JP7388990B2 - 充填バルブ装置および充填システム - Google Patents
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Description
以上より、本発明は、製品液の充填の際に、気体流路に製品液が回り込みにくい、充填バルブ装置を提供することを目的とする。
本開示に係る充填バルブ装置は、液弁、内筒および外筒を備える。
液弁は、弁棒と、弁棒の軸線方向の一方端の側に設けられる第一弁体と、を備える。
内筒は、液弁の周囲を取り囲み、液弁との間に製品液を流すための液体流路(LR)が形成される。
外筒は、内筒の周囲を取り囲み、内筒との間に容器から気体を排気するための気体流路が形成される。
本開示の充填バルブ装置は、液体流路と気体流路が選択的に切り替えられる。
本実施形態に係る充填バルブ装置1は、製品液を容器としてのパウチ100に向けて流すための液体流路LRの周囲を、パウチ100に含まれる気体を排出するための気体流路GRが取り囲むように設けられている。そして、製品液の充填前の排気の際には、液体流路LRの周囲の気体流路GRから排気を行い、その後に気体流路GRを封止してから製品液の充填を行う。このように、液体流路LRと気体流路GRが選択的に切り替え可能とされることにより、充填バルブ装置1は、製品液の充填の最中に、製品液、特に粘性の高い製品液が気体流路GRに回り込むのを抑えることができる。以下、充填バルブ装置1の構成、動作および効果の順に説明する。
充填バルブ装置1は、一例として、図示を省略する旋回テーブルの外周縁に、周方向に沿って等間隔で配置される。充填バルブ装置1が旋回テーブルに伴って円弧状の軌跡を移動する過程で、充填バルブ装置1に対応して旋回テーブルに保持される容器、例えばスパウト付きの容器に充填バルブ装置1から製品液が充填される。なお、充填バルブ装置1は、円弧状の軌跡を移動するのに限られるものではなく、例えば直線上を移動する充填装置にも適用される。
実施形態を含め、本開示に係る製品液とは、飲料、医薬品など、パウチ100に充填され得る液体を広く包含し、ゲル状の粘度の高いものも対象となる。
充填部10は、製品液を容器、例えばスパウト101付きのパウチ100に充填する機能に加えて、製品液の充填の前にパウチの内部を排気する機能を実現する。また、充填部10は、製品液の充填の後にパウチの内部に気体を供給する機能を実現する。
内筒30は、液弁20に対して弁箱として機能するとともに、外筒50に対しては弁体として機能する。外筒50は、内筒30に対して弁箱として機能する。液弁20と内筒30の間に液体流路LRが形成され、内筒30と外筒50の間に気体流路GRが形成される。
液弁20は、図1~図3に示すように、円柱状の外観形態をなしており、径が一定の弁棒21と、弁棒21の一方端の側に設けられる第一弁体25と、弁棒21の他方端に設けられる接続ねじ27と、液弁20と内筒30とを繋ぐダイアフラム29と、を備える。液弁20は、ダイアフラム29を除いて、例えばステンレス鋼、チタン合金のように耐食性の優れた金属材料で一体的に形成される。
ダイアフラム29は、平面視して円環状をなしており、弁棒21と接続ねじ27の境界部に内周側が固定されるとともに、第1部材36と第2部材37の境界部に外周側が固定されることで、液体流路LRの上方において製品液が内筒30から漏れ出るのを防ぐ。ダイアフラム29は、平面視して円環状をなす、強度と弾性に優れる例えばPTFE(Poly Tetra Fluoro Ethylene)、天然ゴムなどの樹脂材料から構成される。
次に、内筒30は、図1~図3に示すように、液弁20の周囲を取り囲む。内筒30は、液弁20に対して弁箱として機能するとともに、次に説明する外筒50に対して弁体(第二弁体)として機能する。弁箱として機能する内筒30は、液弁20とともに液体流路LRの開閉を制御する。つまり、内筒30は液弁20とともに製品液の充填および充填の停止を制御する。また、内筒30は、外筒50とともに製品液の充填前のパウチ100からの排気および製品液の充填後のパウチ100への気体の供給を制御する。
次に、外筒50は図1~図3に示すように、内筒30の胴部31、テーパ部32および吐出筒33の周囲を取り囲む。内筒30に対する弁箱として機能する外筒50は、内筒30とともには気体流路GRの貫通および封止を担い、充填前のパウチ100に含まれる空気の排気および充填後のパウチ100への空気の供給を制御する。気体流路GRは、内筒30の周囲を周方向に連なっている。
また、胴部51の外周には、外部からの異物の混入を防ぐための防護壁57が設けられている。防護壁57は、一例として、円筒形状をなし、中心軸線Cの方向に伸縮が可能な蛇腹からなり、一方端(図中、上端)が第1部材36に固定され、他方端(図中、下端)が胴部51の外周面に固定される。防護壁57は、内筒30に対する外筒50の相対的な昇降に伴って、中心軸線Cの方向に伸縮される。
次に、駆動部70は、液弁20を昇降させる。駆動部70は、図1に示すように、シリンダ機構71と、シリンダ機構71と液弁20の接続ねじ27とを接続する昇降ロッド73と、を備える。シリンダ機構71が昇降運動をすると、昇降ロッド73および接続ねじ27とともに、液弁20が昇降運動をする。シリンダ機構71は、以上の機能を発揮することができるのであれば、圧縮エア、電動などの作動源は問われない。
充填バルブ装置1において、径方向の中心に設けられる液弁20とその周囲に設けられる内筒30の間に液体流路LRが形成され、内筒30とその周囲に設けられる外筒50の間に気体流路GRが形成される。このように、充填バルブ装置1は、液体流路LRが中心に配置され、その周囲に気体流路GRが配置される。この配置によれば、径方向の寸法の制約から、液体流路LRの開口面積が狭くなるのに対して、径方向の外側の気体流路GRの開口面積を広くできる。
次に、以上の構成を備える充填バルブ装置1における製品液の充填に関わる一連の動作を、図4、図5および図6を参照して説明する。なお、図示を省略される搬送手段により充填バルブ装置1に対応する位置まで容器であるパウチ100が搬送されている。図4~図6においては動きを確認できないが、充填バルブ装置1とパウチ100は水平方向Hの相対的な位置は変わらないまま、充填バルブ装置1とパウチ100はともに例えば旋回テーブルの円弧状の外周縁に沿って移動しながら、パウチ100に製品液が充填される。図4~図6において、左側から充填の手順が進む。
図4に示すように、充填前の排気準備工程において、パウチ100は一例としてグリッパと称される把持手段80で把持されて充填バルブ装置1に対応する位置に搬送される。対応する位置とは、スパウトとも称されるパウチ100の飲み口101の中心軸線とセンタリングベル53の通過口61の中心軸線が一致する位置をいう。このときの両者の中心軸線は、充填バルブ装置1の中心軸線Cと一致する。パウチ100は、鉛直方向Vについて定位置を保ったままで、対応する充填バルブ装置1とともに水平方向Hに移動される。
一方、内筒30のテーパ部32および第二弁体38が外筒50の第二弁座63から離れ、かつ、内筒30の吐出筒33は通過口61から離れるので、気体流路GRは通過口61まで貫通する。
排気準備工程の次に、パウチ100の内部の排気工程が行われる。この排気工程は、液弁20、内筒30および外筒50を下降させて、外筒50のセンタリングベル53をパウチ100の飲み口101に密着させた状態で行われる。つまり、センタリングベル53をパウチ100の飲み口101に密着させてから、図示を省略する減圧手段を起動させ、パウチ100の内部に存在する空気を気体流路GRを通じて排気させる。なお、減圧手段は、センタリングベル53をパウチ100の飲み口101に密着させてから起動させてもよい。
排気工程が終了すると、充填準備工程が行われる。充填準備工程は、これまで貫通していた気体流路GRが封止される一方、これまで封止されていた液体流路LRを貫通し、充填バルブ装置1が製品液の充填ができる状態にする。
充填準備工程は、外筒50はこれまでの飲み口101との密着状態を維持したままで、内筒30を下降させるとともに、液弁20は図5(FPR)の状態から上昇される。内筒30は第二弁体38が外筒50の第二弁座63に密着するまで下降される。液弁20は、先端23が内筒30の吐出筒33から抜け出るまで上昇される。
充填準備工程が終了すると、製品液の充填が行われる。
製品液の充填は、外筒50は飲み口101との密着状態が維持されるとともに、外筒50と内筒30の密着状態が維持され、気体流路GRがこの密着部分で閉じた状態で行われる。また、液弁20は、先端23が吐出筒33から抜け出ており、これまでこの部分で封止されていた液体流路LRが貫通するので、製品液の充填が行われる。
パウチ100に所定量の製品液が充填されたなら、液弁20、内筒30および外筒50は図4および図5とは逆の順に動作する。
つまり、製品液の所定量の充填が終わると、液弁20を吐出筒33の内部に挿入することにより、液体流路LRを閉じる。気体流路GRは閉じたままである。
所定の圧縮気体が充填されたならば、液弁20、内筒30および外筒50が初期位置まで上昇され、一連の製品液の充填が完了する。
次に、充填バルブ装置1を動作させるための配管系統を含む充填システム200の一例について図7を参照して説明する。
図7に示すように、本実施形態に係る充填システム200は、圧縮気体供給源(PA)201と、液弁20を動作させるための開閉弁203と、加圧・真空の切り替えのための第1切替弁205および第2切替弁207と、を備えている。また、充填システム200は、圧縮気体供給源(PA)201からの作動気体を低圧に調整する低圧弁209と、真空エジェクタ211と、真空エジェクタ211に作動気体の供給可否切り替える第3切替弁213と、を備えている。また、充填システム200は、製品液を充填バルブ装置1に供給する製品液供給源(PL)219を備えている。
圧縮気体供給源201に接続される配管L0が分岐点D1において配管L1と配管L2に分岐される。配管L1は、液弁20を動作させる圧縮気体を供給する機能を担う。配管L2は、製品液の充填前に行われるパウチ100の排気および充填後に行われるパウチ100への圧縮気体の供給を担う。
次に、充填バルブ装置1が奏する効果について説明する。
[液体流路LRと気体流路GRの分離による効果]
充填バルブ装置1は、排気工程と充填工程とで、気体流路GRと液体流路LRが、互いに分離された状態で選択的に切り替わる。したがって、充填工程時に液体流路LRを流れる製品液が気体流路GRに回り込むのを抑えることができる。これにより、気体流路GRを構成する内筒30および外筒50の要素に製品液が付着するのを避けることができる。したがって、充填バルブ装置1によれば、製品液が溜まって気体流路GRを詰まらせるのを抑えることができる。
充填工程において、先端23および吐出筒33の内周面には製品液が接触する。したがって、製品液の充填の手順が繰り返されると、少なくとも先端23および吐出筒33の内周面には製品液が付着した状態で、次の手順の製品液の充填が行われることもある。ところが、充填バルブ装置1は、排気工程において、先端23が吐出筒33の内部に収容されている。これにより、先端23および吐出筒33の内周面には製品液が付着しており、排気のための気流が吐出筒33の内部に入ったとしても、この気流は吐出筒33の内部に留まることが想定される。したがって、先端23および吐出筒33の内周面に付着する製品液が気体流路GRを流れるおそれは小さい。
また、充填バルブ装置1は、液体流路LRの周囲に気体流路GRが形成されるので、この逆の配置に比べると、気体流路GRの開口面積を広く取れる。これにより、同じ減圧度でパウチ100から排気をすれば、気体流路GRの開口面積が広い方が、空気の流れる速度が遅くなる。したがって、先端23および吐出筒33の内周面には製品液が付着していたとしても、製品液が気体流路GRに回り込むおそれは極めて小さい。
充填バルブ装置1によれば、特許文献1で必要とされていた気体流路GRに溜まった製品液を取り除くために、圧縮気体を吹き付けるといった工程を省略できる。この工程の省略は、飲料製品の製造サイクルの短縮に寄与するのに加えて、充填システム200の簡素化にも寄与する。つまり、特許文献1によれば、圧縮気体を吹き付けるための機器および配管を備えるが、本実施形態に係る充填システム200によれば、これらの機器および配管を省くことができる。
(1)製品液を容器(100)に充填する充填バルブ装置(1)であって、弁棒(21)と、弁棒(21)の軸線方向の一方端の側に設けられる第一弁体(25)と、を備える液弁(20)と、液弁(20)の周囲を取り囲み、液弁(20)との間に製品液を流すための液体流路(LR)が形成される内筒(30)と、内筒(30)の周囲を取り囲み、内筒(30)との間に容器(100)から気体を排気するための気体流路(GR)が形成される外筒50と、を備え、液体流路(LR)と気体流路(GR)が選択的に切り替えられる、充填バルブ装置。
(8)外筒(50)は、外筒(50)の一方端に設けられるセンタリングベルと、センタリングベルの先端に容器100から排気される気体が通過する通過口(61)を備え、センタリングベルに設けられた第二弁座(63)に第二弁体(38)が着座することで気体流路(GR)が閉じられる、
例えば、以上の実施形態において、吐出筒33と弁棒21の先端、あるいは吐出筒33とセンタリングベル53とにより封止がなされる例が説明されているが、本発明はこれに限定されない。
10 充填部
20 液弁
21 弁棒
23 先端
25 第一弁体
29 ダイアフラム
30 内筒
31 胴部
31A 空隙
32 テーパ部
32A 第一弁座
33 吐出筒
34 吐出孔
35 流路形成ブロック
36 第1部材
37 第2部材
36A,37A 空隙
38 第二弁体
39 液体入口
43 液体導入管
50 外筒
51 胴部
52 第3部材
53 センタリングベル
54 第4部材
55 潤滑筒
57 防護壁
58 気体通過口
59 気体通過管
61 通過口
63 第二弁座
70 駆動部
71 シリンダ機構
73 昇降ロッド
80 把持手段
83 固定ボルト
100 パウチ
101 飲み口
200 充填システム
C 中心軸線
GR 気体流路
LR 液体流路
Claims (9)
- 製品液を容器に充填する充填バルブ装置であって、
弁棒と、前記弁棒の軸線方向の一方端の側に設けられる第一弁体と、を備える液弁と、
前記液弁の周囲を取り囲み、前記液弁との間に前記製品液を流すための液体流路が形成される内筒と、
前記内筒の周囲を取り囲み、前記内筒との間に前記容器から気体を排気するための気体流路が形成される外筒と、を備え、
前記液弁は、前記軸線方向の一方端の側に、前記内筒に対する前記第一弁体を備え、
前記内筒は、前記軸線方向の一方端の側に、前記第一弁体に対応する第一弁座と、前記外筒に対する第二弁体と、を備え、
前記外筒は、前記軸線方向の一方端の側に、前記第二弁体に対応する第二弁座を備え、
前記液体流路と前記気体流路が選択的に切り替えられる、
充填バルブ装置。
- 前記液体流路は、前記容器への前記製品液の充填時には貫通されるが、前記容器からの排気時には閉じられ、
前記気体流路は、前記容器への前記製品液の充填時には閉じられるが、前記容器からの排気時には貫通される、請求項1に記載の充填バルブ装置。
- 前記液体流路は、前記液弁の周囲を周方向に連なり、
前記気体流路は、前記内筒の周囲を周方向に連なる、
請求項1または請求項2に記載の充填バルブ装置。
- 前記液体流路と前記気体流路との分岐位置に、前記第二弁体の前記第二弁座に対する第二着座位置がある、
請求項3に記載の充填バルブ装置。
- 前記内筒は、前記弁棒の周囲を取り囲む中空の胴部と、前記製品液が吐出される吐出筒と、前記胴部と前記吐出筒を繋ぎ前記胴部から前記吐出筒に向けて連続的に径が細くなるテーパ部を備え、
前記テーパ部に設けられた前記第一弁座に前記第一弁体が着座することで前記液体流路が閉じられる、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の充填バルブ装置。
- 前記弁棒の前記一方端をなす先端は、前記吐出筒に挿入可能である、
請求項5に記載の充填バルブ装置。
- 前記外筒は、前記外筒の一方端に設けられるセンタリングベルと、
前記センタリングベルの先端に前記容器から排気される気体が通過する通過口を備え、
前記センタリングベルに設けられた前記第二弁座に前記第二弁体が着座することで前記気体流路が閉じられる、
請求項5または請求項6に記載の充填バルブ装置。
- 前記気体流路は、
前記容器に気体を供給するための気体供給流路を兼ねる、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の充填バルブ装置。
- 製品液を容器に充填する充填バルブ装置と、
前記製品液を前記充填バルブ装置に向けて供給する製品液供給源と、
前記容器の内部に吸引力を作用させる減圧源と、を備え、
前記充填バルブ装置が請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の充填システム。
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