造すると成型体(プリフォーム)は等方的に圧縮成形されるので、層状構造であるグラファイトがランダムに配向し、その結果、得られた複合体材料の熱伝導の方向もランダムになったためと思われる。上記で得た複合体材料の曲げ強さは130MPaであり、高強度を示した。また、熱膨張係数は、XY方向が5.8ppm/K、Z方向が9.3ppm/Kであり、平均で7.6ppm/Kであった。
[実施例8]
本例では、グラファイト粉末として、実施例5と同様に層状結晶構造を持つ天然黒鉛粉末であるF#2(商品名、平均粒子径130μm)を用いた。そして、この天然黒鉛粉末100部に、金属粉末として平均粒子径45μmのSi粉末を30部と、シリカ系の無機バインダーとして、下記のシリコーン樹脂溶液を所望量加えて、空隙を有する成型体(プリフォーム)を作製した。上記で用いたシリコーン樹脂溶液は、KR-220(商品名、信越化学工業社製)をイソプロピルアルコール(IPA)に溶かして調製した、濃度20w%樹脂溶液であり、本例では、この樹脂溶液をSiOとして2.0%に相当するようになる量で加えた。
本例では、空隙を有する成型体(プリフォーム)の作製の際に、実施例1の場合よりも高い加重の75kN(270kgf/cm)でプレス成型した後、実施例1と同様な方法で仮焼して、空隙が約17%の良好な状態の成型体(プリフォーム)を得た。そして、得られた成型体に、実施例1と同じ方法及び材料で、アルミニウム合金の溶湯を高圧プレス機で含浸して、グラファイト65%、Si粉末18%、アルミニウム17%の、合計100%で、且つ、その外側に無機バインダーをSiO換算で2.0%有する組成の、Si金属・グラファイト含有アルミニウム複合体材料を得た。
上記で得られた本例の複合体材料は、その曲げ強度が150MPaで高強度であり、その熱伝導度が、XY方向が450W/m・K、Z方向が130W/m・Kであり、平均が290W/m・Kである、高強度で高熱伝導性の複合体材料であった。また、その熱膨張係数は、XY方向が3.2ppm/Kで、Z方向が14.4ppm/Kであり、平均が8.8ppm/Kであった。本例では、成型体をプレス成型で調製する際のプレス圧を実施例1より強くしたが、シリカ系の無機バイダーを添加したことによる効果がより発揮されて、成型体がスプリングバックすることなく、グラファイト粉末及びSi金属粉末の高体積率の複合体が得られた。
[実施例9]
本例では、実施例1で使用したと同様に混合された2種類の人造黒鉛100部に、金属粉末としてチタン粉末を37部、セラミックス粉末としてSiC粉末を40部、シリカ系の無機バインダーとして、実施例8で用いたシリコーン樹脂溶液を用い、主原料に対してSiO換算で1.2%なるように外添加して、これらの原料を混合した。そして、調製した混合原料を用いて、実施例1と同様にして成型、仮焼して20%の空隙を持つ成型体(プリフォーム)を作製した。得られた成型体(プリフォーム)の空隙に、実施例1で行ったと同様な材料及び操作でアルミニウム合金を高圧プレスで含浸させた。
その結果、上記で得られた本例の複合体材料は、その曲げ強度が135MPaで高強度であり、その熱伝導度が、XY方向が380W/m・K、Z方向が115W/m・Kであり、平均が247W/m・Kである、高強度で高熱伝導性の複合体材料であった。また、その熱膨張係数は、XY方向が5.5ppm/Kで、Z方向が14.0ppm/Kであり、平均が9.8ppm/Kであった。上記した結果から、金属粉末とセラミックス粉末を併用して所望量添加することによっても、高強度、高熱伝導度及び低熱膨張率を示す有用な複合体が得られることが確認された。
[比較例1]
本例では、グラファイト粉末として、実施例1で使用したと同様の構成の平均粒子径が異なる2種類の人造黒鉛を併用したグラファイト粉末を用いた。そして、表1-1に示したように、実施例と異なり、金属粉末及び/又はセラミックス粉末のいずれも添加しないこと以外は実施例1と同様にして成型体(プリフォーム)を作製し、該成型体を用いて比較用のグラファイト含有アルミニウム複合体材料を得た。具体的には実施例1と同様に、シリカ系の無機バインダーとして、SiO換算で1.2%に相当するようになる量のエチルシリケート溶液を加えて得たグラファイト材料を用い、実施例1と同じ操作で成型体(プリフォーム)を作製した。その結果、得られた成型体(プリフォーム)は、良好な状態であるものの、空隙は12%であり、実施例1の成型体(プリフォーム)よりも空隙が少ないものであった。得られた成型体に、実施例1で行ったと同様に、高圧プレス機で、50MPaの圧力で同様のアルミニウム合金の溶湯を含浸して、比較用のグラファイト含有アルミニウム複合体材料を得た。
上記のようにして得た比較例1のグラファイト含有アルミニウム複合体材料は、表1-1に示したように、その組成が、グラファイトが88%、アルミニウム合金が12%の、合計100%であり、且つ、無機バインダーがSiO換算で外側に1.2%含む組成のものであった。上記のようにして得られたグラファイト含有アルミニウム複合体材料について、実施例1で行ったと同様の方法で同様の評価試験を行い、得られた評価結果を表1-2に示した。
表1-2に示したように、上記で得られた複合体材料の熱伝導度は、XY方向が410W/m・Kで、Z方向が75W/m・Kであり、平均が243W/m・Kであり、高熱伝導性を示した。また、熱膨張係数は、XY方向が3.6ppm/Kで、Z方向は15.1ppmであり、平均が9.4ppm/Kであり、実施例と同様に小さい値を示した。しかし、曲げ強度が25MPaと低く、本発明が目的とする、曲げ強度が90MPa以上の高い強度を示す複合体材料ではなかった。比較例1の複合体材料の強度が上記したように極めて低くなった理由は、成型体の形成材料に金属粉末及びセラミックス粉末を用いていないこと、グラファイトの量が88%と高くなりすぎたためと考えられる。
[比較例2~4]
比較例2~4では、グラファイト粉末として、実施例1で用いたと同様の、平均粒子径が異なる以外は同質の2種類の、層状グラファイト結晶をもつ人造黒鉛を所望量混合した構成のものを用いた。表1-1に示されているように、比較例2、3では、セラミックス粉末であるSiC粉末(平均粒子径:4μm)を本発明で規定する範囲外の量でそれぞれに用い、比較例4では、金属粉末とセラミックス粉末の合量が本発明で規定するよりも多い量で用いた。そして、上記したこと以外は、実施例1と同じ操作で成型体(プリフォーム)を作製した。得られた成型体に、実施例1で行ったと同様に、高圧プレス機で、50MPaの圧力で、実施例1で用いたと同様のアルミニウム合金の溶湯を含浸して、それぞれの構成の比較例2~4の、金属/又はセラミックス・グラファイト含有アルミニウム含有複合体材料を得た。
上記のようにして得られた比較例2~4の複合体材料について、実施例1で行ったと同様の方法で同様の評価試験を行い、得られた評価結果を複合体の組成とともに表1-2に示した。表1-2に示したように、上記で得た比較例2~4の複合体材料は、それぞれ、下記の点で、いずれも本発明の目的を達成できる複合体材料ではなかった。まず、比較例2の複合体材料のように、セラミックス粉末の添加量が本発明で規定したよりも低い場合は、セラミックス粉末及び金属粉末のいずれについても使用しない比較例1の複合体材料よりも若干強度が向上するものの、複合体材料の曲げ強度が40MPaであり、実用に供することができないものであった。
これに対し、比較例3、4の複合体材料は、表1に示したように、本発明で規定する範囲内よりも金属及び/又はセラミックスの合量が多く、このためグラファイト粉末の量が本発明で規定した範囲よりも少ない組成のものである。このような金属及び/又はセラミックスの合量が多すぎる構成の比較例3、4の複合体材料の場合は、強度が90MPa以上に至らず十分とは言えず、更に熱伝導度が低く、本発明が目的とし規定する高熱伝導度を示す材料にはならないことがわかった。
[比較例5]
グラファイト粉末原料及びセラミックス粉末原料として、実施例1で用いたと同じ人造黒鉛粉末と、SiC粉末を用い、無機バインダーを添加しない原料構成としたこと以外は実施例1と同じ操作で、本例の複合体材料を作製した。その結果、比較例5で得た複合体材料は、実施例1で得た複合体材料に比べてアルミニウム合金量が多くなった。その理由は、無機バインダーを添加使用しなかったので、プレス成型を行い、その後に焼成した際に成型体(プリフォーム)にスプリングバックが生じて、成型体の空隙が多くなったためと考えられる。比較例5で得た複合体材料は、本発明で規定するよりも熱伝導度が低く、加えて、本発明で目的とするよりも熱膨張係数が大きく、また、曲げ強さは本発明で目的とする90MPa超の値にならずに低いものであり、いずれについても本発明で目的とする特性を満足するものではなかった。
Figure 0007394500000001
Figure 0007394500000002

Claims (9)

  1. 非晶質でない結晶構造を有する天然黒鉛粉末又は人造黒鉛粉末からなるグラファイト粉末(但し、ダイヤモンド粉末を除く)と、金属粉末及び/又はセラミックス粉末の少なくともいずれかを含む混合粉末とを有してなり、更にシリカ系の無機バインダーが添加されてなる空隙を有する成型体が、アルミニウム金属又はアルミニウム合金の溶湯で複合化されてなる金属及び/又はセラミックス・グラファイト含有アルミニウム複合体材料(但し、板状の両主面が厚み0.05~0.5mmのアルミニウム-セラミックス系複合体で被覆されている場合を除く)であって、
    前記シリカ系の無機バインダーが、コロイダルシリカ、エチルシリケート溶液、水ガラス及びシリコーン樹脂溶液からなる群から選ばれる少なくともいずれかを含み、
    前記グラファイト粉末を40~80体積%の範囲内で含み、前記アルミニウム金属又はアルミニウム合金を13~50体積%の範囲内で含み、前記金属粉末及び/又は前記セラミックス粉末を合量で6~45体積%の範囲内で含み、これらの材料の全量を100体積%としてなり、且つ、その外側にSiOに換算して0.5~5体積%の前記シリカ系無機バインダーが添加されており、
    その曲げ強度が90MPa以上であり、且つ、XY方向又はZ方向のいずれかの熱伝導率が240W/m・K以上であり、更に、XY方向又はZ方向のいずれかの熱膨張係数が6.0ppm/K以下であることを特徴とする金属及び/又はセラミックス・グラファイト含有アルミニウム複合体材料。
  2. 前記XY方向の熱伝導率が240W/m・K以上で、且つ、前記Z方向の熱伝導率が50W/m・K以上であり、前記XY方向の熱膨張係数が6ppm/K以下で、且つ、前記Z方向の熱膨張係数が19ppm/K以下である請求項1に記載の金属及び/又はセラミックス・グラファイト含有アルミニウム複合体材料。
  3. 前記XY方向の熱膨張係数が、3ppm/K以上、6ppm/K以下である請求項1に記載の金属及び/又はセラミックス・グラファイト含有アルミニウム複合体材料。
  4. 前記グラファイト粉末の平均粒子径が、3μm~300μmである請求項1又は2に記載の金属及び/又はセラミックス・グラファイト含有アルミニウム複合体材料。
  5. 前記非晶質でない結晶構造が、層状結晶、3次元グラファイト結晶及びフラーレン構造からなる群から選ばれるいずれかの結晶構造である請求項1又は2に記載の金属及び/又はセラミックス・グラファイト含有アルミニウム複合体材料。
  6. 前記金属粉末及び/又は前記セラミックス粉末の平均粒子径が、0.5~200μmである請求項1又は2に記載の金属及び/又はセラミックス・グラファイト含有アルミニウム複合体材料。
  7. 前記金属粉末が、ケイ素粉末、チタン粉末、銀粉末、銅粉末、鉄粉末、ステンレス及びアルミニウム粉末からなる群から選ばれるいずれかであり、前記セラミックス粉末が、アルミナ粉末、窒化ケイ素粉末、炭化ケイ素粉末及び窒化アルミニウム粉末からなる群から選ばれるいずれかである請求項1又は2に記載の金属及び/又はセラミックス・グラファイト含有アルミニウム複合体材料。
  8. 非晶質でない結晶構造を有する天然黒鉛粉末又は人造黒鉛粉末からなるグラファイト粉末(但し、ダイヤモンド粉末を除く)を40~80体積%、金属粉末及び/又はセラミックス粉末を合量で6~45体積%、成形後の成型体の空隙が13~50体積%で合計100体積%になるように調整した原料の混合粉末100体積部に、コロイダルシリカ、エチルシリケート溶液、水ガラス及びシリコーン樹脂溶液からなる群から選ばれる少なくともいずれかを含むシリカ系の無機バインダーをSiOに換算して0.5~5体積部となる範囲内で添加し、得られた材料で成型物を形成し、該成型物を100℃~1100℃の温度で加熱固化して複合化に用いるための前記空隙を有する成型体を作製する成型体の成型工程と、
    該成型体の空隙に、アルミニウム金属又はアルミニウム合金の溶湯を、20~200MPaの圧力で含浸或いは圧入させて複合化する複合化工程とを有し(但し、周囲がアルミニウム-セラミックス系複合体で被覆された平板状のアルミニウム-ダイヤモンド系複合体を作製する場合を除く)
    その曲げ強度が90MPa以上であり、且つ、XY方向又はZ方向のいずれかの熱伝導率が240W/m・K以上であり、更に、XY方向又はZ方向のいずれかの熱膨張係数が6.0ppm/K以下である複合体材料を製造することを特徴とする金属及び/又はセラミックス・グラファイト含有アルミニウム複合体材料の製造方法。
  9. 前記成型体の成型工程で行う方法が、プレス成型、加圧フィルタープレス、圧延ロール成型、CIP成型、沈降法及び鋳込み成型からなる群から選ばれる少なくともいずれかである請求項に記載の金属及び/又はセラミックス・グラファイト含有アルミニウム複合体材料の製造方法。
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