JP7383932B2 - 車両用冷却装置 - Google Patents

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本発明は、車両の冷却装置に係り、特に車室内の空調を行うと共に、車両を駆動する電動モータに電力供給するバッテリの冷却を行う車両用冷却装置に関する。
従来、空調に用いられる冷媒を利用して、車両駆動用の電動モータに電力供給するバッテリを冷却する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の冷却装置では、バッテリ冷却要求がある場合に、バッテリ冷却の優先度が小さい場合は、空調用熱交換器とバッテリ冷却用熱交換器の両方に冷媒を供給し、バッテリ冷却の優先度が大きい場合は、バッテリ冷却用熱交換器のみに冷媒を供給するようになっている。
特開2012-248393号公報
しかしながら、特許文献1の冷却装置では、単にバッテリ冷却の優先度に応じて冷却制御を行うようになっているだけである。すなわち、特許文献1には、どのような基準に基づいて、冷却制御を切り換えるのかについては具体的に記載されていない。また、特許文献1の冷却装置では、車室内温度調整のための空調要求がある場合、バッテリ冷却の優先度が小さいときは、空調要求とバッテリ冷却要求とを同時に満たすように、電動コンプレッサの回転数が増速調整される。
このように、特許文献1では、バッテリ冷却の優先度が小さい場合には、空調要求及びバッテリ冷却要求がともに満たされるようになっており、バッテリ冷却の優先度が高い場合には、バッテリ冷却要求は満たされるが、空調要求は無視されるようになっている。
したがって、特許文献1の冷却装置には、バッテリの温度上昇に伴ってバッテリ出力が制限されるとき、この制限によって生じ得る車室内快適性の低下を抑制しつつ、車両の走行安全性の低下(車両駆動力不足)を確保することについて改善の余地があった。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、バッテリの温度上昇に伴うバッテリ冷却要求発生時において、車室内の快適性の低下を抑制しつつ、車両の走行安全性を確保することが可能な車両用冷却装置を提供することを目的としている。
上記の目的を達成するために、本発明は、車両用冷却装置であって、車両の駆動力を生成する電動機と、電動機に電力を供給するバッテリと、バッテリの温度を検出するバッテリ温度センサと、冷媒を用いて車室内の空調を行う空調装置と、空調装置の冷媒を用いてバッテリを冷却するバッテリ冷却装置と、車両の乗員による空調要求に基づいて空調装置を制御すると共に、バッテリの検出温度が所定の第1温度以上であるときバッテリ冷却要求を生成して、このバッテリ冷却要求に基づいてバッテリを冷却するようにバッテリ冷却装置を制御する制御装置と、を備え、制御装置は、空調要求及びバッテリ冷却要求があり、且つ、バッテリの検出温度が第1温度よりも高い温度に設定された第2温度未満である場合、バッテリ冷却要求よりも空調要求を優先して、空調装置及びバッテリ冷却装置を制御する第1制御処理を実行し、空調要求及びバッテリ冷却要求があり、且つ、バッテリの検出温度が第2温度以上である場合、空調要求よりもバッテリ冷却要求を優先して、空調装置及びバッテリ冷却装置を制御する第2制御処理を実行する、ように構成されており、制御装置は、バッテリの温度上昇に応じてバッテリの出力許容電力が低下するように、バッテリの出力許容電力を制限し、第2温度は、第2温度におけるバッテリの出力許容電力が、電動機が所定の駆動力を生成可能な最小の電力であるように設定されていることを特徴としている。
このように構成された本発明によれば、乗員による空調要求に加えて、バッテリ冷却要求が生成されている場合(バッテリ温度が第1温度以上で生成される)、空調要求とバッテリ冷却要求を満たすように、空調装置の冷媒を供給する必要がある。したがって、冷媒供給量が不足する場合には、空調要求とバッテリ冷却要求に応じて、冷媒を振り分ける必要がある。よって、本発明では、バッテリ温度が比較的低い温度範囲にある場合(具体的には、第2温度未満)、車両の走行安全性に影響を与えにくいので、乗員による空調要求を優先させて、車室内快適性を向上させることができる。一方、本発明では、バッテリ温度が比較的高い温度範囲にある場合(具体的には、第2温度以上)、車室内快適性が低減しても、バッテリ冷却要求を優先させて、車両の走行安全性の低下を防止することができる。
また、このように構成された本発明によれば、バッテリ温度が第2温度未満であれば、バッテリは電動モータへ最低限度の電力を供給することができる。これにより、本発明では、バッテリ温度が第2温度未満であれば、良好な車室内快適性のために乗員による空調要求を優先させながら、車両の走行安全性の低下を抑制することができる。
また、本発明において好ましくは、制御装置は、第2制御処理において、空調装置が提供する所定流量の冷媒のうち、バッテリ冷却要求に必要な量の冷媒をバッテリ冷却装置に供給し、バッテリ冷却装置に供給されずに残された冷媒を用いて車室内の空調を行うように空調装置を制御する。
このように構成された本発明によれば、バッテリ温度が第2温度以上のとき、バッテリ冷却装置に優先的に冷媒が供給されるので、バッテリを確実に冷却して、車両の走行安全性を確保することができる
また、本発明において好ましくは、制御装置は、第2制御処理において、バッテリの検出温度が第2温度よりも高い温度に設定された第3温度以上である場合、空調装置が提供する所定流量の冷媒の全量の冷媒をバッテリ冷却装置に供給する。
このように構成された本発明によれば、バッテリ温度が第3温度以上である場合、空調よりもバッテリ冷却をさらに優先して全冷媒をバッテリ冷却に用いることにより、バッテリ温度が高くなり過ぎて車両が走行不能になることを防止することができる。
また、本発明において好ましくは、バッテリ冷却装置は、冷媒とバッテリとの直接的な熱交換により、バッテリを冷却する。
このように構成された本発明によれば、冷媒の冷熱を、中間媒体(水等)を介すことなく、直接的にバッテリに付与して、バッテリを冷却することができる。これにより、本発明では、冷媒と中間媒体との間の熱交換によって生じる損失の発生や、装置の大型化を防止することができる。
また、本発明において好ましくは、制御装置は、車室内の実温度と乗員により設定された目標温度との温度差が大きいほど、空調要求を大きく設定する。
このように構成された本発明によれば、車室内の目標温度と実温度との温度差に基づいて、適切に空調要求を設定することができる。
本発明の車両の冷却装置によれば、バッテリ温度上昇に伴うバッテリ冷却要求発生時において、車室内の快適性の低下を抑制しつつ、車両の走行安全性を確保することができる。
本発明の実施形態の車両用冷却装置の構成図である。 本発明の実施形態の車両用冷却装置の説明図である。 本発明の実施形態の車両用冷却装置の冷房モードにおける冷媒の動作説明図である。 本発明の実施形態の車両用冷却装置の暖房モードにおける冷媒の動作説明図である。 本発明の実施形態において、バッテリ温度が走行性能と車室内快適性能に与える影響を説明するグラフである。 本発明の実施形態の車両用冷却装置の冷却処理を示すフローチャートである
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
まず、図1及び図2を参照して、本発明の実施形態に係る車両用冷却装置の構成を説明する。図1は車両用冷却装置の構成図、図2は車両用冷却装置の説明図である。
図1及び図2に示すように、本実施形態の車両用冷却装置1は、車両の駆動力を生成する電動機(電動モータ)3と、電動モータ3に電力を供給するバッテリ4と、空調装置10と、バッテリ冷却装置30と、これらを制御する制御装置50とを備えている。車両は、電動モータ3を備えた電動車両(EV)である。車両は、内燃機関(ガソリンエンジン等)を備えていないため、電動モータ3のみが車両の駆動力を生成する。
空調装置10は、乗員からの空調要求に応じて冷媒(例えば、HFO-1234yf)を用いて車室内の空調(冷房及び暖房)を行う。一方、バッテリ冷却装置30は、空港装置10に連結されており、空調装置10の冷媒を用いて、バッテリ4の冷却を行う。
バッテリ4は、電動モータ3と、後述するコンプレッサ12と、その他の電気部品に電力供給する。しかしながら、その他の電気部品への電力はわずかであるので、本実施形態では、バッテリ4は、電動モータ3とコンプレッサ12のみに電力供給するものとして説明する。
バッテリ4は、16個のバッテリモジュールが電気的に接続されている。各バッテリモジュールは、直列接続された複数のバッテリセル(リチウムイオンバッテリセル)を含む。バッテリ4は、温度が高くなると内部抵抗が減少するため、出力可能な電力は増加する。しかしながら、バッテリ4は、温度が高くなるほど、劣化が進行し易くなる。このため、本実施形態では、温度上昇と共に、バッテリ4の出力可能な電力(出力許容電力PL)が制限されるように構成されている。
制御装置50は、空調要求及びバッテリ冷却要求を満たすように、空調装置10及びバッテリ冷却装置30を制御する。制御装置50は、乗員が空調パネルを介して設定する車室内の目標温度TTGTに基づいて空調要求を生成する。車室内の実温度TCABと目標温度TTGTとの温度差が大きいほど、空調要求の大きさは大きくなる。また、制御装置50は、バッテリ4の温度(以下「バッテリ温度」ともいう)が所定の第1温度T1(例えば、40~45℃の固定温度)以上になると、所定の大きさのバッテリ冷却要求を生成し、バッテリ温度が第1温度T1又はそれ以下の温度(例えば、第1温度T1よりも5~10℃低い温度)に低下するまで、バッテリ冷却要求を維持する。なお、本実施形態では、バッテリ冷却要求は一定値であるが、これに限らず、バッテリ温度が高いほど、バッテリ冷却要求が大きな値に設定されてもよい。
空調装置10は、一般的なヒートポンプ式の空調設備であるので詳細な説明は省略する。空調装置10は、冷媒の循環流路配管11を備えており、この配管11に、コンプレッサ(圧縮器)12,ヒータコア13,2方弁14及び膨張弁15,室外熱交換器16,3方弁17,空調弁18,エバポレータ19,アキュムレータ20が順に配置されている。
コンプレッサ12は、冷媒を圧縮して出力する。コンプレッサ12は、バッテリ4から電力を受けており、コンプレッサ12への入力電力が大きくなるほど、その回転数が高くなると共に吐出流量が大きくなる。冷媒の吐出流量が大きいほど、車両用冷却装置1の冷却能力は高まる。本実施形態では、コンプレッサ12は、最大出力PMAX(例えば、5kW)で最大の吐出流量を提供する。この最大吐出流量は、最大の空調要求を満足するように設定されている。よって、空調要求にバッテリ冷却要求が加わったとき、この最大吐出流量は、これらの要求を同時に満足することができない場合がある。
ヒータコア13は、暖房モードにおいて車室内へ送られる空調用空気に放熱する熱交換器である。2方弁14と膨張弁15は、並列に配置されている。冷媒は、冷房モードで2方弁14を通過し、暖房モード(且つバッテリ冷却要求がないとき)で膨張弁15を通過する。室外熱交換器16は、車外から取り込んだ空気と冷媒の熱交換を行う。室外熱交換器16には、室外熱交換器16に送風するラジエータファン16a,室外熱交換器16への外気風量を調節する可動のシャッタグリル16bが設けられている。
3方弁17は、室外熱交換器16から出力された冷媒を、冷房用配管11aと暖房用配管11bのいずれか一方へ送り込むために切り換え弁である。空調弁18及びエバポレータ19は、冷房用配管11aに配置されている。空調弁18は、冷媒を減圧し且つ流量をリニアに調整可能な弁である。エバポレータ19は、冷房モードにおいて、空調弁18により減圧された冷媒と空調用空気との熱交換(吸熱)を行う熱交換器である。暖房用配管11bは、アキュムレータ20の上流側で、冷房用配管11aと合流する。
なお、エバポレータ19は、空調用の空気流路21に配置されている。空気流路21内に配置されたブロワファン22は、エバポレータ19に向けて送風する。エアミックスダンパ23は、エバポレータ19の下流において、空気がヒータコア13を通過する否かを切り換える。また、ヒータコア13にはPCTヒータ24が取り付けられている。
バッテリ冷却装置30は、バッテリ用配管31を備え、バッテリ用配管31は、3方弁17の下流側で冷房用配管11aと分岐し、アキュムレータ20の上流側で、冷房用配管11aと合流する。バッテリ用配管31には、バッテリ冷却弁32,バッテリ冷却用の熱交換器33が順に配置されている。バッテリ冷却弁32は、冷媒を減圧し且つ流量をリニアに調整可能な弁である。熱交換器33は、バッテリ4と冷媒とを中間媒体(水等)を介さずに直接的に熱交換させるように構成されている。すなわち、本実施形態では、冷媒と中間媒体との熱交換、及び、中間媒体とバッテリ4との熱交換が不要である。
また、配管11,31には、冷媒の温度を測定する複数の温度センサ,冷媒の圧力を測定する複数の圧力センサが配置されている。温度センサは、室外熱交換器16から出力されて配管11内の冷媒の温度を検出する温度センサTS11,熱交換器33に流入する配管31内の冷媒の入口温度を検出する温度センサTS21,熱交換器33から流出する配管31内の冷媒の出口温度を検出する温度センサTS22を含む。
また、バッテリ4の16個のバッテリモジュールの各々に、バッテリモジュールの温度を検出するバッテリ温度センサTS33が設けられている。各温度センサTS33は、対応するバッテリモジュールの低温側(すなわち、熱交換器33の下流側)に配置されている。さらに、車両の外気温度TAMBを測定する外気温度センサTS31,車室内温度TCABを測定する車室内温度センサTS32が設けられている。
圧力センサは、コンプレッサ12の出力側(下流側)の配管11を流れる冷媒の吐出圧力を検出する圧力センサPS11と、熱交換器33の下流側の配管31を流れる冷媒の圧力を検出する圧力センサPS21を含む。
制御装置50は、本実施形態では複数のECUを含む。各ECUは、プロセッサ,各種プログラムを記憶するメモリ,データ入出力装置等を備えたコンピュータ装置である。これらECUは、車内通信回線を介して通信可能に接続され、車両用冷却装置1のための制御装置として機能する。
具体的には、図2に示すように、制御装置50は、主に空調装置10の制御を司る空調ECU(ヒートポンプECU又はHP-ECU)51と、空調ECU51の下でバッテリ4の冷却機能を司るバッテリECU(B-ECU)52と、車両のパワートレイン制御を司るパワートレインコントロールモジュール(PCM)53と、電動モータ3の制御を司るモータECU(M-ECU)54とを備えている。なお、本実施形態では、制御装置50が複数のコンピュータ装置を含むが、これに限らず、制御装置50が単一のコンピュータ装置で構成されてもよい。
バッテリECU52は、バッテリパック内に配置されている。バッテリECU52は、16個の温度センサTS33からの測定温度TBMを受け取って、これら測定温度TBMのうち最も高い温度を選択し、選択した温度をバッテリ温度TBとしてPCM53へ出力する。また、バッテリECU52は、温度センサTS21,温度センサTS22,圧力センサPS21の測定値TIN,TOUT,POUTを空調ECU51へ出力する。さらに、バッテリECU52は、開閉動作を指示する動作指令SBVをバッテリ冷却弁32へ出力すると共に、バッテリ冷却弁32から弁の開閉位置を示す弁位置を受け取る。バッテリECU52は、動作指令と弁位置に基づいて、バッテリ冷却弁32の初期化状態及び故障状態を判定して、判定結果SVP,SFを空調ECU51へ出力する。
PCM53は、バッテリ温度TBとバッテリ4の出力許容電力PLとの関係を示すマップをメモリ内に記憶しており、このマップとバッテリ温度TBとに基づいて、バッテリ4が出力可能な最大の電力(出力制限電力又は出力許容電力)PLを算出する。PCM53は、出力制限電力PLを空調ECU51へ出力する。
なお、本実施形態では、PCM53が、バッテリ4の出力制限電力PLを算出しているが、これに限らず、バッテリECU52又は空調ECU51が、バッテリ温度TBと上述のマップに基づいてバッテリ4の出力制限電力PLを算出してもよい。
また、PCM53は、モータECU54に対して、電動モータ3が出力するトルクを指示する。このとき、PCM53が出力する指示トルクは、出力制限電力PL(又は、出力制限電力PLから、コンプレッサ12の動作に必要な所定電力を差し引いた電力)と電動モータ3の現在の回転数とに基づいて算出される電動モータ3の出力可能な最大トルク以下に制限される。モータECU54は、指示トルクに基づいて、モータ駆動回路(インバータ回路等)3aを介して、電動モータ3を制御する。
また、PCM53は、バッテリ温度TBに基づいて、バッテリ冷却要求RBCを生成し、空調ECU51へバッテリ冷却要求RBCを出力する。バッテリ冷却要求RBCは、所定の大きさ(一定値)のバッテリ冷却要求と、バッテリ4の冷却に対する要求レベルを含む。一定値のバッテリ冷却要求は、コンプレッサ12を駆動する電力P2com(例えば、2~3kWの固定電力)で表される。
要求レベルは、バッテリ温度TBが所定の第1温度T1(例えば、40~45℃)未満で「0」(バッテリ冷却要求なし)、第1温度T1以上且つ所定の第2温度T2(例えば、50~60℃の固定温度)未満で「1」(第1バッテリ冷却要求)、第2温度T2以上且つ第3温度T3(例えば、60~65℃の固定温度)未満で「2」(第2バッテリ冷却要求)、第3温度T3以上で「3」(第3バッテリ冷却要求)である。
また、PCM53は、空調ECU51から受け取ったコンプレッサ要求回転数RCOMに基づいて、コンプレッサ12に動作指令を送って回転数を制御する。また、PCM53は、空調ECU51から受け取ったラジエータファン要求回転数RRADに基づいて、ラジエータファン16aに動作指令を送って回転数を制御する。また、PCM53は、空調ECU51から受け取ったシャッタグリル開閉要求RSGに基づいて、シャッタグリル16bに動作指令を送って開閉動作させる。さらに、PCM53は、外気温度センサTS31から受け取った外気温度TAMB、圧力センサPS11から受け取った圧力PCOMを、空調ECU51へ出力する。
空調ECU51は、乗員が空調パネルを操作することにより空調設定SACを受け取る。空調設定SACは、空調モードのON/OFF(冷房モード,暖房モード,OFF)と目標温度TTGTを含む。空調ECU51は、空調設定SACにより設定された車室内の目標温度TTGTと、車室内温度センサTS32が示す車室内温度TCAB(実温度)との温度差に応じて、可変の大きさの空調要求を生成する。空調要求は、コンプレッサ12を駆動する電力P1com(例えば、0~5kWの可変電力)、ラジエータファンの要求回転数を含む。
空調ECU51は、空調要求(P1com)とバッテリ冷却要求(P2com)に基づいて、コンプレッサ12を作動させるための合計電力(P1com+P2com)を算出する。しかしながら、この合計電力は、コンプレッサ12の最大出力PMAX(5kW)を超えることはできず、さらに、バッテリ4の出力制限電力PLから電動モータ3の駆動電力PMを差し引いた残余電力PR(=PL-PM)を超えることはできない。このため、空調ECU51は、バッテリ冷却要求レベルに応じて、空調要求用電力とバッテリ冷却用電力の合計電力が残余電力PRを超えないように、空調要求用電力とバッテリ冷却用電力を計算する。すなわち、残余電力PRが空調要求用電力とバッテリ冷却用電力に適宜に配分される。なお、空調ECU51は、所定の合計電力を確保するため、駆動電力PMを制限することもある。
また、空調ECU51は、空調要求と、バッテリ冷却要求RBCが示すバッテリ冷却要求の大きさ(及びその要求レベル)に基づいて、空調弁18の開閉動作を指示する動作指令SAV,及びバッテリ冷却弁32の開閉動作を指示する動作指令SBVを出力する。動作指令SAVは空調弁18へ直接出力される。動作指令SBVはバッテリECU52を介してバッテリ冷却弁32へ出力される。
また、空調ECU51は、冷房モード及び暖房モードに応じて3方弁17の流路を切り換えるように弁信号SV3、暖房モードにおいてバッテリ冷却要求がない場合に2方弁14を閉じるように、弁信号SV2を出力する。
次に、図3を参照して、冷房モードと暖房モードにおける冷媒の流路について説明する。図3Aは冷房モードにおける冷媒の動作説明図、図3Bは暖房モードにおける冷媒の動作説明図である。
冷房モードでバッテリ冷却要求がない場合(要求レベル=0)、冷媒の動作は、図3A(1)に示すように、通常のヒートポンプ式空調装置における動作と同じであるので詳細な説明を省略する。このモードでは、バッテリ冷却弁32は全閉している。冷媒(低圧ガス)は、コンプレッサ12で圧縮され、高圧ガスとして室外熱交換器16を通過する。室外熱交換器16で放熱により液化した冷媒(高圧液体)は、空調弁18で減圧され、低圧液体としてエバポレータ19を通過する。エバポレータ19で吸熱により気化した冷媒は、低圧ガスとしてコンプレッサ12へ戻る。ブロワファン22からの空調用空気は、エバポレータ19で放熱し、冷風として車室内へ供給される。
冷房モードでバッテリ冷却要求がある場合(要求レベル=1又は2)、図3A(2)に示すように、車両用冷却装置1は、空調優先モード又は第2バッテリ冷却優先モードで作動する。これらのモードでは、空調弁18とバッテリ冷却弁32の弁開度が調整されることにより、室外熱交換器16から出力される高圧液体の冷媒は、冷房用配管11aとバッテリ用配管31を所定の流量比で流れる。冷房用配管11aを流れる冷媒は、図3A(1)と同様に流れる。一方、バッテリ用配管31を流れる冷媒は、バッテリ冷却弁32で減圧され、低圧液体としてバッテリ冷却用の熱交換器33を通過する。熱交換器33において、冷媒はバッテリ4と熱交換し、バッテリ4を冷却する。このとき、冷媒は、吸熱により気化し、低圧ガスとしてコンプレッサ12へ戻る。
冷房モードでバッテリ冷却要求がある場合(要求レベル=3)、図3A(3)に示すように、車両用冷却装置1は、第1バッテリ冷却優先モードで作動する。このモードでは、空調弁18は全閉している。このため、室外熱交換器16から出力される高圧液体の冷媒は、バッテリ用配管31を流れる。高圧液体の冷媒は、バッテリ冷却弁32で減圧され、低圧液体としてバッテリ冷却用の熱交換器33を通過する。熱交換器33において、冷媒はバッテリ4と熱交換し、バッテリ4を冷却する。このとき、冷媒は、吸熱により気化し、低圧ガスとしてコンプレッサ12へ戻る。
参考までに、図3Bを参照して、暖房モードにおける冷媒の動作を説明する。暖房モードでは、空調弁18は全閉されており、冷媒は冷房用配管11aを流れることはない。暖房モードでバッテリ冷却要求がない場合(要求レベル=0)、冷媒の動作は、図3B(1)に示すように、通常のヒートポンプ式空調装置における動作と同じである。このモードでは、冷媒は、コンプレッサ12で圧縮され、高圧ガスとしてヒータコア13を通過する。ヒータコア13で放熱し液化した冷媒(高圧液体)は、膨張弁15で減圧され、低圧液体として室外熱交換器16を通過する。室外熱交換器16で吸熱により気化した冷媒は、低圧ガスとして暖房用配管11bを通ってコンプレッサ12へ戻る。
一方、暖房モードでバッテリ冷却要求がある場合(要求レベル=1~3)、図3B(2)に示すように、3方弁17は、冷媒をバッテリ用配管31に送り込むような弁位置に設定され、バッテリ冷却弁32は、開状態に設定される。このモードでは、冷媒は、コンプレッサ12で圧縮され、高圧ガスとしてヒータコア13を通過する。ヒータコア13で放熱し液化した冷媒(高圧液体)は、膨張弁15ではなく、2方弁14を通過して、高圧液体として室外熱交換器16を通過する。室外熱交換器16で放熱した冷媒(高圧液体)は、バッテリ冷却弁32で減圧され、低圧液体としてバッテリ冷却用の熱交換器33を通過する。熱交換器33において、冷媒はバッテリ4と熱交換し、バッテリ4を冷却する。このとき、冷媒は、吸熱により気化し、低圧ガスとしてコンプレッサ12へ戻る。
次に、図4を参照して、本実施形態においてバッテリ温度がバッテリ冷却と空調に与える影響を説明する。図4は、バッテリ温度が走行性能と車室内快適性能に与える影響を説明するグラフである。上述のように、本実施形態では、バッテリ4の劣化を抑制するため、バッテリ温度TBの上昇に応じて、バッテリ4の出力許容電力PLが制限されるように構成されている。
図4(a)に示すように、バッテリ4は、バッテリ温度TBが所定の第4温度T4(例えば、50~55℃)以下では、出力許容電力PLは制限されることなく、車両走行のために所定の出力(例えば、100~130kW)を提供することができる(100%)。一方、バッテリ4は、バッテリ温度TBが第3温度T3(例えば、60~65℃。T3>T4)以上では、出力許容電力PLが実質的に0%に制限されるので、車両走行のために電力を提供することができない(0%)。したがって、バッテリ温度TBが第3温度T3以上では、車両は走行不能である。また、バッテリ温度TBが第4温度T4と第3温度T3の間では、バッテリ温度TBの上昇と共に、出力許容電力PLは所定の出力の100%から0%までの間で徐々に制限される。
図4(d)は、バッテリ4の出力許容電力PLの制限が、走行性能に与える影響を示している。バッテリ温度TBが第4温度T4以下では、出力許容電力PLは制限されないので、走行性能は低下しない。図4(d)において、バッテリ温度TBが第2温度T2(T4<T2<T3)であるときの出力許容電力PLは、車両の走行安全を確保するために必要な最低限の電力PSETに相当する。この電力PSET(例えば、35kW)は、バッテリ4の冷却のための電力P2com(例えば、2kW)と、電動モータ3が車両の走行安全のために必要な最小限の駆動力を生成するための駆動電力PMIN(例えば、33kW)との合計値に設定されている。駆動電力PMINは、車両が緊急回避等のために最低限の加速度を達成可能なように設定された電力値である。
よって、バッテリ4が少なくとも電力PSET以上の電力を供給可能であれば、バッテリ4を第2温度T2以下に冷却しつつ、乗員のアクセル操作により所定の駆動力以上の駆動力を電動モータ3に発生させることができる。これにより、バッテリ4が最終的に熱的に重大な損傷を受けることなく、車両は緊急回避動作等を実行することができる。
なお、電力P2comを考慮しない場合、電力PSETは駆動電力PMINと等しくなり、第2温度T2をより高い温度に設定可能となる。しかしながら、電力PSETが電力P2comを含まない場合、バッテリ温度TBはすぐに第3温度T3に達してしまうので、走行不能状態となる。したがって、電力PSETは電力P2comを含む必要がある。
したがって、バッテリ温度TBが第4温度T4と第2温度T2の間では、バッテリ4は、駆動電力PMIN以上の電力を電動モータ3へ供給することができる。よって、乗員がアクセルを踏み込むと、所定の最小限の駆動力以上の駆動力は発生するので、車両の走行安全性は低下しない。しかしながら、乗員が要求する加速度を達成することができない場合が生じ得る(駆動力低下状態)。
一方、バッテリ温度TBが第2温度T2と第3温度T3の間では、バッテリ4は、最大で出力許容電力PLから電力P2comを差し引いた電力までしか電動モータ3へ供給できない。この電力は、駆動電力PMINよりも小さい。このため、乗員がアクセルを踏み込んでも、所定の最小限の駆動力以下の駆動力しか得ることができないので、車両の走行安全性が低下する(駆動力不足状態)。さらに、バッテリ温度TBが第3温度T3を超えると、バッテリ4から電動モータ3へ実質的に電力供給されないので、車両は走行不能となる(走行不能状態)。
また、図4(b)に示すように、バッテリ温度TBが温度Ta(T1<Ta<T4)以下では、外部充電器を用いて最大の充電電流(例えば、120A)でバッテリ4を充電可能であるが(100%)、バッテリ温度TBが第4温度T4以上では、外部充電器を用いてバッテリ4を充電することができない(0%)。また、バッテリ温度TBが温度Taと第4温度T4の間では、外部充電器の充電電流は、バッテリ温度の上昇と共に、100%から0%までの間で徐々に制限される
図4(e)は、バッテリ4の出力許容電力PLの制限が、充電性能に与える影響を示している。バッテリ温度TBが温度Ta以下では、充電電流は制限されないので、充電性能は低下しない。また、バッテリ温度TBが温度Taと第4温度T4の間では、充電電流が徐々に制限されるので、より長い充電時間が必要になる(充電時間増加状態)。また、バッテリ温度TBが第4温度T4以上では、充電不可となる(充電不能状態)。
また、図4(c)に示すように、バッテリ温度TBが温度TCUT(TCUT>T3)に上昇すると、バッテリECU52は、バッテリ4と負荷(電動モータ3等)を接続するコンタクタをオフ(開)にして、バッテリ4を負荷から遮断する。図4(f)は、バッテリ温度がバッテリの接続状況に与える影響を示している。すなわち、バッテリ温度TBが温度TCUT以上では、バッテリ遮断状態となる。
また、図4(g)は、バッテリ温度TBが車両のデフロスタの性能に与える影響を示している。デフロスタは、空調風を用いてフロントガラス等の曇りをとることができる。曇りは走行中にも生じ得るので、デフロスタを作動中は、車両の安全性が低下している状態であると評価される。本実施形態では、バッテリ温度TBが第3温度T3以上(走行不能状態)では、車両が停止しているため、安全性は低下しないと評価される。一方、バッテリ温度TBが第3温度T3未満では、車両が走行可能であるため、安全性が低下している状態である。
また、図4(h)は、バッテリ温度TBが始動時の空調性能(クールダウン性能)に与える影響を示している。通常、空調装置を冷房モードで始動後、しばらくの間は吹出口から冷風ではなく温風が車室内に供給される。これは、バッテリ温度TBに関係なく生じる現象であり、車両の安全性を低下させないが、車室内快適性を低下させると考えられる(快適性低下状態)。
図4(d)~図4(h)に示された影響を考慮すると、車両の安全性に最も影響を与える現象は、図4(d)の走行性能に与える影響である。よって、本実施形態では、バッテリ温度TBが第2温度T2未満では、空調機能をバッテリ冷却機能よりも優先して車室内快適性を向上させ、バッテリ温度が第2温度T2以上では、バッテリ冷却機能を空調機能よりも優先して車両の安全性を確保するように構成されている。
次に、図5を参照して、車両用冷却装置の処理について説明する。図5は、車両用冷却装置の冷却処理を示すフローチャートである。車両用冷却装置1は、図5に示す冷却処理を所定時間毎(例えば、10ms毎)に繰り返し実行する。
まず、冷却処理が開始されると、制御装置50は、各種の温度センサ,圧力センサからの検出値や空調パネルからの空調設定SACを含む車両情報を取得する(ステップS1)。次に、制御装置50は、空調設定SACに基づいて、空調要求があるか否かを判定する(ステップS2)。すなわち、制御装置50は、空調モード(冷房モード又は暖房モード)が選択されており、且つ、目標温度TTGTと実温度TCABとの温度差が所定値以上のときに、空調要求があると判定する。
空調要求がない場合(S2;No)、制御装置50は、コンプレッサ12を停止し、空調弁18及びバッテリ冷却弁32を全閉にする(ステップS6)。なお、空調要求がない場合でも、バッテリ温度TBが所定温度(第1温度T1)以上のときに、バッテリ冷却のための処理を別処理として実行してもよい。
一方、空調要求がある場合(S2;Yes)、制御装置50は、バッテリ冷却要求があるか否かを判定する(ステップS3)。具体的には、制御装置50は、バッテリ冷却要求RBCが示す要求レベルが「1」,「2」又は「3」であるか否かを判定する。
バッテリ冷却要求レベルが「0」(バッテリ冷却要求なし)の場合(S3;No)、制御装置50は、空調要求を満たすように、空調装置10を制御する(ステップS7)。具体的には、制御装置50は、空調要求を満たすように、コンプレッサ要求回転数RCOMを出力して、コンプレッサ12を所定の要求回転数で作動させる。また、制御装置50は、空調弁18を全開にすると共に、バッテリ冷却弁32を全閉に維持する。なお、バッテリ冷却要求がない場合には、バッテリ温度TBは低温(第1温度T1未満)であるので、バッテリ4の出力許容電力PLは制限されていない。
一方、バッテリ冷却要求がある場合(S3;Yes)、制御装置50は、バッテリ温度が第1温度T1以上、且つ、第2温度T2未満であるか否かを判定する(ステップS4)。具体的には、制御装置50は、バッテリ冷却要求レベルが「1」(第1バッテリ冷却要求)であるか否かを判定する。
バッテリ冷却要求レベルが「1」(第1バッテリ冷却要求)の場合(S4;No)、制御装置50は、空調優先モードで、空調装置10とバッテリ冷却装置30を制御する(ステップS8)。上述のように、コンプレッサ12の駆動電力は、コンプレッサ12の最大出力PMAX以下、及び、残余電力PR以下に制限される。
したがって、空調要求を満たすための空調要求電力とバッテリ冷却要求を満たすためのバッテリ冷却要求電力の合計電力が、制限電力(最大出力PMAX、又は、残余電力PR)を超えない場合には、制限電力により空調要求及びバッテリ冷却要求を共に満たすことができる。この場合、制御装置50は、空調要求及びバッテリ冷却要求を満たすように、コンプレッサ要求回転数RCOMを出力して、コンプレッサ12を所定の要求回転数で作動させる。また、制御装置50は、空調要求とバッテリ冷却要求を満たすように(すなわち、冷房用配管11aとバッテリ用配管31の冷媒の流量比が、空調要求電力とバッテリ冷却要求電力の電力比となるように)、空調弁18及びバッテリ冷却弁32の弁開度を調整する。
しかしながら、合計電力が制限電力を超える場合には、制限電力は、バッテリ冷却用電力よりも空調用電力に優先的に割り当てられる。すなわち、空調要求電力が制限電力以上であれば、空調用電力は制限電力に設定され、バッテリ冷却用電力はゼロに設定される。このとき、バッテリ4の冷却のための電力P2comは考慮されない。また、空調要求電力が制限電力未満であれば、空調用電力は空調要求電力に設定され、バッテリ冷却用電力は、制限電力から空調要求電力を差し引いた使用可能電力以下に設定される。なお、使用可能電力が所定値以下である場合、バッテリ冷却用電力を使用可能電力以下に設定する代わりに、バッテリ冷却用電力をゼロとして、バッテリ冷却弁32を全閉にしてもよい。
制御装置50は、空調用電力とバッテリ冷却用電力の合計電力でコンプレッサ12を作動させるように、コンプレッサ要求回転数RCOMを出力する。また、制御装置50は、冷房用配管11aとバッテリ用配管31の冷媒の流量比が、空調用電力とバッテリ冷却用電力の電力比となるように、空調弁18及びバッテリ冷却弁32の弁開度を調整する。
一方、バッテリ冷却要求レベルが「2」又は「3」の場合(S4;Yes)、制御装置50は、さらにバッテリ冷却要求レベルが「3」であるか否かを判定する(ステップS5)。バッテリ冷却要求レベルが「2」(第2バッテリ冷却要求)の場合(S5;No)、制御装置50は、第2バッテリ冷却優先モードで、空調装置10とバッテリ冷却装置30を制御する(ステップS9)。
第2バッテリ冷却優先モードが実行される場合、バッテリ4は、出力制限電力PLの制限により、電動モータ3が所定の駆動力を出力可能な程度の電力PMINを出力することができなくなっている(PL<PMIN+P2com)。このモードでは、バッテリ4の冷却のための電力P2comが最も優先される。このため、制御装置50は、電動モータ3の駆動電力PMとコンプレッサ12の駆動電力P2comの合計電力を出力制限電力PL以下に制限しなくてはならない。
制御装置50は、バッテリ冷却用電力を駆動電力P2comに設定し、出力制限電力PLから駆動電力P2com及び電動モータ3への現在の供給電力PMを差し引いた使用可能電力を、空調用電力に割り当てる。なお、使用可能電力が負の値となる場合は、電動モータ3への供給電力PMが制限され、空調用電力はゼロとなる。使用可能電力が正の値となる場合は、空調用電力は使用可能電力と空調要求電力のうち小さい方の値に設定される。
制御装置50は、空調用電力とバッテリ冷却用電力の合計電力でコンプレッサ12を作動させるように、コンプレッサ要求回転数RCOMを出力する。また、制御装置50は、冷房用配管11aとバッテリ用配管31の冷媒の流量比が、空調用電力とバッテリ冷却用電力の電力比となるように、空調弁18及びバッテリ冷却弁32の弁開度を調整する。このように、制御装置50は、空調装置10のコンプレッサ12が提供する所定流量の冷媒のうち、バッテリ冷却要求に必要な量の冷媒をバッテリ冷却装置30に供給し、バッテリ冷却装置30に供給されずに残された冷媒を用いて車室内の空調を行うように空調装置10を制御する。
一方、バッテリ冷却要求レベルが「3」(第3バッテリ冷却要求)の場合(S5;Yes)、制御装置50は、第1バッテリ冷却優先モードで、空調装置10とバッテリ冷却装置30を制御する(ステップS10)。第1バッテリ冷却優先モードでは、制御装置50は、空調要求を無視して、バッテリ冷却要求のみを満たすように制御を行う。第1バッテリ冷却優先モードが実行される場合、車両は走行不能状態(停止)である。したがって、バッテリ4は、電動モータ3へ電力供給する必要がなく、供給可能電力があれば、コンプレッサ12を作動させることができる。
第1バッテリ冷却優先モードでは、制御装置50は、バッテリ冷却弁32の全開にすると共に、空調弁18を全閉にする。このように、制御装置50は、空調装置10のコンプレッサ12が提供する所定流量の冷媒の全量の冷媒をバッテリ冷却装置30に供給する。このとき、バッテリ4による供給可能電力がバッテリ冷却要求電力以上であれば、制御装置50は、バッテリ冷却要求を満たすように、コンプレッサ要求回転数RCOMを出力して、コンプレッサ12を所定の要求回転数で作動させる。一方、バッテリ4による供給可能電力がバッテリ冷却要求電力未満であれば、制御装置50は、バッテリ冷却用電力を供給可能電力に設定して、供給可能電力でコンプレッサ12を作動させるように、コンプレッサ要求回転数RCOMを出力する。
次に、本実施形態の車両用冷却装置1の作用について説明する。
本実施形態の車両用冷却装置1は、車両の駆動力を生成する電動モータ3と、電動モータ3に電力を供給するバッテリ4と、バッテリ4の温度TBを検出するバッテリ温度センサTS33と、冷媒を用いて車室内の空調を行う空調装置10と、空調装置10の冷媒を用いてバッテリ4を冷却するバッテリ冷却装置30と、車両の乗員による空調設定SACに基づいて空調装置10を制御すると共に、バッテリ4の検出温度TBが所定の第1温度T1以上であるときバッテリ冷却要求を生成して、このバッテリ冷却要求に基づいてバッテリ4を冷却するようにバッテリ冷却装置30を制御する制御装置50と、を備え、制御装置50は、空調要求及びバッテリ冷却要求があり、且つ、バッテリ4の検出温度TBが第1温度T1よりも高い温度に設定された第2温度T2未満である場合(S4;No)、冷却要求よりも空調要求を優先して、空調装置10及びバッテリ冷却装置30を制御する第1制御処理(S8)を実行し、空調要求及びバッテリ冷却要求があり、且つ、バッテリ4の検出温度TBが第2温度T2以上である場合(S4;Yes)、空調要求よりも冷却要求を優先して、空調装置10及びバッテリ冷却装置30を制御する第2制御処理(S9,S10)を実行するように構成されている。
この構成により、本実施形態では、乗員による空調要求に加えて、バッテリ冷却要求が生成されている場合(バッテリ温度TBが第1温度T1以上で生成される)、空調要求とバッテリ冷却要求を満たすように、空調装置10の冷媒を供給する必要がある。したがって、冷媒供給量が不足する場合には、空調要求とバッテリ冷却要求に応じて、冷媒を振り分ける必要がある。よって、本実施形態では、バッテリ温度TBが比較的低い温度範囲にある場合(具体的には、第2温度T2未満)、車両の走行安全性に影響を与えにくいので、乗員による空調要求を優先させて、車室内快適性を向上させることができる。一方、本実施形態では、バッテリ温度TBが比較的高い温度範囲にある場合(具体的には、第2温度T2以上)、車室内快適性が低減しても、バッテリ冷却要求を優先させて、車両の走行安全性の低下を防止することができる。
また、本実施形態では、制御装置50は、バッテリ4の温度上昇に応じてバッテリ4の出力許容電力PLが低下するように、バッテリ4の出力許容電力PLを制限し、第2温度T2は、第2温度T2におけるバッテリ4の出力許容電力PLが、電動モータ3が所定の駆動力を生成可能な最小の電力PMINであるように設定されている。
この構成により、本実施形態では、バッテリ温度TBが第2温度T2未満であれば、バッテリ4は電動モータ3へ最低限度の電力PMINを供給することができる。これにより、本実施形態では、バッテリ温度TBが第2温度T2未満であれば、良好な車室内快適性のために乗員による空調要求を優先させながら、車両の走行安全性の低下を抑制することができる。
また、本実施形態では、制御装置50は、第2制御処理(S9)において、空調装置10が提供する所定流量の冷媒のうち、バッテリ冷却要求に必要な量の冷媒をバッテリ冷却装置30に供給し、バッテリ冷却装置30に供給されずに残された冷媒を用いて車室内の空調を行うように空調装置10を制御する。
この構成により、本実施形態では、バッテリ温度TBが第2温度T2以上のとき、バッテリ冷却装置30に優先的に冷媒が供給されるので、バッテリ4を確実に冷却して、車両の走行安全性を確保することができる。
また、本実施形態では、制御装置50は、第2制御処理(S10)において、バッテリ4の検出温度TBが第2温度T2よりも高い温度に設定された第3温度T3以上である場合(S5;Yes)、空調装置10が提供する所定流量の冷媒の全量の冷媒をバッテリ冷却装置30に供給する。
この構成により、本実施形態では、バッテリ温度TBが第3温度T3以上である場合、空調よりもバッテリ冷却をさらに優先して全冷媒をバッテリ冷却に用いることにより、バッテリ温度TBが高くなり過ぎて車両が走行不能になることを防止することができる。
また、本実施形態では、バッテリ冷却装置30は、冷媒とバッテリ4との直接的な熱交換により、バッテリ4を冷却する。
この構成により、本実施形態では、冷媒の冷熱を、中間媒体(水等)を介すことなく、直接的にバッテリ4に付与して、バッテリ4を冷却することができる。これにより、本実施形態では、冷媒と中間媒体との間の熱交換によって生じる損失の発生や、装置の大型化を防止することができる。
また、本実施形態では、制御装置50は、車室内の実温度TCABと乗員により設定された目標温度TTGTとの温度差が大きいほど、空調要求を大きく設定する。
この構成により、本実施形態では、車室内の目標温度TTGTと実温度TCABとの温度差に基づいて、適切に空調要求を設定することができる。
1 車両用冷却装置
3 電動モータ
4 バッテリ
10 空調装置
11a 冷房用配管
11b 暖房用配管
12 コンプレッサ
16 室外熱交換器
18 空調弁
19 エバポレータ
30 バッテリ冷却装置
32 バッテリ冷却弁
33 熱交換器
50 制御装置
51 空調ECU
52 バッテリECU
53 PCM
54 モータECU
T1 第1温度
T2 第2温度
T3 第3温度
B バッテリ温度
TS33 バッテリ温度センサ

Claims (5)

  1. 車両用冷却装置であって、
    車両の駆動力を生成する電動機と、
    前記電動機に電力を供給するバッテリと、
    前記バッテリの温度を検出するバッテリ温度センサと、
    冷媒を用いて車室内の空調を行う空調装置と、
    前記空調装置の前記冷媒を用いて前記バッテリを冷却するバッテリ冷却装置と、
    前記車両の乗員による空調要求に基づいて前記空調装置を制御すると共に、前記バッテリの検出温度が所定の第1温度以上であるときバッテリ冷却要求を生成して、このバッテリ冷却要求に基づいて前記バッテリを冷却するように前記バッテリ冷却装置を制御する制御装置と、を備え、
    前記制御装置は、
    前記空調要求及び前記バッテリ冷却要求があり、且つ、前記バッテリの検出温度が前記第1温度よりも高い温度に設定された第2温度未満である場合、前記バッテリ冷却要求よりも前記空調要求を優先して、前記空調装置及び前記バッテリ冷却装置を制御する第1制御処理を実行し、
    前記空調要求及び前記バッテリ冷却要求があり、且つ、前記バッテリの検出温度が前記第2温度以上である場合、前記空調要求よりも前記バッテリ冷却要求を優先して、前記空調装置及び前記バッテリ冷却装置を制御する第2制御処理を実行する、ように構成されており、
    前記制御装置は、前記バッテリの温度上昇に応じて前記バッテリの出力許容電力が低下するように、前記バッテリの出力許容電力を制限し、
    前記第2温度は、前記第2温度における前記バッテリの出力許容電力が、前記電動機が所定の駆動力を生成可能な最小の電力であるように設定されている、車両用冷却装置。
  2. 前記制御装置は、前記第2制御処理において、前記空調装置が提供する所定流量の前記冷媒から前記バッテリ冷却要求に必要な量の前記冷媒を取り出して前記バッテリ冷却装置に供給し、前記空調装置から取り出されずに残された前記冷媒を用いて前記車室内の空調を行うように前記空調装置を制御する、請求項1に記載の車両用冷却装置。
  3. 前記制御装置は、前記第2制御処理において、前記バッテリの検出温度が前記第2温度よりも高い温度に設定された第3温度以上である場合、前記空調装置が提供する所定流量の前記冷媒から全量の前記冷媒を取り出して前記バッテリ冷却装置に供給する、請求項1又は2に記載の車両用冷却装置。
  4. 前記バッテリ冷却装置は、前記冷媒と前記バッテリとの直接的な熱交換により、前記バッテリを冷却する、請求項1~のいずれか1項に記載の車両用冷却装置。
  5. 前記制御装置は、前記車室内の実温度と前記乗員により設定された目標温度との温度差が大きいほど、前記空調要求を大きく設定する、請求項1~のいずれか1項に記載の車両用冷却装置。
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