JP7384501B2 - 印刷装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ラベルプリンターのカッター機構等に用いて好適な印刷装置に関するものである。
ラベルプリンターは、ラベルロールから引き出したラベル用紙に、印刷手段によって印刷を行った後、切断機構によって前記印刷したラベル用紙を切断するように構成されている。ここで前記ラベルプリンターの印刷装置は、例えば、プラテンローラと印字ヘッドの間に前記ラベル用紙を挟持した状態で前記プラテンローラを駆動し、これによってラベル用紙をラベル排出口に向けて移送しながら、同時に前記印字ヘッドによって印刷を行う機構となっている。また前記切断機構は、例えば、前記印刷手段(そのラベル排出口)よりもわずかに下流側に固定刃と可動刃を対向して設置し、それらの間に印刷後のラベル用紙を通し、前記可動刃を固定刃方向に移動することで印刷済みのラベルをせん断作用にて切断する構成となっている。
特開2009-107279号公報
上記従来の切断機構を備えたラベルプリンターにおいては、可動刃が固定刃方向へ移動する際にラベル用紙を巻き込み、切断機構内でラベル用紙を詰まらせてしまうような場合がある。
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、ラベル用紙等の被切断媒体の紙詰まりを容易に解消することができる印刷装置を提供することにある。
本発明にかかる印刷装置は、被切断媒体に印刷を行い、且つ所定の長さにカットして排出する印刷装置において、固定刃と可動刃の刃体が、前記被切断媒体を切断する切断可能位置で対向して設置され、前記固定刃と可動刃の刃体は、それぞれ異なる移動機構に取り付けられ、前記固定刃の刃体を取り付けた直線移動機構を前記切断可能位置から前記印刷装置の手前方向である前方に向けて引き出す方向に直線移動すると、前記可動刃の刃体を取り付けた回転移動機構が前記切断可能位置から前記前方に向けて回転移動可能となる構成であり、前記直線移動機構は前記被切断媒体を収納する収納部と共に直線移動することを特徴としている。
なお、被切断媒体としては例えばロール紙を用い、また印刷手段としては例えば印字ヘッドとプラテンローラの間にロール紙を挟持することでロール紙を送り出しながら印刷する構造のものを用いても良いが、本発明はこれらに限定されるものではなく、他の種々の構成の被切断媒体や印刷手段を用いても良い。
本発明によれば、固定刃の刃体を切断可能位置から移動させるだけで、可動刃の刃体も切断可能位置から移動可能となるように構成したので、被切断媒体の紙詰まり等の問題が生じても、一対の刃体を両者の移動によって容易に離間することができ、上記紙詰まり等の問題を素早く取り除くことができる。
ラベルプリンター(計量根付けラベルプリンター)1の斜視図である。 印刷装置10の内部構造を示す概略側面図である。 分離部20を引き出した印刷装置10の内部構造を示す概略側面図である。 分離部20を引き出した印刷装置10の内部構造を示す概略斜視図である。 固定刃ユニット30の斜視図である。 装置本体側部材100の概略側面図である。 装置本体側部材100の斜視図(印字ユニット220の記載省略)である。 装置本体側部材100の分解斜視図(印字ユニット220の記載省略)である。 可動刃189と固定刃33近傍部分の要部拡大概略側面図である。 固定刃33と可動刃189の動作説明図である。 固定刃33と可動刃189の動作説明図である。 可動刃189と固定刃33近傍部分の要部拡大概略側面図である。
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態にかかる切断装置を具備する印刷装置を用いて構成されたラベルプリンター(計量根付機、商品データ処理装置)1の斜視図である。このラベルプリンター1は、計量値付けラベルプリンターであり、例えば販売店のバックヤードに設置され、各種商品又は商品容器に貼付するラベルを発行する装置である。同図に示すように、ラベルプリンター1は、基台部3の上面に表示手段5とキー操作部7とを設置し、また基台部3の前面に印刷装置10を配置し、さらに商品計量用のはかり部9をケーブル(無線でも良い)で接続して構成されている。そして表示手段5とキー操作部7とを用いて所望の設定(例えば加工日や消費期限等の設定)を行った後、はかり部9に加工・盛り付け・包装が終わった商品を載せて計量を行い、値段等を算出し、内容量や値段等を表示手段5に表示する。そしてこの計量が完了すると、キー操作部7の印字キーを押圧する等により、印刷装置10のラベル発行口11から、所望の印刷が行われ且つ所定の長さにカットされたラベル(この例の場合はライナーレスラベル)が発行(排出)される。
印刷装置10は、ラベル発行口11を有すると共に、その下部に印刷装置10の分離部20を手前に引き出すためのロック解除レバー13を設けている。そして、ラベル印字用の下記するラベルロール27の取り換えを行う場合や、下記する切断機構が詰まってその復旧を行うような場合は、ロック解除レバー13を上方向に持ち上げることでロックを解除した状態で、分離部20を手前方向に引っ張れば、分離部20は直線状に手前側に引き出される。そしてラベルロールの交換や紙詰まりの復旧等を終了した後、分離部20を押し込めば、前記ロック解除レバー13がロックされ、元の図1に示す状態に戻る。なお、以下の説明において、分離部20を引き出す方向を前方(前)、押し込める方向を後方(後)と表現することとする。
図2は前記印刷装置10の内部構造を示す概略側面図、図3は分離部20を引き出した状態での印刷装置10の内部構造を示す概略側面図、図4は分離部20を引き出した状態での印刷装置10の内部構造を示す概略斜視図である。これらの図に示すように、印刷装置10は、下方に位置する分離部20と、上方に位置する装置本体側部材100とを具備して構成されている。なお、印刷装置10は、分離部20と装置本体側部材100を、ラベルプリンター1の基台部3の前面に形成した凹部(その内周壁)内に収納設置することで構成される。以下、基台部3の前面に形成した凹部(その内周壁)を、印刷装置10(又はラベルプリンター1)の装置本体側の部材(固定側部材)と呼ぶ。
分離部20は、装置本体側の部材に取り付けられる板状の取付体21上に、スライダ機構23を介して、設置されている。スライダ機構23は、取付体21に対して、分離部20を直線方向(この例では水平方向)に所定の距離にわたって移動(スライド移動)自在とする機構である。
分離部20は、略矩形状の枠体25の後方上部に、帯状で長尺なラベルを巻回したラベルロール27を収納するロール収納部29を設け、一方枠体25の前方の上部に、プラテンローラ31と刃体(以下「固定刃」という)33とを設置して構成されている。プラテンローラ31は、枠体25の一部を構成する左右の側板35,37に回動自在に軸支され、図示しない駆動機構によって回動自在に構成されている。固定刃33はその上辺に刃41を設けて構成され、前記プラテンローラ31の前方側(下記するラベル用紙Rの排出側、下流側)に設置されている。刃41は直線状(水平状)で、プラテンローラ31の長手方向に沿うように設置されている。また一方の側板35には、下記する固定刃33の移動規制部39を挿入する固定刃移動規制孔67が貫通して設けられている。固定刃移動規制孔67は略扇型形状の貫通孔であり、前方側の辺が当接部69となっている。また両側板35,37の上辺の前方部分からはそれぞれ突出部36,36が突出しており、それらの後方側の縦辺を誘導部32,32としている。
図5は、固定刃33及びこれを支持する支持体43からなる固定刃ユニット30の斜視図である。同図に示すように固定刃33は金属製であって略矩形板状に形成され、その上辺に刃41が設けられている。また固定刃33の左右両側辺の内の一方の側辺からは、小突起状の移動規制部39が突出している。一方、支持体43は、固定刃33(その後方側の面)を取り付ける固定刃保持体45と、固定刃保持体45を揺動自在に軸支する取付台49と、固定刃保持体45を前方に弾発する付勢手段51とを具備して構成されている。
固定刃保持体45は合成樹脂を略板状に形成して構成されており、その下辺近傍の左右両側辺から一対の突部からなる軸部47を突出している。固定刃保持体45の前方側の面には、ビス53等の固定手段によって固定刃33が固定されるが、その際、固定刃33の刃41は固定刃保持体45の上辺から上方に突出している。
取付台49は合成樹脂を略板状に成形して構成されており、その左右両側部分の上面から一対の軸支用突部57を突出し、各軸支用突部57に円形凹状の軸支部59(図5では手前側の軸支部59のみ示す)を設けている。また取付台49の上面中央には、下記する付勢手段51の左右のバネ端部64を係止する溝状の一対のバネ端係止部61が設けられている。
付勢手段51は、2つのコイル部63と、両コイル部63の中央の連結部分をコ字状に屈曲させて半径方向外方に突出してなるバネ中央部65と、両コイル部63の外側の端部を半径方向外方に突出してなる一対のバネ端部64とを具備して構成されている。
そして、固定刃33を取り付けた固定刃保持体45の両軸部47を、取付台49の両軸支部59に回動自在に係合すると共に、付勢手段51の一対のバネ端部64を、取付台49のバネ端係止部61に係止する。これによって固定刃33は、軸部47を中心に揺動自在に軸支されると共に、付勢手段51によって前方(分離部20が分離していく方向)に向けて付勢される。
上記固定刃ユニット30は、図4に示すように、プラテンローラ31の前方の枠体25の上面(両側板35,37の間)に図示しない固定手段によって取り付けられる。その際、枠体25の一方の側板35に設けた固定刃移動規制孔67に固定刃33の移動規制部39を挿入することで、固定刃33を所定の範囲で分離部20の移動方向に移動(揺動)可能とする。また固定刃33は、前記付勢手段51の付勢力によって、移動規制部39の前方側の面が固定刃移動規制孔67の当接部69に弾接する。言い換えれば、固定刃33は、固定刃移動規制孔67の当接部69と移動規制部39によって構成される規制手段によって、前方に移動することが規制されている。
装置本体側部材100は、装置本体側に取り付けられる板状の取付体110の前方に、一対の支持体160によって可動刃ユニット180を取り付け、一方取付体110の下方に印字ユニット220を取り付けて構成されている。ここで図6は装置本体側部材100の概略側面図、図7は装置本体側部材100を別の角度から見た斜視図(但し印字ユニット220の記載は省略)、図8は図7に示す装置本体側部材100の分解斜視図である。
これらの図に示すように、取付体110は、略平板矩形状で金属製の板体の4辺を下方向に折り曲げて側壁111,113,115,117を形成して構成されている。前方の側壁111には矩形状の開口119を設け、その内周の下辺中央に上向きに係止部121を突出している。後方の側壁113の下方中央には矩形状の開口123を設けている。これら係止部121と開口123は、印字ユニット220を係止するために形成されている。取付体110の上面の左右には、矩形状の一対の開口127が設けられ、その内周の前方側の辺から突出する舌片状のバネ受け部129を下向きでさらに斜め前方を向くように根元部分を屈曲している。両開口127の左右外側には、第1の支持体係止部131と、第2の支持体係止部133が形成されている。第1の支持体係止部131と第2の支持体係止部133は、同一直線上(分離部20の直線移動方向)に形成されている。第1の支持体係止部131は、略凸形状であり、前記直線方向に延びる幅の広いバネ挿入部135の前方側に、前記直線方向に延びる幅の狭い支持体支持部137を連結して形成されている。第2の支持体係止部133は、略凸形状であり、一端が取付体110の外周辺に至る幅の広い挿入部139の前方側に、前記直線方向に延びる幅の狭い支持体支持部141を連結して形成されている。バネ挿入部135と挿入部139の幅寸法は同一に形成され、両支持体支持部137,141の幅寸法は同一に形成されている。
可動刃ユニット180は略矩形状の箱型に形成され、その両側面部分に一対の支持体160を回動自在に取り付けている。支持体160は合成樹脂の成形品であり、図8に示すように、略L字状に成形され、その前方側の部分を可動刃側支持部161、後方側の部分を装置本体側支持部163としている。可動刃側支持部161は板状であり、その上部が可動刃ユニット180の左右の側面の上部の軸支部165に回動自在に取り付けられている。装置本体側支持部163は略棒状であって水平に設置され、その上面には、一対の支持体保持部167,169が突設されている。装置本体側支持部163上面の一対の支持体保持部167,169の間には、凹状のバネ挿入部164が設けられている。前方側の支持体保持部167はT字型であり、幅の小さいガイド挿入部171の上部に幅の大きい抜け止め部173を設けて構成されている。ガイド挿入部171の幅寸法は、前記第1の支持体係止部131の支持体支持部137に挿入できる幅寸法に形成され、抜け止め部173の幅寸法は、前記第1の支持体係止部131のバネ挿入部135に挿入できる幅寸法に形成されている。ガイド挿入部171の後面側には、突起からなるバネ支持部175が設けられている。後方側の支持体保持部169もT字型であり、幅の小さいガイド挿入部177の上部に幅の大きい抜け止め部179を設けて構成されている。ガイド挿入部177の幅寸法は、前記第2の支持体係止部133の支持体支持部141に挿入できる幅寸法に形成され、抜け止め部179の幅寸法は、前記第2の支持体係止部133の挿入部139に挿入できる幅寸法に形成されている。装置本体側支持部163の可動刃ユニット180側の端面であって、一対の可動刃側支持部161の対向面側に突出している部分は、可動刃ユニット当接部166となっている。
可動刃ユニット180は、例えば図4に示すように、略矩形箱型の駆動機構部181の後面に略コ字状の取付板183を取り付けて構成されている。駆動機構部181は、その内部に収納した可動刃駆動モータ185の一部をその前面に露出し、また内部に収納した保守用可動刃駆動機構の手動用の操作つまみ187の一部をその前面に露出している。駆動機構部181の下面からは、その長手方向に沿うように1枚の刃体(以下「可動刃」という)189が突出している。可動刃189は、下記する図9に示すように、駆動機構部181の下面から突出する可動刃保持部材191にビス192によって取り付けられ、前記可動刃駆動モータ185を駆動することで上下動する。可動刃189の下端辺は、図4に示すように、斜めに傾斜する直線状に形成されており、この下端辺に刃193が形成されている。刃193の一端部(下方向に最も突出した側の端部)には、刃193よりも下方向に伸びて前方側に湾曲する小突起状の刃ガイド部195が設けられている。取付板183は略矩形状の金属板の左右両側部分を前方側に屈曲することで側面部197を設けて構成されている。取付板183の下部は、前記駆動機構部181よりも下方に突出しており、その前面下部の左右両側の側面部197の内側部分は、前記分離部20の誘導部32に当接する被誘導部199となっている。
印字ユニット220は、例えば図4,図6に示すように、取付板221の下面に印字ヘッド(以下「サーマルヘッド」という)223等を取り付けて構成されている。なお実際にはサーマルヘッド223以外の印刷に必要な各種部品も搭載しているが、説明の都合上その記載は省略している。取付板221は、略平板矩形状で金属製の板体の左右両辺を下方向に折り曲げて側壁225(図4,図6では手前側の側壁215のみ示す)を形成して構成されている。取付板221の前方側の外周辺の略中央には、上方向に逆L字状に折り曲げられた係止片227が設けられており、また係止片227の左右両側には、斜め前方上方に向かって折り曲げられた一対のバネ受け片229が設けられている。係止片227は前記取付体110の開口119に挿入される形状寸法に形成されており、その内部には、前記取付体110の係止部121を係止する開口部(図示せず)が形成されている。また取付板221の後方側の外周辺の略中央には、凸状に突出して前記取付体110の開口123に挿入・係止される係止部231が形成されている。サーマルヘッド223は略棒状(ブロック状)であって、前記プラテンローラ31の略全長にわたる長さを有し、その下面がサーマルヘッド部となっている。
次に、装置本体側部材100の組立方法を説明する。まず図8に示す一対の支持体160の装置本体側支持部163を、取付体110の下面側に配置し、その際、支持体160の各抜け止め部173,179をそれぞれ取付体110のバネ挿入部135と挿入部139に挿入し、その後支持体160を前方にスライド移動することで、支持体160の各ガイド挿入部171,177を支持体160の各支持体支持部137,141に挿入する。そして取付体110の各バネ挿入部135(及び支持体160のバネ挿入部164)に付勢手段であるコイルスプリング240を挿入し、一方の端部を各バネ支持部175に挿入して支持する。これによって図7に示す状態になる。このとき、一対のコイルスプリング240が、支持体保持部167の一端面とバネ挿入部135の後側の辺との間を離間する方向に弾発することで、一対の支持体160及び可動刃ユニット180は、取付体110に対して、前方に向かって付勢される。
次に、前記取付体110の一対のバネ受け部129を、それぞれ図6に示すように、付勢部材である一対のコイルばね250の一端に挿入して固定する。そして、取付体110の下部に印字ユニット220を配置し、印字ユニット220の係止片227を取付体110の開口119に挿入して係止片227の開口部(図示せず)に係止部121を係止し、且つ印字ユニット220の係止部231を取付体110の開口123に係止する。このとき、コイルばね250の他端はバネ受け片229に弾接し、これによって印字ユニット220は、取付体110に対して前方斜め下方に向かって付勢される。これによって装置本体側部材100の組立が完了する。なお上記組立手順はその一例であり、他の各種異なる組立手順を用いて組み立てても良いことはいうまでもない。
そして前記分離部20の下部に取り付けた取付体21を、ラベルプリンター1の基台部3の前面に設けた凹部の内周下面に固定すると共に、装置本体側部材100の取付体110を、前記凹部の内周上面に固定すれば、印刷装置10が構成される。前記図2は分離部20をラベルプリンター1の凹部内に収納して閉じた状態、即ち印刷可能状態を示し、図3,図4は分離部20をラベルプリンター1の凹部から引き出した状態、即ちラベルロール27の取り換えを行うときや、固定刃33と可動刃189等によって構成される切断機構が詰まってその復旧を行うとき等の状態を示している。
図9は、前記図2の印刷可能状態における、可動刃189と固定刃33近傍部分の要部拡大概略側面図(但し、印字ユニット220の記載は省略)である。このときの可動刃189と固定刃33はラベル用紙を切断する切断可能位置にある。同図に示すように、可動刃ユニット180は、その取付板183の後面が支持体160の可動刃ユニット当接部166(図7,図8参照)に当接することで、可動刃ユニット180の後方への回動が規制されている。同時に分離部20の左右一対の誘導部32が取付板183の左右一対の被誘導部199に当接することで、可動刃ユニット180の前方への回動が規制されると共に、可動刃ユニット180と支持体160とをコイルスプリング240の付勢力に抗して、取付体110に対して少し後方に移動させている。即ち、可動刃ユニット180と支持体160(即ち可動刃189)はコイルスプリング240によって与圧されている。そしてこの与圧によって例え装置本体側部材100に対する分離部20の相対的位置が正確に位置出しできていないような場合でも、分離部20に対する可動刃189の相対的位置は正確に位置出しすることができる。一方、前述のように、固定刃33は付勢手段51によって、その移動規制部39が固定刃移動規制孔67の当接部69に弾接している。つまり固定刃33は、常に固定刃移動規制孔67の当接部69に当接する位置に付勢されて位置するので、分離部20における固定刃33の位置を精度良く同一位置に設置できる。これらによって、一対の刃体間(固定刃33と可動刃189間)の正確な位置出しが行われている。またこのとき、プラテンローラ31には、図9には示していないサーマルヘッド223下面のサーマルヘッド部が当接(コイルばね250の付勢力によって弾接)している。
この状態において、分離部20のロール収納部29に収納したラベルロール27から引き出したラベル用紙を、プラテンローラ31とサーマルヘッド223との間に通し、プラテンローラ31を回転駆動しながらサーマルヘッド223によって印刷を行い、固定刃33と可動刃189間を通過させ、印刷後のラベル用紙を排出する。排出されたラベル用紙は固定刃33と可動刃189によって切断される。即ち、少なくともプラテンローラ31とサーマルヘッド223がラベル用紙に印刷を行う印刷手段を構成し、少なくとも固定刃33と可動刃189が印刷されたラベル用紙を切断する切断機構を構成している。
図10,図11は、固定刃33と可動刃189の要部拡大概略図であり、図10は可動刃189を駆動していないとき(上昇しているとき)の状態を、図11は可動刃189を駆動したとき(下降したとき)の状態を示している。何れの図も両刃体33,189は切断可能位置にある。即ち図10に示すように、可動刃189を駆動していないときは、固定刃33の刃41と可動刃189の刃193間には、ラベル用紙Rを通す隙間Sが形成されている。そして可動刃駆動モータ185を駆動することで、図10に示す可動刃189を下方向に直線状に下降すれば、可動刃189の下端辺の一端に設けた刃ガイド部195によって、固定刃33が前記付勢手段51に抗して回動し、図11に示すように刃193と刃41によって、ラベル用紙Rが切断される。このとき、ラベル用紙Rを挟持する刃193と刃41間の挟持圧は付勢手段51によって一定に保てるので、刃の摩耗などの経時変化が生じても、常に一定の良好なせん断作用によるラベル用紙Rの切断を維持することができる。
次に、上記印刷の途中等に紙詰まりが生じた場合は、前記図1に示すロック解除レバー13を上方向に持ち上げることでロックを解除した状態で、分離部20を手前方向に直線状に引き出す。このとき、図12に示すように、分離部20の誘導部32が取付板183の被誘導部199から離れるので、可動刃ユニット180は図12に矢印で示すように前方向への回動が可能になる。このため、可動刃189を固定刃33から容易に大きく引き離すことができ、これによって紙詰まり等の切断機構に生じる不具合を容易に解消することができる。特に例えば紙詰まりによって、図11に示す位置から可動刃189が元の位置に戻らなくなったような場合、もし可動刃189を移動することができないと、固定刃33と可動刃189の係合によって、分離部20を引き出すことができなくなる。しかし本実施形態の機構によれば、可動刃189が分離部20の移動方向に移動可能となるので、このような場合でも容易に分離部20を引き出すことができ、紙詰まりを解消することができる。
この実施形態の場合、固定刃33はその移動機構(直線移動機構)である分離部20によって直線移動を行い、可動刃189はその移動機構(回転移動機構)である可動刃ユニット180によって回転移動を行うので、固定刃33を切断可能位置から直線状に離れるように移動するだけで、可動刃189が切断可能位置から回転方向に離れるように移動し、固定刃33と可動刃189間の隙間を短距離で大きく離間させることができ、紙詰まり等の解消をより容易に行うことができる。
紙詰まりを解消したり、ラベルロール27を取り換えたりした後は、分離部20を装置本体側に押し込んで、図2に示す前記切断可能位置に戻し、ロック解除レバー13をロックする。このとき、図9に示すように、分離部20の誘導部32は、可動刃ユニット180の被誘導部199に係合することで、可動刃ユニット180を切断可能位置へ誘導して固定する。つまり分離部20を切断可能位置へ戻すだけで、その移動に連動して、可動刃ユニット180も切断可能位置に自動的に誘導されて固定することができる。なお、前記誘導部32が被誘導部199に当接・係合した際、可動刃ユニット180と支持体160はコイルスプリング240の付勢力に抗して、取付体110に対して少し後方に移動した元の位置に位置する。即ち、上述のように、可動刃ユニット180と支持体160は、コイルスプリング240によって与圧され、この与圧によって分離部20に対する可動刃189の相対的位置が正確に位置出しされる。
ところで、上記切断機構には、切断可能位置検出手段が設置され、この切断可能位置検出手段によって、少なくとも分離部20と可動刃ユニット180の何れか一方が、切断可能位置にいない場合は、前記可動刃189を初期位置に戻す制御を行っている。この切断可能位置検出手段は、具体的には、図2,図3に点線で示す分離部位置検出センサS1-1及び枠体25の一部からなる検出部S1-2(両者によって第1の切断可能位置検出手段が構成される)と、図9,図12に点線で示す可動刃ユニット位置検出センサS2-1及び検出部S2-2(両者によって第2の切断可能位置検出手段が構成される)とを具備して構成されている。また、図示はしないが可動刃ユニット180の駆動機構部181内には、可動刃189が突出した切断位置にあるか、或いは引き込められた初期位置にあるかを検出する可動刃用センサが内蔵されている。
分離部位置検出センサS1-1は、例えばフォトインタラプタ(対向する発光部と受光部を有し、発光部からの光を検出部S1-2が遮るのを受光部で検出することによって、検出部S1-2の位置(有無)を検出するセンサ)で構成され、図示しない装置本体側の部材に取り付けられ、図2に示すように、検出部S1-2が分離部位置検出センサS1-1に検出されることで、分離部20が図2に示す切断可能位置にあることを検出し、一方図3に示すように、検出部S1-2が分離部位置検出センサS1-1に検出されないことで、分離部20が切断可能位置から移動している(離れている)ことを検出するものである。
可動刃ユニット位置検出センサS2-1も、例えばフォトインタラプタで構成され、可動刃ユニット180側の部材(例えば可動刃ユニット180の前面を覆い可動刃ユニット180と共に移動〔揺動〕するカバー、化粧板)に取り付けられ、装置本体側の部材に取り付けられた検出部S2-2が分離部位置検出センサS2-1に検出されることで、可動刃ユニット180が図9(図9にはセンサの記載は省略)に示す切断可能位置にあることを検出し、図12に示すように、検出部S2-2が分離部位置検出センサS2-1に検出されないことで、可動刃ユニット180が切断可能位置から移動している(離れている)ことを検出するものである。
そしてこれら各センサ及び可動刃駆動モータ185を制御する制御手段は、前記分離部20もしくは前記可動刃ユニット180が切断可能位置にあるか否かを判断し、前記分離部20もしくは前記可動刃ユニット180が切断可能位置に無いと判断した場合であって、上記可動刃用センサによって可動刃189が初期位置に無いと判断した場合は、前記可動刃駆動モータ185を駆動して、可動刃189を初期位置に戻すように制御する。即ち、例えば、ラベル用紙Rが固定刃33と可動刃189の間に詰まったり、ラベル用紙Rを取り替えたりするようなメンテナンス時等には、前述のように、分離部20や可動刃ユニット180を切断可能位置から引き離すように移動するが、その際、本切断機構(印刷装置10)では、分離部20と可動刃ユニット180の位置を検出し、何れか一方が切断可能位置から移動している場合は、可動刃189を自動的に初期位置に戻し、これによって可動刃189を別途手動で駆動する等の作業を不要とし、作業時間や手間を短縮して、メンテナンス作業等が容易に行えるようにしている。なお、上記可動刃ユニット180に内蔵した可動刃用センサを用いることによって、この印刷装置10がパワーオンされたときに、可動刃189が初期位置に無いと判断した場合には、例え分離部20や可動刃ユニット180が切断可能位置に位置していても、可動刃189を初期位置に戻すという制御を行っても良い。
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載がない何れの形状や構造や材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば、上記例では、分離部側に固定刃、装置本体側部材に可動刃を設置したが、両刃体はそれぞれ逆側に設置しても良い。また一対の刃体として、可動刃と固定刃の代りに、両者とも可動刃としても良い。
また上記例では被切断媒体として印刷用媒体であるラベル用紙を用いたが、他の用途に用いる印刷用媒体や、印刷用媒体以外の、例えばテープやフィルム等の各種被切断媒体であっても良い。要は切断して使用する媒体であれば、どのような媒体であっても良い。また被切断媒体はロールから引き出したものでなくても良い。
また上記例では、異なる移動機構として直線移動機構と回転移動機構とを用いたが、両者とも直線移動機構、または両者とも回転移動機構、または直線及び回転以外の移動機構としても良い。要は、一方の刃体を取り付けた一方の移動機構を切断可能位置から移動すると、他方の刃体を取り付けた他方の移動機構が切断可能位置から移動可能となる構成の切断機構であれば、どのような構成の切断機構であっても良い。上記実施形態では、上述したように、一方の移動機構を直線移動機構、他方の移動機構を回転移動機構とし、これによって両刃体間の隙間を短距離で大きく離間させることとしたが、両移動機構を回転移動機構とした場合も、両刃体間の隙間を短距離で大きく離間させることができる。但し、直線移動機構を設けた方が、ラベルロールの交換等をスムーズに行うことができるため、上記実施形態では利便性を考慮して、移動機構の一方をラベルロールの収納等がスムーズに行える直線移動機構としている。
また、可動刃ユニット(回転移動機構)にはさらに、可動刃ユニットを切断可能位置から離れる方向に付勢する付勢部材を備えても良い。このように構成しておけば、分離部(一方の刃体)を移動した際に、可動刃ユニット(他方の刃体)もこの付勢部材によって自動的且つ容易に移動させることが可能になる。例えば、分離部を切断可能位置から直線方向に離れるように移動させた場合は、可動刃ユニットは前記直線移動方向よりも上方向に付勢部材によって自動的に離れるため、一方の刃体の直線移動時に、他方の刃体がこれに干渉する恐れが無くなる。また付勢手段(コイルスプリング)は、上記実施形態では操作者側から見て、装置本体側に取り付けた一方の刃体の奥側に設置したが、その代りに、この一方の刃体の手前側に設置しても良い。
また上記例では、印刷装置として計量値付けラベルプリンターを例に説明したが、他の各種装置、例えばPOSレジスタ、キッチンプリンター、券売機等にも同様に設置することができる。また上記例では、位置検出センサS1-1、S2-1としてフォトインタラプタを用いたが、他の構造の光学的センサや、磁気的センサ等の他の各種位置検出センサを用いても良い。
1 ラベルプリンター(計量根付機、商品データ処理装置)
3 基台部 5 表示手段
7 キー操作部 9 はかり部
10 印刷装置 11 ラベル発行口
13 ロック解除レバー 20 分離部(直線移動機構、移動機構)
21 取付体 23 スライダ機構
25 枠体 27 ラベルロール
29 ロール収納部 30 固定刃ユニット
31 プラテンローラ(印刷手段) 32 誘導部
33 固定刃(刃体、切断機構) 35,37 側板
36 突出部 39 移動規制部
41 刃 43 支持体
45 固定刃保持体 47 軸部
49 取付台 51 付勢手段
53 ビス 57 軸支用突部
59 軸支部 61 バネ端係止部
63 コイル部 64 バネ端部
65 バネ中央部 67 固定刃移動規制孔
69 当接部 100 装置本体側部材
110 取付体
111,113,115,117 側壁
119 開口 121 係止部
123 開口 125 係止部
127 開口 129 バネ受け部
131 第1の支持体係止部 133 第2の支持体係止部
135 バネ挿入部 137 支持体支持部
139 挿入部 141 支持体支持部
160 支持体 161 可動刃側支持部
163 装置本体側支持部 164 バネ挿入部
165 軸支部 166 可動刃ユニット当接部
167,169 支持体保持部 171 ガイド挿入部
173 抜け止め部 175 バネ支持部
177 ガイド挿入部 179 抜け止め部
180 可動刃ユニット(回転移動機構、移動機構)
181 駆動機構部 183 取付板
185 可動刃駆動モータ 187 駆動つまみ
189 可動刃(刃体、切断機構) 191 可動刃保持部材
192 ビス 193 刃
195 刃ガイド部 197 側面部
199 被誘導部 215,225 側壁
220 印字ユニット 221 取付板
223 サーマルヘッド(印字ヘッド、印刷手段)
227 係止片 229 バネ受け片
231 係止部 240 コイルスプリング
250 コイルばね
R ラベル用紙(印刷用媒体、被切断媒体)
S 隙間
S1-1 分離部位置検出センサ(切断可能位置検出手段)
S1-2 検出部(切断可能位置検出手段)
S2-1 可動刃ユニット位置検出センサ(切断可能位置検出手段)
S2-2 検出部(切断可能位置検出手段)

Claims (4)

  1. 被切断媒体に印刷を行い、且つ所定の長さにカットして排出する印刷装置において、
    固定刃と可動刃の刃体が、前記被切断媒体を切断する切断可能位置で対向して設置され、
    前記固定刃と可動刃の刃体は、それぞれ異なる移動機構に取り付けられ、
    前記固定刃の刃体を取り付けた直線移動機構を前記切断可能位置から前記印刷装置の手前方向である前方に向けて引き出す方向に直線移動すると、前記可動刃の刃体を取り付けた回転移動機構が前記切断可能位置から前記前方に向けて回転移動可能となる構成であり、
    前記直線移動機構は前記被切断媒体を収納する収納部と共に直線移動することを特徴とする印刷装置。
  2. 前記固定刃が、前記直線移動機構に対して前記前方に向けて移動することを規制する規制手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
  3. 前記可動刃が引き込められた初期位置にあるか否かを判断する判断手段と、
    前記判断手段で前記可動刃が前記初期位置にないと判断した場合に、前記可動刃を前記初期位置に戻す可動刃駆動手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の印刷装置。
  4. 前記可動刃駆動手段は、
    少なくとも前記直線移動機構と前記回転移動機構の何れか一方が前記切断可能位置にいない場合であって且つ前記判断手段で前記可動刃が前記初期位置にないと判断した場合、
    または、
    前記印刷装置がパワーオンされたときに前記判断手段で前記可動刃が前記初期位置にないと判断した場合、
    に前記可動刃を前記初期位置に戻すことを特徴とする請求項3に記載の印刷装置。
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