JP7394428B1 - ブラシレスspmモータおよびその回転子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】希土類異方性ボンド磁石を用いるモータの高速回転と出力の増加を図る。【解決手段】ブラシレスSPWモータの回転子は、10MGOe以上の最大エネルギー積を有する円弧状磁石、円筒本体のステンレス磁石および円筒本体より軸対称的に延伸する突起部の非磁性部からなり、円弧状磁石は希土類異方性ボンド磁石の射出成形により4極以上の磁極とN極・S極が交互に擬極異方性に着磁されており、円弧状磁石は回転子本体の外周部とは金属接着剤により強固に固定されて耐遠心力を高める。【選択図】図2

Description

本発明は、リング状の希土類異方性ボンド磁石を回転子の外周部に固定した表面磁石型同期機(以下、SPMモータという。)、その回転子および回転子の製造方法に関する。
電動機(発電機を含めて単に「モータ」という。)には種々のタイプがある。最近では、インバータ制御の発達と高磁気特性の希土類磁石の普及に伴い、省電力で高効率であり高トルクまたは高出力が望めるブラシレスモータが注目されている。
ブラシレスモータは、永久磁石を回転子の表面に配設した表面磁石型モータ(SPM)と、永久磁石を回転子の内部に埋め込んだ埋込磁石型モータ(IPM)とに大別される。SPMモータは制御性に優れており、主に小型モータに使用されている。IPMは、大きな出力が得やすく、主に動力用途向けのパワーモータに使用されている。
優れた制御性が要求されるロボット用小型モータは、スイスのMaxon社の製品が広く使用されているが、その50%以上の小型、軽量および高出力化及び低価格化が求められている。そのために、高速回転化による小型・軽量化・高出力が取り組まれ、最近6万RPM回転から10万RPM回転モータの開発に成功している。しかし、さらなる高速回転化の試みはNd焼結磁石の使用という大きな技術的壁に直面している。
この問題を解決するために、特許文献1に、極異方性希土類ボンド磁石と永久磁石モータについて開示している。この発明によれば、希土類磁石粉末としてはNd-Fe-B系磁石粉末より配向磁場の良好なSm-Fe-N系磁石粉末を採用し、最大エネルギー積は3~14MGOeである。
その製造方法として、金型温度80℃で射出成形してリング状磁石を製造し、N極とS極と交互に配置された8極よりなる磁極を有し、各磁極は図6に示すように磁性材料を介さずに極異方性に着磁したものである。
しかし、特許文献1に開示された発明は、磁力が弱いうえに、12万RPM回転以上ではその遠心力のためにリング磁石は破損してしまうという欠点があった。
本発明は、射出成形タイプの擬極異方性希土類ボンド磁石を採用することで、上記Maxon社のNd焼結磁石の発熱問題や、特許文献1の発明の遠心力問題を解決して、現行品の50%以上の小型・軽量化を実現した発明である。
特開2000-195714号公報
広く普及しロボット用小型モータの標準品は、Maxon社のそれである。大きな力を得るために2極に着磁したNd焼結磁石を回転子に内に取り付け、それを6万回転から10万回転使用して、小型・高出力モータを実現している(図8、図9)。これ以上、高速化を図り性能アップを図る取り組みは、Nd焼結磁石の発熱問題が生じて困難である。
希土類ボンド磁石は、高速回転しても発熱は生じないが、磁力が小さいので、Nd焼結磁石に置きかえて、回転速度を2倍にしても小型化することは困難である。しかも、もし回転子に形状面や重さバランスの同軸度の不均一性や、磁石が作る磁界の同軸度の不均一性があると、コギングトルクと振動が生じやすくなる。
高速回転は大きな遠心力が表面に貼り付けた磁石に働くことになるが、同軸度の不均一性が存在すると、特定の箇所に応力が集中し、その部分から剥離が始まり、そこを起点にリング磁石が疲労破壊することになる。単純に発熱しない希土類ボンド磁石に置き換えても、それだけでは高速回転モータの設計をすることはできない。
発明者らは、小型のブラシモータにおいて、磁極を2極から4極に増やし、回転数を従来の3000回転RPMを6000RPMと倍増させて、75%の小型・軽量化に成功した実績を有する(図10)。
かつ、2極ラジアル配向したフェライト磁石から圧縮成形タイプの希土類リング磁石にして、それを極異方着磁して、発生する磁界分布を正弦波形にすることで、滑らかな回転を実現した。
この設計は、磁石エネルギーは1/2で、モータ重量を1/4にすることができており、単位磁石エネルギー当たりで8倍の性能が実現できたことを意味していた。
この経験は、Nd焼結磁石を希土類ボンド磁石に置き換えて、つまり性能の劣る磁石に置き換えて使用する磁石エネルギー量が小さくなったとしても、モータの構造設計により8倍の性能改善を引き出せば、モータの50%小形化・軽量化は十分可能であることを示唆している。
本発明はこのような事情に鑑みて為されたものであり、磁石に射出成形タイプの希土類磁石を採用し、それを擬極異方性着磁することで、SPMモータの回転子の同軸度の向上を図り、かつ磁石の磁力の低下を2極の磁極数を4極に増やし、モータ回転数を12万RPM回転以上にすることで、50%の小型・軽量化が実現すること、および磁性材料を介した擬極異方性着磁によって遠心力問題が解決できるのではとの考えに立って開発したものである。
ここで、擬極異方性とは、リング磁石の磁極と磁性材料が一体となって極異方性に飽和着磁され、リング磁石と回転子の磁性材料とが強く結合し、遠心力に対抗する力を生じさせる効果があると同時に回転子のリング磁石から発する磁界が正弦波形となっている(図5)。
発明者らは、まず12万RPM回転以上の高速回転を可能にすることが重要と考えて、優れた同軸度を有する回転子を製作することを検討した。そのために、射出成形タイプの希土類異方性ボンド磁石に着目した。精度高く製作した円筒状の回転体部品を射出成形用の精密金型に取り付けて、その隙間に射出成形技術でボンド磁石を成形する。こうすることで、形状的かつ重量バランス的に極めて同軸度の高い回転子を製作することができることに思い至った。
しかも磁気的には、擬極異方性配向を実現することにより、磁界分布の同軸度を改善することにした。これによりモータのコギングトルクを抑制し振動発生を抑制することができる。そのために、射出成形時に使用する擬極異方性金型を設計試作することにした。
次に磁極の数を2極から4極、6極と増加させて、磁力の低下を補うことにした。さらに、回転子の磁石の外周側面と固定子の電磁石の内周側面の隙間を、従来品であるMaxon社の1.5mm程度を0.5mm以下と小さくすることにした。これは回転子の優れた同軸度によって初めて可能になるものである。
以上、射出成形タイプの希土類異方性ボンド磁石の採用、磁極の極異方性化、磁極数の2極から4極以上に増加、回転子と固定子の間の隙間を0.5mm以下、さらに回転子の回転数を12万RPM回転以上と、これらの要因を組み合わせることで、広く普及しているMaxon社の小型モータの50%以上の小型化が可能になることを見いだした。
設計上の最大の問題は、大きな遠心力にリング磁石が耐えうるか、またリング磁石と回転子本体部品との密着強度が耐えうるかという問題である。同軸度のわずかなずれやモータの回転振動は磁石と回転子の接合面の特定の箇所に応力集中点を発生させ、そこを起点クラックが発生しリング磁石が破損に至るという問題である。一般的対策として、リング磁石の表面に非磁性の飛散防止カバーを設置して外から圧力を付加して遠心力による破損を防止する方策がとられている。これでは磁石と固定子間の間隙が大きくなって十分な小型化が実現できない。
本発明は、磁石と回転子本体の磁性材料と間に働く接着剤の結合力に加えて、擬極異方性着磁することによる磁石と回転子本体の磁性材料と間に働く磁気的結合力を強化して、遠心力によるリング磁石の飛散を防いだものである。
しかしながら、リング磁石と回転子本体との接合面の特定の箇所に応力集中点が発生した場合にはリング磁石であるとリング磁石の破損に至る。
そこで、先ず、最初からリング磁石を分割した円弧状磁石にして接合面の特定の箇所への応力集中問題を回避すること、次に回転子本体の外周の凹凸度を大きくするとともに金属接着剤の活用により接合強度を高めることより、遠心力問題を回避できることを見出した。
さらに、円弧状磁石の間の磁性材料を非磁性部にすること、および磁極の着磁を擬極異方性着磁とすることにより磁気回路に流れる磁束が増加してモータトルクが増加することを見出した。
つまり、リング磁石の表面に非磁性のケースを設置することなく高速回転を可能にした点が最大の特徴である。
上記対策と合わせて、遠心力は、回転半径に比例するので、本発明では、回転子の直径は外形12mm以下、長さは15mm以下とすることで、リング磁石の破損を忌避することにした。
回転子本体の素材は磁性材料が使用されているが、ステンレス磁石に変更することで、磁極から発する磁束が10%増加することを見いだした。またステンレス磁石の比抵抗は72μΩcmと磁性材料の32μΩcmの2倍以上も大きく、高速回転中に生じる渦電流と発熱が低減する。これにより、磁石と回転子のステンレス磁石に働く磁気結合力が強化され、モータ出力アップまたはさらなる小型軽量化を図ることが可能である。
本発明とNd焼結磁石を使用しているこれまでのモータとを比較すると、一番の違いはNd焼結磁石タイプでは10万RPM回転が限界であるが、本発明は12万~20万RPM回転が可能で、50%小形軽量化の潜在力がある点である。
これは、焼結磁石には大きな鉄損(過電流損とヒステリシス損)が生じ、また発熱して磁石特性が劣化してしまう問題が生じていたが、ボンド磁石は各磁石粒子が絶縁体であるバインダ樹脂で絶縁された状態になっているため、生じる鉄損は非常に小さいためである。
さらに、Nd焼結磁石に比べて希土類ボンド磁石は磁力が劣る問題については、回転子本体の磁性材料をステンレス磁石に変え、かつリング磁石を分割して円弧状磁石とするともに円弧状磁石間を非磁性に改質し、さらに固定子との間隙を0.5mm以下として、磁極を擬異方性着磁するなどの磁気回路を工夫することによりこの問題を解消し、結果的にはモータ全体が50%以上の小型軽量化を実現できることを見出した。
回転子の加工コストという点で比較すると、Nd焼結磁石を利用したこれまでの方式は、Nd焼結磁石を内包する収納場所を保有する回転子本体の加工、さらに焼結磁石を装着し接着する組立工程、および同軸度を調整する工程など非常に高価であった。
本発明の射出成形タイプは、Ndボンド磁石の歩留が高く、しかも回転子本体は略円筒状に加工するだけであり、それと磁石を一体成形するだけで回転子が完成するという極めて単純な工程で、製造コストは1/5程度と大幅なコストダウンが可能になる。
同時に、表面に薄く磁石を形成するだけなので、Nd磁石の使用量が1/4程度に減少する。またNd焼結磁石は円筒上に機械加工する段階で加工くずが生じて希少で高価な希土類元素を無駄にする結果となっていた。射出成形タイプ磁石は、磁石粉末を利用するので歩留はほぼ100%と非常に優れており、Nd資源の浪費を回避することができる。
本発明であるSPMモータは、上述した回転子とその外周に軸対称的に配設されたコイルとそのコイルの外周側で磁気回路を構成するヨークとを有する固定子とからなっている。
電磁コイルは、適宜、ヨークはコイル内にあるティースを含む場合、ティースがない場合を選択することができる。
SPMモータは、基本的に、回転子に設けた永久磁石により形成される磁極と固定子により回転子の外周囲に形成される回転磁界とで生じる吸引力および反発力に基づいて回転力(マグネットトルク)を生じる。SPMモータの回転速度は、励磁周波数で制御できる回転磁界の周波数で制御できるので、SPMモータは負荷荷重に左右されず、非常に制御性の優れたモータである。
磁極の擬極異方性着磁の製造方法は、異方性着磁タイプの射出成形金型を製作する。射出成形条件は、金型温度および射出温度100~150℃、成形圧力50~15
0MPa、射出速度:50~150cm/sとする。ここで配向磁場は、1T以上とする。通常異方性ボンド磁石を飽和着磁するためには、3Tの磁界の必要であるが、射出成形温度が100℃以上あるので、磁石の保磁力は0.7T以下に減少し、1Tの磁界強さで磁石粉末を飽和着磁することができ、磁束線に沿って磁石を配向させることができる。
しかも磁石粉末は飽和着磁されているので、温度が常温に下がったとき、飽和状態は維持されており、飽和着磁された擬極異方性磁石が製造できる。つまり射出成形の着磁工程は省略することができる。
本発明により、汎用小型SPMモータに対して、50%の小型軽量化が実現できる。同時に回転子の製造コストを1/5程度に低減することができる。
本発明の第1実施例であるSPMモータの断面図である。 本発明の回転子に取り付けた軸方向から見た4極磁石の断面図である。 本発明の回転子の側面から見た断面図である。 本発明に使用する半硬質磁性材料よりなる突起部を有する円筒状(略円筒状)の積層板の断面図である。 本発明に使用する半硬質磁性材料よりなる突起部を有する円筒状(略円筒状)の積層板の断面の部分拡大図である。 本発明の円弧状の擬極異方性ボンド磁石の磁界とNS極を示した平面図である。 既存SPMモータ製品と本発明の外観写真の比較である。 従来のリング状の極異方性ボンド磁石の磁界とNS極を示した平面図である。 Nd焼結タイプの回転子の軸方向から見た(a)磁石の断面図と(b) 磁石の斜視図である。 Nd焼結タイプの回転子の側面から見た断面図である。 ブラシモータを75%小形軽量化した時の両モータの外観写真の比較 である。
ブラシレスSPMモータは、
固定子と回転子とからなるブラシレスSPMモータにおいて、
前記回転子は、回転子本体とリング磁石と回転軸とを備えてなり、
前記回転子本体は、前記回転軸に外接する略円筒状の複合磁性材料からなり、
前記略円筒状の複合材料は、円筒本体のステンレス磁石と、前記円筒本体から軸対称的に延伸する4個以上の偶数個の突起部よりなる非磁性部とからなり、
前記リング磁石は、前記非磁性部の突起部間の前記ステンレス磁石の外周に円弧状に10~25MGOe以上の最大エネルギー積を有する射出成形タイプの希土類異方性ボンド磁石よりなり、前記複合磁性材料に外接して固定されており、
かつ、N極とS極が交互に配置された4極以上の偶数個よりなる磁極を有し、前記磁極はステンレス磁石を擬極異方性的に着磁しており、
前記回転子の形状・サイズは、外径の直径は20mm以下で長さは40mm以下からなり、
前記回転子と前記固定子の隙間は0.5mm以下からなり、
前記回転子の回転数は、12万RPM以上の回転速度で回転して、前記ブラシレスSPMモータは20W~400Wの出力を有することを特徴とする。
また、ブラシレスSPMモータは、
該回転子において、
前記円筒本体のステンレス磁石の外周部の凹凸度は、0.5~10μmとし、その上に金属接着剤で樹脂層を形成することによって前記リング磁石と前記ステンレス磁石の外周部とを強固に固定することを特徴とする。
また、ブラシレスSPMモータの回転子の製造方法は、
希土類異方性ボンド磁石の射出成形の条件は、金型温度および射出温度は100~150℃、成形圧力は50~150MPa、射出速度は50~150cm/secであることを特徴とする。
以下に図1~図7を用いて詳細に説明する。
<ブラシレスSPMモータ>
ブラシレスSPMモータ1は、図1に示すように、回転子2と固定子3と回転軸
4より構成される。
回転子2について以下に説明する。
<回転子>
回転子2は、図2および図3に示すように、回転子本体21、希土類異方性ボンド磁石22(22N、22S)、回転軸23からなる。
<回転子本体>
回転子本体21は、略円筒状の複合磁性材料からなる。
ここで、略円筒状とは、中心部に回転軸取り付け用の穴を有する円筒本体と、円筒本体に加えて外周部に軸対称的に延伸する4個以上よりなる偶数個の突起部を有する形状を称する(図4)。
また、複合磁性材料とは、ステンレス磁石(Cr-Ni系ステンレス磁石)と非磁性部(Cr-Ni系ステンレス鋼)よりなる。
回転子本体21は、回転子本体21のステンレス磁石とその外周部の非磁性部211からなり、しかも両者は、一体的合金である。
ステンレス磁石21としては、その材質は問わないが、常温で非磁性のオーステナイト相で、冷間加工後に磁性のマルテンサイト相となるCr-Ni系ステンレス鋼やMn系非磁性鋼などの鉄系材であることが好ましい。形状は、通常、両面を絶縁被覆した薄板の積層体からなる。
ステンレス磁石は、Ni系ステンレス鋼の組織を100%のオーステナイト組織からマルテンサイト組織を80%以上有する組織に変化させて半硬質磁性材料とした後に、飽和着磁して永久磁石にしたもので、その磁石性能は、室温において、12,000~16,000Gの飽和磁化と、80~300Oeの保磁力と、残留磁気Br6,000~8,000G、0.2~4MGOeの最大エネルギー積を有するものである。
非磁性部211は、透磁率が1.2以下となる箇所である。回転子本体21を構成するステンレス磁石に飽和磁化させる前の半硬質材料の突起部のみを部分的に改質したものである。
ここで半硬質磁性材料の改質は、強磁性を有するマルテンサイト組織からなる半硬質磁性材料を非磁性オーステナイト組織に回復させることにより行える。このような改質は、900℃以上の局部的な加熱、レーザや電子ビーム等の照射などの加熱により安定的に行うことができる。
回転子本体の製造は、図4およびその部分図である図5を用いて説明する。
冷間加工により形成した半硬質磁性材料の薄板を略円筒状に打ち抜き加工により作製(2A)して、積層化する。中央部には回転軸取り付け用の穴52を有する円筒本体50とその外周には軸対称に突起部51が形成される。突起部51の外周面51aは射出充填される希土類異方性ボンド磁石52mの外周(破線)と同心円を形成することにより固定子と回転子との間隙を0.5mm以下とすることができる(2B)。
<希土類異方性ボンド磁石>
射出成形タイプの希土類異方性ボンド磁石(磁気異方性希土類ボンド磁石)は、最大エネルギー積はできるだけ優れたものが好ましいが、10MGOe~25MGOeを有しているものを採用することによって本発明は実現できる。
40MGOe以上の最大エネルギー積を有するNd焼結磁石と比べると磁力性能は大きく劣っているが、回転子の表面磁石の磁極数を少なくとも4極以上とし、それは交互にN極とS極に着磁されており、磁性材料またはステンレス磁石を介して擬極異方性的に飽和着磁する(図6)。
しかもこれらの磁石は射出成形工程で成形され、寸法精度は極めて優れているうえに、本体の回転中心軸周りに対称に配置されており、固定子と回転子の間隙を0.5mm以下に制御することができる。また磁石は擬極異方性に着磁されており、反磁界が小さく比較的大きな磁束を引き出すことができる。
なお、射出成形される希土類異方性ボンド磁石は、図5に示す半硬質磁性材料の回転子本体50の外周面50aと、隣接する改質した非磁性の突起部51の側面である51aおよび51bに囲まれた52m領域からなる円弧に射出充填される。
また、磁石22(22N、22S)は擬極異方性に着磁されており、反磁界が小さく比較的大きな磁束を引き出すことができる。
さらに、磁石の間には、ステンレス磁石に変えて非磁性に改質されていることから磁束をより効果的に固定子側に流すことができて、磁束量の増加につながる(図6)。
これによって、Nd焼結磁石よりは磁石単体の性能は劣るが、モータの磁気回路としては同等以上の磁束量を引き出すことができている。
<磁石の形状とサイズ>
磁石の具体的形状とサイズは、つまり、磁石の外周直径と厚みおよびその長さは、SPMモータの出力とモータサイズなどの基本仕様等に応じて、しかもその回転数と遠心力を考慮して適宜調整される。
モータ出力は40W~400Wまでであるが、回転子は直径8mm~16mm、内径6mm~12mm、長さ5mm~20mm、磁石使用量0.8g~4g以下で実現できる。
<磁石と回転子本体の接合強度>
遠心力に対する磁石と回転子本体の接合強度については、モータ出力や回転数を考慮して、接着剤の結合強度と擬極異方生着磁による磁気結合力の両方をより強化する必要があるが、より大きな接着剤の結合力が必要な場合には、回転子本体の外周面をショットブラストにて粗度を0.5μm~5μmとし、その上に金属接着剤を塗布して回転子の表面を樹脂で覆い、そこに射出成形磁石の樹脂とが樹脂同士で接合し、大きな接合強度を確保することができる。
さらに、遠心力を考慮して接合強度を強化が必要な場合、回転子本体の外表面に波型加工を施すことによって、磁石との接合表面積を増加させて、接合強度を大きくすることが可能である。
表面磁石の接合強度については、破損するか否かは、磁石の一様な出来栄え、回転子の同軸度、接合強度などによって決まるので実際に20万回転の回転速度試験機を取り付けて評価し、リング磁石が破損しないことを確認した。
<コスト>
コストについては、回転子本体の磁性材料を積層構造で製作するコストと、回転軸を回転子本体の中心の穴に装着することと、さらに外周部に希土類ボンド磁石を射出工程で形成するコストからなっている。
コストがかかる複雑な構造の部品がないことと精密組立工程が不要、しかも着磁工程が省略できること、さらに高価な希土類使用量が4g以下と少ないことなどから、従来製品の回転子の製造コストの1/5以下の製作コストで製造できると考えられる。
<モータ諸元>
出力40W~400W、回転子の回転数は12万RPM~20万RPM,磁石の重量は4g以下、磁極数は4極以上、固定子側の電磁石の数は6極以上である。なお固定子側の電磁石はヨーク付きであってもヨークの無いコアレスであってもよい。
<第1実施例>
100W出力モータの例である。
ブラシレスSPMモータの回転子の本体は、磁性材料として半硬質磁性材料(ステンレス磁石母材)の薄板から略円筒状の円盤に打ち抜き、その両面を絶縁被覆して積層した略円筒状リング部品を採用した。
射出成形タイプの異方性希土類ボンド磁石は、非磁性部よりなる突起部間のステンレス磁石の外周に円弧状に形成され、最大エネルギー積18MGOeのものを採用した。
希土類異方性ボンド磁石の射出成形の条件は、金型温度および射出温度は130℃、成形圧力は100MPa、射出速度は90cm/secである。
回転子の表面磁石の磁極数を4極とし、軸対称的に配置された突起の非磁性部を挟んで交互にN極とS極に着磁し、かつ擬極異方性的に飽和着磁をした。しかもこれらの磁石は射出成形工程で成形され、寸法精度は極めて優れているうえに、本体の回転中心軸周りに対称に配置されており、固定子と回転子の間隙を0.4mmとした。
磁石の具体的形状とサイズは、回転子は直径11mm、内径7mm、磁石の厚みは2mm、長さ7.5mm、磁石使用量1gとした。
モータの回転数は20万RPM回転で、遠心力に対する磁石と回転子本体の接合強度については、モータ出力や回転数を考慮して、回転子本体の外周面をショットブラストにて粗度を平均3μmとし、その上に金属接着剤を塗布して回転子の表面を樹脂で覆い、そこに射出成型磁石の樹脂とが樹脂同士で接合し、大きな接合強度を確保することができるようにした。
表面磁石の接合強度については、実際に20万回転の回転速度試験機を取り付けて評価した結果、実験に供した10個の回転子のすべてが合格した。
コストについては、回転子本体の磁性材料を積層構造で製作するコスト80円と、回転軸を回転子本体の中心の穴に装着するコスト40円、さらに外周部に希土類ボンド磁石を射出工程で形成するコスト100円、さらに高価な希土類使用量が1.1gで、80円で、合計300円と従来製品の回転子の推定製造コスト1500円に対しての1/5程度の製作コストで製造できると考えられる。
本発明品のモータ諸元は、出力100W、モータサイズは直径18mm、長さは30mm、重量50g、回転子の回転数は20万RPM,磁石の重量は1g以下、磁極数は4極、固定子側の電磁石の数は6極である。なお固定子側の電磁石はヨークの無いコアレスとした。
Maxon社の100Wモータは、モータサイズは直径19mm、長さは30mm、重量は100g、回転子の回転数は6万RPM回転,磁石の重量は4.3g、磁極数は2極、固定子側の電磁石の数は3極である。発明品は、50%小形・軽量化を実現し、かつ大幅なコストダウンに成功していることが分かる。
ロボット用小型モータの使用量は急激に増加しているが、同時に小型軽量化および低コスト化が求められている。本発明は従来品の50%小形化・軽量化を可能にし、製造コストも大幅に低減することができる発明で、今後各種ロボットに幅広い応用が期待される。
1:ブラシレスSPMモータ
2:回転子
21:回転子本体、211:非磁性部、22:希土類異方性ボンド磁石(希土類ボンド磁石、磁石)、22N:希土類ボンド磁石のN極、22S:希土類ボンド磁石のS極、23:回転軸
2A:半硬質磁性材料の略円盤状の打ち抜き材
50:回転子本体の母材、50a:外周面、51:突起部、52:回転軸用穴
2B:2Aの部分図
50:回転子本体の母材、50a:外周面、51:突起部、51a:突起部の外周面、51b:突起部の側面、52m:希土類異方性ボンド磁石の射出成形される充填領域
2C:擬極異方性の磁束の流れ図
21:回転子本体(ステンレス磁石)、211:突起状の非磁性部、22N:希土類ボンド磁石のN極、22S:希土類ボンド磁石のS極
3:固定子
4:回転軸
6:特許文献1の磁石の極異方性の着磁パターン
7:Nd焼結磁石の回転子
71:ケース、72:焼結磁石、72N:焼結磁石のN極、72S:焼結磁石のS極、73:シャフト































Claims (3)

  1. 固定子と回転子とからなるブラシレスSPMモータにおいて、
    前記回転子は、回転子本体とリング磁石と回転軸とを備えてなり、
    前記回転子本体は、前記回転軸に外接する略円筒状の複合磁性材料からなり、
    前記略円筒状の複合磁性材料は、円筒本体のステンレス磁石と、前記円筒本体から軸対称的に延伸する4個以上の偶数個の突起部よりなる非磁性部とからなり、
    前記リング磁石は、前記非磁性部よりなる突起部間の前記ステンレス磁石の外周に円弧状に10~25MGOe以上の最大エネルギー積を有する射出成形タイプの希土類異方性ボンド磁石からなり、前記複合磁性材料に外接して固定されており、
    かつ、N極とS極が交互に配置された4極以上の偶数個よりなる磁極を有し、前記磁極はステンレス磁石を擬極異方性的に着磁しており、
    前記回転子の形状・サイズは、外径の直径は20mm以下で長さは40mm以下からなり、
    前記回転子と前記固定子の隙間は0.5mm以下からなり、
    前記回転子の回転数は、12万RPM以上の回転速度で回転して、前記ブラシレスSPMモータは20W~400Wの出力を有することを特徴とするブラシレスSPMモータ。
  2. 請求項1に記載された回転子において、
    前記円筒本体のステンレス磁石の外周部の凹凸度は、0.5~10μmとし、その上に金属接着剤で樹脂層を形成することによって前記リング磁石と前記ステンレス磁石の外周部とを強固に固定することを特徴とするブラシレスSPMモータ。
  3. 請求項1または請求項2に記載されたブラシレスSPMモータの回転子の製造方法において、
    希土類異方性ボンド磁石の射出成形の条件は、金型温度および射出温度は100~150℃、成形圧力は50~150MPa、射出速度は50~150cm/secであることを特徴とする回転子の製造方法。







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