JP7390254B2 - 熱式流量計 - Google Patents

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Description

本発明は、メンブレンに配置される発熱素子と流体の流れによる熱収支により流体の流量を測定する熱式流量計に係り、特に自動車の内燃機関の吸入空気流量や排ガス流量の測定に好適な熱式流量計に関する。
近年では、半導体技術を応用したマイクロマシン技術を用いて、シリコン基板の一部に空洞部を形成し、空洞部に形成した数ミクロンの電気絶縁膜上に発熱素子等を形成したMEMSタイプの熱式流量センサが提案されている。MEMSタイプの熱式流量センサでは、半導体技術により微細構造の発熱素子等を形成することができる。また発熱素子等を薄膜構造部(メンブレン)に形成することで、熱容量を小さくすることができ、高速応答・低消費電力化が可能になる。
国際公開第2014/199726号パンフレット(特許文献1)には、シリコンなどの半導体基板上に絶縁膜層(電気絶縁膜)及び抵抗体層の積層構造膜を形成し、半導体基板の裏面側を部分的に除去することで、ダイアフラム(薄膜構造部、メンブレン)を形成した流量検出素子が記載されている(段落0029及び図9)。ダイアフラム上には、発熱抵抗体(発熱素子)と、上流側測温抵抗体と、下流側測温抵抗体と、が形成されている(段落0029及び図9)。
流量検出素子は、支持基板にシート接着剤で固定される(段落0036及び図12)。支持基板は、ダイアフラムの裏面側に形成される換気孔と、外部に連通する別の換気孔と、二つの換気孔を連通する溝と、を有する(段落0037及び図12)。
国際公開第2014/199726号パンフレット
メンブレンを有する熱式流量センサは、メンブレン部裏面の領域が密封状態になってしまうと、温度変化や圧力変化に伴って、メンブレン部裏面の密封された領域(空洞部)内の空気が膨張、収縮することによって体積変化が生じる。その結果、メンブレンが変形し空気流量を検出する際に誤差が生じる可能性がある。そこで、メンブレン部裏面の領域を密封状態にしないために、特許文献1の流量検出素子では、この流量検出素子が固定される支持基板に通気口(換気孔及び溝)を設けることで、空洞部内を外部へ連通させる。
しかしながら、支持基板に通気口を設ける構造では、支持基板の構造が複雑化するとともに、製造工程も複雑化してしまい、部品点数の増加やコストの上昇を招く。
本発明の目的は、構造を簡素化することができる熱式流量計を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の熱式流量計は、
流体の流れの中に配置される基板と、前記基板に形成された空洞部を覆い少なくとも電気的絶縁膜を含んで構成されるメンブレンと、前記メンブレンに配置される発熱素子と、を有し、前記発熱素子と流体の流れとの間の熱収支により流量を測定する熱式流量センサを備えた熱式流量計において、
前記メンブレンは、前記空洞部と当該メンブレンを介して前記空洞部の反対側にある外部空間とを連通させる連通孔を備え、
前記連通孔は、単一孔で構成され、外部空間の側の開口面が前記発熱素子によって囲われている。
本発明によれば、メンブレンに単一孔で構成される連通孔を設けることにより、構造を簡素化することができる。また半導体基板に形成された空洞部を、メンブレンを介して反対側にある外部空間に連通させることで、メンブレン部の変形を抑制することができる。これにより、流量検出誤差の発生を抑制することができ、高精度な熱式流量センサを提供することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明の実施例1に係る熱式流量センサの上面図である。 図1におけるメンブレン部のII-II断面図である。 図1におけるメンブレン部の拡大図である。 汚損模擬試験結果の汚損状況のイメージ図である。 図3におけるメンブレン部のV-V断面を示す図であり、連通孔の近傍の拡大断面図である。 本発明の実施例2に係る、図5と同様な断面を示す図であり、連通孔の近傍の拡大断面図である。 本発明の実施例3に係る、図5と同様な断面を示す図であり、連通孔の近傍の拡大断面図である。 本発明の実施例4に係る、図5と同様な断面を示す図であり、連通孔の近傍の拡大断面図である。 本発明の実施例5に係る、図5と同様な断面を示す図であり、連通孔の近傍の拡大断面図である。 本発明の実施例6に係る、図5と同様な断面を示す図であり、連通孔の近傍の拡大断面図である。 熱式流量計の概略構成を示す図であり、熱式流量計の内部を透視した透視図である。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
[実施例1]
図1乃至図5を用いて、本発明の第1実施例(実施例1)について説明する。
図1は、本発明の実施例1に係る熱式流量センサ1の上面図である。図2は、図1におけるメンブレン部のII-II断面図である。図3は、図1におけるメンブレン部の拡大図である。
熱式流量センサ1は、例えば半導体基板等の基板(以下、センサ基板という)2をベースとして形成されている。センサ基板2が半導体基板の場合、半導体基板2は、単結晶ケイ素(Si)の板をウェットエッチングやドライエッチングなどで加工することにより、空洞部2Aが形成される。空洞部1Aが形成される部位には、半導体基板2の一方の面2B(図2では上側の面)に、少なくとも電気的絶縁膜19を含んで構成されるメンブレン3が形成されている。
電気的絶縁膜19は、多層構造であり、一例として二酸化ケイ素(SiO)や窒化ケイ素(SixNx)の薄膜を積層して構成される。メンブレン3には単一孔構造の換気孔18が設けられる。換気孔18は、空洞部2Aとメンブレン3を介して空洞部2Aの反対側にある外部空間FSとを連通させる連通孔を構成する。以下、換気孔3は、連通孔と呼んで説明する。
連通孔18は、空洞部2Aと外部空間FSとを連通させることで、メンブレン3部の裏面側の領域(空洞部)2Aが密封状態になることを防ぎ、温度変化や圧力変化に伴って領域2A内の空気が膨張、収縮することによって領域2Aの体積変化が生じるのを抑制する。これにより、メンブレン3部の変形による流量検出誤差が抑制され、熱式流量センサの高精度化が図られる。
本実施例では、連通孔18は外部空間FS側に単一の開口面を有し、この開口面が発熱素子6によって囲われている。特に本実施例では、連通孔18は、少なくとも流体の流れ方向5に沿う二方向と流れ方向5に垂直で且つ半導体基板2の基板面に平行な方向に沿う一方向とにおいて、発熱素子6によって囲まれている。
すなわち本実施例の熱式流量計100(図11参照)は、以下の構成を備える。
流体の流れの中に配置される基板2と、基板2に形成された空洞部2Aを覆い少なくとも電気的絶縁膜19を含んで構成されるメンブレン3と、メンブレン3に配置される発熱素子6と、を有し、発熱素子6と流体の流れとの間の熱収支により流量を測定する熱式流量センサ1を備えた熱式流量計100において、
メンブレン3は、空洞部2Aとメンブレン3を介して空洞部2Aの反対側にある外部空間FSとを連通させる連通孔18を備え、
連通孔18は、単一孔で構成され、外部空間側の開口面が発熱素子6によって囲われている。
また連通孔18は、以下の構成を備える。
連通孔18は、少なくとも流体の流れ5方向に沿う二方向において、発熱素子6によって囲まれている。
図2に示す様に、メンブレン3の電気的絶縁膜19に発熱素子6および温度検出素子8,9が設けられている。発熱素子6によりメンブレン3は加熱される。メンブレン端部4は熱伝導性が高い単結晶ケイ素(Si)の半導体基板2に接続されているため、発熱素子6からメンブレン端部4に向かって温度勾配が生じる。更に、メンブレン3と流体の流れ5を形成する流体とが接触する領域では流体への熱伝達による放熱も生じる。
流体の流れ5が無い場合には、メンブレン3での熱伝導と流体への自然対流による放熱により、メンブレン3に温度分布が生じる。流体の流れ5がある場合には強制対流による放熱となり、自然対流による放熱よりも放熱量が増加する。
また流体の流れ5がある場合には、発熱素子6の上流側では流体の流れ5が無い場合に比べて温度が低下する一方で、発熱素子6の下流側では、放熱量の増加により発熱素子6により温められた流体が流れてくるため、流体の流れ5が無い場合に比べて温度が上昇する。発熱素子6の上流側及び下流側の温度変化を検出するために、発熱素子6の上流側に上流側温度検出素子8を配置し、下流側に下流側温度検出素子9を配置している。
温度検出素子8、9として感温抵抗体を用いる場合には、上流側に配置した上流側感温抵抗体10と下流側に配置した下流側感温抵抗体12とを電気的に直列に接続し、抵抗分圧による中間電位を測定することで、上流側と下流側との温度差を検出することができる。上流側感温抵抗体10と下流側感温抵抗体12との電気的接続に対して電気的接続が反対となるように、もう一組の上流側感温抵抗体11と下流側感温抵抗体13との直列回路を配置する。二組の抵抗直列回路でブリッジ回路を構成する。この場合に、二組の抵抗直列回路は、流体の流れ5の大きさに応じて、それぞれの抵抗直列回路の中間電位が電気的に反対方向に変化するように接続する。ブリッジ回路の差電圧を検出する場合に、抵抗直列回路が一組で構成される場合に対して、流体の流れ5の大きさに対する差電圧の変化が2倍となる。
このような温度差方式の熱式流量センサ1においては、流体(空気)の流れ方向により、発熱素子6の上流側と下流側との温度差が反転するため、流体の流れ方向も検出することができる。
なお図1において、符号14a,14bは発熱素子6に電流を流す配線であり、15a~15jは温度検出素子7,10~13の引き出し配線である。15a~15jの中で、15a~15dは上流側感温抵抗体(上流側温度検出素子)10,11の引き出し配線であり、15g~15jは下流側感温抵抗体(下流側温度検出素子)12,13の引き出し配線であり、15e及び15fは発熱素子6の温度を検出する温度検出素子7の引き出し配線である。配線14a,14bには電気配線を行うためのボンディングパット16が設けられ、引き出し配線15a~15jには電気配線を行うためのボンディングパット17が設けられている。
温度検出素子8,9として、熱電対を用いる場合には、熱電対8,9の温接点を発熱素子6の上流側と下流側とにそれぞれ設ける。熱電対8,9の冷接点はメンブレン3ではなく、半導体基板2にオーバーラップした電気的絶縁膜19の部分(メンブレン3の外側)に配置する。半導体基板2にオーバーラップした領域では、電気的絶縁膜19が熱伝導性の高い単結晶ケイ素(Si)の半導体基板2に接続されているため流体の流れ5の影響を受けにくい。このため冷接点を配置して基準温度として用いられる。熱電対8,9は温接点と冷接点との温度差に依存した起電圧が出力されるので、冷接点の温度を基準とする温度差に基づいた電圧(起電力)が出力される。上流側の起電力(上流側起電力)と下流側の起電力(下流側起電力)との差分を計算することで、流体の流れ5の大きさに依存した電圧信号が得られる。
温度差方式の熱式流量計100(図11参照)においては、連通孔18は、流れ方向5において、上流側温度検出素子8と下流側温度検出素子9との中間位置に配置することが望ましい。中間位置に連通孔18を配置することで、連通孔18によるメンブレン3の温度分布の偏りを小さくすることができる。
また、発熱素子6によるメンブレン3の加熱温度は、強制対流の場合には自然対流に比べて放熱量が大きくなり、低下してしまう。そこで、発熱素子6の加熱温度を検出するための温度検出素子7を発熱素子6の近傍に設け、加熱温度の変化に応じた後処理や、加熱温度を所定の温度に制御する発熱素子6の温度制御を行う。
ここまで、上流側と下流側との温度差を検出ことで流量を算出する温度差方式の熱式流量計を例にあげて説明したが、発熱素子6を所定の温度になるように加熱したときの電力変化である放熱量に基づいて流量を算出する放熱式の熱式流量計であってもよい。
図3に示すように、熱式流量センサ1が支持基板40上に載置される場合、メンブレン3の裏面の領域(空洞部)2Aが密封状態になってしまう。領域2Aが密封状態になると、温度変化や圧力変化に伴って、領域2A内の空気が膨張、収縮することにより、領域2Aに体積変化が生じる。その結果、メンブレン3が変形し、流体の流れ5による強制対流の放熱量が変化してしまい、流量検出誤差の要因となってしまう。また、メンブレン3においては歪が生じるため、温度検出素子7,10~13を電気的に接続している配線15a~15jの抵抗変化や、温度検出素子7,10~13の特性変化も生じさせてしまうので、流量検出誤差の要因となる。
メンブレン3に連通孔18を設けることで、熱式流量センサ(計測素子)1単体でも、メンブレン裏面の空洞部2Aを外部空間に連通させた構造を実現でき、空洞部2Aと外部空間との圧力差を低減することができる。特に本実施例における連通孔18は、メンブレン3の表側と裏側との圧力差を低減することができ、メンブレン3の変形による空気流量検出誤差を抑制した高精度な熱式流量センサ1を提供することができる。
圧力差を低減するために、複数の孔で構成される構造の連通孔18を設けてしまうと、流体の流れによる圧力変化によって、複数の孔の間で対流が生じてしまう。この対流は電気的絶縁膜19の裏面側(空洞部18側)での熱収支に影響を与えてしまう。流体の流れによって対流の大きさが変化するため、熱収支もその影響を受け、複数の孔で構成される構造の連通孔18では流量検出誤差の要因となる。
本実施例のように単一孔構造の連通孔18とすることで、流量検出誤差の要因を小さくすることができ、高精度な熱式流量計100を提供することができる。また本実施例では、熱式流量センサ(計測素子)1単体で圧力差を低減することが可能なため、熱式流量センサ1を用いた熱式流量計100は他の部品(例えば支持基板40)との組合せによる連通孔構造(換気構造)を必要としない。そして電気的絶縁膜19に単一孔構造の連通孔18を設けることで部品点数を少なくすることができ、コストを抑えた高精度な熱式流量計100を提供することができる。
図4は、汚損模擬試験結果の汚損状況のイメージ図である。
発熱素子6は周囲の温度よりも高くなるため、図4に示すような汚損物の堆積が生じた場合でも、温度の高い領域つまり発熱素子6の近傍は汚損物が堆積し難くい。更に発熱素子6が高温であるため、水滴が単一孔構造の連通孔18から浸入し難くなる。高温高湿環境における壁温状態(熱式流量計1の温度と環境の温度とに温度差がある状態)の結露においても同様に、発熱素子6の周囲は温度が高いため、結露し難い構成である。従って本実施例の熱式流量計1は、信頼性の点においても、優れている。
図5は、図3におけるメンブレン部のV-V断面を示す図であり、連通孔の近傍の拡大断面図である。
電気的絶縁膜19は、多層構造であり、一例として二酸化ケイ素(SiO)や窒化ケイ素(SixNx)の薄膜を積層して構成される。二酸化ケイ素(SiO)は酸素(O)や水(HO)などの透過率が高く、透過した酸素(O)や水(HO)は発熱素子6を劣化させる。発熱素子6の劣化を抑制するために、二酸化ケイ素(SiO)よりも酸素(O)や水(HO)などの透過率が低い第1バリア膜21aと第2バリア膜21bとが設けられる。すなわち電気的絶縁膜19は、酸素(O)や水(HO)などの透過率が高い材料で形成される第1電気的絶縁膜と、第1バリア膜21a及び第2バリア膜21bで構成される、透過率が低い材料で形成される第2電気的絶縁膜とを含む。
第1バリア膜21aは発熱素子6に対して外部空間FS側に設けられ、第2バリア膜21bは発熱素子6に対して空洞部2A側に設けられる。すなわち発熱素子6は、電気的絶縁膜19の膜厚方向において、第1バリア膜21aと第2バリア膜21bとの間に挟まれた状態で配置されている。なお、発熱素子6と第1バリア膜21aとの間、及び発熱素子6と第2バリア膜21bとの間には、二酸化ケイ素(SiO)や窒化ケイ素(SixNx)等の電気的絶縁膜の層が形成されている。第1バリア膜21aに対して外部空間FS側、及び第2バリア膜21bに対して空洞部2A側にも、二酸化ケイ素(SiO)や窒化ケイ素(SixNx)等の電気的絶縁膜の層が形成されている。第1バリア膜21aに対して外部空間FS側の電気的絶縁膜の層は電気的絶縁膜19の最上面19aの層を形成し、第2バリア膜21bに対して空洞部2A側の電気的絶縁膜の層は電気的絶縁膜19の最下面19bの層を形成する。
図5に示すように、連通孔18は流体の流れ5方向の上流側と下流側とに発熱素子6が配置されていることにより、流体の流れ5が大きくなった場合でも、連通孔18の近傍での温度低下が抑制される。これにより熱式流量計1の信頼性が向上する。
[実施例2]
図6を用いて、本発明の第2実施例(実施例2)について説明する。
図6は、本発明の実施例2に係る、図5と同様な断面を示す図であり、連通孔の近傍の拡大断面図である。
本実施例では、図6に示すように、単一孔構造の連通孔18はメンブレン3における流体の流れ面側(外部空間FS側)では開口断面積が小さく、流体の流れ面側とは反対側(空洞部2A側)では開口断面積が大きくなるように、テーパー形状としている。すなわち、連通孔18の断面積は、空洞部2Aの側から外部空間FSの側に向かって小さくなっている。
これにより、汚損物の飛来する流体の流れ面側では連通孔18の開口断面積が小さいため、汚損物が連通孔18から半導体基板2の空洞部2Aに侵入することを抑制することができる。また、発熱素子6の加熱によって、半導体基板2の空洞部の空気が膨張した場合でも、通気抵抗を小さく抑えることができる。通気抵抗を小さく抑えることができるということは、加熱による空気の膨張による体積変化に対して通気速度が速くなるため、短時間でメンブレン3の上面側と下面側との圧力平衡状態に速やかに遷移することが可能である。つまり、過渡変化に対するメンブレン3の反り変化を抑制でき、高精度な熱式流量計1を提供することができる。
[実施例3]
図7を用いて、本発明の第3実施例(実施例3)について説明する。
図7は、本発明の実施例3に係る、図5と同様な断面を示す図であり、連通孔の近傍の拡大断面図である。
本実施例では、図7に示すように、単一孔構造の連通孔18の内側に多孔質材料で構成された多孔質部材22を配置した。すなわち本実施例は、連通孔18の内部に多孔質部材22を配置したことを特徴とする。
多孔質部材22はメンブレン3の上下面を連通する微小な孔(開口)を複数備えた構造である。この微小な孔の面積は100μm2以下とすることが好ましい。これにより、半導体基板2の空洞部2Aに水滴及び汚損物が入り込むのを防止する。
連通孔18の内部に多孔質材料が存在することで、水滴は表面張力により連通孔18の内部に浸入することができなくなる。これにより、水滴のメンブレン3の裏面への浸入を防止できる。
汚損物については、100μm2以上の異物がメンブレン3部に飛来しても、多孔質部材22により、半導体基板2の空洞部2Aに異物が侵入することを防止できる。一方、100μm2以下の質量が小さい異物については、発熱素子6の加熱により発熱素子6の周囲ではメンブレン3から遠ざかる方向に自然対流が生じるので、100μm2以下の質量が小さい異物は自然対流によりメンブレン3から遠ざけられる。
このように本実施例では、水滴や汚損物が半導体基板2の空洞部2Aに入り込むのを防止できる。つまり、単一孔構造の連通孔18の内部に多孔質部材22を配置することで、信頼性の高い熱式流量計100を提供することができる。
[実施例4]
図8を用いて、本発明の第4実施例(実施例4)について説明する。
図8は、本発明の実施例4に係る、図5と同様な断面を示す図であり、連通孔の近傍の拡大断面図である。
本実施例は、実施例3の変形例である。図8に示すように、単一孔構造の連通孔18の外部空間FS側の開口部を多孔質材料で構成された多孔質部材22で覆うことで、実施例3と同様の効果を得ることができる。すなわち本実施例は、連通孔18の外部空間FSの側の開口部を覆うように多孔質部材を配置したことを特徴とする。
本実施例の構造は、例えば連通孔18を形成した後に、連通孔18の外部空間FS側の開口部に多孔質部材22を張り合わせることで構成することができるので、構造が簡単である。
[実施例5]
図9を用いて、本発明の第5実施例(実施例5)について説明する。
図9は、本発明の実施例5に係る、図5と同様な断面を示す図であり、連通孔の近傍の拡大断面図である。
本実施例では、図9に示すように、単一孔構造の連通孔18と発熱素子6との間の電気的絶縁膜19にバリア膜21を形成している。
電気的絶縁膜19の構造は、上述した通りであり、単純な積層膜の構造に対して連通孔18を設けると、図5に示すように、発熱素子6と連通孔18との間には二酸化ケイ素(SiO2)の膜のみの構成となってしまう。そこで本実施例では、連通孔18と発熱素子6との間にバリア膜(第3バリア膜)21cを設ける。これにより、発熱素子6の劣化を抑えた、信頼性の高い熱式流量計を提供できる。
すなわち本実施例では、メンブレン3は、メンブレン3の膜厚方向において発熱素子6に対して外部空間FSの側に配置された第1バリア膜21aと、発熱素子6に対して空洞部2Aの側に配置された第2バリア膜21bと、連通孔18の内周面と発熱素子6との間に介在するように配置された第3バリア膜21cと、を有し、第3バリア膜21cは、第1バリア膜21aと第2バリア膜21bとに接続され、第1バリア膜21a、第2バリア膜21b及び第3バリア膜21cは、電気的絶縁膜19を構成する他の電気的絶縁膜19よりも酸素及び水の透過率が低い材料で形成される。第3バリア膜21cは、第1バリア膜21a及び第2バリア膜21bと共に、第2電気的絶縁膜に含まれる。
バリア膜21の構成について、詳細に説明する。半導体基板2の基板面に平行な方向については、連通孔18を取り囲む様に第3バリア膜21cを配置するのが望ましい。すなわち第3バリア膜21cは、連通孔18の全周において、連通孔18の内周面と発熱素子6との間に介在するように配置されることが望ましい。
また半導体基板2の基板面に垂直な方向(断面方向)については、多層構造の電気的絶縁膜19の第1バリア膜21a及び第2バリア膜21bと第3バリア膜21cとがメンブレン3の膜厚方向において接続されていることが望ましい。
発熱素子6と連通孔18との間に、酸素(O)や水(HO)などの透過率が高い膜材料(例えば二酸化ケイ素(SiO))のみで構成される膜構造部が存在するように、第3バリア膜21cに開口部が存在すると、その開口部から酸素(O2)や水(H2O)が透過してしまい、発熱素子6を劣化させてしまう。従って、第3バリア膜21cにより、完全に、連通孔18と発熱素子6とを分離することが有効である。
バリア膜21としては、二酸化ケイ素(SiO2)よりも酸素(O)や水(HO)などの透過率が低い窒化ケイ素(SixNx)やアルミ(Al)などの金属膜を用いることで発熱素子6の劣化を抑制することができる。
すなわち、第1バリア膜21a、第2バリア膜21b及び第3バリア膜21cは、窒化ケイ素膜(窒化シリコン膜)又は金属膜により形成されるとよい。
第3バリア膜21cの形成方法としては、例えば、最下面19bの二酸化ケイ素(SiO2)の電気的絶縁膜と、第2バリア膜21bと、発熱素子6の下層の二酸化ケイ素(SiO2)の電気的絶縁膜と、発熱素子6と、発熱素子6の上層の二酸化ケイ素(SiO2)の電気的絶縁膜と、を成膜した状態で、発熱素子6の下層の第2バリア膜21bまで貫通する貫通孔を形成し、貫通孔を第3バリア膜21cの材料で充填することで、発熱素子6を第3バリア膜21cにより貫通孔の内部空間から分離することができる。
その後、第3バリア膜21cの内側(連通孔28側)の二酸化ケイ素(SiO2)の電気的絶縁膜19c、第1バリア膜21a、及び最上面19aの二酸化ケイ素(SiO2)の電気的絶縁膜を形成する。その後、連通孔18を形成する。
本実施例では、二酸化ケイ素(SiO2)の電気的絶縁膜を透過する酸素(O)や水(HO)から発熱素子6を遮蔽することができ、信頼性の高い熱式流量計100を提供することができる。
[実施例6]
図10を用いて、本発明の第6実施例(実施例6)について説明する。
図10は、本発明の実施例6に係る、図5と同様な断面を示す図であり、連通孔の近傍の拡大断面図である。
本実施例では、実施例5の第3バリア膜21cの構成を簡略化した構成について説明する。最下層の二酸化ケイ素(SiO2)の電気的絶縁膜と、第2バリア膜21bと、発熱素子6の下層の二酸化ケイ素(SiO2)の電気的絶縁膜と、発熱素子6と、発熱素子6の上層の二酸化ケイ素(SiO2)の電気的絶縁膜と、を成膜した状態で、発熱素子6の下層の第2バリア膜21bまで貫通する貫通孔を形成する。貫通孔は、少なくとも連通孔18と発熱素子6との間と、連通孔18と、を含む領域で形成し、その後、第1バリア膜21aと第3バリア膜21cとを一体に形成することで、発熱素子6を第3バリア膜21cにより貫通孔の内部空間から分離することができる。
その後、第3バリア膜21cの内側(連通孔28側)の二酸化ケイ素(SiO2)の電気的絶縁膜と、最上層の二酸化ケイ素(SiO2)の電気的絶縁膜と、を一体に形成し、さらに連通孔18を形成する。この場合、第3バリア膜21cの内側(連通孔28側)の二酸化ケイ素(SiO2)の電気的絶縁膜と、最上層の二酸化ケイ素(SiO2)の電気的絶縁膜と、は接続された状態で形成される。
本実施例では、第1バリア膜21aは、連通孔18の内周面に露出することなく異なる(最上層の)電気的絶縁膜で覆われ、第2バリア膜21bは、連通孔18の内周面に露出し、第3バリア膜21cは、第2バリア膜21bに接続される部分が連通孔18の内周面に露出し、第1バリア膜21aに接続される側が電気的絶縁膜19を構成する他の電気的絶縁膜で覆われている。
この構成では、貫通孔部に形成された第3バリア膜21cよりも貫通孔の中心側に連通孔18を設けることで、発熱素子6を第3バリア膜21cにより連通孔18から分離することができる。さらに、貫通孔の形状の設計自由度が高く、製造工程も簡略化で、信頼性の高い熱式流量計100を提供することができる。
最後に、図11を用いて、実施例1~6が採用される熱式流量計100の一実施例について説明する。
図11は、熱式流量計の概略構成を示す図であり、熱式流量計の内部を透視した透視図である。
熱式流量センサ1はリードフレーム25に支持され、熱硬化性樹脂30によりモールド成型され、チップパッケージ23内に構成される。熱式流量センサ1は、熱式流量計100のセンシング部(センサ)を構成し、電気的にLSI24と接続される。チップパッケージ23はコネクタ35が一体に形成されたハウジング31に収納される。ハウジング31には吸気管通路36を流れる流体(本実施例では空気)の一部が取り込まれる副通路28が一体に構成されており、熱式流量センサ1のメンブレン3は副通路28内に配置される。
本実施例では温度検出素子10~13は感温抵抗体により構成され、熱式流量センサ1により検出される温度検出素子10~13の抵抗値により、発熱抵抗体3の上流側と下流側との温度差に基づく流量が求められる。この流量の計算(演算)はLSI24で実行される。さらにLSI24では計算した流量値の補正処理を行う。LSI24で求められた流量値は、入出力端子29及びコネクタ端子34を介して、熱式流量計100により検出される吸気管通路36内の流量信号として出力される。このためにコネクタ端子34の一端は、外部機器の電気配線が接続されるコネクタ35内に引き出されている。
なお、本発明は上記した各実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
1…熱式流量センサ、2…基板(半導体基板)、2A…空洞部、3…メンブレン、6…発熱素子、18…連通孔、19…電気的絶縁膜、21a…第1バリア膜、21b…第2バリア膜、21c…第3バリア膜、22…多孔質部材、100…熱式流量計、FS…外部空間。

Claims (8)

  1. 流体の流れの中に配置される基板と、前記基板に形成された空洞部を覆い少なくとも電気的絶縁膜を含んで構成されるメンブレンと、前記メンブレンに配置される発熱素子と、を有し、前記発熱素子と流体の流れとの間の熱収支により流量を測定する熱式流量センサを備えた熱式流量計において、
    前記メンブレンは、前記空洞部と当該メンブレンを介して前記空洞部の反対側にある外部空間とを連通させる連通孔を備え、
    前記連通孔は、単一孔で構成され、外部空間の側の開口面が前記発熱素子によって囲われていることを特徴とする熱式流量計。
  2. 請求項1に記載の熱式流量計において、
    前記連通孔は、少なくとも流体の流れ方向に沿う二方向において、前記発熱素子によって囲まれていることを特徴とする熱式流量計。
  3. 請求項1又は2に記載の熱式流量計において、
    前記連通孔の断面積は、前記空洞部の側から前記外部空間の側に向かって小さくなっていることを特徴とする熱式流量計。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の熱式流量計において、
    前記連通孔の内部に多孔質部材を配置したことを特徴とする熱式流量計。
  5. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の熱式流量計において、
    前記連通孔の前記外部空間の側の開口部を覆うように多孔質部材を配置したことを特徴とする熱式流量計。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の熱式流量計において、
    前記メンブレンは、当該メンブレンの膜厚方向において前記発熱素子に対して前記外部空間の側に配置された第1バリア膜と、前記発熱素子に対して前記空洞部の側に配置された第2バリア膜と、前記連通孔の内周面と前記発熱素子との間に介在するように配置された第3バリア膜と、を有し、
    前記第3バリア膜は、前記第1バリア膜と前記第2バリア膜とに接続され、
    前記第1バリア膜、前記第2バリア膜及び前記第3バリア膜は、前記電気的絶縁膜を構成する他の電気的絶縁膜よりも酸素及び水の透過率が低い材料で形成されることを特徴とする熱式流量計。
  7. 請求項6に記載の熱式流量計において、
    前記第1バリア膜、前記第2バリア膜及び前記第3バリア膜は、窒化シリコン膜又は金属膜により形成されることを特徴とする熱式流量計。
  8. 請求項6に記載の熱式流量計において、
    前記第1バリア膜は、前記連通孔の内周面に露出することなく前記電気的絶縁膜で覆われ、
    前記第2バリア膜は、前記連通孔の内周面に露出し、
    前記第3バリア膜は、前記第2バリア膜に接続される部分が前記連通孔の内周面に露出していることを特徴とする熱式流量計。
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