(実施形態1)
(1)概要
まず、本実施形態に係る光学システム100、及び光学システム100を用いた照明システム200の概要について、図1A~図3を参照して説明する。
本実施形態に係る光学システム100(図1A及び図1B参照)は、入射面10から入射した光を制御して出射面(第2面12)から出射させる機能を有する。光学システム100は、図1A及び図1Bに示すように、導光部材1と、光制御体2と、プリズム3と、を備える。
光学システム100は、光源4と共に照明システム200を構成する。言い換えれば、本実施形態に係る照明システム200は、光学システム100と、光源4と、を備える。光源4は、入射面10に入射する光を出力する。詳しくは後述するが、光学システム100が光制御体2を備える場合には、光源4からの光は、導光部材1に直接入射するのではなく、光制御体2を通して導光部材1に入射する。つまり、光源4は、光制御体2を通して(導光部材1の)入射面10に光を出射する。
このように、本実施形態では、光学システム100は、導光部材1及びプリズム3に加えて、光制御体2を更に備えている。光制御体2は、光源4と導光部材1の入射面10との間に位置し、光源4から出力されて入射面10に入射する光を制御する。特に、本実施形態では、導光部材1と光制御体2とは、一体成形品として一体化されている。つまり、本実施形態では、導光部材1と光制御体2とは一体成形品であって、一体不可分の関係にある。言い換えれば、導光部材1の入射面10に対して光制御体2は継ぎ目なく連続しており、導光部材1と光制御体2とはシームレスに一体化されている。そのため、本実施形態では、導光部材1における入射面10は、導光部材1及び光制御体2の一体成形品の内部に規定される「仮想面」であって、実体を伴わない。
本実施形態では、導光部材1は、光が入射する入射面10、並びに互いに対向する第1面11及び第2面12を有している。第2面12は、光の出射面である。プリズム3は、第1面11に設けられている。プリズム3は、導光部材1の内部を通る光を第2面12に向けて反射する。
ここで、導光部材1は、ダイレクト光路L1(図1A及び図1B参照)を含む。ダイレクト光路L1は、入射面10から入射した光をプリズム3にて直接反射して第2面12から出射させる光路である。さらに言えば、導光部材1は、入射面10から導光部材1内に入射した光を、導光部材1の内部においてはプリズム3での1回の反射のみで第2面12から出射させるような光路(ダイレクト光路L1)を含んでいる。ダイレクト光路L1を通る光は、入射面10から導光部材1に入射すると、プリズム3以外で反射されることなく、プリズム3での1回の反射のみで第2面12に到達し、そのまま第2面12から導光部材1外に出射される。
本実施形態では、入射面10から導光部材1に入射して第2面12から出射される光の大部分が、ダイレクト光路L1を通して導光部材1の内部を導光される。そのため、本実施形態では、入射面10から導光部材1に入射した光の大部分は、プリズム3以外で反射されることなく、かつプリズム3で1回反射されるのみで、第2面12から導光部材1外に出射される。
ところで、本実施形態に係る光学システム100では、図1Aに示すように、入射面10から入射する光の光軸Ax1は、入射面10から離れるほど第1面11までの距離が小さくなるように、第1面11に対して傾斜している。すなわち、本実施形態では、入射面10から入射する光の光軸Ax1は、第1面11に対して平行ではなく傾斜しており、その傾斜によって、入射面10から離れるほど第1面11に近づくことになる。
これにより、入射面10から入射した光は、入射面10から離れるほど、つまり導光部材1の内部を進むにつれて、第1面11に近づくことになり、第1面11(プリズム3を含む)に対して入射しやすい。そのため、入射面10から入射した光の大部分は、導光部材1のうち入射面10と対向する端面13に到達する前に、第1面11に入射しやすくなる。言い換えれば、入射面10から入射した光の大部分は、導光部材1のうち入射面10とは反対側の端面13に到達しにくくなるので、端面13から光が漏れにくくなる。結果的に、ダイレクト光路L1を通して第2面12から導光部材1外に出射される光の、入射面10から入射した光に占める割合を高めやすく、光の取り出し効率の向上を図ることができる。
また、本実施形態に係る光学システム100では、図2に示すように、光制御体2は、形状変換機能を有する。形状変換機能は、入射面10に平行な投影面S1に投影される形状を、光源4から出力される光の第1形状F1から、入射面10に入射する光の第2形状F2に変換する機能である。ここで、投影面S1は、光制御体2の内部に規定される「仮想面」であって、実体を伴わない。本実施形態では一例として、投影面S1は、入射面10と同一面であることとする。すなわち、本実施形態では、光源4と導光部材1の入射面10との間に位置する光制御体2にて、入射面10に平行な投影面S1(入射面10)に投影される光の形状が、第1形状F1から第2形状F2に変換される。
これにより、導光部材1の内部において入射面10から入射した光が届く範囲を、光源4から出力される光の形状である第1形状F1によらずに、制御することが可能である。すなわち、導光部材1の内部において入射面10から入射した光が届く範囲は、入射面10に入射する光の形状である第2形状F2に起因するところ、光学システム100では、第1形状F1から第2形状F2への、形状の変換が可能である。したがって、この光学システム100によれば、導光部材1の内部の比較的広範囲に光が届くように、入射面10から入射する光を制御することができる。結果的に、光学システム100においては、第1面11の全域に光が届きやすくなり、出射面である第2面12の全域から一様に光を取り出しやすくなる。
また、本実施形態に係る光学システム100では、図3に示すように、第1面11と第2面12との少なくとも一方は、配光制御部14を有している。配光制御部14は、第2面12から取り出される光の配光を制御する。本実施形態では一例として、第1面11及び第2面12のうちの第2面12のみが、配光制御部14を有している。つまり、配光制御部14は、第2面12に設けられている。
これにより、導光部材1の第2面12から取り出される光の配光を、導光部材1に設けられた配光制御部14にて制御することができる。特に、導光部材1は、入射面10から導光部材1内に入射した光を、導光部材1の内部においてはプリズム3での1回の反射のみで第2面12から出射させるようなダイレクト光路L1を含んでいる。つまり、ダイレクト光路L1を通る光は、入射面10から導光部材1に入射した後、プリズム3以外で反射されることなく、かつプリズム3で1回反射されるのみで、第2面12から導光部材1外に出射される。したがって、第1面11及び第2面12の形状は導光部材1の内部での光の導光には寄与しておらず、配光制御部14を導光部材1に設けても、導光部材1における導光性能が劣化しにくい。結果的に、配光制御を可能としながらも、ダイレクト光路L1を通して効率的に第2面12から導光部材1外に光を取り出すことができ、光の取り出し効率の向上を図ることができる。
また、図2に示すように、本実施形態に係る光学システム100に光制御体2として用いられる光学部材20は、入射レンズ21と、出射部22と、を備えている。光学部材20は、光源4から入射レンズ21に入射した光を、出射部22から出射する。入射レンズ21は、主入射面211と、副入射面212と、を有している。主入射面211は、光源4と対向するように配置される。副入射面212は、主入射面211の法線L21に向けられている。副入射面212は、主入射面211の周囲の少なくとも一部に位置する。光源4の光軸Ax2は、主入射面211の法線L21に対して傾斜している。ここで、主入射面211の法線L21は、例えば、主入射面211がドーム状であれば、その先端部(ドームの頂点部)における主入射面211の法線である。主入射面211の法線L21は、「仮想線」であって、実体を伴わない。
これにより、光源4の光軸Ax2が主入射面211の法線L21に対して傾斜しているので、光学部材20の入射レンズ21に対しては、主入射面211の法線L21に対して非対称な形で、光源4からの光が入射することになる。したがって、入射レンズ21の主入射面211と、その周囲に位置する副入射面212に対して光源4から入射する光強度のバランスを崩すことができる。結果的に、光学部材20における光の取り込み効率の向上を図ることができる。
(2)詳細
以下、本実施形態に係る光学システム100、光学システム100を用いた照明システム200、照明システム200を用いた表示システム300、及び移動体B1について、図1A~図12Cを参照して詳しく説明する。
(2.1)前提
以下の説明では、導光部材1の幅方向(図3において複数の光源4が並ぶ方向)を「X軸方向」、導光部材1の奥行き方向(図1Aにおいて光軸Ax1が延びる方向)を「Y軸方向」とする。また、以下の説明では、導光部材1の厚み方向(図1Aにおいて第1面11及び第2面12が並ぶ方向)を「Z軸方向」とする。これらの方向を規定するX軸、Y軸及びZ軸は、互いに直交する。図面における「X軸方向」、「Y軸方向」及び「Z軸方向」を示す矢印は説明のために表記しているに過ぎず、実体を伴わない。
また、本開示でいう「取り出し効率」とは、導光部材1の入射面10に入射する光の光量に対して、導光部材1の第2面12(出射面)から出射する光の光量が占める割合をいう。すなわち、導光部材1の入射面10に入射する光の光量に対して、導光部材1の第2面12から出射する光の光量の相対的な比率が大きくなれば、光の取り出し効率は高く(大きく)なる。一例として、導光部材1の入射面10に入射する光の光量が「100」であるのに対して、導光部材1の第2面12から出射する光の光量が「10」であれば、導光部材1における光の取り出し効率は10%となる。
また、本開示でいう「取り込み効率」とは、光源4から出力される光の光量に対して、光学部材20(光制御体2)に取り込まれる光の光量が占める割合をいう。すなわち、光源4から出力される光の光量に対して、光学部材20に取り込まれる光の光量の相対的な比率が大きくなれば、光の取り込み効率は高く(大きく)なる。一例として、光源4から出力される光の光量が「100」に対して、光学部材20に取り込まれる光の光量が「10」であれば、光学部材20における光の取り込み効率は10%となる。
また、本開示でいう「光軸」は、系全体を通過する光束の代表となる仮想的な光線を意味する。一例として、光源4の光軸Ax2は、光源4から出射される光の回転対称軸と一致する。
また、本開示でいう「平行」とは、2者間が略平行、つまり2者が厳密に平行な場合に加えて、2者間の角度が数度(例えば5度未満)程度の範囲に収まる関係にあることをいう。
また、本開示でいう「直交」とは、2者間が略直交、つまり2者が厳密に直交する場合に加えて、2者間の角度が90度を基準に数度(例えば5度未満)程度の範囲に収まる関係にあることをいう。
(2.2)表示システム
まず、表示システム300について、図4及び図5を参照して説明する。
本実施形態に係る照明システム200は、図4に示すように、表示器5と共に表示システム300を構成する。言い換えれば、本実施形態に係る表示システム300は、照明システム200と、表示器5と、を備える。表示器5は、照明システム200から出射される光を受けて画像を表示する。ここでいう「画像」は、ユーザU1(図5参照)が視認可能な態様で表示される画像であって、図形、記号、文字、数字、図柄若しくは写真等又はこれらの組み合わせであってもよい。表示システム300にて表示される画像は、動画(動画像)及び静止画(静止画像)を含む。さらに、「動画」は、コマ撮り等により得られる複数の静止画にて構成される画像を含む。
また、本実施形態に係る表示システム300は、図5に示すように、移動体本体B11と共に自動車等の移動体B1を構成する。言い換えれば、本実施形態に係る移動体B1は、表示システム300と、移動体本体B11と、を備える。移動体本体B11は、表示システム300を搭載する。本実施形態では一例として、移動体B1は、人が運転する自動車(乗用車)であることとする。この場合において、表示システム300にて表示される画像を視認するユーザU1は、移動体B1の乗員であって、本実施形態では一例として、移動体B1としての自動車の運転者(driver)がユーザU1であると仮定する。
本実施形態においては、表示システム300は、例えば、移動体B1に搭載されるヘッドアップディスプレイ(HUD:Head-Up Display)に用いられる。表示システム300は、例えば、移動体B1の速度情報、コンディション情報及び運転情報等に関連する運転支援情報をユーザU1の視界に表示するために用いられる。移動体B1の運転情報としては、例えば、走行経路等を表示するナビゲーション関連の情報、並びに、走行速度及び車間距離を一定に保つACC(Adaptive Cruise Control)関連の情報等がある。
表示システム300は、図4及び図5に示すように、画像表示部310と、光学系320と、制御部330と、を備えている。また、表示システム300は、画像表示部310、光学系320及び制御部330を収容するハウジング340を更に備えている。
ハウジング340は、例えば合成樹脂の成型品等で構成されている。ハウジング340には、画像表示部310、光学系320及び制御部330等が収容されている。ハウジング340は、移動体本体B11のダッシュボードB13に取り付けられている。光学系320の第2ミラー322(後述する)によって反射された光は、ハウジング340の上面の開口部を通して反射部材(ウィンドシールドB12)に出射され、ウィンドシールドB12によって反射された光がアイボックスC1に集光される。反射部材は、ウィンドシールドB12に限らず、例えば、移動体本体B11のダッシュボードB13上に配置されるコンバイナ等で実現されてもよい。
このような表示システム300によれば、ユーザU1は、移動体B1の前方(車外)の空間に投影された虚像を、ウィンドシールドB12越しに視認することになる。本開示でいう「虚像」は、表示システム300から出射される光がウィンドシールドB12等の反射部材にて発散するとき、その発散光線によって、実際に物体があるように結ばれる像を意味する。そのため、移動体B1を運転しているユーザU1は、移動体B1の前方に広がる実空間に重ねて、表示システム300にて投影される虚像としての画像を視認する。要するに、本実施形態に係る表示システム300は、画像として、虚像を表示する。表示システム300が表示可能な画像(虚像)は、移動体B1の走行面D1に沿って重畳された虚像E1、及び走行面D1と直交する平面PL1に沿って立体的に描画される虚像を含む。
画像表示部310は、ケース311を備えている。画像表示部310は、画像中の対象物から複数の方向に放出される光を再現することで対象物を立体的に見せるライトフィールド(Light Field)方式により、立体画像を表示する機能を有している。ただし、画像表示部310が、立体描画の対象物の虚像を立体的に表示する方式はライトフィールド方式に限定されない。画像表示部310は、ユーザU1の左右の目に、互いに視差がある画像をそれぞれ投影することで、ユーザU1に立体描画の対象物の虚像を視認させる視差方式を採用してもよい。
画像表示部310は、表示器5と、光学システム100を含む照明システム200と、を備えている。表示器5は、例えば、液晶ディスプレイ等であって、照明システム200から出射される光を受けて画像を表示する。つまり、照明システム200は、表示器5の背後から、表示器5に向けて光を出射し、照明システム200からの光が、表示器5を透過することで、表示器5は画像を表示する。言い換えれば、照明システム200は、表示器5のバックライトとして機能する。
画像表示部310は、ケース311を備えている。ケース311には、光学システム100及び光源4を含む照明システム200と、表示器5と、が収容されている。照明システム200及び表示器5は、ケース311に保持されている。ここでは、表示器5はケース311の上面に沿って配置されており、ケース311の上面から表示器5の一面が露出する。照明システム200は、ケース311内における表示器5の下方に配置されており、表示器5の下方から表示器5に向けて光を出力する。これにより、ケース311の上面は、画像が表示される表示面312を構成する。
画像表示部310は、ハウジング340の内部に、表示面312を第1ミラー321(後述する)に向けた状態で収容されている。画像表示部310の表示面312は、ユーザU1に投影する画像の範囲、つまりウィンドシールドB12の形状に合わせた形状(例えば矩形状)である。画像表示部310の表示面312には、複数の画素がアレイ状に配置されている。画像表示部310の複数の画素は、制御部330の制御に応じて発光し、画像表示部310の表示面312から出力される光によって、表示面312に画像が表示される。
画像表示部310の表示面312に表示された画像は、ウィンドシールドB12に出射され、ウィンドシールドB12によって反射された光がアイボックスC1に集光される。つまり、表示面312に表示された画像は、光学系320を通して、アイボックスC1内に視点があるユーザU1に視認される。このとき、ユーザU1は、移動体B1の前方(車外)の空間に投影された虚像を、ウィンドシールドB12越しに視認することになる。
光学系320は、画像表示部310の表示面312から出力される光を、アイボックスC1に集光する。本実施形態では、光学系320は、例えば、凸面鏡である第1ミラー321と、凹面鏡である第2ミラー322と、ウィンドシールドB12と、を備えている。
第1ミラー321は、画像表示部310から出力される光を反射して、第2ミラー322に入射させる。第2ミラー322は、第1ミラー321から入射した光をウィンドシールドB12に向かって反射する。ウィンドシールドB12は、第2ミラー322から入射した光を反射してアイボックスC1に入射させる。
制御部330は、例えば、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしての1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを主構成とする。コンピュータシステムの1以上のメモリ又は記憶部334に記録されたプログラムを1以上のプロセッサが実行することによって、制御部330の機能(例えば、描画制御部331、画像データ作成部332及び出力部333等の機能)が実現される。プログラムは、コンピュータシステムの1以上のメモリ又は記憶部334に予め記録されている。プログラムは、電気通信回線を通じて提供されてもよいし、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク又はハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
記憶部334は、例えば、書換可能な不揮発性の半導体メモリ等の非一時的記録媒体にて実現される。記憶部334は、制御部330が実行するプログラム等を記憶する。また、表示システム300は、既に述べたように、移動体B1の速度情報、コンディション情報及び運転情報等に関連する運転支援情報をユーザU1の視界に表示するために用いられる。このため、表示システム300が表示する虚像の種類は予め決まっている。そして、記憶部334には、虚像(平面描画の対象物である虚像E1、及び、立体描画の対象物である虚像)を表示するための画像データが予め記憶されている。
描画制御部331は、移動体B1に搭載された各種のセンサ350から検出信号を受け取る。センサ350は、例えば先進運転システム(ADAS:Advanced Driver Assistance System)に使用される各種の情報を検出するためのセンサである。センサ350は、例えば、移動体B1の状態を検出するためのセンサ、及び移動体B1の周囲の状態を検出するためのセンサのうちの少なくとも1つを含む。移動体B1の状態を検出するためのセンサは、例えば、移動体B1の車速、温度又は残燃料等を測定するセンサを含む。移動体B1の周囲の状態を検出するためのセンサは、移動体B1の周囲を撮影する画像センサ、ミリ波レーダ又はLiDAR(Light Detection and Ranging)等を含む。
描画制御部331は、センサ350から入力される検出信号に基づいて、この検出信号に関する情報を表示するための1又は複数の画像データを記憶部334から取得する。ここで、画像表示部310に複数種類の情報を表示する場合、描画制御部331は、複数種類の情報を表示するための複数の画像データを取得する。また、描画制御部331は、センサ350から入力される検出信号に基づいて、虚像を表示する対象空間において虚像を表示する位置に関する位置情報を求める。そして、描画制御部331は、表示対象の虚像の画像データと位置情報とを、画像データ作成部332に出力する。
画像データ作成部332は、描画制御部331から入力される画像データ及び位置情報に基づいて、表示対象の虚像を表示するための画像データを作成する。
出力部333は、画像データ作成部332によって作成された画像データを画像表示部310に出力し、画像表示部310の表示面312に、作成された画像データに基づく画像を表示させる。表示面312に表示された画像が、ウィンドシールドB12に投影されることで、表示システム300により画像(虚像)が表示される。このようにして、表示システム300により表示される画像(虚像)は、ユーザU1に視認される。
(2.3)光学システム
次に、光学システム100について、図1A~図3、及び図6A~図7Bを参照して説明する。
本実施形態では、光学システム100は、導光部材1と、複数の光制御体2と、複数のプリズム3と、を備えている。すなわち、本実施形態に係る光学システム100は、光制御体2を複数備え、さらに、プリズム3についても複数備えている。
また、本実施形態では、光学システム100は、複数の光源4と共に照明システム200を構成している。すなわち、本実施形態に係る照明システム200は、光学システム100と、複数の光源4と、を備えている。
複数の光制御体2は、共通の構成を採用しているので、以下、特に断りが無い限り、1つの光制御体2について説明する構成は、他の光制御体2についても同様である。さらに、複数のプリズム3は、共通の構成を採用しているので、以下、特に断りが無い限り、1つのプリズム3について説明する構成は、他のプリズム3についても同様である。さらに、複数の光源4は、共通の構成を採用しているので、以下、特に断りが無い限り、1つの光源4について説明する構成は、他の光源4についても同様である。
光源4は、例えば、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)素子又は有機EL(OEL:Organic Electro-Luminescence)素子等の固体発光素子である。本実施形態では一例として、光源4は、チップ状の発光ダイオード素子である。このような光源4は、実際には、その表面(発光面)がある程度の面積をもって発光するが、理想的には、その表面の一点から光を放射する点光源とみなすことができる。そこで、以下では、光源4は、理想的な点光源であると仮定して説明する。
本実施形態では、光源4は、図2に示すように、導光部材1の入射面10と所定の間隔を空けて対向するように配置されている。そして、光源4と導光部材1の入射面10との間には、光制御体2が位置している。
本実施形態では、光制御体2は、導光部材1と一体である。本開示でいう「一体」は、複数の要素(部位)について物理的に一体として取り扱うことができる態様を意味する。つまり、複数の要素が一体である、とは、複数の要素が一つにまとまっており、1つの部材のように扱うことができる態様にあることを意味する。この場合において、複数の要素は、一体成形品のように一体不可分の関係にあってもよいし、又は、別々に作成された複数の要素が、例えば、溶着、接着又はかしめ接合等により機械的に結合されていてもよい。すなわち、導光部材1と光制御体2とは、適宜の態様で一体化されていればよい。
より具体的には、本実施形態では、上述したように、導光部材1と光制御体2とは、一体成形品として一体化されている。つまり、本実施形態では、導光部材1と光制御体2とは一体成形品であって、一体不可分の関係にある。そのため、導光部材1における入射面10は、上述したように、導光部材1及び光制御体2の一体成形品の内部に規定される「仮想面」であって、実体を伴わない。
ここで、複数の光源4は、図3に示すように、X軸方向に所定の間隔を空けて並ぶように配置されている。複数の光源4は、複数の光制御体2と一対一に対応している。つまり、複数の光制御体2についても、複数の光源4と同様に、X軸方向に並ぶように配置されている。ここで、X軸方向における複数の光源4のピッチと、複数の光制御体2のピッチとは等しい。
導光部材1は、光源4からの光を、入射面10から導光部材1内に取り込み、導光部材1内を通して出射面である第2面12に導く、つまり導光する部材である。導光部材1は、本実施形態では一例として、アクリル樹脂等の透光性を有する樹脂材料の成形品であって、板状に形成されている。つまり、導光部材1は、ある程度の厚みを有する導光板である。
導光部材1は、上述したように、光が入射する入射面10、並びに互いに対向する第1面11及び第2面12(出射面)を有している。さらに、導光部材1は、入射面10と対向する端面13を有している。
具体的には、本実施形態では、図6A~図6Dに示すように、導光部材1は、矩形板状であって、導光部材1の厚み方向において対向する2面がそれぞれ第1面11及び第2面12である。また、導光部材1の4つの端面(周面)のうちの1つの端面が入射面10である。つまり、導光部材1は、平面視において(Z軸方向の一方から見て)、矩形状に形成されている。ここでは一例として、導光部材1は、X軸方向よりもY軸方向の寸法が小さい、長方形状に形成されている。そして、導光部材1の厚み方向(Z軸方向)の両面が、それぞれ第1面11及び第2面12を構成する。さらに、導光部材1の短手方向(Y軸方向)の両面が、それぞれ入射面10及び端面13を構成する。
このように、導光部材1のY軸方向において互いに対向する2つの端面のうちの一方の端面(図1Aにおける左面)は、複数の光源4から出射される光が、それぞれ複数の光制御体2を通して入射する入射面10である。導光部材1のZ軸方向において互いに対向する2つの面は、それぞれ第1面11及び第2面12である。第1面11は、図1Aにおける下面であり、第2面12は、図1Aにおける上面である。そして、第2面12は、導光部材1の内部から外部へと光を出射する出射面である。したがって、導光部材1は、入射面10である一方の端面から光が入射することにより、出射面である第2面12が面発光する。
また、本実施形態では、第2面12は、X-Y平面と平行な平面である。また、入射面10は、X-Z平面と平行な平面である。ここでいう「X-Y平面」は、X軸及びY軸を含む平面であって、Z軸と直交する平面である。同様に、ここでいう「X-Z平面」とは、X軸及びZ軸を含む平面であって、Y軸と直交する平面である。言い換えれば、第2面12はZ軸と直交する平面であって、入射面10はY軸と直交する平面である。そのため、第2面12と入射面10とは互いに直交する。
一方、第1面11は、X-Y平面に対して平行ではなく、X-Y平面に対して傾斜した平面である。つまり、第1面11と入射面10とは互いに直交していない。具体的には、第1面11は、入射面10から遠ざかるにつれて第2面12に近づくように、X-Y平面に対して傾斜している。つまり、本実施形態では、第1面11と第2面12とは、互いに傾斜している。
また、本実施形態では、第2面12に配光制御部14が設けられている。配光制御部14は、レンズを含んでいる。本実施形態では一例として、シリンドリカルレンズを含んでいる。配光制御部14について詳しくは、「(2.7)配光制御部」の欄で説明する。
光制御体2は、光源4と導光部材1の入射面10との間に配置されている。光制御体2は、光源4から出力されて入射面10に入射する光を制御する。本実施形態では、光制御体2は、光源4から出力された光を平行光に近づけるコリメート機能を有している。すなわち、光制御体2は、光源4から放射状に広がる光が入射すると、この光を入射面10に向けて集光することで、平行光に近づけるコリメートレンズである。ここで、光源4から出射される光は、光制御体2を通して導光部材1の入射面10に入射する。そのため、光源4からの光は、コリメート機能を有する光制御体2にて広がり角を狭めるように制御され、導光部材1の入射面10に向けて出射される。本実施形態では、理想的な点光源としての光源4からの光が、光制御体2にて、理想的な平行光に制御されることと仮定して説明する。
詳しくは「(2.4)斜め入光」の欄で説明するが、本実施形態では、図1Aに示すように、導光部材1の入射面10から入射する光の光軸Ax1は、入射面10から離れるほど第1面11までの距離が小さくなるように、第1面11に対して傾斜している。そのため、光制御体2から導光部材1の入射面10に出射される平行光は、入射面10から離れるほど第1面11までの距離が小さくなるように、第1面11に対して傾斜した平行光となる。また、図面における点線の矢印は、光線(又は光路)を概念的に表しているのであって、実体を伴わない。
本実施形態では、図3に示すように、複数の光制御体2は、導光部材1の入射面10を構成する端部において、X軸方向に並ぶように形成されている。つまり、本実施形態では、光制御体2は、導光部材1と一体である。また、複数の光制御体2は、既に述べたように、それぞれ複数の光源4と一対一に対応している。したがって、複数の光制御体2は、それぞれ対応する光源4が出射する光の広がり角を制御して、光を入射面10へと出射する。光制御体2の形状について詳しくは、「(2.5)形状変換機能」及び「(2.6)非対称形状」の欄で説明する。
プリズム3は、第1面11に設けられており、導光部材1の内部を通る光を第2面12に向けて反射する。本実施形態では、プリズム3は、第1面11に複数設けられている。プリズム3は、入射する光を全反射するように構成されている。もちろん、プリズム3は、入射する光を全て全反射する態様に限らず、一部の光が全反射せずにプリズム3の内部を通過する態様も含み得る。
導光部材1においては、入射面10から入射した光の大部分は、第1面11又は第2面12のうちプリズム3を除いた部位で反射することなく、プリズム3にて反射することで、第2面12から出射される。つまり、導光部材1は、入射面10から入射した光をプリズム3にて直接反射して第2面12から出射させるダイレクト光路L1を含む。
本実施形態では、プリズム3は、X軸方向の一方から見た断面が三角形状の凹部となるように、第1面11に形成されている。プリズム3は、例えば、導光部材1の第1面11面に加工を施すことで形成されている。プリズム3は、図1Bに示すように、導光部材1の内部を通って入射する光を第2面12に向けて反射する反射面30を有している。図1Bは、図1Aの領域A1を拡大した模式的な端面図である。
反射面30と第1面11とがなす角度(つまり、反射面30の傾斜角度)θ1は、反射面30に入射する光の入射角θ0が臨界角以上となるような角度である。つまり、反射面30は、入射する光が全反射するように、第1面11に対して傾斜している。また、反射面30の傾斜角度θ1は、反射面30にて全反射した光が、第2面12に対して垂直な方向で入射するように設定されている。
本実施形態では、図7A及び図7Bに示すように、複数のプリズム3は、Z軸方向の一方から見て、第1面11上において千鳥状(zigzagpattern)に配置されている。ここで、図7Aは、図6Cの領域A1を拡大した模式的な平面図である。図7Bは、図7AのB1-B1線の端面を模式的に表す図面である。図7Aでは、第1面11の一部のみを示しているが、実際には、第1面11の略全域にわたって、複数のプリズム3が形成されている。
具体的には、各プリズム3はX軸方向に長さを有しており、その長手方向(X軸方向)に間隔を空けて複数のプリズム3が並ぶように形成されている。さらに、複数のプリズム3は、Y軸方向においても、間隔を空けて並ぶように形成されている。そして、X軸方向に並ぶ複数のプリズムの列を、Y軸方向において入射面10側から数えて1列目、2列目、3列目…とする場合に、偶数列に含まれる複数のプリズム3と、奇数列に含まれる複数のプリズム3とは、互いにX軸方向にずれた位置にある。ここで、偶数列に含まれる複数のプリズム3と、奇数列に含まれる複数のプリズム3とは、各々の長手方向(X軸方向)の端部同士が、Y軸方向において重複するように配置されている。このような配置によれば、入射面10から見て、複数のプリズム3はX軸方向に隙間なく並ぶことになり、入射面10から導光部材1の内部に入射した光は、複数のプリズム3のうちのいずれかのプリズム3にて反射することになる。
本実施形態では一例として、複数のプリズム3は、全て同一の形状である。そのため、図7Bに示すように、Y軸方向に並ぶ複数のプリズム3においては、反射面30の傾斜角度θ1は同一角度である。また、プリズム3の長手方向の寸法、及びプリズム3としての凹部の深さ(言い換えれば、プリズム3の高さ)等の、プリズム3の大きさについても、複数のプリズム3において同一である。すなわち、本実施形態では、プリズム3は、入射面10に光が入射する方向(Y軸方向)において複数並ぶように設けられている。ここで、複数のプリズム3は、同一形状である。そのため、反射面30に入射する光の入射角θ0が一定であれば、複数のプリズム3のうちのいずれのプリズム3に光が入射する場合でも、プリズム3の反射面30で反射された光の向きは同一となる。したがって、複数のプリズム3で反射された全ての光を、第2面12に対して垂直な方向で入射させることが可能である。
さらに、一例として、プリズム3としての凹部の深さ(言い換えれば、プリズム3の高さ)は、1μm以上、100μm以下である。同様に、一例として、複数のプリズム3のY軸方向におけるピッチは1μm以上1000μm以下である。具体例として、プリズム3としての凹部の深さは十数μmであって、複数のプリズム3のY軸方向におけるピッチは百数十μmである。
以下、本実施形態の光学システム100の発光原理について図1A及び図1Bを用いて説明する。
まず、図1Aに示すように、光源4から出射される光は、対応する光制御体2を通過することにより、広がり角を制御される。そして、光制御体2から導光部材1の入射面10に向かって、広がり角を制御された光が出射される。本実施形態では、光制御体2から出射される光は、第2面12と平行な平行光となり、入射面10に対して垂直に入射する。
また、既に述べたように、導光部材1の入射面10から入射する光の光軸Ax1は、入射面10から離れるほど第1面11までの距離が小さくなるように、第1面11に対して傾斜している。そのため、入射面10に入射する光の大部分は、第2面12、及び導光部材1の入射面10と対向する端面13に到達せずに、第1面11に到達することになる。
そして、図1Bに示すように、入射面10に入射する光の大部分は、第1面11及び第2面12にて反射することなく、第1面11に設けられた複数のプリズム3のうちのいずれかのプリズム3の反射面30にて全反射する。つまり、導光部材1は、入射面10から入射した光をプリズム3にて直接反射して第2面12から出射させるダイレクト光路L1を含んでいる。さらに、本実施形態では、ダイレクト光路L1は、プリズム3にて全反射する光の光路を含んでいる。プリズム3の反射面30にて全反射した光は、第2面12と直交する光路を辿り、第2面12から出射される。
ここで、本実施形態では、上述したように、複数のプリズム3において反射面30の傾斜角度θ1は同一角度である。このような複数のプリズム3に対して、第2面12と平行な平行光が入射することで、反射面30に入射する光の入射角θ0も一定になる。そのため、複数のプリズム3のうちのいずれのプリズム3においても、反射面30で反射された光の向きは同一となる。したがって、本実施形態では、ダイレクト光路L1で第2面12に到達する光は全て、第2面12に対して同一の角度で入射する。ここでいう「同一の角度」は、厳密に同一の角度だけでなく、2度又は3度程度までの誤差を含んでいてもよい。理想的には、ダイレクト光路L1で第2面12に到達する光は全て、第2面12に対して90度、つまり直交する向きで入射する。
本実施形態では、複数のプリズム3が第2面12の全域にわたって配置されているので、上述したようなダイレクト光路L1を通した光は、導光部材1の第2面12の全域から万遍なく出射される。これにより、第2面12全体が面発光することになる。
以下、本実施形態の光学システム100の利点について、一般的な導光部材(導光板)との比較を交えて説明する。
一般的な導光部材においては、導光部材の入射面から入射した光は、導光部材の厚み方向の両面(第1面11及び第2面12に相当する)で複数回反射を繰り返しながら、導光部材の内部を導光される。そして、導光部材の厚み方向の一面(第1面11に相当する)に設けられたプリズムによって、全反射の条件(つまり、入射角≧臨界角)が崩されることで、出射面としての導光部材の厚み方向の他面(第2面12に相当する)から光が出射される。これにより、一般的な導光部材においても、出射面全体が面発光することになる。
しかしながら、上述したような一般的な導光部材では、導光部材の入射面から入射した光は、導光部材の厚み方向の両面で複数回反射を繰り返すことで、導光部材において入射面から離れた部位まで導光される。そのため、光の全反射の回数が増えれば増えるほど、全反射の条件(つまり、入射角≧臨界角)が崩れやすく、導光部材の厚み方向の一面(第1面11に相当する)から光が漏れ出る可能性が高くなる。
特に、本実施形態に係る表示システム300のように、移動体B1に搭載されるヘッドアップディスプレイに、導光部材を含む光学システムを適用する場合、導光部材については、比較的狭い視野角と、大きな光強度と、が要求される。すなわち、ヘッドアップディスプレイでは、光学系320に合わせて導光部材から配光が制御されることが好ましいため、一般的な液晶ディスプレイのバックライト用の導光部材に比較して、狭い視野角が要求される。一般的な導光部材においては、視野角を狭くすることは難しいので、一般的な導光部材をヘッドアップディスプレイに用いた場合、不必要な方向にも光が出射されやすい。
一方、本実施形態に係る光学システム100では、上述のように光制御体2及びプリズム3を備えているので、導光部材1の入射面10に入射する光の大部分は、ダイレクト光路L1を辿ることになる。つまり、本実施形態では、導光部材1の入射面10に入射する光の大部分は、第1面11及び第2面12にて全反射を繰り返すことなく、直接、プリズム3に入射して第2面12から出射することになる。このため、本実施形態では、一般的な導光部材のように、全反射の条件が崩れるということもないので、第1面11から光が漏れ出しにくく、結果として光の取り出し効率の向上を図ることができる。また、入射面10に入射する光の大部分が平行光であるため、光が広がりにくく、プリズム3で反射して第2面12から出射する光についても、比較的狭い出射角度を維持できる。本実施形態に係る光学システム100では、入射面10に入射する光の大部分について、このように狭い角度で出射しつつ、ダイレクト光路L1を用いることで比較的大きな光強度を実現できる。
本実施形態では、ダイレクト光路L1で第2面12から出射される光は、入射面10から導光部材1に入射する光の50%以上である。すなわち、導光部材1の入射面10に入射する光の一部は、ダイレクト光路L1を通らないこともあるが、本実施形態では、入射面10に入射する光の大半(半分以上)は、ダイレクト光路L1を通して第2面12から出射される。これにより、導光部材1における光の取り出し効率は、少なくとも50%となる。導光部材1における光の取り出し効率は、70%以上であることがより好ましく、更に、80%以上であってもよい。
このように、導光部材1における光の取り出し効率が向上することで、導光部材1の第1面11側において、反射シート、プリズムシート、反射型偏光性フィルム(DBEF:Dual Brightness Enhancement Film)、フレネルレンズシート等の光学素子が不要になる。つまり、第1面11から光が漏れ出しにくいので、これらの光学素子を導光部材1の第1面11側に配置するまでもなく、十分な光の取り出し効率が実現可能である。
(2.4)斜め入光
次に、導光部材1の入射面10からの入光(光の入射)に関する構成について、図1A及び図1Bを参照して詳しく説明する。
すなわち、本実施形態に係る光学システム100では、図1Aに示すように、入射面10から入射する光の光軸Ax1は、入射面10から離れるほど第1面11までの距離が小さくなるように、第1面11に対して傾斜している。特に、本実施形態では、導光部材1の入射面10には、光制御体2から平行光が入射するので、この平行光に含まれる光線は、いずれも第1面11に対して傾斜することになる。しかも、本実施形態では、第1面11は平面であって、導光部材1の入射面10に入射した平行光に含まれる光線は、第1面11に対して同一の角度で傾斜する。
具体的には、第1面11と第2面12とは、非平行であって、互いに傾斜している。すなわち、上述したように、第2面12は、X-Y平面と平行な平面であるのに対して、第1面11は、X-Y平面に対して平行ではなく、X-Y平面に対して傾斜した平面である。ここで、第1面11は、入射面10から遠ざかるにつれて第2面12に近づくように、X-Y平面に対して傾斜している。要するに、導光部材1は、厚み方向の両面である第1面11及び第2面12が互いに傾斜していることで、その厚みが一定ではなく、ある方向において徐々に薄くなるように厚みが変化する。本実施形態では、第1面11は、Y軸方向において、入射面10から遠ざかるにつれて第2面12に近づくように、第2面12に対して傾斜している。そのため、導光部材1の厚みは、入射面10側の端部が最も大きく、Y軸方向において、入射面10から遠ざかるにつれて、つまり端面13に近づくにつれて、徐々に小さくなる。
一方で、入射面10から入射する光は、光制御体2によって、第2面12と平行な平行光に制御されている。つまり、入射面10から入射する光の光軸Ax1は、第2面12と平行である。したがって、入射面10から入射する光の光軸Ax1は、第1面11に対しては、所定の傾斜角度で傾斜することになり、その傾斜角度は、X-Y平面(第2面12)に対する第1面11の傾斜角度と同一である。
より詳細には、光制御体2は、図1Aに示すように、光源4と入射面10との間に光の経路L31,L32,L33を形成する経路生成部23を有している。経路生成部23は、入射面10から見て、第1面11に対して傾斜する直線(ここでは光軸Ax1)に沿って延び、かつ光源4と入射面10との間に光の経路L31,L32,L33を形成する。つまり、本実施形態では、上述したように、光制御体2は導光部材1と一体である。
言い換えれば、光制御体2は、導光部材1の入射面10から見ると、第1面11に対して傾斜する光軸Ax1に沿って突出する部分(経路生成部23)を含んでいる。そして、光制御体2は、この経路生成部23にて、光源4と入射面10との間に、光の経路L31,L32,L33を形成する。したがって、光源4からの光は、光制御体2のうちの経路生成部23を通して、第1面11に対して傾斜する光軸Ax1に沿って入射面10に入射する。つまり、光源4からの光は、光制御体2の内部(経路生成部23)を通して、導光部材1の入射面10に入射する。このようにして入射面10から入射する光の光軸Ax1は、第1面11に対しては、所定の傾斜角度で傾斜することになる。
上述した構成によれば、入射面10から導光部材1に入射する光は、導光部材1の内部を通って、第1面11に対して斜めに入射する。言い換えれば、入射面10から導光部材1に入射する光は、積極的に第1面11に向けて入射する。このとき、第1面11に形成されている複数のプリズム3に光が入射することによって、図1Bに示すように、プリズム3の反射面30にて、第2面12に向けて光が反射される。これにより、入射面10から導光部材1に入射した光は、ダイレクト光路L1を通して、第2面12から出射されることになる。
このように、入射面10から入射した光は、入射面10から離れるほど、つまり導光部材1の内部を進むにつれて、第1面11に近づくことになり、第1面11(プリズム3を含む)に対して入射しやすい。そのため、入射面10から入射した光の大部分は、導光部材1のうち入射面10と対向する端面13に到達する前に、第1面11に入射しやすくなる。特に、積極的に第1面11に向けて入射することで、導光部材1のY軸方向の寸法を小さくしつつも、入射面10から入射した光の大部分を、ダイレクト光路L1にて第2面12から出射することができる。言い換えれば、端面13から光が漏れ出ることを抑制しながらも、効率的に、第2面12から光を出射することが可能である。結果的に、ダイレクト光路L1を通して第2面12から導光部材1外に出射される光の、入射面10から入射した光に占める割合を高めやすく、光の取り出し効率の向上を図ることができる。
また、本実施形態では、図1Aに示すように、端面13は、Z軸方向において、傾斜面131と、垂直面132と、に二分されている。言い換えれば、端面13は、傾斜面131と、垂直面132と、を含んでいる。傾斜面131は、Y軸方向における入射面10からの距離が、第1面11側よりも第2面12側で大きくなるように、入射面10に対して傾斜する平面である。一方、垂直面132は、入射面10に対して平行な平面である。ここで、傾斜面131は第2面12に隣接し、垂直面132は第1面11に隣接する。
端面13が、このような傾斜面131を有することで、入射面10から入射した光の一部が、第1面11に入射せずに、端面13まで到達することがあっても、この光を第2面12から出射することが可能である。すなわち、入射面10から入射した光の一部が、端面13の傾斜面131に入射すると、この光は、傾斜面131にて第2面12に向けて全反射され、第2面12から出射される。その結果、ダイレクト光路L1を通して第2面12から導光部材1外に出射される光に加えて、端面13に達した光までも、第2面12から有効に取り出すことができ、光の取り出し効率の更なる向上を図ることができる。
(2.5)形状変換機能
次に、光制御体2における形状変換機能について、図2、及び図8A~図11Bを参照して詳しく説明する。
すなわち、本実施形態に係る光学システム100では、図2に示すように、光制御体2は、入射面10に平行な投影面S1に投影される形状を、光源4から出力される光の第1形状F1から、入射面10に入射する光の第2形状F2に変換する形状変換機能を有する。図2においては、光源4から出力される光についての投影面S1に投影される形状(第1形状F1)、及び入射面10に入射する光についての投影面S1に投影される形状(第2形状F2)を、それぞれ吹出し内に模式的に表記している。このように、本実施形態では、光制御体2は、光源4から出力された光を平行光に近づけるコリメート機能に加えて、投影面S1(ここでは入射面10)への光の投影形状を変換する、形状変換機能を有している。
形状変換機能によれば、光源4から出力される光は、投影面S1への投影形状が、第1形状F1から第2形状F2へと変換されて、入射面10に入射することになる。第2形状F2は、第1形状F1を基に形状変換機能にて変換された形状であって、第1形状F1とは異なる形状である。本実施形態では一例として、図2に示すように、第1形状F1が円形を基調とする形状であるのに対して、第2形状F2は四角形を基調とする形状である。
より詳細には、第2形状F2は、円形を基調とする第1形状F1が、少なくとも1つの角部F21を張り出させることで四角形に近づくように変形された形状である。つまり、第1形状F1を四方に引き伸ばすように拡張した形状が、第2形状F2となる。このような形状変換機能によれば、第1形状F1は、第2形状F2の内接円によって近似される。したがって、第2形状F2の外接円は、第1形状F1の外接円よりも大きい。
言い換えれば、第2形状F2は、第1形状F1を多角形状に近づけるように、第1形状F1に対して少なくとも1つの角部F21を追加した形状である。このような形状変換機能によれば、入射面10に対しては、その投影(照射)領域が、第1形状F1に比べて丸みを抑えた第2形状F2となるような光が入射することになる。よって、入射面10の隅付近に対しても光が入射することで、入射面10の全域に、より均一な光が入射することになる。
本実施形態では、上述したように、光源4及び光制御体2は、それぞれ複数設けられている。そのため、複数の光制御体2が、それぞれ対応する光源4から入射した光について、形状変換機能により、入射面10に入射する光の形状を変換することで、入射面10の全域に、より均一な光が入射することになる。例えば、円形を基調とする第1形状F1の光が入射面10に入射する場合、隣接する2つの光源4から入射面10に入射する光の間には、隙間又は重複部位が生じやすい。これに対して、四角形を基調とする第2形状F2の光が入射面10に入射することで、隣接する2つの光源4から入射面10に入射する光の間においては、隙間又は重複部位が生じにくい。
上述したような形状変換機能は、例えば、以下に説明する光制御体2の構成によって実現可能である。
すなわち、本実施形態では、図8A~図8Cに示すように、光制御体2(光学部材20)は、入射レンズ21を備えている。図8Bは、図8AのB1-B1線断面図である。図8Cは、図8AのC1-C1線断面図である。
入射レンズ21は、主入射面211と、副入射面212と、を有している。主入射面211は、光源4と対向するように配置される。副入射面212は、主入射面211の法線L21に向けられている。副入射面212は、主入射面211の周囲の少なくとも一部に位置する。副入射面212は、主入射面211の法線L21に対して、平行であっても(つまり傾斜していなくても)よいし、傾斜していてもよい。
ここで、入射レンズ21は、光源4から出力された光を、主入射面211及び副入射面212から内部に取り込む。そのため、光源4からの光の少なくとも一部は、入射レンズ21を通過する際に、主入射面211又は副入射面212に対する光線の入射角に応じて、主入射面211又は副入射面212にて屈折する。このように、光制御体2は、主入射面211又は副入射面212に入射した光の少なくとも一部を屈折させることにより、導光部材1の入射面10に向けて出射する。
また、光制御体2は、外周面213を更に備えている。外周面213は、副入射面212から見て、主入射面211の法線L21とは反対側に位置する。外周面213は、副入射面212から光制御体2に入射した光を、導光部材1の入射面10に向けて全反射する。つまり、副入射面212から光制御体2に入射した光の少なくとも一部は、外周面213にて全反射されることで、導光部材1の入射面10に向けて出射される。
ところで、光制御体2は、光源4との対向面に、複数のレンズ面201~205を有する。ここでいう「対向面」は、対向する面、つまり光制御体2における光源4との対向面は、光制御体2のうち、光源4と向かい合わせとなる面である。本実施形態では一例として、光制御体2における光源4との対向面は、光制御体2のうち入射レンズ21からなる。上述したように、入射レンズ21は、主入射面211と、副入射面212と、を有するところ、本実施形態では一例として、副入射面212が、複数のレンズ面201~205に分割されている。副入射面212は、光制御体2における光源4との対向軸を中心とする周方向において、複数(ここでは5つ)のレンズ面201~205に分割されている。ここでいう「対向軸」は、対向する方向に延びる仮想軸を意味する。つまり、光制御体2における光源4との対向軸は、光制御体2から光制御体2と光源4とが向かい合う方向に沿って延びる仮想軸である。本実施形態では一例として、光制御体2における光源4との対向軸は、主入射面211の法線L21(図2参照)である。
光制御体2における光源4との対向面の、光源4との対向軸に対する傾斜角度は、対向軸を中心とする周方向において異なる。具体的には、光制御体2における光源4との対向面(ここでは入射レンズ21)は、上述したように、複数のレンズ面201~205を含んでいる。そして、複数のレンズ面201~205の、対向軸(ここでは法線L21)に対する傾斜角度は、対向軸を中心とする周方向において一定ではない。具体的には、レンズ面202,204の対向軸に対する傾斜角度は、レンズ面201,203,205の対向軸に対する傾斜角度よりも大きい。言い換えれば、レンズ面202,204は、レンズ面201,203,205に比較すると、法線L21に対する傾きが大きくなるように構成されている。
また、光制御体2における光源4との対向面は、光源4との対向軸(ここでは法線L21)に直交する一方向において非対称形状を有する。本実施形態は、光制御体2における光源4との対向面である入射レンズ21は、Z軸方向において非対称形状を有している。具体的には、入射レンズ21は、主入射面211から見て、Z軸方向の一方側にのみ副入射面212(レンズ面202,203,204)を有し、Z軸方向の他方側は開放されている。
以上説明したような構成によれば、光制御体2にて、形状変換機能を実現でき、導光部材1の内部において入射面10から入射した光が届く範囲を、光源4から出力される光の形状である第1形状F1によらずに、制御することが可能である。
図9A~図11Bは、本実施形態に係る光学システム100の光制御体2と、比較例に係る光制御体2Xと、の比較結果を示す図面である。比較例に係る光制御体2Xは、副入射面212が複数のレンズ面201~205に分割されておらず、1つの連続した曲面からなる。
図9A~図11Bにおいては、光源4からの光が届く範囲を、網掛領域(ドット)で模式的に表している。ここで網掛領域は、光源4からの光の強度に応じて3段階設定されており、光の強度が大きい箇所ほど濃い網掛を付している。図11Aは、本実施形態に係る光制御体2から導光部材1に光を出射した場合における、導光部材1を厚み方向(Z軸方向)の第1面11側から見たときの第1面11における光の強度分布(厳密には照度分布)を表している。図11Bは、比較例に係る光制御体2Xから導光部材1に光を出射した場合における、導光部材1を厚み方向(Z軸方向)の第1面11側から見たときの第1面11における光の強度分布(厳密には照度分布)を表している。図11A及び図11Bは、いずれも1つの光制御体2,2Xから導光部材1に入射した光についての強度分布(照度分布)を表している。
すなわち、本実施形態に係る光制御体2においては、図9A及び図10Aに示すように、光源4から出力される光は入射レンズ21から光制御体2に入射し、光制御体2の内部において比較的広範囲に広がる。特に、光制御体2の形状変換機能によれば、投影面S1(入射面10)への投影形状が、円形を基調とする第1形状F1(図2参照)から四角形を基調とする第2形状F2(図2参照)へと変換される。具体的には、レンズ面202,204に入射した光は、レンズ面201,203,205に入射した光に比較して、主入射面211の法線L21の延長方向の一方から見て、法線L21からより離れた位置に到達する。つまり、レンズ面202,204は、レンズ面201,203,205に比較して対向軸(ここでは法線L21)に対する傾斜角度が大きいため、レンズ面202,204に入射した光線は、法線L21に対する傾斜角度がより大きくなるように屈折する。その結果、副入射面212のうちのレンズ面202,204から入射する光によって、光制御体2の隅まで光が届きやすくなる。
これに対して、比較例に係る光制御体2Xにおいては、図9B及び図10Bに示すように、光源4から出力される光は入射レンズ21から光制御体2Xに入射し、光制御体2Xの内部において比較的狭い範囲にとどまる。具体的には、副入射面212に入射した光は、主入射面211の法線L21の延長方向の一方から見て、一様に広がることになり、法線L21から一定の範囲内にしか到達しない。その結果、光制御体2Xの隅には光が届きにくく、本実施形態に係る光制御体2に比較すると、主入射面211の法線L21の延長方向の一方から見て、光の届く範囲が狭くなる。
そのため、本実施形態に係る光制御体2によれば、図11Aに示すように、入射面10から入射する光は、導光部材1の内部においても比較的広範囲に広がることになる。一方、比較例に係る光制御体2Xによれば、図11Bに示すように、入射面10から入射する光が届く範囲は、導光部材1の内部においても比較的狭い範囲に制限されることになる。より詳細には、本実施形態に係る光制御体2によれば、図11Aに示すように、導光部材1を厚み方向(Z軸方向)の一方から見たときに、略長方形状の領域に光が届く。これに対して、比較例に係る光制御体2Xによれば、図11Bに示すように、導光部材1を厚み方向(Z軸方向)の一方から見たときに、略楕円形状の領域に光が届く。したがって、複数の光制御体2から導光部材1に光が入射した場合に、本実施形態では、比較例に比べて、第1面11の全域に光が届きやすくなり、第2面12の全域から一様に光を取り出しやすくなる。
(2.6)非対称形状
次に、光制御体2における非対称形状について、図2、及び図12A~図12Cを参照して詳しく説明する。
すなわち、本実施形態に係る光学システム100に光制御体2として用いられる光学部材20は、図2に示すように、入射レンズ21と、出射部22と、を備えている。光学部材20は、光源4から入射レンズ21に入射した光を、出射部22から出射する。入射レンズ21は、主入射面211と、副入射面212と、を有している。主入射面211は、光源4と対向するように配置される。副入射面212は、主入射面211の法線L21に向けられている。副入射面212は、主入射面211の周囲の少なくとも一部に位置する。光源4の光軸Ax2は、主入射面211の法線L21に対して傾斜している。
図2の例では、光源4の光軸Ax2は、X軸方向の一方から見て、主入射面211の法線L21に対して、第1面11側に向けて傾斜角度θ2だけ傾斜している。ここにおいて、光源4の光軸Ax2及び主入射面211の法線L21は、いずれもY-Z平面と平行である。ここでいう「Y-Z平面」は、Y軸及びZ軸を含む平面であって、X軸と直交する平面である。言い換えれば、光源4の光軸Ax2及び主入射面211の法線L21は、いずれもX軸と直交する。
より詳細には、光源4の光軸Ax2と主入射面211の法線L21とは、光源4の表面(発光面)上で交差する。言い換えれば、光源4は、その発光面の中心点が、主入射面211の法線L21上に位置するように配置される。その上で、光源4は、第1面11側に向けて傾斜角度θ2だけ傾斜した姿勢で保持される。これにより、光学部材20の入射レンズ21に対しては、主入射面211の法線L21に対して非対称な形で、光源4からの光が入射することになる。
ところで、光源4は指向性を有しており、光源4から出力される光は、光源4から見た方向に応じて強度が変化する。例えば、光源4から出射される光線の強度のうち最大強度を「100%」とし、光源4から各光線の強度を最大強度に対する百分率で表した場合に、光源4から出射される光には、10%、20%又は30%等、様々な強度の光線が含まれている。以下では、光源4の光軸Ax2上の光線の強度が最大強度、つまり強度100%であって、光軸Ax2に対する角度が大きくなるほど光線の強度は小さくなると仮定する。
入射レンズ21に光源4から入射した光線は、図12Aに示すように、主光線L11と、第1補助光線L12及び第2補助光線L13と、を含む。第1補助光線L12及び第2補助光線L13は、いずれも主光線L11よりも強度が小さい。ここで、主光線L11、第1補助光線L12及び第2補助光線L13は、主入射面211の法線L21と直交する方向において、主光線L11、第1補助光線L12、第2補助光線L13の順に並ぶ。第1補助光線L12及び第2補助光線L13は、いずれも主光線L11よりも強度が小さければよく、例えば、主光線L11の強度が90%であれば、第1補助光線L12及び第2補助光線L13の強度はいずれも90%より小さい。第1補助光線L12及び第2補助光線L13の強度は、同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。
具体的には、これらの光線は、主入射面211の法線L21と直交するZ軸方向において、第1面11側(図12Aの下方)から、主光線L11、第1補助光線L12、第2補助光線L13の順に並ぶ。すなわち、主光線L11、第1補助光線L12及び第2補助光線L13は、強度の大きい順に、第1面11側から並ぶことになる。
ここにおいて、本実施形態では、主光線L11の強度は、入射レンズ21に光源4から入射した光線の中で最大強度である。つまり、主光線L11の強度は100%である。これに対して、第1補助光線L12及び第2補助光線L13の強度は、いずれも100%未満である。本実施形態では一例として、第1補助光線L12及び第2補助光線L13の強度は、いずれも70%であると仮定する。つまり、第1補助光線L12及び第2補助光線L13の強度は、同一である。
一方、光源4から出射される光線は、図12Aに示すように、主光線L11、第1補助光線L12及び第2補助光線L13に加えて、第3補助光線L14及び第4補助光線L15を含む。第3補助光線L14及び第4補助光線L15は、それぞれ第1補助光線L12及び第2補助光線L13のいずれよりも強度が小さい。第3補助光線L14及び第4補助光線L15の強度は、同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。本実施形態では一例として、第3補助光線L14及び第4補助光線L15の強度は、いずれも10%であると仮定する。つまり、第3補助光線L14及び第4補助光線L15の強度は、同一である。
図12Aの例では、これら第3補助光線L14及び第4補助光線L15は、いずれも光学部材20に入射しない。つまり、第3補助光線L14及び第4補助光線L15は、導光部材1の入射面10に到達しない。ただし、これら第3補助光線L14及び第4補助光線L15は、主光線L11、第1補助光線L12及び第2補助光線L13に比べると、強度が十分に小さいため、入射面10に到達しないことによる損失は小さい。
さらに、本実施形態では、主光線L11は、副入射面212に入射する。すなわち、入射レンズ21における主入射面211及び副入射面212のうち、副入射面212に主光線L11が入射する。副入射面212に入射した主光線L11は、図12Aに示すように、副入射面212で屈折し、外周面213にて入射面10に向けて全反射される。これにより、主光線L11は、入射面10に向けて出射部22から出射される。
また、副入射面212は、主入射面211の法線L21に対して非対称形状を有する。本実施形態は、入射レンズ21は、Z軸方向において非対称形状を有している。具体的には、入射レンズ21は、主入射面211から見て、Z軸方向の一方側にのみ副入射面212(レンズ面202,203,204)を有し、Z軸方向の他方側は開放されている。
つまり、主光線L11、第1補助光線L12及び第2補助光線L13を含む、比較的強度の大きな光線は、光学部材20(光制御体2)のうち、主入射面211の法線L21から見て第1面11側(図12Aの下方)に集中する。そこで、光学部材20(光制御体2)は、このように比較的強度の大きな光線が集中する部分のみに入射レンズ21を集約し、反対側(図12Aの上方)を簡素化した非対称形状を採用することで、Z軸方向における寸法t1を小さく抑えやすい。
一方、図12Bは、光学部材20Yを備えた比較例としての光学システム100Y、及びそれを備える照明システム200Yを示す。この比較例に係る照明システム200Yでは、光学部材20Yは、Z軸方向において、主入射面211の法線L21に対して対称形状を有する。具体的には、光学部材20Yは、本実施形態に係る光学部材20における、主入射面211の法線L21から見て、第1面11側(図12Aの下方)の構成と対称な構成を、反対側(図12Aの上方)に採用してなる。
さらに、比較例に係る照明システム200Yでは、光源4は、その光軸Ax2が主入射面211の法線L21上に位置する。つまり、比較例においては、光源4の光軸Ax2は、主入射面211の法線L21と平行である。
このような比較例においては、図12Bに示すように、主光線L11は、光源4の光軸Ax2上に位置する。また、Z軸方向において、主光線L11の両側には第3補助光線L14及び第4補助光線L15が位置し、その更に両側には、第1補助光線L12及び第2補助光線L13が位置する。結果的に、比較例に係る照明システム200Yでは、主光線L11、第1補助光線L12及び第2補助光線L13を含む、比較的強度の大きな光線は、いずれも導光部材1の入射面10に入射する。ただし、比較例に係る光学部材20Yにおいては、Z軸方向において対称形状を採用するので、Z軸方向の寸法t2は、本実施形態に係る光学部材20の寸法t1よりも大きくなる。
一方、図12Cは、別の光学部材20Zを備えた比較例としての光学システム100Z、及びそれを備える照明システム200Zを示す。この比較例に係る照明システム200Zでは、光学部材20Zは、上記比較例に係る光学部材20YのZ軸方向の両端を除去し、薄型化を図った構成である。この光学部材20ZのZ軸方向の寸法t3は、本実施形態に係る光学部材20の寸法t1と同一である。
さらに、比較例に係る照明システム200Zでは、光源4は、その光軸Ax2が主入射面211の法線L21上に位置する。つまり、比較例においては、光源4の光軸Ax2は、主入射面211の法線L21と平行である。
このような比較例においては、図12Cに示すように、主光線L11は、光源4の光軸Ax2上に位置する。また、Z軸方向において、主光線L11の両側には第3補助光線L14及び第4補助光線L15が位置する。ただし、第1補助光線L12及び第2補助光線L13については、光学部材20Zから漏れ出すことになり、導光部材1の入射面10に入射しない。結果的に、比較例に係る照明システム200Zでは、第1補助光線L12及び第2補助光線L13を含む、比較的強度の大きな光線が、導光部材1の入射面10に入射せず、光の取り出し効率が本実施形態に比べて著しく低くなる。
以上説明したように、本実施形態に係る光学部材20では、図12B及び図12Cの比較例と比較して、小型化を図りながらも、光学部材20における光の取り込み効率の向上を図ることができる。
(2.7)配光制御部
次に、配光制御部14について、図3を参照して詳しく説明する。
すなわち、本実施形態では、第1面11と第2面12との少なくとも一方は、配光制御部14を有している。配光制御部14は、出射面である第2面12から取り出される光の配光を制御する。本実施形態では一例として、配光制御部14は、第2面12に設けられている。さらに、本実施形態では、配光制御部14は、導光部材1と一体成形品として一体化されている。つまり、本実施形態では、導光部材1と配光制御部14とは一体成形品であって、一体不可分の関係にある。
要するに、本実施形態では、導光部材1は、入射面10から導光部材1内に入射した光を、導光部材1の内部においてはプリズム3での1回の反射のみで第2面12から出射させるようなダイレクト光路L1を含んでいる。そのため、第1面11及び第2面12の形状は導光部材1の内部での光の導光には寄与しておらず、第1面11又は第2面12に配光制御部14を設けても、導光部材1における導光性能が劣化しにくい。
具体的には、本実施形態における配光制御部14は、レンズを含んでいる。つまり、配光制御部14は、光を屈折させて発散又は集束させるための光学素子としてのレンズの機能を有している。これにより、配光制御部14では、出射面である第2面12から取り出される光を屈折させて発散又は集束させることにより、その配光を制御することができる。
より詳細には、配光制御部14は、複数の小レンズ141の群からなるマルチレンズを含んでいる。本実施形態では、複数の小レンズ141の各々は、半円柱状に形成されている。このような複数の小レンズ141は、X軸方向に並べて配置されている。ここでは、複数の小レンズ141は、第2面12の全域に隙間なく形成されている。このような形状の複数の小レンズ141の群からなるマルチレンズは、いわゆるシリンドリカルレンズを構成する。
(3)変形例
実施形態1は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態1は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。実施形態1において説明した各図は模式的な図であり、図中の構成要素の大きさ及び厚みの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
以下、実施形態1の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、実施形態1と適宜組み合わせて適用可能である。
(3.1)第1変形例
第1変形例に係る光学システム100Aは、図13A~図13Cに示すように、プリズム3Aの反射面30の第1面11に対する傾斜角度θ3が、実施形態1に係る光学システム100と相違する。
すなわち、図13Bに示すように、プリズム3Aの反射面30の第1面11に対する傾斜角度θ3は、入射面10から入射した光を、ダイレクト光路L1で第2面12に向けて全反射するときの最大角度よりも小さい。言い換えれば、本変形例におけるプリズム3Aの反射面30の傾斜角度θ3は、実施形態1におけるプリズム3の反射面30の傾斜角度θ1(図1B参照)よりも小さい。これにより、反射面30に入射する光の入射角θ4が多少ばらつく場合でも、入射角θ4が臨界角を下回りにくくなる。つまり、反射面30に入射する光の入射角θ4が多少ばらつく場合でも、反射面30に入射する光は反射面30で全反射されやすくなる。結果的に、反射面30を透過して導光部材1から漏れ出る光を低減でき、光の取り出し効率の向上につながる。
ただし、本変形例においては、ダイレクト光路L1で第2面12に入射される光線は、Z軸に対して傾斜した光路を辿ることになる。その結果、図13Aに示すように、第2面12から出射される光は、第2面12に直交する方向(Z軸方向)ではなく、第2面12の法線に対して斜めに出射されることになる。
そこで、図13Cに示すように、第2面12Aの法線L22は、ダイレクト光路L1で第2面12Aに入射する光の光軸に対して傾斜していてもよい。図13Cの例では、第2面12Aは、X-Y平面に対して平行ではなく、X-Y平面に対して角度θ5だけ傾斜した平面である。ここで、第2面12Aは、入射面10から遠ざかるにつれて第1面11に近づくように、X-Y平面に対して傾斜している。これにより、第2面12Aの法線L22は、ダイレクト光路L1で第2面12Aに入射する光の光軸に対して傾斜する。そのため、ダイレクト光路L1で第2面12Aに入射する光線は、第2面12Aにて屈折し、X-Y平面と直交する方向に出射される。つまり、第2面12Aに対して、入射角θ6で入射する光は、第2面12Aから出射角θ7(>θ6)で出射される。
(3.2)第2変形例
第2変形例に係る光学システム100Bは、図14A及び図14Bに示すように、光制御体2Bの全体が導光部材1に対して傾斜している点で、実施形態1に係る光学システム100と相違する。
すなわち、「(2.4)斜め入光」の欄で説明した構成を実現するためには、導光部材1の入射面10から入射する光の光軸Ax1が、入射面10から離れるほど第1面11までの距離が小さくなるように、第1面11に対して傾斜していればよい。本変形例によれば、光制御体2Bの厚み方向(Z軸方向)の両面が、導光部材1に対して傾斜することで、光制御体2Bの全体が導光部材1に対して傾斜する。このような構成であっても、ダイレクト光路L1を通して第2面12から導光部材1外に出射される光の、入射面10から入射した光に占める割合を高めやすく、光の取り出し効率の向上を図ることができる。
特に、本変形例では、図14Bに示すように、導光部材1の入射面10から入射する光の光軸Ax1が、第1面11に対してだけでなく、第2面12に対しても傾斜する。ここでは、光軸Ax1は、入射面10から離れるほど第2面12までの距離が大きくなるように、第2面12に対して傾斜している。このように第2面12に対して光軸Ax1が傾斜していれば、図14Bに示すように、入射面10に入射する光が端面13により到達しにくくなる。その結果、端面13から光が漏れ出ることを抑制しながらも、効率的に、第2面12から光を出射しやすくなる。
また、本変形例では、図14Bに示すように、第2面12から出射される光は、第2面12に直交する方向(Z軸方向)ではなく、第2面12の法線に対して斜めに出射される。すなわち、本変形例であっても、図13Aに示した第1変形例と同様に、ダイレクト光路L1で第2面12に入射される光線は、Z軸に対して傾斜した光路を辿ることになるため、第2面12に対しては斜めに入射する。
このように、ダイレクト光路L1を通して第2面12から出射される光は、第2面12に直交する方向に出射される構成に限らず、第2面12の法線に対して、適当な角度で傾斜していてもよい。さらには、ダイレクト光路L1を通して第2面12から出射される光の向きは、第2面12の全域において均一であってもよいし、均一でなくてもよい。第2面12から出射される光の向きが、第2面12の全域で均一でない場合には、第2面12における部位ごとに、異なる向きに光が出射されることになる。
特に、移動体B1に搭載されるヘッドアップディスプレイに、導光部材1を含む光学システム100Bを適用する場合、上述したように、光学系320に合わせて導光部材1からの配光が制御されることが好ましい。言い換えれば、光学系320に合わせて、光学系320に入射する範囲には、光学システム100Bから出射される光を広げることが好ましい。すなわち、光学系320に合わせて、導光部材1の出射面である第2面12における各部位においては、出射される光の視野角が狭い、つまり指向性が高いことが好ましい。その一方で、導光部材1の出射面である第2面12における部位ごとに、光学系320に合わせて、出射される光の向きが異なっていることが好ましい。
ただし、ダイレクト光路L1を通して第2面12から出射される光が第2面12の法線に対して傾斜するのは、光軸Ax1が第2面12に対して傾斜している構成を前提とする訳ではない。つまり、実施形態1のように光軸Ax1が第2面12と平行な場合において、ダイレクト光路L1を通して第2面12から出射される光は、第2面12の法線に対して適当な角度で傾斜してもよい。反対に、光軸Ax1が第2面12に対して傾斜している構成において、ダイレクト光路L1を通して第2面12から出射される光は、第2面12に直交する方向に出射されてもよい。
(3.3)第3変形例
第3変形例に係る光制御体2Cは、図15に示すように、厚み方向(Z軸方向)において対称形状を有している点で、実施形態1に係る光学システム100と相違する。
すなわち、本変形例では、光制御体2Cにおける光源4との対向面は、光源4との対向軸(ここでは主入射面211の法線L21)に直交する一方向(Z軸方向)において対称形状を有している。つまり、光制御体2Cにおける光源4との対向面である入射レンズ21は、対称形状を有している。具体的には、入射レンズ21は、主入射面211の全周に副入射面212を有している。副入射面212は、複数(ここでは8つ)のレンズ面201~208に分割されている。
(3.4)第4変形例
第4変形例に係る光学システム100を用いた照明システム200は、図16A及び図16Bに示すように、照明システム200が表示器5と平行に配置されている点で、実施形態1に係る照明システム200と相違する。
すなわち、本変形例では、照明システム200の出射面となる導光部材1の第2面12は、表示器5の背面と平行に配置されている。ただし、このような配置であれば、第2面12が水平面に対して傾斜するため、第2面12から真っ直ぐ出射される光は、図16Aに示すように、画像表示部310から斜め上方に出射されることになる。そこで、図16Bに示すように、第2面12に設けられた配光制御部14の形状を変更し、配光制御部14にて、第2面12から出射される光の配光を制御することが好ましい。つまり、図16Bに示すような配光制御部14によれば、第2面12から出射される光は、画像表示部310から上方に出射されることになる。
(3.5)第5変形例
第5変形例に係る光学システム100は、図17A及び図17Bに示すように、配光制御部14A(又は14B)の構成が、実施形態1に係る光学システム100と相違する。
図17Aの例では、配光制御部14Aは、レンズアレイを含んでいる。ここでいうレンズアレイは、複数の小レンズの群からなるマルチレンズの一種である。配光制御部14Aでは、第2面12の縦方向(Y軸方向)及び横方向(X軸方向)に小レンズが複数ずつ並ぶように、複数の小レンズがマトリクス状に配置されている。複数の小レンズの各々は、凸レンズであってもよいし、凹レンズであってもよい。
図17Bの例では、配光制御部14Bは、フレネルレンズを含んでいる。ここでいうフレネルレンズは、単一のレンズを同心円状の領域に分割することで、レンズにおける突出量(又は凹み量)を小さく抑えたレンズである。ここでは一例として、配光制御部14Bは、凸レンズを、第2面12の中心周りの同心円状の領域に分割してなるフレネルレンズである。
(3.6)第6変形例
第6変形例に係る光学システム100は、図18A~図20Bに示すように、プリズム3B,3C,3D,3E,3F,3Gの形状が、実施形態1に係る光学システム100と相違する。
図18Aの例では、複数のプリズム3Bは、Z軸方向の一方から見て、円弧に沿って並ぶように配置されている。ここでは、複数のプリズム3Bは、入射面10とは反対側に凸となるような円弧状に配列されている。つまり、本変形例では、少なくとも一部のプリズム3Bは、第1面11及び第2面12が並ぶ方向(Z軸方向)から見て、入射面10に対して傾斜している。
図18Bの例では、偶数列に含まれる複数のプリズム3Cと、奇数列に含まれる複数のプリズム3Cとは、各々の長手方向(X軸方向)の端部同士が、Y軸方向において重複しないような位置に、配置されている。このような配置によれば、入射面10から見て、複数のプリズム3Cは、X軸方向に僅かな隙間を空けて並ぶことになる。このように配置された複数のプリズム3Cにおいても、図18Aの例と同様に、Z軸方向の一方から見て、円弧に沿って並ぶように配置されてもよい。
図19Aの例では、複数のプリズム3Dは、それぞれZ軸方向の一方から見て、X軸に平行な直線状に形成されている。図19Aの例では、複数のプリズム3Dは、導光部材1の第1面11において、Y軸方向に間隔を空けて並ぶように形成されている。つまり、図19Aの例では、プリズム3Dは、入射面10に光が入射する方向(Y軸方向)において複数並ぶように設けられている。
図19Bの例では、複数のプリズム3Eは、それぞれZ軸方向の一方から見て、円弧状に延びる曲線状に形成されている。ここでは、プリズム3Eは、入射面10とは反対側に凸となるような円弧状に形成されている。図19Bの例では、複数のプリズム3Eは、導光部材1の第1面11において、Y軸方向に間隔を空けて並ぶように形成されている。つまり、図19Bの例では、プリズム3Eは、入射面10に光が入射する方向(Y軸方向)において複数並ぶように設けられている。
図20Aの例では、偶数列に含まれる複数のプリズム3Fと、奇数列に含まれる複数のプリズム3Fとは、各々の長手方向(X軸方向)の端部同士が、Y軸方向において重複しないような位置に、配置されている。その上で、複数のプリズム3Fは、Z軸方向の一方から見て、自由曲線状に並ぶように配置されている。ここでいう「自由曲線」は、例えば、C字状、U字状、J字状又はS字状等、種々の自由曲線を含む。ここでは、複数のプリズム3Fは、入射面10とは反対側に凸となるような自由曲線状に配列されている。つまり、本変形例では、少なくとも一部のプリズム3Fは、第1面11及び第2面12が並ぶ方向(Z軸方向)から見て、入射面10に対して傾斜している。
図20Bの例でも、図20Aの例と同様に、複数のプリズム3Gは、Z軸方向の一方から見て、自由曲線状に並ぶように配置されている。ここでは、複数のプリズム3Gは、入射面10側に凸となるような自由曲線状に配列されている。つまり、本変形例では、少なくとも一部のプリズム3Gは、第1面11及び第2面12が並ぶ方向(Z軸方向)から見て、入射面10に対して傾斜している。
ところで、光学システムにおいて狭い視野角を実現するためには、第2面12から出射する光の光路は、極力、第2面12に対して垂直であるのが好ましい。ここで、光源4が出射する光は、光制御体2により広がり角を狭められている。しかしながら、X-Y平面において、入射面10に入射する光の全てが入射面10に対して垂直な光路を辿るわけでなく、一部の光はX軸方向に広がる光路を辿る。したがって、プリズム3がX軸に平行な直線状である場合、入射面10に入射した光の一部は、X-Y平面においてプリズム3の反射面30に対して斜めに入射することになる。この場合、プリズム3の反射面30にて全反射した光は、第2面12に対して垂直な光路ではなく、第2面12に対して角度を持った光路を辿るため、狭い視野角を実現しにくくなる可能性がある。
一方、図18A、図19B、図20A及び図20Bに示す変形例では、プリズム3B,3E,3F,3Gの少なくとも一部は、Z軸方向から見て入射面10に対して傾斜している。つまり、本変形例では、入射面10に入射した光は、X-Y平面においてプリズム3B,3E,3F,3Gの反射面30に対して垂直に入射しやすくなる。このため、これらの変形例では、プリズム3B,3E,3F,3Gの反射面30にて全反射した光は、第2面12に対して垂直な光路を辿りやすく、結果として狭い視野角を実現しやすい、という利点がある。
また、図18Aに示す変形例において、複数のプリズム3Bは、入射面10側に凸となるような円弧状に配列されていてもよい。図19Bに示す変形例において、プリズム3Eは、入射面10側に凸となるような円弧状に形成されていてもよい。さらに、図20A及び図20Bに示すように、Z軸方向の一方から見て、自由曲線状に並ぶ複数のプリズム3F,3Gは、図19Bのように、長手方向に連続する形状であってもよい。
(3.7)第7変形例
第7変形例に係る光学システム100は、図21A~図21Cに示すように、プリズム3H,3I,3Jの断面形状が、実施形態1に係る光学システム100と相違する。図21A~図21Cは、光学システム100の要部(図1Aの領域A1)を拡大した図1Bに相当する模式図である。
図21Aの例では、プリズム3Hの反射面30が平面ではなく曲面状に形成されている。図21Aの例では、プリズム3Hの反射面30は、X軸方向の一方から見て、第2面12とは反対側、つまり入射面10とは反対側に凸となるように湾曲した凸曲面である。ここで、プリズム3Hの反射面30は、Y-Z平面に平行な断面、つまりX軸に直交する断面においてのみ湾曲するのであって、X-Y平面に平行な断面、つまりZ軸に直交する断面においては直線状となる。ただし、図21Aの例に限らず、プリズム3Hの反射面30は、X軸方向の一方から見て、第2面12側、つまり入射面10側に凸となるように湾曲した凹曲面であってもよい。さらに、プリズム3Hの反射面30は、X-Y平面に平行な断面、つまりZ軸に直交する断面においてのみ湾曲してもよいし、Y-Z平面に平行な断面及びX-Y平面に平行な断面の両方において湾曲してもよい。
また、図21Bの例では、プリズム3Iの反射面30が平面ではなく多角面状に形成されている。ここでいう「多角面」とは、多面体の一部の表面の構成するように、向きの異なる複数の平面が合わさって形成される面であって、いわゆる屈曲面である。図21Bの例では、プリズム3Iの反射面30は、X軸方向の一方から見て、第2面12とは反対側、つまり入射面10とは反対側に凸となるように屈曲した多角面(凸面)である。ここで、プリズム3Iの反射面30は、Y-Z平面に平行な断面、つまりX軸に直交する断面においてのみ屈曲するのであって、X-Y平面に平行な断面、つまりZ軸に直交する断面においては直線状となる。ただし、図21Bの例に限らず、プリズム3Iの反射面30は、X軸方向の一方から見て、第2面12側、つまり入射面10側に凸となるように屈曲した多角面(凹面)であってもよい。さらに、プリズム3Iの反射面30は、X-Y平面に平行な断面、つまりZ軸に直交する断面においてのみ屈曲してもよいし、Y-Z平面に平行な断面及びX-Y平面に平行な断面の両方において屈曲してもよい。
また、図21Cの例では、プリズム3Jの側面31が平面ではなく曲面状に形成されている。側面31は、プリズム3Jの内側面のうち、反射面30と交差する面、つまり反射面30から見て入射面10とは反対側の面である。図21Cの例では、プリズム3Jの側面31は、X軸方向の一方から見て、反射面30とは反対側、つまり入射面10とは反対側に凸となるように湾曲した凹曲面である。ここで、プリズム3Jの側面31は、Y-Z平面に平行な断面、つまりX軸に直交する断面においてのみ湾曲するのであって、X-Y平面に平行な断面、つまりZ軸に直交する断面においては直線状となる。ただし、図21Cの例に限らず、プリズム3Jの側面31は、X軸方向の一方から見て、反射面30側、つまり入射面10側に凸となるように湾曲した凸曲面であってもよい。さらに、プリズム3Jの側面31は、X-Y平面に平行な断面、つまりZ軸に直交する断面においてのみ湾曲してもよいし、Y-Z平面に平行な断面及びX-Y平面に平行な断面の両方において湾曲してもよい。
また、プリズム3Jの側面31は曲面状に限らず、図21Bのプリズム3Iの反射面30と同様に、多角面状に形成されていてもよい。この場合、曲面の場合と同様に、プリズム3Jの側面31は、X軸方向の一方から見て、反射面30とは反対側に凸となるように屈曲した多角面(凹面)であってもよいし、反射面30側に凸となるように屈曲した多角面(凸面)であってもよい。
本変形例のように、プリズム3は、X軸方向の一方から見た断面が三角形状に限らず、適宜の形状を採用可能である。さらに、上述したプリズム3H,3I,3Jの断面形状は、互いに組み合わせて採用されてもよいし、第6変形例で説明したプリズム3B,3C,3D,3E,3F,3Gの形状と組み合わされてもよい。
そして、反射面30が曲面状又は多角面状であれば、プリズム3(反射面30)で反射されて第2面12から出射される光の配光、具体的には、光の広がり角又は向き等を、反射面30にて制御することができる。そのため、プリズム3(反射面30)の形状によって、第2面12から出射される光の配光を、例えば、表示器5又は光学系320等の光学特性に合わせることが可能となる。また、反射面30及び側面31の少なくとも一方について、曲面状又は多角面状等の適宜の形状を採用することで、例えば、導光部材1の成形時(製造工程)において、離型性を良くして生産効率の向上を図ること等も可能である。
(3.8)その他の変形例
第1面11は入射面10と直交する面であり、第2面12が入射面10と直交せずにX-Y平面に対して傾斜した面であってもよい。また、第1面11及び第2面12のいずれもが、入射面10と直交せずにX-Y平面に対して傾斜した面であってもよい。
また、複数のプリズム3は、全て同一の形状でなくてもよい。例えば、複数のプリズム3は、例えば、反射面30の傾斜角度θ1、プリズム3の長手方向の寸法、又はプリズム3としての凹部の深さ(言い換えれば、プリズム3の高さ)等が異なる、複数種類のプリズム3を含んでいてもよい。特に、ヘッドアップディスプレイとしての表示システム300においては、表示される虚像の輝度を均一にするために、導光部材1の出射面である第2面12から出射される光の強度を均一化することが好ましい。この場合において、第1面11における光の強度分布(厳密には照度分布)が均一でなければ、第1面11の部位ごとにプリズム3の形状を異ならせることで、第2面12から出射される光の強度を均一化することが好ましい。このように、複数のプリズム3は、第1面11の部位ごとに、異なる形状を採用してもよい。
また、導光部材1は、ダイレクト光路L1を含んでいればよく、入射面10から入射した光の全てがダイレクト光路L1を通ることは必須ではない。すなわち、導光部材1は、例えば、第1面11又は第2面12で1回以上反射した後に、プリズム3にて反射して第2面12から出射させるようなインダイレクト光路を含んでいてもよい。
また、第1面11には、複数のプリズム3ではなく、1つのプリズム3のみが設けられていてもよい。この場合、プリズム3は、第1面11の全面にわたって形成され、かつ、互いに傾斜角度が異なる複数の反射面30を有していてもよい。
また、実施形態1において、プリズム3は、導光部材1の第1面11を加工することにより形成されているが、この態様に限られない。例えば、プリズム3が形成されたプリズムシートを第1面11に貼り付けることにより、プリズム3を第1面11に設けてもよい。この場合、プリズムシートには、1つのプリズム3が形成されていてもよいし、複数のプリズム3が形成されていてもよい。
また、プリズム3は、第1面11に対して凹形状、つまり第1面11から窪んだ形状に限らず、第1面11に対して凸形状、つまり第1面11から突出する形状であってもよい。第1面11に対して凸形状となるプリズム3であっても、第6変形例及び第7変形例に例示したように、様々な形状を採用し得る。
また、配光制御部14は、第2面12から取り出される光の配光を制御すればよく、第1面11と第2面12との少なくとも一方に設けられていればよい。すなわち、実施形態1では、配光制御部14は出射面としての第2面12に設けられているが、この構成に限らず、配光制御部14は、第1面11に設けられていてもよいし、第1面11及び第2面12の両方に設けられていてもよい。さらに、実施形態1では、配光制御部14は、導光部材1と一体成形品として一体化されているが、この態様に限られない。例えば、配光制御部14が形成された配光シートを第2面12に貼り付けることにより、配光制御部14を第2面12に設けてもよい。
また、配光制御部14は、レンズに限らず、例えば、拡散シート、プリズム又は回折格子等であってもよい。
また、表示システム300が搭載される移動体B1は、自動車(乗用車)に限らず、例えば、トラック若しくはバス等の大型車両、二輪車、電車、電動カート、建設機械、航空機又は船舶等であってもよい。
また、表示システム300は、ヘッドアップディスプレイのように虚像を表示する構成に限らない。例えば、表示システム300は、液晶ディスプレイ又はプロジェクタ装置であってもよい。また、表示システム300は、移動体本体B11に搭載されているカーナビゲーションシステム、電子ミラーシステム又はマルチインフォメーションディスプレイの表示器であってもよい。
また、照明システム200は、表示システム300に用いられる構成に限らず、例えば、樹脂硬化若しくは植物育成等の産業用途、又は誘導灯を含む照明用途等に用いられてもよい。
また、光制御体2は、光学システム100に必須の構成ではなく、省略されていてもよい。すなわち、光学システム100は、導光部材1と、プリズム3と、を備えていればよく、光制御体2は適宜省略可能である。
(実施形態2)
本実施形態に係る光学システム100Cは、図22A~図22Dに示すように、互いに形状が異なる複数種類のプリズム301,302を備える点で、実施形態1に係る光学システム100と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については共通の符号を付して適宜説明を省略する。
すなわち、本実施形態では、プリズム301,302は、入射面10に光が入射する方向(Y軸方向)において複数並ぶように設けられている。複数のプリズム301,302は、第1プリズム301と第2プリズム302とを含む。第1プリズム301と第2プリズム302とは、反射面30の第1面11に対する傾斜角度θ11,θ12が互いに異なる。具体的には、第1プリズム301の反射面30は第1面11に対して傾斜角度θ11で傾斜し、第2プリズム302の反射面30は第1面11に対して傾斜角度θ12で傾斜する。傾斜角度θ11は、傾斜角度θ12よりも大きい。言い換えれば、第1プリズム301は、第2プリズム302に比較して、第1面11に対する反射面30の傾斜角度が大きい。
ここで、第1面11は、第1領域Z1と、第2領域Z3と、を含む。第1領域Z1は、第1プリズム301が複数配置される領域である。第2領域Z3は、第2プリズム302が複数配置される領域である。すなわち、互いに形状が異なる第1プリズム301及び第2プリズム302は、基本的には第1領域Z1と、第2領域Z3とに分かれて配置されている。第1領域Z1においては、図22Bに示すように、複数の第1プリズム301が並べて配置される。これに対して、第2領域Z3においては、図22Dに示すように、複数の第2プリズム302が並べて配置される。
また、第1面11は、第1領域Z1と第2領域Z3との間に、混在領域Z2を更に含む。混在領域Z2は、第1プリズム301及び第2プリズム302の両方が混在する領域である。すなわち、混在領域Z2においては、図22Cに示すように、第1プリズム301及び第2プリズム302が混在する。
本開示でいう「混在する」とは、入り混じって存在することを意味する。言い換えれば、混在領域Z2では、第1プリズム301と第1プリズム301との間に第2プリズム302が存在するか、又は第2プリズム302と第2プリズム302との間に第1プリズム301が存在する。このように、混在領域Z2では、第1プリズム301と第2プリズム302とが入り混じって存在する。このような混在領域Z2があることで、第1プリズム301と第2プリズム302の境界付近においては、第1プリズム301が存在する領域(第1領域Z1)と、第2プリズム302が存在する領域(第2領域Z3)とは完全には二分されない。
さらに、混在領域Z2は、第1混在領域Z21と、第2混在領域Z22と、を含んでいる。第1混在領域Z21は、第1領域Z1と第2領域Z3との中間位置C10から見て第1領域Z1側に位置する。第2混在領域Z22は、中間位置C10から見て第2領域Z3側に位置する。第1混在領域Z21では、第2混在領域Z22に比較して第1プリズム301の密度が高い。
具体的には、図22Aに示すように、第1面11が、Y軸方向において、第1領域Z1、混在領域Z2及び第2領域Z3に分割されている。第1領域Z1、混在領域Z2及び第2領域Z3は、光制御体2側(入射面10側)から、第1領域Z1、混在領域Z2、第2領域Z3の順に並んでいる。そして、混在領域Z2は、そのY軸方向の中間位置C10にて、第1混在領域Z21及び第2混在領域Z22に分割されている。第1混在領域Z21及び第2混在領域Z22は、光制御体2側(入射面10側)から、第1混在領域Z21、第2混在領域Z22の順に並んでいる。
そして、第1混在領域Z21では、第2混在領域Z22に比較して第1プリズム301の配置の密度が高い。一例として、複数のプリズム301,302が等ピッチで配置されている場合を想定する。この場合に、第2混在領域Z22では、第2プリズム302と第1プリズム301との比率が2:1であるのに対し、第1混在領域Z21では、第2プリズム302と第1プリズム301との比率が1:2である。
また、実施形態2の変形例として、複数のプリズム301,302は、第1プリズム301及び第2プリズム302に加えて、第3プリズムを更に含んでいてもよい。つまり、複数のプリズム301,302は、反射面30の第1面11に対する傾斜角度θ11,θ12が互いに異なる3種類以上のプリズム301,302を含んでいてもよい。
実施形態2で説明した種々の構成(変形例を含む)は、実施形態1で説明した種々の構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて採用可能である。
(まとめ)
以上述べたように、第1の態様に係る光学システム(100,100A~100C)は、導光部材(1)と、プリズム(3,3A~3J)と、を備える。導光部材(1)は、光が入射する入射面(10)、並びに互いに対向する第1面(11)及び第2面(12,12A)を有する。導光部材(1)は、第2面(12,12A)が光の出射面である。プリズム(3,3A~3J)は、第1面(11)に設けられて、導光部材(1)の内部を通る光を第2面(12,12A)に向けて反射する。導光部材(1)は、入射面(10)から入射した光をプリズム(3,3A~3J)にて直接反射して第2面(12,12A)から出射させるダイレクト光路(L1)を含む。第1面(11)と第2面(12,12A)との少なくとも一方は、第2面(12,12A)から取り出される光の配光を制御する配光制御部(14,14A,14B)を有している。
この態様によれば、導光部材(1)の第2面(12,12A)から取り出される光の配光を、導光部材(1)に設けられた配光制御部(14,14A,14B)にて制御することができる。特に、ダイレクト光路(L1)を通る光は、入射面(10)から導光部材(1)に入射した後、プリズム(3,3A~3J)以外で反射されることなく、かつプリズム(3,3A~3J)で1回反射されるのみで、第2面(12,12A)から導光部材(1)外に出射される。したがって、第1面(11)及び第2面(12,12A)の形状は導光部材(1)の内部での光の導光には寄与しておらず、配光制御部(14,14A,14B)を導光部材(1)に設けても、導光部材(1)における導光性能が劣化しにくい。結果的に、配光制御を可能としながらも、ダイレクト光路(L1)を通して効率的に第2面(12,12A)から導光部材(1)外に光を取り出すことができ、光の取り出し効率の向上を図ることができる。
第2の態様に係る光学システム(100,100A~100C)では、第1の態様において、配光制御部(14,14A,14B)は、第2面(12,12A)に設けられている。
この態様によれば、第2面(12,12A)を透過する光について、配光制御部(14,14A,14B)にて効率的に配光を制御することができる。
第3の態様に係る光学システム(100,100A~100C)では、第1又は2の態様において、配光制御部(14,14A,14B)は、レンズを含む。
この態様によれば、配光制御部(14,14A,14B)にレンズの機能を持たせることで、別途、レンズシート等を設ける必要がなく、部品点数を抑えることができる。
第4の態様に係る光学システム(100,100A~100C)では、第3の態様において、配光制御部(14,14A,14B)は、複数の小レンズ(141)の群からなるマルチレンズを含む。
この態様によれば、配光制御部(14,14A,14B)にマルチレンズの機能を持たせることで、別途、マルチレンズシート等を設ける必要がなく、部品点数を抑えることができる。
第5の態様に係る光学システム(100,100A~100C)では、第3の態様において、配光制御部(14,14A,14B)は、フレネルレンズを含む。
この態様によれば、配光制御部(14,14A,14B)の薄型化を図ることができる。
第6の態様に係る光学システム(100,100A~100C)では、第1~5のいずれかの態様において、プリズム(3,3A~3J)の反射面(30)の第1面(11)に対する傾斜角度(θ1,θ11,θ12)は、入射面(10)から入射した光を、ダイレクト光路(L1)で第2面(12,12A)に向けて全反射するときの最大角度よりも小さい。
この態様によれば、反射面(30)に入射する光の入射角が多少ばらつく場合でも、入射角が臨界角を下回りにくくなり、反射面(30)で全反射されやすくなる。
第7の態様に係る光学システム(100,100A~100C)では、第6の態様において、第2面(12,12A)の法線は、ダイレクト光路(L1)で第2面(12,12A)に入射する光の光軸に対して傾斜している。
この態様によれば、第2面(12,12A)から出射される光の向きを調整することができる。
第8の態様に係る光学システム(100,100A~100C)では、第1~7のいずれかの態様において、プリズム(3,3A~3J)は、入射面(10)に光が入射する方向において複数並ぶように設けられている。複数のプリズム(3,3A~3J)は、同一形状である。
この態様によれば、複数のプリズム(3,3A~3J)が同一形状であるので、第2面(12,12A)から一様に光を取り出しやすくなる。
第9の態様に係る光学システム(100,100A~100C)では、第1~7のいずれかの態様において、プリズム(3,3A~3J)は、入射面(10)に光が入射する方向において複数並ぶように設けられている。複数のプリズム(3,3A~3J)は、第1プリズム(301)と第2プリズム(302)とを含む。第1プリズム(301)と第2プリズム(302)とは、反射面(30)の第1面(11)に対する傾斜角度(θ1,θ11,θ12)が互いに異なる。
この態様によれば、複数のプリズム(3,3A~3J)の形状が異なるので、第2面(12,12A)から取り出される光の配光に差異を付けやすくなる。
第10の態様に係る光学システム(100,100A~100C)では、第9の態様において、第1面(11)は、第1プリズム(301)が複数配置される第1領域(Z1)と、第2プリズム(302)が複数配置される第2領域(Z3)と、を含む。
この態様によれば、第1領域(Z1)と第2領域(Z3)とで、第2面(12,12A)から取り出される光の配光に差異を付けやすくなる。
第11の態様に係る光学システム(100,100A~100C)では、第10の態様において、第1面(11)は、第1領域(Z1)と第2領域(Z3)との間に、混在領域(Z2)を更に含む。混在領域(Z2)は、第1プリズム(301)及び第2プリズム(302)の両方が混在する領域である。
この態様によれば、第1領域(Z1)と第2領域(Z3)との境界で、第2面(12,12A)から取り出される光の配光が急激に変化することを抑制しやすい。
第12の態様に係る光学システム(100,100A~100C)では、第11の態様において、混在領域(Z2)は、第1混在領域(Z21)と、第2混在領域(Z22)と、を含む。第1混在領域(Z21)は、第1領域(Z1)と第2領域(Z3)との中間位置(C10)から見て第1領域(Z1)側に位置する。第2混在領域(Z22)は、中間位置(C10)から見て第2領域(Z3)側に位置する。第1混在領域(Z21)では、第2混在領域(Z22)に比較して第1プリズム(301)の密度が高い。
この態様によれば、第1領域(Z1)と第2領域(Z3)との境界付近で、第2面(12,12A)から取り出される光の配光が急激に変化することをより抑制しやすい。
第13の態様に係る照明システム(200)は、第1~12のいずれかの態様に係る光学システム(100,100A~100C)と、入射面(10)に入射する光を出力する光源(4)と、を備える。
この態様によれば、光の取り出し効率の向上を図ることができる。
第14の態様に係る表示システム(300)は、第13の態様に係る照明システム(200)と、照明システム(200)から出射される光を受けて画像を表示する表示器(5)と、を備える。
この態様によれば、光の取り出し効率の向上を図ることができる。
第15の態様に係る移動体(B1)は、第14の態様に係る表示システム(300)と、表示システム(300)を搭載する移動体本体(B11)と、を備える。
この態様によれば、光の取り出し効率の向上を図ることができる。
第2~12の態様に係る構成については、光学システム(100,100A~100C)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。