JP7384753B2 - 車体構造 - Google Patents

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Description

本発明は、炭素繊維強化樹脂を用いた自動車両の車体構造に関する。
従来、車体構造として、フレーム構造が知られている。フレーム構造は、エンジンや駆動用モータ、トランスミッション等の車両の主要部品を搭載したフレーム(骨組み)に、ボディを被せて構成された車体構造である。近年、車両のプラットフォームの軽量化を目的として、炭素繊維強化樹脂(以下、CFRPと表記する)を用いて車体構造を構成することが検討されている。CFRP製の構造材は、高い剛性を有し、特に繊維の配向方向に作用する圧縮応力あるいは引張応力に対して高い強度を発揮する。
ここで、CFRP製の構造材は、衝撃を受けたときに脆性的に破壊する特性を有する。このため、CFRPを用いて車体構造を構成する場合であっても、衝突に対する剛性や、車両の他の構成部品との結合強度等を担保することが必要となる。例えば特許文献1には、金属材料からなる部材を用いて繊維強化樹脂製のフロントピラーの強度を高めた自動車の繊維強化樹脂製のキャビンが開示されている。
特開2015-186928号公報
しかしながら、フロントピラーには車両の転倒時においても破壊を抑制し、車室内の乗員を保護することや、フロントドアとの結合強度及び車両の前方からの衝突に対する剛性等を担保することが求められる。フロントピラーを含むボディ部分をCFRPを用いて構成する場合においても、これらのフロントピラーの強度特性を保持させる必要があるが、上記特許文献1に記載の技術は、フロントピラーの対衝突性能の向上以外の観点を考慮しておらず、別途、車両の転倒時におけるルーフトップ側からの荷重入力や、フロントドアとの結合強度等に対する対策をとる必要がある。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、所定の剛性を有するシャシとCFRP製のキャビンとを含む車体構造において、フロントピラーに期待される複数の機能特性を、簡易な構成で向上させることができる車体構造を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、衝突に対する所定の剛性を有するシャシと、シャシ上に載置固定されて少なくともピラーを含む炭素繊維強化樹脂製のキャビンとを備えた車体構造において、ピラーは、下部に金属製の補強材を備え、車長方向をX方向、車幅方向をY方向、車高方向をZ方向としたときに、補強材は、車体内側に位置する第1のXZ面と、車体外側に位置する第2のXZ面と、車体前側に位置する第1のYZ面と、底面を構成するXY面と、を含み、第2のXZ面は、少なくともドアヒンジの取付面とされ、XY面は、キャビンのフロアと接合される車体構造が提供される。
また、上記の車体構造において、第1のXZ面、第2のXZ面及び第1のYZ面は、ピラーとの接合面とされてもよい。
また、上記の車体構造において、少なくとも第1のXZ面は、車両の側面衝突時において応力が集中すると想定される応力集中想定領域を含む高さまで延在してもよい。
また、上記の車体構造において、補強材は、さらに車体後側に位置する第2のYZ面を含んでもよい。
また、上記の車体構造において、XY面は、シャシとキャビンとを固定する締結部材の取付面とされてもよい。
また、上記の車体構造において、XY面は、第1のXZ面よりも車体内側に延在してもよい。
以上説明したように本発明によれば、所定の剛性を有するシャシとCFRP製のキャビンとを含む車体構造において、フロントピラーに期待される複数の機能特性を、簡易な構成で向上させることができる。
本実施形態に係る車体構造の全体構成を示す模式図である。 本実施形態に係る車体構造のキャビンの前部を示す前方斜視図である。 本実施形態に係る車体構造のキャビンの前部を示す後方斜視図である。 フロントピラーの構成の一部を示す斜視図である。 フロントピラーの一断面図である。 フロントピラーの下部断面図である。 補強材を車体外側から見た斜視図である。 補強材を車体内側から見た斜視図である。 補強材を車体外側から見た図である。 補強材を底面側から見た図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
まず、本発明の実施の形態に係る車体構造の全体構成の一例を説明する。
図1は、車体構造1の全体構成を示す模式図である。なお、図1に示すように、本明細書において、車幅方向をX方向、車長方向をY方向、車高方向をZ方向と表記する場合がある。
車体構造1は、シャシ10及びキャビン30を備える。シャシ10は、車両の衝突に対する所定の剛性を有する構成要素である。シャシ10は、例えば、鉄、軽金属、炭素繊維強化樹脂を用いて形成される。シャシ10の剛性を高めるには、鉄を用いてシャシ10を構成することが好ましい。一方、車体構造1をより軽量化するには、軽金属又は炭素繊維強化樹脂を用いてシャシ10を構成することが好ましい。中でも、比較的製造が容易で、軽量化及び剛性をともに得ることができるアルミニウムを用いてシャシ10を構成することが好ましい。
シャシ10は、左右のサイドフレーム11L,11Rと、左右のサイドフレーム11L,11Rに懸架されたクロスメンバ13a,13bとを含む。シャシ10には、例えば、図示しないエンジンや駆動用モータ、トランスミッション等が積載される。図1に示した車体構造1においては、フロント側にエンジンや駆動用モータ等の積載スペースが設けられる。
キャビン30は、シャシ10上に載置固定されて、少なくとも車室部分を形成する構成要素である。キャビン30は、少なくとも左右のフロントピラー31R,31L、ルーフトップ33、ルーフピラー35、左右のルーフサイドレール41L,41R、左右のサイドシル37L,37R及びフロア39を含んで構成される。キャビン30の少なくとも一部は、CFRPからなる複数の構造材を組み合わせて形成されている。キャビン30は、シャシ10に形成された複数の係合要素に対して係合されて固定される。例えば、シャシ10に形成された複数のブッシュピンに対して、キャビン30のフロア39に形成された孔部を係合した状態で、ボルト及びナットを用いてシャシ10とキャビン30とが固定される。
フロントピラー31L,31R及びルーフピラー35は、キャビン30の前部を形成する。また、フロントピラー31L,31R、ルーフサイドレール41L,41R及びサイドシル37L,37Rは、それぞれキャビン30の左右の側部を形成する。キャビン30の左右の側部には、フロントドア用の開口部43L,43Rが形成されている。フロントピラー31L(31R)には、フロントドアを取り付けるための上下のドアヒンジ51U,51Lが設けられる。
なお、図1に示した車体構造1は、いわゆる2ドア車の車体構造であることから二つの開口部43L,43Rが形成されているが、車体構造は、いわゆる4ドア車の車体構造であってもよく、この場合、リアドア用の開口部が形成され。キャビン30を構成する複数の構造材は、それぞれ複数の部材から構成されてもよい。
本実施形態に係る車体構造1では、少なくともシャシ10が、衝突に対する所定の剛性を有し、キャビン30の剛性を小さくした場合であっても、車体全体としての剛性が担保される。このため、キャビン30を主としてCFRPを用いて構成することができ、車体全体としての軽量化が図られている。
ここで、車両が転倒した際、キャビン30のルーフトップ33が押し潰されること(以下、「ルーフクラッシュ」ともいう)を抑制して車室内の乗員を保護するには、ルーフトップ33が受ける荷重を効率よくフロア39へ伝達させる必要がある。また、フロントピラー31L,31Rは、ドアヒンジ51U,51Rが接合されたり、シャシ10との締結に利用されたりする部分であり、これらに対応できることが求められる。さらに、シャシ10及びキャビン30からなる車体構造1とした場合、車両の前方からの衝突時にフロントピラー31L,31Rに荷重が入力され得るため、当該衝突荷重にも耐え得る構成であることが求められる。
図2~図3は、キャビン30のうち、フロントピラー31L,31Rを含む前部を示す説明図である。図2は、キャビン30の前部を前方から見た斜視図であり、図3は、キャビン30の前部を後方から見た斜視図である。
キャビン30の前部は、左右のフロントピラー31L,31R、左右のサイドシル37L,37R、ルーフピラー35、フロア39、トンネル部47及びフロント部49を含んで構成されている。左右のサイドシル37L,37Rは、それぞれ左右のフロントピラー31L,31Rの下端部に接続されてY方向に延在する。ルーフピラー35は、図示しないルーフトップの前端に位置し、その両端部は左右のフロントピラー31L,31Rの上端部に接続されている。
フロント部49は、左右のフロントピラー31L,31Rの下部の間に位置する。左右のフロントピラー31L,31R、ルーフピラー3及びフロント部49によりフロントウィンドウが配置される開口が形成される。トンネル部47は、フロア39の車幅方向中央にY方向に沿って形成されている。トンネル部47は、例えばエンジン又は駆動用モータから出力された動力を伝達するプロペラシャフトが配置される空間を形成する。
本実施形態に係る車体構造1では、キャビン30全体がCFRPを用いて形成されている。ただし、本発明は、少なくともフロントピラー31L,31RがCFRPを用いて形成されたキャビン30に適用することができる。
フロントピラー31L,31Rは、フロア39から上方へ立設される。フロントピラー31L,31Rの下端部のY方向後ろ側には、サイドシル37L,37Rが接続されている。フロントピラー31L,31Rの車体外側の面(YZ面)には、フロントドアを取り付けるためのドアヒンジが固定されるヒンジ取付孔45U,45Lが設けられている。
図4~図6は、フロントピラー31Lの構成例を示す説明図である。図4は、左右のフロントピラー31L,31Rのうち左側のフロントピラー31Lの構成の一部を示す斜視図である。また、図5は、フロントピラー31Lのうち上側のヒンジ取付孔45Uが設けられた位置におけるフロントピラー31LのXY断面図であり、図6は、フロントピラー31Lのうち下側のヒンジ取付孔45Lが設けられた位置におけるフロントピラー31LのXY断面図である。
フロントピラー31Lは、CFRPを含む複数の部材からなる複合部材として構成されている。図4~図6に示したフロントピラー31Lは、車体外側に位置するCFRP製のアウタ部材51と、車体内側に位置するCFRP製のインナ部材57と、アウタ部材51とインナ部材57の間に設けられたレインフォースメント55とを含む。なお、図4において、アウタ部材51の図示は省略されている。
アウタ部材51及びインナ部材57は、例えば、それぞれ一層又は複数層のCFRPシートからなり、フロントピラー31Lの外形を成す立体形状を有する。インナ部材57の車体内側面には、キャビン30のフロント部49を構成する部材が接合されている。レインフォースメント55は、例えば、鉄又は鋼鈑等のCFRPよりも高い剛性を有し、フロントピラー31Lを補強する機能を有する。アウタ部材51及びインナ部材57とレインフォースメント55とは、接着剤により接合されていてもよく、樹脂により溶着されていてもよく、ボルト締結されていてもよい。
図4及び図5に示すように、フロントピラー31Lの下部を除く部分において、アウタ部材51とレインフォースメント55との間には管状部材53が設けられている。管状部材53は、CFRPをフロントピラー31Lの形状に合わせて管状に成形した部材であり、フロントピラー31Lの強度を高める機能を有する。管状部材53の配置位置は、上側のヒンジ取付孔45Uが設けられた位置を含む。したがって、管状部材53の車体外側に位置するYZ面にはヒンジ取付孔45Uが形成されている。
また、図4及び図6に示すように、フロントピラー31Lの下部において、アウタ部材51とレインフォースメント55との間には補強材60が設けられている。フロントピラー31Lの下部は、フロア39との接合やシャシ10との締結、フロントドアを取り付けるドアヒンジの接合に利用される部分であり、これらに対応し得る強度が必要とされる。また、フロントピラー31Lは、車両の転倒時にルーフクラッシュを抑制するためにルーフトップ33側からフロントピラー31Lにかかる荷重を効率的にフロア39に伝達したり、車両の前面からの衝突時にキャビン30が車室側へ押し潰されないようにしたりすることが求められる。
このため、フロントピラー31Lの下部に設けられる補強材60は、金属材料により構成され、フロントピラー31Lの下部をより強固に補強する。例えば、補強材60は、鉄鋼板を用いて成形されていてもよく、アルミニウムを用いて型成形されていてもよい。フロントピラー31Lの下部に金属材料製の補強材60を配置し、それ以外の部分にはCFRP製の管状部材53を配置することにより、フロントピラー31Lに必要な特性の実現と、車体の軽量化との両立が図られる。
図7~図10は、補強材60の構成例を示す説明図である。図7は、補強材60を車体外側の前方から見た斜視図であり、図8は、補強材60を車体内側の後方から見た斜視図である。また、図9は、補強材60を車体外側から見た図であり、図10は、補強材60を底面側から見た図である。
本実施形態において、補強材60は、車体内側に位置する第1のXZ面61と、車体外側に位置する第2のXZ面63と、車体前側に位置する第1のYZ面65と、車体後側に位置する第2のYZ面67と、底面を構成するXY面69とを含むボックス状に形成されている。なお、例えばXZ面という場合、厳密にXYZ3軸からなる空間のXZ平面に平行な平面を意味するものではなく、概ねXZ平面に沿って延在する平面又は曲面を含む。YZ面及びXY面も同様である。
補強材60において、少なくとも第1のXZ面61、第2のXZ面63及び第1のYZ面65は、フロントピラー31Lを構成する部材との接合面とされる。具体的に、第1のXZ面61のうち車体内側を向く面は、レインフォースメント55と接合される。また、第2のXZ面63のうち車体外側を向く面は、アウタ部材51の内面と接合される。また、第1のYZ面65のうち車体前側を向く面は、アウタ部材51の内面と接合される。さらに、本実施形態では、底面を構成するXY面69のうち車体上側を向く面は、インナ部材57の一部と接合される。
フロントピラー31Lを構成する部材と補強材60とを複数の面で接合することにより、フロントピラー31Lと補強材60との接合強度が高められる。したがって、フロントピラー31Lへの荷重入力時に、フロントピラー31Lと補強材60とが分離するおそれを低減することができる。なお、第2のYZ面67のうち車体後側を向く面がアウタ部材51の内面と接合されてもよく、その他の適宜の部分がフロントピラー31Lを構成する部材に接合されてもよい。
また、底面を構成するXY面69は、キャビン30のフロア39と接合される。XY面69とフロア39とは、接着剤により接合されてもよく、ボルト締結されてもよく、その他の適宜の方法により接合されてもよい。ここで、補強材60のX方向の幅は、下方に向けて漸増している。具体的に、車体後側に位置する第2のYZ面67が車体前方側に傾斜するように形成されることにより、補強材60のX方向の幅は下方に向けて漸増している。さらに、XY面69は、第1のXZ面61よりも車体内側に延在して設けられている。
したがって、XY面69の大きさ(面積)は、補強材60の上部のXY断面の大きさよりも大きくされている。これにより、補強材60とフロア39との接合面積が拡大され、補強材60ひいてはフロントピラー31Lをフロア39に対して安定的に接合することができる。また、第2のYZ面67が車体前方側に傾斜し、補強材60のXY断面の大きさが下方に向けて漸増することにより、車両の前方からの衝突発生時に、補強材60ひいてはフロントピラー31が倒れにくくなり、車室内の乗員の安全性を高めることができる。さらに、XY面69が第1のXZ面61よりも車体内側に延在して設けられることにより、車両の側面衝突時に、補強材60ひいてはフロントピラー31が倒れにくくなり、車室内の乗員の安全性を高めることができる。
また、XY面69は、シャシ10とキャビン30とを固定するための固定部分としても利用される。つまり、XY面69は、シャシ10とキャビン30とを固定する締結部材の取付面とされ、XY面69には、シャシ10とキャビン30とを固定するためのブッシュピンやボルト等の締結部材が挿入される孔部69aが設けられている。締結部材は、孔部69a及びフロア39を貫通して取り付けられ、シャシ10とキャビン30とを固定する。金属材料製の補強材60を利用してシャシ10とキャビン30とを固定することにより、シャシ10とキャビン30との固定強度を高めることができる。当該孔部69aは、シャシ10に対するキャビン30の位置決めを行うために用いられてもよい。なお、第1のXZ面61に設けられた開口部71には、締結部材の一部が配置される。
また、レインフォースメント55と接合される第1のXZ面61は、第2のXZ面63、第1のYZ面65及び第2のYZ面67よりも上方へ延びている。かかる第1のXZ面61は、車両の側面衝突時において応力が集中すると想定される応力集中想定領域を含む高さまで延在している。具体的には、車両の側面衝突時において、衝突相手の車両のバンパ部分が自車両の側面に接触することが一般的であるため、従来フロントピラーは当該バンパ部分に相当する範囲の強度が高められている。したがって、本実施形態に係る車体構造1においても同様に、車両のバンパ部分に相当する範囲に応力が集中すると想定され、第1のXZ面61は、当該応力集中想定領域を含む高さまで延在されている。これにより、車両の側面衝突時に、フロントピラー31Lが破壊されるおそれを低減することができる。
また、車体外側に位置する第2のXZ面63は、フロントドアを取り付けるためのドアヒンジの接合面であり、第2のXZ面63には、二つのヒンジ取付孔45Lが設けられている。ヒンジ取付孔45Lには、ドアヒンジを固定するボルト又はネジが挿入される。金属材料製の補強材60を利用してドアヒンジを接合することにより、フロントドアを強固に支持することができる。また、補強材60を利用してドアヒンジを接合することにより、車両の衝突時にドアヒンジの破壊を抑制することができ、ドアの開閉が可能な状態を維持させる確実性を高めることができる。
なお、右側のフロントピラー31Rは、左側のフロントピラー31Lと同様に構成されるため、説明を省略する。
以上説明したように、本実施形態に係る車体構造1によれば、衝突に対する所定の剛性を有するシャシ10と、CFRP製のキャビン30とを組付けた構成とすることにより、衝突に対する剛性の確保と、車体の軽量化との両立を図ることができる。
また、本実施形態に係る車体構造1では、主としてCFRPからなるフロントピラー31L,31Rの下部に金属材料製の補強材60が設けられる。補強材60は、車体内側の第1のXZ面61、車体外側の第2のXZ面63、車体前側の第1のYZ面65、車体後側の第2のYZ面67及び底面を構成するXY面69を有し、ボックス状に構成されている。このため、あらゆる方向からの荷重に対する強度が高められている。
また、補強材60のうち、車体外側に位置する第2のXZ面63はドアヒンジの取付面とされている。これにより、金属材料製の補強材60を利用してフロントドアが強固に支持される。また、底面を構成するXY面69はキャビン30のフロア39と接合される。このため、ルーフトップ33側からフロントピラー31L,31Rに入力される荷重をフロア39に対して効率的に伝達することができ、ルーフクラッシュを抑制することができる。
このようにして、本実施形態に係る車体構造1は、複数の機能を発揮する補強材60をフロントピラー31L,31Rの下部に設けることにより、簡易な構成でフロントピラー31L,31Rに期待される複数の機能特性を向上させることができる。
また、本実施形態に係る車体構造1では、底面を構成するXY面69は、シャシ10とキャビン30とを固定する締結部材の取付面とされている。これにより、金属材料製の補強材60を利用してシャシ10とキャビン30とを強固に固定することができる。また、ドアヒンジを接合する部品と、シャシ10とキャビン30とを締結する部品とが共有され、部品点数の削減が図られている。さらに、補強材60の底面を構成するXY面69の大きさは、補強材60の上部のXY断面の大きさよりも拡大されている。これにより、補強材60とフロア39との接合面積が拡大され、フロントピラー31L,31Rを安定的に支持することができる。
また、本実施形態に係る車体構造1では、補強材60の底面を構成するXY面69が、車体後方に向けて、かつ、車体内側に向けて拡大されている。したがって、車両の前方衝突時あるいは側面衝突時において、補強材60ひいてはフロントピラー31L,31Rが倒れにくくなり、車室内の乗員を保護することができる。
また、本実施形態に係る車体構造1では、車体内側に位置する第1のXZ面61が、車両の側面衝突時において応力が集中すると想定される応力集中想定領域を含む高さまで延在している。このため、レインフォースメント55と相まって、車両の側面衝突時においてフロントピラー31L,31Rが破壊されるおそれが低減され、車室内の乗員を保護することができる。なお、第1のXZ面61以外の第2のXZ面63、第1のYZ面65及び第2のYZ面67についても応力集中想定領域を含む高さまで延在されていてもよいが、車体の軽量化の観点から必要な範囲とすることが好ましい。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は係る例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、上記の実施形態及び各変形例を互いに組み合わせた態様も、当然に本発明の技術的範囲に属する。
1…車体構造、10…シャシ、30…キャビン、31L,31R…フロントピラー、45U,45L…ヒンジ取付孔、51…アウタ部材、53…管状部材、55…レインフォースメント、57…インナ部材、60…補強材、61…第1のXZ面、63…第2のXZ面、65…第1のYZ面、67…第2のYZ面、69…XY面

Claims (6)

  1. 衝突に対する所定の剛性を有するシャシと、
    前記シャシ上に載置固定されて少なくともピラーを含む炭素繊維強化樹脂製のキャビンと、を備えた車体構造において、
    前記ピラーは、下部に金属製の補強材を備え、
    車長方向をX方向、車幅方向をY方向、車高方向をZ方向としたときに、
    前記補強材は、
    車体内側に位置する第1のXZ面と、
    車体外側に位置する第2のXZ面と、
    車体前側に位置する第1のYZ面と、
    底面を構成するXY面と、を含み、
    前記第2のXZ面は、少なくともドアヒンジの取付面とされ、
    前記XY面は、前記キャビンのフロアと接合される、車体構造。
  2. 前記第1のXZ面、前記第2のXZ面及び前記第1のYZ面は、前記ピラーとの接合面とされる、請求項1に記載の車体構造。
  3. 少なくとも前記第1のXZ面は、車両の側面衝突時において応力が集中すると想定される応力集中想定領域を含む高さまで延在する、請求項2に記載の車体構造。
  4. 前記補強材は、さらに車体後側に位置する第2のYZ面を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の車体構造。
  5. 前記XY面は、前記シャシと前記キャビンとを固定する締結部材の取付面とされる、請求項1~4のいずれか1項に記載の車体構造。
  6. 前記XY面は、前記第1のXZ面よりも車体内側に延在する、請求項1~5のいずれか1項に記載の車体構造。
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